4月13日(土)、新国立劇場『デカローグ1〜10』の初日の幕が開いた。原作は、ポーランドの巨匠クシシュトフ・キェシロフスキ監督による映画。十戒をモチーフとした十篇の連作集を、3カ月かけて完全舞台化するという大プロジェクトの開幕を飾ったのは、プログラムA(『デカローグ1』『デカローグ3』)・プログラムB(『デカローグ2』『デカローグ4』)の交互上演。いつにも増して幅広い年齢層の観客が足を運んだ新国立劇場小劇場にて、A・B両プログラムを観た(4月14日・15日)。1987〜88年に撮影され、1980年代のワルシャワの団地に住まうさまざまな人々の姿をオムニバス形式で描き出す『デカローグ』。ポーランド映画の金字塔ともいわれる作品だけに、演劇ファンのみならず映画ファンの関心も集めている。淡々とした語り口で展開するキェシロフスキ作品が、舞台上にどのように立ち上がるのか。期待を募らせ劇場に足を踏み入れると、どことなく懐かしい空間が視界に飛び込んでくる。三層に組まれた集合住宅の装置は、コンクリートの無機質な手触りに、ガラスブロックから入ってくる柔らかな外光をも感じさせる。たびたび背景に映し出される巨大団地の外観のイメージも、昭和期の公団住宅の風景と重なり、ノスタルジックな雰囲気に。あの映画独特の薫りを伝える、ひっそりとした美しさが心地よい。演出は、本プロジェクトを牽引する小川絵梨子新国立劇場演劇芸術監督と、上村聡史のふたり。幕開けの公演は、プログラムAの二篇を小川、プログラムBの二篇を上村が担当、各プログラムでそれぞれの仕事をじっくり味わう形となった。『デカローグ1』「ある運命に関する物語」より、右から)ノゾエ征爾、石井 舜、高橋惠子(撮影:宮川舞子)プログラムAの前半、『デカローグ1』は「ある運命に関する物語」。大学教授クシシュトフ(ノゾエ征爾)は12歳の息子パヴェウ(石井舜)とふたり暮らし。腕立て伏せを競ったり、コンピューターを用いてさまざまな問題を解いたりする姿が微笑ましい。父子に優しく寄り添うクシシュトフの姉、イレナを演じ強い印象を残したのは高橋惠子。信心深く、パヴェウを教会に通わせようとするも、無神論者のクシシュトフとは意見が合わない。十戒の最初の戒め「わたしのほかに神があってはならない」が、重々しくのしかかってくるエピソード。「死ぬってどういうこと?」と父に問うパヴェウの声が、いつまでも耳に残る。『デカローグ3』「あるクリスマス・イヴに関する物語」より、右から)千葉哲也、小島聖(撮影:宮川舞子)団地の片隅から、主人公たちの生活を覗き見ているような気分プログラムB『デカローグ2』は、「ある選択に関する物語」。バイオリニストのドロタ(前田亜季)は、同じ団地に住む医長(益岡徹)を訪ね、重い病を患い入院している夫アンジェイ(坂本慶介)の余命を知りたいという。ドロタは愛人の男の子供を妊娠していた──。常に苛立ちを隠せずにいる彼女の姿が痛々しい。『デカローグ2』「ある選択に関する物語」より、右から)前田亜季、益岡徹(撮影:宮川舞子)『デカローグ4』「ある父と娘に関する物語」は、近藤芳正演じる父ミハウと、夏子演じる娘のアンカの物語。母はアンカが生まれた時に亡くなっているが、快活で魅力的なアンカと優しい父は、まるで友達、ともすると恋人同士のように仲が良い。ある日アンカは「死後開封のこと」と父の筆跡で書かれた封筒を見つけ──。十戒は「あなたの父母を敬え」と戒めるが、この父娘はどうだろう。劇場を後にしても、登場人物たちのその後の人生が気にかかる。『デカローグ4』「ある父と娘に関する物語」より、右から)近藤芳正、夏子(撮影:宮川舞子)必要以上に畳み掛けるセリフの応酬も、仰々しい場面転換もない舞台。それだけに、次々と登場する俳優たちの存在感が、ぐっと胸に迫る。演じるのは皆、普通の団地の普通の人たち。そこに時折、亀田佳明演じる“男”が姿を見せる。天使とも捉えられる彼は、十篇すべてにセリフなしで登場し、若い男や路面電車の運転士、医師といった姿で、ことの成り行きを、ただ、見守る。