マックスマーラは7月6日(現地時間)、イタリア ミラノにて2021年リゾートコレクションを発表しました。「理性とロマンス」をテーマに、ロシア・サンクトペテルブルクにインスパイアされたコレクション。プーシキンやトルストイ、チャイコフスキーを生み出した都市であるサンクトペテルブルクから着想を得、また 国立エルミタージュ美術館が所蔵する皇族や貴族が身に着けた数々の衣装に触れ、マックスマーラの秩序のある優れたデザインと抒情的なロマンティックな側面を解き放ちます。モダニスト感覚が際立つダブル フェイスのチュニックと組み合わされたハンカチーフヘムスカートや、ミルキーホワイトのテディベアコートを上に重ねてコントラストを効かせ透けたドロップウエストが特徴的なドレスなど、マックスマーラの非常に合理的なテーラリングを引き立てるロマンティックな要素になっています。コレクションのストーリーの中心をなす様々なコントラストをつなぎ合わせながら、新構成主義を感じさせる融合をもたらしています。企業プレスリリース詳細へ本記事に掲載しているプレスリリースは、株式会社PR TIMESから提供を受けた企業等のプレスリリースを原文のまま掲載しています。FASHION HEADLINEが、掲載している製品やサービスを推奨したり、プレスリリースの内容を保証したりするものではございません。掲載内容に関するお問い合わせは、株式会社PR TIMES()まで直接ご連絡ください。
2020年07月09日現在、PARCO劇場にて舞台「ピサロ」で渡辺謙とも共演中の宮沢氷魚が、8月からの舞台「アンナ・カレーニナ」にて宮沢りえと初共演。コメントが到着した。今回、氷魚さんが出演する「アンナ・カレーニナ」は、激動する19世紀後半のロシア貴族社会の人間模様を描いたトルストイの不朽の名作。“破滅”か“希望”か、真実の愛を追い求め、揺れ動く人間たちが奏でる恋愛叙事詩。演じるのは、恋には不器用ながらも真実の愛を手に入れるコンスタンチン・リョーヴィン。そして、タイトルロールとなるアンナ・カレーニナには日本を代表する女優のひとり、宮沢りえ。社交界の華であったが“初めての恋”に燃え上がり、破滅の道へと突き進んでいくアンナを生々しく演じる。今回の出演に際し、氷魚さんは「出演のお話を聞いた時はとても嬉しく、感激しました。数々の名作を上演してきたシアターコクーンに立てることを光栄に思っております。宮沢りえさんと共演させて頂くのは今回が初めてなのですが、雲の上のような存在の女優さんで、ご一緒できることがとても楽しみです。苗字が同じなので勝手ながら少し運命も感じています(笑)」とコメント。「今作で舞台が5作目になりますが、毎回役者として自分が試されているなと感じます。舞台上では逃げ場がない。その中で一人の人生を生き抜く。その責任感を背に今回もたくさん悩み、試練が待ち受けていると思いますが、全力で駆け抜けて行きたい」と気合い十分。また、ほかにも白洲迅、川島海荷、大空ゆうひ、吹越満、段田安則と豪華キャスト陣が集結、万全な布陣で名作の新たな舞台を描き出す。ドラマ「コウノドリ」や「偽装不倫」、映画『his』でも注目を集めた氷魚さん。今回は立て続けに大作の舞台への挑戦。6月19日に公開となる映画『騙し絵の牙』への出演も控えるなど、人気俳優として本格的な躍進を遂げることとなりそうだ。なお、今回の舞台は、イギリスの気鋭の演出家フィリップ・ブリーンが新解釈で戯曲化し、演出。アンナ、青年将校ヴロンスキー、夫カレーニンの三角関係を中心に描かれることが多い作品だが、今回のフィリップ版では、破滅に向かうアンナの「愛」と、未来への希望を感じさせるリョーヴィンとキティの「純愛」とを対照的に描くという。激動する19世紀後半のロシア貴族社会の人間模様を描いたトルストイの長編大作が、フィリップの手によってどのように現代に蘇るか注目だ。DISCOVER WORLD THEATRE vol.8「アンナ・カレーニナ」は【東京公演】8月7日(金)~9月3日(木)Bunkamuraシアターコクーンにて、【京都公演】9月10日(木)~13日(日)京都劇場にて上演。(text:cinemacafe.net)
2020年03月26日新型コロナウイルスが運んできたもの。大型イベントの中止、テレワーク、世界的不景気、棚から消えるマスク、ごった返しのスーパー…。そこに元恋人からの突然の「体調大丈夫?」テキストを加えた人も少なくないのでは。元カレからの突然の連絡。その目的はただただ生存確認なのか、リモートワークの暇つぶしなのか、イケてる俺を再確認したいのか、はたまた未練によるものか。動揺して相手の心理を汲み間違えると、治癒した恋のウィルスに再び感染し、罹患しかねません。そこで今回は、有名社会心理学者が生みだした恋愛関係における投資モデルを用いて、元恋人へのヘルシーな向き合い方をご提案します。文・土居彩【マック・マインドフルネス時代の瞑想探し。「魂ナビ」が欲しい!】vol. 30忘れた頃にやってくる、元カレの連絡。自然消滅だったのか、はたまたしっちゃかめっちゃかの騒ぎの末の別れだったのか。恋愛のみならず、人生には出会いと別れがつきものです。「幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な恋はいずれもそれぞれに愛憎劇がある」と言ったのはトルストイだったか、どうだったか。さて、天災は忘れたころにやってくると言いますが、半年ぶりの元カレからの連絡もしかりです。着信を見て浮き足立ったり、「何をいまさら」と憎悪の念に駆られたり。全くもって日頃のマインドフルネス瞑想の成果も試されるというもの。袖振り合うも多生の縁とはまさにそうで、浅い関わり、深い関わりと、私たちはいろいろな人との関係性のなかで生きています。そこでは恋愛でもビジネスでも、人間誰しも損せず得したいという気持ちが無意識に働くというのは、心理学者が考えるところ。もう金輪際関わりたくないとか、薄〜くLINEするぐらいならいいとか、月イチぐらいで会いたいとか、他に気になる人がいるとか、恋の病で一瞬たりとも会えないと何も考えられないとか。恋愛ではこれぐらいでコミットするのが理想だという具合があります。そこで「恋愛は投資と同じ」と、カリル・ラズバルトという社会心理学者は、人が恋愛関係の深さを定めるための3つの要因を発見しました(1)。この3つで高得点を獲得する恋愛関係は、長く続くのだとか。一度別れた相手だとはいえ、元カレとどう関わっていくかを見定めるのにもこのモデルが適用できそうです。長続きする恋の3つのポイント。1. 満足度の高さ私たちは無意識に「笑顔がかわいいな」「ほっとできる」という相手のプラス面から、「口先ばかり」「ケチ」といったマイナス面を差し引き、二人の関係の満足度を決めています。満足度が高いほど「ずっと一緒にいたい」「もっと深く関わりたい」という気持ちになります。別れは、付き合いが進むにつれて新鮮さがなくなり、お互いの欠点が目立つようになって、どちらかもしくはお互いに、二人の関係を「プラスマイナス」の計算がここでも働いているのです。復活愛CHECK実は彼、今仕事がうまくいっていない、新しい恋が長続きしていないんじゃない? そこで向かったのが元恋人への思いというのは、往々としてあることです。それはそれで良いのですが、じゃあそこがうまくいった後の態度はどうなるでしょう。真剣な交際が始まりそうになったとたん、突然スパイのように再び姿をくらましはしないでしょうか。そこを冷静に見極めつつ、合わせて自分のニーズも確認する必要が。あの夏、砂浜で夕焼けを見ながら交わしたキス……なんていう情景はいったん白紙にして、自分自身ときちんと向き合ってみたら、実は現時点では相手との時間は「プラス
2020年03月22日映画『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』が、2020年2月28日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて公開される。“運命の絵”に魅せられた老美術商主人公は、年老いた美術商オラヴィ。仕事一筋に生きてきた彼のもとに、ある日、音信不通だった娘から、問題児の孫息子・オットーを職業体験のため数⽇預ってほしいという依頼を受けることから物語は始まる。その矢先、オラヴィが出会ったのは、オークションハウスで飾られた1枚の肖像画。署名がないもののその価値を確信したオラヴィは、その絵画を手に入れようと資金集めに走る。そのなかで明らかになる、娘親子の過去──絵画に魅せられ生涯を捧げた男と、その家族が見出す“本当に価値のあるもの”が描きだされる。アラヴィが出会った“幻の名画”物語のキーとなる、オラヴィがオークションハウスで見つけた1枚の肖像画。全てがベールに包まれた作品だったが、孫息子・オットーの協力もあり、近代ロシア美術の巨匠イリヤ・レーピンの作品という証拠を掴む。イリヤ・レーピンといえば、19世紀に⽂学のトルストイやドストエフスキー、作曲家のチャイコフスキーなどと並び、近代ロシア美術を牽引した国宝級と称される画家のひとり。そんな“幻の名画”が何故ここにあるのかー?名画に込められた真実が明かされる時、すれ違う家族の秘めた想いが絆を紡ぎだす―。監督にクラウス・ハロ監督を務めるのは、クラウス・ハロ。⻑編のデビュー作でベルリン国際映画祭クリスタル・ベア賞を受賞、過去4作品がアカデミー賞外国語映画賞フィンランド代表に選出され、フィンランドを代表する監督と称される。アカデミー賞のショートリストに選出、ゴールデングローブ賞外国語映画賞にもノミネートされた前作『こころに剣士を』の脚本家と再びタッグを組み、国宝級絵画を多数有するフィンランド国立アテネウム美術館などの全面協力のもと、本作を作り上げた。詳細映画『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』公開日:2020年2月28日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて公開原題:ONE LAST DEAL監督:クラウス・ハロ脚本:アナ・ヘイナマー出演:ヘイッキ・ノウシアイネン、ピルヨ・ロンカ、アモス・ブロテルス、ステファン・サウク配給:アルバトロス・フィルム、クロックワークス2018年 / フィンランド / シネマスコープ / 95分 / DCP5.1ch / フィンランド語・スウェーデン語・英語
2019年10月27日ロシア・バレエ界の巨匠振付家ボリス・エイフマン率いるエイフマン・バレエが21年ぶりに来日。東京公演を控えた7月17日、在日ロシア大使館にて記者会見が行われ、エイフマンをはじめ、ダンサーのリュボーフィ・アンドレーエワ、オレグ・ガブィシェフ、リリア・リシュクが出席した。【チケット情報はこちら】この日、日本に到着したばかりだというエイフマンは「成田からここに来るまで、車窓を眺めながら昔のことを思い出していました」と感慨深げ。1990年代初頭、祖国が困難に見舞われる中、日本からの招聘に応じ来日を果たしたが「日本での公演は、私たちの選んだ道が間違っていない、正しい道を進んでいるという自信を授かった大切なツアーとなりました」と振り返る。そして、最後の来日公演から20年もの時を経て、再び日本での公演を迎えるがエイフマンは「日本に“戻ってきた”のは私エイフマンだけであり、バレエ団はみなさんがまだ知らない、新たなエイフマン・バレエです」と過去とは切り離された新たなバレエ団であることを強調。「私たちが世界中で受け入れられるその秘密は、肉体を言葉として、人間の心理を表現することができるからです」と語り、“古典”と“モダン”という言葉で比較されがちなエイフマン・バレエのスタイルについても「感じてほしいのは私たちの芸術。モダンでも古典でもなく、すべてを含んだ新しい、私たちのスタイルです」と唯一無二のオリジナリティへの強烈な自負をのぞかせた。今回、トルストイの傑作小説をチャイコフスキーの音楽に乗せて描く『アンナ・カレーニナ』と“考える人”で知られる彫刻家ロダンと彼が愛した女たちの物語『ロダン ~魂を捧げた幻想』が上演される。既に滋賀、静岡での公演が行われたが、ロダンを演じるガブィシェフは「ロダンを踊りながら、聴衆が集中し、ロダンの苦悩を共に受け止めてくれているのを感じました」と嬉しそうに語る。既に8年にわたりこの演目に向き合ってきたが「日本で踊るロダンは、日本人似のロダンになる気がしています(笑)」と語っていた。今回、初来日となるアンドレーエワは、ロダンの弟子であり恋人でもあったカミーユを演じるが、静岡での公演での日本の観客の反応に「温かく受け入れ、理解していただけたことに安堵を覚えました」と笑顔を見せる。改めて、ダンサーとしてエイフマン作品に参加する醍醐味を尋ねると、「新たな演目、役柄に出会うたびにワクワクし、役柄を通して自分さえも気づかなかった自分を発見しています」と力強く語った。そして、ロダンの内縁の妻・ローズを演じるリシュクは作品について「ありふれた伝記ではなく愛憎劇です。いまの時代、CGで何でも作ることができますが、私たちは肉体で素晴らしい彫刻を作ることができ、それは人々の心を動かすのではないかと思います」と語った。東京公演は7月18日(木)~21日(日)まで東京文化会館にて開催。取材・文・撮影:黒豆直樹
2019年07月18日恋とか愛とかめんどくさい。そう思っても、恋や愛と無縁に毎日を過ごすことなんてできるでしょうか。答えはノーです。まずは先人たちから恋と愛と人生のレッスンを受けてみませんか?「恋なんてめんどくさい」と思っているあなたへ「その日、ひょっとしたら、運命の人と出会えるかもしれないじゃない。その運命のためにも、できるだけかわいくあるべきだわ」フランスのファッションデザイナー、ココ・シャネルは言います。恋をすることの意味や大切さを教えてくれる言葉ではないでしょうか。夢見るだけでも、両思いでなくても、恋が身近にあるだけで、人は服装や髪形に気を配るようになり、しぐさや表情も生き生きと輝きだすもの。恋なんてめんどくさいと思っているあなた。恋はあなたを、そしてあなた自身を美しく輝かせてくれるものなのかもしれませんよ。結婚を焦っているあなたへ周囲が結婚しだすと、急に焦りを感じてしまうなんてことはありませんか。なんだか急に置いてけぼりを食らったような、自分だけ取り残されたような虚しさを感じてしまう人もいるかもしれません。そんなときは、米国の女性コメディアン、マムズ・マブリーの言葉の意味を味わってみましょう。「たくさん旅をして見聞をひろめなさい。結婚は急いじゃだめよ。そう、みんなに言っているのよ」。あなたには、結婚以外にまだまだやりたいこと、いつかやろうと思ってできていないことはありませんか?愛にのめりこみすぎているあなたへ恋や愛は時に人を成長させますが、人を盲目にし破滅させてしまう恐ろしい力を持っていることも忘れてはいけません。恋や愛にのめりこみ、日々の生活に苦しさを感じているなら、別のことに目を向けてみましょう。時には、好きだからこそ、少しの間離れてみるのも悪くないでしょう。「そんなことをしたら彼がどこかへ行ってしまう」なんて思わないでください。なぜならかの有名な英国の劇作家ウィリアム・シェイクスピアはこう言っています。「ほどほどに愛しなさい。長続きする恋はそういう恋だよ」と。会えない時間をつくったほうが、関係はより長続きするのかもしれませんね。「真実の愛」を知りたいあなたへよく「真実の愛」なんて言葉を耳にします。それぞれの恋や愛が最終的にたどり着く目的地のような感がありますが、一体どんな愛のことを指しているのでしょうか。「戦争と平和」などの名作を生んだロシアの小説家・思想家のレフ・トルストイの言葉ほど、簡潔かつその言葉の重みを巧みに表現したものはないでしょう。「多くの女性を愛した人間よりも、たった一人の女性だけを愛した人間のほうが、はるかに深く女というものを知っている」。あなたは「真実の愛」を手にしたいですか?
