例えば、世界中の個人宅や宮殿から買い集めたというアンティークのカーペット。
花や植物を描いたヴィンテージ風の壁紙も客室ごとに異なり、そこここに置かれた本は、冷戦時代の占い師の邸宅から集められたということで、手書きのメモや不可思議な写真が挟まれたページも。
デリケートなガラスに入った観葉植物や、歴史のありそうな布張りの椅子、今でもちゃんと使える20年代の回転ダイヤル式電話など、ちょっとしたアイテムがビクトリア王朝風の空間に、摩訶不思議な雰囲気を与えています。
そんな、ちょっと不思議の国に迷い込んだような場所だから、イタリア式のアペリティーボやエスプレッソをすすりながら、ゆったりピープルウォッチングが楽しめる公共空間があるのも、嬉しいポイント。
言うならば、フローズンカクテルを選ぶなら、マルガリータよりネグローニを注文したくなるような場所。
面積的にはそんなに広いわけではないのに、タイプライターが置かれたテーブルや、高い天井に見られる旧世界的な梁、愛しいほど豪華な彫り細工など、どうしてか思わず長時間居座ってしまいたくなるスペースです。
また、ここを訪れた際は、用がなくても隣接した広々としたレセプションホールを覗かせてもらいましょう。