映画ファンを賑わせた本年度アカデミー賞で惜しくも受賞とはいかなかったが、ひときわ輝きを放っていた女優、ジェシカ・チャスティン。いま最も勢いのあるハリウッド女優の一人である彼女の、それぞれ全く異なる魅力が楽しめる映画が続々と公開となっているのをご存知だろうか?その中から注目の映画を一挙ご紹介!昨年のカンヌ国際映画祭で最高賞にあたるパルムドールを獲得したテレンス・マリック監督作『ツリー・オブ・ライフ』でブラッド・ピットの妻役を演じ、一躍脚光を浴びて以来、引く手数多の売れっ子女優の仲間入りをしたジェシカ。現在30歳、N.Y.の名門ジュリアード学院出身のエリートである彼女は、多くの舞台やTVドラマでキャリアを積んだ後、2008年に映画デビュー。天真爛漫な存在感と確固たる演技力が数々の監督の目に止まり、先述の『ツリー・オブ・ライフ』での母性あふれる貞淑な妻役を始め、幅広い役に抜擢されてきた。そんな彼女の色んな魅力が楽しめる映画が、日本でも続々と公開となっている。まず1本目はアカデミー賞助演女優賞にノミネートされた『ヘルプ~心がつなぐストーリー~』(3月31日より公開)。本作で、ジェシカが演じるのは、超美人だが“KY(空気読めない)”な婦人・シーリア。トレードマークの赤髪からブロンドヘアにし、豊満なボディを強調するバービー人形のようなセクシーな装いで、鈍感だけど何とも憎めないキャラクターを魅力的に演じており、女性の共感と感動を誘う。2本目はサム・ワーシントン、ジェフリー・ディーン・モーガン、クロエ・グレース・モレッツ共演の『キリング・フィールズ失踪地帯』(4月14日より公開)。『ヘルプ』でのセレブ婦人とは打って変わって、本作でジェシカが演じるのは犯罪多発地帯で連続殺人事件を追う女性刑事。髪を下ろしたワイルドなスタイルで、男性刑事たちと肩を並べて危険地帯に臨む、男勝りな女性をクールに演じている。その逞しさはとても先述のシーリアとは同一人物とは思えないほど。逞しさで言えば、『テイク・シェルター』(3月24日より公開)で演じるサマンサも負けていない。大災害発生の恐怖に取り憑かれ避難用シェルター作りに没頭する男の姿を描いた心理スリラーで、ジェシカは悪夢と現実の狭間で苦悩し、精神的に侵されていく夫・カーティス(マイケル・シャノン)を最後まで支え続ける寛容な妻を演じている。ランニングにジーンズというラフな出で立ち、聴覚障害を持つ娘と交わす流暢な手話、時に夫にビンタを食らわす勝気な姿は、妻の鏡とも言うべき逞しさを感じさせる。『ツリー・オブ・ライフ』とはまた異なる妻・母親像を表現するジェシカの魅力にぜひ注目してほしい。この3作以外にも、現在公開中のレイフ・ファインズ初監督作『英雄の証明』やアル・パチーノ監督作『Wild salome』(原題)を含め、この1年だけで計6本もの作品に出演と、いまハリウッドの監督が最も撮りたい女優と言っても過言ではない、ジェシカ・チャスティン。今後もジョン・ヒルコート監督作『Wettest County』(原題)や、『ツリー・オブ・ライフ』のテレンス・マリック監督最新作での再タッグなど、その活躍から目が離せない。全く異なる女性像でありながら、ジェシカの演じる女性に観客が惹きこまれるのは、彼女の内側にある芯の強さが感じられるから。柔和な美しさと逞しさを兼ね備える、そんな彼女の魅力にぜひ触れてみてほしい。■関連作品:キリング・フィールズ失踪地帯 2012年4月14日より、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開© 2011 GIDEON PRODUCTIONS. LLC ALL RIGHTS RESERVED.テイク・シェルター 2012年3月24日より新宿バルト9ほか全国にて公開© 2011 GROVE HILL PRODUCTIONS LLC All Rights Reserved.ヘルプ~心がつなぐストーリー~ 2012年3月31日よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開© 2011 DreamWorks II Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.■関連記事:オサマ・ビン・ラディン暗殺を描くK・ビグロー監督新作、ロケ地の猛反発で撮影中断【アカデミー賞】華麗なるレッドカーペットファッション!~セクシー編~【アカデミー賞】華麗なるレッドカーペットファッション!~ホワイト&メタリック編~【アカデミー賞】『ヘルプ』のオクタヴィア・スペンサーが助演女優賞を獲得!マーク・ウォルバーグ、オスカー授賞式前に「誰が勝つか知ってる」と結果(?)を発表
2012年03月19日世界的大ベストセラーを映画化した『ドラゴン・タトゥーの女』の印象的なヒロイン、リスベット・サランデルを演じたルーニー・マーラが初来日。先日発表されたアカデミー賞ノミネートでは主演女優賞に名を連ねたことも大きな話題となっている彼女に、映画製作の舞台裏について聞いた。その他の写真心に大きな傷を抱え、他人との接触を避けて生きるパンキッシュな娘リスベット・サランデル。その超個性的なキャラクターゆえにハリウッドの名だたる若手女優が熱望したというこの役を、主演は本作が初めてというルーニー・マーラが手に入れた。「オーディションは2ヵ月にも及びました。スウェーデン語の詩を読んだり、バイクに乗ったり、いろんなことをやりました。でも、監督はわりと早い段階で私に決めてくれていたようです。とはいえ私はほとんど無名ですから、周囲の関係者を説得しなくてはいけない。だから何度もテストをやったのだと思います」監督デヴィッド・フィンチャーとは『ソーシャル・ネットワーク』に続いて2度目。「ルーニーの名前はリストの最後のほうだった」と語るフィンチャーだが、今では「世界中で彼女だけがリスベットを演じることができた」と大絶賛。実際、そのなりきりぶりは外見はもちろん、内面を伝える微妙な演技からも伝わってくる。「リスベットは寡黙なキャラクターです。彼女が口にする言葉は重要なので、そういう重みのようなものを表現したかった。あとは皆さんに共感していただきたいという気持ちがありました。というのも彼女が秘めている怒りや憤りは、程度の差はあれ、皆さんも感じたことのある感情だからです」リスベットが寡黙なように、ルーニーも決してお喋りではない。「私とリスベットにはたくさん共通点があって、そのひとつが人見知りなところ」というだけあって、ちょっと恥ずかしそうに淡々と答えてくれる。映画では全裸もいとわない体当たりの演技を見せるので、その落差に彼女の女優魂を感じたりするのだ。次回作は、『ツリー・オブ・ライフ』でやはりアカデミー監督賞にノミネートされているテレンス・マリックの『Lawless』。フィンチャーにマリック、ハリウッドの役者たちが出演を熱望する監督に愛され、確実にトップ女優への階段を昇り始めたルーニー・マーラである。取材・文:渡辺麻紀『ドラゴン・タトゥーの女』2月10日(金)TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー
