モンテ物産株式会社は、日本でシェアNo.1*のイタリアビールを製造するモレッティ社の休売していた4品、「モレッティ・ビール・ラ・ロッサ」、「モレッティ・ビール・ラ・ビアンカ」、「モレッティ・ビール・IPA」、「モレッティ・リモーネ・ラドレル」の販売を再開いたします。*2022年輸入通関数量[出典:財務省貿易統計等]イタリアのビール4品を販売【モレッティ・ビール・ラ・ロッサ】■凝縮感のあるカラメルの香りローストした麦芽から麦汁をつくっているため、濃い琥珀色でカラメルのような香りが特徴です。■しっかりとした飲み応えアルコール度数が高く飲み応えがあり、苦みと甘さの程よいバランスが特徴です。【モレッティ・ビール・ラ・ビアンカ】■小麦+大麦のヴァイツェンタイプイタリア産の小麦と大麦の麦芽を半分ずつ使用。ドイツで伝統的に造られてきた小麦麦芽を50%以上使用したビール、ヴァイツェンをイタリアテイストに仕上げました。■上面発酵ならではのフルーティーさやや高めの温度(20~25℃)で発酵を行う上面発酵という醸造法により、果実のような香り成分「エステル」が生成され、フルーティーな香りが生まれます。※ビールは発酵工程で使用される酵母の特性により、大きく分けて上面発酵と下面発酵に分類されます。■無ろ過で仕上げた複雑な味わい無ろ過で仕上げた、少し濁りのある色合い。エレガントで複雑な味わいです。【モレッティ・ビール・IPA】■「イタリアン・ペール・エール」とは…IPA(India Pale Ale)とはかつてイギリスからインドにビールを輸送する際、腐敗防止のために大量のホップを使用して苦みを強くした、イギリス発祥のビアスタイルです。モレッティは、イタリア産大麦から造るIPAタイプを「イタリアン・ペール・エール」と呼んでいます。■ドライホッピング製法によるホップ本来の爽やかな香りと苦み温度を下げて、フレッシュなホップを投入するドライホッピング製法が用いられることにより、ホップ本来の爽やかな香りと苦みをお楽しみ頂けます。■無ろ過で仕上げた素材本来の味わい無ろ過で仕上げた、少し濁りのある琥珀色。素材本来の複雑な味わいです。【モレッティ・リモーネ・ラドレル】■活性化するレモン市場に「ビール×レモネード」で参入イタリアやヨーロッパで人気の、ビールとレモネードをブレンドしたビアカクテル「ラドレル」。イタリア国内向けにのみ製造していた本商品を、この度導入することになりました。■シチリア産レモン&低アルコールレモンの産地として有名な、イタリアのシチリア島。ラドレルに使用されているレモン果汁は、100%シチリア産です。アルコール度数1.5%と低アルコールのため、普段ビールを飲みなれていない方もトライしやすい、甘酸っぱくライトなテイストです。(画像はプレスリリースより)【参考】※公式サイト
2023年08月07日『息子の部屋』『ローマ法王の休日』などを手掛けたナンニ・モレッティ監督の最新作『3つの鍵』が9月16日(金)より公開。この度、同じアパートに住む3つの家族を描く本作から、イタリア映画界を代表する女優アルバ・ロルヴァケルが演じる<2階に住むモニカ編>の本編映像が到着した。ローマの高級住宅街にある3階建てのアパートに暮らす3つの家族が、ひとつの事故をきっかけに、扉の向こうに隠している素顔が露になる様を、スリリングな展開で描いた作品。コンペティション部門に正式出品された第74回カンヌ国際映画祭では「モレッティの大いなる帰還」「開かれた世界への招待」と海外メディアからも高い評価を受けた。この度解禁された本編映像は、2階に住むモニカ(アルバ・ロルヴァケル)のところに、モニカの夫が遠ざけてきた義兄ロベルト(ステファノ・ディオニジ)が突然家に押しかけてくる場面。停電してしまったある夜、「女の子はどこだ? おーい どこにいる?」と手で作った犬や鳥の影絵を壁に映し出しながら、まだ幼いひとり娘のベアトリーチェに物語を聴かせてあげているモニカ。夫は出張続きでいつも留守。出産時から、ずっと1人で子育てをやってきた。この日は2人で一緒に寝ることになったが、寝る準備の最中には「ママは“未亡人”って呼ばれてるんだよ、カミッラが言ってた」とベアトリーチェに言われてしまう。寝静まった夜、呼び鈴が鳴る。モニカは起き上がり「誰なの?」と訝しがりながら、恐る恐る玄関に近づくと、そこには義兄ロベルトがいた。ロベルトはマフィアとの関連や資金洗浄も取り沙汰され、数百万ユーロの重大詐欺の容疑者として、ちょうど新聞に載ってしまったばかり。モニカは驚きながらも「夫は留守よ」と言うと「知ってる、だから来た。かくまってくれ。朝まで眠らせてほしい」とロベルト。「危険すぎる。娘も寝ているの」とモニカが言うと「ベアトリーチェ?」と嬉しそうな伯父の顔を見せるが…。モニカを演じるアルバ・ロルヴァケルは、イタリア国内のみならず国際的にも活躍するイタリア映画界を代表する女優のひとり。今後もダニエーレ・ルケッティ監督『靴ひものロンド』(2020)の日本公開が待機するほか、マギー・ギレンホール監督作、オリヴィア・コールマン主演『ロスト・ドーター』(2021)がNetflixで配信中。また、ロベルト役を務めるステファノ・ディオニジは、バロック時代のカストラート歌手ファリネッリの生涯を描いたジェラール・コルビオ監督『カストラート』(1994)で主演を務め、一世を風靡した名優だ。長期の夫不在による孤独と不安を抱えながらも、1人で育児をするモニカをアルヴァが静かながら力強く演じる。夫が遠ざけてきた、犯罪者である義兄がやってきてしまい、これから2階で巻き起こるドラマを予感させる場面となっている。『3つの鍵』は9月16日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:3つの鍵 2022年9月16日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、UPLINK吉祥寺ほか全国にて公開© 2021 Sacher Film Fandango Le Pacte
