筒香嘉智が主砲として才能を開花させ、先発投手陣はベテランと若手がそろって奮闘。抑えでは山﨑康晃というヒーローも登場し、春先は誰もが「今年のDeNAは違う」と思ったものだった。しかし、11の貯金を作り、セ・リーグ首位に君臨していた5月16日から3カ月。DeNAは借金8(8月19日試合終了時点)を抱える事態に陥っている。貯金数をグラフにすると、それはジェットコースターのようでもある。○ジェットコースターのようなシーズンを過ごしているDeNA得点と失点の動きや関係性を追いかけてみると(グラフ参照)、「貯金ジェットコースター」が登って、落ちていく過程がよくわかる。「登っていく」局面(4月17日から5月16日かけての時期)では、得点が失点を押さえ込めていた。今シーズンで唯一、平均得点が平均失点率を上回っている期間だった。盤石ではないものの、一定の能力のある先発投手陣が試合を作り、打線の力でリードを奪う。そこに好調のリリーフ陣を惜しみなく注ぎ込むことで、ハイペースで勝利を積み上げることに成功していた。打線とリリーフという2つの強みを生かせていたのが貯金を築いていた時期だった。○失点率の急上昇が下降の原因しかし、その後は直近10試合の平均失点率がぐんぐん上がっていく。一時は6点に届くに至った。貯金を築いていた時期には4点以上を記録していた平均得点も、3点~3.5点の間にとどまるようなってしまった。そして、平均失点率と平均得点は逆転する。さらにリリーフの不調が重なることで、僅差で終盤に持ち込めても試合を落とすケースも増えた。先発と打線が低迷した苦しい期間にやっと訪れた勝つチャンスを逃した結果が、交流戦をはさんだ10連敗だった。では、DeNAに失速を回避する方法はあったのだろうか。これを検討するなら、まず失点に目を向けるべきだろう。DeNAの失点がかさんだのは、先発、リリーフ両方のパフォーマンス低下によるもので、先発では山口俊や三浦大輔など、リリーフでは田中健二朗などが5月までの調子を維持できなかった。先発投手については、どちらかというと序盤に好調期間が偏ったという側面が強い。リリーフについては、貯金を積み重ねていた期間はどうしても勝ちパターンの継投が増え、負荷がかかっていたと思われる。その結果がコンディションに影響したというのはありそうだ。だが、5月までにリリーフを出し惜しみしたか、しなかったかで、連敗ストップはともかく、以降の失速全般を回避できるだけの影響があったかといえば微妙だ。勝てる展開の試合でしっかり勝ちを拾えていた以上、どうやっても消耗するリリーフという資源の活用方法としては間違っていなかったという見方もできる。○センターラインの攻撃力不足一方で得点力を維持することは可能だったのだろうか。得点力でリーグをリードしていた時期のDeNA は、筒香のほか梶谷隆幸、ロペス、バルディリスなどが活躍。彼らの活躍は、主軸を期待されたキューバの至宝・グリエルが再来日しないことが決まった際に落胆していたファンを勇気づけ、「グリエルがいなくても十分戦えるのではないか」といった声が聞こえてくるほどだった。しかし、序盤は独走状態だった総得点も、現在はヤクルトに抜かれてしまっている。現在の投手陣の力を考えると、勝っていくために十分なものとは言いにくい。DeNAの得点力を考える際、気になるのは捕手、二塁手、遊撃手、中堅手の選手がいずれも攻撃力に欠けている点だ。これらセンターラインのポジションは、一般的に守備重視の選手が置かれる。だが、だからこそ、ここに攻撃的な選手が置ければ、他チームに得点面で差をつけられる。どのチームも強打者をそろえやすい一塁手や三塁手、左翼手などに優れた選手を抱えることよりも、得点力アップに大きな効果が期待できる。そのような大事なポジションに攻撃力のある選手を置けずに戦っている以上、現有戦力にこれ以上の得点力を求めるのは厳しい注文なのかもしれない。そうした意味で、二塁を守れる強打者・グリエルはやはり必要だった。オフに再契約を目指した球団の判断は正しかったといえる。DeNAは外国人選手だけではなく、ドラフトでも内野手の上位指名を敢行しており、センターラインの強打者を確保しようという意思は強そうだ。このままぶれずに進むのであれば、近い将来のさらなる得点力上昇に期待を持ってもよいのかもしれない。週刊野球太郎スマホマガジン『週刊野球太郎』は、『200文字でわかる! 夏の甲子園大会・49地区代表校紹介』、『名将の生き様がここに! 全国49地区代表校監督名鑑』を掲載中! 甲子園大会期間中は、試合のみどころや注目選手を毎朝配信します! 試合前にチェックしよう!
