私の友人が35歳のときの話です。友人は、あるときから熱はないものの喉に違和感を覚え、次第にせきに悩まされるようになりました。こまめにうがいをしたり市販薬を飲んだりして様子を見るも、一向に改善しません。話をするときだけでなく体を横にするときもせきが止まらず、まったく眠れないので病院を受診することに。そこで思いもしない診断結果が出たのです。せきに悩まされる日々私の友人が35歳のときの話です。友人は、あるときから熱はないものの、喉に違和感を覚え、次第にせきが出始めました。喉の違和感の他にも、鼻や頬、前頭部あたりが重だるい感じがしていたそう。友人が33歳のとき、冬に38度の発熱と喉の痛み、声の枯れがあったため呼吸器内科を受診したところ、インフルエンザの検査をしたものの結果は陰性。症状から「副鼻腔炎 」と「後鼻漏 (こうびろう)」と診断されたそうです。そのときに「鼻水が喉のほうに流れてしまうことが原因で、喉が痛くなったり声が枯れたりする」と医師から説明を受けました。なので「今回もそんな感じだろう」と思い込み、とりあえず市販薬のせき止めを飲んで様子を見ることにしたそうです。また、友人はこまめなうがいや市販薬以外でできる対策はないかと思い、水分を多くとることを意識して、温かい飲み物を飲んだり飴をなめたりもしたそう。他にも濡れマスクをしたり、せきに効果があるとされるツボを押してみたりもしました。いろいろな対策を調べては試す、を繰り返したものの一向によくなる気配はなく、仕事中にも頻繁にせきが出るようになりました。家では横になるとせきが止まらなくなり朝までゆっくり眠れない日々。さらにせきで日常生活に支障が出るようになったため、ようやく病院を受診することにしました。受診すると思いも寄らぬ診断結果が!友人は、仕事が休みの日に近所の呼吸器内科クリニックを受診します。そこでは、問診や診察の他に、肺活量を調べる肺機能検査や採血をしたそうです。医師から「肺機能検査の結果を見ると、健康な人に比べて数値がよくないね。相当苦しかったんじゃない?」と言われ、「気管支ぜんそく」と診断されました。「えー! せんぞくの経験がない自分がまさか気管支ぜんそくだなんて!」と思いも寄らぬ診断結果にびっくり。そして、「何か強いストレスを感じたりしていない? 大人になってからぜんぞくになる人はストレスを抱えている場合があるんだよ」と言われたようです。「そうか、気が付かないうちに無理してたんだ。もっと早く受診したらよかった」と思ったそう。実は、この年転職していた友人は、新しい職場に慣れるのに必死でストレスから胃痛や吐き気に悩まされていました。「頑張り過ぎたかな……気管支ぜんそくになったのも転職のストレスが原因かもしれない」と思ったようです。そして、気管支の炎症を抑える効果や気管支を拡張する効果のある吸入薬とせき止め、痰切りの薬が処方され、また2週間後に受診するように言われました。吸入薬は息を十分吐いてから、吸入器の吸入口をしっかりくわえ、思いっきり一気に吸い込む薬です。薬剤師から吸入薬の指導を受けたものの、初体験の友人にはとても難しくコツをつかむのに時間がかかったそうです。ぜんそく症状が落ち着いてきた翌日、職場で上司に気管支ぜんそくと診断されたことを報告した友人。上司には普段からいろいろ話を聞いてもらっていたので「転職で慣れないことだらけだし、毎日緊張していたのかもね。あんまり思い詰めないでね」と言われたそうです。吸入薬は朝夕2回、それに加えて仕事中にもせきが止まらないときは、追加で1~2回随時吸入しながら働いていました。吸入薬が効いたのか、就寝時の苦しさは多少あったようですが、受診前に比べてだいぶ眠れるようになったそう。また、ストレスも良くないとのことだったので、しっかり休息を取り、前から気になっていた料理教室に通い始めるなど、なるべく自分の好きなことをする時間を増やし、ストレス解消を心がけていました。そして、初診から2週間後の再受診の日。