但し、タイ国鉄は酒類の持ち込みは全面的に禁止されているので、ビールで一杯、という訳にはいかない。
食堂車から届けてくれる夕食 著者撮影
食事が終わった頃を見計らい、今度は車掌がやってくる。車掌はマットレスを敷き、テキパキとベットメイキングを行う。日本のブルトレは乗客が自分でやるのが基本だったので、タイならではのサービスである。
車掌さんのベットメイキング
ナコーンランパーン駅に到着した頃にはすっかり日も暮れていた。あとは暗闇の中を走るので、眠くなるまでぼんやり外を眺めるだけである。タイの夜行列車はどの列車も冷房が強くとても寒い。個室は冷房が調整できるようになっているが、それでもやはり寒い。夜行列車に乗る際は、防寒対策を忘れないようにしたい。
いつしか眠りに落ち、ふと目覚めると列車はドンムアン空港の近くを走っていた。ほどなく車掌が各個室の乗客を起こし回り、併せてシーツなどを片付ける。バンコク・ファランポーン駅には定刻から約20分遅れで到着。
とても名残惜しい気分で「ブルトレ」に別れを告げ、地下鉄で自宅に戻った。
左手にドンムアン空港が見える。もうすぐバンコク。 著者撮影
2004年に日本からタイに譲渡され、タイの地にもすっかり馴染んだブルトレであるが、残念ながら、この雄姿が見られるのはもうあまり長くない可能性が高い。