2019年05月15日人生において、忘れられない出会いというのは、人に対してだけでなく、映画や本にも言えるもの。そこで今回ご紹介するオススメの映画は、本によって人生が変わったひとりの女性を描いた感動作です。それは……。素朴さと美しさの詰まった『マイ・ブックショップ』!【映画、ときどき私】 vol. 219戦争で夫を亡くしたフローレンス。長年悲しみに沈んでいたが、夫との夢であった書店を小さな海辺の町に開くことを決意する。しかし、町の有力者であるガマート夫人による邪魔が入り、フローレンスは頭を悩ませることに。そんななか、ようやくオープンの日を迎えて幸せをかみしめていると、フローレンスのもとへ町で唯一の読書家で40年以上引きこもっている老紳士のブランディッシュ氏から注文の手紙が届くのだった。書店も軌道に乗るかと思われていたが、ついにガマート夫人の徹底攻撃が始まろうとしていた……。本作は2018年のスペイン・ゴヤ賞で作品賞をはじめ、監督賞や脚色賞を受賞し、高い評価を得ていますが、今回はこちらの方に見どころなどについてお話を伺ってきました。それは……。スペインが誇る女性監督のイザベル・コイシェ監督!これまでに、『死ぬまでにしたい10のこと』や『エレジー』、『しあわせへのまわり道』といった人気作を生み出してきたコイシェ監督。今回は、英ブッカー賞受賞作家でもあるペネロピ・フィッツジェラルドの小説『The Bookshop』の映画化に挑んでいます。そこで、原作への思いや読書の大切さについて語ってもらいました。―まずは原作との出会いから教えてください。監督10年前にたまたまロンドンの古本屋さんで見つけたの。もともと私は本を読むことも本屋さんに行くことも大好きだから、「ブックショップ」と付くタイトルなら、私が買わなきゃと思って手に取ったのよ。まさに、本が私を見つけてくれた感じだったわ。―ネットで本を買うのが主流のいまでは味わえない運命的な出会いだったんですね。監督そうね、本屋さんで本を買うというのは冒険でもあるのよ。だから、私はネットで本を買うのが大嫌いなの(笑)。なかでも必要ないのは、「これに興味がある人は、ほかにもこんなものを読んでいます」という表示。いまの世の中がアルゴリズムで動いているのはわかっているけれど、私にはまったく関係ないことだわ。本を読むことで得られるものとは?―確かに、本屋さんでしか味わえないことが失われつつありますが、そういう意味ではいまの活字離れに関しても危機的なものをお感じになっていますか?監督危機でもあるけれど、非常に愚かな状況でもあると感じているわ。だって、本を読むということは、自分のなかにある建設的な批評家精神を養う方法でもあり、世界の見方を教えてくれるものなのよ。だからこそ、私にとっても本はとても重要な存在であり続けているし、ときには孤独や愚かさというものに対する薬の役割も果たしてくれていると思うわ。―本への強い情熱を感じますが、監督がこれまでに影響を受けた作家や本はありますか?監督まず日本の作家だと、川端康成、大江健三郎、村上春樹、村上龍、小川洋子、吉本ばななかしら。あとは、ヴィクトル・ユーゴー、トルストイ、パトリック・モディアーノ、ホルヘ・ルイス・ボルヘス、フリオ・コルタサル。とにかくたくさんいるわね。読書の魔法というのは、他人の人生に触れられること。そして、それが自分の人生の一部となり、新しい “声” を持っている人と繋がりを持てるところが魅力的なのよ。だから、読書が好きじゃない人はかわいそうだと感じているくらい。―では、原作者であるペネロピ・フィッツジェラルドの魅力はどんなところですか?監督彼女はすごく変わった経歴を持っていて、60歳になってからはじめて作品が出版された人。しかも、3人の子どもと病気の夫と船でイギリスのテムズ川に暮らしていたんだけれど、船が沈んでしまって、すべてを失ったこともあるようなつらい人生を送っていたの。本当に素晴らしい作家だから、もっと多くの人に知られて欲しいと思っているわ。フローレンスには深い繋がりを感じた―映画化するにあたって、意識されたことはありますか?監督今回はこの物語にある核の部分を忠実に描きたいという思いはあったわ。ただし、エンディングだけは原作よりも希望を持てるような形に変えることにしたの。なぜなら、いまの時代、映画で観客に希望を感じさせたいと思ったから。その部分に関しては、ご家族に許可をお願いしたわ。―主人公のフローレンスに対して、監督はこれまでにはない深い繋がりを感じているそうですが、その理由は?監督フローレンスは本当に性格がよくて、とてもイノセントな人間。でも、自分の行動によってどういう結果が引き起こされるかということをまったく自覚していないわよね。とはいえ、どんな逆境にあっても、どんな結果になっても、自分のやりたいことを形にしようと戦う人に私はとても敬意を持っているのよ。自分とは人生が違うかもしれないけれど、そういう姿に心を動かされるものがあり、小説を読んでいるときから、彼女と繋がりを感じていたわ。―ということは、監督自身もフローレンス同様に、やりたいことは貫くタイプですか?監督そう言えるわね。ただし、ときにはブランディッシュみたいにただ読書に没頭して、世界のことをまったく気にしないでいたい瞬間もあるわよ(笑)。でも、基本的にはフローレンスに近いんじゃないかしら。―そのフローレンスを演じたエミリー・モーティマーも素晴らしく、キャスティングも絶妙でしたが、決め手を教えてください。監督当初はプロデューサーが違う女優の名前を挙げてきたこともあるけれど、私のなかでは最初から「エミリーでいきたい」という強い思いがあったわ。それは彼女が英国らしい資質を持ち、知的であったから。そして、甘すぎない甘さを持ち合わせていて、さまざまな美徳がちょうどよく混ざり合っていることを感じさせてくれる人だったからよ。しかも、彼女はロシア文学の修士号も持っていて、本が彼女の人生の一部であるというのも大きかったわね。やっぱりこの役は本を心から愛している俳優じゃないとできなかったと思うわ。それに、私は人が本を手にしたときに、その人が読書家かそうではないかすぐにわかるのよ。人の顔と手からは読み取れるものがある―では、ブランディッシュ役の名優ビル・ナイについてはいかがですか?監督彼を選んだ理由は、はじめからこのキャラクターはビルの顔がぴったりだと思っていたし、彼の所作や彼のなかにある静の部分がすごく好きだったの。エミリーとビルはそれまで面識はなかったけれど、出会った瞬間から相性もよかったから、すごく美しいシーンが撮れたと自負しているわ。―監督は写真家としても活動されていて、俳優たちの表情をとらえている写真を「フェイス」と題した展覧会で発表されていましたが、ビルの顔に惹かれたように、人間の顔に興味を持つ理由はどのようなところですか?監督顔はとても魅力的なものよね。だから、「私にとって人の顔というのは風景であり、森であり、庭である」といつも言っているの。あと、同じく興味があるのは、人の手。人がどんなことを考えているのかとか、どんな人なのか、というのは表情や手から読み取れることができるわよね。だから、映画のなかでも重要なのは、顔のアップや表情。美しいロケーションで撮影しようが、何もないところで撮影しようが、顔の表情で伝えられることのほうが大きいものだから。―今回は映像もとても美しかったですが、衣装や美術の色使いでこだわったところはありますか?監督色みや質感については、かなりリサーチを重ねて作っていったわ。特に色彩設計は、物語やフローレンスの心情に合わせて変化していくように意識しているのよ。だから、衣装に関しても、フローレンスが何を感じているのかという心象風景をワードローブで表現してもらったわ。それから、本屋の建物についても空き家を使って自分たちで全部作り込みをしていったものよ。あと、本棚に並べている本については、「ロリータ」を含め、いくつかは実は本物の初版なの。でも、俳優たちが手にしているものは、全部複製。なぜなら、小道具として彼らが扱うには貴重すぎるものだったから(笑)。事前に仕事相手をきちんと選ぶことが大事―各スタッフとの見事な連携によって生み出された部分が大きかったと思いますが、とはいえご自身もフローレンスのように周りからの協力を得られないような経験もありましたか?監督私は事前に仕事する相手をきちんと選んでいるから、現場で大変な思いをすることはないわね。だから、私が映画学校で講義をするときに学生に言っているのは、「どんなものを作ろうと思っても構わないけれど、一緒にコラボレーションする相手だけは慎重に選びなさい」ということ。私が仕事相手を選ぶうえで大切にしているのは、人柄の良さ、才能があって仕事ができること、そしてユーモアがあるかどうかということかしら。あと、自分よりも専門的な知識があることも重要ね。そういう人たちと一緒に仕事をするには、もちろんそれだけ自分にも強さが必要にはなるけれど、私にとっては楽なものなのよ。温かい感動が胸に広がる!人はつねにあらゆる選択をしながら生きていくものですが、フローレンスの勇敢な姿に女性としての強さや自分らしく生きるとは何かを感じさせられるはず。そして、活字離れをしているようならば、人としてさらなる輝きを増すためにも、この機会に本を読むことの大切さも味わってみては?心に届く予告編はこちら!作品情報『マイ・ブックショップ』3月9日(土)よりシネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMA他にて全国順次ロードショー配給:ココロヲ・動かす・映画社© 2017 Green Films AIE, Diagonal Televisió SLU, A Contracorriente Films SL, Zephyr Films The Bookshop Ltd.
