故ジャニー喜多川元社長が、菊田一夫演劇賞特別賞を取り消されたことが18日、明らかになった。同賞は、演劇界の巨星・菊田一夫氏の名を冠し、大衆演劇の舞台ですぐれた業績を示した芸術家(作家、演出家、俳優、舞台美術家、照明、効果、音楽、振付、その他のスタッフ)を表彰する賞。2003年4月4日に第28回(2002年度)菊田一夫演劇賞の選考結果を発表し、永年のショービジネスに対する多大な情熱と功績を讃え、故ジャニー喜多川氏に対して菊田一夫演劇賞特別賞が贈られていた。この度、一般社団法人映画演劇文化協会は、故ジャニー喜多川氏による性加害の実態が明らかとなったことから「菊田一夫演劇賞における顕彰に相応しくないとの判断に至りました」と発表。贈賞を取り消すとともに、協会のホームページ、菊田一夫演劇賞の授賞記録からも削除した。
2023年10月18日2024年に開催される第96回アカデミー賞の国際長編映画賞に、フィリピンからゲイのアニメーターを主人公としたアニメ映画『Iti Mapukpukaw(原題)/The Missing(英題)』が出品されたことが分かった。フィリピン映画開発評議会がSNSで発表した。監督・脚本はカール・ジョセフ・パパ。長編アニメ映画を手掛けたのは初めてだという。主人公のエリックはフィリピンでアニメーターとして働きながら、ごく普通の生活を送っていた。マンションに住み、高収入の仕事に就き、好きな男性もいる。唯一目立つことといえば、「口がない」ということだけだった。ある日エリックは母からの電話で、音沙汰のないおじの様子を確認してきてほしいと頼まれる。おじがすでに亡くなっていることを知ったエリックは、なぜだか知っているような気がする異星人と出会う。異星人はエリックの記憶と感情を紐解く手助けをしてくれるのだった。エリックの声は『Seasons: めぐりゆく季節の中で』のカルロ・アキノ、母ロザリンダは、今年『逆転のトライアングル』でゴールデングローブ賞助演女優賞にノミネートされたドリー・デ・レオンが担当。なお、日本からは同部門にヴィム・ヴェンダース監督×役所広司主演『PERFECT DAYS』が出品されている。(賀来比呂美)
2023年10月02日積水ハウス株式会社は、本日発表の「第17回キッズデザイン賞」において3作品がそれぞれこども政策担当大臣賞・キッズデザイン協議会会長賞・BEYOND COVID-19特別賞を受賞しました。キッズデザイン賞は、キッズデザイン協議会主催の子どもや子どもの産み育てに配慮したすべての製品・サービス・空間・活動・研究を対象とする顕彰制度で、大人が使うものでも子どもに配慮されたものやサービスはすべて対象とし、普及を後押しすることで子どもを産み育てやすい社会づくりを目指しています。キッズデザイン賞受賞作品258点の中から、優秀作品へノミネートされた37作品が最優秀賞、優秀賞、奨励賞、特別賞として選出され、当社は『「一つ屋根の下で一緒に過ごす!」フジ虎ノ門こどもセンター』がこども政策担当大臣賞に、『~子育て世代へ LIFE IDEASを盛り込んだ住まい提案~ 積水ハウス ノイエ』がキッズデザイン協議会会長賞に、そして『分譲マンションにおける子育て支援サービスの提案』がBEYOND COVID-19特別賞に選出されました。キッズ・ファースト企業である積水ハウスは、2007 年の設立第1回から17年連続、累計116作品を受賞しています。受賞作品表1: 積水ハウスは“「わが家」を世界一幸せな場所にする“というグローバルビジョンのもと、子どもたちや高齢者を含む誰もが安全で使いやすい「スマート ユニバーサルデザイン」の推進など、子どもや子育てに関わる社会課題解決に取り組み、人生100年時代における「幸せ住まい」を追求し続けてまいります。キッズデザイン賞 公式サイト: キッズデザイン協議会HP: 受賞作品詳細■優秀賞 こども政策担当大臣賞:「一つ屋根の下で一緒に過ごす!」フジ虎ノ門こどもセンター受賞部門:子どもたちを産み育てやすいデザイン部門 地域・社会部門【作品説明】:一つ屋根の下で、ケアの必要な健常児とチャレンジドが一緒に過ごすこどもセンターを医療法人が運営。こどもたちが安心して学び生きるためのコミュニケーションを実践しています。小児難病や発達障がい、不登校児を支援、放課後児童クラブを併設、保護者様の子育て不安解消等、”すべてはこども達のために”をテーマに、地域の持続可能な暮らしを支える場を目指します。公式サイト: 【受賞理由】:「未就学から高校生まで、多様な立場の多世代交流を促す空間とプログラムが相互の学びの場になる。インクルーシブデザインが意味する、多様な存在を認め合い、交流と気づきを得るという考え方はキッズデザインでも非常に重要な視点であり、本賞にふさわしい内容である。」■奨励賞 キッズデザイン協議会会長賞:~子育て世代へ LIFE IDEASを盛り込んだ住まい提案~ 積水ハウス ノイエ受賞部門:子どもたちを産み育てやすいデザイン部門 個人・家庭部門【作品説明】:共働きを中心とした子育て世代の家族に向け、積水ハウス ノイエでは、家事を効率化しつつ子どもと一緒に過ごす時間を楽しめるアイデアやデザインが盛り込まれた『パッケージプラン』を提案しています。吟味を重ねてつくり上げた理想のプランの中から最適な住まいを提案し、家族みんなが楽しく共に成長できる住まいを提供していきます。公式サイト: 【受賞理由】:「収納・家事・食事・育児の4つのテーマについてリサーチ、アンケートを実施し、データに基づいたプランをパッケージ化した子育て支援住宅の提案である。それぞれの間取りや設備、空間のアイデアは子育て層の悩みやニーズを丹念に拾い、解決策を提示したもので現実的だ。」■特別賞 BEYOND COVID-19特別賞:分譲マンションにおける子育て支援サービスの提案受賞部門:子どもたちを産み育てやすいデザイン部門【作品説明】:これまでの分譲マンションにはない子育て支援サービス(設備)を提案します。1.共用エントランスに自動水栓・ソープディスペンサを備えた手洗いを設置。2.住戸玄関ポーチにネットスーパー用受取りボックスを設置。住戸内ではなく共用部に設置することで居住者共通のメリットとなります。今後子育て支援サービスとしてシリーズ化が可能です。【受賞理由】:大規模分譲マンションでありながら共用部に手洗い場や宅配ボックスなどを備え、インフラに新たな提案を行った。コロナ禍を経て日常の衛生に関するリテラシーも変化した。分譲マンションも個別住戸の集合体からコミュニティとしての機能が必要である。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年09月20日オスカーの特別賞に当たるガバナーズ賞の授賞式が、11月18日から来年1月9日に延期されることになった。映画俳優組合と脚本家組合のストライキが理由。今年は、アンジェラ・バセット、メル・ブルックス、キャロル・リトルトンが名誉賞を受賞する。ガバナーズ賞はテレビ中継されず、特定の映画の宣伝につながるものでもないが、席はひとり7,500ドルと高額で、基本的にはスタジオがテーブルを買い、本番のオスカーに入ってきそうな作品にかかわった俳優、脚本家、監督などを招待する。それは、メジャースタジオと配信会社に対して俳優と脚本家がストライキをしている中では無理がある。しかし、現在も両者の話し合いは進んでおらず、1月にストライキが終わっているのかどうかも不明だ。文=猿渡由紀
2023年09月08日ヴィム・ヴェンダース監督の『PERFECT DAYS』が、第96回アカデミー賞国際長編映画賞の日本代表作品として出品されることが分かった。日本映画製作者連盟が発表した。7名の選考員が、8作品の中から選出したという。近年、同部門に出品された作品には早川千絵監督の『PLAN 75』、濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』、河瀬直美監督の『朝が来る』などがある。海外メディアも報じており、「The Hollywood Reporter」は「日本からこの部門に、日本人以外の監督が手掛けた作品が出品されるのは初めて」と報じている。ヴェンダース監督は『パリ、テキサス』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』などの名作を世に送り出してきた映画界の巨匠。主演の役所広司は今年のカンヌ国際映画祭で、日本人俳優としては『誰も知らない』の柳楽優弥以来19年ぶり2人目となる男優賞を受賞する快挙を成し遂げた。また、本作は同映画祭でエキュメニカル賞も受賞した。監督はドイツ人だがキャストは日本人で言語も日本語。役所さんのほか、柄本時生、中野有紗、アオイヤマダ、麻生祐未、石川さゆり、三浦友和、田中泯が出演している。『PERFECT DAYS』は、10月23日から11月1日に開催される第36回東京国際映画祭のオープニング作品に決定しており、ヴェンダース監督がコンペティション部門の審査員長を務めることも明らかになっている。日本公開は12月22日。(賀来比呂美)■関連作品:PERFECT DAYS 2023年12月22日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2023 MASTER MIND Ltd.
