東京二期会が新東京二期会オペラ劇場「ドン・カルロ」 の公演情報はこちら制作『ドン・カルロ』を上演する。二期会創立70周年記念公演シリーズの一環で実現する、シュトゥットガルト州立歌劇場との提携公演、また気鋭の女性演出家ロッテ・デ・ベアの日本初登場の舞台として注目される。稽古場での囲み取材に現れた彼女が、作品への思いを明かした。日本での初演出について、「実は、自分のキャリアのかなり初期に、アシスタントとして一度来日したことがあります。その頃から夢見ていたことが実現し、とても嬉しく思います」とチャーミングな笑顔を見せるデ・ベア。過去の来日というのは、2011年2月の、鬼才ペーター・コンヴィチュニー演出による『サロメ』上演時のことだ。アムステルダム芸術大学で演出を学んだのち、コンヴィチュニーの薫陶を受けた。2019年にシュトゥットガルトで初演されたこのプロダクションでも、そこで育まれた鋭い視点、大胆な手法が存分に発揮される。大航海時代のスペインの宮廷を舞台に繰り広げられる愛憎劇『ドン・カルロ』。恋人が父である王の妻となり苦しむカルロのみならず、様々な立場の人物の葛藤する姿が描かれるヴェルディの大作だ。「このオペラの価値は、永遠に続くものと思っています。人々の権力闘争は、過去のものではないのです」と語るデ・ベア。「このプロダクションが初演された2019年、米国ではトランプ大統領とペンス副大統領が、人々の、たとえば女性の権利を奪おうとしていた。私は、この作品の時代設定をいまから40年後の世界としています。いまもこの世界では戦争をはじめいろんなことが起こっていますが、これがどんどん酷くなったら、という想像のもとでの設定です。そこで、自由を奪われ、様々な規則の中で生活する女性たちのことを表現できるのではないかと思いました。私はいつも、普通の人間を、表現したいのです」。演出に取り組む際には、「なぜいま、この作品を演じるのか」ということを最初に考えるという彼女。2022年9月にウィーン・フォルクスオーパー初の女性芸術監督に就任、オペレッタの殿堂に新風を吹き込むという大仕事にも取り組む。オペラの未来を担う才能の登場に、期待が高まる。指揮はレオナルド・シーニ、管弦楽は東京フィルハーモニー交響楽団。9月30日(土)よこすか芸術劇場を皮切りに、10月7日(土)・8日(日)札幌文化芸術劇場hitaru、10月13日(金)~15日(日)東京文化会館 大ホールで上演。(取材・文:加藤智子)
2023年09月08日ヨーロッパの名画を網羅する「ロンドン・ナショナル・ギャラリー」の大規模所蔵作品展が、3カ月の延期を経て開催中!絵画の“大きさ”に注目すると、また違った見え方が。同展の監修者・川瀬佑介さん(国立西洋美術館主任研究員)に、お話を伺いました。■大きさが求められた教会の宗教画「古い時代、絵画の注文主は特権階級の人たちでした。特に教会が依頼した宗教画は、大きなサイズのものが多い。広い公共のスペースに展示され、遠くからも見えないといけなかったからです」(川瀬さん・以下同)女子修道院のために描かれた、カルロ・クリヴェッリ『聖エミディウスを伴う受胎告知』(1486年)は207×146.7cm。建物の装飾や宝石の光沢にも注目だ。■巨大肖像画は王族・大貴族のもの「同じく大きな絵を依頼していたのが、王族やそれに次ぐ有力貴族。18世紀まで、肖像画といえば彼らを権威づける、等身大の全身像が多かったのです」本展最大の、ルカ・ジョルダーノ『ベラスケス礼賛』(1692-1700年ごろ)は205.2×182.2cm!王を務めたスペイン人大貴族のファミリーポートレートだ。■個人宅にも入る小さなオランダ絵画「17世紀のオランダでは、受注生産ではなく、画家が描いた絵画を顧客が買う市場が確立されました。顧客は主に市民階級で、彼らのさほど大きくもない家にも入るようにサイズも小さめ。肖像画も、バストアップが主流です」小さな絵で知られる、ヨハネス・フェルメール晩年の名作『ヴァージナルの前に座る若い女性』(1670-72年ごろ)は51.5×45.5cm。市民にとって身近な主観や風俗画が好まれたのもこのころの特徴。