先日最終回を迎えたドラマ「メゾン・ド・ポリス」で、主人公・牧野ひより(高畑充希)を見守る“チームひよこ”の要、元警視庁捜査一課の刑事・夏目惣一郎を演じていた西島秀俊。“日本一、白シャツが似合う男”といっても過言ではない西島さんの白シャツ+エプロン姿には、「超絶可愛い」「キュンとした」といった声が視聴者から相次ぎ、高畑さんとのコンビネーションやおじさまたちとのチームワークも抜群で、続編を求める声も上がっている。この春はディズニー映画『ダンボ』でハリウッド実写作品の声優に初挑戦するほか、スペシャルドラマ「名探偵・明智小五郎」に続いて、放送開始前から注目を集める「きのう何食べた?」がスタートする西島さん。今年はさらなる新境地を、目にすることができそうだ。2019年は“年男”!新たな代表作が生まれそう1971年生まれ。3月29日に48歳の誕生日を迎えた“年男”の西島さん。1993年、月9ドラマ「あすなろ白書」でゲイの青年を演じて注目を集めた後、黒沢清監督による初主演映画『ニンゲン合格』や北野武監督の『Dolls/ドールズ』などをはじめスクリーンで活躍。イランの名匠アミール・ナデリ監督の『CUT』に出演するなど、海外の監督・スタッフと組むことも多い。2002年ごろからTVドラマに再び出演するようになると、「大奥~第一章~」や「アンフェア」「ストロベリーナイト」、「MOZU」シリーズ、「流星ワゴン」「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」、大河ドラマ「八重の桜」などに多数出演。映画『人魚の眠る家』での熱演や、「こんな明るい役は何年ぶりかな」と自身で語っていた『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』も記憶に新しく、昨年10月には「マリオ~AIのゆくえ~」でAI人間役にも挑んでいる。また、近年ではCM出演も激増。パナソニックやアフラック、ライオンなど、映画やドラマで見せる表情とはまた違った、家庭的で(?)朗らかなキャラクターでさらに人気を集めている。エプロン姿で刑事魂炸裂「メゾン・ド・ポリス」ドラマ「ストベリーナイト」の脚本・黒岩勉と、同作や『脳内ポイズンベリー』「無痛~診える眼~」なども手掛けた佐藤祐市監督らのスタッフが結集した今作は、朝ドラ「とと姉ちゃん」でも共演した高畑さんと再タッグ。白シャツにエプロン姿は反響を呼び、元警察官のおじさまたち(小日向文世、野口五郎、角野卓造、近藤正臣)が暮らすシェアハウス「メゾン・ド・ポリス」で家事をこなしながら、“チームひよこ”として数々の事件を追う群像刑事ドラマで輝いた。手編みセーターの几帳面な干し方をひよりに指南したり、アイロンがけをしながら捜査内容を頭の中で整理したりするが、料理だけは苦手。手作りスイーツに挑戦してもチームのみんなに突っ込まれてばかり。だが、「ようこそ、メゾン・ド・ポリスへ」と笑顔で挨拶しつつも、来訪者をしっかり観察していたり、空気を読まずに容赦のない質問を繰り出したりと、元捜査一課の敏腕刑事らしさを覗かせることもしばしば。元警視庁副総監の伊達(近藤さん)に「火がつくと怖い」と言わしめる、そのギャップも魅力となった。これほど喜怒哀楽がはっきりしており、感情表現が豊かな役柄もめずらしく、不意打ちの笑顔にドキッとした方も多いだろう。また、ベテラン俳優たちとワチャワチャしている様子も新鮮に映り、この撮影、相当楽しかっただろうな、と想像せずにはいられない。「続きが見たい」「期待してます」という声も上がる中、西島さん自身も「なんとかならないですかね」とクランクアップ時に語っている。伊藤淳史とサイバー犯罪に挑む「名探偵・明智小五郎」「チーム・バチスタ」シリーズや「無痛~診える眼~」などで共演してきた伊藤淳史とコンビを組み、明智小五郎を演じる2夜連続のスペシャルドラマ。原作の「怪人二十面相」を世界的ハッカー集団「ファントム20」に置き換え、ネット犯罪の脅威が忍び寄る現代が舞台となる。「神出鬼没の怪盗をネット上に隠れる犯罪者に見立て、新たな明智小五郎像が誕生したと思います。今回の明智はサイバーセキュリティー会社の経営者でありながら、捜査に関してはアナログに寄っています。変装をしたり、危機のときに敵と格闘になったり」と西島さん。類まれなる知能とサイバー技術を軽妙に駆使しつつ、時にアクションで魅せる名探偵・明智小五郎は確かに新しく、西島さんにぴったりかも。あのジャッキー・チェンを意識した動きもあるらしい!しかも、「少年探偵団」の小林少年にあたる、警視庁刑事部・サイバー捜査支援室の小林捜査官を演じるのが伊藤さん。映画『サヨナライツカ』「MOZU」シリーズ、「CRISIS」と共演してきた石田ゆり子とは夫婦役に。また、明智を“サイバー犯罪捜査のアドバイザー”としてスカウトする刑事部長・浪越役には「MOZU」シリーズや「ダブルフェイス」、黒沢監督の『クリーピー 偽りの隣人』で組んできた香川照之と、西島さんにとって“勝手知ったる”盟友たちが揃っている。第1夜SHADOW 警察データベース流出!! 犯罪者連続殺人国際手配されている脅威のハッカー集団「ファントム20」が突如、日本金融界の中枢を担う「ひかり銀行」にサイバー攻撃を開始。副頭取の宇田川(中尾彬)が頭を抱え、警視庁刑事部長・浪越謙次朗(香川照之)が緊急対応にあたるが、手も足も出ない状態…。だが、そんな窮地を救ったのが明智小五郎(西島秀俊)。優れたハッキング技術を持つ「チームBD」を率い、自らもズバ抜けたサイバー系の知識と技術を誇る人物だった。その才能に目をつけた浪越は、警視庁「サイバー捜査支援室」の主任・小林芳雄(伊藤淳史)を明智のもとへ送り、サイバー犯罪捜査のアドバイザーとして招聘。早速、約半月前に発生した元未成年犯罪者たちの現住所を含む極秘データ流出事件を依頼する。明智はすぐさま問題のサイトに現れた暗号を読み解き、「SHADOW」と名乗る犯人との接触に成功。その矢先、SHADOWが真の狙いに向けて行動を開始、難解な暗号を新たに提示した。暗号解読に与えられた制限時間は60分。SHADOWからの宣戦布告に、明智は不敵な笑みを浮かべ、真っ向から受けて立つのだが…!?第2夜VAMPIRE~巨大病院サイバージャック!!ある誘拐事件を鮮やかに解決した直後、明智小五郎はうっかり階段から転落、大病院「城西メディカル」に入院する。そこは奇しくも、厚生労働大臣・河本圭子(倍賞美津子)の旗振りのもと、ロボット支援手術など医療のIT化を積極的に取り入れている病院だった。河本がその安全性を自ら証明するため、心臓の手術を受けることも公表されており、注目を集めていた。そんな中、何者かが万全のセキュリティー対策を突破し、厚生労働省の公式サイトを全て料理のレシピにすり替える事件が発生。そこで、浪越から明智に捜査協力を依頼するよう命じられた小林は、明智が入院している「城西メディカル」へ。折しも院内では、河本のSP・澤井正和(高嶋政伸)らが見守る中、河本の手術がいまにも始まらんとしていた。ところが手術開始直後、院内のネットワークが乗っ取られ、全てのコンピューターが動作を停止することに…。新たなハマリ役の予感!「きのう何食べた?」4月5日(金)深夜からの放送を前に、公式Twitterのフォロワー数は5万9千人を超え、早くも話題沸騰中の今作。原作は「西洋骨董洋菓子店」「大奥」のよしながふみによる累計発行部数500万部(電子版含む)超えの人気コミックであり、シロさんこと几帳面で倹約家の弁護士・筧史朗を西島さん、その恋人で、ケンジこと人当たりの良い美容師・矢吹賢二を演じるのが内野聖陽とあれば、世間がザワつくのは当然。よしなが氏自身も「『何もこんなに似せなくても……』 と思うぐらい、そっくりです!本当にびっくりしました!」と太鼓判を押しており、さらにシロさんの“料理仲間”の主婦・富永佳代子役を田中美佐子が演じるなど、原作のイメージにぴったりのキャスティングも好評のようだ。「元々、原作の大ファン」という西島さんが演じる、クールでSッ気のあるシロさんは“その手があったか”というくらいお似合い!月の食費2万5,000円の中でやりくりする料理上手な彼は「メゾン・ド・ポリス」の夏目とは大違いだ。「色々なことをキチっと割り切って決めて生きているように見えて、実は内面が繊細に揺れ動いている。そこを大切に演じていきたい」、「心を込めて、深く理解し、丁寧に撮っていきたい」と語る様子からも、西島さんの並々ならぬ決意が伺える。初共演の内野さんからは「思った通りのいい男」とも言われており、2人の化学反応には大いに期待したいところ。待機作では『任侠学園』にも注目なお、映画では佐々木蔵之介とW主演するクライシス超大作『空母いぶき』が5月24日(金)の公開を控えているが、気になるのは西田敏行とW主演で任侠モノに挑む『任侠学園』(秋公開予定)だ。「義理と人情の任侠役を演じてみたい」と熱望し続けた西島さんが演じるのは、真面目過ぎるがゆえ、時に空回ってしまうお茶目な側面を持つ、という阿岐本組ナンバー2のヤクザ・日村。西田さんが『アウトレイジ』というよりむしろ『釣りバカ日誌』のハマちゃん風な組長に扮し、昔気質のヤクザ者が世のため、人のため、義理と人情を武器に奮闘する痛快“世直し”エンターテインメントを作り上げる。西島さんは「これまでのキャリアの中で大きな意味を持つ作品の一つになると確信しています。日村という役は今まで演じたことのない、全く新しいキャラクター」と、新たな挑戦であることを口にする。「名探偵・明智小五郎」でもタッグを組み、「民王」「99.9 -刑事専門弁護士-」などを手掛けてきた木村ひさし監督のもと、これまでに見たことのない西島さんが解き放たれるかもしれない。(text:Reiko Uehara)■関連作品:空母いぶき 2019年5月24日より全国にて公開©かわぐちかいじ・惠谷治・小学館/『空母いぶき』フィルムパートナーズ任侠学園 2019年秋、全国にて公開予定(C)今野 敏 / (C) 2019 映画「任俠学園」製作委員会