客席の私たちも、団地の片隅から、主人公たちの生活を覗き見ているような気分だが、どんな場面のどんな人たちにも、不思議と責めたり見捨てたりする気にはなれない。彼らの運命や迷い、選択や孤独は、救いがない場合もあるけれど、ただ静かに、見守っていたくなる舞台だ。この作品を、十篇すべてを完全上演する意味は、3カ月間この作品に寄り添うことで、おのずと見えてくるだろう。公演は5月6日(月・休)まで。新国立劇場小劇場では、このあと5月18日(土)~6月2日(日)に『デカローグ5・6』(プログラムC)、6月22日(土)~7月15日(月・祝)に『デカローグ7〜10』(プログラムD・E)を上演。取材・文:加藤智子<公演情報>舞台『デカローグ 1~10』原作:クシシュトフ・キェシロフスキ/クシシュトフ・ピェシェヴィチ翻訳:久山宏一上演台本:須貝英演出:小川絵梨子/上村聡史2024年4月13日(土)~7月15日(月・祝)会場:東京・新国立劇場 小劇場●[デカローグ1~4(プログラムA&B交互上演)]2024年4月13日(土)~5月6日(月・休)●[デカローグ5~6(プログラムC)]2024年5月18日(土)~6月2日(日)●[デカローグ7~10(プログラムD&E 交互上演)]2024年6月22日(土)~7月15日(月・祝)チケット情報:()公式サイト:
2024年04月19日新国立劇場が、『トリコロール』三部作(青の愛/白の愛/赤の愛)、『ふたりのベロニカ』で知られるポーランドの映画監督、クシシュトフ・キェシロフスキによる十遍の連作集『デカローグ』を完全舞台化、2024年4月から7月まで連続上演する。3月11日に同劇場で実施された制作発表会見では、総勢43名ものスタッフ、出演者が集結、前代未聞の挑戦的な大プロジェクトであることを印象付けた。旧約聖書の十戒をモチーフに、1980年代のポーランドワルシャワのある団地に住む人々を描くオムニバス形式の作品。それぞれが独立した1時間程度の作品ながら、同じ人物が物語を超えて登場するなど、緩やかに繋がってゆく。元はテレビ映画用に撮影されたが、のちに映画化、スタンリー・キューブリックらが絶賛したことも知られる。はじめに作品への思いを打ち明けたのは、翻訳を手がけた久山宏一。ポーランド留学時代の『デカローグ』との出会いを振り返りつつ、「キェシロフスキは当初、十人の若い監督を『デカローグ』でデビューさせる計画でした。今回の舞台化は、日本の若い才能ある舞台人たちによる脚本の再解釈という意味で、キェシロフスキの意図の実現ともいえるかもしれません」と感慨深げ。また上演台本を手がけた須貝英は「映画ファンの方たちを失望させてはいけないというプレッシャーを感じつつ、舞台の脚本にしなければいけない。試行錯誤もかなりしたと思います」と明かした。翻訳の久山宏一上演台本を手がけた須貝英演出は、新国立劇場演劇芸術監督の小川絵梨子と、上村聡史が分担する。「キェシロフスキ監督はたくさんの人々の存在を通して、人間が存在することへの根源的な肯定を書かれた。とても大事なテーマだと思います」という小川。上村は「脚本は、非常に緻密に計算されている。ヨーロッパでは『デカローグ』を演劇化したプロダクションも多く、物語力ある作品だと思います」と語った。共に演出を手掛ける小川絵梨子(左)と上村聡史続いて、各プログラムの出演者たちが、それぞれの物語や見どころ、意気込みを述べた。■プログラムA:4月13日(土)〜5月6日(月・休)、プログラムBとの交互上演プログラムA出演者(撮影:阿部章仁)デカローグ1「ある運命に関する物語」演出:小川絵梨子12歳の息子と暮らすクシシュトフを演じるノゾエ征爾は、「実生活でも息子に対する眼差し、気持ちが変わってきた」。その姉イレナ役の高橋惠子は、「台本を読み終えて、しばし呆然としました。お客さまにも心を動かしていただけるよう稽古を重ねたい」。ノゾエ征爾(中央)デカローグ3「あるクリスマス・イヴに関する物語」演出:小川絵梨子「過去に不倫関係であった男女が、行方不明になった彼女のパートナーを探しに行く。