「銀巴里から生まれたうた」をテーマに、金子由香利のシャンソン『時は過ぎてゆく』と美輪明宏のオリジナル曲『ヨイトマケの唄』をカバーした楽曲を7月12日にリリースしたシャンソン歌手のクミコ。クミコ チケット情報「銀巴里」とは、美輪明宏、金子由香利、戸川昌子などを輩出した伝説のシャンソン喫茶で、クミコも出演者の一人だった。1982年6月、銀巴里のオーディションに合格し、プロデビュー。当時、27歳だった。だが、オーディションでもオリジナル曲を披露したように、もともと“シャンソン畑”ではなかったクミコは、銀巴里のステージに立つも「いつでも逃げ出したいと思い続けていた」と明かす。「銀巴里に入ってからもシャンソン的なヒエラルキーに馴染めなくて。掟やぶりみたいな歌もたくさん歌って。自分の事を“シャンソン歌手”と言う時、絶対に“なんちゃって”がつくんです。“なんちゃってシャンソン歌手”。今もずっと思い続けています」。そんな思いを抱きながらも、今年、金子由香利、美輪明宏というシャンソン歌手の代表的存在のふたりのカバーをすることとなった。「金子さんの歌とか、ましてや美輪さんの『ヨイトマケの唄』を歌う日が来るとは本当に思ってなかった」とクミコ。だが、一大決心したのは、シャンソンこそが年齢を重ねても唯一、現在進行形で歌える歌だと実感したからだという。「シャンソンは80歳を過ぎても歌われている方がたくさんいて、皆さん誇りを持って、色香を失わず歌っていらっしゃる方ばかりで。他のジャンルでは、そういう方ってなかなか少ないですよね。年を重ねるとリズム感も落ちたり、負になることがたくさんある中で、負にならないジャンルはシャンソン系しかないなと思ったんです」。シャンソンは時間を武器にできる歌。「自分自身、再来年に古希を迎えるにあたっても、真剣にシャンソンに向かい合って、先輩方の思いを継いでいく者としてもやっていかなければいけないなと思いました」。決意と覚悟を新たにクミコはステージに立ち続ける。10月7日(土)には、リニューアルした神戸朝日ホールのオープニングシリーズでのコンサートを開く。「神戸朝日ホールのオープニングシリーズの一人に入れていただいて光栄です。神戸は本当に久しぶりです。私にシャンソン的なものを教えてくれた元夫がたまたま神戸の出身で。これもご縁の一つだと思いますので、神戸の方も、大阪の方も、京都の方も、よろしければぜひお越しください。クミコスタイルのシャンソンですけれども、皆さんの心を揺さぶれたらいいなと思っています」。取材・文:岩本
2023年09月21日シャンソン歌手の佐々木秀実による『佐々木秀実 デビュー20周年コンサート2023~歌は我が命~』が2023年4月15日(土)に東京・I’M A SHOW(アイマショウ)で、22日(土)に大阪・心斎橋PARCO14F SPACE14で開催される。阿久悠氏に見出され、2002年にオリジナル楽曲「懺悔」でCDデビューした佐々木秀実。本来ならば昨年2022年が20周年だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響があり、今年に記念コンサートを開催することに。佐々木は「東京オリンピック・パラリンピックも1年延期したからと思ってね。本当の20周年にできなかったから寂しい気持ちもなくはないけれど、こうしてコンサートを開催することができて本当に嬉しい」と思いを語る。予定曲目は「聞かせてよ愛の言葉を」「ヨイトマケの唄」「愛の讃歌」、そして2017年以来の新曲「愛の詩/カフェオーレ」など。今回のコンサートについて、佐々木は「自分が歌ってきた中で出会った方々、佐々木秀実をずっと近くで見てくださった方々がたくさんいます。その方々からいただいたメッセージとともに、20年を振り返る内容にしたい」と構想を話す。佐々木は急性咽頭腫瘍のため入院していた13歳のときに、母親からエディット・ピアフの自叙伝とベスト盤をプレゼントされ、シャンソンと出会ったという。「(ピアフの歌は)魂が叫ぶような、命丸ごと歌い上げるような歌声だった。