2019年03月29日人生では居場所を見失ってさまよってしまうこともありますが、女性として自立するうえではそういう経験もときには必要なこと。そこで、今回ご紹介するのは、愛に翻弄されながらも成長していく女性を描いた話題作です。それは……。NYの日本人コミュニティが舞台の映画『MAKI マキ』!【映画、ときどき私】 vol. 200ニューヨークにある日本人高級クラブでホステスとして働くマキ。英語も話せないままアメリカ人の彼氏を追いかけて日本を飛び出したが、いまはクラブのボーイであるトミーと同棲していた。クラブ内での恋愛は禁止されていたため周囲には秘密の関係。しかし、マキはトミーとの子を妊娠していたのだった。そんなマキの異変に気が付いたのは、クラブのママでもあるミカ。トミーに不信感を募らせ、動揺していたマキをいたわり、優しい言葉をかけていたが、実はミカにはある思惑があった。はたして、マキの運命はどうなってしまうのか……。ananweb読者たちと同世代の女性が主人公ということもあり、興味を持っている人もいるかと思いますが、今回は本作の舞台裏などについて、こちらの方にお話を聞いてきました。それは……。イラン出身のナグメ・シルハン監督!新鋭女性監督として注目を集めているシルハン監督ですが、本作が長編2作目。これまで日本に10回ほど来たこともあるという日本通の監督から見た日本の魅力や撮影秘話などについて、語っていただきました。―今回は日本人女性が主人公で、アメリカの日本人コミュニティが中心に描かれていますが、このストーリーはどのようにして生み出されたものなのでしょうか?監督私自身がイラン出身のアメリカ育ちということもあり、アメリカに住んでいる外国人の気持ちがよくわかるというのがまずありました。あとは、昔から日本映画が大好きで、日本の文化にも興味があったので、「これを映画の題材にすれば、もっと日本に触れることができるんじゃないか」と思ったんです。―そういった思いもあって、あえてアメリカに住むイラン人ではなく、日本人を描こうと思ったのですか?監督1作目でカナダに住むイラン人の物語を撮っていたこともあり、同じようなものを作るのはおもしろくないなと感じていたというのもありますね。そのうえ、アジアのなかで、私にとって一番興味があったのが日本。自分で研究することによって、とても勉強になると思いましたし、私はチャレンジすることが大好きなんです。―同じ異国に住む女性として、マキに自身の経験などを反映したところはありましたか?監督半分くらいはそういう部分もありました。でも、マキのように「自分が何をしたいのかわからない」といった経験はみなさんもしているんじゃないでしょうか?それは海外か自分の国に住んでいるかは関係なく、そういう思いを抱いている人はたくさんいるはずです。権力を振りかざす女性は世界中どこにでもいる―原田美枝子さんが演じるクラブのママであるミカは、権力で他人を支配するような女性でしたが、モデルになった人もいたのでしょうか?監督ママさんみたいな人はいろんなところにいますよね(笑)。リサーチのために日本のホステスクラブにもたくさん行き、いろいろな方と出会いましたが、こういう女性はけっこういるんだなと思いました。「こういう女性」というのは、50代、60代で権力を振りかざしていたり、「権力者になりたい」と思う女性のことですが、日本だけでなく、どこに行ってもいるものですよ。私が昔住んでいたイランやイタリア、フランス、そしてアメリカで出会った数々の女性をイメージして書きました。だから、私も人生ではたくさんのママさんに会っていますね(笑)。ちなみに、フランスにいたときにあるプロダクションの会社で働いていましたが、そこのボスが女性で本当にママさんと同じような動作や話し方をする人でした。それから、そういう女性はなぜかだいたい若い男の子が好きなんですよね(笑)。―では、世界中にいるミカのような女性を集結して描いたんですね(笑)。監督そうですね。だから、ある意味この作品は、ママさんのような女性に対するリベンジみたいなものかもしれないです(笑)。でも、私はこの作品のミカは好きなキャラクターなので、嫌いではないですよ。―私も海外に留学していたときに、どの国にも日本人のコミュニティがあることを知りましたが、監督の目にはどのように映っていましたか?監督日本人はコミュニティという名の“巣”を作って、そのなかに集まっているという印象を受けました。たとえば、アメリカのホステスクラブにいる日本人女性のなかには、2~3年アメリカにいても英語がしゃべれない人もいましたが、巣のなかにいるだけで外のことを知らずに帰国する人もいるんですよね。そういう人たちは、いったいどういう利益を求めて海外にいるんだろうと思いながら、見ていたこともありました。今回の撮影で日本人の心に近づくことができた―以前、監督はニューヨークで日本人コミュニティと親しくしていたこともあったそうですが、その際に驚いたことなどがあれば教えてください。監督一番印象に残っているのは、グループのなかに入ろうとしても、日本人以外はなかなか入れないようなところがあることですね。でも、この映画を作るにあたって日本人のエキストラの方もたくさんいたので、この作品のおかげで少しずつ日本人の心に近づいていくことができたと思います。―ちなみに、イラン人のコミュニティというのは、どのようなものですか?監督もちろんイラン人コミュニティもどこにでもありますし、同じように自分たちだけで固まって、楽に感じている人もいますよ。だから、これは日本人特有なことではないと思います。―監督は日本がとても好きだということですが、師匠であるアミール・ナデリ氏の影響で日本に興味を持ち始めたのですか?監督ナデリ監督に会う前から、日本の映画をたくさん観ていましたし、日本の音楽も聴いていたので、日本にはとても興味がありました。なぜ日本に惹かれたかというと、非常に深いところで物事を見ていて、芸術的にも繊細であるにも関わらず、ひけらかすことなくすごく控えめで、デリケートなところを感じたからです。―今回、日本のキャストたちと仕事をしてどのように感じましたか?監督まず、ミカ役の原田美枝子さんとお仕事ができることはとても光栄なことであり、とても楽しみなことでもありました。というのも、以前の作品でも、今回の作品でも、出演者はほとんど素人で、原田さん以外はプロの俳優が少なかったからです。だからこそ、「偉大な監督たちとお仕事をしている原田さんと一緒にできるんだろうか」みたいなことを思ったりもしました。でも、原田さんはとても素晴らしい方なので、現場ではたくさんのことを学ぶことができたと思います。原田さんがいたからこそ、この作品ができた―確かに、ベテランである原田さんが存在するだけで、そのシーンに緊張感が走って重みを増すような感じはありました。監督劇中では舞台のような雰囲気を感じる場面もありましたが、それは原田さんの大きな存在感があったからこそ。彼女のパワーのおかげでそういったシーンを撮ることができたと感じています。今回、原田さんには事前に脚本も読んでもらいましたが、最初から参加すると言ってくださいました。そのあと、出資集めやキャスト選びに時間がかかり、撮影に入るまで1年近く間が空いてしまったのですが、原田さんは一度もやめると言うこともなく、ずっと待ってくださったのです。それは私にとっては大きなことでしたし、一番のいい思い出でもあります。原田さんがいたからこの作品ができたところもあるので、まるで天使のような存在でした。絶対に良い映画になると信じてくれた原田さんのおかげで、とても心強かったです。―マキ役のサンドバーグ直美さんとトミー役のジュリアンさんは長編映画初だったそうですが、キャスティングしたきっかけを教えてください。監督まず、マキとトミーはセットで考えないといけないと思っていました。つまり、何よりもこの2人のケミストリーが合わなければ、すべてが壊れてしまうと感じたからなんです。今回は先にジュリアンと会いましたが、そのときに「あなたに合いそうなお友達はいない?」と何となく聞いたところ直美を呼んでくれました。その後、2人と初めてカフェであった瞬間、「この2人だ!」と確信してお願いすることにしたんです。ポルノ映画と勘違いされて追い出されそうになった(笑)―今回は、低予算ということもあり、短期間の撮影では難しいことも多かったと思いますが、一番苦労したのはどんなことでしたか?監督クラブでの撮影はとにかく大変でした。というのも、本物のホステスクラブを借りていたので、私たちが撮影することができたのは営業以外の時間でのみ。そのため、営業が終わる朝5時に入って、夕方の6時までに終わらせないといけなかったので、セッティングしては元に戻すというのを毎日繰り返していました。それが本当にきつかったですね。あとは、マキが別荘に行くシーンも、1本分の映画と同じような内容を3日間で撮らないといけなかったので、違う意味で大変だったシーンです。とはいえ、全部大変でしたね……。―そのなかで、何かハプニングが起きたりしたことはなかったですか?監督実は、マキのアパートは友達から借りていたのですが、そこのオーナーがポルノ映画を撮っていると勘違いして、追い出しにきたことがありました(笑)。どんなに違うと言っても、わかってもらえず、毎日のように言われ続けて大変でしたね。原田さんもいたので、とても恥ずかしかったです。「絶対に負けない」という気持ちを受け取って欲しい―この作品を通じて、ananwebを読む日本の女性たちにも感じて欲しいことがあればメッセージとしてお願いします!監督若い人たちに伝えたいのは、がんばればどんな願望も手に入れられるんだという勇気を与えられる映画だということ。それは「絶対に負けない」という思いを持ったマキやトミー、そしてミカからも感じることだと思いますが、カメラの後ろにいるスタッフたちも同じような気持ちでこの作品を作ったので、そういうところはみなさんにも感じて欲しいと思っています。女性の持つ強さを感じずにはいられない!大人の女性として新たな一歩を踏み出すことの大切さを感じさせてくれる本作。欲望と孤独が渦巻く大都会ニューヨークで、愛を求めて生きる女性の姿に、思わず自分を重ね合わせてしまう人もいるはずです。それぞれの思いが交差する予告編はこちら!作品情報『MAKI マキ』11月17日(土)より、ユーロスペースほか全国順次ロードショー配給:ユーロスペース
