“家族”という厄介な絆を描く『海街diary』の背後に漂う“生と死”の匂い
2人が駆け落ちしたあと、すずの母はすぐに亡くなり、のちに父が再婚します。すずは実の父と継母と、その連れ子たちと家族になりました。
で、その継母というのがそれは自立心のない馬鹿女なんですよ。いろんな本を読んでいてしみじみ思いますが(この作品はフィクションだけど)、母親が馬鹿だと子どもが苦労します。間違いないです。母親の甘えを請け負う羽目になるのは子どもだからです。
自立心がなく、考えの浅い人間というのは、自分に甘える言い訳を大量に持っているのです。そして自分が甘えた分、苦労するのは周り。
特に、他に逃げ道を持たない子どもです。この作品で言えば、すずです。
自分を理解してくれる人がいるって、どれだけ幸せだろうと思います。
お葬式のあと、三姉妹はすずに「鎌倉で一緒に住まない?」と持ちかけます。すずは即答。そりゃあついていきますよ、自分が安心して身をゆだねられる大人が目の前に現れたんだから。
そして、すずが鎌倉の三姉妹の元へやってきて、本格的に話が始まります。
この作品は、コミックスの裏表紙には「家族の絆を描く」と説明書きがあり、どこかの紹介文には「恋愛ストーリー」と書いてあった気がするのですが、初めて読んだ時に感じたのは、「生と死」