自分の親やパートナーの親が要介護に、という現実はそう珍しくないでしょう。元気だった親が歩けなくなったり、認知能力が落ちたりする姿を見ると、「将来、要介護にはなりたくない」と思ってしまいます。健康寿命を延ばそうと国でもいろいろな施策をおこなっていますが、今回は国も注目する、日本人に不足しがちな栄養素を紹介します。産婦人科医の駒形依子先生にアドバイスをいただきました。教えてくれたのは…監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)2007年東京女子医科大学卒業後、米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科、同院東洋医学研究所を経て、2018年1月こまがた医院開業。2021年9月より介護付有料老人ホームの嘱託医兼代表取締役専務に就任し現在に至る。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『子宮筋腫は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力(KADOKAWA)』『自律神経を逆手にとって子宮を元気にする本(PHP研究所)』がある。★関連記事:要介護にならないために!日本人に不足しがちな「たんぱく質」をうまく摂取するコツを解説【医師監修】知っておきたい「フレイル」とは?要介護になりやすい状態のこと最近、メディアで目にしたり耳にしたりすることが増えた「フレイル」という言葉。どんな意味を持つのでしょうか。「フレイルとは、虚弱という意味を持ち、加齢とともに心身の活力が低下し、将来的に要介護状態となる危険性が高くなった状態をいいます。健康と要介護の中間に位置し、放っておくと要介護につながる危険が高まります。しかし、早めに気付いて適切な取り組みをおこなうことで、その進行を防ぎ、健康寿命を延ばせます」(駒形先生)。要介護というと70代、80代のイメージが強く、40代、50代の自分たちにはまだ先という気もしますが……?「健康とフレイルの間には、プレ・フレイル(前虚弱)という期間もあります。心と体のちょっとした衰えを感じ始める時期のことです。フレイル予防は、このプレ・フレイルの時期に自分の心と体の衰えに気付き、自分事として捉えることが第一歩とされています」(駒形先生)。フレイルを予防するには?たんぱく質を積極的に摂取フレイル予防には「栄養」「運動」「社会参加」が3本柱が必要とされています。中でも「栄養」について、厚生労働省は2020年4月に生活習慣病やフレイル予防を目的に、たんぱく質摂取推奨量を1日50gとしました。「女性ホルモンのエストロゲンには筋肉の再生機能もあるのですが、更年期にエストロゲンが減ることで筋肉の再生が鈍く、遅くなります。 例えば、今までと同じ生活をしていて筋力が“1”衰えていたのが、更年期になると“5”衰えるイメージ です。筋肉は合成と分解を繰り返していますが、その合成の材料になるのがたんぱく質です。筋力が衰えやすい更年期こそ、意識的にたんぱく質をとる必要があります」(駒形先生)。たんぱく質の効率的なとり方は?間食をたんぱく質に置き換え!「たんぱく質による筋肉合成は上限があるため、とりだめはできません。3食になるべくたんぱく質を多く含む食品を加えることが望ましいですが、できる方とできない方がいると思います。そこで、間食にたんぱく質をとるようにするだけでも、摂取量を上げることができます。パンやケーキ、お菓子を、ヨーグルトやサラダチキンにするだけでも十分効果的です。コンビニでも買えるもので手軽にとるのが長続きの秘訣でしょう。そして最後に。気を付けて欲しいのは、たんぱく質をとっても運動しなければ筋肉量は増えず、肥満の原因になるということ。筋肉量低下の予防は、たんぱく質の摂取と運動のセットで考えてください」(駒形先生)。まとめたんぱく質をとるだけではフレイル予防にならない……。食べるのは大好きでも、運動はできればしたくないという私にとって耳の痛い話でした。20年後、30年後も元気で若々しくいるには、まずは要介護になる可能性が自分にもあるという現実を捉えることの大切さを実感しました!※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。取材・文/岩崎みどり(49歳)ライター歴25年。35歳で第1子、38歳で第2子出産。最近、たるみが加速して二重顎が悪化。身長153㎝なのにLサイズの服が少しきつくなってきて……人生最後のダイエットを計画中。著者/監修/駒形 依子 先生2007年東京女子医科大学卒業後、米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科、同院東洋医学研究所を経て、2018年1月こまがた医院開業。2021年9月より介護付有料老人ホームの嘱託医兼代表取締役専務に就任し現在に至る。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『子宮筋腫は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力(KADOKAWA)』『自律神経を逆手にとって子宮を元気にする本(PHP研究所)』がある。
2023年08月30日「フレイル」という言葉をご存じですか? フレイルとは、日本老年学会によれば“将来的に日常生活でサポートが必要な要介護状態になるリスクが高い状態”になることを指します。フレイルを予防するためには、十分なたんぱく質が必要とされていますが、世界でも日本人のたんぱく質摂取量は不足しがちだそうです。それはなぜなのでしょうか。美容専門医として栄養指導もおこなう黒田愛美先生に聞きました。教えてくれたのは…監修/黒田愛美先生(Zetith Beauty Clinic副院長)美容・アンチエイジング専門医。トライアスリート。1979年東京生まれ。2003年獨協医科大学医学部卒業後、東京女子医科大学内分泌乳腺外科に入局。2007年品川美容外科へ入職、2011年品川スキンクリニック新宿院の院長に就任。2013年同クリニック、表参道院院長に就任。その後、予防医学と分子栄養学を改めて学び、美容外科、美容皮膚科、アンチエイジング内科の非常勤医師として複数のクリニックの勤務を経て、現在に至る。★関連記事:認知症患者は2050年には1000万人以上に! 40代から「認知症予防」のためにできる3つのこと日本人はなぜたんぱく質が不足しがち?日本人特有の理由は2つ厚生労働省は、2020年4月に生活習慣病やフレイル予防を目的に、たんぱく質の摂取目標量を引き上げました。その背景にはどんな要素が考えられるのでしょうか?「栄養外来のクリニックでは、血液検査で体内のたんぱく質の量を調べることができるのですが、8割くらいの患者さんは基準を満たしていません。