2018年11月16日妻夫木聡×満島ひかりのタッグで、ミステリー文学界の魔術師・貫井徳郎の直木賞候補作を映画化した石川慶監督作品『愚行録』が、8月31日(現地時間)より開催される第73回ベネチア国際映画祭にて、ワールドプレミア作品を集めたオリゾンティ・コンペティション部門の正式上映作品に決定。由緒ある映画祭で、世界に向け初お披露目されることが分かった。エリートサラリーマン、その妻、そして1人の子どもが何者かによって惨殺された。犯人不明のまま、世間を騒然とさせた一家殺人事件から1年。週刊誌記者の田中(妻夫木聡)は、改めて事件の真相に迫ろうと取材を開始する。だが、関係者のインタビューを通してあぶり出されるのは、理想的な夫婦の外見からはかけ離れた実像。そして次第に浮かび上がってくる事件の真相とは…。これまで、園子温監督『冷たい熱帯魚』『地獄でなぜ悪い』や、西島秀俊主演作『CUT』(アミール・ナデリ監督)、加瀬亮主演『自由が丘で』(ホン・サンス監督)などが出品され、塚本晋也監督『KOTOKO』がグランプリを受賞するなど、日本関係作品が高い評価を受けてきたベネチア国際映画祭オリゾンティ・コンペティション部門。主に長編デビュー作や、革新的、独創的な若手作家・独立系作家の監督作品に焦点を当てる部門としては世界最高峰の1つに数えられている。そこでワールドプレミア上映されることになった本作。第135回直木賞候補作に選出された著者・貫井氏渾身の原作を映像化するのは、ロマン・ポランスキーを輩出したポーランド国立映画大学で演出を学び、本作で長編映画デビューを果たす石川慶監督。脚本は、『マイ・バック・ページ』『聖の青春』などで注目を集めている向井康介が務める。主人公の記者・田中を演じるのは、日本アカデミー賞を受賞した『悪人』の李相日監督作『怒り』も待機している妻夫木さん。田中の妹・光子役には、映画・テレビで幅広く活躍し、『ONE PIECE FILM GOLD』では声優を務める満島ひかり。また、共演には小出恵介、臼田あさ美、市川由衣、松本若菜、中村倫也、眞島秀和、濱田マリと平田満ほか、人気実力派俳優たちが集結する。石川監督とっては、カンヌ、ベルリンと並び世界三大映画祭であるベネチアで世界デビューを果たす快挙。本映画祭への出品決定を受け、監督や原作者の貫井氏からもコメントが到着。さらに、一家惨殺事件の真相を追う週刊誌記者・田中に扮した妻夫木さんが、意味深な目線を向ける初の劇中写真も解禁となっている。予想を覆す展開に衝撃が走る超傑作ミステリー群像劇に、世界がどんな反応をするのか、引き続き注目していて。<コメント>■貫井徳郎(原作者)試写を観たとき、これは世界で勝負できる作品だろうと直感しました。だから今回のベネチア国際映画祭への出品は、まったく驚きではありませんでした。世界でどのように評価されるのか、いまはただただ楽しみです。■石川慶(監督)いろいろな人に支えられながら、必死で撮りあげた『愚行録』が、憧れのベネチア国際映画際に選出され、その舞台で長編監督としてのスタートを切れる自分は、ほんとうに幸せ者だと思うと同時に、背筋が伸びる思いでいます。支えてくれた素晴らしいキャスト、スタッフに感謝しかありません。そして、願わくば皆の思いがベネチアの観客に届きますように。■加倉井誠人(プロデューサー)『愚行録』がその質の高さを評価されまして先ずは海外の地で披露される事を光栄に思っております。この冒険心あふれるミステリー作品が新たなる力を蓄えまして、しっかりと日本のお客様にお届けできればと願っております。『愚行録』は2017年、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年07月28日俳優たちの苛烈なアクションと演技バトル、そして謎が謎を呼ぶ展開で、テレビドラマの常識を超えてきた「MOZU」。その最終章『劇場版MOZU』がついに公開になる。壮大な物語に見合う大きさのスクリーン・サイズを得て、さらにスケールとスピード感を上げた作品について、ドラマ・シリーズから主人公の公安警察官・倉木を演じ続けてきた西島秀俊に話を聞いた。撮影に入って、ドラマとの違いを最も感じたのは撮影ペースだったという。「テレビシリーズの時はものすごいスピードで撮影していました。監督が1人、編集も1人でやられているので。8か月ぐらい撮っていましたけど、普通の連ドラよりもずっと速いスピードでしたね。それが今回は、ワンカットずつに時間をかけられるようになった。撮影の江崎(朋生)さんもカメラポジションを探れるようになって。ドラマ撮影時の江崎さんは、もう絶対に迷わないって決めたらしいです。迷う分だけ撮れなくなるから」。主な舞台となる架空の国「ペナム」のシーンでもあるフィリピン・ロケについては「すごかった。本当に危なかったです」と、まずひと言。「フィリピンのスタッフには指示が日本語から英語、タガログ語で伝わるし、みんな性格も違うんで、どうなるか分からない雰囲気がありました。『俳優とカメラが乗っているから、ぶつけないで』と言っても、本番で興奮してバンバンぶつかったり。『いい画は撮れるんですけど』と監督も言っていましたけど、あと2回続いたら誰か死ぬな、と思うくらいでした」。通常は味わえない途方もない緊張感と刺激に、その後日本に戻ってからの撮影を物足りなく感じたほどだという。「俳優自身にやらせてくれる現場って、もちろん僕も自己責任だと思ってますけど、何かあった場合はプロデューサーや監督が責任を取ると言ってくれるから、やれるわけで、それはありがたいです。もっときついアクションを僕はやりたい。飛行機にぶら下がったりしたいです(笑)。だから、自分でやらせてくれる現場に本当に感謝しています」。我が身の大切さを忘れたように目的へ突進する。これは演じた倉木にも通じるものだ。「倉木という男は、奥さんが死んだ時点で頭の中では1回死んでいるんですね。あとは自分の娘の死、妻の死の謎を解くためだけに生きていて、謎が解けたら死ぬだろうという人物です。だから、それを見抜いた闇の勢力の人たちは『おまえはこっち側の人間だ』という。香川照之さんが演じる大杉と、真木よう子さん演じる明星という2人が何とか彼を、普通の生活を送る人間というものにつなぎとめようとしていて。倉木は、奥さんと娘の魂みたいなものを追いかければ追いかけるほど、ダークサイドに近づいていきます。結局彼はどっちを選んだのか、きっとラストのあるシーンに表れているんじゃないかなと思います」。サスペンスに満ちたストーリーはもちろん、映像作品としての『MOZU』の面白さは、観客に見せたい画が明確であり、それを目指して俳優たちが演技で暴れ回るところだ。「すごい画があるという安心感というか。どんな演技をしても、おかしなことになったりしない画の強さがあると分かっているというのはありますね。だから、フィクションの度合いをどれだけ高く設定しても無理がない。多分、吉田鋼太郎さんのせいだと思うんですけど(笑)。ドラマで「してないもん!」ってベッドから起き上がったときに『あ、いいんだ』と、みんな思ったのか。台本をどう読んでもそんなふうに読めないような役作りを、みんなが想像力をこんなに膨らませて現場に来て。それは『MOZU』の本当に大きな魅力です。悪役がすごく輝いて、それぞれの役者さんたちが本当にほかでは見たことがないような演技をしている。現場でびっくりすることが多かったです。あれは相乗効果なんでしょうね。『こいつ、こうきたか。負けられない』みたいな。僕は大体総当たり戦でしたけど、すごく楽しそうに皆さん暴れて帰っていきましたね(笑)」。映画の見どころの1つは、最後の黒幕「ダルマ」役でビートたけしが出演していること。西島さんは2002年、北野武監督の『Dolls』に主演して以来、久々の顔合わせとなった。「初めてなんですよ。“北野武”監督にはお会いしたことはありますが、“ビートたけし”さんにお会いするのは初めてで。監督としてもちろん尊敬していますけど、俳優としても本当に規格外の、日本の俳優の範囲に収まらないような演技をされる方です。ちょっと参考にできないくらい、本当にあの稀有な人生を歩んでいる人の演技なので」と初共演の感想を語る。「すごく勉強にもなりました。自分はもともとどうなりたかったのか。それをもう1回、目の前に突きつけられました。たけしさんは実際に“ダルマ”と同じくらい僕にとっては謎な存在で、自分にとっての命題みたいなものをポーンと投げかけてくださる。それは観客として観ているときもそうだったし、実際お会いしてお仕事しても、やっぱりそういう存在ですね」。たけしさんが出演しなければ、「物語の背景にあって、描けない最大の謎であるダルマが前面に出てくることはなかったでしょうね」と西島さん。「たけしさんが参加してくださったのは『MOZU』のチームにとって、信じられないような幸運です」。大きな謎の正体にたどり着き、ついに完結する『MOZU』。倉木を演じきり、この作品で得たものは?「本当にいろんなものを得ています。自分のやる気が空回りしているのを、抑えなきゃいけない現場もありますが、今回は『俺はここまで作品に身を捧げられる』とスタッフと勝負するみたいな(笑)。そんな現場はなかなかないです。役に没頭する方向であれば何をやってもいい。だから悪役の人たちも、あり得ないぐらいの演技をしているわけで。『やっていいんだ』と思えたのはありがたいですね。僕が幸運なのは、その後もそういう現場がまた続いていることです。映画だけじゃなくドラマでもCMでも本気でやれる現場が続いている。もしかしたら、きっかけは『MOZU』なのかなと思っています」。のめり込む現場というと、思い出すのは2011年の主演作『CUT』だ。イラン出身のアミール・ナデリ監督のもと、肉体と精神を極限まで追い込む役を演じた。「そうですね。アミール・ナデリとの出会いは本当に大きくて。『役を作るためのエベレストに登った俳優たちは何人かいる』と。『おまえはおまえのやり方で登ればいいけど、どうやって登ったかを参考にするのは悪いことじゃないから、演技が素晴らしかったと思う映画をもう1回見直して、彼らがどんな作業をしたのか、ルートを調べろと言われて。それを実行して、1回整理し直したというか。思いつくことは全部やろうという姿勢で、ここまで来たというのはありますね。ただ、たけしさんには『崩せ』と言われていて(笑)。羽住さんには『そのままもっと行け』と言われるので、どうしよう』と困ったように笑う。「わかんないですけどね。でも両方できたらいいな、と思います。崩しつつ構築する…って、よくわかんないですけど(笑)」。(text:Yuki Tominaga/photo:Nahoko Suzuki)■関連作品:劇場版 MOZU 2015年11月7日より全国東宝系にて公開(C) 2015劇場版「MOZU」製作委員会 (C) 逢坂剛/集英社