2022年09月01日フランスの名優ミシェル・ピコリが脳卒中のため12日(現地時間)に亡くなった。94歳だった。家族がフランスのメディアに公表した。1925年12月27日、ミシェルはヴァイオリニストの父とピアニストの母のもとにパリで誕生。1940年代後半から2015年までの間、ジャン=リュック・ゴダール、ルイス・ブニュエル、ジャン・ルノワール、アルフレッド・ヒッチコック、ジャック・リヴェット、ジャン=ピエール・メルヴィルらの200以上もの作品に出演した。代表作はブリジット・バルドーを相手に脚本家の夫ポール・ジャヴァルを演じたゴダール作品の『軽蔑』。長い俳優人生で、数々の賞を受賞した。フランス版アカデミー賞のセザール賞では主演男優賞に4回ノミネートされ、フランス版トニー賞のモリエール賞では2回のノミネート経験を持つ。1980年にカンヌ国際映画祭で男優賞(『虚空への跳躍』)、1982年にベルリン国際映画祭で男優賞(『Une etrange affaire』)を受賞し、演技に高い評価を受けた。近年では2011年にナンニ・モレッティ監督の『ローマ法王の休日』で主役のローマ法王を演じ、称賛された。私生活では3回結婚しており、1978年に結婚した3人目の妻とは亡くなるまで添い遂げた。(Hiromi Kaku)
2020年05月19日いまさらですが、世はフランスブームなのでしょうか?書店に行くと昨年の大ベストセラー「フランス人は10着しか服を持たない」とその続編が平積みになっており、最近、リニューアルの方向性が物議を醸した某雑誌も新生第1号の特集は「フランス女性の生活の知恵」でした。待機児童問題に関しても、海外の例として、福祉先進国の北欧諸国と一緒にフランスの実情を紹介するニュースや記事も目立ちました。やはり、日本人にとって、フランスは永遠の憧れの地なのでしょうか?そんなフランス礼賛にケチをつける気は毛頭ありませんが、憧れの国を見つめる視線をやや右下(地図で見て南東)に下げて、ぜひ見つめていただきたいのがイタリアです!イタリアもフランスと並んで日本で人気の国ですが、その人気の対象は生き方や国民性ではなく、あくまで食べ物や文化(サッカー、ブランド、遺跡etc.…)といった部分であり、人気の旅行先というポジションであるということは否めません。国民性に関しては「陽気ですぐに女の子に声をかけてくる」「約束や時間にルーズ」といったイメージが強く(というか単にイメージではなく事実である側面も多々ありますが…)、日本人とはかけ離れているという印象が強いかもしれません。ですが、あえて言わせてもらいます(大声ではなく声のトーンを落として周囲の目を気にしつつ…)。「実は日本とイタリア似た者同士!」と。即、返ってきそうな「どこが!?」という疑問、ツッコミに答え、あろうことか人生の歩み方への示唆まで与えてくれる興味深いイタリア映画がこの春、立て続けに日本で公開されていますので順に紹介いたします!■主人公を取り巻く環境に共感まず1本目は、先日より公開中の『これが私の人生設計』。ヒロインのセレーナは決して“ピチピチ”とは言えない年齢の建築家で、世界各国で活躍し、新たなステップとして故郷のイタリアに戻ってきます。でもイタリアの経済状況は最悪。おまけに建築業界はいまだ男社会で、コンペに出品しても、女性という理由でロクに評価すらしてもらえず…。セレーナは名を偽り、自分は男性建築家のアシスタントという体裁でコンペに臨み、ローマの公営住宅のリフォーム事業のデザインを勝ち取ります。セレーナはゲイの友人に身代わりを頼み、プロジェクトを進めていくが…。先進国の中でもイタリアは伝統的なカトリックの影響もあって保守的で、男尊女卑の風潮が色濃く残っています。さらに晩婚&少子化の傾向も日本と同様!故郷の母親や大叔母と話すたびに「いつになったらいい人が?」と聞かれて、セレーナはうんざり。日本の女性の観客の中にも、大なり小なりセレーナらが受けるような理不尽な差別や偏見、ハラスメントにさらされた経験があるという人もいるのでは…?ちなみに、オープンで思ったことを遠慮なく口に出し、自己主張の強いイメージの強いイタリア人ですが、実は(日本人と同様に!)相手をガッカリさせまいと空気を読む気遣い屋さんが多いのも事実!映画ではセレーナや性的マイノリティのフランチェスコ然り、いろいろな事情を抱え、言いたいことを呑み込んで生きる人々が登場しますが、その姿に「あぁ、分かる、分かる!」と思わず頷いてしまう人も多いはず。セレーナが視察に訪れる公営住宅にたむろしている若者たちに名前を尋ねると「エルトン」「ジェニファー」など伝統的なイタリア人の名前ではなく英語名ばかり。登場人物の一人が「ここはニューヨークかよ」とボソッと漏らすが、これってイタリア版“キラキラネーム”問題…?原題の「Scusate Se Esisto!」は直訳すると「私が存在してすみません」。そこにいないもののように扱われる女性の「ちょっと、ここに私がいますけど!」という怒りを皮肉交じりに表しています。イタリアと日本の思わぬ共通点に新鮮な驚きを感じつつ、セレーナの奮闘に溜飲を下げていただければ!■誰もが経験する“親との別れ”続いて2本目に紹介するのはイタリアを代表する名監督ナンニ・モレッティが、自身の母を失った経験を基に描いた家族の物語『母よ、』。日本でも絶賛された『息子の部屋』では、突然、息子が事故死してしまい、その喪失に対峙する家族の姿を描いたモレッティですが、本作は多くの人が、やがては向き合わなくてはいけない親との別れを切り取ります。親の死を見送ることを“人生経験”などと言うのは不謹慎ですが、親が亡くなってから初めて知ること、気づかされることのなんと多いことか!40代で3大国際映画祭を制覇した名匠が主人公の女性映画監督に自らを重ね合わせながら、いつも目の前にいてくれた母親が消えてしまうかもしれない恐怖や己の無力感、そんな状況でも消えることなく当たり前に目の前にある仕事や日常、逆に自分が親という立場になっての娘との関係の難しさ、もどかしさなどが丁寧に綴られます。主人公だけでなく、脇の登場人物たちも魅力的!母の介護のため、実は仕事を辞めていた兄(モレッティ監督自身が演じています!)、トラブルメーカーだが憎めず、何も事情を知らないままに時折、誰より優しく主人公に寄り添うアメリカ人スター俳優、そして、元教師の凛とした厳しさと深い愛情を併せ持った母親。全ての人物が問題や悩みを抱えつつ、それぞれの日常を生きている――そう気づかされるだけで、ほんの少しだけかもしれませんが、心がフッと軽くなります。■それぞれが辿り着く、“人生の真理”そして最後に紹介するのは『グランドフィナーレ』。こちらは、『グレート・ビューティ/追憶のローマ』がアカデミー賞外国語作品賞に輝いた、イタリアの40代の監督パオロ・ソレンティーノがメガホンを握っていますが、伊・仏・スイス・英合作です。主な舞台となっているのは、スイスにある、セレブや老後を過ごす金持ちが集う高級リゾートホテルです。老境に差し掛かった引退を表明している世界的指揮者の主人公を演じるのは『ダークナイト』シリーズの“名執事”アルフレッドでおなじみのマイケル・ケイン。