アニメーション映画『ぼくらのよあけ』に、声優として出演した杉咲花さんのインタビューをお届けします。「気持ちを通すことが大事だと思うんです」という言葉に救われた。「悠真をはじめとする登場人物たちが、信じるもののために進んでいくまっすぐな姿にとてもリアリティがあって。夢のあるテーマのはずなのに、どこか自分ごとのように捉えられるこの作品に魅力を感じました」アニメーション映画『ぼくらのよあけ』は、2049年を想定した近未来の物語。杉咲花さんが演じたのは、阿佐ヶ谷の団地に住み、家庭用オートボット・ナナコ(悠木碧)を相棒とする、小学4年生の主人公・沢渡悠真だ。団地に擬態していた“未知なる存在”と子供たちによる極秘ミッションの達成を目指す、同名のSF漫画が原作となっている。「私も小学生の頃、星や空、宇宙が好きでした。毎日目にするとても美しいものだけれど、あまりにも果てしなくて手の届かない存在だからこそ私にとってはなんだか現実味がなくて。そういう曖昧さに惹かれていたのかなと思います。悠真が宇宙に夢中になる姿から、かつて自分も体験したことのあるようなピュアな気持ちを思い出したりもしました。この作品は悠真の視点で進んでいく物語だからこそ、重要な役をやらせていただくことに対してのプレッシャーがあったのですが、ある時監督が『テクニックではなく、気持ちを通すことが大事だと思うんですよね』というお話をしてくださったことがあって、なんだかとても救われる気持ちになったんです。悠真のどこまでも走り続けられそうなバイタリティの強さや勇敢さが、観てくださる方にとって愛おしく感じられるようなお芝居になったらいいなという気持ちで臨ませていただきました」杉咲さんにとって、4作目となる声優の仕事だが、その魅力をどんなふうに感じているのだろう。「例えばアフレコでは普段生活をしていたら声を出さないようなタイミングで声を出したり、息を吐く演出を求められることがあるのですが、それを加えることによって人物の動きに説得力が出たり、いまどんな気持ちなのかがより伝わってくることを知って。そういうディテールを積み重ねていくことが、物語の文脈を手に入れるうえでの重要な要素になっていくんだなと感じました。そのような場面で、映像の現場とはまた違った豊かさを感じて、とてもワクワクします」「観終わったあとは、きっと晴れやかな気分で映画館を出られるはず」と、杉咲さん。「自分が信じたいこと、価値を感じるものを、好きでいいんだ、と肯定してくれるような、勇気をもらえる作品になっていると思います」ちなみに、杉咲さんなら何を宇宙船に?「団地が可能なら、私の部屋で(笑)。パーソナルな空間をそのまま、宇宙船にしたいです。家にいる時間が増えてからずっと気になっていたハンモックを最近購入したのですが、座り心地が最高で。気がついたら一日中、座っていることもあるくらい癒されていて、幸せを感じられる場所なんです」『ぼくらのよあけ』2049年、夏。沢渡家の人工知能搭載型家庭用オートボット・ナナコが、何者かにハッキングされ、子供たちの極秘ミッションが始まる。原作/今井哲也著『ぼくらのよあけ』講談社(アフタヌーンKC)10月21日全国公開。©今井哲也・講談社/2022「ぼくらのよあけ」製作委員会すぎさき・はな1997年10月2日生まれ、東京都出身。連続テレビ小説『おちょやん』、ドラマ『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』『プリズム』ほか、主演作多数。今年、第30回橋田賞新人賞を受賞。ワンピース¥115,500(HARUNOBUMURATA/THE WALL SHOWROOM TEL:03・5774・4001)※『anan』2022年10月22日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・小嶋智子ヘア&メイク・小澤麻衣(mod’s hair)インタビュー、文・若山あや(by anan編集部)
2022年10月23日日本のみならず、世界中が待望する新海誠監督の新作アニメーション映画『すずめの戸締まり』が、間もなく公開。制作の大詰め作業真っ最中の新海監督と、今作で主人公の声を演じる原菜乃華さんに、物語の始まりから制作中のエピソードまで、たっぷりとお話をお聞きしました。新海 誠×原 菜乃華 特別対談!『すずめの戸締まり』が描く、心揺さぶる旅と冒険。2019年の『天気の子』から3年、新海誠監督の新作『すずめの戸締まり』がいよいよ公開されます。ananは、『君の名は。』のときは、’16年の年末に、作品がヒットした一年を振り返っていただくインタビューを、そして前作『天気の子』公開時には28ページの大特集を制作。そして今回は、主人公の岩戸鈴芽を演じた原菜乃華さんとの対談取材を敢行。監督が作品に込めた思い、そして1700人以上の中から選ばれた原さんの気持ちなどを伺いました。原さんの声との出会いで、物語が動き出した。――原さんは声の演技は初めてだったと伺っています。今回のオーディションは、どんな気持ちで挑戦されたんですか?原菜乃華:新海監督の存在を知ったのは、中学生のときに『君の名は。』を観たのがきっかけです。映画館で我を忘れるくらい号泣し、あの映画を観たことがきっかけで、アニメーションが大好きになったんです。今作のオーディションの話を聞いたときには、たくさんの方が受けるだろうし、なかには声優さんもいるわけですから、無理…と思っていましたが、監督の作品が大好きだったので、当たって砕けろ精神で挑戦しました。――1700人以上の中から原さんが抜擢されたと伺っていますが、監督的には、原さんの声や演技のどこに惹かれたのでしょう?新海誠:どの作品もそうなんですが、物語が出来上がっても、そのキャラクターの声を持っている人が見つからなかったら、話は始まらないんです。だから、「もし最適な人に出会えず、鈴芽がどこにもいなかったらどうしよう…」とすごく不安になっていたんですが、菜乃華さんの声を、そして芝居を聞いたとき、「あ、ちゃんと鈴芽はいたんだ」と思えたんですよ。原:えええ…。私はオーディションのときに初めて監督にお会いしたんですが、終わったあとにものすごくたくさん褒めてくださって、しかもスタッフの紹介もしてくださって。“なんて親切な方なんだ…”と感動すると同時に、“きっとみんなに言ってるんだ、うぬぼれちゃいけない!!”と、自分を戒めたことを覚えています(笑)。新海:いや、僕はあの時点でもう、「この作品は大丈夫だ」と、ものすごく安心してたんですよ(笑)。――この作品は、高校生の鈴芽が、宗像草太という青年と、そして“ダイジン”という猫と出会い、ある目的のために日本を旅していくストーリーです。原さんは、物語についてどんな印象がありますか?原:鈴芽を演じた私にとっては、この物語は〈鈴芽の成長物語〉です。人との出会いが連鎖していく中で、最終的に彼女は大切なものに気がついていくわけですが、随所に温かさが感じられる、そんなお話だと思います。――監督としては、物語の糸口はどんなところにあったのですか?新海:映画って、1つの出発点から物語が広がるというよりは、長い時間をかけて考えて出てきた小さなアイデアの断片をいくつも並べていくと、「これだけ揃ったら、映画になる!」と思える瞬間が来るんです。今回もそんな作業の中から生まれてきたのですが、あえて言うならば、〈場所〉を悼む物語を作ってみたいと思ったのは、一つのきっかけかもしれません。原:それはどういう意味ですか?新海:人が亡くなると、お葬式などでその人を悼みますよね。でも例えば災害があって街がなくなる、あるいはかつて誰かが住んでいた場所が空き地になったりしたとき、その場所は弔われることなく、なんとなく現実からフェードアウトしていく印象があって。前作の『天気の子』の公開時に全国各地を回った際、あちこちにそういった場所があるのを見たことや、長野に帰省するたびに「ここも空き地になったのか」という気持ちになるのが、心に引っかかっていて…。これから日本は忘れられる土地が増えるのではないかと思い、土地を悼むような職業の人がいたら…と考えたのが、一番最初の起点かもしれません…って、原さん、こんな話、大丈夫?原:はい!アフレコ期間にも聞けなかったお話なので、すごく興味深いし、楽しいです(笑)。新海:確かにこういう話って、あまりしてなかったですね(笑)。――タイトルにもある〈戸締まり〉という行動は、なにかのメタファーなのですか?新海:いえいえ。というよりは、アニメーションの、しかもエンタメ映画を作る場合、なにかポイントになるアクションが必要だと思い、今回は〈鎮める〉という意味のアクションを入れたかったんです。“椅子に座って鎮める”とかも考えたんですが、ちょっと画(え)になりにくい。いろいろ考えていく中で、“人がいなくなった場所に取り残されたドアを閉める”という画が見えてきて。合言葉を言いながらカギをかけるのが、大きなアクションになるかなと思い、決めました。戸締まりのシーンのセリフは聞きどころ!?――なるほど。原さんは扉を閉めるシーンで、なにか印象に残っていることはありますか?原:私自身ではないのですが、一緒に旅をする草太さんが、扉を閉めるときに必ず「お返し申す」と祝詞を上げるんですが、それが戦隊モノみたいでかっこよくて、うらやましかったです。このセリフ、絶対気持ちいいだろうなぁと思っていました(笑)。――草太さんといえば椅子に姿を変えられてしまうわけですが、歩いたり走ったり、とてもかわいいキャラクターでした。原:私もそう思っていました。歩くときの“カランコロン”という音、かわいくてとっても好きです。新海:コロナ禍での制作だったこともあり、あの頃みんなが感じていたはずの“狭いところに閉じ込められている理不尽さ”を取り込みたかったんです。ただ、シリアスなものを書くと、油断するとすぐ暗い雰囲気になるというクセがあって(笑)。考えた結果、閉じ込められてしまうのがかわいい椅子の中であれば、コミカルな雰囲気が出せるかなと思い、椅子にしました。――中身は草太さんとはいえ、“動く椅子”とお芝居をするのは、難しくなかったのでしょうか…?原:私も最初は、椅子になったら感情が見えなくなってしまうのでは…と思っていたのですが、逆でした。陰があってミステリアスな草太さんが椅子になるからこそ、コミカルな内面がたくさん出てきた印象がありましたね。なので、お芝居はすごく楽しかったです。新海:あまり詳しくは言えませんが、相手が椅子だからこそ成立する、というシーンがあるんですよ。原:あ、確かに。そうですね(笑)。新海:あのシーンを書いたときに、“草太さんを椅子にしてよかったな”と思いました(笑)。ぜひ映画館で観てほしいです。――また、この作品に旅の要素を盛り込んだのには、なにか理由がありますか?新海:こことは違う場所に行きたいとか、誰かに会いに行きたいといった〈移動への欲求〉は、普遍的な感情だと思うんです。先ほども言いましたが、僕が脚本や絵コンテを作っていた時期はまさにコロナ禍真っ最中で、移動に関しては本当に不自由でした。当時は、公開されるときに世の中がどうなっているのか、想像がつかなかったので、日本列島を旅する物語がどう響くのか、懸念はしなくもなかったのですが…。でもこの作品を観て、「やっぱり旅っていいよね」と思ってもらえたら嬉しいし、共感してもらえると信じたいです。――監督は旅好きですか?新海:若い頃、ちょうど今の菜乃華さんくらいの年齢のときは、ちょくちょく一人旅に出てましたよ。青春18きっぷを買って、宿も決めずに知らない土地を1週間ぶらぶら…とか、やってました。菜乃華さんは一人旅とかされますか?原:長い時間一人でお散歩とかは好きなんですが、一人旅はしたことはないですね…。あと、プランを決めずにぶらぶらする、みたいなゆったり旅は、私には無理かもしれないって、今お話を聞いていて思いました。というのも、私は旅行先ではとにかくあれこれ楽しみたい派で、出発前に完璧なスケジュール表を作って、それに沿って行動したくなっちゃうタイプなので…(笑)。ちなみに一番最近の旅行だと、家族で秩父に、ラフティングをしに行きました。楽しかった!新海:なるほど(笑)。一人旅に出ているときって、ずっと自分の内面と対話している感じで、若いときはそれがとても楽しかったんですよね。でも僕くらいの年齢になると、そろそろ自分自身にも飽きてくるんで(笑)、誰かと一緒のほうが楽しい。今の僕にとっては、みんなと映画を作ることが旅みたいなものかな。今作が完成間近の今の気持ちとしては、2年半ほどの長旅の終わりがそろそろ見えてきた…という感じですね。フィクションだからこそ、嘘のない感情を描きたい。――監督は、毎回新しいストーリーを生み出しているわけですが、〈物語を作る〉ことに対して、新たに思ったことはありますか?新海:映画なのでフィクションではありますが、キャラクターの感情という意味では、作り手の都合で動くのではない、嘘のない感情を描きたいと思いました。感情の部分に〈本物のなにか〉を込めることができれば、きっと観た人に「私も同じ行動をとるかもしれない」と思ってもらえると信じているので。それと、フィクションなんだけど、作り物の世界ではあるのだけれども、その中で語られている世界観は、感覚的な意味で、「あぁ、なんか分かるな」と共感してもらえる物語にしたかった。たぶん神話や昔話といった長く語り継がれてきたストーリーには、奥底に、感覚で誰もが共感できるなにかがあると思うんですよね。『すずめの戸締まり』もそんな世界観にするべく、物語を組み立てました。そうやって一瞬一瞬を作り込んでいくのがアニメーション映画というものなんですけど…。原:私は、フィクションを作り込むことで出来上がる“アニメーション”というものが大好きで、そんなアニメーションだからこそ没入感が味わえると思っています。新海:自粛期間中に、生活をただただ配信するいわゆる“日常系動画”をいろいろ見て、その“作り上げない日常”がコンテンツになることにすごく驚かされたし、実は結構おもしろかったんですよね。それと比べると、僕たちが時間と労力をかけて作っている映画は、コスパ悪いなぁ、なんて、少し思ったりもして(笑)。でも、映画はオールドファッションなコンテンツだけれども、YouTubeやTikTokにはない、力強いなにかがあると信じているので、ぜひ映画館でこの作品を観て、「そうそう、映画ってこうだった、こういうの好き!」と思ってもらえると嬉しいです。『すずめの戸締まり』九州の静かな町で暮らす17歳の少女・岩戸鈴芽(すずめ)は、宗像草太という旅の青年と出会う。「扉を探している」と言う彼のあとを追う鈴芽が廃墟の中で見つけたのは、ぽつんと佇む古い扉。惹きつけられるように鈴芽が扉に手をのばすと、やがて日本各地に存在する〈扉〉が次々に開いていき…。原作・脚本・監督/新海誠出演/原菜乃華、松村北斗ほか11月11日全国ロードショー。©2022「すずめの戸締まり」製作委員会しんかい・まことアニメーション監督。1973年2月9日生まれ、長野県出身。『君の名は。』(’16年)は国内外で大ヒット、『天気の子』(’19年)では米国アカデミー賞国際長編映画部門の日本代表に。はら・なのか俳優。2003年8月26日生まれ、東京都出身。映画やドラマを中心に活躍。これまでの出演作に映画『3月のライオン』(’17年)、『罪の声』(’20年)、ドラマ『ナンバMG5』(’22年)など。トップス¥7,890(Treat Urself/RAINBOW SHAKE PRESS ROOM TEL:03・6778・0920)スカート¥46,200(ADELLY/Office surprise TEL:03・6228・6477)※『anan』2022年10月26日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)スタイリスト・野田さやか(原さん)ヘア&メイク・石邑麻由(原さん)(by anan編集部)
2022年10月19日2004年にスタートして以来、長年にわたって愛され続けている人気アニメ「プリキュア」シリーズの映画最新作『映画デリシャスパーティプリキュア 夢みるお子さまランチ!』は、現在大ヒット公開中です。そこで、こちらの方々にお話をうかがってきました。和牛の水田信二さん & 川西賢志郎さん【映画、ときどき私】 vol. 525お子さまランチのテーマパーク<ドリーミア>を舞台に繰り広げられる本作で、園内にいるロボット役としてゲスト声優を務めているのは、和牛の水田さん(写真・左)と川西さん(右)。今回は、作品のモチーフでもあるおいしいご飯にまつわるエピソードやおふたりの恋愛観、そして芸人として夢を叶えた秘訣などについて語っていただきました。―本作で映画声優初挑戦となりましたが、演じてみていかがでしたか?川西さん初めてのことだったので、うまくいっているのかわかりませんでしたが、最後に「いいものが録れました」と言っていただいたときにようやく手ごたえを感じました。プロの方々のなかで、自分たちがどうなじんでいるのかは楽しみです。水田さん今回はロボット役ということで、最初に自分のなかで勝手にイメージしていたのがターミネーター。「もう少し子ども向けの感じでお願いします」と言われたときは戸惑いました(笑)。―観客に注目してほしいポイントがあれば、教えてください。川西さん何体かのロボットを担当させてもらっていますが、僕たちらしさを出してもいいロボットがいて、そこだけは関西弁になっています。そういうところも見つけていただけるとうれしいですね。水田さん昔、洋食屋さんで働いていたからというのもありますが、料理名を言うシーンでは、不覚にも僕の食いしん坊の部分が出てしまいました。ハンバーグでテンションが上がっているので、そこは感じてほしいですね。勝負の前は、早くパワーになるものを食べる―本作では「ご飯」がテーマとなっていますが、おふたりの勝負飯は何ですか?水田さんかつ丼を食べる人がよくいますが、かつ丼は消化するのにエネルギーを使ってしまうので、僕はあえて食べないようにしています。その代わりに僕が選ぶのは、早くパワーになるパスタ。なかでもミートソースがお気に入りで、3~4時間かけて自分で作っています。川西さん僕はどちらかというと、勝負前は抜きたいタイプ。空腹にして飢えておきたい感じです。あとは、集中したいときに口がネギとかニンニクくさくなったりすると、気が散って嫌だというのもありますね。それよりも、僕が魅力を感じているのは、勝負が終わった後の暴飲暴食。そのときはなんぼネギくさくなっても、なんぼ油まみれになっても関係ないですから!水田さん僕も勝負のあとは、一番好きなものを食べたいですね。もちろん、ミートソーススパゲティです。―本当にお好きなんですね。下積み時代を支えてくれたメニューなどもありますか?川西さん若手の頃によく食べていたのは、冷凍うどん。いつもお腹ペコペコだったので、うどん2玉に、卵2つとネギとのりと天かすをどっさり乗せて、ガーっとかき込んでいました。水田さん僕は、アサリの雑炊です。元気になりたいときは、アサリに含まれているタウリンを摂ったほうがいいと言われていますから。しかも、栄養ドリンクとかではなく、なるべく自分が作ったものから摂ることを心がけていたので、若手のときからけっこうちゃんとしたものを作っていました。野菜中心のメニューを作ってもらえたらうれしい―栄養管理まですごいです。その後、「これを食べられるようになったから売れたな」と感じたことは?水田さんそれは、ファミレスのご飯です。お金がなかった頃は、ドリンクバーだけか、がんばってフライドポテトしか頼めなかったので、御膳みたいなものを頼めるようになったときは、「ちゃんと食えるようになったんだなぁ」と実感しました。川西さん僕は、やっぱり回らないタイプのお寿司ですね。特に東京でいいお寿司といったら値段は無限ですから。それが食べれるようになったのは、ある程度お金を持てるようになってからだと思います。―では、女性に作ってもらったらうれしい料理があれば、教えてください。川西さんご飯屋さんにあったら絶対に頼むのが、小鉢に入ったおばんざいの盛り合わせ。不足しがちな野菜を中心にしたメニューで作ってもらえたらうれしいですね。水田さん僕は、肉と魚をシンプルに焼いたものと豚汁とかを作ってもらえたらいいかなと。ただ、もともと自分が料理人だったこともあって、肉の火の通し方や魚の焼き方、具材をどのくらいの大きさに切っているのか、といった基本的なところは見させてもらうと思います。でも、どんなものも何も言わずにちゃんと食べますよ!―逆に、おふたりが作ってくれるとしたらどんなメニューですか?水田さんこれまで彼女が作ってくれた料理のなかで、失敗したものをあえて作りますね。「本当はこうするんだよ」というのを見せたいので(笑)。とはいえ、ビシビシ教えたりはしないので、作っているところを見て盗んでねって感じです。川西さん僕は「リクエストがあればがんばります!」くらいで、強いて言えばたこ焼きですね。イタリアで食べるピザがおいしいように、関西人がたこ焼きを作ってくれたらおいしく感じるんじゃないかなとは思うので(笑)。―やはり関西人ならではのこだわりがあるのでしょうか。川西さんいや、むしろそういうのをしたらダメなんですよ。だって、いまのたこ焼きの粉はよくできてますから。水で溶くだけで、余計なことをしないのが一番です!おふたりにとっての理想の女性像とは?―以前、ananのインタビューで水田さんはご自身のことを「すぐ人を好きになる“恋多き男”」とおっしゃっていましたが、40代になってから好みなどに変化もありますか?水田さんそこはあまり変わらないので、よく笑って、よく食べて、人の悪口を言わなくて、キレイで、ちょっとエッチな人が好きです(笑)。前は42歳までに結婚したいと言っていましたが、もう42歳になったので、いまは43歳か44歳までにできたらいいなと少しずつ延びてます。―川西さんは、あまり恋愛で感情が揺れることがあまりないそうですが。川西さんそうですね。恋愛で感情の振り幅が大きくなることはないので、恋愛体質ではないんだと思います。恋バナとかもちょっとしんどいというか、カフェで長時間文句を言っている人とかを見ると、「別れたほうがいいんじゃない?」とまとめたくなるタイプなので(笑)。僕はあまり恋には生きていないのかもしれないです。―とはいえ、水田さんのように理想はありますか?川西さん僕はよく言っているのは、ちょっと男を立ててくれるような古風な感じで、お胸がちょっと豊満な「昭和が生んだ爆乳」みたいな人がタイプです。ここは太字で書いておいてくださいね(笑)。あとは、自分と気が合う人を見つける直感には自信があります。たとえば、会話をしていてやたら言葉がぶつかる人がいますよね?おそらくそれはお互いの会話のテンポが違うということだと思うので、そういう些細なところを見ています。スイッチが入るのは、衣装と髪型がバシッと決まったとき―なるほど。また、本作ではおいしい笑顔を守るためにプリキュアが立ち向かう姿が描かれていますが、おふたりもいつもお客さんを笑顔にしている立場です。逆に、おふたりを笑顔にしてくれるものといえば?水田さん最近は、動物のかわいい動画ばっかり見ています。あとは、実家の猫の動画を送ってもらうのが楽しみです。川西さん1日のうちに絶対にときめく時間といえば、自分へのご褒美でもあるご飯を食べているとき。飲み物と料理の組み合わせを考えたりもするので、特に晩御飯をけっこう大事に考えています。―お仕事のオンオフにしていることはありますか?水田さん毎日仕事が終わったら飲むので、その瞬間に「もう仕事は終わったんだな」とオフになりますね。川西さん僕はいまだに自分でもオンオフがわからなくて……。仕事のことをずっと考えているといえば考えているので、オンとうっすらオンみたいな状態かもしれないです(笑)。でも、舞台のそでに行って、お客さんの笑い声を聞くときは、完全にオンになります。水田さん僕は衣装に着替えて、前髪のセットがバシッと決まったときにはスイッチが入りますよ。逃げずに続けていくことが、夢を叶える秘訣―「プリキュア」シリーズといえば、夢を持つ大切さを伝えている作品でもありますが、おふたりは芸人になるという夢を叶えています。夢を実現するために必要なことは、何だと思いますか?川西さん細かいことにも、逃げずに続けていくことじゃないでしょうか。といっても、しんどかったら1回逃げて、パワーを充電して戻ってくるのもありかなとは思います。ただ、逃げたままではそこに成功はないので、戻ってきたらしっかりと向き合うことですね。水田さん僕の場合はしんどい時期でも、おいしいものを食べたり、仲間と遊んだり、自分の生活のなかで楽しい瞬間や幸せを感じる時間というのを適度に作るようにしていました。追い詰めているだけだったら、僕は多分続かなかった気がします。この先も心身ともに、健康でいることは大事にしたいです。川西さん今後の夢については、具体的な目標というよりも、いままでやって来たことを続けていくなかで、芸人として強く太くなれたらいいなと考えています。―それでは最後に、ananweb読者に向けて、メッセージをお願いします。水田さん今回の作品はすごく彩りが華やかなので、これを観た次の日は、絵心が上達して、塗り絵のペンも進むんじゃないかなと思います。あとは、色白ぽっちゃり特集で僕がananの表紙になる日まで待っててください!川西さん『プリキュア』は子ども向けのかわいい物語のように思われがちですが、実は大人も楽しめていろんなことを考えされられる作品となっているので、ぜひみなさんにも観てもらえたらいいかなと。それから、女性の方々に「そないに脱毛せんでもええんちゃう?」というのは伝えたいですね。細かいところまで気にして一生懸命な姿はかわいらしいですけど、「ちょっとくらい生えててもええよ」と僕は思っています(笑)。インタビューを終えてみて……。幅広い質問に答えていただくなかで、水田さんと川西さんのさまざまなこだわりやいろんな一面を垣間見ることができた今回の取材。おふたりとも素敵な声をお持ちなので、映画声優が初めてというのには驚きましたが、どんな声色で楽しませてくれるのかにぜひ期待してください。ユーモアたっぷりの味付けに心が温まる!人生に欠かせないものといえば、何と言ってもおいしいご飯と輝く笑顔。その大切さを教えてくれるプリキュアと、最高のテーマパークでドキドキとワクワクを味わってみては?取材、文・志村昌美ストーリー食べるのが大好きな中学2年生の和実ゆいたちが住むのは、おいしーなタウン。そこにある日突然、お子さまランチのテーマパーク<ドリーミア>が現れる。子どもたちは遊び放題、食べ放題のため、みんな楽しく遊んでいた。ところが、実は<ドリーミア>にはある秘密が隠されていたことが明かされる……。キラキラでいっぱいの予告編はこちら!作品情報『映画デリシャスパーティプリキュア 夢みるお子さまランチ!』同時上映『わたしだけのお子さまランチ』全国公開中配給:東映©2022 映画デリシャスパーティ・プリキュア製作委員会
