名作揃いのチャップリン作品の中でも最高傑作の誉れ高い『街の灯』が、生オーケストラと大スクリーンで蘇る豪華なイベントが開催される(3月17日:すみだトリフォニーホール)。新日本フィルによる「生オケ・シネマ」5周年を記念したこのイベントは、デジタル修復された高画質大画面のフルスクリーンと生のオーケストラによる演奏によって、笑いと涙の歴史的傑作『街の灯』を現代に蘇らせる意欲的な試みだ。音楽は、映画の実際の録音時に使用されたチャップリンのオリジナル・スコアを使用して新日本フィルハーモニー交響楽団が演奏。当時の録音技術ではすべての音域が収録できなかったことから、今回は、今までのチャップリン映画上映やテレビ放映では聴こえなかった音が、生のオーケストラによって再現されるというのも興味深い。音楽にも深いこだわりを持っていたチャップリンが意図した本来の音楽が姿を表す瞬間に期待したい。●公演詳細:
2021年03月11日昨年のカンヌ国際映画祭にて特別賞と国際映画批評家連盟賞をW受賞した『天国にちがいない』のポスタービジュアルが到着した。2002年『D.I』で独特なユーモアと豊かなイマジネーションで世界に衝撃を与え、現代のチャップリンあるいはジャック・タチと評される名匠エリア・スレイマンが10年ぶりに手掛ける本作はこの世界に生きる全ての人に根源的な疑問を投げかける意欲作。パレスチナへの愛と苦悩、そして世界の混迷と人間の愛おしさを描く。今回解禁された3種のポスタービジュアルは、「この世界は、かくも可笑しく愛おしい――。」というコピーと共に美しい海を眺めるシーン、パリの街角に放置された空き瓶の山やカフェのテラス席を管理する警官、セントラルパークの天使など、監督の鋭い風刺とイマジネーション豊かな映像美が垣間見えるデザインとなっている。なお本作は公開に先駆け、10月30日(金)より開催される「第21回東京フィルメックス」に特別招待作品として上映が決定し、監督のリモートQ&Aが予定されている。また、スレイマン監督の過去作の特集上映も決定している。『天国にちがいない』は2021年1月29日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:天国にちがいない 2021年1月29日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて公開© 2019 RECTANGLE PRODUCTIONS – PALLAS FILM – POSSIBLES MEDIA II – ZEYNO FILM – ZDF – TURKISH RADIO TELEVISION CORPORATION
2020年10月29日今年は喜劇王チャールズ・チャップリンの生誕130年にあたる。「記念すべき節目に再演が決まってラッキーです。チャップリンの作品はひとつも舞台化されていなかったんですよ。だから4年前の初演のときには、すごく責任を感じました。はたして偉大な彼の心の奥を演じきれるんだろうか、と」チャップリンの監督・主演映画を舞台化した音楽劇『ライムライト』(4月9~24日/東京・シアタークリエにて)に主演する、俳優の石丸幹二(53)。初演のタイミングで、来日していたチャップリンの息子、ユージーンと会ったそうだ。「紳士的な方でした。『父の形態模写をする人は多いけど、あなたらしいカルヴェロ役を演じてください』との言葉に、心が楽になりました。チャップリンが俳優として最後に魂を込めて生身の体で臨んだ作品ですから、必ずみなさんの心にしみるはずです」(石丸・以下同)かつて一世を風靡した老芸人と、わけあって脚が動かず自殺を図ったバレリーナの物語。彼女は老芸人の励ましで再び舞台に立つまでになるのだが、スターとして舞台の高みを目指す彼女と、舞台から退場する老芸人との人生が交錯するラストシーンは、見る者をさまざまな感慨とともに至福のファンタジーの世界に浸らせる。チャップリンが映画でカルヴェロを演じたときは、今の石丸よりもうんと年を重ねていたそうだ。「単純におじいさんのふりをするんじゃいけない。