米ミシシッピ州セントルイスのセントルイス動物園で13日、27歳のメスのアジアゾウ、ラニが急死していたことがわかった。直接の死因はまだ調査中だが、園内で走り回っていた小型犬が関係している可能性が高いという。地元メディア「St. Louis Post-Dispatch」などが報じている。この日の午後、非公開のゾウエリア付近で園内で飼い主のいない小型犬が目撃されていた。ラニはゾウ舎の中で食事をしていたため犬と鉢合わせしたわけではなかったが、飼育員が犬を追いかけるうちに他のゾウたちが興奮し始めたという。飼育員が騒ぐゾウたちを園舎内に移動させると、仲間たちの興奮がラニにも伝わり、ラニは大声をあげながら園舎内を旋回。その次の瞬間、地面に倒れ込んでしまったそうだ。飼育員と獣医はすぐに蘇生処置を施したが、ラニが息を吹き返すことはなかった。St. Louis Post-Dispatchは、元凶となった犬は迷い犬で、フェンスやゲートの隙間から園内に侵入したという動物園関係者の見解を伝えている。また園内は、介助動物を除きペットの同行は許可されていないという。NBC NEWSによると、ラニは’01年に母親のエリーと共にセントルイス動物園にやって来た。52歳のエリーは今も元気で動物園で暮らしているという。
2023年10月19日6月1日、ブロードウェイを目指す宮本亞門演出の新作ミュージカル『カラテ・キッド』が、アメリカ中西部セントルイス郊外のカークウッド・パフォーミング・アーツ・センターで開幕した。日本では『ベスト・キッド』(1984)のタイトルでヒットした映画『カラテ・キッド』は、か弱い少年ダニエルが、沖縄出身の空手の達人ミヤギに出逢い、その技と精神を学んでゆく成長物語。2018年からは登場人物の34年後を描く続編ドラマ・シリーズ『コブラ会』がYouTubeやNetflixで放映され話題となっており、人気が再燃している。構想から十年余というこの初の舞台ミュージカル化には、映画版と同じロバート・マーク・ケーメンによる脚本、ヒップホップ系の注目株ケオネ&マリ・マドリッドの振付といった他ジャンルからの才能と、昨年『ムーラン・ルージュ!』でトニー賞を受賞した舞台美術のデレク・マクレーンら、ブロードウェイ常連のトップ・クリエイティブ・スタッフが集結。演出の宮本亞門とプロデューサーの吉井久美子コンビが、『太平洋序曲』(2004)以来のブロードウェイ入りを念頭に創り上げ、トライアウト(試演)に漕ぎ着けた。宮本亞門会場のカークウッド・パフォーミング・アーツ・センター内のロス・ファミリー劇場で5月25日にプレビュー公演が始まり、一週間を経て正式オープンとなったこの晩には、地元の観客に加え、ニューヨークからも多くの業界関係者がつめかけた。会場となったセントルイス郊外のカークウッド・パフォーミング・アーツ・センター©Ingrid Borecki舞台中央の黒松の盆栽に、スポットライトが当たっている。障子を思わせるスクリーンと桟で仕切られた背景の中央に、その美しい枝振りのシルエットが映り、中から化身のような5人のダンサーが登場すると、たちまちスピリチュアルな空気が舞台を満たした。一転して、塞ぎ気味なダニエル少年と息子に手を焼く母ルシールの会話で、映画版でなじみのある世界が始まり、やがてコブラを描いたアイコンとともに黒い道着の猛者たちが勢揃いするコブラ会道場が現れると、客席からは怒濤の大歓声。空手の型を取り入れた力強くもクールな演武的ダンスシーンではしばらく拍手が鳴り止まず、文字通りショーストッパーとなった。こうした印象的なダンスシーンの数々と可動パネルを駆使したハイスピードの場面転換では、アンサンブルキャストが大活躍。新鋭ドリュー・ガスパリーニの親しみやすくツボを心得た楽曲も、多大な貢献を果たしていた。The Company of THE KARATE KID – The Musical, 2022 by Danny Zofness of DTK Studios.The Company of THE KARATE KID – The Musical, 2022 by Danny Zofness of DTK Studios.大いに盛り上がった初日を終えた宮本は、「今日は開演前に、クリエイティブスタッフで集まり、今後どこを直していくかをしっかり話し合ったんです。これからさまざまな意見が耳に入ってくることになるけど、いちいち迷って流されないようにするために。時間が足りないなかで開幕したので、まだ整理されていない部分もあるんですが、今夜はブロードウェイの劇場主など、トライアウト公演を見馴れているお客さんが多く、彼らはそんな過程の状態であることを承知のうえで、判断していたようです。その結果として『これならいける』という反応の拍手をもらえた気がするので、みんなちょっと自信をつけることができたと思います」と、確かな手応えを感じた様子。昨秋のワークショップに続き、今回のトライアウト公演でも高評価を得たミュージカル『カラテ・キッド』。目標のブロードウェイ公演が、いよいよ射程距離に入ってきた。次なる課題は、「いつブロードウェイ入りできるか」。吉井プロデューサーは、2023年春以降を目論みながら準備を進めている。朗報を待とう。