2015年11月06日映画に欠かせないゴージャスなドリンクの代表格と言えばシャンパン。このほど、世界中で愛されるシャンパン・ブランド「モエ・エ・シャンドン」が、6月15日(金)より開幕するショートフィルムの祭典「ショートショートフィルムフェスティバル & アジア 2012」(以下:SSFF&ASIA)とのコラボレーションにより新アワードを設立。6月13日(水)、映画祭開幕に先駆けて明治神宮内にてガラ・パーティが行われ、多数の豪華ゲストたちが足を運んだ。ゴールデン・グローブ賞ほか世界各国の映画祭を支援してきた「モエ・エ・シャンドン」とのコラボレーションで、今年から新たなアワードとして加わった「モエ スター アワード」。これからの映画界を担っていく“未来のスター”を称えることを目的とした、日本のみならず世界を見据えた賞である。『プリティ・ウーマン』や『タイタニック』、『セックス・アンド・ザ・シティ』などで、ハリウッドセレブたちの手元にいつも登場するモエ・エ・シャンドンのシャンパンだが、この日参加したゲストたちの手にももちろんシャンパンボトルが握られていた。「SSFF&ASIA」の代表を務める別所哲也は「今回、モエ・エ・シャンドンとのコラボレーションでより一層、国際的な映画祭にしていただけた」と映画祭本番を前に感慨もひとしお。しかし報道陣から本日、松田聖子さんが電撃結婚を発表したことを告げられると、「えっ!?うそっ!おめでとうございます!」と驚きを隠せない様子。だがさすがは代表、「聖子さんのような大スターが、このSSFF&ASIAから誕生してくれるはずです!」としっかり映画祭のアピールも忘れなかった。その後も続々とゲストが到着。春らしいピンクのフレアドレスで登場した美波は「日本でお酒を飲みながら映画を観れる機会はあまりないのですごく楽しみです!」と笑顔を見せた。さらに、「BCBG MAXAZRIA」のエスニック調ドレスを颯爽と着こなす芦名星、バイオレットで妖艶な魅力を放つパリコレモデルのCHIHARU、2011年の「ミス・ユニバース・ジャパン」神山まりあら美しき女性陣がレッドカーペットを華やかに彩った。そのほかには「既に飲みたくて仕方ない!」と明かし記者陣を沸かせたMCのLiLicoや、元サッカー選手の中田英寿、元女子フィギュアスケート選手の村主章枝、お笑い芸人で自身もショートフィルムの監督を務めた経験を持つ「ガレッジセール」ゴリ、さらに西島秀俊主演『CUT』などで知られるインディーズ映画界の巨匠アミール・ナデリなど錚々たるゲストたちに会場は大きな賑わいを見せていた。「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア2012」は6月15日(金)から19日(火)までラフォーレミュージアム原宿で、6月22日(金)から24日(日)まで表参道ヒルズ スペース オーほかにて開催。公式サイト:特集「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア2012」■関連作品:ショートショート フィルムフェスティバル & アジア2012 [映画祭] 2012年6月15日から19日までラフォーレミュージアム原宿で、6月22日から24日まで表参道ヒルズ スペース オーほかにて開催
2012年06月13日5月26日(土)夜、テアトル新宿にて第21回日本映画プロフェッショナル大賞の授賞式が行われ、立ち見を含めて約230人の映画ファンが押し寄せる中、主演女優賞を受賞した榮倉奈々を始め、西島秀俊(主演男優賞)、大根仁監督(新人監督賞)ら受賞者が登壇した。「日本映画プロフェッショナル大賞」とは、作品の評価が高いにも関わらず、既成の映画賞では受賞に至らなかった映画、または興行面でいい結果を出せなかった作品にスポットを当てようと1992年に設立された賞。毎年、独自の視点で監督やプロデューサー、脚本家、配給宣伝、興行関係者などの映画界で活躍するメンバーによってベストテンと個人賞が選出される。今年は作品賞に平野勝之監督『監督失格』が選ばれたほか、『CUT』が監督賞と主演男優賞の2部門にて受賞した。『アントキノイノチ』(瀬々敬久監督)、『東京公園』(青山真治監督)での演技が高く評価され、主演女優賞の栄冠を手にした榮倉さんは「まさか2つの映画が対象で受賞できるなんて、夢のよう」と今回の受賞をいまだに信じられない様子。2作品共に「命」がテーマとして描かれているが、「撮影中よりは、作品になってから“命”について考えることがあった」と明かした。さらに、2つの映画に出演してみての感想を尋ねられた榮倉さんは、「みなさん、人間としてやっていることを楽しんでいるし誇りに思っている。私も出演したことでそうだなあと、信じさせてもらえました」としみじみ。「今後やってみたい役は?」と聞かれると「内緒で…」と答え、会場を沸かせた。2010年には『余命1ヶ月の花嫁』で日本アカデミー賞新人俳優賞も受賞した榮倉さん。今回の快挙はさらなる躍進を感じさせるものとなった。第21回日本映画プロフェッショナル大賞一覧作品賞:『監督失格』主演女優賞:榮倉 奈々(『アントキノイノチ』、『東京公園』)主演男優賞:西島 秀俊(『CUT』)監督賞:アミール・ナデリ(『CUT』)新人監督賞:前田弘二(『婚前特急』)、大根仁(『モテキ』)功労賞:緑魔子(『軽蔑』)特別賞:千葉 善紀(『恋の罪』)公式サイト::『アントキノイノチ』DVD価格:5,985円(税込)『アントキノイノチ』ブルーレイ価格:6,930円(税込)発売元・販売元:ポニーキャニオン発売中© 2011「アントキノイノチ」製作委員会■関連作品:婚前特急 2011年4月1日よりテアトル新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開© 2011『婚前特急』フィルム・パートナーズモテキ 2011年9月23日より全国東宝系にて公開© 2011映画「モテキ」製作委員会軽蔑 2011年6月4日より全国にて公開© 2011「軽蔑」製作委員会恋の罪 2011年11月12日よりテアトル新宿ほか公開にて公開© 2011「恋の罪」製作委員会CUT 2011年12月17日、シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国にて公開© CUT LLC2011アントキノイノチ 2011年11月19日より全国にて公開© 「アントキノイノチ」製作委員会東京公園 2011年6月18日より新宿バルト9ほか全国にて公開© 2011「東京公園」製作委員会監督失格 2011年9月3日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズにて先行公開© 「監督失格」製作委員会■関連記事:『ハラがコレなんで』仲里依紗インタビュー妊婦、シングルマザー役の“その先”は…99歳日本最高齢の現役監督に、永作博美、小池栄子らがスタンディング・オベーション第66回毎日映画コンクール最高賞は『一枚のハガキ』、男優賞に『モテキ』森山未來“殴られ屋”西島秀俊にボディガードが?「一生忘れられない」主演作が封切りに海外で活躍してほしい俳優1位は水嶋ヒロ、2位に向井理必須条件は語学力と長身?
2012年05月28日「良いとか間違っているとかをジャッジするのではなく、ただそこにあるものを理解しようとすること――」。それこそがアーティストである前に“人間”伊勢谷友介を貫く哲学であり、2作目の監督作となる映画『セイジ−陸の魚−』の主人公・セイジ(西島秀俊)に背負わせた生き方でもある。昨年公開された『あしたのジョー』ではおよそ10キロの減量を敢行し、文字通り身を削って力石徹に変身した伊勢谷さん。「今回は監督だけだったので全くもって楽でしたよ」と飄々と語るが、完成した作品を観ればひとつひとつのセリフ、そして沈黙に至るまで、まさに彼が“心血を注いで”を作り上げていったことが分かるはずだ。前作『カクト』から8年。俳優としての活動に加え、己の生き方を形にするべく数年前より自らが代表となって始めた「リバースプロジェクト」の活動を経て、彼はこの映画で何を表現しようとしたのか?舞台は寂れた山奥のドライブインという、ほぼワンシチュエーション。ひょんなことから自転車旅のさなかに旧道沿いに立つドライブイン“HOUSE475”に立ち寄った僕(森山未來)と雇われ店主のセイジ、そこに集う人々の交流が静かに描き出される。前作がオリジナル脚本だったのに対して、今回は辻内智貴の小説(「セイジ」光文社文庫刊)を原作としているが、伊勢谷さんは原作小説が内包するテーマに惹かれ、5年越しで映画化を実現させた。「地球上で人間が生きているということを考えること。個人として我々に何ができるのか?人が困っているときに何をすべきなのか?それは僕がその頃考えていたことでもあるんですけど、そうしたテーマを全てこの小説は内包していました」。それを映画として表現する上で「テーマを前面に押し出したり、説明過多の物語にすることはしたくありませんでした。映画の中にもいろんな立場の人が出てきますが、観る人の経験や感覚によって理解や解釈が変わってくる作品にしたかった」と明かす。この言葉にもあるように“観客”の存在を念頭に置いて作品に対峙するようになったことが8年前との大きな違いだという。「8年前は『映画監督になりたい』という自分のための意識が強かったと思います。監督になるということがどこかで目的になってたんです。それが今回、映画を作ろうってなったときに、絶対的に観る人の存在が中心にあったんです。お客さんに何を持って帰ってもらうのか?という点を考えた上でデザインしているというのはものすごく変わった部分です。ここ5年の間にセイジという人間に関わり、彼について咀嚼したことで僕自身がいつの間にか成長できたんだと思います」。伊勢谷さんをそれほどまでに変えたセイジという男。いったいどんな人物なのか?映画の中では決して多くを語ろうとしないが、たまに口を開くと心を捉える言葉を持つ男として不思議な魅力を放つ。「地球を遠くから見つめている男」とは伊勢谷さんの表現。さらに自身と「近いところがある」と認めつつこんな思いも…。「実は、この原作を映画にしようと動き始めた時点では“アンチ・セイジ”というのが僕自身の彼に対するスタンスでした。セイジは全てを感じ、理解しているけど自分からは決して行動しないと決めている。僕は最初、それは間違いなんじゃないかと思ったんです。感じることができるなら、そのために行動することが現代に生きる人にとって光になるんじゃないかって思いの方が強かった」。だが5年の歳月をかけて脚本を練り直し、30稿を超える書き換えを積み重ねていく過程で伊勢谷さんの思いは徐々にセイジに寄り添い、重なっていく。「原作ではセイジはある種の“神”として描かれています。だからこそ余計な説明なしに彼の生き方というのが成立している。だけど、僕は人間としてセイジを描きたかった。彼に人間味を持たせたかったし、人間だからこそできるというのを伝えたかったから、原作にはないセイジがHOUSE475に至るまでの物語を描きました。最後にセイジが取る行動に関しても、彼がそうするに至る衝動や彼の中での道理というのを観る人に感じてもらいたいです。正直、そこは西島さんなくして成立し得なかったところなんですが…。『もしかしたら、そうしちゃうかもしれない』というところまで感じてもらうことができたら、何をもってして“人を助ける”と言えるのか?ということを考えるきっかけになると思います」。西島さんの話が出たが、かつて『CASSHERN』でわずかに共演経験のある西島さんに対する伊勢谷さんのスタンスは“信頼”の一言に尽きる。