最近よく耳にする、“フェア・トレード”という言葉。フェア・トレードとは、「アジアやアフリカ、中南米などの農産物や手工芸品を買いたたくのではなく、公正な価格で生産者と直接取引をするビジネスのあり方であり、国際協力につながる運動」といったように考えられている。何となく世界に貢献できる、いいことなのだろうという印象はあるけれど、実際はどのような仕組みでまわっているのだろうか?

そんな疑問の答えを探し求め、ノンフィクション・ライターの三浦史子さんが3年以上かけて、フェア・トレードと深い関係にある場所を取材してまとめた本、
『フェア・トレードを探しに FAIR TRADE TRAIL』が発売され、話題となっている。


フェア・トレード運動が盛んであるイギリスをはじめ、インドの紅茶農園や刺繍工芸、ガーナのシア・バターやカカオなどの生産地を徹底取材。フェア・トレードというと、難しい本のように感じてしまうが、三浦さんは中立の立場に立った上で現場の生の声を聞き、フェア・トレードの現状をわかりやすくレポートしている。

フェアな貿易とは? 読み進めていくうちに、いろいろ考えさせられるだけでなく、三浦さんがどのように取材先を選び、どんな人と出会い、どう感じたかなどが綴られているため、まるで一緒に旅をしているような気分になる。自身が撮りおろした、臨場感のある写真も盛りだくさんだ。

さらに三浦さんのこだわりは、内容だけに留まらない。本に使用する紙についても、全ページにエコロジー・ペーパーを使用したデザインを考えていたのが、今年1月に発覚した古紙配合率偽装問題により、紙を選びなおしたのだとか。そんな社会問題に振り回されてしまった制作秘話について、あとがきで触れられているのも興味深い。