2019年03月07日イルミ&アートが楽しめるクリスマスデートスポットをご案内する年末企画、最後は青いイルミネーションが美しい渋谷の街にフォーカス! 現在、渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムでは『国立トレチャコフ美術館所蔵ロマンティック・ロシア』が開かれています。うっとりするような青イルミとロシアの絵画をご紹介!恋人つなぎで歩きたい♡【女子的アートナビ】vol. 13712月31日までの期間中、渋谷公園通りから代々木公園ケヤキ並木の約800mにわたり、『青の洞窟 SHIBUYA』イルミネーションが開かれています。このイルミの見どころは、ケヤキ並木の部分。公園の中にあるため周囲が暗く、並木の間を歩くと青い光に包まれます。並木道の路面には、光を反射するシートが敷かれているので、地面にもイルミがキラキラ~! まるで宇宙空間にいるような幻想的な雰囲気を味わえます。※イルミネーション点灯時間は17:00-22:00、点灯時間は日によって変更となる場合があります。また、イベント期間中は、いつもの売店が『青の洞窟』オリジナル仕様にチェンジ。青の洞窟ボロネーゼやブルーシャンパンなども用意され、美しいイルミを見ながら食べることもできます。ロマンティックなケヤキ並木は恋人つなぎで歩くのに最適♡二人で写真を撮りながら、ゆっくりお散歩してみてください。アートもロマンティック♡そんな美しい『青の洞窟』イルミから歩いてすぐのBunkamura ザ・ミュージアムで開かれているのが、『国立トレチャコフ美術館所蔵ロマンティック・ロシア』。約20万点もの作品を所蔵するロシア有数の美術館、国立トレチャコフ美術館から珠玉のコレクションが来日。クラムスコイやシーシキンなど19世紀後半から20世紀初頭のロシアを代表する作家たちの作品72点が展示されています。特に人気のある作品は、イワン・クラムスコイ の《忘れえぬ女(ひと)》。19世紀ロシア美術で最も有名な作品のひとつで、日本にも何度か来日しています。この美しい女性、モデルとなったのは、トルストイの小説に出てくる主人公「アンナ・カレーニナ」という説もありますが、特定はされていないとのこと。黒いドレスも美しく、いつまでも眺めていたくなる作品です。また、風景画もみどころのひとつ。ロシアには、日本の国土よりも広い森があります。そんな森の自然を描いた作品が、イワン・シーシキン の《雨の樫林》。雨で湿った森林の空気までも伝わってきそうな絵で、傘を差して歩く人の後ろ姿が印象に残る作品です。あの人気キャラも…ちなみに、ロシアつながりで、チェブラーシカも展覧会とコラボしています。内覧会では、着ぐるみがフォトセッションに登場。頭が大きすぎてふらつきながらも、ポーズをとってくれました。ミュージアムショップには、本展限定のオリジナルグッズもそろっているので、キャラ好きは要チェックです!今の時期限定で楽しめるイルミ&アートなデートコース3選、いかがでしたか?夜景デートはロマンティックな気分になれるので、どんな世代のカップルにも超オススメ。でも、寒い時期なので、しっかり防寒対策をして楽しんでくださいね!・イルミ&アート丸の内編はこちら!・イルミ&アート六本木編はこちら!『国立トレチャコフ美術館所蔵ロマンティック・ロシア』会期:~2019年1月27日(日)※2018/12/18(火)、2019/1/1(火・祝)のみ休館時間:10:00-18:00(入館は17:30まで) 毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)会場:Bunkamura ザ・ミュージアム料金:一般 ¥1,500/大学生・高校生¥1,000/中学生・小学生 700円※学生券は要学生証提示(小学生は除く)
2018年12月08日展覧会「国立トレチャコフ美術館所蔵ロマンティック・ロシア」が、2018年11月23日(金・祝)から2019年1月27日(日)まで、東京・渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムにて開催される。ロシア美術の殿堂、国立トレチャコフ美術館所蔵のコレクションが来日本展は、“ロシア美術の殿堂”と評されるモスクワの国立トレチャコフ美術館が所蔵する豊富なコレクションより、19世紀後半から20世紀初頭のロシアを代表する作家の風景画、風俗画、人物画、静物画を、自然や人物像に内在するロシア的なロマンをテーマに紹介するもの。帝国崩壊にロシア革命、激動の時代に描かれた“ロシア的なロマン”ロシア帝国崩壊の足音が聞こえ始め、やがてロシア革命を迎える激動の時代であった19世紀後半。この時代に多くの画家たちが大いなるロマンを見出し、絵画の題材としたのが、白樺や樫の木の深い森、雪に覆われた大平原、樹木や草花が芽吹く春といったロシアの大自然だ。それは人々に芽生え始めた郷土愛からなのか、これらの美しい自然とともに、当時の複雑な社会やその厳しい時代を生き抜いた人々、男性たちの目を釘付けにする女性像もまた題材となっている。例えばクラムスコイの《忘れえぬ女(ひと)》は、過去にも何度か来日を果たしている名作であり、本展で最も注目すべき作品の一つ。トルストイの小説「アンナ・カレーニナ」の主人公をモチーフにしたとも指摘されており、後述する19世紀後半のロシア文化の発展、そして“ロシア的なロマン”を象徴する作品と言えるかもしれない。激動の時代で隆盛を見たロシア美術界この時代のロシア文化について、チャイコフスキーやムソルグスキーといった作曲家、トルストイ、ドストエフスキーに代表される文豪は日本でもよく知られているが、美術の分野でも多くの才能を排出している。制約の多い官製アカデミズムに反旗を翻す形で、クラムスコイら若手画家たちが、ありのままの現実を正面から描くことを目指した「移動派」を組織した一方で、モスクワ郊外・アブラムツェヴォのマーモントフ邸に集まったクズネツォフ、レヴィタン、コローヴィンらは、懐古的なロマンティシズムに満ちた作品を多く残す。注目すべきは、いずれのバックグラウンドにも、“祖国に対する愛”という共通点があることだろう。今注目を集めるロシア的なカルチャー最も近い話題では、サッカーワールドカップの開催地として注目を集めているロシアだが、近年のファッション・カルチャー界ではコム・デ・ギャルソン(COMME des GARÇONS)の川久保玲に見出されたゴーシャ・ラブチンスキー(Gosha Rubchinskiy)が大いに活躍しているほか、ロシア革命と共に発展したロシア・アヴァンギャルドのデザインの世界が注目を集めるなど、その文化的な側面が再評価されつつある。そんな今、“ロシア的なロマン”に思いを馳せながら、ロシア美術の殿堂と評される、国立トレチャコフ美術館所蔵の名作の数々を鑑賞してみてはいかがだろう。開催概要展覧会「国立トレチャコフ美術館所蔵ロマンティック・ロシア」開催期間:2018年11月23日(金・祝)〜2019年1月27日(日)※2018年11月27(火)、12月18日(火)、2019年1月1日(火・祝)のみ休館。開館時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで)※毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)会場:Bunkamura ザ・ミュージアム入館料:一般 1,500円(1,300円)、大学・高校生 1,000円(800円)、中学・小学生700円(500円)※( )内は前売・団体料金。※学生券購入の際は、学生証の提示が必要。※障害者手帳の提示で割引料金あり。詳細は窓口にて。チケット販売期間:<前売券>2018年9月15日(土)~2018年11月22日(木) 予定<当日券>2018年11月23日(金・祝)~2019年1月27日(日)チケット取扱:<前売券>チケットぴあ、ローソンチケット、セブンチケット、e+(イープラス)、他主要プレイガイド
2018年07月20日「結婚したい……」と言っておきながら、その気配がまったくない女性いますよね。逆に、したいなんてひと言も言っていなかったのに、いつの間にか結婚している人もいる。その差はいったい……?“トントン拍子で結婚に至る女子の特徴”について男性たちに話を聞いてみたので、ご紹介しましょう!文・塚田牧夫社交性が高い「彼女とドライブに行ったときです。かなり遠出をして、カーナビでも分からない田舎道に入ってしまったんです。すると、通行人のおばちゃんがいて、彼女が声をかけました。道を尋ね、どこから来たのかなど、楽しそうに話していました。しかも、おばちゃんが手に持っていたお花までお土産にもらって。ああ、この子ならすぐに親に会わせられると思いました」アキト(仮名)/31歳結婚する相手が、親に気に入られるかどうかは非常に重要。コミュニケーション能力を持ち合わせていれば、そんな難関も乗り越えてくれると思えますよね。教養が高い「あるとき、彼女を始めてうちの実家に連れて行ったんですね。テーブルの上に、父親のものであろう本が一冊置いてありました。それを見て彼女が“トルストイお好きなんですか?”と聞いたんです。実は彼女、文学部ロシア文学科卒らしい。大学は知ってたけど、学部までは知らなかった。そこからトルストイの話で盛り上がり、一気に親と打ち解けてました」ハルヨシ(仮名)/30歳教養はあるに越したことはない。高ければ、親も安心して息子を任せられる。きっとその後の進展も早いでしょうね。切り替えが早い「僕にはずっと好きな人がいたんだけど、その女性には彼氏がいて、しかも結婚も考えていると……。なので諦めるしかない……と思っていたら、なんと、別れたと。そこから猛アタックをかけました。なりふり構わず、強引に。そうしたら、付き合うことになったんです。逃したくないですからね。すぐ“親に紹介したい”と言いました。まだ傷も癒えてないだろうと思ったけど、なんと彼女からOKが。切り替え早っ……と思いました」ダイチ(仮名)/32歳結婚においてタイミングは重要。逃してしまうと次はいつになるか……。すぐにチャンスが来ると思っていると、なかなか来ない。前の彼氏のことなど気に掛けない、切り替えの早さは強みになります。理想を掲げない「これは俺の周りの女性全般に言えること。昔から結婚に対して、こんな人がいい、こんな生活がしたい、と理想を掲げている人は、いまも結婚できていない。それに対して、特に理想を掲げず、好きな人であれば……くらいに構えている人は、たいてい結婚している。年齢的に、その差が出てくる時期なのかも」シンジ(仮名)/33歳理想を高く掲げてしまうと、どうしても現実と比較してしまい、より良い案件が出てくるのを待ってしまう。理想を掲げなければ比較することもなく、自分の気持ちのみに従えるわけですね。“トントン拍子で結婚に至る女子の特徴”をご紹介しました。できる人にはできる理由があり、できない人にはできない理由がある。自分が置かれている状況を把握していないと、いつまでも同じことを繰り返すことになってしまうかもしれません。(C) g-stockstudio / Shutterstock(C) stockfour / Shutterstock(C) Majdanski / Shutterstock(C) Ivanko80 / Shutterstock(C) wavebreakmedia / Shutterstock
2018年06月17日東京・新宿の「ケイズシネマ( K’s cinema)」にて、特集上映「ロシアン・カルト」が、2018年3月3日(土)から3月16日(金)まで開催される。特集上映「ロシアン・カルト」は、ロシアと日本の交流を深めるために設定された、2018年の「ロシアにおける日本年及び日本におけるロシア年」を記念して行われる。トルストイ原作のソ連初SF映画『アエリータ』や、世界のカルト映画史に燦然と輝く超脱力SF映画『不思議惑星キン・ザ・ザ』、未完のネガが50年近い歳月を経て完成されたエイゼンシュテイン幻の傑作『メキシコ万s歳』、猫の名演技に注目の『こねこ』など、カルトファンたちの間で話題のロシア映画作品10作を一挙公開。作品は全て35mmフィルムを使用して上映される。また、2018年3月4日(日)には、トークゲストとして女優・脚本家の近衛はなを迎える。1日限りの特別イベントとなっており、「ロシアン・カルト」をさらに盛り上げてくれそうだ。【詳細】特集上映「ロシアン・カルト」期間:2018年3月3日(土)~3月16日(金)場所:ケイズシネマ( K’s cinema)住所:東京都新宿区新宿3丁目35-13 SHOWAKANビル料金:当日一般 1,500円、学生 1,300円、シニア 1,000円、特別鑑賞券 3回券3,000円上映作品:『アエリータ』(1924 年/84 分/監督:ヤーコフ・プロタザノフ)『火を噴く惑星』(1961 年/83 分/監督:P・クルシャンツェフ)『妖婆 死棺の呪い』(1967 年/78 分/監修:アレクサンドル・プトゥシコ)『スタフ王の野蛮な狩り』(1979 年/109 分/監督:ワレーリー・ルビンチク)『メキシコ万歳』(1979 年/88 分/監督:S.エイゼンシュテイン)『不思議惑星キン・ザ・ザ』 (1986 年/135 分/監督:ゲオルギー・ダネリヤ『ミスター・デザイナー』(1988 年/107 分/監督:オレーグ・テプツォフ)『UFO 少年アブドラジャン』(1992年/88分/監督:ズルフィカール・ムサコフ)『こねこ』(1996 年/84 分/監督:イワン・ポポフ)『フルスタリョフ、車を!』(1998年/142分/ロシア=フランス/監督:アレクセイ・ゲルマン)■関連情報トークゲストとして、女優・脚本家・詩人の近衛はなが登壇日時:2018年3月4日(日)18:30~「不思議惑星キン・ザ・ザ」上映後
2017年12月31日(撮影:御堂義乘) ’17年は、よくも悪くも“女性の品格”が明暗を分けた一年だった。とくにニュースの主役になった女性たちの言動、資質、教養が問われた騒動が目立った。 政界では「排除します」発言で失墜した小池百合子都知事(65)をはじめ、「このハゲ~ッ!」で世を騒がせた豊田真由子元議員(43)。そして政治家としての資質が問われたのが、週4回のW不倫疑惑をスクープされた山尾志桜里議員(43)。また芸能界では、松居一代(60)の一連の騒動――など。いずれも、彼女たちの立ち振舞いが、そのまま世の中の評価につながった、そんな年だったような気もする……。 そこで、毎年恒例の美輪明宏さんによる“愛の説法”、今回のテーマは、「尊敬される女性の立ち振舞い」とは何か?美輪さんに語っていただきました。 ■自分をいたわり、努力を続ければ周りから尊敬される 素敵な振舞いを身につけるためには、まず、自分をいかに大事にするか。これは自分を甘やかすという意味ではありません。自分自身をいたわりながら、日一日と育てていく気持ちを持つということです。そうするといずれ立派な実が育ちます。 最近、言葉遣いが汚なくなっていないか。人相が悪くなっていないか。常日ごろから自分自身をチェックすること。努力なしでは身につきません。 せっかくこの世に生まれてきたのです。人から愛され尊敬されない人生なんて、自分自身に対して申し訳ない、そう思うこと。自分自身をいたわりながら、日々の努力を続けていけば、周りの人たちからも、自然と尊敬されていくでしょう。 ただ、自分を鏡に映して見ているつもりでも、そう簡単には気づかないことも多いでしょう。ご自分の顔のシワを点検するぐらい、立ち振舞いを冷静にチェックができる人なら話は別ですけど(笑)。 次から次へと目まぐるしく変化する時代だけに、自分の心の乱れ、ふだんの情緒的な発想や発言まで、なかなか点検が及ばない場合のほうが多いです。しかし、そうならないためのヒントはあります。 私がよく使うたとえに、“見ざる、聞かざる、云わざる、思わざる”という言葉があります。人の悪口やスキャンダル、汚ない噂などばかりを見聞きして、勝手な想像をしながらしゃべっていると、自分の心の乱れを見逃してしまいます。そうすると、悪相になっていく自分に気づかないのです。自分にとって重要ではない情報に惑わされることをやめること。そうすれば、ネガティブな話題や、スキャンダラスなものを見たり、聞いたりしても、理性的に物事を判断できるようになる。 たとえば不倫問題でも、“あの人はきっとこうして、ああしたのよ”と、すぐにやじ馬的な低次元の話はしなくなる。“不倫”と聞けば、『源氏物語』やトルストイの『アンナ・カレーニナ』の話を読めば、客観的に考えられるようになるでしょう。どちらも不倫だらけの話ですからね。 つまり、昔から不倫の話は山ほどあって、いまに始まったことではないのです。だから不倫ぐらいで驚くことも、大騒ぎすることもないわけです。そういった歴史を踏まえたうえで冷静な判断ができれば、下賤な噂話に気を取られないですむでしょう。常に冷静でつつましやかな“麗人”でいること。それが尊敬される女性の条件です。 ’18年は、ぜひご自分の姿を見つめ直し、日一日と新たな自分を育てて、素晴らしい一年になさってください!