その友人であり、彼と毎日のように尿の出の悪さを嘆き合い、不健康自慢をする仲である老映画監督をハーヴェイ・カイテルが演じています。前の2作よりも、さらに人生の時計の針を進めて、主人公が老境に達し、己の死に向き合う年齢になっていますが、その歳になってもなお、生きることの意味を問い、人生を懸けて愛情を捧げてきたものの存在に悶え、葛藤します。一方で、考えさせられるのは、「年を重ねること=人間としての成熟」とは限らないんだなぁ…ということ。いや、だからこそ年を取るのも面白いのかも…?ここでも少女からミスユニバース、主人公の娘で夫に捨てられた女性、その夫の不倫相手だが、明らかに正妻よりもサエない女など、多彩な人物が登場し、それぞれの人生の“真理”を口にします。人生最後のステージに立つことを決意した主人公は、どんな“グランドフィナーレ”をそのタクトで表現するのか?3本とも、年齢や性別、立場によって感想や共感を感じる人物などが異なるのは当然ですが、たとえ登場人物たちと境遇や立場が全く異なっていたとしても、必ず人生について(と言うと大げさですが)ポジティブな何かを考えさせてくれることは請け合い!フランス人とはまた一味違う人生の教訓(?)をイタリア人から受け取ってみては?(text:cinemacafe.net)
2016年03月22日『ローマ法王の休日』『息子の部屋』などで知られるイタリアの巨匠ナンニ・モレッティ監督が、自身の体験を基に、すべての人にいつか必ず訪れる“親の死”という普遍的なテーマを描き出す『母よ、』。本作で、モレッティ自身を投影させた主人公の女性映画監督を演じたマルゲリータ・ブイは、“イタリア映画界のアカデミー賞”といわれる「ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞」主演女優賞を実に7度も受賞している超・実力派であることが分かった。映画監督のマルゲリータは、恋人ヴィットリオと別れ、娘リヴィアの進路問題も気になっている。さらに、兄(ナンニ・モレッティ)と共に入院中の母親・アダの世話をしながら、新作映画の撮影に取り組んでいるが、アメリカから呼び寄せた人気俳優バリー・バギンズ(ジョン・タトゥーロ)が参加した途端、思うように撮影が進まなくなり、大きなストレスを抱えるように。そんな中、マルゲリータは病院から母親の余命宣告を受けてしまう。何の助けにもなれない自分を嘆き、母が研究や仕事に捧げた年月が死によって無になると悲しむマルゲリータ。しかし、母はある“贈りもの”を遺してくれていた――。モレッティ監督が『ローマ法王の休日』以来、4年ぶりに手がけた本作は、前作『ローマ法王の休日』の製作中に最愛の母を亡くした経験から生まれた自叙伝的作品。2015年カンヌ国際映画祭コンペディション部門に出品され「エキュメニカル審査員賞」を受賞したほか、フランスの映画雑誌「カイエ・デュ・シネマ誌」の2015年ベスト1にも輝き、世界各国で高い評価を受けている。そんな本作で、モレッティがこれまでのように自分自身で主演を務めるのではなく、主人公の座を託したのがマルゲリータ・ブイだ。1962年生まれの54歳。1990年にイタリアの有名舞台の映画化『殺意のサン・マルコ駅』でデビューし、その後、『心のおもむくまま』(’95)、『もうひとつの世界(’98/未)、『イタリア的、恋愛マニュアル』(’05)、『題名のない子守唄』(’06)、『ローマの休日で~我ら佳き日々~』(’12)など幅広い作品に出演。なかでも、彼女の代表作として知られているのが2013年に公開された『はじまりは5つ星ホテルから』(’13)だろう。5つ星ホテルのクオリティを評価する覆面調査員の女性が、自分の生き方を見つめ直し、新たな人生の一歩を踏み出す姿を描いたドラマで、マルゲリータ・ブイは華やかなキャリアウーマンを演じ、話題となった。また、本作以外にも『ローマ法王の休日』や『夫婦の危機』とモレッティ監督作品の常連でもある。本作の主演にはマルゲリータ・ブイを強く希望したというモレッティ監督は、「主人公は女性の監督という設定にして、演じてもらうならマルゲリータ・ブイがいいだろうと考えていました。理由はとても単純で、私が主役を演じるよりマルゲリータ・ブイが主役のほうがはるかにいい映画になるからです」と語っており、絶大な信頼を寄せていることが分かる。確かな演技力で、どんな役でも変幻自在に演じてしまう彼女は、日本で言うところの大竹しのぶのような存在の実力派。母を看取らなければならない娘、仕事に向き合うキャリアウーマン、年ごろの娘を抱えた母など、さまざまな女性の姿を体現する本作の彼女にも、ぜひ注目してみて。『母よ、』はBunkamuraル・シネマ、新宿シネマカリテほかにて全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2016年03月14日イタリアで大ヒットし、日本の2015年イタリア映画祭でも絶賛を受けた『これが私の人生設計』が、いよいよ今週末3月5日(土)より公開となる。この3月は、本作のように笑って、ハラハラドキドキして、ラストは胸がほんのり温かくなる、働く女性を描いた作品が連続公開。94歳のファッションアイコンから、出産後もトップバレリーナ目指す女性、そして世界各国でキャリアを積んで、自分を見つめなおすために故郷で再出発する女性など、共感必至の4作に迫った。■女性建築家とゲイの友人が“超男性社会”に殴り込み!?『これが私の人生設計』(3月5日公開)建築家として世界各国で華々しいキャリアを積んできたセレーナは、ふと自分を見つめ直し、“新たなステップ”を踏み出そうと故郷のローマに帰ってきた。しかし、イタリアの建築業界は男性上位社会で、ろくな仕事にも就けず貯金も底をつく。仕方なくレストランでウエイトレスとして働き出すと、超イケメンのオーナー、フランチェスコが何かと優しくしてくれ、ついつい彼に恋することに。しかし、クラブで男たちに囲まれて超絶に踊り狂うフランチェスコを見て“ゲイ”だと気づいたセレーナは、あえなく失恋。結局、2人は恋愛ではなく友情で結ばれるのだった。そんなとき、公営住宅のリフォーム建築案の公募を知ったセレーナは、絶対合格するため、男性になりすましてエントリーするが…。実話からヒントを得た本作は、海外で華々しく活躍した女性建築家セレーナが、日本とよく似た(?)男性上位社会である故郷イタリア建築業界で悪戦苦闘するユーモラスなドラマ。ヒロイン、セレーナの起死回生の一手に、きっと勇気をもらえるはず。■大先輩から人生の極意を学ぶ『アイリス・アプフェル!94歳のニューヨーカー』(3月5日公開)インテリアデザイナー、実業家などさまざまな肩書きを持ち、ファッションアイコンとしてニューヨークのカルチャーシーンに影響を与え続けるアイリス・アプフェルの成功の秘訣や魅力に迫ったドキュメンタリー。