(手術の影響で)もし声がなくなって歌えなくなったとしても、こういう歌に出会えたことが嬉しかったし、もし喉が治ったら、私はこういう歌を歌いたいと思った。あの出来事は一生忘れません」と語る。佐々木はシャンソンに出会うまでを「第1章」、そして出会ってから今までを「第2章」と位置付ける。「私はプラス思考なんでしょうね。過去を振り返ることをあまりしてこなかったんですが......もしかしたらこのコロナ禍の3年間が一番つらかったし、切なかったかもしれないと思うんです」。生で歌声を観客に届けたり、同じ空間を共有したりする場が制限された日々もまもなく終わろうとしている今、「ここから第3章が始まる気がして。ワクワクしていますし、頑張らないといけないなと思っています」。取材・文:五月女菜穂
2023年03月23日シャンソン歌手のクミコが歌う『妻が願った最期の「七日間」』が話題を呼んでいる。新聞の投稿欄に掲載された「七日間」という一遍の詩から生まれた楽曲で、詩の作者は2018年1月にがんで他界した宮本容子さん。「もしも神様が元気な7日間をくれたら」という容子さんの願いが込められている。そこには、ごく普通の日常がいかに豊かで、尊いものであるかという思いも描かれており、容子さん亡きあと、夫の英司さんが投書したことで多くの共感を呼び、書籍化もされた。そんな中、クミコの元へ英司さんより「歌ってほしい」との手紙が届いた。そして数々のヒットを生み出したプロデューサー酒井政利の手により、純愛をテーマにした歌になってリリースされた。「クミコ」チケット情報「朝日新聞の投書をリアルタイムで読んでいて、世の中には映画のようなご夫婦がいらっしゃるのだなと感動していたんです。そして昨年12月に英司さんからご本とお手紙が届いて、やっぱりご縁があるのかなあと思いました」とクミコ。「七日間」を歌うことは、必然の出会いような気持ちでもあったという。「人が生きるということと、死ぬということは表裏一体。最期を考えるということは、今をどう生きるかということでもあるので、そういう歌を託されるには私自身、ちょうどいい年代に入っているのかなと思います。何か、歌の方から寄り添ってくれたような感じです」。「七日間」から伝わる英司さんと容子さんの「純愛」。「おふたりの往復書簡のようにご本を読んでいると、70代というご年齢にもかかわらず純度が高いことにびっくりして、うらやましいなと思いました。何十年も一緒にいると、大変なこともいろいろあったと思いますが、そういう中でもきちんと鮮度を保っていられたのは、お互いを名前で呼んでいることも大きかったと思います。人間として、男と女として、見つめ合い続けたからこそでは」。人の心を大きく揺さぶる楽曲だけに、歌う時は気持ちを入れ込み過ぎないようにしていると話す。「おふたりの宝石のようなお話を、泥にまみれたような世の中にそのまま出したいと思いました。歌い手が入れ込み過ぎると、しらけてしまうこともあるので、シャンソンもそうですが、どの歌も愛の歌はなるべく客観性を持った方が届きやすいのかなと思います」。9月23日(月・祝)には、作詞家・岩谷時子の楽曲をメインに歌うコンサートも控えている。「女性の作詞家の中で、一番好きな方です。岩谷さんの歌の世界もぜひお楽しみください」。取材・文:岩本和子
2019年09月13日恒例となった美輪明宏の秋のコンサート。今年は『美輪明宏の世界~愛の話とシャンソンと~』と題して開催される。シャンソンの名曲の数々に、そしておしゃべりに、何を込めるのか。美輪の思いをたっぷり聞いた。【チケット情報はこちら】「私のコンサートに来られたお客様は、よく、“映画を何本も観たような気持ちになる”とおっしゃいます。なかでもシャンソンは、いろんな人生のドラマが歌われていますから、そこから生きることを楽しむ方法を学べたりもするんです。