2017年12月31日こんにちは、伶奈です。今日から連載を始めることになりました。月に一回読者から、最近悩んでいることや、社会に対して疑問に思っていることを募り、わたしなりに哲学的に考えたことを書き綴ります。一方通行ではなくみんなで協働的に考えられるようにしたいので、時に頷き、時に突っ込みながら読んでくれると嬉しいです。伶奈だれ?っていう人は、是非セルフインタビュー記事をお読みください。▶︎「当たり前」を疑わない人へ。「哲学」という“自由になる方法”を知った彼女が「答えも勝敗もない対話」が重要だと考える理由。ひとを愛するってなんだろう話が逸れたので、ポリアモリーの話に戻しますね。恋愛はひとそれぞれなのでNさんが幸せなら問題ないのですが、個人的に疑問があります。「本当に一度に複数のひとを愛せるのか?」ということです。世界には様々な婚姻制度があります。だから、いっときの日本の社会制度なんてどうでもいい。「ポリアモリーは人間の本能に逆らっている」とか「一人の人を愛することだけが尊い」とかいった安直な観点から、モノガミー的な制度を擁護するつもりではなく、「愛するとはどういうことなのか?」という観点で、少し考えてみます。開放的で包括的なイメージがある愛ですが、恋愛は極めて排他的で独占的な性格をもっています。「あなたを愛する」ということは、その瞬間「他のあなたを愛さない」ことです。人間は、時間と空間に制約された有限的存在なので、「愛している」という経験は、「いまという時間」と「目の前にいる人」に必ず制限される。だから文字通り「同時に」複数を愛することはできないと、わたしは思います。寂しいとき、悲しいとき、嬉しいとき、心の内奥をだれかに打ち明けたくてたまらないとき、すでにどこかで誰かを選択しているのではないでしょうか。その人が、愛する人、なのではないでしょうか。明日それが変わるとしても。トルストイは「愛は惜しみなく与う」と語りましたが、大正期の小説家、有島武郎は『惜しみなく愛は奪う』という書物の中で「通常愛といえば、優しい、女性的な感情というセンチメンタリストを考えるが、本当の愛はそういうものであろうか」という問いを投げかけました。愛の表現は惜しみなく与えるだろう。しかし、愛の本体は惜しみなく奪うものだはあ、かっこいい。有島からすれば、愛は、キラキラではない。苦しくて、つらい。愛は、わたしの命すら奪うもの。相手のすべてを奪って自己のものにしようとし、主体性や自由、地位や名誉を投げうってまで相手と生きんとする力でもあります。そんな深いエネルギー、複数に与えられるのかなあ。他の誰かを蹴落としてもこの人だけはなにがあっても守りたい。一人だけ救ってやるって神様に言われたら、まじお願いだからこいつにしてくれ! と言わざるをえない。極端だけど、セックスできるとか相手に尽くしたいとかではなく、この願望を基準に考えるとどうでしょうか。選べなかったら、誰のこともたいして愛していない気さえします。誰と生きたいのか? 死にたいのか? 誰を助けたいのか? 思考実験みたいでなんか申し訳ないけれど、究極の選択を迫られたときに「この人だ!」と決断できる、その絶対的な自信が愛の本質である気がしています。田代 伶奈ベルリン生まれ東京育ち。上智大学哲学研究科博士前期課程修了。「社会に生きる哲学」を目指し、研究の傍ら「哲学対話」の実践に関わるように。10月から自由大学で「過去に向き合うための哲学」を開講。Be inspired!ライター。哲学メディアnebulaを運営。Twitter: photos by Noemi MinamiText by Reina TashiroーBe inspired!
2017年09月05日ラヴ・ディアスとは?“怪物的映画作家"と評され、世界の映画祭を次々と制覇してきたラヴ・ディアス。フィリピンが生んだ巨匠。2016年のベルリン国際映画祭で、『痛ましき謎への子守唄』が銀熊賞を受賞、約半年を経てベネチア国際映画祭で『立ち去った女』が金獅子賞に選ばれる。ラヴ・ディアスは1年で、世界三大映画祭の2つを制覇してしまった。そして、最新作『立ち去った女』が2017年10月より全国で順次公開されてく。無実の罪で30年も投獄『立ち去った女』は、『ショーシャンクの空に』の原点となった、ロシアの文豪レフ・トルストイの短編にインスパイアされた作品。殺人の罪で30年間も投獄されてしまう無実の女、そして、その黒幕は、彼女のかつての恋人だった…というストーリー。背景にはフィリピンの現代史を盛り込みつつ、哲学、宗教、寓話的な要素、そして詩情をも取り入れ、揺れ動くヒロインの心情、人の善悪をじっくり描き出すヒューマンドラマだ上映時間は短く3時間48分ラヴ・ディアスのこれまでの作品は超長編。5~6時間は当たり前で、9時間に達する作品もあった。それでも、その独特なリズムは”魔術的魅力”を持ち、見る人は徐々に引き込まれていく。『立ち去った女』の上映時間は奇跡的にも”3時間48分”。ラヴ・ディアスの世界観を初めて体験する人には絶好の機会かもしれない。『立ち去った女』あらすじ殺人の罪で、30年もの間投獄された無実の女ホラシア(チャロ・サントス・コンシオ)。真の黒幕は、彼女のかつての恋人ロドリゴ(マイケル・デ・メサ)だった。出所したホラシアは、自分を陥れた男を追って、孤独な復讐の旅に出る。彼女の前に現れたのは、アヒルの卵売りの男、物乞いの女、そして心と身体に傷を抱えた謎の“女"(ジョン・ロイド・クルズ)。困っている者、弱い者たちに優しく手を差し伸べ、惜しみない愛を注ぐホラシア。そんな彼女を慕う者たちの助けで、復讐すべき男との距離は徐々に縮まっていく…。作品詳細『立ち去った女』原題:Ang Babaeng Humayo/英題:The Woman Who Left監督・脚本・編集・撮影:ラヴ・ディアス出演:チャロ・サントス・コンシオ、ジョン・ロイド・クルズ、マイケル・デ・メサ2016/フィリピン/タガログ語/モノクロ/上映時間:228分/配給・宣伝:マジックアワー
2017年08月14日海外の絵本には、国内のものにはない魅力がつまっています。色合いがはっとするほど鮮やかだったり、逆にモノトーンのシックなタッチだったり。ミリオンセラーの10冊を集めてみました。■10位:『もりのなか』(マリー・ホール・エッツ作、福音館書店)103万冊子どものころって、想像の世界と現実との堺があまりなかった気がします。モノクロで描かれたシブい絵本なのですが、静かでにぎやか。だんだん増えていく動物にあわせて、ゆっくり、ゆっくり読んでみてください。■9位:『かいじゅうたちのいるところ』(モーリス・センダック作、冨山房)114万冊暴れん坊のマックスは、ある日、いたずらが過ぎたため、夕食抜きで子ども部屋に閉じ込められます。そこからはじまるマックスの冒険物語。こわいけどかわいいかいじゅうたちと、子どもならではのドヤ顔を決めたマックス少年が魅力的に描かれています。■8位:『ちいさいおうち』(バージニア・リー・バートン作、岩波書店)116万冊クラシックでかわいらしいタッチで描かれているのに、あらためて読むと、現代の環境問題にも通じる衝撃の絵本。子どもにもわかりやすく、最後はハッピーエンドで結ばれていますが、いろいろ考えさせられる絵本です。■7位:『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』(バージニア・リー・バートン、福音館書店)136万冊いたずらきかんしゃちゅうちゅうの大暴走を、楽しい擬音いっぱいで描いた絵本です。「ちゅうちゅう、しゅっしゅっしゅ!」と声に出せば、子どもでなくても楽しくなってきます。もともと、機関車好きの最初の子どものために著者が描いたお話だったそうです。モノトーンで描かれた機関車がとても躍動的です。■6位:『どろんこハリー』(ジーン・ジオン文、マーガレット・ブロイ・グレアム絵、福音館書店)188万冊どろんこ遊びって、いつのまにか深みにはまってしまうもの。お風呂が嫌いで、どろんこ遊びが大好きなハリーに、『あれ、うちの子だ!』と思ってしまうママもいるかもしれませんね。最後はおうちに戻れて、めでたし、めでたし。それにしても、きょとん、としたハリーの表情がかわいい!■5位:『新ウォーリーをさがせ!』(マーティン・ハンドフォード作、フレーベル館)226万冊大ヒットしたウォーリーシリーズ。子どもにちょっとじっとしていてほしい場所に、この本を持っていきましょう。どこでも動き回ってしまう子どもでも、夢中になってウォーリーを探し始めますよ。■4位:『三びきのやぎのがらがらどん』(マーシャ・ブラウン作、福音館書店)252万冊子どもに人気のある本のなかには、常識を超越してしまうものが、しばしば見受けられます。この絵本は、三びきのやぎとトロルとのたたかいを描いたもの。なぜ三びきとも名前が同じがらがらどんなのか? 最後の大きいヤギのやり方は少し暴力的ではないか? など大人は疑問を抱くかもしれませんが、子どもの大好きなハラハラドキドキの原点とも呼べるエッセンスがぎゅぎゅっと詰まった一冊です。■3位:『おおきなかぶ』(A・トルストイ再話、佐藤忠良絵、福音館書店)278万冊ひっぱるときのかけ声、『うんとこしょ、どっこいしょ』。大きなかぶのなかなか抜けない感じを、本当によく表していると思います。子どももこのかけ声は大好きになるでしょう。もとはロシアの文豪トルストイが再話したもの。ロシア語ではこのかけ声、なんていうのでしょうね。■2位:『てぶくろ』(エウゲーニー・M・ラチョフ作、福音館書店)300万冊おじいさんが森で落とした手袋に、森の動物たちが次々と住み着いてしまうお話。窓や煙突がついたりしてどんどんバージョアップしていく手袋ハウスが、最後にあっという間に元の手袋に戻る真冬の森のファンタジーです。■1位:『はらぺこあおむし』(エリック・カール作、偕成社)368万冊カラフルな色味が楽しいエリック・カールの人気作。あおむしがたいらげていく食べものの絵がまたおいしそう!あおむしがきれいな蝶になるページをめくるのが、子どもは大好きです。*ここでは紹介できない絵本もまだまだありますが、前回の国内編に続いて、長く広く読まれているミリオンセラー絵本海外編をご紹介しました。お気に入りの一冊は入っていましたか?(文/Kinkiii)【参考】※株式会社トーハン編集部『ミリオンぶっく2015年版』トーハン
2015年10月30日来日したヒュー・ジャックマンがまさかの「新・食わず嫌い王決定戦」に参戦を果たすなど、日本中を湧かせたことも記憶に新しい『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』。誰も知らないピーターパンの過去を描いたこのファンタジー超大作では、アカデミー賞受賞デザイナーが世界中の民族をひとつに集め、舞台となる壮大なネバーランドの世界を創り上げていることが明らかになった。本作は、少年ピーター(リーヴァイ・ミラー)が、幼いころに離ればなれになってしまった母(アマンダ・セイフライド)を探すため、夢と魔法のカラフルな世界・ネバーランドへと旅立つ物語。その場所でピーターが出会うのが、若き日のフック船長(ギャレット・ヘドランド)や森の戦うプリンセス、タイガー・リリー(ルーニー・マーラ)、そして海賊・黒ひげ(ヒュー・ジャックマン)だ。ネバーランドのカラフルな世界観に観客を引き込む要素として、まず、監督をはじめスタッフが重要と考えたのが、衣装。“世界中を一つに集めた場所”をテーマに、異なる400もの衣装を融合させるこだわりの手法が用いられていたという。今回、衣装を担当したのは、トルストイの小説『アンナ・カレーニナ』で、歴史劇である原作から離れ、自分なりに再解釈した手法により、アカデミー賞「衣装デザイン賞」を受賞したデザイナーのジャクリーヌ・デュラン。ジョー・ライト監督とは、実に5度目のタッグとなる。これまでライト監督とは『つぐない』をはじめ文芸作品を手掛けることが多かったジャクリーヌが、本作では原色をたくさん取り入れたポップでカラフルな衣装で独特な世界観を見事に表現した。衣装を作るにあたり、ジャクリーヌは「皆さんの思い描くネバーランドやカラフルな森の世界って現実離れしてるでしょ?私たちも同じだったの」と語る。また、「監督と世界中の民族が原住民の村に集まっている様子を描写しようと考えたわ。だから衣装も世界中の至るところからの影響を受けているの。1人の衣装だけを見ても、ありとあらゆる国や文化といった複数の要素を融合させたものとなっているのよ。そして誰1人として同じ衣装の人はいないの。大体400ぐらいつくったかしら」と話し、ジャクリーヌたちスタッフは、世界中の色々な地域にいる先住民たちの衣装を詳しく調べ、それらを組み合わせてユニークな外見を創り上げることを実現した。中でも最も注力したのは、ルーニー・マ-ラ演じるタイガー・リリーの衣装で、「彼女は強い意志を持った女性で戦士でもあるの。セレモニーに出る際はドレスアップさせ、アクションシーンでは動きやすい衣装にして、シーンによってメリハリをつけたわ」とジャクリーヌ。普段のプリンセスとしての優しい“女性”と、海賊・黒ひげと戦う強い“戦士”の両面を演出し、彼女の心情の変化を表現したようだ。アカデミー賞受賞デザイナーが、遊び心満載のこだわりと創造力で、かつてないオリジナリティあふれる幻想的なネバーランドの世界を表現した本作。その唯一無二のネバーランドの世界は、スクリーンで体感してみて。『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』は10月31日(土)より新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~ 2015年10月31日より全国にて公開(C) 2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