2023年09月05日ラブラドールレトリバーのデニーくんとスフィンクスのマニーくんとのにぎやかな日常をSNSで紹介している飼い主(deni_mani_)さん。個性豊かなデニーくんとマニーくんのファンは多く、Instagramは65万人、TikTokには330万人ものフォロワーがいます。ある日、飼い主さんはデニーくんの爪切りの様子を公開しました。爪切りが苦手な犬は多いもの。デニーくんも例にもれず、爪切りが嫌いなのだそうです。飼い主さんと向かい合って、廊下に座るデニーくん。飼い主さんの手には爪切りが握られています。デニーくんはこれから何が始まるのか気付いているはず。逃げようとしないということは、観念して爪を切られる覚悟ができているのかと思ったら…。実際の爪切りの様子がこちらです。 この投稿をInstagramで見る DeniMani(@deni_mani_)がシェアした投稿 爪切りが怖くて何度も気絶しちゃう!飼い主さんが爪切りをデニーくんの足に近付けるたびに、「うわぁー!もうダメだぁーー!」というように倒れ込むデニーくん。これではいつまで経っても爪が切れません!目の前で繰り広げられるデニーくんの迫真の演技の後ろで、「またやってるよ…」というように無表情のマニーくんにも笑いが込み上げますね。この動画は126万件の『いいね』が集まり、見た人たちも爆笑したようです。・笑いすぎて涙が出た!この犬の演技はアカデミー賞に値するよ!・後ろの猫の表情で吹き出した!・面白すぎて、この動画を永遠に見ていられる。爪切りから逃れるために『死んだフリ作戦』を繰り広げるデニーくんに、飼い主さんもお手上げ状態のよう。しかし、犬の健康と安全のためにも定期的な爪切りは必要です。これからも爪切りのたびに、デニーくんの演技力にますます磨きがかかっていきそうですね![文・構成/grape編集部]
2023年09月05日今年、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』のラモンダ役でアカデミー助演女優賞にノミネートされたアンジェラ・バセット、メル・ブルックス、キャロル・リトルトンが、11月に開催されるガナバーズ・アワードでアカデミー名誉賞を受賞するという。また、長年サンダンス映画祭に深く携わってきたミシェル・サッターがジーン・ハーショルト人道賞を受賞することも分かった。映画芸術科学アカデミーが「アカデミー理事会は、映画業界に変革をもたらし、何世代もの映画製作者やファンにインスピレーションを与えてきた4名の先駆者を称えることができ、大変うれしく思っています」と発表。アンジェラについては「数十年にわたるキャリアの中で、演技の新たな基準となる卓越したパフォーマンスを見せ続けてきました」と称賛した。アカデミー名誉賞は、映画界における多大な貢献や成功を収めてきた人に与えられる賞で、過去にはウォルト・ディズニー、チャールズ・チャップリン、宮崎駿、ジャッキー・チェン、サミュエル・L・ジャクソンらが受賞している。アンジェラは1986年に『F/X 引き裂かれたトリック』で長編映画デビューを果たした。1993年にティナ・ターナーを演じた『TINA ティナ』でゴールデングローブ賞主演女優賞を獲得。アカデミー主演女優賞にもノミネートされた。(賀来比呂美)■関連作品:ブラックパンサー 2018年3月1日より全国にて公開© Marvel Studios 2017 MARVEL-JAPAN.JP/blackpantherブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー 2022年11月11日より全国にて公開©Marvel Studios 2022
2023年07月03日2025年に開催予定の第97回アカデミー賞授賞式より、作品賞の選考対象作品に対し、劇場公開基準が拡大されることが分かった。主催の映画芸術科学アカデミーが発表した。現在は、作品賞の受賞選考対象となるには、全米6都市のうちいずれかの都市で7日間、劇場公開することが条件とされている。しかし、2024年に公開される映画からは現在のルールに加え、初公開から45日以内に全米上位50市場のうち10市場で連続・非連続を問わず7日間の追加上映を行う必要があるという。(アメリカ国外の地域での公開は10市場のうち2市場としてカウントすることができる)。「毎年行っているように、私たちはアカデミー賞の受賞資格要件を見直し、評価してきました」というアカデミーのCEOビル・クレイマーと会長のジャネット・ヤン。追加上映を行うことで、「映画の世界での認知度を高め、観客に劇場という場所で私たちの芸術表現を味わってもらえることを促せると期待しています」とコメントしており、「この進化は映画に携わるアーティストと映画ファンの双方に利益をもたらすと感じています」と自信を見せている。新しいルールは作品賞の選考対象作品にのみ適用される。(賀来比呂美)
2023年06月22日アカデミー賞の資格を得るためのルールが、一部変更になった。アカデミー賞は劇場で上映される映画のためのものだということがより強調された形だ。現状では、年内に最低7日間、アメリカ国内の6つの指定都市のうちひとつの街で劇場公開されれば、資格がもらえる。これは「資格を得るための上映」と呼ばれる。だが、2024年以後の公開作品は、「資格を得るための上映」の後、45日以内にアメリカの10都市で最低1週間上映しなければならなくなる。本格公開が年明けの場合、配給会社はアカデミーに公開計画を提出する必要がある。この変更の影響を受けるのは、主に配信作品と小規模のインディーズ映画。1週間だけ公開して資格を得れば、あとは配信という方法は、オスカーを狙う以上、来年からは通じなくなる。文=猿渡由紀
2023年06月22日アメリカ国内では単館での公開から始まったにもかかわらず、アカデミー賞を騒がすほど大きな反響を呼んだ話題作がいよいよ日本にも上陸。今回オススメするのは、実話を基にどん底のシングルマザーの姿をリアルにとらえた感動作です。『To Leslieトゥ・レスリー』【映画、ときどき私】 vol. 586テキサス州西部で、息子とともに暮らしていたシングルマザーのレスリー。宝くじに高額当選するものの、数年でアルコールにすべてのお金を使い果たしてしまい、失意の日々を送っていた。それから6年が経ち、行き場を失ったレスリーは、息子やかつての友人たちのもとへ向かうが、やはり酒に溺れて見放されてしまう。そんななか、知り合ったのはスウィーニーという孤独なモーテル従業員。その出会いをきっかけに、レスリーは後悔だらけの過去を見つめ直そうとする。そして、母親に失望した息子のためにも、人生を立て直すセカンドチャンスに手を伸ばし始めることに…。圧巻の演技を見せたのは、主人公のレスリーを演じたアンドレア・ライズボロー。本作は、アカデミー賞の主演女優賞に奇跡のノミネートを果たしたことでも注目を集めています。そこで、その裏側についてこちらの方にお話をうかがってきました。マイケル・モリス監督「13の理由」や「ハウス・オブ・カード 野望の階段」といった重厚なドラマシリーズで、いくつものエピソードを手掛けてきたイギリス出身のモリス監督。長編映画デビューとなった本作について、現場の様子や描くうえでのこだわり、そして日本にまつわる自身の夢などについて語っていただきました。―今回は、現場で監督が細かく演出されたのか、それともアンドレアさんに任せた部分が多かったのか、どのように撮影を進めていったのでしょうか。監督どこまで細かく演出するかについては、シーンによっても差がありました。というのも、今回はとにかく時間がなくて、撮影も19日間という限られた期間しかありませんでしたから。多いときには、1日で10シーンほど撮ることもあったほどです。こういう状況下では、監督と俳優の間に強固な信頼関係がないとうまくいかないものですが、僕とアンドレアの間には実際そういう関係性があったので、「ちょっと違うからやり直そう」みたいなことは一度たりともありませんでした。それくらい彼女は信頼のおける俳優なので、非常にいいコラボレーションができたと思っています。僕たちのことをたとえるなら、ブレーンストーミングによってどんどん可能性を広げていく指揮者とコンサートマスターのような関係だったと言えるかもしれませんね。アンドレアの素晴らしいところは、挙げたらきりがない―そんなアンドレアさんの演技について、ケイト・ウィンスレットさんやケイト・ブランシェットさんなどハリウッドを代表するトップの俳優たちがみな絶賛しています。自身の出演作でもない作品にここまで熱狂するというのはあまりないことだと思いますが、監督がアンドレアさんのすごさを実感した瞬間はありましたか?監督アンドレアの素晴らしいところを挙げたらきりがないくらいですが、今回の映画ではそんな彼女の素晴らしさを余すところなくすべてとらえられたと自負しています。1つエピソードをお話すると、編集担当と作業をしていたときのこと。今回はデジタルではなくフィルムで撮影していることもあり、カメラを無駄に回しっぱなしにするようなことがなかったので、撮った映像にはそれぞれのシーンしか映っていませんでした。そういったこともあり、編集担当にとってアンドレアは“いつもよっぱらっているテキサスの女性”にしか見えていなかったのです。ところが、あるシーンだけ「カット!」といったあとも少しカメラが回っていて、素のアンドレアが映っていました。すると、彼女は「紅茶をもらってもいいかしら?」と出身地であるイギリス北部のアクセントで話していたので、その映像を見た編集担当が「この人、誰?」と僕に聞いてきたんです(笑)。それくらい彼女が信憑性のあるお芝居を見せていたということだと思います。―確かに、それはすごいギャップですね。監督そして、何よりも彼女が素晴らしいのは、とにかく全力投球でベストを尽くすところ。そういう姿を見ると、周りのみんなも襟を正さなきゃと思いますし、自分も集中して同じようにベストを尽くそうとなりますから。自然と現場全体の士気も上がっていったので、そういうところにも助けられました。キャラクターの感情的な真実を描きたかった―本作は脚本のライアン・ビナコさんの実話がベースということですが、どのくらい忠実に描いているのでしょうか。監督物語はライアンと母親の関係をベースにしているので、彼が13歳のときに母親が宝くじを当てたこと。それがきっかけでアルコール中毒になり、真夜中に息子を置き去りにしていなくなってしまったこと。そして、町の人たちが彼を育てたことも、数年後に再会したときに母親がホームレスになっていたこともすべて彼が経験したことです。作品がリアルに感じられるのも、それらが実際の話だからこそだと思います。そのほかに僕が意識したのは、キャラクターたちの感情的な部分において真実を描きたいということでした。そういった部分も、本物の人物に忠実にありたいと考えたところです。―ちなみに、ご本人にも会われましたか?監督撮影が始まる頃には、あまり体調がよくなかったので、ライアンのお母さんに会うことはできませんでした。ただ、その代わりにライアンがすごく詳細に教えてくれたので、そのあたりは作品に反映しています。具体的に彼女が実際にしていたことで映画に取り入れたのは、口紅の使い方。劇中のアンドレアは基本的にノーメイクで演じていますが、外出するときだけは真っ赤な口紅をつけています。