2015年08月20日やっぱり、パ・リーグは強かった。6月16日に終了した『セ・パ交流戦』の話である。ご存知の通り、『交流戦』の最高勝率はソフトバンクが勝ち取った。過去4度『交流戦』Vを飾った福岡の雄が、12勝6敗とセ・リーグ勢を圧倒したのだ。マツダオールスターゲーム2015 チケット情報2位に入ったのは日本ハム。3位・西武、4位・楽天、5位・ロッテと続いた。セ・リーグとしては阪神が10勝8敗と6位に入り、2010年のような1~6位のパ・リーグ独占を免れるのがやっと。通算成績はパが61勝44敗3分と、最高勝率をマーク。『交流戦』前の1位・DeNAがまさかの10連敗を喫するなど3勝14敗1分と大ブレーキとなったのが、響いた。これで11年間でパの865勝774敗53分。11シーズン中10回パの勝ち越しとなったのだ。そこで、『マツダオールスターゲーム2015』である。第1戦は7月17日(金)・東京ドームで、第2戦は7月18日(土)・MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島で開催される。『オールスター』と言えば、公式戦ではなかなか見られない力と力の真っ向勝負が実現するなど、お祭り的要素が強い。『オールスター』が『交流戦』のリベンジの舞台とはならないが、セの本拠地で連敗は許されない。通算の対戦成績ではパが80勝75敗10分とリードするが、過去10年間ではセが14勝7敗2分と盛り返している。昨年まで『オールスター』に勝ち越したリーグに与えられたドラフト2巡目以降の優先権は『交流戦』に譲ったが、セ・リーグとしては意地を見せたいところ。6月17日現在、『オールスター』ファン投票1位には以下の面々が名を連ねる。セ・リーグ先発・黒田博樹(広島)、中継ぎ・山口鉄也(巨人)、抑え・山崎康晃(DeNA)、捕手・阿部慎之助(巨人)、一塁手・新井貴浩(広島)、二塁手・菊池涼介(広島)、三塁手・バルディリス(DeNA)、遊撃手・鳥谷敬(阪神)、外野手・筒香嘉智(DeNA)、丸佳浩(広島)、梶谷隆幸(DeNA)パ・リーグ先発・大谷翔平(日本ハム)、中継ぎ・バリオス(ソフトバンク)、抑え・松井裕樹(楽天)、捕手・嶋基宏(楽天)、一塁手・中田翔(日本ハム)、二塁手・浅村栄斗(西武)、三塁手・中村剛也(西武)、遊撃手・今宮健太(ソフトバンク)、外野手・柳田悠岐(ソフトバンク)、糸井嘉男(オリックス)、秋山翔吾(西武)、指名打者・森友哉(西武)ファンの願いは、指揮官にも届いてる。原辰徳監督(巨人)が「ファンのための夢の球宴。監督として演出をして、喜んでもらえるような2試合にしたい」と言えば、工藤公康監督(ソフトバンク)も「ファン、こどもたちに夢や勇気を与えられるようしっかりした戦いを見せたい」と意気込む。『マツダオールスターゲーム2015』のチケットは第1戦・7月17日(金)・東京ドーム、第2戦・7月18日(土)・MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島ともに6月21日(日)午後6時までサークルK・サンクス先行抽選受付中、7月3日(金)午前10時に一般発売。
2015年06月17日