お互いに抱えている孤独を確認し合う話だと思って稽古しています」と語ったのはヤヌシュ役の千葉哲也。元恋人のエヴァを演じる小島聖は、「感情を表面に出すのは簡単ですが、それをいかに出さずにキープしたまま突っ走るか、一生懸命探っています」と明かす。千葉哲也(前列右)■プログラムB:4月13日(土)〜5月6日(月・休)、プログラムAとの交互上演プログラムB出演者(撮影:阿部章仁)デカローグ2「ある選択に関する物語」演出:上村聡史自身が演じるドロタのことを「夫は入院中。愛人の子をみごもっており、大きな選択を前に葛藤している」と前田亜季。医長役の益岡徹は、「大きなプロジェクトですが、スポットが当たるところは小さい。大きな団地に行ってちょっと覗いてみる、という面白さがあると思います」。益岡徹(中段左)デカローグ4「ある父と娘に関する物語」演出:上村聡史娘とふたり暮らしのミハウを演じる近藤芳正。「娘を持つ役を意外といっぱいやっているので、パーフェクトな部分があるかと(笑)」と場を和ませる。娘・アンカ役の夏子は「一通の手紙によって、親子の関係がどう変わっていくのか。繊細なやり取りを楽しんでいただけるよう頑張りたい」と意気込んだ。近藤芳正(前列右)「重ねていくと壮大な絵になる」全篇上演の意義■プログラムC:5月18日(土)〜6月2日(日)プログラムC出演者(撮影:阿部章仁)デカローグ5「ある殺人に関する物語」演出:小川絵梨子「タクシー運転手を殺害してしまう青年・ヤツェクと、死刑制度に反対する新米弁護士。全く出会うはずのなかったふたりが交わってしまう物語。舞台上でヤツェクとして生きることができるのが楽しみ」と話す福崎那由他。弁護士・ピョトル役の渋谷謙人は、「劇中で触れられる死刑制度。少しでも関心を持っていただければ」。福崎那由他(前列左)デカローグ6「ある愛に関する物語」演出:上村聡史「郵便局員の青年・トメクは、向かいに住むマグダを日々望遠鏡で覗いている。見返りを求めない愛を信じないマグダの心は、徐々に変化していきます」と、マグダを演じる仙名彩世。トメク役の田中亨からは、「郵便局にマグダが来て、そこからどんなふうに愛の物語になっていくのか。見応えのある作品だと思います」。仙名彩世(前列右)■プログラムD(6月22日(土)〜7月15日(月・祝)、プログラムEとの交互上演)プログラムD出演者(撮影:阿部章仁)デカローグ7「ある告白に関する物語」演出:上村聡史「(両親と同居している22歳の女性)マイカが生んだ子供を、マイカの母が娘として育てている家庭。マイカはそこから娘を連れてカナダに逃げようとする──。海外の戯曲は初ですが、全力でのぞみたい」と打ち明けたのはマイカ役・吉田美月喜。娘の父親・ヴォイテク役は章平。「“ただ、生きる”を目標に稽古に励みたい」。母を演じる津田真澄は「行く末がすごく気になる家族。緊迫したシーンが多い」とほのめかす。章平(中段中央)デカローグ8「ある過去に関する物語」演出:上村聡史「辛く重い過去を持つ者たちが過去と向き合いながら生きてきて、また改めてその過去と向き合ったり、話したり話せなかったり、という物語。人間は、会って話をすることがすごく大事だなと思います」と、大学教授ゾフィア役の高田聖子。その聴講生・エルジュピタ役の岡本玲は、「十篇の話の、作品の繋がりを大切にしながら演じたい」。高田聖子■プログラムE(6月22日(土)〜7月15日(月・祝)、プログラムEとの交互上演)プログラムE出演者(撮影:阿部章仁)デカローグ9「ある孤独に関する物語」演出:小川絵梨子伊達暁が演じるのは40代の心臓外科医・ロマン。性的不能と診断され、「妻はそれを受け入れるも、妻には若い学生の不倫相手が──。もやもやした内面を、どう舞台上に現出させることができるかがテーマ」と意欲的。妻・ハンナ役の万里紗は、「パートナー同士が相手の弱さや恐れをまるで鏡のように映し出す、その様は滑稽で、リアリティがある」。不倫相手のマリウシュ役・宮崎秋人は「まっすぐに愛していけたら」。伊達暁(前列左)デカローグ10「ある希望に関する物語」演出:小川絵梨子竪山隼太演じる弟のアルトゥルと石母田史朗演じる兄・イェジーは、父の死により久しぶりに再会。