2022年10月11日説明があまりない不思議な世界観に惹かれることが多いという、野田クリスタルさん。昨年そんな彼の心を奪ったのが、『PUI PUI モルカー』でした。ご持参いただいた私物のグッズを撫でながら、モルカーへの深い愛を語ります。M‐1やR‐1で優勝する前、仕事があまりなく時間を持て余していた野田クリスタルさんが、中に動物園がある井の頭自然文化園の年間パスを買い、足繁く通っていた…というのは、ファンの間では有名なお話。「毎日行っていたもので、どの動物も正直結構見飽きちゃうんです。でも、〈モルモットふれあいコーナー〉だけはなぜか全然飽きなくて。日々、膝にモルモットを乗せたままぼーっとしていたら、すごく癒されたんですよ。嫌なことを忘れさせてくれるから、当時は心底モルモットに感謝していました」時は経ち、昨年1月。Twitterで“モルカー”という言葉が目に入り、さらに野田さんのYouTubeでも、視聴者が「モルカー、モルカー」と言い出すように。気になった野田さんはすぐアニメをチェック。またたく間に心を奪われたそう。「第1話『渋滞はだれのせい?』で、渋滞したモルカーたちが1列に並んでいるシーンがあるんですが、それを見た瞬間、井の頭自然文化園で見たモルモットたちが1列になって歩いていたのを思い出し、“あ、作ってる人、絶対モルモット好きだな”と確信しました。それから3話の『ネコ救出大作戦』では、モルカーの中に閉じ込められた猫を、他のモルカーたちが協力して助けようとするんです。で、リアルのモルモットも、本当に団体行動するんですよ…。モルカーの愛らしさと、モルモットの習性が盛り込まれたストーリーや動き、そしてセリフがなくちょっとシュールな感じなど、全てにおいて最高でしたね」モルカーが放送されていた時期、仕事が急激に忙しくなったこともあり、精神的にも肉体的にもとても疲労を感じていた野田さん。このアニメは、そんな野田さんの唯一の癒しだった。「バラエティやお笑い番組は、いろいろ考えすぎて疲れてしまうので、あんまり見たいと思えなかった。できるだけ負担がないものを…と思っていたところに現れたのが、モルカーでした。モルカーは、癒ししかない。体にいいことしかないんです。なので家では、ずーっとモルカーの動画を流してました」野田さんは、もともとアニメは好きだったそうですが、モルカーへのハマり方は、ご自身としても尋常じゃなかったそうで、人生でほぼ初めて、キャラクターグッズを購入!それは自分的にも驚きの行動だったとか。「アニメのキャラクターグッズ、人生で初めて買いました(苦笑)。最初に買ったのはシロモのぬいぐるみです(編集部注:下の写真で抱きしめているぬいぐるみ)。そこから、マスコットに手を出し…。それらは全部、ベッドの上にぎゅーぎゅーに並べてます。さらに毎日持ち歩くバッグの中には、衣装を入れたモルカーポーチと、小物入れが。今回ほど、通販というシステムをありがたいと思ったことはないです(笑)」最も好きなモルカーは、最初にぬいぐるみを買ったシロモ。「もし会えたら?レタスをあげて洗車をしてあげたいですね。洗車機じゃなく、ぜひ僕の手洗いでやらせてください(笑)」『PUI PUI モルカー』モルモットが車になった〈モルカー〉の日常を描いたストップモーションアニメ。10月8日(土)から新シリーズ『PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL』(テレビ東京)が放送開始。野田クリスタルお笑いコンビ〈マヂカルラブリー〉のボケ担当、ゲームクリエイター。M‐1グランプリ2020優勝。『スーパー野田ゲーWORLD』(ニンテンドースイッチ)が好評発売中。※『anan』2022年10月12日号より。写真・神藤 剛スタイリスト・ダヨシヘア&メイク・松崎亜紀(by anan編集部)
2022年10月09日この秋も、幅広いジャンルの話題作が国内外からそろっていますが、そんななかアメリカで大ヒットした注目のアニメ『バッドガイズ』がいよいよ日本にも上陸。そこで、日本語吹替版で主演を務めたこちらの方にお話をうかがってきました。尾上松也さん【映画、ときどき私】 vol. 523劇中で松也さんが演じているのは、華麗なテクニックで財宝を奪う怪盗集団<バッドガイズ>のカリスマ的リーダーであるウルフ。クールに見えて、ほめられるとお茶目な一面が顔を出してしまう愛すべき主人公です。今回は、本作に共感した点や払拭したい自身のイメージ、そしていいリーダーになるために心がけていることなどについて、語っていただきました。―今回のご自身の役どころについては、どのような印象を受けましたか?松也さんウルフはとてもまっすぐで、物事や仲間に対しても熱い思いがある、愛情深いキャラクターだと感じました。バッドガイズのリーダーとしていままで悪いことばかりしてきましたが、自分のなかにある善の心に目覚めていくところが見どころだと思います。―以前、声優を務めた際、声優と歌舞伎では演じ方に似ているところもあると感じたそうですが、今回はいかがでしたか?松也さん歌舞伎というよりは、舞台全般の技術や表現方法が僕のなかでは活かされているような気がしています。とにかく、あまり小さくなりすぎないように、というのは意識しました。ほめられたり、感謝されたりすると気持ちがいい―ちなみに、松也さんとウルフとの共通点は、ほめられて伸びるタイプだとか。松也さんそうですね、やはりほめられたほうがうれしいですから。いいことをして感謝されたり、喜ばれたりすると、気持ちがいいものですよね。おそらくそれば僕だけではなくて、みなさんも同じだと思いますが、本作ではそういう感情をウルフが体現してくれています。―最近ほめられてうれしかったことはありましたか?松也さんいやー、最近は全然ほめられてないので、ほめられたいですね!チヤホヤしてほしいです(笑)。―とはいえ、やはりお客さんからの反応は喜びなのでは?松也さんもちろんそうですね。特に、舞台ですとその場でダイレクトに伝わってきますので、舞台がやみつきになるのは、そういうところだと思います。最近は映像のお仕事が続いていましたが、根本は舞台人ですので、そういった刺激はつねに求めています。ですが、何をしても万人に受けるというのは難しいことですので、批判する方もいれば、絶賛する方もいるのが当たり前の世界。いい声だけをキャッチしていればいいですけど、よくない声を聞くとやっぱり落ち込むことはありますね。いままでに、いろいろな方から勘違いされることもあった―そんなときは、どのように対処しているのか教えてください。松也さんと言いつつも、実はあまりほめられるのもよくないかなと思っている部分もあるんです。特に、舞台のときに「あのセリフがよかったよね」と言われるとうれしいですけど、その翌日に同じシーンを演じるときに意識してしまいますから。「ここでがんばらなきゃ!」みたいな。そうするとうまく表現ができなかったりするので、いまは「ほめていただきたいけど、千秋楽が終わってから聞かせてほしい」という感じです(笑)。―わかる気がします。また、バッドガイズたちといえば、本当はそうではないのに、外見や環境だけで判断されてしまう部分もありますが、ご自身にもそういった経験はありますか?松也さんバッドガイズのみんなは周りから決めつけられて生きてきたけれど、蓋を開けてみたら実は真逆の精神を持っていたというのがこの作品の肝ですが、僕にも似たようなことはありました。僕の職業は歌舞伎が主軸ですので、特殊といえば特殊な環境です。歌舞伎界自体が勘違いされてしまうところがありますが、僕もいままでにいろいろな方から勘違いされてきた経験がありました。リーダーとしての心がけは、みんなを楽しませること―たとえば、どんなことがあったのでしょうか。松也さんコンビニに行った話をすると、「コンビニ行くの!?」と言われたことも。「行くに決まってるでしょ!」と(笑)。スーパーで買い物もしますし、もちろん洗濯も自分でしているのですが、不思議なほどに高尚なイメージが付いてしまっているのは苦手ですね。―おそらくそれは、松也さんが20歳で一門を率いる立場となったことも大きかったのではないかなと。主演として周りを引っ張っていく役割を果たすことも多いと思いますが、リーダーとして意識していることはありますか?松也さん僕の場合、舞台でもドラマでも自分が中心としてお仕事をさせていただくときに心がけているのは、作品の内容がシリアスでもコメディでも全員が楽しくお仕事をできること。それを一番にしています。そのうえで全員がチームであるという感覚を持っていただけたらいいなと考えています。いまではそう言えるようになりましたが、昔はリーダーというのは先頭を切って走っていかなければいけないと思っていたんです。ですが、ただ突っ走っているだけですと周りもついていくのに必死になってしまい、混乱が起きてしまうことを学びました。それを経験してからは、最初だけ先に走って、あとはゆっくりと後ろに下がっていくイメージです(笑)。自分ひとりだったら、とっくに辞めていた―なるほど。それは、過去の経験があったからこそ得た教訓ですね。松也さんそうですね、実際に何度も失敗したことがありました。特に、初めは自分のやりたいことを貫いて突っ走っていけばみんなついてくると思っていましたし、「それが男だ!」みたいなときもありました(笑)。ですが、その考えですと「報告」「連絡」「相談」のほうれんそうが成り立たないですし、何をしたいのかが伝わらず、結局は独りよがりになってしまう。もちろん、それでうまく引っ張っていける方もいるとは思いますが、僕はそういうタイプはないということに気がつきました。―それこそ、昔は何度も辞めたいと思ったこともあったそうですが、それを続けてこられたのは何が支えになっていたのでしょうか。松也さん僕は自分のなかに「こうありたい」とか「こういうことがしたい」といった目標がたくさんありましたので、まずはそれを達成したいという思いがありました。あとは、歌舞伎の自主公演で客席があまり埋まっていなかった時期でも、少なからず見に来てくださるお客さまがいて、それを支えてくれるスタッフがいましたので、それは大きかったかなと。心が折れそうになっていたときは、周りの方たちのためにいろいろなことを自分に課すようにしていました。もし自分ひとりのことでしたら、とっくに終わっていた気がします。あとは、自分が成功したときのことをつねに思い描いて、ポジティブなほうに何とか自分を持っていく。毎回その繰り返しでしたね。つらいときは、好きなことをして周りに甘えてもいい―そんななかで、大切なのは息抜きすること。松也さんといえば、キャンドルやスニーカーをはじめ、いろんな趣味をお持ちですが、いまハマっていることはありますか?松也さん最近は、ボードゲームと古着です。ボードゲームは前から興味がありましたので、いくつかは持っていましたが、どんどん買い集めるようになったのは、ボードゲームに詳しい宮下草薙の宮下くんと仲良くなってから。定期的にボードゲーム会も開いているほどです。古着も前から気になっていましたので、あるときロケで古着屋さんに行ったのですが、そこですっかりハマってしまいまして、収録の翌日にもプライベートで同じお店に行きました。もともとハマりやすい性格というか、満足するまで揃えたくなってしまう性分なんです。終わりが見えるものならいいのですが、ボードゲームも古着もキャンドルもスニーカーも、永遠に出続けますから……。きりがないので、逆に終えてほしいくらいです(笑)。―それでは最後に、ananweb読者に向けてメッセージをお願いいたします。松也さん仕事や恋愛に悩んでいる方がいらしたら、明るい気分になれる映画ですので、ぜひ『バッドガイズ』を観ていただきたいです。そして、辛いときは自分が好きなことするのはもちろん、周りに甘えてしまってもいいのではないでしょうか。人にとってよくないことは心が暗くなることと思っておりますので、落ち込んでいると感じるときは、休むなり、多少の暴飲暴食するなり、翌日のお仕事のことなんて考えないで楽しみに行ったりしてください。ときには、そういう割り切り方をしてもいいと僕は思っています。インタビューを終えてみて……。遊び心があるやりとりで、終始楽しませてくださった松也さん。笑いが溢れるなかでも、歌舞伎の話になると真剣な眼差しを見せ、歌舞伎への愛の深さを感じました。本作では、ウルフの魅力を最大限に引き出している松也さんにしか出せない声色を存分に堪能してください。エキサイティングな怪盗ドリームチームに心も躍る!息もつかせない予想外の展開と華麗なワルっぷりで、観客のハートまで盗んでしまうバッドガイズたち。アニメーションならではの映像を楽しめるだけではなく、仲間の大切さから「善と悪とは何か?」まで、見どころ満載の必見作です。写真・北尾渉(尾上松也)取材、文・志村昌美ヘアメイク・岡田泰宜(PATIONN)スタイリスト・椎名宣光ジャケット¥49,800、パンツ¥30,800(ともにルームサーティーン)、シューズ¥49,500(ファクトタム/シアン PR 03-6662-5525)、その他スタイリスト私物ストーリー「ワルをやるなら思いきり」を合言葉に、数々の盗みを成功させてきた怪盗集団<バッドガイズ>。メンバーは、“天才的スリ”にしてカリスマ的リーダーのウルフをはじめ、“金庫破り”のスネーク、“変装の達人”シャーク、“肉体派”ピラニア、そして“天才ハッカーの毒舌ガール”タランチュラ。お尋ね者の5人組が次に狙うのは、伝説のお宝《黄金のイルカ》だった。ところが、あと一歩のところで大失敗し、逮捕されてしまう。そして、彼らは街の名士マーマレード教授の更生プログラムを受けることになる。ノったフリしてウラをかき、史上最大の犯罪をもくろんでいた彼らだったが、背後ではさらなる巨悪が密かに動き始めていた……。華麗でクールな予告編はこちら!作品情報『バッドガイズ』10月7日(金)TOHOシネマズ 日比谷他 全国ロードショー配給:東宝東和、ギャガ️© 2021 DREAMWORKS ANIMATION LLC. ALL RIGHTS RESERVED.写真・北尾渉(尾上松也)
2022年10月06日幼い子供を中心に大人気の『アンパンマン』。1973年に『アンパンマン』が世に出てからというもの、今なお多くの子供たちを魅了してやみません。まぼ(@yoitan_diary)さんの息子さんもまた、『アンパンマン』に心を奪われ、立派な『アンパンマンオタク』となった1人。息子さんと『アンパンマン』の出会いは2019年7月のことでした。それからというもの、親であるまぼさんも驚くほどの熱量で息子さんは『アンパンマン』を応援し続けてきましたが、2022年夏、まさかの出来事が起きたというのです…!息子の"推し変" pic.twitter.com/ETnvkIqZXw — まぼ (@yoitan_diary) September 13, 2022 3年間、一途に『アンパンマン』を応援し続ける息子さんを近くで見守ってきたまぼさんは、まさかの『推し変』に、少しばかりさびしさを覚えていました。…しかし!息子さんの『オタク』としての熱量は、変わらず引き継がれていたのです。『アンパンマン』という作品の魅力が、息子さんをあそこまで熱心にさせていたと考えていた、まぼさん。しかし、『ゲゲゲの鬼太郎』でも応援の熱量が変わらない息子さんに、「息子のオタク気質もすごいんだなと知りました」と語っています。「息子さんのオタクぶりを見習いたい」「声優さんをすでに理解していることがすごい」と、多くの人を驚かせた、まぼさんの息子さん。何か1つでも夢中になって追いかけられるものがあると、それだけで毎日が楽しく、輝いて見えます。息子さんの『オタク』としての気質は、成長しても変わらず大事に育んでほしいですね![文・構成/grape編集部]
2022年09月16日この記事では、ベビーカレンダーが121名のママ・パパにおこなったアンケート調査「利用している動画配信サービス/好きな作品を教えてください!」の結果を紹介しています。おうち時間を楽しむことが多くなった近年、動画配信サービスを利用している方々が増えていますよね。ドラマや映画、アニメを見る時間は、子どもが楽しめるのはもちろん、慌ただしい日々を過ごす大人がホッとリラックスできる時間でもあります。実際、子育て中のママ・パパはどんな動画配信サービスを利用して、どんな作品を視聴しているのでしょうか? この結果をチェックすれば、子育て世代の動画配信サービスの最新トレンドが丸わかりに! ママ・パパが1番利用している動画配信サービスはダントツでアマプラ! 1位Amazon Prime Video80.4%2位Netflix44.3%3位Hulu23.7%4位Disney+13.4%5位U-NEXT7.2%6位DAZN7.8%7位dTV5.2%8位ABEMAプレミアム 4.1%9位Paravi3.1% 10位FODプレミアム 2.1% その他4.1% 最も利用者が多かったサービスは「Amazon Prime Video」。約80%を超えるママたちが利用しているという結果になりました。2番目に利用者が多かったサービスは「Netflix」でした。動画配信サービスの市場のシェア数が常に上位のAmazon Prime VideoとNetflix。ベビカレアンケートでも、この2つの動画配信サービスが1位と2位になりました。また、約5割の方が2つ以上の動画配信サービスを選択しており、多くの方が複数のサービスを利用していることが明らかに! サービスを選んだ理由は一体どこにあるのでしょうか。 多くの動画配信サービスの中から選ぶ理由とは! 1位見たい作品があるから 53.1%2位家族が加入しているから 32.7%3位オリジナル作品があるから 26.5% 4位使いやすいから 26.5% 5位料金が安いから 21.4% 6位ジャンルが豊富だから 11.2% 7位手続きが簡単だから 5.1% 8位口コミがいいから 4.1% その他 10.2% サービスを選んだ1番の理由としては「見たい作品があるから」と多くの方が回答。最初の質問で約5割の方が複数の動画配信サービスを利用していることが判明しましたが、各動画配信サービスによって配信作品が異なることもあり、見たい作品を目当てに加入した結果、複数のサービスを利用する形となっている方が多いことがうかがえます。 また、2番目に多かったのは「家族が加入しているから」という理由。実際に家族でアカウントを共有できるサービスも多いので、皆さんお得に利用しているようです。 その他には「テレビのリモコンに直接アクセスできるボタンがあるから」という声もありました。近年は、テレビのリモコン自体にNetflixやAmazon Prime Videoなどの動画配信サービスに直接アクセスできるボタンがついている製品が増えています。テレビ番組を見るような感覚で、ボタンひとつで映画やドラマを見ることができるので、気軽に利用する方が多いのではないでしょうか。 動画配信サービスを利用する時間帯は、意外にも昼過ぎ! 1位昼過ぎ(12時~15時) 30.6% 2位夜遅く(21時~24時) 27.6% 3位夜のはじめ頃(18時~21時) 14.3% 4位夕方(15時~18時) 11.2% 5位昼前(9時~12時) 11.2% 6位24時以降 4.1% 7位朝(6時~9時) 1.0% ママたちが映画やドラマを見る時間帯は「昼過ぎ(12時~15時)」が1番多いことがわかりました。昼過ぎ(12時~15時)は家事や育児で忙しい時間帯かと思いきや、お昼の時間帯に、ひと息する時間をとって視聴している方が多いのですね。お子さんのお昼寝している時間や、幼稚園や学校に通っている間に見ている方が多いのでしょうか。次いで多かったのは「夜遅く(21時~24時)」。こちらも子どもが寝静まった後などに見ている方が多いのかもしれませんね。 ドラマや映画は、家族みんなで見るよりも… 1位1人で見る 65.7% 2位夫または妻と2人で見る 23.2% 3位子どもと見る 10.1% 4位家族みんなで見る 1.0% 動画配信サービスを利用する際に誰と見ているのかという質問では、過半数の人が「1人で見る」と回答。2番目には「夫または妻と2人で見る」と、家族みんなで見るというよりは、息抜きでひとり時間や夫婦の時間に利用している方が多いようですね。ひとりで誰にも邪魔されず見たい方が多いのでしょうか。また、夫婦でコミュニケーションをとるいい時間にもなりそうですね! ママが見る人気コンテンツ1位は、意外なアレ! 1位日本のアニメ 59.2% 2位洋画 44.9% 3位邦画 42.9% 4位日本のドラマ 37.8% 5位海外のドラマ(主に欧米) 24.5% 6位韓国ドラマ 17.4% 7位日本のバラエティ番組 16.3% 8位韓国映画 11.2% 9位海外のアニメ 6.1% 10位海外のバラエティ番組 3.1% その他 6.1% 1番よく見られているコンテンツは、「日本のアニメ」でした。アニメは大体1話30分で終わるものが多く、サクッと見られる点が忙しいママやパパにとっては視聴しやすいのかもしれませんね。子どもと一緒に見ているうちにハマってしまった大人も多いのかもしれません! 次いで「洋画」、3位は「邦画」となっており、1本で完結する映画を見ている方が多いことがわかりました。 好きなジャンルは、同率1位! 刺激をたっぷり感じられるジャンル! 1位ラブロマンス系 39.2% 1位ミステリー・サスペンス系 39.2% 3位オリジナル作品(各動画配信サービスの) 38.1% 4位コメディ系 36.1% 5位ファンタジー系 32.0% 6位アクション系 29.9% 7位ヒューマンドラマ系 23.7% 8位SF系 18.6% 9位ドロドロ系(不倫、復讐など) 13.4% 10位ミュージカル系 13.4% 11位ホラー系 12.4% 12位ドキュメンタリー 12.4% 13位動物系 4.1% その他 4.1% みなさんが好きなジャンルは同率1位で、「ラブロマンス系」と「ミステリー・サスペンス系」でした。この2つのジャンルは作品数も多いことから視聴されやすいのでしょうか。