■革新的な印象派絵画、サイズは無難!?「19世紀半ば以降、絵画とは画家の思想を表現するものと捉えられ、サイズも画家の意図に基づいて決められるように。ただ、当時社会からあまり理解されなかった印象派は市民の邸宅に入る無難なサイズにせざるをえなかったようです」フィンセント・ファン・ゴッホ『ひまわり』(1888年)はゴーガンと住む家の寝室に飾ることを想定した92.1×73cm。部屋に複数飾ることを考えて何枚も描いた。「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」国立西洋美術館にて10月18日まで開催中(日時指定制)。※開館時間/9時30分〜17時30分(金・土は〜21時)、休館日/月曜日(7月13日、27日、8月10日、9月21日は開館)、9月23日。料金/一般1,700円ほか。国立西洋美術館では本展のチケット販売は行いません。事前に入場券をご購入ください。詳細は展覧会公式サイトにて。11月3日より大阪でも開催。「女性自身」2020年7月7日号 掲載
2020年06月29日世界屈指の西洋絵画コレクションを誇る美術館、ロンドン・ナショナル・ギャラリーから名作61点が初来日。『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』が国立西洋美術館で開催される。新型コロナウイルス感染拡大の影響により開幕日は未定だが、内覧会で公開された展示の様子をレポートする。ロンドン・ナショナル・ギャラリーは、1824年に英国議会によって創立された市民のための美術館。13世紀後半から20世紀初頭までのヨーロッパ絵画を約2,300点所蔵し、年間の来場者数約600万人を誇る世界屈指の美の殿堂だ。ロンドン・ナショナル・ギャラリー外観photo: Phil Sayer, (c)The National Gallery, London同館はまとまった数の作品を貸し出すことに慎重で、イギリス以外で所蔵作品展が開かれるのは200年近い歴史の中で初めて。そんな貴重な機会となる同展では、すべて日本初公開となる傑作61点が集結する。展示構成は、「イタリア・ルネサンス絵画の収集」「オランダ絵画の黄金時代」「ヴァン・ダイクとイギリス肖像画」「グランド・ツアー」「スペイン絵画の発見」「風景画とピクチャレスク」「イギリスにおけるフランス近代美術受容」の全7章立て。“イギリスとヨーロッパの大陸交流”という視点から、西洋絵画史を俯瞰していく内容だ。第1章では、19世紀半ば以降のイギリスで再評価が進んだ初期の「イタリア・ルネサンス絵画」を紹介。15世紀イタリア・ルネサンス初期の画家、クリヴェッリによる《聖エミディウスを伴う受胎告知》や、16世紀ヴェネツィア派のティツィアーノが、復活したキリストとマグダラのマリアが出会う場面を描いた《ノリ・メ・タンゲレ》など、地域の優れたコレクションが並ぶ。展覧会場入り口カルロ・クリヴェッリ 《聖エミディウスを伴う受胎告知》 1486年ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 《ノリ・メ・タンゲレ》 1514年頃第2章で焦点を当てるのは17世紀のオランダ絵画。レンブラントによる《34歳の自画像》や、フェルメールの《ヴァージナルの前に座る若い女性》といった巨匠たちの傑作をはじめ、イギリスで特に人気の高かった風俗画や海洋画も併せて展示される。レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン 《34歳の自画像》 1640年ヨハネス・フェルメール 《ヴァージナルの前に座る若い女性》 1670-72年頃第3章では、17世紀前半から18世紀のイギリスで重要な画家を多数輩出した肖像画の分野にスポットを当てる。フランドル出身で、ルーベンスに師事した後イギリスの宮廷画家として活躍したヴァン・ダイクや、ロイヤル・アカデミー初代院長を務めたレノルズなど、多彩な肖像家の作品を見ることができる。