2015年10月16日ロシア映画としては『戦争と平和』以来、実に半世紀ぶりにゴールデングローブ賞「外国語映画賞」を受賞、さらにアカデミー賞にもノミネートされ、カンヌ国際映画祭では「脚本賞」を受賞した『裁かれるは善人のみ』(原題:Leviathan)が、いよいよ10月31日(土)より公開となる。本作で監督を務めたのは、本国で最も優れた監督の一人として知られ、熱狂的なファンも多いアンドレイ・ズビャギンツェフだ。今年は、巨匠アレクセイ・ゲルマン監督の遺作『神々のたそがれ』のロングランヒットも記憶に新しいロシア映画だが、まだまだ足を踏み入れにくいイメージが多少なりともある。だが、その歴史を紐解くと、実は日本文化と深い関わりがあることが分かってきた。■プーチン大統領も賞賛するロシアが誇る鬼才入り江のある小さな町で、自動車修理工場を営むコーリャは、若い妻リリア、そして先妻との間に生まれた息子・ロマと共に、住み慣れた家で暮らしている。一方、1年後に選挙を控えた市長のヴァディムは、権力に物を言わせ、彼らの土地を買収しようと画策。自分の人生の全てともいえる場所を失うことが耐えられないコーリャは、強行策に抗うべく、旧知の弁護士のディーマをモスクワから呼び寄せ、市長の悪事の一端を掴み、明るみに出そうとするのだが…。ロシア北部の町を舞台に、自分の大切なものを守るべく誠実に生きる人々と、権力を振りかざす市長との対立を描く、普遍の人間ドラマとなる本作。CMやテレビ業界で活躍していたズビャギンツェフ監督が、2003年に発表した『父、帰る』は、長編デビュー作にしていきなりヴェネチア国際映画祭「金獅子賞」&「新人監督賞」をW受賞、世界にその名を知らしめた。長編デビュー作にして「金獅子賞」受賞は、ロシア映画としては巨匠アンドレイ・タルコフスキー監督『僕の村は戦場だった』(’62)以来、41年ぶりの快挙。まるで油絵の絵画のような美しい自然描写と、緊張をはらんだ緻密な展開、そして宗教的隠喩などの作風は、デビュー作とは思えないほど完成度が高く、世界中の評論家や映画ファンを驚かせ、「タルコフスキーの再来」とも言われた。『父、帰る』の劇場公開当時には、プーチン大統領も「ロシア映画の多大な創造性とその精力的な展開の可能性の証拠を示した」と絶賛のコメントを出したほどだ。その後、発表した『ヴェラの祈り』『エレナの惑い』では、連続してカンヌ国際映画祭をはじめ世界中の主要映画祭で受賞を果たし、昨年、日本でも連続公開された。最新作の『裁かれるは善人のみ』は、ロシア映画では『戦争と平和』(‘68)以来、半世紀ぶりとなるゴールデングローブ賞を受賞し、彼は再びロシアの映画史にその名を刻むことになった。■ロシアの映画監督は日本文化から影響を受けている「戦争と平和」「アンナ・カレーニナ」などを記したトルストイ、「罪と罰」「カラマーゾフの兄弟」のドフトエフスキー、「桜の園」「かもめ」の劇作家チェーホフ。ロシア文学って難しそう、ロシア映画ってよく分からない…など、ちょっと敷居の高いイメージがあるロシア。とはいえ、重厚で荒涼とした美しいロケーションとその静ひつな作風は、どこか往年の日本映画を感じさせる。●アンドレイ・ズビャギンツェフ<芭蕉と北野武から影響受けた!>翻訳された松尾芭蕉を愛読していたというズビャギンツェフ監督。芭蕉の「優れた俳句は、読む者が想像する余地のある句である」という言葉に胸を打たれ、必要以上の説明を排し、観客に想像の余地を残す自身の作風にも反映させている。黒澤明や溝口健二からの影響はもちろん、「北野武の存在が大きい」とも明かしており、青を基調とする重めの色味の画は、その影響を感じさせる。ちなみに、『父、帰る』は、ヴェネチアで北野監督の『座頭市』を抑えての受賞となった。また、そんな日本びいきのズビャギンツェフ監督が、映画監督になる前に作ったTVドラマのタイトルが「ブシドー」というのは、ほとんど知られていないエピソードだ。●アンドレイ・タルコフスキー<俳句・クロサワ・ミゾグチ大好き!撮影は日本で!>映像の詩人と呼ばれていたタルコフスキーは、若いころから俳句に親しみ、自身の映画論でも「短詩の表現こそ映画の目指すべきもの」と語っている。また、黒澤明と溝口健二を敬愛しており、新作の撮影前には必ず『七人の侍』『雨月物語』を観ていたという逸話も残る。代表作『惑星ソラリス』では東京の首都高速道路の光景を撮影、遺作となった『サクリファイス』でも尺八の音色が使用されていたり、主人公が着物をガウンのように羽織ったりと日本から受けた影響が色濃く出ている。●セルゲイ・エイゼンシュテイン<歌舞伎・漢字・日本カルチャー大好き!>『戦艦ポチョムキン』をはじめ、数々の名作を生み出してきたロシアを代表する映画監督エイゼンシュテイン。若いころに日本語を学習しており、日本文化にも興味があったエイゼンシュテインは、モスクワ公演があった際に歌舞伎を鑑賞。そこで観た、歌舞伎独特の役者の仕草やスローモーション的な演技に衝撃を受け、『イワン雷帝』では、登場人物たちが“見得”を切り、表情が際立つ照明が工夫され、歌舞伎の影響が色濃く出ている。また、漢字が抽象的な概念を組み合わせて文字としてデザインされていることに興味を示し、それを基にモンタージュ理論を開発。『戦艦ポチョムキン』でも、一見関係のないものを交互に映して意味を持たせるなど、自身の映画に反映させた。●アレクサンドル・ソクーロフ<日本でドキュメンタリー3本撮影、旭日双光章を受賞>ヴェネチア「金獅子賞」受賞作『ファウスト』など、ロシアを代表する映画監督のひとりアレクサンドル・ソクーロフ。歴史上の重要人物を扱った「権力者4部作」の第3部作『太陽』では、主演にイッセー尾形を起用して大日本帝国時代の昭和天皇を描いた。さらに、もともと日本に関心のあったソクーロフは、『オリエンタル・エレジー』『穏やかな生活』と日本についてのドキュメンタリーを相次いで製作。作家・島尾敏雄の妻、島尾ミホの生き様を描いた『ドルチェ 優しく』など、現代の日本に寄り添った作品も数多く、こうした日露両国間の相互理解を深めることに貢献したとして、2011年には旭日双光章を受賞している。辿れば辿るほど、日本とゆかりの深いロシア映画。『裁かれるは善人のみ』にも、その影響は色濃く映し出されているはずだ。『裁かれるは善人のみ』は10月31日(土)より新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2015年09月17日おひとりさまの女性のみなさまこんにちは。突然ですが、みなさんが最近読んだ本を5冊、心のなかでこっそり教えてください。これ、けっこうきわどい質問ですよね。包み隠さず答えられる勇気ある女性は、はたして何人いるのか……。アラサー女性が〈読むべき本〉はあるのか試しに、私が直近で読んだ本を5冊、正直に開示してみます。ちなみにこれを開示する理由は、直近で読んだ5冊がたまたま、人にいってもあんまり恥ずかしくない系の本だったからです。恥ずかしい系の本ってなんだよ、というツッコミは無視します。私の直近の5冊は、旅行中に読んでいたカンボジア関連の本が2冊、コミュニケーション・カウンセリング関係の本が1冊、山内マリコさんの小説が1冊、謎の現代作家トマス・ピンチョンの解説本が1冊、といったところでした。旅行の本や小説はいいとして、なぜコミュニケーション・カウンセリング関係の本を……と疑問に思った方がいるかもしれませんが、これはですね、Twitterのタイムラインを眺めていたら読んでいる人がけっこう多かった、というのが手に取ったきっかけです。私は人間観察能力が絶無で、人を見る目が超ないんですよ。「弟いるでしょ?」みたいな予測はだいたい外れるし、髪型が変わったとか雰囲気が変わったとかも全然気が付きません。なのでこの本を読むことによって、他人への注意力というか、観察力みたいなものを高められたりしないかなあと思ったんですね。高石宏輔さんの『あなたは、なぜ、つながれないのか:ラポールと身体知』という本です、興味のある方は読んでみては。読書は基本的に娯楽であるべきだと思うので、どんな本を手に取ろうとその人の自由であることはいうまでもありません。人にいうのが少し憚られるような本だって、読んでもいわなきゃいいだけですから。「大人の女性が読むにふさわしい本」なんてものは存在しないし、そんなふうにして紹介される本はちょっと胡散臭いなあというのが個人的な意見です。『東大教師が新入生にすすめる100冊』みたいなガイドブックがあるじゃないですか。私はああいう本が意外と好きで、今までもちょくちょく読んできたんですけど、あれのアラサー女性版って作ってもあんまり面白くなさそうだなあと思うんですよね。少し前にインターネットの一部界隈で「ダサピンク現象」という言葉が流行りましたが、まさにあれを思わせるようなかんじで、「ダサピンクガイド」になりそう。「君たち恋愛と結婚と出産とキャリアで悩んでるんでしょ?」みたいなね。はいはいどーも、ってかんじですよね。確かにそれで悩んでいるアラサー世代の女性は多いかもしれないけど、そこだけ切り取られると萎えませんか?そんな私がすすめる大好きな本(c)世界文学を読みほどく (新潮選書)そんな持論を持つ私が、それでも同世代のアラサー女性にすすめたくなってしまう大好きな本があります。嘘です。同世代の男性にもすすめてたし大学生の男の子にもすすめてました。つまり見境なく誰彼かまわずにすすめている本があるのですが、それが池澤夏樹さんの『世界文学を読みほどくスタンダールからピンチョンまで』です。こちらの本は、スタンダールの『パルムの僧院』から始まり、トルストイの『アンナ・カレーニナ』、ジョイスの『ユリシーズ』、そしてピンチョンの『競売ナンバー49の叫び』まで、19世紀から20世紀にかけて生まれた世界の有名文学10作品について、作家の池澤夏樹さんが解説をしてくれます。私がこの本をおすすめする理由は、近代文学についての基礎的な知識が身に付くというのはもちろんのこと、池澤さん独自の目線で、「近代」というのがどういったものであり、どのような変遷をたどって現代にいたったのか、というのを説明してくれているところにあります。体系的だったものが徐々に崩れていき、混沌をきわめていく世界のようすを文学から眺めてみるというのは、とてもスリリングな体験です。「直近で読んだ5冊」のなかに、ベストセラーや有名作家の本、仕事に関連する実用書以外の本のタイトルが出てくると、「なんで!?」とその本を選んだ背景が気になってしまうのは、私だけではないはず。あくまで確率の話ですが、今話題になっている本だけでなく、その人独自の基準で本を選んで読む習慣がある人って、やっぱり話が面白い場合が多い気がします。みなさんが最近読んだ本や、おすすめの本の話も、もっと聞かせて欲しい。一緒にダサピンクなんて吹き飛ばそうぜ、って私は思うのです。Text/チェコ好き