1950年代からインテリアデザイナーとして活躍し、ホワイトハウスの内装を任され、ジャクリーン・ケネディを顧客に持つなど、輝かしいキャリアを誇るアイリス。そんな彼女の展覧会や老舗百貨店でのディスプレイ企画、売り切れ続出となるテレビショッピングなどに密着し、自由で楽しく生きることとサクセスを両立させたアイリスの魅力が描かれる。監督は『ローリング・ストーンズ・イン・ギミー・シェルター』などを手がけたアメリカドキュメンタリー映画の巨匠で、2015年3月に他界したアルバート・メイズルス。アイリスと、撮影後に亡くなった夫カールとの関係にも要注目。■妊娠・出産をへて再び難役へ!『Maiko ふたたびの白鳥』(順次公開中)ノルウェーを拠点に活躍する世界トップクラスの日本人プリマドンナ、西野麻衣子の挑戦を追ったドキュメンタリー。15歳でイギリスの名門ロイヤルバレエスクールに留学し、19歳でノルウェー国立バレエ団に入団、そして25歳で同バレエ団初の東洋人のプリンシバルとなった西野麻衣子。私生活ではオペラハウスの芸術監督を務めるノルウェー人男性ニコライと結婚し、30代を迎えて出産とキャリアの間で揺れていた矢先、妊娠したことがわかる。出産・育休を経てプリンシバルへの復帰を決意した彼女は、尊敬する実の母親・衣津栄や優しい夫ニコライら温かい家族に支えられながら、クラシックバレエの中でも特に難役とされる「白鳥の湖」に再び挑む――。家族の愛にも胸熱になるバレエドキュメンタリーだ。■有名映画監督が仕事と去りゆく母への思いの狭間で…『母よ、』(3月12日公開)『息子の部屋』のナンニ・モレッティ監督による自叙伝的作品で、プライベートでも難題を抱えながら、映画製作に取り組む女性映画監督を主人公に描いたドラマ。恋人とも別れ、娘の進路問題も抱え、兄とともに入院中の母親の世話をしている映画監督のマルゲリータ。だが、撮影中の新作映画は、アメリカの有名俳優バリー・バギンズが撮影に参加した途端、思うように進まなくなる。ストレスが募る中、追い討ちをかけるかのように、病院から母親の余命宣告を受けた彼女は…。マルゲリータの兄役でモレッティ自身が出演し、監督作品の常連でもあるマルゲリータ・ブイが主演。アメリカ俳優バリー・バギンズ役には『ジゴロ・イン・ニューヨーク』のジョン・タトゥーロが扮し、しんみりしがちな物語に温かさを与えてくれる。(text:cinemacafe.net)
2016年03月01日卒業、入学、就職、転職…出会いと別れが交差する、これからの季節。とくに今年の春は、世界を代表する名監督と名女優のコンビが贈る“家族”の出会いと別れを描く映画が続々とミニシアターに登場。アカデミー賞常連のメリル・ストリープ、日本の名匠・山田洋次監督、イタリアの巨匠ナンニ・モレッティ…国は違えども世界共通の普遍のテーマ“家族”を描く、この春の3作品をピックアップした。まず、『息子の部屋』『ローマ法王の休日』などで知られるナンニ・モレッティ監督の『母よ、』。恋人や年ごろの娘との関係に悩みながら、新作映画の撮影も上手くいかない女性映画監督のマルゲリータ。アメリカから迎えた人気俳優バリー(ジョン・タトゥーロ)は自己主張が強い割に、撮影となるとどうもイマイチ。そんな折、入院中の母の余命宣告を受けたマルゲリータは、母として、娘として、一人の女性として苦悩の上に立たされる…。カンヌ、ヴェネチア、ベルリンの世界3大映画祭を制覇しているモレッティの最新作は、仕事と家庭で悩みを抱える働く女性を主人公に母との別れを描き、2015年カンヌ国際映画祭コンペディション部門「エキュメニカル審査員賞」を受賞。主演を務めるのは、『はじまりは5つ星ホテルから』の名女優マルゲリータ・ブイ。母アーダ役を務めるのは『フォンターナ広場 イタリアの陰謀』のジュリア・ラッツァリーニ。本作は前作『ローマ法王の休日』撮影中に母を亡くしたモレッティ監督の体験が投影された自叙伝的作品となっており、自身もマルゲリータの兄役で出演。余命わずかの母と娘の交流は観る者の心を締め付け、やがて静かな感動の余韻が広がる傑作となっている。また、大女優メリル・ストリープが実娘メイミー・ガマーと母娘役で初共演を果たすことでも話題の『幸せをつかむ歌』(3月5日公開)で監督を務めるのは、『羊たちの沈黙』でアカデミー賞およびベルリン国際映画祭の「監督賞」を受賞したジョナサン・デミ。ロックバンド「リッキー&ザ・フラッシュ」のボーカルのリッキーは、若かりしころ、自分の夢を追いかけるために家族を捨てた。だが、結婚に失敗した傷心の娘のため、家族の元に“何十年ぶり”に戻ることに。かつて手放した子どもたちとの関係を修復しようとするリッキーの奮闘を、時に可笑しく、時に切なく描いた家族ドラマ。『イントゥ・ザ・ウッズ』の魔女役でも歌声を響かせ、アカデミー賞やゴールデン・グローブ賞にノミネートされたメリルが、今作ではエレキギターを手に「U2」からレディー・ガガまで数々の名曲を生歌で披露。家族を捨てた母と、母と夫にも捨てられ、愛を失った娘。すれ違う親子の関係に注目だ。そして、日本が誇る名匠・山田洋次監督が、『男はつらいよ』シリーズ終了から約20年ぶりに手がけた家族喜劇が『家族はつらいよ』(3月12日公開)。橋爪功&吉行和子、妻夫木聡&蒼井優、西村雅彦&夏川結衣、林家正蔵&中嶋朋子と、2013年の『東京家族』で一家を演じた豪華キャストが再集結した。結婚50年を目前に控えた平田夫妻。たまには妻(吉行さん)に誕生日のプレゼントでも買ってやろうかと夫(橋爪さん)が欲しいものを聞いてみると、妻の答えはなんと…「離婚届」!一家に突然降りかかる、まさかの“熟年離婚”騒動に、子どもたちは大慌て。すぐに家族会議が開かれるが、それぞれが抱えてきた不満が噴出し…。3つの家族がスクリーンを彩る今春、映画を通して自身の家族と向き合ってみては?『母よ、』は3月12日(土)よりBunkamuraル・シネマ、新宿シネマカリテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年02月25日24日夜(現地時間)、第68回カンヌ国際映画祭の授賞式が行われ、コンペティション部門の最高賞パルムドールはジャック・オディアール(仏)監督の『ディーパン』(原題)に贈られた。また、日本から妻夫木聡が参加した『黒衣の刺客』の侯孝賢(ホウ・シャオシェン/台湾)監督が、監督賞に輝いた。侯孝賢監督は壇上で、「監督賞をいただけて感激です。作家映画を作るのは決して簡単なことではありませんし、資金を獲得するのも難しいことです。