取材・文・=伊達なつめミュージカル『カラテ・キッド』のコブラ会クリース役アラン・H・グリーン(左)と初日を観劇に訪れた映画版および『コブラ会』の同役マーティン・コーヴミュージカル『カラテ・キッド』PLAYBILL(プレイビル)<公演情報>ミュージカル『カラテ・キッド』(The Karate Kid - The Musical)ミュージカル『カラテ・キッド』ロゴ脚本:ロバート・マーク・ケーメン(Robert Mark Kamen)作詞・作曲:ドリュー・ガスパリーニ(Drew Gasparini)演出:宮本亞門(Amon Miyamoto)振付:ケオネ&マリ・マドリッド(Keone & Mari Madrid)セットデザイン:デレク・マクレーン(Derek McLane)衣裳デザイン:前田文子(Ayako Maeda)照明デザイン:ブラッドリー・キング(Bradley King)音響デザイン:原田海(Kai Harada)オーケストレーション:ジョン・クランシー(John Clancy)音楽監督:アンドリュー・レスニック(Andrew Resnick)アソシエイト・プロデューサー兼演出家付きドラマターグ:松堂今日太製作:木下直哉(木下グループ代表取締役社長兼グループCEO)/ 吉井久美子(ゴージャス・エンターテイメント)/ マイケル・ウォーク(Michael Wolk / Wolk Transfer)■セントルイス公演(トライアウト)2022年5月25日(水) ~6月26日(日)会場:カークウッド・パフォーミング・アーツ・センター ロス・ファミリー劇場
2022年06月06日(Photo by PEXELS)アメリカは、セントルイス。 今し方到着した大型トラックの後方に、ホームレスの人たちが次から次へと集まってきては列を成す。 その数、ざっと50名はいるだろうか。 地元NPO団体によるご飯の炊き出しサービスか。 だが、待てども待てども炊きたてご飯の美味しそうな匂いがしてこない。 変わりに鼻を刺激したのは…優しい石鹸の香り? 移動式シャワー、はじまる(Photo by CITYLAB)大型トラックの正体は、移動式のシャワールーム。 毎週月曜日と木曜日に地元のホームレスの人たちに無償でシャワーの利用を提供している。 行政やNPOの福祉活動の一環ではない。 ジェイク・オースティンという一人の男性によって考案されたプロジェクトだ。 トラックの荷台には、石鹸を握りしめた拳の絵。 その周りには「Shower to the people!(人々にシャワーを!)」の文字が踊る。 中を覗けば、意外にも広々とした空間に居心地の良ささえ覚える。 内部のつくりは、2つのシャワールームにシンクが2つ。 歯を磨き、ヒゲを剃ることもできる。 入室前後で劇的に変化する人もいるのだとか。(Photo by CITYLAB)「ホームレスの人たちにとって必要な支援と聞けば、ご飯の炊き出しや衣類の配布、トイレの設置といったものがこれまでは主流だったと思います。意外にも、シャワールームの必要性は見落とされてきた部分でもあります」とジェイクは話す。 アメリカ国内では、ホームレス用のシェルターが設置されているものの、そこに入居できない人たちは、公共スペースの噴水や公園の水場、河の水を使ってなんとか衛生面をキープしている現実がある。 温かいシャワーこそが、暮らしの源泉(Photo by andrej)ボランティア・エリートといっても過言ではないジェイクは、これまで長きにわたって炊き出しなど地域の活動に精を出してきた。 そんな彼にとって移動式シャワーのアイデアとの出会いは、必然的なものだったと言える。 ある日、炊き出しの現場で売れ残りの石鹸やシャンプーを配布していたときのこと。 石鹸をもらったものの、それを使う場所がなく、途方に暮れていたホームレスの男性が目にとまった。 聞けば、2日後に就職の面接を控えていたという。 「温かいシャワーが、人としての尊厳を取り戻すうえで、なによりも必要なもの」 そう確信したジェイクは、移動式シャワーのコンセプトを立て、アイデアをスピーディーに具現化していった。 資金をSNS上で募り、車を購入。 水回りや配管などの改修工事は、彼の想いに賛同した地元の業者が無償で請け負った。 身の丈にあった規模感を大切に(Photo by CITYLAB)1回の滞在で50人弱が利用できる移動式シャワー。 もっと大きな車を使い、シャワーの数を増やせば、効率がアップするようにも思える。 だが、「待ち時間をしっかりと用意することは、人が集い、対話を持つための場をつくることに他ならない」とジェイクは考えている。 シャワーの利用を起点にして生まれる地域の人同士のつながり。 その中で培われていく自尊心。 一日でも早く、人としての尊厳を取り戻し、ストリートライフからの脱却を目指してほしい。 そう切に願い、ジェイクは地域の衛生問題に取り組んでいる。 明日への希望を紡ぎだすシャワー(Photo by Nicolas Colemonts)「シャワーがない生活の厳しさを想像することは、それほど難しいことではないと思います。シャワーがあるだけで、私たちは疲れた身体を癒すことができ、希望を見出すことだって出来るはず」とジェイク。 たかがシャワー、されどシャワー。 一日の終わりに、シャワーの噴射口から吹き出す水圧を全身に感じながら、明日への決意を新たにしてみるのもいいだろう。 この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!ホームレスの価値を伝えたくて、ホームレスになった男 東京都心部の緑豊かな公園。平日はサラリーマンの憩いの場、休日はカップルやファミリーで賑わうスポットに、不思議なカフェがある。緑の地を進むと、現れたのはブルー... ーBe inspired!
2016年10月14日