2015年09月03日『きみに読む物語』がTVシリーズでリブートされることも決まった“泣ける恋愛小説”作家ニコラス・スパークスの、2011年発表のベストセラーを映画化した『かけがえのない人』(原題:『The Best of Me』)。このたび本作から、ハリウッド次世代の注目俳優ルーク・ブレイシーとリアナ・リベラトの“胸キュン”キスシーンが、シネマカフェにて解禁となった。高校時代に出会い、深く愛し合いながら別々の道を歩まざるをえなかったドーソンとアマンダ。その後、20年もの時が経ち、奇跡的に再会を果たす2人だが…。デビュー作の「きみに読む物語」以来、出版する小説のほぼすべてがベストセラーとなり、日本にも多くのファンをもつ恋愛小説の旗手ニコラス・スパークスが、自ら共同プロデュースも務め、『終着駅 -トルストイ最後の旅-』の名匠マイケル・ホフマンがメガホンを取った本作。運命に導かれ、運命に翻弄される主人公2人には、『魔法にかけられて』や『X-MEN』シリーズのサイクロップス役で知られるジェームズ・マースデンと、『M:i:III』『ピクセル』のミシェル・モナハン。そして、10代のころのドーソンとアマンダを演じたのが、いま注目の若手俳優、ルーク・ブレイシーとリアナ・リベラトだ。ルーク・ブレイシーといえば、かつてセレーナ・ゴメスともうわさになったオーストラリア出身のイケメン俳優で、今年日本でも公開された『スパイ・レジェンド』でピアース・ブロスナンの同僚スパイを好演。キアヌ・リーヴスの出世作の一つ『ハートブルー』のリメイク版『Point Break』(原題)では、キアヌが演じた主人公ジョニー・ユタ役を務めることも決まっている。また、リアナ・リベラトも子役時代から注目され、『イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所』ではクロエ・グレース・モレッツの親友役、リリー・コリンズ主演『ハッピーエンドが書けるまで』ではドラッグ中毒の高校生役を務めるなど話題作への出演が続き、共にハリウッドの次世代スター候補としてすでに注目を集めている。今回、Web初解禁となった本編映像は、まさにその2人がロマンティックに演じた初デートの夜の初キス、という胸キュンシーン。月明かりの下、自身の家庭環境ゆえになかなか素直になれないルーク演じるドーソンと偶然出会い、恋に落ちたリアナ演じるアマンダが、初デートの帰り道、不器用ながらも愛を伝え合い、ぎこちなくも、初々しいキスを交わしている。実は、今回オーディションで役を射止めたルークの決め手は、なんとリアナとのキスの相性!すでにアマンダ役に決まっていたリアナに、オーディションの一環でさまざまな相手とキスシーンを演じた後、「誰とのキスが一番楽しかった?」と質問したところ、顔を赤らめながら答えた名前がルークだったという。そんな相性抜群の若き2人がロマンティックに演じたキスシーンを、まずはこちらから確かめてみて。『かけがえのない人』は8月22日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2015年08月17日第67回カンヌ国際映画祭にてパルム・ドール大賞受賞した『雪の轍(わだち)』の本ビジュアルが、このたび解禁となった。カッパドキアに佇むホテル・オセロ。若く美しい妻と、離婚で戻ってきた妹と暮らす元舞台役者のアイドゥン。オーナーとして悠々自適に暮らす毎日だが、冬の訪れによって閉ざされいくホテルの中で、それぞれの内面が次第に明らかになっていく。さらに、アイドゥンへの家賃を滞納する一家との不和が彼を悩ませる。妻と妹、気の置けない友人、そして相容れない隣人との終わりのない会話をつづけながら、アイドゥンは人を赦すこと、愛することの意味と自らの人生に思いを馳せていく。凍てつく大地の雪解けを待ちながら―。過去に、カンヌ国際映画祭コンペティション部門にてグランプリを2回と監督賞を受賞した、トルコが誇る巨匠ヌリ・ビルゲ・ジェイラン。昨年の第67回カンヌ国際映画祭にて、満を持してのパルム・ドール大賞受賞した監督作『雪の轍(わだち)』が、初の日本公開作品として6月27日(土)より角川シネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて公開する。本作は、カッパドキアの洞窟ホテルを舞台に、今は裕福なホテルのオーナーとして暮らす元舞台俳優のアイドゥンと、若く美しい妻、そして妹との愛憎、さらに主人公が思わぬ形で恨みを買ってしまったある一家との不和を描く。彼らの住むカッパドキアに冬が訪れるとともに、取り残された彼らの鬱屈した内面が静かに明らかになっていく、濃厚な人間ドラマだ。ストレートな言葉で感情をぶつけ合う登場人物たちには、そこはかとない滑稽さも漂い、さらに「人間であること」を考えさせられる、見応えのある作品となっている。さらに本作の大きな特徴は、文豪チェーホフの著作をはじめ、シェイクスピア、シューベルト、ニーチェ、さらにドストエフスキーなどといった数々の名作のモチーフがちりばめられているところだ。劇中にはドストエフスキーの「白痴」を想起させるシーンや、主人公たちの交わされる会話にロシア文学を代表する文豪トルストイやドイツの哲学者ニーチェの言葉が用いられたりと、細部に至るまであらゆる名作へのオマージュが感じられる。カンヌ国際映画祭では審査員長を務めたジェーン・カンピオン監督は「知的で洗練された、素晴らしい作品。あまりに引き込まれて3時間の映画であることを忘れてしまった!」と絶賛。濃厚な世界観と人の心をえぐる展開、そして圧倒的な映像美によって紡がれる3時間16分に、世界的なメディアから賛辞が送られ、見事最高賞のパルム・ドール大賞を受賞した。世界の名だたる戯曲、音楽、哲学の要素が、3時間16分という長さに凝縮された、今まで体感したことのない極上の見応えに仕上がった本作。鑑賞後、誰もが圧倒されるという極上の映画体験を楽しみに待とう。『雪の轍(わだち)』は、6月27日(土)より角川シネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年05月08日2014年2月、第64回ベルリン国際映画祭で、映画関係者そしてシネフィルたちを驚かせ大絶賛された『6才のボクが、大人になるまで。』。それは、6歳の少年・メイソンとその家族の物語を、12年もの長きにわたり同じ主要キャストで紡ぎ続けるという画期的な作品でした。この映画を完成させたのは、『ビフォア』シリーズほか革新的な映画作りで知られるリチャード・リンクレイタ―監督。彼の盟友でもあり、メイソンの父親を演じた俳優イーサン・ホークを直撃し、“奇跡”の秘密に迫りました。12年に渡る映画製作という驚くべきアイディアが、大きな魅力となっている『6才のボクが、大人になるまで。』。制作前、この企画について聞いた多くの人が、そんなことができるのか?と思ったに違いありません。この作品についてオファーされたとき、イーサンはどう感じたのでしょう。途中で本作が完成するかどうか、不安になることはなかったのでしょうか。「素晴らしいアイディアだと思った。それに、すでにリチャード(リンクレイター監督)とは3本作品を撮っていたから全く躊躇はなかったよ。時間について描くというのはとても魅力的なものだと感じたしね」。長い製作期間中、自分自身も共演者の変化や成長を、ひしひしと感じる場面に出くわしたとも話します。「ものすごい変化があったよ。撮影が始まった頃、主人公のエラー・コルトレーンはチャイルドシートに座っていたけど、最後には自分で運転をするようになった。一緒に時間を過ごすことで僕に慣れ親しんでくれて、リラックスした様子を見せるようにもなったんだ。僕が若かった頃、多くの人達に優しくしてもらったけど、今は逆の立場だ。若い人達に恩返しするような気持ちで、優しく指導してあげたいと思っているよ」。長い時間を共に過ごし、スタッフ、俳優の間には密な関係性が生まれたことで、本作には他の作品にはないリアリティが生まれたそう。「この映画は家族について描いていて、キャラクターの個性がとてもユニークに表現されている作品だ。本作の特別なところは、12年という時間の流れや、突然訪れる出来事、撮影毎に日々変化していく関係性、コミュニティ、政治、その時代の様々なものに影響されているところにある。そういったものすべてが家族や人々の個性を形成していく、という事を伝える役割があったんだと思っているよ」。では、長きにわたって、自分の生活の一部になっているプロジェクトを離れる気持ちは、どのようなものだったのでしょう。「もう、圧倒されたよ。麻痺しているような感覚になった。僕の撮影はクランクアップの1か月前に終わったんだ。その後、監督と主人公を演じたエラーはメイソンが大学に行くシーンや、ラストシーンを撮ったんだ。終わった時には監督とエラーは抱き合って、達成感を感じていたようだった。僕も後からそれを見て、胸が張り裂けるくらいの喜びを感じたんだ。僕には16才の娘がいるんだけど、彼女は僕がこの作品に関わっていない時代を知らない。彼女が物心ついた時から、僕はこのプロジェクトに参加していたからね。そういった個人的な理由もあって、僕にとってものすごく重要な作品なんだ」。リンクレイター監督の作品についてはこう話します。「最近の文学や映画は皮肉に溢れたものが多いよね。美しいものをあえて斜にかまえて描写してみたり、人の弱さを強調したりする傾向がある。でもリチャードは、美しいものは美しいままに、素直に描き出す。例えば、女性にメイクをして、強いライトを当てるより、ありのままの姿を撮る方が好きなんだ。それは女性に限らずね。ある意味で彼の作品はトルストイの作品に似ていると思う。非常にはっきりとした明確なものを描くんだけど、それは周囲との共同作業によって生み出されているんだよ」リンクレイター監督と幾度も組んで個性的な作品を作り出してきたイーサン。俳優イーサン・ホークにとって、監督はどんな存在なのでしょう?「僕とリチャードは親友なんだけれど、その事を口にするとなんだかそれが陳腐なものになってしまうような気がして…説明しづらいんだ。僕は恵まれた星のもとに生まれてきたんだと思う。まわりには、僕を導いてくれる守護神のような人達がたくさんいるけれど、その中でも最も感謝すべきは、僕をリチャードに紹介してくれた人だ。大体の監督はエゴが強くて、自分こそがフレームを支配する人間だと思っているし、自分だけのビジョンを強く持ってる。それが普通の監督なんだ。でも、リチャードは唯一、自分の意志も明確に持ちながら、“一緒にビジョンを作り上げてくれ”と言い、僕たちの考えも喜んで受け入れてくれる。だから、リチャードは“My Vision”という言葉を決して使わない。必ず“Our Vision”と言うんだ。リチャードの作品には知性があるけど、それは彼が色んな人のアイディアを素直に受け入れるからだと思うし、チームのリーダーでありながら、人の話を本当によく聞いて、そして心から興味を持ってくれる。彼は本当に人が好きなんだと思うよ」良き理解者として、共に新しいことに挑戦し続け、刺激し合いながら、映画界での成功を手にしてきたリチャード・リンクレイタ―監督と俳優イーサン・ホーク。 “奇跡的な名作”に欠かせないのは、素晴らしき仲間の存在なのだと感じさせてくれるインタビューでした。百戦錬磨のベテラン俳優、イーサンすら興奮させる未知の世界。ぜひご自身の目で確かめてみてください。(text:June Makiguchi)