また、家事や育児、仕事といった日常生活に追われるママ・パパにとって、手軽に“非日常”を味わえるジャンルであることも人気の理由かもしれません。そして、僅差で2位だったのは「オリジナル作品(各動画配信サービスの)」でした。やはり、動画配信サービスを選ぶ理由1位の「見たい作品があるから」という結果からも予想できる通り、オリジナル作品はよく見られるジャンルなのでしょう! ママ・パパがオススメする上位3作品は…アンケートに回答してくださったママ・パパに、最近、動画配信サービスで見た映画やドラマ、アニメなどで良かった作品・好きな作品を教えてもらい、回答数が多かった上位3作品を抽出しました! SPY×FAMILY今話題のアニメはこれ!2022年10月より第2クールが放送予定!「Amazon Prime Video」や「Netflix」、「dTV」、「Hulu」、「Disney+」、「AMEBAプレミアム」などで配信中。 スパイの男「黄昏」が、あるミッションにより、仮の家族を作る必要が出てくる。そこで、黄昏が集めた妻と娘は、実は母が殺し屋、娘が超能力者という強者揃い! そんな3人がおりなすホームコメディアニメ。ーそれぞれのキャラクターが濃く、特にアーニャがかわいくて、言葉のセンスが好きー元々マンガが好き、絵がきれいー娘が生まれるので、家族もののアニメやかわいいアーニャの描写に気分が上がったー自分に子どもが生まれたこともあり、家族愛を描いた作品に共感するからーコメディ色もあり、家族愛あふれる作品でおもしろいからーとても話題の作品だったから逆に敬遠してたけど、見てみるとやっぱりおもしろい! 名探偵コナンやっぱり王道のミステリーアニメがランクイン!「Amazon Prime Video」や「Netflix」、「dTV」、「Hulu」、「U-NEXT」などで配信中。 ある日、高校生で探偵をしていた工藤新一が、黒ずくめの男たちの怪しい取引を見てしまい、その黒ずくめの仲間に見つかってしまう。そして、薬を飲まされ、気がつくと子どもの姿に。その後、探偵事務所をしている毛利蘭の家に転がり込み、「江戸川コナン」として、自分の正体を隠しながら、数々の難事件や黒ずくめの正体などのたくさんの謎を解決していく物語。 ー作品数が多いからー映画もたくさん出ていて、暇つぶしになるからー1話完結型で飽きずに見られるからー大人も楽しめるから クレヨンしんちゃんいつまでも家族愛が強いこの作品も支持率が高い!映画も大人気!「Amazon Prime Video」や「Netflix」、「dTV」、「Hulu」、「U-NEXT」、「AMEBAプレミアム」などで配信中。などで配信中。 5歳児の野原しんのすけとその家族や周りの人たちの日常の中に巻き起こる出来事の様子を描いたギャグアニメ。 ー嫌な気持ちなく終始観れるからー家族愛があるからー子どもが好きだからー子どものころ好きで見ていたけど、自分に子どもができて一緒に見ると、今度は親目線で見ることができて、リアルな家族が描かれているんだなぁと思いながらやさしい気持ちで観れるからー子ども向けのものですが号泣した映画は初めてです なんとコメントが多かった上位3位はアニメでした。元々マンガで楽しんでいる方や、家族愛が描かれているから、子どもと一緒に見ていて感動したなど、子どもが生まれてから違う目線で楽しめるようになったといったコメントも多くありました。また、上記のアニメは1話を短時間でキリ良く見られる作品たちなので、少しの休憩時間でも見やすいのが、息抜きになり良いのかもしれませんね。他にも、アニメでは「アンパンマン」や「ポケモン」ドラマでは「孤独のグルメ」や韓国ドラマの「愛の不時着」、「イカゲーム」などが複数挙げられていました。 今後も、動画配信サービスの中で話題の作品や、親子で、またはママ・パパひとりで楽しめるようなオススメの作品を紹介していく予定です。お楽しみに!<調査概要>調査対象:株式会社ベビーカレンダーが企画・運営している「ファーストプレゼント」「おぎゃー写真館」「ベビーカレンダー全員プレゼント」のサービスを利用された方調査期間::2022年6月29日~2022年7月5日調査件数:121件(全国の育児中ママ・パパ )※本調査内容をご使用いただく際は、出典の記載をお願い申し上げます。また、画像データ等の改変はご遠慮ください。
2022年08月31日学生の頃に『ONE PIECE』と出合い、一気にハマったという秦 基博さん。「好きな作品の映画に関われるのは素直にうれしい」と柔和な笑顔を見せる秦さんは、過去にもアニメーション作品の音楽を数多く手がけてきた。今回、書き下ろした楽曲「風のゆくえ」には、いったいどんな思いが込められているのだろうか。――音楽をテーマに描く本作『ONE PIECE FILM RED』について、シンガーソングライターとして活躍されている秦さんの目にはどう映りましたか?音楽に携わっている身としては、歌というものが『ONE PIECE』の世界と繋がることが純粋にうれしくて。『ONE PIECE』の世界の中で音楽がどのように表現されるのか、興味深く脚本を読ませていただきました。――歌姫・ウタというキャラクターに対して感じたことは?歌を通して思いを表現していく部分に関しては、僕自身もミュージシャンなので共感できますね。ウタは明るく強い女性で、音楽を発信することでみんなを救いたいという思いを持っているけど、その根底には痛みや悲しみがあって。そのあたりも曲に落とし込めたらいいなと思いました。――ウタの歌唱部分はAdoさんが担当。そこは曲作りにおいて強く意識された部分ですか?そうですね。今回は自分が歌うわけではないので、Adoさんの歌声の魅力をイメージしながら作りました。パンチ力や切れ味など、Adoさんの声が持つ浸透力は出したいと思いました。また、力強さだけでなく、細かなニュアンスや声の表情も大変豊かな方なので、そこでウタの悲痛さや弱さが出るといいなと思いながら作っていきました。実際にAdoさんが歌われた音源を聴いたら、一曲の中にいろんな表情があって、とても感動しました。――「風のゆくえ」はAdoさんの伸びやかな歌声と壮大なオーケストラの音色が調和するバラードナンバーですが、制作サイドからはどんなリクエストが?事前に一度打ち合わせをして、谷口監督からは「応援歌であり、背中を押すような楽曲を作ってほしい」というお話で。実際、バラードにしようと決めて取り掛かったわけではなく、物語やキャラクターをイメージしながらああいう曲調になっていた感じですね。――今回、楽曲を制作する上で大事にされたことは?歌や音楽というものの在り方を表現したいなと思って。僕自身、自分の作った歌が聴き手にどんな影響を及ぼして、どう響いているのかを常に考えていて、そこで何かを見いだせたら自分が音楽をやっている意味にもなる。ウタにとってもそうなんじゃないかなと思い、そのあたりを曲に込めました。――曲を聴いていると、ルフィや海賊たちの冒険が目に浮かび、『ONE PIECE』の世界観もしっかり描かれているな、と。そこは意識しました。『ONE PIECE』の世界の中で、ウタの歌として生まれてきたような楽曲にしたいなと思っていたので。ただ、映画を観ている人たちにとっても遠くなりすぎないようにしたかったので、風や海、歌声など、自分たちにもイメージできる言葉を入れています。それは同時に、『ONE PIECE』の世界に存在するものでもあるんですけど。――「風のゆくえ」はエンディングでかかる楽曲であり、劇中歌としても2回流れる。登場場面が異なる分、制作のアプローチも難しそうですが。そうですね。最初に流れるのは、子供時代のウタがシャンクスたちの前で歌い、みんなが喜んでくれていて、純粋に歌うことの喜びを感じているシーンですが、結末で流れるときはまた全然違う。心情が変わるので、ひとつの感情だけを捉えるというよりは、ウタというキャラクターのいろんな気持ちを掬い取って、ひとつの曲にできればいいなと思っていました。――この映画に携わったことはどのような経験になりましたか?「風のゆくえ」という曲を生み出せたことは、自分にとってもひとつ大きな歓びでした。自分で歌うとなったらこの曲は生まれていない。女性のAdoさんが歌う想定で、ウタという人物が『ONE PIECE』の世界でどんなことを歌うのか、それを考えて作った曲なので。しかも今回は、お話の一部にならなければいけない。そういう楽曲を手がけられたことは自分の音楽活動においても貴重な経験になったと思います。はた・もとひろ1980年10月11日、宮崎県生まれ。2014年、『ひまわりの約束』をリリースし、大ヒット。現在、デジタルシングル「残影」配信中。9月よりファンクラブ限定ツアーも開催。ブルゾン¥39,600パンツ¥31,900(共にCULLNI/Sian PR TEL:03・6662・5525)カットソー¥5,500(green label relaxing)靴下¥1,980(CHICSTOCKS) 共にユナイテッドアローズグリーンレーベル リラクシング 自由が丘店 TEL:03・5731・8531靴¥14,300(MAISON MAVERICK PRESENTS/THE PR TEL:03・6803・8313)「風のゆくえ」エンディングでかかる曲であり、劇中歌としても重要なシーンで流れるバラードナンバー。「歌姫としても少女としても、ウタの強さや優しさを表現できたらいいなと思い、『私は最強』とはまた違う、ルフィや海賊たちにとっての追い風になるような歌い方を意識しました」『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』「風のゆくえ」含む7曲を収録したアルバムも好評発売中。通常盤ジャケットのウタ×Adoさんのコラボイラストは『ONE PIECE』原作者であり、本作の総合プロデューサーを務める尾田栄一郎先生の描き下ろし。通常盤¥1,980。Spotifyなど各種聴き放題サービスでも配信中。『ONE PIECE FILM RED』音楽の島エレジアで開催される歌姫・ウタのライブを訪れた、ルフィ率いる麦わらの一味。大勢のファンが埋め尽くす会場には、よからぬ思惑を持った者もいて…。原作・総合プロデューサー/尾田栄一郎監督/谷口悟朗脚本/黒岩勉音楽/中田ヤスタカ公開中。『ONE PIECE』1997年、『週刊少年ジャンプ』にて連載スタート。主人公のルフィが海賊王を目指して、仲間と共に戦い、成長していく冒険活劇。現在、103巻まで発売中。※『anan』2022年8月31日号より。写真・野呂知功(TRIVAL)スタイリスト・高橋 毅(Decoration)ヘア&メイク・ハラタタケヒコ(Artsy Life)インタビュー、文・関川直子(by anan編集部)
2022年08月28日自身のSNSでは度々『ONE PIECE』について触れ、本誌撮影時にはルフィの身体強化技“ギア2”ポーズもキメてくれた俳優の山田裕貴さん。自他ともに認める『ONE PIECE』ファンで、今回は念願だった『ONE PIECE』のゲストとして、映画『ONE PIECE FILM RED』オリジナルキャラクターのアフレコに挑戦。役柄の必殺技も考案するほどの熱の入れようだったそう。山田裕貴asエボシ――『ONE PIECE』をこよなく愛する山田さんにとって、映画に参加できることはどれほどの喜びなのでしょうか?『ONE PIECE』は僕の人生の教科書で、ルフィの生き方を指針に、これまでずっと生きてきて…。いつか、映画にゲストとして出演することを夢見てがんばってきたので、もう言葉にならないぐらいうれしいです。感謝しかない!それこそ僕のデビュー作は『海賊戦隊ゴーカイジャー』という海賊モチーフの戦隊ヒーローもので。同作にはサンジ役の平田広明さんも声で出演されていて。今回のアフレコ前に、平田さんからは「台本に名前見つけたぞ。がんばれよ」とDMをいただき、いっそう気合が入りました。――演じた役柄はクラゲ海賊団の船長・エボシ。映画の冒頭、ウタのライブで暴れる海賊ですが、キャラクターに対する思いは?お話を聞いたとき、たぶん最初のほうでルフィたちにぶん殴られるんだろうなーと思って。過去の映画もすべて観ているので、「ちょっとでもがんばって生き残れよ」という思いでした(笑)。でも、グランドラインを越えて新世界にいる海賊だから、それなりに強くて、覇気も使えて、特殊な技とかも出せるかもしれない。そう思い、勝手に“カツオノエボシ”という必殺技を考えて、アフレコ時、戦闘シーンで「カツオノエボシ!」とか「武装色!」と叫んでみたんです。そしたら監督から、「エボシは覇気、出せませんから。やめてください」と冷静に止められちゃいました(笑)。――並々ならぬ憧れを抱いていた作品のアフレコでも、ノビノビと自由に臨まれていたんですね。いやー、緊張しましたよ。でも、ルフィから生き方を学んできた僕としては、そこで怖じ気づいたらダメだと思って。大好きな作品で自分の力を出し切れずに終わったら、自分を許せなくなるから。ルフィのように怖じ気づくことなく進んでいかなければと思って演じていました。――今作は『ONE PIECE』では初めて音楽を題材にした映画で、楽曲は錚々たるアーティストの方々が提供されていますよね。本当に豪華で驚きました。まるで“音楽のバスターコール”をくらってるみたい(笑)。島ごと吹き飛ぶ攻撃力ですよ。もちろん物語も素晴らしく、『ONE PIECE』らしい命をかけた熱い戦いや思いを描きながら、今の世相も映し出している。ウタは信じる気持ちが強すぎて、それ以外の考えは悪だと決めつけて行動してしまった。その結果、悲劇が起こる。それは現代社会にも通じることで、例えば、SNSに載っている情報だけを見て、“あの人がそう言ってるなら正しいんだ”と信じて疑わない人が多い。僕は信じる気持ちより、何かを受け入れたり、受け止める気持ちのほうが強い力だと思っていて。そういうこともメッセージとして謳っているところが素敵だなと思いました。――さらに今作では、別次元ではあるけれど、ルフィとシャンクスの共闘も。激アツな展開ですよね。二人の「うぉー!!」という叫び声が重なっているだけでも「ありがとう」しかないし、ウソップと、ウソップの父であるヤソップの親子共闘もたまらない。僕の父も仕事で家を空けることが多く、あまり一緒にいられなかったので、自分とウソップを重ねたりして…。本当に泣けます。――山田さんがこれほどまでに『ONE PIECE』を愛する理由はどこにあるのでしょう?僕には大好きな言葉があって。「支配なんかしねェよ。この海で一番自由な奴が海賊王だ!!!」というルフィの台詞なんですが、それは人間が一番望むことなんじゃないかなって。何にも縛られず、自分のやりたいことをやり、仲間と生きていけるなんて最高ですよね。僕も誰になんと言われようと気にせず、自分らしく生きていきたい。そしたら最期を迎えるときも笑っていられる気がする。ルフィがローグタウンの処刑台で笑っていたように。そんな理想の生き方や教えが『ONE PIECE』には詰まっているんです。やまだ・ゆうき1990年9月18日生まれ、愛知県出身。2011年、俳優デビュー。現在、連続テレビ小説『ちむどんどん』に出演中。公開待機作に主演映画『夜、鳥たちが啼く』、映画『耳をすませば』など。ニットTシャツ¥24,200(ウェルノード/アルファ PR TEL:03・5413・3546)パンツ¥36,300(ニート/にしのや TEL:03・6434・0983)サンダル¥19,800(ルッカ TEL:050・5218・3859)その他はスタイリスト私物『ONE PIECE FILM RED』音楽の島エレジアで開催される歌姫・ウタのライブを訪れた、ルフィ率いる麦わらの一味。大勢のファンが埋め尽くす会場には、よからぬ思惑を持った者もいて…。原作・総合プロデューサー/尾田栄一郎監督/谷口悟朗脚本/黒岩勉音楽/中田ヤスタカ公開中。『ONE PIECE』1997年、『週刊少年ジャンプ』にて連載スタート。主人公のルフィが海賊王を目指して、仲間と共に戦い、成長していく冒険活劇。現在、103巻まで発売中。※『anan』2022年8月31日号より。写真・野呂知功(TRIVAL)スタイリスト・森田晃嘉ヘア&メイク・小林純子インタビュー、文・関川直子(by anan編集部)
2022年08月28日連載25周年、全世界累計発行部数は5億部超!冒険は最終章に突入し、ボルテージは最高潮。公開から圧倒的な話題を呼ぶ最新映画『ONE PIECE FILM RED』。キャスト陣が本音で語る魅力とは?主軸キャラのルフィ、シャンクス、ウタを演じたお三方を直撃。声に込めた、作品やキャラに対する思いを掘り下げる。名塚佳織(asウタ)×田中真弓(asルフィ)×池田秀一(asシャンクス)ついにシャンクスが劇場版に本格登場する。ファン待望の胸アツな物語に、ルフィ役の田中さんは「感慨深い」、シャンクス役の池田さんは「光栄なこと」と話す。そして、本作のヒロインの歌姫・ウタを担当した名塚さんは「アフレコでの二人の演技に息をのんだ」という。その舞台裏も大いに気になるところ。――まずは、脚本を読まれた際の率直な感想を教えてください。池田秀一:最初に話を聞いたときは二言三言しゃべればいいのかなと思っていたら、シャンクス大活躍でちょっと慌てましたね(笑)。名塚佳織:一人の力で何かを大きく変えるのは難しいことだと思いますが、立ち上がらなければ何も始まらない。脚本を読み、ウタの行動から、そんなことを感じました。田中真弓:シャンクスが出るのはすごくうれしいけど、会って、麦わら帽子を返したら、話が終わってしまう。よく尾田っち(尾田栄一郎)がシャンクスを劇場版に出すことを許したなと思ったら、快くOKされたそうで。でも、台本を読み、「なるほどな」と思いました。――場所は違えど、ルフィとシャンクスが共闘する。ファンにとってはたまらない展開で…!田中:二人で一緒に技を出したときはすごくうれしかったですね。しかも、実際には二人は会っていないので、今後がますます楽しみになりました。――今回、ルフィ、シャンクスを演じる上で意識された部分、演じられて感じた印象は?田中:今回は絶対的な悪・最強の敵も出てこないので、いつものルフィとはちょっと違う感じがありましたね。やりにくいということではなく、子供っぽくて楽しい部分もあるけど、ルフィも成長しているなと感じました。池田:シャンクスとしてはウタを守るという思いが強くて。あとは、僕自身は張り切りすぎるとろくなことがないので(笑)、平常心でいつもどおりに、脚本を読んで感じた直感を大事に演じましたね。――ウタに関しては歌唱パートをAdoさん、お芝居部分を名塚さんが担当されていますが、どのように役を作られていきましたか?名塚:自分の収録前に、Adoさんの歌が上がっていたので、すべて聴かせていただき、キャラクターを膨らませていきました。各楽曲にはウタの心情も盛り込まれていますし。注意したのは歌から台詞へのスムーズな繋がり。そこでテンションが変わってしまうと物語に集中できなくなってしまうので、そこは意識して演じました。――アフレコで印象に残っていることはありますか?名塚:ルフィとシャンクスの共闘シーンを、私はうしろで見させていただいたんですけど、息をのむ迫力と強さとカッコよさで。それを生で聞けるなんて贅沢すぎますよね。これほどにも真っすぐな気持ちを持って戦ってもらえる、なんて最高な“立ち位置”をいただいたんだろうと思いました。池田:シャンクスの「こいつは俺の娘だ。奪うつもりなら死ぬ気でかかってこい」というシーンで、監督からは「OK」が出たんだけど、もう1回やらせてもらったんです。本来これは禁じ手で、役者風情がそんなこと言ってはいけないんだけど、「採用しなくていいんで、こういうやり方もあるので聞いてください」とお願いして。田中:どんな感じに変えて、試されたんですか?池田:監督はド頭の「こいつは俺の娘だ」からフォルテでパッと突き抜ける感じをイメージしてたんだけど、俺はピアノでいきたくて。最終的には録り直したものを採用してもらっていました。――ゴードンに「ウタを助けてくれ」とお願いされたルフィが「当たり前だろ」と言うこの台詞も録り直したと伺ったのですが。田中:そうですね。私の案で、「当たり前だろ」をサラッと言いました。きっと、昔のルフィだったら力強く言うだろうけど、いろんな経験を経た今のルフィだったら、サラッと言うんじゃないかなと思って。池田:谷口監督も「どうぞ自由におやりください」というスタンスでいてくれたんだよね。名塚:ウタについて、事前に監督とすり合わせしていたとき「声優の皆さんは僕よりキャラクターのことをわかっているから、実際に収録でルフィやシャンクスとやりとりしてみて違うと思ったら変えていこう」とおっしゃられていて。監督はお二人に任せていたので、違うと感じたところは言ってほしいと思っていたんだろうな、と思います。池田:ありがたいことですね。――演じたキャラクターのお気に入りシーンを挙げるとしたら?田中:前述の「当たり前だろ」という台詞は印象に残ってます。とてもルフィらしさが出ているので。池田:シャンクスの登場シーンで、ウタに「久しぶりに聞きにきたお前の歌を」という台詞。これはやっぱり好きですね。田中:シャンクスっぽいねー。名塚:そうですね。私は最後にウタが「みんな大丈夫かな」と確認する場面。最後までみんなのことを案じていて、シャンクスに「そんなヤワじゃない」と言ってもらえて安心する。シャンクスのその一言は私自身にも刺さりました。――シャンクスの一言一句が胸に響く今作。改めて、シャンクスという人物の魅力とは?田中:カッコよくて、私も大好きなんだけど、敵に回したら絶対に怖いと思う。普段はおおらかで、慌ててオロオロしたり、お茶目だけど、そこに怖さが共存している。そのギャップがまた魅力。名塚:まさにそうですね。強くてカッコよくて、ついていきたくなる男性。だけど、そんなシャンクスをくしゃっと笑わせてみたくなる感じもあります(笑)。池田:なんだか照れくさくなってきちゃったな。俺のことを言ってるわけじゃないのに(笑)。田中:いやいや、照れて正解。名塚:一体化してますからね。田中:池田さんの声が乗って、シャンクスだから。海のように深く優しい声なんだけど、怖さも感じる。だからこそカッコいいんです。写真左から、なづか・かおり4月24日生まれ、東京都出身。代表作は『コードギアス 反逆のルルーシュ』(ナナリー・ランペルージ役)や『ハイキュー!!』(清水潔子役)など。声優の他、舞台女優としても活躍中。たなか・まゆみ1月15日生まれ、東京都出身。『ドラゴンボール』シリーズのクリリン、『忍たま乱太郎』のきり丸など、少年役の声を数多く務める。劇団「おっ、ぺれった」主宰としても活動。いけだ・しゅういち12月2日生まれ、東京都出身。『機動戦士ガンダム』のシャア・アズナブルや『名探偵コナン』の赤井秀一など、人気キャラの声を担当するベテラン声優。洋画の吹き替えも務める。『ONE PIECE FILM RED』音楽の島エレジアで開催される歌姫・ウタのライブを訪れた、ルフィ率いる麦わらの一味。大勢のファンが埋め尽くす会場には、よからぬ思惑を持った者もいて…。原作・総合プロデューサー/尾田栄一郎監督/谷口悟朗脚本/黒岩勉音楽/中田ヤスタカ公開中。『ONE PIECE』1997年、『週刊少年ジャンプ』にて連載スタート。主人公のルフィが海賊王を目指して、仲間と共に戦い、成長していく冒険活劇。現在、103巻まで発売中。※『anan』2022年8月31日号より。写真・野呂知功(TRIVAL)スタイリスト・ナミキアキ(池田さん)ヘア&メイク・MAKI(TOKYO LOGIC/池田さん)インタビュー、文・関川直子(by anan編集部)
