大きな事件は起こらない。しかし、何気ない小さな出来事が積み重ねられるうち、気づけば不思議な場所に迷い込んだ感覚にさせるのが劇作家・倉持裕さんの劇作の魅力。藤間爽子さんが出演する舞台『帰れない男~慰留と斡旋の攻防~』もまた、大きな屋敷に招かれた主人公・野坂が、強く引き留められるわけでもないのになぜか帰る機会を見失ってしまうという不思議な物語だ。「摩訶不思議なテイストですが、人間の本質もしっかり描かれています」「最初にお話を伺ったとき、主人公が屋敷から出られないというだけで、どう話を進めていくんだろうというところに興味が湧きました。私が演じるのはお屋敷の奥様で、今までそういう役をやったことがなかったので、挑戦にもなると思って」お屋敷の主人に扮するのは山崎一さん。歳の離れたこの夫婦が、絶妙な意味深さで主人公を翻弄する。「当初は魔性の女性をイメージしていたんですが、台本を読んでみたら、どこにでもいそうなチャーミングな女性でした。だから今は役を作り込むというよりは、わりと自分に近いところで演じている感じです。摩訶不思議なテイストではありますが、それだけじゃなく、人間の本質みたいなものがしっかり描かれている気がするんです。例えば、帰りたいのになんだか帰れないときとか、本当は好きなのにわざと突き放してしまったり、思っていることと真逆のことを言ってしまったりって、私にもあること。倉持さんが、そういう人間の行動に着眼点を置かれたのがすごく面白いなと思いますし。セリフを読んでいると、時おりグサッと刺してきたり、ハッとさせられたりすることもあって。ただ不思議な話では終わらない面白さや、共感する部分が入っているなと思います」倉持さんからは禁欲がテーマの一つになっている、とも。「登場人物それぞれみんな欲を持っていて、表には出さないけれどどこか滲み出てしまう。そこになにかエロスのようなものがあったりするのでは、とおっしゃっていました。今はなんでも言いたいことが言える世の中だから、リアリティを持たせるために時代を昭和初期の頃に設定したのだそう。今の時代の、誰でもなんでも言える風潮は素晴らしいことではあるけれど、昔の日本人の、言いたいことがあっても抑えているからこそより重くなったり、フツフツと湧き上がるみたいなことってある気がするんです。この作品では、そんな隠しきれない想いが重く息苦しい雰囲気にはなるけれど、そこが面白かったり滑稽に見えたりするんじゃないかと思っています」野坂自身、本当に帰りたいのか、本心では帰りたくないのか、物語が進むほど謎は深まるばかり。その男を演じるのが林遣都さん。「稽古初日の段階ですでに台本を読み込んでセリフを入れてこられていて結構焦ります(笑)。遣都さんは主人公っぽいというか、つい追いたくなってしまう華やかさと陰とをお持ちの方で、まさに“野坂さん”という感じなので楽しみですね」M&Oplaysプロデュース『帰れない男~慰留と斡旋の攻防』危ういところを助けたことから、瑞枝(藤間)から屋敷に誘われた野坂(林)。当初はすぐに帰るつもりだったが、なぜか1日2日と過ぎてゆき、やがて野坂の友人・西城(柄本)が心配して迎えに来るが…。4月13日(土)~5月6日(月)東京・本多劇場作・演出/倉持裕出演/林遣都、藤間爽子、柄本時生、新名基浩、佐藤直子、山崎一全席指定8000円U‐25チケット5500円(観劇時25歳以下対象)M&OplaysTEL:03・6427・9486名古屋、島根、富山、大阪、仙台公演あり。ふじま・さわこ1994年8月3日生まれ、東京都出身。近作に映画『夜明けのすべて』。6月には出演映画『九十歳。何がめでたい』が公開。日本舞踊家・藤間紫としても活動。※『anan』2024年4月17日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・坂本志穂(グラスロフト)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2024年04月17日『アンメット ある脳外科医の日記』に出演する、杉咲 花さんのインタビューをお届けします。明日を迎えることに前向きになったら。これまでさまざまな作品に出演してきたが、医師役は初。憧れのジャンルだったという杉咲花さん。「お話をいただいた時、SNSや配信などを含めたくさんのエンターテインメントが溢れているこの時代にこそ、記憶に残る新しいものを作りたい、という米田(孝)プロデューサーの熱意に突き動かされて。『やるぞ!』という気持ちになりました。医者は世の中に欠かせない職業だと思いますが、その立場にならないと感じられない責任やプレッシャーは、物語を通して自分が演じた時にどういう感覚になるのだろう、という興味もずっと持っていたんですよね。衣装合わせでスクラブと白衣を着た時に、スイッチが切り替わる感じがしたし、鏡に映る自分のその姿には感慨深いものがありました。どの役を演じる時も、役衣装は役に近づくための入り口みたいな感覚です」演じるのは、事件の後遺症で記憶障害を抱える脳外科医・川内ミヤビ。同じく後遺症に苦しむ患者に寄り添い、希望をもたらす様を描いていく。「クランクイン前に脚本を読んでいて、相手役の人がなぜ同じことを繰り返しているのだろう…そっか、ミヤビは昨日までの記憶がないからだ、と立ち返る瞬間もあったりして。まずはそこから自分の体に落とし込んで、馴染ませていくことに注力しました。でもそれでも、人間の本質は変わらないはず。ミヤビという人間が生活の中にどんな価値を見出し、何に寂しさを感じるのかなどの感情を探して、深めていけば、人物像は見えてくるはずだと信じて向き合っています」続けて、「演じることに恐怖はつきもの。そもそも、安心してしまったら他者を演じることはできないと思っています」と胸の内を明かした。「この役に限らず、いつもクランクアップするまでは、演じる人物について模索しながら出口の見えないところに潜り続けている感覚で役と向き合っています。でもその気持ちが強すぎても、自分が崩れてしまう。バランスをとるのはすごく難しいです。毎回プレッシャーのほうが大きくて、演じることが楽しいとか早くお芝居がしたいとはなかなか思えません。けれど、それでももがきながら演じているうちに、この先の俳優人生において必要な何かがきっと刻まれていくような気がするから続けられるのではないかなって。例えば、お芝居をしている最中に相手のお芝居と何かが絡み合ったと感じる瞬間は、言葉にできない感動があります。そういう体験があるから、次にまた訪れる恐怖も受け入れられるのではないかなと」今作の魅力について「見てくださるみなさんが、明日を迎えることに前向きになれる物語な気がしています」と杉咲さん。「この作品は、患者が救われて終わりではなく、その先の人生に思いを馳せる物語。また、一人の人間でもある医者たちが、さまざまな状況を乗り越えていく姿は、きっとみなさんの現実世界にも重なる部分があるのではないでしょうか」『アンメット ある脳外科医の日記』原作は、原作者が元脳外科医の子鹿ゆずる、漫画は大槻閑人で、『モーニング』(講談社)にて連載中の同名漫画。共演は若葉竜也、井浦新ほか。4月15日より毎週月曜22時~、カンテレ・フジテレビ系にて放送開始。すぎさき・はな1997年10月2日生まれ、東京都出身。主演映画『朽ちないサクラ』が6月21日公開予定。また、広瀬すず、清原果耶と共に主演を務める映画『片思い世界』が2025年に公開を控えている。ジャケット¥316,800シャツ¥57,200パンツ¥152,900(以上ROSETTA GETTY/CORONET TEL:03・5216・6518)※『anan』2024年4月17日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・吉田達哉ヘア&メイク・宮本 愛(yosine.)インタビュー、文・若山あや(by anan編集部)
2024年04月15日硬派な人物を演じることが多いという毎熊克哉さんだが、一見似たタイプでも、繊細かつ多様にそれぞれの人物を演じ分け、役に命を吹き込んでいく。大河ドラマ『光る君へ』で演じた直秀もその一人だ。強さの中にも優しさと憂いを含むお芝居で魅了し、突然死を遂げた直後は“直秀ロス”がニュースになったことも記憶に新しい。そんな毎熊さん自ら「新鮮な役」だと話すのは、ドラマ『好きなオトコと別れたい』の黒川浩次について。――定職につかずに主人公の白石郁子(堀田茜)の家に居候する、“どこか魅力的なダメ男”の浩次。これまで演じてきた役とは毛色が違うタイプですね。毎熊克哉さん(以下、毎熊):最初に原作漫画を読んだ時、あれ、これ全然やったことがない役だと思いました。でも基本的に、そういう人物をどんどん演じていきたいんです。自分にできるかな、という不安に向き合うのは結構しんどいことですけど、挑戦しなくちゃいけないと思うから。浩次は今まで演じた役の中でも最も軽い男で、撮影中ただヘラヘラしてたなっていう一日もあって(笑)。でも役者をやっていると、どこかでやりたがるというか、自分の癖で何かをしないとみたいなのがあると思うけど、今回はそれがないほうがいいと思いました。ただ郁子と楽しく部屋で過ごせればいいなって。ダメ男だけど、まっすぐでいいやつで、みんなから好かれていて。周りからは「ぴったりな役だ」って言われましたけど、自分では全然違うと思っています。――役作りは難しかったですか?毎熊:今回の場合はあまり作り込む必要はないと思い、素に近いような感じでラフに挑んでいました。――素に近い感じでいけるなら、やはりぴったりなのでは…(笑)。毎熊:あははは(笑)。でもその中でも、浩次の一瞬一瞬の居方が重要な気がしたし、郁子と浩次が二人で“どう居るか”を一番気にしました。ちなみに堀田さんとは、初めましてだったんですが、最初のセリフ合わせですぐに、そんなに心配しなくても大丈夫かって思えたぐらい気が合ったんです。――物語の魅力を教えてください。毎熊:ドラマ、映画、舞台といろんな作品やジャンルがありますが、どんな物語でも事件が起こったり、急展開を見せるような“うねり”があるほうが、エンターテインメントとしては楽しんでもらえると思います。でもそれもわかるんですが、この作品は大きな事件や展開は何も起こりません。普段の生活の小さな悩みや人間関係をすくい取っていて、そこが心温まるポイントではないでしょうか。そして浩次の顔や表情には、瞬間的な魅力を投影しながら演じたので、楽しんでいただけると思います。――“直秀ロス”のみなさん必見ですね!ちなみにこの“ロス”についてはどのように…?毎熊:もちろん最初にお話をいただいた時から知っていた結末ですけど、大変な撮影のシーンも多かったし、体感としては長く感じていました。でも放送が始まったら、自分でもあっという間に死んだな…と(笑)。周りからバズってるって聞いて、あれは不思議でしたね。前向きに捉えれば、顔が怖いのも個性です。――そもそも若い頃に映画学校に通い、映画監督を目指していたと聞きました。そこからどのように役者に転身されたのでしょうか。毎熊:役者になりたいという願望もなく、転身したつもりもなくて、もともとは作品を作るための演出の勉強として芝居を始めました。やっぱり自分が芝居をわかっておかないと、役者さんに演出をつけるのは難しいと思ったから。でもいざやってみたら芝居は難しいし、そもそも役名のある仕事になかなか呼ばれなくて。通行人や警備員Aみたいな役だけやっていても、いつまでたっても演技が上達しないし…そんな悔しさから、今も役者を続けている感じです。――では監督の夢も、まだ?毎熊:いや、今はそうでもなくて。そもそも作品を作りたいという気持ちから始まっているので、役者は土台作りからは関われないけど、作品作りには大きく関わっているので、どの役割にいるかの違いかなって思っています。――昨年の出演作を見ると、撮影時期がかぶっているのでは、と思うような忙しさですが、役の切り替えはどのようにしていますか?毎熊:ありがたいことに、実は現場を縫うスケジュールはあまりなくて。台本を2つ持って別の役を次々に演じることが、あまりうまくできないんです。例えば浩次を演じている期間は、浩次の自分として過ごしていたいので。――プライベートでも役のモードに入っているということですか?毎熊:ずっと台本を読んでいるわけではないですけど、空気感みたいなものは纏っておきたくて。――細かい役作りは、いつもどのようにされているのでしょうか。毎熊:作品によって違いますが、大まかに言うと人物の描かれていないバックグラウンドを埋めていく感じです。浩次は球児だったんですが、僕は野球を全然やってこなかったので、事務所の人に手伝ってもらってキャッチボールをしながら想像を広げたり。それが役作りなのかな。――先ほど「やったことがない役をどんどんやっていきたい」とおっしゃっていましたが、他にもやりたい役はありますか?毎熊:やっていない役はまだいっぱいあるので、これとは言えないですね。逆に一番多かったのは暴力的な役。10年ぐらい前に映画学校時代の同級生と『ケンとカズ』という自主映画を作ったことがあって。主人公のカズを演じたのですが、すぐに暴れたりする危ないキャラクターでした。その時は仕事もなく時間を持て余していたので、すごく時間をかけて役作りをしたんです。パンチパーマに役衣装をそのまま着て、自分では絶対に選ばないようなネックレスをつけて過ごす、みたいな。眉毛も細くしてたので、外を歩いてると、あいつやべぇな、って顔もされました。――いや、そこまでできるなんてさすがです。それがきっかけで、硬派な役が増えたと?毎熊:『ケンとカズ』が公開されてからはしばらく似たような役のオファーが続きましたね。今でも年に1回ぐらいは危ない役をやっている気がします。あとはもともと顔が怖いからじゃないですか?(笑)笑ってるのに「笑ってください」って言われますから。――なるほど(笑)。毎熊:中学時代からヤンキーにからまれたりしてたし、黙って考え事をしていると本当に怖い人に見えるんだろうな、って自分でも思います。でも今さら顔は変えられないですしね。暴力的な人物しかやれないのかな…なんて思ったこともあるけど、前向きに捉えると個性でもあるし、今はそれをどう活かしたら面白くなるかな、なんて考えています。――そういう感じも伴ってなのでしょうか、毎熊さんには少し謎めいているところがあるというか、あまり街を歩いていたりするイメージがないんですけど…(笑)。毎熊:いや、うろうろしてますよ。今日も電車で来ましたし。――意外です!外で声をかけられたりしますか?毎熊:やんちゃな映画によく出ていた時期は映画好きのおじさんに気づかれる率が高くて、居酒屋のトイレとかで「あれ?」なんてことも。テレビドラマに出るようになって、最近はコンビニで高校生から声をかけられることもあります。テレビの影響は大きいです。働くアラサー女子・白石郁子の彼氏は、定職につかずに郁子の部屋に居候している“ダメ男”の黒川浩次。30歳を目前に将来に不安を覚えた郁子は、浩次との関係を清算し婚活を始めようとするが…。『好きなオトコと別れたい』は、テレ東系にて、毎週水曜24:30~放送中。原作:藤緒あい『好きなオトコと別れたい』(講談社「comic tint」所載)。まいぐま・かつや1987年3月28日生まれ、広島県出身。2008年役者デビュー。初主演は’16年に自主制作した映画『ケンとカズ』。映画『そして僕は途方に暮れる』『世界の終わりから』や、ドラマ『妖怪シェアハウス』『半径5メートル』『初恋の悪魔』『セクシー田中さん』などに出演。大河ドラマは『どうする家康』と『光る君へ』の2作連続出演となった。※『anan』2024年4月17日号より。写真・飯塚康平スタイリスト・カワサキタカフミヘア&メイク・anna(M‐rep)インタビュー、文・若山あや(by anan編集部)
2024年04月13日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、メッセージを添えて人を喜ばせる女性、「付箋にひと言書く女」になりきり。想いを伝えたくなる付箋を見つけよう!テレビの収録の時など、楽屋に置いてあるお弁当に、「今日も一日よろしくお願いします」「横澤さんが来てくれて嬉しいです」「貴重なお時間をありがとうございます」のようなメッセージを書いた付箋を貼ってくれているスタッフさんがいて、配慮がすごいなぁといつも感動してしまいます。気持ちや温もりみたいなものが付箋に乗っかって届くところが嬉しいし、お手紙にくらべると少し軽やかさがある、“ほんの気持ち感”がちょうどよくて嬉しいんですよね。ほかにも、ひな祭りのようなイベントの時には、「今日はひな祭りです。お子さんと楽しんでくださいね」と書かれた付箋が、ひなあられに貼られてあったことも。それに、付箋といってもいろいろな種類があって、仕事などで使うようなものだけじゃなく、動物がしゃべっているようなイラストが描かれていたりと、かわいいデザインのアイテムも多いですよね。その中から素敵なものを選んでくれたことも嬉しくなります。また、ある時は、シンプルなデザインのものに、お花みたいなイラストを描いて添えてくれていたこともあって。ADさんだったんですけど、絶対に忙しくて眠いはずなのに、そういうことをしてくれたんだと思うと、本当にありがたいなと思いました。私はなかなかそういう気遣いができないタイプなので、心から憧れます。日頃から付箋やペンなど文房具を持ち歩いて、いざという時にメッセージを書けるよう、準備をすることが第一歩だと思うんです。そのためにも、文房具店に行って、バッグに忍ばせたくなるような、お気に入りのアイテムを選んでおくようにしましょう。“これでメッセージを伝えたい!”と思えるものを見つけると、自然と付箋に言葉を書きたくなるはずです。よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。バラエティ番組やCMで活躍中。2023年6月に第三子を出産。※『anan』2024年4月17日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2024年04月13日上品ボディの秘訣とは?黒木メイサさんに注目します!黒木さんがワークアウトを始めたのは2020年、コロナ禍でのこと。「もともとカラダを動かすことは好きだったんですけど、それまでは習慣ではなかったんですよね。でもある日、子供に後ろ姿の写真を撮ってもらったら、思っていた以上にたるんでいて自分でもびっくり。ちょうど2人目を出産して2~3年経った頃で、一番カラダを動かしていなかった時期。コロナ禍で時間もあったし、これはまずいと思ってトレーニングを始めたんです」コロナ禍を過ごしたのは、移住先のハワイ。日本とは異なる環境で、自分のカラダと向き合う時間も増えたそう。「生活スタイルはそこまで大きく変わっていませんが、やっぱり空気は気持ちいいし、晴れている日も多いので、週に1回、朝起きてすぐにハイキングに行ったり、ビーチでヨガをしたりしていました。コロナ禍にはヨガの指導者資格“RYT200”を取得したんですけど、そのために解剖学を学んだことで、筋肉の使い方がよくわかるようになったんです。同じ動きでもどこを意識してどこに力を入れるかで効き方も変わってくるので、家でのワークアウトもよりやりやすくなりました」こんな運動の習慣は、カラダだけでなくメンタルにおいてもいい効果が。「こうやって運動をしてなかったら、コロナ禍の頃はとくに家にいる時間も長かったし、メンタル的にきつかったと思います。今も運動をすることで気分が上向きになるし、心身ともに整えてから一日をスタートできる。自分にとって毎朝10分のワークアウトがリラックスタイムでもあり、趣味でもあり、いま一番大事な時間になっています」こうして作られる今の自分のカラダを「今までで一番好き」ときっぱり。「10代、20代の頃はこれといって何もしなくてもハリツヤがあるし、カラダのラインもキープできる。でも頑張ってトレーニングをしている今のほうが筋肉量が増えている気がするし、何より日々の努力が自分の自信になっているんです。だから若い頃よりも今のカラダのほうが私は断然好きですね」最近は日本で過ごす時間も増えている黒木さん。徐々に演技の仕事も再開させていきたいという。「役を演じるということからは、もう5~6年近く離れてしまっているんですけど、いろいろな経験を経て、きっと演じることに対しての向き合い方も昔とは変わっているんだろうなって。だからまたどこかのタイミングで演技のお仕事に挑戦したいですし、俳優業も続けていきたいと思っています」くろき・めいさ1988年5月28日生まれ、沖縄県出身。2004年にモデルデビューし、俳優としても活動を開始。以降、さまざまな映画やドラマなどで活躍。現在はハワイと日本を拠点に活動。2児の母でもある。トップス¥16,500(determ;/THE WALL SHOWROOM TEL:03・5774・4001)スカート¥52,800(MUKASA/THE WALL SHOWROOM)ピアス¥77,330(TOM WOOD/TOM WOOD Store Aoyama TEL:03・6447・5528)その他はスタイリスト私物※『anan』2024年4月17日号より。写真・SASU TEI(RETUNE REP)スタイリスト・亘つぐみ@TWヘア&メイク・中野明海取材、文・恒木綾子(by anan編集部)