スタッフに感謝します。また主演のスー・チー、チャン・チェン、そして全ての人に感謝いたします」と喜びを語り、会場にいたスー・チーとチャン・チェンも感激の面持ちだった。すでに帰国していた妻夫木さんは「侯孝賢監督の作品に参加できたこと、このような素晴らしい賞を受賞したこと、こんな奇跡的な瞬間に立ち会えたことに幸せを感じています。一期一会の心を忘れず、これからも人や作品に出会えていけたらと思います」とコメントした。日本の是枝裕和監督の『海街diary』は無冠に終わったが、「ある視点」部門では黒沢清監督が『岸辺の旅』で監督賞を受賞した。パルムドール受賞作『ディーパン』(原題)は、スリランカ内戦で全てを失ったタミール族の兵士ディーパンが、偽装家族とフランスで難民として暮らす姿を描く。オディアール監督は『預言者』で2009年にグランプリを受賞しているが、パルムは初となった。下馬評の高かったポール・ソレンティーノ(伊)の『YOUTH』(英題)、ナンニ・モレッティの『MY MOTHER』(私の母)などイタリア勢を破っての受賞に、記者席の一部からはブーイングもあがったが、力強いラブストーリーとなっている。一方、誰もが納得したのが、男優賞の『MEASURE OF A MAN』(英題)で、失業とモラルの狭間で苦悩する男を演じたフランスの人気俳優ヴァンサン・ランドン。ハンガリーの新鋭ラズロ・ネメスがユダヤ人強制収容所を舞台にした『SON OF SAUL』(英題)のグランプリ受賞も、期待通りの結果となった。審査員の1人である女優シエナ・ミラーは「私は観たときに、圧倒されてしまった。映画祭が始まってすぐに観たのに、最後までその強烈さは忘れられなかった」と明かした。女優賞は『CAROL』(英・原題)のルーニー・マーラ(米)、『MON ROI』(原題)のエマニュエル・ベスコ(仏)の同時受賞。メキシコの若手監督ミシェル・フランコがティム・ロス主演で終末医療専門の看護師を描いた『CHRONIC』(原題)が脚本賞に、ヨルゴス・ランティモス(ギリシャ)が独身者が禁じられた近未来をコリン・ファレル主演で描く『THE LOBSTER』(原題)が審査員賞に輝いた。2人は前作がいずれも「ある視点」部門のグランプリを受賞しており、まさにカンヌの申し子となった。全体にフランス勢が圧勝という印象であり、現地のテレビではヴァンサン・ランドンの栄冠が大きく報じられている。(photo / text:Ayako Ishizu)
2015年05月26日第54回カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作『息子の部屋』から10年、イタリアの巨匠ナンニ・モレッティ監督が満を持して贈る『Habemus Papam』の邦題が『ローマ法王の休日』に決定。自らが企画・脚本・演出・出演をこなす新境地で、法王逃亡という衝撃の題材で昨年のカンヌ映画祭を沸かせた話題作だ。今回、監督のインタビューをお届けする。●この映画のアイデアはどこから来たのですか?フェデリカ・ポントレモーリとフランチェスコ・ピッコロと私の三人で、同時に別々のアイデアを練っていました。しばらくしてから、本作の脚本に取り掛かることに決めました。あるシーンを思いついたことをきっかけに、すべてが始まりました。それは、新しく任命されたローマ法王が、彼の登場を期待して待つ信者たちの前に、なかなか姿を現すことができないというシーンです。●宗教的な教育を受けてきましたか?神の存在は信じていますか?両親が信奉者なので、私はカソリックの教育を受けました(ほどほどにですが)。私自身は信奉者ではありません。●本作は明らかに2パートに分かれています。「拘束」を扱ったシークエンスがある一方、「自由」を扱ったシークエンスがあります。脚本のバランスと調和について教えてください。私は一本の映画でコメディ性とドラマ性を混ぜ合わせたかったのです、奇妙さと現実味の両立をね。作品に映し出されている枢機卿のコンクラーベはあくまでも我々の想像の産物ですが、現実のコンクラーベの儀式と教儀に敬意を払いました。そして、法王がバチカンから逃げだして街中を歩いていると、彼は長い間忘れていた様々なことを経験します。ローマを放浪している法王の姿は、彼自身と観客の両方に質問を問いかけてきます。そして、その一方、精神分析家のほうはバチカンの囚人となり、当初は混乱していたものの、最終的には安らぎを見出すのです。●最近、あなたに対して起きている中傷に関してはどう思いますか?作品そのものに対する中傷はありませんでした。ただ、カソリックの教えを反映していない一部の人々から中傷されただけです。●近年、カソリック教会では様々なスキャンダルが起こり、それに対して階級組織としての姿勢が批判されてきました。なぜ本作ではそういった物議を描かなかったのでしょうか?私はすでに人々に知られていることをわざわざ映画を通して描きたいとは思いません。時事ネタを扱って、観衆にベールに包まれたメッセージを送りたいとも思わない。カソリック教会を取り巻くスキャンダルについては(例えば小児性愛や財政問題など)、それを取り上げている本やドキュメンタリー、新聞記事がすでにたくさんある。私は時事に影響されないように距離を置いています。本作はフィクションです。この作品は私の視点から見るバチカンであり、コンクラーベであり、枢機卿の姿です。●なぜチェーホフにしたのですか?脚本を書いている最中、劇を有名作家の作品にしたいと思ったからです。チェーホフの思想が本作の内容と登場人物たちに最もふさわしいと思いました。●監督自身が“ジロトンディ”運動を経験後に、これ以上政治とは関わりたくないと思ったことは、法王になることを拒むメルビルの心情にも重なっていますか?それはちょっと飛躍した解釈だと思う。“政治活動”に関しても当初から、私は監督業に戻りたいと公言していました。元々、政治家になるつもりはまったくなかったんです。●本作のどういった箇所が自伝的ですか?いつものことですが、映画を撮っているという行為自体が自伝的です。より深く説明するとすれば、法王になりたくないと違和感を覚えているメルビルと精神分析家の二人は、両方とも私自身の投影なのです。作品情報『ローマ法王の休日』監督:ナンニ・モレッティ出演:ミシェル・ピッコリ、イエルジー・スチュエル、レナート・スカルパ、ナンニ・モレッティ他7月21日(土)TOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほか全国順次公開(C)Sacher Film . Fandango . Le Pacte . France 3 Cinema 2011