先述のラストシーン近くでセイジが取るある行動についても「30稿書いて誰からも『納得できる』とは言ってもらえなかったけど、西島さん自身はそのシーンに全く疑問を持たず『できるでしょ?』と言ってくれました。それは本当に心強かったです」と感慨深げにふり返る。本作の撮影前にアミール・ナデリ監督の『CUT』に出演していた西島さんは体脂肪をギリギリまで落とした状態だったが「俳優の状況も含めて映画はナマモノなので」(伊勢谷さん)、ほとんどそのままのコンディションで本作の撮影に臨んでいる。「実は僕自身、西島さんに演出したという記憶がほとんどないんです。唯一、覚えてるのが“僕”がセイジのフィルムを盗み見たシーンについて。『イスに座ってほしい』とお願いしたら西島さんが『それはできないと思う』と言われて、話し合ったことぐらいかな。ただ、こないだ西島さんと話したんですが、僕は相当細かいタイプの監督らしいです…自分ではいまいち分かんないんですけど(笑)。僕から見て、西島さんがすごいと思うのは精神的な意味での立ち位置。隣に人が並んで立っていても、全く違うところにいるような不思議な感覚を与えてくれる。西島さんがそうした部分を意識しているのかどうかは知りませんが、少なくとも『持とう』と思って持てるものじゃないです。それはまさにセイジが持っているのと同じものでした」。一方でこれほど難しく、そして魅力的な役を自分以外の人間が演じることに対し、“俳優”伊勢谷友介として葛藤はなかったのだろうか?そう尋ねるとわずかに口元に笑みを浮かべ「監督をやらないのであれば、もし自分に来たら嬉しい役でしたね」と本音をチラリ。だがすぐに“監督”の顔になって、自身の中にあるモチベーションを語る。「それなりに年を取って(苦笑)、感じるのは昔のように『楽しいからやる』という以上にある種の使命感をもって表現に臨んでいるということ。そう言うと大げさで偉そうに受け取られるかもしれないけど、良い人間か悪い人間かどちらになりたいかと言われたら良い人間になりたいって思えるようになったんです。そのために現実の中で活動し、どうレベルアップしていくか?と考えるようになって、それがリバースプロジェクトにも繋がっていきました。俳優との違い?役を演じるときは与えられた環境の中で感情を全開にして爆発させようとしてます。でも、監督してるときは爆発しちゃヤバいですからね。そういう意味で精神的に使っている部分が全然違います」。伊勢谷友介が“大人”になった?いやいや案ずるなかれ。映画のあちこちで俳優のときとはまた一味違った“尖った”表現をしっかりと見せてくれている。インタビューの最後には、意味ありげな笑みを浮かべてこんな言葉を…。「こうあってほしいという理想を描くだけでなく、“アンチテーゼ”として描くこともまた重要な表現だと思ってます」。監督として俳優として、今後もスクリーンの中で大きな“爆発”を見せてほしい。(photo/text:Naoki Kurozu)■関連作品:セイジ−陸の魚− 2012年2月18日よりテアトル新宿ほか全国にて公開© 2011 Kino Films/Kinoshita Management Co.,Ltd■関連記事:伊勢谷友介「Hに大人の女性を見ていた」裕木奈江に大学生目線?西島秀俊×森山未來『セイジ』で共演、役柄へとたどり着く深遠なる旅路伊勢谷友介「いい子ちゃん役者は1人もいない」西島×森山タッグに自信たっぷり!伊勢谷友介は年上の女性好き?渋谷慶一郎の暴露にタジタジ!西島秀俊×森山未來登壇!『セイジ−陸の魚−』完成披露試写会に20組40名様ご招待
2012年02月23日俳優の伊勢谷友介が8年ぶり2度目のメガホンを取った『セイジ−陸の魚−』。辻内智貴の同名小説を映画化した本作に西島秀俊、森山未來という人気・実力を兼ね備えた2人がW主演で顔を揃えた。映画ファンならば期待せずにはいられない監督×キャストの化学反応は事実、観客の想像をはるかに超えるものとなった。伊勢谷監督からの熱烈オファーに「本当に行動力がある人」(西島さん)、「他人の巻き込み方がすごいんです(笑)」(森山さん)と応えた2人は、いかに本作と向き合い、伊勢谷ワールドの住人となりえたのか。学生最後の夏休みを利用し、あてのない自転車旅行に出かけた“僕”(森山さん)は、山道で軽トラックと衝突。手当てを受けるため連れて行かれたドライブイン・HOUSE475には、雇われ店主のセイジ(西島さん)の姿があった。物静かだが、発する言葉は不思議な力を持ち、ドライブインに集う常連客からも慕われる存在だ。「普通の人とは違った視点で生きる人間を演じてみたかった。セイジは僕らより、はるかにいろんなものを達観している人物だと思います」と西島さん。あえて演じる役柄に対し、理解や共感できる要素は求めなかった。「例えば、僕は殺人犯じゃないです(笑)。でも演じることはできる。その人物の奥底に潜む“何か”に触れてみたいという気持ちがあれば、演じられると思います」。セイジという人物に関しては、「特に彼が抱える心の闇を捕まえたかった。いや、捕まえられるという確信がありました。根拠はないんですけどね(笑)」。根拠なき確信。これぞ俳優にしか分かりえない、芝居の不可思議な魅力だ。実は西島さん、本作撮影の前後にアミール・ナデリ監督の『CUT』にも出演していた。暴力にさらされながら、自らの映画愛を狂おしいほどに貫く映画監督・秀二を演じ、肉体的にも精神的にも追い詰められた状態だったという。「本来なら、絶対に時間を空けて取り組むべきなんですけど、今回は伊勢谷監督も『連続でやったほうがプラスなんじゃないか』と言ってくれて。設定は全然違いますが、何か自分よりも大きなもの、例えば罪といったものを背負ってしまった点はセイジも秀二も似ているかもしれない。確かに『CUT』で得た狂気のエネルギーを、そのまま『セイジ』に持ってきて、違う形で広げることができたと思います」(西島さん)。一方、森山さんが演じる“僕”は、セイジと彼を取り巻く人々や環境を見つめる傍観者という立ち位置。演技にもまた、共演者との微妙な距離感が求められた。「“僕”自身、セイジが抱える背景は知らないし、ちゃんと向き合うこともしない。それに斜に構えた性格だから、セイジさんに確信的なことを言われると、しゃくに障るというか、腑(ふ)に落ちない…でも、やっぱり気になっちゃうというグルグルした感じですね」(森山さん)。そこでたどり着いた答えは「もう、ただただセイジさんや周りの人たちに振り回されればいいやって」という達観。単なる師弟の関係性で、セイジを慕うような“僕”にはしたくなかったという。もちろん“僕”はただ振り回されるだけの存在ではない。森山さんは“僕”に近づく役作りの一環として、東京からロケ地となった栃木県・日光まで役柄そのままに一人自転車を走らせ、現場入りした。「まあ、そういうのはだいたい悪ノリですけどね」と森山さん(すぐさま、西島さんが「そんなことないでしょ」とツッコミを入れた)。「確かに自転車を走らせながら、“僕”を少しずつ作り上げた部分はありますね。正直、現場に行って“スイッチポン”で役に入れるタイプじゃないので、俳優である僕にとっては、必要なことだったと思います」。役柄へたどり着く旅路は、演じる俳優にとって千差万別。「正解はないんです」という森山さんの言葉が印象的だ。果たして伊勢谷ワールドの住人となった西島さんと森山さん。シンプルでどこか牧歌的な空気が流れる前半から一転、凄惨な事件によって、すべての歯車が狂い始めると、2人の演技はより深遠に、そして予想不可能なベクトルへと歩み始める。傷ついた魂の救済を目指すセイジ、もはや傍観者ではいられない“僕”が出した答えとは?決して言葉では説明できない決断が、俳優2人の演技によってのみスクリーンに結実する瞬間は、映画ファンに苦しくも至福の喜びを与えるはずだ。(photo / text:Ryo Uchida)■関連作品:セイジ-陸の魚- 2012年2月18日よりテアトル新宿ほか全国にて公開(C) 2011 Kino Films/Kinoshita Management Co.,Ltd
2012年02月16日俳優の西島秀俊が12月17日(土)、イラン出身の名匠アミール・ナデリ監督がメガホンをとる主演作『CUT』の初日舞台挨拶を東京・シネマート新宿で行った。西島さんは本作で、借金返済のために“殴られ屋”になる映画監督を演じ「撮影が進むうちに、どんどんハードになっていき『今日も無事にいいシーンが撮れますように』と祈る毎日だった」とふり返る。一方、ナデリ監督は「西島さんの勇気と才能、ハートがあったから完成できた作品。きっとみなさんが知らない西島さんが見られるはずです。ちなみに、いまは西島さんのボディガードをやっています(笑)」と、西島さんがボディガードを演じる主演ドラマ「僕とスターの99日」(フジテレビ)を引き合いに、客席を笑いに包んだ。ヤクザの世界で生きる兄からの資金援助を受け、前衛的なインディペンデント映画を撮る秀二(西島さん)は、兄の死をきっかけに、莫大な借金を返そうとヤクザ事務所で“殴られ屋”を始めることに。殴られる痛みを映画への愛に変え、試練に耐える秀二をめぐるヒューマンドラマが重厚なタッチで描かれる。西島さんとナデリ監督の出会いは、2005年の「東京フィルメックス」だと言い、「一目で常人ではないと分かる、ものすごいエネルギーを放っていた。運命的なものを感じた」(西島さん)、「会った瞬間、長い時間待ち望んでいた出会いだと直感した。私を信頼してくれた西島さんに感謝したい」(ナデリ監督)。それでも当初は、西島さんも「あまりに前衛的な内容なので、映画にするのは難しいと感じた」のだとか。後押ししたのは「不可能を可能にするんだ」という監督の言葉だったそうで、「僕自身も挑戦したかった。こうして初日を迎えたこの瞬間は一生忘れない」と誇らしげな表情を浮かべていた。映画、ひいては芸術を守るために命を賭ける男のドラマ。本編には映画史を彩る名作へのオマージュが約100作分含まれており、「これを機会に、過去の名作に触れてほしい。いまは、特に若い世代がハリウッド大作に洗脳されている傾向にあるが、それだけが映画じゃないと知ってほしいのです」(ナデリ監督)。さらに「観客の感情を操り、お金もうけするのは簡単なこと。私はもっと誠実な映画作りをし、観客との体験の共有を目指しています。インディペンデント映画が存続するためには、みなさんの応援が必要なのです」と主人公さながらに、熱っぽく訴え。名作タイトルが描かれたクッキー100枚をプレゼントされ、子供のように大はしゃぎだった(クッキーは監督の大好物なのだとか)。西島さんも「もっと上映館が増えて、いつかシネコンでこの作品の舞台挨拶をするのが一番の夢」とアピール。より多くの人に、アート映画やインディペンデント作品を観てほしいというナデリ監督の思いを援護し、同じ映画人として“共闘”を誓っていた。『CUT』はシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:CUT 2011年12月17日、シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国にて公開(C) CUT LLC2011