2024年04月13日まもなく放送開始のフジテレビ系ドラマ『Re:リベンジ‐欲望の果てに‐』で主演を務める俳優の赤楚衛二さん。ハードな復讐劇と向き合うにあたって、その胸中にある想いを語ります。「役者としてもっとうまくなりたいという想いが強くなりました」「もともと復讐劇のようなドロドロとした作品が好きなんです。理不尽さに心を折られながらも、立ち上がり頑張っていく様っていうのが琴線に触れるというか。普通に生きている中で、しんどいなと思うことがあったときに、そういう作品を見ると勇気をもらえるし、スカッともできるので」スカッとできるかどうかは今後の展開次第ながら、これからスタートする主演ドラマ『Re:リベンジ‐欲望の果てに‐』で赤楚衛二さんが演じるのはまさに、父親が理事長を務める巨大病院の権力争いに巻き込まれ、復讐心をたぎらせていく主人公・天堂海斗。「僕自身、復讐心みたいなものはあまり強くないと思うんですけれど、この作品の中で海斗はかなりエグい目に遭うんですね。自分のことであれば忘れようって思えても、自分の身内が何かされたらきっと僕も許せない。たぶんご覧になる方も、ここまでされたらこうなるよねって、共感していただけるところがあると思います」当初は父親に反発し、医者の道を捨てた海斗だが、ある事件をきっかけに復讐心を燃え上がらせ、いつしか自身の野心をむき出しにしてゆく。穏やかな口調と柔和な笑顔からは想像つかないが、赤楚さん自身が野心をむき出しにすることはあるのだろうか。「俳優ではごはんを食べていけなかった時期は、いつか絶対アルバイトを辞めてやるとか、オーディションを絶対に勝ち取りたいという想いがありました。今はもっとお芝居が好きだと思うようになり、もっとうまくなりたい、役者として素敵になりたいという想いが強くなった感じがすごくします。とくに間近で一撃を喰らわされるようなお芝居を見ると、『いいな。こうなりたいな』ってなります」昨年のドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』で共演した山田裕貴さんには、大きな刺激を受けたという。「みんなで作り上げた芝居の熱にのっかってのっかって…と思ったら、次の瞬間にサッと引いたりするんです。それが山田くんならではのキレイな緩急のつけ方で、見ててクーッてなります。今回の現場でも、光石(研)さんや余貴美子さんの一瞬見せる表情は素晴らしいですし、役として錦戸(亮)さんと対峙すると一本取られたみたいな気持ちにさせられます」ならば“欲望”は何かありますか?と尋ねると、しばらく考えたあとに表情をゆるめ、「最近は、食欲かもしれない」と、ちょっと照れたような笑顔を見せた。「最近なぜか、これが無性に食べたいっていうものがピンポイントで出てくることが多いんですよね。この間は、ミートスパゲッティに思いっきり粉チーズをかけて食べたくなってしまって、やりました。美味しかったですけどね(笑)」この3月、30歳を迎えた赤楚さん。少し前まで30代に突入することに対して「不安がありました」とまっすぐな言葉。「20代、足りないところはあったけれど、自分なりに頑張ってきたとは思うんです。でも、地元に帰ると、周りの友だちは家庭を築いたりしていて、どこか置いていかれている感もあって。ここから自分は一体どうパワーアップしていったらいいんだろうと考えてしまった時期がありました。でも東京で、楽しみながら歳を重ねている大人の方たちを見るたびに、全然大丈夫じゃんって気持ちになっているんですけれど」ただ、「20代の頃と同じような走り方はできないのかなとは思っているんです」とも。「自分の感覚的な部分は何も変わっていないけれど、20代前半の頃のようなはしゃぎ方をしたら恥ずかしい年齢になっているし、体力的な面でも、以前なら1m跳べたものが95cmくらいになっている。そういう部分での感覚のズレみたいなものは、ちゃんと自覚しなくてはなと思っています」あかそ・えいじ1994年3月1日生まれ、愛知県出身。主演ドラマ『Re:リベンジ‐欲望の果てに‐』は4月11日(木)22時、フジテレビ系にて放送スタート。初回15分拡大。物語のキーマンとなる医師・大友郁弥に錦戸亮さん、主人公の恋人・朝比奈陽月に芳根京子さんが扮する。ジャケット¥24,200(ムウ ト アール/ジュンカスタマーセンター TEL:0120・298・133)シャツ¥31,900(ギャルリー・ヴィー/ギャルリー・ヴィー丸の内店 TEL:03・5224・8677)※『anan』2024年4月10日号より。写真・森山将人(TRIVAL)スタイリスト・壽村太一ヘア&メイク・牧瀬浩子取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2024年04月10日芸人と俳優、違うフィールドで活動しながらも、プライベートでは10年来の親友である近藤春菜さんと森カンナさん。ハッピーオーラ溢れる二人は、女性特有の不調を感じた際、お互いにどのように寄り添っているの?左から近藤春菜さん、森カンナさん。――お二人は、プライベートでも親しいお付き合いをされていると聞きました。今、女性特有の気になる不調や悩みはありますか?近藤春菜さん(以下、近藤):どうしても不規則な生活になるので、生理不順は気になります。半月ぐらいズレることもあって。あと温泉ロケとかあると、どうしようかな…って思ったり。――どのように解決していますか。近藤:今のところあまり対策はしていなくて。不順には食べ物も影響すると聞いたので、ジャンクなものを控えたりはしていますが。その点、カンナは研究熱心で、普段からいろいろ教えてくれます。森カンナさん(以下、森):昔はPMSの症状があったり、生理時期にイライラもしたけど、ある時“そういう悩みを解決して快適に過ごしたい!”って思うようになって。生理のこととか、腟について書かれた本を読み漁って勉強しました。とにかく冷えは一番の敵だとわかったし、子宮にやさしい布ナプキンに変えたり、生活や食べ物を見直して、悪い習慣を徹底的に取り除いたら、PMSや生理の時の不快な症状は一切なくなって。“悪い”生理ではなく“いい”生理になりました。近藤:素晴らしい。私は自分の体を大事にしていなかったと思う。――近藤さんが森さんから教えてもらったことで、何か変わったことはありますか?森:以前の…春菜のネガティブ期はすごかったよね。近藤:そうだった(笑)。生理の時期になると、他人からの言葉ひとつひとつに敏感になってしまって、いつもは気にならない言葉でもすごく傷ついたり、マイナスに捉えてしまうことが増えるんです。でもカンナからホルモンバランスについて教えてもらったら、今はそういう時期だから凹んでもしょうがない、考えるのはやめようって前向きに受け止められるようになりました。オーガニックコットンの生理用品を使うようになったのも、カンナのアドバイスから。森:捉え方で大きく変わると思う。あと、人に合わせないといけないって無理をすると余計に自分に返ってくるよね。でも体調が悪い時、生理で気分が乗らない時は、友達にはどんどんドタキャンしていいと思う(笑)。無理して頑張りすぎている人が多いんじゃないかな。近藤:本当にそう思う。森:しんどい時に「しんどいから、ごめん」って言える友達こそ本物。近藤:そうやってはっきり言えるようになれば、あの子はそういうキャラクターだからって認知もしてもらえるし、相手も逆に言いやすくなるよね。――こういう話って、どんな時にしているんですか?森:常にだよね。あ、春菜そろそろしんどいな…ニヤリって(笑)。近藤:ニヤリじゃないから!(笑)でも、生理の時だけじゃなくて、仕事でキャパオーバーになって私がネガティブ期に入ると、カンナが励ましてくれるんです。あと、カンナの前だから本音を出せるっていうのもあるかな。それで口喧嘩になることもあったけど、最後は、私のことを思って言ってくれてるな。言うほうもきっとパワーがいるよな…ありがとう!って感謝しかない(笑)。森:春菜のネガティブ期なくなったよね。ポジティブ期突入。近藤:近藤春菜、第二章に入りました。ポジティブ期をキープ!森:バージョンアップ!近藤:でも話せる相手がいるのは大事なことだなって思います。森:私は旦那さんに子宮の仕組みについての本を読んでもらったこともあるよ。女性の体にはこんなことが起きているんだよ、って。近藤:でもカンナの旦那さんはアスリートだから理解も早そうだね。森:うん、辛い時はすごく協力的だったから助かりました。近藤:芸人の世界も、長時間の収録でトイレに行けないとか、まだまだ課題は多いけど、時代に応じて少しずつ考え方が変わってきているのを感じるかな。森:でもまだまだオープンになりきってはいないよね。近藤:カンナのように、家族や友人とお互いの体のことを話して理解し合う時間を作れるといいね。――いま悩みを抱えている女性たちは、何から始めたらいいですか。近藤:勇気を出して、親しい人に「実は生理の時、辛いんだ」って打ち明けてみるといいかも。人間関係でもそうだけど、相手の心を開いて理解を得るには、まずは自分から心を開かないと。森:もしそういう相手がいない場合は、本などを読んで自分の体のことを勉強してほしい。原因がわかれば対策できるし、心も楽になるから。あとは考えすぎずに、ある意味自分のことを最優先に考えてわがままになっていいと思う。近藤:みんな、自分を大切に!こんどう・はるな1983年2月23日生まれ、東京都出身。箕輪はるかとのお笑いコンビ、ハリセンボンで芸人として活動する一方、ドラマに出演するなど俳優としても活躍。すべてスタイリスト私物もり・かんな1988年6月22日生まれ、富山県出身。俳優として活躍し、ドラマ『風間公親‐教場0‐』や『時をかけるな、恋人たち』、映画『湯道』などの話題作に出演。トップス¥17,930(メゾンスペシャル/メゾンスペシャル 青山店 TEL:03・6451・1660)パンツ¥41,800(ヨーク/エンケル TEL:03・6812・9897)ピアス¥48,400(バー ジュエリー/エルディスト TEL:03・4361・7243)リング、右手・人差し指¥14,960左手・人差し指¥19,580中指¥19,140(以上バルブス/ズットホリック)パンプス¥82,500(ジアボルギーニ/ラディモ・インク TEL:03・6450・3701)その他はスタイリスト私物※『anan』2024年4月10日号より。写真・熊木 優(io)スタイリスト・壽村太一(近藤さん)番場直美(森さん)ヘア&メイク・谷口友海(近藤さん)RYO(森さん)取材、文・若山あや(by anan編集部)
2024年04月09日シャム(現在のタイ)の王様(北村一輝)と、その子供たちの家庭教師として雇い入れられたイギリス人女性・アンナとの、人種や身分を超えた愛を描いた『王様と私』。約70年前にNYで初演された後、映画化されるなど名作として知られる。日本でも何度も上演されてきたミュージカルだが、今回アンナを演じるのが明日海りおさん。「何もかもが違う人たちが心を通わせわかり合う、大人の物語です」「お話をいただくまでは、王様とアンナが踊る『Shall We Dance?』の場面の印象が強かったこともあり、華やかでエレガントなハッピーなミュージカルだと思っていました。でもストーリーには、身分の差や人種・文化の違いなどが描かれていて、悲劇も盛り込まれているんです。何もかもがまったく違う正反対の人たちが、いろんなものを乗り越えて、最終的にわかり合う。恋愛とかそういうものを超えて、人と人とが心を通わせることで生まれるものを描いた、すごく大人な作品なんだなと思いました」とはいえ、70年以上前に書かれた作品だけに、当時とは世相も変わり価値観は大きく変化している。今回演出を手がける小林香さんは、上演に際し「今の時代にこの作品をやる意義がある」と語っている。「タイが舞台で、初演当時は欧米の方々にとって新鮮に映ったでしょうし、イギリスと対比して誇張された部分もあったと思います。でも歴史を調べてみると、じつはタイの王様は進んで自国に近代化を取り入れようとされていて、科学や宗教などについても学んでいらした方だったそうで、今回の舞台でも、未開の野蛮な王ではないんです。一方のアンナも、イギリス人とはいえ優雅な身分ではなく、一介のシングルマザーで。そのあたりの描かれ方は、新しくなっているはずです。逆に難しいと感じているのは、華やかな楽曲の多いミュージカルなので、どうしても動きや言い回しが華やかなものになりがちなんですよね。小林さんが『もっと普通でいい』とおっしゃるので、今まだそこの塩梅を探っているところです」王様を演じる北村さんは、なんとミュージカル初挑戦。俳優を始めた当初に北村さんが歌った歌声を聴いていたプロデューサーからの熱心なオファーによって実現した。「とても丁寧にお芝居を作られる方という印象です。ミュージカルに出演されるのが初めてということもあり、いろんな動きのパターンを試しては舞台でどう見えるのか、時間をかけて納得するところを探っていこうとされている。北村さんと演出の小林さんが意見を戦わせている横で、なるほどなぁと聞いていることが多いのですが、たまに突然こちらの意見を求められるので、そのたびに私は頭をフル回転。とても熱心に所作や衣裳のことを聞いてこられることもあり、私も遠慮なく意見を言わせていただいています」明日海さん自身も、千秋楽を迎えるまで、つねに役と向き合い思考し続ける、諦めることを知らない人。「回を重ねるうちに周りの方々の役の密度がどんどん濃くなって、新しく感じることや発見があったり、本番が始まってお客様が入ることで見えてくることもありますし」アンナとしては「勇気があって愛情深いところが描けたら」と話す。「シャムの国に来てすぐの頃から王様に自分の意見をどんどん言うんですが、ただの気の強い女性には見えたくないんです。相手のことを想うがゆえの、揺るがない心の強さや奥ゆかしさも大切に演じたいです」ミュージカル『王様と私』1860年代、欧米諸国が世界各国を次々植民地化していた時代、シャムの国王(北村)は、子供たちに西洋式の教育を受けさせようとイギリス人の家庭教師・アンナ(明日海)を雇う。当初は対立するふたりだったが…。4月9日(火)~30日(火)日比谷・日生劇場音楽/リチャード・ロジャース脚本・歌詞/オスカー・ハマースタインII翻訳・訳詞・演出/小林香振付/エミリー・モルトビー出演/北村一輝、明日海りおほかS席1万5000円A席1万円B席5000円(土・日・祝日、千秋楽は+500円)東宝テレザーブ TEL:03・3201・7777大阪公演あり。あすみ・りお1985年6月26日生まれ、静岡県出身。2014年から’19年まで宝塚歌劇団花組トップスターを務め、退団後はドラマにも活躍の場を広げる。近作にドラマ『グレイトギフト』『推しを召し上がれ~広報ガールのまろやかな日々~』など。ベスト¥49,500スカート¥69,300(共にウジョー/エム TEL:03・6721・0406)イヤーカフ¥24,200(ブランイリス/ブランイリストーキョー TEL:03・6434・0210)シャツ、パンプスはスタイリスト私物※『anan』2024年4月10日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・大沼こずえ(eleven.)ヘア&メイク・中村未幸インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2024年04月09日10代の頃から俳優として活躍を続けているともさかりえさん。出産や子育てを経験し、現在は美しく健やかな40代を過ごしている彼女に、年齢とともに変化していくカラダやマインドとの向き合い方を教えてもらいました。俳優デビュー~anan世代の頃ともさかりえさんがデビューしたのは12歳の時。以来、ドラマや映画など多数の作品に出演。