編集部:学研キッズネット編集部株式会社 GLOBAL VISIONは、「世界大学ランキングTOP50を目指す英語学習」をスローガンに、AR・VR・AI 技術を駆使し、グローバル社会で活躍するために必要な「創造力」を英語“で”学ぶ、プリスクール卒園生および小学1年生~3年生を対象とした『STEAM English Academy』を 2020年5月8日(金)、東京と大阪に同時開校することを発表しました。「STEAM English Academy」紹介大阪では、「W Global Academy SEA 靭公園前校」(最寄駅:大阪メトロ「本町」駅)が開校。スイス生まれ・アメリカ育ちのEmmanuel Waldvogel(エマニュエル ワルドフォゲル)校長を中心に、生徒の可能性を広げることに責任を持ち一人ひとりの将来に“選択のドア”を増やすサポートをしていきます。東京では、「STEAM English Academy 恵比寿校」(最寄駅:JR・東京メトロ「恵比寿」駅)が開校。カナダ留学時に英語教師の国際資格を取得した柴山健太郎校長を中心に、生徒自らの“意思”で目をキラキラと輝かせながら勉強に取り組める環境を作っていきます。恵比寿校新型コロナウイルスの感染拡大が続く現在、緊急事態宣言に伴う「STAY HOME」が全国的に実施され、学校の多くも休校措置を取っています。このような状況下で学力低下への懸念が高まる中、当校は学習機会の担保をすべきと考え、厳しい情勢の中ではありますが開校することにしました。ただし、当面は新型コロナウイルスの感染拡大の影響に伴い、クラスター(感染者集団)の発生を防止すべく、その対策として英語講師による双方向の「オンライン英語学習・ライブ通信英語授業」を実施します。本プログラムは、本来の教室での授業を、ビデオ会議システム「Zoom」を活用した、英語講師による双方向「ライブ授業」に代替し、ARを活用したオンライン学習を付加することで、1.クラウドで予習→2.Zoom でライブ授業→3.クラウドで復習――の流れによる「オンライン英語学習・ライブ通信英語授業」を行うもので、通常の授業とほぼ同等の品質でのサービスを実現しています。3月に開校した四条烏丸校(京都)においても本プログラムを実施し、英語力向上の実績があります。ただし、このライブ英語通信授業はあくまでも、新型コロナウイルスの感染拡大が収束するまでの緊急措置となります。GLOBAL VISION は、皆様が一日も早く平穏な生活に戻れるよう心より願っております。※ STEAM(スティーム)とは Science(科学)・Technology(技術)・Engineering(ものづくり)・Art(芸術)・Mathematics(数学)の 5 つの単語の頭文字を組み合わせた言葉です。 2018 年 6 月より、文部科学省から「STEAM 教育」の導入方針が公開オンライン英語学習・ライブ通信英語授業の流れ『STEAM English Academy』発足の背景2020年度より、小学校3年生から英語教育がスタートし、小学校5年生から教科として英語が必修化されました。この目的は、将来英語で討論や交渉などのコミュニケーションをとれるように、グローバル化が進む日本社会において世界各国の人たちと英語で対話し、お互いに協力しあって社会活動ができるようにするためです。日本人の英語能力は、2017 年のTOEFL iBT ®の成績ランキングによると、アジア36ヵ国の中で34位(平均スコア71点)とアジア主要国の中で最下位となり、日本人が世界で活躍の場を広げるためには、英語能力を改善することが喫緊の課題となっています。そのためさまざまな内容を英語“で”学ぶ、21世紀型の新たな学習法が求められています。GLOBAL VISION は、世界をリードする STEAM 型 GLOBAL 人財の創出を社会的使命と位置付けており、それを具現化するプログラムを、英語“で”学ぶことができる『STEAM English Academy』をスタートしました。TOEFUL ランキング『STEAM English Academy』の特長■問題を解決に導き、創造する力を育む創造的思考力を育む土台は、言語としての「英語」に加え「芸術」的センスを身につけることだと考えています。従来の英語学習の目標が「英語『を』学ぶ」ものであるのに対して、STEAM English Academy の目標は「創造的思考力を習得する技術を英語『で』学ぶ」ことにあります。(1)探求学習(Project Based Learning)学習する教材は、世界各国で使用されている全ての教科の教科書から社会科学、数学、科学、健康、芸術、体育の6つの分野の内容を選定し、それをブレンドして合計120のトピックスで学べるようにしたものです。これらの教材を「Project Based Learning」で学習することで、国際的な視野と知識を自然に獲得することができます。(2)Arts を重視した教材STEAM English Academyでは、STEAM学習の「A」にあたる「Arts(Design)」を重視しており、教材には各レベルテイストの異なるイラストを使用し、デザインやアートの感覚を育成します。イラストはテキストごとに作者が異なり、エリックカール美術館が選定した絵を使用しているものもあります。WGA5(3)基礎的な発音から5-Paragraph Essayの作成までABC の基礎的な発音のスピーキングから、リーディング、ヒアリング、ライティングの4技能を AR・VR・AI の最新技術を活用した オンライン学習と教室での探求型学習の組み合わせにより、効率的に無理なく学べます。小学5~6 年生の時点で、英語でディベートをすることができるよう、5-Paragraph Essayを作成するトレーニングによって、論理的な思考力を養います。これらを「英語で学ぶ」ことで、創造的問題解決能力の基礎を形成できると考えています。(4)Language + Thinking + Arts = Creativity身に付けた言語能力と背景知識をクリエイティブシンキングプロジェクトによって「生きている知識」に融合します。例えば、「ニュースレポート」や「ドキュメンタリー」、「広告」などの映像を作成し、それらの作品をYouTubeなどで配信する表現活動をグループで行います。この繰り返しによって、「考えて行動する力」を自然と身につけていきます。(5)i-Learning(AR・VR・AI) を活用した Creative Learning とは本プログラムが提供する「April3.0」は、「言語の運用能力の強化」「芸術的センスの育成」「思考力の涵養」を融合できるよう構築した方法論に基づいています。教室での授業(c-Learning)に加え、予習・復習は AR・VR・AI技術を駆使したタブレットでの自習(i-Learning)を活用します。cLearningとi-Learning の融合により、知識の習得だけでなく、創造性に満ちた Creative Learning を英語“で”行います。AR学習イメージ(6)オークランド・インターナショナル・カレッジ(AIC)との提携提携するAICは教育プログラムに、国際的に評価の高い「IB(国際バカロレア)プログラム」を採用した「IBO(国際バカロレア機構)」の認可校です。2019 年の IB ディプロマの合格率は 89%(世界平均 77%)となり、卒業生は世界のトップ20大学の90%からオファーを受けています。こうした AIC との提携を通じ、世界大学ランキング TOP50 に入学する生徒を輩出していきます。AIC「W Global Academy SEA靭公園前校」概要■概要住所:〒550-0004 大阪市西区靭本町1丁目16-20アートスクエアビル4Fアクセス:大阪市営地下鉄(大阪メトロ)「本町」駅下車、徒歩約5分STEAM English Academy 靭公園前校 W Global Academy 内TEL:06-6225-8486E-mail : winternationalschool@gmail.com「W Global Academy SEA靭公園前校」公式HP: ・エマニュエル校長からのコメントエマニュエル校長スイス生まれ・アメリカ育ちの私から見た日本の英語教育は、聞く(Listening)・読む(Reading)・話す(Speaking)・書く(Writing)の四技能ばかりが謳われている印象があります。たとえ四技能を身につけても、グローバルな世界で活躍できるかといえば、決してそうではありません。プリスクールを運営する私にとって『STEAM English Academy』は、英語を一つのツールとして自らの問題を提議したり解決したりする力を育むカリキュラムであり、英語力というよりも一人の「個」を成長させることができるプログラムであると感じました。混沌とした現代の世界で求められるのは、思考力や創造性を持ちフレキシブルに対応できる人材です。『STEAM English Academy』ではこのような能力を身につけるためのプロセスが明確にされているので、必ず未来を担う子どもたちの力になると確信し実践していきたいと思います。「STEAM English Academy 恵比寿校」概要■概要住所:〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南 2-24-9 2Fアクセス:JR・東京地下鉄(東京メトロ)「恵比寿」駅下車、徒歩約5分STEAM English Academy 恵比寿校 (株) Freewill トータルエデュケーション内TEL:03-3760-0291(担当:柴山)E-mail : sea@1freewill.com「STEAM English Academy 恵比寿校」公式HP : ・柴山健太郎校長からのコメント柴山校長『STEAM English Academy』の魅力は、まさに「英語を学ぶ」のではなく「英語で学ぶ」というカリキュラムです。このカリキュラムの優れた点は英語の文章を論理的に理解する力、その理解したものを思考して英語で表現する力を身につけられる点にあると思います。STEAM をベースとした幅広い知識を英語で学べるので、自分自身で考え探求する力が身につけられるようになると確信しています。現代のグローバル社会の中で、個性や才能を存分に発揮して活躍していく力を身につけてほしい。そしてこれを学んだ子供たちの中から、世界中の社会問題を自分の意思でワクワクしながら解決していくような力を身につけてほしい――。そうした思いを実現すべく、このカリキュラムを通じて英語学習を行っていきたいと考えています。■保護者の声 (体験会参加者のアンケートより)・学習したフレーズが、すべて子どもの頭に入っていることに驚きました。・全員が発言できる、積極参加の雰囲気がとても良かったです。・子どもが英語を一気にしゃべるようになってびっくりしました。・VR を使ったレッスンを子ども自身もとても楽しんでおり、意欲が高まっているように感じました。・子どもが初見の文章の音読にも物怖じしなくなり、成長を実感しました。『STEAM English Academy』についてグローバル時代といわれる現代では、受験対策や英語試験の結果だけを求めるのではなく、長期的な観点での学びの道を歩むことが求められています。STEAM English Academy は、既存の解答が無い問題が次々と現れる複雑な 21 世紀の社会を生き抜く人々にとって、必須能力となる「創造的に問題を解決する能力」を英語“で”育成します。その方法論は、「問題発見・解決能力の獲得」「論理的思考技術の習得」「メディア創作によるアウトプット体験」「AR・VR など最新技術を活用した効率的学習」を重視したものです。未来を予測することは容易ではありませんが、たとえどのような課題に直面しても、その答えを見つけだし解決していく…。そのために必要な問題解決能力や創造力を育むプログラムがここにあるのです。■株式会社 GLOBAL VISION 概要GLOBAL VISION は、人と法人(企業・大学・学校・塾など)が未来に向けて「志」を持ち、世界で活躍できるよう、強力に支援し続ける会社です。設立以来、EduTech 事業として、独自開発の e-learning コンテンツなど、幅広い年齢層を対象とした AI や ICT 技術を用いた商品・サービスを提供してきましたが、2019年5月から日本の英語教育のパラダイムを大きく転換させるため、英語学習の初期段階にある人を対象としたサービスに特化し、事業を展開することに方向転換しました。2020年4月からは幼稚園年長~小学校 3 年生用の学習プログラムを提供していきますが、近い将来には、未就学生用、中・高校生用の学習プログラムを提供していきます。『STEAM English Academy』公式サイト:■「学研キッズネットFor Parents」のニュース一覧はコチラ■学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと)『学研キッズネット』は、1996年にオープンした小・中学生のためのWebメディアです。学研の子ども向け書籍や雑誌の編集ノウハウを活かし、子どもたちが安全に楽しめるサイトとして運営しています。子どもたちのしあわせのために、家族のしあわせのために、有益な情報やサービスをお届けできるよう、いつも精一杯がんばっています。すくすく伸びる子どもたちのために
2020年05月08日ロン・ハワードが、ホセ・アンドレのドキュメンタリー映画を監督することになった。アンドレは、L.A.、ワシントンD.C.、ニューヨーク、マイアミ、ラスベガスなどでレストランを経営する有名シェフ。2010年のハイチ地震をきっかけに、被災者に無料で食事を提供する非営利団体ワールド・セントラル・キッチンを設立した。この団体は、現在も、コロナウィルスの影響で食べるものに困っている人々を助けている。ハワードの映画は、このチャリティ活動に焦点をあてるものになるようだ。製作はナショナル・ジオグラフィック。文=猿渡由紀
2020年04月17日「スター・ウォーズの日」の5月4日、『スター・ウォーズ』のスピンオフドラマ「マンダロリアン」のドキュメンタリーシリーズ「Disney Gallery : The Mandalorian」(原題)が、本国「Disney+」で配信開始になる。『スター・ウォーズ』の公式サイトが発表した。クリエイターで製作総指揮のジョン・ファヴローが司会を務め、インタビュー、未公開映像などにより、ドラマでは見られなかった側面を明らかにするという。全8話で、一週ごとに新しいエピソードが配信される。キャストがキャラクターにどのように息を吹き込んだのかということや、ドラマの画期的なテクノロジー、特殊効果、ドラマ内の生き物、音楽についてなど、制作過程が掘り下げられる。ファヴロー監督は、「このドラマを作るにあたって、私たちは本当に素晴らしい経験をしました。それをみなさんと共有することを楽しみにしています」とコメントしている。「マンダロリアン」はペドロ・パスカル主演、『スター・ウォーズ』初の実写ドラマで、昨年11月にアメリカの「Disney+」でシーズン1が配信された。シーズン1の最終話はタイカ・ワイティティが「声」の出演と監督を務めた。シーズン2は今秋配信予定。(Hiromi Kaku)
2020年04月16日新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界が未曽有の状況に追い込まれるなか、政治家や国のリーダーとしてあるべき姿など、あらゆることを考えさせられている人も多いはず。そこで、風変わりながらもさまざまな功績と感動を残し、全世界から注目を集めたある人物の真実に迫ったドキュメンタリーをご紹介します。それは……。『世界でいちばん貧しい大統領愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ』【映画、ときどき私】 vol. 300人よりも牛が多いとされる南米の小国ウルグアイ。第40代の大統領に選ばれたホセ・ムヒカは、貧しい人のために自身の給料の大半を寄付し、職務の合間にはトラクターに乗って農業に勤しんでいた。2012年にブラジルのリオデジャネイロで行ったムヒカのスピーチが話題となり、その翌年から2年続けてノーベル平和賞にノミネート。日本でも多くの本が出版され、大きな反響を呼んだ。いま、波乱に満ちたムヒカの人生が明らかとなる……。2014年から大統領として任期を満了するまでのムヒカに密着している本作では、衝撃の半生から妻であり同志でもあるルシアとの絆、さらにムヒカが抱えている思いが余すことなく映し出されています。そこで、さらなる裏側についてこちらの方にお話いただきました。エミール・クリストリッツァ監督!世界三大映画祭で絶賛されている名匠としても知られているクリストリッツァ監督ですが、本作では自身も聞き手として登場しながらのドキュメンタリー作品となっています。今回は、監督から見たムヒカの印象や彼から学んだことなどについて語っていただきました。―まずは、ムヒカさんのドキュメンタリーを撮ることになった経緯から教えてください。監督ある日、僕のバンドのマネジャーのところに連絡があり、「ムヒカのドキュメンタリーを作りませんか?」と声をかけられました。彼らはムヒカと同じような意見を持っている人を探していたそうですが、彼の妻であるルシアが僕の短編と自伝を通して僕のことを知っており、監督に選んでくれたようです。それは、ワクワクする出来事でしたよ。―では、本作を撮るうえで、どのような準備をされたのでしょうか?監督まず始めたのは、彼の写真を見て、伝記を読むことでした。そのうちに、「自分で家を修理したり、トラクターに乗って農作業したりしながら、同時に大統領としても成功している人物とはどんな人なんだろうか?」と興味を持つようになったのです。実際に飛行機に乗って会いに行ったのは8年前ですが、そのときに「彼のような大統領はほかにはいない!」と感じました。お金のために政治家になる人が多いなか、彼は国を愛し、正義のために立ち上がっている政治家。目の前に“理想の人物”が立っていると幸せな気持ちになるものですが、彼はひとりの人としてもパワフルで魅力的でした。そして、初めて会ったときに人間同士のふれあいが起きたのです。歴史上においてもこんな政治家はいない―ムヒカさんからは数々の名言が出てきますが、監督が一番感銘を受けた言葉はありましたか?監督作品の最後に彼が「私は去りません。これからです」と言って始まるスピーチをしていますが、それらの言葉が印象に残っています。そこには「いま権力を持っている我々が大切なのではなく、これから世の中を引っ張っていく人たちが大切なんだ」という思いが込められており、彼が抱く別の政治的概念にもつながっているからです。また、彼のなかには、もっと文化を向上させていかなければいけないという考え方がありますが、それが実現すれば、文化のなかにあるコミュニケーション方法や平等を基本とした人間の関係をよりよくすることできるのだろうとも思いました。―残念ながら政治の世界には、自己保身ばかりを考えている政治家もいますが、いまの政治家たちがムヒカさんから受け継ぐべき精神があるとすれば、何だと思いますか?監督ムヒカはステレオタイプな政治家の特徴を何ひとつも持っていないどころか、むしろそれ以外のすべてを持っている人だといえます。アナログからデジタルに移行し、価値観のシステムや新しいコミュニケーション方法が誕生して、大きく変動する時代のなかでも、彼は変わったり、被害者のようになったりすることはありませんでした。変化を柔軟に受け入れつつ、自然と対話することを続けている姿勢は素晴らしいことだと思います。ほとんどの政治家は権力を手にすると悪いことに使ってしまいますが、彼は強欲さがないだけでなく、心から他者を愛する僧侶のように、相手に物を与える人なのです。そういった人間的な本質は大統領になっても揺らぐことなく、彼は自分の一生を他人や国のために捧げています。それゆえに、政治の実用的な部分にだけに目を向けており、物質的なことに足をすくわれることがないのです。歴史上においても、こんな政治家はほとんどいないんじゃないでしょうか。ムヒカにはすべてのバリアを壊してしまう力がある―映画のなかでは、ムヒカさんの熱烈な支持者が数多くいるいっぽうで、異議を唱える人も映し出されていましたね。監督僕は撮影のエピソードなどについてはあまり話をしないほうなので詳細は控えますが、お金や時間の制限が多い昨今では、映画作りに費やすことができる時間が短くなっています。そんななかでも、幸いなことに本作には3年半もの年月をかけることができました。しかも、僕はその期間中、ほとんどムヒカと一緒に時間を過ごすことができたのです。だからこそ、ムヒカを激しく批判する男性と本人が対面するシーンも撮影することができたんだと思います。―監督は、初めてムヒカさんの写真を見たときに「世界で腐敗していない唯一の政治家だ」と感じたそうですが、実際に会われてみて、どのような印象を受けましたか?監督僕から言わせると、彼は電磁波のようなものを発している人。もし彼が役者だったら世界でもっとも素晴らしい役者になったんじゃないかな(笑)。それほど自然な魅力を持ちながら、すべてのバリアを壊してしまう力を秘めた人なんですよね。たとえギリシャ神話のヒーローやのボディビルダーのような肉体を持っていなくても、人間的な強さを内側に持っている人なんです。妻がいなければいまのムヒカにはならなかった―そんなムヒカさんを語るうえで欠かせないのは、妻ルシアさんの存在が挙げられます。監督彼女は、ムヒカにとって成功の最大の秘訣。映画を作り始めたときは、まさか彼らのラブストーリーについても語る作品になるとは思いませんでしたが、彼らはつねにお互いに対して献身的な気持ちを抱いています。彼女がいなければ、ムヒカはムヒカになることはなかったでしょうね。―日本でもムヒカさんの人気は高いので、日本の観客へ向けてメッセージをお願いします。監督僕はどの映画にも軸となる“背骨”があると思っていますが、この作品では彼のパーソナリティと深くつながることができる“背骨”を得ることができたと自負しています。そのなかでも、彼が大統領として最後の日を迎えた瞬間をはじめ、彼の人間としての幅広い魅力や個性をすべて映し出すことができました。それがとてもロマンティックなアイディアとマッチすることができたので、ムヒカという唯一無二の存在をみなさんにもご覧いただけると思っています。ムヒカ語録には人生の学びが詰まっている!賛否を巻き起こしながらも、何よりも人々のことを思うムヒカ元大統領から放たれる言葉の数々は、誰の心にもまっすぐと届くものばかり。人生や“ほんとうの豊かさ”とはいったい何なのかということを考えずにはいられない時期だからこそ、さまざまな気付きを教えてくれる必見作です。感動の予告編はこちら!作品情報『世界でいちばん貧しい大統領愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ』3月27日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開配給:アルバトロス・フィルム© 2018 CAPITAL INTELECTUAL S.A, RASTA INTERNATIONAL, MOE©CAPITAL INTELECTUAL S.A.
