第93回アカデミー賞授賞式が4月26日(日本時間)、米ロサンゼルスで開催され、クロエ・ジャオ監督の『ノマドランド』が作品賞をはじめ、監督賞、主演女優賞の最多3部門で栄冠に輝いた。ベネチア国際映画祭での金獅子賞受賞を皮切りに、トロント国際映画祭、ゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞といったオスカー前哨戦で圧倒的な強さを発揮した本作が、アカデミー賞でも大本命としてのポテンシャルを見せつけた。ジャオ監督は監督賞を受賞し、女性監督として『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグロー(第82回)以来2人目の快挙を達成した(なお、女性監督の作品がアカデミー賞の作品賞に輝くのも、『ハート・ロッカー』以来2作目となる)。主演女優賞も『ノマドランド』からフランシス・マクドーマンドが受賞。こちらも前哨戦での勢いそのままに、彼女にとって『ファーゴ』(第69回)、『スリー・ビルボード』(第90回)に続く3度目の同賞受賞を果たした。これで主演女優賞の受賞回数としては、通算4度輝いたキャサリン・ヘプバーンに次ぎ、歴代2位を誇ることになる。『ノマドランド』はジェシカ・ブルーダーのノンフィクション「ノマド漂流する高齢労働者たち」を映画化したロードムービー。リーマンショックの影響で、長年住み慣れた家を失った60代の女性・ファーン(マクドーマンド)が、“現代のノマド(遊牧民)”として、過酷な季節労働の現場を渡り歩く姿を通して、人間にとっての誇りと尊厳、自由に生きる意義を問いかけた。フィクションとドキュメンタリーの境界を巧みに行き来する芸術性に加えて、主人公のたくましい姿に、コロナ禍を生き抜こうと葛藤する現代人が、自らを重ね合わせたのも旋風の大きな要因。まさに“今年の1本”と呼ぶにふさわしい本作が、激動のアカデミー賞を制する結果となった。中国出身の女性監督が手がけた『ノマドランド』が作品賞と監督賞に輝いた第93回のアカデミー賞で、もう1つ歴史的瞬間が刻まれたのが、助演女優賞。『ミナリ』のユン・ヨジョンが、韓国人俳優として初めてアカデミー賞の俳優部門で受賞する快挙を成し遂げたのだ。1980年代、農業での成功を夢見て、アメリカ南部に移住した韓国出身の一家が、理不尽な境遇にも負けず生きる姿を描くヒューマンドラマで、ヨジョンは毒舌で破天荒な祖母スンジャを好演。前哨戦にあたる全米映画俳優組合(SAG)賞、英国アカデミー賞でも助演女優賞を獲得していた。なお、『ミナリ』は大半が韓国語のセリフだが、ブラッド・ピットの映画製作会社「PLAN B」が製作に関わったアメリカ映画となる。例年と異なり、セレモニーの最後に発表されたのが主演男優賞。受賞したのは『ファーザー』のアンソニー・ホプキンスだった。史上最高齢で2度目の受賞。遺作『マ・レイニーのブラックボトム』で“最期の熱演”を披露し、昨年8月に43歳の若さで亡くなったチャドウィック・ボーズマンさんは受賞を逃した。最後の最後、大方の予想に反する驚きのどんでん返しが待っていた。また、助演男優賞は『ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア』のダニエル・カルーヤが初受賞している。新型コロナウイルスの影響により、開催が危ぶまれた中、例年の2月開催から4月に延期された今年のアカデミー賞授賞式。劇場閉鎖が長引く現状を考慮し、NetflixやAmazon Prime Videoといったインターネットを通じて配信された作品も、各部門のノミネート資格を得る異例の条件が加えられた。昨年から一転し、俳優賞全部門に非白人の候補が名を連ねた。異例尽くし、そしてニューノーマルともいえる投票の結果、会員たちは『ノマドランド』を筆頭に、時代や人種、性別や障がいの有無といった枠組みを超えて、逆境にもめけず前を向く人々の力強さと多様な生き方を祝福した。繰り返しになるが、その姿にコロナ禍を生きる私たちが大いに共感を覚えることは言うまでもない。【第93回アカデミー賞主な受賞結果】作品賞:『ノマドランド』監督賞:クロエ・ジャオ『ノマドランド』主演男優賞:アンソニー・ホプキンス『ファーザー』主演女優賞:フランシス・マクドーマンド『ノマドランド』助演男優賞:ダニエル・カルーヤ『ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア』助演女優賞:ユン・ヨジョン『ミナリ』国際長編映画賞:『アナザー・ラウンド』(デンマーク)脚本賞:『プロミシング・ヤング・ウーマン』脚色賞:『ファーザー』音響賞:『サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ』編集賞:『サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ』撮影賞:『Mank/マンク』美術賞:『Mank/マンク』衣装デザイン賞:『マ・レイニーのブラックボトム』メイク・ヘアスタイリング賞:『マ・レイニーのブラックボトム』作曲賞:『ソウルフル・ワールド』歌曲賞:『ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア』“Fight For You”視覚効果賞:『TENET テネット』長編アニメ映画賞:『ソウルフル・ワールド』長編ドキュメンタリー映画賞:『オクトパスの神秘:海の賢者は語る』短編実写映画賞:『隔たる世界の2人』短編アニメ映画賞:『愛してると言っておくね』短編ドキュメンタリー賞:『コレット(原題)』取材・文=内田涼『ノマドランド』公開中生中継!第93回アカデミー賞授賞式放送日時:4月26日(月)午前8:30 [WOWOWプライム][WOWOWオンデマンド]第93回アカデミー賞授賞式<字幕版>4月26日(月)夜9:00 [WOWOWプライム][WOWOWオンデマンド]番組オフィシャルサイト:
2021年04月26日第93回アカデミー賞授賞式が4月26日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターとユニオン駅の2つの会場で開催され、作品賞にクロエ・ジャオ監督の『ノマドランド』が輝いた。第77回(2020年)ベネチア国際映画祭で最高賞にあたる金獅子賞を皮切りに、第45回トロント国際映画祭で最高賞の観客賞、第78回ゴールデングローブ賞で作品賞と監督賞を受賞。第74回英国アカデミー賞でも、作品賞をはじめ最多4部門に輝いていた。オスカー前哨戦で圧倒的な存在感を示した“大本命”が、今年のアカデミー賞でも順当に作品賞を手にし、コロナ禍に揺れた映画賞レースにおいて有終の美を飾った。なお、女性監督の作品がアカデミー賞の作品賞に輝くのは、キャスリン・ビグロー監督の『ハート・ロッカー』(第82回)以来2度目となる。ジェシカ・ブルーダーのノンフィクション「ノマド漂流する高齢労働者たち」を映画化したロードムービー。リーマンショックの影響で、長年住み慣れた家を失った60代の女性が“現代のノマド(遊牧民)”として、過酷な季節労働の現場を渡り歩く姿を、アメリカ西部の雄大な自然を背景に描いた。誇りを胸に、自由に生きる主人公には、コロナ禍に苦悩する世界中の観客から強い共感が寄せられていた。受賞コメントクロエ・ジャオ監督プロデューサー陣、フランシス・マクドーマンドを代表してご挨拶します。他の候補者の皆さんにもお礼を申し上げます。フォックス・サーチライト・ピクチャーズ、原作者のジェシカ・ブルーダー、そしてノマドの皆さん。多くの人たちのおかげで、この作品が完成しました。皆さんは真実の優しさを示してくれました。プロデューサーも務める主演のフランシス・マクドーマンドぜひ、大きなスクリーンで見てください。仲間を連れて映画館に行き、隣にも観客がいる状況で。ウルフにこの映画を捧げます(オオカミの鳴き声をまねて、雄たけび)(text:cinemacafe.net)■関連作品:ノマドランド 2021年3月26日より全国にて公開© 2021 20th Century Studios. All rights reserved.
2021年04月26日第93回アカデミー賞授賞式が4月26日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターとユニオン駅の2つの会場で開催され、『ノマドランド』のクロエ・ジャオが監督賞を受賞した。同賞に女性監督が輝くのは、『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグロー(第82回)以来11年ぶり2人目の快挙となる。アジア人女性としての監督賞受賞は史上初。1982年、中国・北京生まれのジャオ監督はニューヨーク大学で映画制作を学び、脚本、監督、プロデューサーを務めた長編デビュー作『Songs My Brothers Taught Me』(原題/2015)が高く評価され、続く長編2 作目『ザ・ライダー』(2017)は、カンヌ国際映画祭監督週間でプレミア上映されたほか、映画賞43ノミネート24受賞という栄誉に輝いた。本作『ノマドランド』では実在のノマドたちの生活に分け入りながら、ドキュメンタリーとフィクションの境界線を超越する、斬新な映画作りで世界中に旋風を巻き起こし、ゴールデングローブ賞監督賞、英国アカデミー賞監督賞、米監督組合賞などに輝いていた。マーベル・スタジオが贈る『アベンジャーズ』シリーズに続く最新ヒーロー超大作『エターナルズ(原題)』にも大抜擢されている。受賞コメントありがとうございます。一緒に候補になったノミニーにも感謝します。そして『ノマドランド』のチームの皆さん、一生に一度の経験をさせてもらい感謝しています。最近、よく考えるんです…。困難なとき、私たちはどう前進すべきなのか。(中国で育った子ども時代、父親と楽しんだ言葉遊びを振り返りながら)人間は生まれつき、良い人たちだと心から信じています。ときにはそうは思えない瞬間もありますが、私はいつでも人間の“善”を信じています。勇気ある人々、人間の善を認めようとする人々にこの賞を捧げたいです。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ノマドランド 2021年3月26日より全国にて公開© 2021 20th Century Studios. All rights reserved.
2021年04月26日土曜日(現地時間)、全米監督協会賞(DGAアワード)が発表された。『ノマドランド』のクロエ・ジャオ監督が長編映画監督賞を受賞。女性監督としては史上2人目、有色人種の女性としては初めての受賞という快挙を遂げた。同賞を初めて受賞した女性監督は2010年の『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグロー監督だった。なお、翌日行われた英国アカデミー賞でもジャオ監督は監督賞を受賞し、「ビグロー監督に続く史上2人目の女性、有色人種の女性としては初めて」という偉業を達成している。全米監督協会賞の長編映画監督賞は、アカデミー賞の監督賞とほぼ毎年一致しているという特徴がある。「IndieWire」などによると、70年以上の歴史で一致しなかったのはたった8回だという。昨年はそのうちの1回で、全米監督協会賞は『1917 命をかけた伝令』のサム・メンデス、アカデミー賞は『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノが受賞した。今年は果たして一致となるか?長編映画監督賞のほかには、初めて長編映画を監督した新人に贈られる長編映画初監督賞に『サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ』のダリウス・マーダー、ドラマシリーズ監督賞に「HOMELAND/ホームランド」のレスリー・リンカ・グラッター、テレビ映画・リミテッドシリーズ監督賞に「クイーンズ・ギャンビット」のスコット・フランクが選ばれた。(Hiromi Kaku)■関連作品:ノマドランド 2021年3月26日より全国にて公開© 2021 20th Century Studios. All rights reserved.
2021年04月12日日曜日(現地時間)、英国アカデミー賞(BAFTA賞)がバーチャル開催された。クロエ・ジャオ監督作の『ノマドランド』が作品賞、監督賞を含む4部門を受賞。ジャオ監督は英国アカデミー賞史上、監督賞を受賞した2人目の女性であり、初の有色人種女性という偉業を達成した。なお、監督賞を受賞した初の女性は、2010年のキャスリン・ビグロー(『ハート・ロッカー』)。ジャオ監督は「この賞を、ノマディックコミュニティの人たちに捧げたいです。彼らは、生活の中に私たちを快く受け入れてくれましたから。夢、葛藤、深い尊厳について共有してくれたのです。年を重ねるということの美しさーー私たちが慈しみ、祝福すべき旅路を教えてくれたことに感謝します」とスピーチした。主演男優賞のアンソニー・ホプキンス(83)は、同賞の史上最年長受賞者となった。「テレグラフ」紙によると、本人は受賞するとは全く予想していなかったそうで、オンラインでの授賞式を見ずにウェールズのホテルで絵を描いていたという。主な受賞者・受賞作品は以下の通り。作品賞『ノマドランド』監督賞クロエ・ジャオ『ノマドランド』主演男優賞アンソニー・ホプキンス『ファーザー』主演女優賞フランシス・マクドーマンド『ノマドランド』助演男優賞ダニエル・カルーヤ『Judas and the Black Messiah』助演女優賞ユン・ヨジョン『ミナリ』オリジナル脚本賞『プロミシング・ヤング・ウーマン』エメラルド・フェンネル英国作品賞『プロミシング・ヤング・ウーマン』(Hiromi Kaku)■関連作品:ノマドランド 2021年3月26日より全国にて公開© 2021 20th Century Studios. All rights reserved.
