阿部寛、真木よう子
『そして父になる』『海街diary』の是枝裕和監督が描き出す最新映画『海よりもまだ深く』。本作は監督が9歳から28歳まで暮らした東京都清瀬市の旭が丘団地で約1か月半に渡って撮影が行われた。主演の阿部寛は撮影前、監督から演技についてではなく、団地での思い出話を聞いていたそうだ。「撮影中も監督の地元というだけあって、撮影ができるのかなと心配になるくらい歓迎されていましたよ」と話す。
『海よりもまだ深く』/その他の画像
是枝監督4作目となる阿部は、叶わぬ夢ばかりを追い続ける情けない中年男、良多を演じる。良多の特徴はこうだ。小説家でありながら、小説を書く気配はない。その癖、執筆のためのリサーチだといって興信所に務める。
妻・響子(真木よう子)に愛想をつかされ離婚させられるも、未練たらたらで、張り込みをするほど。息子(吉澤太陽)へプレゼントをするためにギャンブルへ行けば、あっさり全額負けてしまう。あげくの果てに、お金目当てに団地に暮らす母・淑子(樹木希林)に寄り付いたはずが、淑子にお小遣いを渡して帰ってくる始末。一筋縄のダメ男ではない、彼のちぐはぐな行動は、見ていて憎めない。それどころか愛嬌すら感じてしまう。