アンソニー・ヴァン・ダイク 《レディ・エリザベス・シンベビーとアンドーヴァー子爵夫人ドロシー》 1635年頃ジョシュア・レノルズ《レディ・コーバーンと3人の息子》 1773年第4章の「グランド・ツアー」とは、18世紀にイギリスで流行した、上流階級の子息たちによるイタリア遊学旅行のこと。ヨーロッパの文化や歴史を学ぶために同地を訪れた人々の姿や、彼らが持ち帰った都市景観図などが紹介される。カナレット(本名ジョヴァンニ・アントニオ・カナル) 《ヴェネツィア:大運河のレガッタ》 1735年頃第5章で注目されるのはスペイン絵画。19世紀初め、イギリス軍がスペイン独立戦争に参戦したことをきっかけに、スペイン絵画がイギリスにもたらされ、評価が確立していったという。ここでは、風俗画が高く評価されたムリーリョ、スペインの宮廷画家、ベラスケスなどの作品を見ることができる。バルトロメ・エステバン・ムリーリョ 《窓枠に身を乗り出した農民の少年》 1675-80年頃ディエゴ・ベラスケス 《マルタとマリアの家のキリスト》 1618年頃第6章では風景画を紹介。18世紀後半からイギリスでは、「絵のような(ピクチャレスク)」と言われる不規則で荒々しい自然を描いた風景画が流行した。コンスタンブルやターナーというロマン主義風景画のふたりの巨匠の作品をはじめ、イギリス風景画の隆盛をたどる。第6章会場風景ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 《ポリュフェモスを嘲るオデュッセウス》1829年最終章となる第7章では、19世紀フランスで進んだ近代絵画の改革とイギリスとの関係に着目。アングルから印象派を経て、ゴッホ、ゴーガンに至る流れを、イギリスの視点からひも解いていく。ポール・セザンヌ《プロヴァンスの丘》1890-92年頃クロード・モネ 《睡蓮の池》 1899年ピエール=オーギュスト・ルノワール 《劇場にて(初めてのお出かけ)》 1876-77年同章のラストを飾るのはゴッホの《ひまわり》。これは、ゴッホが共同生活を送る畏友ゴーガンのために制作した4点のうち、最後に描かれた作品だ。先に描かれた作品では背景が青い色だったのに対し、この絵の背景は明るく淡い黄色。輝くばかりの色彩を、その目で確かめてほしい。フィンセント・ファン・ゴッホ 《ひまわり》 1888年レンブラント、フェルメール、ルノワール、モネ、ゴッホなど、巨匠たちの名画がずらりと並ぶ同展。贅沢かつ、唯一無二の西洋絵画史の旅を体験してみてはいかがだろうか。【開催情報】『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』開幕日未定〜6月14日(日)国立西洋美術館にて開催※新型コロナウイルス感染拡大の影響により開幕延期。開幕後も混雑対策のためチケットの販売方法や展示室への入場方法が変更となる場合あり。最新情報は展覧会公式サイト()にて確認を。【関連リンク】
2020年04月21日マリインスキー歌劇場の来日公演で『ドン・カルロ』のタイトル・ロールを歌うヨンフン・リー。初来日は2011年で、メトロポリタン・オペラの『ドン・カルロ』でヨナス・カウフマンの代役として見事大役を成功させ、日本の聴衆にその名を知らしめた。その後も破竹の勢いで世界中のトップクラスの歌劇場で活躍を続けている。マリインスキーとの共演は2回目。マリインスキー歌劇場『ドン・カルロ』チケット情報「バーデン・バーデンで『ドン・カルロ』を彼らと上演しました。とても急なオファーでしたが、全力で準備しましたよ。マエストロ・ゲルギエフは僕の声をとても気に入って、終演後『君のレパートリーを全部教えてくれ。これまでにやった役をすべて契約したい』と仰ったんです。マエストロに認めてもらえたと感じ、とても嬉しかったですね」歌手ヨンフン・リーをスターにしたオペラが『ドン・カルロ』だった。「2007年のフランクフルト歌劇場での新制作で、メディアもTVも注目しているプロダクションでしたが、本番の2週間前に主役のテノールが解雇され、急遽僕が歌うことになったんです。