2022年08月28日映画、ドラマ、舞台など幅広く活躍している塩野瑛久さんは、自他ともに認めるアニメオタク。多忙な生活を送る中、新しくスタートする深夜アニメは、予告やティーザーを必ずチェックし、放送開始に備えるという。感動する深夜アニメって、作り手の熱量が違いますね!――深夜アニメを見るきっかけとなった作品は何ですか。塩野瑛久:2016年放送の『Re:ゼロから始める異世界生活』です。テレビをつけたら、たまたま第1話が放送されていて衝撃を受けました。それまでは、『ONE PIECE』『NARUTO‐ナルト‐』など、少年漫画系のアニメをよく見ていたので、女の子が出てくるようなファンタジー系のアニメは少し抵抗があって敬遠していたのですが、なんとなく見始めたら、絵と内容のギャップにどんどん引き込まれていき、まさかのエンディングに驚愕して、ドハマり!それからほかの深夜アニメもチェックするようになりましたね。――「これはヤバイぞ!」と思う作品はどんなものですか。塩野:それはもう何といっても、制作会社のこだわりが見える作品。作り手の熱量が違うものは、予告やティーザーを見ただけでわかります。たとえば、最近アニメ化されて話題になっている『SPY×FAMILY』は、もともと注目されていたし人気になるだろうなとわかっていましたが、予告を見て期待値がグッと上がったんです。お父さんのロイド・フォージャーが、眠っている娘のアーニャを抱えているシーンが予告にあったのですが、アーニャのよだれが垂れて、それが服に付いてシミになる瞬間が描かれていたんです。多分それはマンガには描かれていないシーンだろうし、あそこまでリアルに描写しなくてもいいのに、そこまでやる制作会社の熱量にグッときたんです。原作がベースになっているアニメも、原作にないコマとコマの間に新たなコマを挿入して、物語の世界観を底上げするような工夫が凝らされていると感動しますね。アニメはジャンルによっても注目ポイントは変わるんですが、たとえば会話劇ならば、テンポの良さやそのやり取りに引き込んでいくために、一枚一枚のカットで心の機微を丁寧に紡いでいるものだったり。戦闘ものならば、武器を振りかざす瞬間からありえないくらい腕が後方に伸びて、顔がアップになって、そこから武器がしなるように前に出てきたり!と、小気味のいいコマ割りで迫力やスピード感を感じられるものだったりします。二次元ならではの美しさや三次元では成し得ないカメラワークを用いていて、アニメーションに落とし込んでいるものに、ヤバさを感じます。――すごく作り手目線でアニメを見られているんですね!塩野:だって僕らは三次元の世界に生きているから、こぶしをぎゅっと握ったり、唇をきゅっと噛むのは、脳から信号を送れば一瞬でできてしまう。でもそれをアニメーションにするには、唇の細かい動きから構図、感情を表す演出まで、すべてゼロから生み出さないと表現できない。CGで誤魔化さずに、伝えたいことを作画にすべて詰め込み、一枚一枚丁寧に描いていく。これを描くのにどれだけの時間を要したのだろう…と裏側の努力を考えずにはいられない。でもそのこだわりが作品の質を確実に上げているので、僕はその一つ一つを見逃したくないし、ちゃんと細部まで見ている人がここにいます!と、クリエイターさんたちにも伝えたい(笑)。塩野さんがセレクト。絶対に見るべき3作品。――アニメに対するリスペクトと愛があふれてますね!アニメにあまり馴染みのない人も夢中で見られるような、最近のおすすめを3作品を挙げるなら?塩野:優秀な作品ばかりなので3本に絞るのは難しい!!けれどまず1作目は『アーケイン』。オンラインゲーム『リーグ・オブ・レジェンド』がベースになっている映像作品で、とにかく一カット一カットが洗練されていて、もうこれはアートの域!なおかつ物語の構成だったりとか、胸を熱くする展開が盛りだくさんで見逃せません。2本目が『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』。小太りな青年が異世界に転生して、本気を出すという話です(笑)。スケールの大きな世界観が素敵で、たまにくるバトルシーンも爽快なんです。最後は『Vivy‐Fluorite Eye’s Song‐』。歌でみんなを幸せにすることを使命に持つ主人公のAIのもとに、100年後に起こるAIと人間の戦争を止めてほしいと、未来から現れたAIが協力を求めに来るんです。主人公がどのように未来に立ち向かっていくか、衝撃的な展開がいくつも含まれていて、先が予想できません!作画が本当に美しく、アクションシーンの滑らかな動きにも注目です。――塩野さんが深夜アニメに求めることはどんなことですか?塩野:目の保養、現実逃避、興奮ですね。もう素晴らしい深夜アニメに出合うと、よくわからない情緒になって見終わってから10分ぐらい放心しています(笑)。アニメもマンガも日本が世界に誇る文化なので守っていきたいですが、最近優秀なクリエイターさんが海外の巨大企業にどんどん引き抜かれていて、悲しくもある。もちろん世界で活躍してほしいですが、できれば日本から良質な作品をたくさん輩出してほしいですよね。僕は見て楽しむことしかできませんが、ずっと応援し続けます。準備期間6年間!フランスのアニメ作品。『アーケイン』繁栄を遂げる都市ピルトーヴァーと、その下に広がる街ゾウンを舞台に、敵同士として戦いに身を投じる姉妹の運命を描く。シーズン2の制作も進行中。©Netflixシリーズ『アーケイン』独占配信中「人生やり直し」ファンタジー!『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』34歳のニートだった男はある日、交通事故に遭い死亡…したと思った次の瞬間、剣と魔法の異世界に、生まれたばかりの赤ん坊として転生する。©理不尽な孫の手/MFブックス/「無職転生」製作委員会これは〈私〉の100年の旅――。『Vivy‐Fluorite Eye’s Song-』主人公ヴィヴィは史上初の自律人型AI。ヴィヴィの使命は「歌でみんなを幸せにすること」。そこに100年後の未来からマツモトと名乗るAIが現れる。©Vivy Score / アニプレックス・WIT STUDIOしおの・あきひさ1995年1月3日生まれ、東京都出身。8月8日よりPARCO劇場で、舞台『VAMP SHOW』の公演がスタート。出演する映画『HiGH&LOW THE WORST X』は、9月9日公開予定※『anan』2022年8月10日号より。取材・文、鈴木恵美(by anan編集部)
2022年08月06日2022年で放送開始から30周年を迎えた、アニメ『クレヨンしんちゃん』(テレビ朝日系)。同年8月6日、30年という長い歴史のある同番組に、新たなキャラクターが登場します。その名も、野原せまし。主人公である野原しんのすけの父親、野原ひろしの兄です!情報解禁8月6日(土)放送ひろしの兄・野原せましアニメ初登場~✨足臭くないけど、ケチくさい⁉️⁉️演じるのは声優・#細谷佳正 さん❗❗8月6日(土)夕方4時30分「野原さんと物語~遅れてきたせましSP~」お見のがしなく~ #クレヨンしんちゃん #kureshin @hosoya_info pic.twitter.com/koWMYvyicv — クレヨンしんちゃん【公式】 (@crayon_official) July 29, 2022 せましは、1994年に発売された、原作である漫画『クレヨンしんちゃん』の第24巻で登場していましたが、これまで、アニメには登場していませんでした。2022年8月6日に放送される『野原せまし登場!だゾ』は、突然、せましが、しんのすけの家に泊まりに来るという内容。今回放送されるのが「野原せまし登場!だゾ」。初登場するせましは、なんと秋田県からヒッチハイクでしんのすけの家にやってくるという《超どケチキャラ》。しかも、やってきた理由も驚がくで――!?冒頭から、会うのが久しぶりですぎて、自分のことを覚えていないしんのすけに「お前の本当のお父さんなんだよ」と笑えない冗談を飛ばし、みさえを困惑させます。はたして、せましが秋田からわざわざ埼玉にやってきた理由とは?そして、野原家に一泊し巻き起こるドタバタの行方は――!?クレヨンしんちゃんーより引用ケチなせましが、しんのすけの家に泊まりに来た理由が気になりますね!ネットからは、せましが登場する回を楽しみにする声が上がっています。・え!せましがアニメに登場するのか!楽しみすぎるー!・ひろしにお兄ちゃんがいたの!?知らなかった。これは見なければ。・名前が『ひろし』に対して、兄は『せまし』なんだ!笑った。・これまで一度もアニメに出ていなかったことが意外!どんな回になるか、期待が高まります!これまでアニメに出ていなかった、せましの登場を、見逃せませんね![文・構成/grape編集部]
2022年07月30日『シン・ゴジラ』『シン・エヴァンゲリオン劇場版』『シン・ウルトラマン』『シン・仮面ライダー』。庵野秀明氏が参加する“シン・”を冠した作品の繋がりから、東宝、カラー、円谷プロ、東映の4社が会社の垣根を越え、日本を代表するヒーロー4作品による夢のコラボレーションを実現。その奇跡のプロジェクト「シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース(S.J.H.U.)」が始まった。企業とのコラボ商品発売や、ポップアップ・ギャラリーなどさまざまな試みが展開される中、注目なのがプロジェクトの世界観を体験できるイベント「シン・ジャパン・ヒーローズ・アミューズメントワールド」だ。ここでは、作品のオリジナルのアトラクションやミニゲーム、VRアクティビティが楽しめるほか、イベント限定イラストなどを使ったオリジナルグッズや、各作品をイメージしたフードメニューの販売も。イベントのプロデューサーである、バンダイナムコアミューズメントの久家麻衣子さんによると、「これら4作品は、それぞれが同じように日本を代表するヒーローなので、ウルトラマンや仮面ライダーなど主人公全員が等しく主役となるように意識しました。また、アトラクションの『シン・765作戦』では、イベントオリジナルのキャラクターも登場するので、コアなファンが4作品の世界観を楽しめるのはもちろん、親子でミッションにトライもできるので、ファミリーでも楽しんでいただけると思います」とのこと。現在は横浜で開催中。その後は大阪、福岡で。ぜひ足を運んでみて!アトラクション&VRアクティビティが楽しめる。シン・765作戦S.J.H.U.スペシャルコラボアトラクション。世界不明事象監視団/G.U.E.K.の一員としてミッションをクリアして危機的状況を攻略していく。禍威獣第8号撃退作戦禍特対の新人分析官となって禍威獣の脅威に立ち向かい、映画のワンシーンを体験しよう。VRアクティビティパイロットとしてエヴァの操作体験ができる「エヴァンゲリオンVR The魂の座:暴走」と、攻撃ヘリを操縦してゴジラと戦う「ゴジラVR」の2種類。「シン・ジャパン・ヒーローズ・アミューズメントワールド」横浜:バンダイナムコ Cross Store 横浜(横浜ワールドポーターズ2F)開催中~8月21日(日)10:30~20:00入場無料大阪:HEP FIVE(HEP FIVE9F)9月3日(土)~10月2日(日)博多:バンダイナムコ Cross Store 博多(キャナルシティ博多B1)10月12日(水)~11月6日(日)©TTITkTM& ©TOHO CO.,LTD.©カラー©2022「シン・ウルトラマン」製作委員会©円谷プロ©石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会©Bandai Namco Amusement Inc.※『anan』2022年7月27日号より。写真・土佐麻理子(by anan編集部)
2022年07月26日今回、ご紹介するのは、映画『とんがり頭のごん太 ―2つの名前を生きた福島被災犬の物語―』。福島県を舞台に、飼い主家族と生き別れた被災犬・ごん太をめぐる奇跡の物語を描いた長編アニメーションです。飼い主家族とごん太の再会に尽力した主人公・吉野由紀を演じた、人気声優の石川由依さんにお話をうかがいました。「流れが崩れないように、涙をこらえて演じました」【イケメンで観るドラマ&映画】vol. 115映画『とんがり頭のごん太 ―2つの名前を生きた福島被災犬の物語―』の原案は、仲本剛氏によるノンフィクション『福島 余命1カ月の被災犬 とんがりあたまのごん太』。福島県の最東端、浜通り北部にある浪江町を舞台に、飼い主と生き別れた被災犬・ごん太をめぐる奇跡の物語を描いた長編アニメーションです。ペットを救済するボランティアのひとりとして、ごん太と関わる主人公・吉野由紀を演じるのは、石川由依さん。『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のヴァイオレット・エヴァーガーデン、『進撃の巨人』のミカサ・アッカーマンなど、多くの人気アニメでメインキャラクターを担当。第8回声優アワードでは助演女優賞を、第15回では主演女優賞を受賞した実力派として知られています。ーー本作へ出演するために、オーディションを受けたそうですね。石川さん東日本大震災をテーマにした繊細な作品を生半可な気持ちでは演じることができないと思い、オーディションの前から脚本を読ませていただきました。主人公を演じることが決まったとき、監督から自然なお芝居をしてほしいと言われました。本作はドキュメンタリーに近い作品なので、役を作り込んだり個性を出したりするよりも、どう演じようかという迷いを残して、主人公・吉野由紀の迷う気持ちに近づけていこうと思いました。ーー石川さんご自身が、福島にゆかりをお持ちだとか。石川さん本作に出演する話を母にしたときに初めて知ったのですが、母方の祖父が福島生まれだったんです。曽祖父母が福島の人だったと聞き、この役に運命を感じました。私はまだ福島に行ったことがないので、改めて福島に行ってみたいという気持ちが強くなりました。ーー完成した作品を初めてご覧になったとき、どう感じましたか?石川さん東日本大震災から11年経ちますが、本作を観て当時のことを思い出しました。報道されなかったこと、知らなかったことがたくさん描かれていると思います。ーーごん太が、黄色い花が一面に咲いている場所を歩いていくシーンはとても印象深いですね。石川さんあのシーンでは、監督から気持ちを込めて演じてくださいと言われました。私が号泣して作品の流れが崩れないように、涙をこらえて演じました。ーー石川さんが常日頃、役を演じる際に意識していることは?石川さん同じ質問をいただいたとき、よく“呼吸”とお答えしているのですが、自分でもちゃんとできているのか、不安に思うときがあります。常に、“呼吸”をちゃんとできるようにしたいと思っています。“呼吸”を追求することによって、セリフだけではなく、息遣いが自然とでき、よりキャラクターが立体的なものになると思っています。ーー美声で知られる石川さんが、美しい声を保つために行っていることを教えてください。石川さん私は自分の声を美しいと思ったことはなくて。声優のお仕事をされている方は、かわいらしい声や低い声など、とても特徴的な声をされている方が多いので、昔から“私はこんな普通の声で声優をやっていていいのか”と思っていました。声を保つための決めごとを作ってしまうと、それができないときに不安になってしまうので、特別なことはやっていません。のどが痛かったり、枯れたりしたら、保湿するくらいです。ーー劇中に登場する、なみえ焼きそばがとてもおいしそうに描かれていました。本作を観た方は、きっと食べたくなると思います。石川さん本作とコラボしたなみえ焼きそばをいただいて、自宅で作って食べてみたのですが、とてもおいしかったです。もやしと豚バラがあれば作れるシンプルな食べ物で、極太麵にソースがからんでいるところも最高でした。福島へ行って、現地のなみえ焼きそばを食べてみたいです。ーー最後に、本作の見どころをお願いいたします。石川さん現在も大変な思いをされている方がいらっしゃいます。東日本大震災を体験した方も、経験していない子どもたちも、本作をご覧になって、こういうことがあったということを知っていただきたいと思います。地震は日本のどこにでも起こりうることですから、本作が東日本大震災を忘れないため、そしてこれからのことを見つめなおすためのきっかけになればうれしいです。インタビューのこぼれ話NHK Eテレにて放送している、サンエックス初の地上波全国放送アニメシリーズ『チキップダンサーズ』のメインキャストとしても活躍中の石川さん。『チキップダンサーズ』で複数のキャラクターを見事に演じ分け、子どものファンも急増していることに触れると、「嬉しいです(笑)」と満面の笑みに。ミュージカル『シデレウス』に出演するなど、多彩な活動を続ける石川さんの今後にも注目です!Information映画『とんがり頭のごん太 ―2つの名前を生きた福島被災犬の物語―』7月25日よりU-NEXTで配信決定声の出演:石川由依/斉藤暁、神尾佑、置鮎龍太郎ほか監督・脚本:西澤昭男原案:仲本剛『福島余命1カ月の被災犬とんがりあたまのごん太』(光文社)後援:福島県、浪江町、双葉町、葛尾村、神戸市、福島県教育委員会、浪江町教育委員会、神戸市教育委員会協力:福島民報社、光文社製作・配給:株式会社ワオ・コーポレーション©2022 ワオ・コーポレーション/光文社衣装協力:AOIWANAKA、ma chere cosette?写真・関谷のびこ文・田嶋真理 スタイリスト・金野春奈ヘアメイク・SUGANAKATA(GLEAM)写真・関谷のびこ 文・田嶋真理 スタイリスト・金野春奈 ヘアメイク・SUGANAKATA(GLEAM)
2022年07月20日子どもから大人まで、高い人気を誇るキャラクターのひとつといえば、個性豊かな“謎の生物”ミニオン。『怪盗グルー』シリーズなどでも大活躍を見せてきましたが、最新作『ミニオンズ フィーバー』では、さらなるハチャメチャぶりが話題となっています。そこで、ミニオンの大ファンだというこちらの方々にお話をうかがってきました。市村正親さん & 尾野真千子さん【映画、ときどき私】 vol. 500今回、日本語吹替版のキャストとして、シリーズ初参戦を果たした市村さんと尾野さん。劇中ではグルーが敬愛する悪党のワイルド・ナックルズを市村さん、そして悪党チームの新リーダーとして君臨するベル・ボトムを尾野さんが演じています。そこで、初対面で感じたお互いの印象や意外な事実、そしておふたりの生きがいなどについて語っていただきました。―本シリーズには、おふたり一緒のタイミングで初参加となりましたが、実際に会われてみていかがでしたか?市村さん実は、さっき初めてお会いしたんですが、こんなにおもしろい方だとは思わなかったですね。尾野さん申し訳ございません(笑)。市村さんこれまでの作品ではシリアスな役も多かったので、そういう印象を持っていましたが、これからは違った目で見てしまいそうですね。「すましているけど、本当はそうじゃないだろ?」と(笑)。尾野さんあははは!でも、そう思われても仕方ないですよね。市村さんただ、新しい魅力を発見できてうれしかったです。やっぱり人は見た目だけではわからないものですから。尾野さん私はテレビや舞台などでいろいろと拝見させていただいていたので、初めてというよりも、すでに知り合いのような気分だったというか(笑)。あと、オーラがすごいので、もっとお顔が大きいと思っていました。市村さんあははは!尾野さん正直で本当にごめんなさい。でも、実際にお会いすると、思っていたよりもお顔が小さくていらっしゃるので、やっぱり俳優さんとして魅せる力をお持ちの方なんだというのを実感しました。お会いできてよかったです。人間らしい部分のある悪役を演じるのが好き―本作でおふたりが演じられたのは、世界で最も名高いヴィランチームの一員ですが、悪役を演じるのはお好きですか?市村さん僕は舞台で悪役系の役を演じることが多いんですよ。ただ、母が生きていたときに、「いくら主役でも人を殺すような役はやらないでほしい」と言われていたので、とことん悪い役というのは嫌ですね。実際、僕が演じるキャラクターはどれも人間らしい部分を持っているタイプなので、そういう悪役は好きです。だから、今回のワイルド・ナックルズもよかったですが、尾野さんのベル・ボトムは本当に悪い奴ですよね。地でやってるんじゃないかな?尾野さん(笑)。でも、私は悪役をやりたいと思っていました。そのほうが、やりがいがあるんだろうなと考えていたので。とはいえ、いざやってみると、普通の人のほうがやりがいあることに気がつくんですけど、やっぱり憧れてしまうところはありました。なので、今回できたことはすごくうれしかったです。いろんな人からたくさんのことをもっと吸収したい―市村さんは「ワイルド・ナックルズはグルーが憧れる悪党だけど、自分は憧れられる俳優でいたい」とコメントされていますが、すでにおふたりは多くの方に憧れられる存在ではないかと。おふたりにとって“いい俳優の条件”のようなものはありますか?市村さんシンプルに言えば、自分の仕事や役を好きでいられるかどうかじゃないでしょうか。好きだからこそ、掘り下げていけるものですからね。僕自身も、いろんなものに興味や関心を示し、好奇心を強く持つことを意識しています。あと、ちょっとキザなことを言いますが、人間が好きなこともいい役者である条件なんじゃないかな。尾野さん私はまだまだ先輩方に憧れている立場なので、自分が先輩と呼ばれることにもなじみがないくらい。日々、いろんなジャンルの方からもっとたくさんの情報を得たいと思っていますし、いまはまだそれを吸収している段階です。なので、私がいい俳優について話すのはおこがましいというか、考えたこともなかったかもしれないですね。―ちなみに、おふたりが憧れていた方はいますか?市村さん僕が昔から好きなのは、アル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロ、ダスティン・ホフマン。日本の俳優さんでいえば、いろんな名作に出演されていた滝沢修さんを学生のころから見ていました。若い頃は、好きな俳優さんのニュアンスを何となく真似したくなることもありましたね。尾野さん私は、いまでも各現場に憧れの人がいます。特に、その現場で輝いている人は素晴らしいなと思うので、作品ごとにどんどん増えていて、数えたらきりがないのではないかなと。それはお年を召した方だけではなく、子役でもすごいなと感じたら憧れます。ほかにも、最初はどちらかというと苦手という印象があった人でさえ、現場で一緒になって大好きになることもあるほどです。そういう意味では、今回市村さんにお会いしてから、「どんなことを考えているらっしゃるんだろう」と気になっています。カラオケが歌えない理由とは?―ちなみに、いま市村さんに聞いてみたいことはありますか?尾野さんまずは、声の出し方をどうされているのかは学びたいですね。市村さん尾野さんはすごくいい声していると思いますよ。声が響くような口の形というか、そういう体形を持っていますから。尾野さん自覚はないですが、そうなんですか?市村さんちなみに、歌は歌いますか?尾野さんいえ、カラオケ程度です。市村さんカラオケが歌えれば十分ですよ!僕なんて、カラオケで歌えませんから。尾野さんどういうことですか?市村さんミュージカルで歌を歌うときは、しっかりと稽古をして、役や歌詞の内容を掘り下げてから歌いますが、カラオケって行ったらすぐに歌わないといけないですよね?それができないので、カラオケのときは蚊の鳴くような小さな声で歌ってるんですよ(笑)尾野さんえー!それはびっくりです。市村さん練習していないとダメというか、他人の歌のような気がしてしまうんでしょうね。ミュージカルだと、自分の役の歌だと思えるから歌えるんですが、カラオケでは情けないくらい声も小さくて音程も悪いんですよ……。尾野さん勝手な想像で、カラオケでも完璧だと思っていました。僕にとって、歌は歌ではなくて叫び―おそらく誰もがそうイメージしていると思うので、かなり意外です。市村さん僕にとっては、歌は歌じゃないというか、その人の叫びや恋の切なさだったり、そういうものなんだと思います。だから、舞台で自分の声に酔って歌っているような俳優を見ると、後ろから「こら!」とツッコミたくなりますよ(笑)。尾野さん本当におもしろいお話ですね。ずっと聞いていたいです!市村さん『キンキーブーツ』で三浦春馬くんを見たときには、「あんな歌を歌える人がいるなんて」と驚きましたし、すごいなと思いました。尾野さんも絶対にできますよ!尾野さんいやー、怖いです。でも、乞うご期待ください(笑)。―ぜひ楽しみに待っております。本作のミニオンたちといえば、最強最悪のボスに仕えることが生きがいですが、いまおふたりにとっての生きがいといえば?市村さん僕は10歳と14歳の子どもたちですね。もう、完全に彼らが僕のボスですよ!嫌われないように一生懸命仕えています(笑)。尾野さんあははは!私は、夫が生きがいかもしれないですね。仕事をしていても「この人のためにがんばりたい」と支えになりますし、「この人のために生きていたい」と思うこともあるので、いまは自分の心も生活もとても充実しています。こんなふうに、一緒にいて同じ気持ちをわかち合おうとしてくれる存在はいままでいなかったので、夫がいい生きがいになっていますね。