2020年03月25日ジョニー・デップが、ザ・ポーグスのボーカリスト、シェーン・マッゴーワンについてのドキュメンタリーをプロデュースすることになった。タイトルは『Shane』、監督はジュリアン・テンプル。マッゴーワンはアイルランド人で、「ニューヨークの夢」など数々の名曲を書いた。デップとは30年来の友達ということ。映画は、過去の映像のほか、アニメーションなども含めて構成されるそうだ。海外配給権は、来たるベルリン映画祭でセールスにかけられる。同映画祭ではまた、デップの最新主演作『Minamata』が上映される。文=猿渡由紀
2020年02月06日アカデミー賞史上初となる国際映画賞・ドキュメンタリー映画賞同時2部門ノミネートを果たした、ドキュメンタリー映画『ハニーランド 永遠の谷』が公開されることが決定。併せて、場面写真が解禁となった。北マケドニアの首都スコピエから20キロほど離れた、電気も水道もない故郷の谷で、寝たきりの盲目の老母と暮らすヨーロッパ最後の自然養蜂家の女性がいた。「半分は自分に、半分は蜂に」それが持続可能な生活と自然を守るための信条。突然トレーラーで押し寄せた見知らぬ家族、子どもたちとの交流、貪欲と病気、破壊と再生を映し出す。本作は、ギリシャの北に位置する北マケドニアで作られた驚異のドキュメンタリー。アカデミー賞の歴史上初めて、ドキュメンタリー映画がドキュメンタリー映画賞部門だけでなく、『パラサイト 半地下の家族』などフィクション映画の秀作とともに国際映画賞(旧・外国語映画賞)部門にノミネートされた。このほか、2019年のサンダンス映画祭でもグランプリを含む最多3冠、アカデミー賞の前哨戦ともいえる全米映画批評家協会賞やニューヨーク映画批評家協会賞でも最優秀ノンフィクション賞を受賞するなど、これまでに各国の映画祭などで30以上の受賞を重ねている。監督を務めたのは、タマラ・コテフスカとリュボミル・ステファノフ。3年の歳月と400時間以上の撮影から生み出された、人間の、そして自然の存在の崇高さと美しさに満ちた、悲しくも感動的な希望の物語を完成させた。この度、日本公開情報と併せて場面写真も解禁。養蜂場で働く女性の姿と北マケドニアの美しい自然の風景が切り取られており、映像美にも期待が高まる。『ハニーランド 永遠の谷』は今春、アップリンク渋谷・アップリンク吉祥寺ほかにて公開。(text:cinemacafe.net)
2020年02月04日様々なジャンルの番組が見られる動画配信サービスの中でも、最近力作が目白押しなのがドキュメンタリー。政治や宗教、ビジネスといった硬派なものだけでなく、エンターテインメントの裏側をレポートしたものなども揃い、世界中の今をリアルタイムで体感できるので要チェック。ここでは社会派ドキュメンタリー3選をお届けします!リテラシーを高めたい人に…アメリカ大統領選の裏に隠れていた、巨大ネットワークの闇が明らかに。『グレート・ハック:SNS史上最悪のスキャンダル』題材は、2018年に明らかとなった、2016年アメリカ大統領選挙でのFacebook個人データ漏洩事件。世界を震撼させた大スキャンダルなだけに記憶の片隅にある方もいるかもしれないが、本作品では、この事件の一部始終にがっつり密着。新聞記者や当事者企業の元社員の内部告発から、個人情報が大企業に利用されているカラクリをわかりやすく展開している。事件の真の黒幕は企業なのか、大きな力によって生まれたプロパガンダなのか。来年に迫る次回の大統領選を前に、もう一度身を引き締め、自分のネットワークへの関わり方や姿勢を見直すきっかけ作りに、最適なドキュメンタリーとなっている。Netflixオリジナルドキュメンタリー『グレート・ハック:SNS史上最悪のスキャンダル』独占配信中音楽も楽しみたい人に…ヒップホップ・スターが新星発掘!『リズム+フロー』次世代のスターを発掘するオーディション番組はいくつもあるが、これはヒップホップに特化した番組。カーディ・Bやチャンス・ザ・ラッパーといった豪華な審査員/メンターが見守るなか、出場者はサイファー(複数人の即興バトル)やMV制作など、アーティストとのコラボ課題をこなしていく。厳しいチャレンジを終えたラッパーが人間的成長を遂げる姿に、視聴者が心を寄せてしまうのは確実。1話完結ではなく、3話構成だけど一気見必至でしょう。Netflixオリジナルシリーズ『リズム+フロー』独占配信中これから未来を考える人に…まさにホラーな国策の実態に迫る。『一人っ子の国』中国で1979年から36年間続いた一人っ子政策。自身も母となったアメリカ在住中国人女性監督が政策の実態に迫る作品。人々の証言から明らかになったのは、容赦なく残酷な、本当に起こったとは信じたくない様々な事実。強制中絶や不妊手術も行われたといい、国が人権を踏みにじった事実を前にどう思うのか。結果的に生まれた中国の男女不均衡が将来どんな問題を生むのかを考えるためにも向き合いたい作品。Amazon Prime Videoにて独占配信。※『anan』2019年12月18日号より。文・山縣みどり(by anan編集部)
2019年12月11日Netflixが、来年の早い時期にテイラー・スウィフトをテーマとしたドキュメンタリー映画『Taylor Swift: Miss Americana』(原題)を配信予定であることを発表した。配信に先駆け、1月23日から2月2日まで開催されるサンダンス映画祭で上映予定だという。作品の内容は、「『Taylor Swift: Miss Americana』は、この時代の最もアイコニックなアーティストであるテイラー・スウィフトの姿を、鮮明かつ感情的に伝えます。ソングライター、パフォーマーとしてのみならず、女性として自身の力を最大限に使って声を届ける。テイラーがそう学んだ、変化の時期を追いました」とのこと。メガホンを取ったのは、ラナ・ウィルソン監督。これまでに手掛けた長編ドキュメンタリーは2本で、デビュー作『After Tiller』(原題)でエミー賞を受賞、日本で自殺防止活動に取り組む僧・根本一徹氏に焦点を当てた『いのちの深呼吸』でも数々の映画祭で上映&賞にノミネートされるなど高い評価を受けている。テイラーは先月、本人の“不本意”な形でこのドキュメンタリー映画に関する情報を伝えていた。「こんな風に発表するつもりはなかったんだけど、Netflixが過去数年の私に関するドキュメンタリーを作った。でも、スコットとスクーターがこの作品で私の昔の音楽やパフォーマンス映像を使うことを禁止している」。テイラーのほとんどの楽曲の権利は、過去に所属していたスコット・ボルチェッタのレコード会社「ビッグマシン・レコード」が所有している。今年に入ってスクーター・ブラウンが同社を買収。楽曲の権利をめぐって、テイラーとの争いが勃発している。果たして『Taylor Swift: Miss Americana』で古い楽曲は使われているのか?(Hiromi Kaku)■関連作品:【Netflix映画】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミング
2019年12月05日音楽ドキュメンタリー映画『MAN WITH A MISSION THE MOVIE -TRACE the HISTORY-』が、2020年に公開される。"初"ドキュメンタリー、国内外で活躍する謎多き5人組ロックバンド頭はオオカミ、身体は人間という謎の生命体5人組からなるロックバンド「MAN WITH A MISSION」。2010年から、突如音楽シーンに登場し、日本武道館などでライブを成功させてきた。現在は、全米デビューや海外ツアーなどで海外へ活動範囲を広げ、世界からも注目を集めている。今回制作されたのは、「MAN WITH A MISSION」初となるドキュメンタリー映画『MAN WITH A MISSION THE MOVIE -TRACE the HISTORY-』だ。音楽ジャーナリストのカール・クーパーが、彼らの音楽への愛情や、彼らを取り巻く人々のインタビューから、10年かけて謎多き”オオカミ達”の秘密に迫る。【詳細】『MAN WITH A MISSION THE MOVIE -TRACE the HISTORY-』公開時期:2020年監督:チェンコ塚越出演:MAN WITH A MISSION(トーキョー・タナカ、ジャンケン・ジョニー、カミカゼ・ボーイ、DJ・サンタ・モニカ、スペア・リブ)
2019年11月25日世界中で記録的大ヒットとなり、日本でもすでに興行収入45億円を突破し社会現象となっている映画『ジョーカー』。主演のホアキン・フェニックスは、その鬼気迫る演技で本年度アカデミー賞主演男優賞の大本命といわれている。そんな彼が、過去に私財数億円と2年間の仕事を放棄して作り上げた衝撃のフェイク・ドキュメンタリー『容疑者、ホアキン・フェニックス』が、2020年1月17日(金)より緊急再リリースされることが決定した。全米が激怒した!? 俳優引退&ラッパー転向を宣言した2年間の壮絶な記録?ホアキンには、『ジョーカー』よりもずっとリアルで、そのあまりに壮絶な演技のために全米中の人々をダマしてしまった“真の最高傑作”が存在していた。2008年、『グラディエーター』『ウォーク・ザ・ライン』で2度もオスカー候補に選ばれ、すでに世界的スターとして知られていたホアキンは突如として「俳優引退」と「ラッパー転向」を宣言、表舞台から忽然と姿を消す。以来、風貌は変わり果て、薬物中毒のうわさまで広まった彼の姿にファンは涙し、心配していた。しかし、2年後に事態は一変。引退宣言以降の彼を記録し続けた“ドキュメンタリー”として本作が公開、その後すぐ、ホアキンはなんと全てが監督を努めたケイシー・アフレックと仕掛けた壮大なウソで、世間をダマすための実験だったと打ち明けたのだ!その結果、映画はファンの怒りを買い興行的にも鳴かず飛ばず。日本でも2012年に限定上映されたが、成功を収めることなく、すでに数年前に配給権も消失。DVDも絶版状態となっていた。数億円の私財と2年間の仕事を放棄した、これぞ“真の最高傑作”!?だが、映画ファンや批評家の間では、数多くのセレブや友人たちを含め、米国中を完全にダマしてしまった本作こそが、俳優ホアキン・フェニックスの、そしてケイシー・アフレックの紛れもない真骨頂で最高傑作であるとの声も。このフェイク・ドキュメンタリーの中で“常軌を逸してしまった自分”を演じるホアキンの怪演はまさに“リアル”で、相棒ケイシーの回すカメラの前で幾多の奇行、乱行を繰り広げ、本気で彼を心配したベン・スティラーがわざわざ彼の自宅を訪れるシーンも収められている。いま、『ジョーカー』の大ヒットでホアキンへの注目が急上昇する中、多くのファンや報道関係者から問い合わせが殺到したことから、日本の配給元は急きょ権利元と再契約交渉を行い、新たな価格設定でDVDの再発売を決定。また、配信も決定している。『容疑者、ホアキン・フェニックス』は2020年1月17日(金)よりDVDリリース、各動画配信(VOD)プラットフォームにて2020年1月1日(水)より順次配信開始。(text:cinemacafe.net)■関連作品:容疑者、ホアキン・フェニックス 2012年4月28日よりシネマライズほか全国にて公開© 2010 Flemmy Productions, LLC
2019年11月20日生きていくうえで欠かせないもののひとつといえば、医療。私たちが安心して暮らせるのも、医療の現場を支えてくれる人がいるからこそですが、今回は普段知ることのできない様子を垣間見ることができる注目の映画をご紹介します。その作品とは……。珠玉のドキュメンタリー『人生、ただいま修行中』!【映画、ときどき私】 vol. 272本作の主人公となるのは、パリ郊外にある看護学校に通う生徒たち。年齢も出身も異なる彼らが看護師になるという夢を叶えるため、実際の現場で奮闘している姿に密着しています。そこで、40人の生徒たちを150日間にわたって見つめてきたこちらの方に、本作に込めた思いや彼らから学んだことについて語っていただきました。フランスのニコラ・フェリベール監督!これまでに『パリ・ルーヴル美術館の秘密』や『ぼくの好きな先生』といった名作ドキュメンタリーを次々と世に送り出し、現代ドキュメンタリー最高峰の一人ともいわれているフェリベール監督。11年ぶりの来日という貴重な機会にお話をうかがってきました。―本作では医療を題材にされていますが、最先端の手術やスーパードクターを追うのではなく、あえてスタート地点に立ったばかりの学生たちに密着しようと思った理由から教えてください。監督私は普段あまり表に出てこない人たちに敬意を捧げるような作品を作りたいと思って、今回は取り組みました。なぜなら、看護師というのは陰にいるような存在で、どちらかというとあまり高い評価を得られていないところがあるからです。医療の世界では、医者に比べて看護師は下に見られているようなところがあると感じたからこそ、そういう仕事に焦点を当てたいという意図がありました。そのなかでも、なぜ看護師の卵である学生たちを追いかけたかというと、彼らはまだ若い世代であるにもかかわらず、病気につきまとう苦悩や末期状態にいる患者たちの人生と向き合うこととなります。そこには恐れもあるでしょうし、未知のものを発見していくこともあるでしょう。でも、私はそこに生まれる彼らの若さと人生の終わりという強いコントラストに惹かれるものがあったのです。―確かに、医療の現場では普通の若者たちでは目の当たりにしないような現実と向き合うことになりますよね。監督それと、若い人たちを登場させることによって、観客のみなさんがより感情移入しやすくなるだろうと思ったのも理由のひとつです。たとえば、注射を打つ難しさを学んでいるところやさまざまな医療的な動きを覚えなければいけないところを見ると、「私だったらできるかな?」と誰もが自分と重ね合わせてしまうはずですから。私も看護を学ぶということがどれだけ難しくて時間のかかることかを知りましたが、いろいろな知識を習得しなければいけない看護師は、簡単になることのできない職業なんだと撮影を通して痛感しました。一命をとりとめた経験がテーマを明確にした―監督は2016年に塞栓症を患って救急搬送されたそうですが、その経験も本作を制作するうえでは大きな影響を与えているのでしょうか?監督もちろん、それもありました。以前から健康や保険制度をテーマにしたドキュメンタリーをいつか撮りたいと考えてはいましたが、どういう切り口で着手しようかというのが具体的には見えていませんでした。そんななか、自分が救命救急室に入ることになった出来事は、作品に影響を与えたと思います。つまり、自分の経験を通して、テーマが明確になったということです。医者というのは、いつもすごく急いでいますし、彼らの関心事の大半は技術的な部分や医療的なことですが、入院してみてよくわかったことは、看護師とのやりとりがいかに大事な部分を占めているかということ。つまり、患者としては人と話をして安心させてもらったり、誰かに寄り添ってもらったりすることが非常に必要なことなんですよ。だからこそ、“医療ヒエラルキー”のなかでは下のほうにいるかもしれない看護師や掃除係のような人たちが話しかけてくれたり、笑わせてくれたりするような交流が入院生活においては必要不可欠なことなんだと実感しました。―それは、ご自分で経験したからこそですね。とはいえ、日本でも看護師不足は問題となっており、このままいくと2025年には看護に関わる職員が6万から27万人ほど不足すると言われています。さらに、現在では約75%の看護師が仕事をやめたいと思っているというデータもありますが、看護師が希望を持って仕事を続けられるために改善すべき点はどんなことだと思いますか?監督この数字を聞くと、看護師をめぐる状況は、どこも同じなんだということがよくわかりますが、私の国であるフランスはもちろん、ヨーロッパも同じ問題を抱えていますよ。