2021年04月12日『ハッピー・デス・デイ』監督とブラムハウス・プロダクションズが贈る、入れ替わり(ボディスイッチ)ホラー『ザ・スイッチ』から、主演キャスリン・ニュートンが“ホラー映画で生き残るための9つのルール”をプレゼンする特別映像が解禁された。今回解禁されたのは、本作で冴えない女子高校生と(スイッチした)中年殺人鬼を巧みに演じ分けたキャスリンが、“ブラムハウスお墨付き”ともいえるホラー映画で生き残るための9つのルールを伝授する特別映像。ルール1:鏡は見ちゃだめ!まさか鏡の中の自分が、自分を刺した殺人鬼の姿になってるなんて!?女子高校生が憑依したようにしか見えないヴィンス・ヴォーンの演技は、ホラー界の帝王スティーヴン・キングが「クソ素晴らしい!」と絶賛するほど。ルール2:朝食はしっかり食べる/ルール3:カッコよくキメる一方、女子高校生になった殺人鬼は朝食をがっつり食べ、真っ赤なライダースを颯爽と着こなす妖艶な殺人鬼に大変身。いままでにできなかった殺戮を実行するのみ!ルール4:親友とは仲良く/ルール5:でも拘束しちゃだめホラー映画に親友の存在は欠かせない。だけどその親友の中身が殺人鬼になっていることもあるのがこの世界!周囲に言っても信じてもらえるはずがないので、拘束したらむしろ恨みを買ってしまうかも…!?ルール6:ナイフで遊ばない/ルール7:持久力を高めて/ルール8:イジワル女にならない主人公の悪口を言うキャラは、すぐに殺られるのがホラー映画の摂理。それを知っておけば、恐怖を避ける生き方が見つかるはず!?ルール9:刺されない!そして何より、最後にして最大のルールは何をおいても刺されないこと!殺人鬼が憑依し、情け容赦なく手をかける新たなホラーアイコンを演じ、多くの人々を標的にしたキャサリンが言うからこその説得力だ。『ザ・スイッチ』は4月9日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ザ・スイッチ 2021年4月9日より全国にて公開© 2020 UNIVERSAL STUDIOS
2021年04月06日コロナ禍、例年より約2か月遅れて行われる第93回アカデミー賞のノミネーションが日本時間3月15日(月)夜に発表され、映画賞レースを盛り上げてきた『ミナリ』が作品賞、監督賞、主演男優賞、助演女優賞など6部門にノミネートされた。ゴールデン・グローブ賞作品賞(ドラマ部門)受賞の『ノマドランド』は6部門にノミネート。『サウンド・オブ・メタル~聞こえるということ~』『シカゴ7裁判』などが同じく6つのノミネートで続き、最多は作品賞、監督賞など10部門にノミネートされた『Mank/マンク』と、Netflix、Amazonといった配信作品が席巻した。また、監督賞にはアカデミー賞史上初となる『ノマドランド』クロエ・ジャオ、『プロミシング・ヤング・ウーマン』エメラルド・フェンネルと2人の女性監督が候補入り。これまで女性監督が同賞を受賞したのは『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグローのみで、ノミネートも『レディ・バード』のグレタ・ガーウィグや『ロスト・イン・トランスレーション』のソフィア・コッポラら、わずか5人のみ。ジャオ監督はアジア系女性としても初ノミネートとなっている。第93回アカデミー賞ノミネート一覧■作品賞『ファーザー』『Judas and the black Messiah』(原題)『Mank/マンク』『ミナリ』『ノマドランド』『プロミシング・ヤング・ウーマン』『サウンド・オブ・メタル~聞こえるということ~』『シカゴ7裁判』■監督賞トーマス・ヴィンターベア『Another Round』(原題)デヴィッド・フィンチャー『Mank/マンク』リー・アイザック・チョン『ミナリ』クロエ・ジャオ『ノマドランド』エメラルド・フェンネル『プロミシング・ヤング・ウーマン』■主演男優賞リズ・アーメッド『サウンド・オブ・メタル~聞こえるということ~』チャドウィック・ボーズマン『マ ・レイニーのブラックボトム』アンソニー・ホプキンス『ファーザー』ゲイリー・オールドマン『Mank/マンク』スティーヴン・ユァン『ミナリ』■主演女優賞ヴィオラ・デイヴィス『マ ・レイニーのブラックボトム』アンドラ・デイ『The United States vs. Billie Holiday』ヴァネッサ・カービー『私というパズル』フランシス・マクドーマンド『ノマドランド』キャリー・マリガン『プロミシング・ヤング・ウーマン』■助演男優賞サシャ・バロン・コーエン『シカゴ7裁判』ダニエル・カルーヤ『Judas and the black Messiah』レスリー・オドム・Jr.『あの夜、マイアミで』ポール・レイシー『サウンド・オブ・メタル~聞こえるということ~』ラキース・スタンフィールド『Judas and the black Messiah』■助演女優賞マリア・バカローヴァ『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』グレン・クローズ『ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-』オリヴィア・コールマン『ファーザー』アマンダ・セイフライド『Mank/マンク』ユン・ヨジョン『ミナリ』■オリジナル脚本賞『Judas and the black Messiah』『ミナリ』『プロミシング・ヤング・ウーマン』『サウンド・オブ・メタル~聞こえるということ~』『シカゴ7裁判』■脚色賞『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』『ファーザー』『ノマドランド』『あの夜、マイアミで』『ザ・ホワイトタイガー』■国際長編映画賞『Another Round』デンマーク『少年の君』香港『Collective』ルーマニア『皮膚を売った男』チュニジア『Quo vadis, Aida?』(原題)ボスニア・ヘルツェゴビナ■長編アニメーション映画賞『2分の1の魔法』『フェイフェイと月の冒険』『映画ひつじのショーン UFOフィーバー!』『ソウルフル・ワールド』『ウルフウォーカー』■撮影賞『Judas and the black Messiah』『Mank/マンク』『この茫漠たる荒野で』『ノマドランド』『シカゴ7裁判』■編集賞『ファーザー』『ノマドランド』『プロミシング・ヤング・ウーマン』『サウンド・オブ・メタル~聞こえるということ~』『シカゴ7裁判』■美術賞『ファーザー』『マ ・レイニーのブラックボトム』『Mank/マンク』『この茫漠たる荒野で』『TENET テネット』■衣装デザイン賞『Emma. 』(原題)『マ ・レイニーのブラックボトム』『Mank/マンク』『ムーラン』『Pinocchio』(原題)■作曲賞『ザ・ファイブ・ブラッズ』『Mank/マンク』『ミナリ』『この茫漠たる荒野で』『ソウルフル・ワールド』■歌曲賞「FIGHT FOR YOU」『Judas and the black Messiah』「HEAR MY VOICE」『シカゴ7裁判』「HUSAVIK」『ユーロビジョン歌合戦 ~ファイア・サーガ物語~』「IO Si(SEEN)」『これからの人生』「SPEAK NOW」『あの夜、マイアミで』■メイクアップ&ヘアスタイリング賞『Emma. 』『ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-』『マ ・レイニーのブラックボトム』『Mank/マンク』『Pinocchio』■音響賞『グレイハウンド』『Mank/マンク』『この茫漠たる荒野で』『ソウルフル・ワールド』『サウンド・オブ・メタル~聞こえるということ~』■視覚効果賞『Love and Monsters』(原題)『ミッドナイト・スカイ』『ムーラン』『ゴリラのアイヴァン』『TENET テネット』■長編ドキュメンタリー賞『Collective』『ハンディキャップ・キャンプ: 障がい者運動の夜明け』『老人スパイ』『オクトパスの神秘: 海の賢者は語る』『タイム』■短編ドキュメンタリー賞『Colette』『A Concerto Is a Conversation』『Do Not Split』『Hunger Ward』『ラターシャに捧ぐ ~記憶で綴る15年の生涯~』■短編アニメーション映画賞『夢追いウサギ』『Genius Loci』『愛してるって言っておくね』『Opera』『Yes-People』■短編実写賞『Feeling Through』『The Letter Room』『プレゼント』『Two Distant Strangers』『白い自転車』「生中継!第93回アカデミー賞授賞式」は日本時間4月26日(月)8時30分~WOWOWプライムにて放送。(text:Reiko Uehara)■関連作品:2分の1の魔法 2020年8月21日より全国にて公開©2019 Disney/Pixar. All Rights Reserved.ソウルフル・ワールド 2020年12月25日よりDisney+(ディズニープラス)にて配信©2020 Disney/Pixar. All Rights Reserved.ウルフウォーカー 2020年10月30日よりYEBISU GARSEN CINEMAほか全国にて公開© WolfWalkers 2020ノマドランド 2021年3月26日より全国にて公開© 2021 20th Century Studios. All rights reserved.【Netflix映画】フェイフェイと月の冒険【Netflix映画】シカゴ7裁判 2020年10月9日より全国にて公開【Netflix映画】Mank/マンク 2020年11月20日より一部劇場にて公開、2020年12月4日よりNetflix独占配信開始ミナリ 2021年3月19日よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開©Photo by Melissa Lukenbaugh, Courtesy of A24サウンド・オブ・メタル聞こえるということ 2020年12月4日よりAmazonPrimeVideoにて配信ファーザー 2021年5月14日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© NEW ZEALAND TRUST CORPORATION AS TRUSTEE FOR ELAROF CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION TRADEMARK FATHER LIMITED F COMME FILM CINÉ-@ ORANGE STUDIO 2020プロミシング・ヤング・ウーマン 2021年夏、TOHOシネマズ日比谷、シネクイントほか全国にて公開© 2020 PROMISING WOMAN, LLC All Rights Reserved.
2021年03月15日新型コロナが猛威をふるうアメリカで、ハリウッドスターが協力するマスクの使用を訴える「Mask Up America」キャンペーンが始まった。ニューヨーク州知事アンドリュー・クオモ、トライベッカ映画祭創設者のロバート・デ・ニーロとジェーン・ローゼンタールが立ち上げた公共広告の計画で、現在は2種類の30秒スポットが放映されている。それらでは、モーガン・フリーマンとジェフリー・ライトが、それぞれナレーションを務めた。これからデビューするスポットには、スペイン語のものもあるそうだ。制作されたスポットは8種類。ほかにアンソニー・マッキー、ジェイミー・フォックス、ジョン・レグイザモ、エレン・ポンペオ、キャスリン・ビグローらがかかわっている。文=猿渡由紀
2020年07月17日アメリカのミネソタ州ミネアポリスで、2020年5月25日に起きた白人警官による黒人男性ジョージ・フロイドさんの死亡事故。これに端を発したデモは、今や全米に広がっています。これは、アメリカの歴史に深く暗い差別の闇があるゆえのもの。現代社会に根付く『黒人差別』をテーマにした映画から、その歴史を振り返ります。現実に胸がえぐられる『人種差別』闇の歴史『黒人差別』を描いた作品①マンディンゴ最初に紹介するのは、1975年公開の映画『マンディンゴ』です。アメリカはその成長の過程で大量のアフリカ系黒人奴隷を酷使してきました。その残酷な現実を突きつけたのが本作です。主人公は、アメリカ南部ルイジアナで大農園を営む、卑劣な白人農園主とその息子。息子の婚約者が黒人奴隷と恋に落ち、息子自身も黒人奴隷の娘に惹かれてしまう様子を、シビアな描写で描いた作品です。劇中では、「我が農場では14歳を超えて処女の黒人女なんぞおらん!」などの黒人少女たちへの不当な性暴力発言や、黒人の子どもの人身売買、さらには「黒人に魂なんぞある訳ない!」など、胸をえぐられる描写が次々と出てきます。しかし、これは、当時当たり前のように横行していた現実なのです。タイトルの『マンディンゴ』とは、西アフリカに住む『マンディカ族』のことで、人権などはまったく無視され、商品として高値で取引されていました。『黒人差別』を描いた作品②ミシシッピー・バーニング次は、1988年公開の映画『ミシシッピー・バーニング』です。『マンディンゴ』で描かれた時代は、南北戦争でリンカーン大統領率いる北部が、奴隷制度が色濃く残る南部に勝利したことで、歴史上は終焉を迎えています。しかし、現実は違いました。1960年代のアメリカ南部ミシシッピ州で実際に起きた、3人の黒人公民権運動家の失踪事件が元になっている本作。2人のFBI捜査官が、黒人差別を行う秘密結社『KKK(クー・クラックス・クラン)』の闇に近付いていく、というストーリーです。『KKK』は、南北戦争終結後に南部の奴隷商人だった男が作った白人至上主義の秘密結社。白い頭巾をかぶり、無実の黒人を街頭に吊るしたり、生きたまま火あぶりにしたりするなど非道の限りを尽くしました。劇中では、『KKK』による黒人たちへのむごたらしい暴行や殺人行為、彼らと結託した地元警察の陰湿な妨害行為の実態が鮮烈に描かれています。トランプ大統領の移民排斥傾向に賛同の声を挙げるなど、現在も多くの活動家がいる『KKK』。