学業と芸能活動の両立で体調を崩し、生理が止まってしまった時期もあったそう。「当時は誰にも相談できなかったですね。生理でカラダが辛い時も、伝えたところで現場が待ってくれるわけではなく…。むしろ、言っちゃいけないことだと思っていました」25歳で出産した際も、近しい友人はまだ独身だったため、悩みをシェアできる相手がいなかったのだとか。「出産を機に、メンタルが激変したんです。出産前はハイ状態だったのに、産後1か月は気分がドン底。辛くてしょうがなくて、毎日泣いて暮らしていました。いま振り返るとホルモンバランスの影響が大きかったと思うのですが、あの頃はまだSNSもなかったので情報が少なかったんですよね。子供の成長ペースについても正解がわからず、マタニティ雑誌を読んでは“うちと全然違う…”と落ち込んで。“世界にはこの子と私しかいないんだ”と思うくらい、すごく孤独を感じていました」その後、産後3か月で仕事復帰。肉体的にもハードだったはずだが、どのように乗り越えたのだろうか?「もう気合です、気合(笑)。一人で全て抱え込んで、気合だけで乗り越えてきました。もしあの頃の自分に会えたら、ゆっくり話を聞いていろいろと教えてあげたいですね」35歳の転機持ち前の“気合”で育児と仕事にひたすら邁進する日々が続く中、35歳を過ぎた頃からカラダに変化が。「肌質が変わりだしたことを皮切りに、あちこち調子がおかしくなってきて。特に実感したのは、漠然とした疲労感。以前は夜中まで撮影して翌日の早朝からまた撮影でも気合でいけたけれど、徐々に前日の疲れが取れなくなってきたんです。そうやって肉体が変化する一方、“もういい大人なんだから、こんなことで辛いと言っちゃいけない”とか、“頑張れない自分がダメなんだ”という思いも。30代中盤が、自分に対して一番モヤモヤしていた気がします」冷えも悪化し、冬場はカラダの芯まで凍えて眠れないほど。以来、一年を通してレッグウォーマーや温かい飲みものでカラダを温めるようになったというが、40代を迎えると、これまでとは明らかに違う不調を経験する機会が増えたのだとか。「女性の不調って人それぞれだと思いますが、私の場合はホットフラッシュ的な大量の発汗が大きかったですね。もともと汗をかかないほうだったので婦人科を受診したところ、更年期の症状だと言われて。薬は必要ないという診断だったのですが、のぼせや疲れやすさといった様々な変化を感じる中で、安心して飲めるサプリがあったらいいな…と思うように。それなら自分で作ってみよう、とサプリの開発を始めたんです」女性のゆらぎにアプローチする成分を探し、辿り着いたのが“マカ”。「男性向けのイメージがあるけれど、アンデス山脈に自生している植物なのですごくパワーがあるんです。私自身も1年ほどサプリを飲み続ける中で“なんだか調子がいいかも”という実感があって。もちろん薬ではないから劇的に変化するわけではないけれど、絶好調になりすぎるのも反動が怖いじゃないですか(笑)。やっぱり日々の暮らしって、“なんかいい感じ”がコンスタントに続くほうが平和だし安心感があると思うんです。更年期を実感した時は“この先自分はどうなっていくんだろう”と焦りや恐怖を感じましたが、カラダの不調が軽減していく中で心持ちも徐々に軽くなっていきました」今の心地よい私年齢やライフステージの節目に訪れるカラダの変化に、自分なりの方法で向き合ってきたともさかさん。そんな彼女が、いま思うことは?「やっぱり心とカラダって、どちらかだけが調子よくてもうまくいかないんですよ。若い頃はどちらかが傾いても乗り切れるけれど、どうにもならない場面が増えてくる。だからこそ、どちらもバランスよく整えてあげないといけないなって感じます。それにホルモンって思いのほか厄介で、自分ではコントロールできない部分も大いにあって。なのに女性は責任感が強い人が多く、不調を自身のせいにしがち。それでは精神的にも辛くなってしまうから、調子が悪い自分も否定せずに受け入れてあげることが大切だと思うんです。そうやって自分の味方でいてあげて、ゆっくりお風呂に浸かったり、友達とおしゃべりしたりして、つい頑張りすぎちゃう自分を甘やかしてあげる時があってもいいんじゃないかなって。もちろん、社会自体がもっと女性の不調に寛容になればいいと思うけれど、一気に変わるものではないじゃないですか。だとしたら、自分で自分をいたわってあげるのが一番手っ取り早いと思うんですよね」まずは、不調を含めて自分を肯定してあげる。その上で、悩みを一人で抱え込まないことも重要だと語る。「女性の不調は病気とは違ってカテゴライズがしにくいし、いまだにデリケートな話題でもあるから、なんとなく言い出しにくいもの。でも自分だけで解決しようとするのって、実はすごく非効率的でもあるんです。私自身が身をもってそれを実感しているので、今は辛いと感じたらできるだけ家族に伝えたり、周りの人とシェアしたりするようにしています。それに、最近はフェムケアについて取り上げる媒体が増えて、昔に比べると情報量がかなり多くなりましたよね。女性の生活を快適にしてくれる素晴らしい商品もたくさんあるし、その中から自分にフィットするものを選べるようになったのはすごくいいこと。私も布ナプキンや吸水ショーツに出合ったことで生理時の憂鬱さがかなり解消されましたし、本当に辛い時は専門医に頼るのもアリだと思う。女性にとって生理やカラダの変化は避けては通れないものだからこそ、一人で頑張ろうとせずにいろんな選択肢を持っておくと、いざという時のお守りになってくれるんじゃないかなって思っています」1979年10月12日生まれ、東京都出身。12歳の時に芸能界デビュー。透明感溢れる佇まいとたしかな演技力が支持され、俳優として数々のドラマや映画に出演。出演映画『四月になれば彼女は』(東宝系)が現在公開中。ブラウス¥46,200パンツ¥52,800(共にsupport surface/サポートサーフェス TEL:03・5778・0017)ブラキャミソール¥13,200(CASUCA HADA/カスカ アーダ TEL:03・4530・3241)イヤリング¥94,600イヤーカフ¥24,200ネックレス¥101,200バングル¥57,200リング¥93,500(以上CASUCA/カスカ TEL:03・5778・9168)ともさかさんがプロデュースするサプリメントneutrial MACAアミノ酸を豊富に含むマカエキスパウダーを配合し、揺らぎがちなカラダをサポート。「余計なものを入れず、必要な成分がそのまま届く仕様にこだわりました」(ともさかさん)。60粒¥4,400(ライノinfo@neutrial.com)※『anan』2024年4月10日号より。写真・柴田フミコスタイリスト・安野ともこヘア&メイク・伴まどか取材、文・真島絵麻里(by anan編集部)
2024年04月08日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、いつも変わらずにいられる女性、「裏でも全力の女」になりきり。オンとオフの差を作らないことが大事!先日、ハローキティちゃんと浅草でロケをすることに。私自身、子どもの頃から見てきたキティちゃんと一緒にお仕事ができることが嬉しくてしょうがなかったし、いざ街へ出てみると、日本の方はもちろん、海外の観光客の方々からの反応もすごくて。あらためてその人気ぶりを目の当たりにしました。撮影の合間、キティちゃんが着ていた50周年記念デザインのドレスをかわいいと言ったところ、キティちゃんが、ドレスについているキラキラのビーズを私にくれるような仕草をしてくれたんです。その姿を見て、めちゃくちゃ心が洗われたし、一つ一つのジェスチャーから“かわいい”のおすそわけをしてくれているんだということが伝わってきました。また、キティちゃんはいつも、どんな時でもキティちゃんだし、ずーっとかわいくて、みんなを喜ばせてくれるんだなぁと感動。同時に、私も見習わなきゃいけないなと思ったんです。やっぱり、家族や友だちの前だと、どうしても素になる瞬間があるもの。でも、きっと、キティちゃんは目の前の人を喜ばせたいという気持ちがベースにあって、ブレないんだと思います。お仕事でご一緒させていただく先輩方も、本番はもちろん裏でもサービス精神旺盛の方が多く、本当にすごいなと尊敬せずにはいられません…!キティちゃんがすごいのは、いつでも、誰に対しても同じように接するところ。なので、まずは、オンの時に気持ちを盛り上げすぎないように気をつけるなど、オンとオフでテンションの差を作らないことが大事だと思います。頑張りすぎるとドッと疲れることもあるので、ほどよいラインでキープして、周りの人から“いつでも同じだね”と思ってもらえるように頑張ってみましょう。よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。バラエティ番組やCMで活躍中。2023年6月に第三子を出産。※『anan』2024年4月10日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2024年04月07日同世代の女性を演じる説得力と自然体な人柄にも共感が集まる俳優・川口春奈さん。落ち着きの中に熱さを宿す彼女の、29歳を迎えた今の想いとは。ドラマ『9ボーダー』で、また新たな等身大の女性像を体現する川口さんの、飾らない美しさの在り処に迫ります。今の自分と同じ年の七苗にすごく親近感を抱いています。この日スタジオ入りすると、撮影の趣旨を確認しながらすぐさまメイクを始め、あっという間に衣装に着替えてカメラの前へ立った川口春奈さん。そのムダのない動きは、性分なのだろうか。勘所をつかむ早さにも惚れ惚れする。重厚感のあるボッテガ・ヴェネタのコレクションを纏い、躍動感ある動きを見せたかと思えば、ザ・ロウのデニムスタイルでは一転、絶妙な脱力感を漂わせて素材のよさを引き立てた。ハイブランドのアイコンとして、次々に指名を受けるのも納得である。俳優業でもそのプロフェッショナルな仕事ぶりが光る。代表作をいくつも持つ川口さんが、新たに主演を務めるドラマ『9ボーダー』の初回放送日は、まもなくやってくる。19歳、29歳、39歳の三姉妹が、いわゆる“大台”を迎える前のラストイヤー=“9ボーダー”に直面する中で、恋や生活に悩みながら人生を前向きに歩む姿を描くヒューマンラブストーリーだ。「私は次女の七苗(なな)を演じています。しっかり者で頑張りすぎるがゆえ、自分で自分の首を絞めてしまうようなところがある七苗は、今の自分と同じ年。すごく親近感を抱いています。生きづらい世の中で働く大変さ、女性ならではのステージの変化や葛藤などを描いているのですが、理解できる部分がたくさんあるので演じていて楽しいです。今ある環境において何を選択しても、自分が納得できて人生を楽しめるならそれでいいじゃない、というメッセージもきっと感じていただけるはず」実はご自身も三姉妹。今回の物語に重なるが「同じ三姉妹とはいえ、家庭によって関係性や役割が違ったりもしてそれぞれだとは思います。うちの場合は大人になるにつれ、より仲が深まっているような感じがします、不思議ですね」と目を細めた。「この仕事のやりがいを感じるのは、お芝居をしている時よりも完成して見てくださるみなさんの元に届いた時。ありがたいことに嬉しいお言葉もいただけるので、だからこの仕事が続けられているのかも。自分だけのためには絶対にできないよな、って思ったりもします。今作も早くみなさんに見ていただきたいです」ちなみにご自身は、それほど年齢には囚われないタイプなのだそう。「私の人生は“チリつも”。12歳で芸能界デビューをしたのですが、そこから何か1つ欠けたら今はないと思います。関わった作品の全てが少しずつ積み重なり、山になって今に繋がっているので、どの年齢や時期を切り取っても全部大事で必要なものでした。これから年齢を重ねることについても、不安などはありません。それに、子供の頃から早く大人になりたかったんです。先生や周りの大人たちを見ながら、自分で責任を取って生きるのっていいな、自由でいいな、授業を受けるよりも外に出たいと思っていました。大人になった今は、年齢や経験を重ねたほうがお芝居の振り幅が広がり、演じられる役が増えたり表現の説得力も増すことを実感しているので、年齢を重ねるのがますます楽しみ。そしてだんだん仕事と私生活のバランスがうまくとれるようになったり、メリハリが作れるようになったりもするので、毎日楽しいです。もちろん忙しくて大変な時もあれば、決していいことばかりではないけど、それもいつか素敵なお母さんやかわいいおばあちゃんになるための修業だと思って、ありがたく受け止めています。唯一、若い頃のようにノリで突き進めるような無敵感がもうないのは寂しいかな。“怖いもの知らず”なフシは今も少しありますけどね(笑)」マインドキープとカラダづくりのために心がけているのは、運動。「あまり好きじゃないけど、面倒くさいと思っても無理やりでもジムに行ってしまえばこっちの勝ち。走って汗をかくとやっぱり心は晴れるし、何よりのメンタルヘルスだと思います。人に対する興味や好奇心も強いので、なるべく外に出て、好きな人たちに会うこともマインドキープに繋がっています」かわぐち・はるな1995年2月10日生まれ、長崎県出身。ドラマ『着飾る恋には理由があって』(TBS系)や『silent』(フジテレビ系)で主演を務めるなど代表作多数。ヒロイン役で出演するスペシャルドラマ『心はロンリー 気持ちは「…」FINAL』(フジテレビ系)は、4月27日放送予定。トップス¥140,800パンツ¥308,000スニーカー¥148,500アクセサリー¥38,500 ※すべて予定価格(以上ミュウミュウ/ミュウミュウ クライアントサービス TEL:0120・45・1993)『9ボーダー』三姉妹の次女・29歳の七苗(川口春奈)と39歳の長女・六月(木南晴夏)、19歳の三女・八海(畑芽育)が父の失踪を機に集結。各年代のラストイヤーを生きる物語。TBS系にて4月19日スタート。毎週金曜22時~放送。※『anan』2024年4月10日号より。写真・Maciej Kucia(AVGVST)スタイリスト・杉本学子(WHITNEY)ヘア&メイク・笹本恭平(ilumini.)取材、文・若山あや撮影協力・バックグラウンズ ファクトリー(by anan編集部)
2024年04月07日最近は俳優としての活動も増えているタレントの丸山礼さん。毎日の睡眠時間は3~4時間程度という多忙ぶりにもかかわらず、はじける果実のようなみずみずしさと濁りのない陶器肌をキープ。スキンケアで大切にしていることやマインドの保ち方など、忙しくても楽しく美容を続ける秘訣に迫ります。自分へのマナーとして、美容を楽しんでます。早朝から深夜までロケ続きというハードな毎日を送っているタレントの丸山礼さん。「日帰りでの地方ロケのお仕事は、早朝の飛行機に乗って最終便で帰ってくることが多いですね。合間の移動時間で仮眠することもありますが、ベッドでちゃんと眠れるのは3~4時間程度。しかも、絶対に遅刻できない~!という緊張感とプレッシャーの中でベッドに入るので、なかなか寝つけないことも多くて…」そんなストレスフルな毎日に頼りにしているのが、香りの力。「夜寝る前は『ニールズヤード レメディーズ』のピローミストをベッドまわりに使うようになったら、眠りの質が激変!癒される香りなので寝つきがよくなりました。もはやないと不安になるレベルで愛用しています。日中は『SHIGETA』のエッセンシャルオイルを持ち歩いていて、疲れたら酸素代わりにボトルからじかに香りを吸入(笑)。基本的に緊張しやすいタイプなので、お守り代わりに好きな香りを嗅いでリラックスするようにしています」ロケのお仕事では一日に6~7軒の飲食店を巡ることが多いので、オフの日は“リセット食”で調整。「家にいる時はお蕎麦をめっちゃ食べます。納豆とめかぶをてんこ盛りにのせて食べると、いくらでもいけちゃう。体が重たい時やお通じをすっきりさせたい日は、ご飯がわりにキャベツを。お蕎麦とキャべツなら無限にいけますね」憧れは透明感のある“女優肌”。「女優さんって、血管が透けて見えるほど本当に澄んだ肌なんですよ。しかも私より絶対お忙しくされているはずなのにって。比べ始めるとキリがないので、顔の造作や体型ではなくて、肌や髪のツヤだったり、明るい性格だったり、自分のいいところを伸ばしていこうと思えるように。私もテレビのワイプに映っている自分を見てがっかりしたくないから、自信が持てるようにケアしています。スキンケアで欠かせないのがパック。冷蔵庫の真ん中の棚はドミノのようにパックを並べています(笑)」“キレイ”が仕事をつかむ。美容に目覚めたのは、上京して仲良くなった友達がきっかけ。「美容のお仕事に携わっている人が多くて、キレイな人が仕事をつかんでいくんだって気づいてから、私も自分のことはキレイにしておかなきゃなって。当時はお金もなかったからあれこれは買えなかったんですけど、20歳でYouTubeが軌道に乗ってからは試したいものを買えるようになって。今は洗面台の収納棚を開けると、わーっとコスメが並んでいるのが幸せ。お店に行く時間がないので、だいたい寝ぼけながらネットで欲しいコスメを買うことが多いんですけど、気づいたら家にめっちゃダンボールが溜まってます(笑)」美容を習慣化するために、その日の気分を大切にしている。「意気込まないことが大事!疲れていたらサボるのも全然アリです。あまり気負わずにやれる時にやる、くらいのスタンスでいいんじゃないかな。そのうちやらないと気持ち悪くて眠れないってなった時が習慣化したってことなので、サボりながらでもいいから続けてみるのがいいと思います」丸山さんにとって美容とは?「世の中をサバイブしていくための必需品!他の人に対して不快感を与えないためのマナーでもあると思います。たま~に一部分だけ、血管透けている系の肌になれる時があって、ひゃあぁぁぁ~って興奮しちゃいますけど、今のお肌は採点すると50点くらいかな。やっぱり若い子のお肌を見ると、もうあの頃には戻れないんだなって(笑)。でも歳をとれば余裕もできて、その分美容にも投資できるから悪くないなって。“歳をとるの最高!”って思いながら生きていこうと思いますね(笑)」超多忙な丸山さんを支えるアイテム。食事のお供に「緑効青汁」を。「家族が飲んでいたので私も小学生の時から続けています。家で食事を摂る時にお茶代わりに飲んでいますが、腸の動きが助けられる気がします」桃の香りに癒されるフェイスパック。「数あるパックの中でもお気に入りが、山梨で買った『ルルルン』の桃の香り。本当にいい香りだし、どんな肌の揺らぎにも応えてくれます」ボディケアはお気に入りの香りで。「お風呂上がりは『ジルスチュアート ビューティ』のボディクリームを全身に。手を抜きたくなるボディケアも、いい香りなので続けられます」まるやま・れい1997年4月1日生まれ、北海道出身。2016年に芸能界デビュー。鋭い観察眼で特徴をとらえつつユーモアを交えたモノマネが人気を博す。登録者数128万人を超すYouTubeチャンネル「丸山礼チャンネル」では美容からお悩み相談まで発信し、共感を得ている。ニット¥14,300(Spick & Span/Spick & Span ルミネ有楽町店 TEL:03・5222・1744)イヤリング¥2,970(KBF/KBF ルミネエスト新宿店 TEL:050・2017・9164)※『anan』2024年4月3日号より。写真・Nae.Jayスタイリスト・奥田ひろこヘア&メイク・nari取材、文・岡井美絹子(by anan編集部)