結局はがんばることしかできないと感じている―素敵なお話をありがとうございました。それでは最後に、人生の先輩でもあるおふたりから、ananweb読者に向けてメッセージをお願いします。尾野さん駆け出しの頃、私は「がんばれ」という言葉が嫌いでした。というのも、「こんなにがんばっているのにまだがんばらなきゃいけないの?」とか「何をがんばればいいのかわからない」と思っていたからです。でも、日々いろんなことを達成したとしても、また次に向かっていかないといけないわけで……。結局は、がんばることしかできないのではないかと考えるようになりました。なかには「がんばれ」という言葉に心を痛める方もいらっしゃるかもしれないですが、振り返ってみると、私自身は「がんばってね」と言われて励まされてきたことが多かったんじゃないかなと。私なんかが言ってもいいのかわかりませんが、それでも私はみなさんに「がんばれ」という言葉を送りたいなと思います。市村さん僕からは「楽しめ!」ということを伝えたいですね。舞台の場合、海外から来た演出家と仕事をすると、「稽古場では苦しめ」と言われますが、初日になると「楽しめ」と言うわけですよ。僕たちがエンジョイしていないと、観客もエンジョイできないからと。そんなふうに、苦しんだり、がんばったりすることがあっても、最終的に楽しめる方向にいければいいんじゃないかなと思っています。自分なりの表現をできるようになることが楽しい―ちなみに、市村さんほどのキャリアをお持ちでも、稽古は苦しいものでしょうか。市村さんそうですね。特に、新作はセリフを覚えるのが大変だし、その意味を探って表現するまでには時間がかかりますから。でも、僕はセリフを覚えるのが大好きなんですよ。尾野さんそうなんですか!?すごいですね。市村さんシェイクスピアみたいな長いセリフでも大好きなので、台本が残り2、3ページくらいになってくると、逆に寂しくなってきて覚えたくなくなっちゃうくらい(笑)。セリフが自分のカラダに入ってきて、自分なりの表現ができるようになると楽しいので、その作業が一番好きというか、そのためにこの仕事をしているんじゃないかな。尾野さん本当に、市村さんからは楽しんでるのが伝わってきて素敵だと思います。インタビューを終えてみて……。初対面直後とは思えないほど、ぴったりと息の合ったやりとりを繰り広げていた市村さんと尾野さん。笑いはもちろんのこと、驚きと学びも詰まった取材となりました。周りを元気にするパワフルなおふたりをこれからも見習っていきたいです。すべてはここから始まった!今回も予測不能な展開で大騒動を巻き起こし、かわいさもおもしろさも大フィーバーのミニオンたち。大切な仲間たちの絆にジーンとするなか、ついに明かされるミニオンと怪盗グルーの始まりの物語となる“最大の謎”もお見逃しなく!写真・北尾渉(市村正親、尾野真千子)取材、文・志村昌美ストーリー1970年代、ミニオンたちはミニボスとして崇拝する11歳の少年グルーのもとで日々悪事を働いていた。そんななか、世界で最も名高いヴィランチームの「ヴィシャス・シックス」では、伝説の悪党であるワイルド・ナックルズがリーダーから追放され、新リーダーとしてベル・ボトムが君臨することに。そんなある日、グルーが何者かにさらわれてしまい、ミニオンのケビン、スチュアート、ボブは、ミニボス救出のため奔走。その過程で起きた事件をきっかけに、カンフーの達人マスター・チャウと出会い、弟子入りする。それこそが、その先で待ち受ける厳しい道の始まりだったのだ……。大騒ぎの予告編はこちら!作品情報『ミニオンズ フィーバー』7月15日(金)公開配給:東宝東和©2021 Universal Pictures and Illumination Entertainment. All Rights Reserved.写真・北尾渉(市村正親、尾野真千子)
2022年07月13日2019年に開催され大好評を博した「鈴木敏夫とジブリ展」がこの夏バージョンアップして帰ってくる。『風の谷のナウシカ』をはじめ数々の名作を生み出すスタジオジブリの名プロデューサーとして知られる鈴木敏夫さんとはそもそもどんな人?鈴木敏夫を創ったものとは?来て観てわかる、本とジブリ作品との深い関係。「メインの仕事はプロデューサー業ですが、鈴木さんの書いたキャッチコピーがセリフになったり、書いた文字がそのままタイトルになったり。時には絵コンテも自ら描くなど枠にとどまらない方。果たして頭の中はどうなっているのか。鈴木さんの内部に入り旅をしながら鈴木敏夫の全体像を見ていきたいと思いました」と本展のアートディレクターを務める小松季弘さん。会場では少年期、青年期、徳間書店時代、ジブリを設立してから現在に至るまでの道のりをたどりながら、当時の鈴木さんが何をどうインプットし、アウトプットにつなげていったか、脳内変換の道筋を探る。そして展示の最後を飾るのは、約8800冊の蔵書を再現したという高さ約3mの大本棚。「ラインナップは『少年画報』など少年少女向けの漫画雑誌から、『赤毛のアン』などの児童文学、それから小説、ノンフィクション、詩集、評論、人類学や社会学の本、歴史本にいたる幅広いジャンルがあります。本棚を見るとわかるのは、手塚治虫さん、杉浦茂さんの漫画をこよなく愛していたり、音楽にも造詣が深く、荒井由実さんが大好きだったり。美術にも詳しく、落語もお好き。キリスト教など宗教に関することも、若い頃から勉強されていたようです」驚くべき多趣味、博覧強記ぶり。「とはいえ全部自分から読み始めたわけではなく、高畑勲・宮﨑駿両監督の影響も大きい。『この本読んだよ』と聞くたび鈴木さんの本棚に高畑さん、宮﨑さんが持つ本が増えていき、それが血肉となり3人の体内に膨らんでいった。だから鈴木さんの本棚は実は高畑さんの本棚でもあり、宮﨑さんの本棚でもあるのです」なかにはジブリ作品のキーワードになった本も多数潜んでいるとか。本棚の展示空間は鈴木さんの隠れ家兼事務所の一室を再現。ウィリアム・モリスの壁紙が貼られ、本の隙間にはフィギュアやおもちゃが。居心地のよさと遊び心、まるでご本人を彷彿とさせる空気が漂っている。そのほか、漫画雑誌をすべて捨てずに部屋に溜め込み、繰り返し読んでいたという少年時代の四畳半を再現した展示も見どころの一つ。ジブリ作品の名ゼリフを鈴木さんが書に書き、立体にしたものを空中から吊り下げたゾーンもセリフの力強さが改めて蘇ってくる。「『次の新作はこういうふうに作るんじゃないかな?』、そんな予感をさせてくれる展示になっていると思います。ぜひ会場に足を運んで想像をふくらませてみてください」大好きなトトロと記念撮影。『となりのトトロ』でサツキが初めてトトロに出会ったバス停のシーンを再現したフォトスポットで、トトロや小トトロといっしょにパチリ!大迫力のおみくじコーナー。湯婆婆と銭婆の口からおみくじが飛び出す!リアルなサイズ感の湯婆婆たちの頭部は迫力満点。開くと鈴木さんからの嬉しいメッセージが。名プロデューサーを育んだ約8800冊の本が一堂に。鈴木敏夫さんの隠れ家「れんが屋」を再現した空間に圧巻の約8800冊がずらり。一部は手に取って見ることもできる。『千と千尋の神隠し』に登場するカオナシが読書中。※写真は2022年4~6月に開催した京都展のもの。『千と千尋の神隠し』のあの建物が目の前に。『千と千尋の神隠し』に登場する湯屋「油屋」をモチーフにした「油屋別館」が登場。冷やし足湯が楽しめるチケットも数量限定で販売中。※画像はイメージ。鈴木敏夫とジブリ展東京・天王洲寺田倉庫 B&C HALL/E HALL東京都品川区東品川2‐1‐3開催中~9月7日(水)10時~20時(入場は19時半まで。1時間ごとの日時指定入場制)無休(休館日が発生する可能性があります)一般1800円ほかTEL:050・5533・0888(平日12時~15時)TS Studio Ghibliすずき・としおスタジオジブリ代表取締役プロデューサー。1948年、愛知県名古屋市生まれ。大学卒業後、徳間書店入社、『アニメージュ』の編集長を務める。’85年、スタジオジブリ設立に参加。’89年以降、ジブリのほぼすべての劇場作品をプロデュースしている。撮影:荒木経惟※『anan』2022年7月13日号より。取材、文・松本あかね(by anan編集部)
2022年07月11日今回、ご紹介するのは『映画ざんねんないきもの事典』。同名の大人気児童書シリーズをアニメ映画化した作品です。オーストラリアを舞台にした『リロイのホームツリー』で主人公・リロイを演じた花江夏樹さんにお話をうかがいました。ananweb独占掲載の名場面を交えてご紹介します!「大人ひとりでも、家族でも楽しめる作品です」『ざんねんないきもの事典』とは、いきものたちの意外な特徴を、あえて“ざんねん”という言葉を使い、ユーモアを交えて紹介。シリーズ7点の累計発行部数が470万部を突破した、大人気児童書です。『映画ざんねんないきもの事典』では、豊かな自然の中でざんねんないきものたちが多数生息する、オーストラリア・南極・日本(長野県安曇野あづみの市)の3か所を物語の舞台に選定。NHKのEテレで放送中のTVアニメ『ざんねんないきもの事典』や『映画 すみっコぐらし』を手掛けたファンワークスがアニメーションを制作。花江夏樹さんをはじめ、内田真礼さん、下野紘さんが主要キャラクターを務めるほか、ナビゲーターをムロツヨシさん、伊藤沙莉さんが担当。“ざんねん”ないきものたちの新たな物語を紡ぎ出しています。ーーTVアニメ『ざんねんないきもの事典』をご覧になったことはございますか?花江さん子どもと一緒に観ています。子どもが食い入るように観ているのですが、大人も楽しめる内容になっていて良いなと思っていました。映画化のお話をいただいたとき、家族で楽しめる作品になるだろうなと思いました。ーー花江さんは、オーストラリアに住むコアラ・リロイが、自分だけのユーカリの木(ホームツリー)を探す物語『リロイのホームツリー』にご出演されています。脚本を初めて読んだときの印象を教えてください。花江さん僕は動物についてそれほど詳しくないので、コアラが家族のもとを離れて自分の家を探しに行かなければならないと知り、過酷だなと思いました。そういった厳しい現実をマイルドに表現し、リアルとファンタジーのバランスを上手に取った脚本という印象を受けました。ーーリロイについて、どう感じましたか?花江さん初めてリロイの絵を見たとき、かわいいなと思いました。かなり甘えん坊ですが、物語が進むにつれて自分の残念な部分を理解し、前向きにとらえる姿が見られ、短い物語のなかで成長しているなと思いました。ーーリロイをどのように演じようと思いましたか?花江さん見た目や言動がゆったりおっとりしているので、心の優しさが伝わるように演じたいと思いました。そして、ご覧になった方が、「この子大丈夫かな」とハラハラしていただけるようなところを出したくて、こういう声にしました。ーー共感できるところ、ご自身と似ているところは?花江さん普段の僕は口数が少なく、周りの方に何を考えているのか分からないと思われることがあります。早口でもないので、そこは似ているかもしれません。ーー本作で、お気に入りのシーンを教えてください。花江さんどこからともなく現れる、カモノハシの3人組『ざんねんトリオ』が面白いなと思いました。ーー椿鬼奴さん、トレンディエンジェル・斎藤司さん、ミキ・昴生さんが声を担当されているキャラクターですね。花江さんあのわちゃわちゃ感が物語にメリハリを与え、子どもが飽きない内容になっているのかなと。コアラがうんちを食べるといった、これまで知らなかったことを教えてくれるところも良いなと思いました。現実の世界ではないことだと思いますが、コアラとほかの動物たちがチームで行動して敵と戦うところにも魅力を感じました。ーーリロイはユーカリの味にこわだりを持っています。花江さんがこれだけは譲れないと思っているものがあれば教えてください。花江さん適度に休みを取り、無理して仕事をしないようにしています。ーー多忙な毎日を過ごされているなか、どのように息抜きされているのでしょうか。花江さん僕はサウナが好きなので、サウナでリフレッシュしています。大変な仕事をこなしているときでも「この後のサウナが気持ち良いだろうな」と考えています(笑)。ーー本作のタイトルにちなんで、最近、花江さんに起こったざんねんな出来事は?花江さん僕はラーメンが好きなんです。近くに評価が高いラーメン屋さんがあって、お昼を食べに行ったら、定休日だったということがありました。ーーしっかりされている印象の花江さんでも、お茶目な失敗をされることがあるんですね。最後に、本作の見どころをお願いいたします。花江さん本作にはいろんないきものが登場し、それぞれのいきものの特徴を作品を通して知ることができます。子どもは純粋に楽しめると思いますし、大人はタイトル通り、一見、ざんねんに見えても、それで良いんだよ、ざんねんなりに頑張っているんだよというメッセージを受け取ることができると思います。大人ひとりでも、家族でも楽しめる作品です。ぜひ劇場でご覧ください。インタビューのこぼれ話かつて、今後の目標として「自分の子どもに楽しんでもらえる作品に出たい」と語っていた花江さん。本作についてお子さまの反応は?「もちろん、楽しんでもらえると思います」と即答されていました!Information『映画ざんねんないきもの事典』7月8日(金)より公開声の出演:花江夏樹、内田真礼、下野紘ほかナビゲーター:ムロツヨシ、伊藤沙莉配給:イオンエンターテイメント©2022「映画ざんねんないきもの事典」製作委員会 ©TAKAHASHI SHOTEN文・田嶋真理文・田嶋真理
2022年07月07日テレビドラマ界最注目のクリエイターによる新作、名作漫画や文学などから立ち上げた実写映画、日本の演劇界を牽引する面々による新挑戦、人気の配信リアリティショーなど、この夏、日本を沸かせる予感大の作品が目白押し。エンタメ賢者が読み解く、日本作品の“現在(いま)”。舞台の魅力を想像以上にふくらませる、敏腕演出家&芸術監督。蜷川幸雄氏が死去し今年で6年。徐々に新しい風が吹きつつある日本の演劇界の注目すべき動きの一つが、演出だけを手掛ける〈演出家〉の活躍。「少し前までは〈作・演出家〉が多かったのが、菊池風磨さんの舞台『ハムレット』を手掛けた森新太郎さん、大原櫻子さん主演の『ミネオラ・ツインズ』の藤田俊太郎さんなど、演出のみを担う演出家の抜擢が目立ちます」と言うのはライターの望月リサさん。そしてもう一つ、芸術監督の動きにより、劇場が面白くなっている、とも。「芸術監督は、その劇場の方針や上演する演目を決める立場の人なのですが、新国立劇場の小川絵梨子さん、KAAT 神奈川芸術劇場の長塚圭史さん、また、さいたま芸術劇場にはコンドルズの近藤良平さんが就任。建物を面白く活用したり、地域を巻き込むなど、新しい動きが随所に起こりつつあります」「ニュートロ」の波!レトロなストーリー×新しいディテールが鍵。現在エンタメ界では、かつてのヒット作の構造やストーリーを、現代のディテールと組み合わせ、新しいものとして見せるスタイル=〈ニュートロ〉が人気。「最新のドラマでいうと、『未来への10カウント』は『ドラゴン桜』のスポーツ版ですし、『ナンバMG5』は昭和から脈々と続くヤンキーモノの最先端。いずれの作品も、物語の構造は懐かしく王道、でも映像づくりやキャスティングはきちんと新しさを感じさせる。展開が王道だからこそ、ドラマの細部に目が向けられるという長所がありますね」(芸人、映画ドラマ考察YouTuber・大島育宙さん)映画に目を向けても、大ヒット中の『シン・ウルトラマン』がまさにそれ。「Z世代は時間を無駄にしたくない意識が強く、見知らぬ作品より、既知の上に“確実に面白い”ものへの欲求が強い。そのベースがあるので、“先が全くわからない”とか“どんでん返し”といった構造の物語より、展開がわかりやすく、面白さの保証がある作品に人気が集まるのは、ごく自然な流れなのかもしれません」(映画執筆家・児玉美月さん)リアルタイム視聴が再燃した“実況ブーム”。配信サービスのおかげで、いわゆる“見逃し配信”でエンタメを楽しむのが日常になった昨今。しかしドラマに関しては、少しずつ“リアルタイム視聴したい!”という層が増加中。その理由は、見ながら感想や考察をTwitterでつぶやく“実況”が人気だから。「2017年の『カルテット』で考察が盛り上がり、’19年『あなたの番です』のような考察ドラマが生まれ、昨年の『最愛』で一つの視聴スタイルになりました」(早稲田大学教授・岡室美奈子さん)「同じ作品を、1000万人規模で同時に視聴する。テレビの本来の特性ですが、SNSで他の視聴者の連帯感を実感でき、よりのめり込める実況視聴は、ある意味“お茶の間の巨大化”なのではと思います」(大島さん)俳優×クリエイターのタッグで際立つ、作品の個性。キャスティングはもちろんのこと、その俳優とどのクリエイターが組んで作り上げられる作品なのか、そこで作品を吟味するエンタメファンが増えている模様。「例えば、今月始まるドラマ『初恋の悪魔』は、林遣都さんと仲野太賀さんのW主演に加え、坂元裕二さんの書き下ろし脚本。また橋本愛さんの主演ドラマの脚本を『過保護のカホコ』などで知られる遊川和彦さんが手掛けます。“その俳優、キャー!”という反応だけでなく、“この俳優とその制作陣か、うぉ~!”みたいな喜び方も増えています」(大島さん)俳優のファンだけではなくスタッフのファンも増えているのが嬉しい、と大島さん。望月さんは、同様の動きは舞台でも起こっている、とも。「昨年11月に、ベテランの劇作家・演出家の岩松了さんが、勝地涼さんと仲野太賀さんの舞台『いのち知らず』を手掛け、“その組み合わせ!?”と話題に。演劇の場合、俳優サイドから“やりたい!”と声を上げ、クリエイターに声をかけるパターンも増えていて、おそらく今後もこの動きは加速するのでは、と思います」ジェンダー、恋愛の多様性、社会問題。その価値観をアップデートできるか?価値観が多様化する今、エンタメで描かれる世界も大きく変わりつつある。「その意味で注目したいのは、NHKのドラマ『恋せぬふたり』。他者に恋愛感情、性的欲求を抱かないアロマンティック・アセクシュアルの二人のつながりを描いた作品で、“他者とのつながりは恋愛や結婚だけではない”という価値観を豊かな表現で提示したドラマでした。当事者による考証を入れ、丁寧に制作したところも現代的。他にも同じNHKの、ルッキズムを正面から描いた『きれいのくに』、閉塞感に包まれた未来の日本で、17歳にAIを駆使し都市の統治をさせる『17才の帝国』など、今の社会の課題を扱うドラマが話題に。制作側の価値観のアップデートが重要になります」(岡室さん)児玉さんは、いわゆるジェンダーを反転させた作品の増加に注目している。「Netflixの『ヒヤマケンタロウの妊娠』は、男性が妊娠したら…を描いた作品。このような、性別を逆転することで気づきを与える作品が、これからもっと作られる気がします」漫画やアニメ原作の舞台化が次々と。「どう具現化するか」に期待。今年上半期の演劇界の大ニュースといえば、劇団四季の『バケモノの子』と、橋本環奈さんと上白石萌音さんが主演したことでも話題になった舞台『千と千尋の神隠し』。実は今、日本の漫画やアニメが続々と舞台化されている。「キャラクターの3次元化を主軸に置いた2.5次元舞台の流れとはまた別に、昨年は『北斗の拳』のミュージカルが上演され、今年は他にも『四月は君の嘘』、また今後は現在アニメも放送中の『SPY×FAMILY』、大ヒット漫画の『キングダム』の舞台も控えています。『千と千尋~』はジョン・ケアードさんという『レ・ミゼラブル』の演出もされた演出家が作っているなど、実力派といわれる演出家が参加しており、アニメや漫画では普通に描けることを、演劇という“生のエンタメ”でどう表現するのか、そこへの期待は高まるばかりです。以前、栗山民也さんなど世界的に著名なスタッフを集め製作された、ミュージカル『デスノートTHE MUSICAL』は、韓国プロダクションでも上演されました。この流れは世界からも注目されているようです」(望月さん)もちづき・りさライター。現代演劇、ミュージカル、宝塚、2.5次元作品など、舞台を中心としたエンタメについて、雑誌やパンフレットなどに幅広く執筆。人物インタビューには定評が。おおしま・やすおき芸人(お笑いコンビ「XXCLUB」)、映画ドラマ考察YouTuber。ラジオ『西川あやの おいでよ!クリエイティ部』(文化放送)でレギュラーコメンテーターを務める。こだま・みづき映画執筆家。『キネマ旬報』や『ELLE』『ユリイカ』などの雑誌やWeb媒体、劇場用パンフレットなどへ執筆。共著に『「百合映画」完全ガイド』(星海社)がある。おかむろ・みなこ早稲田大学演劇博物館館長・文化構想学部教授。テレビドラマ論、現代演劇論などが専門。ギャラクシー賞など数々のテレビ賞の審査委員も務める。※『anan』2022年7月13日号より。イラスト・micca(by anan編集部)
2022年07月05日さくらももこ先生の大ヒット漫画『コジコジ』に登場する自己肯定感を高めるヒントとなる数多くの言葉たちを臨床心理士・公認心理師の塚越友子さんが解説!心理学的視点で解説!コジコジに学ぶ、ご自愛名言。メルヘンの国を舞台に、主人公である宇宙生命体のコジコジや住人たちが繰り広げる日常を描いた漫画『コジコジ』。コジコジは、一見かわいらしく、とぼけているようでいて、時折、心に刺さる言葉を放ち、私たちをハッとさせる。「『コジコジはコジコジだよ』という有名なセリフがありますが、これは“自分は自分である”というアイデンティティが確立されていることを意味します。自己肯定感とは、自分のいいところと悪いところをすべて認めた上で自分を有能だと評価する感情なので、自己肯定感が生まれるためには、コジコジのようにアイデンティティの確立が不可欠です。とはいえ、簡単にできるかというとそうではなく、コジコジはかなり高い次元にいる突き抜けた存在といえます。だからこそ、作中では周りから理解されずに変わり者扱いをされたり、浮いているような場面も描かれていますよね。その点も、本作の注目すべきところだと思います。ちなみに、漫画を読んでいると次第にコジコジ化していくのか、いろいろなことがどうでもよくなって、“まあいいか”と気が軽くなる瞬間がありました。また、“コジコジだったらどうするかな?”と考えたり、“人の評価を気にしすぎてたな”と気づけるなど、セラピー効果を感じることも。自己肯定感が持てずに悩んでいる方は、熟読してみるのもおすすめです」自己肯定感を高める、コジコジの言葉自分は自分でいいと思えたり、心の成長の手助けとなる名言を塚越さんがピックアップ。目からウロコな解説に注目です!自分の価値を人に委ねない態度に拍手。カエルのトミーと正月君との会話中、「コジコジは役に立ったことないよ」と言い放ち、二人に気を使わせるコジコジ。「誰かの役に立つことで存在価値を感じたいと思うなど、自分の価値を人に委ねるケースは多いもの。ところがコジコジは、自分は誰の何の役にも立っていないと言い切り、自分の価値なんて知ったこっちゃないという態度。自己肯定感の高さが表れていて素晴らしいと思います。フォローする周りの反応は常識的で、“世間”ですよね。コジコジのように適度な自己肯定感があると周囲から浮いてしまうということが絶妙に描かれている点も、すごいと思います」どんな時もマインドフルに“今の自分”を生きる。メルヘンの国の住人たちが魔界からやってきた大王を恐れる中、コジコジは木に座り、「あーおいしい」「おまんじゅうはあまいなあ」と、呑気な様子でおやつを食べる。「大王は、ただまんじゅうを食べているやつを攻撃しても無駄だと戦意喪失します。人間関係でも、怖い思いや嫌な思いをしても、効いていないように見せることで、相手はつまらなくて諦めますよね。さらに、みんなが右往左往するような恐ろしい状況でも、周りに引っ張られず、『おまんじゅうがおいしい』とマインドフルにいることが大事。すると、恐怖から自由になり、今ここに生きられるという、素晴らしいお話でもあるんです」豊かな経験が成長と自尊心につながる。みんなと一緒に海水浴に出かけたコジコジは、海の中に住んでいるタコ君から「弟が生意気で困っている」という悩み相談を受け、弟の面倒を見ることに。初めて訪れる場所に怯えるタコ君の弟に対し、「知らない場所だから面白いんだよ」「コジコジは毎日知らない場所へ行くよ」「それが好きなんだ」と声をかける。「頭でいろいろと考えることも大事ですが、それだけではなかなか自己肯定感は高まりません。大事なのは好奇心を持ち、行ったことのない場所へ足を運び、心を開いた状態で新しい経験をすることです。そうして経験が豊かになるにつれて心が成長し、自信がつき、結果的に自己肯定感が高まります。悩んだら外行きな、です(笑)」前向きな気持ちに導くものはそこら中に。クリスマスの日、天使の吾作からもらった袋の中に集めた光を、枯れ木たちにプレゼントするコジコジ。「たのしいうれしいやさしい光」がどこにあるのかと枯れ木に尋ねられ、「どこにでもあふれてるよ」と答える。「楽しい、嬉しい、優しいはどこにでもある、自分次第ですぐに見つけられるという考えができるのは、すごく大切なこと。自己肯定感が適度に高いからこそそんなふうに思えるし、自身がさまざまな経験をして豊かな証です。コジコジのように程よい自己肯定感を持つことはなかなか難しいですし、私自身、作品を読んでいて“そんなふうに思えるならいいけど”とハードルが高いと思うこともありますが、こうして優しい言葉で救ってくれるシーンがあると、“自分もこういう考え方ならできそう”と思えてホッとします。そのバランスも素晴らしいです」できない自分を受け入れてこだわらないことが大事。空が飛べずスランプに陥った正月君に、休むことを勧めるコジコジ。半魚鳥の次郎から「簡単にあきらめるタイプだな」と言われるが「それわりといいタイプ?」と切り返す。「諦めることは、決して悪いことではありません。ネガティブな状況にこだわらず、“しゃあない”と前向きに受け入れる適応的な諦めは大事なこと。心理学では適応的諦観といいますが、コジコジはそれを言っており、まさに“いいタイプ”ですね(笑)。できないことを考え続けたり、本来部分否定であることを全否定のように捉えて落ち込む人は多いですが、できないことを一度受け入れた後にこそ解決法は出てくるものです」新装再編版にはコミックス未収録作品も!コジコジと仲間たちがメルヘンの国で繰り広げる、シュール&キュートな日常が描かれる漫画『コジコジ』。発売中の新装再編版『COJI‐COJI』には、今回紹介した名言・名シーンはもちろん、コジコジがこの世に初めて登場したエピソード「コジコジ メルヘンストーリー」他、コミックスには未掲載の作品も収録されている。集英社全3巻各660円大人気展覧会、まもなく閉幕!インスタレーションや原画、オリジナル映像を通じて、コジコジの世界観を体感できる展覧会「コジコジ万博」が、東京・立川の「PLAY! MUSEUM」にて7月10日まで開催中!PLAY! MUSEUM東京都立川市緑町3‐1GREEN SPRINGS W3‐2F開催中~7月10日(日)10時~18時※時間指定制会期中無休一般1500円ほかTEL:042・518・9625つかこし・ともこ臨床心理士、公認心理師の資格を持つ。女性専用のカウンセリングルーム「東京中央カウンセリング」代表。雑誌やTVなどのメディア、講演会などでも活躍。『銀座No.1ホステスの心をつかむ話し方』(だいわ文庫)など水希名義の著作多数。※『anan』2022年7月6日号より。取材、文・重信 綾©さくらももこ(by anan編集部)