その理由として糖質中心の食生活消化力不足が挙げられると思います。糖質中心の食生活とは?「欧米人はとにかく肉をたくさん食べます。それに対して日本人は肉を欧米人のようには食べず、特に年を重ねるごとに肉を多く食べられなくなります。日本のお米がおいしいというのも原因の一つ。また、ランチはそばやうどん、ラーメンやチャーハン、パスタなどで済ませる人が多いのもあるでしょう。糖質中心のメニューが日本人は大好きですから、たんぱく質の量が増えないのです」(黒田先生)。消化力不足とは?「一般的に日本をはじめアジア人は胃酸と消化酵素が少なく、腸が長いという特徴があるため、消化能力が高くありません。たんぱく質をたくさんとっているつもりでも、消化・吸収されていない可能性があります」(黒田先生)。フレイル予防に必要な栄養は?たんぱく質が筋力低下を予防先に挙げたフレイルを予防するには、「栄養」「運動」「社会参加」がポイントとされています。中でも「栄養」では、たんぱく質が重要だといいます。「筋肉は合成と分解を繰り返していて、合成の材料になるのがたんぱく質です。たんぱく質は体内でアミノ酸に分解されて体内に取り込まれます。アミノ酸は筋肉を作る以外にも、臓器・免疫機能・酵素・ホルモンの材料として、そして時にエネルギーとしても使われる大事な栄養素です。たんぱく質が足りないと、体は筋肉を分解してアミノ酸を確保しようとします。つまり、たんぱく質不足は筋力低下を招きやすくなるのです」(黒田先生)。たんぱく質の量をアップさせるためには?バランスの良い摂取&消化力を意識それでは、どうすればたんぱく質不足は解消できるのでしょうか。「ポイントは大きく分けて5つあります。毎日の食事でいろいろな種類のたんぱく質をバランス良くとる肉はステーキよりハンバーグしっかりかんで食べる砂糖、カゼイン、グルテン、加工食品は極力控える栄養補助食品を利用するのも一案消化力が低い日本人にとって肉は負担がかかりますが、食べるときはステーキなどの塊肉よりも、ひき肉料理やハンバーグなどこま切れ肉のほうが消化しやすいのでおすすめです。砂糖、カゼイン、グルテン、加工食品は腸内環境を乱すことがわかっています。腸内環境が乱れていると胃酸が出にくくなるので、できるだけ控えましょう。厚生労働省が定める摂取目標量は1日50gですが、食事だけでとるのは大変な方もいると思います。そんなときは栄養補助食品を利用しても良いでしょう」(黒田先生)。アミノ酸製剤を利用してもたんぱく質の栄養補助食品というと、プロテインが浮かびますが……。「プロテインは、消化力の強い方には良いと思います。消化力がないと、未消化のたんぱく質として滞留して腸内環境を悪化させる恐れがあります。私がおすすめしているのは、アミノ酸製剤です。牛乳や卵などのたんぱく質がアレルギーになりやすいのは、分子量が大きいため。大きい分子を分解したものがアミノ酸です。分解されているため吸収が良く、アレルギーになりにくいとされています」(黒田先生)。栄養補助食品やサプリは価格だけで選ばないで「アミノ酸製剤は市販されているものでも良いですが、安すぎるものは原料に不安が残るものもあります。信頼できるメーカーのものを選びましょう。栄養外来のクリニックで処方してもらうのが一番安全です。たんぱく質不足の患者さんには、消化力を上げる酵素を処方することも多いです。気になる方は一度受診されてはいかがでしょうか」(黒田先生)。まとめ黒田先生によれば、いくら大量にたんぱく質をとっても、消化力を上げないと体内に吸収されにくいと言います。自分の消化力について考えたこともありませんでしたが、たしかに昔よりは肉をたくさん食べられなくなったような……。皆さんも自分のたんぱく質のとり方について見直してみてはいかがでしょうか。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。取材・文/岩崎みどり(49歳)ライター歴25年。35歳で第1子、38歳で第2子出産。最近、たるみが加速して二重顎が悪化。身長153㎝なのにLサイズの服が少しきつくなってきて……人生最後のダイエットを計画中。著者/監修/黒田 愛美 先生美容・アンチエイジング専門医。トライアスリート。Zetith Beauty Clinic副院長(東京都中央区銀座4丁⽬2-17銀座111レジャービル13階)。1979年東京生まれ。2003年獨協医科大学医学部卒業後、東京女子医科大学内分泌乳腺外科に入局。2007年品川美容外科へ入職、2011年品川スキンクリニック新宿院の院長に就任。2013年同クリニック、表参道院院長に就任。その後、予防医学と分子栄養学を改めて学び、美容外科、美容皮膚科、アンチエイジング内科の非常勤医師として複数のクリニックの勤務を経て、現在に至る。著書に『アスリート医師が教える最強のアンチエイジング』(文藝春秋)。
2023年08月13日コラーゲンとゼラチンのトップメーカーである新田ゼラチンが、『フレイルFREE Project』を開始。フレイル対策の必要性を啓発すべく、ヨガやマンガなどのコンテンツを発信している。40際以上の半数以上が「フレイル」のリスクを抱える現状「フレイル」とは健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態を指す。改訂日本版フレイル診断の自己申告結果では、40歳以上の53.4%が「フレイル」または「プレフレイル」に該当しており、多くの人がそのリスクに晒されていることが判明している。フレイルFREEヨガやマンガなどのコンテンツを発信『フレイルFREE Project』ではプロジェクトの一環として、特設サイトやInstagramで情報発信を行っている。主なコンテンツは以下の通り。・フレイルFREEヨガヨガ専門メディアとコラボし、フレイルにならないための身体づくりを目的とする適度な運動「フレイルFREEヨガ」を開発。3人のヨガインストラクター講師の協力のもと、自宅で簡単にできるヨガの動きを動画コンテンツとしてまとめている。・マンガ「フレイル」に対する興味関心を喚起していくために、『フレイルFREE』な生活について分かりやすく伝えしていく「マンガ」のコンテンツも展開。SNSで人気の漫画家の協力のもと、「フレイル」を予防することの重要性を、分かりやすく伝える。コラーゲンは『フレイル』対策としても有効フレイル予防には十分な栄養が取れる食生活も大切だ。新田ゼラチンが全国40歳以上の男女600人を対象に行った「プレフレイル実態調査」では、「コラーゲンは、皮膚や骨、血管に存在しており、人間の体内で一番多いタンパク質である」ことを知っている人は約3割(31.3%)にとどまり、「コラーゲンは『フレイル』対策としても有効である」ことを知っている人はわずか1割(11.8%)だった。成人男性/女性の摂取量として推奨されている1日のタンパク質量をゆでたまごで換算すると、男性は「ゆでたまご9個分」、女性は「ゆでたまご8個分」になる。これだけのゆでたまごを毎日食べるのは大変だが、コラーゲンを含んだ食品やサプリメントなら楽に摂取しやすい。『フレイルFREE Project』や食事を通し、フレイルとは無縁の元気で生き生きした毎日を過ごそう。【参考】※『フレイルFREE Project』公式サイト※『フレイルFREE Project』公式Instagram(@frailfree_project)