なお、本作は歌手の氷室京介さんも好きな映画の1つと公言しているようです。『黒人差別』を描いた作品③マルコムX次は、黒人差別をテーマに映画を作り続けるスパイク・リー監督による、1992年公開の作品『マルコムX』です。参政権すらなかった黒人たちの地位向上を目指した、公民権運動の代表的指導者であるマルコムXの半生を、名優デンゼル・ワシントンが演じています。物語は、幼少期に『KKK』の嫌がらせを受けていた父親を亡くし、自身も10代の頃から服役を経験していたマルコムの人生をなぞるように進みます。その後、彼は服役中に『ネイション・オブ・イスラム(NOI)』という教団に出会い、開眼。獄中の図書館で猛勉強をし、出所後は『NOI』に所属することになります。しかし『NOI』の闇を知ったマルコムは教団とたもとを分かち、瞬く間に公民権運動の代表的指導者になりますが、彼を苦々しく思ったNOIに銃撃を受け、亡くなってしまいます。この作品は日本のヒップホッパー、Zeebraさんにも大きく影響を与えているようで、Twitterでもたびたび話題に挙げています。『黒人差別』を描いた作品④デトロイト次は、公民権運動以後、1967年に起きたデトロイト暴動事件を描いた、キャスリン・ビグロー監督による、2017年公開の映画『デトロイト』です。黒人たちの不満が爆発し、ミシガン州デトロイト市で起きた約5日間の暴動を群像劇で描いた本作。物語は3日目にモーテルに宿泊中の黒人男性たちが、おもちゃの銃を撃ったことをきっかけに、怒涛の展開になだれ込みます。無実にも関わらず尋問・暴行、果ては殺人にまで発展した白人警官の横暴を描いたシーンは強烈のひと言…。白人警官役のウィル・ポールターの怪演は必見です。なお、物語で重要な役である黒人警備員役を演じたジョン・ボイエガは、フロイドさんの死亡事故に端を発したデモにも参加しており「キャリアに影響が出ようがかまわない」と熱いスピーチを行い、正義感あふれる姿で大衆を勇気付けています。『黒人差別』を描いた作品⑤フルートベール駅で最後は、2013年の映画『フルートベール駅で』です。2009年にアメリカ・サンフランシスコで実際に起きた凄惨な事件を、当事者となったオスカー・グラントの日常を追いかける視点で描いた本作。カンヌ映画祭でも賞を受賞した作品です。2009年の元日のフルートベール駅。22歳の黒人青年オスカー・グラントは、車内で白人グループに絡まれてしまいます。そして、揉めごとを聞きつけた白人の鉄道警察官2人は、彼に不当な扱いを繰り返し…というのがあらすじ。マーベル映画『ブラックパンサー』で悪役のキルモンガーを演じたマイケル・B・ジョーダンが本作の主演を務め、話題を呼びました。ライアン・クーグラー監督は本作のインタビューで「映画で描いた状況が目の前で展開されれば、白人警察官の取る態度は映画と同様になるケースが多いと思います」とコメント。今尚続く不当な白人警官の暴力事件の危険性を訴えています。また、本作は、あの世界的歌姫ビリー・アイリッシュがインタビューで、3年連続で好きな映画として挙げていることでも有名です。こうした映画を振り返ることで、5月から起きている暴動にどのような意味、怒りが込められているのか見えてきそうですね。自分の目で映画を見て、そして現実で起きている問題をとらえ直してみてください。[文・構成/grape編集部]
2020年06月09日1.スウィート17モンスター出典:母親への複雑な想いに先生への反抗、本気の兄妹喧嘩、親友とのケンカ、イケメンへの恋……青春時代のイタいあれこれが嫌というほど詰まっていて、思わず目を背けたくなりますが、そこはぐっとこらえて!全米No.1の映画批評サイト「ロッテントマト」での評価も高く、満を持しての日本公開となった本作は、オトナ女子が記憶の片隅に追いやった「あの頃の自分」にもう一度出会える、愛しい青春映画です。出典:2.女神の見えざる手出典:ラスベガスで起きた銃乱射事件から数週間。奇しくも今月、全米の銃規制法案を巡る攻防を描いた『女神の見えざる手』が公開されます。『ゼロ・ダーク・サーティ』でアカデミー主演女優賞にノミネートされた実力派女優ジェシカ・チャステインが、銃規制法案に賛成の立場をとる陣営を支援するロビイストを熱演。思わぬ展開にぐっと引き込まれます。出典:3.ザ・サークル出典:での「いいね!」や、インスタ映えを意識した写真撮影などの日常に、“SNS疲れ”を感じている人も少なくないのではないでしょうか?今週末公開となる映画『ザ・サークル』が描くのは、まさにすべてがオープンになった「完全な」社会。人類の明日を予見するSNSサスペンスに、エマ・ワトソンとトム・ハンクスが挑みます。出典:4.エイミー、エイミー、エイミー出典:『エイミー、エイミー、エイミー!こじらせシングルライフの抜け出し方』は、幼い頃から「一夫一妻制は悪だ!」と教育された恋愛恐怖症の主人公が、本気の恋に目覚める爆笑ラブコメディ。『ブリジット・ジョーンズの日記』から16年。DRESS世代が絶対に観逃せない、笑って元気をもらえる1本です!出典:5.彼女がその名を知らない鳥たち出典:『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』など、実際に起きた事件をモチーフとした原作の映画化に定評のある白石和彌監督が、初の大人向けラブストーリーに挑んだ本作。蒼井優、阿部サダヲ、松坂桃李、竹野内豊が演じる登場人物が全員「嫌なやつ」という設定でありながら、ラストに提示されるそのあまりにも美しい究極の愛の形に、号泣必至の一本です。出典:6.20センチュリー・ウーマン出典:ゲイをカミングアウトした自身の父親を題材に描いた前作『人生はビギナーズ』で大絶賛されたマイク・ミルズ監督が、自身の母親をテーマに6年ぶりに発表した新作『20センチュリー・ウーマン』。本年度アカデミー賞で脚本賞に見事ノミネートされた本作は、ミルズ自身の母親だけでなく、20世紀を生きたすべての女性たちへ贈るラブレターだ。出典:7.勝手にふるえてろ出典:中学の同級生「イチ」に約10年間片思い中の24歳のOLヨシカ。そんなヨシカの前に、暑苦しい会社の同期「ニ」が現れ、告白されて……。芥川賞作家・綿谷りさの同名小説を元に、“脳内片思い”と“リアル恋愛”の間で揺れる恋に臆病なヒロインを実力派若手女優・松岡茉優が熱演!ラブコメ史上最もキラキラしていない主人公の登場です。出典:8.15時17分、パリ行き出典:現在87歳のクリント・イーストウッド監督が、実際に起きた列車テロ事件を描いた最新作『15時17分、パリ行き』。この作品でイーストウッドは、犯人に立ち向かった若者3人にそれぞれ自分自身の役を演じさせるという、前代未聞の試みに挑戦しました。実際の事件の起こった場所で撮影に挑み、究極のリアリティーを徹底追及します。出典:9.オーシャンズ8出典:ジョージ・クルーニーが凄腕の詐欺師ダニー・オーシャンを演じ、強盗集団オーシャンズ”を率いて盗みを行う『オーシャンズ11』から約17年。サンドラ・ブロック演じるダニーの妹、デビー・オーシャンを主人公に、チーム全員が女性の“オーシャンズ”が帰ってきました!豪華キャストで贈る、最高に楽しい犯罪エンタテイメントの登場です。出典:.アリー/スター誕生出典:この冬、最高にエモーショナルでロマンチックなラブストーリーが登場しました。同名映画の4度目のリメイクとなる『アリー/スター誕生』は、主演のブラッドリー・クーパーとレディー・ガガ、ふたりの演技と歌声が素晴らしく、観る者の心を震わせます。ラストステージの圧巻のパフォーマンスは、ファンならずとも必見です!出典:.ムーンライト出典:マイアミの貧困地区を舞台に、自分の居場所とアイデンティティを模索する黒人少年の姿を描いた話題の映画『ムーンライト』。詩的な台詞と色彩豊かな圧倒的な映像美、エモーショナルな音楽で彩られ、LGBTQをテーマにしたラブストーリーが作品賞を受賞したのはアカデミー賞史上初!また、黒人だけのキャスト・監督・脚本家による作品が作品賞に輝いたのも史上初という、アカデミー賞の歴史を変えた作品となり、世界中に問題提起を投げかけ魅了してやみません。出典:.パーティで女の子に話しかけるには出典:『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』のジョン・キャメロン・ミッチェル最新作は、イギリスの人気作家ニール・ゲイマンの短編を映画化した『パーティで女の子に話かけるには』。パンクミュージックとファッションに彩られ、エル・ファニングが惑星から来た美少女・ザンを演じる、新たな「ボーイ・ミーツ・ガール」ムービーの名作です。出典:.デトロイト出典:イラクを舞台に米軍爆発物処理班の兵士たちを描いた『ハート・ロッカー』、オサマ・ビンラディンの捜索に執念を燃やすCIA女性分析官を描いた『ゼロ・ダーク・サーティ』など、センセーショナルな題材選びに定評のあるキャスリン・ビグロー監督。新作『デトロイト』は、米国デトロイト暴動で起きた戦慄の一夜を映画化した、必見の衝撃作です。出典:
2019年10月12日●あふれるポケモン愛世界中で大人気のポケモンをハリウッドが初めて実写化した映画『名探偵ピカチュウ』(公開中)でヒロイン・ルーシーを演じたキャスリン・ニュートン(22)と、日本語吹き替えを担当した飯豊まりえ(21)にインタビュー。『ポケモン』との関わりを聞くと、幼い頃からずっと大好きだというポケモン愛が炸裂! そんな2人に本作への思いや作品の魅力を語ってもらった。○■キャスリンの声を聞きながら吹き替え――飯豊さんは本作が吹き替え初挑戦となりましたが、やってみていかがでしたか?飯豊:初めての作品がポケモンで、キャスリンさんとの素敵な出会いもあって本当に幸せです。これがまた何かにつながっていけばいいなと思っています。――アフレコではどのようなことを意識しましたか?飯豊:吹き替えで違和感を抱かれることのないように、ルーシーを演じるキャスリンさんに合わせて、なるべく演技に差が出ないようやりました。キャスリン:私、早口でしょ!?飯豊:早口だったー! 追いつくのが大変でしたが、すごいパッションを感じたので、あえてキャスリンさんの声を聞きながら同時にしゃべっていました。頭が混乱しますが、そのほうがリアルなところに近づける気がして。○■子供時代にピカチュウのリュックで登校――キャスリンさんは役作りでどんなことを意識しましたか?キャスリン:まずファッションをとても意識しました。私自身ファッションが好きなので、ルーシーの衣装を考えるのは楽しかったです。また、ルーシーは野心があって自信があって勇敢な人なので、そういう部分をしっかり描こうと心がけました。コダックと性格が似ているところもあって、お似合いな感じもいいなと思いました。――苦労した点はありますか?キャスリン:初めてスタントに挑戦して大変だったのですが、楽しかったです。想像力を働かせて演じないといけない役でもあり、幼い頃の自分を思い出して、よみがえらせながら芝居しました。――幼い頃の自分をよみがえらせるとは?キャスリン:幼い頃からポケモンが好きで、初登校の日はピカチュウのリュックを背負って行ったんです。それくらいファンだったというのもあって、見ていただく方にこの世界観に入っていただくためにはどうすればいいのか想像するために、幼い頃を思い出しました。――今でも変わらず好きですか?キャスリン:はい! (ピカチュウデザインのネイルを見せながら)ネイルもやっていますし、私の部屋はポケモンで埋め尽くされています。ポケモンは気がついたらいるという存在。本作でその世界観に入り込み、多くの人たちの人生の一部に入らせていただき光栄です。○■女の子が遊ぶ人形よりもポケモン――飯豊さんもポケモンが大好きだそうですね?飯豊:そうなんです! ずっとゲームもやっていましたし、映画も観ていましたし、いっぱいグッズも持っていて私も部屋中ポケモンだらけでした。――好きになったきっかけは?飯豊:アニメをやっていたからか、自然と好きになっていました。女の子が遊ぶお人形よりも、ポケモンのゲームやアニメが好きでしたね。幼稚園の頃からずっと、今でも大好きです!――こんなにポケモンが大好きなお二人がこの映画に関わるなんて運命的ですね。キャスリン:本当に運命だと思います!飯豊:私もそう思います!キャスリン:私は子供の頃、ピカチュウのリュックを背負っていましたが、本作ではコダックを背負ったんです(笑)飯豊:ピカチュウのリュックを背負って登校していたときから、予言されていたっていうことじゃないですか!?キャスリン:そうかもしれない!飯豊:こんなにポケモンが好きって、海外だと珍しいんじゃないですか?キャスリン:珍しいと思います。だからこそ、この作品に出られたことは運命的で意味深いんです。○■初対面で意気投合! 事前にインスタでやりとりも――キャスリンさんと飯豊さんはお会いしたのは今回が初めてですよね?飯豊:そうです。でも、来日される数日前にインスタグラムで私からダイレクトメッセージを送ったんです。「いつ来るの? お会いできるの楽しみにしています」って。私は英語できないから必死に調べて(笑)キャスリン:きれいな英語だったから、英語できるのかと思った!――実際にお会いしていかがでしたか?キャスリン:インスタを見たときから、絶対彼女すごい人気だなってわかりました。だから、今回彼女に吹き替えをやってもらえてうれしいし、光栄です。飯豊:うれしいです、そんな風に言ってもらえて。日本に来たらまた連絡ください。私が案内します!キャスリン:私もロサンゼルス案内します!●ポケモンファンから見た実写版の魅力○■「魔法がかかったような作品」とアピール――ポケモン大好きなお二人から見て、この作品の魅力をどう感じていますか?キャスリン:私はこの映画は魔法がかかったようなものだと感じ、見ていてすごく幸せになれました。本当に世の中にポケモンが存在したらこうだよねっていうような作品だから、ポケモンファンの方にぜひ楽しんで見てもらいたいです。飯豊:ピカチュウがしゃべることに最初衝撃が走るんですけど、世界観がすごいリアルだし、自分がポケモンになった視点で見られるし、本当に魔法がかかったみたいな作品です。泣けるし感動するし面白いので、たくさんの方に見に来てほしいです。――ご自身が関わったシーンで、特に見てほしいシーンは?キャスリン:自分が出ているシーンは全部好きですが、初めてルーシーが登場するシーンは、私が最初に撮ったシーンでもあるんですけど、特に気に入っています。