2014年11月14日上戸彩さん主演の『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(フジテレビ系)が話題になっていますね。平日、夫を仕事へ送り出し、昼間は他の男性と不倫する女性「平日昼顔妻」。その語源となったのは、カトリーヌ・ドヌーヴ主演、1967年制作のフランス・イタリア合作映画『昼顔』。夫とのセックスに満たされていない清楚な若妻が、鞭打ちや緊縛など淫らな妄想に取りつかれ、やがて昼は娼婦として見知らぬ男に抱かれながら悦楽に浸り……というストーリーです。絶世の美女と言われたカトリーヌ・ドヌーヴが、森の中でいたぶられたり、娼館で変態チックな客の相手をする、という内容に当時の観客はびっくりしたかもしれません。が、どのシーンの彼女も本当に美しくて、見ているだけでため息が出ちゃう。ドラマにハマった方は、ぜひこちらの作品も(全然違いますが!)チェックしてみていただければと思います。以前、石田純一さんが「芸術や文化には不倫から生まれるものもある」と発言。そこから「不倫は文化」という言葉が一人歩きし始めた、と言われていますが……確かに、不倫がテーマ、或いは不倫のシーンがある作品ってたくさんありますよね。そこで今回はドラマ『昼顔~』にちなんで、不倫に走る妻たちを描いた世界各国の超有名な文学作品をご紹介します。≪一度は読みたい!世界の不倫文学≫◆イギリス:文芸エロスの金字塔『チャタレイ夫人の恋人』イギリスの小説家D.H.ロレンスによる1928年発表の小説。戦争で下半身不随になった夫に「跡継ぎのため、恋人を持て」と言われたヒロインが、領地で森番をしている男と恋に落ちるというお話。日本で翻訳本が出たときには最高裁までの裁判になるなど、性描写で物議をかもしましたが、今読むと少しもエロい感じはしません。『エマニエル夫人』のシルビア・クリステル主演作を含め、過去に何度か映画化されています。◆フランス:19世紀のベストセラー『ボヴァリー夫人』『チャタレイ夫人の恋人』と並ぶヨーロッパの不倫小説。凡庸な夫との生活に飽きた若妻が、退屈な日常から逃れるために恋をします。愛人に貢ぎ始めた彼女は莫大な借金を背負い……1857年刊行、フランスの小説家フローベールの作品です。画家ルノワールの息子であるジャン・ルノワールや、『巴里のアメリカ人』を撮ったヴィンセント・ミネリなどによって映画化されました。『キャンディ・キャンディ』を描いたいがらしゆみこが手がけた漫画版も出ています。◆ロシア:究極のラブストーリー『アンナ・カレーニナ』社交界の華ともてはやされつつも、夫に愛情を持てずにいるヒロインがモスクワに行く途中、若い騎兵将校に出会い恋に落ちます。再会後は情熱を止められなくなり……真実の愛を求め、破滅へ向かう女性を描いた、ロシアの文豪トルストイの代表作。昨年公開されたキーラ・ナイトレイ主演の映画を観た方も多いのでは?見どころ満載の作品ですが、特に押さえておきたいのは、豪華絢爛な舞踏会シーンと、あんなにイケメンなのに、ここでは全く色気のない堅物夫を演じたジュード・ロウ。◆アメリカ:罪を抱き生きる女の生き様『緋文字』夫以外の男の子どもを産み、姦通の罪で裁かれたヒロインは、その胸に生涯「姦淫」を意味する赤いAの字を縫いつけなければならないと言い渡される……植民地時代のアメリカで不倫した女性の生き様を描いた、ナサニエル・ホーソンの傑作です。『ベルリン・天使の詩』などで知られる巨匠V・ヴェンダースが映画化。デミ・ムーア主演の『スカーレット・レター』も同作を原作としています。ちなみに、Aは「姦通」「姦通を犯した女」を意味するAdultery/Adulteressの頭文字だそう。◆日本:戦後のドロドロ人間ドラマ『武蔵野夫人』貞淑で古風な人妻と、ビルマから復員してきた従弟との間に芽生えた恋――。自然の多い東京・武蔵野の地を舞台に、虚栄や欲望をめぐる心理模様を描いた作品。発表は1950年。『野火』や『俘虜記』の著者・大岡昇平の初期代表作の一つです。数々の国際的な映画賞を受賞し、日本が誇る映画監督の一人に数えられる溝口健二が翌年、映画化。姦通をテーマとしながらも一線は越えず、プラトニックを貫いたまま服毒自殺する、ヒロインのその美学がなんというかすごいです。どれも映画化されているので、DVDを観て気に入ったら原作を読んでみる、というのもいいかもしれませんね。ただ、作品を楽しみながらの疑似不倫ならいくらでもしてOKですが、実際の不倫にはリスクがつきまとうもの。『昼顔~』にハマったからといって、結婚後にうっかり昼顔妻になったりしないよう、くれぐれもご注意を!(文=Kawauso)あなたはどの魔性キャラタイプ?【無料占い】
2014年08月18日文豪トルストイの最高傑作を『プライドと偏見』、『つぐない』の名匠ジョー・ライト監督とキーラ・ナイトレイのコンビで実写化した『アンナ・カレーニナ』がいよいよ3月29日(金)より公開となる。これを記念して3月28日(木)に行なわれた試写会に、石田純一さんの長女で女優、歌手として活躍するすみれさんと、先日、妻の辻希美さんとの間に第3子となる男の子を授かったばかりの杉浦太陽さんが登場!すみれさんは映画のラストでアンナが実際に着用する燃えるような濃紅の愛のドレスに身を包み、その圧倒的な美貌を見せつけた。タキシード姿の杉浦さんにエスコートされて登場したすみれさん。ドレスを見せるために壇上でクルリと一回転すると客席からは思わずため息が。アカデミー賞衣裳デザイン賞に輝いた作品で使われた本物のドレスとあってすみれさんは「緊張してます!おっちょこちょいなので私が着て大丈夫なのかと…」とこわばった笑みを浮かべていた。映画については「いろんな感情、表情が出てきて混乱しました。複雑で切なくてドラマチックなところもあってこんな恋をしてみたいと思いました」とコメント。“不倫”の恋に走るアンナについても「アンナのように自信を持って自分の心をリードして、頭ではなくハートで行く気持ちは分かります。愛のために生きる女性はカッコよく、憧れます」とその強さへ共感を持った面持ち。一方、妻子がおり「どうしても夫の立場で見てしまう」という杉浦さんは「男からしたら複雑な気持ちです。(夫の)気持ちが分かるし胸が痛い。自分なら愛する妻に『(別の男を)愛してる』って言われたら死んじゃいます」とジュード・ロウ扮するアンナの夫に同情気味。“愛に生きる”と言えば、すみれさんの父・石田純一はそれを体現したような男性だが、その質問には「何とも言えませんねぇ…(苦笑)」と困った表情。だが「パパみたいに愛のために自由に生きるのもいいけどバランスが大事。運命というのがあるし、道は変わるものなので、(映画と違って)ハッピーエンドで良かったかな」と笑顔で語った。そして、第3子を授かった杉浦さんには客席からも祝福の拍手が。気になる名前は明らかにはしなかったが「あとは出生届を出すだけです」とニッコリ。「いまは妻への感謝の気持ちが大きいです。25歳でよく3人も産んでくれたと思います」と辻さんをいたわる言葉。さらには、出産に立ち会ったとき「生まれてすぐ、10秒経ってないうちに笑ったんです。『お母さん、ありがとう』って感じでした」と明かす。映画ではまさにアンナの“運命の恋”が描かれるが、杉浦さんも「僕も妻と出会ってパパになりたいと思うようになった。僕にとっては妻との出会いが運命で、彼女以上の女性はいないです」とオノロケ全開!そんな幸せオーラに押されたのか、現在22歳のすみれさんも「私もそろそろ誰かいないかな(笑)?私も4人くらい子供がほしいです」とうらやましそうに語っていた。『アンナ・カレーニナ』は3月29日(金)よりTOHOシネマズ日劇ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:アンナ・カレーニナ 2013年3月29日よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国にて公開(C) 2012 Focus Features LLC. All rights reserved. photography by Eugenio Recuenco,Laurie Sparham
2013年03月28日映画『アンナ・カレーニナ』で米アカデミー賞を受賞したばかりの衣装デザイナー、ジャクリーン・デュラン。今回の『アンナ・カレーニナ』では、歴史劇の衣装を再解釈し、トルストイの小説から忠実に再現することを避ける決断が下されたが、その上で彼女はどのように衣装で本作を表現していったのだろうか?文学史上、最も美しく、最も哀しい愛の物語として、いまもなお世界中の読者を涙と感動で包んでいるロシアの文豪レフ・トルストイの最高傑作「アンナ・カレーニナ」を映画化した本作。舞台は19世紀末のロシア。満ちあふれる美貌を持ち、政府高官のカレーニンの妻であるアンナ・カレーニナはサンクト・ペテルブルクの社交界の華。ある日彼女はモスクワへと旅立つ途中で、騎兵将校のヴロンスキーと出会い、2人は一目で惹かれ合っていく。アンナは欺瞞に満ちた社交界と家庭を捨て、ヴロンスキーとの破滅的な愛に溺れていくのだが…。「小説は読んだけれど、結局は監督と脚本家のビジョンに沿う必要があるわ。監督のビジョンは実際の1870年代に沿うことではなく、当時のディテールすべてを軽くしたいと考えていたの。だから、衣装のシルエットも軽減されたわ。そのすべてが、小説に書かれたドレスとはそぐわないものだったのよ」と語るジャクリーン。しかし、舞踏会に行くシーンだけは、小説に沿い“黒いドレス”をアンナに着せた。その理由を尋ねると「それが文学史上最も有名な衣装のひとつだから」と彼女は答えた。「ここで群衆の衣装は25色のパステルカラーが混ざり合い、黒いドレスのアンナを際立たせているわ。この映画の衣装は再解釈したもので、私たちはどの衣装のディテールに関しても小説を参考にはしなかったの。トルストイを直接解釈することはなかったのよ」と、本作に登場する衣装の数々が小説の“再現”で終わっていないことを述懐する。年代によってドレスにももちろん流行があるもの。ウエディングドレスを例にとって見ると、2000年代から肩や背中の露出があり、トップはスリムに、スカートの部分をアレンジしたものがトレンドとなった。いまだにこういったトランペット、マーメイドラインの人気が高いことからもその事実はお分かりいただけるはず。日本の場合、明治時代のドレスで言えば色鮮やかであるものの、肩から手首まで袖のあるドレスが多く見られる。つまりは、デザインやTPO、季節・時間帯などより、数多くの種類が存在したのだ。奥が深いドレスの世界――。そのドレスをさらに輝かしているのが、“宝石”の存在だ。ジャクリーンは本作に登場する“宝石”について次のように語っている。「ジョー・ライト監督とキーラとの最初の頃の話し合いで、私たちはアンナが身に着ける宝石はすべて本物がいいだろうと考えたの。彼女は富裕層がたくさんいる19世紀後半のロシアの上流階級に生きる女性でしょ。それにアンナはさまざまな宝石を所有するという、ある種の虚栄心に陥っているように見えるから」。さらにジャクリーンは「シャネルにコンタクトを取ったところ、彼らは喜んで力を貸してくれたわ」という撮影秘話まで明かしてくれた。「パリに向かった私たちに、彼らは自由裁量を与えてくれたの。だから、私は同時代に存在したコレクションの中から、私が時代に即していると考えた宝石すべてを使うことができたわ。『コメディア』のネックレスはとてもモダンでとても女性らしいものよ。それに真珠がついたダイヤモンドの繊細なイヤリングもシャネルから借りたものだけど、ぴったり合っていると思った。ダイヤモンドほど華麗なものはほかにないわ」。これだけ美しいドレスに宝石、さらにはジャクリーンが「不幸にもすべて本物なの」と語る毛皮まで、登場する衣装や小物の数々はどれも美しい。では、トルストイの小説から離れた解釈で創作をした彼女のインスピレーションの源はなんだったのだろうか?そう尋ねるとジャクリーンは「たくさんの絵画を観たの」と教えてくれた。「できるだけ多くのビジュアル的な参考資料を得ようと努力したの。数日間ロシアを訪れ、モスクワの博物館めぐりもしたわ。その結果、ロシアの上流社会がパリのファッションに大きな影響を受けていたことが事実だと分かったわ。ロシア地方のファッションは、レヴィンのキャラクターで探究しようと思っていたし、農民の衣装は全部私たちで作成したのよ」。「彼女がヴロンスキーと初めて出会うときに来ている黒の夜会服と、最後のほうのオペラのシーンで、彼女が恥をかかされるときに着ている白の夜会服は、対照的でしょ?」とジャクリーンが言うように、本作に登場する豪華絢爛な衣装の一つ一つにも何らかの意味や背景が存在している。美しいドレスの数々に、きっとあなたも魅了されてしまうはずだ。(text:cinemacafe.net)■関連作品:アンナ・カレーニナ 2013年3月29日よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国にて公開(C) 2012 Focus Features LLC. All rights reserved. photography by Eugenio Recuenco,Laurie Sparham