2022年07月01日『機動戦士ガンダム』の初のリメイクとなる映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』が公開中。15歳のアムロ・レイを再び演じることとなった古谷徹さんに新作への想いを伺いました。1979年に放送された『機動戦士ガンダム』(通称・ファーストガンダム)は、日本のアニメの転機となった作品として、その後続くガンダムサーガの原点として、多くの熱狂的ファンを生んだ。その劇場版3部作公開から40年となる今年、初めてのリメイクとなる映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』が公開された。今作を手がけたのは、『機動戦士ガンダム』のキャラクターデザイン、作画監督を務めた安彦良和さん。安彦さんが描く生き生きとしたキャラクターと、最新の技術で蘇ったガンダムとザクとの迫力あるモビルスーツ戦が、この作品の大きな魅力となっている。また、ファンの間で伝説のエピソードと呼ばれる「ククルス・ドアンの島」(テレビ版の第15話)は、主人公のアムロ・レイが脱走兵、戦災孤児たちと心を通わす物語。戦争というテーマと真正面から向き合った作品で、映画ではさらに核の脅威や人間の残虐さといった要素も加わり、アムロと脱走兵のククルス・ドアンとの人間ドラマを中心に、ガンダムをこれまでに観たことがない人たちの心にも響く、エンターテインメント作品に仕上がっている。そして繊細な“15歳のアムロ”を再び演じるのは、第一線で活躍し続ける声優の古谷徹さん。ファーストガンダムの初リメイクという記念碑的作品について、また40年以上演じ続けているアムロへの想いを、古谷さんに伺いました。――「ククルス・ドアンの島」が映画化されると聞いて、どう思いましたか?古谷:今回の新しい作品は、安彦良和さんが手がける『機動戦士ガンダム』のリメイクと聞いていましたが、まさか「ククルス・ドアンの島」のエピソードとは思いませんでした。テレビ版全43話の中の、わずか30分間のひとつのエピソードだし、ファーストガンダムが描く一年戦争の中でも突出した特異なストーリーですよね。ただ、当時のアフレコの様子はあまり覚えていませんが、とても印象的なエピソードとして記憶に残っています。だからよく考えてみると、映画化するにはとてもいい題材なのかなと思いました。この「ククルス・ドアンの島」は、アムロの成長と戦争の哀しみをひとつのエピソードに詰め込んだ素晴らしいストーリーだし、安彦さんはそこに魅力を感じたのかなと。――“15歳のアムロ”を再び演じるのは、難しかったですか?古谷:10代のアムロは、安彦さんが手がけた『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』でも演じました。改めて劇場版作品の主人公として40年ぶりに“15歳のアムロ”を演じるというのは、もちろんとても嬉しいことでしたが、安彦さんの情熱に再び応えられるかな、という不安もありました。でも、アフレコの時、安彦さんが描いてくれた“15歳のアムロ”がちゃんと目の前にいてくれたんですよね。そして、映像の中のアムロがリアルで自然な芝居をしてくれているので、とても助かりました。外国映画の吹き替えをするぐらいの感覚で、役に入りやすかったです。――“15歳のアムロ”を演じるのはこれが最後、と発言されていましたが……。古谷:安彦さんが『機動戦士ガンダム』のアニメを作るのはこれが最後とおっしゃったので、僕も「劇場版作品として“15歳のアムロ”を演じるのはこれが最後です」と言いました。それならば、この作品でアムロというキャラクターが僕の声と共にみんなの記憶に残ってほしいなと思いました。でも、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』にはまだアニメ化されてないエピソードがたくさん残っています。この映画を大ヒットさせて、安彦さんを説得して(笑)、再び“15歳のアムロ”を演じられたらと思っています。今回のアフレコでも感じましたが、安彦さんが描くホワイトベースのクルーたちを見ると、一瞬で43年前に戻れるんですよね。家族といるみたいな、とても安心感があります。だから、アムロを演じる機会は、これからもあると信じています。――25歳の古谷さんがアムロを初めて演じた時のことを教えてください。古谷:『機動戦士ガンダム』で音響監督をされていた松浦典良さんからオーディションに呼ばれて受けました。第1話のセリフをいくつか収録して、それを監督の富野由悠季さんが他の候補者と聞き比べて、僕が選ばれたようです。最初、シャア役の池田秀一さんもアムロ役でオーディションを受けたらしいですが、池田さんはそのスタジオにあったイラストのキャラクター表からシャアを選んで、その場でシャアのオーディションをお願いして、役を手に入れたと聞きました(笑)。――当時は、熱血ヒーロー役をたくさん演じられていました。古谷:そうですね。『巨人の星』の星飛雄馬の役でブレイクして、その情熱的なヒーロー役が自分の体にも染み付いてしまい、『鋼鉄ジーグ』『グロイザーX』など続けて熱血ヒーローをいくつか演じましたが、キャラクターは違うのに熱いセリフを言うと、なぜか星飛雄馬になってしまうというジレンマがありました。声優として、役が違えば違う声を出さなければという思いがありましたが、なかなかうまくいかず、そんな状況の時にアムロ・レイと出会いました。――アムロの役作りは、どのようにされましたか?古谷:オーディションの最初に、「戦いたくない主人公です」と説明されてびっくりしました。それまでのアニメでそんな主人公はいなかったので。だから、このアムロというキャラクターは、肩の力を抜いてできるんだ。必殺技を叫ばなくてもいいんだと。どこにでもいる少年の、日常会話のボリュームでやればいいのかなと思いました。――第1話でアムロが登場して発する最初のセリフも印象的ですね。古谷:新しい役を演じる時は、第一声で90%が決まると思っています。だから、「ハロ、今日も元気だね」という最初のセリフにはすごく気を使いました。独り言なので、ボソボソッとした感じで、マイクに声が乗らなくてもいいというつもりで演じました。ただ、同じ第1話でも、アムロがガンダムに乗ってザクに切り掛かっていくシーンは、すごく怖いと感じていると思ったので、マイクが壊れてもいいやというくらいの声量で、「ワ~!」と叫びました。そういった僕のさまざまなアプローチを、スタッフのみなさんが許してくれたので、「ああ、いけるかな」と思いましたね。――そうした演技は、どのように学んだのですか?古谷:幼い頃からこの仕事をしていましたが、アムロを演じる前、声優、俳優の仕事を一度お休みして、普通の学生として大学生活を過ごしました。そこでいろいろなことを実際に体験して、自分の頭でちゃんと考えて、日常生活を送りましたね。そうした実体験や記憶が、きっと演じる役に幅を持たせてくれていると思います。――当時のアフレコのスタジオの雰囲気を教えてください。古谷:熱血ヒーロー役は演技のパターンが出来上がっていますが、『機動戦士ガンダム』は日常会話の場面も多く、難しい演技が多かったですね。当時は、僕も必死でしたので、冗談のひとつも言えずずっと台本とにらめっこしていました。アフレコのスタジオの中は座る場所が決まっていて、入り口に近い方がジオン軍、奥の方が連邦軍で(笑)、そういう雰囲気は最後までありました。ただ、永井一郎さん(ナレーション)や白石冬美さん(ミライ役)など、いろいろな作品でご一緒した先輩たちがいてくれたので、とても心強かったです。そういえば、シャア役の池田さんとブライト役の鈴置洋孝さんは収録後、よく二人で仲良く飲みに出かけていましたね(笑)。――シャア役の池田さんとは、どんなやりとりがありましたか?古谷:池田さんは子役の大先輩だったのですが、周りの方が親しみを込めて、「秀ちゃん」と呼んでいたので、僕もつい「秀ちゃん」と呼んだら、「君に秀ちゃんと呼ばれる覚えはない」とあの声で池田さんに言われてしまいました(笑)。敵同士でしたし、なあなあにならない方がいいという考えが池田さんにあったのだと思います。今は仲がいいですよ(笑)。『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』主人公のアムロ・レイは通称「帰らずの島」にガンダムで偵察に向かうが、ジオン軍の脱走兵であるククルス・ドアンと、一緒に暮らす子供たちと出会う。そこでアムロはドアンの過去と秘密を知ることに。ブライトやセイラなどホワイトベースのクルーも登場。ククルス・ドアン役は武内駿輔。全国184館にて公開中。©創通・サンライズふるや・とおる1953年7月31日生まれ。声優、俳優、ナレーター。5歳から子役として活躍。中学生の時にアニメ『巨人の星』の星飛雄馬でブレイク。代表作は『機動戦士ガンダム』のアムロ・レイ、『聖闘士星矢』のペガサス星矢、『名探偵コナン』の安室透など。※『anan』2022年6月29日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・Masateru Abeヘア&メイク・氏川千尋取材、文・辻村雅史(by anan編集部)
2022年06月28日子どもから大人まで、日本中を夢中にさせ続けるアニメ『ドラゴンボール』シリーズ。前作から4年、待望の新作映画『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』が現在、公開されている。そこで、孫悟空、悟飯、悟天の3役を演じる野沢雅子さんと、ピッコロ役の古川登志夫さんという超レジェンド声優のお二人に、今作の魅力をお話しいただきました!古川登志夫:ピッコロが作品に登場してから一番印象深いシークエンスは、悟飯に修行をつけるシーンです。そこから付き合いが始まり師弟関係を築いてきた二人が、今回の劇場版でフィーチャーされる。期せずしてお互いを補完し合っているものがあり、ここへきて共闘する姿が描かれることは、嬉しいですね。野沢雅子:悟飯くんはお勉強家で戦うのが嫌いだけど、悪は許せないんですよね。平和な世の中でみんなと暮らしたいというのが望みだからこそ、今回は戦う。彼にとってピッコロさんは、お父さんよりもお父さんですから。信じて、尊敬して、従っていく。すごくいい関係です。古川:理想の上司と部下の関係だと言う人もいますよね。命令はせず、ほっときながらも見守るスタンス。近年のピッコロは戦いの前線で活躍することは少なく、悟飯の家政婦のような立ち位置でさえあるけれど(笑)、そう描かれてきたのは、格闘戦士でありながら優しいというレンジの広い性格が魅力だからこそ。野沢:古川さんはピッコロさんにぴったりですよ。犬を2匹飼っていらっしゃるでしょう?毎日、散歩をしていたりと面倒見がよくて、優しい。その性格が演じる役にも全面に出ています。――美しい映像も見どころの一つ。古川:3Dのような立体感がありクオリティ高く仕上がっている気がします。芝居が負けないようにしないと。ドラマとバトルシーンのバランスが非常にいい点も今作の特質です。野沢:幸せな家庭生活があるけれど、扉を出ると徹底的に悪をやっつける。差をきっちりとつけました。――今作は、ピッコロの家が初めて登場することも話題に。古川:“家なんてあったんだ!”と思いました。庭付き一戸建てでね。野沢:いい家じゃない、ピッコロさんすごいじゃない!って(笑)。古川:鳥山(明)先生の遊び心なのかもしれませんね。――悟飯とピッコロのように、お二人のいい関係も長く続いている。古川:夏になるとマコさんがご自分で育てたゴーヤをくださるんです。野沢:毎年、5月に植えて。貰ってくださるから嬉しくって。古川:後輩ごときのために朝に採って、重いのに持ってきてくださって、本当に感動しますよ。しかもスーパーサイヤ人の作る野菜ですから、とりわけ価値があります。手軽にできるおひたしが美味しいんです。野沢:えー!知らなかった!古川:でも、長いこと一緒にやらせていただいていますが、表現者としての佇まいをマコさんから学ぶことが多いです。折に触れて、先輩の背中に励まされることもあり、全てがモチベーションに繋がっていますね。野沢:出会いって大切ですよね。私がツイていたなと思うのは、『ゲゲゲの鬼太郎』も『ドラボンボール』も全部、原作者の先生に選んでいただいたこと。全部オーディションで。古川:本当にすごいことですよ。金字塔的な作品ばかりやっていらして、しかも生涯現役を貫いている。自分もそうでありたいです。追いつくことはできないですが、目指すことはできますから。『ドラゴンボール超(スーパー) スーパーヒーロー』孫悟空により壊滅させられた悪の組織・レッドリボン軍。だが、彼らの遺志を継いだ者たちが人造人間・ガンマ1号、2号を作り出し、ピッコロや悟飯を襲い始める。原作・脚本・キャラクターデザインは鳥山明。監督は児玉徹郎。全国の映画館で公開中。©バード・スタジオ/集英社©「2022ドラゴンボール超」製作委員会のざわ・まさこ10月25日生まれ、東京都出身。代表作に、『ドラゴンボール』シリーズ、『ど根性ガエル』のひろし、『ゲゲゲの鬼太郎』の鬼太郎、『銀河鉄道999』の星野鉄郎、『ONE PIECE』のDr.くれはなど。ふるかわ・としお7月16日生まれ、栃木県出身。代表作に、『機動戦士ガンダム』のカイ・シデン、『ゲゲゲの鬼太郎』(第6作)のねずみ男、『ONE PIECE』のエース、『ポプテピピック』のポプ子、『北斗の拳』のシンなど。※『anan』2022年6月22日号より。写真・野呂知功(TRIVAL)取材、文・重信 綾(by anan編集部)
2022年06月21日MVや小説のイラスト、ゲームキャラクターのデザインなど、各分野での活躍が注目を集めている望月けいさん。自身の作品から、いま変革期を迎えていると分析する絵師界への想いも伺いました。先駆者・望月けいさんが語る、絵師の今までとこれからのこと。人の人生を変える絵が描きたかった。「メイド」子供の頃から絵を描くことが好きだったという望月けいさん。イラストレーターになりたいという明確な想いを抱いたのは中学3年生頃。友達との貸し借りで出合った漫画がきっかけだった。「初めて漫画を読んでこんなに絵が上手い人たちがいるんだと知り、自分もかっこいい絵が描きたいと感じて描き始めました。Gペン特有の液だまりや線が少しずつ細くなるなど、当時に心惹かれたアナログ特有の表現は、今の私の絵にも残っています。また音楽が好きなのですが、学生時代にBUMP OF CHICKENのライブに行き、彼らが“短い時間”で人を感動させている様を目の当たりにしたことが漫画ではなく、イラストを描き始めた大きなきっかけ。漫画などストーリーのあるものではなく、自分も“短い時間”で人を感動させられるもの=一枚絵のイラストを描きたいと思うようになったんです。当時から、絵には世の中に対する怒り、理不尽さや生きづらさみたいなものを込めています」媚びることなく表現したいものを貫く。「ゴシック」「愛と正義ちゃん」高校2年の時、絵を投稿するSNS「pixiv」にアップした絵を見た人から初めての仕事のオファーをもらった。「今はどんどん絵に触れる年齢が下がり、高校生で仕事をしている人も少なくないのですが、当時は今ほどにイラスト的な文化が広がっていなかったので、珍しかったと思います。見つけてくださったことが嬉しいという想いはもちろんですが、自分の絵に自信があったので、“私の絵、いいもんな”という気持ちも正直あって(笑)。絵を描く時のアプローチとしては、まず、見た人にどういう想いを抱いてほしいかということを考えて、そのためにどういうエスプリにしようかと掘り下げていく。まず目に入るであろう色を最初に決めていくことが多いですね。ただ、私は、自分の描きたい絵があって、それを使いたいと思うクライアントさんに使っていただくという気持ちでいるので、お仕事の時も趣味の時と変わらないテンションで、自分の良さみたいなものは絶対に変えずに向き合っています。見てくださる人たちに刺さるようにと意識はしますが、媚びた感じで描くと、それが透けて見えてしまう。自分が訴えたいものや描きたい絵を重視することが、いいと思ってもらえる要因になっているのかなと感じています。これまでに、同業の方から良かったと言っていただいた『魔法少女は団地で待ちぼうける』という作品は、自分が人物だけでなく背景も描けることを見せたくて描いたもので、それまでの作品と一線を画すものでした。反響があると感じるのは一貫して、新しいことに挑戦した作品です」「魔法少女は団地で待ちぼうける」アーティストのような存在になっていきたい。「バイク」今、「絵師の界隈はどんどん広がっていき、変革の時期を迎えている」と、自身が身を置く世界を見つめる望月さん。「絵の需要が高まり、絵を描く人が増えたことで、これまでと同じアプローチではいけないと思っている方もいらっしゃるし、もっと流行に乗ったりするべきなのだろうかと悩む方も多そうだなと感じています。ただ、私はイラストレーターも、音楽をやっている方々などに負けず、アーティストと呼ばれる存在になっていくのだろうと感じていて。そのためには私が絵を頑張って、まず“望月けいってかっこいいよね”と思われることが大事。だから妥協せず、かっこいい部分を見てほしいという想いに恥じない活動をしていくのみだと思っています。その一方で、自分が好きな音楽やファッションなどのカルチャーとのコラボレーションもできればいいなって。音楽でいうとMVやジャケットに使っていただくなど、コラボがしやすいものだと思うし、そういうところでイラストの世界や絵師と呼ばれる人たちの活躍が広がっていったらいいなと感じています」KEI’S HISTORY2012年:同人活動や歌ってみた動画のサムネイルなどの仕事を始める。2015年:短大卒業後、フリーのイラストレーターとして活動を開始。れをる『極彩色』のCDジャケットのイラストが大きな話題に。2016年:アーケードゲーム『CHUNITHM AIR』のキャラクターデザインを手がける。2019年:個展「愛の形としてくれ」を開催。2021年:初の画集『人間よ強欲であれ』を発売。もちづき・けいツイッターフォロワーは62万人以上、絵師界のトップを走り続けるクリエイター。イラストレーター。『Project:;COLD』のキャラクターデザインや『LOOPERS‐ルーパーズ‐』のアートワークを担当。※『anan』2022年6月22日号より。取材、文・重信 綾(by anan編集部)