給料はそれほどよくないし、勤務時間もとても不規則なので、看護師になりたいという人たちがだんだん減っていることは理解できますよね。そういった条件的な厳しさはもちろんですが、彼らが直面している問題はほかにもあります。それは、人員や予算の削減といった経済的な部分がますます優先されるようになってきたことによって、本来であればもっとこういう看護したいという自分たちの思いを貫けない状況に追い込まれていることです。病院では看護師たちによるストもよく起きていますが、それは決して給料のアップだけを唱えているものではなく、もう少し自分たちの仕事に威厳を持って働けるように体制を整えて欲しいということを訴えているものでもあるんですよ。看護師の大変さを目の当たりにして驚いた―どこの国でも、まだまだ多くの問題が残されている状況ということですね。今回は彼らの生活に密着するなかで、さまざまな場面に遭遇したと思いますが、そのなかで印象に残っていることはどんなことですか?監督私が一番驚いたのは、彼らが学ぶべき知識や技術の幅の広さです。これまでの私は、看護師といえば、お医者さんの補佐役くらいのシンプルなイメージを持っていましたが、本当にさまざまなものを会得しなければいけないということを初めて知りました。それは技術的なことだけではなく、倫理的なことや道徳観、法律や権利的な概念、それから薬の配分には数学的なことも必要になりますし、薬理学もきちんと学ばなければいけないですよね。さらに、体力も必要ですし、責任感というのも持ち合わせなければならないので、多様なものを習得してはじめて看護師になれることを知りました。そのほかには、それぞれの人が持つストーリーのなかにある美しさに触れることができたのも印象に残っています。―全力で向き合う彼らを見ていて、もっと社会全体で彼らを支えるような寛容さを私たちも持つべきだと感じましたが、最後に監督がこの作品を通して観客に伝えたい思いを教えてください。監督作品を制作するときに私が心がけているのは、テーマ以上のものを映画が示唆するようにすること。今回は看護の世界を映し出していますが、私の作品はあくまでもその入口でしかないので、看護以上のことを訴えている人間の映画でもあります。彼らは人を看護するという非常に重要な職業に従事している人たちなので、私たちにとっても決して無関係のことではありません。それだけに、私たちをケアしてくれる人たちを私たちがもっとケアしなければいけないと思っています。つまり、彼らがよりよい条件のなかで仕事ができるように気を遣ってあげるべきだということ。そして、それは必ず私たち自身にも返ってくることでもあるというのをみなさんにも考えて欲しいです。人生には学びと感動が詰まっている!自分の仕事に対して誇りや希望を持って働くことの大切さを思い出させてくれる看護師たちの真剣な眼差しに、心を動かされる本作。病院で当たり前のように受けていた治療も、看護師たちの努力と熱意によって支えられていたものだと改めて感じさせられるはず。看護師不足が叫ばれる現代において、私たちが彼らをどのようにして支えていくべきかをひとりひとりが考えてみては?応援したくなる予告編はこちら!作品情報『人生、ただいま修行中』11 月 1 日(金) 新宿武蔵野館ほか全国順次公開配給:ロングライド©Archipel 35, France 3 Cinéma, Longride -2018
2019年10月28日美術史において最も偉大な画家のひとりとされるフィンセント・ファン・ゴッホ。現代でこそ有名なゴッホだが、生前には絵がまったく売れず、自分で左耳を切り落とした“耳切り事件”や、若くして拳銃で自らを撃ち命を絶ったことでも知られる。そんな短くも激動の人生を歩んだゴッホを題材にした映画はこれまでにも数多く作られてきたが、この秋にもゴッホを題材にした映画が立て続けに公開され、東京・上野の森美術館では「ゴッホ展」が開催中。そこで、それぞれ全く別の視点からゴッホに迫り、ゴッホの新たな一面を描くおすすめゴッホ映画4作品をピックアップした。ゴッホを世界に知らしめた女性『ゴッホとヘレーネの森クレラー=ミュラー美術館の至宝』ゴッホの世界最大の個人コレクター、ヘレーネ・クレラー=ミュラー夫人の目を通して、全く新しい視点でゴッホを描いたアート・ドキュメンタリー。1890年に自ら命を絶ったゴッホ。生前は作品が評価される機会も少なく、死後は遺族がほとんどの作品を所有していたため、無名の存在に近かった。そんなゴッホの作品と出会い、個人収集家としては最大規模の300点(うち油彩は85点)を収集したのが、ヘレーネ・クレラー=ミュラー。オランダ有数の資産家であり、4人の子の母でもあった彼女は、1906年ごろから絵画のコレクションを始めた。彼女の興味はゴッホが影響を受けた画家たちにも広がり、一大コレクションは1938年にクレラー=ミュラー美術館として結実。彼の作品を収集し美術館まで設立したある人物を通して、ゴッホの人物象と作品に迫る。10月25日(金)より新宿武蔵野館ほか全国にて公開。ウィレム・デフォーがゴッホを熱演『永遠の門 ゴッホの見た未来』幼いころから精神に病を抱え、まともな人間関係が築けず、常に孤独だったフィンセント・ファン・ゴッホ。才能を認め合ったゴーギャンとの共同生活も、ゴッホの衝撃的な事件で幕を閉じることに。作品が世に理解されずとも筆を握り続けた不器用な生き方を通して、多くの名画を残した天才画家の人生に改めて迫る。『バスキア』『潜水服は蝶の夢を見る』のジュリアン・シュナーベル監督から、「この役は彼しか考えられなかった」と言わしめたウィレム・デフォーは、第75回ヴェネチア国際映画祭最優秀男優賞に輝き、アカデミー賞主演男優賞にもノミネートされた。11月8日(金)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。全編が油絵風の異色アニメーション『ゴッホ最期の手紙』(2017年)ゴッホの謎に包まれた死の真相をたどる異色のアート・サスペンスアニメーション。俳優が演じた実写映像をもとに約6万5,000枚におよぶ油絵がゴッホのタッチで描かれ、全編をアニメーション化。アカデミー賞長編アニメーション賞などにノミネートされた。郵便配達人の息子アルマン(ダグラス・ブース/日本語吹替:山田孝之)は、父からいまは亡きゴッホが弟のテオに宛てた手紙を託される。テオに手紙を届けにパリへと向かうが、すでにテオも亡くなっていた。ゴッホの死に疑問を抱いたアルマンはゴッホの足跡をたどり、その死の真相を求めゴッホと関わりを持っていた人々を尋ねる。ゴッホが最期に見たものとはーー。複製画家が“本物”に会いに行くドキュメンタリー『世界で一番ゴッホを描いた男』(2016年)中国の大芬でゴッホの複製画を20年描き続けている“世界で一番ゴッホを描いた男”を追ったドキュメンタリー。出稼ぎで街にやって来た趙小勇(チャオ・シャオヨン)は独学で油絵を学び、20年間ゴッホの複製画を描き続ける生活を送るうち、いつしか本物のゴッホの絵画を観たいと願うようになる。その夢を叶え、アムステルダムでゴッホの絵画と対面した彼は、強い衝撃を受ける――。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ゴッホ~最期の手紙~ 2017年11月3日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国にて公開© Loving Vincent Sp. z o.o/ Loving Vincent ltd.永遠の門ゴッホの見た未来 2019年11月8日より新宿ピカデリーほか全国にて順次公開© Walk Home Productions LLC 2018ゴッホとヘレーネの森クレラー・ミュラー美術館の至宝 2019年10月25日より新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開©2018- 3D Produzioni and Nexo Digital – All rights reserved
2019年10月23日いつの時代も人の心を豊かにしてくれるものとして欠かせないのは、創造力。本来は周囲に制限されることなく自由なクリエイティビティを誰もが持っているはずですが、社会に出ると、創造力を発揮させるのが難しいと感じている人も多いのでは?そこで、今回は世界中の著名人たちに「あなたはなぜクリエイティブなのですか?(Why are you creative?)」というシンプルな質問を30年以上も投げかけ続けているこちらの方に、“クリエイティブになるための秘訣”を教えていただきました。ドイツのハーマン・ヴァスケ監督!【映画、ときどき私】 vol. 268映画監督としてのみならず、ドキュメンタリー作家、プロデューサー、一流企業のCM製作など、幅広い分野で活躍しているヴァスケ監督。大学時代からクリエイティビティの意味について研究し始め、デヴィッド・ボウイやホーキング博士、ダライ・ラマ、ネルソン・マンデラといった超大物たちに、ときには突撃取材を敢行してきた強者です。日本からも北野武、オノ・ヨーコ、山本耀司、荒木経惟といった方々も登場しており、興味深い内容のドキュメンタリー『天才たちの頭の中 ~世界を面白くする107のヒント~』ですが、今回はそんな監督に逆取材をしてきました!Why are you creative?―やはりまずはお決まりの質問から始めたいと思いますが、今回は監督と同じスタイルで行きたいので、答えを書くための紙とペンも持ってまいりました。では、Why are you creative?監督(紙の左端に大きな楕円をひとつ書き)はい、まずはこれで。―これは!?ちょっと深すぎて私には理解が及ばないのですが、一体どういう意味でしょうか?監督アルファベットのO(オー)ですよ。これから質問ごとに一文字ずつアルファベットを追加して、ある英単語にしたいと思います。なので、次の質問をどうぞ!―なんと、いきなりクリエイティブな展開ですね(笑)。私にとって初めての取材形式となりますが、制限時間内に単語を完成させられるようにがんばります!監督(笑)。ジェフ・クーンズとハーマン・ヴァスケ監督―私も監督同様にインタビューを中心に活動しているので、この3~4年で300人以上の映画監督や俳優のみなさんに取材をしてきました。クリエイティブな方々のお話を聞くことが何よりも刺激的で楽しいのですが、その反面「私自身はクリエイティブではない」という強いコンプレックスが自分のなかにあることにこの作品を見て気がつきました。人は誰でも、いくつになってもクリエイティブになることは可能なのでしょうか?監督(アルファベットのBを書きながら)もちろんです。クリエイティブになるための秘訣は、自分のなかにある“子どもらしさ”とつねに繋がっていること。それは純粋無垢な気持ちや好奇心とも言えますが、それを意識していれば、18歳だろうと、100歳だろうと、つねに創造性豊かでいることができます。では、「創造性とは何か?」。辞書で引いてみると、「何もなかったところに新しく作ること」と定義されていますが、僕は実際にそれを体現した建築家のオスカー・ニーマイヤーに会ったことがあります。彼はブラジルのジャングルのなかに新しい都市を作った人で、会ったときはすでに102歳でしたが、本当に生き生きとしていて、おもしろいし、遊び心もあるし、年齢や時代を感じさせないクリエイティブさを持っていると感じました。そのほかにもご高齢で現役の方々にたくさん会いましたが、どなたも自分のなかにある子ども心と繋がっている方ばかり。つまり、それを失ってしまうことが、創造性を失うことでもあるのです。実際に行動に起こすことが何よりも大事北野武―ということは、誰のなかにもクリエイティビティは存在しており、それを生かすも殺すも自分次第。生まれながらにしてクリエイティブな人間とクリエイティブではない人間にわかれているわけではないということですね?監督質問を受け付けたので、次はSを書きますね。そうですよ!ただ、クリエイティブな人とそうではない人の違いはあります。クリエイティブではない人というのは、アイディアが浮かんだとき、それについて考えるし、他人に話もするけれど、実際の行動に起こさない人のことです。ダミアン・ハーストというアーティストが、「君のこの作品は僕にでも作れそうだ」とあるジャーナリストに言われたことがありますが、そのときに「でも、あなたは作ってはいませんよね?」と切り返したことがありました。そこにこそ、違いがあると考えています。つまり、クリエイティブではない人は、“自分にもできると思うけどそこで終わってしまう症候群”ということですね(笑)。だからこそ、周りにあらがってでも行動に移すことが大事なのです。―なるほど。非常にわかりやすい違いですね。監督僕は誰もがクリエイティブでいてほしいと思っているんですが、多くの人が自分の心のなかに気が小さい自分がいて、それが「いやいや!もし、こんなのを作っちゃったら周りからなんて言われてしまうだろう」とか「問題になって炎上してしまうかも!」と考えて、行動することをやめてしまうんですよ。もうひとつエピソードがありますが、広告界で有名なディレクターのジョージ・ロイスが「ジョージ、気をつけて(George, be careful)」という本を出版したときのこと。それは、彼の両親がいつもジョージに言っていた言葉だったといいます。そんなジョージが僕にサインした本をくれたのですが、そこには「ハーマン、無鉄砲であれ(Hermann, be reckless)」と書いてありました。彼は僕に「慎重になるのではなく、やってしまえ!行動に移すことが大事なんだ!」と伝えてくれたのです。映画のなかでもいろんな人の話がありましたが、みんなに共通して言えるのは、「自分は自分である。そして、人と違っても全然かまわない」ということ。クリエイティブにおいては、とにかくやってみるという行動力が必要だと思います。創造性を広げるヒントを感じて欲しいウィレム・デフォー―確かに、この作品を観ると、背中を押されるような感覚がありました。監督僕はこの映画を通して、そういった思いを多くの人と共有したいですし、それがみなさんにとって刺激になってくれたらうれしいです。実際、さまざまな場所で試写会を行いましたが、上映後にはいろいろな人が僕のところにやってきて、「いままで悩んでいたけれど、創造性が広がるヒントになった」といった声をたくさん耳にしました。そんなふうに、問題解決の糸口になったり、創作活動に対する姿勢を変える力がこの作品にあるのなら、作り手としては幸せなことです。―本作を観る前までは、クリエイティブであることを求められるのはアーティストや芸術などに関係する人たちだけだと思っていましたが、実はクリエイティビティには非常に多面的な意味があることがわかりました。それだけに、誰もがクリエイティブであるべきだと思いますが、世界中の人々がみなクリエイティブになったら、どんな世界に変わると思いますか?監督OBSときて、次の文字は〇(ここからは、みなさんもどんな単語が完成するか一緒にお考え下さい)。それはもちろん、よりよい世界になるだろうね!きっと、いまよりも彩り豊かになるんじゃないかな。いまあなたが着ている服みたいにね(笑)!―(驚)。実は、今日の個人的な裏テーマとして、自分が持っているなかで一番クリエイティブだと思う服(胸元にいろんな色が混ざった刺繍と特殊なデザインが施された黒地のトップス)を着てきました。まさか気がついていただけるとは思わなかったので光栄ですし、さすが監督です!監督(笑)。いや、いい服を選んできたよね。完璧なチョイスだよ!監督が思うもっともクリエイティブな人物とは?―ありがとうございます。では、次の質問です。これまでに1000人以上の著名人の方々にお会いになったということですが、そのなかで監督がもっともクリエイティブだと思ったのはどなたですか?監督(新たな一文字を書きながら)それは、やっぱりデヴィッド・ボウイですね。