2011年12月19日“役者バカ”なんて野暮ったい響きの言葉はクールでスタイリッシュなこの男にそぐわない気もするが、話を聞けば聞くほどそれがぴったりにも思えてくる。もしも、これまでに役作りのために増減した体重の量を競うコンテストがあったら、香川照之あたりと日本代表の座を争いそうだ。イランが誇る名匠アミール・ナデリ監督とタッグを組んだ本作『CUT』でもギリギリまで体脂肪を落とした。監督からの口説き文句は「お前はおれと一緒に映画を作る運命にある」。そう言われて西島秀俊が燃えないはずはなかった――。“俳優部”のひとりとして臨んだ撮影西島さんが演じたのは、兄が残した借金を返済するため、兄が死んだ場所でやくざを相手に殴られ屋となった映画監督の秀二。これまで数多くの映画やドラマに参加してきた西島さんだが、本作ではこれまでとは全く異なる作品へのアプローチ、いち俳優という存在を超えてこの作品に携わることを監督から求められたという。「僕はこれまで、どちらかというと“俳優部”のひとりとして現場にいて、映画が生まれてくる瞬間にみんなで立ち会うというスタンスでやってきたんですが、この作品に関してはナデリ監督から『限界まで体脂肪を落とせ。現場では誰とも挨拶を交わすな。そうやってお前が全身全霊をかけて役に関わる姿を示すことで、みんながこの映画に携わるというのが分かって一緒に進んで行くんだ』と“特別な存在”になるように言われました。周りにどう思われようが、狂ってると思われようが、そんなことはどうでもいい。とにかく良い演技をすることだけを考えろ、と。監督に『全てを出せ』と言われてストレートに出せたというのはすごく大きなことでした」。撮影中からこの作品が自身のキャリアの中でも特別なものになると西島さんは感じていたそうだが、映画の完成後に監督が漏らしたある言葉でその思いは決定的なものとなる。「釜山映画祭の会見で監督が『この映画は(映画監督のジョン・)カサヴェテスの映画なんだ』とおっしゃったんです。ナデリ監督は(カサヴェテスの最後の作品である)『ラヴ・ストリームス』の現場にスタッフとしていらしたそうで。『ずっと撮ろうとしていたけど、どうしても撮れなかった。西島と会って日本で撮ることを決めた』と。僕にとってカサヴェテスは、彼の映画を観て人生が始まったと思えるくらい大きな存在。その人自身を演じていたと撮影が終わった後で知って何だか妙に腑に落ちました。撮影のときから『この映画は自分にとって岐路になる映画だ』と感じていたので、やはりそうだったんだ、という思いですね」。「どんなに頑張っても撮れないようなカット。そこに近づきたい」秀二にとって“生きる”ということと“映画を作る”ということは同義。殴られるたびに敬愛する映画監督たちが作った作品を思い浮かべ、アート系の映画の発表の場がどんどん失われていくことを嘆き、商業主義第一の映画界の現状を舌鋒鋭く批判する。西島さん自身、秀二の生き方や思いに共感する部分は?「僕はドラマも大きなバジェットの映画もやるし、それこそ秀二が批判しているような作品にもたくさん出ます。ただ俳優である以前に、僕自身が最も大切にしているのはアート系のインディペンデント映画です。そういう作品に出ることが自分の目標であり、そのために生きてるというのはあります。実際、すごい作品というのは本当にすごくて、どうやって撮ってるのかが分からない。どんなに頑張っても撮れないと思えるようなカットを平然と――おそらく平然とではなく死ぬ思いで撮ってるんでしょうが――撮っている人たちがいる。自分もそこに近づきたいという思いがあります」。秀二も娯楽作品を全て否定しているわけではない。西島さんは「秀二は、エンターテイメント作品が悪いということではなく、アート映画の場がなくなることが問題だと言ってるわけで、それは僕も同じ思いです」と秀二の思いを代弁する。「僕自身、香港映画やエンタメ作品で好きな映画はたくさんあるし、おそらくナデリ監督にもあると思う。ただ、アート系のスクリーンが減っていくこと、オリジナル脚本の作品が少なくなっていくことには愕然としています」とも。自ら選ばない、流れに身を任せることここであえて、逆方向から質問してみた。現在もドラマ「僕とスターの99日」に出演中だが、西島さんにとってアート作品ではなく、こうしたエンターテイメント作品に出演することの楽しみ、やりがいは?「自分が昔、見ていたドラマ――もしかしたら僕がこの仕事を始める以前の作品かもしれないし、そういうのは映画監督が撮ってたりするんですが――『ドラマって面白いな』と思えた作品に近づきたい、そういう作品を作ってみたいっていう思いがあります」。ちなみに、驚くべきことだが西島さん自身はドラマであれ映画であれ、自ら出演作品の選定にタッチすることはほとんどないという。そこにも俳優・西島秀俊の生き方が見え隠れする。「そこは100%、マネージャーに任せてます。もちろん、マネージャーが『この台本どう思う?』って聞いてくることはあるし、僕が興味を持っているものについて話をすることはありますが、彼がやると言って僕が『NO』と言ったことは一度もないです。信頼もしてますし、そこで(マネージャーの意見と西島さんのやりたいことが)重ならなくてもいいと思っています。多分、僕がやりたいことだけをやってたらすぐに手詰まりになって終わります(笑)。マネージャーと俳優の視点というのは間違いなく違うもの。だからこそ、そこは合わなかったとしてもやります」。彼の言葉からも生き方からも計算というものが感じられない。冒頭に紹介したナデリ監督の言葉ではないが、運命や流れに身を任せ、自分で制御することのできない舟を楽しんでいるかのような…。『CUT』という岐路を経て、舟はどこに向かうのか――?(photo/text:Naoki Kurozu)■関連作品:CUT 2011年12月17日、シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国にて公開© CUT LLC2011■関連記事:西島秀俊が最新作『CUT』で受けた「人生で最大の衝撃」を告白ヴェネチア、モントリオールにトロント…世界の映画祭での邦画の奮闘に期待!常盤貴子&筒井道隆が急接近!?「圭史くんに言いつける」とベテラン女優が釘をさす?西島秀俊、主演作『CUT』監督との出会いの場で「本性見せろと言われた(笑)」西島秀俊、イランの巨匠作品主演!共演の常盤貴子は13年ぶりショートヘア
2011年12月14日イラン出身で米国在住のアミール・ナデリ監督が西島秀俊を主演に日本で撮りあげた新作『CUT』が17日(土)から公開される前に、西島がインタビューに応じた。その他の写真『CUT』は、兄から借金を続けて活動を続けるも成功しない映画監督の秀二が、死んだ兄の残した借金を返済するために“殴られ屋”を始め、自身のこれまでの人生と愛する映画のために全身全霊で立ち向かっていく姿を描いた作品。日本映画界で活躍する西島と、米国を拠点に新作を発表し続けるナデリ監督が出会ったのは、毎秋に開催されている映画祭「東京フィルメックス」の会場。人の紹介で出会ったというふたりは、すぐに意気投合したという。「出会ってすぐに監督とは心が通じ合って。好きな映画やシーンも合うんです。だから監督が日本に来た時には一緒に散歩して、最近観た映画の話とか、自分がどこで生まれ、どういう道のりを経てここにいるのかなんて話もしましたね」。そんなナデリ監督は、西島と出会って間もなくして本作の話をしていたそうだ。「監督は『お前は俺と映画を撮る運命にある』って言ってくれてました」。しかし、過去の作品を観賞すればわかるが、ナデリ映画の主人公は極限まで追いつめられる。もちろん、監督の作品を観ていた西島にとって、そのことは百も承知だ。「最初に監督からは『お前は確実に地獄を見る。俺のことを本当に嫌いになる。でも出来上がりを観たら俺のことを好きになる』って言われて。実際の撮影現場は僕だけじゃなくて、関わった人全員が“限界以上”を出さないと監督のOKが出ない。撮影中、監督からは『一切、喋るな』って言われました。俳優が役以外の話をするなんてとんでもないって。でも、世界の本気の監督たちはここまで要求するよな、って。そういう場が自分に与えられたことは本当に幸せでしたね」。ナデリ監督の現場がいかに過酷で、主演を務めた西島がどれだけ追いつめられたかは、完成した映画を観れば嫌というほど伝わるだろう。主人公の秀二は、ひたすら殴られ、傷を負い、血まみれになりながら、自身と愛する映画のために立ち続ける。その姿は、西島自身と重なる部分がある。「才能ある監督が自分の撮りたいものを撮りたいように撮るべきだと思うし、そういう映画をたくさん観たいというのが僕の願い。だから、微力ですけれどもできることは全部やろうと思っています。たまに『これから映画のために闘っていきたいですか?』って聞かれるんですけど『僕も映画に関わっている人もずっと闘っています』ってお答えしているんです。だからこの映画によって仲間が増えて、才能ある監督が自由に撮れる環境になるといいなと思います」。『CUT』12月17日(土)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次公開