前回から症状が改善していたこともあり、吸入の回数を少しずつ減らしていいと診断されました。それ以降はせきもだいぶ治まり、日常生活に支障を来すほどのせきに悩まされることもなくなりました。季節の変わり目などにヒューヒューとせきが出ることがあるようですが、眠れなくなるような苦しい思いをすることはなくなったようです。まとめ友人はせきが出てつらかったにもかかわらず、過去の受診結果から自分で判断し市販薬で済ませてしまいました。その後、病院を受診し気管支ぜんそくと診断されたことで「日常生活に支障が出るほど苦しかったのに、なんで早く受診しなかったんだろう」と後悔していました。今思えば、友人は昔からめったに弱さを見せない頑張り屋さんなので、今回もだいぶ無理をしてしまったのかもしれません。これ以降、友人は仕事にも慣れストレスとうまく付き合えるようになり、せきはそれほど出なくなったそうです。友人の体験からストレス解消を心がけることや、自分で勝手に思い込んだり我慢したりせず、つらいときは早めに受診しようと再認識しました。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/高島雅之先生(たかしま耳鼻咽喉科院長)日本耳鼻咽喉科学会専門医、日本睡眠学会専門医。金沢医科大学医学部卒業。金沢医科大学耳鼻咽喉科で講師を務めたのち、2007年に開院。「病気の状態や経過について可能な範囲でわかりやすく説明する」ことをモットーに地域医療に従事。「宇都宮スリープセンター」を併設し睡眠医療にも携わる。テレビやラジオなどメディアでも、いろいろなジャンルにおいて医療情報を発信。著書に『専門医が教える鼻と睡眠の深い関係鼻スッキリで夜ぐっすり』(クロスメディア・パブリッシング)があり、Amazonのカテゴリー7つで1位を獲得。著者/MISATO産後の物忘れの悪化に悩む2人兄妹のママライター。趣味は甘い物を食べること、緩く宅トレをすることです。
2024年01月13日台風の通過後、ぜんそく患者が急増するという。突然発症するため、症状のない人でも警戒が必要だ。9月は台風のシーズン。マスクなどできちんと備えておこう。「長期的な温暖化に伴う水蒸気量の増加傾向の影響で雨量が増大した可能性がある」気象庁・異常気象分析検討会は、6月から7月後半にかけての「大雨事例」と7月後半以降の「顕著な高温」の分析結果を、8月28日にこう発表した。今夏の猛暑について「異常だった」と記者会見でも認めたのだ。同庁の「1か月予報(~10月1日)」では、東日本太平洋側、西日本、沖縄・奄美で、「平年より降水量が多い確率が40%ある」と8月31日に発表されていた。このような異常気象のなかで迎える本格的な台風シーズン。おやなぎアレルギークリニック院長であり、アレルギー専門医の小柳貴人さんは、意外な疾患に「備える必要がある」と話す。「古くから台風が通過した翌日には『ぜんそく』の患者さんが増えるといわれてきました。特にこの9月以降、台風のほか、ゲリラ豪雨も含めた『雷雨ぜんそく』には注意が必要です」この耳慣れない「雷雨ぜんそく」とは、一体どんな疾患なのか。誰でもかかりうるものなのだろうか。過去、世界を見渡せば「大発生して複数の死亡者が出たこともある」という雷雨ぜんそくについて、その特徴や、私たちにできる対策を小柳さんに聞いた。「まず、一般的なぜんそくの症状は、口から吸い込んだアレルギー物質が、気管支の表面の粘膜に付着することで起こります。すると粘膜が炎症を起こして腫れ、空気の通り道が狭くなり、呼吸しにくくなってしまいます。そのため、咳が止まらなくなったり、ゼーゼー、ヒューヒューというぜんめいが起きたりして、重症化すると呼吸困難になってしまうのが、ぜんそくです。最悪の場合、痰が詰まって酸素が行き届かなくなると、『ぜんそく死』もありうる。特に高齢の方に多いんです」このぜんそくの原因となるものはさまざまだが、「最も多い原因は、ダニの死骸などのハウスダストを吸い込んでしまうことです。