芸人として人気を博していた若かりしころのまぶしさや老いていく悲しみ……心の機微を丁寧に深く演じなければと思いました」そのために、チャップリンの心の中を懸命に探ったという。「この作品は彼自身の俳優としての思いも込められているんだと気づきました。後続の若手芸人に道を開いてあげて、自らの散り際にまで思いをはせる。俳優としては幸せな最期だと思います。舞台上で死ねるんですから。人生で自分の役割を果たした満足感や達成感もあるんでしょうか。この役を演じながら、カルヴェロの人生は理想的だと感じています。自分もこうありたいと願いながら演じています」この公演を終えると、石丸は音楽活動に力を入れるそうだ。「東京、名古屋、大阪でオーケストラ・コンサートを予定しています。それぞれ現地のオーケストラとの共演が待っているので、楽しみです」才能の豊かさは、チャップリンに負けない。
2019年03月11日フィルム・ソサエティ・オブ・リンカーン・センターが、優れた才能をもつ業界人に贈るチャップリン賞の来年の受賞者に、ロバート・デ・ニーロが決まった。デ・ニーロは44人目の受賞者となる。その他の情報昨年の受賞者はモーガン・フリーマン。それ以前には、アルフレッド・ヒッチコック、ビリー・ワイルダー、エリザベス・テイラー、メリル・ストリープなどが受賞している。授賞式は5月8日。来月のAFIフェストで世界プレミアされることになったデ・ニーロの次回作『The Comedian』は、オスカー狙い作と位置づけされており、期待が寄せられている。彼は最近、エクゼクティブ・プロデューサーと主演を兼任するHBOのテレビ向け映画『The Wizard of Lies』を撮り終えたところ。デ・ニーロは、金融詐欺で多くの人たちに被害を与えたバーナード・マドフを演じる。監督はバリー・レビンソン。放映予定は来年5月。文:猿渡由紀
2016年10月17日女優・満島ひかりが黒柳徹子を演じる、現在NHKにて放送中の「トットてれび」。この度、5月21日(土)放送の第4回にて、三浦大知がチャップリン役で登場することが明らかになった。NHKを辞めフリーになった徹子は、ますます多忙な日々。ラジオドラマの現場で出会い親しくなった脚本家・向田邦子(ミムラ)に、一度ゆっくり休みたいと心境を打ち明ける。休養宣言をした徹子に、NHKの朝ドラ「繭子ひとり」の仕事がくる。徹子の役は青森から上京して家族のため必死に働くおばさん・田口ケイ。徹子は役作りに打ち込む。田口ケイは大人気となったが、徹子は伊集院の説得を振り切ってニューヨークへ旅立つ――。テレビとともに歩んできた黒柳さんのエッセイ「トットひとり」「トットチャンネル」をドラマ化する本作。 主演の黒柳さん扮する満島さんをはじめ、渥美清役の中村獅童、坂本九役の錦戸亮、向田邦子役のミムラらが登場し、笑いあり、涙ありのドラマ・バラエティーが描かれる。本作で三浦さんが演じるのは、徹子がニューヨークへ旅立ち出会うチャップリンの役。今回が役者デビュー初ドラマだという三浦さんは、満島さんから直接電話を受け快諾。「いつかひかりと一緒に何か物作りができたらいいなと、ずっと思っていたのでありがたいです」と共演を喜んだ。また、「もともと台本にせりふなかったのですが、急に『オニオンヘアー』というせりふを言うことになったのですが、全く正解が分からなく、その流れのまま言いました。そのあたりも視聴者の皆さんにダンスとともに注目して見てもらえたらうれしいです」とアピール。さらには「次は、ひかりが主役のドラマに主題歌などでコラボできたらと思います」と今後の目標も語った。一方、作品での共演は16年ぶりだと話す満島さんは、「収録をしていておどろいたのは、違った道を歩んでいたはずなのに波長がとても合うこと。大知が同じステージにいてくれる安心感の中で、ただただ楽しむことができました」と共演をふり返り、「好きなことを、心がぐるぐるしながらも思いっきり楽しむ勇気や、ワクワクしたりキラキラしたもの、次の一歩につながる、ささやかだけど大事なバトンをちゃんとチャップリンから受け取ることができたと思います」と得るものが多かったと話した。徹子がニューヨークへ旅立ち、改めて「私らしい」を見つめ直したとき、エンターテイメントのバトンを渡してくれる象徴として登場するチャップリン。彼と徹子が「New York,New York」を歌い踊るシーンは大きな見どころのひとつ。2人で打合せを重ねながら完成させた、息のあった華麗なショーは必見だ。「トットてれび」は毎週土曜日20時15分~NHK総合にて放送。(cinemacafe.net)