彼は非常に独創性にあふれた人だったので、亡くなってしまったことが残念でなりません。つねに新鮮なアイディアをどんどん生み出していましたし、人としても素晴らしい人でしたよ。僕は彼が70年代後半にイギー・ポップとベルリンに住んでいたときからの付き合いだったので、何度か取材をさせてもらうことができました。そのなかで、僕は窓のほうを向いて話していて、彼はソファでカメラに向かって答えているというシュールな構図にしましたが、あれはあるアーティストがBBCの取材を受けるときに、「人間が逆さまになって足が話しているような設定にしたらどうか?」という発想があったというエピソードを聞いて決めたもの。でも、そんなふうに、毎回違う何かをしようとする姿勢が本当に素晴らしいと思います。デヴィッド・ボウイとハーマン・ヴァスケ監督―あのシーンは非常に印象的でした。どの方も本当に大物の方々でしたが、突撃取材などもあったようなので、ハプニングに見舞われたことはありませんでしたか?監督OBS〇〇ときて、今度もさっきと同じ〇かな。もちろんありましたよ。そのなかでひとつ話すとしたら、のちに一緒に映画を作ることになった俳優のハーヴェイ・カイテルに会いたいと思っていたときのこと。雪が降っていて、すごく寒い1月のニューヨークでした。まず彼のアシスタントの電話番号を手に入れたので、そこに連絡してみると、「自分じゃわからないからマネージャーに連絡して」ということで、マネージャーに連絡すると、今度は「パブリシストに連絡して」と言われ、次は「私じゃなくてエージェントに」と言われ、25分以上かけてようやくたどり着いたのに、「いや、無理です」と断られてしまったんです。ジュリアン・シュナーベルとハーマン・ヴァスケ監督―見事なまでのたらい回しですね(笑)。その後、どうされたのでしょうか?監督その日に取材をしたジュリアン・シュナーベル監督に「今日はこんなことがあったんだ」とたまたま話をしました。そしたら、取材のあとにホテルに戻ると、部屋の留守番電話に「ジュリアン・シュナーベル監督の推薦があったので、木曜か金曜にハーヴェイ・カイテルを取材できますよ」とメッセージが入っていたんです。そのおかげで、一緒に映画を撮ることにもなるのですが、僕はクリエイティブなコミュニティに助けてもらうことが本当にたくさんありました。そこで、クリエイティブであることと同時に、寛容であることも大事なことだと改めて痛感したのです。「もう負けた」と思ったときに限って、「9回裏で大逆転して勝利!」みたいなエピソードが僕には数多くあるんですよ。ダライ・ラマ―それはやはり、これだけの方々から話を引き出せる監督の魅力もあると思います。少し話は変わりますが、劇中で1つ気になったことがあるのでお聞きしてもいいですか?エピソードの合間にたびたびお寺の鐘が鳴るような演出がされていましたが、日本では煩悩を取り払うために除夜の鐘を鳴らしたりします。もしかして、同じような意味が込められていたりしますか?監督(ひとつ文字を追加して)いや、そういう意図ではなかったけど、それは興味深いおもしろい話だね!つまり、僕は知らないうちに正しいことをしていたということが言えるんだね。クリエイティビティには世界と人を変える力があるジム・ジャームッシュ―そういうことになりますね。まだまだお聞きしたいことはたくさんありますが、そろそろ時間なので最後の質問です。日本人は他人と違うことを怖がり、周りと一緒であろうとするので、個人の創造性が失われやすいと感じています。本作では107通りのアドバイスが得られますが、監督から108個目をお願いします!監督まずは、ほかの人と違うということを恐れず、自分らしく生きることが大事なこと。そして、何でも周りの許可を得ようと思わずに、とにかくやってみることです。そうしないと、「あのときああすればよかった」と一生後悔し続けることになると思うので。映画のなかで、ネルソン・マンデラも言っていますが、クリエイティビティとは世の中だけでなく、自分自身を変える力も持っているのです。そして、女優のジャンヌ・モローも「創造性とは希望」と語っていましたが、クリエイティビティは変化を起こす唯一の方法でもあります。マイケル・ジャクソンも「クリエイティビティは世の中をよくするためのカギだ」と言っていたくらいですからね。―ということで、最後の質問でひとつ追加していただいてOBS〇〇〇〇〇となったので、あと一文字を入れていただくと完成だと思いますが(みなさん、おわかりになりましたか?)、オマケで一文字入れて答えを見せてください。監督まとめると、僕のクリエイティビティの源は「OBSESSION(執着)」です!―その心は?監督僕はこのテーマをライフワークとし、執着し続けてここまで来たから。なぜそこまでこだわるかというと、これだけ偉大な人たちの言葉を埋もれさせたくなかったし、もし本人が他界してしまったとしても、彼らの遺したものを次に伝えていくことが大事だと思ったからです。来年にはインスタグラムなどのSNSでも大きなキャンペーンを予定していますし、続編も製作するつもりなので、これからも楽しみにしていてください。ちなみに、僕のサインは逆さまに入れておくよ!―最後の最後までさすがです(笑)。今回はクリエイティブに富んだ時間をありがとうございました!インタビューを終えてみて……。終始まったく先が読めないヴァスケ監督の言動に、追いつけないながらも頭をフル回転させながら挑んだ今回の取材。「思うだけでなくやってみる」という監督のアドバイスに従って、この記事も通常のインタビュー記事とはかなり異なる進行と写真の構成にしてみました。私が刺激を受けた監督のクリエイティビティとユーモアが少しでも伝わればと思います!眠っているクリエイティビティを覚醒させよ!デヴィッド・ボウイ「人はなぜクリエイティブであるべきなのか」という問いに、さまざまな方向からヒントをくれる傑作ドキュメンタリー。自分のなかにいる“小さな自分”に打ち勝ち、クリエイティブに生きることに目を向ければ、この先の人生もよりカラフルなものに変えられるはず。まずは、いま頭に浮かんだことから挑戦してみては?クリエイティブな予告編はこちら!作品情報『天才たちの頭の中 ~世界を面白くする107のヒント~』10月12日(土)より、新宿武蔵野館ほか全国順次公開配給:アルバトロス・フィルム©2018 Emotional Network
2019年10月11日アジア初のドキュメンタリー映画祭としてスタートした<山形国際ドキュメンタリー映画祭2019>(以後ヤマガタ)が10日開幕した。1989年から2年に1度の隔年で開催され、いまでは世界の映画人と人とが集うドキュメンタリー映画の祭典に。昨年8月には、米国アカデミー賞の公認映画祭に認定された。16回目となる今回は記念すべき30周年となる。この日の開会式は、世界から集まった来日ゲストや映画関係者、観客を合わせ、400人を超える人々が集まり会場は大盛況。まず、山形交響楽団金管8重奏の演奏とともに、これまでヤマガタに来場した監督たちの映像をスライドショーで上映。レナード・バーンスタインの『ウエストサイド物語』やエンニオ・モリコーネの『ニュー・シネマ・パラダイス』などの演奏にのせながら、フレデリック・ワイズマン、ペドロ・コスタ、原一男ら名だたる映画作家たちの姿が次々と映し出され、映画祭30年の歩みを振り返った。そして迎えたオープニング上映は、今年1月に死去した詩人で伝説の映画監督であるジョナス・メカスの作品『富士山への道すがら、わたしが見たものは…』の16ミリフィルムを追悼上映。本作には、1991年にメカス監督が山形を訪れた際の映像が収められている。上映前に、メカス監督が山形を訪れた際、案内役を務めた農業詩人の木村迪夫さんが登壇。当時、行われたシンポジウムでのメカス監督とのエピソードを語った。木村さんはメカス監督との対話で印象に残っていることが3点あるとのこと。1つ目は故郷についてのことで、「メカスさんはリトアニアの小さな村で暮らしていたが、悪いことがひとつもなかったという。愉しいこと、美しいことでいっぱいだったと言っていた。対して、自分は戦争で父と叔父をなくし、貧困の中で育った。周囲からは貧しいということで蔑まれたりと、悲しい思い出しかない。いつか村の人たちを見返してやると反逆の精神があった。だから、故郷をそう思えるメカスさんがうらやましかった」と明かした。2つ目は、自身の出身地ということだったそう。「メカスさんは、『地方性』ということを強調されていた。メカスさんはリトアニアからニューヨークへ移ってからも、リトアニア語で詩を書き、それをリトアニアの言葉で朗読していた。ルーツを大切にしていた。対して、私はさきほどの反骨心もあって、山形弁はぜったいに使わないと決めていた」とこちらも正反対であったことを明かした。最後の3つ目は創作について。メカス監督は「詞は内側から発する言葉で、映像は外側から発する言葉。したがって、とても近い存在ではないか」と語っていたという。木村さんはこれらが原点にあり「メカスさんの牧歌的で、美しく叙情的でロマンチックな作品の魅力は、これらの点が原点にあるのではないか」とメカス作品の魅力を紐解き、「今日、久々に映像を見れることを楽しみにしている」とメカス監督に思いを寄せた。こうして開会式は終了。本日11日から本格的に映画祭はスタートする。今回の応募作は130の国と地域から過去最多の2371作品。目玉となる「インターナショナル・コンペティション部門」には15作品が選ばれている。ドキュメンタリー映画の巨匠、フレデリック・ワイズマン監督の新作『インディアナ州モンロヴィア』や『鉄西区』『苦い銭』のワン・ビン監督の8時間を超える長編『死霊魂』といった話題作から、若い新鋭監督の作品まで、世界で起きているさまざまな事象や問題をとらえたドキュメンタリー映画が並ぶ。アジアの新鋭作家に開かれた「アジア千波万波部門」では、長編第1作『鉱ARAGANE』が本映画祭で特別賞を受賞した小田香監督の『セノーテ』、巨匠、アッバス・キアロスタミ監督を父に持つバフマン・キアロスタミ監督の『エクソダス』など、注目の新鋭監督たちの顔が揃う。また、いろいろな意味で、いまはアジアをめぐる状況が変化しているとき。隣国でいまなにが起きているのかを知る機会にもなるに違いない。世界中を魅了する映画と映画作家を生み出し続けるイラン映画の魅力の根源に迫る「リアリティとリアリズム:イラン60s-80s」といった映画ファンとしては見逃せない特集や、日本のいまがみえる「日本プログラム」など、多種多様な企画や特別上映も組まれている。会期は17日(木)まで。映画と出合い、人と出会い、うまいものと出会えるのが本映画祭。興味をもったらぜひ足を運んでほしい。取材・文・写真:水上賢治
2019年10月11日女優・創作あーちすと、のんが初監督・製作したオリジナル映画の舞台裏を追ったドキュメンタリー作品「のんたれ(I AM NON)」が、YouTube Originalsにて公開されることになった。本作は、「創作あーちすと」として活動の場を広げるのんさんがオリジナル映画を撮る過程を追ったドキュメンタリー。女優、アーティストとしての「のん」をプロデュースし新たな一歩を踏み出そうとするのんさん自身の姿を、1年半かけて追った。岩手県遠野市に滞在しながら脚本を書き、自ら監督となって準備・撮影・編集まで行うのんさん。慣れない作業の連続、スタッフや出演者とのコミュニケーション、時間との戦いなど様々な困難に直面しつつ、時には偉大な映画の先輩たちにアドバイスを受けながら、彼女は自分らしさとは何か、表現とは何かを模索し続ける。作品は全10エピソードのドキュメンタリーと、のんさんが監督を手がけた映画『おちをつけなんせ』の合計11エピソードで構成。最終話として公開される『おちをつけなんせ』は、監督・主演・脚本・演出・衣装・編集・音楽など、全ての工程をのんさん自身が手がけている。さらに、女優・映画監督の桃井かおり、是枝裕和監督、片渕須直監督など、本作にも登場する大先輩のクリエイターからインスピレーションを受けながら、岩手県遠野市を舞台にのんさんが初めての挑戦に奮闘していく。全エピソードはYouTubeで視聴可能。YouTube Premiumメンバー(有料会員)は、全エピソードを広告なしで一度に視聴でき、メンバー以外は各エピソード無料公開後に、広告付きで視聴できる。YouTube Originals「のんたれ(I AM NON)」(ドキュメンタリー全10エピソード+映画)は10月2日(水)より公開。(text:cinemacafe.net)
2019年09月18日ファーファー(FURFUR)の2019年秋冬コレクションから、新作が登場。ファーファー 2019年秋冬コレクションのテーマは「ドキュメンタリー(Documentary)」。人の内面や感情を露にする「ドキュメンタリー」作品に着想を得て、洋服の内側に隠された縫い代やステッチなどのディテールをあえて表に出したり、前後左右の異素材使いや配色のコントラストによって二面性を表現したりすることで、コレクションを作り上げている。無地のツイルとチェック生地を貼り合わせたオリジナル素材で仕立てたのは「ボンディングコート」。着丈を長めに設定したオーバーサイジングなアウターながら、ハリ感のあるテキスタイルが、立体的で美しいシルエットを生み出している。2018年秋冬コレクションでも人気のあったノルディックドレスをアップデートしたのは「ノルディックリバーシブルニットドレス」。丸ヨークのセーターを逆さまにしたかのようなデザインが特徴だ。ニットとキャミソールドレスがセットになっており、ニット部分はリバーシブルで着用することもできる。「ローズタトゥー(RoseTatoo)スカート」は、アーティストのTAPPEIが描いたバラ柄を刺繍した、フレアシルエットのスカート。手書きの不揃いな線やわざと残した糸などのディテールが目を惹く。ウエストはブラックで切り替え、メリハリのあるデザインに仕上げた。「アシンメトリーヘムプリーツスカート」は、ウエスト周りのギャザーやアシンメトリーなヘムラインがドラマティックな印象。チェック柄のプリーツ部分に透け感のあるシフォン生地を採用することで、軽やかな雰囲気を演出した。なお前述のアイテムは、ファーファー 2019年秋冬コレクションの発売に合わせて公開されたビデオやビジュアルに登場。シーズンテーマである「ドキュメンタリー」をイメージした作品となっている。また公式サイトでは10月17日(木)より、『きみの鳥はうたえる』『楽園』などにも出演する女優・石橋静河を起用したビジュアルを公開。石橋は前述の「ボンディングコート」や「ノルディックリバーシブルニットドレス」など2019年秋コレクションのピースを纏っている【詳細】ファーファー 2019年秋冬コレクション 新作一部発売中 ※アイテムによって発売日が異なる。アイテム例:・ボンディングコート 49,000円+税 ※9月下旬頃発売・ノルディックリバーシブルニットドレス 27,000円+税・ローズタトゥースカート 24,000円+税・アシンメトリーヘムプリーツスカート 24,000円+税
2019年09月09日トロント映画祭のオープニング作品が発表された。音楽ドキュメンタリーで、タイトルは『Once We Were Brothers: Robbie Robertson and The Band』だ。本作は、カナダのミュージシャン、ロビー・ロバートソンが2016年に出版したメモワールからインスピレーションを得て制作されたもの。カナダのドキュメンタリーが、この映画祭のオープニング作品に選ばれるのは初めてのことだ。ロバートソンは『レイジング・ブル』をはじめ、マーティン・スコセッシ映画の音楽監督を務めてもいることから、スコセッシもこの映画のエグゼクティブ・プロデューサーに名を連ねている。今作は、カナダではストリーミング配信される予定。昨年のオープニング作品『アウトロー・キング~スコットランドの英雄~』も、Netflixで配信される作品だった。今年のトロント映画祭は9月5日(木)から15日(日)まで。文=猿渡由紀
