ハリウッドでミュージカル映画の黄金期を築いた監督たちのひとり、スタンリー・ドーネンが亡くなった。享年94。第91回アカデミー授賞式の前日の23日(現地時間)、息子が「Chicago Tribune」に明らかにしたという。ブロードウェイ・ダンサー、振付師としてのバックグランドを生かし、数多くのミュージカル作品を手掛けたドーネン監督。代表作としては、ジーン・ケリー主演、彼と共同監督した『雨に唄えば』が知られる。また、オードリー・ヘプバーンを主演に迎えた『パリの恋人』、『シャレード』、『いつも2人で』も有名。監督人生の中でドーネン自身がオスカーにノミネートされたことはなかったものの、1998年の第70回アカデミー賞では功労賞を受賞。プレゼンターのマーティン・スコセッシ監督からオスカー像を受け取ると、BGMで流れ始めたアーヴィング・バーリンの「Cheek to Cheek」のメロディに合わせて「天国、天国にいるようだ。しゃべれないくらい心臓がドキドキしている」と歌い、タップも踏んでみせて大歓声を浴びた。ドーネン監督は生涯で5回の結婚・離婚を経験し、1999年から亡くなるまではコメディエンヌのエレイン・メイと生活をともにしていた。(Hiromi Kaku)
2019年02月25日10月2日(火)、ミュージカル『TOP HAT』の製作発表が行われた。【チケット情報はこちら】最初に、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースが主演した映画「トップハット」や、2011年の舞台映像が流れた後、クリエイターとキャストが登場。演出のマシュー・ホワイトは作品の魅力について、「コミカルでスタイリッシュ、チャーミングでロマンチックなところです。素晴らしい振付と、当時のアメリカで一番有名な作曲家アーヴィング・バーリンによる音楽も魅力。現実社会の悲しい出来事から遠く離れて、軽妙で楽しいコメディをご覧いただくことで現実から逃避できるでしょう」と語った。振付のビル・ディーマーは「本作には1930年代を彷彿させる多くのダンス、タップ、社交ダンス、ジャズダンス、ミュージカルダンスが登場。映画のように、燕尾服を着た素敵な男性たちが1列になって踊る、エレガントな世界を見ていただきたい」と胸を張った。ジェリー・トラヴァース役の坂本昌行は「アステアの軽やかなステップは彼にしかできない。それを自分が演じるわけですから、ダンス稽古は大変です。特に高速ステップは激しくもあり、その激しさを表に出さず軽やかに表現したい」と意気込んだ。デイル・トレモント役の多部未華子は「今年の初め、オーディションを受けました。決まってからは不安、自信のなさ、怖さなど、今もネガティブに(笑)。デイルは1番感情が揺れ動く人物。その感情の流れに沿って、歌や振付が付いているので、トータルで表現したいです」と心情を吐露。屋良朝幸はアルベルト役について「情熱的で自分が大好きな男。この仕事をする上でナルシストな部分は多少なりともあるので、その部分を存分に大きくして、人物を作りたい」。マッジ役の朝海ひかるは「本読みでテンポが大事だと感じました。セリフがとても楽しいので、言っていると興奮する感じ」、マッジの夫ホレス役の益岡徹は「結婚したことで何かが終わった気持ちになっている男。マシューが作品の世界観を“スフレのように”と喩えたような、軽やかで空気がたくさん含まれていて柔らかでふわっとした感じを伝えたい」。執事ベイツ役の浅野和之は「相手の心を読むことに長けた、パーフェクトな執事。衣裳を変えて5役ぐらいを演じます」と語った。坂本と多部はふたりの呼吸の合い方について聞かれ、坂本は「多部ちゃんはマイペース。何事にも動じずニュートラルで、僕もリラックスできて稽古が楽しい」と語り、多部は「まだ呼吸は感じていない(笑)」と笑わせつつ、「この先、ちょっとしたことでも言い合える関係性になれたら、いい作品になると思います」と前向きさを見せた。公演は11月5日(月)から25日(日)まで、東京・東急シアターオーブ、12月1日(土)から5日(水)まで、大阪、梅田芸術劇場 メインホールにて上演。取材・文:三浦真紀