たとえば恋愛に関しても、尽くして尽くして裏切られるという歌が多いのですが、そんな歌を聴けば、失恋してつらい思いをしてらっしゃる方も、きっと歌のヒロインのようにいい女になったつもりで生きていけるでしょうし(笑)、お仲間がいるとホッとして、ひとりでひがんだり妬んだり嫉んだりしなくてすむと思うんです」。そんなふうにシャンソンが描く世界は私たちの人生に励ましや安らぎを与えるのだと、詞の魅力を語る美輪。さらには、そのドラマチックで詩的な詞を乗せるメロディの美しさも格別だと言う。「デジタル化が進んだ今の人工的な音と違って、メロディに色彩があるんです。歌い手たちも豊潤な声で歌っていました。そういった美しい叙情にぜひ触れてほしいんです」。そこには、「芸術こそが今の荒れた世の中を落ち着かせてくれると思うんです」という美輪の強い信念がある。かつてシャンソン歌手として「銀巴里」で歌っていた頃には、文化人が集い芸術を語り合う時間があった。「フランス映画やドイツ映画も人気で、日本映画も小津安二郎監督や成瀬巳喜男監督の叙情的な素敵な作品がたくさんありました。もしかしたら今の若い方には、却ってレトロなものが新しく感じられるかもしれませんし、スマホやゲームから離れてそうした芸術に触れることで豊かな情操が育まれると思います。ですから、シャンソンもそんな芸術のひとつとして復活させたいと思い、今回のコンサートはオールシャンソンでいくことにしたんです」。朝ドラ『花子とアン』や紅白歌合戦で話題になった美輪の訳詞による『愛の讃歌』も歌われる。『バラ色の人生』『枯葉』といった珠玉の名曲は原曲のままフランス語で。曲の合間の語りには、歌にまつわる話はもちろん、少しでも幸せな世の中になるようにという美輪の愛があふれることだろう。美輪明宏が届けてくれるものは、やはり特別である。公演は9月7日 (土)から東京・東京芸術劇場 プレイハウスにて。チケット好評発売中。取材・文:大内弓子
2019年08月09日フランス歌謡・シャンソンの深みを味わえる「レジェンドたちのシャンソン 2019シリーズ」が今夏を彩る。錚々たる面々が集う同コンサートを牽引するひとりが、1955年8月5日の新派公演にて水谷良重の名で初舞台を踏んだ同日、「ハッシャ・バイ」でジャズ歌手デビューも果たした当代・水谷八重子だ。【チケット情報はこちら】「“あたし”の歌の育ちには終戦が絡んでいますからアメリカが優先で、しばらくの間、シャンソンは食わず嫌いでした」と振り返る。同ジャンルに傾倒したきっかけは、日本を代表するシャンソン歌手・越路吹雪だった。越路といえば、元宝塚歌劇団トップスターにして、希代のシャンソン歌手エディット・ピアフの伝道師。八重子は越路の公私においての「人間力」に惹かれたと眼を細める。加えて、日本におけるシャンソンの浸透については「岩谷時子先生のお力ね」と懐かしむ。岩谷は名作詞家かつ訳詞家のみならず、越路のマネージャーでもあった人物だ。八重子いわく「越路のお姉と岩谷先生は、日本のお客様の前で歌うんだから、どこの国のものでも日本語で伝えなければというのが信念。私もできるだけ言葉と、言葉の裏にある気持ちを伝えたいという思いでコンサートに臨んでいます」そんな八重子が今回、ソロナンバーとして披露するのは『人生は過ぎ行く』、『愛の讃歌』、『夢の中に君がいる』、『サン・トワ・マミー』、『ラストダンスは私に』、『兵士の別れ』の5曲。それぞれ副題に、18日は「~4人の巴里祭~」、19日は「~歌と朗読で綴る シャンドン・ド・パリ~」と冠され、異なるラインナップが用意されている。元宝塚歌劇団トップスターで女優の安奈淳とデュエットする『ろくでなし』も注目すべき1曲だ。通常、明るく歌われることが多い同曲だが、八重子は「実はとても悲しい曲。だって人から『ろくでなし』と言われたことで街から出て行かなければならないんだもの……でも今回は安奈さんとご一緒。役を交代するように気持ちも入れ替わり立ち替わりして歌えますので、楽しい『ろくでなし』になると思います」。本公演に懸けるを思いを「歌の場合、相手役はお客様。ですから、どうぞいい相手役に出会えますようにと祈っています」と締め括りつつ、「『セックス・マッド』がやりたいのよ!」