それはまさに彼の母親がしていたことだったようなので、そういうところも同じようにしました。計算しすぎず、自分自身に正直に生きてほしい―話は変わりますが、まもなく公開を迎える日本についての印象や興味のあることなどはありますか?監督実は、残念なことにまだ日本には行ったことがなく、いつか訪れてみたいとずっと考えています。ただ、影響は受けていることは多くて、なかでも黒澤明監督の『生きる』は何回も観てるほど。自分で言うのはおこがましいですが、大きな社会システムのなかで周りに支えられていない人に焦点を当てて内面を描くという意味では、この作品にも共通する部分があると感じています。それから、2本立てで観たらおもしろいかなと考えているのは、『ドライブ・マイ・カー』。物語の展開にひっぱられることなく、その状況に観客を連れていくような感覚がどちらにもあると思っています。あとは、まったく別のことですが、日本に関しては個人的な夢もあるんですよ。―もしよければどういったことか、教えていただけますか?監督実は、ある日本の作家が書いている小説を脚色したいと考えています。その方とは、東野圭吾さんです。僕はガリレオシリーズのファンであり、彼の文体が非常に好きなので、いつかできたらいいですね。―楽しみにしています。それでは最後に、ananweb読者に向けてメッセージをお願いします。監督僕はみなさんに何かアドバイスをできるような立場ではないのですが、娘が3人いて、そのうち1人が18歳なので、最近は20代や30代の年代の女性についてよく考えるようになりました。そのうえで言えることがあるとすれば、まずは「自分自身に正直に生きましょう」ということです。いろんなことがうまくいかなかったり、さまざまなハンデがあったり、人によって状況は違うかもしれませんが、あまり先のことを計算しすぎずに自分に対して正直になってほしいです。そうすれば、起こるべきことは起こるものなので、それを信じてほしいなと思います。ラストの瞬間まで、目が離せない!たとえすべてを失ったとしても、何度でも立ち上がる力だけは誰にも奪えないのだと感じさせてくれる本作。自由奔放で痛々しくもあるレスリーの生き方は、決して褒められるものではないかもしれないけれど、それ以上に観る者の心に大きな贈り物をくれるはずです。取材、文・志村昌美引き込まれる予告編はこちら!作品情報『To Leslieトゥ・レスリー』6月23日(金)全国ロードショー配給:KADOKAWA️(C)2022 To Leslie Productions, Inc. All rights reserved
2023年06月21日ブレンダン・フレイザーがアカデミー賞主演男優賞を受賞した話題作『ザ・ホエール』のBlu-ray&DVDが10月4日(水)に発売されることが分かった。『ハムナプトラ』シリーズほか、アクションスターとして一世を風靡しハリウッドのトップスターに登り詰めながらも、心身のバランスを崩し表舞台から遠ざかっていたブレンダン・フレイザーが、奇跡のカムバックを果たしたと大きな話題となった本作。余命わずかな孤独な男が疎遠だった娘との関係修復を切望する最期の5日間を描く。フレイザーは体重272キロの主人公を演じるために全身特殊メイクを施し、喪失と絶望、数々の重荷を背負いながらも、切なる願いを秘めた名演を見せた。ヴェネチア国際映画祭では約6分間のスタンディング・オベーションが贈られ、本年度(第95回)アカデミー賞では主演男優賞受賞を獲得するという奇跡の復活劇を遂げた。監督は『レスラー』でヴェネチア国際映画祭の金獅子賞を獲得し、『ブラック・スワン』で第83回アカデミー賞監督賞にノミネートされた名匠ダーレン・アロノフスキー。戯曲原作でワンシュチュエーションの本作でも飽きさせることのない演出で観客を魅了する手腕を発揮。『ミッドサマー』『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』など常に注目される気鋭の製作会社A24とのタッグで創り上げた本作は、主演男優賞とメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞、アカデミー2冠を達成した。この度発売されるBlu-rayは、アウタースリーブ仕様。さらに、メイキング&インタビュー映像や、来日イベントの映像など、本編をより楽しむことができる映像特典を多数収録している(DVDには未収録)。発売を記念して、ブレンダン・フレイザーのコメント入り予告映像も到着した。『ザ・ホエール』Blu-ray&DVDは10月4日(金)より発売。『ザ・ホエール』Blu-ray&DVD【発売日】2023年10月4日(水)【価格】Blu-ray:5,280円(税込)DVD:4,290円(税込)発売元:キノフィルムズ/木下グループ 販売元:ハピネット・メディアマーケティング©2022 Palouse Rights LLC. All Rights Reserved.(シネマカフェ編集部)■関連作品:ザ・ホエール 2023年が4月7日、 TOHO シネマズ シャンテほか全国公開© 2022 Palouse Rights LLC. All Rights Reserved.
2023年06月18日主演のアンドレア・ライズボローが圧巻の演技を見せ、本年度アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた『To Leslieトゥ・レスリー』。その演技に、グウィネス・パルトロウやシャーリーズ・セロン、エイミー・アダムス、ジェーン・フォンダ、ローラ・ダーン、ケイト・ウィンスレット、ケイト・ブランシェットらが絶賛を贈ったアンドレアが撮影や製作の裏側などについて語った。アンドレアが本作で演じたのは、宝くじに高額当選(19万ドル・日本円で約2,500万円)したものの全てアルコールに使い果たし、行き場を失ったシングルマザー。息子にも友人にも見放されながらも、モーテルでの“出会い”をきっかけに人生の再起を図ろうとする女性だ。アンドレアは、「この映画は19日間で撮影しましたが、ご存知のように、今は現像に時間がかかるし、フィルムで撮って現像することさえ困難です」と35mmフィルムでの撮影をふり返り、「でもそれが私たちのこだわりでした」と話す。「私たちは時には1日10シーンを撮影しました。全てのショットが1~3テイクだけです。なぜなら残念ながらフィルムが多くはなかったから。でもそうしたやり方は、別の意味では幸運でした。そのおかげで臨場感や緊張感、文字通りの恐怖感、切迫感が生まれました。みんなにとって、制作過程に参加するすべてのクリエイティブにとってです」という。「2020年、パンデミックの真っ只中で、病院がいっぱいで、本当に恐ろしいほど殺伐とした時期で、誰も撮影なんかしていなかった頃でした。でもこの作品は非常に小さく、個性的な作品であるため、そのような時期でなければおそらく資金を得ることはできなかったと思います」とアンドレア。「そのため、すべての瞬間が重要で貴重であり、この映画を制作したすべてのクリエーターは、常に最高の状態で仕事に取り組んでいました」。また、出演するだけでなく、自らエクゼクティブ・プロデューサーとして舞台裏でも活躍した。「この脚本には、一人の人間と一緒に時間を過ごし、恥辱のサイクルに没入できる可能性があったからです」とアンドレアは言う。「マイケル・モリス監督がレスリーを捉えたいという気持ちが伝わってきて、とてもワクワクしました。だから絶対にやりたいと思った」と明かし、「私たちには、自分たちのビジョンや目指したものに忠実でいられるという大きな強みがありました。制約が少なく、みんながやっていることに対して300もの意見を挟まれたりしなかったから」と小規模作品だからこそ実現したクオリティがあったことに触れる。パンデミック中の撮影でもあり、「人の大勢いる部屋の中にいるのに、親しくできないというのは、とても孤独でした。だからこの映画は結局レスリーと観客の間の関係みたいなものを生むんです。それは本当にすごいことだと思います」と改めて語る。そして、レスリーというキャラクターや、自分の心身をあそこまで完成させるために、どのような準備をしたか?との問いに「長距離走みたいなものでした。撮影する前も2年くらい準備期間があったので」と話すアンドレア。「私たちの撮影では、感情的な面で要求されるものがとても大きかった」とふり返り、「私たちは1日に10シーンほど撮影していました。これが悪いことなのかいいことなのかわかりません。みんな酩酊状態みたいな感じだったと言えば、それは事実だと思います。でも私にとっては、彼女がどこにいるのか、その瞬間、瞬間ではっきりしていたので、もはや図式化したり、筋道を立てたりする必要がなかったというか…撮影が始まるまでに、(レスリーの役が)私の骨の髄まで染み込んでいたんです」と語っている。『To Leslie トゥ・レスリー』は6月23日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2023年06月03日先ごろ開催されたアカデミー賞でポール・メスカルが主演男優賞の候補になったのをはじめ、英国アカデミー賞、カンヌ映画祭など多くの映画祭・映画賞で絶賛を集めた映画『aftersun/アフターサン』がいよいよ26日(金)から公開になる。本作は主人公の女性が、20年前の夏に父と訪れたリゾート旅行を振り返る様を描いた作品で、大きな事件が起こるわけでも、劇的な展開があるわけでもないが、観る者の心と記憶を刺激する描写がふんだんに盛り込まれ、映画的な魅力が細部にまでつまっている。本作はなぜ、ここまで観客を魅了するのか? 監督と脚本を手がけたシャーロット・ウェルズに話を聞いた。ウェルズ監督はスコットランド出身で、ニューヨークを拠点に活動する映画監督。大学院で映画制作を学び、いくつかの短編を手がけた後、初の長編作品にこのプロジェクトを選んだ。主人公の女性ソフィは、ホームビデオの映像を観ている。あの夏、11歳だったソフィは父に連れられてトルコのリゾート地に出かけた。いつもは離れて暮らしている父との日々。ビデオに記録された空はどこまでも青く、ふたりは朝から晩まで遊んで、穏やかに時間が過ぎていく。しかし、ソフィはビデオ映像にうつる父の知らなかった一面を見つけ出していく。本作では劇中で父の知られざる一面が劇的に描かれることはない。しかし、観客は11歳のソフィの目を通して父との日々を眺めているうちに、父の抱えているものに少しずつ気づいていく。「多くの映画監督は“ストーリーを伝えるための劇の構造”を選びがちですよね。でも私は、観る人ともっと深いつながりが持てる作品をつくりたいと思っています。ですからこれまでも余計なものは可能な限り排除して、本当に必要なものだけを残すというやり方で映画をつくってきました。本作でもすべてを説明するのではなく、作品の中に余白を残すことで観客にメッセージを読み取ってもらいたいと思いました」監督が語る通り、本作では過剰な説明やセリフは登場しない。カメラの動き、俳優の表情や気配、父と娘の空気感の変化……“映画の言語”を駆使して物語が綴られる。「大学院で映画を学んだのですが、最初にやるレッスンは“映画の音を消してもストーリーがちゃんと伝わるか?”でした。そのことはいつも意識しています。