台風のあとにぜんそくが多く発生する理由ははっきりとは解明されていませんが、その原因として、台風通過前後の気圧差による反応や、空気中に粉じんが巻き上がるということも考えられるでしょう」海外では、雷雨の後に雷雨ぜんそくが大発生した事例もあると語る小柳さん。「オーストラリアで’16年、強い雷雨が発生し、直後からぜんそく発作で治療を受けた人が、なんと1万3千人に達しました。なかには重症者もいて、最終的に9人の死者が出てしまったんです」このオーストラリアでの雷雨ぜんそくの大発生は、イネ科の植物の花粉がおもな原因とされたのだという。「普通、花粉の粒子は大きいので、吸い込んでも目や鼻、喉の粘膜に付着するまで(花粉症の発症)でとどまるのがほとんどです。しかし雷雨や豪雨などで水分を含むと、花粉は膨張して破裂し、粉々になります。その細かくなった粒子を吸い込んで気管支まで入ってしまうことが、雷雨ぜんそくの一因になるのではないかと考えられます」この、花粉由来による雷雨ぜんそくが、日本で大発生する可能性はどれくらいあるのだろうか。「日本で春に大流行するのはスギ花粉による花粉症で、成人の3~4割程度の方にスギ花粉症があると考えられます。イネ科植物の花粉症の患者はスギ花粉症よりも少ないですが、私が診察してきた肌感覚では、スギ花粉症の10分の1ほどの患者数ではないかと推測しています。その方々を中心に、今後、日本でも雷雨ぜんそくにかかる方が出る可能性は十分あるでしょう」実際に、台風や豪雨などのあとにぜんそくの症状で小柳さんのクリニックに来院した雷雨ぜんそくが疑われる人のうち「一定数は、以前にぜんそくがなかった方なんです」と小柳さん。健康な人でもある日突然、雷雨ぜんそくにかかることもあるのだ。「異常気象によって台風や豪雨、雷雨が増えれば、雷雨ぜんそくのような症状の方が激増してもおかしくない。特にこの秋は注意したほうがいいでしょう」来院してぜんそくと診断された人には、内服薬や吸入薬などを用いた外来通院治療を開始することが多いという。では、私たちが雷雨ぜんそくにならないためにできることとはなんだろうか。「まずは、マスクを着用することです。コロナ対策でポピュラーになったサージカルマスクや、N95マスクなどは、雷雨などによって粉々になった微細な花粉でもある程度ブロックできます。次に、雷雨の日や、台風通過の翌日は、できるだけ不要な外出を避けることです」まずは、この2つの予防法から始めて、台風や豪雨だけでなく、雷雨ぜんそくにもきちんと準備をしておこう。
2023年09月08日元AKB48で女優の島崎遥香(23)が自身の抱えるぜんそくについて続けてツイート。どちらも1.2万件を超える「いいね」がつくなど、反響を呼んでいる。 島崎は7月22日の《この数年間もとまらない原因不明の咳と生涯生きてくのか?私は》というツイートに続き、23日にも《心と身体が元気な人に不調を理解してもらうのはとても難しい。ただ、理解してもらう必要性もないよ、そう言う人達に。悲しいけれど仕方がないことだとそう言い聞かせるしかない》と苦悩を吐露した。 これまでも、ぜんそくの発作に悩まされてきた島崎。とくに15年8月には症状が悪化し、1カ月あまり活動を休止。恒例のじゃんけん大会まで欠席することになった。 島崎のツイートには《同じ悩みを抱えた人がいるということに勇気を貰いました》《体は専門知識持った人なら理解してもらえるけど、心は同じ経験した人にしか理解してもらえないからね...すごい分かります》と多数の返信が寄せられている。《このツイートで少しでも楽になる人がいてくれたらなという思いでのつぶやき》という島崎の言葉通り、Twitter上には共感の声があふれた。 さらには《ぱるるのおかげで大切な人の気持ちが知れた。ありがとう》というツイートも。島崎の勇気あるツイートは、同じ悩みを抱える当事者以外まで届いたようだ。
2017年07月25日