飯豊:あのシーンは私も大好き! ルーシーって強い女の子のイメージですが、このシーンを見ればみんな好きになるって思いました。ルーシーの性格がひと目でわかるシーンだと思います。(C)2019 Legendary and Warner Bros. Entertainment, Inc. All Rights Reserved. (C)2019 Pokemon.――この作品を通してご自身が変わったことや成長したなと感じた点はありますか?飯豊:海外の方はお芝居が繊細かつオーバーで、自分がいつも演じている感じとは違ったのですごく勉強になりましたし、スケールが大きい作品だったので演じていて楽しいなと思いました。キャスリン:この作品に出ること自体、私の夢がかなっている。そういう意味では人生が変わったと言えますし、ポケモンファミリーの一員になれて本当に光栄に思っています。また、映画作りという点でもたくさん学ぶことができました。○■ポケモンファンとしての今後の夢――さらに今後、ポケモンとどんな関わりをしたいか、夢はありますか?飯豊:私はポケモンのアニメの声優をやりたいです。これはずっと思っていた夢なんです。ポケモントレーナーの役がいいです。キャスリン:私もアニメが大好きなのでアニメに出てみたいです!――飯豊さんは、ハリウッド作品に関わって、海外の作品への意識に変化はありましたか?飯豊:そうですね。でも、夢のまた夢ですね。すごい憧れはありましたし、こうやってキャストの方とお会いできるとも思っていなかったので、感激しています。――キャスリンさんは、日本で今後やってみたいことはありますか?キャスリン:日本で映画を撮れたらそんな最高なことはないと思いますし、日本語も勉強できたら映画の中で日本語のセリフも言えるから、それもいいなと思います。あと、ファッションが大好きで日本のストリートファッションもすごく好きなので、いつか日本のファッションに関することで誰かとコラボして何か出したいという夢もあります。飯豊:(自分を指しながら)一応ファッションモデルだよ!キャスリン:ぜひ“ルーシー”ラインやりましょう!――最後にファンにメッセージを。キャスリン:ポケモンファンの方はぜひこれを見て、さらにポケモンを好きになってほしい。みなさんが思い描いているポケモンの夢の世界を実現することができていたらすごくうれしいです。飯豊:本当にポケモン愛にあふれ、役者としても素晴らしい方たちが作った作品なので、ぜひいろんな方に見ていただきたいと心から思っています。■飯豊まりえ1998年1月5日生まれ、千葉県出身。2012年に女優デビュー後、数多くのドラマ・映画に出演。2019年は『劇場版シティーハンター』にてヒロイン役の声優を演じ、『名探偵ピカチュウ』で日本語吹替えに初挑戦した。秋には映画『いなくなれ、群青』、『惡の華』の公開、初の舞台出演も控えている。毎週土曜朝にはカンテレ・フジテレビ系情報バラエティ番組『にじいろジーン』にレギュラー出演中。また、雑誌『Oggi』『MORE』でモデルとしても活躍中。■キャスリン・ニュートン1997年2月8日生まれ、アメリカ出身。3歳から芸能活動をスタートさせ、4歳で演技に初挑戦。映画『バッド・ティーチャー』(11)で長編映画初出演を果たした。『パラノーマル・アクティビティ4』(12)で主演を務め、ヤング・アーティスト・アワードで主演女優賞(長編映画部門)を受賞した。
2019年05月14日全世界累計興収10億ドル(1,000億円)突破のメガヒット・シリーズが、ついに完結する『メイズ・ランナー:最期の迷宮』。今回、1月にアメリカ&イギリスで行われた本作のプレミアに登場したキャストたちの写真が到着。なんとそこには、第1作目で死んだはずの“ギャリー”を演じたウィル・ポールターの姿があることが分かった。予想を超えて展開する空前のアクション、謎を解いて進むサバイバル、人類の運命を託されたアドベンチャーが炸裂し、仲間を救うために命を賭ける若者たちの熱い友情と強い絆が大きな感動を呼ぶ本作。先日、アメリカ&イギリスで行われたプレミア会場には、主人公トーマスを演じるディラン・オブライエンはもちろん、ニュート役のトーマス・ブロディ=サングスター、裏切りのヒロイン、テレサ役のカヤ・スコデラリオ、ミンホ役のキー・ホン・リーなどのキャスト、シリーズ3作すべてでメガホンをとったウェス・ボール監督らが勢揃い。注目したいのは、キャストたちの集合写真の中に、“あの男”の姿が!彼はシリーズ一番の“憎まれっ子”ギャリーを演じたウィル・ポールターだ。ベージュのスーツで登場したロンドンでは、満面の笑顔でファンサービスに精を出していた。ここで『メイズ・ランナー』の冒頭シーンを思い出してみてほしい。突如として“グレード”に送り込まれたトーマスを、手荒く迎えたのがギャリー。記憶をなくした若者たちのコミュニティのリーダー格で、仲間思いの一面を見せるものの、これまで培ってきた慣例をことごとく破るトーマスを「新入り」と呼び続け、他の仲間と打ち解けようとするといつも邪魔をする。基本的にはいわゆる「イヤな奴」。常に高圧的な態度が印象的なギャリーは、巨大迷路からの脱出を目指すトーマスと仲間たちの行動を阻止しようとして、ミンホの投げた槍が刺さって死んだはずだった。だが…。そんなギャリーを演じた英国俳優ウィル・ポールターは、『リトル・ランボーズ』(2007)で映画デビュー。『メイズ・ランナー』での憎まれ演技が高く評価され、『レヴェナント:蘇えりし者』ではアカデミー賞を受賞したレオナルド・ディカプリオと共演を果たす。そして、キャスリン・ビグロー監督に大抜擢された『デトロイト』では差別主義者の凶悪な警官を見事に演じきり、その強烈な演技が世界的に評価された。若手演技派として注目されているウィルが、なぜシリーズ最終章のプレミアに登壇したのか?その真相は最終章となる本作でチェックしてみてほしい。『メイズ・ランナー:最期の迷宮』は6月15日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:メイズ・ランナー 2015年5月22日(金)TOHOシネマズ 日劇ほか全国にて公開© 2014 Twentieth Century Fox Film.メイズ・ランナー:最期の迷宮 2018年6月15日より全国にて公開© TM and © 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved. Not for sale or duplication.
2018年05月30日◼︎1967年 ”デトロイト暴動”の戦慄の一夜を映画化!今回DRESS読者のみなさまにご紹介したいのは、1967年に米国で起きた”デトロイト暴動”中に、とあるモーテルで起きた戦慄の一夜を映画化した『デトロイト』です。白人警官による不当逮捕や虐待に対する黒人住民たちの不満が「暴動」という形で爆発した”デトロイト暴動”は、43人の命が失われ、負傷者は1000人を超える大惨事となりました。死者の大半は、警官に射殺された黒人住民でした。昨今は、スマートフォンの普及により、米国白人警官による、無抵抗な黒人市民への暴行が知られることとなりましたが、本作の舞台は今から約50年前。50年もの歳月、歴史の闇に埋もれていた「アルジェ・モーテル殺人事件」の真相に迫ります。◼︎『デトロイト』ストーリー1967年、7月23日の深夜。アメリカ中西部の大都市デトロイトのとある無許可営業の酒場に、警察が押し入った。デトロイト市警の横暴な取り締まりに不満を抱えていた地元住民たちは、その不当な捜査に反発。住民と警察との間に小競り合いが生じ、一部の市民が暴徒化する。この騒乱をきっかけに、デトロイトの街の各地で、大規模な略奪・放火・銃撃が勃発した。こうした非常事態に、ミシガン州は州警察と軍隊を投入。街には無数の兵士と戦車が行き交うようになる。――そして、暴動発生から3日目の夜。とある食料品店に民間警備員として雇われていたディスミュークス(ジョン・ボイエが)はバージニア・パークのそばにあるアルジェ・モーテルから”狙撃者による発砲”があったという騒動を聞きつけ、警察とともにモーテルにやってきた。真っ先にモーテルに突入したのは、デトロイト市警の白人警官クラウス(ウィル・ポールター)。クラウスは、街で略奪を行っていた一般市民の黒人男性に発砲するなど、警察の規則に背く行為を行う、人種差別主義の危険人物だった。実は、モーテルでの発砲は、黒人青年カールが窓際でオモチャの銃をならしただけ。つまり、たわいない悪ふざけだったのだが、警察の突入に慌てて階段を駆け下りたカールを、クラウスはためらうことなく背後から射殺する。そして、クラウスはカールが倒れた現場にこっそりとナイフを起き、正当防衛を偽装するのだった。さらにクラウスの暴走は止まらず、モーテルに居合わせた若者たちを次々と拘束する。音楽業界での成功を夢見る、デトロイト出身の黒人ボーカルグループ「ザ・ドラマティックス」のリード・シンガーのラリー。メンバーの弟のフレッド。モーテルに滞在していたふたり組の白人の女の子、ジュリーとカレン。ベトナム帰りの復員兵グリーン。ふざけてオモチャの銃を撃ったカールの仲間のリー、オーブリー、マイケル。彼ら全8人を、クラウスは1階の廊下に整列させる。モーテルのどの部屋からも銃が見つからないことに苛立つクラウスは、8人に執拗な暴力を加え始める。クラウスによる過激な尋問はいっそうエスカレートし、モーテルに新たな惨劇を引き起こし……。◼︎監督は女性初のアカデミー監督賞受賞者キャスリン・ビグローこの衝撃作のメガホンをとったのは、女性初のアカデミー監督賞受賞者でもあるキャスリン・ビグロー監督です。1951年、カリフォルニア州サンカルロスに生まれたビグロー監督は、フィルムスクールで修士号を取得すると、83年に長編デビューします。91年の『ハートブルー』や、02年の『K-19』など多数の作品を発表し続けると、08年に約1500万ドルの低予算で製作した『ハート・ロッカー』が世界的に絶賛されました。イラク戦争の爆発物処理班に所属する米軍兵士を描いた同作品は、アカデミーで作品賞・監督賞を含む6部門を受賞します。さらに、女性CIA分析官によるオサマ・ビンラディン捜索の舞台裏を描いた『ゼロ・ダーク・サーティ』を12年に発表すると、同作もアカデミー賞の5部門でノミネートされるなど、センセーショナルな題材選びと、骨太な作風に大きな定評を得てきました。本作でも実際に起きたデトロイト暴動の「アルジェ・モーテル殺人事件」を圧倒的なリアリティで映像化し、その手腕を高く評価されています。◼︎映画史上に残る戦慄の”死のゲーム”。衝撃の40分に目が離せない警察や軍が、オモチャの銃による発砲を”狙撃者による発砲”と誤認したことに端を発した「アルジェ・モーテル殺人事件」の被害者は、若い男女9名(黒人男性7名、白人女性2名)。そのうちひとりの黒人男性が、デトロイト市警の白人警官に射殺され、残る8人が発砲の容疑者として、強制的な尋問を受けるはめになりました。人権問題に抵触しかねない現場への関与を恐れたミシガン州警察は、見て見ぬふりをして現場から立ち去り、モーテルは逃げ場のない密室状態となります。本作では、その拷問シーンがなんと40分も続きます。8人を廊下に並ばせ、ひとりを別室に連れ出し、その鼻先で拳銃を発砲した白人警官・クラウスは、泣き叫ぶ残りの7名に「あっけなく死んだぞ。嘘をつくとああなるんだ」と脅し文句を告げます。それは、8人を順番に殺すとほのめかし、彼らを完全に服従させようとする”死のゲーム”だったのですが……。現場に居合わせた黒人民間警備員のディスミュークスは、捜査に協力しながら、穏便にことを済ませようとしますが、興奮状態にあるクラウスを抑えることができません。果たして、8人の若者は無事にモーテルから抜け出せるのか……。約50年前に、アルジェ・モーテルで起きた事件のその衝撃の真相とは――?『デトロイト』は1/26(金)より全国公開です。◼︎『デトロイト』公開情報『デトロイト』2018年1月26日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開監督:キャスリン・ビグロー『ハート・ロッカー』『ゼロ・ダーク・サーティ』出演:ジョン・ボイエガ、ウィル・ポールター、アルジー・スミス、アンソニー・マッキー配給:ロングライド上映時間:142分公式サイト:© 2017 SHEPARD DOG, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