と同席したプロデューサーに談判。かつてフランスのレビュー・スター、ジジ・ジャンメールが日比谷公会堂で披露した際に八重子が感銘を受けた、キワドイ内容の曲だというから聴き逃せない。細部にこそ魂が宿ると言われるが、一音にも同じことが。「越路さんは“歌詞に“わたし”とあっても、“あたし”って歌わないと色気がなくなるよ”と。折しも同時期、母(初代・水谷八重子)が“新派の芝居では、“わたし”って言っちゃ堅くなるからね。”……そんな奇遇を受けて、岩谷先生が新派のお芝居の曲を書き下ろしてくださった時、タイトルを“あたし”にしたこともあるのよ」。来年で芸能生活65周年を迎える希代の歌姫に出逢いに、ヤマハホールを訪れてみては?取材・文:山田美穂
2019年06月13日今年、日本では「平成の歌姫」の引退によって、ひとつの時代が終わりを告げましたが、どの国にも時代を象徴する伝説的な歌姫の存在はいるもの。今回ご紹介する映画は、1950年代から「シャンソン界の女王」と呼ばれていたフランスの国民的歌手バルバラの人生を描いた『バルバラ~セーヌの黒いバラ~』です。そこで、本作の裏側について、こちらの方に語っていただきました。それは……。写真・大内香織(ジャンヌ・バリバール)フランス人女優ジャンヌ・バリバール!【映画、ときどき私】 vol. 198女優としても歌手としても活躍しているジャンヌさんですが、本作ではかつて実生活でパートナーだったフランスを代表する俳優であるマチュー・アマルリック監督の作品に主演し、バルバラを見事に演じています。そんななか、映画にかける思いや人生観などについてお話いただきました。―このバルバラという役は、これまでも映画や芝居で何度もオファーがあったそうですが、そららはすべて断ってきたとおうかがいしました。そのなかで、今回出演を決めた理由はなぜですか?ジャンヌそれは監督ね。なぜなら、私にとって一番大切なのは、テーマではなくて監督であり、その監督が題材をどうとらえているかという視点がとても重要なことだからよ。マチュー・アマルリック監督とは強い信頼関係がある―では、ジャンヌさんからご覧になったマチュー・アマルリック監督とは、どんな方ですか?ジャンヌ彼はいつもすごく深みがあるとてもオリジナルな作品を作る監督。だからこそ、今回も単なる伝記映画ではなくて、独創的なものを作ってくれるだろうという確信が私のなかにあったの。特に今回の主人公はバルバラということもあり、なおさらそういうものを作る必要があったのよ。というのも、バルバラという人は私たちフランス人にとってもミステリアスな人だったから、伝記映画といいつつも、ミステリアスな部分を残すということが私にとっても彼にとっても大事なことだったと言えるわね。―それだけ有名な人物を演じることに対しては、どのようなお気持ちでしたか?ジャンヌとても興奮していたわ。なぜなら、バルバラというシンガーは、私が若い頃にとても重要な存在だったのよ。彼女の歌には、人間としての生き方だけでなく、「自由であるためにはどうすればいいか?」ということが透けて見えるところがあったの。誰にとっても自由に生きることはとても大変なことではあるけれど、とりわけ女性にとっては難しいこと。でも、バルバラのおかげで、たとえ完璧な自由というものがなくても、できるだけ自由であろうという気持ちになったのよ。映画よりも人生のほうが難しいことでいっぱい―今回、劇中ではブリジットという女優の役を演じながら、ブリジットが演じるバルバラを表現するという難しい役どころだったと思います。女優としても、チャレンジだったことはありましたか?ジャンヌ何も難しいことはなかったわね。だって、実際の人生のほうがよっぽど難題が多いのよ(笑)。それもあって、映画のなかでは難しさを感じることはなかったし、むしろ映画を作れることに幸せを感じていたわ。―映画の現場では、大変なことがあっても、幸せな気持ちのほうがより強いということですか?ジャンヌもちろんそうよ。だから、ダメ出しばっかりするような監督とは一緒に仕事したくないの(笑)。