脚本を書く上ではストーリーを前に進めたり、新しい情報を伝えるようなセリフもありますが、私の書くセリフは日常の中にある”とりとめのない言葉”が多いですし、創作する過程ではフォーム(構造)を通じてストーリーを伝えることを大切にしています。それに無駄なセリフを排除して、静寂な時間をつくることで、別の要素を映画の中に入れることができるんです。カメラワークや、音がスクリーンの画とシンクロしていたり、ズレていたり……しっかりとビジュアルで語ることで、そういった別の要素が強まる可能性もつねに意識しています」そこで重要になったのが、フィルムでの撮影だ。本作は“かつて父と娘が旅行中に撮影したハンディビデオの映像を、成長した娘が見る”という設定だが、撮影は全編35ミリフィルムで行われた。「撮影監督のグレゴリー・オークのこだわりでもあったのですが、35ミリフィルムで撮影することは本作を語る上では欠かすことのできない要素でした。デジタル撮影にはない質感が35ミリにはあり、本作が描く記憶のぼんやりとした感じ、ソフトな質感を表現するためにはフィルムが必要だったのです。デジタル撮影だとあまりにもクッキリとし過ぎてしまうのです。フィルムで撮影することで、古い写真や使い捨てカメラで撮った写真の感覚を表現できると思いましたし、フィルムのルックを用いることで観客が“あの時代”を意識せずにさかのぼれると思いました」なぜ、『aftersun/アフターサン』は多くの観客を魅了し続けるのか?さらに本作では編集と構成(どの順番でシーンを語っていくか?)に長い時間が費やされたという。この物語では父と娘はひとつのリゾート地で何日も過ごしている。脚本上では「時間の経過を表現するために、1日のはじまりは必ず同じシーンからはじまるようにしていた」そうだが、完成した映画では時間の経過が曖昧に感じられるようにシーンが構成され、時おり成長した現在のソフィの場面が挟み込まれる。時間が単純に一直線に進んでいくのではなく、過去を振り返る時に誰もが体験する“おそらくこの順番で出来事が起こったはずだけど、一部だけ記憶の順番が曖昧”という感覚を本作は編集によって実現しているのだ。「撮影監督のグレゴリーと、編集を担当したブレア・マックレンドンとは同じ大学院で、短編も一緒につくってきました。私たちは創作のテイストも似ているし、目指している部分が同じなんです。ですから、撮影を終えて、編集前に自分とブレアのために“編集用の脚本”を用意したのですが、結果的には一度も開くことはありませんでした。ブレアは物語が時系列的に一直線に進んでいくことを好まないので、時間が経過して次の日がやってくる“境界線”をうまくボカすような編集をしてくれました。基本的には朝が来て、夜になり……と進んでいくのですが、時折、ソフィが同年代の子どもたちとプールに入るシーンや、彼女が男の子と遊ぶ場面を違う流れの中に上手に盛り込んでいくことで、記憶のもつ“順番が曖昧な感じ”を表現することができたと思います。これはブレアのおかげですね」さらに本作ではシーンの並びを精緻に検討して構成することで、観客が少しずつ父の知らなかった一面に気づいていくことに成功している。人は映画を観ている時、その映画がまだ上映中であっても、数分前に観ていたシーンの印象が変わることがある。映画の前半で楽しそうな人として登場したキャラクターが、あるシーンで得られる情報によって“さっき観たあのシーンの彼は楽しそうにしていたわけではないのだ”と気づくことがある。記憶は人の中で固定されるものではない。記憶はたえず変化し、更新されていく。「そのことはすごく意識しましたし、本作はそのような構造の作品だと思います。この映画を観てくださる方は、最初は父と娘の楽しいバケーションを観ていると思っています。しかし、それがどんどん変化していく、それらが積み重なることで、結末には観客がある感覚を抱くことになる。でも、それは人生そのものがそうだと言えますし、“振り返る”という行為もそうですよね。過去を振り返る時、当時はとても楽しい思い出だったのに、何年か経ってから振り返ると、別の感情が湧き上がってくる。あの時の楽しさを思い出したいけれど、今の感情とぶつかり合ってしまう。そういうことが誰にでもあると思いますし、そのこともこの映画では表現したかったのです」この映画が世界中の多くの観客を魅了しているのは、父と娘の関係を上手に描いたからでも、親子の普遍的なドラマを描いたからでもない。曖昧な記憶が変化/更新される中で、新たな一面を発見し、当時の記憶と現在の感情がぶつかり合う……誰もが一度は経験する感覚を見事に描き出したことが本作の最大の魅力だろう。監督が目指した通り、本作は単に物語やキャラクターを提示するだけでなく、観客と“深いつながり”をもつことに成功したのだ。「公開される前は、私と同じような体験をした方や、似たような体験をした観客だけにこの映画を理解してもらえると思っていました。父と娘の関係だったり、父の抱えている問題が観客に響くだろうと予想していたのです。しかし、映画が公開され、そうではないことが証明されました。この映画はそれ以上の広がりをもって受け入れられました。それは本当にうれしいことですし、今後も自分の信念を貫いて創作を続けていきたいと思っています」誰もが過去を振り返る。楽しかった思い出、つらい記憶、あの日のあの人の印象……しかし、それらは自分が時を経て、経験を重ねることで変化していく。人は何度も過去を振り返り、そのたびに新しい過去に出会う。あの時はわからなかった父の気持ちがわかるようになる。新たに父と出会うことができるのだ。これから多くの人がふとしたきっかけで、映画『aftersun/アフターサン』を振り返ることになるだろう。そのたびに、観客の記憶の中に、あの日のリゾート地の父と娘が、思ってもみなかった新しい姿で出現するはずだ。『aftersun/アフターサン』5月26日(金) ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国公開(C)Turkish Riviera Run Club Limited, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute & Tango 2022
2023年05月24日映画『PERFECT DAYS(パーフェクト・デイズ)』が2023年12月22日(金)より公開される。本作は第96回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされており、監督はヴィム・ヴェンダース、主演は本作で第76回カンヌ国際映画祭最優秀男優賞に輝いた役所広司が務める。ヴィム・ヴェンダースが渋谷の“公共トイレ”を題材に『PERFECT DAYS』は、東京・渋谷の公共トイレ清掃員の日々を描いた長編映画。清掃員の平山という男を主人公に、日々の小さな揺らぎを丁寧に追った作品だ。監督を務めるヴィム・ヴェンダースは、『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』など、数々の傑作映画を手掛けてきたドイツの名匠。日本の公共トイレのなかに“平穏と高貴さをあわせもった、ささやかで神聖な場所(small sanctuaries of peace and dignity)”を見出したというヴィム・ヴェンダースが、『PERFECT DAYS』ではフィクションの存在をドキュメントのように映し出した。その瞬間、その瞬間にしかないものたちの美しさに注目だ。主演は役所広司、トイレ清掃員に主演を務めたのは、ヴィム・ヴェンダースが長年リスペクトしてやまないと話す役所広司。静かに淡々とした日々を過ごしていたある日、思いがけない出来事がおきるトイレ清掃員・平山を演じる。主人公・平山…役所広司渋谷の公共トイレ清掃員。いくつもの風変わりなトイレを清掃してまわる。平山の姪…中野有紗平山のもとに突然訪れる姪。平山の妹…麻生祐未ホームレス…田中泯平山と奇妙なつながりをもつホームレス。平山の同僚清掃員…柄本時生平山の同僚清掃員のガールフレンド…アオイヤマダ居酒屋のママ…石川さゆり平山が休日に訪れる居酒屋のママ。居酒屋のママの元夫…三浦友和カンヌ映画祭で役所広司が最優秀男優賞なお、映画『PERFECT DAYS』は、2023年に開催された第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品された。主演の役所広司は最優秀男優賞に輝き、監督・是枝裕和の『誰も知らない』で男優賞を受賞した柳楽優弥以来の快挙を達成した。役所広司はカンヌ国際映画祭・男優賞の受賞に際して次のようにスピーチしている。「僕は賞が大好きです。でも、こうやって華々しいカンヌ映画祭でスピーチするのは、あまり好きではない。でもカンヌ映画祭と審査員の皆様、本当にありがとうございました。パーフェクト・デイズを見てくださったお客様もここにいらっしゃると思いますが、本当にありがとうございました。この映画を製作した柳井康治さんに心から感謝したいと思います。彼がいなければ、映画は世に出ることはなかったと思います」また、第36回東京国際映画祭では、審査委員長としてヴィム・ヴェンダースが来日することを記念し、『PERFECT DAYS』を特別先行上映。第96回⽶国アカデミー賞国際⻑編映画賞の⽇本代表にも選出されている。映画『PERFECT DAYS』あらすじ東京・渋谷でトイレの清掃員として働く平山。彼は淡々と過ぎていく日々に満足している。毎日を同じように繰り返しているように見えるが、彼にとってはそうではなかった。毎日はつねに新鮮な小さな歓びに満ちていた。まるで風に揺れる木のような人生である。昔から聴き続けている音楽と、休日のたびに買う古本の文庫を読み耽るのが、歓びである。いつも持ち歩く小さなフィルムのカメラで木々を撮る。彼は木が好きだった。自分を重ねているのかもしれない。あるとき彼は、思いがけない再会をする。それが彼の過去にすこしづつ光をあてていく。【作品詳細】映画『PERFECT DAYS』公開日:2023年12月22日(金)~TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー※10月24日(火)~30日(月) TOHOシネマズ日比谷にて特別先行上映監督:ヴィム・ヴェンダース脚本 :ヴィム・ヴェンダース、高崎卓馬出演:役所広司、柄本時生、中野有紗、アオイヤマダ、麻生祐未、石川さゆり、田中泯、三浦友和製作:柳井康治エグゼクティブ・プロデューサー :役所広司プロデュース:ヴィム・ヴェンダース、高崎卓馬、國枝礼子、矢花宏太、ケイコ・オリビア・トミナガ、大桑仁、小林祐介製作:MASTER MIND配給:ビターズ・エンド