「兄と一緒に、父の住んでいたフラットを訪れ、父が膨大な切手のコレクターであることに気づく。切手1枚に莫大な価値があることが判明して、という人たちの話です」と竪山。石母田は「切手の価値を知り、それに固執していく様はものすごく滑稽。興味深く感じています」と語った。竪山隼太(前列左)最後は、ただひとり、全編に出演する亀田佳明。「天使役です。演出は、ごまかしのない表現を要求するという意味では本当に“しつこい”ふたり(笑)。強度のある作品になっていくのではという予感がしています」とコメントした。亀田佳明質疑応答の場で、この作品の「根源的な肯定感」に改めて触れた演出の小川。「1枚1枚の絵が素晴らしい、が、1、2、3……と重ねていくと、また1個壮大な絵にもなるという仕掛けになっていると思います」と、全篇上演の意義をアピールした。開幕は4月13日(土)、東京・新国立劇場小劇場にて。取材・文:加藤智子<公演情報>新国立劇場の演劇『デカローグ1-10』2024年4月13日(土)~7月15日(月・祝)会場:東京・新国立劇場 小劇場チケット情報:()公式サイト:
2024年03月13日ポーランドの鬼才クシシュトフ・キェシロフスキが旧約聖書の「十戒」をモチーフにTVシリーズとして制作した十篇の物語「デカローグ」。同作を完全舞台化した「デカローグ1~10」が東京・新国立劇場にて4月から7月にかけて上演される。2月12日(月・休)、演出を務める小川絵梨子と上村聡史、そして『愚行録』、『ある男』などの映画監督で、ポーランドで映画を学んだ経験を持つ石川慶によるトークセッションが行われた。小川はアメリカ留学中に周囲の勧めで「デカローグ」を鑑賞して衝撃を受けたという。当時は「映像の世界の作品」と捉えていたが「10年くらい経って、日本で『やりたい作品はない?』となった時、どうしても心に残っていました。ワークショップをやらせていただいたりもして、演劇でも人間の物語、ちょっと引いた大きな視点で『できなくはないな』と思って『いつかはやってみたい』と。1話ずつ独立しつつも10話でひとつのサーガになっているんですけど、10話連続で上演させてくれるプロデューサーなんていないので、(自身が芸術監督を務める)ここ(=新国立劇場)でやりますと(笑)」と舞台実現に至るプロセスを明かす。ポーランド留学中に映画学校で本作に触れたという石川は、本作を「教科書のような存在」、「映画をつくっていて困ると見直すような作品」だと明かす。日本で映像化できないかと企画書を書いたこともあったそうで、今回の舞台化の話を知った時は「正直、『自分も仲間に入れてほしかった』と思いました(苦笑)」と少し残念そうに語りつつ「いくつかのエピソードをやるのだと思ったら全10話で、俳優陣を見て『ガチのやつだ』と思いました。お二人が演出と聞いてワクワクしました」と舞台版への期待を口にする。上村は小川からのオファーに「二つ返事で『やります』と言いました」と明かす。送られてきた映画版の脚本に目を通しながら「映像で評価の高い作品で、舞台芸術ならではのやり方に苦労するだろうとは思いつつも、舞台でもいけるという確信がありました」と舞台化への自信をのぞかせる。十篇のエピソードを小川と上村でそれぞれ5話ずつ演出することになるが、全体の統一感をどう持たせるか? どちらがどのエピソードを担当するかといった点に関しては「長く互いの作品を観てきているので、そこはスムーズでした」(小川)、「演出プロセスの踏み方は違うかもしれないけど、大事にしていることは似てると思います。(大事なものは)俳優の中にあって、それが物語になる――だからこそ瞬間、瞬間の芝居を積み重ねていくという信念にシンパシーを持っています」(上村)と互いへの信頼は揺るがない。本作を演劇として上演する意味について、小川は「(戒めを)破ってしまうのが人間の宿命であり、だからこそ十戒というものがあり、宗教だけでなく、人間の根源的なもの――生きていく上で戒めておかないと流されてしまうものという意味なのかと思います。