2016年05月20日現在公開中の映画『チャップリンからの贈りもの』の公開記念イベントが21日、東京・恵比寿のYEBISU GARDEN CINEMAで行われ、俳優の石丸幹二が出席した。スイス・レマン湖畔にあるお墓に埋葬されたチャップリンの遺体が盗まれた実際の事件をベースに、遺族の全面協力の元で製作された本作。ドジで間抜けな2人組にスポットを当てながら、チャップリンが実際に住んだ美しい邸宅や墓地をロケ地として登場するほか、チャップリンの息子や孫娘が当時の家族で特別出演している。この日は本作の舞台あいさつが行われ、現在公演中の舞台『ライムライト』でチャップリン役を務めている石丸幹二と日本チャップリン協会会長の大野裕之氏が登壇。1978年に起きたチャップリンの遺体誘拐事件を知らなかったという石丸は「火葬じゃなくてそのまま埋める文化ですから、まさか遺体を持っていくことがあるんだと驚きましたね」と驚がくした様子。本作については「可愛いお嬢さんが出てくるんですけど、その娘のためにお墓を掘る父の姿がとても印象的でした。この映画を見ていると弱者の味方になりますね。どんな貧困でも頑張るんだと応援している自分がいました。チャップリン、すみません(笑)」と感想を述べた。この日は舞台あいさつ中に世界初公開となる『街の灯』のメイキング映像を特別上映。観客と一緒に観た石丸は「チャップリンはチャーミングな人だったんですね。それに我々映画を撮る時は"スタート"の直後無音になるのが当たり前。でも完全に好きなことをしていて準備している訳でもありませんでした。新鮮だしとても貴重な絵でしたよ」とコメント。また、同じ俳優としてチャップリンの魅力を「やはりチャップリンさんはどの映画を見ても愛くるしいいい人なんだと思います。俳優の1人として学びたいし、いつまでも見続けたい作品。僕にとってはテキストでありバイブルですね」と熱く語っていた。
2015年07月22日喜劇王・チャップリンの遺体が誘拐された驚愕の実話に基づく映画『チャップリンからの贈りもの』。このほど、本作から、舞台となった観光地スイス・レマン湖の美しい景色が堪能できる“湖デート”の本編映像が、シネマカフェに到着した。1978年、チャップリンの遺体が盗まれる全世界が驚愕したニュースの正体は、マヌケな二人組のドジな犯行劇だった――。お調子者のエディの親友オスマンは、娘がまだ小さく、妻が入院中。医療費が払えなくなるほど貧しい生活を送っていた。そんな時、テレビから“喜劇王チャップリン死亡”という衝撃のニュースが。エディは埋葬されたチャップリンの柩を盗み、身代金で生活を立て直そうと、弱気のオスマンを巻き込み決死の犯行へ。ところが詰めの甘い計画は、次々にボロを出し、ツキのなさにも見舞われて崩壊寸前に…。チャップリン遺族の全面協力を得て映画化された本作は、チャップリンが晩年を過ごした美しい邸宅や墓地をロケ地に、チャップリンの息子や孫娘も特別出演。『黄金狂時代』『街の灯』『ライムライト』など、往年の名画名曲名シーンを散りばめ、巨匠ミシェル・ルグランの美しい音楽に乗せて描かれていく。このほど解禁された本編映像は、主人公エディとオスマンの1人娘サミラの、近くにチャップリンが眠る墓地があるレマン湖での遊覧船デートのシーン。レマン湖といえば、フランスとスイスにまたがる大きな湖で、チャップリンが亡くなるまで住んでいたスイスのヴヴェイを始め、美しい景色や湖の大きさなどでも有名な観光地。オードリー・ヘップバーンやフレディ・マーキュリーら、多くの著名人やセレブが愛した土地としても知られ、フィル・コリンズ、デビッド・ボウイ、セリーヌ・ディオンなども移住している。