ホルモンとひと口に言ってもその種類は多種多様。閉経を考えるときに知っておきたいホルモンにはどんなものがあり、更年期にはどのように変化するのでしょうか。産婦人科医・漢方内科医の駒形依子先生に聞きました。監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)2007年東京女子医科大学卒業後、米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科、同院東洋医学研究所を経て、2018年1月こまがた医院開業。2021年9月より介護付有料老人ホームの嘱託医兼代表取締役専務に就任し現在に至る。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『子宮筋腫は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力(KADOKAWA)』『自律神経を逆手にとって子宮を元気にする本(PHP研究所)』がある。女性の体に関わるホルモンは主に4つ!女性の体内では脳下垂体ホルモン2つと女性ホルモン2つが連携しています。加齢で卵巣機能が低下し、女性ホルモンの分泌が減っても脳下垂体ホルモンは分泌され続けるアンバランスにより、さまざまな体調不良を引き起こします。【脳下垂体ホルモン】1)卵胞刺激ホルモン(FSH)脳下垂体から分泌され、卵巣に指令を送る性腺刺激ホルモン。卵巣内の卵胞を成熟させ、エストロゲンの分泌を促します。2)黄体形成ホルモン(LH)脳下垂体から分泌され、卵巣に指令を送る性腺刺激ホルモン。卵胞が十分に成熟して排卵期間になると、排卵分泌を促します。排卵後は、卵子を排出した卵胞を黄体に変化させ、卵巣からプロゲステロンを分泌させる働きがあります。【女性ホルモン】1)エストロゲン(卵胞ホルモン)女性らしい体形をつくるホルモンとして知られ、妊娠を促すさまざまな働きをしています。骨や血管、脳の働きのほか、自律神経や感情も整える働きがあります。2)プロゲステロン(黄体ホルモン)妊娠が成立しやすいよう子宮環境を整える働きがあります。妊娠しなかったときには、不要になった子宮内膜を剥がして血液とともに体外に排出できるよう、生理を起こす働きをしています。閉経前後に減るのは女性ホルモンの2つ閉経前後のそれぞれ5年、計10年間を更年期といいますが、この時期に減るのがエストロゲンとプロゲステロン、2つのホルモンです。これらが減ることでホットフラッシュ(のぼせ・ほてり・発汗)、イライラ、うつ、肌の乾燥、コレステロール値が上がり代謝が落ちて太りやすい、頭痛、めまいといった症状が出ます。すべて出るというわけではなく、人によって症状はさまざまです。ただ、これらの症状が更年期症状とわかるには、閉経後のこと。閉経を迎えて「あの体調不良は更年期症状だったのね」とモヤモヤしていた気持ちがなくなり精神的にラクになったという人は多いです。閉経後も女性ホルモンがまったく出ないわけではない閉経は女性ホルモンがなくなることで起こるのではなく、原始卵胞がなくなることで起こります。女性ホルモンは閉経後も減り続けますが、まったく出ないというわけではなく、個人差がありますが60歳前後になくなるといわれています。女性ホルモンが減ると聞くと、女性としては少し寂しい気もしますが「体にとって必要がなくなってくるので減っていくもの」として前向きに受け入れるほうが良いですね。まとめいかがでしたか? 閉経前後に、女性ホルモンの分泌が劇的に変わることがわかりました。加齢とともに減っていくことは寂しいですが、すてきな50代、60代の女性はたくさんいます。自然の流れとして受け止める気持ちも必要なようです。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。取材・文/岩崎みどり(48歳)ライター歴25年。35歳で第1子、38歳で第2子出産。最近、たるみが加速して二重顎が悪化。身長153㎝なのにLサイズの服が少しきつくなってきて……人生最後のダイエットを計画中。著者/監修/駒形 依子 先生2007年東京女子医科大学卒業後、米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科、同院東洋医学研究所を経て、2018年1月こまがた医院開業。2021年9月より介護付有料老人ホームの嘱託医兼代表取締役専務に就任し現在に至る。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『子宮筋腫は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力(KADOKAWA)』『自律神経を逆手にとって子宮を元気にする本(PHP研究所)』がある。