2023年02月15日新田ゼラチン株式会社は、同社による『フレイルFREE Project』の始動に合わせて、全国40歳以上の男女600人に「プレフレイル実態調査」を行いました。健康と要介護状態の中間である 「フレイル」「フレイル」とは、日本老年医学会が2014年に使用したことで広まった言葉で、英語の「Frailty(虚弱)」を語源としています。健康な状態から要介護状態に陥るまでの中間的な段階を表し、運動機能や認知機能等が低下し、生活に支障が出ていますが、適切な支援によって生活能力の維持向上が可能な状態のことを指します。つまり、適切な治療や予防を行うことで要介護状態に陥ることを防げる段階の症状なのです。「フレイル」認知度は、わずか11.0%■「フレイル(フレイルティ)」認知度(単一回答)全体(n=600)そんな「フレイル(フレイルティ)」について質問したところ、「知っている」と回答した人は11.0%、「聞いたことがあるが意味は知らない」が18.5%、「知らない」が70.5%で、40歳以上の「フレイル」認知度は約1割にとどまることが分かりました。■改定日本版フレイル診断(自己申告)年代別(単一回答)※スクリーニング調査/ウェイトバック集計後一方で、「改訂日本版フレイル診断」に基づいて自覚症状を問う質問では、対象となる40歳以上の人のうち、9.6%と約1割が「フレイル」、43.8%と4割以上が「プレフレイル」の基準に該当し、合わせて53.4%が「フレイル」または「プレフレイル」に該当するという結果になりました。年代別では、「フレイル」の自覚症状が最も多いのは40代(13.1%)で1割以上となりました。「プレフレイル」は50代(51.1%)で最も多く、50代では61.4%と6割以上が「フレイル」「プレフレイル」に該当しています。自己申告による結果になりますが、40代、50代でも「フレイル」「プレフレイル」にあてはまるリスクがあることがうかがえます。約5割が「コロナ前より、食事の栄養や内容に気を遣うようになった「フレイル」の予防・改善には食事や運動が有効ですが、コロナ禍の生活変化で健康意識が高まる中、栄養や内容を考えて食事を取るようになったという人も増えているようです。■3年前(コロナ前)より、食事の栄養や内容に気を遣うようになった(単一回答)全体(n=600)「コロナ前より食事の栄養や内容に気を遣うようになった」人は49.8%(「とてもそう思う」「まあそう思う」の合計)で、約半数となりました。では、食事の内容はどうでしょうか。今の食生活で「十分に栄養を取れている」と考える人は約6割、「十分にタンパク質を取れている」と考える人は5割以上となり、過半数の人は今現在の食生活での栄養状態が良好であると考えています。1日のタンパク質摂取量、成人女性ならゆでたまご9個分ところが実際には、タンパク質が十分に摂取できていないというデータも出ています。成人男性/女性の1日のタンパク質摂取量として推奨されているのは、男性は65~60g、女性50gです。これをゆでたまご(50g)1個に含まれるタンパク質量(6.25g文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂))で換算すると、男性は(60gの場合)「ゆでたまご9個分」、女性は「ゆでたまご8個分」になります。一方で、「今の生活で十分にタンパク質が取れていると思う」と回答した人に、自分自身にとってのタンパク質の必要量をどのくらいだと認識しているかを尋ねたところ、上記の目安を回答できた人は男女ともに20%以下という結果に。「タンパク質は足りている」と認識していても、実際には十分に摂取できていない可能性が高いことが考えられます。コラーゲンは「フレイル」対策としても有効同調査では、「コラーゲンは、皮膚や骨、血管に存在しており、人間の体内で一番多いタンパク質である」ことを知っている人は約3割。「コラーゲンは『フレイル』対策としても有効である」という認識がある人も約1割にとどまりました。フレイル予防になるタンパク質やコラーゲン。食事やサプリメントから上手に摂取して、いつまでも若々しく元気に過ごしたいですね。フレイル対策について教えてくれるコンテンツ『フレイルFREE Project』もきっと役立つはず。ヨガの動画やマンガなど内容もりだくさんです。ぜひチェックしてみて。【参考】※『フレイルFREE Project』公式サイト
2023年02月13日「フレイル」という言葉をご存じでしょうか?「フレイル」は、加齢によって心身が衰え、弱っている状態を指します。この先、けがや病気などを引き金に介護に至るリスクが高いという段階です。大正製薬株式会社[本社:東京都豊島区社長:上原 茂](以下、当社)が運用する健康情報サイト「大正健康ナビ( )では、11月9日、国立長寿医療研究センター 理事長 荒井 秀典先生監修のもと、疾患ナビ「フレイル」を新着公開いたしました。「フレイル」になっても、適切な心がけで心身をケアしていけば、十分に自立した状態を維持できることが分かっています。大正健康ナビの情報をご活用いただき、早い段階でフレイルに気づき、ご自身やご家族の健康寿命を延ばしていくことにお役立てください。■新着情報疾患ナビ「フレイル」 【目次】<フレイルについて知る>1.フレイルの原因2.フレイルの症状3.フレイルの対策4.フレイルの予防法大正健康ナビは、生活者の日常生活に寄り添い、「人生100年時代をサポートする健康情報発信基地」として、みなさまの健康の維持・増進にお役立ていただけるサイト運営を目指しております。当社は、これからも健康と美を願う生活者に納得していただける優れた医薬品・健康関連商品、情報及びサービスを、社会から支持される方法で創造・提供することにより、社会へ貢献してまいります。【監修者プロフィール】国立長寿医療研究センター 理事長荒井 秀典(あらい・ひでのり)先生医学博士。日本老年学会理事長、日本老年医学会副理事長、日本サルコペニア・フレイル学会代表理事他を務める。専門領域は、老年医学一般、フレイル、サルコペニア、脂質代謝異常。1991年京都大学医学部大学院医学研究科博士課程修了。