2024年04月03日声優、アイドル、歌手としてマルチに活躍する芹澤優さん。朝から声量を求められる声の演技や、アイドルとして常に高い美意識でスタイルを維持するなど、体のあらゆるところのケアが欠かせない。見事に割れた腹筋は、そんな仕事への情熱とボディメンテの賜物。そんな芹澤さんに、美容へのこだわりをたっぷりと伺いました。無理をせず美容を楽しむことがモットー。「20代前半はダイエットを頑張りすぎていた時期もあったけど、ちゃんと食事を摂らないと、歌い続けたり、戦闘シーンのアフレコをする日は体力が持たないんです。大体朝は大好きなツナマヨのおにぎりを、昼は和定食を食べて栄養バランスをとりつつ、夜はお米は少なめに。完全に米派です」美意識が変わったのは、K‐POPブームからだと芹澤優さん。「韓国のアイドルは、スリムなのにしっかり筋肉を鍛えていることを知り、私も健康的に体を引き締めたいと思うようになりました。ただ痩せていることがいいのではなく、ちゃんとごはんを食べて運動をして、心も体も健康的であることが大事だと気づきました。声優やアイドルの仕事では、腹式呼吸で歌ったり踊ったりするので、自然と体幹が鍛えられます。加えて、筋トレ+体をほぐしてととのえるピラティスを週1で取り入れるようになってから、腰痛や巻き肩が改善されてシルエットが整ってきたのを実感。不調やコンプレックスがなくなると、思考もポジティブになりました」モットーは「無理をせず美容を楽しむこと」と芹澤さん。自分が好きなことを、できる範囲内で続けていくのがポイントなのだそう。「毎晩台本チェックや次の日の準備などに追われて、就寝は深夜になることもしばしば。お風呂も湯船に浸からずにシャワーだけの日もありますが、サウナが大好きで週1~3日は行っています。100°Cのサウナに8分、水風呂に1分浸かったあと、こだわりは外気に長めに15分ほど当たること。頭がスッキリして悩みもなくなるので、私にとっての癒しの時間。幸せホルモン出しまくってます(笑)。習慣にしているのは、寝る前のストレッチと乾燥対策。一日台本を読み続けることで特に負担がかかる腰やお尻を、筋膜ローラーで20~30分かけてほぐします。喉のケアのためには、首の胸鎖乳突筋をほぐすのも効果的。部屋を暗くして、ゆったりした音楽をかけながらやるとよりリラックスできます。睡眠時に欠かせないのは加湿器。いろいろ試した結果たどり着いたのは、喉に優しいスチーム式タイプの2台使いでした。ベッドサイドでモクモク加湿して、喉ケアだけではなく肌の乾燥対策にも」今の自分を維持したい。最近は、美容施術にも興味津々。「いいと聞くものはどんどん試したいタイプ。今は半年に1回程度医療ハイフをしたり、ボトックスをエラに注射していて。定期的に小顔矯正にも通っています。日によって顔や肌、むくみの状態が変わるのが嫌なので、プロの手を借りながら自分のベストをキープしたい。私の場合は、それがマインドケアにも繋がっているようで。肌や体、心まで健康な今の自分が結構お気に入りです(笑)」発売されて間もない写真集では、水着やランジェリー姿にも挑戦。「肌を見せるので痩せすぎて見えないように、高タンパクのお肉や魚、そして野菜をたくさん入れたスープやお鍋を食べて、やわらかさがわかる体づくりに励みました。この写真集は20代最後の自分へのご褒美だと思っています」iRisの活動では、ファンへの感謝を込めて制作された、劇場版アニメ『iRis the Movie‐Full Energy!!‐』の公開を5月17日に控えている。「性格や魅力がそれぞれ違う、個性豊かなグループです。でもライブでは強い一体感が生まれて、目に見えない絆を感じることができるんです。そんな私たちがアニメになり、自ら声を入れました。まさか二次元の自分が誕生するとは。アニメの私は脚が細くて髪も肌もツヤツヤで。負けたくないと思いつつ(笑)、私もアニメも両方好きになってくれたら嬉しいです」芹澤さんの美容習慣を支えるアイテム。ナイトキャップで寝ている間に髪ケア。肌同様、髪の保湿とツヤも大事に。「摩擦と乾燥対策でシルクのナイトキャップを使い始めてから、起床時の髪が乾燥知らずに。ブローも楽です」むくみ対策はサプリで徹底。むくみやすいためサプリも活用。「『むくみぱっくん』や『メリロート』、カリウムの錠剤を朝や夜寝る前に飲んで、余分な水分の排出を促します」筋膜ローラーは地方遠征にも携帯。「ストレッチをしながら太ももやふくらはぎ、二の腕などをほぐす時に便利なミニサイズ。首の後ろもよくほぐれます」。雑誌の付録を3年愛用中。せりざわ・ゆう1994年生まれ、東京都出身。2012年に声優アイドルグループiRisのメンバーとして、’17年にはソロ歌手としてもデビューを果たす。主な出演作にTVアニメ『プリパラ』『賭ケグルイ』など。今年はアプリゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」にも参加。自身3冊目となる写真集『Miss Me』(主婦の友社)が発売中。トップス¥28,600スカート¥66,000(共にエストネーション/エストネーション グランフロント大阪店 TEL:0120・503・971)ピアス¥13,970(フルトクイスト・コペンハーゲン)イヤカフ¥8,690リング(3つセットで)¥20,240(共にバルブス)バングル¥41,580(ソコ) 以上ズットホリックショートパンツはスタイリスト私物※『anan』2024年4月3日号より。写真・藤原 宏スタイリスト・仮屋薗寛子ヘア&メイク・原田琴実取材、文・若山あや(by anan編集部)
2024年04月02日澄んだ力強い歌声と、小柄な体から溢れ出るようなエネルギーを感じさせる演技で、ミュージカル界で高い評価を受けている屋比久知奈さん。次に控えるミュージカル『VIOLET』は、子供時代に顔に大きなケガを負ったヴァイオレットが、あらゆる傷を治す奇跡のテレビ伝道師に会うために旅をする物語。「自分の経験や感情を役と繋げながらできるだけ生身で役に臨めたら」「前回の公演を拝見したときに、曲もお話も素敵だし、共感させられるところがとても多かったんです。今回自分がやることになり、嬉しさのワクワクと、責任に対するドキドキがせめぎ合っている感じです」ヴァイオレットは、アメリカ南部の片田舎に生まれ、西に向けてバスで1500kmの旅をする。「明るさと闇とが行き来する作品だと感じています。でも人間の中には、外に見せるものと内に抱えたものとが混在していて、それこそが人間らしい部分でもある。ヴァイオレットは、顔の傷のコンプレックスから、すぐに斜に構えたり内にこもってしまったりするんです。でもその一方で、テレビ伝道師が傷を治してくれると信じて疑わない純粋さとか、顔にも心にも傷を負いながらも前に進もうとするポジティブさもある。今は役を作り込むより、自分の経験や感情と繋げながら、できるだけ生身のまま役に臨むことが役の魅力を浮かび上がらせる気がしていて。どうしたら舞台で自由になれるかを必死に考えているところです」稽古中は、役に関してあれこれ考えるが、本番が始まると感覚優先。「沖縄のなんくるないさ精神みたいなところがあるのかも」と笑う。ミュージカル『ミス・サイゴン』での、全身で役に飛び込むようなパッション溢れるキム役が印象深い。「あの役は、自分の中でも感覚的に無理が少ない作品だったこともあって、気づいたら猪突猛進になっていた気がします。今回も、最初は考えながらやらないといけないけれど、ストーリーが進むにつれてなりふり構っていられないポイントがある作品だと思うし、逆にそこに到達しないといけない役な気がするんです」その手助けをしてくれるのが歌。「役の心の流れとか、どこで喜びや悲しみが爆発するのかを音楽が教えてくれるんです。音楽に逆らわず、メロディに乗ると自然と笑顔になったり涙が出たり…。キムのときもですが、楽曲を体に染み込ませることで、逆にいろんなことを手放して自由になって、役として見えてくるものがある。ヴァイオレットもその到達点を目指したいです」ミュージカル『VIOLET』1964年、アメリカ南部の片田舎で育ったヴァイオレット(三浦・屋比久/Wキャスト)は、幼い頃に父親の過失で負った顔の傷を治してもらうため、人生初の旅に出るが…。4月7日(日)~21日(日)池袋・東京芸術劇場 プレイハウス音楽/ジニーン・テソーリ脚本・歌詞/ブライアン・クロウリー原作/ドリス・ベッツ『The Ugliest Pilgrim』演出/藤田俊太郎出演/三浦透子・屋比久知奈(Wキャスト)、東啓介、立石俊樹ほかS席1万3500円A席1万1500円ほか梅田芸術劇場TEL:0570・077・039(10:00~18:00)大阪、福岡、宮城公演あり。やびく・ともな1994年6月6日生まれ、沖縄県出身。映画『モアナと伝説の海』モアナの吹き替えで注目を浴びる。昨年、ミュージカル『ジェーン・エア』に主演したほか、『Play a Life』などに出演。※『anan』2024年4月3日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・武部千里インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2024年04月01日銀行強盗に遭遇した13人の人々。強盗が彼らに突きつけたのは、“自分にとって最も思い入れのあるものを差し出せ”という要求。花總まりさんが舞台『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』で演じるのは、強盗に魂の51%を奪われ、タイトルの通り、事件以降、少しずつ縮んでいく妻のステイシー。「カンパニー一丸となって総合芸術で見せていくものに」「普段の生活では想像できないようなお話なので、この世の中にこんな発想をする方がいるんだって驚きました。自分が縮むこともですし、エピソードがすべて奇想天外です」ステイシー以外の12人の被害者たちも、年老いた母親が98人に分裂したり、足に彫ったタトゥーのライオンに四六時中追いかけ回されたり、奇妙な出来事に悩まされる。ステイシーは最終的に61mmまで縮むそうだけど、それらを舞台でどう表現するのかも気になるところ。「演出のG2さんの頭の中には、そこはすでに明確にできていて、これから現場で作り上げていくところです。G2さんがおっしゃっているのは、映像で表現するのは簡単だけれど、舞台だからこそできる見せ方や舞台ならではのお客様との一体感で立ち上がっていく世界を大事にしたいということ。振付と音楽とセットと照明と…カンパニー一丸となって総合芸術で見せていくものになってくると思います。私たち俳優としては、そのシーンに行き着くまでに、いかにお客様を物語の中に入り込ませることができるかも問われてくるのかなと思っています」元の状態に回復する方法は、自ら見つけていかなければならない。「事件に遭った人たちに起きる被害の内容がそれぞれに異なるんですが、それがなぜなのか、何を意図しているのか、よくわからないんですよね。解決の方法もひとりひとり違っていて、自分でそれを探さなきゃいけない。なかには成功する人もいれば、残念ながら回復しないままというパターンもあって、それを深読みしていく面白さもあります。でも物語の中心には、作中では“僕”として登場する夫とステイシーの夫婦の物語があって、ほっこりしたり、何か考えさせられたりする奥深い作品だと思います」夫を演じるのは谷原章介さん。「G2さんの意図として、ステイシーと夫との関係性をきちんと作っていきたいというのがあるようです。決定的に何かうまくいかないところがあるわけではないけれど、どこかすれ違ってしまっていてギクシャクしている。今の時点では、一歩間違えると仲のいいジャレ合いみたいにも見えてしまうから、そこはちょっと工夫してほしいと言われていますので、微妙なニュアンスを大事にしながら演じていきたいです」花總さんというと、『エリザベート』や『マリー・アントワネット』などのタイトルロールを数多く演じてきたミュージカル界の至宝的存在。今作にも歌唱シーンはあるそうだが、近年は等身大の女性を演じる現代劇や、テンポのいい会話で展開されるドタバタコメディなど、さまざまなストレートプレイ作品に挑戦し、新たな魅力を開花させている。「これまでミュージカルでは時代ものというか…歴史上の人物を演じることが多かったんですよね。そういう意味で言うと、ストレートプレイではこれまであまりやってこなかったような役柄にチャレンジさせていただくことが多いですよね。いつまでも同じ役をやり続けられるわけではないし、歌のないお芝居の奥深さをもっと知りたいとも思うんです。今できるときに新しいことにチャレンジしていかないと自分が臆病になっていっちゃいそうな気がするので、どんどん新しいことに挑戦して引き出しを増やしていきたいです」『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』銀行強盗に遭ってから、自分が少しずつ縮み始めていることに気づいたステイシー(花總)。8日後に自分は消えてしまうかもしれない、という状況に陥ったことをきっかけに、すれ違っていた夫(谷原)との関係も変化してゆき――。4月1日(月)~14日(日)日本青年館ホール原作/アンドリュー・カウフマン脚本・演出/G2出演/花總まり、谷原章介、平埜生成、入山法子、栗原英雄ほかS席1万1800円A席9800円U-25当日引換券5000円公演事務局 TEL:0570・002・029(平日10:30~18:30)大阪、名古屋公演あり。はなふさ・まり1973年2月28日生まれ、東京都出身。宝塚歌劇団在団中、トップ娘役として日本初演となったミュージカル『エリザベート』でタイトルロールを演じるなど、高い歌唱力と演技力で注目される。退団後も『レディ・ベス』『マリー・アントワネット』など数々の大作で主演を務めている。ブラウス¥74,800スカート¥57,200(共にジェイドット 自由が丘八雲店 TEL:080・3930・5171)※『anan』2024年4月3日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・戸野塚かおるヘア&メイク・野田智子インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2024年03月31日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、いざという時に役立つものを渡す女性、「お祝いに防災グッズをくれる女」になりきり。相手の無事と安全を願うお守りのような贈り物。先日、バービーさんに本当に久しぶりにお会いしました。子どもを産んでから初めてだったこともあり、私の出産のお祝いにと、非常食の缶詰の詰め合わせをくださったんです。贈り物として防災グッズをいただくことは初めてだったので驚いたのですが、これは、どんな人でも絶対、嬉しいものだし、さすがだなぁと思いました。“備えあれば憂いなし”という言葉がありますが、まさに、それをくださって、本当にいいアイデアですよね。私も、これからお祝いなどで贈るようにしたいと思いました。しかも缶詰の中身は、「缶つま」やコンビーフなど、非常食として活用するのはもちろん、いつ食べてもいいもので、それも便利ですよね。これまで、プレゼントは消え物のほうがいいよな、と思って選んでいたけれど、その“消え方”まで考えている人もいるんだということも発見でした。バービーさんへの感謝の気持ちを感じながら、食べることになると思います。安全に過ごしてほしいという気持ちを込めた、お守りみたいな感覚で渡せるギフトって、本当にいいですよね。これまで、どこかで“防災グッズは自分で揃えるもの”だと思い込んでいたのですが、その概念を壊し、防災グッズは“人に贈ってもいいもの”という考えを身につけることが大事だと思いました。缶詰以外にも、今は、いろいろな防災グッズがありますよね。携帯用トイレなどはかさばらないものも多いし、いくつあってもいいもの。また、先日、防災グッズの専門店に行ってみたところ、「たべっ子どうぶつ」の長期保存食が置いてあったり、防災用の靴がおしゃれに展示されていたりと、見ているだけでも楽しく、勉強になったので、そういう場所に行ってみることもいいなと思います!よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。バラエティ番組やCMで活躍中。2023年6月に第三子を出産。※『anan』2024年4月3日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2024年03月31日一昨年に初演され、アニメーションの世界を見事に表出させたことで話題になった舞台『千と千尋の神隠しSpirited Away』。評判を受けて再演された今回、千尋役として新しくカンパニーに参加することになった福地桃子さん。10歳の少女の純粋さと無鉄砲さに冷静さ、内に秘めた生のエネルギーを、まっすぐ丁寧に演じ話題を呼んでいる。――千尋役はオーディションで決まったそうですね。福地桃子さん(以下、福地):今でも自分が千尋として参加していることが不思議でしょうがないです。オーディションは声をかけていただいて受けたんですが、舞台のオーディションが初めてだったのでご縁を感じ、可能性があるならと思って受けたんです。――手応えはありました?福地:手応えはわからないですが、オーディションでは子供の体でセリフを言ってみる、みたいなことをやりました。後で演出のジョン(・ケアード)さんから「自分の中に10歳の女の子だったり、千尋がいたんじゃない?」