2012年02月02日第84回アカデミー賞の候補が24日(現地時間)にロサンゼルスで発表され、マーティン・スコセッシ監督作『ヒューゴの不思議な発明』が作品賞、監督賞を含む最多11部門のノミネート、次いで『アーティスト』が10部門ノミネートを果たした。これまでの映画賞レース前哨戦で圧倒的な強さを見せてきたのは、フランス発の白黒サイレント映画『アーティスト』。先日発表されたゴールデン・グローブ賞では作品賞を含む最多の3冠を獲得、続くPGA賞(全米製作者組合賞)でも作品賞を見事受賞し、世界の映画賞で70部門受賞、175ノミネート(1月19日現在)という快進撃を見せてきた。本作がアカデミー賞本番で作品賞を獲得すれば、サイレント映画が作品賞を受賞するのは第1回アカデミー賞受賞作『つばさ』以来の快挙、さらにフランス映画としては史上初の快挙となる。そして、ここに来て本作に立ちはだかるのは、巨匠マーティン・スコセッシ初の3Dファンタジー作品『ヒューゴの不思議な発明』。ゴールデン・グローブ賞では最優秀監督賞を受賞したほか、映画賞レースでのノミネート数は113部門、受賞は28部門にものぼる。本作が作品賞を受賞すれば、こちらも3D作品としては初の快挙を果たすこととなる。さらに、授賞式直前の2月中旬にスコセッシ監督が5年ぶりに来日することも急遽決定!オスカー受賞への意気込みについても注目が集まる。1部門の差で圧倒的な強さを見せる二作の一騎打ちとなるのか?ちなみに、作品賞は昨年の10本から1本減って9本のノミネートとなった。主演男優賞では、ゴールデン・グローブ賞を獲得したジョージ・クルーニー(『ファミリー・ツリー』)は当然のことながら(?)候補入り。初の主演男優賞獲得に加え、脚色賞にノミネートされた自身の監督作『スーパー・チューズデー~正義を売った日~』でのW受賞を狙う。さらに、ブラッド・ピット(『マネーボール』)にゲイリー・オールドマン(『裏切りのサーカス』)という錚々たる顔ぶれが並ぶ。オスカー候補有力とされていたレオナルド・ディカプリオは残念ながら悲願のオスカー獲得ならずとなった。ほかには、ジャン・デュジャルダン (『アーティスト』)とデミアン・ビシール(『A Better Life』<原題>)が候補入りした。また、授賞式の華である主演女優賞は、演技派女優がバッティング!英国初の女性首相マーガレット・サッチャーをそっくりに演じたメリル・ストリープ(『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』)に、伝説のスター、マリリン・モンローを華麗に演じたミシェル・ウィリアムズ(『マリリン 7日間の恋』)の一騎打ちとなるか?さらに、グレン・クローズ(『アルバート・ノッブス』)、ヴィオラ・デイヴィス(『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』)、ルーニー・マーラ(『ドラゴン・タトゥーの女』)というベテラン勢から注目の新進女優からも目が離せない。ルーニー・マーラは来週、来日も予定している。助演男優賞には、『人生はビギナーズ』の演技で各映画賞を総なめにしているクリストファー・プラマーに加え、ケネス・ブラナー(『マリリン 7日間の恋』)、マックス・フォン・シド(『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』)などの名優たちの顔ぶれが目立つ。さらに助演女優賞は、『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』からジェシカ・チャステインとヴィオラ・デイヴィスの2名が候補入りしている。ノミネートされた女優陣は、これから晴れ舞台に向けてのドレス探しに大忙し?そして、監督賞には『ヒューゴの不思議な発明』で一歩リードしている巨匠マーティン・スコセッシ監督を始め、ウディ・アレン(『ミッドナイト・イン・パリ』<原題>)、テレンス・マリック(『ツリー・オブ・ライフ』)と個性派監督が並び、こちらも混戦を極めそうな様子。作品賞にノミネートされた『戦火の馬』のスティーヴン・スピルバーグは候補入りならずとなった。さらに、外国語映画賞ではゴールデン・グローブ賞で受賞し、オスカー有力視されているイランの『別離』が順当に候補入り。長編アニメ賞では、オスカー常連のディズニー・ピクサー作品の顔がなく、『長ぐつをはいたネコ』、『カンフー・パンダ2』、『ランゴ』とドリームワークス3作品がずらりと並んだ。トム・ハンクス&サンドラ・ブロック競演の『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』やブラッド・ピット主演の『ツリー・オブ・ライフ』など、前哨戦であるゴールデン・グローブ賞とはまた異なる作品も主要部門に参戦し、今年も混戦を極めそうなアカデミー賞。当日、栄誉を手にするのは果たして?発表と授賞式は2月26日(現地時間)にコダック・シアターで行われる。