2019年07月19日日常生活では触れられない“世界の今”を映し出すドキュメンタリー。堅苦しくて、ちょっと退屈かも…。なんてイメージを持っているあなた!実はいま、ネットフリックスを中心とした配信サービスの登場でそんな認識が変わりつつあります。見逃せない作品を、ピックアップしてご紹介。ジャーナリスト・佐々木俊尚さん、映画評論家・真魚八重子さん、コラムニスト・長谷川朋子さんに伺いました。まだ見ぬ社会の今に迫る佐々木さんセレクト『イカロス』監督:ブライアン・フォーゲル2017年/Netflixオリジナル映画独占配信中【作品紹介】自転車選手でもある本作監督のブライアン・フォーゲルがドーピングの有用性を検証すべく、ロシアのアンチ・ドーピング機関の所長であるロシア人科学者の下、実験を始める。同時期ドイツで、ロシアの国家ぐるみのドーピングが暴露され、ブライアンもその闇に巻き込まれていく。【みどころ】「刺激的な映像、予想を超える展開、そして観るものに大きな感動を与える世界観。観終わったとき、壮大なスパイ小説を読んだような深い感動があります。2010年代のドキュメンタリーの中の、最高傑作だと思いますね。普通はなかなか近づけない闇の内部まで入り込んだところもすごいですし、監督自らドーピングをするというような当事者性のある視点も、とても現代的です」長谷川さんセレクト『テイク・ユア・ピル:スマートドラッグの真実』監督:アリソン・クレイマン2018年/Netflixオリジナル映画独占配信中【作品紹介】覚せい剤と同じアンフェタミンを含む興奮剤アデロールは、アメリカでは、ADHDの処方薬として合法的に入手が可能。それがSNSなどを通じて横流しされ、“スマートドラッグ”と呼ばれ、大学生や社会人が“やる気が溢れる薬”として気軽に服用している現実が。無意識のうちに薬物依存に蝕まれているアメリカをあぶり出す。【みどころ】「いまのアメリカの最も深刻な社会問題の一つである、ドラッグ。この作品を観ると、どこにでもいる普通の人たちがドラッグを使っていることがわかり、衝撃的。でも、その背景には、成績重視、高収入を求める、といった超競争社会があることがわかります。問題に当たったとき何に頼るべきなのか。そのヒントが見つかるのでは」ひとつの視点で世界を旅する真魚さんセレクト『アグリー・デリシャス:極上の“食”物語』出演:デイビッド・チャン、ピーター・ミーハンNetflixオリジナルシリーズ独占配信中【作品紹介】NYの有名シェフ、デイビッド・チャンが、バーベキューや中華料理、タコスなど、アメリカでポピュラーな食に注目。そのルーツや、地域によって異なる発展の仕方などに迫る。【みどころ】「テーマにより毎回作品の作りが違うのですが、フライドチキンの回はケンタッキー・フライドチキンのCMをパロディにしたり、アニメを差し込んだりしており、いずれもポップな作りが楽しいです。一方で、アメリカではファストフード的にしか扱われていない中華料理は宮廷料理がルーツであるということや、フライドチキンは黒人差別と深く関わりがあるなど、食について多面的な事実を知ることができるのもおもしろい。民族史と食文化の関係性の深さに興味が生まれます」ささき・としなおジャーナリスト。「ドキュメンタリーの時代」を映画.comで連載。著書に『広く弱くつながって生きる』(幻冬舎新書)など。はせがわ・ともこコラムニスト。国内外のドキュメンタリー制作事情に関する記事を多数執筆。東洋経済オンラインなどで連載も。まな・やえこ映画評論家、映画ライター。朝日新聞や雑誌『映画秘宝』、ウェブマガジン「ハニカム」などで、映画についての執筆多数。※『anan』2019年7月10日号より。
2019年07月07日いま、“ドキュメンタリー”が熱いんです!ネットフリックスで知る、世界のリアル。エンターテインメント性が低いためか、日本ではそれほどポピュラーではないドキュメンタリー。しかし世界では、ウェブを中心に盛り上がりを見せている。ジャーナリストの佐々木俊尚さん曰く、「21世紀に入り、旧来の世界観では社会を分析できなくなってきています。この新しい世界をどう見ればいいのかという人々からの要請があり、それに応える形で、新しい視点を提供してくれるドキュメンタリーが増えてきたのでは」映画評論家の真魚八重子さんは、「カメラの軽量化や低価格化で機動力が上がり、撮るハードルが下がったことも理由の一つ」と語ります。また「枠や時間にとらわれずに作品を発表できる“配信”という形も、人気の理由」と言うのはコラムニストの長谷川朋子さん。「表現の場が増えて幅が広がり、変わったテーマやタブーを扱う作品も登場するようになりました」特にネットフリックスはオリジナル作品を多数配信しており、定額制で見放題というスタイルも相まって人気が上昇。ここではドキュメンタリー通3人のおすすめ作品をご紹介。“事件”を追う長谷川さんセレクト『オードリーとデイジー』監督:ボニー・コーエン、ジョン・シェンク2016年/Netflixオリジナル映画独占配信中【作品紹介】性的暴行を受けた上、その一部始終を携帯電話で撮影されてしまった、10代の少女、オードリーとデイジー。二人に面識はなく事件は別々に起きたものだが、その後揃ってSNSで噂や写真を拡散され、さらに深く心を傷つけられた。二人やその家族、彼らの関係者に及ぼした深刻な影響を検証する。【みどころ】「アメリカでは有名な事件で、他にもこの事件をモチーフにしたドラマが作られているほど。レイプが悪であることもさることながら、ネット社会が被害女性をいかに追い詰めるのかが残酷に描かれます。日本でも、LINEでの仲間はずれやSNSへの悪意ある書き込みなど、ネットいじめは多発しているので、そういう意味ではとても身近な内容かもしれません」佐々木さんセレクト『FYRE:夢に終わった史上最高のパーティー』監督:クリス・スミス2019年/Netflixオリジナル映画独占配信中【作品紹介】’17年、バハマで開かれたファイア・フェスティバル。最高級のヴィラと食事付きという超豪華フェスのはずが、現地にはトイレも飲料水もWi‐Fiもなく、宿泊は災害用テントという惨状。なぜ人々は、主催者ビリーの杜撰な計画と運営に騙されてしまったのか。その謎を解明する。【みどころ】「モデルやインフルエンサーのSNSから発信されたイメージ動画を見て、人々は踊らされ、リアルも盛り上がる、という状況が非常に現代的。主催者ビリーの詐欺師ぶりも愉快ですが、一方でこの作品は、SNS時代というものが何なのかを俯瞰で見せてくれるのがおもしろい。さまざまな流行が生まれる中で、何を重視し何を無視するのか、見極める力をつける一助になります」食を通して文化を学ぶ真魚さんセレクト『ストリート・グルメを求めて』制作:デヴィッド・ゲルブNetflixオリジナルシリーズ独占配信中【作品紹介】現地の生活に根ざした屋台料理を紹介しながら、そこで腕を振るう料理人の料理哲学や人生を描き出す。現在アジアがテーマのシーズン1が配信されており、台湾やソウル、シンガポール、そして日本の大阪にある屋台などをフィーチャー。【みどころ】「屋台での料理シーンを中心に、シェフや料理の魅力はもちろん、屋台の裏にある社会背景を描く30分です。まず、とにかく料理が美味しそう!!素朴だけれど新鮮な素材を使ったメニューはどれも、無造作に盛り付けただけなのに美しく、食欲をそそられます。おすすめはエピソード1のバンコクのジェイ・ファイ。屋台でミシュラン1つ星を獲得した彼女のシグネチャーメニュー・カニオムレツ、いつか食べてみたい」ささき・としなおジャーナリスト。「ドキュメンタリーの時代」を映画.comで連載。著書に『広く弱くつながって生きる』(幻冬舎新書)など。まな・やえこ映画評論家、映画ライター。朝日新聞や雑誌『映画秘宝』、ウェブマガジン「ハニカム」などで、映画についての執筆多数。はせがわ・ともこコラムニスト。国内外のドキュメンタリー制作事情に関する記事を多数執筆。東洋経済オンラインなどで連載も。※『anan』2019年7月10日号より。
2019年07月07日恐竜が大好きで、幼稚園から小学校低学年のころにかけて、いろいろな種類の恐竜について図鑑で調べて名前を覚えたり、恐竜のおもちゃを欲しがったりする子は意外と多いものです。恐竜に限らず、「熱中する」「ハマる」という体験は、一時的なブームとして終わるものではなく、この先のお子さんの学習姿勢を大きく左右するのだそう。今回は、恐竜好きなお子さんの「もっと知りたい」という探求心をくすぐり、「学び」へとつなげるコツについて紹介します。恐竜好きな少年がたどり着いた研究者への道NHKラジオで長い間子どもに親しまれている「夏休み子ども科学電話相談」という番組をご存じでしょうか。子どもたちの素朴な「なぜ?」に、各分野のプロフェッショナルがわかりやすく丁寧な解説で相談にのる人気番組です。この番組で「恐竜」のテーマを担当する北海道大学総合博物館・小林快次博士は、中学生のころ化石に出合ったのをきっかけに「恐竜博士」へと突き進んだのだそう。中学一年生で化石に出会って以来、毎日のように化石を採集する日々を過ごしました。大学でアメリカに留学し、日本人で初めて恐竜の博士号を取得。(引用元:NHK|夏休み子ども科学電話相談)もともと理科が好きだった小林先生は、中学で入った理科クラブのアンモナイトの化石採集で、周りの人がたくさん化石を見つけているのに自分だけは見つけられなかったのだそうです。あまりに悔しくて、その後何度も同じ場所へ足を運んで化石を掘り続けていたとき、先生から「石を割れば割るほど化石が見つかる可能性は上がる」と声をかけられ「スイッチ」が入ったと言います。その後、日本の大学へ入るものの1年でワイオミング大学地質地学物理学科へ留学、飛び級するほどの目覚ましい才能を開花し、日本で初めて恐竜の「博士号」を取得したという経歴の持ち主です。あまりに化石をよく見つけることから、研究仲間から「ファルコンズ・アイ(ハヤブサの目)」や「イーグルズ・アイ(鷲の目)」「ホークス・アイ(鷹の目)」といったニックネームを付けられたのだそう。現在も1年の5カ月ほどは、恐竜の化石を発掘するために世界中へフィールドワークに出かけ、恐竜の化石発掘の第一線で活躍されています。そんな小林先生の恐竜学者としての道のり、そして大発見をなしとげるようになった現在までのお話がたっぷりつまった本がこちら。ドキドキワクワクしながらページをめくってください。『ぼくは恐竜探検家!』小林快次(講談社)恐竜に「ハマる」経験は、小学校6年生の理科につながる興味をもって「ハマる」経験は、小林先生のようにそのまま将来の職業につながるような才能を開花することもありますし、普段の学習においても探求心を育むための大切な基礎を作ります。たとえば現在、小学校6年生の理科では「土地のつくりと変化」というテーマのもとに、土地は礫(れき)、砂、泥、火山灰、岩石からできる地層が積み重なってできていること、地層には化石が含まれていること、火山の噴火や地震によって土地が変化することなどを学びます。恐竜好きなお子さんは、博物館や子ども向けのイベント会場で開催されるような「化石発掘体験」に参加することも多いでしょう。そこで得た経験や知識は、小学校6年生の理科の授業で必ずいかせるはずです。「もっと知りたい!」そんな子どものためにできること4つ子どもの「恐竜が好き、もっと知りたい」という探求心をくすぐるには、昔ながらの本や博物館以外にデジタルコンテンツなども活用しましょう。ここでは、オススメの「図鑑」「デジタルコンテンツ」「博物館」「発掘作業」を紹介します。<図鑑>『DVD付 新版 恐竜 (小学館の図鑑 NEO)』監修・執筆/冨田幸光(学研プラス)恐竜図鑑のベストセラー。専門家の監修のもと細部まで表現されたイラストや世界中から集めた恐竜の写真、国内で発見された恐竜についての情報など充実した内容が評価されています。また、ドラえもんとのび太がナビゲートして、一緒に恐竜の世界を冒険するDVDも付録で収録されています。『DVD付恐竜 (学研の図鑑LIVE)』監修/真鍋真(学研プラス)1点ずつ細部までチェックされた実物に近づけたイラストは迫力満点。BBC(イギリス放送協会)「プラネットダイナソー」の映像がDVD、スマホ・タブレットで見ることができる3D・ARなど、「本物」にこだわった図鑑です。『こども百科 4・5・6歳のずかんえほん きょうりゅうの本 (えほん百科シリーズ)』監修/真鍋真(講談社)種類別に分けた恐竜をわかりやすいイラストで紹介しているのが特徴の絵本です。すべての文字がひらがなで、カタカタにもルビが振られているほか、巻末には内容をおさらいできるクイズやなぞなぞも掲載され、子どもが1人で開いて楽しめるように工夫されています。<デジタルコンテンツ>先に紹介した図鑑には映像がDVDで収録されているほか、専用サイトを開設している出版社もあります。また、NHKや海外のテレビ局が制作しているドキュメンタリー番組にも良質なコンテンツが充実しています。■【もっとNHKドキュメンタリー】「これが恐竜王国ニッポンだ!」・近年、日本各地で「むかわ竜」をはじめ、さまざまな恐竜の化石が見つかっている・“恐竜を愛する”専門家や化石愛好家たち発掘や生態の解明に挑む姿を追う・恐竜たちの姿を超リアルなCGで再現海の巨大は虫類「モササウルス」も!(引用元:もっとNHKドキュメンタリー|これが恐竜王国ニッポンだ!)■【BBC Earth Unplugged】Walking With DinosaursBBCワールドワイドが運営する自然ドキュメンタリーのオリジナルチャンネル『Earth Unplugged』。その中のひとつである「Walking With Dinosaurs」では、迫力ある恐竜たちの姿が楽しめます。最新技術を駆使したCG映像が魅力です。<博物館>世界三大恐竜博物館として知られる「福井県立恐竜博物館」をはじめとして、親子で楽しく学べる博物館は国内各地にあります。■福井県立恐竜博物館(福井県勝山市)■国立科学博物館(東京都台東区)■北九州市立いのちのたび博物館(福岡県北九州市)■群馬県立自然史博物館(群馬県富岡市)<発掘体験>化石の発掘体験は、上記に紹介したような博物館のほか、全国各地で夏休みに開催されるイベント型フィールドワークもあります。また、家庭で簡単に発掘体験ができるキットも販売されています。Geoworldの「恐竜発掘キット」は、ティラノサウルス、トリケラトプス、ステゴサウルス、プテラノドンなど子どもたちが大好きな恐竜がそろっている人気のアイテムです。***かつて男の子だったパパにとって、「恐竜」にロマンと懐かしさを感じる人も多いのではないでしょうか。お子さんが恐竜に興味をもったら「ここはパパの出番!」かもしれません。一緒に図鑑を開き、博物館へ足を運び、そして発掘作業を楽しんでみるのもいいですね。(参考)NHK|夏休み子ども科学電話相談Webナショジオ|小林快次恐竜化石フィールド日誌 第5回恐竜を研究する意味Webナショジオ|小林快次 恐竜化石フィールド日誌 第1回 恐竜化石は「歩いて探す」文部科学省|学習指導要領「生きる力」第2章各教科第4節理科小学館|小学館の図鑑NEO〔新版〕恐竜学研の図鑑LIVE|学研の図鑑 LIVE恐竜AllAbout|恐竜図鑑 人気おすすめ10選!2018年最新版もっとNHKドキュメンタリー|これが恐竜王国ニッポンだ!BBC Earth Unplugged |Walking With DinosaursNIKKEI STYLE|大迫力にワクワク恐竜を楽しめる施設、ベスト10