と言っていただいたので、そこを信じて演じていきたいと思っています。――ジョン・ケアードといえばミュージカル『レ・ミゼラブル』の初演の演出でも知られていますが、印象を伺えますか?実際に演出指導を受けて、とくに刺激になるのはどんなところでしょう?福地:完成した作品が素晴らしいですよね。演出に対して何か言えるほど舞台経験はないですが、何よりお人柄が素晴らしいんです。ジョンさんは、モノづくりの現場ではプレッシャーを与えることが一番よくないことだとおっしゃっていたんですが、その言葉通り緊張させない稽古場の空気を作ってくださるんです。ジョンさんが実際に演じて見せてくれるときがありますが、毎回とても楽しそうなので、私もやってみたいと思わされます。しかも、こちらのお芝居を何回も見ているはずなのに毎回新鮮なリアクションをくださいます。再演だから形が決まったものをやるのかと思っていたけれど、稽古場で一つひとつ掘り下げながら積み上げている感じで、初演から出演している(橋本)環奈ちゃんや(上白石)萌音ちゃんも、つねに新しくなっているって言っているくらい。スタッフさんたちもあたたかい雰囲気を作ってくれていて、わからないことも聞きやすい現場でありがたいです。――実際に千尋を演じてみて、いかがですか?福地:車のシーンから始まるんですが、細かい描写まで映画にとても忠実で、とてもリアルに感じられるところが素敵なので、その瞬間を大切にするというのを忘れずにやりたいなと思っています。――昨年の『橋からの眺め』で初舞台を踏み今回が2作目となりますが、舞台はいかがですか?福地:声を出したり体を動かしたりっていう感覚が楽しいです。劇場に声が響いているのが感じられて、お客さんと場を共有できている感覚がありました。最初は意識がいろんなところに飛んでいるけれど、途中からそれを忘れて役に集中できて、それが途切れることなく、気づくと終わってた…みたいな。ただ、映像と違って、本来なら独り言としてポソッと言いたい場面でも、言葉としてしっかり伝えなきゃいけなかったり、感情とは違うところでやらなければいけないことがあるのが難しいです。でも逆に、セリフを口にすることで気持ちが追いつくみたいなこともあって、それは映像とは違う感覚で面白いです。――先ほどの「子供の体でセリフを言う」という表現も、舞台ならではなのかなと感じました。福地:有名な作品ですし、稽古の最初の頃は映画の千尋のしゃべり方に寄せてみたり、子供っぽくセリフを言うみたいなこともやりましたが、あまりうまくいかなかったんです。それで一つひとつの場面にリアクションするところからセリフに繋げていって、自分の中から自然と出てきた言葉のトーンでセリフをしゃべるようにしたら、ようやく楽になれたんですよね。ただ、映画を観ていると、千尋はいろんな表情をする子なので、自分が映画の中でとくに印象的だった場面に関しては、そこの千尋の表情を思い浮かべながらやっていたりはしています。納得ができないときは立ち止まって考える。――今回の千尋もですが、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』など、自分の経験を重ねられない役を演じるときは、どのように役にアプローチされるんでしょう?福地:もちろん普段の自分の生活では経験しないこともたくさんありますし、全てを重ねられないかもしれないけれど、寄り添うことはできると思っています。どういうところにときめきを感じるのかは、その人の日常を実際に経験していなくても想像することができるんじゃないのかな。――ただ、理解できない行動を取る役もありますよね?福地:どうしてこんなことを言うんだろう?と理解ができないときは確かにあって。そういうときは、この役を私が演じさせてもらう意味について向き合う時間を作るようにしています。他の方がやったらどうなっていたんだろうと考えてみたりもします。でも、そうやって試行錯誤しながらやった役も撮影が終わったとき、この役に出合えてよかったと思うことが今まで多かったです。――まずはとにかくやってみて、動いていくうちに徐々に役が見えてくる、みたいな感じですか?福地:そうですね。でもどういう感情で言ったらいいかわからない、と思ったら監督に相談することはあります。この人はなんでこんなことをやったんだろうと納得ができないときは立ち止まって考えると思います。そのまま進むのではなく、視点を変えて、自分だったらこうなら言えるかもしれない、というところを一生懸命に探します。その中で自分がやる意味みたいなものが見つけられたときは嬉しいなぁと感じます。――ここまでで、ご自身が演じられてよかったなと思った役や、出合えてよかった作品というと?福地:人として興味が湧く役をいただくことがとても多いのですが、最近だとドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』で演じた環という女の子がとても魅力的な人だと感じました。それに近い感覚だと、『女子高生の無駄づかい』という漫画原作のドラマでやらせていただいたヤマイという役がそのひとつです。すごく癖のある動きが多かったので、最初はかなり苦戦しましたが挑戦してみることで、いつもの自分にはない考えが生まれてきたり想像することの楽しさを教えてもらい、それが活力に繋がりました。あと、2023年にNetflixで配信された『舞妓さんちのまかないさん』という舞妓さんの日常を描いた作品で演じたつる駒という役も。監督の是枝(裕和)さんがはじめに書いてくださった台本には10種類くらいモノマネのレパートリーがちりばめられていたので、とにかく一生懸命練習しました。待ち時間に共演のみなさんに見てもらったりしているうち、自分の中ではうまくなっている気がして、すごく自信を持ってやれるようになりました。…まわりから見たらほとんど似ていなかったみたいなのですが(笑)。そこで自分は人を楽しませるのが好きなんだなと思いましたし、今もたまにモノマネをやりたくなったりするくらい楽しかったです。福地桃子さんら4人が千尋を演じる舞台『千と千尋の神隠し Spirited Away』は、3月30日(土)まで帝国劇場で上演中。その後、愛知・御園座、福岡・博多座、大阪・梅田芸術劇場メインホール、北海道・札幌文化芸術劇場 hitaruなどで上演するほか、ロンドン・コロシアムでも上演。演出はジョン・ケアード。東宝テレザーブ TEL:03・3201・7777ふくち・ももこ1997年10月26日生まれ、東京都出身。2019年に連続テレビ小説『なつぞら』に出演し注目を集める。近年の出演作にドラマ『舞妓さんちのまかないさん』『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』など。’24年5月には映画『湖の女たち』が公開予定。※『anan』2024年4月3日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2024年03月30日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、思いを正確に伝えられる女性、「秘密の合図を決めている女」になりきり。“二人だけのもの”という特別感は嬉しいもの!長女のプール教室を見学しに行った時の話です。保護者は子どもたちと同じ空間にはいるものの、一番端の遠い場所から見ていて、大きい声を出すこともできない。だから、“ちゃんと並びなさい!”と適当な動きをつけて伝えようとするものの、まったく届かず、娘はふざけている状況が続いていたんです。すると、隣にいたお母さんが、両手を丸めて目に当て、まるで双眼鏡を覗いているようなジェスチャーをしていたんです。最初、これは何の合図だろう?と思っていたけれど、「見てるよ!いいよ!」という意味なんだなということがわかったんです。うちの長女も最近ずっと、「お母さん、見て!」と言っていますが、それに応える合図なんですよね。きっと、手を双眼鏡に見立てることで、より、ちゃんと見ているよということをアピールしていて。そんな、親子二人だけの秘密の合図があることって、すごく素敵だなと思ったんです。子どもも安心できますよね。また、私は長女に対して、“ちゃんとしなさい!”ではなく、“見てるから大丈夫だよ”を伝えるだけで十分なんだなということにも気づかされました。学生時代、好きな人の名前が周りにバレないよう、友だちと好きな人を示す合図を作って会話をしていたことがあって。やっぱり特別感が生まれたし、子どもとのコミュニケーションがとれて喜ばれそうだと思いました。言葉だけでなく、内容に合ったポーズをつけてみると、伝え方のバージョンアップができ、思いが届きやすくなるはずです。また、友だちとも、いつも決まった場所で会うとか、二人の間でだけ使うLINEのスタンプがあるとか、二人だけの特別な何かがあると嬉しくなるもの。そういうものを見つけてみるのもよさそうです!よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。バラエティ番組やCMで活躍中。2023年6月に第三子を出産。※『anan』2024年3月27日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2024年03月27日北海道での活動を経て31歳で東京に進出。あれから約20年、北海道の大スターから国民的スターとなった大泉洋さん。50歳の節目の年に行われた「大泉洋リサイタル」の冒頭の映像を見て、これまでのことを振り返ったという。知らなかった人にも自分の曲を聴いてほしくなった。「僕の今までの音楽活動の流れを説明するVTRを作ってくれていたのですが、それを見ていたら、“ああ、こんなこともあったな”とだんだんと思い出してきて。リサイタルで僕が昔作った曲をファンのみなさんがとても喜んで聴いてくれるもんだから“まだ知らなかった人にも聴いてほしい”という欲が出てきてしまいました」北海道時代から今日に至るまで、請われるままに走り続けてきた。生誕50周年のメモリアルイヤーは、アルバムのレコーディングやリサイタルの準備もあり、怒涛の一年だったという。「ツアーが始まる直前の12月上旬まで時代劇の撮影をしていたので、本当に忙しかったです。30代は駆け抜けるように仕事をし続けたので、40歳のときにはすでに“もう少しじっくり仕事をしたい”なんて言っていたんですけど、まったく叶いませんでした(笑)。30代よりも40代のほうが圧倒的に忙しかったですし、50歳になったこの一年はさらに忙しくて。ついに体が追いつかなくなり、働き方を変えざるを得なくなりました(笑)」体のためには休んでもらいたいところだが、俳優、声優、タレント、歌手と、すべてがプロフェッショナルな「大泉洋」というジャンルを確立した彼を、世間はどうしても放っておかない。「歌手は勝手に僕が始めただけですけど(笑)。リサイタルがあまりにも楽しかったので、これからも歌の活動は続けていきたいですね。以前は僕みたいなやつが音楽活動なんて、という恥ずかしさからファンクラブのみなさんだけに向けた活動でしたが、50歳という節目を機に、やりたいことに正直に生きようと思えたんです。別に周りからどう思われてもいいやと。自分で過去に作ってきた曲も自信を持って世に出していこうと。これからも自分が尊敬するミュージシャンの方々にお願いして楽曲を作ってもらい、またツアーをしていきたいと思っています」とはいえ今後も仕事とプライベートのバランスをとりつつ「家族との時間も大切にしたい」と語る。「娘が成長するにつれて、一緒に出かける機会も少なくなりますからね…。バレンタインのときに、スタッフのみなさんからもらったチョコを家に帰って娘に見せたら、“あ!”という明らかに焦った顔をするわけですよ。『今日、バレンタイン?』『そうだよ』という会話のあとに狼狽しながら板チョコを持ってきて、『パパ、溶かすものない?』と言われたから『今からパパと作るの?』って。僕がもらうチョコを、娘と一緒に作りました(笑)。まぁ、そんなこともいつまでしてくれるかわからないので、娘とできることは今のうちに全部やっておこうと思います」50歳という節目を経て、ますます魅力を増す大泉さんの「最先端」を聞いたところ、「ドライヤーです」という意外な答えが。「最先端のドライヤーを使うようになったら、ヘアメイクさんに“シャンプー替えましたか?”と言われたんです。京都と大阪のホテルに置いてあったのを使って、良さを実感したので買いました。僕のくせっ毛は自分ではどうにもならないのですが、このドライヤーで乾かすだけでちょっとまとまるんです。いい買い物でしたね」おおいずみ・よう1973年4月3日生まれ、北海道出身。演劇ユニットTEAM NACSメンバー。『水曜どうでしょう』でブレイク。近作に大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、映画『月の満ち欠け』など。2020年~’22年に『NHK 紅白歌合戦』司会を3年連続で務め、’23年は歌手として初出場。ブルゾン¥253,000シャツ¥115,500ネクタイ¥61,600(以上Bottega Veneta/ボッテガ・ヴェネタ ジャパン TEL:0120・60・1966)※『anan』2024年3月27日号より。写真・伊藤彰紀(aosora)スタイリスト・九(Yolken)ヘア&メイク・西岡達也取材、文・石本真樹撮影協力・STUDIO BASTILLE(by anan編集部)
2024年03月27日昨年12月から5都市をまわった「大泉洋リサイタル」。超満員・1万3000人の観客に笑顔と感動を届けた日本武道館でのファイナル公演では、アーティストとしてエンターテインメントの神髄を魅せてくれました。熱き公演の模様をレポートします。生誕50周年記念!!大泉洋リサイタル in 武道館2024.2.2@日本武道館TEAM NACS Solo Project 5D2‐FIVE DIMENSIONS II‐2月2日、ついにこの日がやってきた。正面入り口の「大泉洋リサイタル in 武道館」の看板を見ただけで高揚し、今か今かと待ちわびる会場の子猫ちゃん(大泉洋ファンの呼称)の熱気に押され、さらに期待がふくらむ。開演前の本人による場内アナウンスから「おならはマナーモードか匂わない状態に」といったクスッと笑える内容で、「すでに大泉洋ワールドが始まっているんだ」と感動する。実はこのアナウンスは録音で、武道館用に最後だけ改めて録り直したとか。間隔を計算して録音したそうで、笑いと拍手待ちのタイミングはバッチリだ。四方に向けて設置されたLEDスクリーンからこれまでの音楽活動が綴られたVTRが流れ「オイズーミ!」コールとともにステージ中央から甲冑とマントに身を包んだ大泉洋がせり上がってきた。その堂々たる姿を見ていると不思議と目頭が熱くなる。公演終了後に大量に寄せられたファンメールでも「登場で泣いた」という人が数多くいたようだ。ちなみに甲冑は会場内に設置された黄金像と同じ衣装だそう。「おっぱじめようぜ東京!」の雄叫びとともに「TOKIO」を熱唱し、「本日のスープ」を歌い終えるとカジュアルなシャツに衣装チェンジ。「会いたかったぜ子猫ちゃんたち!」の叫び声に歓声が起こったあと、長めのMCタイムへ。「“立ちっぱなしはつらい”と見過ごせない数のメールが来たので、立ったり座ったりを管理します」など、さすがのトーク力。少しボヤいたあと、「星空のコマンタレブー」「ビーチドリーマー」といった大泉らしい楽曲を披露し、『ドラバラ鈴井の巣』の名作『山田家の人々』の映像を背景に「君には」をじっくり聴かせる。2回目のMCでは、札幌公演を観たご両親がリサイタルを独演会と間違え、さらに「あと4人来るんだべ?」と勘違いしていたと話し、観客がTEAM NACSの登場を期待するも「出ません!」と念押し。福山雅治とのエピソードを語ったあとは、「スマッシュヒットLOVEバシーン!」「疾れ!」と息つく間もなく進んでいく。ここで小休止。大泉が退場すると『水曜どうでしょう』のディレクター藤村忠寿(ふじむら・ただひさ)と嬉野雅道(うれしの・まさみち)に幕間VTRを依頼する様子が映し出される。リサイタルを藤村が「のど自慢」と揶揄したことに憤りながらも「何でもする」と懇願。VTRは後半のお楽しみへ。白いスーツで再登場し、「昭和名曲ヒットパレード」で昭和の名曲を歌い上げる。そして、お待ちかねの『水どう』チームによる映像で久しぶりの「ひぐまの洋」を堪能したあと、鈴井貴之の言葉を歌詞に乗せた「手漕ぎボートは海をこえて」、「肩、膝、腰~」のフレーズがキャッチーな初披露の新曲「コラーゲン。」を軽快に歌う。そして、新曲「ふわり」を歌い上げたあとに事件が。ステージにピアノが登場し「ハナ~僕とじいちゃんと」を弾き語りで披露するはずがうまく弾けない。「リハでは完璧だったのに!」とショックを隠せない大泉。会場からの温かい声援もあり7度目でようやく成功するも、納得はいかない様子。その後は、「あの空に立つ塔のように」でいったんリサイタルの幕が閉じた。アンコールでは、マイケル・ジャクソンの「Man In The Mirror」を披露するというサプライズが!武道館のリハーサルはほぼこの曲に費やしたそうで、会場からの割れんばかりの歓声に、インタビューで自身も「鳥肌が立った」と語っていた。「バカね…冬」から「バカね」と続き、曲中の「愛してるよー!」に「俺も愛してるよー!」と全力で応え、花道を投げキッスしながら退場する大泉。その背中が、最高にカッコいい。いつだって踏ん張って真っすぐ立っている“洋ちゃん”を堪能した夜だった。SET LIST01TOKIO02本日のスープ03星空のコマンタレブー04ビーチドリーマー05君には06スマッシュヒットLOVEバシーン!07疾れ!‐映像‐08自動車ショー歌09また逢う日まで10長い夜‐映像‐11手漕ぎボートは海をこえて12コラーゲン。13Top of the World14ふわり15ハナ~僕とじいちゃんと16あの空に立つ塔のように〈EN1〉Man In The Mirror〈EN2〉バカね…冬〈EN3〉バカねおおいずみ・よう1973年4月3日生まれ、北海道出身。演劇ユニットTEAM NACSメンバー。『水曜どうでしょう』でブレイク。近作に大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、映画『月の満ち欠け』など。2020年~’22年に『NHK 紅白歌合戦』司会を3年連続で務め、’23年は歌手として初出場。※『anan』2024年3月27日号より。写真・西槇太一文・石本真樹(by anan編集部)