第84回アカデミー賞主要ノミネーション■作品賞『アーティスト』『ファミリー・ツリー』『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』『ヒューゴの不思議な発明』『ミッドナイト・イン・パリ』(原題)『マネーボール』『ツリー・オブ・ライフ』『戦火の馬』■監督賞ウディ・アレン(『ミッドナイト・イン・パリ』<原題>)ミシェル・アザナヴィシウス(『アーティスト』)アレクサンダー・ペイン(『ファミリー・ツリー』)テレンス・マリック(『ツリー・オブ・ライフ』)マーティン・スコセッシ(『ヒューゴの不思議な発明』)■主演男優賞ジョージ・クルーニー(『ファミリー・ツリー』)ブラッド・ピット(『マネーボール』)ジャン・デュジャルダン (『アーティスト』)ゲイリー・オールドマン(『裏切りのサーカス』)デミアン・ビシール(『A Better Life』<原題>)■主演女優賞グレン・クローズ(『アルバート・ノッブス』)ヴィオラ・デイヴィス(『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』)ルーニー・マーラ(『ドラゴン・タトゥーの女』)メリル・ストリープ(『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』)ミシェル・ウィリアムズ(『マリリン 7日間の恋』)■助演男優賞ケネス・ブラナー(『マリリン 7日間の恋』)ジョナ・ヒル(『マネーボール』)ニック・ノルティ(『Warrior』<原題>)クリストファー・プラマー(『人生はビギナーズ』)マックス・フォン・シドー(『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』■助演女優賞ベレニス・ベジョ(『アーティスト』)ジェシカ・チャステイン(『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』)メリッサ・マッカーシー(『Bridesmaids』<原題>)ジャネット・マクティア(『アルバート・ノッブス』)オクタヴィア・スペンサー(『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』)■オリジナル脚本賞『アーティスト』『Bridesmaids』(原題)『Margin Call』(原題)『ミッドナイト・イン・パリ』(原題)『別離』■脚色賞『ファミリー・ツリー』『ヒューゴの不思議な発明』『マネーボール』『スーパー・チューズデー~正義を売った日~』『裏切りのサーカス』■長編アニメ映画賞『Une vie de chat』(原題)『Chico & Rita』(原題)『長ぐつをはいたネコ』『カンフー・パンダ2』『ランゴ』■外国語作品賞『別離』(イラン)『Bullhead』(英題/ベルギー)『Monsieur Lazhar』(原題/カナダ)『In Darkness』(原題/ドイツ)『Footnote』(英題/イスラエル)■関連作品:ミッドナイト・イン・パリ (原題) 2012年初夏、新宿ピカデリー、Bunkamura ル・シネマほか全国にて公開© 2011 Mediaproducción, S.L.U., Versátil Cinema, S.L. and Gravier Productions, Inc.J・エドガー 2012年1月28日より全国にて公開© 2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.ヤング≒アダルト 2012年2月25日よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開© 2011 Paramount Pictures and Mercury Productions, LLC. All Rights Reserved.スーパー・チューズデー~正義を売った日~ 2012年3月31日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2011 Ides Film Holdings, LLC 人生はビギナーズ 2012年2月4日より新宿バルト9、TOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2010 Beginners Movie, LLC. All Rights Reserved.少年は残酷な弓を射る 2012年6月、TOHOシネマズ シャンテにて公開© UK Film Council / BBC / Independent Film Productions 2010マリリン 7日間の恋 2012年3月24日より全国にて公開© 2011 The Weinstein Company LLC. All Rights Reserved.マーガレット・サッチャー鉄の女の涙 2012年3月16日よりTOHOシネマズ日劇ほか全国にて公開© 2011 Pathe Productions Limited , Channel Four Television Corporation and The British Film Institute.マネーボール 2011年11月11日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開戦火の馬 2012年3月2日より全国にて公開© Dream Works II Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.ヘルプ~心がつなぐストーリー~ 2012年3月31日よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開© 2011 DreamWorks II Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.ヒューゴの不思議な発明 2012年3月1日よりTOHOシネマズ 有楽座ほか全国にて公開© 2011 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.ファミリー・ツリー 2012年4月GW、TOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2011 Twentieth Century Foxアーティスト 2012年4月7日よりシネスイッチ銀座、新宿ピカデリーほか全国にて公開© La Petite Reine - Studio 37 - La Classe Americaine - JD Prod - France 3 Cinema - Jouror Productions - uFilm第84回アカデミー賞 [アワード] 2012年2月26日(現地時間)、ハリウッド・コダックシアターにて授賞式が開催© AMPAS■関連記事:スピルバーグに発掘された新星『戦火の馬』ジェレミー・アーヴァインが語る馬との“絆”初監督作が表彰されたアンジェリーナ・ジョリー、女優引退も視野に?オスカー獲得に注目集まるメリル・ストリープ、最新主演作を引っさげ来日決定!青春時代の輝きをもう一度!『ヤング≒アダルト』女性レビュアー限定試写会に20組40名様ご招待【ハリウッドより愛をこめて】GG賞レッドカーペットであのセレブに直撃!