―だからこそ、最初にお話されていたように、作品選びでは監督が一番大切だということにつながっているのですね。ジャンヌそういうことになるわね。ちなみに、私にとってマチューとの仕事が合う理由は、極めて楽だから。というのも、私たちは若いときに映画作りを一緒に始めて、映画を作ることの楽しさを一緒に発見したという経緯があるからなの。だから、私たちはすごく強い信頼関係で結ばれているのよ。今回の映画では、歌手としてのバルバラを生きると同時に、私たちが若かったころに彼女の曲を聞きながら自分がどんな青春を送ってきたのかというのをもう一度思い出し、追体験するような部分もあったわね。歌手と女優で違うこととは?―撮影を進めるなかで、これまでご自身が抱いていたバルバラ像に変化はありましたか?ジャンヌ確かに違いはあったわね。発見したのは、彼女のなかにはすごくやさしい部分とすごく不愛想な部分が共存しているということ。あと、今回はピアノでの弾き語りをしないといけなかったので、過去の映像もたくさん見たんだけれど、そのときに気がついたのは、彼女はいつもどこを見ているのかわからないような視線をしているということなの。そこで私は、「彼女はきっとその視線を自分の内側に向けているのではないか」思うようになったわ。―では、実際に演じてみてどう感じましたか?ジャンヌだから、私も同じようにしてみようと思って演技していたら、ちょうどカメラのレンズに映る自分を見つけたんだけど、そのときに「もしかしたらバルバラは、内側だけでなく、歌いながら自分の姿を見ていたのかも」と感じるようになったの。それはとても興味深いことだったわね。なぜなら、女優は演じている自分の姿を見ながら演技なんてできないもの。そこが女優と歌手との違いだとも感じたわ。変わっている部分も含めて自分を受け入れている―そのなかで、同じ表現者として影響を受けたり、共感したりしたことはありましたか?ジャンヌもちろんあったわ。たとえば、私もちょっと変わっている部分があるんだけど、彼女と同様にそれを受け入れているということね(笑)。あと、共感するところで言えば、自分だけの世界で生きるのではなく、人道的な関わり合いを持って世界を見ているというところかしら。彼女は不幸な状況にいる人たちを何とか助けられないかという思いで歌っていたと思うんだけど、私も同じ思いで女優をやっているのよ。オンとオフはボタンを押すように切り替える―今回はバルバラという役にどんどんと引き込まれていくブリジットという女優の姿も演じていましたが、ご自身も役に引きずられるようなことはありますか?ジャンヌ私はそういうことはないわね。でも、私とブリジットが全然違うタイプの女優だからこそ、この作品ではおもしろいものが撮れたと思うわ。―ということは、ご自身は仕事とプライベートのオンオフは、うまく切り替えられるタイプということですか?ジャンヌそうね。私はまるでボタンを押すようにすぐに変えられるの(笑)。特に何か意識してはいないけど、自然にできるのよね。―だからこそ、楽しみながらお仕事を続けられるのだと思いますが、モチベーションになっているものは何ですか?ジャンヌほかのことは何もできないし、演技をしている瞬間が私は大好きなの。もちろん、それ以外のことでうんざりすることもあるけれど、舞台やカメラの前で演技するのがとにかく楽しいのよ。女性の人生はやることがいっぱいだから疲れすぎてはダメ―ジャンヌさんのように自分らしく人生を謳歌しているフランス人女性に憧れている日本の女性は多いので、ぜひananweb読者にもメッセージをお願いします!ジャンヌ人と同じでいなきゃいけないという思いに疲れるときもあると思うけど、女性として人生でやることはいっぱいあるわよね?だから、疲れすぎないで、ちゃんとエネルギーを残しておかなきゃダメなのよ!あと、この映画から感じて欲しいのは、バルバラのように自分の恐怖や不安というものをうまく使えるようになって欲しいということね。