洋邦問わず数多くの超大作が公開され、“10年に1度の激戦”とも称されるこの夏の映画業界。そんな中、小粒だが大作に負けない注目を集めるのが『ナイトクローラー』。映像パパラッチの暗躍を描くサスペンスで、第87回アカデミー賞で脚本賞候補に挙がった秀作だ。事件や事故現場のスクープ映像を専門に狙うパパラッチ、通称:ナイトクローラーの存在を知った主人公・ルイスは、コネも経験もないまま、安物のカメラ一台で業界に飛び込む。悪運と「ネットで学んだ」と言う交渉術を武器に、同業者やテレビ局から一目置かれる存在になると、より過激な映像を求めてその行動をエスカレートさせていく…。作品の根底にあるのは、モラルを置き去りに、視聴率のために手段を選ばないメディアへの批判だ。同時にメディアの非道を嘆きながら、実はさらなる刺激を求めてしまう視聴者に対する皮肉や警鐘も込められている。ここまでなら、映画として決して目新しくはないが、本作は主演を務めるジェイク・ギレンホールの怪演と、貧困や格差といった社会環境がルイスという怪物を生んでしまう悲劇、さらには怒りを飛び超え、もはや笑うしかない“ハッピーエンド”が夜の闇に混ざり合い、不気味かつ美しい一種の人間ドキュメンタリーとなった。警察無線を傍受し、いち早く現場に駆けつけ“獲物”を狩るナイトクローラーの生態には驚かされるばかりだが、その一方でいまや、記者がバラエティ番組や芸能人のSNSにかじりつき、いわばcrawl=徘徊し、ささっとニュースが生まれてしまう現状もある(最近なら日曜のお昼過ぎ)。かつて流行した女性タレントのスッピン公開など最たる例で、「ファン絶賛」の白々しい見出しには、スクープを狙う狩人たちとはまた別の薄気味悪さがあった。次々とニュースが消費され、しかも誰もが情報を発信できる現代。その構造はより複雑で息苦しいものになりつつある。『ナイトクローラー』は、情報過多の渦中にいる私たちに、ニュースとの付き合い方を見つめ直すきっかけを与えてくれる、今夏の必見作である。『ナイトクローラー』は8月22日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほか全国にて公開。(text:Ryo Uchida)■関連作品:ナイトクローラー 2015年8月22日よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほか全国にて公開(C) 2013 BOLD FILMS PRODUCITONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
2015年08月21日交通事故や殺人事件などの現場にいち早く駆けつけ、TVニュース向けの映像を撮影する“報道パパラッチ”。この職業にスポットを当て、ショッキングなストーリー展開とジェイク・ギレンホールの怪演が全米で大反響を呼んだ『ナイトクローラー』のダン・ギルロイ監督が、8月22日(土)の日本公開を前に自作を語った。その他の写真主人公ルー・ブルーム(ギレンホール)は、大都会ロサンゼルスの片隅でひっそりと生きる孤独で貧しい青年だ。ふとした偶然から報道パパラッチ(通称:ナイトクローラー)の存在を知った彼が、その世界での成功を目指して夜の街を徘徊していく姿を映し出す。冒頭、観客の目に飛び込んでくるのは、神秘的なまでに美しいロサンゼルスの夜景の数々。“衝撃動画”を題材にしながらも、手持ちカメラや最近流行のP.O.V.(一人称視点)の手法を採用せず、ダン・ギルロイ監督と撮影監督のロバート・エルスウィットが創出した映像にはクールな美学が息づいている。「まず、よくあるヘリコプターからの空撮はやらないと決めたんだ」。そう切り出した監督の狙いは以下の通りである。「主人公のルーを描くにあたって僕がイメージしたのはコヨーテだった。ルーを大都会で獲物を狩る野生動物に見立てて、彼の行動をネイチャー・ドキュメンタリーのように撮りたかったんだ。だからこそワイドレンズを多用し、きれいなネオンがきらめく場所や美しい山々を背景にした場所で撮影を行っている。それと映画全体を通して“善悪を区別しない”ことを心がけた。野生の世界では、それが当然だから」。スクープ映像をモノにするため、危ういモラルの一線を踏み越えていくルーは、観る者を戦慄させる不気味なキャラクターだが、冷酷非情な悪人にはしたくなかったという。「ルーは暴力性を内に秘めた危険な男だが、観客が共感を抱ける余地を残したかった。仕事を通して自分を高め、他者に認められたいと願っているルーは、ごく普通の若者でもある。なるべく彼を人間らしく見せるために、いかにもスリラー風のダークな撮り方や音楽の使い方は避けるようにした。単なるサイコパス映画だと観客に思われたら、僕が伝えたかったテーマが損なわれてしまうから」。その監督が大切にしたテーマは、物議を醸すであろう“驚愕の結末”に集約されている。「結末には、僕自身が世界の現状を見て感じたことが反映されている。ルーは金のためなら何でもやる男だが、現代ではそのようなやり方がしばしば成功に結びついたりする。ルーは決して特別な“怪物”ではない。もし僕らがルーと同じように経済的に厳しい状況に陥ったら、生きるために悪事に手を染めてしまうかもしれないんだ。結末にはそんな警鐘をこめたつもりだよ」。『ナイトクローラー』8月22日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー文:高橋諭治