2018年01月19日「女性の年」ともいわれた2017年、世界中で大ヒットした『ワンダーウーマン』のパティ・ジェンキンス、『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』でカンヌ監督賞に輝いたソフィア・コッポラ、『光』で日本人監督最多8度のカンヌ参加となった河瀬直美など、女性監督の活躍や躍進が際立った。大物プロデューサーや大物俳優によるセクハラ・性犯罪の相次ぐ告発で映画界が揺れに揺れている中、そんな2017年をふり返りつつ、2018年も見逃せない女性監督の映画に注目した。■2017年をふり返り!女性監督が世界各国で活躍2017年を代表する『ワンダーウーマン』は、何かが変わる試金石となるのか?『ワンダーウーマン』は、男性ヒーローばかりのコミックスの世界に1941年に初登場し、長きにわたり世界中の女性たちを鼓舞してきた女性ヒーローの初実写化映画として大成功を収めた。世界興収8億ドル超え、女性監督作品として史上最高の記録を達成しただけでなく、「女性であろうと何であろうと、あなたはあなたで、特別で大切な存在」であることをスーパーヒーロー・アクション映画の中で描き、ハマリ役となった主演ガル・ガドットとのコンビは「現代のリアル“ワンダーウーマン”」ともいわれている。ジェンキンス監督は、2019年11月1日全米公開の『ワンダーウーマン』続編では監督・脚本・製作を務め、女性監督史上最高額の報酬を手にするといわれている。期待以上の仕事をしてみせたのだから、これは当然の結果。ちなみに続編は、ダイアナ/ワンダーウーマンが1980年代のアメリカで旧ソ連と関わる、といううわさも。いまの時代に先頭を切って走る“ワンダーウーマン”は、これからも性の格差問題や男性優位社会を“美しくぶっとばして”くれることを期待したい。2017年は若手/ベテラン問わず活躍。特にフランス映画界は女性監督が台頭インディペンデント映画やヨーロッパ映画、特にフランス映画界からは今年、日本にも多くの女性監督作品が上陸。監督、脚本家、女優の顔を持つ才女レベッカ・ミラーはジュリアン・ムーア、イーサン・ホーク、グレタ・ガーウィグが出演する『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』をディレクション。フランシス・フォード・コッポラの妻で、ソフィアの母であるエレノア・コッポラは、80歳にして長編劇映画の初監督を務めた『ボンジュール、アン』でフランスを舞台に爽やかなロードムービーを届けてくれた。フランス映画界では『エル ELLE』での怪演が圧巻だったイザベル・ユペールの主演作『未来よ こんにちは』のミア・ハンセン=ラヴ(1981年生)や、喪失と再生の物語を描いた『あさがくるまえに』のカテル・キレヴェレ(1980年生まれ)といった新鋭の作品も光った。ユペールの娘ロリータ・シャマーが主演した『静かなふたり』のエリーズ・ジラールは今作が長編2作目。次回作は2018年、日本で撮影するというから大いに期待したいところ。日本でも国内外で高い評価を得た女性監督作品多数日本でも、前述の『光』河瀬監督のみならず、生田斗真がトランスジェンダーの女性になりきった『彼らが本気で編むときは、』の荻上直子は母子の愛と疑似家族の物語を丁寧に紡ぎ、ベルリン国際映画祭でテディ審査員特別賞を受賞した。また、浅野忠信、田中麗奈、宮藤官九郎、寺島しのぶという実力派キャストを揃えた三島有紀子監督『幼な子われらに生まれ』も、第41回モントリオール世界映画祭・審査員特別賞を受賞するなど、国内外で高い評価を得ている。女性監督×女性主役で、厳しい時代を生き抜いた女性たちの姿が描かれた新進女性監督の台頭が著しいなか、『ココ・アヴァン・シャネル』のアンヌ・フォンテーヌによる『夜明けの祈り』は、フランス映画祭2017で「エールフランス観客賞」を獲得。注目女優ルー・ドゥ・ラージュを迎え、第二次大戦末期にソ連兵にレイプされ妊娠してしまったポーランドの修道女たちに希望の光を照らした。さらに、実写版『ムーラン』を手がけるニキ・カーロ監督のもと、ジェシカ・チャステインが『ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命』に主演し、来日も果たしてくれた。フォンテーヌ監督『ボヴァリー夫人とパン屋』で注目を集めたジェマ・アータートンは、『17歳の肖像』のロネ・シェルフィグのもと、ビル・ナイやサム・クラフリンと映画愛にあふれた『人生はシネマティック!』を創りあげた。クリストファー・ノーランの『ダンケルク』などの一方で、こうした女性監督×女性が主役の戦時下の映画も重要なトピックだったといえる。なお、ポーランドといえば、マウゴジャタ・シュモフスカ監督の『君はひとりじゃない』も見逃せない。巨匠アンジェイ・ワイダや『イレブン・ミニッツ』の俊英イエジー・スコリモフスキなどを輩出するポーランド映画界において最注目を集めるシュモフスカ監督は、Facebookを通じて演技初挑戦のユスティナ・スワラをスカウト。オリジナリティにあふれた世界観はベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)を受賞、ポーランドのアカデミー賞「イーグル賞」にもノミネートされた。▼2017年日本公開の主な女性監督作品(順不同)『ワンダーウーマン』パティ・ジェンキンス(アメリカ)『最初に父が殺された』アンジェリーナ・ジョリー(アメリカ)『未来よ こんにちは』ミア・ハンセン=ラヴ(フランス)『夜明けの祈り』アンヌ・フォンテーヌ『あさがくるまえに』カテル・キレヴェレ(コートジボワール)『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』レベッカ・ミラー(アメリカ)『君はひとりじゃない』マウゴジャタ・シュモフスカ(ポーランド)『静かなふたり』エリーズ・ジラール(フランス)『ボンジュール、アン』エレノア・コッポラ(アメリカ)『人生はシネマティック!』ロネ・シェルフィグ(デンマーク)『ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命』ニキ・カーロ(ニュージーランド)『ダンシング・ベートーベン』アランチャ・アギーレ(スペイン)『スウィート17モンスター』ケリー・フレモン・クレイグ (アメリカ)『光』河瀬直美(日本)『彼らが本気で編むときは』荻上直子(日本)『幼な子われらに生まれ』三島有紀子(日本)『勝手にふるえてろ』大九明子(日本)■2018年も注目の女性監督作品が続々登場。しかし映画賞は波乱の兆し…第75回ゴールデン・グローブ賞「監督賞」に“女性ゼロ”年明け早々、現地時間1月7日に発表される第75回ゴールデン・グローブ賞の監督賞ノミネートには女性監督の名前はなく、数多くのメディアがその件を取り上げていた。「ノミネートされるべき」と名前が挙がったのは、『ワンダーウーマン』のパティ・ジェンキンスや、初監督作『LadyBird』(原題)(2018年公開)を手がけた『フランシス・ハ』のグレタ・ガーウィグ(脚本賞にはノミネート)、高評価を得ている『デトロイト』(2018年1月26日公開)のキャスリン・ビグロー、『The Beguiled/ビガイルド』(2018年2月23日公開)のソフィア・コッポラ、メアリー・J・ブライジが注目を集めるNetflixオリジナル映画『マッドバウンド 哀しき友情』(Netflixにて配信中)の新鋭黒人監督ディー・リースなど。同じくNetflix『最初に父が殺された』で長男マドックス・ジョリー=ピットの出身地カンボジアの大量虐殺を描いたアンジェリーナ・ジョリーは監督賞ではなく、外国語映画賞でのノミネートとなった。過去20年間で同・監督賞にノミネートされたのは、『ハートロッカー』で史上初のオスカーを獲得したキャスリン・ビグローを含めてたった3人だとか。女性監督作品が数多く出品されているカンヌでさえも、女性の監督賞はソフィアでまだ史上2人目だという…。果たして、現地時間1月23日にノミネート発表される第90回アカデミー賞では、どうなるだろうか。今後のショーレースにも注目したい。(また、女性が主役の映画として、2017年最大のヒット作『美女と野獣』のエマ・ワトソン、『ワンダーウーマン』のガル・ガドッドなどもノミネートから漏れている。)2018年も女性監督作品が観逃せないそのほか2018年は、先に挙げた『The Beguiled/ビガイルド』『デトロイト』『LadyBird』などに加え、女優でもあるギャビー・デラル監督のもと、エル・ファニングがトランスジェンダーの少年を熱演した『アバウト・レイ 16歳の決断』の日本公開がようやく決定(2018年2月3日公開)。また6月にロンドンで行われた「グラマー・ウーマン・オブ・ザ・イヤー・アワード」で、最優秀映画女優賞に選ばれたニコール・キッドマンは、18ヶ月に1回は“女性監督作品”に出演すると宣言。2018年、女性監督の草分け的存在である日系のカリン・クサマ(『ガールファイト』)の次回作、『Destroyer』(原題)にロス市警の警官役で主演を務める。日本では、河瀬監督がジュリエット・ビノシュと永瀬正敏を迎えた『Vision』も公開予定で、アメリカのインディペンデント・スピリット賞にて新人作品賞と主演女優賞(寺島しのぶ)にWノミネートされるなど、海外で大きな注目を集めている平柳敦子監督の『Oh Lucy!』がゴールデンウィークに公開予定となっている。「女性の時代」は、これからも続いていくのだ。(text:cinemacafe.net)■関連作品:未来よ こんにちは 2017年3月25日よりBunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開(C) 2016 CG Cinéma · Arte France Cinéma · DetailFilm · Rhône-Alpes Cinémaワンダーウーマン 2017年8月25日より全国にて公開(C) 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.AND RATPAC-DUNEENTERTAINMENT LLC彼らが本気で編むときは、 2017年2月25日より新宿ピカデリー・丸の内ピカデリーほか全国にて公開(C) 2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会光 2017年5月27日より新宿バルト9、丸の内TOEIほか全国にて公開(C) 2017“RADIANCE”FILMPARTNERS/KINOSHITA、COMMEDESCINEMAS、KUMIEボンジュール、アン 2017年7月7日よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開(C) American Zoetrope,2016夜明けの祈り 2017年8月5日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開(C) 2015 MANDARIN CINEMA AEROPLAN FILM MARS FILMS FRANCE 2 CINÉMA SCOPE PICTURES
2017年12月30日「悪役を演じてみたかったの」。こう言いながら微笑む姿はチャーミングで可愛らしくもあるが、『ブライト』に登場するノオミ・ラパスは美しく、恐ろしい。彼女が演じたレイラは階級社会の頂点に立つエルフであり、残忍で獰猛なリーダーだからだ。異種族が入り乱れる争いの中で、レイラは人間のウォード(ウィル・スミス)とオークのジャコビー(ジョエル・エドガートン)に牙をむいてくる。「私は演じる役を理解したいと思っている。執着と言ってもいいほどにね。悪役を演じたかったのは、役の中にハートを見つけるのが大きな挑戦だと思ったからよ。なぜ彼女はそうなったのか?たとえ残酷な行いでも理解し、正当化しなければ演じられない。レイラを理解する鍵は、彼女の痛み、夢、情熱にあったわ。かつて存在していた古い世界の秩序を取り戻せば、エルフにとって美しい世界が訪れると彼女は信じているの」。さらにもう1つ挑戦だったのは、そんなレイラの内面をアクションで表現すること。台詞ではなく、流麗なキックや俊敏なガンファイトが彼女を物語る。「まさに挑む気持ちだったわ!完璧で美しい戦い方をするのがエルフだし、レイラは静謐なキャラクターだからちょっとした動きにも意味があるの。彼女の静寂と激しい葛藤。そのバランスを見つける必要があった」。また、「エルフの瞳になるのは大変。コンタクトを入れているのだけど、乳白色がかってよく見えなくなるから戦いにくいの。歯も喋りづらかったわね。変な発音になってしまうから、ひたすら練習した」と語るように、エルフだけにレイラは外見も特徴的。ただし、ノオミ・ラパスという人はそもそも、作品ごとに印象が大きく異なる。「そう言ってもらえて嬉しいわ。繰り返したくない気持ちが強いの。挑戦したいし、新しい方向に行きたい。それは人生も一緒ね。私自身も、役柄も、常に変わり続けようとしている」。では、素顔のノオミ・ラパスはどんな人?単刀直入にこう聞くと、「誰にも分かりっこないわね(笑)!」との答えが。「私は私。ただ、自分を見失うことはあるわ。それくらい深く役に入り込むから。例えば、(7つ子の姉妹を1人7役で演じた)『セブン・シスターズ』のときは悪夢にうなされた。役ごとに靴も違ったから『今日の撮影はどの靴で?』とみんなに聞くのに、誰からも返事をもらえなくて裸足で撮影現場に行く夢を見たの。パニックよね(笑)。そうやって、役が人生を浸食することはたまにある」。『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』『プロメテウス』などにも出演し、いまや国際的スターに。現在への足掛かりとなったのは「ミレニアム」シリーズのリスベット役だが、「こうなるとは全然予想していなかった」と明かす。「母国のスウェーデンは小さい国だから、国外で活動するだろうとは思っていたけど。7歳のときから、『いつかニューヨークに住む!』と言っていたくらいだし(笑)。ハリウッドを夢見ていたわけではないけど、最高の才能と仕事をしたいとは思っていた。だから、いまの私はすごく幸せ。世界を見て回れるしね。東京の街を散策した昨晩も、それを噛みしめたわ。映画を撮りたいくらい素敵だもの。ただ、あまりにも旅が多いから、いまの自宅はロンドンだけど故郷は心の中。ルーティーンを決めて、それをこなすことで日常を作り、自分を保つの」。自分を保ちながら、世界を駆け巡る。そんな彼女のモットーは「オープンであること」だそうだ。「ものすごく裕福な家庭で育ったわけでもないから、夢のために戦い続けてきた。何者になるのか、どの道を行くかは自分次第だとずっと信じてきたの。夢は何なのか?何がしたいのか?と常に問い掛けているし、そんな自分を開放するようにしている。日本もそうだと聞いたのだけど、スウェーデンでは自分の気持ちを隠す傾向にあるの。感情を人にさらすよりは、抑える。家族の間でさえもね。そんな風潮を壊そうとしているところが、私にはあるかもしれない。だって、役者は感情とリンクするものだから。様々な感情を抱くことを恐れてはいけない。悲しみでさえもね」。「作品選びの際は、脚本、役柄、監督のコンビネーションが大事。仕事をしたい人は数えきれないけど、いま思いついた監督はアン・リー、ダーレン・アロノフスキー、キャスリン・ビグロー。クリスチャン・ベールとはいつか絶対に共演したい!」とのこと。『ブライト』への出演も「見たことのない作品世界、魅力的な悪役、監督のデヴィッド・エアー」のコンビネーションが決め手だった上に、Netflixとのタッグにも心惹かれたという。それでは最後に、ウィル・スミス&ジョエル・エドガートンにもした質問を。映画館で観たことはないけれど、自分にとって大切な1本になっている映画は?「トニー・スコットの『トゥルー・ロマンス』ね。14歳のときにテレビで見て、夢中になったわ。本当に大好きで、何度も何度も観たの。いまも大切に思っている作品よ」。(text:Hikaru Watanabe/photo:You Ishii)