彼女は父親からの虐待やユダヤ人であったことでつらい時期も経験しているし、下積みも長かったから強い不安をつねに抱いていた女性。でも、だからこそそれをうまく使って、周りの人たちに感動するものを差し出したことができたんだと思うから、そういう部分をぜひ見てもらいたいわね。インタビューを終えてみて……。チャーミングな笑顔とクールな大人の女性の表情とのギャップに、思わずドキッとさせられてしまうほど魅力的なジャンヌさん。独特な空気感とオーラには、終始引き込まれっぱなしになりました。バルバラ同様に芯の強さを持つジャンヌさんのような女性には、ただただ憧れるばかりです。女の生き方は、十人十色!歌手のバルバラと、それを演じる女優のブリジットという2人の女性たちの人生が交錯して描かれている本作。波乱に満ちた彼女たちとともに、まるで一緒に旅をしているかのような感覚を味わえるだけでなく、魂の歌声にも心を揺さぶられるはずです。ストーリーパリにある撮影スタジオでは、フランスを代表するシャンソン歌手であるバルバラを描く映画の撮影準備が行われていた。主演を務めるブリジットは、役作りのために映画のセットさながらの部屋に暮らすこととなる。しかし、いつしかブリジットはバルバラにとりつかれたようになってしまうのだった。世界を熱狂させた“孤高の歌手”バルバラの本当の姿とは?美しさに引き込まれる予告編はこちら!作品情報『バルバラ ~セーヌの黒いバラ~』11月16日(金)、Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開配給:ブロードメディア・スタジオ© 2017 - WAITING FOR CINEMA - GAUMONT - FRANCE 2 CINEMA – ALICELEO
2018年11月15日予期せぬ別れを迎え、愛する人に伝えられなかった思いをつづった一編の詩から誕生した『最後だとわかっていたなら』を今年3月にリリースしたシャンソン歌手のクミコ。包み込むような優しさの中に凛とした芯の強さも感じるクミコの歌声が、聴く者を魅了する。クミコチケット情報「2017年の秋ごろ、歌ってみませんかというお話がありました。詞だけを読むととても重く、どういう声で歌えば伝わるだろうかと試行錯誤しました。でも、歌うたびに響きが変わって。歌い方に正解はありませんから、日々、変わっていくものなのかなと思います」と楽曲との距離感を語るクミコ。一方で、今だからこそ出会ったと深い縁も感じている。そのことを如実に表しているのが、年老いた男女とひとりの女性を描いたアニメーションで展開する同曲のミュージックビデオだ。この女性はクミコをモデルにしているという。クミコは今、90歳を超えた両親の介助も担っている。「歌うたびに自分が戒められている感じがしました。疲れているとイライラしてしまって、つい両親に対する言葉もきつくなって。そんな自分が嫌にもなって。そんな時に口ずさむと気持ちがすっと鎮まるのです。この歌はお守りのような存在ですね。私の実生活と切り離せないものになっているので、まさしく自分のドキュメンタリーのような歌だなと思っています」。同じような思いを抱えた人や境遇の人が大勢いる。「応援歌という言い方はおかしいかもしれませんが、少しでも慰めになれば」。9月1日(土)には大阪でコンサートを開く。一部は越路吹雪も歌ったシャンソンの名曲を、二部は『最後だとわかっていたなら』や『わが麗しき恋物語』をはじめとするクミコのオリジナルソングを披露する。「シャンソンはメロディもわかりやすく、歌詞も物語性があります。歌の中には大体、落語に出てきそうな、どうしようもない人たちが登場します(笑)。このコンサートでは、見終わった後に“人間って愛しいな”と思ってもらえたら」。公演は、9月1日(土)大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて。チケットは発売中。取材・文:岩本和子