人間の強くないところ、悩んでしまうところ、不安や後悔してしまうこと、合っているかどうかわからず不安を抱えたり、自分をごまかしたり、そうなっていく人間にものすごく寄り添っている物語であり、善い悪いとジャッジしないんですね。決して甘い話ではなく、厳しさはあるけど、人間の根底への肯定感がある。わかっているけどそうなってしまう部分、そこで生まれる葛藤や感情は単色ではなくグラデーションであり、その言葉にできない体温のある感情を、舞台だからこそ感じていただけるところがあると思います。言葉で表現できない葛藤のジレンマや複雑な感覚を生々しく舞台で感じていただけることを目指して頑張ります」と力強く語っていた。新国立劇場の演劇『デカローグ1~10』告知映像舞台『デカローグ 1~10』は4月13日(土)より7月15日(月・祝)まで、3つの期間に分けて、全10篇を上演。チケット一般発売は2月17日(土)10時より。取材・文・撮影:黒豆直樹<公演情報>舞台『デカローグ 1~10』原作:クシシュトフ・キェシロフスキ/クシシュトフ・ピェシェヴィチ翻訳:久山宏一上演台本:須貝英演出:小川絵梨子/上村聡史2024年4月13日(土)~7月15日(月・祝)会場:東京・新国立劇場 小劇場[プログラムA、B交互上演(デカローグ 1-4)]公演日程:2024年4月13日(土)~5月6日(月・休)●プログラムA(デカローグ1、デカローグ3)デカローグ1:ある運命に関する物語演出:小川絵梨子出演:ノゾエ征爾 高橋惠子チョウヨンホ 森川由樹 鈴木勝大 浅野令子亀田佳明デカローグ3:あるクリスマス・イヴに関する物語演出:小川絵梨子出演:千葉哲也 小島聖ノゾエ征爾 浅野令子 鈴木勝大 チョウヨンホ 森川由樹亀田佳明●プログラムB(デカローグ2、デカローグ4)デカローグ2:ある選択に関する物語演出:上村聡史出演:前田亜季 益岡徹坂本慶介 近藤隼 松田佳央理亀田佳明デカローグ4:ある父と娘に関する物語演出:上村聡史出演:近藤芳正 夏子益岡徹 松田佳央理 坂本慶介 近藤隼亀田佳明[デカローグ5~6(プログラムC)]公演日程:2024年5月18日(土)~6月2日(日)●プログラムC(デカローグ5、デカローグ6)デカローグ5:ある殺人に関する物語演出:小川絵梨子出演:福崎那由他 渋谷謙人 寺十吾斉藤直樹 内田健介 名越志保 田中亨亀田佳明デカローグ6:ある愛に関する物語演出:上村聡史出演:仙名彩世 田中亨寺十吾 名越志保 斉藤直樹 内田健介亀田佳明[デカローグ7~10(プログラムD&E 交互上演)]公演日程:2024年6月22日(土)~7月15日(月・祝)●プログラムD(デカローグ7、デカローグ8)デカローグ7:ある告白に関する物語演出:上村聡史出演:吉田美月喜 章平 津田真澄大滝寛 田中穂先 堀元宗一朗 笹野美由紀 伊海実紗亀田佳明デカローグ8:ある過去に関する物語演出:上村聡史出演:高田聖子 岡本玲 大滝寛田中穂先 章平 堀元宗一朗 笹野美由紀 伊海実紗亀田佳明●プログラムE(デカローグ9、デカローグ10)デカローグ9:ある孤独に関する物語演出:小川絵梨子出演:伊達暁 万里紗 宮崎秋人笠井日向 鈴木将一朗 松本亮 石母田史朗亀田佳明デカローグ10:ある希望に関する物語演出:小川絵梨子出演:竪山隼太 石母田史朗鈴木将一朗 松本亮 伊達暁 宮崎秋人 笠井日向亀田佳明チケット情報:★2月17日(土)10:00より、チケット一般発売開始!()公式サイト:
2024年02月14日コロナ禍の影響により、例年より短い期間での開催となる「ポーランド映画祭2020」。今年、9回目の開催になる本映画祭の第1弾作品として、名匠クシシュトフ・キェシロフスキ監督の最高傑作ともいわれる『デカローグ』HDリマスター版と、2020年のアカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた若手監督ヤン・コマサの『聖なる犯罪者』の上映が決定した。■キェシロフスキ監督作品『デカローグ』HDリマスター版旧約聖書の十戒をモチーフに、ワルシャワの巨大アパートに暮らす人々の人生模様を綴った連作集。当初はテレビドラマとして製作されたが、質の高さが大きな話題を呼び1989年ヴェネチ ア国際映画祭で上映、後に世界で劇場公開された。スタンリー・キューブリックが「重要な映画の1本」と絶賛したほか、エドワード・ヤンや候孝賢らが賞賛の声を贈った。「トリコロール三部作」と並ぶキェシロフスキ監督を代表する傑作。全10話からなる本編上映時間585分で、ポーランド映画祭史上最長篇作品。■第92回アカデミー賞国際長編映画賞ノミネート作『聖なる犯罪者』本作が3作目となる38歳のヤン・コマサ監督。長編デビュー作『Suicide Room』(11)は第 61回ベルリン国際映画祭パノラマ部門に正式出品、続く第2作『リベリオン ワルシャワ大攻防戦』(14)は本国ポーランドで大ヒットを記録した。本作『聖なる犯罪者』は第92回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネート。前年の『COLD WAR あの歌、2つの心』(18)に続き、ポーランド代表作品が同賞にノミネートされたのは2年連続の快挙となった。主演は、28歳のバルトシュ・ ビィエレニア。少年院出身のダニエルと司祭トマシュという真逆の人物像を息もつかせぬ緊張感をもって演じきり、世界の映画祭でも評価された。いまポーランド映画界を牽引する気鋭監督と若手俳優による渾身の衝撃作。なお、映画祭開催に向けて監修イエジー・スコリモフスキからのメッセージ動画も到着している。ポーランド映画祭2020は11月20日(金)~23日(月・祝)、東京都写真美術館ホールにて開催。(text:cinemacafe.net)
2020年09月27日恒例の特集「ポーランド映画祭」が今年も開催されている。8回目を迎える本年度は、映画作家のイエジ―・スコリモフスキが監修を担当。ポーランドの最新作から歴史に残る名作、レア作まで幅広い作品が揃う。映画ファンにとってポーランドは、アンジェイ・ワイダやクシシュトフ・キェシロフスキを輩出したなじみの深い国で、近年も『イーダ』や『COLD WAR あの歌、2つの心』など良質な作品が多く製作されている。2019年はポーランドと日本の国交樹立100周年、ポーランド民主化30周年にあたるアニバーサリー・イヤー。これまで以上に充実した作品群が映画祭に集まった。巨匠アンジェイ・ワイダの特集では名作『灰とダイヤモンド』、『死の教室』、そして彼が創設した映画学校の生徒による短編作品を上映。2017年に翻訳が出版され話題を呼んだボレスワフ・プルスの小説を映画化した1968年製作の『人形』、ワイダがドストエフスキーの『白痴』を原作に坂東玉三郎を主演に迎えて描く『ナスターシャ』、ロマン・ポランスキー監督がポーランド時代に手がけた短編集など、映画ファン垂涎のプログラムが並ぶ。さらに最新のポーランドも数多く紹介され、本映画祭でジャパンプレミアを迎える。飛行機に乗り合わせた様々な人々の姿を描いた『パニック・アタック』をはじめ、映画祭の監修者スコリモフスキが俳優として出演する『ユリウシュ』、知られざる史実に迫るドキュメンタリー『パラグアイへのパスポートポーランド外交における秘話』などが続々と上映される。会期中には上映だけでなく監督によるトークや、ゲストを招いた上映後解説も予定されており、長年に渡って映画ファンを魅了し続けてきたポーランド映画をさらに深く、多角的に楽しめる内容になっている。ポーランド映画祭201911月23日(土)まで東京都写真美術館ホールで開催中