2024年03月24日オーバーサイズのデニムセットアップに身を包み、大人の男の色気を見せてくれた大泉洋さん。昨年12月から5都市をまわった「大泉洋リサイタル」では、多くのファンを歌とトークで魅了した。ミュージシャンへの憧れが詰まった、壮大なパロディ。「昔からのファンの方は僕が歌うと喜んでくれるので、じゃあ今回は歌おうと。僕には自分のやりたいことがないんです。見てくれる方の楽しむ姿がモチベーションになる。考えるのは、ファンのみなさんが見たら嬉しいだろうな、盛り上がるだろうなということだけ。僕はみなさんを楽しませたいし、みなさんも楽しむ僕を見たいと思ってくれている。不思議な相思相愛関係ですよね。今回のリサイタルツアーは普段、僕のファンだと恥ずかしくて言いにくい人たちにとって最高だったんじゃないかな。どこを見ても熱狂的な洋ちゃんファンしかいなかったから(笑)」50周年の締めくくりには、これまでのレパートリーがまとまった『YO OIZUMI ALL TIME BEST』が発売される。ファーストアルバムがベストアルバムというのも、実に彼らしい。「昔から冗談で、今まで作った曲を全部入れた“ベストというか全部”みたいなアルバムを出したいと言っていて。だったらこのタイミングだ、と思ったんです」番組の企画や事務所のイベントで作詞・作曲を手掛けることも多かった大泉さん。改めて自作の曲を聴き、気づいたことがあった。「キャッチーでわかりやすいなと。僕はプロのミュージシャンではないので、世界に一つしかない曲や、今まで誰も聞いたことのないサウンドを作りたいという思いはなくて。誰もが共感できる“王道のメロディ”が好きなんです」さらに玉置浩二さん作曲「あの空に立つ塔のように」とGLAYのTAKUROさん作詞・作曲「ふわり」の2曲が加わり、まさに「ALL TIME BEST」。ジャケット写真もカッコいい。「僕がやっていることはすべてパロディなんです。“ベスト盤だったらカッコいい写真撮るよね?”みたいな、ミュージシャンへの憧れが詰まった壮大なパロディ。リサイタルの宣伝写真はスタジアムで熱唱しているのですが、“スタジアムツアーなんてやったことねーだろ!”とツッコみたくなるじゃないですか(笑)」スタジアムでの撮影も、武道館公演も、「実現するとは思っていなかった」と笑う。だが、やるからにはすべての人を楽しませる。まさに武道館公演は、「アーティスト大泉洋」の魅力のすべてを出し尽くした圧巻の3時間だった。「“大泉洋リサイタル in 武道館”というタイトルのインパクトと出オチ感。これだけでもう面白いけど、観たらさらに面白くて得したと思ってもらいたいなと。娘からはチケットが売れるか心配されていたのですが、あっという間に完売してしまい、僕が一番驚きました。満員の客席を見た娘の感想は、“よかったんじゃない?”とそっけない感じでしたけど、嬉しそうでした(笑)」堂々とステージに立っているかのように見えたが、武道館では楽しむ余裕はなかったという。「客席からも“洋ちゃんの一世一代の晴れ舞台を失敗させるわけにはいかない”という緊張感が伝わってきました。僕はみなさんのためにやっているけど、みなさんも一生懸命、僕を担ごうとしてくれていて。本当にありがたいです」TEAM NACSメンバーでは、札幌にリーダー森崎博之さん、武道館に戸次重幸さんが訪れた。「リーダーからは、人生でもらったことがないくらいの長いメッセージをもらいました。彼は北海道中を走り回っていますから、札幌から帯広に行くバスの中で延々と打ち続けたみたいです(笑)。戸次くんからも“終始最高に楽しかった”と珍しく褒め言葉をもらったのですが、『ハナ~僕とじいちゃんと』のピアノ弾き語りを失敗したあとでものすごく落ち込んでいて。“ありがとう。今はこれぐらいしか返せない。察してくれ”という返事しかできませんでした。意図せぬ演出になってしまったので、大変落ち込んだんです。ただ、“大泉さんにしかできない勇気づけ方だ”とか、“最後まで諦めずに弾き続けた姿に感動した”とか、観てくれた方が励ましてくれたので、今ではあの事件があって僕の武道館ライブが更なる感動を呼んだんだなと思っています。もちろん、僕は悔しさはあるけど(笑)」弾き語りを失敗し続ける姿を見た『水曜どうでしょう』のディレクター嬉野雅道(うれしの・まさみち)さんからも、リーダーに匹敵するくらいの長いメッセージをもらったのだとか。「先鋭化できないあなたの本質が今の日本を救っているとか、あなただけが先鋭化のみを良しとする世界の風潮にブレーキをかけ人々を勇気づけているとか(笑)。そうやって人を勇気づけているのかもしれないけど、僕の失敗で人々が元気になっても、僕はどんどん傷ついていくんですよ(笑)」意図しないことが笑いとなり、状況を押し上げる。これまでの彼の道のりのようだ。これからも進化する姿を追い続けたい。おおいずみ・よう1973年4月3日生まれ、北海道出身。演劇ユニットTEAM NACSメンバー。『水曜どうでしょう』でブレイク。近作に大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、映画『月の満ち欠け』など。2020年~’22年に『NHK 紅白歌合戦』司会を3年連続で務め、’23年は歌手として初出場。ジャケット¥293,700パンツ¥225,500シューズ¥127,600(以上BALENCIAGA/バレンシアガ クライアントサービス TEL:0120・992・136)※『anan』2024年3月27日号より。写真・伊藤彰紀(aosora)スタイリスト・九(Yolken)ヘア&メイク・西岡達也取材、文・石本真樹撮影協力・STUDIO BASTILLE(by anan編集部)
2024年03月24日大のマンガ好きとして知られる麒麟・川島明さん。彼が惹かれるマンガの主人公とは?『寄生獣』泉 新一高校生の等身大の主人公を通していろいろ考えさせられる作品です。泉新一は、マンガ界において数多くいる“普通の少年”といわれる主人公の中でも、本当に一番なんでもない人物ではないでしょうか。だって、ほんまにただ寝ていただけの、できるだけ何もしたくない高校生が、寄生生物であるミギーに寄生されるところから物語がスタートしますから。でも、戦う使命が生まれたことやミギーの影響もあり、どんどんワイルドになり、周りの人から雰囲気が変わったと言われるくらい、すごい男になっていきます。本作には無駄な描写が一切なく、また、えげつないシーンもたくさん出てきます。“なぜ動物は食べるのに人間は食べないのか”という問いを寄生獣が投げかけてくるなど、世界や人が抱える問題を泉新一という等身大のキャラクターの目を通じて描いた、考えさせられる作品でもあります。メッセージ性は強いのに難しくなく読めるというバランスも、すごくいいんですよね。『新装版 寄生獣』岩明 均突如、宇宙から地球に飛来した、人間の脳を乗っ取り他の人間を食い殺す寄生生物たち。その一つであるミギーと共存関係になった新一は、寄生生物と激しい戦闘を繰り広げることに。アフタヌーンKCDX全10巻各770円/講談社©岩明均/講談社『ジョジョの奇妙な冒険 PART4 ダイヤモンドは砕けない』東方仗助(ひがしかた じょうすけ)虹村億泰(にじむら おくやす)ヤンキーで未熟な二人ですけど、「ジョジョ」で一番好きなキャラ!「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズはどれも大好きなんですが、主役という意味ではPART4の東方仗助が一番ですね。『ビー・バップ・ハイスクール』のようなヤンキー漫画も読んでましたが、それを“ジョジョ風”に味付けすると、仗助や(虹村)億泰みたいになるんだろうなと。メルヘンチックでSF的な架空の街で巻き起こるスタンド使いの話に、非常に昭和なリーゼントと短ラン姿のやつがいる(!)というのは面白いですよね。それに、リーゼントをけなされるとキレたり、妙な罠に簡単に引っかかってしまう仗助と億泰は、すごくかわいいんです。ダメで未熟な二人やからこそ力を合わせたらすごいというところも魅力的やし、僕は二人ともが主役やと思っています。亡くなったと思われた億泰が、空間を削り取るという強いスタンドである“ザ・ハンド”と共に登場するシーンなんて、しびれますから。登場人物が全員いい!「PART4の登場人物たちはみんな、個性豊かで魅力的。全員がいいんですよね」と川島さん。PART3の主人公であり、仗助に迫る危機を伝えるため杜王町にやってきた空条承太郎、真面目な広瀬康一と彼に想いを寄せる狂気的な山岸由花子などが登場。また、スピンオフが作られるほど人気を博すキャラクターである漫画家の岸辺露伴や、仗助とラストバトルを繰り広げることになる殺人鬼の吉良吉影など、クセの強い人物が揃っている。『ジョジョの奇妙な冒険 PART4 ダイヤモンドは砕けない』荒木飛呂彦ジョースター一族の運命を綴る、壮大なスケールの物語。PART4は、スタンド使いが集まる杜王町と、そこに暮らす温厚な高校生である東方仗助に迫る危機を描くサスペンス。ジャンプコミックスDIGITAL全12巻各792円/集英社©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社『機動警察パトレイバー』泉 野明(のあ)運命のライバルと1対1で戦う主人公を応援したくなります。小学生の頃、兄貴がハマっていたのをきっかけに途中まで読んでいたのですが、40歳になってようやく全巻読み終えました。主人公の泉野明は、“レイバー(汎用人間型作業機械)”による犯罪を取り締まるために開発された“パトレイバー”の新人操縦士。仕事の面ではあまり優秀ではないけど、勝ち気で強い女の子です。彼女にはバドという敵というかライバルがいて、最後まで読むとわかるんですけど、本作を簡単に言うと二人の喧嘩の話なんですよね(笑)。ずーっと決着がつかない状態が根底にあるなかで、いろいろな出来事が起こるんですけど、最後は、野明vsバドの戦い、いわゆる武蔵と小次郎みたいな展開に。やっぱり、この戦いをやらなければいけなかったんやな…としびれます。最後までこの二人で走りきる勇気もすごいと思うし、ストーリー的には単純なんですけど、野明を応援したい気持ちになります。ここが鳥肌シーン!川島さんがめちゃくちゃ心を掴まれたという、野明と最強のライバルであるバドとのラストバトルがこちら。「特に最後の2巻は、すべてを取っ払った二人だけの戦いになるので必見です。しかも、取っ組み合いで終わるというところも、すごくいいんですよね」『機動警察パトレイバー』ゆうきまさみレイバーが普及した近未来の東京。新たな社会的脅威となったレイバーの犯罪に対処するため、警視庁は特殊車輌二課を創設。そこの第2小隊に配属された警察官たちの活躍の物語。少年サンデーコミックス全22巻各528円/小学館©ゆうきまさみ/小学館『ひらやすみ』生田ヒロトマイペースにゆったりと過ごすヒロトくんを見て癒されています。最近の作品ですごく好きなのが『ひらやすみ』です。周りに慌ただしくしている人が多いなかヒロトくんだけマイペースに過ごしているんです。ボーッと釣り堀で働いていたり、ちょっと気になる子ができたりと、ゆったりと日常を送る姿を見ているだけでホッとするし、癒されてます。また、真造圭伍先生だからこそ描ける、コマをぜいたくに使った画を見ていると、呼吸が整うというか、深呼吸ができるというか。それでもたまに、キュッと胸を締め付けてくるような表現や展開もあったりして。それも先生らしいなぁと思います。このシーンが好き!マイペースに過ごすヒロトだが、過去に何かがあったことを匂わせるような描写も登場する。「芸能界にいて、とんでもないショックを受けたことがあるようです。これから明らかになるんでしょうけど気になります」このコマ割りが好き!読んでいて気持ちがいい構図やコマ割りにも癒されているという川島さん。「ヒロトくんが働く釣り堀のワンシーンを見開きで描くなど、ページをゆったりと使った、真造先生にしか描けない画が本当に素晴らしいです」『ひらやすみ』真造圭伍人柄の良さだけで、近所に住むおばあちゃん・和田はなえから家を譲ってもらったヒロト。お気楽に暮らす彼と、その周りに集まってくる、生きづらさを抱えた人たちの物語。ビッグ コミックス1~6巻各715円/小学館©真造圭伍/小学館かわしま・あきら1979年2月3日生まれ、京都府出身。『ラヴィット!』『ベスコングルメ』(共にTBS系)、『川島・山内のマンガ沼』(読売テレビ系)などレギュラー番組多数。※『anan』2024年3月20日号より。写真・土佐麻理子取材、文・重信 綾(by anan編集部)
2024年03月20日大のマンガ好き芸人として有名な、麒麟・川島明さん。好きな作品は「今でも読み返しますね」と言う川島さんに、今も魅了され続けるバイブル的な名作の主人公を教えていただきました!大のマンガ好きとして知られる麒麟・川島明さん。今や朝の顔にもなり多くの人を魅了している彼が惹かれるマンガの主人公とは?「『あしたのジョー』の矢吹丈や『ピンポン』のペコなど、どんなにすごい人間でもスランプやエアポケットがあり、それを乗り越えて初めてヒーローになれると教えてもらえる主人公が好きです。圧倒的に強すぎる人もいいんですけど、絶対的エースじゃないからこそ応援したくなるし、欠点やコンプレックスなどの人間味が、ファンが魅了される部分になると思うんです。僕自身、そうした主役の“欠片(かけら)”を持ちながら、日々、頑張っている感じがしています」『あしたのジョー』矢吹 丈背中を押してくれるジョーはずっと一番好きな主人公です。小学生の時に出合った矢吹丈が、原点というか、いまだに一番好きですね。ジョーは特殊能力で悪を懲らしめるような絶対的主人公ではなく、人道に反する少年で未熟なところから始まるけれど、強くなりたいというピュアな思いがあり、また、力石徹やカーロス・リベラなどとの出会いを通じて負けられない理由もできる。そんな成長物語を読むのが初めてで、こんな主人公もいるんだと衝撃を受けました。力石と戦い、彼が亡くなって生きる目標を失い、長いスランプ期間に陥りますが、その長さや行動の描写はめちゃくちゃリアル。一度どん底まで落ちたことで、カーロス・リベラと戦って野性を取り戻すというその後の展開がよりドラマティックになるし、深みも増すんですよね。本作がなければ芸人になっていなかったかもしれないと思うくらい背中を押してくれた作品で、自分がブレていると思った時に読み返します。『あしたのジョー』原作/高森朝雄漫画/ちばてつや矢吹丈が、力石徹やホセ・メンドーサなどの強敵と戦い、葛藤しながらも成長する様を描く。魅力あふれる登場人物、名台詞や名場面がめじろ押しの、ボクシング漫画の金字塔。講談社コミックス全20巻各385円/講談社©高森朝雄・ちばてつや/講談社『ピンポン』ペコとスマイル復活をとげたペコと幼馴染みのスマイルの決勝戦に胸打たれます。主人公のペコは天才でありながら、次第に、どんどん潰れていきます。彼がいなくても卓球界は当たり前に回り続けるけれど、彼を意識しているドラゴンやアクマなどの選手たちみんなが、ヒーローの戻りを待望し続け、復活するというストーリーがすごくいい。そして最後に、幼馴染みのスマイルとやり合うという展開も胸を打つ。単純にスポーツ漫画とはいえない素晴らしい作品です。卓球って、描くには結構スピード感が求められる展開が続くんですけど、一枚一枚の絵が素晴らしくて画集のようだし、躍動感もある。NSC時代に出合い、マンガの概念を覆されました。当時、自分たちでネタを作って先生に見せていましたが、発表前日の夜に本作を読んだせいで“もっとちゃんと深く描かないとダメだと”思い、作ったネタを一回捨てたことも(笑)。あれだけクオリティの高い作品を読むと、背筋が伸びますよね。このキャラも好き!川島さんが「お気に入りのキャラです」と名前を挙げたのが、ペコとスマイルの前に立ちはだかる強豪校の主将であり、卓球に人生を捧げてきたドラゴン(風間竜一)。最後の大会でスランプを克服したペコと戦うことに。この表紙が好き!川島さんが所有するビッグ コミックス版の表紙は、1巻はスマイルで、5巻にペコが登場する。「最終巻にようやくヒーローであるペコが出るところも、物語と同じ“おまたせ”感があって好きです。松本先生が計算していそうです」『ピンポン』松本大洋卓球に絶対的な自信と愛を持つペコ(星野裕)と、暇つぶしだというスマイル(月本誠)はじめ、卓球に打ち込む5人の高校生を描いた青春ドラマ。ビッグ コミックス全5巻 961円~、小学館文庫全3巻各734円/小学館©松本大洋/小学館『BLUE GIANT SUPREME』宮本 大(だい)夢に向かってピュアに走る大は、令和の時代にこそ必要な人です。本当に真っすぐな意味で大好きなのが「BLUE GIANT」シリーズ。今は第4部が連載中ですけど、どれも最高でしかないです。主人公の宮本大は“久しぶりに昭和のど真ん中の気持ちいいやつが出てきたな”と思いました。勢いと努力だけで夢に向かって突き進んでいく彼は、何かを諦めていた周りの人をも引っ張っていく。根拠のない“大丈夫”という言葉がなかなか言いづらくなった令和の時代に、すごく必要な人なんだろうなと思わされました。とにかくピュアに走り続ける姿も“これぞ主役”という感じだし、ある種、『ドラゴンボール』の孫悟空みたいともいえる存在です。そして、大を見て心が熱くならないなんて嘘やろ!と思うくらい、見ているだけで何かを始めたくなるカンフル剤みたいな人物でもあって。僕自身、初めて読んだ時は思わず走り出しましたし、なんならサックスも始めましたから(笑)。このキャラも好き!大が単身で乗り込んだドイツで出会った、ウッドベーシストのハンナが好きだと川島さん。「女がジャズをやるな、体が小さいから向いてないなどいろいろ言われながらも、努力を重ねる姿に感銘を受けます。ぶつかり合うけど最終的に大と組んだバンドがうまくいってよかった」『BLUE GIANT SUPREME』石塚真一ジャズに魅了されサックスプレイヤーになった宮本大の挑戦の物語。川島さんが特に好きという第2部にあたる本作は、ドイツはじめヨーロッパが舞台となっている。ビッグ コミックス スペシャル全11巻各770円/小学館©石塚真一・NUMBER 8/小学館かわしま・あきら1979年2月3日生まれ、京都府出身。『ラヴィット!』『ベスコングルメ』(共にTBS系)、『川島・山内のマンガ沼』(読売テレビ系)などレギュラー番組多数。※『anan』2024年3月20日号より。写真・土佐麻理子取材、文・重信 綾(by anan編集部)