2018年10月17日2013年のオリヴィエ賞で3冠に輝いたイギリス産ミュージカル、『TOP HAT』の来日公演が9月30日、東急シアターオーブで開幕した。原作は、ハリウッドでミュージカル映画の黄金期を築いた史上最高のダンスコンビ、フレッド・アステア&ジンジャー・ロジャースが主演した同名の傑作映画(1935)。2011年に初めて舞台化されて以降、2度の国内ツアーとウエストエンド公演でイギリス中の観客を虜にしてきた作品の、初の国外公演だ。【チケット情報はこちら】ブロードウェイで活躍するミュージカルスターのジェリーは、ウエストエンドの舞台に立つためにやってきたロンドンで、モデルのデイルにひと目惚れ。デイルもまたジェリーに心惹かれていくのだが、ひょんな行き違いから、彼を親友の夫だと思い込んでしまう。怒りと傷心のあまり旅立ったデイルを追って、ジェリーもヴェネツィアに向かうのだが……。ふたりのロマンティックかつコミカルな恋模様が、アーヴィング・バーリンの耳に残る名曲の数々、そして心躍る華やかなダンスによって綴られていく。「ロマンティックな物語」「耳に残る音楽」「心躍るダンス」という言葉はあまりにも月並みで、これほど上質なミュージカルを語るのに相応しくないかもしれない。「その三拍子が見事に揃った」と付け加えたところで、よくある褒め言葉であることに変わりはないだろう。だが本作は、それでもあえてそうした言葉で讃えたくなる、正統派の魅力に満ちている。キャラ設定はそのままに一人ひとりの心情がより深く掘り下げられた脚本、同じソングライターの楽曲が追加採用された音楽構成、アステア・スタイルを踏襲した上で舞台ならではのダイナミズムが加えられた振付。80年近くも前に作られた映画が、奇をてらった斬新な表現に走ることなく、ひたすら丁寧で丹念な色付けによって現代に蘇っているのだ。そうした作品自体の質の高さに加え、特筆すべきは主演のふたり、アラン・バーキットとシャーロット・グーチの抜群のコンビネーション。オリヴィエ賞にも輝いたビル・ディーマーの振付は、オーディションの途中で諦めて帰る役者が続出したと言われるほど複雑だ。そのステップを軽々と楽しげに踊りこなすふたりは、それぞれ単体で見ても十分にエレガントでチャーミングなのだが、その本当の真価はペアダンスでこそ発揮される。互いの脚がまるで吸い付き合うように共鳴しながら動き、腕が全く同じタイミングと角度でシンクロする《CHEEK TO CHEEK》の興奮を、ぜひ生で体感してほしい。ミュージカル『TOP HAT』は10月12日(月・祝)まで東京・東急シアターオーブ、10月16日(金)から25日(日)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールで上演。チケットは発売中。取材・文:町田麻子
2015年10月01日3月25日(水)に大阪・梅田芸術劇場 メインホールで開幕する宝塚歌劇宙組公演ミュージカル『TOP HAT』で、今の宝塚を代表するダンサーのひとり、朝夏まなとが宙組新トップスターとして始動する。その思いを聞いた。宝塚歌劇宙組公演ミュージカル「TOP HAT」チケット情報2年半前に花組から宙組へ組替えした時、「自分自身すごく変わった」と実感したという。「宙組の雰囲気に刺激を受けて、それまで自分がハマろうとしていた枠が一気に取り払われました。その宙組で主演をさせて頂けるのはすごく幸せです」(朝夏)。スカーレットから貴公子フェルゼンまで幅広い役の経験を積んだ朝夏は、トップお披露目公演で得意のダンスを最も生かせる役に挑む。『TOP HAT』のブロードウェイダンサー、ジェリーだ。フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースが共演したミュージカル映画『TOP HAT』。2011年にロンドンで舞台化され、2013年には英国ローレンス・オリヴィエ賞の最優秀新作ミュージカル作品賞・最優秀振付賞・最優秀衣裳デザイン賞を獲得した。男女のコミカルなすれ違いを、華麗な踊りやアーヴィング・バーリンの名曲で綴った傑作。今回が日本初上演である。「小粋なロンドン・ミュージカルの良さを生かしつつ、宝塚ならではの美しさや男役の魅力も出せたらと思います。最近重厚感のある役が多かったので、こんな茶目っ気のある明るい役は久しぶりです」(朝夏)。作品には多彩なタップダンスや黒燕尾でのショーシーンが盛り込まれ、宝塚に通じる華やかさがある。奇しくも朝夏はトップスターとして、「黒燕尾の踊りを継承していきたい」と力強く語る。「大浦みずきさんや、下級生時代に教えて頂いた蘭寿とむさんなど、伝統ある男役の黒燕尾のダンスを目標に、いつも踊りながら燕尾の先のラインの美しさまで意識しています」と独自の美学を告白。2013年には、かつて“宝塚のフレッド・アステア”と呼ばれた大浦みずきの名ダンスシーン「パッシィの館」を、ショーの再演で踊りきった。「すごくプレッシャーでしたが勉強になりました。あの役はフレッド・アステアさんがモチーフになっていて、今回もまた彼の役。ご縁を感じます」(朝夏)。ステッキを振りながら軽やかに踊るアステアに、「浮いているんじゃないかと思った」と笑う朝夏。「雨が降る公園で、寄り添う前のふたりがタップで会話をするように踊り出す場面がオシャレで印象的でした。タップはやはりハードルが高い!私はつい力でダンスを踊りきる傾向があるので、うまく力を抜いて小粋さや軽やかさを出せたら。この作品で色々勉強できると思うし、それをまた自分のものにしていきたいです」と、どこまでも前向きだ。長身でダイナミックながらスマートな男役像を継承する、頼もしいトップスターが誕生する。公演は3月25日(水)から30日(月)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホール、4月5日(日)から20日(月)まで東京・赤坂ACTシアターにて上演。大阪公演のチケットは発売中。東京公演は3月1日(日)より一般発売開始。取材・文:小野寺亜紀
2015年02月19日9月30日(水)より東京・東急シアターオーブでミュージカル『TOP HAT』の上演が決定した。同作はアメリカの俳優、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースが主演し、1936年に日本で公開された同名映画が原作のミュージカル。ブロードウェイで活躍する人気のミュージカル・スター、ジェリー・トラヴァースと、美しいモデル、デイル・トレモントのラブストーリー。脚色・演出をマシュー・ホワイトが務め、2011年に舞台版がイギリスで初上演。2012年にミュージカルの本場ウエストエンドで上演されると評判を呼び、英国演劇界で最も権威あるローレンス・オリヴィエ賞を3部門受賞。その後もイギリスで上演を重ね、今回初めて来日公演を果たす。20世紀を代表する音楽家、アーヴィング・バーリンが生涯で書いた1200 曲以上ものヒット曲の中から厳選された音楽と、主人公カップルによるデュエットダンスや、スタイリッシュな燕尾服にシルク・ハット姿のキャストたちが魅せる迫力満点のタップダンスをはじめ、チームワークのとれたパワフルなダンスシーン。さらに200着を超えるエレガントな舞台衣裳などが見所だ。ミュージカル『TOP HAT』は9月30日(水)から10月12日(月・祝)まで東京・東急シアターオーブ、10月16日(金)から25日(日)まで、大阪・梅田芸術劇場メインホールで上演。チケットの一般発売は5月30日(土)より。
2015年02月13日