2012年01月25日「“死”は事件で、ティーンの日常というのはプラットホームなんだよ」。『永遠の僕たち』のストーリーテリングにおけるティーンと死という設定について、ガス・ヴァン・サント監督はこう語り出した。「そもそもストーリーというものは特異な舞台設定を持っていることが多い。ティーンの日々というのはみんな経験していて、西部劇やSFアドベンチャーやギャングもののような特異な設定ではないけれど、やはり独特の力学があり、そこから物語として紡ぐことのできる、れっきとした一つのジャンルなんだ。14、15本と作品を撮る中で自分でも少しそこに立ち戻りつつあるような気がするよ。スピルバーグがファンタジーや少し誇張されたリアリティを描く作品に立ち戻るのと似ているかな。ルーカスの『スター・ウォーズ』、ジョン・フォードの西部劇と同じように、僕もまた、自分の見知ってる場所に帰り始めているんじゃないかなと思うんだよ」。――ならば「死」については?「それとはまた違うストーリーテリングの方法だろうな。“事件”というか…ロシア映画は主人公の死を望む傾向があるとよく聞くけど(笑)、『死』という事件があるからこそ、『生』が描けるというか。闇なくして光は描けないから、その対比ということなのかも」。――「死」に関連しては、長崎の原爆のキノコ雲と廃墟の町のショットを入れた理由は?「加瀬亮扮する特攻隊員のヒロシは、長崎に原爆が落とされる直前に死んでいる設定だったから、アナベルが長崎のことに触れても、そんなことがあったなんて知らない。でも結局は知ってしまって、同じ日本人を、長崎の町を悼んでいるんだと思う。この映画の重力のターニングポイントにもなっているんだよ、あそこは。ちょうどあの瞬間でトーンが変わるんだ。観客もいずれアナベルに死が訪れることを知っているが、あのショットでその事実を思い出す。だからあの瞬間から暗澹(あんたん)としてくるんだ。実際、キノコ雲の描写は脚本にはなかったんだけど、視覚的なサポートとして僕が足した映像だよ。亮はあのショットがあるのは知っていたが、ヒロシとしてはもちろん知らない」。――ヘンリー・ホッパー扮する主人公・イーノックが葬儀所をブラついていたり、そこでアナベルと出会ったり。『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』や『禁じられた遊び』を思い出してしまいますが。「その要素はあると僕も思うよ。脚本を書いたジェイソンはそうした映画を観ていないと言っているけれど、僕は『永遠の僕たち』を作る前に観てるから、どこか共鳴しているところはあるかもしれないね」。――ヘンリーは本作が映画初出演ですね。「そうは言っても、既に映画はいくつかオーディションを受けていたみたいだよ。サンタモニカのアクターズ・スタジオで舞台経験をしているし。彼の父親のデニス・ホッパーは有名な俳優だもの、何だかんだ言ったって、演技というものは既にヘンリーの近くにあったんだよ。もっとも当初は映画よりも絵を描いていれば幸福って感じだったけどね」。――一方、アナベル役のミア・ワシコウスカが教えてくれた「サイレント・テイク」。台詞を発することなくシーンを演じてみるというこの手法は、いつ頃から取り入れてるのでしょうか?「やり始めたのは『MILK』からなんだ。主演のショーン・ペンにテレンス・マリック監督がやっていると聞いてね。編集時のオプションになるし、会話のリアクションにも使えるということで、後での編集の役に立つのではと思って採用したよ。僕は元々画家だから、ビジュアル的にはいろんな絵画からの影響があるのは確かだけどそれを具体的に示すのは難しい。たぶんカメラの構図に一番影響しているんじゃないかと思うけど。もちろん色彩や照明にもその影響は出ているんだろうな。自分でハッキリ指摘するのは難しいけれどね(笑)」。(text:Yuki Sato)■関連作品:永遠の僕たち 2011年12月23日よりTOHOシネマズシャンテ、シネマライズほか全国にて順次公開■関連記事:加瀬亮、クリスマスの予定は「焼き鳥」お相手は?加瀬亮、映画への“愛”「10年前の僕と今の僕。等身大の自分から始めるしかない」加瀬亮、ハリウッド進出第2弾!現場での仕事は、監督が飼う犬の散歩!?海外で活躍してほしい俳優1位は水嶋ヒロ、2位に向井理必須条件は語学力と長身?シネマカフェ読者ゴコロなんでもベスト5(第20回)“ほっとけない男子”俳優は?
2011年12月28日ショーン・ペンが20日付のフランスの新聞「Le Figaro」紙のインタビューで出演作『ツリー・オブ・ライフ』(テレンス・マリック監督)で演じた役柄について「どうすべきだったか、いまも考えている」と語った。ペンが演じたのは、ブラッド・ピット扮する厳格な父親のもとで育った少年時代をふり返る中年男性。ほとんどのシーンは記憶をたどってひとり歩いてる。「脚本はこれまで読んだなかで最高に素晴らしいものだった。作品の美しさやインパクトを損なわない程度に、もっとはっきりとした分かりやすいストーリーがあればよかったんじゃないかと僕は思う」。「正直言って、自分が(スクリーン上で)何をしているのか、自分がどうすれば良かったのか、いまも考えている状態だ。何よりテリー(・マリック)自身、はっきりと僕に説明することができずにいたからね」と完成作についての感想を率直に話すペンだが、マリック監督については、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(『21グラム』)、ニック・カサヴェテス(『シーズ・ソー・ラヴリー』)、クリント・イーストウッド(『ミスティック・リバー』)と並んで「真の芸術家。僕が本当に世話になった人たちだ」と信頼を寄せる。そして『ツリー・オブ・ライフ』について改めて、「先入観を持たずにひとりで観ることをお薦めする。感情的、あるいスピリチュアルな点で映画と個人的なつながりを見つけられれば、感動して映画館を後にできると思う」と語った。(text:Yuki Tominaga)© AP/AFLO■関連作品:ツリー・オブ・ライフ 2011年8月12日より丸の内ルーブルほか全国にて公開© 2010 Cottonwood Pictures, LLC. All Rights Reserved■関連記事:ブラッド・ピット動画インタビュー到着!寡作の名匠の驚きの演出法を絶賛ブラッド・ピット、アメリカにおける同性婚支持を改めて表明カンヌ、パルムドール受賞作『ツリー・オブ・ライフ』試写会に5組10名様ご招待アンジェリーナ・ジョリー、竜巻被害にあったブラピの故郷に50万ドル寄付アンジーおのろけ全開!「ブラッドは男の中の男なのよ」