2019年05月05日昨年、第一次世界大戦の記録映像を用いてドキュメンタリー映画『They Shall Not Grow Old』(原題)を製作したピーター・ジャクソンが、再びドキュメンタリー映画を製作することになった。テーマは「ザ・ビートルズ」だ。「Variety」誌によれば、このドキュメンタリー映画は、1969年はじめにドキュメンタリー映画『レット・イット・ビー』の製作のためにスタジオ内で撮影された、未公開映像と音源を使用するという。1969年1月30日にビートルズが開催した伝説のゲリラ・ライブ「ルーフトップ・コンサート」から50周年を迎えた昨日(現地時間)、「Apple Corps Ltd.」とジャクソン監督の製作会社「WingNut Films Ltd.」が発表した。公開日、内容、タイトルなどはまだ明らかになっていないが、『レット・イット・ビー』の映画とアルバムが公開・発売から50周年を迎える2020年に公開される可能性が高そうだ。ジャクソン監督は「55時間に及ぶ未公開映像と140時間分の音源」を確保していることを明らかにし、「タイムマシンが1969年にぼくたちを連れて行ってくれるような感じ。スタジオ内に座って、メンバー4人が音楽を作っている姿を見ているんだ」と語っている。(Hiromi Kaku)
2019年01月31日女性はいくつもの顔を持ち合わせている生き物ですが、周囲から注目されるほど、素顔を隠しがちなもの。そこで、あの伝説のディーヴァの知られざる真実に迫った注目の映画をご紹介します。それは……。驚愕のドキュメンタリー『私は、マリア・カラス』!【映画、ときどき私】 vol. 206音楽史にその名を刻む “世紀の歌姫” マリア・カラス。いまなおその歌声は世界中の人に愛され続けていますが、没後40年にして、驚くべき事実が明らかになります。本作では、未公開の映像や未完の自叙伝、さらにはプライベートの手紙などによって、彼女の素顔が紐解かれていくのです。年齢を偽称して音楽院に入学したのにはじまり、28歳年上の男性との結婚や舞台のドタキャン、海運王オナシスとの許されない恋、そしてまさかの裏切りなど、激しいバッシングに見舞われながらの波乱万丈な人生の裏で、どのような思いを抱えていたのかは見逃せないところ。今回は、この作品にすべてを注いだこちらの方にお話を聞いてきました。それは……。本作で長編監督デビューをはたしたトム・ヴォルフ監督!ロシア生まれで、現在33歳という若さの監督ですが、2013年にニューヨークに移り住んだ際にマリア・カラスと出会い、感銘を受けたのがきっかけとなり、マリア・カラスを探求するプロジェクトを開始。映画と同時進行で彼女に関する写真集や本を3冊も手掛けており、いまや “マリア・カラス通” としても知られています。そこで、映画完成までの道のりやマリア・カラスの魅力などについて語ってもらいました。あくまでも取材者として向き合った―監督自身がマリア・カラスの熱狂的なファンということですが、どのような思いで今回の準備や撮影に挑まれていたのでしょうか?監督最初から映画にしたいという明確な目標があったので、ファンとしての目線というのはまったくなく、あくまでも取材者として向き合っていたよ。ただ、途中で大きく変わったのは、ドキュメンタリーの構成について。というのも、当初は彼女に近い友人たちのインタビューが半分、残りはアーカイブ映像を使ってのドキュメンタリーにしようと思っていたんだけれど、資料を集め始めて2年くらい経ったとき、彼女自身の言葉だけを使って作ったほうがもっとパワフルになるんじゃないかと思うようになったんだ。そんなふうに方針を変えたときが一番の転機だったと言えるかな。だから、いろいろな映像を探したりして、ほとんどゼロからやり直したんだよ。―実際、かなりたくさんの資料を集めたようですが、そのなかで彼女の心情を実感した映像や記録はありましたか?監督ひとつのイメージだけを選ぶことはできないかな。だからこそ、この映画は何百というあらゆる素材やフッテージ映像、写真などから作られていて、それぞれがパズルのピースみたいになっているんだ。今回はそれらを集めて、ひとつの作品として作り上げる過程に力を入れたけど、全部を観終わったときに、複雑な女性であり、アーティストであったマリア・カラスがいったいどんな人物だったのかというのが、多面的にわかるような作りになっていると思うよ。彼女の二重性を映画のなかでも追及している―今回の構成で特にこだわったところはどんなところですか?監督この作品では、彼女自身がナレーターとなって紡いでいく物語に仕上げて、イメージが浮かびあがってくるようにしたんだ。あとは、映画の冒頭にアメリカの人気番組で司会をしていたデビッド・フロストとの1970年に行われたインタビュー映像を使用しているんだけど、それがすべてを繋ぐ糸のようなもの。あとの映像はフラッシュバックのようにして入れて、またインタビューに戻るという形にしているんだ。というのも、あのときの彼女は、マリアとしてより自分を出しているように感じられたからね。彼女は、「自分のなかにマリアとカラスの2人がいる」と話しているけれど、その二重性をこの映画のなかでもずっと追及しているんだよ。―マリア・カラスは女性としても、歌手としても本当にいろんな側面を持っている興味深い方ですが、監督も普段はインタビュアーとしてもご活躍されているということなので、もし実際にマリア・カラスにインタビューできたらどんなことを聞きたいですか?監督この作品を作るうえで、自分の疑問に対しては全部答えをもらったような気がしているから、もう聞くことはないかもしれないね(笑)。なぜなら、何十時間以上もの映像や400通を超える手紙、そして数えられないくらいさまざまな録音や録画を集めて、本質的なものだけを全部この映画の中に入れたからなんだ。だから、実際に彼女がまだ生きていて、会うことができたら、きっと僕は言葉を失ってしまうんじゃないかな。みなさんにとっても、この映画を観ることによって彼女について疑問に思っていたことを知ることができると思っているよ。マリア・カラスの魅力とは?―それだけ知り尽くしたうえで思うマリア・カラスの魅力とは何ですか?監督この映画でも全部映し出しているつもりだけれど、もろいと同時にとても強いところがあり、アーティストとしてすごくユニークな才能があるにも関わらず、人生のなかでいろいろな葛藤がある人だったところかな。そして、そこで感じたいろいろな感情をすべて音楽に注いでいたのがマリア・カラスなんだ。女性であり、アーティストであり、アイコンであり、公共の存在であり、それらすべてだと思うよ。僕は歌ったりはしないけど、マリア・カラスにインスパイアされて、今日は彼女のお気に入りの色である赤を着ているんだ(笑)。―今回は本人の言葉を中心に描いていくという構成にされましたが、それによってより主観的な視点が強くなってしまうとは思いませんでしたか?監督確かにそういうことはあると思うし、実際に自伝を書いているほかのアーティストのなかには、真実とは違う自分や異なるイメージを出している人もいると思うけれど、彼女の場合はそんなことはないと感じているよ。5年間かけてリサーチをするなかで、いろいろな素材を集めた結果として僕が言えるのは、彼女の言っていることはつねに一貫しているということ。数年にわたるインタビューを見ても、手紙を読んでも、プライベートな会話の録音を聞いても、いつも同じストーリーを語っているんだ。それは彼女が嘘をついて自分のイメージを作り上げているわけではないという証でもあるんじゃないかな。つまり、それは彼女だけの真実ではなくて、いわゆる真実だということ。映画のなかでも彼女は、「正直さと誠実さは自分にとって一番価値があること」と言っているけれど、確かにその通りだと思っているよ。もちろん、そのためにものすごく高い代償を払わなければいけなかったけどね。1つの映画にするのはとにかく困難な作業だった―膨大な素材のなかで、使いたかったけど使えないものもありましたか?監督もちろん全部は使えなかったよ。そうじゃないと40時間の映画になってしまうからね(笑)。だからこそ、本当に大切な本質だけを捉えるという作業をするようにしていたんだ。多くの素材は、一貫したストーリーを語るための材料ではあったけれど、それらをただ陳列するだけだとファン以外の人たちにとってはおもしろくないよね?確かに、未公開の素材があるということは大きな財産にはなっていたけれど、あくまでもそのなかからベストなものだけを集めてストーリーを作っていかなければならなかったんだ。そのために、編集室に6か月間こもって物語を紡いでいく作業をしていたよ。ただ、何百もある素材の許可をひとつずつ取るための交渉というのは、たくさんあるなかの困難のひとつでもあったね。―ちなみに、ほかにはどんな大変なことがあったんでしょうか?監督僕の人生の5年間を全部を費やした感じだね。朝も夜も夜中もだけど、特に編集しているときは編集室でそのまま寝て、また朝起きてやるということの繰り返しで、日曜日もなかったくらい。こういう映画に対して、編集を6か月でするというのは、すごく短い時間なんだ。あとは、十分な素材を集めることはもちろん、それぞれを結び付けて1本の映画として作り上げることがとにかく大変だったよ。たとえば、映像はあるのに音がないとか、手紙があるけどイメージがないとか……。だから、いろいろなレベルの困難さがあるけど、エベレストに登るくらいの大変さと言えるかな。ちなみに、14年前に富士山に登ったことがあるんだけど、それを思い出すくらい一歩一歩がとてもキツかったよ(笑)。ドキュメンタリーを作るのにはいろんな手法があるけれど、僕が選んだのはおそらく一番大変な手法だったんじゃないかと今は思っているよ。“マリア・カラス劇場” の幕が上がる!まだマリア・カラスの歌声に触れたことがない人でも、ひとりの女性としてキャリアや恋愛に正直に生き続けた姿から、同じ女性として感じることも多いはず。才能があるゆえの葛藤やその裏に隠された努力、そして愛と苦しみに心が震える1本です。いつになっても色褪せないマリア・カラスの魅力と歌声に酔いしれてみては?心に響く予告編はこちら!作品情報『私は、マリア・カラス』12月21日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー配給:ギャガ© 2017 - Eléphant Doc - Petit Dragon - Unbeldi Productions - France 3 Cinéma
2018年12月19日ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)のデザイナー、ヴィヴィアン・ウエストウッドのパワーの秘密に迫る刺激と情熱に満ちたドキュメンタリー映画『ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス』が12月28日より、角川シネマ有楽町、新宿バルト9ほか全国の劇場にて順次公開されることが決定。『ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス』© Dogwoof英国カルチャーのトップの座に君臨しながら77歳にして生涯現役を誓うヴィヴィアン・ウエストウッドは、数々の伝説を纏っている。米国アカデミー賞の授賞式では、メリル・ストリープやヘレン・ミレン、ティルダ・スウィントン、ヘレナ・ボナム・カーターなど演技だけでなく生き方までがパワフルな女優たちが、彼女のドレスでレッド・カーペットを飾ってきた。映画『セックス・アンド・ザ・シティ』でサラ・ジェシカ・パーカー扮する主人公のキャリーが着たウエディングドレスは、誰もが初めて目にするルックで一大センセーションを巻き起こす。その膝丈バージョンを作って公式サイトでネット販売したところ、一瞬で完売という記録も打ち立てた。1993年には、ドラマティックなまでにヒールの高いシューズ「スーパー・エレベイテッド・ギリー」を履いていたスーパーモデルのナオミ・キャンベルがキャットウォークで転倒。ファッションニュースのトップを飾るほど話題になり、同じ靴がロンドンの博物館に納められた。そして遂には、エリザベス女王から「デイム」の称号を授けられる。しかし、何よりもレジェンドなのは、大企業の傘下に入ることなく、77歳にして世界数十ヶ国、100店舗以上を展開する独立ブランドのトップかつ現役デザイナーという彼女の存在そのものだ。『ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス』© Dogwoofカメラの前に座るヴィヴィアンは、「過去の話は退屈だわ」と惚れ惚れするようなカッコよさで言い放った上で、自らの生涯について語り始める。どんな10代を送ったか、最初の結婚と出産、「世界について知りたくて」決断した離婚。セックス・ピストルズの仕掛け人として知られるマルコム・マクラーレンとの出会いと、音楽史を変えたパンクムーブメントを生み出すまでの裏話が若きヴィヴィアンの秘蔵映像と共に明かされる。そして二人目の息子の出産やマルコムとの別れ、デザイナーとしての躍進を果たした後に経営に失敗し、無一文から再出発したという衝撃的な事実も飛び出す。世界的成功までの知られざる険しい道のりが、どんな時も人生を謳歌するヒントの詰まった数々の名言と貴重なアーカイブ映像を織り交ぜながら披露される。また、25歳年下の公私にわたるパートナー、アンドレアス・クロンターラーとの関係も、息子やアンドレアス本人が赤裸々に語っている。『ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス』© Dogwoofさらに、音楽とファッション業界で映像監督として活躍するローナ・タッカーが3年間の密着取材で捉えたのは、ショーの直前まで続く厳しいダメ出しや、ニューヨークとパリへの新規出店を指揮する真のプロフェッショナルの姿。また、環境保護の活動家として様々な運動の先頭に立って指揮する近年の勇姿もスクリーンに躍る。一方で、特別に公開された自宅のリビングや寝室などプライベートスペースのインテリア、アクセサリーや小物、花の活け方などからは繊細な感性が匂い立つ。そこには、家庭と仕事を両立させながら、母、妻、実業家、アーティストとして、波乱に満ちた人生を逞しく生き抜いてきた一人の女性の素顔があった。そんな彼女を称えるカリーヌ・ロワトフェルド、アンドレ・レオン・タリーらファッションエディター、クリスティーナ・ヘンドリックス、パメラ・アンダーソンら女優、ケイト・モスにナオミ・キャンベルら時代を創ったスーパーモデルなど、豪華セレブも登場する。『ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス』© Dogwoof英国カルチャーの女王が教えてくれる、自身を強く美しく引き立てると同時に心地よく包んでもくれる「人生の仕立て方」に触れてみては。
2018年11月14日世界を熱狂させた、アメリカ・ポップシーン史上最高の歌姫ホイットニー・ヒューストン。その知られざる素顔に迫るドキュメンタリー『ホイットニー~オールウェイズ・ラヴ・ユー~』の予告編映像が解禁された。ホイットニー・ヒューストン財団が初公認となる本作のメガフォンをとったのが、『ブラック・セプテンバー/五輪テロの真実』などを手掛ける、アカデミー賞受賞監督ケヴィン・マクドナルド。世間にあふれたゴシップにとらわれることなく、膨大な映像記録を丹念にリサーチ。初公開となるホームビデオや貴重なアーカイブ映像、未発表音源とともに、家族、友人、仕事仲間などの証言を紡ぎ合わせることで見えてきたホイットニーの真の姿を描いている。今回解禁された予告映像では、80年代のアメリカ・ポップシーンに彗星の如く現れたデビュー当時の瑞々しい姿や圧巻の歌声で頂点を極めたホイットニーの姿が映し出される。一方で家族の前で見せる満面の笑顔や“ニッピ―”という呼び名で呼ばれる幼少期の貴重な家族写真、上手くいかなかった結婚や薬物問題などで世間を賑わせていた晩年、そしてスター故に多くの人にしがみつかれ、それでも1人で戦っていた彼女の苦しみなど、メディアには見せないステージを降りた1人の女性としての姿も捉えている。なお、ナレーションは小林克也氏が務める。伝説の歌姫ホイットニー・ヒューストンの笑顔の裏に隠された知られざる真実の一端はこちらの映像から確認してみて。『ホイットニー~オールウェイズ・ラヴ・ユー~』は2019年1月4日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ホイットニー~オールウェイズ・ラヴ・ユー~ 2019年1月4日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開© 2018 WH Films Ltd