2023年05月19日2022年アカデミー賞で作品賞を始め3部門を受賞した映画『コーダ あいのうた』が、日本テレビ系・金曜ロードショーにて地上波初放送が決定した。海の町で暮らし、歌の大好きな高校生のルビーは、両親と兄の4人家族の中で一人だけ耳が聴こえる。新学期、合唱クラブを選択するルビー。すると、音楽のヴィラロボス先生がルビーの歌の才能に気づき、音楽大学の受験を強く勧める。だが、両親は娘の才能を信じられず、家業の方が大事だと大反対。悩んだルビーは夢を諦め、家族の助けを続けることを選ぶ…。“コーダ”(CODA/Children of Deaf Adults)は、耳が聞こえない、または聞こえにくい親のもとで育つ子どものことで、本作は、家族の中でただ1人の健聴者である少女が、家族や様々な問題を力に変え、自らの夢を実現していく姿を描いたヒューマンドラマとなっている。本作は、2022年のアカデミー賞で3部門を受賞したほか、ゴールデン・グローブ賞で「ドラマ映画賞」「映画助演男優賞」を獲得。ハリウッドの映画俳優たちが選ぶ全米映画俳優組合賞でも、最高賞にあたる「キャスト賞」を受賞するなど、2021年~2022年の各映画賞を総なめした話題作だ。監督・脚本は、「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」の脚本を担当、カンヌ国際映画祭出品の短編映画『Mother』を監督したシアン・ヘダー。少女・ルビーを「ロック&キー」で人気を博したエミリア・ジョーンズが演じ、手話トレーニングと共に9か月間ボイストレーニングを行い、感動的な歌声を披露。主人公の家族でろう者の父・母・兄は、実際に耳の聞こえない俳優が演じている。金曜ロードショー『コーダ あいのうた』は6月16日(金)21時~日本テレビ系にて放送。(cinemacafe.net)■関連作品:コーダ あいのうた 2022年1月21日より全国にて公開© 2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS
2023年05月19日英国アカデミー賞(BAFTA)テレビ部門で作品賞、主演女優賞受賞二冠を達成した「I AM ルース」(スターチャンネルEXで配信中)。主演のケイト・ウィンスレットは受賞スピーチで世界中の親子や若者へ、力強いメッセージを発信している。現代イギリスを代表する実力派女優たちが1話ずつ主役を務め、人生の様々な苦境におかれた現代女性の心情を率直に描いた、ドミニク・サヴェージ監督によるアンソロジー・ドラマ「I AM 私の分岐点」の第3シーズン第1話に当たる本作。セリフの書かれた台本がなく、シチュエーションや大筋だけを決め、本番はその場で役者の即興演技をもとにキャクターを表現するという全員即興演技である点も見どころである。ウィンスレットも今回その手法にチャレンジする形で、問題を抱える娘を救おうと奮闘する母親役として、圧巻の演技を披露した。その確かな演技力で見事、BAFTA(英国アカデミー賞)主演女優賞にノミネート。ほかにも本作は単品ドラマ部門作品賞、撮影&照明賞(レイチェル・クラーク)の計3部門のノミネートを果たす。また、主演女優自らが物語を作り上げている点も本シリーズの特徴で、今回もテーマを決める段階からウィンスレット自身が参加。10代のソーシャルメディア依存やメンタルヘルスについて真正面から描いた本作は、彼女自身が世の中に伝えたい熱い想いが詰まった作品となった。ウィンスレットにとっては初となる英国アカデミー賞(BAFTA)テレビ部門での受賞を受け、スピーチでは世界中の親子や若者へ「ソーシャルメディアとその暗黒な一面に取りつかれてしまった若者へ、それらはあなたたちの人生には必要のないものです」と力強いメッセージを送った。本作で初の本格共演が実現した実の娘であるミア・スレアプレトンについて「もしこのトロフィーを2つにカットできるなら、半分を私の娘ミアに渡します。私たちは一緒に成し遂げた」と賞賛の言葉を贈った。また、「『I AM ルース』は、オンライン社会の危険に晒されていると感じる親やその子どもたち、家族、そして、ティーンの子どもと会話したいと願いながらもはやそれが出来なくなってしまった親のために作られました」と製作に込めた想いを披露。さらに、「権力を持つ人たち、そして変化を起こせる人達へ、有害なコンテンツを犯罪として取り締まってください。有害なコンテンツを根絶してください」「不健康な世界に閉じ込められていると感じている、このスピーチを聞いているかもしれない若者たちは、助けを求めてください」と、いままさに葛藤の中にある若者たちや親たち、そして社会に向けて、熱く訴えかけた。「I AM ルース」<字幕・吹替版>はBS10スターチャンネルで独占放送中、スターチャンネルEXにて独占配信中。(text:cinemacafe.net)
2023年05月18日少しずつ夏の気配を感じ始める時期となりましたが、まぶしい日差しに目を閉じると懐かしい夏の思い出がまぶたに浮かぶこともあるのでは?そこで今回オススメするのは、大切な人と過ごしたひと夏を描き、賞レースを席巻するほどの喝采を浴びた話題作です。『aftersun/アフターサン』【映画、ときどき私】 vol. 577思春期真っただ中にいる11歳のソフィは、離れて暮らす若き父・カラムとトルコのひなびたリゾート地にやってきた。輝く太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間をともにする。最後の夏休みから20年後。当時のカラムと同じ31歳になったソフィは、ビデオテープに収められた映像のなかに大好きだった父の知らなかった一面を見出してゆくことに…。これまでに世界各国の映画祭で249のノミネートと82の受賞を記録し(2023年5月10日時点)、映画界に大きな反響を巻き起こした本作。今回は、こちらの方に作品の裏側についてお話をうかがってきました。シャーロット・ウェルズ監督スコットランド出身で、現在はニューヨークを拠点に活動しているウェルズ監督。本作で華々しい長編監督デビューを飾り、新たな才能として注目を集めています。そこで、制作時に意識していたことや現場での様子、日本から影響を受けていることなどについて語っていただきました。―本作は自叙伝の要素が強い作品ということですが、フィクションと実話を構成するうえで意識されたことはありましたか?監督今回インスピレーションとなったのは、自分が過去に体験したことや当時の会話など。それらを整理するために、まずは父親とのことだけでなく、母親に関することも含めた幼少期全体の思い出を書き出すことから始めました。そこからキャラクターやフィクションの部分を発展させて、脚本として仕上げています。そのなかで唯一変えずに維持したのは、当時自分のなかに存在していた感情。そこだけは、忠実に描きました。―タイトルの『aftersun/アフターサン』とは日焼けのあとに塗る保湿クリームのことですが、ヒリヒリするような感情を描いた本作には完璧なタイトルだと感じました。どのようにして思いついたのでしょうか。監督脚本を書き始める前から仮のタイトルとして付けていましたが、直感で決めたので、実はいつどこで思いついたのかも覚えていないくらい。アフターサンローションは英国人のホリデーには欠かせないものですけど、正直に言うと、そこに込めた意味を深く考えたこともないんです…。ただ、観る方によってタイトルの解釈が違うと聞き、それについての記事もたくさん出ているので、いまは面白いなと思っています。俳優の努力と才能が認識されたことがうれしい―それぞれが好きなように受け取れるというのも、楽しみ方のひとつですね。また、劇中では父親役のポール・メスカルさんとソフィ役のフランキー・コリオさんが本当に素晴らしかったです。ただ、キャリアも技術もあるポールさんと、演技未経験のフランキーさんというまったく違うタイプの2人を演出するのは大変だったのでは?監督フランキーは子どもですし、本作が初めての演技だったので、今回は彼女を中心に現場を組み立てていきました。なので、ポールとのシーンでは、彼が彼女の演技を引き出すパートナーになるようにお願いしています。あとは、フランキーだけの撮影とポールだけの撮影を交互に繰り返しながら進めていきました。そんななかで面白かったのは、大人の俳優だけでクラブのシーンを撮ったときのこと。彼らにもそれぞれ演出が必要なんだと改めて気がつき、それまでいかにフランキー中心で現場が動いていたのかを実感しました。―そのかいあって、繊細で非常に難しい役どころを演じ切ったポールさんはアカデミー賞の主演男優賞にも見事にノミネートされましたね。監督私も本当にうれしかったです。ノミネートが発表される当日は、可能性があるかもしれないと思ってはいましたが、緊張してアパートのなかを歩き回ってしまいました(笑)。ノミネートされたあとはポールからも電話が来たので、お互いへの感謝と敬意を伝えつつ、いかに信頼関係のある特別な撮影だったのかというのを興奮しながら語り合ったほどです。特に今回はコロナ禍だったこともあり、限られた密な空間のなかでの大変な撮影だったことも大きかったかもしれません。私としては、彼の努力や才能が認識されたことがうれしいですし、これによってより多くの人に作品が届くことをありがたく感じています。思い出を振り返る作業ができて楽しかった―監督としても、初の長編映画でここまで注目されるとは想像していなかったかもしれませんが、これまでの道のりを改めて振り返ってみていかがですか?監督本当に、予期していないことばかりでした。それどころか、最初は締め切りに間に合わせることに必死すぎて、作品を観客に受け入れてもらえるかどうかを考える余裕もなかったほどですから。そんななか、カンヌ国際映画祭で上映をした際、あれだけ多くの観客からの共感を得ることができ、高く評価していただけたのはうれしかったです。初長編作品というのは、人生で一度しかないことなので、それがこれだけ特別な経験となって光栄に感じています。―この作品では当時の父親とご自身が同じ年代になったという視点が生かされていますが、昔から子どもながらに父親が何かを抱えていることは感じていたのでしょうか。それともご自身が30代に入ったことで、自身の父親が抱えていた生きづらさと共感する部分があってこのテーマに興味を持ったのですか?監督これは難しい質問ですね。おそらく昔のアルバムを見ていたときに、いまの私が送っている生活が当時の父親の環境とはあまりにも違っていることに気がついたのが最初だったかなと思います。私は11歳の娘を育ててはいないので、「あのときの父は何を感じていたんだろう」と考えるようになったのがきっかけです。そこからさらに掘り下げていきたいと思ったのですが、そのなかでも描きたかったのは2人が1つの喜びを共有している姿。それぞれに苦しみを抱えてはいましたが、2人が重なることによってポジティブなものになっていく様子を見せたいと考えました。思い出というのは、意図的に掘り返さないと前方に持ってくることはできませんが、普段はなかなかそういう機会がないので、この作品で思い出を振り返る作業ができて楽しかったです。女性同士で協力して、地位向上につなげたい―初来日となりましたが、日本に対してはどのような印象をお持ちですか?監督数日しか滞在していないので、まだ日本について語れる段階ではないのかもしれないですね。ただ、私はニューヨークという多国籍な文化のなかで暮らしていて、日本食もつねに食べられるような環境にいるので、日本に対しては“未知の国”というイメージはありません。あとは、ファッションやデザインはそのまま持ち帰りたいくらい素敵だなと思っています。とはいえ、今回はいわゆる観光地というようなところばかりを回っているので、次に戻ってくるときは東京の外に出て、新しいことを吸収したいです。―ちなみに、日本の作品やカルチャーで好きなものがあれば教えてください。監督私は小津安二郎監督から多大な影響を受けています。特に、色使いや家族の描き方、空間の捉え方、そして静の状態といったものはいつも参考にしてきました。あとは、カメラのフレーミングなども研究して取り入れているので、小津監督は本当に大きな存在です。―それでは最後に、ananweb読者に向けてメッセージをお願いします。監督『aftersun/アフターサン』では、以前から一緒に作品を撮っている男性たちと仕事をしましたが、今後新たなコラボレーターを探すときは女性と組みたいなと考えているところです。まだまだ男性優位の社会ではありますが、そうやって女性同士でお互いに協力して高め合っていければ女性の地位向上にもつながると思っています。それくらい女性にとっては、コミュニティが非常に大切だというのを伝えたいです。心にしまっていた愛おしい思い出が蘇る!ヒリヒリとした胸の痛みを覚えつつも、まばゆいほどの美しさに魅了される本作。観る者の心に静かに入り込み、記憶と想像力を刺激する珠玉のストーリーは、誰にとっても忘れられない映画体験となるはずです。取材、文・志村昌美引き込まれる予告編はこちら!作品情報『aftersun/アフターサン』5月26日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国公開配給:ハピネットファントム・スタジオ️(C) Turkish Riviera Run Club Limited, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute & Tango 2022