2011年08月23日ブラッド・ピットとショーン・ペンという、ハリウッドを代表する実力派が顔を揃え、昨年のカンヌ国際映画祭でパルムドール(最高賞)に輝いた『ツリー・オブ・ライフ』。本作の公開を前にブラッドが、テレンス・マリック監督の演出技法について言及したインタビュー映像が到着した。1973年の監督デビュー以来、監督生活38年で本作がわずか5作目という寡作ながらも、そのいずれもが質の高い作品として注目を浴びるテレンス・マリックが、1978年に『天国の日々』で監督賞に輝いて以来のカンヌでの栄光を手にした本作。成功し財を成した実業家のジャックが若き日を回想。力こそが全てだと信じる厳格な父と、純粋すぎるほどの愛に満ちた母との狭間で葛藤し、父への反感を募らせていた無垢な日々の中で、暗黒の淵にとらわれそうな彼の心を、光のさす場所に留めたものは何だったのか――?ひとりの男の人生を通じて家族、生命を鮮烈に描き出す。公の場にほとんど姿を現さないことで知られるマリック監督について、ブラッドは「混沌とした中に真実を描き出す手法は見事」と称賛する。ブラッドが演じたのは、ジャック(少年時代)の父親だが、監督からは「脚本通りに演じるな」と言われたとか。監督自身も脚本を無視したその場での演出を施すことがあったよう。ブラッドはその一例として「例えば、夫婦が取っ組み合いの喧嘩をする場面で、即興で子供を放り込んでシーンのトーンをガラリと変えてしまうんだ」と明かしてくれた。ちなみにプロデューサーによると、少年時代のジャックら子役を選ぶのに2年の歳月をかけ、1万人近くをオーディションしたという。ショーン・ペンが大人になったジャックを演じることから「ショーンと同じクオリティ持った子役が必要だった」とはプロデューサーは語る。ここに監督の独創的な演出が加わり、パルムドール受賞の傑作が生みだされたわけだ。これまでとはまたタイプの違う父親像を体現したブラッドの演技にも、もちろん注目したいところ!『ツリー・オブ・ライフ』は8月12日(金)より丸の内ルーブルほか全国にて公開。※こちらの特別映像はMOVIE GALLERYにてご覧いただけます。MOVIE GALLERY■関連作品:ツリー・オブ・ライフ 2011年8月12日より丸の内ルーブルほか全国にて公開© 2010 Cottonwood Pictures, LLC. All Rights Reserved■関連記事:ブラッド・ピット、アメリカにおける同性婚支持を改めて表明カンヌ、パルムドール受賞作『ツリー・オブ・ライフ』試写会に5組10名様ご招待アンジェリーナ・ジョリー、竜巻被害にあったブラピの故郷に50万ドル寄付アンジーおのろけ全開!「ブラッドは男の中の男なのよ」シネマカフェ読者ゴコロなんでもベスト5(第15回)憧れるリアル父親俳優は?
2011年08月01日第64回カンヌ国際映画祭の授賞式が22日夜〈現地時間)に行われ、テレンス・マリック監督(米)の『ツリー・オブ・ライフ』が、最高賞パルムドールに輝いた。社会的に成功した男が、厳格な父に育てられた1950年代の少年時代をふり返りながら、家族とは、生命とは何かと問いかけるヒューマンドラマ。父親役をブラッド・ピットが演じている。公の場に一切出ないマリック監督は授賞式も欠席、代理でプロデューサーが楯を受け取った。女優賞は、『メランコリア』のキルスティン・ダンストが受賞。 監督はナチ発言騒動でカンヌへの出入り禁止が言い渡されたラース・フォン・トリアーだが、これに対して審査委員長のロバート・デ・ニーロは「作品とその件は別で、良いと思う人が多いから選ばれた」と発言。さらに審査員のフランス人監督オリヴィエ・アサイヤスは「これはすばらしい映画。フォン・トリアーの作品の中でも1、2を争う出来」と擁護した。男優賞は、『アーティスト』(原題)で無声映画時代のハリウッドスターを演じたフランスの人気俳優ジャン・デュジャルダンが、予想通りに受賞した。また次点にあたるグランプリは2作品が選ばれるなど、審査員団の苦心がうかがわれた。日本映画2本(『一命』、『朱花の月』)は受賞を逃したことについて、ジョニー・トーは「日本映画もすばらしかったが、賞は限られている」と語った。今年は審査員賞を受賞した『ポリス』をはじめ、児童虐待をテーマにした映画が多く、子供を守らなければ世界の未来はない、という潮流をかんじさせる結果だった。<主な受賞結果>パルムドール『ツリー・オブ・ライフ』/テレンス・マリック監督グランプリ『少年と自転車』(原題)/ジャン・ピエール&リュック・ダルデンヌ監督『昔々、アナトリアで』(原題)/ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督監督賞ニコラス・ウィンディング・レフン監督(『ドライブ』<原題>)男優賞ジャン・デュジャルダン(『アーティスト』<原題>)女優賞キルスティン・ダンスト(『メランコリア』<原題>)脚本賞『脚注』(原題)/ジョセフ・シダー審査員賞『ポリス』(原題)/マイウェン・ル・ベスコ監督(photo/text:Ayako Ishizu)特集「カンヌ国際映画祭現地から最新ニュースお届け」■関連作品:第64回カンヌ国際映画祭 [映画祭]ツリー・オブ・ライフ 2011年8月12日より丸の内ルーブルほか全国にて公開© 2010 Cottonwood Pictures, LLC. All Rights Reservedメランコリア 2011年、全国にて公開予定© 2011 ZENTROPA ENTERTAINMENTS APS27 MEMFIS FILM INTERNATIONAL AB ZENTROPA INTERNATIONAL SWEDEN AB SLOT MACHINE SARL LIBERATOR PRODUCTIONS SARL ARTE FRANCE CINEMA ZENTROPA INTERNATIONAL KOLN GMBH■関連記事:【カンヌレポート8】テーマが明確な作品が勝利の鍵?気になるパルム・ドールの行方【カンヌレポート番外編】カンヌに華をそえる!スターたちのファッションチェック【カンヌレポート7】瑛太、初カンヌに緊張監督は時代劇に3D起用理由を説明【カンヌレポート6】ブラピ、子供たちに対し「すごい俳優だと思ってくれれば(笑)」【カンヌレポート5】金城武、北野武になる?