2018年08月17日毎年恒例となった美輪明宏の秋のコンサート。今年は『美輪明宏の世界~愛の大売り出し2018~』として開かれる。タイトルに込めたのは、とげとげとした今の世の中を愛で癒やしたいという思い。いつも以上に、会場には愛があふれそうだ。【チケット情報はコチラ】美輪のコンサートといえば、日本の抒情歌やオリジナル曲、シャンソンを歌うのがおなじみとなっているが、今年美輪が歌うのは、その多くがシャンソンになるという。「今や本場フランスでも、シャンソンの名曲、名歌手を知らない人がいる時代です。このまま埋もれていってしまうのは非常にもったいないと思うんです」。長年シャンソンを歌い続け、フランスやスペイン、ドイツにも招待されてコンサートを行ってきた美輪だからこその思いだ。また、シャンソンの魅力として、多種多様な形式を持ち、そこに必ずドラマがあることを挙げる。「たとえば、私がよく歌っている『人生は過ぎ行く』というのは、男に捨てられ最後に窓から飛び降りる女の歌ですが、ジャン・コクトーの一幕もののドラマのようなんです」なかでも今回美輪が作り上げたいのは、愛のあふれるロマンチックな世界観だ。「デジタル社会の今、子どもたちを含め、ナマの人間のため息、瞬き、肌触りといった、いわゆるアナログ的なものを、どこか生理的に憧れ求めているのではないかと思うんです。ところが、どうすればいいのかわからないから、みんなイライラしています。それを癒やすのに大きな力を発揮するのは、やはり芸術だと思います。人間がなぜ芸術を大事に育んできたかというと、それが精神を豊かにしてくれたからです。いわば、精神を正常に保つための自己防衛として、芸術を必要としてきたんです。だから歌い手や絵描きは、自分の持っている才能を活かして、みなさんに愛を与えて与えて与えていくことが使命だと思います」今年のサブタイトルは、『愛の讃歌』や『ヨイトマケの唄』といった数々の名曲にまつわるエピソードや思いを綴った最新刊『愛の大売り出し』にちなんでつけられた。歌の合間のおしゃべりも毎回のお楽しみだが、きっとそこでも美輪の愛を受け取ることができるだろう。取材のなかでもこんな言葉が飛び出した。「私はいつも、人生すべて腹六分と申し上げてますけど、ケチり過ぎては摩擦が起こります。感謝やねぎらいの言葉は気前よくおっしゃってください(笑)」。愛の歌と言葉に包まれたなら、自分自身も少しやさしくなれるかもしれない。公演は東京・東京芸術劇場プレイハウスにて9月16日(日)より。その後、全国を巡演。取材・文:大内弓子
2018年07月31日フランスの国民的シャンソン歌手、シャルル・アズナヴールの2年ぶりとなる来日公演が2018年5月21日(月)に大阪、23日(水)に東京で開催されることが決定した。【チケット情報はこちら】2018年5月22日(火)に御年94歳を迎えるシャルル・アズナヴール。日本のシャンソンファンの熱い想いに応え、奇跡の来日公演が決定した。シャルル・アズナヴールは1924年生まれ。1946年にエディット・ピアフに認められ本格的に歌手活動を開始。その後、当時ピアニストであったポール・モーリアをアレンジャーに迎え数々のヒットソングを発表。代表曲に、後にエルヴィス・コステロがカバーしリバイバルヒットした『She』(映画『ノッティングヒルの恋人』主題歌)などがある。今年8月には、80年以上にもおよぶ芸能活動の功績が讃えられ、ハリウッドの殿堂入りを果たした。チケットの一般発売に先がけて、プレイガイド先着先行を実施。受付は12月1日(金)昼12時から2018年2月24日(土)9時59分まで。■シャルル・アズナヴール「生誕94周年 特別記念 来日コンサート」2018年5月21日(月)NHK大阪ホール(大阪府)開場 18:00 / 開演 19:005月23日(水)NHKホール(東京都)開場 18:00 / 開演 19:00料金:VIP指定席25,000円(税込、1階センター席確約・グッズ付・VIP専用ゲート)S指定席16,500円 (税込)A指定席13,500円 (税込)※東京公演のみ★★以下のリンクより「シャルル・アズナヴール」をお気に入り登録して、情報をゲット!