2012年07月18日『息子の部屋』で高い評価を受けた、イタリアの巨匠ナンニ・モレッティ監督の最新作『ローマ法王の休日』のメイキング映像がこのほど公開された。『ローマ法王の休日』メイキング映像本作は、前法王が死去し、新法王に選ばれたメルヴィルがプレッシャーのあまり街へ逃げ出し、苦悩を抱えながらも人びととの触れ合いによって自分を見つめなおす姿をユーモラスに描いた作品。全世界で11億人以上の信者がいるカトリック教徒の最高指導者である“法王”を主人公にし、さらに就任演説前に逃亡するという大胆な設定で描いた本作。このほど公開されたメイキング映像は、枢機卿たちがバレーボールをするシーン。枢機卿役の俳優たちに監督が自らバレーボールを教え、俳優たちが真剣な表情でバレーボールに取り組む姿が映し出されている。このシーンは、イタリアのフランス大使館にあるファルネーゼ宮の庭で撮影が行なわれており、本作の中で笑いどころでもある。撮影は16世紀に建設されたイタリア有数の庭園ヴィラ・ランテや『ローマの休日』でも撮影に使用されたバルベリーニ宮殿など、歴史的建造物で行われ、イタリアの景観を楽しめる作品ともいえそうだ。本作は21日(土)より公開となる。『ローマ法王の休日』7月21日(土)TOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開
2012年07月13日カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞歴をもつイタリアの巨匠ナンニ・モレッティ監督の最新作『ローマ法王の休日』が7月21日(土)より公開となる。ローマ法王の逃亡劇というユーモラスで斬新な映画の題材とは裏腹に、このほどモレッティ監督がご年配の枢機卿たちに叱咤を飛ばす、緊迫感漂う貴重なメイキング映像がシネマカフェだけに到着!ローマ法王の死去という一大事を受け、新法王選出のためヴァチカンに集められた各国の枢機卿たち。選挙のゆくえを真剣に見守りながら、全員が心の中で「どうか私が選ばれませんように…」と祈りを捧げていたが、そんな願いも虚しく新法王に選ばれたのは、誰も予想だにしていなかったダークホース、メルヴィル。大勢の信者たちの前で演説をするという大仕事を控え、あまりのプレッシャーに耐えかねた彼は、何とローマの街に逃亡を図る!“イタリアのウディ・アレン”と称される、癖のある人柄と作風、そしてナイスミドルな風貌で世界中に多くのファンをもつモレッティ監督。その作品はユーモアに富み、最後には温かい感動を生み出す良質なものばかりだが、その分演出のこだわりもハンパではない。今回届いたのは、問題の新たな法王が選ばれる、本作の一番の肝となるシーン。ピッコリを始め真っ赤なミトラ(聖職者が被る帽子)とポンチョを羽織った年配俳優たちが静かに並ぶ中、モレッティ監督の叫び声だけがスタジオにこだましている。イタリアが誇る大御所俳優ミシェル・ピッコリ(御年86歳)を始め、年配のベテラン俳優たちに一切臆することなく、まるで舞台演出のように大勢の役者たちを鼓舞していく監督。自身も俳優であり、本作でも法王の精神科医という役柄で出演しているが、実際に役者と同じ動きをしながら、システィーナ礼拝堂に見立てたセットの隅々まで行き渡るように叫び続ける姿は、映画監督というよりは軍隊を指揮しているかのようだ。モレッティ監督はピッコリについて、「この映画の成功の鍵は、彼のキャスティングにあったと言っても過言ではない」と話す。「存在感、演技力は言うまでもないが、彼の素晴らしいところは、大ベテラン名優にして、柔軟であり、すぐに私たちのやり方に合わせてくれてたことだ」と賞賛を惜しまない。一方、当のピッコリは「過酷な撮影だった…。長年やってきた私が、もう俳優という仕事を辞めてしまおうかと思ったくらいだ」とすっかり心を折られ、ローマ法王と同様に気弱に…?“生ける伝説”とまで言われる名優の俳優生命を絶たんとした、モレッティ監督の迫力の演出は、映画ファン垂涎ものの貴重な映像となっている。ぜひこちらの映像で、映画の舞台裏をぜひ覗いてみて。『ローマ法王の休日』は7月21日(土)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開。※こちらの映像はMOVIE GALLERYにてご覧いただけます。MOVIE GALLERY■関連作品:ローマ法王の休日 2012年7月21日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開
2012年07月12日27日夜(現地時間)、第65回カンヌ国際映画祭の授賞式が行われ、下馬評どおり、ミヒャエル・ハネケ監督(オーストリア)の『Amour』(=愛)がパルム・ドールに輝いた。映画は、長年連れ添った老夫婦が愛に殉じる姿を描いており、『男と女』(’66)のジャン=ルイ・トランティニャンと、『二十四時間の情事』(’59)のエマニュエル・リヴァが、愛の美しさ、悲しさ、辛さを見事に体現。受賞会見でハネケ監督は、「私はロマンチストなのです」と語った。オーストリア出身のハネケ監督は『白いリボン』(’09)に続く2本連続のパルム受賞という快挙。また、審査委員長のナンニ・モレッティは、「この作品の栄誉は、ジャン=ルイとエマニュエルに対してのものでもあります」とフランスの名優2人を称えた。男優賞にはデンマーク作品『The Hunt』(原題)のマッツ・ミケルセンが選ばれ、マッツは「全く予想だにしていなかったので、本当に驚き、感激している。この賞の90パーセントは監督のトマス・ヴィンターベアのおかげです」と語った。『007/カジノ・ロワイヤル』の悪役ル・シッフルで名を馳せたマッツは本作で、幼児虐待の噂を立てられ現代の魔女狩りに遭ってしまう幼稚園教師を演じている。審査員のユアン・マクレガーは「繊細で美しい演技。彼を通して僕たちはキャラクターと物語にコンタクトすることができる」と、マッツの演技を称賛した。批評家たちに評判の高かったレオス・カラックス監督(フランス)の『Holy Motors』(原題)が無冠に終わり、賛否両論だった『Post Tenebras Lux』(原題)のカルロス・レイガダス監督が監督賞に輝いたことに対して質問されたモレッティは「カラックスとレイガダスの作品は、審査員の間でも最も意見が分かれた。そのうちの一つが受賞し、一つが逃したということだ」と語った。映画への愛を奇想天外な形で見せた『Holy Motors』が受賞を逃したことはとても残念だが、それ以外はほぼ妥当な結果となった。