2011年05月23日カンヌ映画祭も、残すところあと2日。現在のところの評判を総合すると、パルムドールの有力候補と言えるのは、ナンニ・モレッティ(イタリア)による、新法王に選ばれてしまった枢機卿の苦悩をユーモラスに描く『法王誕生』(原題)、アキ・カウリスマキ(フィンランド)が、フランスの港町ル・アーブルを舞台に移民少年を救い出す人々を追った『ル・アーブル』(原題)、ミシェル・ハザナビシウス(フランス)が白黒サイレントで、ハリウッドのトーキー映画誕生の裏側を描いた『アーティスト』(原題)の3作品。それらをテレンス・マリックの『ツリー・オブ・ライフ』、そしてフランスの女優マイウェン・ル・ベスコが監督した、警察の児童虐待課を追う『ポリス』がそれらに続くかたち。日本映画はやや厳しい状況だ。まだ上映されていない作品も3本あるためなんともいえないが、法王の悩みを通し人生とは何かをユーモアたっぷりに問う『法王誕生』が一歩リードとみている。今年はロバート・デ・ニーロが審査員ということもあり、テーマが明確な作品が好まれそうだ。ちなみに、男優賞は『法王誕生』のミシェル・ピコリと、『アーティスト』でハリウッドスターになり切ったフランスの人気俳優ジャン・デュジャルダンの一騎打ちだろう。結果は現地時間の22日夜に発表される。また、コンペではないが監督週間で上映された園子温監督の『恋の罪』も高く評価されており、次回はコンペ入りに期待したい。(text:Ayako Ishizu)写真は右が『法王誕生』ナンニ・モレッティ監督、その隣は同作のキャストのミシェル・ピコリ。© Reuters/AFLO特集「カンヌ国際映画祭現地から最新ニュースお届け」■関連作品:第64回カンヌ国際映画祭 [映画祭]ツリー・オブ・ライフ 2011年8月12日より丸の内ルーブルほか全国にて公開© 2010 Cottonwood Pictures, LLC. All Rights Reserved恋の罪 2011年公開© 2011「恋の罪」製作委員会■関連記事:【カンヌレポート番外編】カンヌに華をそえる!スターたちのファッションチェック【カンヌレポート7】瑛太、初カンヌに緊張監督は時代劇に3D起用理由を説明【カンヌレポート6】ブラピ、子供たちに対し「すごい俳優だと思ってくれれば(笑)」【カンヌレポート5】金城武、北野武になる?【カンヌレポート4】オダジョー、芝居を通しチャン・ドンゴンと言葉の壁を乗り越える
2011年05月21日16日(現地時間)、今年のカンヌ映画祭コンペ部門の最大の注目作、テレンス・マリック監督の『ツリー・オブ・ライフ』が上映され、主演のブラッド・ピット、ジェシカ・チャスティンらが記者会見を行った。『天国の日々』、『シン・レッド・ライン』などの監督で、公の場に一切登場しないことで知られるマリックは、カンヌにもやってきておらず、プロデューサーも勤めたブラッド・ピットが代弁者として多いに熱弁をふるった。監督の欠席に関しては「彼は映画作りを、家を建てると同じようなことだと考えているんじゃないかな。この業界では、映画の作り手が、映画を売ること求められるけれど、テレンスはそこに納得がいかないんだと思う。確かに、物を作ったアーティストにセースルマンも兼ねさせるのは、不思議なことだよね」と、弁護した。映画はショーン・ペン扮する成功した建築家が、ブラピ演じる信仰にあつく威圧的な父親に育てられた1950年代のテキサスでの少年時代をふり返るというストーリー。自らとの共通点を聞かれたブラピは「僕も南部のキリスト教徒の家庭で育ち、すべては神の御心のままに、ということに疑問を持ったのを覚えている。この映画は多くの疑問を投げかけるし、子供時代というのは、どこに育っても共通点があるはずだ」と答えた。さらに「厳格な父親を演じることには、少し抵抗があったんだ。でも、この物語においてはとても重要なことだし、大切なのは子供のたどる過程だよ。僕自身、いまは自分の子供についてあらゆることを考える。“子供が大きくなってこれを見たらなんて思うか”とも考えるけど、僕のことを父親としてよく知っているからなぁ。できれば彼らが“すごい俳優だな”って思ってくれることを願っているよ(笑)」と、父親としての顔も見せた。夜には、アンジェリーナ・ジョリーと共にレッド・カーペットに登場。記者会見には間に合わなかったショーンも駆けつけ、会場前に集まった多くのファンを沸かせた。(text/photo:Ayako Ishizu)■関連作品:ツリー・オブ・ライフ 2011年8月12日より丸の内ルーブルほか全国にて公開© 2010 Cottonwood Pictures, LLC. All Rights Reserved■関連記事:ブラピ×ショーン・ペンの注目作の一部お目見え『ツリー・オブ・ライフ』予告編解禁!海老蔵&瑛太出演の『一命』カンヌ出品!ブラピ主演作ほか強敵とコンペで激突