2017年12月25日前作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のクライマックスで、カイロ・レンと対決するも、背中に深い傷を負わされ意識不明に陥ったフィン。ついに公開が近づく最新作『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』では眠りから覚醒した活躍が見られそうだ。「言うならば、フィン2.0さ」と笑顔で語るのは、フィン役で一躍ブレイクを果たしたジョン・ボイエガ。戦うことに葛藤し、銀河を脅かすファースト・オーダーから脱走した元ストームトルーパーの彼は、いまやレジスタンスの一員として、自分なりの正義を貫こうとしている。ただし、その素性は実際のところ、ナゾだらけ…。ボイエガ本人も「前作を撮り終えて、まず頭をよぎったのは『結局、フィンって何者?』ってこと。ファンのみんなと同じ疑問だよね」とふり返る。それだけに『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』はほかのキャラクター同様、フィンにとっても重要な分岐点となるという。「彼は自分がいるべき場所を、自分で“決断”するんだ。フィンは一体、何に自分を投影していたのか?それはとても重要なことだ」。すでに解禁されているポスタービジュアルや、予告編映像から「いままでのスター・ウォーズとは何かが違う」と予感するファンも多いはずだが、その点については「まさにその通り」とニヤリ。「ライアン(監督と脚本を手がけるライアン・ジョンソン)は、リスクを恐れず、独創的なアプローチでスター・ウォーズの世界観を押し広げようとしている。現場にいたルーカスフィルムの人間さえも、『おお』って驚くほどだからね。これには僕まで『イエス、これはいいぞ』って内心思ったよ」と胸を高鳴らせる。瞬く間に知名度を高め、エマ・ワトソンと共演した『ザ・サークル』、キャスリン・ビグロー監督の最新作『デトロイト』、巨大怪獣と対峙する『パシフィック・リム:アップライジング』(原題)と話題作への出演が目白押しだ。「確かに環境は変わったけど、結局、自分は自分でしかないからね。それにフィンを演じていることで、うれしいことも多いよ。以前、空港でトランジットを待っていたら、小さな女の子が声をかけてくれたんだ。『背中は大丈夫?カイロ・レンにやられたでしょ?』って。もちろん、僕は『ああ、もう大丈夫だよ』と答えたんだ」。さて、フィンとの因縁といえば、カイロ・レンのほかにもう1人。フィンの“元ボス”であり、前作で破壊されたスターキラー基地から生き延びた邪悪な女戦士、キャプテン・ファズマだ。そもそも、フィンに脅された挙句、基地を覆っていたシールドを解除してしまった戦犯だけに、フィンへの恨みつらみは並々ならぬものがあるはず。そんな宿敵2人が『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』で一騎打ちを繰り広げることに!鋼鉄のマスクをかぶり、重厚な鎧に身を包んだファズマを演じるグウェンドリン・クリスティに「今回こそ、マスクを外して、素顔を見せてくれるの?」とダメ元で質問したが、やはり「それは答えられないわ(笑)」と一蹴されてしまった。「SFやアクション映画における伝統的なヒロイン像って、男目線で想像されたものが多かった。具体的に言えば、肌の露出が多いとかね。でも、ファズマは正反対。だからこそ、ファンの興味や好奇心を刺激した。何よりも私自身が、ファズマにものすごく興味を抱いたわ。マスク越しに、彼女の威厳を表現するのは、女優として大きなチャレンジだったしね」。子どもの頃から『スター・ウォーズ』が大好きだったといい、「一番好きなキャラクターは、プリンセス・レイアね。彼女はスクリーンを通して、幼い私に話しかけてきたの。頭が良くて、強い存在。まったく新しいヒロインに見えたわ」とふり返る。公開が待たれる『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』については、「本当に並外れた映画。登場人物たちの自己探求はより深まるし、関係性も複雑で予測不能よ。当然ながら、そこから彼らの“決断”が生まれるの」と自信を示した。『スター・ウォーズ』の世界において、ボイエガは黒人俳優として初めて主要キャラクターのフィンを演じ(もちろん筆者はランド・カルリジアン、メイス・ウィンドゥを忘れてはいない)、クリスティは独自のアプローチで、シリーズ初の女性ヴィラン(悪役)であるファズマを生み出した。40年以上の歴史を誇る神話に、新たな息吹と可能性をもたらしているフィン&ファズマの決断、そして因縁の行方が、最新作『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』でどこまで明かされるかに注目したい。協力:ウォルト・ディズニー・ジャパン(text:Ryo Uchida)
2017年12月02日『ハート・ロッカー』『ゼロ・ダーク・サーティ』のキャスリン・ビグロー監督が、1967年に勃発したアメリカ史上最大級の暴動の戦慄の一夜を描く最新作『デトロイト』。監督の最高傑作との呼び声高く、映画賞レースでも注目を集める本作から、日本オリジナルの第1弾予告編が公開された。本作は、ビグロー監督5年ぶりの最新作。1967年7月、アメリカ史上最大級の「デトロイト暴動」を背景に、連日の暴動で街が戦場と化す中で起きた “戦慄の一夜”の事件を描く衝撃作だ。今回解禁された予告編は、本作の緊迫感を30秒に凝縮した、まさに“まばたきさえも許さない”映像。「これは、必ず観るべき映画だ」(KGUN-TV ABC)とインパクトのあるレビューに後押しされるように、デトロイト市街地から煙が立ちこめる当時の報道映像で幕を開ける。まさに冒頭から、ビグロー監督ならではのリアリティと重厚感を感じさせるつくり。軍隊が投入され戦場と化していく緊迫した市街地の様子から、暴動の最中に起きた事件を垣間見せていく。アルジェ・モーテルで銃声を聞いたとの通報を受け、急行するデトロイト市警官やミシガン州兵。そこで数人の白人警官が、現場に偶然居合わせた若者たちに対して、暴力的で容赦のない尋問を始める。ウィル・ポールター演じる差別主義者の警官クラウスは、壁に立たされた若者たちを「脅しじゃない」と鬼のような形相で恫喝。『レヴェナント:蘇えりし者』『リトルランボーズ』で知られる英国出身のウィルの鬼気迫る怪演は、オスカーへの期待も高まっている。やがて、突然の銃撃の後、ラストに放たれるのはジョン・ボイエガ扮する警備員ディスミュークスの「この夜を生き抜け」という言葉。世界を震撼させたその一夜に何が起きたのか?ヒリヒリする緊迫感と衝撃を予感させる予告編が完成した。『デトロイト』は2018年1月26日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年11月22日『ハート・ロッカー』で女性初のアカデミー賞監督賞に輝いたキャスリン・ビグロー監督が『スター・ウォーズ』シリーズのジョン・ボイエガを主演に迎え、アメリカ史上最大級の“暴動”を描く『デトロイト』。アカデミー賞ノミネートも期待がかかる本作の日本版ポスターが完成した。本作は、アメリカの近現代史を語る上で忘れることができない凄惨な暴動事件が起きたデトロイトを舞台に、恐怖に満ちた“戦慄の一夜”の事件を描く衝撃の実話を映画化。『ハート・ロッカー』で一触即発のイラクの戦場へ、『ゼロ・ダーク・サーティ』で闇夜に包まれたビンラディンの隠れ家へと観客を引き込んだビグロー監督の5年ぶりとなる最新作。常に観客を圧倒してきた監督が新たに挑むのは、1967年7月、アメリカ史上最大級の「デトロイト暴動」の最中に起こったある事件。入念なリサーチによる圧倒的なリアリティと臨場感を突きつめた体感型エンターテインメントの作り手として他者の追随を許さないビグロー監督は、観る者にまばたきさえも許さない極限のサスペンスをスクリーンにみなぎらせ、最高傑作を誕生させた。この度、その本作から日本版第1弾ポスターが解禁。縦にレイアウトされた原題『DETROIT』のロゴが強烈なインパクトを放つポスターは、暴動渦中のデトロイトで激しく衝突する民衆たちと、彼らを押さえ込もうとする警官の一触即発の瞬間をとらえたもの。本作でビグロー監督は、当時のドキュメント映像や写真をふんだんに使いながら凄まじい暴動の模様をリアルに再現。冒頭から、観客を暴動の渦中へと引きずり込んでいく。監督も「リアルタイム感覚でストーリーを体験してほしい」と語る本作。連日暴動が続く中で起きた恐怖に満ちた一夜。そこでいったい何が起こったのか。アメリカのみならず、全世界を震撼させた禁断の真実が、明らかになる。『デトロイト』は2018年1月26日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年11月10日キャスリン・ビグロー監督最新作の映画『デトロイト』が、2018年1月26日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ他、全国で公開される。デトロイトを舞台に暴動の中に起きた“ある一夜”の事件ストーリーは、アメリカの近現代史を語る上で忘れることができない凄惨な暴動事件が起きたデトロイトを舞台に、連日暴動が続く中で起きた恐怖に満ちた“ある一夜”の事件がもととなっている。アルジェ・モーテルの別館に捜索押収のため乗り込んだ警官たちによって始まった、モーテルの宿泊客たちへの不当な強制尋問。それは、誰彼構わず脅迫し自白を強要する「死のゲーム」だったという。そこで一体何が起こったのか。アメリカだけでなく、全世界を震撼させた禁断の真実が、『デトロイト』で明かされる。キャスリン・ビグロー監督作監督はキャスリン・ビグロー。『ハート・ロッカー』で女性初のアカデミー賞監督賞を受賞、『ゼロ・ダーク・サーティ』では作品賞を始め5部門にノミネートされた。徹底したリアルな描写による圧巻の臨場感、先が読めない骨太でスリリングなストーリーテリングで、常に観客を圧倒してきた彼女の手によって、衝撃の一夜が蘇る。ビグロー監督は、「観客の皆さんをアルジェ・モーテルの中へと誘う。リアルタイム感覚でストーリーを体験してほしい。『デトロイト』のように現実のストーリーを語る場合には、語り手として歴史とそれに関わった人々、生存者にも亡くなった人たちにも、自ら責任を持つ心構えが必要だ。我々はドキュメンタリーではなく、フィクションのエンターテイメント作品を製作しているので、配慮と誠意を込めて、過去の出来事に対して敬意を払わなければならない」と話している。キャスト2017年12月に公開を控える『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』でストームトルーパーの脱走兵フィンを続演するジョン・ボイエガが出演。警備員ディスミュークスを演じる。そのほか、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』のアンソニー・マッキーらが名を連ねる。8月4日に全米公開されるやいなや、メディアがこぞって絶賛。早くもアカデミー賞最有力候補作品のひとつとなっている。凶悪警官を注目のウィル・ポールター『メイズ・ランナー』での宿敵役で強烈なインパクトを残し、アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督の『レヴェナント:蘇えりし者』でディカプリオと共演。各国のワードではブレイクスルー演技賞やライジングスター賞などを手にし、急上昇中の俳優だ。『デトロイト』では、凶悪な差別主義者であるデトロイト市警の警官クラウスを演じる。この難しい役を演じるにあたっては、無知になることを心掛けたそうで次のように話す。「とても難しい役。間違った事実を信じ込んでいる男の心理、人種差別主義者を演じるためには、その役に無知になりきる心構えが必要でした」と語る。事件に巻き込まれたシンガー、ラリー・リードの特別映像もバンド、ザ・ドラマティックスのシンガーであるラリー・リードもまた、「アルジェ・モーテル事件」に巻き込まれ、容疑者として白人警官の暴力的な尋問に晒されたうちの1人だ。ラリー本人と、ラリー役を演じるアルジー・スミスが“戦慄の一夜”を語る特別映像も公開。『デトロイト』あらすじ1967年夏、デトロイト。暴動で街が戦場と化す裏側で、世界を揺るがす“ある事件”が起きていたー。デトロイトの暴動発生から2日目の夜、ミシガン州兵隊の集結地付近で銃声の通報があり、デトロイト警察、ミシガン州警察、ミシガン陸軍州兵、地元の警備隊が、アルジェ・モーテルの別館に捜索押収のため乗り込んだ。何人かの警官が捜査手順を無視して、モーテルの宿泊客たちに不当な強制尋問を始めた。この尋問で、誰彼構わず脅迫し自白を強要する「死のゲーム」が展開されていく・・・。作品詳細映画『デトロイト』公開日:2018年1月26日(金)監督:キャスリン・ビグロー脚本:マーク・ボール出演:ジョン・ボイエガ、ウィル・ポールター、ジャック・レイナー、アンソニー・マッキー2017年/アメリカ/英語/142分/1.85 : 1/カラー/5.1ch/原題:DETROIT/日本語字幕:松崎広幸提供:バップ、アスミック・エース、ロングライド配給:ロングライド© 2017 SHEPARD DOG, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