2011年12月14日19日に開幕した映画祭、東京フィルメックスの閉会式が27日に東京の有楽町朝日ホールで行われ、チベット人のペマツェテン監督作品『オールド・ドッグ』がコンペティション部門のグランプリに輝いた。その他の写真『オールド・ドッグ』は、年老いたチベッタン・マスチフを飼う老人とその息子を主人公に、都市開発が進み、旧来の暮らしやコミュニティが崩壊していくチベットの現状を描き出す作品。審査員団は本作を「非常に真摯な手段で文学から映画への移行が行われています。私たちにこの地域そして人々の生活を経験させてくれるもの」と評価。審査員特別賞をパク・ジョンボム監督の『ムサン日記白い犬』が、観客賞をキム・ギドク監督の『アリラン』が、学生審査員賞を奥田庸介監督の『東京プレイボーイクラブ』が受賞した。審査委員長のアミール・ナデリ氏は「すべての映画に賞をあげたいが限界があります。この10本の映画はとても丁寧に選ばれた10本です。時間が経てば、今回の結果が間違っていたと言われるかもしれないですが、間違っていたと言われるようにここで上映された監督たちには作品をつくり続けてほしい」とメッセージを送り、グランプリを受賞したペマツェテン監督は「この映画は自分の故郷を描いた作品ですので、映画を通じて理解を深めてくださったらうれしい」とコメントした。また、授賞式後にはクロージング作品として香港の巨匠ジョニー・トー監督の新作『奪命金』を上映。上映前にはトー監督が自ら撮影したビデオメッセージが上映され、トー監督は「本作は映画界に入って30年以上の間にやってきたものとは少し違う方法を試した作品です。観客のみなさまが今晩この作品を楽しんで観てくださることを願っています」と語りかけた。今年で12回目を迎える本映画祭だが、事務局によると今年は例年以上に若い年齢層の観客が多く、平日昼の上映回の動員も増加。中でも東劇で開催された相米慎二監督作品の特集には当初の予想を大きく上回る観客がつめかけたという。また、当日券で来場する観客の数も増加傾向にあるそうで、これまで以上に映画祭の内容や上映作品の評判が拡散したことで、来場者が増えていることが伺える。本映画祭は来年も同時期に開催を予定している。「第13回東京フィルメックス」2013年11月23日から12月2日まで有楽町朝日ホールほかで開催予定
2011年11月28日西島秀俊主演でイランの名匠アミール・ナデリがメガホンを取った『CUT』のジャパン・プレミアが第12回東京フィルメックスにおいて11月23日(水・祝)に開催。ナデリ監督に西島さん、ヒロインを演じた常盤貴子が舞台挨拶と上映後のQ&Aに出席した。共に2005年のフィルメックスの審査員を務めた関係で知り合い、意気投合したナデリ監督と西島さんが念願かなって作り上げた本作。自分のために借金を重ねて命を落とした兄の残した借金を返すために、やくざを相手に殴られ屋を始めた映画監督の男の姿を描く。監督は「6年かけてこの場に至りました」と感慨深げ。「西島さんに常盤さん、菅田俊さんに笹野高史さん、でんでんさんら多くの素晴らしいキャスト、クルーと一緒に仕事をすることができました」と感謝の思いを伝えた。さらに「西島さんや常盤さんのこれまでの演技を一切忘れて、新しい目、新しい心で彼らの演技を見てほしい」と訴えた。西島さんは「2006年に監督と『一緒に作ろう』と話をしてからこの日、この時をずっと待ってました」と晴れ晴れとした表情。客席を見渡し「この700人のみなさんに観ていただくことで何か大きな流れが生まれること、『我こそは秀二(※西島さんが演じた主人公)だ!』という方が現れることを願っています」と呼びかけた。常盤さんは「いろんな挑戦が詰まっている作品です。ナデリ監督だからこそできた、新しい挑戦でした。ある意味、映画界に殴り込みをかけるような作品です」と期待を口にした。上映後、西島さんらは改めて大きな拍手で迎えられニッコリ。映画では、数々の過去の名作に対するオマージュに加え、行き過ぎた商業主義に対する厳しい批判が展開されるが、ナデリ監督は「映画の中でも言ってますが、かつて娯楽映画と芸術映画は一致していました。その中でインディペンデント映画を作る余裕が必要なんですが、いまでは高い技術が金儲けの道具になっている。シネコンの席巻で優秀な監督たちの作品を上映する機会がなくなってしまうというのは恥ずべき状況だと思います」と改めて訴えた。最後に「これだけは観ておくべきと思う映画は?」という質問を投げられると、一同「難しいですね」と思案顔。西島さんは、本作『CUT』が、ナデリ監督が敬愛する名監督ジョン・カサヴェテスについて描いた作品であるということを踏まえ、「僕が映画ファンとして観て、生まれ変わるような体験をしたのがジョン・カサヴェテスの作品なんです。だから釜山映画祭で監督から『この映画はカサヴェテスについての映画だ』と告白されたときは人生最大の衝撃を受けました。自分の人生を変えた人物を知らずに演じていたわけですから」と述懐した。常盤さんは「私は古い日本映画が好きで、特に女優さんが大好き。高峰秀子さんも好きだし岡田茉莉子さんも好きだし…でもその一方でコン・リーも大好きなんです(笑)。ここにいらしている方はおそらく多くの日本映画を観てらっしゃるかと思いますが、中国映画も素晴らしいです。その中でも『紅夢』(チャン・イーモウ監督/コン・リー主演)は素晴らしい作品」と語った。監督は「良い映画こそ良薬」と語り、映画を愛する人々で埋まった客席は温かい拍手で包まれた。『CUT』は12月17日(土)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国にて順次公開。■関連作品:CUT 2011年、シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国にて順次公開© CUT LLC2011■関連記事:ヴェネチア、モントリオールにトロント…世界の映画祭での邦画の奮闘に期待!常盤貴子&筒井道隆が急接近!?「圭史くんに言いつける」とベテラン女優が釘をさす?西島秀俊、主演作『CUT』監督との出会いの場で「本性見せろと言われた(笑)」西島秀俊、イランの巨匠作品主演!共演の常盤貴子は13年ぶりショートヘア
2011年11月24日世界各地の秀作を集め、多くの映画ファンの支持を集めている映画祭「第12回東京フィルメックス」が19日に開幕し、東京のTOHOシネマズ 有楽座で開会式が行われ、発売から2分で完売したというチケット争奪戦を勝ち抜いた映画ファンがつめかけた。その他の写真開会式の冒頭に登場した林加奈子ディレクターは「地球上で様々な事件が起こっています。こんな時でも、こんな時だからこそ、映画を観て考え続けようと思います。現代を生きる私たちがもっと強く生きるための映画がそろいました」と述べ、映画祭の開会を宣言。続いて、コンペティション部門の審査員であるアミール・ナデリ氏、フィリップ・アズーリ氏、チョン・スワン氏、篠崎誠氏が呼び込まれた。審査委員長を務めるナデリ氏は「この映画祭とは8年の付き合いになります。私の最新作に主演した西島秀俊さんともこの映画祭でも知り合った。この映画祭は我が家のようなもの」と振り返り、「東京フィルメックスは大学のような場所。ここにはレッドカーペットも大きなパーティもありませんが、良い映画を上映することと、良い観客を育てることに全力を注いでいる。私と審査員も映画について真剣に考え、良い選択をしていきたい」とコメント。最後に「私の映画は『CUT』と言いますが、映画祭の開幕を記念して、こう言いましょう。アクション!」と笑顔を見せると客席から大きな拍手が起こった。その後、オープニング作品として韓国の鬼才キム・ギドク監督待望の最新作『アリラン』を上映。本作は『悲夢』以来、新作を発表してこなかったギドク監督が、出演、撮影などすべての作業をたったひとりで手がけた作品で、ドキュメンタリーとドラマ、そしてファンタジーが融合した意欲作。上映後にはギドク監督と観客の熱心な質疑応答が展開され、最後にギドク監督が観客への感謝の想いをこめて劇中で歌われるアリランを熱唱。約3年ぶりとなるギドク監督の新作だけあって、最後まで多くの観客がギドク監督の発言に耳を傾けていた。映画祭は、有楽町朝日ホール、東劇、TOHOシネマズ日劇を会場に27日(日)まで開催される。「第12回東京フィルメックス」27日(日)まで有楽町朝日ホールほかで開催中
2011年11月21日世界各地の秀作を集め、多くの映画ファンの支持を集めている映画祭「第12回東京フィルメックス」のラインナップ発表記者会見が15日に都内で行われ、林加奈子ディレクター、市山尚三プログラム・ディレクターと、審査員を務める映画監督の篠崎誠氏、コンペ部門で『無人地帯』が上映される藤原敏史監督が登壇した。毎年、世界各国の作品を紹介し、さらに日本映画を海外に紹介する取り組みも続けている本映画祭。今年のディレクターズ・メッセージは“世界×日本×未来=つなげる国際映画祭”。「“つながる”ではなく、“つなげる”という意志をもった言葉を使った」と林氏が会見で語った通り、本年度もこれまで映画祭が築いてきた関係性と、さらにネットワークを広げようという意志の感じられる作品群が揃った。オープニング作品は過去には審査員も務めたキム・ギドク監督の最新作『アリラン』、クロージングはアジア映画界を代表する巨匠ジョニー・トー監督の新作『奪命金』に決定。さらに、タル・ベーラ監督の新作『ニーチェの馬』や、西島秀俊が本映画祭を機に出会ったアミール・ナデリ監督と製作した『CUT』、瑛太主演『モンスターズクラブ』、蓮佛美沙子主演『RIVER』など全7本の特別招待作品が上映される。また、コンペティション部門には大森南朋主演『東京プレイボーイクラブ』、震災後に福島で撮影が行われたドキュメンタリー『無人地帯』など全10作品が登場。アミール・ナデリ監督を委員長に5名の国際審査員が審査にあたる。また、巨匠ニコラス・レイ監督の生誕百周年記念上映や、川島雄三監督、相米慎二監督の特集上映、ベルリン映画祭との提携しながらアジアの若手作家を育成するプロジェクト“タレント・キャンパス・トーキョー 2011』も実施。林ディレクターより繰り返し「揺るぎなくやりたい」という言葉が出た通り、本年度も“東京フィルメックスならでは”のこだわりが見える作品が揃ったようだ。「第12回東京フィルメックス」11月19日(土)~27日(日)有楽町朝日ホール、東劇、TOHOシネマズ日劇、TOHOシネマズ有楽座