2011年05月17日ブラッド・ピットとショーン・ペン、ハリウッドを代表する2人の競演で注目を集めるヒューマンドラマ『ツリー・オブ・ライフ』の予告編とポスターがこのほど解禁となった。物語の舞台は、1950年代半ばの中央テキサス。小さな田舎町で幸せに暮らすオブライエン夫婦と、3人の子供たちの40年にわたる物語を描く。監督は38年間で監督作はわずか4本でありながらも『天国の日々』(1978)でカンヌ国際画祭監督賞、さらに20年後に製作した『シン・レッド・ライン』でベルリン国際映画祭金熊賞を受賞と、数々の伝説を残してきたテレンス・マリック。今回解禁となったポスターでは赤ん坊の小さな足と、それをじっと見つめるブラピの姿が。“家族”や“生命”という本作のテーマを象徴するように、予告編もまるで胎内を連想させるような映像から始まる。幸せに暮らす家族の姿、優しい母親と厳格な父の狭間で葛藤し続ける息子ジャックの心理…、全編にちりばめられた“生きるということ”や“家族”など人間の根源を問うシーンを美しく壮大な映像、音楽が彩る。これまでにはなかった父親像を演じるブラピ、大人になっても心の隙間を埋められず葛藤する息子を務めるショーン。本日より開幕となる第64回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品されるが、現地の評価が気になるところ。まずは予告編をチェックし、ひと足早く作品の世界観にご堪能あれ。『ツリー・オブ・ライフ』は8月12日より全国にて公開。※こちらの予告編映像はMOVIE GALLERYにてご覧いただけます。MOVIE GALLERY特集「第64回カンヌ国際映画祭」■関連作品:ツリー・オブ・ライフ 2011年8月12日より丸の内ルーブルほか全国にて公開© 2010 Cottonwood Pictures, LLC. All Rights Reserved第64回カンヌ国際映画祭 [映画祭]■関連記事:カンヌ国際映画祭で、禁固刑のパナヒ監督らの新作上映が決定海老蔵&瑛太出演の『一命』カンヌ出品!ブラピ主演作ほか強敵とコンペで激突別所哲也、独断でカンヌ映画祭史上最高の作品を選定!?
2011年05月11日市川海老蔵が主演する『一命』の共演陣が新たに発表され、瑛太、役所広司、満島ひかりが出演していることが明らかになった。本作は、第64回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品されることも決定!今年のカンヌのコンペには、河瀬直美監督の『朱花(はねづ)の月』も出品されることになっているほか、アメリカからは最大の注目作としてブラッド・ピット&ショーン・ペン共演の『ツリー・オブ・ライフ』も参加することに。例年にも増して大きな盛り上がりを見せそうだ。三池崇史監督による3D時代劇として注目を集める『一命』の原作は、1958年に発表された滝口康彦による小説「異聞浪人記」。1962年に仲代達矢、三國連太郎らをキャストに迎え、小林正樹監督の手で『切腹』として映画化されたが、このたび再び映画化されることに。武家社会に立ち向かった2人の侍の姿を描いた本作。主人公の元芸州藩士の浪人・津雲半四郎を海老蔵さんが演じ、半四郎の娘婿で同じく元芸州藩士の浪人・千々岩求女(ちぢいわ もとめ)を瑛太さん、その妻で半四郎の娘の美穂を満島さん、そして井伊家家老の斎藤勘解由を役所さんが演じることが明らかに。また、世界的プロデューサーとして名を馳せるジェレミー・トーマスが企画・プロデューサーを担当。そのジェレミーのプロデュース作品『戦場のメリークリスマス』、『ラストエンペラー』などで音楽を担当してきた日本が世界に誇る音楽家・坂本龍一が、本作でも音楽を担当する。三池監督は今回の出品について「いつもと同じ春ならば、どんなに嬉しかったことでしょう。でも、だからこそ、しっかり顔を上げ、前進あるのみです」とコメント。カンヌ、ベルリン、ヴェネチアという世界の3大国際映画祭のコンペティション部門に、実写の3D作品が出品されるのは初めて。『HARA-KIRI:Death of a Samurai』という海外版タイトルで殴り込みをかける!『一命』のほかに邦画では、河瀬監督の『朱花の月』もコンペティション部門に。原作は坂東眞砂子の「逢はなくもあやし」(集英社文庫刊)。奈良県飛鳥地方を舞台にした人間ドラマで“朱花”とは「万葉集」に登場する言葉で赤を意味する。これまで、1997年『萌の朱雀』でカメラドール(新人監督賞)、2007年『殯の森』でグランプリ(審査員特別大賞)を受賞するなどカンヌとの相性の良さは抜群なだけに、最高賞“パルムドール”受賞に期待がかかる。邦画作品2作の前に立ちはだかりそうなのが『ツリー・オブ・ライフ』。1973年の監督デビュー以来、38年間で世に送り出した映画はわずか4本という、生ける伝説とも言うべきテレンス・マリックの最新作で、ブラッド・ピットが主演、そして製作も務めている。テキサスに生きる一家の40年にわたる物語を通じて、“生きること”、“家族”を問い直す。ブラッドは、カンヌのレッドカーペットに出席の予定とのこと。一昨年のカンヌに『イングロリアス・バスターズ』が出品された際には、アンジェリーナ・ジョリーと共にレッドカーペットを歩いたが、今年もブランジェリーナ揃い踏みはあるのか?コンペの結果と共に注目が集まる。ほかにも、巨匠ペドロ・アルモドバル監督の『THE SKIN I LIVE IN』(英題)にデンマークの異才ラース・フォン・トリアー監督作でキルステン・ダンスト、キーファー・サザーランド、シャルロット・ゲンズブールらが出演する『MELANCHOLIA』(原題)、ダルデンヌ兄弟の『BOY WITH A BIKE』(英題)など、カンヌをはじめ数々の海外映画祭を制してきた監督たちの作品がズラリ。今年のコンペティション部門の審査委員長を務めるのは名優ロバート・デ・ニーロ。果たしてどのような“審判”を下すのか――?さらに、コンペティション部門以外にも日本から注目の作品がカンヌへ。