2024年03月20日学校イチの人気者オミくんと、彼との妄想を密かにSNSに綴るエリーが織りなす胸キュンラブストーリー、映画『恋わずらいのエリー』。これが3度目の共演の、宮世琉弥さんと原菜乃華さんがW主演を務めます。注目の若手俳優2人が恋のときめきと成長を表現。左・宮世琉弥さん、右・原菜乃華さん。――役について教えてください。宮世琉弥さん(以下、宮世):オミくんは“ウラオモテ”王子で、裏ではかなりのツンデレで。僕にとってはこれが初めての王道のラブストーリーなので、ツンデレの引き出しがなかったんですけど、ツンデレな監督から技を盗みまくりました(笑)。原菜乃華さん(以下、原):エリーはピュアなところが魅力です。人からのアドバイスも素直に受け止めて、彼女なりに実践しながら引きこもりがちな性格を変えていきます。エリーの成長は、完璧に見えて実は努力しているオミくんの姿に、背中を押してもらっていた部分も大きいと思います。宮世:エリーは、徐々に自分の気持ちを伝えられるようになっていくよね。オミくんも成長していくし、そうやって自分の殻を破って変わっていく二人に学ぶところも多かった。そういうところも含めて、年代に関係なく共感していただける部分があるので、学園ラブストーリー作品は観に行きにくいと感じる年代の方も、楽しんでいただけます!原:エリーは勇気を出して「一緒に帰りたいです」とか、想いを一生懸命伝えるんです。年齢を重ねるにつれて気持ちをストレートに伝えられなくなる…という人も、この映画を観たら、キュンキュンする感覚を取り戻していただけると思います。――今作が3度目の共演ですね。宮世:最初の共演から、原さんはすごくお芝居が上手くて!役に入り込んでいる原さんに、何だか吸い込まれるような感覚があるんです。原:嬉しい!私は宮世さんとやっていると、すごく安心できます。お芝居のパターンを変えてもすぐに対応してくださるから、ちゃんと見てくださっているのがわかるんです。宮世:原さんとはもう、いい意味でお仕事という感覚がない!原:私も。初めての方だと「ここまで近づいたほうがお芝居しやすいけど、大丈夫かな…?」って思うけど、宮世さんには気兼ねなくいけました。けど、誰にでもフレンドリーなムードメイカーの宮世さんも、急に静かになっちゃったことがあって。宮世:オミ軍団とのシーンね。さすがの僕も、女の子11人に囲まれたら人見知り発揮します(笑)。原:余裕のある普段の感じとのギャップがかわいらしかったです。宮世:原さんは、話し出すと止まらないところが素敵だなと思った。原:絶対に思ってないですよね!?「わかる~」って言いながら、聞いてなかったの、バレバレですよ(笑)。――エリーは、オミくんが彼氏だったら…とたくさん妄想しますが、お二人は妄想をしますか?宮世:僕は『ジョジョの奇妙な冒険』の主人公だったら、自分のスタンドになんて名前をつけようかなとか考えてるうちに寝落ちしてますね。原:私は、現実より妄想の世界にいるほうが多い日もあるくらい。ほら、甘いものとしょっぱいものって、交互だったら永遠に食べ続けられるじゃないですか。宮世:これは、原さんの話が止まらなくなる流れだな(笑)。原:それぞれでおいしくて、一緒にしてもおいしい組み合わせって何だと思います?ポテトチップとケーキは違うし…。宮世:はい、チャンチャン!…『anan』とかけました。原:現場でもよく韻踏んでて、上手くいくとドヤ顔してたよね(笑)。『恋わずらいのエリー』さわやか王子・オミくんとの妄想をSNS上でつぶやくのが日課の妄想大好き女子・エリー。しかし、彼には裏の顔があった。共演に西村拓哉、白宮みずほ、藤本洸大、綱啓永、小関裕太ほか。3月15日全国公開。2024「恋わずらいのエリー」製作委員会 ©藤もも/講談社みやせ・りゅうび2004年1月22日生まれ、宮城県出身。’19年の俳優デビュー以降、ドラマ『君の花になる』『パリピ孔明』などに出演。4月10日、Ryubi Miyase名義でデビューアルバム『PLAYLIST』をリリース。ジャケット¥63,800パンツ¥36,300(共にサイト/ヨウジヤマモトプレスルーム TEL:03・5463・1500)その他はスタイリスト私物はら・なのか2003年8月26日生まれ、東京都出身。’22年、映画『すずめの戸締まり』で主人公に選ばれる。’23年、映画『ミステリと言う勿れ』や大河ドラマ『どうする家康』などに出演。公開待機作に『【推しの子】』。ワンピース¥31,900(JILL STUART)シューズ¥14,900(CHARLES&KEITH/CHARLES&KEITH JAPAN)リング¥184,800(e.m./e.m.青山店 TEL:03・6712・6797)※『anan』2024年3月20日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・徳永貴士(SOT/宮世さん)山田安莉沙(原さん)ヘア&メイク・礒野亜加梨(宮世さん)馬場麻子(原さん)インタビュー、文・小泉咲子(by anan編集部)
2024年03月19日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、仕事の知識や経験を活用できる女性、「専門分野をプライベートで活かす女」になりきり。情報収集して、知識をアップデートしよう!看護師の友だちがいるのですが、彼女の家族が体調を崩した時に、「お医者さんに何か言われてもわからないかもしれないから、一緒に聞いてほしい」とお願いされて、病院についていったそうです。実際、内容を噛み砕いて教えてあげたらしいのですが、それができるのは専門知識があるからこその強みだなぁと思いました。私も以前、お医者さんの説明が1ミリもわからず困った時があって。わかりやすく話してくれていると思うのですが、「どういうことですか…?」と聞き返したり、メモを取ったりと、理解するのに時間がかかりました。いざ、診察となると緊張することもあるし、診察が終わって誰かに「どうだった?」と聞かれてうまく説明できないこともあるので、彼女みたいな人が家族にいたら頼もしいですよね。彼女は、お医者さんの思考回路みたいなものも読み取ることができるから、“こういう理由でこういうことを言ったんだろう”というところまで理解ができる。私の場合、プライベートで役立つスキルがあるのかと考えてみましたが、「何か一言言って!」と頼まれてもうまいことを言えないなと。他の職業でも、美容師さんなら似合う髪型を提案できたりもして、専門知識や手に職がある人って強いですよね。栄養士やファイナンシャルプランナー、保険会社の人とかも頼られる機会が多そうです!彼女を見ていると、常に仕事にまつわる勉強をしたり、経験を積んできたんだろうなということを実感します。だからこそ、プライベートのシーンでも役立つような知識やスキルが身についているんだろうなと。それに、ネットで論文を読むなど情報収集も欠かさない。知識を最新のものにアップデートする努力を惜しまないことも大事なのではないでしょうか。よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。バラエティ番組やCMで活躍中。2023年6月に第三子を出産。※『anan』2024年3月20日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2024年03月18日『M‐1グランプリ』の決勝に2度進出する実力を武器に、近年テレビ界でも躍進中のモグライダー。テレビと舞台を横断する二人の語る魅力的な人、そして唯一無二の相方の魅力とは。“何か起こるかも”という予感も見てもらえる一因に。左・芝大輔さん、右・ともしげさん。――テレビで見ない日はないといえるほどの人気ぶりです。重宝されている理由は何だと思いますか。芝:僕たちにはおなじみのくだりやギャグみたいなものがないし、ともしげは別にボケてるわけでもなくて。そこに、構えずともずっと見ていられる要素があるのかな、とは思います。現象として存在し、たまに跳ねる時があったらラッキーくらいの、優しい気持ちで置いてもらっている感じでしょうか。手応えも、そんなにないですからね。ともしげ:僕に至ってはもっとないですから。決められた文章は読めないし、ボケやツッコミをやるわけでもなく…。みなさんが思うイメージ通りでありたいと思うものの、最近は「イメージと違う」と言われたりもして、乖離をどうしたらいいのかと勉強中の段階です。芝:俺が15年、言い続けていることですけどね(笑)。ともしげ:細部まで教えてよ。芝:たとえば、第一印象は可愛いとか言われるけど、よく見ていくと、爪鋭いじゃん、めちゃ交尾するじゃん、獣じゃん、みたいな。自分の欲が抑えられないようなところはあって、だんだんとめくれてきているというか。ともしげ:それはそうですね。クロちゃんとかナダルみたいな方向に行くべきか、でもそこまでじゃないか、という葛藤もあって。どのタイプにも当てはまらないなって思ってますけど。芝:多分、“お前はどこに当てはまるんだ”ということを、長い期間かけて試されていることが、ずっと使ってもらえている一因だと思うよ。でも、先輩方や伊集院光さんが、僕たちはコント55号さんに近いという話をしてくださったりして。その時だけのものをバンバン生み出そうとするところとか。ともしげ:極楽とんぼさんも、コント55号さんみたいなスタイルだと言われていたことがあったよね。芝:ヒヤヒヤする感じが近いのかもしれない。たしかにライブでも、“これどうするの?”という誰も手を出したくない時に、こっちを見られているなという意識はあって。それをギリギリすくい上げる姿を楽しんでもらえているということは、自覚していましたね。――お互いの魅力を教えてください。芝:どう転ぶかわからないのが、ともしげを使う上で難しいところ。でも、それが表裏一体で魅力でもあるので。計算できるものではないから、邪魔になる時もあれば、いて助かる時もあるという。約束ができないこのタイプがこの世界で長く生きていくことは、普通、絶対に無理なはずなんです。それでも唯一、置いてもらえているのは、僕が15年間以上にわたって賭けてきた彼の魅力みたいなものに共感する人が、だんだんと増えてきたのかなと。――ともしげさんがテレビに出ていると集中して見てしまいます。芝:僕たちは、いつ面白いことが起こるかわからない、見逃したくないというワクワク感のある昔のテレビがすごく好きだったんですけど、ともしげは、そういうものなんじゃないですか。ブラウン管みたいに四角いし(笑)。ともしげ:でかいしね。芝:最悪、何も起きなくても、何か起こるかもしれないという“予感”があれば見ていられるし、それは僕らの芸風にもなっているので。一度、めっちゃ面白い漫才ができても、二度はできないということの繰り返しです。ともしげ:芝くんには、僕がウケているのは本当に偶然だから、私生活が真面目じゃないと、噛んだりしても笑えなくなるからとよく言われます。芝:本人が真剣だという振りがあるから、ミスが笑いとして成立するので。ともしげ:でも、僕は芝くんが相方でよかったです。本の通りにできないからネタにならないし、作品性を求める人とはうまくいかない。付き合ってくれているので、本当に感謝ですよ。芝:付き合うというか、天気と一緒じゃないですか。ずっと見ていれば備えることはできるし、雨が降っちゃったら、傘を差すか、濡れたままにするか、意外と降らなかったな~となるか。そういう感じなんですよね。――芝さんは、「俺たちを誰も知らない漁村で漫才をやってもウケたいよ」とおっしゃっていたそうですが。芝:漫才って、知らない人が見ても笑える喋り方とか技とか様子のことだから、それは忘れずにいなければいけないなと。ネタに意識がいきすぎると、本当に“面白い”になるのかなぁと思いますし。理想の漫才は、1時間でも一日中でもやり続けられる輪郭のないもので。中川家さんや同じ事務所のナイツさんは、きっと朝から晩までできる人だし、見る人も見ていられる。“今ネタに入りました”という野暮ったさも一切ない、喋り出したところから漫才というものがいいですよね。――魅力のある芸人はどんな人ですか。芝:上っ面じゃない優しさがある人じゃないですか。人を楽しませる仕事だから、目の前の人や画面の向こうにいる人の気持ちを考えられる人が残っている感じがする。営業妨害かもしれないけど、永野さんは容赦なく世の中の人に向かっていくけど、根が優しいからこそ、言えるものがある。結構、優しさと残酷さは紙一重だと思うし、だからこそ笑えるんだろうなと。有吉(弘行)さんとかも、辛辣なことを言うけど、それは、自分がしんどい経験をしているから言えることでもあって。ともしげ:僕が変な感じになった時も、すごく助けてくれましたから。芝:辛辣なことを言ってウケるのが芸。ネットのつぶやきとの違いですよね。――同じ企画に登場する、ヤーレンズさんの魅力を教えてください。芝:こんなにうまい漫才師がいるのかという最初の印象が、ずーっとあるコンビです。お互いのネタを交換してやる機会があったんですけど、まー、難しかったですから。十分にうまいというところは通り越して、うまいをずっと突き詰めていったからこその苦しい時期もあったと思うんです。一番うまいのに売れることから遠かった時期もあったし。根性がありますよね。ともしげ:努力と向上心、やる気がすごくて、ネタ見せをした時も、ちゃんと人の意見を受け入れていましたね。ネタに向き合わなければいけないことを教えてくれたのもヤーレンズです。芝:それこそ、ヤーレンズと錦鯉と虹の黄昏の4組でオールナイトライブをやっていたんですけど、他のコンビが何もしないから、ヤーレンズが会場手配やお金のこととか全部、担当してくれて。むちゃくちゃ楽しかったし、今の4組でやったら当時とは違うものにもなって楽しいだろうなと、話したりもしていますよ。実現したいですね。モグライダーネタ作り担当の芝大輔(左)と、ともしげ(右)のコンビ。2009年結成。『ジョンソン』『ラヴィット!』(共にTBS系)、『月ともぐら』(テレビ東京)、『金曜日のメタバース』(テレビ朝日系)、『しずおかごはんが食べたい!』(テレビ静岡)など数々の番組にレギュラー出演。※『anan』2024年3月20日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE)取材、文・重信 綾(by anan編集部)
2024年03月18日昨年の『M‐1グランプリ』で準優勝し、今、世間の支持を集めるヤーレンズ。自分たちの考えるコンビの魅力や、芸人の世界における「魅了される人」などについて、話を伺いました。ちゃんと積み重ねてきた魅力があるコンビです。左・楢原真樹さん、右・出井隼之介さん。――まず、お二人が魅力的だと思う芸人さんを教えてください。楢原真樹さん(以下、楢原):『ONE PIECE』のボア・ハンコックですね。出井隼之介さん(以下、出井):たしかに魅力はあるけど、芸人じゃないですよ。楢原:身長が1m90cmくらいある海外のモデルさんみたいなスタイルで。出井:あの、ちゃんと答えてもらっていいですか?でも、確実に言えるのは、芸人は笑いを取らなきゃいけないということ。そして、芸人に愛される人は、キャリアや笑いの種類、笑いに向き合う姿勢など、表だけじゃなく裏の部分も含めてリスペクトを集めている人だと思う。ハリウッドザコシショウさんとかがそうですよ。楢原:後輩のことを考えてだろうけど、賞レースの審査員とか、いろいろな仕事もされていて。みんなに好かれている自負があるからこそできることだと思うけど、そこもカッコいいですよ。出井:よく見たら男前だし、体型も赤ちゃんみたいだよね。楢原:ギャップがチャームになってる。でも、若い世代の芸人が尊敬するのはどんな人なのか、聞いてみたいよね。ネタが面白いという1点で評価をする印象があって、僕たちの世代とは少し違う気がするんだけど、何が変わったんだろう。時代?それとも政権?出井:政権は変わりましたけど、またすぐ戻りましたからね。楢原:じゃあ、年号?――テレビに引っ張りだこの自分たちの今の状況をどう見ていますか。楢原:『M‐1』の影響はやっぱりすごいと思いましたね。出井:ただ、何か1つ世に出るきっかけがあれば忙しくなることはわかっていたし、そう信じていたからやっていたという気持ちもあります。ようやく思っていた感じになってきたのかな。――ご自身が思うヤーレンズの魅力はどんなところでしょうか。出井:“積み重ねてきた魅力”だと思います。自分たちで言うのはあれですけど、『M‐1』でやった漫才は、漫才歴2~3年ではできないものですから。年齢の説得力も含めて、漫才や風貌、話す言葉から、ちゃんと積み重ねてきたコンビだと伝わっているのかなと。昨日今日に出てきたけど、絶対に昨日今日に始めたわけではないところが、興味を引いているように思います。楢原:マイクを1本立てて、「何か面白いことを1時間やれ」と言われた時に、一番満足度が高いものができるコンビだと思っていますから。だからこそ、『M‐1』のチャンピオンになって箔を付けたいとも思っているんです。――これまでにコンビとして潮目が変わったと感じた瞬間はありましたか?楢原:えー、なんでしょう。潮のことは漁師が知ってるんじゃないですか?出井:金比羅丸船長のこと?楢原:それは長野(誠)さんでしょ?『SASUKE』の人でしょ?毛ガニの人でしょ?出井:元祖完全制覇の元毛ガニ漁師、秋山(和彦)さんとごっちゃになってますね。って、『SASUKE』の話じゃなくて潮目の話をしましょうよ。でも、コロナが一番大変だった時、それまで死ぬほどやっていたライブがなくなって、二人で公園に集まって喋っていたんです。普段はそんなに洗いざらい喋らないんですけど、不満も含めて本音を言い合い、相互理解が深まったことで関係性が良くなって、それが漫才に生きるようになったんです。そうして自分たちのキャリアや年齢、心境などの全部が2022年にバチッと重なった感じがあって、それから1段分厚く、ウケるようになりましたね。――人を魅了することに関して、テレビと劇場での違いはありますか?楢原:どちらがいいとか悪いとかではなく、単純に笑いを取っている人数でいうと、テレビの収録スタジオにいる人より、劇場の人の方が多いなという感覚です。僕はやっぱり、笑いを取るために芸人をやっているので。出井:劇場はウケないと話にならないですしね。難しいけどやりがいがあるし、それをやってこそ芸人というか。テレビがうまい人は凄腕そば職人と同じで、違うジャンルのリスペクトしている人、という感じです。――お互いの魅力を教えてください。出井:真面目さと、継続する力が高いところですね。Tポイントが2万ポイント貯まっているし、やっていないゲームもログインボーナスだけはもらい続けていますから。でも、芸人にもかかわらず、笑いや“面白い”の判断基準が、自分ではなく圧倒的に外にあるところは変わっている人だと思う。その割にプライドや気難しさもあって、ややこしいんですよね。俺の魅力は?楢原:ねぇ!出井:いやいや、僕に憧れて生きているでしょ?1秒でも長く僕といたい人だし、実際、いつもべったりです。楢原:あー、うぬぼれがすごい!常にポジティブなところが素晴らしい!自己肯定感が高くて羨ましいな~。出井:そう、僕は自己肯定感は高いけど、自己評価は普通くらい。でも相方は、自己評価は高いのに自己肯定感が低く、外からの評価がないとストレスに苦しみ、自分のことも嫌いになるんです。僕のことは好きっていうのもおこがましいくらい憧れてるはず。いいな、俺も憧れの人と漫才したいな~。楢原:お笑いのことや適性を教えたのは僕ですよ?しかし、よく僕みたいなお笑いの化け物についてきたな!出井:お前こそ、よく俺みたいなNo.1ツッコミをつかまえたよ!――最後に、同じ企画に登場するモグライダーさんの魅力を教えてください。楢原:僕は相方に対して“こういうことを言ってくるだろうな”という信頼があるけど、芝さんはともしげさんに対して、そういう信頼はないというか。出井:“予想の範囲外のことをしてくるぞ”という信頼だからね。楢原:ともしげさんも、実は自分で笑いを取ろうとしていて。「芝くんに感謝してる」と言いながら、芝さんの活躍を見て歯ぎしりをするような人間味があるんです。お互い何が起こるかわからないと思っているはず。出井:原始的な漫才の形は、バカな方が大間違いを起こし、もう一人が訂正してツッコむというものですけど、モグライダーはまさに漫才の保守本流だと思います。芝さんは、「俺たちのことを誰も知らない漁村で漫才をやってもウケたいよ」と言っていたけど、モグライダーは可能だと思います。芝さんが思い描くレールに乗った時に取る笑いを何度も目の当たりにしていますが、どんだけウケんねん!って思うくらい、本当にすごいですから。ヤーレンズボケとネタ作り担当・楢原真樹と、ツッコミ担当・出井隼之介のコンビ。2011年に結成、2度の改名を経てヤーレンズに。共にサザンオールスターズの大ファン。『ラヴィット!』(TBS系)不定期出演。『ヤーレンズのラジオの虎』が毎週木曜20時にGERAで配信中。※『anan』2024年3月20日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE)取材、文・重信 綾(by anan編集部)