2018年11月07日フォトグラファー・牧野吉宏の写真展が、東京・中目黒にあるアドレス アポイントメント ギャラリー(artless appointment gallery)にて、10月15日まで開催。Dune Portraiture牧野吉宏は、ロサンゼルスを拠点に、アーティストや作家のドキュメンタリーポートレイト、モダンな感性が引き立つインテリア・エクステリアの撮影を得意とするフォトグラファー。アートやデザイン、建築にも造詣が深く、その知見を活かしアートブックや雑誌エディトリアル、イベントプロデュースまで手掛ける。近年では、インド・ブラジル・ペルー・ノルウェーなど、さまざまな国や地域に渡り、アートおよびデザインの視点による建築物やラウンドスケープを撮影やギャラリーワークを積極的に行っている。同展では、牧野が旅で訪れたニューメキシコ州にて撮影した白い砂丘の新作「Dune Portraiture」を展示。美しい白の世界と自然がつくる造形美、そして生命の尊さを感じさせる作品だ。【イベント情報】Dune Portraiture by Yoshihiro Makino会期:9月20日〜10月15日会場:アドレス アポイントメント ギャラリー(artless appointment gallery)住所:東京都目黒区上目黒2-45-12
2018年09月27日大人気声優アーティスト・宮野真守の写真集撮影に密着したドキュメンタリー「宮野真守ドキュメンタリー2018 ~in Las Vegas~」の放送が決定。ラスベガスで行われたファースト写真集の撮影の裏側や独占インタビューをお届けする。ベストアルバム発売、アリーナツアーも開催し、先日の星野源による新感覚音楽&トーク番組「おげんさんといっしょ」第2弾では人気キャラの“雅マモル”となって登場した、“マモ”こと宮野さん。今年2018年はアーティストデビュー10周年イヤーにあたる。この度のドキュメンタリーでは、声優でありながら、圧倒的な歌唱力とダンスのパフォーマンスでファンを魅了し続けてきた宮野さんのアーティスト活動10周年を記念して出版される、女性誌「JUNON」プロデュースによるファースト写真集の撮影に密着。ラスベガスでの数日間の写真集撮影風景やオフショットを中心に、宮野さんの素顔の魅力を余すことなくお届け。また、番組ではアーティストデビュー10周年にあたっての独占インタビューも敢行。ライブや音源をこだわり抜く彼ならではのポリシーや熱量が垣間見えるインタビューとなっており、彼とともにこの怒涛の10年をふり返りながら、改めて“アーティスト・宮野真守”の魅力を再認識することができそう。■宮野真守からコメント到着この度、宮野さんからコメントが到着。宮野さんは、「初めて訪れたエンターテイメントの宝庫・ラスベガスはとても刺激的でした」とコメントし、「写真集撮影の裏側はもちろん、この街に魅了されてゆく僕の表情を、インタビューと共にぜひお楽しみください」とファンへメッセージを送った。「宮野真守ドキュメンタリー2018 ~in Las Vegas~」は9月30日(日)23時~、CS放送フジテレビTWOドラマ・アニメ/フジテレビTWOsmartにて放送/配信。「宮野真守ファースト写真集(仮)」は10月26日(金)より発売。(text:cinemacafe.net)
2018年08月30日「家族とは何か」を問われるような事件が多く起きるなか、家族の絆や愛について考えさせられる注目の映画をご紹介したいと思います。世界中の映画祭で高く評価されているドキュメンタリーとは……。話題作『祝福~オラとニコデムの家~』!【映画、ときどき私】 vol. 172ポーランドのワルシャワ郊外。14歳の少女オラは、自閉症の弟ニコデムとお酒の問題を抱える父親と3人で暮らしていた。母親は別の男性と生活していたため、家事も家族の面倒もすべてオラの役目。厳しい現実を突きつけられながらも、オラは心のどこかで希望を抱きはじめる。それは弟の聖体式が成功すれば、家族がもう一度ひとつのなれるのではないか、というものだった。そんな家族を待ち受ける運命とは……。今回は、ひとりの少女とその家族の日常を生々しく映し出していますが、この作品が生まれたきっかけなどについて、こちらの方にお話を聞いてきました。それは……。ポーランドのアンナ・ザメツカ監督!アンナ監督は、ジャーナリズムから人類学、写真学までを学び、ドキュメンタリー作家や映画監督としてだけでなく、脚本家、プロデューサーとしても幅広く活躍している多才な女性。待望の長編デビューとなった本作の見どころや撮影での苦労などについて語ってもらいました。まず、日本ではあまり知られていない聖体式ですが、ポーランドではどのような意味を持っていますか?監督ほかの宗教にも同じような儀式がありますが、聖体式というのは子どもが大人になるための第一歩。ポーランドでは99%の家庭がカトリックなので、とても大事な儀式でもあります。ただ、最近ではある種のセレモニーになっていて、宗教的な意味合いよりも家族が集まる行事になりつつあるかもしれません。なので、神のためというよりも、いまは家族のためという印象ですね。今回、オラの家族を題材にしようと思ったきっかけを教えてください。監督最初は短いフィクションの映画を作ろうと考えていたんですが、そのあとに偶然この家族と知り合って、とても興味深いと思ったので、フィクション映画は諦めて、ドキュメンタリーを撮ろうと決心しました。ただし、オラの信頼を得ることは難しかったそうですが、カメラを回すまではどのくらいの時間がかかりましたか?監督だいたい1年と3か月くらいはかかりました。短い期間で彼女の信頼を得ることはとてもできなかったので、撮影に入るまでにものすごく長いプロセスが必要だったんです。なぜなら、オラは問題のある両親のもとで育ったので、大人に対する信頼がほとんどない女の子。それに対して、私は大人の世界の人間だったこともあり、それは大きな障害になりました。では、その壁をどのようにして乗り越えて、彼女との信頼関係を築いたのですか?監督特別な方法は何もなかったですが、とにかく彼女には誠実に付き合うこと。そして、私にとってこの映画がどれだけ大切かということと制作の意図を正直に話したんです。それから、彼女にとってもこの映画が大事なものになるんだということをわかって欲しかったので、そのことも伝えました。実際に完成した映画を観たとき、彼女はどのような反応でしたか?監督いまではすごくポジティブにとらえてくれています。というのも、つい最近もFacebookを通じて、同じ年頃の男の子から「僕も同じような環境で育ってきたけど、この映画を観てすごく安心した」というメッセージがオラに送られてきたそうです。これまでにもいろいろな人が彼女にそういった感想を言ってくれているのですが、それによってオラは自分が抱えていた重荷を初めて下ろすことができるようになっているみたいですね。いまでもオラとはよく連絡を取り合っているのですか?監督もちろん、オラとはいまでもコンタクトを取っています。実は映画を撮影したあと、お父さんが亡くなってお母さんと一緒に住むことになったり、彼女を取り囲む環境にもたくさん変わったことがありました。いまは家を出て、寄宿舎付きの学校に通っているので、とりあえず衣食住の心配はない状況といえますね。ドキュメンタリーでは先が読めないことが多いと思いますが、撮影中に予想外の事態に見舞われたことは?監督予期せぬ出来事というのは特になかったですが、弟のニコデムがどういうふるまいをするのかはというのは、私にとってはいつも想像できないことでした。なかでも、お風呂場のシーンで「現実はフィクションである」という彼の言葉は私の心にものすごく深く突き刺さりました。確かに劇中のニコデムの鋭い発言にはたびたびドキっとさせられましたが、彼はどんな存在でしたか?監督この映画のなかで、彼は詩人であり、預言者でもあるような立場でした。なので、私は彼が言ったことをすべてメモして、取ってあるくらいなんですよ。そのなかでも、彼と撮ったシーンで印象的なエピソードを教えてください。監督告解の練習の場面で神父さまとのやりとりが私には一番おもしろかったですね。というのも、ニコデムは神父さまが考えもしないようなことを言ったり、まるでその場にそぐわないような冗談をわかっていて言ったりするんです。多くの人が自閉症の子どもにはユーモアのセンスがないと思っていますが、彼にはそれがあって、本当にジョークを言うのが上手なんですよ。だから、神父さまに「徳とは何か?」と聞かれて、「信仰・希望・愛」の3つを答えなければいけないのに、愛の代わりに「大食」って言ってしまうんです。本当は愛だと知っているんですけど、彼は食べるのが大好きなんですよ(笑)。でも、これはある意味この映画にとっては象徴的なことであって、「本当は愛が大事だけれど、隠れてしまっている」という暗示とも言えると思っています。いっぽうでオラの強さには驚かされましたが、その様子を間近でご覧になってどう感じましたか?監督彼女はもともとすごく強い性格ですが、それはお母さん譲りだと思います。ただ、ああいう家庭環境で育ったので、それが彼女を余計に強くしたというのもありますね。とはいえ、そうしないととても生きていけなかったとも感じました。なので、そんな彼女と映画を作るというのは本当に大変なことでしたが、実は最近になって彼女が撮影中のふるまいや不機嫌な態度をとってしまったことを私に謝ってくれたんです!映画を初めて上映したときからはすでに2年が経っているんですけど(笑)。もちろん、私は彼女に「許すわ」と伝えましたよ。これだけ難しい撮影を終えたあと、今後はどのような作品を撮りたいと思っていますか?監督またドキュメンタリーを作りたいですが、自分の意図とは関係なく誰かを傷つけてしまうこともあり、リスクを伴うことでもありますよね。だから、自分がもう一度そういう責任を負えるかどうか、そして私にその権利があるのかどうかもいまはまだわからない状態です。そういう意味ではフィクションのほうが安全かなとは思いますが、私にとってはそっちのほうが退屈かもしれないですね。それでは最後に、ananweb読者に向けて、メッセージをお願いします!監督いまの私はまだ若い人たちにアドバイスを言ったりできる立場じゃないと思っています。おそらく、あと20年くらいしたらたくさんの経験をして、もっと言えることがあるとは思いますが、いまはちょっと難しいですね(笑)。ただ、ほかの監督がananwebの読者に「俳優とは付き合うな」とメッセージを送ったと聞いたんですが、それについては全面的に同意見です(笑)。でも、付け加えるなら映画監督ともデートしてはダメですよ!なぜなら、監督にとって一番大事なものは、ほかでもなく自分の作品。私も監督と付き合っていた経験があるからよくわかります。実際、私も作品に自分のすべてを捧げていて、まるで自分の子どもみたいな存在だから地球上で一番愛おしいものなんです。だから、映画監督との関係というのは、本当に難しいと思うからやめたほうがいいですね(笑)。試練と信じる力は人を強くする!日々の生活には楽しいことばかりではなく、つらいこともあるけれど、そんなときこそ、過酷な状況にも負けることなく立ち向かう人の姿には背中を押されるもの。14歳にして、たくましく生きるオラの強さと美しさに、人間が持つ可能性を感じさせられるはず。心がざわつく予告編はこちら!作品情報『祝福~オラとニコデムの家~』6月23日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開配給:ムヴィオラⓒHBO Europe s.r.o., Wajda Studio Sp. z o.o, Otter Films Wszelkie prawa zastrzeżone. 2016
2018年06月22日「なんでできないの?」 「映画の配給ってフリーランスでできるんですね」とドキュメンタリー映画の配給をフリーランスとして行うサニーフィルム代表 有田 浩介(ありた こうすけ)氏に言うと、そう聞き返されて、答えに困ってしまった。 確かに、できない理由が具体的に頭に浮かんでいたわけではなかった。そもそも映画の配給をするのに何が必要かを知らない。それでも漠然と「できない」を前提にしていた。 やりたいことを仕事にするのは、現実的ではない、夢物語だ、というような風潮が世の中には存在する。だが、なぜ現実的ではないのか?その議論はやっぱりされぬまま。 今回Be inspired!は、日本で類をみないフリーランスのドキュメンタリー映画配給者になるまでの経緯や、仕事に対する情熱あふれる思いを有田氏に聞いた。 自分のやりたいことを仕事にすることは、決して非現実的ではない(だからといって楽でもない)。サニーフィルム代表 有田 浩介氏日本でおそらく最年少、そして最新参者のフリーランス映画配給者ドキュメンタリー映画を専門に配給を行うサニーフィルムは厳密に言えば会社ではない。有田氏が個人事業で、つまりフリーランスでやっているのでその名は屋号という。 国内外の映画祭に足を運び、厳選した映画のライセンスをとり、契約をして、日本での配給権を取得後、それを日本の劇場に流し、DVD化・テレビ化・デジタルプラットフォームへいれる。その間、法務業務、営業業務、宣伝業務、経理業務などもすべて一人で行っているのが有田氏だ。 日本にフリーランスで映画の「宣伝」をする人は少なくないけれど、「配給」はごく稀。ひとりでやっているというとなおさらだ。ドキュメンタリー映画の配給をフリーランスでやる人が他にいるとしても、おそらくそのなかでは有田氏が38歳で最年少、そして最も新参者だろう。 2016年の11月にはオランダ、アムステルダムのIDFA(International Documentary Film Festival Amsterdam)というドキュメンタリー映画祭に初参加し、2本の映画を買い付けた。日本の配給会社は毎年カンヌ、ベルリン、ベネチアと主要な映画祭に行きますが、今の僕がそこに行ってもしょうがないって思っています。世界三大映画祭でみんなと競っても値段が高くなっちゃうだけだから、他の会社が目をつけてない映画祭を探していて、その一つがIDFAだったIDFAはドキュメンタリー映画祭のなかでは世界最大級。世界中から出品されるドキュメンタリーの数は300本を越え世界ナンバーワンで、この映画祭でプレミア上映する作品の数もナンバーワン。日本のニュースは国際報道があっても報道される内容は限られている。アメリカのニュースや中国や朝鮮半島のニュースが多い。でもヨーロッパの映画祭に行くと、ロシアとウクライナの紛争の最前線にある街の少年の話など、日本にいたら絶対に知り得ないような東欧の話がいたるところにあって。初めて参加するIDFAでの活動方法は全く想像がつかず、過去に行った事がある日本人に問い合わせましたがあまり具体的なアドバイスはもらえず、まずは自分の勘で行ってみることにしました。結果的に他の映画祭で出会ったドキュメンタリー人と再会しいろいろ教えてもらいました「世界の片隅の話だけど、それが世界の中心の話なんだよ」ドキュメンタリー映画を専門に配給している有田氏にドキュメンタリー映画の醍醐味をうかがうと、「世界の中心を感じているんだと思う」という答えが返ってきた。映画祭に行くと、世界の片隅の話がそこら中に多くあります。日本では知り得ない話と出会うと、日本にも伝えたいって思う。世界の片隅の話だけど、それが世界の中心の話なのです。そこにいつも感動する。