2017年10月05日元夫ジェームズ・キャメロンの『アバター』を抑え、アカデミー賞作品賞、監督賞ほか6部門を制した『ハート・ロッカー』、続く『ゼロ・ダーク・サーティ』では同作品賞を始め5部門にノミネートされたキャスリン・ビグロー監督。彼女の最新作にして、『スター・ウォーズ』シリーズのジョン・ボイエガが主演を務める実話の映画化『デトロイト』(原題:DETROIT)が、2018年1月より日本公開されることが決定した。舞台は、1967年夏、デトロイト。暴動で街が戦場と化した。暴動発生から2日目の夜、銃声の通報があり、デトロイト警察、ミシガン州警察、ミシガン陸軍州兵、地元の警備隊が“アルジェ・モーテル”別館に捜索のため乗り込んだ。何人かの警官は捜査手順を無視し、モーテルの宿泊客たちに不当な強制尋問を始めていく。この尋問は、自白を強要する「死のゲーム」だった――。ジェレミー・レナー主演『ハート・ロッカー』で観客を主人公と共にイラクの地に乗り込み、ジェシカ・チャステイン主演『ゼロ・ダーク・サーティ』ではオサマ・ビンラディンのアジトの中へと潜入させたビグロー監督。徹底したリアルな描写による臨場感、先が読めない骨太でスリリングなストーリーテリングで、常に観客を圧倒してきた。その彼女が新たに挑んだのは、アメリカの近現代史を語る上で忘れることができない、凄惨な暴動事件が起きたデトロイトで起きた恐怖に満ちた“ある一夜”の事件。8月4日より全米公開されるや、「最初のオスカー候補の映画のひとつが浮上 -AwardsCircuit.com-」「動揺し、感動し、怒りを覚える。痛ましい衝撃に心を打たれる -Vanity Fair-」「今年、最も偉大で貴重な映画 -Rolling Stone-」「必ず観るべき映画、再び伝えられるべき物語 -KGUN-TV/ABC-」など、メディアがこぞって絶賛。早くもアカデミー賞最有力候補作品の1つとして目されている。出演は、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』が控えるジョン・ボイエガ、『レヴェナント:蘇えりし者』で強い印象を残したウィル・ポールター、『シング・ストリート 未来へのうた』のジャック・レイナー、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』『ハート・ロッカー』のアンソニー・マッキーなど注目俳優ばかり。「今回は、観客の皆さんをアルジェ・モーテルの中へと誘う。リアルタイム感覚でストーリーを体験してほしい」と語るビグロー監督。その後の公民権運動にも大きな影響を与えた、恐怖に満ちた一夜。そこで、いったい何が起こったのか。アメリカだけではなく、全世界を震撼させた真実が、いま明らかになる。『デトロイト』は2018年1月よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年09月29日今年12月15日(金)公開の『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』にスペシャルなあの人たちがカメオ出演していることをジョン・ボイエガがほのめかした。金曜日(現地時間)、前作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』よりフィン役を演じているジョンが、キャスリン・ビグロー監督の最新作『Detroit』(原題)のプロモーションでBBC radio4の「Today」に出演。司会者が『最後のジェダイ』の話題をふり、「ストームトルーパー役で出演するウィリアム王子とヘンリー王子に、セリフはあるの?」と2人がカメオ出演するという前提でジョンに質問した。「ウィリアム王子関連の秘密はいっぱいあるね。セットに来ていたでしょう?そう、あそこにいたんだよ!トム・ハーディもね。あぁ言っちゃった。もう隠していることにうんざりしてたんだ。だって、どっちみち(画像なども)出ちゃってるしね」とセットに3人がいたことを認め、出演しているのかどうかに関しては否定しなかった。「The Daily Mail」紙は2人の王子にセリフはないが、トムにはあると報じている。昨年4月、ケンジントン宮殿のSNS公式アカウントが『最後のジェダイ』のセットを訪れたウィリアム王子とヘンリー王子の画像を掲載。以降、ジョンはたびたび彼らに関する質問を受け続けているという。(Hiromi Kaku)
2017年08月21日米BOX OFFICE MOJOは8月4日~8月6日の全米週末興業成績を発表した。スティーブン・キングが自身のライフワークと称する原作の同名小説を映画化した『The Dark Tower(原題)』初登場1位。アメリカの西部開拓時代を彷彿させる荒廃した世界を舞台にしたSFファンタジーで、原作小説は現在までに7作品が世に出ている。映画版はプロデューサーにアキヴァ・ゴールズマン、ロン・ハワードが名を連ね、2012年に『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』でベルリン国際映画祭銀熊賞脚本賞を受賞したニコライ・アーセルがメガホンを取る。『パシフィック・リム』『ビースト・オブ・ノー・ネーション』などで知られるイドリス・エルバが"最後のガンスリンガー"と呼ばれる主人公を演じる他、敵役としてマシュー・マコノヒーが出演している。前週まで2週連続トップに立った『ダンケルク』は2位に転落。3位『The Emoji Movie(原題)』と4位『Girls Trip(原題)』もそれぞれ1ランクずつ順位を下げた。5位は今週初登場の『Kidnap (2017)(原題) 』。息子を誘拐された母親が誘拐犯に立ち向かう、ハル・ベリー主演のアクション映画だ。その他前週16位からランクアップして初のトップ10入りを果たした『Detroit(原題)』が8位にランクイン。1967年のデトロイト暴動を背景に起こった犯罪を映画化した作品で、『ハート・ロッカー』『ゼロ・ダーク・サーティ』のキャスリン・ビグロー監督が再び脚本家のマーク・ボールとタッグを組んだ作品となる。
2017年08月07日『スター・ウォーズ』のジョン・ボヤーガが、キャスリン・ビグローの次回作に出演することがわかった。映画のタイトルは未定だが、デトロイト暴動を舞台にした犯罪ドラマになるようだ。ストーリーや、ボヤーガの役柄はわかっていない。脚本はビグローと『ゼロ・ダーク・サーティ』で組んだマーク・ボールが書き下ろす。その他の情報デトロイト暴動は1967年7月に起こり、死者43人、負傷者1,189人を出した。配給スタジオはまだ決まっていないが、ビグローとプロデューサーらは、この映画を、暴動から50周年にあたる来年に公開するつもりでいるらしい。ボヤーガは最近、次の『スター・ウォーズ』を撮り終えたところ。10月には、トム・ハンクス、エマ・ワトソンと共演するSFスリラー『The Circle』が控える。また『パシフィック・リム』の続編への出演も決まっている。文:猿渡由紀
2016年06月22日『オール・イズ・ロスト ~最後の手紙~』『モスト・バイオレント・イヤー(原題)』のJ・C・チャンダーが、『Triple Frontier』の監督候補に上がっている。もともとは、『ゼロ・ダーク・サーティ』のキャスリン・ビグローとマーク・ボールが手がける予定だったが、このコンビは別の作品に集中することに決め、今作を降板していた。ストーリーは明らかになっていないが、パラグアイ、アルゼンチン、ブラジルの境界域で活動する犯罪組織を描くものらしい。ビグローが監督する予定だった頃は、トム・ハンクスやウィル・スミスの名前が浮上したが、このふたりが出演する可能性は今もなくなってはいないようだ。ハンクスの次回作は、10月北米公開予定のスティーヴン・スピルバーグ監督作『Bridge of Spies』。スミスの次回作は、12月北米公開予定の『Concussion』。文:猿渡由紀
2015年06月30日『ハート・ロッカー』や『ゼロ・ダーク・サーティ』で知られるオスカー監督キャスリン・ビグローが初期に手がけた傑作アクション『ハートブルー』(’91)のリメイク・プロジェクトが、数年の棚上げ期間を経て再始動したことが、米エンタメ情報サイト「The Playlist」の報道で明らかになった。同サイトが伝えるところによると、監督に『ワイルド・スピード』(’01)、『デアデビル』(’03)などの撮影を手がけたエリクソン・コアの起用が決定したとのこと。コア監督は映画は寡作ながら、多くのTVCMを手がけている。脚本は『ソルト』(’10)、『トータル・リコール』(’12)のカート・ウィマーが担当する。ストーリーは、カリフォルニアのベニス・ビーチで続発する銀行強盗の捜査のため、新人FBI捜査官のジョニー・ユタが、「犯人一味はサーファーではないか?」というベテラン捜査官の推理を裏付ける目的でビーチに潜入し、彼にサーフィンの教えを説くカリスマ的存在のサーファーのボディ(銀行強盗団のボス)と出会い、次第に彼の思想に惹かれていくというもの。オリジナル版では、ジョニー・ユタをキアヌ・リーヴス、ボディを故パトリック・スウェイジが演じていた。2011年に行われたプロデューサーのアンドリュー・コソーヴォ(『P.S.アイラブユー』)へのインタビューでは、「これは『フットルース』のようなオリジナル版に忠実なリメイク作品にはならないよ。サーフィンを始め、若者が夢中になっている危険なスポーツを随所に入れ込もうと考えている。だが、サーフィンがその中でも中心的な存在になることは変わりない」と語っていた。監督、脚本家が決まったとなると、次はキャスティング。オリジナル版から14年たった現代のジョニーやボディは誰になるのか、配役も見逃せない。(text:Mieko Nakaarai)
2013年04月12日『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグロー監督作『ゼロ・ダーク・サーティ』がアメリカで大きな話題を集めている。興行的にも成功を収め、本年度のアカデミー賞でも5部門で候補に入るなど好調だが、その内容を巡って論争が起こっているからだ。本作が描くのは、全世界が知らなかった“ウサマ・ビン・ラディン殺害の真実”だ。その他の画像本作は、アメリカ同時多発テロ事件の首謀者とされるウサマ・ビン・ラディンの居場所を突き止め、追いつめ、殺害するCIAの隠密作戦の真実を、ひとりの若き分析官の女性の苦悩を主軸に描いた作品だ。ビグロー監督と、前作『ハート・ロッカー』でもタッグを組んだ脚本家マーク・ボールは、関係者たちへの取材を繰り返して脚本を執筆したという。しかし、題材の性質上、情報源は秘匿されており、その真偽を細部まで検証することは難しい。また、劇中でCIAが行う拷問シーンを巡って抗議の声をあげる政治家が登場するなど、本作は“問題作”として大きな注目を集めている。古くからアメリカ映画は、自国が抱える問題や矛盾、事件や事故に関する疑惑を描いてきた。後にニクソン大統領を辞任へと導いたウォーターゲート事件を題材にした映画『大統領の陰謀』が公開されたのは事件が起こってから2年後の1976年。2004年には、マイケル・ムーアがドキュメンタリー『華氏911』を発表してブッシュ再選阻止を訴えて大きな論争が起こり、昨年には『ゼロ・ダーク…』にも登場する米海軍特殊部隊の戦いを描いた映画『ネイビーシールズ』が公開されたことで、ある政治家がペンタゴン(米国国防総省)に抗議したというニュースが流れた。現実の出来事を調査し、時に実名で映画化することの是非はあり、『ゼロ・ダーク・サーティ』で描かれていることが本当に真実なのか? という疑問は消えることはない。ちなみに脚本を手がけたマーク・ボールは「作品の中の登場人物は、マヤも含めて全員実在の人物に基づいていますが、マヤは映画の中の人物であり、これはドキュメンタリーではありません」と語っている。果たして本作で描かれている内容のどこまでが“真実”なのか? と同時に“真実”をすべて明らかにすることでどんな影響がもたらされるのか? 映画『ゼロ・ダーク・サーティ』を巡る論争は今後も続きそうだ。『ゼロ・ダーク・サーティ』2月15日(金) TOHOシネマズ有楽座ほか全国公開
2013年02月08日米アカデミー受賞作『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグロー監督の最新作『ゼロ・ダーク・サーティ』の予告編映像が公開された。本作が描くのは世界中の多くの人がその事実を知っているビンラディン殺害の“真実”だ。予告編本作は、アメリカ同時多発テロ事件の首謀者とされるウサマ・ビン・ラディンの居場所を突き止め、追いつめ、殺害するCIAの隠密作戦の真実を、ひとりの若き分析官の女性の苦悩を主軸に描いた作品。ビグロー監督と、前作『ハート・ロッカー』でもタッグを組んだ脚本家マーク・ボールが、関係者たちへの取材を繰り返して制作した。このほど公開された予告編では、ジェシカ・チャステイン演じる分析官のマヤが、ビンラディンを追い続ける過程が緊迫感のある映像で描かれる。見つからない手がかり、上層部からプレッシャー、極めて危険な地域に兵を投入することの恐れ、そして何よりも“自分のしていることは本当に正しいのか?”という気持ち。映像は彼女がターゲットを追いつめる過程を通して、自身も追いつめられていく様を映し出す。予告編のナレーションで印象的なのは「彼女をかりたてたのは使命か? 執念か?」というフレーズ。『ハート・ロッカー』でも主人公の行動が使命感によるものか、戦争という状況によって生じた不測の変化によるものかが議論を呼んだが、本作も様々な議論を呼ぶ作品になりそうだ。『ゼロ・ダーク・サーティ』2013年2月15日(金) TOHOシネマズ有楽座ほか全国公開Jonathan Olley(C)2012 CTMG. All rights reserved