それが大成功し、翌年にはバレンシア歌劇場でロリン・マゼールに招かれて同じ役を歌いました。マエストロ・マゼールからのオファーを、僕は最初断っていたんです。カナダの教会で歌う予定を入れていたので…マネージャーから叱られましたが、やはり神様がいたのか、マゼールは最終的に僕との共演を実現してくださったのです」役には全力で取り組む。最近では『アンドレア・シェニエ』をサンフランシスコ歌劇場で成功させ、ドン・ホセ、カヴァラドッシ、イズマエーレも得意とするが、圧倒的に歌ってきた回数が多いのは『ドン・カルロ』。「歌いなれた役とはいえ、本番前には全力で準備します。カルロの役は、文化的な背景も含め色々な歴史文献をあたって解釈を深めてきました。そうすると、演じているときに色々なことを考えずに「役を生きる」ことが出来るんです。演じているというよりも、100%ドン・カルロになり切っている状態です。演技していたのでは説得力はないし、自然な振舞いも出来ません」性格はオープンマインド。指揮者にもオーケストラにも心を開かなければ本物の歌は歌えないと語る。楽屋では衣装やメイクのスタッフともフレンドリーに会話をしていた。努力家で優しく、舞台に立つと別人のような威厳も放つ。優雅で高貴な雰囲気も、彼ならではだ。日本で5年ぶりのドン・カルロに期待は集まる。マリインスキー・オペラ来日公演は東京文化会館にて10月10日(月・祝)・12日(水)は「ドン・カルロ」、15日(土)・16日(日)「エフゲニー・オネーギン」が上演される。ヨンフン・リーの出演は「ドン・カルロ」のみ。取材:小田島 久恵(音楽ライター)
2016年10月07日青山商事の運営する「ザ・スーツカンパニー」から、イタリアの高級生地「カルロ・バルベラ」を使用したスーツが発売された。同商品は、1949年にイタリア・ビエラ地区に設立された生地メーカー、カルロ・バルベラ社による「カルロ・バルベラ」ウール100%生地(Super130’s)を使用し、5種類の色柄を別製注文したもの。カルロ・バルベラ社では、糸を紡績した後、1年中気温18度・湿度80%に保たれているという地下倉庫で保管する。これにより、糸に本来のやわらかさが戻り、かさ高の素材にすることができるという。その後、あえてゆっくりと生地を織り上げ、大量生産の生地にはないような、空気を含んだふくらみのある生地に仕上げているとのこと。「ツーパンツスーツ(5種)」「スリーピース(2種)」「ダブルブレストスーツ(1種)」の計3タイプを用意し、価格は各4万6,000円(税別)。同商品を購入した先着1,000人に、「カルロ・バルベラ」生地を使用しハンドメイドで仕立てたネクタイを進呈する。全国の「ザ・スーツカンパニー」、「ザ・スーツカンパニーオンラインショップ」、および「カルロ・バルベラ」スーツスペシャルサイトで販売している。
2014年10月24日田中貴金属ジュエリーは29日、直営店「GINZA TANAKA」各店にて、イタリアンジュエリーブランド「カルロ・バルベリス(CARLO BARBERIS)」の男性向け新作3点を発売する。カルロ・バルベリスは、熟練した職人の手によって生み出される高品質なジュエリーで、ヨーロッパのセレブや中東のロイヤルファミリーなどからも支持を集める伝統のブランド。ホワイトゴールドを中心としたラインナップで知られるが、今回の新作は「GINZA TANAKA」の特別オーダーによるプラチナ製(Pt950)だという。発売されるのは、リング、カフリンクス、タイニーピンの3点。いずれもプラチナにダイヤモンドとサファイアを上品にあしらっている。ビジネスシーンにもプライベートシーンにもマッチする、スタンダードかつスタイリッシュなデザインだ。価格は、リング(ダイヤ計約0.57ct・サファイア計約1.29ct)が74万円、タイニーピン(ダイヤ計約0.20ct・サファイア計約0.54ct)が33万円、カフリンクス(ダイヤ計約0.38ct・サファイア計約0.96ct)は67万円。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年06月28日