別所哲也が1人で6役の声を演じ分けている長編アニメーション『TATSUMI』が「ある視点」部門に公式エントリーされた。昭和30年代に“劇画”という革命を漫画界に起こした作家・辰巳ヨシヒロの「劇画漂流」をシンガポール出身の鬼才エリック・クーがアニメ化した本作。アニメーション作品として、カンヌ映画祭史上13本目、日本語作品としては史上2本目のノミネートとなる。日本人にとっても、目が離せない今年のカンヌ。5月11日から22日までの日程で開催される。■関連作品:イングロリアス・バスターズ 2009年11月20日よりTOHOシネマズ日劇ほか全国にて公開© 2009 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED 第64回カンヌ国際映画祭 [映画祭]ツリー・オブ・ライフ 2011年8月12日より丸の内ルーブルほか全国にて公開© 2010 Cottonwood Pictures, LLC. All Rights Reserved朱花の月 2011年9月、渋谷ユーロスペース、TOHOシネマズ橿原 ほか全国にて順次公開© 「朱花の月」製作委員会TATSUMI 2011年公開予定一命 2011年10月、公開■関連記事:別所哲也、独断でカンヌ映画祭史上最高の作品を選定!?海老蔵、「七月大歌舞伎」で復帰!三池監督作の主演映画『一命』も10月公開決定タランティーノの全作品の編集を手がけたサリー・メンケが公園で急死ブラッド・ピット、撮影休みの土曜日に愛娘とお出かけブラッド・ピットがサッカーW杯のアメリカ招致委員会に参加
2011年04月15日今月初めにバハマの友人宅で挙式したペネロペ・クルスとハビエル・バルデム夫妻。実はペネロペが妊娠中と一部のタブロイド紙が報じたが、彼女の代理人がうわさを否定した。現在ペネロペは、ジョニー・デップ主演の『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ第4作『Pirates of the Caribbean: On Stranger Tides』(原題)を撮影中。当然、アクション満載の活劇であり、「妊娠しているときに出演しようと思うような作品ではありません」と、代理人は「E! Online」に語った。ちなみにペネロペには今後新作の企画はあるものの、具体的な撮影スケジュールは未定。ハビエルは今年のカンヌ国際映画祭で最優秀男優賞に輝いた『Biutiful』(原題)が夏にスペインで公開、ジュリア・ロバーツ共演の『食べて、祈って、恋をして』が9月に日本公開。また、秋からは『ニュー・ワールド』のテレンス・マリック監督のタイトル未定の新作の撮影が始まり、クリスチャン・ベイル、レイチェル・マクアダムスと共演予定。二世誕生は、やはりもう少し先になりそうだ。(text:Yuki Tominaga)© Splash/AFLO■関連作品:食べて、祈って、恋をして 2010年9月17日よりTOHOシネマズ有楽座ほか全国にて公開■関連記事:人気TVシリーズ「Glee」のクリエイター、米有力誌のボイコットを呼びかける【シネマモード】ソフィー・マルソー、木村多江らが示す映画とブランドの素敵な関係ハビエル・バルデムとジュリア・ロバーツがバリで…“おひとり様”必見の話題作撮影
2010年07月16日先日、妻のロビン・ライト・ペンとの離婚申請を再度(1度目は2008年4月)取り下げたばかりのショーン・ペンが、家族と過ごす時間を優先するために長期休養をとる意向であることが明らかになった。アメリカの業界誌「Hollywood Reporter」によると、ショーンは出演予定だったコメディ作『The Three Stooges』(原題)と犯罪スリラー作『Cartel』(原題)から降板したという。休養期間は不明だが、最低1年間にはなるだろうと推測されている。『The Three Stooges』はファレリー兄弟の新作で、ジム・キャリーやベニチオ・デル・トロとの共演が話題を呼び、8月にクランクインを予定していた。ペンの復帰を待つか、代役を立ててスケジュール通り撮影を行うか、あるいは製作中止になるのか。10年以上も企画実現の努力を続けてきたファレリー兄弟の答えはまだ出ていない。メキシコの麻薬組織から息子を守るために戦う父親を演じる予定だった『Cartel』は代役を起用するという。ショーンは2度目のオスカー受賞作となった『ミルク』の後、テレンス・マリック監督の『The Tree of Life』(原題)と実在の元CIAエージェントの夫を演じた『Fair Game』(原題)の2本を既に撮影済みだ。(text:Yuki Tominaga)写真は、アカデミー賞授賞式でのもの。オスカー受賞、離婚申請のすったもんだを経て、無事着地した模様。Erik Ovanespour /© A.M.P.A.S.■関連作品:ミルク 2009年4月18日よりシネマライズ、シネカノン有楽町2丁目、新宿バルト9ほか全国にて公開© 2008 Focus Features. All Rights Reserved.第81回アカデミー賞 [アワード]■関連記事:ケイト・ウィンスレットが語る惜しみない“愛”「ハンナは私の奥深くに生きてるの」『愛を読むひと』スティーヴン・ダルドリー監督次作はブラピと組んでオスカー?『スラムドッグ$ミリオネア』の子役たち、チャリティ活動で香港訪問苦境から子供たちを救えるか?ダニー・ボイル監督がムンバイの子役たちを訪問ショーン・ペン、再び離婚申請を撤回
2009年06月18日