2012年12月25日2013年に向けた賞レースもいよいよ本番。映画界がにわかに活気づき始めるこの年末、ついにその華やかな戦いの火蓋が切って落とされた。12月13日(現地時間)、第70回ゴールデン・グローブ賞のノミネーションが発表されたのだ。毎年、激戦区となる最優秀作品賞・ドラマ部門では、日本でも口コミをきっかけに人気が爆発したベン・アフレックの監督・主演作『アルゴ』を始め、レオナルド・ディカプリオが極悪セレブを演じた『ジャンゴ繋がれざる者』、オスカー監督のアン・リーが手がけた美しき3D作品 『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』、そして今回最多となる7部門でノミネートを果たしたダニエル・デイルイス主演の『リンカーン』、極めつけは2010年のアカデミー賞において『ハート・ロッカー』で6部門を制したキャスリン・ビグロー監督の最新作『ゼロ・ダ−ク・サーティ』の5作品がノミネートを果たした。最優秀作品賞で今年、例年以上に話題作が目白押しとなった「ミュージカル/コメディ」部門も注目したいところ。先日、ヒュー・ジャックマンらキャスト陣が来日を果たし、すでに話題沸騰中の『レ・ミゼラブル』に、ウェス・アンダーソンが豪華スターを迎えて描く少年と少女の恋物語『ムーンライズ・キングダム』、ブラッドリー・クーパーとジェニファー・ローレンスという人気急上昇中の2人が共演を果たした『世界にひとつのプレイブック』、ユアン・マクレガーが感動の軌跡を生む『砂漠でサーモン・フィッシング』、すでに続編も決定している『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』と、まさに群雄割拠入り乱れ、ドラマ部門同様に激戦が予想されるノミネーション結果となった。ほかにも、主演男優賞や主演女優賞、『フランケンウィニー』や「AKB48」が全世界共通の挿入歌を務めたことで話題となった『シュガー・ラッシュ』がノミネートしているアニメーション部門などなど、今年も見ごたえあるレースとなりそうだ。果たして、2013年の栄えある名誉を手にするのは誰なのだろうか?第70回ゴールデン・グローブ賞の授賞式は2013年1月13日(現地時間)に開催。第70回ゴールデン・グローブ賞ノミネート一覧(主要部門)最優秀作品賞・ドラマ部門『アルゴ』『ジャンゴ繋がれざる者』『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』『リンカーン』『ゼロ・ダ−ク・サーティ』最優秀作品賞・ミュージカル/コメディ部門『レ・ミゼラブル』『ムーンライズ・キングダム』『砂漠でサーモン・フィッシング』『世界にひとつのプレイブック』『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』最優秀主演男優賞・ドラマ部門ダニエル·デイ·ルイス(『リンカーン』)リチャード·ギア(『Arbitrage』)ジョン·ホークス( 『The Sessions』)ホアキン·フェニックス(『ザ・マスター』)デンゼル·ワシントン(『フライト』)最優秀主演男優賞・ミュージカル/コメディ部門ジャック·ブラック(『Bernie』)ブラッドリー·クーパー(『世界にひとつのプレイブック』)ヒュー·ジャックマン(『レ・ミゼラブル』)ユアン·マクレガー(『砂漠でサーモン・フィッシング』)ビル·マーレー(『Hyde Park on Hudson』)最優秀主演女優賞・ドラマ部門ジェシカ·チャステイン(『ゼロ・ダ−ク・サーティ』)マリオン·コティヤール(『君と歩く世界』)ヘレン·ミレン(『ヒッチコック』)ナオミ·ワッツ(『Lo imposible』)レイチェル·ワイズ(『The Deep Blue Sea』)最優秀主演女優賞・ミュージカル/コメディ部門エミリー·ブラント(『砂漠でサーモン・フィッシング』)ジュディ·デンチ(『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』)ジェニファー·ローレンス(『世界にひとつのプレイブック』)マギー·スミス(『Quartet』)メリル·ストリープ(『Hope Springs』)最優秀アニメーション賞『メリダとおそろしの森』『フランケンウィニー』『モンスター・ホテル』『Rise of the Guardians』『シュガー・ラッシュ』■関連作品:第70回ゴールデン・グローブ賞 [アワード] 2012年12月13日(現地時間)にノミネート発表、2013年1月13日に授賞式開催マリーゴールド・ホテルで会いましょう 2013年2月1日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国にて公開© 2012 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.ムーンライズ・キングダム 2013年2月8日よりTOHO シネマズシャンテほか全国にて公開© 2012 MOONRISE LLC. All Rights Reserved.砂漠でサーモン・フィッシング 2012年12月8日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2011 Yemen Distributions Ltd., BBC and The British Film Institute.All Rights Reserved.世界にひとつのプレイブック 2013年2月22日よりTOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館ほか全国にて公開© 2012 SLPTWC Films, LLC. All Rights Reserved.レ・ミゼラブル 2012年12月21日よりTOHOシネマズ日劇ほか全国にて公開© 2012 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.ジャンゴ繋がれざる者 2013年3月1日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開アルゴ 2012年10月26日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 2013年1月25日よりTOHO シネマズ日劇ほか全国にて公開© 2012 Twentieth Century Foxゼロ・ダ−ク・サーティ 2013年2月15日より全国にて公開Jonathan Olley © 2012 CTMG. All rights reservedリンカーン 2013年4月19日よりTOHOシネマズ日劇ほか全国にて公開© 2012 TWENTIETH CENTURY FOX
2012年12月14日L.A.映画批評家協会の作品賞に、ミヒャエル・ハネケ監督の『愛、アムール』が選ばれた。次点はポール・トーマス・アンダーソン監督の『ザ・マスター』だった。『愛、アムール』は、老人の介護問題を扱う人間ドラマ。国境を越えて共感を呼ぶ傑作で、今年のカンヌ映画祭でも、最高賞パルムドールに輝いている。次点に終わった『ザ・マスター』は、アンダーソン監督が監督賞を受賞。『ザ・マスター』は他部門でも大健闘し、主演男優部門でホアキン・フェニックス、助演女優部門でエイミー・アダムスが受賞している。主演女優に輝いたのは『愛、アムール』のエマニュエル・リヴァと、『世界でひとつのプレイブック』のジェニファー・ローレンス。助演男優には『Beasts of the Southern Wild』のドワイト・ヘンリーが選ばれた。先に発表されたニューヨーク映画批評家サークル賞、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞ではキャスリン・ビグロー監督の『ゼロ・ダーク・サーティ』が圧巻したが、同作品はL.A.批評家賞では編集部門にとどまった。過去にもニューヨークとL.A.の批評家賞は意見が大きく分かれてきたが、オスカーの結果と合致する率では、歴史的にニューヨークのほうが圧倒的に高い。『愛、アムール』2013年3月9日(土)公開文:猿渡由紀
2012年12月10日早いものでもう年末。年が明ければ、映画界の一大イベントとも言えるアカデミー賞のノミネートが発表となり、2月には授賞式も開催される。まだまだ先のこと…と思うなかれ。本国アメリカでは5日(現地時間)、アカデミー賞前哨戦と言える「ナショナル・ボード・オブ・レヴュー賞」(以下、NBR)が発表された。今後の賞レースを占うこの賞で、今年最も湧かせたのはどの作品?今年のNBRで作品賞、監督賞、主演女優賞の最多3部門の受賞を果たしたのが、『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグロー監督作『ゼロ・ダーク・サーティ』だ。ビンラディン捜索から捕縛に至るまでの道のりを事実に基づき忠実に描くと共に、その追跡劇に関わった人々の苦悩を衝撃的かつ赤裸々に、そしてリアルに再現した本作。この作戦に加わったテロリストの追跡を専門に活動する若きCIA分析官・マヤをジェシカ・チャスティンが熱演。「N.Y.映画批評家協会賞」に続いての受賞とあって、続くゴールデン・グローブ賞、アカデミー賞の大本命か!?そして今回、主演男優賞のほか脚色賞、作品トップ9選出を果たしたのがハリウッドでいま最も期待される2人、『ハングオーバー』シリーズで人気を博し、米「People」誌の「世界一セクシーな男」に輝いたブラッドリー・クーパーと『ウィンターズ・ボーン』で弱冠20歳にしてアカデミー賞にノミネートされ、『ハンガー・ゲーム』が全世界で大ヒットを記録したジェニファー・ローレンスの競演作『世界にひとつのプレイブック』。最愛の人を失くして心が壊れた男女が立ち直ろうとするシリアスな物語のはずが、観客席は笑顔&爆笑!常識を爽快に裏切る型破りの映画として早くも話題を集めている。さらに本作の脇を固めるのは名優ロバート・デ・ニーロ。続く賞レースでの本作のゆくえに目が離せない。ブルース・ウィリス×ジョセフ・ゴードンの新コンビ“レヴィット”の初競演で贈る、SFアクション・エンタテインメント『LOOPER/ルーパー』も大躍進!見事、脚本賞を受賞し、作品トップ9にも選出された本作だが、タイムトラベルSF映画が脚本賞を受賞するのは、極めて異例の快挙なんだとか。脚本を手がけたのは、『BRICKブリック』のライアン・ジョンソン監督。未来から転送される犯罪者を殺す職業“ルーパー”の男が、送られてきた30年後の自分と対峙し、誰も見たことがない“現代の自分VS未来の自分”の戦いを繰り広げるという斬新なプロットが評価されての受賞となった。さらに公開後の口コミとレビューでも高評価を得て、有名レビューサイト「Rotten Tomatoes」では、94点の高得点を記録するなど前例のない記録を着々と作り続けている。本年度アカデミー賞のダークホース的存在となるのか…?さらに、助演男優賞を『ジャンゴ繋がれざる者』のレオナルド・ディカプリオ、外国語映画賞をカンヌ映画祭でもパルム・ドールに輝いたヒャエル・ハネケ監督最新作『愛、アムール』、アニメーション賞をゲームの世界でヒーローになりたいと願う悪役たちの奮闘を描いた、ディズニー映画最新作『シュガー・ラッシュ』、ドキュメンタリー賞を『シュガーマン奇跡に愛された男 』、アンサンブル・キャスト賞を『レ・ミゼラブル』が受賞。映画界のもっとも栄えある賞、アカデミー賞をゴールに今後、次々と開催される映画賞レース。作品の明暗を分けるとも言える、この華やかな戦いのゆくえはどうなるのか?今年も大いに楽しませてくれることを期待したい。ナショナル・ボード・オブ・レヴュー受賞一覧作品賞:『ゼロ・ダーク・サーティ』外国語映画賞:『愛、アムール』ドキュメンタリー映画賞:『シュガーマン奇跡に愛された男 』アニメーション映画賞:『シュガー・ラッシュ』監督賞:キャスリン・ビグロー(『ゼロ・ダーク・サーティ』)新人監督賞:ベン・ザイトリン(『Beasts of the Southern Wild』)主演男優賞:ブラッドリー・クーパー(『世界にひとつのプレイブック』)主演女優賞:ジェシカ・チャスティン(『ゼロ・ダーク・サーティ』)助演男優賞:レオナルド・ディカプリオ(『ジャンゴ繋がれざる者』)助演女優賞:『Compliance』(原題)アンサンブル・キャスト賞:『レ・ミゼラブル』ブレイクスルー男優賞:トム・ホランド(『The Impossible』)ブレイクスルー女優賞:クヴェインゼイン・ワリス(『Beasts of the Southern Wild』)脚本賞:ライアン・ジョンソン(『世界にひとつのプレイブック』)特別映画製作業績賞:ベン・アフレック(『アルゴ』)スポットライト賞:ジョン・グッドマン(『アルゴ』、『FLIGHT』、『人生の特等席』、 『パラノーマン ブライス・ホローの謎』)■関連作品:ジャンゴ繋がれざる者 2013年3月1日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開ゼロ・ダ−ク・サーティ 2013年2月15日より全国にて公開Jonathan Olley © 2012 CTMG. All rights reserved世界にひとつのプレイブック 2013年2月22日よりTOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館ほか全国にて公開© 2012 SLPTWC Films, LLC. All Rights Reserved.アルゴ 2012年10月26日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.パラノーマン ブライス・ホローの謎 2013年3月29日よりTOHOシネマズ みゆき座ほか全国にて公開2012,アメリカ,東宝東和人生の特等席 2012年11月23日より丸の内ピカデリー3ほか全国にて公開© 2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.LOOPER/ルーパー 2013年1月12日より丸の内ルーブルほか全国にて公開© 2011, Looper, LLC愛、アムール 2013年3月9日よりBunkamuraル・シネマ、銀座テアトルシネマ、新宿武蔵野館、シネ・リーブル梅田、伏見ミリオン座ほかにて公開© 2012 Les Films du Losange - X Filme Creative Pool - Wega Film - France 3 Cinéma - Ard Degeto - Bayerisher Rundfunk - Westdeutscher Rundfunkシュガーマン奇跡に愛された男 2013年3月16日より角川シネマ有楽町ほか全国にて公開© Canfield Pictures / The Documentary Company 2012シュガー・ラッシュ 2013年3月、全国にて2D/3D公開
2012年12月07日