今週末見るべき映画「パティ・スミス:ドリーム・オブ・ライフ」

2009年8月28日 23:00
 1970年代、パンクロックの女王と言われたパティ・スミスを、11年間にわたって追いかけたドキュメンタリーが「パティ・スミス:ドリーム・オブ・ライフ」(トランスフォーマー配給)である。

 パティ・スミスは、単にロック、音楽のジャンルのみで語られる女性ではない。詩を書き、朗読をし、絵を描き、写真を撮る。ジョージ・W・ブッシュへの抗議活動を展開した運動家でもある。その交友関係は、多岐にわたる。

 映画は、パティの独白、詩の朗読、家族や多くの友人たちとのふれあい、ライブやバックステージなどの様子を、パートカラーを交え、基本的にはモノクロームで描く。光と影、駒落としの動き、アングルなどなど、スティーヴン・セブリングという写真家が監督しただけあって、凝りに凝ったアングルでの映像が相次ぐ。

 パティは、多くの才能に恵まれ、交友関係も幅広い。しかし、夫や友人、肉親が相次いで亡くなっていく。1989年、写真家のロバート・メイプルソープ。1990年、バンド仲間でピアニストのリチャード・ソール。1994年、夫のフレッド・スミス。同じ年の暮れ、ツアー・マネージャーだった弟のトッド。1997年、パティとともに詩の朗読に参加した詩人のウィリアム・バロウズ。そして2004年、作家、批評家、劇作家であったスーザン・ソンタグ。

 夫や友人、弟に相次いで死なれたことを、あるインタビューでパティはこう答えている。「近くにいたはずの人を失うと、そのショックでその人の魂や存在が大きく感じられるようになる。これは普遍的な真実で、結果として私は強くなったと思うし、人生を楽しもうという気持ちも強くなった」と。

 監督のスティーヴン・セブリングは、パティのプライベートの時間にまで、カメラで追いかける。結果、単に、ロック歌手だけではない、パティのさまざまな素顔が明らかになる。

 解説や字幕による説明は、いっさい、ない。すべて、パティの語りと歌、周りの人物とのやりとりだけで、構成されている。映画は、単に多才なアーティストとしてのパティ・スミスだけでなく、ひとりの女性の生き方の全貌を伝えて、見応えがある。

 パティ・スミスは1946年生まれ。精神のしなやかさには、年齢は関係がない。多くの才能に恵まれ、死んでいった仲間や家族を思い、歌い続けるパティを、さらに応援したくなる。


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