2017年11月07日今年のコンサートは、『美輪明宏の世界~シャンソンとおしゃべり~』と題して開かれる。フランス生まれのシャンソンは、これまでも、自作の曲、日本の抒情歌などとともに長く歌ってきたもの。しかし、今こそ、その歌が持つ魅力を届けたいのだという。新しいプログラムに込めた思いを美輪明宏に聞いた。美輪明宏の世界 チケット情報美輪が今年のコンサートで全面的にシャンソンを取り上げたいと思ったのは、危機感が発端だった。「最近は若い方の中に“シャンソン”という言葉自体がわからないという人がいらして、化粧品か何かのことだと思っていたとおっしゃるので(笑)、私、シャンソンはそこまで衰退しているのかと唖然としたんです」。国立音楽大学付属高校を中退後、16歳にしてプロの歌手として活動を始めたときから、クラシック、タンゴ、ラテン、ジャズと、様々な音楽を歌ってきた美輪だが、中でもシャンソンは得意とするところ。甘い愛を歌う魅惑的なもの、失恋を歌うセンチメンタルなもの、人生の現実的な問題を歌うリアリスティックなものなど、シャンソンはいくつものジャンルに分かれており、歌われるその世界の豊かさに、美輪の表現力が活かされるのだ。「私のコンサートに来ると映画を何本も観たような気分になると言ってくださる方もいらっしゃいます。お芝居のようにいろんな物語や感情が描かれた、こういうドラマチックな大人の歌もあるのよと、聞いたことのない方にもぜひ知っていただきたいんです」さらに美輪には、かつて自身が歌ってきた場所の熱を届けたいという思いもある。たとえば、江戸川乱歩や三島由紀夫、川端康成などが集った伝説のライブハウス“銀巴里”。「ジャン=ポール・サルトルやボーヴォワール、ジャン・コクトーが集まったパリのカフェのように、銀巴里を文化の発信地にしていったんです。その後の渋谷の“ジァンジァン”もそうでしたが、そういう大人のロマンを楽しめる場所と時間を、せめてこのコンサートで再現できたらなと思っています」。原曲の壮大さを伝える美輪ならではの「愛の讃歌」ももちろん歌われる。ほか、最初の大ヒットとなった「メケメケ」、美輪の訳詞がより深く人間の生き方を問う「愛する権利」など、珠玉のシャンソンが並ぶ予定だ。合間のおしゃべりでは、シャンソンにまつわる話も聞ける。「いろんなケースの人生の歌がありますから、身の上相談をするつもりで来ていただければなと思います(笑)」と冗談めかしたが、美輪は歌でもまた、生きる力をくれる。公演は9月8日(金)から24日(日)まで東京芸術劇場 プレイハウス、10月13日(金)愛知県芸術劇場 大ホールにて。チケット発売中。取材・文:大内弓子※曲目は変更になる場合がございます。ご了承くださいませ。
2017年07月05日