2023年05月11日米アカデミー賞作品賞含む7冠を獲得した『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が5月3日(水・祝)よりU-NEXTにて独占配信されることが決定した。映画ファンから絶大な支持を集めるA24が贈る本作は、家族の問題に悩み赤字コインランドリーの経営に頭を抱える主婦が、マルチバースと繋がりカンフーを駆使して巨悪と戦うことになるアクションコメディ。全世界興行収入は1億ドルを突破し、インディペンデントスタジオとしては、異例中の異例のメジャースタジオ級大ヒットを記録。542ノミネート、308受賞と賞レースをばく進し、本年度アカデミー賞では、作品賞ほか、監督賞(ダニエルズ)、脚本賞(ダニエルズ)、主演女優賞(ミシェル・ヨー)、助演男優賞(キー・ホイ・クァン)、助演女優賞(ジェイミー・リー・カーティス)、編集賞の計7部門の最多受賞を果たす偉業を達成。3月3日に封切られた日本でも、公開初週の洋画興行収入ランキング第1位を獲得した。「マルチバース」と「カンフー」が融合した、かつてないほどカオスな世界観で繰り広げられる壮大な物語。異色作でありながら、まさかの超感動作として映画界に“カオス旋風”を巻き起こした本作が早くも配信にて楽しめる。またU-NEXTでは、第46回日本アカデミー賞最優秀作品賞『ある男』、サバイバルスリラー『FALL/フォール』、青春恋愛映画『少女は卒業しない』ほかGW中に楽しめる新作映画を続々配信中だ。『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』は5月3日(水・祝)12時~(予定)U-NEXTにて配信開始。(text:cinemacafe.net)■関連作品:エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス 2023年3月3日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開© 2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.
2023年05月01日2024年のアカデミー賞授賞式が3月10日に開催されることが決まった。主催者の映画芸術科学アカデミーが公式HPなどで発表した。今年と同じく、会場はドルビー・シアターで、米ABC局が生中継を行い200以上の国・地域で放送される。例年、2月の終わりから3月初めに開催されていたアカデミーの授賞式。新型コロナウイルスの影響を受け、2021年は4月25日、2022年は3月27日と大幅に開催時期を変え、今年は3月12日に行われた。来年も3月の第2日曜日に設定されている。一般部門へのエントリーの締め切りは11月15日、ガバナーズ・アワードは11月18日、ショートリストの発表は12月21日、ノミネーションの発表は2024年1月23日、候補者たちのランチ会は2月12日とのスケジュールも発表された。今年の授賞式では『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が最多7部門受賞。ミシェル・ヨーが主演女優賞、キー・ホイ・クァンが助演男優賞、ジェイミー・リー・カーティスが助演女優賞を獲得し、演技部門をほぼ独占した。来年の受賞候補に挙がりそうな作品としてメディアが期待を寄せているものには、マーティン・スコセッシ監督の『Killers of the Flower Moon(原題)』、クリストファー・ノーラン監督の『Oppenheimer(原題)』、ブラッドリー・クーパー監督&主演の『Maestro(原題)』などがある。(賀来比呂美)
2023年04月25日「第94回アカデミー賞」国際長編映画賞にノミネートされた映画『EO イーオー』より、主人公のEOを写した場面写真が公開された。イエジー・スコリモフスキ監督の7年ぶりとなる最新作は、ロベール・ブレッソンの『バルタザールどこへ行く』に着想を得た物語。主人公は、EO(イーオー)という名のロバ。サーカス団から連れ出され、ポーランドからイタリアへと予期せぬ放浪の旅に出ることに。プレミア上映となった第75回カンヌ国際映画祭では、審査員賞・作曲賞の2部門を受賞。全米映画批評家協会賞でも、外国語映画賞/撮影賞の2部門を受賞し、New York Timesでは2022年のNo.1ムービーに選出された。いち早く鑑賞した、スコリモフスキ監督と親交のある映画監督・濱口竜介は「もう彼だけになってしまった。その人自身を映画と思える人は。崇高と俗悪がかつてなく接近する最新作はまた一つ映画の領野を広げ、相変わらず陳腐な問いを与える。映画とは何か。つまりスコリモフスキとは何者か」とコメント。俳優・渡辺真起子も「ロバのEOの旅。それだけなのだけれど、誰からも忘れられてしまいそうなロバが人間の暮らしの断片を繋いでいく。流転していく中で、思い出す温もりは『EO』にとってなんだったんだろう。『EO』が出会う人間達もまた旅の途中なのだと思う。人間達の暮らしはどこへ向かっていくのだろうか。まずは『EO』が辿り着く先はどこなのか、劇場で見届けていただくしかない」と感想を述べている。『EO イーオー』は5月5日(金・祝)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:EO イーオー 2023年5月5日よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開© 2022 Skopia Film, Alien Films, Warmia-Masuria Film Fund/Centre for Education and Cultural Initiatives in Olsztyn, Podkarpackie Regional Film Fund, Strefa Kultury Wrocław, Polwell, Moderator Inwestycje, Veilo ALL RIGHTS RESERVED
2023年04月14日A24製作のヒューマンドラマ『ザ・ホエール』で第95回アカデミー賞主演男優賞を初受賞したブレンダン・フレイザーが4月6日、都内で来日記者会見を行い、受賞の喜びや本作に込めた思い、主演女優賞に輝いたミシェル・ヨーとの“再会”秘話などを語った。フレイザーが演じたのは、恋人を亡くしたショックから逃れるため、過食を繰り返してきた結果、体重が272キロになってしまったチャーリー。病状の悪化で自身の死期が近いと悟った彼は、離婚して以来音信不通だった娘との絆を取り戻そうとする。巨体のチャーリーを演じるにあたり、フレイザーは自身の体重増量に加え、特殊メイクとファットスーツを着用し、人気アクションスターだったかつての面影も一変。プライベートでの不幸が重なり、ハリウッドの表舞台から長らく遠ざかっていたフレイザーが、“生涯最高の演技”と称される熱演で、初ノミネートにして、オスカーを手にした。苦難の末、オスカーを手にし「今も驚いているし、興奮した気持ちを抑えられない」と語るフレイザーは、「まさか自分が、偉大な功績を収めた人々が集うアカデミー賞という場に招かれるとは想像していなかったし、とても光栄なこと」と感無量の面持ち。「すばらしい演技をした俳優ばかり。皆さんとオスカー像を分かち合ったような気持ちだった」とノミネートされた俳優陣への敬意を示した。役どころについては「彼にとっては手に入れるのが困難な愛と希望、共感を求めて、暗い場所から、光へと向かって進む人物。娘との関係を修復することが、唯一の贖罪なんだ。勇気がある人物だと思ってもらえば」とコメント。「僕にも3人の息子がいるから、気持ちはよく分かる。それにサミュエル・D・ハンターによる脚本は、実体験がもとになっていて、そこに真実があるから、脚本以上に何かを深堀りする必要もなかった。僕自身、チャーリーは大好きだから、彼に見合った演技ができればと思っていた」と共感に基づく役作りをふり返った。「ここまで自分のもろさを露わにした経験は初めて。『ザ・ホエール』のような正直に、誠実に、リアルな人間関係を見つめる思慮深い作品は非常に重要だと思うし、いまふり返ると、コロナ禍で製作された映画とは、どれも特別なものだと言える。大胆でリスクもある題材だから、不安もあったが、だからこそ成長できるし、それこそがアートなんだと思う」フレイザーの来日は、『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』のプロモーション以来15年ぶりで、当時一緒に来日したのが共演者のミシェル・ヨーだった。ご存知の通り、ミシェル・ヨーは第95回アカデミー賞において、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で主演女優賞を受賞している。「意義深い形で久しぶりに再会できて、うれしかった。『女性だから』とカテゴライズしたがる業界に対し、立ち向かい、甘んじるべきではないと宣言できる勇気の持ち主だ。努力と才能で、道を切り開くことが、いかに偉大なことか。僕も独創的でクリエイティブな“エブエブ”が大好きだよ。キー・ホイ・クァンとも30年ぶりの再会だ。『僕ら、まだここにいるね』って称え合ったよ」。フレイザーとキー・ホイ・クァンは、1992年に製作された『原始のマン』で共演している。『ザ・ホエール』は4月7日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ザ・ホエール 2023年が4月7日、 TOHO シネマズ シャンテほか全国公開© 2022 Palouse Rights LLC. All Rights Reserved.