映画本編では、本映像にも登場した地元住人の交通手段として使われている遊覧船のほか、湖を見つめることのできる位置に建てられたチャップリンの像を始め、チャップリンが眠り、実際に映画の撮影でも使用された共同墓地や、亡くなるまで過ごした邸宅などを見つけることができる。チャップリン作品へのオマージュもたっぷり詰まった本作から、喜劇王に思いを馳せてみては。『チャップリンからの贈りもの』はYEBISU GARDEN CINEMAシネスイッチ銀座ほか全国にて順次公開中。(text:cinemacafe.net)
2015年07月20日死後35年以上経った今なお、世界の喜劇王として語り継がれているチャールズ・チャップリン。なんと、実際に起きた“チャップリン遺体誘拐事件”が遺族の全面協力でまさかの映画化!世界が驚愕した実話をもとに描かれた話題作『チャップリンからの贈りもの』の全貌とは?スイスのレマン湖畔にある小さな町で、刑務所を出所したばかりのエディは、親友のオスマンの元を訪ねる。真面目に働いていたオスマンだったが、小さな娘を抱えながら、病に倒れた妻の医療費さえ払えず苦しい生活を強いられていた。そんなとき、同じ町に住んでいたチャップリン死去のニュースが2人の元に飛び込み、お調子者のエディはとんでもない計画を思いつく。それは、チャップリンの遺体を誘拐し、身代金で新たな生活を手にしようというものだった。悩みぬいた末、追い込まれたオスマンはその計画に賛同し、2人は決死の犯行に挑むことに。しかし、詰めの甘さと運の無さにより、どんどんと追い詰められていくエディとオスマン。人生のどん底に突き落とされた2人が迎えるまさかの結末とは……?現在も不朽の名作として愛され続けているチャップリン作品の数々へオマージュを捧げている本作。事前にそれらの作品を予習していけば、随所にちりばめられている演出をより楽しめること間違いなし。そして、実際にチャップリンが住んでいた邸宅や埋葬されている墓地で撮影されただけでなく、チャップリンの息子と孫娘が家族役で特別出演しているのも大注目です。「笑いのない一日は、無駄な一日である」という名言を遺したチャップリン。笑いと感動で世界中を魅了したチャップリンは、亡くなった今でも私たちに多くのことを教えてくれます。そんな“弱者の味方”チャップリンが、悩めるエディとオスマンを再び笑顔にした最高の贈りものとは?ちょっとドジで憎めない2人の姿に、天国のチャップリンも私たちと一緒に笑って鑑賞しているかも!?イベントデータ:『チャップリンからの贈りもの』公開表記:7月18日(土)、YEBISU GARDEN CINEMA 他全国順次公開配給: ギャガ©Marie-Julie Maille / Why Not Productions
2015年07月17日チャールズ・チャップリン晩年の傑作映画『ライムライト』が、世界で初めて舞台化される。往年の名喜劇役者・カルヴェロが若きバレリーナ・テリーと出会い、生きる意味や本物の愛を知ってゆく感動の物語。7月5日(日)の初日に向け稽古に励む、テリー役の元宝塚歌劇団宙組トップ娘役・野々すみ花に話を聞いた。音楽劇「ライムライト」チケット情報チャップリンの原作小説『フットライト』もベースに、日本チャップリン協会会長の大野裕之が上演台本を執筆。有名な名曲『エターナリー』などの他に、荻野清子の楽曲も盛り込み、新たなオリジナル音楽劇に仕上がっているという。「舞台の上では“音楽隊”が生演奏をする予定。演出家・荻田浩一先生の甘美で繊細な世界観が、作品ととてもマッチしているんですよ。映画の良さを感じながら、舞台ならではの立体的に迫ってくる感動を味わって頂けると思います」。「こんなに普遍的で美しい物語があるなんて!」と映画を観て驚いたという野々。チャップリンの哲学的な台詞にも勇気を与えてもらった。「好きな台詞は…たくさんありすぎて選べないです(笑)。英語と日本語で微妙にニュアンスが違うので、稽古場では大野さんや荻田先生、キャストのみんなでひとつの台詞について話し合ったりもします」。