91年京都大学医学部老年科助手、93~97年米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校研究員。2009年、京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻教授。15年、国立長寿医療研究センター副院長を経て、19年より現職。■ご参考●大正健康ナビ 大正健康ナビでは、お悩みの原因、症状、対策や予防法などをご紹介しています。いろいろな疑問に専門家が分かりやすくお答えしています。●Twitter「大正セルフケア」 健康お役立ち情報、商品情報、キャンペーン・イベント情報などを楽しくお届けする大正製薬の公式アカウントです。【大正健康ナビ】フレイル.pdf : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年11月09日健康総合企業のタニタは、インターネットリサーチで「人生100年時代の健康とフレイルに関する調査2022」を実施し、その集計結果を公開しました。この調査は2022年8月5日―8月9日の5日間、全国の40歳以上の男女(2,500名)を対象に行ったものです。(調査協力会社:ネットエイジア株式会社)[調査結果]第1章 人生100年時代の健康に関する意識・実態■健康寿命の理想と予想 「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活したいと思う年齢」は平均86.27歳、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できると思う年齢」は平均81.87歳全国の40歳以上の男女2,500名(全回答者)に、人生100年時代をアクティブに過ごすための「健康」に関する質問をしました。まず、自身の健康寿命について、理想と予想を聞いたところ、【健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活したいと思う年齢(健康寿命の理想)】では、「80歳~84歳」(20.3%)や「85歳~89歳」(16.1%)、「90歳~94歳」(23.2%)、「100歳以上」(18.2%)に多くの回答が集まり、平均は男性85.55歳、女性86.99歳で、全体は86.27歳でした。他方、【健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できると思う年齢(健康寿命の予想)】では、「75歳~79歳」(11.7%)や「80歳~84歳」(19.5%)、「85歳~89歳」(19.1%)、「90歳~94歳」(17.6%)に回答が集まり、「既に健康上の問題で日常生活が制限されている」(1.2%)と回答した人を除いた平均は男性81.31歳、女性82.44歳で、全体は81.87歳でした。年齢の平均を比較すると、健康寿命の理想(86.27歳)と比べ、健康寿命の予想(81.87歳)のほうが4.40歳短くなりました。また、健康寿命の予想が健康寿命の理想を下回った割合は全体で55.4%となり、半数以上の人が理想よりも早く日常生活で制限されると考えていることがわかりました。■統計上の健康寿命と【健康寿命の理想】の間に、男性で12.87歳、女性で11.61歳の隔たりあり厚生労働省の調査によると、健康寿命は男性72.68歳、女性75.38歳となっています。また、平均寿命は男性81.41歳、女性87.45歳で、健康寿命と平均寿命には男性で8.73歳、女性で12.07歳と大きな開きがあります。ここで、“自身の健康寿命の理想と予想”を聴取して得られた【健康寿命の理想】の平均と【健康寿命の予想】の平均、厚生労働省の調査による健康寿命と平均寿命を男女別にみると、男性では統計上(厚生労働省の調査)の平均寿命(81.41歳)と【健康寿命の予想】(81.31歳)がほぼ同一となりました。【健康寿命の理想】(85.55歳)が統計上の健康寿命(72.68歳)を12.87歳、統計上の平均寿命(81.41歳)を4.14歳上回りました。女性では、【健康寿命の理想】(86.99歳)が統計上の健康寿命(75.38歳)を11.61歳上回りました。また、【健康寿命の理想】(86.99歳)と統計上の平均寿命(87.45歳)がほぼ同一となりました。第2章 フレイルに関する意識・実態■“フレイル”の認知率は4割強、55歳未満では3割に満たない結果に■“フレイル”になると起こることとして知っているもの TOP2「認知症リスクが高くなる」「転びやすくなる」全回答者(2,500名)に、“フレイル”という言葉を知っているか聞いたところ、「内容まで知っている」が15.8%、「聞いたことはあるが、内容は知らない」が26.1%で、合計した『認知(計)』は41.9%、「聞いたことがない」は58.1%となりました。“フレイル”とは、加齢に伴い心身の活力が低下するとともに、社会的なつながりが薄れている状態を指し、“健康な状態”と“要介護状態”の中間の段階といわれています。年齢別にみると、認知率は75歳以上(75歳~79歳62.0%、80歳~84歳56.0%、85歳以上52.2%)では半数を超えたのに対し、55歳未満(40歳~44歳28.0%、45歳~49歳29.6%、50歳~54歳25.6%)では3割未満にとどまりました。“フレイル”について内容まで知っている人(395名)に、“フレイル”になると起こることとして知っているものを聞いたところ、「認知症リスクが高くなる」と「転びやすくなる」(いずれも83.8%)が突出して高くなりました。次いで高くなったのは、「病気の回復が遅くなる」(58.0%)、「疲れやすくなる」(57.7%)、「怪我の回復が遅くなる」(54.4%)でした。■フレイル健診の受診状況 後期高齢者の3人に2人が「受診していない」75歳以上の人(750名)に、2020年4月以降に、“後期高齢者医療制度で行われる健康診査”(フレイル健診)を受診したか聞いたところ、「受診した」は23.1%、「受診していない」は66.8%となりました。男女・年齢別にみると、受診していないと回答した人の割合は、75歳~79歳男性(76.8%)が特に高くなりました。■「自身がフレイルになることが心配」6割強、50代前半では7割■どのフレイルになることが心配? 50歳未満では「精神的フレイル」が1位、50歳以上では「身体的フレイル」が1位全回答者(2,500名)に、自身がフレイルになることについて、どのくらい心配か聞いたところ、「非常に心配である」が13.9%、「やや心配である」が47.3%で、合計した『心配である(計)』は61.2%、「全く心配ではない」が9.3%、「あまり心配ではない」が29.5%で、合計した『心配ではない(計)』は38.8%となりました。