2023年04月06日心身のバランスを崩してしばらくハリウッドから遠ざかっていたブレンダン・フレイザーが、『ザ・ホエール』で本年度米アカデミー主演男優賞を受賞し、見事に復活した。本作は「メイクアップ&ヘアスタイリング」部門も受賞。『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が最多7部門を独占という“エブエブ旋風”が吹き荒れた今年のオスカーレースの、もうひとつの話題作だ。映画は4月7日から日本公開される。『ザ・ホエール』この映画の主人公チャーリーは、オンラインで授業をする40代の大学教員。現実逃避のように引きこもりの生活を送っている。体重272キロ、重度の肥満症だ。暴食の果てにこの姿になった。血圧は238/134、うっ血性心不全で、いつ命をおとしてもおかしくない状況。その彼が、いよいよ死を予感し、過ごした最期の5日間を描く。『ハムナプトラ』シリーズなどで颯爽としたアクション俳優のイメージがあるブレンダン・フレイザーが、まるで“ジャバ・ザ・ハット”のような存在に扮してどんな演技をみせてくれるか、そこが大きな見どころ。彼の姿を作り上げた特殊メイク・チームの努力と技もすさまじい。伊藤さとりさんの水先案内をもっと見る()(C)2022 Palouse Rights LLC. All Rights Reserved.
2023年04月03日父親役を演じたポール・メスカルがアカデミー賞主演男優賞ノミネートを果たした『aftersun/アフターサン』。この度、監督・脚本を務め、英国アカデミー賞英国新人賞受賞に選ばれたシャーロット・ウェルズの初来日が決定、メイキング写真も解禁となった。11歳のソフィが父親とふたりきりで過ごした夏休みを、その20年後、父親と同じ年齢になった彼女の視点で綴る本作。2022年カンヌ国際映画祭・批評家週間での上映を皮切りに評判を呼び、話題作を次々と手掛けるスタジオ「A24」が北米配給権を獲得。昨年末には複数の海外メディアが<ベストムービー>に挙げ、オバマ元大統領のお気に入り映画にも選出された。若き父親と娘のひと夏の記憶を辿る本作の物語は、よく兄妹に間違えられたというシャーロット・ウェルズ監督と父が昔、トルコで2週間ほどともに過ごした実際の夏休みの思い出がベースとなっている。初めてのダイビング、古代遺跡との遭遇、泥風呂、大空いっぱいに広がったパラグライダーといった、そのときに感じた楽しさや驚きをフィルムの中に焼きつけている。監督は、はじめは単に父と娘が休暇を一緒に過ごす分かりやすい物語を思い描いていたが、アイディアを構想しながら古いアルバムをパラパラとめくり、自身の思春期や両親、特に父との思い出をふり返っていくプロセスを経ることで脚本に回顧的な視点を与え、次第にパーソナルなものへと変化していったそう。そんな彼女の脚本に、第89回アカデミー賞作品賞など3冠に輝いた『ムーンライト』のバリー・ジェンキンスが惚れ込み、自らプロデューサーに。テルライド映画祭での本作上映後Q&Aでは「もう6回も観ているのに、毎回号泣しすぎて壊れそうなくらいだ」と語るほど。また、本年度第95回アカデミー賞で作品賞・監督賞・脚本賞・主演女優賞ほか最多7冠を獲得し話題の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の“ダニエルズ”監督は「ビデオカメラで撮影された人生の断片。僕は長い時間、あの最後の瞬間について考えることになるだろう。ブラボー!」と絶賛。A24作品『フェアウェル』監督・脚本のルル・ワンも「なぜ映画が好きなのかを思い出させてくれるような作品」とTwitterに寄せている。さらに、解禁されたメイキング写真はウェルズ監督とポール・メスカル、フランキー・コリオがそれぞれ写るもので、ロケ地であるトルコのイギリス人観光客向けリゾート地・オルデニズでの撮影現場の様子を捉えている。錚々たる顔ぶれが並ぶ中、本作でアカデミー賞主演男優賞に堂々初ノミネートを果たしたメスカルが、「彼女は自分の脚本とまわりの人たちの仕事を全面的に信用して、一からサポートしてくれるんです。俳優へのアプローチもすごく丁寧でした」と語るように、監督が自然体で俳優と向き合う和やかな現場だったことが伝わってくる。4月の監督来日時には、都内で観客とのQ&A付き上映イベントの実施が予定されている。『aftersun/アフターサン』は5月26日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:aftersun/アフターサン 2023年5月26日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国にて公開© Turkish Riviera Run Club Limited, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute & Tango 2022
2023年03月22日ロシア政府の暗部に切り込む緊迫のドキュメンタリーとして、第95回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した『ナワリヌイ』が、Bunkamura ル・シネマなどにて凱旋上映が決定した。ロシアの弁護士で政治活動家のアレクセイ・ナワリヌイが、自身の暗殺未遂事件の影に潜む勢力を自ら暴いていく本作。アカデミー賞の授賞式では、舞台上にダニエル・ロアー監督をはじめ、ナワリヌイ氏と共に暗殺未遂事件の実行犯を暴いた調査チームの主要メンバーであるクリスト・グロゼフ氏やマリア・ぺヴチク氏、そして映画でもナワリヌイ氏を支えていた妻のユリヤ氏と娘のダーシャさん・息子のザハールさんも登壇。受賞の喜びを分かち合うとともに、スピーチでは現在収監されているナワリヌイ氏の解放を力強く訴えた。ロアー監督は「ロシア反体制派のリーダー、アレクセイ・ナワリヌイ氏は今も独房にいます。プーチン大統領による不当なウクライナ戦争の犠牲になっています。アレクセイ、あなたの私たち皆に向けたメッセージを世界は忘れていません。独裁者や権威主義がどこで頭をもたげようとも、反対することを恐れてはいけません」とスピーチ。続いて妻ユリヤ氏が「私の夫は真実を語っただけで、民主主義を守っただけで刑務所にいます。アレクセイ、私はあなたが自由の身になる日を夢見ています。そして私たちの国が自由になることを。愛しています。どうか強くあってください」と語った。この授賞式での様子も相まって、SNS上では劇場公開時に見逃した映画ファンからの再上映を望む声が続出。現在、3月17日(金)から京都シネマでの再上映が1週間限定で行われているのに続き、東京でも3月24日(金)より急きょBunkamuraル・シネマでの凱旋上映が決定。そのほかの地域でも、配給会社と劇場の間で上映の調整が進んでおり、今後もドキュメンタリー作品としては異例の再上映が多くの都市で行われることになりそうだ。ロシアによるウクライナ侵攻から先月で1年が過ぎ、未だ終戦の兆しもないまま犠牲者は日々増え続けている。ナワリヌイ氏もロシアで最も厳重といわれる刑務所に移送され、独房に収容されたまま700日以上が経つが、なおもSNSを通してプーチン大統領とロシア政府を批判し、ウクライナ侵攻の不当さを訴え続けている。本作はアカデミー賞ほか、英国アカデミー賞の最優秀ドキュメンタリー賞、全米プロデューサー協会賞の最優秀ドキュメンタリー賞、シネマ・アイ・オナーズの観客賞と製作者賞も受賞している。『ナワリヌイ』は3月24日(金)よりBunkamura ル・シネマほかにて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ナワリヌイ 2022年6月17日より新宿ピカデリー、渋谷シネクイント、シネ・リーブル池袋ほか全国にて公開© 2022 Cable News Network, Inc. A WarnerMedia Company All Rights Reserved. Country of first publication United States of America.
2023年03月21日俳優の妻夫木聡が20日、第46回日本アカデミー賞8冠を記念して都内で行われた映画『ある男』(公開中)の舞台挨拶に出席した。累計30万部を超える平野啓一郎氏のベストセラー小説『ある男』を映画化した同作。妻夫木が主演を務めたほか、安藤サクラ、窪田正孝、清野菜名、柄本明ら日本を代表する俳優陣が集結した、「愛」と「過去」をめぐる感動のヒューマンミステリーだ。10日に行われた第46回日本アカデミー賞では、妻夫木の最優秀主演男優賞をはじめ、最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀脚本賞、最優秀助演男優賞、最優秀助演女優賞、最優秀録音賞、最優秀編集賞で8冠に輝いた。妻夫木は、日本アカデミー賞の受賞者に贈られるブロンズを手に登場。集まったファンから盛大な拍手と共に祝福の声が上がると、「信じられなかった。頭が真っ白になっちゃって、今でも壇上で何を話したかはっきり覚えていない」と受賞の瞬間を振り返る。また、自身の受賞より石川慶監督の受賞に感極まってしまったそうで「自分のときは一切泣かなかったのに、監督賞のときは号泣しちゃって……。あまりにも泣いているから、サクラちゃんが一切僕の方を見ようとしてなかったですね(笑)」と授賞式の裏話を話し、笑いを誘った。石川監督の手掛けたショートフィルムを観て、その才能に惚れ込み、映画『愚行録』、ドラマW『イノセント・デイズ』とともに作品を作り上げてきた妻夫木。「ずっと石川監督の才能を近くで見てきたという思いがあったので、皆さんにはっきりと認められた瞬間に立ち会えたということがすごく嬉しかった」と涙に込められた思いを明かした。■石川慶監督コメント全文凱旋上映にお越しのみなさま、今日はお越しいただきましてありがとうございます! 公開時に、細くても、長く愛される映画になってくれればと言ったのを覚えていますが、まさにその望みが叶った気がしています。今日は直接みなさんとお会いできないのが残念で仕方ないですが、秋田さん、会場の写真送ってください! そして妻夫木さんお忙しい中ありがとうございます。授賞式の後の打ち上げも楽しかったですね。今、タイのバンコクですが、こちらの人たちからもたくさんのおめでとうをいただいてます。『ある男』、世界中もっと多くの人たちに届きますように。そして、この熱気の冷めないうちにぜひ、次の企画を!