2015年08月20日『複製された男』のジェイク・ギレンホールが主演を務める『ナイトクローラー』が22日(土)から公開される前に、本編映像が解禁された。本作は、過激な映像を撮ることに執念を燃やす“ナイトクローラー”と呼ばれるパパラッチの姿を描いた作品で、公開された映像では主人公ルイスのあまりに過激な取材方法が明らかになる。本編映像の一部学歴もコネもなく、仕事にあぶれたルイス(ギレンホール)は、テレビ局に悲惨な映像を売って稼ぐ報道スクープ専門のパパラッチの存在を知り、ビデオカメラを購入して“金になる映像”を求めて奔走する。最初は、警察無線を傍受しながら事件や事故の発生を待ち、現場に急行して映像を収めていたが、テレビ局の要求は次第にエスカレートしていく。もっと壮絶な映像を、もっと生々しい事件を。このほど公開された映像は、カメラを抱えた助手を乗せたルイスが、警察と銃撃戦を繰り広げた後で逃走した犯人とパトカーの壮絶なチェイスを撮影しようとするシーンだ。暴走する逃走犯とパトカーを追跡するルイスは、映像のためにあらゆる交通法規を無視し、目の前でどんな壮絶なことが起こっても、“撮影”を最優先に行動する。スリリングでありながら、どこか恐ろしさを感じさせるカーチェイスだ。「真夜中にロサンゼルスの大通りを封鎖して、3台の車を時速145キロで走らせて衝突させる撮影なんて、どれだけきちんと計画しても予想通りいかないものだよ」というダン・ギルロイ監督は「スタッフたちが驚異的な手腕を発揮してくれたおかげで、追跡シーンを上手く撮ることができた。予期せぬことも起きたけれど、それは良い意味でのサプライズだったね」と、完成した映像に自信を見せる。スクープという獲物を狙う主人公が行き着く先には何が待ち受けるのか? 視聴率至上主義というテレビ業界の裏側に迫る本作には、映画史上かつてない“戦慄のハッピーエンド”が用意されているという。『ナイトクローラー』8月22日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー
2015年08月17日大胆かつセンセーショナルな脚本でアカデミー賞にもノミネートされた話題作『ナイトクローラー』。いまだかつて描かれたことのなかった報道パパラッチを描いた戦慄のストーリーとは?失業中のルイスは、友達も家族もなく、ネットとテレビと共に孤独な生活を送っていた。ある日、事故現場に遭遇したルイスは、テレビ局に衝撃的なスクープ映像を専門に売っているカメラマンの存在を知ることになる。通称“ナイトクローラー”と呼ばれる彼らは、夜の街を徘徊し、事件や事故の悲惨な映像を撮影してテレビ局に高値で売り付ける報道パパラッチのことだった。ビデオカメラを手に入れ、ナイトクローラーとなったルイスは、独自の目線で過激な映像を撮影し、テレビ局から高く評価されるようになる。しかし、ますますエスカレートする要求と刺激的な映像を追求しすぎるルイスは、ついに一線を越えてしまうことに……。『ブロークバック・マウンテン』などで演技派としても知られているジェイク・ギレンホールは、本作では甘いマスクを封印し、狂気に満ちた悪役を怪演しています。2か月で12キロという過酷な減量に加え、ナイトクローラーさながらの夜通し起きて昼に起きる生活を送り続けるという驚異的な役作りに挑戦。まるで悪魔にとりつかれたかのような姿には、ホラー映画よりも背筋がゾッとしてしまうほど。本作で監督・脚本を務めたダン・ギルロイは、「本当に恐ろしいのはルイスではなく、彼という人物を生み出し、褒美まで与えてしまう社会なんだ。そのおぞましい事実を伝えたかった」と語っており、視聴率至上主義に走るテレビ業界の裏側と社会が生み出した闇に警鐘を鳴らしています。テレビのみならず、ネットなどでも過激な映像が氾濫している現代。非難しつつも衝撃的な映像を求めている社会が生み出したナイトクローラーの実態とは?あなたの倫理観をも揺さぶりそうな結末には賛否両論あるかもしれませんが、いつもあなたが見ている映像の裏に潜む闇を知りたくなるはず。この衝撃作は閲覧注意です!イベントデータ:『ナイトクローラー』公開表記:8月22日(土)、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー配給:ギャガ© 2013 BOLD FILMS PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