2024年03月17日その佇まいは淡々としていながら、ときにクスッとした笑いを引き起こしたり、びっくりするような豹変を見せたり。画面の中で視聴者を翻弄する野間口徹さんって一体…?昨年の大河ドラマ『どうする家康』に眼鏡なしで出演し話題を呼んだ(!?)野間口徹さん。「親族代表」というユニークな名前の3人組のコントユニットとして小劇場界でじわじわ存在感を発揮し、2007年にレギュラー出演したドラマ『SP 警視庁警備部警護課第四係』で注目された。そこから気づけば前述の話題でSNSのトレンドワードに上がるほどに。で、ちなみに野間口さん自身はどんな人?――まずは間近に控えている舞台『カラカラ天気と五人の紳士』ですが、日本の不条理劇を確立した劇作家・別役実さんの作品です。別役さんの作品って、作り方でいろいろな方向にできると思うんです。不条理に特化して、お客さんを困惑させるような芝居にもできるし、笑いどころを粒立てていけばコメディにもできますし。まだ稽古でどうなるかわからないんですけど、僕としてはコメディとしてやりたいと思っています。――コメディが好きなんですか?好きですね。笑い声って、お客さんの反応として一番わかりやすいし、やっている側もアドレナリンが出やすい。コロナ禍になってから全然聞いてない気がするので聞きたい気持ちもあります。――不条理劇の面白さを読者に向けて教えていただけますか。基本的に何も起きません。お芝居というと起承転結があるのが一般的ですけど、そもそも今回の作品は、登場人物たちの存在自体、よくわからないですからね。でもそこに疑問を持たずに受け入れる姿勢で観ていただければ、なんだかよくわからなかったけど面白かった、という着地点にたどり着くと思っています。――いわゆる客席がドッカンと沸く笑いとは違いますが、演じる側としての面白さというと?今回のような作品って、芝居の始まりからずっと積み上げてきた空気感みたいなものがあって、そのニュアンスがわかっているからこそ、今、このセリフをこういう言い方をして笑える、というものなわけです。そこまで見せ続けてきたものがあるから、ここで笑いが起こるというのって、やってる側としてはやり甲斐があります。演劇サークルに入って褒められたのが嬉しかった。――もともと笑いをやりたいと思われていたんですか?いえ、全然です。「親族代表」はコントユニットとはいえ自分たちでネタを書くわけではなく、いろんな劇作家の方々に書いていただくスタイル。役者という意識で笑いをやっている感じなんです。――「親族代表」の公演は、複数の劇作家の方の短編をオムニバスで上演する形式でした。1回の公演でケラリーノ・サンドロヴィッチさんやブルー&スカイさん、岩井秀人さんなど、笑いのテイストの違う作家の作品を同時上演するのは大変だったと思いますが…。そうなんです。結構すごいことをやってるんだけれど、それがあまり伝わってない(笑)。あの稽古って、台本をいただいたら自分たちである程度稽古を進めておいて、作家さんが稽古場に来てくれたときにそれを披露して、ダメ出しをもらい修正していく流れで作っていたんです。その段階で、ときにはもう一回イチから稽古し直すこともあって大変でしたけど、いろんな方の演出をいっぺんに受けられるってすごく贅沢だし、単純に楽しかったですよね。メンバー3人で舞台を観て、この人が書いてくれたら面白いだろうなという人に声をかけていましたから、その人の舞台に出してもらえなくても、書いてもらえばやれるわけです。毎回、どの作品がどうお客さんに刺さるのか楽しみでした。――昔から面白いことをするのがお好きな人だったんですか?人前では全然です。大学生のときに演劇サークルに入ってからです。それまで人に褒められたことがなかったので、褒められて嬉しかったんでしょうね。今思うと、初めてにしては、って意味で言ってくれたと思うんですけど。――教師を目指して大学に入ったそうですが、演劇を始めたのは?先輩にめちゃくちゃかっこいい…それは見た目とかじゃなく、舞台上でものすごく輝いている方がいて、その方のお手伝いをしたいと思ったのがきっかけです。当初は裏方のつもりだったんですけど、人数が少なかったので、部員はもれなく出る側も裏方も両方やらなきゃいけなくて、それでです。――とはいえ、大学卒業後上京して俳優を目指すわけですよね。ちょうど就職氷河期で周りも内定が取れないと言っている中、演劇ばっかりやっていて教員免許が取れなくて。どうせ就職できないし、30歳までにドラマなりCMなり、メディアの仕事ができないようであれば辞めるからと親に言って上京させてもらったんです。だから、俳優でやっていこうと決めたというより、執行猶予をもらったみたいな感じで。――注目度が増したといえばドラマ『SP』ですが、放送中から手応えのようなものはありました?全然ないです。子供が生まれてすぐくらいの頃で、最初は1話のワンシーンという話だったんです。それが徐々に出番が増えていったので、「バイトに行けないや」ってことばっかり考えてました。でもそういう意味で言うと、手応えを感じたものは、これまでにひとつもないです。やっていて面白いですけど、これはやりきったぞみたいなことは一切ないです。――それでもここまで続けてこられた理由は何だったんでしょう?それまでみんなで何かをするってことを全然してこなかったんです。小中の頃はずっと水泳をやっていましたし、高校でも、入部したラグビー部が肌に合わずに辞めてからは漫画研究会とか美術部とかで、それもまたひとり。だから演劇を始めるまで、みんなでひとつの目標に向かうみたいなことをやっていなくて。楽しかったんでしょうね。今も楽しいですけど。野間口さんが出演する舞台『カラカラ天気と五人の紳士』は、4月6日(土)~26日(金)三軒茶屋・シアタートラムにて上演されるほか、岡山、大阪、福岡公演もあり。演出を、ドラマ『きれいのくに』の脚本などでその斬新な視点と鋭い感性に注目が集まっている加藤拓也さんが手掛けることも話題。シス・カンパニー TEL:03・5423・5906(平日11:00~19:00)のまぐち・とおる1973年10月11日生まれ、福岡県出身。’99年に嶋村太一、竹井亮介と共にコントユニット「親族代表」を結成し、舞台を中心に活躍。2007年のドラマ『SP 警視庁警備部警護課第四係』で注目される。3月24日に出演ドラマ『万博の太陽』(テレビ朝日系)が放送予定。主演ドラマ『VRおじさんの初恋』がNHK夜ドラ枠にて4月放送スタート。ジャケット¥72,600シャツ¥44,000Tシャツ¥16,500パンツ¥41,800(以上suzuki Takayuki TEL:03・6821・6701)※『anan』2024年3月20日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・増井芳江ヘア&メイク・村中サチエインタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2024年03月16日うつむく、視線を送る、こちらを振り返る。作品の中で見せる些細な動き一つで、私たちの心をかき乱す、俳優の柄本佑さん。いま日本で一番色っぽいと言われている彼に、色気と役者の関係について、聞きました。スタッフと力を結集して初めて、その役の色気が出せる。現在放送中の大河ドラマ『光る君へ』で、吉高由里子さん演じる主人公のまひろ(紫式部)の心を毎週揺さぶっている、柄本佑さん扮する藤原道長。まだ若く、一見ふわふわしているように見える年頃の道長が、思いがこもった恋文をしたため、熱い眼差しでまひろを見つめ、さらに兄・道兼などに対して感情を爆発させる…。変化し、そのたびに新たな魅力を見せる道長から、まひろだけでなく、私たちも目が離せない。「道長さんを色っぽいと言ってもらえるのは嬉しいです。見ている方に、そんなふうに受け取ってもらえているんだと思うと、いま制作陣が向かっている方向が間違っていないという確信にも繋がる。明日からの撮影に気合が入ります。ありがとうございます(笑)」そう言いながら、にっこりと笑う柄本さん。でも同時に、役柄の色気は自分一人で作り出せるものではない、とも言います。「役を演(や)る上で、“その役柄が放つ色っぽさ”について考えていないわけではないです。でも実は、大石静さんの脚本のト書き部分には、仕草だったりなんだったり、わりと具体的なことが書かれているんですよね。なので、僕がゼロから“道長の色気”について考える必要はそんなにはありません。役者として僕がやるべきことは、脚本という二次元に書かれたものをなるべく邪魔せずに、映像という三次元に上げるか、ということくらいなんです。あとは衣装やメイク、照明、撮影、他にもさまざまな技術を総動員して“役柄の色気”を醸し出していく。役者は、そういうもののほんの一部なんです。だからさっき“色っぽいと言ってもらえるのは嬉しい”と言ったのは、チームとしての仕事を褒めてもらえたわけだから、そこが本当に嬉しい、という気持ちなんです」そんな柄本さんに色っぽいと思う人を挙げてもらうと、まず挙がったのがコメディアンの志村けんさん。そして渥美清さん、小林桂樹さん、三木のり平さん、森繁久彌さん…と、昭和の役者陣がズラリ。また意外なところでは、吉本新喜劇の座長である芸人・すっちーさんの名前も!!「みなさんに共通しているのは、クレバーであり、そして自分自身に対してシニカルな眼差しを持っていること。色気って、僕は“普通であること”と深く関係がある気がしていて。役柄を演じたり、芸人として舞台に立ったりする“自分”と、普通の状態の“自分”の間に距離があればあるほど、その人に奥行きが出ると思うんですよ。普通でいることは、とても大事だと思う。普通の自分がいて、その上でいろんなことに苦悩したりあがくから、色気が出る気がするんですよね…。でもこれ、完全に好みの話ですよね。僕の好きな色気はそういうこと(笑)」笑いながら「色気って難しい…」とつぶやき、ときにじっと黙りつつ思考を巡らせる柄本さん。話をするうち「そういえば…」と、あるエピソードを聞かせてくれた。「僕は高校生のときに映画の世界に足を踏み入れたわけですが、現場が楽しくて、学校がつまんなくなっちゃったんですよ。そのときに母に、“いま楽しいのはいいけれど、そのうちきっと、現場がしんどくなるときがくる。だから学校生活を大事にしなさい”と言われたんです。時は経ち、大人になってひとり暮らしをはじめた頃に学校時代の同級生に会ったら、彼はスーツで会社に行っているのに、自分は撮影がない時期だったこともあり、浮足立ってたんですよね。そのときにふと、日常をきちんと送ることこそが自分と社会を繋ぎ留めてくれ、それがあって初めて役者という仕事ができる、ということが理解できた。母が言っていたのは、こういうことだったんだな、と。以来、ちゃんと着替えるとか、部屋を汚くしないとか、シンクに食器を溜めないとか(笑)、小さなところから地盤を作り、それが今日に繋がっている気がします。芝居の上手い下手よりも、生活者であることのほうが、役者には大事なんだと思います」道長が生きていた平安時代の色っぽい人といえば、字が上手な人一択。簡単に男女が会えるわけではない中、彼らは文(ふみ)を送ることで気持ちを伝え、また綴られた文字や紙にたきしめられた香りから相手を想像し、恋心を膨らませた。「文のやりとりを経て会えたとしても最初は御簾(みす)越し、その向こうで対面できてもほぼ暗闇で、ほとんど見えなかったらしいですから、情報量が圧倒的に少ないんですよね。でもだからこそ、ある意味豊かで広がりがある時代だったような気もしますね。ちなみに道長さんはあまり達筆ではなかったので、そこまでモテたわけではなかったみたい。でも僕は、物語が進むにつれてもっと上手にならなくてはいけないので、頑張って練習しようと思っています(笑)」えもと・たすく東京都出身。2003年、映画『美しい夏キリシマ』でデビュー。映画『きみの鳥はうたえる』『素敵なダイナマイトスキャンダル』などで第73回毎日映画コンクール男優主演賞、第92回キネマ旬報ベスト・テン主演男優賞ほかを受賞。近作にドラマ『空白を満たしなさい』や映画『ハケンアニメ!』『シン・仮面ライダー』など。ブルゾン¥418,000ニット¥129,800パンツ¥264,000(以上ジョルジオ アルマーニ/ジョルジオ アルマーニ ジャパン TEL:03・6274・7070)※『anan』2024年3月20日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)スタイリスト・林 道雄ヘア&メイク・AMANO(by anan編集部)
2024年03月15日映画化を経て、今度は朗読劇となる『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』。原作者の渡辺俊美役を務めるのは山崎樹範さんだ。朗読劇の可能性が広がる気がして、公演が楽しみです。朗読劇について「普通の舞台と比べ、本を手にしたままとか、表情でお芝居を見せられないなどの制約がある」ことから、度々難しさを感じていたそう。「でも今回は、兼重(淳)さんが劇中で映像を使う演出をしたり、僕らが歌う場面もあって、面白いことになってきたなって。そもそも、朗読劇とはこういうものだと、僕の勝手な決めつけがあったのかもしれないということに気づかされました。別に本を持たなくてもいいし、会話から始まってもいい。もっと自由に捉えることで朗読劇の可能性が広がる気がして、公演が楽しみです」俊美の人柄や人生観の、核となる部分を見つけて体に落とし込み演じたい、と山崎さん。「原作を読んだ時、3年間で作った“461個”というお弁当の数にただ驚きました。僕も必要に応じて料理はしますが、レパートリーってそうそう増えるものじゃないのに、ほぼ毎日作り続けていたという卵焼きにもこんなにバリエーションがあるのかって。積み重ねてきたからこその説得力と強さがあると思いました。そのモチベーションの元になるのは息子さんへの愛、そしてタイトルにもある“男の約束”なんですよね」俊美の息子・登生役に抜擢されたのは、田村海琉さん。「初対面の時、顔はちっちゃいしめっちゃかっこいいこんな子が僕の息子か…と緊張してつい敬語になっちゃって(笑)。でもそうもしていられないので、まず僕らが親子であるということを納得させるぐらいの関係性を築くことが、今は最優先です」日頃、舞台稽古には奥様が作るおにぎりを持参していくそう。「それを見た共演者が、『いいですね!』と言ってくれるんです。その言葉が欲しくて、今回も妻のおにぎりを持っていくと思います(笑)」朗読劇『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』3月9日(土)~17日(日)銀座・博品館劇場原作/渡辺俊美『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』(マガジンハウス)脚本・演出・映像監督/兼重淳出演/山崎樹範、田村海琉ほか一般8800円サンライズプロモーション東京 TEL:0570・00・3337(平日12:00~15:00)原作はシングルファーザーのお弁当ライフを記録したエッセイ。著者はTOKYO No.1 SOUL SETほか、複数のバンドやソロミュージシャンとして活躍する渡辺俊美さん。息子の「パパの弁当がいい」というひと言から始まったお弁当作りは、高校3年間で461個!少しずつ上達していく弁当作りの様子を写真付きで紹介し、弁当を通して生まれる父子の交流を綴るなど、愛と涙と笑いに溢れた至極の一冊。マガジンハウス文庫715円やまざき・しげのり1974年2月26日生まれ、東京都出身。劇団カムカムミニキーナ所属の俳優。5月には舞台『女の友情と筋肉 THE MUSICAL -幸せの上腕二頭筋-』に出演予定。※『anan』2024年3月13日号より。写真・中島慶子スタイリスト・三宅 剛ヘア&メイク・伊東真美取材、文・宮浦彰子衣装協力・THE JEAN PIERREVICTIM(by anan編集部)
2024年03月13日