2019年11月14日なりたい役になりきるように、なりたい人物のメイクを取り入れる。 人生を賭けて、大切なものを追いかけるロマンチシズム。「私」が「私」なまま、自らの運命を切り拓く。 フランス映画の女優たちは、そんな「心のままに生きる」という私たちの憧れを体現する存在。女性らしさや個性を味方につけるメイクを取り入れて、あのヒロインのチャーミングさを真似てみよう。 【2】Juliette Binoche(ジュリエット・ビノシュ) 数々の女優賞に輝く、芯のある演技で人を惹きつける芸術家肌!フランス国内やハリウッドに限らず、世界中の映画監督とタッグを組み、さまざまな役どころに身を投じるビノシュ。そんな彼女は世間からのイメージに縛られすぎることなく、いつだって自分の好奇心に素直で、演じることへの情熱を絶やさない女性です。 movie ① CHOCOLAT( ショコラ - 2000 )「人生は変えられるわ 世界の中心は彼じゃない」「グアテマラのカカオが人生の情熱を取り戻すわ」「そんなに窮屈?人から期待されることが」 フランスの小さな田舎町を舞台に、チョコレート屋を営む母娘と町の住人たちをめぐる物語。ひとくち口にすると、不思議と心が ほぐれ、悩みの種がふわっと軽くなるように思えるチョコレート。そんなファンタジックな要素もありながら、宗教や文化の違う他 人を受け入れることの温かさが描かれており、大人も楽しめる作品だ。メイクをしていない若きジョニー・デップも新鮮!宝石のような、見るからにおいしそうなチョコレートがたくさん出てくるので、観終わった後はきっとあなたもチョコレートが食べたくなるはず。監督:ラッセ・ハルストレム/出演:ジュリエット・ビノシュ、ヴィクトワール・ティヴィソル、ジョニー・デップほか 『ショコラ』での役どころと、彼女のメイクとは? 旅する先で娘とチョコレート屋を開いては、チョコレートを通して住民の心をほぐしていくシングルマザーの女店主が主人公。過去に謎を秘めている役どころではあるものの、娘を何より大切に思う母親としての強さや、女性らしい頑なさ、そして困っている人を見ると手を差し伸べずにはいられない温かな人柄が、カントリー調の洋服や暖色系のメイクにベストマッチ。理想的な、ある種の「大人の女性像」を演じきっています。 (右上から時計回りに)シアーなツヤを与える、イエロー寄りのアプリコット。ブラッシュ 4029N¥3,400/ NARS(ナーズジャパン)、柔らかい印象をつくる、フレッシュなコーラル。唇にも付けられるホイップドチーク。エピック ミニダッシュ 11 STATE OF GRACE¥3,000/THREE、ヘルシーな血色を与える優しいオレンジ。 ナチュラル成分100%のチーク。チークブラッシュ 03 オレンジ¥3,600/ ナチュラグラッセ(ネイチャーズウェイ)、肌の上でさらさらに変化するクリームチーク。優しい印象をつくるク リアなピンク。ビューティースキンクリエーター PK355¥2,300/マキアージュ(資生堂) 暖色系のチークを頬のかなり下の方、更には横長に広めにチークを入れている ジュリエット・ビノシュ。役どころに合わせて、華やかで知的な女優であるビノシュの顔をあえて若く、幼いように見せています。優しい印象にしたいときや、ナチュラルなファッションに似合うメイクのテクニックです。 movie ② Trois Couleurs : Bleu(トリコロール / 青の愛 - 1993)「もう、生きがいもないわ。なにひとつ。思い出もいらない。友情も愛も私を縛る罠だわ」「最後に残るのは信仰と希望と愛この3つの中で最も尊いのは“愛”」 フランス国旗の3色(青=自由 白=平等 赤=博愛)をテーマに女性を描いた3部作の1作目。音楽家の夫と最愛の娘を交通事故で亡くしたジュリ ー(ビノシュ)は、つらい過去を断ち切るために、財産を手放し、パリでひとり暮らしを始める。悲しみの底から再生していく女性を熱演。1993年ヴェネツィア映画祭で、最高賞の金獅子賞に加え、ビノシュは女優賞を獲得、セザール賞でも主演女優賞に輝いた。美しい叙情的な音楽に包まれながら、パリ5区の町並みや、フレンチシックなファッションも楽しめる。監督:クシシュトフ・キェシロフスキ/出演:ジュリエット・ビノシュ、ブノワ・レジャンほか 『トリコロール / 青の愛』での役どころと、彼女のメイクとは? 作曲家の夫と娘を交通事故で亡くし、絶望の果てを彷徨いながら、わずかな希望を信じて生きていく女性。