年齢別にみると、『心配である(計)』と回答した人の割合は、50歳~54歳(70.0%)が最も高くなり、45歳~49歳(69.2%)、55歳~59歳と60歳~64歳(いずれも66.8%)が続きました。自身がフレイルになることが心配な人(1,531名)に、どのフレイルになることが心配か聞いたところ、「身体的フレイル」が75.8%と最も高くなり、「精神的フレイル(心理的・認知的フレイル)」(59.8%)、「社会的フレイル」(29.7%)が続きました。年齢別にみると、50歳未満では「精神的フレイル」が1位、50歳以上では「身体的フレイル」が1位でした。■「父親がこれからフレイルになることが心配」6割弱、「母親がこれからフレイルになることが心配」6割■親がなると心配なフレイル 1位「身体的フレイル」2位「精神的フレイル」3位「社会的フレイル」■親のフレイル予防・改善として現在行っているサポート「コミュニケーション」がダントツ、2位「共食」3位「栄養管理」4位「趣味・余暇活動」5位「運動・スポーツ」続いて、親がフレイルになることについて質問しました。父親がいる人(722名)に、自身の父親の状況を聞いたところ、「フレイルでも要介護状態でもない」が93.5%、「既にフレイルになっている」が1.5%、「既に要介護状態になっている」が5.0%となりました。他方、母親がいる人(1,115名)に、自身の母親の状況を聞いたところ、「フレイルでも要介護状態でもない」が92.3%、「既にフレイルになっている」が1.3%、「既に要介護状態になっている」が6.4%となりました。父親がフレイル・要介護状態のいずれでもない人(675名)に、父親がフレイルになることについて、どのくらい心配か聞いたところ、『心配である(計)』は57.2%、『心配ではない(計)』は42.8%となりました。他方、母親がフレイル・要介護状態のいずれでもない人(1,029名)に、母親がフレイルになることについて、どのくらい心配か聞いたところ、『心配である(計)』は60.2%、『心配ではない(計)』は39.8%となりました。では、どのフレイルになることが心配という人が多いのでしょうか。父親がフレイルになることが心配な人(386名)に、父親がどのフレイルになることが心配か聞いたところ、「身体的フレイル」が78.5%、「精神的フレイル(心理的・認知的フレイル)」が54.9%、「社会的フレイル」が32.1%となりました。他方、母親がフレイルになることが心配な人(619名)に、母親がどのフレイルになることが心配か聞いたところ、「身体的フレイル」が79.0%、「精神的フレイル(心理的・認知的フレイル)」が61.6%、「社会的フレイル」が30.9%となりました。親が要介護状態でない人(1,138名)に、親のフレイル予防・改善として行うサポートについて聞いたところ、【現在、サポートしていること】と【今後(または今後も)サポートしたいこと】のいずれも「コミュニケーション」(順に41.4%、43.8%)が突出して高くなりました。次いで高くなったのは、【現在、サポートしていること】と【今後(または今後も)サポートしたいこと】のいずれも、「共食(一緒に食事を摂る)」(18.3%、21.6%)、「栄養管理」(10.7%、12.7%)、「趣味・余暇活動」(8.7%、11.5%)、「運動・スポーツ」(6.8%、8.8%)でした。なお、「特になし」と答えた割合は、【現在、サポートしていること】(43.1%)では5人に2人以上、【今後(または今後も)サポートしたいこと】(36.4%)では3人に1人以上となりました。また、親のフレイルが心配である人(父親と母親のいずれか、もしくは両方について『フレイルが心配(計)』と答えた人730名)について、【現在、サポートしていること】をみると、「特になし」は32.7%となっており、親のフレイルは心配ではあるものの、3人に1人は何もできていないという実態が明らかになりました。第3章 フレイルと芸能人・キャラクター■いくつになっても活動的でフレイルにならないと思う芸能人男性芸能人では1位「明石家さんまさん」2位「加山雄三さん」3位「郷ひろみさん」4位「タモリさん」、女性芸能人では1位「草笛光子さん」2位「黒柳徹子さん」3位「吉永小百合さん」4位「デヴィ・スカルノさん」■いくつになっても活動的でフレイルにならないと思うアニメ・漫画キャラ「フグ田サザエ」がダントツ、「孫悟空」「モンキー・D・ルフィ」「両津勘吉」「ルパン三世」「キン肉スグル」がTOP10入り全回答者(2,500名)に、いくつになっても活動的でフレイルにならないと思う芸能人とキャラクターを聞きました。【芸能人】では1位「明石家さんまさん」(280名)、2位「加山雄三さん」(139名)、3位「郷ひろみさん」(136名)となりました。男女別にみると、男性芸能人では1位「明石家さんまさん」(280名)、2位「加山雄三さん」(139名)、3位「郷ひろみさん」(136名)、4位「タモリさん」(54名)、5位「所ジョージさん」(53名)、女性芸能人では1位「草笛光子さん」(134名)、2位「黒柳徹子さん」(132名)、3位「吉永小百合さん」(75名)、4位「デヴィ・スカルノさん」(64名)、5位「前田美波里さん」(14名)と、エネルギッシュでバイタリティのあふれる芸能人がそれぞれTOP5に挙がりました。【アニメ・漫画のキャラクター】では「フグ田サザエ(サザエさん)」(339名)がダントツでした。次いで、2位「ドラえもん(ドラえもん)」(143名)、3位「孫悟空(ドラゴンボール)」(135名)、4位「モンキー・D・ルフィ(ONE PIECE)」(109名)、5位「アトム(鉄腕アトム)」(49名)、6位「両津勘吉(こちら葛飾区亀有公園前派出所)」(42名)、7位「ルパン三世(ルパン三世)」「磯野波平(サザエさん)」(いずれも37名)、9位「キン肉スグル(キン肉マン)」(28名)、10位「アンパンマン(それいけ!アンパンマン)」(26名)となりました。第4章 人生100年時代の健康づくりに向けた取り組みの実態■「健康維持・向上のために取り組んでいることがある」9割健康維持・向上のために取り組んでいること 1位「健康診断を定期的に受ける」2位「休養・睡眠を十分にとる」全回答者(2,500名)に、健康維持・向上のために取り組んでいることはあるか聞いたところ、「取り組んでいることがある」は89.1%、「取り組んでいることはない」は10.9%となりました。大多数の人は、いつまでも元気で健やかに過ごせるように、健康に資する何らかの取り組みや生活習慣を実践しているようです。年齢別にみると、取り組んでいることがある人の割合は、65歳~69歳(93.2%)、70歳~74歳(92.4%)、75歳~79歳(95.2%)、80歳~84歳(95.0%)では9割を超えました。