2022年06月18日今、多くの分野で活躍する絵師の存在。世界で注目を浴びる理由は?絵師の未来は?注目絵師100人がイラストを展示する「絵師100人展」のプロデューサー・石坂太一さんに伺いました。初音ミクの登場やSNSの普及が転機に。そもそも、漫画やアニメ、ゲーム、ライトノベルの表紙や挿絵などを手掛けるイラストレーターや漫画家たちを“絵師”と呼ぶようになった起源は…?「もともと絵師とは浮世絵の下絵を描く専門的な職人に対して使われていた呼称ですが、25年ぐらい前からファンの間で自然発生的に使われ始めました。当時は美少女ゲーム全盛期で、そのゲームなどでイラストを描く人たちのことを敬意を込めて“絵師”と、2ちゃんねるなどで呼んだのが始まりだと思います」絵師がフィーチャーされる大きなきっかけとして「初音ミク」の存在を挙げる。「美少女ゲームは一部のファンの人たちが楽しむ狭い世界だったと思いますが、初音ミクが登場したことで、イラストを描く文化が広く周知されていった。さらに、キズナアイなどのVチューバーの登場も認知度を高めた要因だと思います」現在の活躍ぶりや歴史を語る上で外せない絵師は存在するのだろうか。「『絵師100人展』にも出てもらっていますが、初音ミクのキャラクターデザインを手がけたKEIさんは代表的な存在だと思います。ただ、誰か一人のクリエイターがこの文化を牽引しているのではなく、一人一人の力が合わさって、この盛り上がりを作っていった気がします。例えば、初音ミクを見て自分も描いてみたいという人たちが真似して描き、それをpixivなどに上げる。SNSの普及により、気軽に発信することができるようになったのも、今のムーブメントを作っている大きな要因ですね」優れた作品に国境はない。まさにボーダレス!毎年、GW時期に開催される「絵師100人展」の立ち上げから参加し、絵師の活動を追い続けてきた石坂さんが、いま注目している絵師は誰なのだろうか。「まずは、藤ちょこさん。彼女の絵を見たら、世代・性別問わず、“美しい”“楽しい”と感じる。平面の絵だと思わせない奥行きのある世界を描き、卓越した表現力を感じます。2人目は高野音彦さん。長年活躍されている方で、神秘的かつ不思議な情景を描かれるのが特長。物語の一瞬を写真で切り取ったような場面を描かれる荻poteさんも他の作家さんにはない独自性を有していて注目です」藤ちょこ「狐の嫁入り」初出:「絵師100人展 12」(2022年4月)©産経新聞社/藤ちょこ高野音彦「まよいみち」初出:「絵師100人展 12」(2022年4月)©産経新聞社/高野音彦「絵師100人展」には韓国や中国など、海外のファンも来場。「人々を魅了する作品に国境はない」と石坂さんは話す。「絵を見て感じる“かわいい”“キレイ”“かっこいい”といった感情は世界共通。だからこそ、海外の人にも受け入れられ、その人たちが『もっとこうしよう』と工夫して、逆に日本に影響を及ぼしてくる。例えば昔の日本のキャラクターは、頭が大きくて体が小さいややアンバランスな構図のものが多かったと思いますが、海外のイラストレーターさんはより人間に近い体の構造で描く傾向が強い。それを日本の絵師さんたちも取り入れ、さらに進化してきたのだと思います。今後もこういった交流は広がっていくはず」絵師の活躍が認められるようになった背景には、こうした文化への偏見がなくなってきたことも作用しているよう。「『絵師100人展』では中学生以下の入場者も年々増加。訪れた人の中には『先生のファンで自分も描き始めました』みたいな若者も多い。いわゆるデジタルネイティブ世代の子供たちは生まれた時からこうした絵に触れているので、偏見もなければ、カルチャーへの優劣もない。今後はこうした世代が発信していく時代になるので、ますます盛り上がっていくと思っています」一大ブームを巻き起こしたブームの火付け役。Art by KEI ©Crypton Future Media, INC.歌詞とメロディを入力して、誰でも歌わせることができる「ソフトウェア」初音ミク。大勢のクリエイターが「初音ミク」で音楽を作り、インターネット上に投稿したことで一躍ムーブメントに。お話を伺った方・石坂太一さん絵師100人がテーマにそった作品を出展する産経新聞社主催の「絵師100人展」。今年で12回を数えた同展の第1回からプロデュースを務める。歴史を語る上でハズせない!VOCALOIDと絵師の関係性。ボカロ楽曲を世に送り出す上で欠かせないのが、曲の魅力を視覚的に伝えるMVイラスト。「音声合成ソフトとイラストは親和性が高く、2007年の初音ミク登場時から描かれている。ボカロと絵師は切っても切れない間柄ですね」と話すのは、ニコニコ超会議の「超絵師展 Powered by The VOCALOID Collection」を手掛けるドワンゴの脇本拓弥さん。両者の関係性や絵師の傾向の変遷なども伺ってみた。「大きな変化といえば、初音ミクのようなキャラクターそのものを描くのではなく、曲の歌詞や世界観を表現する絵に変わったことですね。ボカロP・柊キライさんの『ボッカデラベリタ』という曲のイラストは人気絵師のWOOMAさんが担当されていて、それ以降、似たようなエッジの利いた絵が増えた気がします。また、Adoさんの『うっせぇわ』のヒット以降は、毒吐き系のロックナンバーには狂気的な女性が真ん中にいるような尖ったイラストが定番に。こちらもWOOMAさん作で、絵師界においてWOOMAさんの影響は大きいと個人的に感じています」お話を伺った方・脇本拓弥さんドワンゴ主催のニコニコ超会議内で行われたボカロ楽曲のイラスト/MV作品展「超絵師展 Powered by The VOCALOID Collection」を担当。※『anan』2022年6月22日号より。取材、文・関川直子(by anan編集部)
2022年06月18日数々のヒット作を創出する漫画誌アプリ「少年ジャンプ+」。編集部の林士平さんが語る、漫画の作り方や媒体の強みとは。作家の味わいや美学を感じる作品をジャンルにとらわれることなく掲載。2014年に誕生した集英社の漫画誌アプリ「少年ジャンプ+」の編集者として、『チェンソーマン』や『HEART GEAR』など、多くの大ヒット作品を担当する林士平さん。「少年ジャンプ+」の名が知られるようになったのは『終末のハーレム』や『ファイアパンチ』などの連載が始まった時期と振り返る。「最初の頃はホラーや、少しエグかったり暗めの作品など、いわゆるウェブに適性が高い作品が掲載されていたイメージがありました。それが、例えば『とんかつDJアゲ太郎』など、扱うジャンルが広がり、幅広い作品の総合力によって集まるお客さんが増え、媒体の力も上がっていきました。読み手には、“こんな作品も載ってるんだ”と楽しく読んでもらい、また、作家には“こんな作品を描いても反応がもらえるんだ”というところを編集部として提示できたことがよかったのかなと思います。“『少年ジャンプ+』らしさ”みたいなものを設けると作品の幅が狭まるので、そこは全く意識しません。作品や作家ごとに柔軟に描きたいもの、面白いものを優先できる媒体であることを大事にしています」アプリでは新人からベテランまで様々な作家の漫画が読め、ほぼ毎日、読み切り作品などが掲載される。「新人作家に対してデビューするチャンスや作品を描くチャンスを与えているところも強みだと思います。若い作家や作品が集まらないと、その媒体は緩やかに死んでいくと思うので。伝統的な持ち込みやウェブでの持ち込み、スカウトキャラバンの開催や創作イベントへの顔出し、全国の美大に行くなど、いろいろな作家と会っています。ヒットしそうな作品は時世によっても変わるので一概には言えないのですが、僕個人としては今まで見たことのないものは面白そうだと思います。作家さんの味とか人間性、美学を感じるものは、美味しそうだと思いますね。新しすぎて読者がまったく理解ができないものは売れないのかなと思うし、すべてが簡単に理解できてしまうと退屈に。ちょうどいい塩梅があるのかなとは思っています」林さんが担当したなかで話題となった作品を尋ねると。「『にくをはぐ』は、ネットで“ちょっと面白いから読んでみなよ”と広がっていった印象があります。読み手各自の思い入れがストーリーラインに語られる感じで嬉しかったですね。『16歳の身体地図』も、語られることで広がっていった作品です。読んでくださるだけでありがたいのに、さらに深く考えてもらえたとしたら嬉しいことだなと。決して話題になりたいという気持ちが最初にあるわけではなく、そこがゴールでもありません。面白い漫画を届けたい気持ちが一番です」担当する作品の一つ『SPY×FAMILY』も、大きな話題を呼びアニメ化を遂げた。「『鬼滅の刃』などもそうですが、昔以上に、漫画とアニメーションの距離が縮まり、クオリティの高いものをていねいに作れば、ちゃんと世界に届くようになったと感じています。以前は、アニメはアニメのルールというものがあって、文脈やキャラクターをそれに合わせて変えていたと思うんですけど、今は漫画で愛されたキャラクターを翻訳しすぎず、守ることを意識して作っていくので。そういう意味では、漫画とアニメのボーダレス化という現象があるのかなと思います。また、『SPY×FAMILY』は、『MANGA Plus by SHUEISHA』というサービスだと、国内と同じタイミングで、世界各国の言語に翻訳されたものが配信され、地球の裏側からもすぐにリアクションが届きます。『SPY×FAMILY』を見た人が日本に『少年ジャンプ+』という媒体があること、ほかにも面白い作品がいっぱいあることを知っていただけたら。『マーベル』映画のように、面白い作品がいっぱいあると思われる媒体になりたいですね」『ルックバック』藤本タツキ多くの人が考察を重ね、議論を巻き起こした話題作。「少年ジャンプ+」において2021年7月に公開された長編読み切り作品。自分の才能に絶対的な自信を持つ小学4年生の藤野と、不登校の京本という、漫画を描くことに自身を捧げる2人の少女のひたむきな思いと人生を描く。公開されるやいなや、ツイッターをはじめとするSNSで大きな話題を呼び、内容に対する議論や考察などが盛んに行われた。『このマンガがすごい! 2022』のオトコ編1位に選出。コミックスが発売中。©藤本タツキ/集英社『16歳の身体地図』モリエサトシ少年漫画では珍しいテーマを描き、読者の幅を広げる。「少年ジャンプ+」において2021年5月に公開された読み切り作品。バレーボールに打ち込む女子高生たちの青春や成長、人間関係を、重い生理痛や体の変化に悩み、スポーツへの向き合い方が変化していく主人公・キリカを通じて描く。これまで少年漫画で取り上げられたことのない、しかも踏み込んだテーマを扱ったことで注目を集め、登場人物たちに共感する声も多く見られた。現在も「少年ジャンプ+」にて無料配信中。©モリエサトシ/集英社集英社少年ジャンプ+りん・しへい漫画編集者。集英社勤務。『ダンダダン』『左ききのエレン』『全部ぶっ壊す』など数々の名作を担当。現在は8本の連載を抱えている。『SPY×FAMILY』のアニメ化においても制作と深く連携。※『anan』2022年6月22日号より。取材、文・重信 綾(by anan編集部)
2022年06月17日中学1年生の頃からオタク道を邁進中なのは、俳優・モデルの中山咲月さん。漫画にアニメ、ゲームまで幅広くエンタメを愛する賢者の“推し”を教えて。ファンを離さない時代性を反映した作り。「まずは『ONE PIECE』から入り、自分が絶賛中二病だった頃に放送されていたTVアニメ『魔法少女まどかマギカ』でドハマり」と笑うオタク歴10年以上の中山さん。推しアニメについて伺うと、歌・戦闘・恋愛をテーマにしたSFアニメの金字塔「マクロス」シリーズをチョイス。「特に、シリーズの中で一番新しい『マクロスΔ(デルタ)』が好き。昨年公開された劇場版を観て、自分の中で再燃。久々に観返してみるとやはり素晴らしく、作中に流れるすべての曲が神曲なんですよね」40年前から続く「マクロス」シリーズがたくさんの人々から長く愛される理由を「世相を反映させた作りにある」と分析。「例えば、初期はソロのアイドル歌手、前作は2人だった歌姫が、『マクロスΔ』では5人組のガールズユニットになり、時代の流れに合わせて変化している。最近の楽曲では電子音が多用されていたりと、世の中のトレンドをきっちり押さえている気がします」今やアニメ好きにとって欠かせない動画配信サービスの配信作品の中にも名作が潜む。「Netflixオリジナルの『泣きたい私は猫をかぶる』というアニメも好きですね。一人の少女が大好きな男の子に会うために猫になるという不思議なお話で。映像の美しさにも感動します」漫画はアプリで読むことが多く、今回選んでくれた漫画も、『SPY×FAMILY』や『怪獣8号』など、ヒット作目白押しの集英社の漫画誌アプリ「少年ジャンプ+」で連載中のもの。「最近のイチ推しは『ゴリラ女子高生』という、見た目ゴリラのJKの高校生活を描いたギャグ漫画。笑いをゴリ押ししてくる感じがツボで。これを無料で読めるなんて驚き。『少年ジャンプ+』自体の勢いもすごいです。例えば『週刊少年ジャンプ』では“友情・努力・勝利”という3大原則に沿った作品が掲載されますが、こちらにはその縛りがなく、様々なテイストの作品が。そこも幅広くアピールする要因なのかなと」ゲーマーでもある中山さんの推しゲーを尋ねると、ボカロ再ブームの立役者的一本を挙げる。「ハマっているのは、リズムゲームの『プロジェクトセカイ』。ボカロ楽曲が楽しめるアプリゲームで、自分が聴いていた頃の曲から、最近TikTokなどで流行っている曲まで、いろんな世代のボカロ好きが楽しめるはず」Satsuki Nakayama’s Recommend超人気シリーズの歌姫も時代に合わせて5人組ユニット化。アニメ『マクロス』シリーズ昨年、最新作『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!/劇場短編マクロスF~時の迷宮~』公開。劇中登場の戦術音楽ユニット、ワルキューレはシリーズ最多の5人組に。「心に響く名曲揃いで、聴くと自分も元気になれる」。最新作のBlu‐ray&DVDは9/28発売。©2021 BIGWEST/MACROSS DELTA PROJECTじつは隠れた名作揃い!独占配信アニメも見逃せない。アニメ『泣きたい私は猫をかぶる』2020年、Netflix全世界独占配信のファンタジー作品。周囲に馴染めない少女の唯一の楽しみは猫に変身して好きな人に会いに行くことだったが、猫と人間の境界が曖昧になり始め…。「美しい映像とマッチしたヨルシカさんが歌う挿入歌も最高」©2020「泣きたい私は猫をかぶる」製作委員会『少年ジャンプ+』が誇る超ド級のパワー系ギャグ漫画。漫画『ゴリラ女子高生』映え写真を撮ったり、イケメンDKに恋心を抱いたり。見た目がゴリラという以外は普通の女子高生・うららのスクールライフを描く。「うららが日常に溶け込んでいるのが面白すぎて、連載開始からどハマり(笑)」。アプリ「少年ジャンプ+」で連載中。画像提供:「少年ジャンプ+」編集部大好きなボカロの名曲たちをバーチャル・シンガーたちが披露。ゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』初音ミクをはじめ、鏡音リン・レンなどのバーチャル・シンガー(ボーカロイド)も登場する音ゲー。略称はプロセカ。「キャラを3Dで踊らせることができるのも楽しい。やり込みすぎて、ランキング100位内に入ったことも(笑)」。アプリストアで配信中。©SEGA/©CP/©CFMなかやま・さつき1998年9月17日生まれ、東京都出身。俳優、モデル。現在、ドラマ『不幸くんはキスするしかない!』(MBS毎週木曜25時29分~ほか)に出演中。6月24 日より上演の舞台『アナザー・カントリー』にも出演するなど活躍の場を広げている。トップス¥35,200パンツ¥26,400(共にベース マーク)シューズ¥36,000(ユナイテッド ヌード)ブレスレット¥13,200 以上M TEL:03・6721・0406ブレスレットに付けたチャーム¥3,850リング¥6,600(共にパンドラ/パンドラカスタマーサービス TEL:0476・50・2638)※『anan』2022年6月22日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・Die‐co取材、文・関川直子(by anan編集部)
2022年06月16日アニメ関連番組にも多数出演し、言わずと知れたアニオタ男子の岩井勇気さん。彼の心を動かした注目の4作品をピックアップ!学生にサラリーマン…毛色の違うスポーツアニメ。ニコニコチャンネルで放送中の『ハライチ岩井勇気のアニ番』では、アニメのアレコレを本音でトーク。「面白くないものは面白くないと言っちゃいますからね(笑)」と話すとおり、忖度のない語りだからこそ、ホンモノのアニメファンからも信頼は絶大。そんな岩井さんに刺さったアニメの一つ目は、男子バレエを題材に描く少年少女の青春物語『ダンス・ダンス・ダンスール』。「とにかくダンスシーンの描写が素晴らしい。バレエの世界を知らない僕でも、動きのしなやかさを見ると、強いこだわりを感じる。バレエの動きには正解があり、作品に説得力を持たせるためには嘘は描けない。責任を持って取り組んでいる姿勢を感じます」次に挙げた作品はバドミントンの実業団チームの奮闘を描いたスポーツ×お仕事アニメ。「2年前から始まったテレビ朝日の深夜アニメ枠『ヌマニメーション』は比較的新しい枠ですが、面白い作品が多く、注目しています。そこで今年の1月から放送されていたスポーツアニメ『リーマンズクラブ』は主人公が社会人。スポ根アニメに多い学生主人公の場合、選手としては優秀だけど学業の成績に問題あり、みたいな設定が多いですが(笑)、この作品の登場人物は仕事もデキる男たち。汗かいて競技に取り組む姿と、スーツを着て働く姿を同時に見られる萌え2倍のアニメです(笑)」オタクのハートを掴む楽曲にときめきまくり『ヒロインたるもの!~嫌われヒロインと内緒のお仕事~』は音楽ユニットHoneyWorksが原作のアニメで、「オープニング曲がいい」と熱っぽく語る。「男性アイドルユニットLIP×LIPが歌う『ジュリエッタ』という曲の歌詞が最高で。ファンやオタクのことをこれほど理解してくれているアイドルの楽曲に初めて出合いました(笑)」と、乙女心を爆発させる岩井さんが、最後にオススメする作品はちょっとエッチなTLアニメ。「声優の花澤香菜ちゃんに教えてもらったのですが、近年流行の兆しを見せるTL作品を多数放送する『アニメフェスタ』という枠がアツい。『僧侶と交わる色欲の夜に…』という作品を放送以降、“僧侶枠”と呼ばれるように(笑)。現在は『3秒後、野獣。』という作品が放送中。1話約5分なので、気軽に覗いてみるのもアリかも」Yuki Iwai’s Recommend人気アニメ制作会社MAPPAが描く天才バレエダンサーのきらめき。アニメ『ダンス・ダンス・ダンスール』バレエ向きの肉体や才能を持つ主人公・潤平の成長から目が離せない。「この天才はどう育っていくのかというワクワク感。将棋のことは知らずとも、藤井聡太くんの活躍を追ってしまう感じと似てるかも」。金曜25時25分~、MBS/TBS系で放送中。©ジョージ朝倉・小学館/ダンス・ダンス・ダンスール製作委員会バドミントンの社会人選手を描く本格お仕事×スポーツアニメ。アニメ『リーマンズクラブ』OPではスーツを脱ぎ捨てユニフォームに変わる激萌えなシーンも。練習や試合だけでなく、お仕事風景も描く。「サラリーマンとして懸命に働く姿にもグッとくる。いわゆる“脳筋タイプ”ではないところがいい(笑)」。TELASA、ABEMAなどで配信中。©Team RMC /サンライトビバレッジ広報部ファンと推しの関係性をメタ的に歌うOPに胸キュン。アニメ『ヒロインたるもの!~嫌われヒロインと内緒のお仕事~』田舎育ちの女子高生・ひよりが高校生アイドルユニット「LIP×LIP」のマネージャーに。ド根性ヒロイン×人気アイドルの青春アニメ。「まずは楽曲を聴いてほしい。2番の“二度目の恋に落としてあげる”という歌詞にズキュン」。TOKYO MXほかで放送中。©ヒロインたるもの製作委員会“僧侶枠”と呼ばれるアニメ枠「アニメフェスタ」に大注目。アニメ『3秒後、野獣。~合コンで隅にいた彼は肉食でした』クール男子×真っすぐ田舎女子のじれキュンラブ。「ちなみに、この枠のイベントも開催されていて、参加するファンは僧侶枠グッズとして販売されている木魚を持参します。木魚喝采です(笑)」。TOKYO MX、BS11で放送、公式サイトで配信中。©百瀬こあ/Suiseisha Inc.いわい・ゆうき1986年7月31日生まれ、埼玉県出身。お笑いコンビ・ハライチのボケ担当。2冊のエッセイ『僕の人生には事件が起きない』『どうやら僕の日常生活はまちがっている』、原作を担当する漫画『ムムリン』は1巻発売中。自身が原作・プロデュースを手がける乙女ゲーム『君は雪間に希う』発売中。※『anan』2022年6月22日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・嘉山裕子取材、文・関川直子(by anan編集部)
2022年06月16日室町時代、大衆を熱狂させた異形の能楽師・犬王と盲目の琵琶法師・友魚(ともな)。二人の友情を描く長編アニメーション映画『犬王』の湯浅政明監督と脚本を担当した野木亜紀子さん、超人気クリエイター同士の対談をお届け!人気クリエイターの才能が共鳴!能楽×ロックの新感覚アニメ映画。――本作以前、お互いのどんな作品をご覧になっていましたか?湯浅政明:『重版出来!』(松田奈緒子原作)を見て、久々に面白いドラマだと思い調べたら、野木さんが脚本で。ご一緒したいと思っていたら、今回野木さんのお名前が出て、「それはもうやりたいです」と。野木亜紀子:『四畳半神話大系』『マインド・ゲーム』が衝撃的に面白かったですね。物語やキャラの心情を超えて、湯浅さんの謎のアニメパワーで、すごいものを見させられたという感覚になれたんです。スケジュール的にはかなり厳しかったんですけど、キャラクター原案は松本大洋さんだと。夢のコンビが手掛ける作品に乗っておかないと、死ぬまで後悔しそうだったのでお受けしました。制作の序盤は、湯浅さんもお忙しくて、魂が半分抜けてましたよね(笑)。湯浅:見抜かれていましたか(笑)。すみません!ぐわっとこの作品に入り込めるようになり、絵コンテを一度描いた段階で、それからは…。野木:戦いが始まった(笑)。実写の場合、絵コンテはあくまでガイドで、現場で変えたりもできるんですけど、アニメは絵コンテを切った段階ですべて決まっちゃうんですよね。台詞を戻したいから尺をちょっと伸ばすということができないのを知らなくて、今までにない作業の連続でした。湯浅:何万枚もの絵を大人数で分担作業しているアニメは横並びで一斉に作業しているので、何かをちょっと変えるにも大きなラインごと変更することになるんです。野木:だからびっくりしちゃって。でも、私は諦めが悪いので(笑)、「この台詞はここにつながるから消しちゃダメだったんです」「もう入れられない」「ならこっちに入れよう」みたいな攻防が何度もありましたよね。湯浅:最初から完全なものを作れたらいいんですが、なかなか…。野木:音楽の大友(良英)さんと話して、湯浅さんがやろうとしていることはご本人以外、誰もわかっていなかったんじゃないか説が出ましたよ(笑)。湯浅さんから出ていた、作品のキーとなる“ポップスター”や“フェス”という言葉を、ずっとたとえだと思っていたけれど、湯浅さんにとってはたとえじゃなかった。それがわかった時は衝撃でした。湯浅:音楽は大友さんに言われて、自分の中で音楽を想定して絵を先に作り、そこに歌をハメてもらうことになったんです。口の動きや展開に合わせて作曲するのは、精密さが求められて大変だったと思います。でも、大友さんのおかげで、すごく良い音楽シーンがたくさんできました。若い二人が情熱を燃やす舞台を劇場の大画面と大音量で楽しんでほしいです。野木:600年前のいち観客になれる体験はまずないので、臨場感を味わえる劇場で!各演目の演出は脚本になくて、観客だけでなく脚本家の想像も超えた「湯浅ワールドここにあり」の迫力なので、何度観ても違う楽しみを発見できるはずです。――犬王と友魚は、既存の枠を壊し、自由な表現によって民衆を虜にしていきますよね。お二人は表現者として、どんなことを大切にしているのでしょう。野木:湯浅さんは「枠を壊す」という意識すらなく壊している人ですよ。湯浅:僕はみなさんに寄り添ってますよ(笑)。ただ、みんなが言う「できない」「無理だ」ということをあまり信用してないです。人がそう言っても自分ができると思っていることなら、うまくいかない状況になっても、実現できる方法を考え出すので、大概のことはできるんです。野木:私は、自分が面白いと思えるかどうかを一番大切にしています。他人軸でいると、何が面白いのかわからなくなっちゃいますから。湯浅:人から「面白くない」と言われて、気づくことはあるんですか?野木:その前に、ダメなときは自分で気づいちゃいますね。湯浅:人の言うことを聞きすぎて、上手くいかなかった経験はない?野木:そういうのはほぼないかなぁ。35歳を過ぎて脚本家になったこともあって、デビュー当時から偉いプロデューサーのアイデアに「全然面白いと思えない」と言っては、生意気だと陰口叩かれてました(笑)。湯浅:「面白くない」って言える現場がいいですよね。野木:つまらないのに、誰も言えないままなあなあで進んでいく…みたいなのが一番気持ち悪い。私自身、言われなくなる怖さがあるんですが、湯浅さんはいかがですか?湯浅:意見を尊重しすぎて、破綻しそうになったことがあってからは、やっぱり自分を信用するしかないと思っています。野木:キャリアを積むとね。湯浅:でも、どんな現場でもできるだけ人の言葉には耳を傾けて、必ず一回考慮しますね。野木:誰も何も言えない現場なんて、おかしいですもんね。『犬王』がただのアニメーションではないワケ1、室町時代の能楽×ロックオペラ。いまだ見ぬ唯一無二の世界観!現存する世界最古の総合舞台芸術といわれる、室町時代に生まれた能楽。特異な身体を活かした舞を踊る犬王と、ド派手に琵琶をかき鳴らす友魚は、時代の寵児となる。その自由な魂のパフォーマンスで民衆を熱狂させる様は、さながら現代のロックフェスのようで、本作がヴェネチア国際映画祭で“ロックオペラ”と評されたのも納得!2、キャスティングの妙に溢れた個性爆発の豪華声優陣!室町時代の“ポップスター”犬王を演じるのは、現代を生きるポップスター・女王蜂のアヴちゃん。劇中歌の作詞も手掛けた。犬王のバディで、琵琶法師の友魚役には森山未來さん。2人のパフォーマーが、犬王と友魚のように互いの才能をぶつけ合う!他にも、柄本佑さん、津田健次郎さん、松重豊さんと、魅力的な俳優が作品を彩る。3、稀代のクリエイターが集結し、イマジネーションを具現化!原作は、古川日出男さんが手掛けた「平家物語」現代語訳のスピンオフ的作品『平家物語 犬王の巻』(河出文庫)。キャラクター原案は松本大洋さん。湯浅監督とは自作漫画のアニメ『ピンポン THE ANIMATION』でもタッグを組んだ。音楽は、朝の連続テレビ小説『あまちゃん』や映画『花束みたいな恋をした』で知られる大友良英さん。『犬王』平家の呪いによって盲目になった琵琶法師の少年・友魚と、顔を瓢箪の面で隠された異形の能楽師・犬王。都で出会った二人が、まったく新しい舞と音楽を生み出し、乱世を独自の表現で生き抜く。第78回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ・コンペティション部門に選出されるなど、すでに国際的にも高い評価を受けている。5月28日より全国公開。ゆあさ・まさあき1965年3月16日生まれ、福岡県出身。2004年、『マインド・ゲーム』で初監督。’10年、『四畳半神話大系』が話題に。’17年、『夜は短し歩けよ乙女』で日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞受賞。のぎ・あきこ1974年生まれ、東京都出身。2009年、「さよならロビンソンクルーソー」でフジテレビヤングシナリオ大賞を受賞。『逃げるは恥だが役に立つ』『アンナチュラル』『MIU404』などヒットを連発。※『anan』2022年6月1日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE)取材、文・小泉咲子(by anan編集部)