出演者は8人、少人数で丁寧にチャップリンの世界を紡いでゆく。そんな中でカルヴェロを演じる石丸幹二が、「大スターさんなのにどんどん愛くるしく、役とリンクして見えてきます」と微笑む。野々演じるテリーは失意の中、ガス自殺を図るが、偶然通りかかったカルヴェロに助けられる。彼もまた世間から忘れられた喜劇役者として苦しんでいた。「年の離れたふたりだけど、孤独な者同士が出会い共感し、勇気をもって人生の一歩を進めたことが“愛”という形につながったんだと思います。テリーは夢があるからこそ勢い余った行動もする、生命力ある女性として作っていきたいです。チャップリンの自伝に書かれている慈愛に満ちた母親にも通じるところがあります」。また映画でも印象的な音楽を使ったバレエシーンも大きな見せ場に。「かなり本格的に踊るんです。高いリフトのシーンも!トゥシューズを履いて踊るのは10年ぶりなのでとても不安です。この半年、時間の許す限りレッスンに通いました。バレエは大好きですが…新たな挑戦です」。宝塚時代から演技派として知られ、退団後は舞台はもちろんドラマや『世界ふしぎ発見!』(TBS)のミステリーハンターなど、幅広く活躍してきた。「いまだに日常でも役との切り替えができなくて、自分にあきれます(笑)。そんな中でミステリーハンターのお仕事は自らの言葉で表現するという新しい経験で、とても鍛えられました」。何でも柔軟に対応し、長く今の仕事を続けたいという野々が、伸び伸びと舞台の上でテリーを演じる日は近い。公演は7月5日(日)から15日(水)まで東京・シアタークリエ、7月18日(土)から20日(月・祝)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、その後、福岡、佐世保、鹿児島、名古屋、富山、長野でも上演。チケットは発売中。取材・文:小野寺亜紀
2015年07月03日チャップリンの遺体が誘拐された驚愕の実話に基づいた映画『チャップリンからの贈りもの』。このほど、各界の大御所から本作への絶賛コメントがシネマカフェに到着した。スイス・レマン湖畔。お調子者のエディの親友オスマンは、娘がまだ小さく妻が入院中。医療費が払えなくなるほど貧しい生活を送っていた。そんな時テレビから“喜劇王チャップリン死亡”という衝撃のニュースが。エディは埋葬されたチャップリンの柩を盗み身代金で生活を立て直そうと、弱気のオスマンを巻き込み決死の犯行へ。ところが詰めの甘い計画は次々にボロを出し、ツキのなさにも見舞われて崩壊寸前。あきらめかけた時、追詰められたオスマンが最後の賭けに出た。人生どん底の二人に救いの手は差し伸べられるのか─―。2010年カンヌ国際映画祭グランプリを受賞した『神々の男たち』グザヴィエ・ボーヴォアが監督を務め、チャップリン遺族の全面協力のもと喜劇王チャップリンの遺体誘拐事件を映画化する『チャップリンからの贈りもの』。本作は、チャップリンが晩年を過ごした美しい邸宅や墓地をロケ地に撮影され、『黄金狂時代』『街の灯』『ライムライト』など往年の名画名曲名シーンを散りばめられた、フレンチテイストが香る現代のチャップリン映画のような作品に仕上がっている。そしてこのほど、本作を鑑賞した著名人の方々からコメントが到着!これまで、映画のコメント寄稿はあえてされてこなかった方々から、「この映画は別格」と言わんばかりの感動コメントが寄せられている。中でも、日本チャップリン協会の名誉会長をつとめ、チャップリンに実際会ったという貴重な経験を持つ黒柳徹子からは直筆のコメントが寄せられ、「まるでチャップリンが作ったかのような映画!なつかしい音楽で涙が出た。死んでも泣かせ、笑わせるのだ」と本作への賛辞を贈っている。ほかにも、本作のテーマでもある「エターナリー」を日本語訳で華麗に披露している森山良子をはじめ、チャップリン映画のポスターを始め、数々の装丁、イラストを世に送り出している日本を代表するイラストレーター和田誠や、今夏舞台「ライムライト」で主演を演じる石丸幹二からの絶賛コメントが届いている。