サニーフィルムとして初めて配給した『サファリ』という映画も、ナミビアで行われているトロフィーハンティング(衣食住のためではなく、娯楽として行われる狩り)の話だけど、それって日本からしたら遠い世界の裏側で行われていることの話ですよね。でも、そこの人からしたらそれが世界の中心で、トロフィーハンティングが中心の世界もあるんだなと思う。そういうものに触れて、考えてみると心が動きます現在、フリーランスで映画の配給を行う有田氏はもともと新卒で入社し、大手音楽レーベルの会社に勤めていた。数年働いたのち、やりたいことが変わってきたと感じた彼は20代後半で旅に出る。安定した仕事を離れて旅に出るという決断に不安はなかったのかと聞くと、「そのときはなかったけれど、帰国したあとはもがいたよ」と言う。旅から帰ってきたあと特に仕事などないので、旅の資金の残りの50万円を使って神奈川県の海沿いの葉山に引っ越しました。当時唯一持っていたものは横須賀のホームセンターで買ったママチャリだけ(笑)それで逗子駅まで行って、片道900円ぐらい使って東京に来て、いろんな人と打ち合わせして、何か仕事にならないかっていろいろ売り込んでいました。葉山に引っ越してから、フリーランスになって一番最初に得た音楽の仕事は、パンクバンドのツアーマネージャーでした。東京・名古屋・大阪のライブツアーを一緒にバンドとまわる仕事です。英語も喋れるし、レコード会社で宣伝部の仕事もしてたのでメディアの対応もできました。そこからだんだんツアーマネージャーだけじゃなくていろいろ仕事をもらえるようになりました。旅に出て世界の空気を吸えば自由になれると思って会社をやめたら、帰国して不安定なフリーランスに意外と不自由を感じ、不安に陥ったり、迷ったり、自分がやっていることがこれでいいのかどうかってことを常に考えるようになりましたその音楽系フリーランスの期間を経て、仕事の発注元だった海外アーティストに特化したレーベルに入社する。そこで海外アーティストのライセンス業を学び、レコード制作や宣伝の仕事をしながら、映画の仕事と出会った有田氏。そのレーベルが映画配給を始めたのだ。数年後、残念ながらその会社は倒産し、次は何をしようかと考えているとき、レーベル時代に知り合ったフリーランスの映画宣伝マンに映画宣伝の仕事に誘われる。そこから有田氏の“売れない映画宣伝マン”としての時期がスタートする。そこから3年ぐらいは、まったく売れない宣伝マンをやっていました。年間3本とか。年収なんて100万くらいしか稼げなくて。宣伝だけでは食べられないのでPVやCM制作などの映像制作の仕事もかけもちました。今はドキュメンタリーがシネコン(一つの施設の中に複数のスクリーンがある複合映画館)で公開されることってよくありますが、その当時は本当に稀でした。小規模なドキュメンタリーは予算もすごく少なくて、あまりフリーランスがやりたがる仕事ではなかったのです。僕みたいに新参者か仕事がない人しかやらなかったです(笑)ドキュメンタリー専門の配給をやっていると、ドキュメンタリー好きなんですか?とよく聞かれます。もちろん好きですけど、あの時代唯一与えられた仕事がドキュメンタリーの宣伝の仕事で、いつの間にかドキュメンタリーの仕事が得意になっていたんです(笑)生活は決して楽ではなかったけれど、情熱を持って仕事をこなしていくうちに映画宣伝マンとしての有田氏に転機が訪れる。2013年に彼が宣伝した映画が記録的な大ヒットを出したのだ。そこからは電話が鳴り止まない毎日が始まったそうだ。しかし映画宣伝マンとしての成功で、彼にとって明確になったのは本当に自分がやりたいこと、配給だった。自分でいい映画を日本に持ってきたかった。そこから配給をするための様々な情報を集めながら、自分で配給を始めるための準備期間に入る。 そして数年後の2016年、有田氏の1本目となるシリア内戦初動時を描いたドキュメンタリー『シリア・モナムール』の配給(共同)をするに至った。常にワクワクすることだけをやってきた「自分がやりたいことを仕事にする」というのは日本や、欧米でもそうかもしれないが、比較的裕福な国の若者の人生の大きなテーマだろう。しかし日本に住んでいると、世間体、将来への不安、あるいは一般的な職や就職形態以外の選択肢が見えづらく、一歩を踏み出せずにいる人も少なくないかもしれない。 「そのときそのとき選んだ選択で人生を進めていくと、一つの線になる」。そう話す有田氏の言葉と彼の人生そのものが、自分のやりたいことと不安の狭間で立ち止まってしまっている人の背中を押してくれるのではないだろうか。人に迷惑をかけない限りは将来をあまり気にせず直感を信じて、そのときにやりたいことをやったほうが自分はワクワクできることは確かである。サニーフィルムWebsite代表・有田浩介。2004年よりメジャーレコード会社に勤務。2007年にフリーランスへと転身。2007年から2010年までの3年間、約200タイトルの音楽契約、宣伝、流通業に携わる。2010年にサニー映画宣伝事務所名義で映画宣伝へと転職し国内外のドキュメンタリーを中心にパブリシティー業務に従事する。2015年に『シリア・モナムール』を「テレザとサニー」名義で初配給する。2017年サニーフィルムへと改名し映画配給を専業とする。国内外の映画祭に参加し、特定のジャンルやテーマにとらわれず様々なドキュメンタリーの配給を通じて世界の多様性と映画の可能性を社会に伝える事をミッションにする。近々で6月16日岩波ホール公開『ゲッベルスと私』と、8月ポレポレ東中野ほか夏休みロードショー『ゲンボとタシの夢見るブータン』の公開が控えている。ドキュメンタリー映画の未来は活気に満ち溢れていると思います。才能ある若手作家と新しい作品は潤沢に誕生し、人々が本質的に求める未来のエンターテインメントこそドキュメンタリーになると信じています。(2017.11月)
2018年03月05日女優のジェニファー・ローレンスが、「#MeToo」運動をテーマにしたドキュメンタリー番組に取り組んでいるようだ。ジェニファーは、ハリウッドにおける男女間の賃金格差とセクハラ騒動に焦点を当てたドキュメンタリー番組をキャット・サドラーと共に制作しているそうで、ニューヨークでのイベントに出席した際、その企画が進行中であることを認めた。ジェニファー・ローレンス(C)BANG Media Internationalジェニファーは、女性の平等な賃金を以前から提唱しており、男性共演者より賃金が少ないことが発覚した時の愕然とした気持ちをエッセーの中で訴えていた。「働いている女性として自分の体験を話すことは辛いわ。自分の問題は恐らく親近感を持ってもらえるものではないでしょうから。ソニーがハッキングされた時、運がいい男どもよりどれくらい私の賃金が少ないのか分かったけど、ソニーに対して腹を立てなかったわ。自分に向けて腹が立った。すぐに諦めたから、私は交渉人としては失格。正直に言って、2つもシリーズの仕事があったから、何百万ドルについて戦いを続けるのが嫌だったし、必要なかったの」続けて、「でも正直言って、好かれたいという気持ちが、戦わずして契約をすることに影響を与えていなかったと言ったらウソになるわね。面倒な奴ともわがままな奴だとも思って欲しくなかったの。その頃はいい考えのように思えた。インターネットで賃金を見て、一緒に働いていた男性たちが面倒な奴ともわがままな奴なんて思われるのを全く心配していなかったと気づくまではね」と打ち明け、「これは若い人の問題かもしれないわ。個人的な問題かもね。その両方だと思うけど。でも、これは何年も反対してきた私の要素でもある。それに統計を見て見れば、この問題を抱えているのは私だけではないと思うわ。私たちって社会的にこういった態度を自然と求められているのかしら? 私たち女性が選挙権を得られたのって、ここ90年くらいの話?」と話した。(C)BANG Media International
2018年02月27日「今年はワンランク上の女性を目指したい!」と思っているなら、上質な洋服に身を包んでみるというのもひとつの方法。そこで、そんな女子にオススメしたい映画とは、多くの人が憧れるラグジュアリー・ブランド『ドリス・ヴァン・ノッテン』を生み出した孤高のデザイナーに迫った話題作です。それは……。注目のドキュメンタリー『ドリス・ヴァン・ノッテンファブリックと花を愛する男』!【映画、ときどき私】 vol. 134大統領夫人からハリウッド女優まで、世界中のセレブたちに愛されている『ドリス・ヴァン・ノッテン』。唯一無二のブランドをけん引しているデザイナーのドリスは、広告は一切出さず、手軽な小物やアクセサリーも作らず、自己資金だけで活動しながら、ほかの一流ブランドと勝負していた。これまで25年間一度も休まずに年4回のコレクションを発表し続けているドリス。控えめな性格であるがゆえに、これまでカメラに舞台裏を見せることはなかったが、ついに初の密着取材が行われ、その素顔と創作の源が明らかに!そこで今回は、誰よりもドリス本人に近づいたこちらの方にお話を聞いてきました。それは……。ライナー・ホルツェマー監督!ドイツ語圏のドキュメンタリー界をけん引し、いままでにさまざまな人物や題材を映し出してきた監督ですが、本作の見どころや撮影時のエピソードなどについて語っていただきました。これまでプライベートを公開することを拒否し、殺到する密着取材も断り続けてきたというドリス。そんなドリスをなんと3年もかけて説得したそうですが、承諾の決め手となったものは?監督とても長い時間がかかったけれど、イエスと言ってもらえたのには、いくつか理由があると思うんだ。最初に出会ったときに彼の作品と人柄にとてもひかれて、「ぜひドキュメンタリーを作りたい」と言ったんだけど、控えめな性格であることと、忙しいということもあって断られたんだよ。でも、その後にいいよと言ってくれたのは、おそらくいままでオファーされていたコンセプトと違うものを提示したからだと思うんだ。僕はファッション界の人間ではないし、ファッションの映画を作ったこともない。だから、ファッションの部分だけではなくて、彼のアーティスティックなアプローチに興味を持ったというのが一番の理由だったんじゃないかな。その後、撮影はどのようにして始められたのですか?監督どうしてもカメラが回っていると、ドリス自身も彼のチームも気が散ってしまうんじゃないかということを心配していたから、まず僕が提案したのはテスト撮影。3日かけて僕のやり方を経験してもらって、それで物事が乱れるかどうかというのを判断してもらったんだ。実は、そのあとにやるかやらないかという言葉は一切交わさずに、このまま行けそうだなとお互いに思ったので、そのまま撮影を続けていったんだよ。1年間にわたって公私ともに密着したそうですが、ドリスを見ていて一番驚いたことは?監督毎日彼と過ごすなかで驚かされることはたくさんあったよ。特にベルギーのアントワープにあるアトリエでは、コレクションの準備として生地を選んだり作ったり、コンセプトから立ち上げていくわけだけど、そのときに彼が持っているアイディアというのは毎日新しいものだったんだ。たとえば、劇中にも出てくるメンズコレクションでは、はじめは白とチェックをメインにして、色をちょっとだけ乗せるというコンセプトからスタートしたんだけど、その2週間後にアトリエに行ったら、突然マリリン・モンローとか、唇やエビのデザインが置かれていて、「いったいどこから湧いてきたんだろう」とびっくりしたよ。それほどまでにファッションについてのいろんなアイディアや空想というものが常に彼のなかでは進展しているんだなと。コレクションを作っていく1年のなかで、ひとりのアーティストがこんなにもたくさんのアイディアを持てるんだということが、最大の驚きだったかもしれないね。完成した作品を観たドリスさんの感想はどうでしたか?監督最初に見せたときはまだ完全版ではなかったんだけど、すごく緊張したね。しかも、一番近いところに座って一緒に観たんだけど、上映中に何のコメントもしてくれないし、笑うこともなかったから、さらにナーバスになったよ。それで、終わったあとに「どう思いますか?」と聞いたら、「正直、いま言うのは難しい」と言われてしまったんだ。というのも、ドリスはカメラの前に立つのが好きじゃないほうだし、見たことのない自分の側面や性質に直面しなければいけなかったからね。そのあともドリスとは一切話をしていなかったんだけど、彼がアントワープでプライベート上映を主催してくれたとき、上映前のスピーチで「監督にはすごく感謝している」ということや「作品が大好きである」ということ、そして「そこに映し出されているのはリアルな自分だ」ということを言ってくれて、それは僕にとってエモーショナルな瞬間だったよ。内容に関して指摘された部分はありませんでしたか?監督プライベートなシーンについては2~3か所だけ見せるのが恥ずかしいと思っていたようで、「あそこは外せないの?」と聞かれたけど、「それは外せません」と言ったよ(笑)。というのも、プロフェッショナルなデザイナーであるドリスとしてだけではなくて、ほかの誰もが持っている感情をあんな素晴らしい人も持っているんだというところを見せることが重要だと思っていたからね。気恥ずかしさは少し残っているみたいだけど、自分の人生をきちんと映し出している作品として、パートナーのパトリックさんとともにとても気に入ってくれているし、ずっと応援してくれているよ。自称 “病的な完璧主義者” であるドリスですが、監督から見てどう感じましたか?監督確かにリアルな完璧主義者だと僕も思ったよ(笑)。たとえば、花のアレンジは何時間もやるし、ちょっと物を動かしたりするのもミリ単位で動かして調整したりしているんだ。それはデザインしているときも一緒で、服を生地から作っていくときには0.5ミリくらいから調整していくし、とにかく正確な追及の仕方なんだよ。あとは、自社のCEOでもあるからどの選択にも責任を持っていて、ショーの音楽や照明も全部彼が決めているし、お店の外観や内装はもちろん、家の模様替えをするだけでも完璧主義者なところがあるんだ。スタッフからすれば「もうちょっとリラックスしたら?」みたいなときもあるみたいだけど、あれだけのクオリティを生み出すためには完璧主義者じゃなきゃいけないんだなとも思ったよ。監督はドリスの服からもそういうことを感じていますか?監督僕もいまはドリスの服を着ているんだけど、それ以来ほかのデザイナーの服は着なくなってしまっているんだ。というのも、フィット感がいいし、彼の完璧主義なところというのが服を身に着けたときにすごく感じられるからなんだよ。最後に、彼の仕事の向き合い方から学んだことがあれば教えてください監督パリでのショーのときに、会場の天井に照明が吊ってあったんだけど、フィッティングやスタイリングなどを終えてかなり夜も更けてから、彼が「照明が全然違うからやり直そう」と言い出したことがあったんだ。技術チームにとっては大変な話だったと思うけど、結果的にはやっぱり彼は正しかった。そのときに、あのレベルで仕事をして、常に最高を求めていくのであれば、妥協してはいけないし、あきらめることは絶対にしてはいけないんだということを学んだと思うよ。内に秘めた情熱を掻き立てられる!ドリスの人柄やブランドが持つ魅力を存分に味わえるだけでなく、彼の服がなぜ愛されているのかという秘訣にも迫ることのできる本作。超一流と呼ばれる “仕事の流儀” に触れることで自分のなかにあるモチベーションが高まれば、ドリス・ヴァン・ノッテンを着こなせる女性になれるはず。美しさがつまった予告編はこちら!作品情報『ドリス・ヴァン・ノッテンファブリックと花を愛する男』1月13日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野ほか全国順次公開配給:アルバトロス・フィルム© 2016 Reiner Holzemer Film – RTBF – Aminata bvba – BR – ARTE
2018年01月11日