主な受賞結果は以下の通り。パルム・ドール(最高賞):ミヒャエル・ハネケ監督『Amour』(愛)グランプリ:マッテオ・ガローネ監督『Reality』(現実)監督賞:カルロス・レイガダス監督『Post Te nebras Lux』(闇の後の光)審査員賞:ケン・ローチ監督『The Angels’ Share』(天使の取り分)男優賞:マッツ・ミケルセン(『The Hunt』<狩り>)女優賞:コスミナ・ストラタン、クリスティーナ・フルトゥ(『Beyond the Hills』<丘の向こうで>)脚本賞:クリスティアン・ムンジウ(『Beyond the Hills』)(photo/text:Ayako Ishizu)特集:第65回カンヌ国際映画祭■関連作品:The Hunt (原題)Post Tenebras Lux (原題)Reality (原題)Amour (原題)第65回カンヌ国際映画祭 [映画祭]■関連記事:【カンヌレポート】ロバート・パティンソン、ホテルにこもりきりの撮影裏話明かす【カンヌレポート】ザック・エフロン、ニコールとの恋に「全く年の差感じなかった」【カンヌレポート】クリステン・スチュワート、15歳の妻を演じた難しさ明かす【カンヌレポート】『愛と誠』の和製“愛”、海を越えスタンディング・オベーション!【カンヌレポート】ブラピ、主演作会見でアンジーとの順調ぶりアピール
2012年05月28日映画の祭典、カンヌ国際映画祭が5月16日、南仏カンヌで開幕した。第65回となる今年のオープニング作品は、カンヌには初登場となるウェス・アンダーソン監督の最新作『ムーンライズ・キングダム』(原題)。アンダーソン監督に加え、ブルース・ウィリス、エドワード・ノートン、ビル・マーレイ、ティルダ・スウィントンら主要キャストがレッドカーペットを飾った。映画は、1965年のニューイングランドの小さな島を舞台に、ボーイスカウトのキャンプから逃避行をする12歳の少年と少女の恋と、彼らを取り巻く大人たちの混乱を描いた、いわばウェス版『小さな恋のメロディ』(’71)といった趣。ウェス・アンダーソンは「僕が子供の頃、こんなことが起きてほしいと願っていたことを映画にしたんだ。それと、子供の頃に誰かを好きになる感覚をみんなに思い出してほしい、という気持ちも込めている」と、作品への思いを語った。子供たちを捜す警察署長を演じるブルース・ウィリスは、ウェス作品には初出演。「ウェスの演出方法は独特で、とても新鮮な体験だったよ。映画の中ではいろんな事件が起きるけれど、これは愛についてのお話なんだ。誰もが、愛されたいし、愛されるべきなんだよ」と語った。また、『ザ・ロイヤル・テネンバウムス』(’01)、『ライフ・アクアティック』(’05)ほかアンダーソンの全作品に出演しているビル・マーレイは、「アート映画と言われる映画だけど、ギャラは少なくて拘束時間は長い。ほかに稼げる仕事があるから、ウェスのためには奉仕できるんだよ」と語って笑わせた。今年の審査委員長は、『息子の部屋』(’01)でパルム・ドールを受賞しているナンニ・モレッティ。審査員は、ユアン・マクレガー、ダイアン・クルーガー、アレクサンダー・ペインといった映画人に、デザイナーのジャン=ポール・ゴルチエも加わり、総勢9名。27日まで世界の映画が青い空と海と共に、カンヌを彩る。(photo/text:Ayako Ishizu)特集:第65回カンヌ国際映画祭■関連作品:第65回カンヌ国際映画祭 [映画祭]ムーンライズ・キングダム (原題) 2013年公開© Focus Features■関連記事:【カンヌレポート】ラクダ闊歩に美女との豪奢クルーズ…“将軍様”が大暴れ!いよいよ開幕、カンヌ映画祭今年注目すべき華麗なるミューズを一挙チェック!ユアン・マクレガー、A・ペイン監督らが今年のカンヌ国際映画祭コンペ部門審査員にミス・ユニバース優勝の森理世が故郷・静岡とカンヌの結びつきを猛アピール!三池崇史、2年連続でカンヌに殴りこみ!『愛と誠』、カンヌ国際映画祭で上映決定
2012年05月17日来月16日(現地時間)から開催される第65回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門審査員に、ユアン・マクレガーや『ファミリー・ツリー』のアレクサンダー・ペイン監督らが選ばれたことが25日(現地時間)に発表された。審査員長を務めるのは7月21日(土)公開の『ローマ法王の休日』のナンニ・モレッティ監督。ほかに『アンノウン』のダイアン・クルーガー、『ココ・アヴァン・シャネル』のエマニュエル・ドゥヴォス、イギリスのアンドレア・アーノルド監督、ファッション・デザイナーのジャン・ポール・ゴルチエ、『扉をたたく人』などに出演しているパレスチナ人女優のヒアム・アッバスやハイチの映画監督、ラウル・ペックら総勢9人。オープニング上映作でもあるウェス・アンダーソン監督、ブルース・ウィリス主演の『Moonrise Kingdom』(原題)、アッバス・キアロスタミ監督が日本で撮影し、加瀬亮やでんでんが出演する『Like Someone in Love』(原題)、ウォルター・サレス監督がジャック・ケルアックの名作「路上」を映画化した『On The Road』(原題)、デヴィッド・クローネンバーグ監督の『Cosmopolis』(原題)やミヒャエル・ハネケ監督の『Amour』(原題)、ケン・ローチ監督の『The Angel’s Share』(原題)、レオス・カラックス監督の『Holy Motors』(原題)、ホン・サンス監督、イザベル・ユペール主演の『In Another Country』(原題)など22作品の審査にあたる。『少年と自転車』のジャン=ピエール・ダルデンヌ監督がシネフォンダシヨンと短編映画部門、ティム・ロスは「ある視点」部門の審査員長を務める。映画祭は5月16日から27日まで開催、クロージング上映作は今月4日(水)に亡くなったクロード・ミレール監督の遺作でオドレイ・トトゥ主演の『Therese Desqueyroux』(原題)。去年の映画祭では『アーティスト』がプレミア上映され、そこから同作の快進撃が始まった。今年はどんな傑作が登場するだろうか?第65カンヌ国際映画祭(公式サイト)(text:Yuki Tominaga)© Photoshot/AFLO■関連作品:第65回カンヌ国際映画祭 [映画祭]■関連記事:ミス・ユニバース優勝の森理世が故郷・静岡とカンヌの結びつきを猛アピール!三池崇史、2年連続でカンヌに殴りこみ!『愛と誠』、カンヌ国際映画祭で上映決定
