ウブドの夜
[ 2008年7月22日 ]





アユン渓谷に陽が沈み今まで鳴いていた鳥達のさえずりが消える頃、何処からともなく聴こえてくるガムランの音。ウブドではこれが太陽の時と月の時との境界線となる。そして月の時が進む頃ウブドはトランス状態へと加速するのである。
バリ芸能はもともと宗教性が高い「wali」から観光用に上演される「Balihan」まで同空間に存在することがほとんどであり、それらの組み合わせで1つの舞踏を演じる。特にウブドはこれらバリ芸能の中心地として多くの歌舞団が凌ぎを削りその舞いは月の時の主役となる。
今、僕の目の前で舞っている「Kebyar Torompong」は踊り手である男性が女装した形で「踊りながら楽器を演奏する」という「Balihan」であるが、終始、目を見開いた力強い表情は男性、作り出される旋律の繊細さは舞う女性を表現しているのであろう、人という存在を越えた美しさ、別の生命体を感じる。
芸能とは往々にして中性的感覚の中で発展していくことが多いようだがバリ芸能の礎を築いたドイツ人画家「シュピース」は彼らの舞いをどう感じるのだろう。
トランスを終えた月の時はそんなことを妄想するにはもってこいの場所である。
【バリ・ウブド王宮にて】
- Text & Photo by
- 撮影後記
- 関連キーワード
-
バリ
インドネシア
アジア
ウブド
アユン渓谷
- この記事をひろめる