<森山良子>時を経て尚、チャップリンの精神が蘇りメッセージがジーンと伝わってきます。一つ一つのシーンを描写するようなミシェル・ルグランの音楽がこの映画をさらに盛り立ててくれます。<和田誠>『チャップリンの黄金狂時代』を観た小学生のころから、チャップリンという喜劇人はぼくにとって特殊な存在でした。『モダン・タイムス』も『街の灯』も『独裁者』も『殺人狂時代』も、チャップリンは別格。ところが今度の『チャップリンからの贈り物』のチャップリンは別格どころではなく、遺体として描かれているのだ。これこそ初体験作品。<石丸幹二>チャップリンへの愛がいっぱい。『ライムライト』の断片探しも楽しめる。そして、思う。チャップリンは死してなお、私たちに人類愛を伝えてくれている。ところで主役の墓泥たち、チャップリンをそんなに粗末に扱うなよ。とことんツイていない人間たちの大騒動を、巨匠ミシェル・ルグランの美しい音楽とともにコミカルに描く本作。チャップリン愛に溢れた本作から、喜劇王チャップリンの世界に触れてみてはいかが。『チャップリンからの贈りもの』は7月18日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年07月03日世紀の喜劇王・チャップリンの晩年の傑作映画『ライムライト』が世界で初めて舞台化される。チャップリンが扮した老芸人カルヴェロを演じるのは石丸幹二。演出は宝塚歌劇団出身、繊細な中にもペーソスやアイロニーを描き出す独特な美的センスを持つ荻田浩一だ。6月中旬、この稽古場を取材した。チケット情報はこちら物語は、かつて大きな名声を得ていたものの、現在は落ちぶれ仕事もろくに来ない老芸人カルヴェロが、足が動かなくなったことを悲観し自殺を図った若きバレリーナ・テリーを助けたところから始まる。カルヴェロはテリーをふたたび舞台に立たせようと支え、テリーもまたカルヴェロに心を開いていくが…。ふたりの心の交流が、第一次世界大戦勃発前夜のロンドンの暗い世相や、舞台人が舞台へ賭ける思いとともに描かれていく。出演者は石丸と、テリーを演じる野々すみ花を含め、たった8人。しかし良知真次、吉野圭吾、植本潤、保坂知寿ら演技巧者ぞろいの精鋭が次々と多数の登場人物を演じていき、鮮やかに1910年代のロンドンの町が生まれていく。くるくると表情を変える彼らの姿は、紙芝居や人形劇が持つようなノスタルジックな効果をも生んでいるようで、面白い。また石丸は劇中劇のシーンでは、コミカルな芸で稽古場を沸かす。眼をギョロリと剥き、口も大きく開ける、戯画的な表情がいかにもで楽しい。チャップリンを彷彿とさせるような部分もありそうで、チャップリンファン、映画ファンも必見のシーンになりそうだ。一方で成功の裏の転落、というシビアさも描かれ、石丸の陽気な笑顔とシリアスな表情の落差にはっとさせられる。荻田の演出はことさら“チャップリン”から想起させられるイメージに寄せすぎず、物語の本質を追求し、新たな『ライムライト』の世界を一から構築しているようだ。そしてカルヴェロとテリーが心を通わせていく過程がとても良い。カルヴェロはテリーを助けたもののどう接していいのか戸惑い、テリーもまた素直に心を開かず、殻に閉じこもる。石丸カルヴェロの屈折、野々テリーの硬質さが、すんなりはいかない不器用な人間たちの姿をうまく描き出す。そんなふたりだからこそ、ちょっとした会話で見せる笑顔が光り、この後ふたりの関係がどうなっていくのか…という期待感を抱かせた。公演は7月5日(日)から15日(水)まで、東京・シアタークリエにて。その後大阪、福岡、長崎、鹿児島、愛知、富山、長野公演もあり。チケットは発売中。