健康維持・向上のために取り組んでいることがある人(2,228名)に、取り組んでいることを聞いたところ、「健康診断を定期的に受ける」(60.2%)が最も高くなりました。定期的に受診することで、自身の健康状態を確認したり、生活習慣病をはじめとした、さまざまな病気の予防や発見、治療に役立てたりしている人が多いのではないでしょうか。次いで高くなったのは、「休養・睡眠を十分にとる」(59.4%)、「栄養バランスの良い食事を摂る」(56.5%)、「運動(ウオーキング・ラジオ体操など)をする」(55.9%)、「規則正しい生活を送る」(55.4%)でした。■「健康や運動について、日頃から測定しているものがある」8割強、40代前半では約7割にとどまる日頃から測定しているもの 1位「体重」2位「血圧」3位「歩数」4位「体温」5位「体脂肪率」全回答者(2,500名)に、健康や運動について、日頃から測定しているものはあるか聞いたところ、「測定しているものがある」は82.2%、「測定しているものはない」は17.8%となりました。年齢別にみると、測定しているものがある人の割合は、40歳~44歳(72.0%)が最も低く約7割にとどまりました。健康や運動について、日頃から測定しているものがある人(2,055名)に、日頃から測定しているものを聞いたところ、「体重」(79.3%)が突出して高くなりました。身長に対して体重が多過ぎると、生活習慣病につながる「肥満」である可能性が高いとされており、体重は肥満をチェックする指標の一つとされています。健康状態を表す指標の一つである体重の増減を日常的に把握し、健康維持に活用している人が多いようです。40代からは肥満が問題となる一方で、筋肉量に個人差が出てくる時期です。体重が軽すぎる「やせ」の範囲に入る場合は、生活に必要な筋肉が少なく、栄養や運動が足りず、加齢とともに筋肉が減少している恐れがあります。体重・体脂肪の増加とともに、体重や筋肉量が減少していないかをチェックすることは人生100年時代の健康づくりに役立ちます。次いで高くなったのは、「血圧」(54.5%)、「歩数」(50.6%)、「体温」(41.9%)、「体脂肪率」(29.1%)でした。また、「歩行距離」(21.1%)や「歩行時間」(16.9%)といった日常の活動量のほか、「睡眠状態」(16.0%)や「内臓脂肪レベル」(15.2%)、「筋肉量」(12.7%)、「基礎代謝量」(11.8%)といった自身の感覚では掴みづらいものを測定している人も少なくないようです。■コロナ禍前と比べた健康状態の変化 「食欲が湧かないことが増えた」1割弱、「食事の摂取量が減った」2割弱、「体重が減った」2割弱、「筋力・筋肉量が減った」4割弱、「活動量が減った」4割弱続いて、全回答者(2,500名)に、コロナ禍前と比べた健康状態の変化について質問しました。まず、【食欲が湧かないこと】がコロナ禍前と比べて増えたか、減ったか聞いたところ、「非常に増えた」が0.8%、「やや増えた」が6.7%で、合計した『増えた(計)』は7.4%、「非常に減った」が1.3%、「やや減った」が6.9%で、合計した『減った(計)』は8.2%、「変わらない」は84.4%となりました。また、【食事の摂取量】では『増えた(計)』は5.6%、『減った(計)』は18.0%、「変わらない」は76.4%となりました。コロナ禍以降、生活様式が一変したことで、食べる量に変化があったという人が一定数いるようです。さらに、【体重】がコロナ禍前と比べて増えたか、減ったか聞いたところ、『増えた(計)』は20.2%、『減った(計)』は18.2%、「変わらない」は61.6%となりました。また、【筋力・筋肉量】では『増えた(計)』は4.4%、『減った(計)』は38.6%、「変わらない」は57.1%、【活動量(歩数・歩く時間)】では『増えた(計)』は6.7%、『減った(計)』は38.9%、「変わらない」は54.4%となりました。コロナ禍での外出自粛や在宅勤務増加が原因で運動不足となってしまい、筋力・筋肉量や活動量の低下を実感している人が多いようです。コロナ禍がフレイルやプレフレイルの状態にある人を増やす要因となっていないか懸念される結果となりました。第5章 運動機能・栄養・口腔機能・くらしぶりなどフレイルに関する生活実態■くらしや運動、健康状態からフレイルの状態にあるかをチェック4人に1人が「フレイル」、3人に1人が「プレフレイル」の恐れがあることが明らかにフレイルやフレイルの前段階の状態にある人はどのくらいいるのでしょうか。全回答者(2,500名)に、くらしや運動、健康状態についての質問25項目(厚生労働省作成の基本チェックリスト)を提示し、自身にあてはまるかどうか回答してもらいました。このチェックリストは、生活機能の低下による要介護状態になる恐れがある高齢者を早期に把握することを目的につくられたもので、2020年から始まった75歳以上の後期高齢者を対象に行われる健康診査(通称フレイル健診)では、このチェックリストを簡易化した10項目の問診票が使われています。今回、25項目のうち4~7項目に該当した場合を「プレフレイル(フレイルの前段階)」、8項目以上に該当した場合を「フレイル」の可能性があるとして分析を行いました。その結果、「フレイル」に該当するのは26.0%、「プレフレイル」は36.4%、「フレイルに該当しない」は37.6%となりました。すでにフレイルの状態にある人や、フレイルの予備群の状態にある人は少なくないようです。フレイルは、適切な対応を取ることで元の健康な状態に戻れる可能性があること(可逆性)が特徴です。早めにその兆候に気づくことが重要と考えます。年齢別にみると、85歳以上ではフレイルの状態にある人の割合は4割(40.1%)に達しました。ここで、基本チェックリストに対する回答を、特定高齢者の候補を選定するための基準に照らし合わせて集計したところ、生活機能の低下により介護予防事業の対象となる特定高齢者の候補に該当した割合は、全体の30.2%で、男性は28.5%、女性は31.9%となりました。特に、75歳以上の女性では40%以上となり、85歳以上では男性でも45.2%、女性は59.6%となりました。また、地域別にみると北海道・東北が36.0%、九州・沖縄が35.3%と高い傾向になりました。続いて、i-ivの基準をそれぞれみたところ、【i.抑うつ気分の質問領域を除く20項目(問1-20)中10項目以上に該当する場合】という基準については、該当する人の割合は、全体では7.0%、男性は6.6%、女性は7.4%となり、85歳以上の女性では29.2%と特に高くなりました。【ii.運動器の質問5項目(問6-10)中3項目以上に該当する場合】については、該当する人の割合は、全体では13.4%、男性は10.4%、女性は16.4%となりました。年齢別にみると、多くの層で女性が男性を上回りました。