2012年04月27日5月16日(現地時間)より第65回カンヌ国際映画祭が開幕となるが、映画祭の会期中、カンヌと日本で唯一の姉妹都市である静岡市において「シズオカ×カンヌウィーク2012 ~野外と映画とフランスの3日間~」が展開される。4月26日(木)、日本でのカンヌ国際映画祭のオフィシャル放送を行う「ムービープラス」との合同記者会見を在日フランス大使館で開催。スペシャルサポーターを務める2007年度ミス・ユニバース世界大会優勝者の森理世、カンヌ映画祭授賞式ライブ ナビゲーターを務める別所哲也、田辺信宏静岡市長らが出席した。「シズオカ×カンヌウィーク2012」では、海辺のスクリーンで映画を鑑賞する「すんぷ野外映画フェスティバル」や世界中の映画の魅力的な予告編を集めた「世界予告編映画祭」を始め、期間中、市内各地で様々な映画を鑑賞できるイベントを開催する。スペシャルサポーターであると同時に出身地の静岡市観光大使も務める森さんは、ミス・ユニバースの任期中にカンヌ国際映画祭に足を運んだことがあるそう。「自然の美しさやファッショナブルな街並みが心に残りました。街の空気にワクワクドキドキが充満していて、子供からお年寄りまでが楽しめる雰囲気でした」と思い出を明かす。同じ空気を静岡でも味わえるようにできればと感じているようで「シネマやファッションを超えて、文化の交流になると思います」と意気込みを語った。ちなみに別所さんも実は静岡県の出身。「僕は常々静岡は日本の南仏だと言ってきました!お茶はハーブの一種だし、海があり温泉もある」とフランスに通じる魅力を挙げ「シズオカ×カンヌウィーク」にエールを送る。別所さんがムービープラスにおける授賞式ライヴ中継のナビゲーターを務めて今年で9年目となるが、これまでの軌跡を思い返し「マイケル・ムーアがドキュメンタリーで、しかも政治的メッセージを持った作品でパルムドール(最高賞)を獲ったことが印象深い。驚きと共に、さすがカンヌだと感じました。それから柳楽優弥さんが最年少での主演男優賞受賞(『誰も知らない』)に輝いた瞬間や、河瀬直美監督が『殯の森』でグランプリを獲ったときの素晴らしいスピーチを番組を通じて分かち合うことができた」と感慨深げにふり返った。そして話題が今年の映画祭になると別所さんはさらにヒートアップ。「今年は審査委員長がナンニ・モレッティ監督ですが、審査員に僕が尊敬するユアン・マクレガーも入ってる。それから目玉はデザイナーのジャン・ポール・ゴルチエも審査員を務めること。カンヌは映画監督というよりも映像作家と言うべきシネマにしか表現できないものを極め、作っていこうとする人たちが集まる。どんな作品がどんな評価を受けるのか楽しみです」と期待を口にした。森さんが「女性目線ではファッションも気になります」と言うように華やかなレッドカーペットも見どころ。別所さんは「誰がどんな形で誰と現れるのか?注目いただきたいです」と頷いた。なお、コンペティション部門にはイランの巨匠アッバス・キアロスタミ監督の新作で、横浜市、静岡市でも撮影が行われ、主演に高梨臨、さらに加瀬亮やでんでんも参加している『ライク・サムワン・イン・ラブ』が出品される。静岡で撮影が行われたということで別所さんも森さんも誇らしげな表情。この日は高梨さんからビデオメッセージも到着したが、日本人が関わる作品が世界でどのような評価を受けるのか楽しみだ。第65回カンヌ国際映画祭は5月16日より開幕。「シズオカ×カンヌウィーク2012 ~野外と映画とフランスの3日間~」は5月25日(金)より27日(日)まで静岡市内で開催。ムービープラス「カンヌ映画祭スペシャル2012」■関連作品:愛と誠 2012年6月16日より新宿バルト9ほか全国にて公開© 2012「愛と誠」製作委員会第65回カンヌ国際映画祭 [映画祭]■関連記事:三池崇史、2年連続でカンヌに殴りこみ!『愛と誠』、カンヌ国際映画祭で上映決定妻夫木聡&斎藤工、大暴走する『愛と誠』三池監督にヒヤヒヤ!?妻夫木聡、31歳での高校生役に「すいません」と苦笑妻夫木聡&武井咲が歌い、踊る…『愛と誠』音楽プロデュースは小林武史!武井咲、忽那汐里、剛力彩芽に続け!「国民的美少女コンテスト」3年ぶり開催
2012年04月26日カンヌ映画祭も、残すところあと2日。現在のところの評判を総合すると、パルムドールの有力候補と言えるのは、ナンニ・モレッティ(イタリア)による、新法王に選ばれてしまった枢機卿の苦悩をユーモラスに描く『法王誕生』(原題)、アキ・カウリスマキ(フィンランド)が、フランスの港町ル・アーブルを舞台に移民少年を救い出す人々を追った『ル・アーブル』(原題)、ミシェル・ハザナビシウス(フランス)が白黒サイレントで、ハリウッドのトーキー映画誕生の裏側を描いた『アーティスト』(原題)の3作品。それらをテレンス・マリックの『ツリー・オブ・ライフ』、そしてフランスの女優マイウェン・ル・ベスコが監督した、警察の児童虐待課を追う『ポリス』がそれらに続くかたち。日本映画はやや厳しい状況だ。まだ上映されていない作品も3本あるためなんともいえないが、法王の悩みを通し人生とは何かをユーモアたっぷりに問う『法王誕生』が一歩リードとみている。今年はロバート・デ・ニーロが審査員ということもあり、テーマが明確な作品が好まれそうだ。ちなみに、男優賞は『法王誕生』のミシェル・ピコリと、『アーティスト』でハリウッドスターになり切ったフランスの人気俳優ジャン・デュジャルダンの一騎打ちだろう。結果は現地時間の22日夜に発表される。また、コンペではないが監督週間で上映された園子温監督の『恋の罪』も高く評価されており、次回はコンペ入りに期待したい。(text:Ayako Ishizu)写真は右が『法王誕生』ナンニ・モレッティ監督、その隣は同作のキャストのミシェル・ピコリ。© Reuters/AFLO特集「カンヌ国際映画祭現地から最新ニュースお届け」■関連作品:第64回カンヌ国際映画祭 [映画祭]ツリー・オブ・ライフ 2011年8月12日より丸の内ルーブルほか全国にて公開© 2010 Cottonwood Pictures, LLC. All Rights Reserved恋の罪 2011年公開© 2011「恋の罪」製作委員会■関連記事:【カンヌレポート番外編】カンヌに華をそえる!スターたちのファッションチェック【カンヌレポート7】瑛太、初カンヌに緊張監督は時代劇に3D起用理由を説明【カンヌレポート6】ブラピ、子供たちに対し「すごい俳優だと思ってくれれば(笑)」【カンヌレポート5】金城武、北野武になる?【カンヌレポート4】オダジョー、芝居を通しチャン・ドンゴンと言葉の壁を乗り越える
2011年05月21日