2011年09月15日8月、9月は映画祭の連続!18日(現地時間)開幕のモントリオール世界映画祭に、世界で最古の映画祭であるヴェネチア国際映画祭、さらに9月の上旬から中旬にかけて開催のトロント国際映画祭と歴史と権威を持つ映画祭が目白押し。日本から出品された作品の受賞はもちろん、今後の賞レースの行方を占う上で話題の洋画もチェックしておきたいところ。もちろん、スターの来場も見逃せない!さてさて、今年の要チェック作品は――?まずは最も古い歴史を持ち、カンヌ、ベルリンと並んで世界三大映画祭のひとつに数えられるヴェネチア国際映画祭。今年はジョージ・クルーニーがメガホンを握り、ライアン・ゴズリングが主演を務める『The Ides Of March』(原題)がオープニングを飾る。三大映画祭の中でも日本をはじめアジア映画と相性が良いと言われるヴェネチア。日本からは今回、園子温監督の『ヒミズ』がコンペティション部門に出品されている。前作『冷たい熱帯魚』が同映画祭のオリゾンティ部門に出品された園監督。今回は金獅子賞に期待がかかる。そのほか日本からはコンペティション部門ではないものの清水崇監督の新感覚ホラー『ラビット・ホラー3D』、すでに日本で公開中のジブリ最新作『コクリコ坂から』も上映。オリゾンティ部門にも個性的な邦画が出品。世界的な名匠アミール・ナデリがメガホンをとり、西島秀俊、常盤貴子らが参加した『CUT』がオリゾンティ部門のオープニングを飾るほか、監督・塚本晋也×主演Coccoによる『KOTOKO』、平林勇監督によるアニメーション映画『663114』も同部門にて上映される。西島さんにとっては北野武監督作『Dolls』以来9年ぶりのヴェネチア。2003年には『地球で最後の2人』で浅野忠信が同部門の男優賞に輝いており、先鋭的、革新的な新しい才能を評価するオリゾンティ部門にも要注目。邦画以外では、ロマン・ポランスキーの最新作でケイト・ウィンスレット、ジョディ・フォスター、クリストフ・ヴァルツといった実力派が顔を揃えた『Carnage』(原題)、キーラ・ナイトレイが主演を務めるデヴィッド・クローネンバーグ監督作『A Dangerous Method』(原題)などがコンペティション部門に出品される。さらにコンペ外にも著名な監督の作品、実力派俳優が自らメガホンを握った作品が並ぶ。マドンナの監督第2作となる『W.E』(原題)にアル・パチーノ監督作『Wild Salome』(原題)、フランシス・フォード・コッポラ監督の『Twixt』(原題)など楽しみな作品ばかり。ブラッド・ピット主演で話題の『マネーボール』(原題)にジョセフ・ゴードン=レヴィット&セス・ローゲン共演作『50/50』などスター出演作も見逃せない。華やかなレッドカーペットの盛り上がりも楽しみだ。幕を開けたばかりの第35回モントリオール世界映画祭には、日本からはさだまさし原作の小説を岡田将生、榮倉奈々をキャストに迎えて映画化した『アントキノイノチ』、役所広司、樹木希林、宮崎あおいという実力派キャスト共演の『わが母の記』がワールド・コンペティション部門にノミネート。そのほか、山村浩二監督の短編アニメ『マイブリッジの糸』が短編映画のコンペティションに、板尾創路監督第2作『月光ノ仮面』がフォーカス・オン・ワールド・シネマ長編部門に出品されている。また第二次世界大戦直後のブラジルを舞台に、日系移民の闇を描き出すブラジル映画『DIRTY HEARTS』がコンペティション部門にノミネートされているが、本作で伊原剛志が海外映画初主演を務めており、常盤貴子、奥田瑛二、余貴美子らも出演している。また、同じくカナダで開催されるだ第36回トロント国際映画祭には先述の通りヴェネチアにも出品される『ヒミズ』に『CUT』(原題)、『KOTOKO』に加え、妻夫木聡主演の『スマグラーおまえの未来を運べ』も出品。ノンコンペティションで観客の投票による「観客賞」が実質的な最高賞となるが、2006年に奥田瑛二監督の『長い散歩』、2008年の『おくりびと』がグランプリを受賞したほか、2009年には『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』の根岸吉太郎監督が監督賞を受賞し、昨年は『悪人』で深津絵里が主演女優賞に輝いており、邦画勢の受賞なるか楽しみなところ。アカデミー賞の行方を占う上でも重要な意味を持っており邦画、洋画ともに注目が集まっている。モントリオール世界映画祭は8月18日〜28日、ヴェネチア国際映画祭は8月31日〜9月10日、トロント国際映画祭は9月8日〜9月18日の期間にて開催。■関連作品:アントキノイノチ 2011年11月19日より全国にて公開© 「アントキノイノチ」製作委員会スマグラーおまえの未来を運べ 2011年10月22日より全国にて公開© 真鍋昌平・講談社/2011「スマグラーおまえの未来を運べ」製作委員会月光ノ仮面 2012年1月14日より角川シネマ有楽町ほか全国にて公開© 「月光ノ仮面」製作委員会マネーボール (原題) 2011年11月11日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2011 Sony Pictures Digital Inc. All Rights Reserved.コクリコ坂から 2011年7月16日より全国東宝系にて公開© 2011 高橋千鶴・佐山哲郎・GNDHDDTラビット・ホラー3D 2011年9月17日より全国にて公開© 「ラビット・ホラー」製作委員会2011 わが母の記 2012年、全国にて公開© 2012「わが母」製作委員会CUT 2011年公開ヒミズ 2012年春、シネクイントほか全国にて順次公開© 『ヒミズ』フィルムパートナーズ■関連記事:ブランジェリーナ、『ハリポタ』に夢中の子供たちと列車チャーターの旅冒頭でいきなり全裸…?岡田将生の様々な表情に注目の『アントキノイノチ』予告編榮倉奈々、岡田将生は「小学生」!?「もう22歳なんですけど」と本人苦笑岡田将生×榮倉奈々を絶賛!『アントキノイノチ』がモントリオールへ『ハリポタ』V2でシリーズ1,000億超えか?全米ではあのアメコミ映画が1位に
2011年08月19日西島秀俊が来年公開の主演作『CUT』(原題)のメガホンを取ったイラン人監督アミール・ナデリと共に、今月20日(土)より始まる第11回東京フィルメックスのプレイベントのトークショーに出席した。ナデリ監督といえばナント三大陸映画祭での二度にわたるグランプリ受賞をはじめ、各国映画祭で高い評価を得ているイランを代表する監督のひとり。そのナデリ監督が日本を舞台に西島さんをはじめ常盤貴子、芦名星らをキャストに迎えて映画を製作するということは驚きをもって受け止められたが、そもそも監督と西島さんの出会いの場となったのが2005年の東京フィルメックス。2人は審査委員を務めたことをきっかけに言葉を交わし、今回の企画が動き出した。西島さんはそのときの様子について「監督から『ニコニコして感じが良いけれど、本性を見せろ』と言われました(笑)」と出会いの際の“秘話”を明かした。ナデリ監督は「彼は、自分にとっての“鍵”を持っている」と絶大な信頼を寄せているようで、西島さんも「『CUT』の撮影現場でも気持ちはひとつだったはず」と語った。プライベートでもかなりの数の作品を鑑賞し、映画好きとして知られる西島さんだがフィルメックスについては「毎回『よくぞこのセレクトを!』と感動します。どの上映会に行っても素晴らしい作品に出会える。今年も観に行きたいので仕事を入れないでほしい(笑)」と絶賛。「今後、自分が出演する作品が上映されるように頑張りたい」と力強く語った。『CUT』では映画監督の男を主人公にした作品。彼の映画製作の資金のためにトラブルに巻き込まれて兄が命を落としたことで自責の念を抱え、残された借金返済のために殴られ屋となる男の姿が描かれる。公開は来年2011年の予定。第11回東京フィルメックスは11月20日(土)より28日(日)まで東京の有楽町朝日ホール、東劇、TOHOシネマズ 日劇、東京国際フォーラム、銀座テアトルシネマなど複数の会場で開催。第11回東京フィルメックス公式サイト:■関連作品:CUT (原題) 2011年公開■関連記事:西島秀俊、イランの巨匠作品主演!共演の常盤貴子は13年ぶりショートヘア
2010年11月12日イラン出身で世界的に高い評価を受けるアミール・ナデリ監督の最新作『CUT』(原題)に西島秀俊が主演し、殴られまくる映画監督役を演じることが発表された。常盤貴子、菅田俊、笹野高史、芦名星らも共演、常盤さんは本作で13年ぶりに髪をショートにしている。ナデリ監督は過去にナント三大陸映画祭で二度にわたってグランプリを受賞。カンヌやヴェネチアなどの映画祭でも作品が上映され、高い評価を受けている。その世界的な巨匠が、東京フィルメックスの審査員として西島さんと出会ったことから今回の企画がスタート。日本人キャストを起用し、日本を舞台にした映画を製作することに。青山真治監督が脚本協力として参加している。主人公は西島さん演じる映画監督の秀二。兄からお金を借りて映画を撮るものの、彼の作品は商業映画として映画館で上映されることはない。ある日、秀二のためにやくざに金を借りていた兄がトラブルで命を落とし、秀二が借金を背負うことに。彼は、兄の死に対する自責の念を抱え、殴られ屋をやることで借金を返済しようとするが…。主人公・秀二以外の役柄では、常盤さんが夜の世界に生き、殴られ屋となる秀二を支える女・陽子を演じるほか、やくざの組員でありながらも秀二に協力するヒロシを笹野さんが、秀二の元恋人の女優で、彼に商業映画の企画を持ちかける明子を芦名さんが演じる。西島さんは「2005年の東京フィルメックスナデリ監督と出会い、そのときに『一緒に映画を作ろう』と約束しました。その約束が実現してとても嬉しいです。ナデリ監督の映画を見たときの衝撃はいまも忘れられません。圧倒的な映像と音の中に、またナデリ監督のあのエネルギーそのものに巻き込まれていくことをとても楽しみにしています。そして今回は常盤貴子さん、菅田俊さん、笹野高史さんという、強い存在感のある役者さんたちと久しぶりに共演できることもとても嬉しいです」と喜びを語っている。13年ぶりのショートヘアで本作に臨んでいる常盤さんは「最初に企画書と脚本を読ませていただいて、あまりにも『?』が多かったのですが、西島秀俊さんや青山真治監督の参加が決まっていましたし、大勢の方がこの作品に協力しようとしている、その源を探りたくて監督にお会いしました。監督はイランの方ですが、『日本の古い映画は時間がゆっくり美しく流れる映画がたくさんあって大好きだったのに、最近はコマーシャル的な作品が多くて、これはそろそろ誰かどうにかしなくてはいけないと思い、自分が立ち上がった』とおっしゃられていたので、思わず『オモシロイ!』と参加してしまいました。西島さんはすごくフラットなイメージです。みんなが大好きですよね、西島さんのこと(笑)。その魅力を近くで探りたいなと思っています。ナデリ監督は、ちゃんと役者の話を聞いてくれて褒めてくれる。小さい疑問があっても自分で呑みこまずに質問できるので、役柄に対して共通認識を持っていられます。一緒にその役柄を作っていけることが面白い現場です。でも、ナデリ監督は嵐のような人で、私も含めてみんな振り回されていますけど(笑)。普段、依頼される役柄は大体似たような役が多いので、本作では外見も含めて自分の想像をいい意味で裏切られていて楽しんでいます」とその思いを明かしてくれた。「この映画は西島秀俊その人であり、西島秀俊はこの作品と秀二そのもの」とはナデリ監督の弁。果たしてどのような作品に仕上がるのか?また、国際映画祭への出品も気になるところ!『CUT』(原題)は今後、10月まで撮影が行われ、2011年公開。■関連作品:CUT (原題) 2011年公開
2010年09月04日