地域別にみると、北海道・東北が18.7%と、全体と比べて5ポイント以上高くなりました。【iii.低栄養評価の2項目(問11、12)の質問にともに該当する場合】については、該当する人の割合は、全体では5.9%、男性は6.1%、女性は5.7%となりました。【iv.口腔機能に関する3項目(問13-15)の質問のうち2項目以上に該当する場合】については、該当する人の割合は、全体では19.5%、男性は19.4%、女性は19.6%となりました。年齢別にみると、50歳~54歳では18.4%と約5人に1人が該当しており、口腔機能の低下は早い年代からも懸念されることがわかりました。さらに、ii.運動器の質問5項目、iii.低栄養評価の2項目、iv.口腔機能に関する3項目を並べて、性別、年齢別、地域別にみたところ、ほとんどの層で、口腔機能、次いで運動器に関して該当する人の割合が高い結果となりました。フレイルは、早めにその兆候に気づき、適切な対応をとることで元の健康な状態に戻れる可能性があること(可逆性)が特徴です。一方で、栄養や口腔機能、身体活動、社会参加のいずれかが低下することで、からだ全体の衰えが加速する“フレイル・ドミノ”が起きる恐れがあります。心身の衰えの兆候を知り、自身のからだをチェックしながら、食事と口腔機能を維持して、意識的に身体を動かしたり、社会とのつながりをできるだけ多く持ったりすることが人生100年時代を最後までいきいき暮らすためには重要です。■フレイルにならないために行いたいもの1位「栄養バランスの良い食事」2位「1日3食」3位「ウオーキング」4位「たんぱく質を摂る」5位「カルシウムを摂る」女性では「人と会う・社会との接点を持つ」が高い割合に最後に、全回答者(2,500名)に、“フレイル”にならないために行いたいと思うものを聞いたところ、「栄養バランスの良い食事を摂る」(65.2%)が最も高くなり、「1日3食摂る」(62.2%)、「ウオーキング」(59.9%)、「たんぱく質を摂る(肉・魚・鶏卵・豆類など)」(53.2%)、「カルシウムを摂る(牛乳・小魚・大豆など)」(48.0%)が続きました。食生活を見直したり、適度な運動を取り入れたりすることで、フレイルの悪循環を意味する“フレイルサイクル”を断ち切り、フレイルを予防したいと考える人が多いようです。男女別にみると、「たんぱく質を摂る(肉・魚・鶏卵・豆類など)」(男性46.5%、女性59.9%)や「カルシウムを摂る(牛乳・小魚・大豆など)」(男性41.3%、女性54.8%)、「人と会う・社会との接点(コミュニティ)を持つ」(男性36.1%、女性50.2%)、「ビタミンDを摂る(魚・きのこ類・卵黄など)」(男性35.9%、女性47.5%)、「ストレッチ」(男性28.6%、女性38.7%)では男性と比べて女性のほうが10ポイント以上高くなりました。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年10月18日自分の親やパートナーの親が要介護に、という現実はそう珍しくないでしょう。元気だった親が歩けなくなったり、認知能力が落ちたりする姿を見ると、「将来、要介護にはなりたくない」と思ってしまいます。健康寿命を延ばそうと国でもいろいろな施策をおこなっていますが、今回は国も注目する、日本人に不足しがちな栄養素を紹介します。産婦人科医の駒形依子先生にアドバイスをいただきました。教えてくれたのは…監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)東京女子医科大学医学部卒業。米沢市立病院入職後、再び東京女子医科大学に戻り、専門医を取得。同大学産婦人科に入局し産婦人科医として働きつつ、性科学を学び、また東京女子医科大学東洋医学研究所で東洋医学を学ぶ。2019年1月に地元山形県米沢市にて、こまがた医院を開業。知っておきたい「フレイル」とは?要介護になりやすい状態のこと最近、メディアで目にしたり耳にしたりすることが増えた「フレイル」という言葉。どんな意味を持つのでしょうか。「フレイルとは、虚弱という意味を持ち、加齢とともに心身の活力が低下し、将来的に要介護状態となる危険性が高くなった状態をいいます。健康と要介護の中間に位置し、放っておくと要介護につながる危険が高まります。しかし、早めに気付いて適切な取り組みをおこなうことで、その進行を防ぎ、健康寿命を延ばせます」(駒形先生)。要介護というと70代、80代のイメージが強く、40代、50代の自分たちにはまだ先という気もしますが……?「健康とフレイルの間には、プレ・フレイル(前虚弱)という期間もあります。心と体のちょっとした衰えを感じ始める時期のことです。フレイル予防は、このプレ・フレイルの時期に自分の心と体の衰えに気付き、自分事として捉えることが第一歩とされています」(駒形先生)。フレイルを予防するには?たんぱく質を積極的に摂取フレイル予防には「栄養」「運動」「社会参加」が3本柱が必要とされています。中でも「栄養」について、厚生労働省は2020年4月に生活習慣病やフレイル予防を目的に、たんぱく質摂取推奨量を1日50gとしました。「女性ホルモンのエストロゲンには筋肉の再生機能もあるのですが、更年期にエストロゲンが減ることで筋肉の再生が鈍く、遅くなります。 例えば、今までと同じ生活をしていて筋力が“1”衰えていたのが、更年期になると“5”衰えるイメージ です。筋肉は合成と分解を繰り返していますが、その合成の材料になるのがたんぱく質です。筋力が衰えやすい更年期こそ、意識的にたんぱく質をとる必要があります」(駒形先生)。たんぱく質の効率的なとり方は?間食をたんぱく質に置き換え!「たんぱく質による筋肉合成は上限があるため、とりだめはできません。3食になるべくたんぱく質を多く含む食品を加えることが望ましいですが、できる方とできない方がいると思います。そこで、間食にたんぱく質をとるようにするだけでも、摂取量を上げることができます。パンやケーキ、お菓子を、ヨーグルトやサラダチキンにするだけでも十分効果的です。コンビニでも買えるもので手軽にとるのが長続きの秘訣でしょう。そして最後に。気を付けて欲しいのは、たんぱく質をとっても運動しなければ筋肉量は増えず、肥満の原因になるということ。筋肉量低下の予防は、たんぱく質の摂取と運動のセットで考えてください」(駒形先生)。まとめたんぱく質をとるだけではフレイル予防にならない……。食べるのは大好きでも、運動はできればしたくないという私にとって耳の痛い話でした。20年後、30年後も元気で若々しくいるには、まずは要介護になる可能性が自分にもあるという現実を捉えることの大切さを実感しました!取材・文/岩崎みどり(49歳)ライター歴25年。35歳で第1子、38歳で第2子出産。最近、たるみが加速して二重顎が悪化。身長153㎝なのにLサイズの服が少しきつくなってきて……人生最後のダイエットを計画中。著者/監修/駒形 依子 先生東京女子医科大学医学部卒業。米沢市立病院入職後、再び東京女子医科大学に戻り、専門医を取得。同大学産婦人科に入局し産婦人科医として働きつつ、性科学を学び、また東京女子医科大学東洋医学研究所で東洋医学を学ぶ。2019年1月に地元山形県米沢市にて、こまがた医院を開業。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力~女医が教える「人には聞けない不調」の治し方(KADOKAWA)』。