2015年07月01日山高帽、ステッキ、ちょびヒゲ、ぶかぶかのズボン…。映画黎明期に数々の名作を生み出し、世界中を笑いと涙で包んだ“喜劇王”チャールズ・チャップリンは、1977年のクリスマスの朝、スイスの自宅で永眠。それからまだ涙も乾かないほんの数か月後、なんと“チャップリンの遺体誘拐事件”が発生!?このウソみたいな本当の話が、チャップリン遺族の全面協力を得て映画化された『チャップリンからの贈りもの』が、7月18日(土)より公開されることが決定、このたび予告編が解禁となった。オスマンは、まだ小さな娘とトレーラーハウス生活。愛する妻は過酷な労働がたたって入院中だ。そんなとき、命の恩人、でもお調子者で問題児のエディが刑務所から出所。妻と娘の反対をよそに、お人よしのオスマンは、エディ用のトレーラーハウスを用意し、一緒に暮らし始めた。しかし、生活に窮するばかりの彼ら。そんなとき、“喜劇王チャップリン死亡”という衝撃のニュースが、テレビから流れてきた。チャップリンの棺を盗んで身代金をもらうことを思いついたエディは、気の弱いオスマンを巻き込んで、いざ決死の犯行へ。しかし浅はかな計画は、次々とボロが出て…。追い詰められた2人は、最後の賭けに出た。そして、まさかの結末が…。1978年の“チャップリンの遺体誘拐事件”には全世界が驚いたが、マヌケな犯人2人組の浅はかな犯行もまた驚愕のものだった。まさにコメディ映画にぴったりな題材だが、なんと本作の映画化にあたっては、チャップリンの遺族が全面協力!チャップリンが晩年を過ごした邸宅や、実際に彼が眠る墓地での撮影が実現し、実の息子や孫娘も特別出演を果たした。予告編からも見てとれるように、ダメダメでツイてない男たちのコミカルな大騒動の中に、『街の灯』や『ライムライト』など、往年の名シーンや名曲が散りばめられており、まるでチャップリンも出演者のひとりのように感じさせている。また、音楽は、巨匠ミシェル・ルグランが担当。壮麗な音楽とゆるゆるな2人のドジっぷりが、ミスマッチなはずなのに、なぜか心地よく、美しい戦慄がストーリーをリードする。なお、5月26日(火)、27日(水)には、チャップリンの実の息子ユージーン・チャップリン氏の来日も決定!本編中でもチャップリンの親日ぶりが分かるエピソードが描かれているが、ユージーン氏の口からもチャップリンの日本への愛が聞けるかもしれない。もし、チャップリンが天国からこのドジな2人を見ていたら、きっと彼らを主人公にコメディ映画を作りたくなったかもしれない…、そんな気持ちを起こさせてくれる本作。どこか憎めない2人のオヤジのビター&スウィートな珍騒動をお楽しみに。『チャップリンからの贈りもの』は7月18日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年05月11日チャップリン晩年の傑作映画『ライムライト』、その世界初の舞台化が日本で実現することとなった。映画と、チャップリンの未発表小説『フットライト』を下敷きに、オリジナル音楽劇として再構成される。映画の中で名優が演じた主人公カルヴェロに扮するのは、近年舞台のみならず映像でも目覚ましい活躍を見せる実力派、石丸幹二だ。以前からチャップリンに深い関心を持っていたという石丸は、今回の縁について「運命の結びつきかもしれない」と熱を込めて語った。音楽劇『ライムライト』チケット情報「もう20年も前に『チャップリン自伝』という本を読んでいたんですね。あれほどの名作を作った人ってどんな人なんだろう…と、彼自身の人となりに興味があったんです。その後、チャップリンの半生を綴った創作音楽劇(2013年『スマイル・オブ・チャップリン』)に出演する機会を得て、その舞台で『ライムライト』のテーマ曲『エターナリー』を歌いました。そういったさまざまな出来事が今、運命のパレットの中でひとつの色に集約されたような気がしています」かつては名声を博したが、いまや往年の輝きを失った老喜劇役者カルヴェロ。彼は若きバレリーナ(野々すみ花)から献身的な愛を受けるも、彼女の幸せを願って身を引き、新進作曲家(良知真次)と結びつけようと画策する。美しくもせつないラブストーリーを、映画では当時60代前半のチャップリンが至高の演技で見事に表現している。「ものすごいチャレンジです。この役を演じるには私はまだ若いかな…と最初は思いました。でも単なる映画の再現とは違うオリジナルの舞台ですから、役を自分に引き寄せることもありだと思う。