2022年05月29日映画『ハケンアニメ!』約2時間の物語の最後を彩るのは、エンディングの多幸感をさらに膨らませてくれるような、疾走感のあるポップチューン。川谷絵音さん率いる個性豊かなジェニーハイのメンバーに、初の映画主題歌のこと、そして作品の感想などを伺いました。物語に寄り添う音楽とは。その結果生まれた曲は…。――この映画の主題歌を作ってほしいという依頼は、いつ頃みなさんの元に届いたのですか?川谷絵音:たしか去年の10月くらいです。で、原作をまず読んで、それから試写を拝見しました。僕が観たのはアニメ部分がまだ仕上がっていないものだったんだけど、映画がとにかくすごくおもしろくて。アニメってこうやって作られているんだ…とか、そのへんが興味深かったのと、視聴率…いわゆる数字に追われる感じとかは、音楽業界と同じだな、と思ったり(笑)。クリエイターとして共感できるところがたくさんありました。中嶋イッキュウ:映画の主題歌っていうのは、ジェニーハイとしては初めての経験で。私たちのことをまだ知らない人にも、私たちの音楽を聴いてもらえるということが、とても嬉しかったです。映画で自分たちの曲が流れるって、一つの憧れでもあったので。小籔千豊:こんな依頼をいただけて、ありがたいなと思いました。「おもしろい映画だから、観て」って周りの人に言いまくりました、試写を観る前でしたけど(笑)。川谷:映画も良かったし、すぐに曲ができそうだと思ったら…。新垣隆:大変だったんだよね(笑)。川谷:普段の自分の音楽は、外からテーマを与えられて作るということはなくて、それこそゼロからテーマを見つけて作り上げるものなんだけど、それに比べて今回は映画というテーマがあるわけだから、いつもより楽なはず…と思ったら、全然そうじゃなかった(笑)。――何度か作り直しをされた、と伺いました。川谷:そうなんです。まず1曲作り、それをボツにしてもう1曲。めちゃめちゃキャッチーでポップな曲を作ったんですが、なんか自分の中で恥ずかしくなっちゃって、メロディを変えて、それでもまだ恥ずかしくて今度はコード進行を変えて…と紆余曲折の後、この「エクレール」にたどり着いた。――映画の主題歌である、ということが、逆にネックになってしまったということですか?川谷:音楽単体として聴いたときの良し悪しと、映画と一緒という視点で考えたときのそれは、違うんだなと思いましたね。僕はミュージシャンだから、そっちの視点を忘れてしまう。改めて、映画の主題歌としてマストなことは何かとか、ポップスとは何なのかということをめちゃくちゃ考えました。くっきー!:レコーディングに行ったら、自分が覚えてきたバージョンとは曲が変わってて(笑)。急遽覚え直すという地獄の作業をしたんですが、持ち前の才能で時間内に終わらせることができました。小籔:ドラムは、コードやメロディが変わってもそんなに影響はないんですが、やっぱり頭が“??”となりながらも、持ち前の勤勉さで乗り切りました(笑)。新垣:僕としては、ジェニーハイのレパートリーが増えたから良かったな、と思ってましたよ。中嶋:なんてポジティブ!(笑)――タイトルの「エクレール」は、映画に出てくるお菓子“エクレア”からヒントを?川谷:はい。エクレアの語源が“エクレール”という言葉で、フランス語で“稲妻”の意味なんだそうです。よくクリエイターが、いいアイデアがひらめいたときのことを、“稲妻が走った感覚”みたいに言うじゃないですか。この映画はクリエイターの物語だから、なんかいろいろ繋がるな、と。今日撮影で久しぶりにエクレアを食べましたが、美味しかったです(笑)。――完成した映画をご覧になった感想を教えてください。中嶋:この映画って、アニメを作る2つのチームが覇権を争う、というのが物語の柱ではありますが、1つの作品を作るのにこんなにたくさんの人が関わっていて、どの人の仕事にも共感する部分がたくさんあった。大勢の人が一つの目標に向かい、一丸となって進んでいくところに、私は感動しました。小籔:吉岡里帆さん演じる斎藤瞳が、制作スタッフ一人一人に、頭を下げながらお願いをするシーンがあるんですが、それを観ていて、自分が吉本新喜劇で座長をやっているときのことを思い出しました。ベテランの芸人さん、スタッフさん、それぞれに説明の仕方を変えないと伝わらない。プロデューサーから降ってくる無理難題も、今この歳になれば理解できるんですが、若かったときは“なんで?!”って思うこともあったんで、僕はずーっと“吉岡さん頑張れ!”って思いながら観てましたね。くっきー!:僕としてはやっぱり、バンドの曲が流れる1.05秒前からが最高のシーンです(笑)。でも正直、エンディングに僕らの曲が流れるってことを知っていたんで、終わりに近づくにつれて、“いつ来るんやろ、いつ来るんやろ?!”って思っちゃって、全然純粋な気持ちで観てなかった気がします(笑)。なのでもう一回、ピュアな心で観直したいと思います。新垣:映画のラストは、作品の中で最も大事な場面の一つだと思うので、そこでジェニーハイの音楽が活躍できるっていうのは、本当に嬉しいですよね。川谷:あとぜひ、僕らの曲が流れるエンドロールを最後まで観ていただきたいです。続きがあるので。くっきー!:そう、それは絶対。ジェニーハイテレビの企画により2017年より始動したプロジェクト。今回の曲「エクレール」(ワーナー)には、本作に出演している高野麻里佳がゲストボーカルで参加し、作品内アニメの声優らも掛け声で参加。メンバーが着ているのは、映画の中で制作されるアニメ『サウンドバック 奏の石』と、『運命戦線リデルライト』のキャラクターがあしらわれた、それぞれ世界で1着のスペシャルな衣装。写真左から、くっきー!(野性爆弾)ベース担当。お笑いコンビ〈野性爆弾〉のメンバー。以前から音楽活動を行っており、ギターも得意。自身のバンド〈THE SESELAGEES〉では作詞・作曲も手掛ける。また絵画の才能も評価されている。川谷絵音ギター、プロデュース担当。〈ゲスの極み乙女。〉や〈indigo la End〉などのメンバーとして知られている。メンバーからはプロデューサーの頭文字である“P”と呼ばれている。中嶋イッキュウ(tricot)ボーカル担当。4人組のロックバンド〈tricot〉のメンバーとしても活躍しており、バンドは海外の音楽シーンからも注目されている。また〈tricot〉ではグッズのデザインなども担当。新垣 隆キーボード担当。現代音楽作曲家、ピアニスト。また、大学の音楽講師や特任教授の顔も持つ。多数のクラシック音楽や現代音楽を作曲している。ジェニーハイへの参加は、小籔さんの推薦がきっかけだそう。小籔千豊ドラム担当。お笑い芸人であり、俳優、司会者でもある。音楽フェス「コヤブソニック」の主宰や、音楽ユニット〈ビッグポルノ〉のメンバーとして音楽活動も行っており、音楽への思いが熱い。映画『ハケンアニメ!』新人アニメ監督・斎藤瞳を吉岡里帆、彼女を振り回すプロデューサー・行城理を柄本佑、天才監督・王子千晴を中村倫也、王子に振り回されるプロデューサー・有科香屋子を尾野真千子が演じる。この2組、覇権を取るのはどっち!?監督/吉野耕平脚本/政池洋佑出演/吉岡里帆、中村倫也、柄本佑、尾野真千子ほか5月20日より全国公開。※『anan』2022年5月25日号より。写真・野呂知功(TRIVAL)(by anan編集部)
2022年05月22日映画『ハケンアニメ!』で初めて実写映画に出演、自身と同じ声優の群野葵を演じた高野麻里佳さん。この作品であらためて感じた、声優という仕事への愛を、情熱たっぷりに語ってくれました。高野麻里佳as群野 葵――映画『ハケンアニメ!』に出演することになったきっかけは?高野:初めは声優役のオーディションがあるんだけど、というお話をいただいたのがきっかけです。声優と違って、自分の顔が役として出ることにハードルを感じなかったわけではないんですけど、それ以上に、葵ちゃんを演じてみたいという気持ちから、オーディションを受けさせていただきました。声優のオーディションは台本を持ってアフレコブースに入って、審査する皆さんはミキサーブースにいてという形なのですが、映画のオーディションは長机があって、そこにたくさんの人が並んでいて、その前に一人ポツンと座って面接するんです。ちょうど映画の中で斎藤(瞳)監督が面接を受けるシーンみたいな雰囲気でしたね(笑)。でも、緊迫感の裏側にいいものを作りたいという情熱が垣間見える瞬間がたくさんあって、私も最初こそ緊張しましたけど、笑顔も出るオーディションでした。監督さんから「僕は声優さんをよく知らないから、どうしたら声優さんを表現できるだろうか」と逆に質問されて、モチベーションも高まりました。“この人たちと一緒に映画を作りたい!”という気持ちが強くなったんです。――監督からはどんな質問をされたんですか?高野:撮影前に、「声優さんってどんな服を着るんですか?」と聞かれたことがありましたね。声優さんってオシャレな人も多いんですけど、職業柄、音が鳴るものはNGなんです。なので、アクセサリーはもちろん、靴にも気を使っています。あとは鞄ですね。A4サイズの台本が入る大きさがマストなので、小さいバッグは持たないんですよ。普段、私はこんな服を着ていて、それにはどういう意味があるのかとか、詳細にお話しさせていただきました。そういうことも考慮して衣装を決めていただいたので、本当にリアルですよ。――逆に、高野さんが映画を撮影しながら初めて知ったアニメ制作の現場のリアルはありましたか?高野:監督さんがいろんなものを監修して一つの作品が出来上がっていく、というのは頭ではわかっていたつもりですが、斎藤監督のようにあんなに走り回って、たくさんのクリエイターとのやり取りを経てアニメが生まれるというのを目の当たりにすると、頭が下がります。私たちがいただく台本の裏側には、こうした皆さんの働きがあるということをあらためて考えさせられました。今まで以上にしっかり台本を読まなきゃ、と気が引き締まりますよね。――斎藤監督とはアフレコでぶつかるシーンもありました。プロの声優として、下手な演技をしなければいけないのは逆に難しかったのではないでしょうか?高野:斎藤監督が「もっと高低差をつけて」とか、「もっと抑揚をつけて」とディレクションしてくれていたので、その真逆のことをするイメージで演じました。下手な演技をしようというよりは、監督の指示とは逆のことをすればいいんだなって。葵ちゃんは、演技が下手だったり、声優としてのセンスがないわけじゃないと思うんですよ。作品を大切にしたい気持ちが空回っちゃってるというか。彼女なりに頑張ってるけど、斎藤監督が思い描く声ではなかった、というだけなんですよね。――群野葵という役を演じていて、共感したところはありますか?高野:たくさんあります!例えば、葵ちゃんって“アイドル的な人気声優”というレッテルが貼られてるんですけど、本人的には悔しい言われ方なんだろうなって思うんですよね。きっと彼女にはやりたいことがあって、でもそれがうまく伝わっていないというか…。私も長く声優というお仕事をする中で、表に出していただく機会も多いんですけど、周りから見た自分と本当の自分にズレが生じることがあるんですよね。それを残念に思う気持ちもあるんですけど、でも逆にその気持ちを持っているから葵ちゃんを演じられるんだなと思いました。だから私は、声優としてのプライドや悔しさを思いっきり表現して、葵ちゃんとして生きることが彼女を喜ばせることになるかなと思って演じました。――高野さんが考える声優という仕事の魅力は何ですか?高野:声優って誰かの夢を作る仕事だと思うんですね。だから私はその志を持って、みんなの心を震わせ続けることを大切にしています。この業界って“好き”から入るものだと思うんですけど、好きの形は様々ですよね。アニメが好きとか、演技が好きとか、誰かを喜ばせることが好きとか、いろんな好きがあっていいと思うんです。葵ちゃんみたいに、好きがなかなか噛み合わなくて演技を否定されることもあるかもしれないけれど、自分の好きはこれなんだって肯定してあげることも大事なんですよね。時には心ない言葉を受けることもあるけれど、私は私が好きだと思えることを一生懸命にやる。それがいつかきっと誰かの心に響くと、私は信じています。こうの・まりか2月22日生まれ、東京都出身。2014年より声優として活動。出演作にアニメ『それが声優!』小花鈴役、『ウマ娘プリティーダービー』サイレンススズカ役、『後宮の烏』九九役など。昨年、ソロアーティストとしてデビュー。映画『ハケンアニメ!』新人アニメ監督・斎藤瞳を吉岡里帆、彼女を振り回すプロデューサー・行城理を柄本佑、天才監督・王子千晴を中村倫也、王子に振り回されるプロデューサー・有科香屋子を尾野真千子が演じる。この2組、覇権を取るのはどっち!?監督/吉野耕平脚本/政池洋佑出演/吉岡里帆、中村倫也、柄本佑、尾野真千子ほか5月20日より全国公開。※『anan』2022年5月25日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・原田幸枝ヘア&メイク・宮本博子取材、文・伊 季姫(by anan編集部)
2022年05月22日最高のアニメを意味する“覇権アニメ”を作るべく2人の監督が奮闘する、映画『ハケンアニメ!』。その作中アニメは、参加声優陣も超豪華!?『ハケンアニメ!』作中アニメ…スタジオえっじの『運命戦線リデルライト』スタジオえっじが挑む魔法少女アニメ『運命戦線リデルライト』。登場人物の声を担当する高橋李依さん、堀江由衣さん、花澤香菜さんにお話をうかがいました。STORY行方不明の妹を捜す魔法少女の充莉は、自らの魂の力で乗るバイクを変形させ、ライバルたちとレースで競い合う。第1話に6歳で登場する充莉は、年に1度のバイクレースでのバトルを通し、仲間やライバルと共に、1話1歳ずつ年を重ねていく「成長するヒロイン」。CHARACTER充莉:心優しく明るい主人公。3歳年下の妹が行方不明となり、妹を救うためバイクレースに参加。清良:充莉のいる世界と鏡写しとなる世界の住人。充莉と運命を分け合う対になる相手。デル:充莉をバイクレースに誘った不思議な動物。ガラスや鏡の中、水の中などに現れる。詩織:中学校で充莉たちに出会う。オタク気質なところがあり、眼鏡がトレードマーク。七菜香:充莉の親友であり、良き相棒となる。クールでニヒルな性格の持ち主で、自転車屋の娘。圭:充莉たちが中学校で出会う。幼い頃から芸能活動をしている、大人びた美少女。悠樹:ボーイッシュで明るい天然キャラ。野球選手が夢で、男子のリトルリーグに参加している。高橋李依as充莉映画に登場する人みんな本当にアニメが大好きなんだな、ということが伝わってくる作品でした。ぶつかる理由も、いいものを作りたいから、アニメが好きだから、作品を届けたいから戦っているところが素敵でしたね。なかでも原画さん(小野花梨)は、どこかでお会いしたことがあるんじゃないかというくらい既視感のある雰囲気で(笑)。人の良さと職人気質がとても魅力的でした。雑誌の撮影で、アニメの決め台詞を言わされる斎藤(瞳)監督の“何をやらされてるんだろう”感も面白かった(笑)。観ているこちら側にも心の機微が伝わってくる繊細な空気の描き方が素晴らしかったです。斎藤監督がアフレコで何度もNGを言い渡すシーンがありましたが、個人的にここまで諦めないでいてくれるのはありがたいなとも感じてしまうんですよね。本当はOKではないんだろうな、という声音で「OKです」と諦められてしまうより、たとえ声のトーンが厳しくても、何度もやり直しさせてくれるのはやさしいな、作品のためだなと思えて。私、以前「リテイクをもらうのは悪いことじゃないんだよ」と、新人時代に言われたことがあるんです。リテイクは一度聞いてもらった上でより良い演技を引き出すものだから、怖がってちゃダメだよって。とはいえ、声優の現場って、基本テストと本番の2回しかないので、その収録が終わった後にリテイクの真意に気がついたり、別の可能性を思いつくことも。常に引き出しを増やしたり、瞬発力を磨いておきたいですね。私のきっかけはアニメが好きで声優を目指しました。今回共演もさせていただいている小林ゆうさんのように、男性も女性も演じられるなんて素敵な仕事だ!と衝撃を受けまして。それに声の演技だけでなく歌ったり、しゃべったり、声を使った様々な表現活動ができるのも魅力で。群野葵ちゃん役で映画に出演している高野麻里佳ちゃんとはイヤホンズとして一緒に音楽活動もしています。いわゆるアイドル活動と括られがちですが、“声優ができる音楽ってなんだろうね”ということに主眼を置いたユニットで、声を使って表現する実験的な活動も楽しいです。私はアニメを見るのも、作る過程も、作ってる人も大好きですが、みんなで作った作品をいろんな方と共有できる瞬間が特に嬉しく感じます。人と“楽しい”を共有したい。その想いがこの仕事に生きてるのかなって思います。たかはし・りえ2月27日生まれ、埼玉県出身。2013年より声優として活動を始め、TVアニメ『魔法つかいプリキュア!』朝日奈みらい/キュアミラクル役、『Re:ゼロから始める異世界生活』エミリア役など出演作多数。衣装協力・AuntMarie’s/アンティローザ TEL:03・6431・9431ete TEL:0120・10・6616堀江由衣asデルこの映画をひとことで言うなら、“戦い”ですね。監督には監督の戦いがあり、制作や宣伝、アニメーター、そして我々声優など、それぞれの戦いが描かれつつ作品同士の戦いもあって…。いろんな立場の人たちの想いが詰まっています。声優という仕事の大変さは理解しているつもりですが、アニメ制作現場は近いようで知らないことが多いので、勉強になりました。映画の登場人物を見て「こういう方、いる!」と思ったり(笑)。現場では余裕に見える監督でもプレッシャーを感じることがあるんだなということをあらためて感じましたし、いろんな気づきを与えてくれました。仕事をしている方ならきっと共感できる作品だと思います。作中、まりんかちゃん(高野麻里佳さん)演じる葵ちゃんが斎藤監督に何度もダメ出しされるシーンは胸が痛みました(笑)。私にも、何回やってもOKが出ないことがありましたし、つらいだろうなと思ってすごく共感しました。でも、最後の最後に監督が彼女にかけた台詞は胸アツでしたね!仕事って、できるのが当たり前、褒められることはあまりないじゃないですか。だけど、作品が終わって監督や音響監督さんに良かったよって褒めてもらえると、それだけで頑張れちゃうんですよね。私自身、そういう言葉一つひとつを大切にしていますし、それが声優というお仕事を続ける原動力にもなっているので、あのシーンは特に印象に残っています。私が声優を志したきっかけも斎藤監督とちょっと似ていて、子供の頃に見たアニメのヒロインに憧れたからです。「この人になりたい!」と思って、そのキャラクターになりきって友達と遊んでいました。お芝居が好き、というよりも物語の中に入りたいという気持ちのほうが強かったので、声優として演技の勉強を始めたばかりの頃は戸惑いました。でもやっぱり私は物語の中に入ってその世界に没頭するのが好きなので、声優として子供の頃に憧れたヒロインをやらせていただいたり、自分がなりたかったものになれたことは幸せだなと感じています。映画の中で私は『運命戦線リデルライト』のデルという不思議な生物を演じています。作中アニメとはいえアフレコ自体は普段と同じ作業なんですけど、ちょっと不思議な感じがして楽しかったです(笑)。アニメだけでなく、実写のシーンでも私の声が流れるところがあるので、ぜひ見つけてみてください。ほりえ・ゆい9月20日生まれ、東京都出身。アニメ〈物語〉シリーズの羽川翼役をはじめ、『魔法つかいプリキュア!』十六夜リコ/キュアマジカル役など幅広く活躍。11th album『文学少女の歌集II‐月とカエルと文学少女‐』が発売中。花澤香菜as清良アニメを見てワクワクする気持ちってあるじゃないですか。他のコンテンツでは味わえない「何だこれ!」を作っているのは、この仕事を愛して、一生懸命頑張ってくださっている人たちなんだというのがよくわかる作品です。映画を観たら、よりアニメを楽しめるようになるんじゃないかと思いますね。作中アニメのアフレコは難しかったです。カリスマ的な王子(千晴)監督に選ばれた声優だという説得力がないといけないと思うと責任重大でした。短いシーンの中で、充莉ちゃんとの関係性を出さなきゃいけないというのもあって、ト書きから読み取れるもので自分なりに清良を作り上げて、演じました。葵ちゃんが収録のときに泣き出しちゃうシーンがあったじゃないですか。私も一度だけ同じ経験があるんです。当時は高校生で、言ったこともないような辛辣なことを可愛い声で言うというのがどうしてもできなくて。感情がこみ上げてきて、泣いちゃったんですよね。でも、これはプロとして絶対にやってはいけないことだと思って、それ以降は泣いたことはないんですけど。今でもたまに新人の子が泣いているのを見たりするので、辻村(深月)さんの取材力と描写力は本当にすごいなと感じました。実は当時、高校卒業したら芸能活動をやめようと思ってたんですよ。それで、お世話になったスタッフの方にご挨拶に行ったら、「声がいいからやめないで!」と言われて。それまでにも声優のお仕事をしたことはあったけど、自分の声がいいとか、声のお仕事でやっていけるとか考えたこともなくて。でもその言葉を聞いて、これからは声優一本で挑戦しようと思って、その方がいる事務所に直談判したんです。もしかしたら「本当に来た」って思われたかもしれないけど(笑)、その方が私のマネージャーをやってくださってました。17歳のときに『ゼーガペイン』という作品でヒロインをやったんですけど、当時はインターネットで棒読みってめちゃくちゃ叩かれました。自分でも自覚はあったので、どうしたらうまくなれるか、自分なりに必死に考えましたね。今その作品を振り返ると、等身大の17歳の女の子らしさを感じるんですけどね。ただ、下手くそを自覚して、変わりたいと思ったときからいろんなことをやり始めて、ちょっとずつ自分のできることが増えていって…。「考えることをやめない」ことが私には一番大事だったのではないかと思います。はなざわ・かな1989年2月25日生まれ、東京都出身。2003年、『LAST EXILE』のホリー・マドセイン役で声優デビュー。以降、アニメ〈物語〉シリーズの千石撫子役、『はたらく細胞』赤血球役、『鬼滅の刃』甘露寺蜜璃など、多数出演。映画『ハケンアニメ!』新人アニメ監督・斎藤瞳を吉岡里帆、彼女を振り回すプロデューサー・行城理を柄本佑、天才監督・王子千晴を中村倫也、王子に振り回されるプロデューサー・有科香屋子を尾野真千子が演じる。この2組、覇権を取るのはどっち!?監督/吉野耕平脚本/政池洋佑出演/吉岡里帆、中村倫也、柄本佑、尾野真千子ほか5月20日より全国公開。©2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会※『anan』2022年5月25日号より。写真・小笠原真紀(高橋さん)スタイリスト・網野正和(高橋さん)ヘア&メイク・Yuu.(高橋さん)取材、文・伊 季姫(by anan編集部)
2022年05月22日