終始メランコリックなトーンの映画のなか、ビノシュのスタイリッシュなボブヘアと、全身黒に身をまとったマニッシュなファッ ションが、まさにパリジェンヌらしいルックス!有名な音楽家の夫を影で支えた知的で洗練された女性の内面を、長くはっきりと した眉とブラウン系のナチュラルメイクがよく物語っています。 (左下から時計回りに)にじみにくい処方で自然な仕上がりが続く。アイブロウパウダー 01 オリーブグレー ¥3, 200/ナチュラ グラッセ(ネイチャーズウェイ)、4色を自由に混ぜ合わせて、髪色やなりたい色に仕上げるアイブロウパレット。カラーリングアイブロウパウダー BR-3オリーブブラウン¥1,200(編集部調べ)/ヴィセ リシェ(コーセー)、ベルベットな質感でナチュラルマットな眉に。ブローパーフェクター1126 ブラウン ¥2,700/NARS(ナーズジャパン)、パウダー感が強めで描いた跡が浮きにくく使いやすい。ファッションブロウ パウダーインペンシル BR-5 カーキブラウン ¥1,000/メイベリン ニューヨーク 自然な顔の凹凸を強調するようなブラウンメイクと芯の強さを感じる長く濃い眉で、知的な女性らしさを辛く悲しい運命の中に、ほのかな明るい兆しを見出すビノシュの演技は、観る人に深い感動を与えます。苦悩しながらも次第に運命と向き合う、聡明でたおやかな女性らしさが光る彼女のメイク。眉尻を長めに足し、更にはっきりと眉尻まで描き上げて、ビノシュのもつ品格を宿すようにメイクするなんて素敵です。 photograph:Yumiko Yokota[STUDIO BANBAN](item) / Aflo(scene)make-up advisor:Yoko Yoshikawaedit&text(cosmetic):Kaoru Tateishitext(movie,actress):Ayumi Nishitani[uzocoya] kiitos. vol.8より
2018年06月24日数々の傑作を残した巨匠クシシュトフ・キェシロフスキ監督の没後20年を記念した特集上映が、7月に東京・渋谷のBunkamura ル・シネマで行われることが決定した。『トリコロール』3部作や、初期作など全10作品が35ミリフィルムで上映される。クシシュトフ・キェシロフスキ名作/その他の情報クシシュトフ・キェシロフスキは、ポーランドで生まれ、ドキュメンタリーの世界で活躍した後の1976年に初の長編映画『傷跡』を発表。テレビドラマシリーズ『デカローグ』や、イレーヌ・ジャコブを主演に迎えた『ふたりのベロニカ』、フランス政府の依頼を受けて製作した“トリコロール3部作”など多くの名作を残した。日本でも監督の人気は高く、1996年に監督がこの世を去った後も、回顧上映が行われ、新たなファンを獲得している。ル・シネマは、多くのキェシロフスキ作品を封切り時に上映してきた映画ファンにとってはおなじみの劇場で、日本での上映権が切れている作品については、今回の特集のために特別に上映許可を取得。すべてが貴重な35ミリ・フィルムで上映されるのも大きなポイントだ。クシシュトフ・キェシロフスキ没後20年記念 特別上映『トリコロール/青の愛』『トリコロール/白の愛』『トリコロール/赤の愛』『ふたりのベロニカ』『愛に関する短いフィルム』『殺人に関する短いフィルム』『終わりなし』『偶然』『アマチュア』『傷跡』7月9(土)から22日(金)までBunkamura ル・シネマで開催(c)1993 MK2 Productions / CED Productions / FR3 Films Productions / CAB Productions / Studio Tor, (c)1993 MK2 Productions / France 3 Cinema / CAB Productions / Film Studio Tor, (c)1994 MK2 Productions / France 3 cinema / CAB Productions / Film studio TOR
2016年04月27日