2013年03月26日2月25(月)、ついに授賞式を迎えた世界最大の映画の祭典「第85回アカデミー賞」。様々なセレブたちが詰めかけた、この華やかな戦い。デザイナーの故石岡瑛子遺作となった『白雪姫と鏡の女王』で、今年唯一のノミネートとなった日本人として注目を集めていた「衣装デザイン賞」だったが、惜しくも受賞ならず。受賞を果たしたのは、キーラ・ナイトレイ主演で贈る『アンナ・カレーニナ』のジャクリーン・デュランが初の栄冠に輝いた。文学史上、最も美しく、最も哀しい愛の物語と言われるロシアの文豪レフ・トルストイの最高傑作「アンナ・カレーニナ」を映画化。物語は、19世紀末のロシアを舞台に満ちあふれる美貌を持ち、政府高官のカレーニンの妻であるアンナ・カレーニナ(キーラ)の破滅的な愛に溺れていく姿を描いたものだ。特集:アカデミー賞のBEST(text:cinemacafe.net)■関連作品:第85回アカデミー賞 [アワード] 2013年2月24日(現地時間)、ハリウッド・コダックシアターにて授賞式が開催アンナ・カレーニナ 2013年3月29日よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国にて公開(C) 2012 Focus Features LLC. All rights reserved. photography by Eugenio Recuenco,Laurie Sparham
2013年02月25日『プライドと偏見』、『つぐない』に続き3度目のタッグとなるキーラ・ナイトレイ×ジョー・ライト監督の最新作『アンナ・カレーニナ』のポスタービジュアルと特報映像がこのたび完成した。文学史上、最も美しく、最も哀しい愛の物語として、いまもなお世界中の読者を涙と感動で包んでいるロシアの文豪レフ・トルストイの最高傑作「アンナ・カレーニナ」を映画化した本作。舞台は19世紀末のロシア。満ちあふれる美貌を持ち、政府高官のカレーニンの妻であるアンナ・カレーニナはサンクト・ペテルブルクの社交界の華。ある日彼女はモスクワへと旅立つ途中で、騎兵将校のヴロンスキーと出会い、2人は一目で惹かれ合っていく。アンナは欺瞞に満ちた社交界と家庭を捨て、ヴロンスキーとの破滅的な愛に溺れていくのだが…。豪華なドレスを身にまとい、満ちあふれる活力と美貌という、女性の誰もが憧れるアンナを演じるキーラは「素晴らしいキャラクターだからこそ、キャリアで一番の難役だった」と全力で役柄にのめり込み、身も心もアンナに成りきったよう。夫のカレーニンには、『シャーロック・ホームズ』シリーズのジュード・ロウ、傲慢さと繊細さを併せ持つヴロンスキーには、『キック・アス』のアーロン・テイラー=ジョンソン。本作でアーロンは、『キック・アス』の主人公・デイヴと同一人物とは思えないほど美しい姿で、アンナのロマンスの相手役を見事に演じている。同時公開となったポスター・ビジュアルと特報映像からも本作で描かれる煌びやかな世界を充分に堪能することができるはず。美しく壮大な音楽と共に幕を開ける今回の特報映像。19世紀ロシアの社交界の豪華絢爛なセットも去ることながら、「これが愛ね」とアンナがつぶやく舞踏会シーンの美しさは必見!初めて知った本当の恋に命を燃やし、叶わぬ愛に全てを捧げようとするアンナの正直で不器用な生き方は、多くの女性たちの共感を呼ぶに違いない。『アンナ・カレーニナ』は2013年3月29日(金)よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国にて公開。※こちらの特別映像はcinemacafe.net記事ページより、ご覧いただけます。© 2012 Focus Features LLC. All rights reserved. photography by Eugenio Recuenco,Laurie Sparham(text:cinemacafe.net)■関連作品:アンナ・カレーニナ 2013年3月29日よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国にて公開(C) 2012 Focus Features LLC. All rights reserved. photography by Eugenio Recuenco,Laurie Sparham
2012年12月27日「ミーテ」は14日、「祖父母と絵本」についてのアンケート調査結果を発表した。この調査は、子育て・絵本の読み聞かせをテーマにしたコミュニティサイト「ミーテ」が7月17日から7月30日まで行ったWebアンケート調査。子どもを持つミーテ会員を対象に、280名から回答を得た。「祖父母と子どもが会う頻度」を聞いたところ、「毎日」が19.6%、「週数回」が18.9%、「月数回」が34.7%で、73.2%の子どもが祖父母と月数回以上会っていることがわかった。「祖父母とのやりとりで子どもが喜ぶ内容」については、祖父、祖母とも「会話」「抱っこやスキンシップ」が上位を占めた。祖父と祖母との比較では「読み聞かせ」「歌」「ごっこ遊び」で、祖母とのやり取りを喜ぶ子どもが3倍前後に達することがわかった。「祖父母が子どもと関わるときに絵本は役立つと思うか」との問いには、92.5%が「はい」と答えた。また、「祖父母が読むと子どもが喜ぶ絵本、祖父母が出てくる絵本」を訊ねたところ、もっとも多かった答えはトルストイの「おおきなかぶ」だった。アンケート調査の詳細は「ミーテ会員レポートのページ」で閲覧できる。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年09月19日ボリス・エイフマンの『アンナ・カレーニナ』が、新国立劇場バレエ団によって2年ぶりに再演される。ロシアの文豪トルストイの名作を、身体表現の限りを尽くし、主人公たちの心理状況を舞踊作品の中に具象化させたエイフマンの代表作である。公演を間近に控え、白熱した稽古場の様子を取材した。新国立劇場バレエ「アンナ・カレーニナ」チケット情報稽古場では全幕を通してのリハーサルが行われていた。アンナに長田佳世、ヴロンスキーに厚地康雄、カレーニンにマイレン・トレウバエフと、初役のキャストたちの、迫力と繊細さが織り込まれた動きに驚かされた。パ・ド・ドゥではアクロバティックなリフトがふんだんに繰り広げられ、時にはベッドのポールを使ってバランスを取ったり、アンナがカレーニンの足を伝って着地したりと、見どころが満載だ。ソリストを含むアンサンブルは、ダンサーそれぞれに異なる動きが振り付けられ、舞台の背景にとどまらない。アンナたちが破滅に向かう中で、強烈な象徴となってアピールしていく。2幕冒頭の「士官クラブ」のシーンでは、酔っ払いたちが椅子を用いたユニークな踊りで、葛藤に満ちたドラマを和ませる。エイフマン・カンパニーから招聘され、初演から群舞を指導しているオレグ・パラードニクに、稽古を重ねるダンサーたちについて話を訊いた。「エイフマンの作品は、音楽の中に動きが凝縮された、現代バレエです。新国立劇場のダンサーたちは、伝統的なクラシックバレエのメソッドで育ち、静止のポーズに慣れているので、様々な細かい動きにとても苦労しています。また、舞台で感情的な表現をわかってもらうためには、自分を抑制しないで、思い切った表情で観客に伝えて欲しいと思います。新国立劇場のダンサーたちは、技術的な能力が非常に高いので、エイフマンの作品に対する理解力に期待しており、舞台本番まで残り少ない日々ですが、作品を完成させていきます」。同劇場が、エイフマンの作品を初演するにあたって、多数候補に挙がったが、原作が有名で、日本の観客にも馴染み深い、チャイコフスキーの音楽に紡がれた『アンナ・カレーニナ』が選ばれた。本番では、工夫を凝らした照明で暗さを感じる場面もあるが、見落としてしまいがちなつま先に至るまでの詳細な動きに、ぜひ目を留めて欲しい。恋に身を焦がし居場所を無くしたアンナが自由を求めて、死へと身を投じるラストシーンは圧巻で、忘れ難い場面として観客の心に刻まれるはず。日本のダンサーたちが贈るエイフマンの芸術を堪能して欲しい。公演は3月16日(金)から20日(火・祝)まで新国立劇場中劇場で開催する。チケットは発売中。取材・文舞踊ジャーナリスト:高橋恭子
2012年03月12日第84回アカデミー賞の俳優部門は、主演男優賞に『アーティスト』のジャン・デュジャルダン、主演女優賞に『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』のメリル・ストリープ、助演男優賞に『人生はビギナーズ』のクリストファー・プラマー、助演女優賞に『ヘルプ心がつなぐストーリー』のオクタビア・スペンサーが選ばれた。その他の写真本年度の授賞式の中で、最も会場が一体感に包まれたのは、史上最年長でオスカーを手したクリストファー・プラマーの受賞を観客が祝福した時間帯だったのではないだろうか。プラマーは1929年生まれのカナダ人俳優。舞台やテレビなどでも活躍しながら『サウンド・オブ・ミュージック』『シリアナ』『終着駅 トルストイ最後の旅』などで重厚な演技を披露。『カールじいさんの空飛ぶ家』では、カールじいさんに対峙する元冒険家の声を演じるなど、現在もハリウッド映画の最前線で活躍しているため、決して“功労賞”ではなく、『人生はビギナーズ』の演技に対しておくられたものと考えてよさそうだ。また主演女優賞は、これまでに17回の候補入りを果たし“オスカー常連”と称されているメリル・ストリープが『クレイマー、クレイマー』『ソフィーの選択』に続いて3度目の受賞を果たした。その一方で『アーティスト』のジャン・デュジャルダンと、『ヘルプ…』のオクタビア・スペンサーは共に初ノミネートで初受賞。ふたりともハリウッド映画出演経験の多い俳優ではないが、その演技が多くのアカデミー協会員の評価を集めたようだ。■第84回アカデミー賞受賞【主演男優賞】ジャン・デュジャルダン『アーティスト』【主演女優賞】メリル・ストリープ『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』【助演男優賞】クリストファー・プラマー『人生はビギナーズ』【助演女優賞】オクタビア・スペンサー『ヘルプ心がつなぐストーリー』
2012年02月27日第84回アカデミー賞授賞式で、『人生はビギナーズ』のクリストファー・プラマーが助演男優賞を獲得した。マイク・ミルズの実体験を基に、晩年に突然ゲイであることをカミングアウトする父親と息子の愛と人生の再スタートを描いた本作。クリストファーは、自身に正直に自由を謳歌する父親をユーモアたっぷりに演じている。現在82歳、その俳優歴は半世紀以上にのぼる大御所中の大御所。『サウンド・オブ・ミュージック』(’64)のトラップ大佐役など数々の作品で名演を見せてきた彼だが、意外にもオスカーノミネートは2009年の『終着駅-トルストイ最後の旅-』が初めてで、今回の受賞は同賞において最高齢での初受賞となった。今回の助演男優賞部門は、同い年のマックス・フォン・シドー(『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』)や、ニック・ノルティ(『Warrior』)などベテラン勢が揃ったが、クリストファーがこれまでの映画賞レースと順当の強さを見せた。手にした金のオスカー像に向かって「あなたは私より2歳しか年上じゃないんだね。母の種にいたときからこのスピーチを予定してました」と冗談を飛ばすや、ほかの候補者に称賛を贈り「(共演の)ユアン・マクレガーとこの賞を共有したい」と語った。特集:第84回アカデミー賞 Harbaugh / ©A.M.P.A.S.■関連作品:第84回アカデミー賞 [アワード] 2012年2月26日(現地時間)、ハリウッド・コダックシアターにて授賞式が開催© AMPAS人生はビギナーズ 2012年2月4日より新宿バルト9、TOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2010 Beginners Movie, LLC. All Rights Reserved.■関連記事:【アカデミー賞】華麗なるレッドカーペットファッション!~クラシック編~【アカデミー賞】華麗なるレッドカーペットファッション!~セクシー編~【アカデミー賞】華麗なるレッドカーペットファッション!~ホワイト&メタリック編~【アカデミー賞】最高栄誉はハリウッド愛を贈るフランス映画『アーティスト』へ!【アカデミー賞】会場総立ち!メリル・ストリープが3度目のオスカー受賞!
2012年02月27日