2015年08月15日『ブロークバック・マウンテン』でアカデミー賞にノミネートされたジェイク・ギレンホールが約10kg減量し、恐るべき怪演で挑む『ナイトクローラー』から、スリル満点の日本オリジナルの予告映像が解禁された。学歴もコネもなく、仕事にあぶれたルー(ジェイク・ギレンホール)は、ある日偶然にも事故現場を通りかかり、テレビ局に悲惨な映像を売って稼ぐ“ナイトクローラー”と呼ばれる報道スクープ専門の映像パパラッチの存在を知る。次第にルーも彼らのように、警察無線を傍受しながら、事件や事故の発生を待ち、猛スピードで車を走らせ現場に駆け付けるように。ルーが撮る過激な映像は、局の期待を高ぶらせ、ついには一線を超えてしまう…。到着した予告映像には、謙虚で平凡な主人公・ルーが、深夜のL.A.で傍受した警察無線を合図に、猛スピードで車を走らせ、いち早く事件・事故現場に駆け付けて被害者にカメラを向ける、映像パパラッチ“ナイトクローラー”となっていく様子が描かれる。そして、手に入れた映像をテレビ局に売り捌き、カネを得て、業界に染まっていくルー。欲望のままに行動が過激化し、常識を逸脱していく様はおぞましいとも言えるほど。何よりも「デカく当てたいなら、リスクをとれ」と、何度も繰り返し叫び、減量で窪んだ目元を暗闇の中で光らせるジェイクには恐怖すら覚えてしまう。米国レビューサイト「Rotten Tomatoes」で満足度95%であると評価され、映画ファンからも「早くぶっ壊れジェイク・ギレンホールが観たい!」との声も上がっている。このジェイクの演技は『タクシードライバー』でロバート・デ・ニーロが演じたトラヴィスの再来とも言われている。『ボーン・レガシー』の脚本を手掛け、本作が初の監督作品となったダン・ギルロイは、ジェイクが演じたルーという圧倒的に“嫌な”キャラクターについて「“トラブルを抱えているが、ある種の才能がある”そんなキャラクターに興味をそそられた。ルーは絶望的な状況の中で天職を見つけるんだ。ジェイクにとってこの役柄は変身だったと思う。文字通りの変身だ。彼ほど懸命に自らを駆り立てる役者は稀だね」と語り、手放しで彼を絶賛する。全編に渡り、不気味な雰囲気が漂う本作。本年度アカデミー賞「脚本賞」にノミネートを果たした圧巻の衝撃作のさらなる続報が楽しみだ。『ナイトクローラー』は8月22日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほかにて全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年05月08日第87回アカデミー賞「脚本賞」にノミネートされた『ナイトクローラー』が、ついに8月22日(土)より日本でも公開されることが決定!そしてこのたび、激ヤセしたジェイク・ギレンホールが、暗闇でカメラを持って立ち尽くしている、なんとも不気味なポスタービジュアルもお披露目となった。学歴も、まともな仕事もないルー(ジェイク・ギレンホール)は、ある日たまたま事故現場に遭遇する。そして、報道スクープ専門の映像パパラッチ“ナイトクローラー”の存在を知った彼は、自らもビデオカメラを手に入れ、警察無線を傍受しながら事件現場に駆けつけるように。良心の呵責をまったく感じさせないルーの過激な映像は、テレビ局に高く買い取られていく。だが、局の要求はエスカレートしていき、ついにルーは一線を超えてしまう――。主演は、『ブロークバック・マウンテン』でアカデミー賞候補となったジェイク・ギレンホール。20ポンド(約9キロ)減量して挑んだのは、死臭を求めるハイエナのごとく、貪欲なまでに刺激的な映像を求めて夜の街を這い回る、報道スクープ専門の映像パパラッチ、通称“ナイトクローラー”だ。『タクシードライバー』でロバート・デ・ニーロが演じた“トラヴィスの再来”と言われるほど、狂気が滲む男“ルー”。ポスタービジュアルにある“他人の<破滅>の瞬間に、カメラを持って現れる――”というキャッチコピーは、まさに彼のことなのだ。監督・脚本は、『ボーン・レガシー』で脚本を手掛けたダン・ギルロイ。本作が監督デビュー作となったが、映画批評サイト「Rotten Tomatoes」では驚異の満足度95%をたたき出し、賞レースでも大きな注目を集めた。視聴率のためには倫理を踏み外すこともいとわないテレビ業界と、非難しながらもそれを求めてしまう現代社会の闇に迫る衝撃作。映画史上かつてない“戦慄のハッピーエンド”を体験してみて。『ナイトクローラー』は8月22日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年04月28日