あまりにも多くの方に知られた作品なので、はたして石丸幹二はこの役を表現するのに適しているか?とはかられるでしょうね。でもそこで認めていただけたら、この先何年でもやれる役だと思うし、ぜひそうしていきたいと思っています」カルヴェロの生き方から強く心に響いたテーマは「人にものを残し、伝えること」だという。「カルヴェロが自ら身を引き、若い者同士が結ばれるように仕向けたのは、愛情という面だけでなく、才能と才能を出会わせたとも言える。そういう生き方を自分もできたら素敵だなと思いました。私自身も50歳を前にして、後進の人たちの才能を表に推し出すことを考えるべき歳になったんだな……なんて思ったりしましたね」世界中のチャップリン・マニアが日本の舞台に押し寄せるのでは?と問うと、「そうなったら楽しい!ありがたいことですよね。プレッシャーも楽しく受けとめます。コピーではない、自分たちの『ライムライト』を作っていけば、ちゃんと胸を張れるものができるはずだから」と頼もしい言葉が返ってきた。この予想、あながち冗談では終わらないはず。世界が愛した名作の進化に期待したい。公演は7月5日(日)から東京・シアタークリエにて。チケットの一般発売は4月25日(土)午前10時より。チケットぴあではインターネット先行抽選を実施中、4月13日(月)午前11時まで受付。取材・文:上野紀子
2015年04月10日イギリスが生んだ“世界の喜劇王”チャールズ・チャップリンの傑作短編集をデジタル・リマスターで蘇らせた特集上映イベント「チャップリン・ザ・ルーツ」が9月22日(土)より公開されるのに先駆け、9月15(土)、“日本チャップリン協会名誉会長”である黒柳徹子がトークイベントを行った。1972年に直接チャップリンと会っている黒柳さんは、当時の思い出をたっぷりと語った。『黄金狂時代』や『街の灯』、時の独裁者アドルフ・ヒトラーを描いた『独裁者』など、シニカルなユーモアで世界を魅了し、いまなお多くの映画ファンに愛され続けるチャップリンの作品を、キーストン時代、エッサネイ時代、ミューチュアル時代と、彼が映画人として所属した映画会社での60本以上に及ぶ短編作品を、3つに分けて上映していく。この日のイベントは、21時からのスタートにも関わらず会場は満員御礼!40年前、実際にチャップリンと対面したことのある黒柳さんのトークを、いまや遅しと待ち構えている様子。「1972年4月、当時私はNYに留学していたんですが、チャップリンはアメリカを追放されてスイスに住んでいて、リンカーンセンターで授賞式があり、20年ぶりにアメリカの地を踏んだ貴重な日だったんです」と特別な体験をふり返る。NHKの取材陣として潜り込んだ黒柳さんは、「私は日本から来た女優です」と自己紹介をしたところ、「目に涙を浮かべて手を握ってくださいました!」と嬉しそうに目を細める。「手を握ったままでいてくれたので、天才と手を繋げるなんて本当に嬉しいと思いました。そして、『日本のみなさんに何かお伝えすることがありますか?』とお聞きしたら、『“愛してる”とお伝えください』とおっしゃって。とっても光栄でした!」と衝撃の思い出を明かした。さらに、この日は24歳の若きチャップリンを垣間見ることができる短編作品『A Thief Catcher』(泥棒を捕まえる人)が世界初公開された。これに黒柳さんは、「雰囲気があってとても魅力的!さすがチャップリン!!この当時から既に佇まいがチャップリンそのものね!チャップリンほどハンサムでセクシーな俳優はいないわ!この映像を良く見つけてきたわね!」とお客さんもそっちのけで大興奮していた。最後に、改めて「チャップリンほど人間の命とか平和を考えていた人はいないと思います。命をかけて戦って、それを笑いでみんなに納得させたということが本当にすごいと思います」と語り、チャップリンの魅力を存分にアピールしていた。傑作短編集・完全デジタルリマスター「チャップリン・ザ・ルーツ」、9月22日(土)より銀座テアトルシネマほか全国にて順次公開。公式サイト:elevenarts-japan.net/cc_shibuya.html
2012年09月18日