2023年03月20日2023年3月12日にロサンゼルスのドルビー・シアターで開催された「第95回アカデミー賞」授賞式に、女優のニコール・キッドマンがハリー・ウィンストンのジュエリーを着用し登場しました。Nicole Kidman (Photo by Kayla Oaddams/WireImage)授賞式でプレゼンターを務めたニコール・キッドマンは、ハリー・ウィンストンの「シークレット・クラスター・ブレスレット」や「ピルエット・リング」などを着用。“キング・オブ・ダイヤモンド”の輝きで、レッドカーペットに華やぎを添えました。ラウンド、マーキース、ペアシェイプ―さまざまなかたちのダイヤモンドによる優美なブーケを、ダイヤモンドの繊細なリボンで束ねたような構築的なデザインが魅力の「シークレット・クラスター・コレクション」。手作業によりダイヤモンドを精緻にセッティングした魅惑的なモチーフは、ブランドのアイコンであるクラスターのデザインからインスピレーションを得ています。バレエの特徴的な動きである優雅なターンに着想を得た「ピルエット・コレクション」は、ダイヤモンドの美しさとダンサーの力強い躍動感を融合。感性を刺激するダンスのように、マーキースとラウンド・ブリリアントカット・ダイヤモンドがリズミカルにセッティングされたリングは、レッドカーペットの光を捉え美しい輝きを放ちました。Secret Cluster Diamond BraceletPirouette Diamond Ring【ハリー・ウィンストンとは】1932年に米国ニューヨークで創業したハリー・ウィンストンは、高級ジュエリーやハイエンドの腕時計製造の分野において先駆者的な存在です。創始者ハリー・ウィンストンは、ヨンカーやホープ・ダイヤモンドなど世界有数の宝石を収集することで「キング・オブ・ダイヤモンド」と称されました。また、1944年に初めてレッドカーペットでハリウッド女優にダイヤモンド・ジュエリーを貸し出したことから、「スターたちのジュエラー」という名声も手に入れます。現在はニューヨーク五番街に本店を置き、ビバリーヒルズ、ロンドン、パリ、東京、香港、上海をはじめとする世界中の主要都市で直営サロンを運営しています。【読者お問い合わせ先】ハリー・ウィンストン クライアントインフォメーションTEL:0120-346-376 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年03月17日©Getty Images3月12日にロサンゼルスで開催された、第95回アカデミー賞の授賞式。『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』でアジア人俳優として初めて主演女優賞を受賞したミシェル・ヨー(Michelle Yeoh)は、マリア・グラツィア・キウリによるオートクチュール コレクションより、フェザーのウェーブがあしらわれたアイボリーシルクオーガンザのロングドレスを纏い登場しました。何層ものレイヤーが重なり合うこのドレスの製作には200時間、さらに刺繍には450時間がかけられています。@Dior @MariaGraziaChiuri #Dior【お問合せ先】クリスチャン ディオールTEL:0120-02-1947
2023年03月14日第95回アカデミー賞授賞式が2023年3月12日(現地時間)ロサンゼルスで開催され、主題歌「Applause」が歌曲賞にノミネートされた「私たちの声」(原題:Tell It Like A Woman)に出演した杏と、スティーヴン スピルバーグ監督作品「フェイブルマンズ」で主演女優賞にノミネートされたミシェル ウィリアムズ(Michelle Williams)が、シャネルを纏い登場しました。杏/Courtesy of CHANEL主題歌「Applause」が歌曲賞にノミネートされた「私たちの声」(原題:Tell It Like A Woman)に出演した日本人女優の杏は、ジュエルボタンとトリミングで装飾されたレッド、ブルー、ブラックとホワイトのツイードのトップと、羽根飾りやビーズが華やかなブラックのオーガンザ素材のスカートで構成されたドレスを着用し、18Kホワイトゴールドとダイヤモンドの「プリュム ドゥ シャネル」リング、18Kホワイトゴールド、18Kイエローゴールドとダイヤモンドの「プリュム ドゥ シャネル」リング、18Kホワイトゴールドとダイヤモンドの「プリュム ドゥ シャネル」イヤリング、シャネルのシューズをコーディネートしました。ミシェル ウィリアムズ/Courtesy of CHANELスティーヴン スピルバーグ監督作品「フェイブルマンズ」で主演女優賞にノミネートされたアメリカ人女優のミシェルは、後ろに白のサテンリボンが付いている、白のシルクシフォンとチュールからなる刺繍が印象的なカスタムされたビスチェドレスに、ジュエルボタンと刺繡が印象的な白のシルクチュールのケープを着用しました。2023年春夏 オートクチュール コレクションのルック47からインスパイアされたドレスのビスチェには、シルバーと白のシークイン、そしてパールを使用した刺繍、2023年春夏 オートクチュール コレクションのルック39からインスパイアされたドレスのスカートとケープには、ストラス、ストーン、キューブ、そしてシルバーの装飾からなる、星を散りばめたような刺繍が施されています。シャネルのシューズをコーディネートし、メークアップはシャネルによるものです。
2023年03月14日日本時間の2023年3月13日に、アメリカのハリウッドにある劇場『ドルビーシアター』で開催された『第95回アカデミー賞』。同授賞式で自身3度目となる司会を務めたのは、トーク番組のホストとして人気が高いジミー・キンメルです。オープニングの映像を自身のYouTubeチャンネルに投稿しており、退場シーンに日本からも反響が上がりました。アカデミー賞で愉快な強制退場同授賞式では例年、受賞者が決められた時間内でスピーチを行います。しかし、感謝の言葉が長くなるなど、想いがあふれて時間をオーバーしがち。そこで、時間を過ぎると退場の音楽を流す対策を行ってきました。『第95回アカデミー賞』では趣向を変えたようで、キンメルはオープニングの最後に、時間をオーバーすればダンサーたちに囲まれ強制退場となることを受賞者たちに勧告。実際にその後、激しく踊るダンサーたちに取り囲まれたキンメルは、速やかに連行されていきました。「画期的な方法だ」として、その光景は日本でも話題となっています!愉快な光景に、会場は笑顔で拍手喝采!足を振る高速ダンスは、アカデミー賞歌曲賞に輝いた、インド映画『RRR』の劇中歌『Naatu Naatu』(ナートゥ・ナートゥ)です。動画を見た日本人からは「最高」「自分も混ざりたい」などのコメントがSNS上に相次ぎました。・世界で1番、粋な強制退場だろう。・愉快で誰も傷付かない。あらゆる式典で採用して!・全国の学校でも取り入れて、校長先生の話や卒業式の途中でこれをやろう。・インドのダンスにはすべてを解決してくれるパワーがある。・考えた人は偉大だ。楽しくて歓声を送ってしまう。映画『RRR』は、世界的ヒットとなった『バーフバリ』シリーズの監督であるS.S.ラージャマウリの映画で、イギリス植民地時代のインドを舞台に、2人の主要人物が「友情か使命か」という究極の選択を迫られる物語。劇中では、イギリス人の男性から差別的な対応をされた2人が、対向して故郷のダンス『ナートゥ・ダンス』を披露する熱い展開となります。そんなダンスが同授賞式で使用されたことに、ファンから喜びの声も上がっていました。インド映画の躍進に、今後も注目せざるを得ませんね![文・構成/grape編集部]
2023年03月14日『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』のショート役、『グーニーズ』のデータ役で知られる子役出身のキー・ホイ・クァン(51)が米国時間12日夜、第95回アカデミー賞授賞式で助演男優賞を受賞。受賞スピーチでクァンは母に、「私の母は84歳で、今家でこれを見ています。母さん、僕、オスカーを獲ったよ」と語りかけた。クァンは中国系ベトナム人として、ベトナム戦争末期の’71年にサイゴン(現ホーチミン市)で誕生。’75年に北ベトナムによってサイゴンが陥落したことをきっかけに母国を脱出した。受賞スピーチでは「私の旅は船の上で始まりました。1年を難民キャンプで過ごし、どうにかこうにか、このハリウッドの大舞台にたどり着きました」と難民時代にも触れた。’80年代には『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』『グーニーズ』と続けざまに大作に出演し、一躍脚光を浴びたが、彼を照らしていたスポットライトはすぐに消えてしまった。クァンはNBC Newsに「ハリウッドは私を必要としていませんでした。私にできる役はなく、10代後半から20代前半の頃は、ひたすら電話を待つだけの生活を送っていました。電話はほとんど鳴りませんでした。描いていた夢に別れを告げることはとても難しかった。当時は、アジア人俳優であるということ自体が困難だったのです」と語っている。俳優のキャリアに見切りをつけたクァンは、ハリウッドの裏方として生きていくことを決めたという。スタントコーディネーターや助監督として『X-MEN』シリーズなどに関わり、信頼できるスタッフとして名を上げたが、主要キャストがアジア系俳優で占められている『クレイジー・リッチ!』(’18年公開)が彼の人生を変えることになったと語った。「ハリウッドが劇的に変わったのだと実感しました。ハリウッドはより多くの人のチャンスを与えているのだと。もう一度、演技をやってみようか、と思ったんです」俳優復帰作は、ミシェル・ヨー(60)主演の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』。クァンは主人公エヴリンを深く愛する夫ウェイモンド役を好演し、見事オスカーを手にした。アジア系俳優が助演男優賞を受賞するのは、『キリング・フィールド』(’84年)に出演したカンボジア人俳優ハイン・S・ニョール以来、史上2人目。涙で声を詰まらせながら、受賞スピーチをこう締めくくった。「夢は信じるべきものです。私は夢をほとんど諦めていました。皆さんに言いたい。夢を持ち続けて下さい」
2023年03月13日