2022年04月30日「フレイル」という言葉をご存じですか? フレイルとは、日本老年学会によれば“将来的に日常生活でサポートが必要な要介護状態になるリスクが高い状態”になることを指します。フレイルを予防するためには、十分なたんぱく質が必要とされていますが、世界でも日本人のたんぱく質摂取量は不足しがちだそうです。それはなぜなのでしょうか。美容専門医として栄養指導もおこなう黒田愛美先生に聞きました。教えてくれたのは…監修/黒田愛美先生(Zetith Beauty Clinic副院長)美容・アンチエイジング専門医。トライアスリート。1979年東京生まれ。2003年獨協医科大学医学部卒業後、東京女子医科大学内分泌乳腺外科に入局。2007年品川美容外科へ入職、2011年品川スキンクリニック新宿院の院長に就任。2013年同クリニック、表参道院院長に就任。その後、予防医学と分子栄養学を改めて学び、美容外科、美容皮膚科、アンチエイジング内科の非常勤医師として複数のクリニックの勤務を経て、現在に至る。日本人はなぜたんぱく質が不足しがち?日本人特有の理由は2つ厚生労働省は、2020年4月に生活習慣病やフレイル予防を目的に、たんぱく質の摂取目標量を引き上げました。その背景にはどんな要素が考えられるのでしょうか?「栄養外来のクリニックでは、血液検査で体内のたんぱく質の量を調べることができるのですが、8割くらいの患者さんは基準を満たしていません。その理由として糖質中心の食生活消化力不足が挙げられると思います。糖質中心の食生活とは?「欧米人はとにかく肉をたくさん食べます。それに対して日本人は肉を欧米人のようには食べず、特に年を重ねるごとに肉を多く食べられなくなります。日本のお米がおいしい、というのも原因の一つ。また、ランチはそばやうどん、ラーメンやチャーハン、パスタなどで済ませる人が多いのもあるでしょう。糖質中心のメニューが日本人は大好きですから、たんぱく質の量が増えないのです」(黒田先生)。消化力不足とは?「一般的に日本をはじめアジア人は胃酸と消化酵素が少なく、腸が長いという特徴があるため、消化能力が高くありません。たんぱく質をたくさんとっているつもりでも、消化・吸収されていない可能性があります」(黒田先生)。フレイル予防に必要な栄養は?たんぱく質が筋力低下を予防先に挙げたフレイルを予防するには、「栄養」「運動」「社会参加」がポイントとされています。なかでも「栄養」では、たんぱく質が重要だといいます。「筋肉は合成と分解を繰り返していて、合成の材料になるのがたんぱく質です。たんぱく質は体内でアミノ酸に分解されて体内に取り込まれます。アミノ酸は筋肉を作る以外にも、臓器・免疫機能・酵素・ホルモンの材料として、そして時にエネルギーとしても使われる大事な栄養素です。たんぱく質が足りないと、体は筋肉を分解してアミノ酸を確保しようとします。つまり、たんぱく質不足は筋力低下を招きやすくなるのです」(黒田先生)。たんぱく質の量をアップさせるためには?バランスの良い摂取&消化力を意識それでは、どうすればたんぱく質不足は解消できるのでしょうか。「ポイントは大きく分けて5つあります。毎日の食事でいろいろな種類のたんぱく質をバランス良くとる肉はステーキよりハンバーグしっかり噛んで食べる砂糖、カゼイン、グルテン、加工食品は極力控える栄養補助食品を利用するのも一案消化力が低い日本人にとって肉は負担がかかりますが、食べるときはステーキなどの塊肉よりも、ひき肉料理やハンバーグなどこま切れ肉のほうが消化しやすいのでおすすめです。砂糖、カゼイン、グルテン、加工食品は腸内環境を乱すことがわかっています。腸内環境が乱れていると胃酸が出にくくなるので、できるだけ控えましょう。厚生労働省が定める摂取目標量は1日50gですが、食事だけでとるのは大変な方もいると思います。そんなときは栄養補助食品を利用しても良いでしょう」(黒田先生)。アミノ酸製剤を利用してもたんぱく質の栄養補助食品というと、プロテインが浮かびますが……。「プロテインは、消化力の強い方には良いと思います。消化力がないと、未消化のたんぱく質として滞留して腸内環境を悪化させるおそれがあります。私がおすすめしているのは、アミノ酸製剤です。牛乳や卵などのたんぱく質がアレルギーになりやすいのは、分子量が大きいため。大きい分子を分解したものがアミノ酸です。分解されているため吸収が良く、アレルギーになりにくいとされています」(黒田先生)。栄養補助食品やサプリは価格だけで選ばないで「アミノ酸製剤は市販されているものでも良いですが、安すぎるものは原料に不安が残るものもあります。信頼できるメーカーのものを選びましょう。栄養外来のクリニックで処方してもらうのが一番安全です。たんぱく質不足の患者さんには、消化力を上げる酵素を処方することも多いです。気になる方は一度受診されてはいかがでしょうか」(黒田先生)。まとめ黒田先生によれば、いくら大量にたんぱく質をとっても、消化力を上げないと体内に吸収されにくいと言います。自分の消化力について考えたこともありませんでしたが、たしかに、昔よりは肉をたくさん食べられなくなったような……。皆さんも自分のたんぱく質のとり方について見直してみてはいかがでしょうか。取材・文/岩崎みどり(49歳)ライター歴25年。35歳で第1子、38歳で第2子出産。最近、たるみが加速して二重あごが悪化。身長153㎝なのにLサイズの服が少しきつくなってきて……人生最後のダイエットを計画中。著者/監修/黒田愛美先生美容・アンチエイジング専門医。トライアスリート。Zetith Beauty Clinic副院長(東京都中央区銀座4丁⽬2-17銀座111レジャービル13階)。1979年東京生まれ。2003年獨協医科大学医学部卒業後、東京女子医科大学内分泌乳腺外科に入局。2007年品川美容外科へ入職、2011年品川スキンクリニック新宿院の院長に就任。2013年同クリニック、表参道院院長に就任。その後、予防医学と分子栄養学を改めて学び、美容外科、美容皮膚科、アンチエイジング内科の非常勤医師として複数のクリニックの勤務を経て、現在に至る。著書に『アスリート医師が教える最強のアンチエイジング』(文藝春秋)。
2022年04月09日