2023年11月03日女性のココロとカラダや、ライフスタイルにまで大きく影響する”女性ホルモン”。しかし、その働きや整える方法をよく知らない人も多いでしょう。今回は女性ホルモンの不調やバイオリズム、心との関係、暮らしの中でできるセルフケアについてご紹介します。1.女性ホルモンってなに?そもそも女性ホルモンがどんなものなのか、働きや整え方をちゃんと理解している人は少ないかもしれません。女性ホルモンの基礎知識やバランス、それによって引き起こされる女性特有の様々な不調について解説します。女性ホルモンに関する正しい知識を身につけて、日常の当たり前を見直しましょう。ホルモンバランスの乱れは心身の不調に大きく関わる。女性ホルモンとは、卵巣から分泌されるエストロゲンとプロゲステロンの2種類のホルモンの一般的な呼び名のこと。「生理や妊娠だけでなく、心身の不調にも深く関わっている女性ホルモン。後々、不妊で悩んだりしないように、女性ホルモンに関心を持ってほしいですね」そう話すのは、産婦人科専門医の角ゆかり先生です。「女性ホルモンの分泌は、脳の視床下部が司令塔となり、調整されています。視床下部は、神経系統のコントロールタワーのすぐ隣にあるので、強いストレスを受けると視床下部から指令を受ける女性ホルモンの分泌も乱れてしまうのです。ストレスには、過剰なダイエットによる身体的ストレスも含まれます。過剰なダイエットをすると、脳が『身体的危機の今は新しい生命を育てられない』と判断し、血液を体外に排出する生理を止めてしまいます。無月経は不妊になることもあるので注意を」生理の約1週間前から、イライラしたり、いつも以上に甘いものを食べたくなったり、PMS症状が表れるのも女性ホルモンの影響。「PMS症状対策で重要なのは、それがPMS症状なのだと自覚することです。あらかじめどんな症状が自分に出るのか知っておけば、周囲に『この時期は機嫌が悪くなるかもしれない』と伝えておくことで大きなトラブルを防げますし、食欲が増すケースも、脂肪分の多いスイーツを食べる前にカロリーが低く栄養価の高い野菜のスープなどでお腹を満たしておくといった対策がとれます」では、根本的に女性ホルモンを整えるには、どうしたらいいのでしょうか。「基本的なことですが、栄養バランスのとれた食事と十分な睡眠をとり、規則正しい生活を送ることが、女性ホルモンにとっては大切です。もちろん、生理に少しでも異常があったり、PMS症状が辛かったり、ホルモンの乱れを感じたらなるべく早く、婦人科を受診してください。その際、月経周期がわかっているとスムーズです。自覚症状がない方も、いつかの時のために、月経周期のチェックを」エストロゲン肌にハリが出て、髪もツルツルに自律神経や脳の働きをよくする内臓脂肪がつきにくくなる卵胞ホルモンとも呼ばれ、いわゆる女性らしい丸みを帯びた体型を作るホルモン。肌や髪の潤いを守る、代謝をアップするなど、女性にとってうれしい作用も。40歳を過ぎると分泌量が減ってホルモンバランスが急激に崩れ、更年期を過ぎるとほとんど分泌されなくなります。プロゲステロン体に水分を溜め込み、むくみやすくなる食欲が旺盛になり、代謝が鈍くなる疲れやすくなる排卵直後から分泌量が増え、子宮内膜を柔らかくして妊娠に備えるホルモンで、黄体ホルモンとも呼ばれます。プロゲステロンが優位な黄体期は、妊娠のために体が水分や栄養を溜め込もうとするため、むくみが出やすく、食欲が促進される場合も。精神的にも不安定になりやすい傾向があります。ホルモンバランスの入れ替わりで心身に変化が!女性の心と体は、エストロゲンとプロゲステロンの2種類の女性ホルモンの影響を受け、約1か月周期で変動。たとえば、エストロゲンが優位になる生理直後は、肌がきれいになりますが、プロゲステロンが優位になると、肌が脂っぽくなってニキビが増加。精神的に不安定になりやすくなることもあります。教えてくれたのは…角ゆかり先生産婦人科専門医、虎ノ門ウィメンズクリニック院長。東京女子医科大学卒業。2013年、メルボルン大学ウィメンズヘルスマスター取得。症状以外にも、患者の話に耳を傾ける診療方針で信頼されている。※ 取材、文・小泉咲子※ 2022年1月13日配信2.女性ホルモンとココロの関係生理前のイライラ&体調不良と女性ホルモン、自律神経…。何となくつながっていると知ってはいるものの、うやむやになりがちなこの関係を専門家が解説。心身を健やかに保つための基本のセルフケアもチェック!自律神経の不調も、女性ホルモン&心と密接な関係に。もうひとつ知っておきたいのが、ストレスと自律神経の関係。産婦人科医の宗田聡先生いわく、「自律神経には緊張した時に優位になる交感神経と、リラックス時に働く副交感神経の2種がある。相反する2つの働きで、意志に関係なく、心拍や呼吸などの体のさまざまな機能を、絶えず自動制御しています」2つがバランスよく働くことが理想的ですが、この自律神経も、ストレスによって乱れやすいシステムだといいます。「ストレスがかかって交感神経が活発な状態が続き、体が休まらないままだと、むくみや肩こり、慢性疲労など体の不調が現れてきます。体が辛ければ当然、メンタルにも悪影響です」(宗田先生)さらに、自律神経は女性ホルモンの変動とも密接な関係が。心療内科医の田中奏多先生は「それぞれの司令塔が脳の近い場所にあり、どちらかが不調になると片方も呼応しやすいという特徴があります。逆に言えば、体に働きかけることで、心にも良い影響を与えられる可能性があるということ。体からのサインも見逃さずに、メンタルマネジメントに役立てましょう」とのこと。下記の、自律神経が乱れた時に起きがちな症状例を参考にしてみましょう。自律神経バランスがピンチかも?寝足りない感じが続くマッサージをしても肩こりが良くならない下痢や便秘が続く手や足が冷える、下半身がむくむ原因の分からない頭痛がするめまいや耳鳴りがするようになった息苦しくなったり、急に動悸がしたりする顔や手足など、体の一部だけに汗をかく教えてくれたのは…宗田 聡先生産婦人科医、広尾レディース院長。長年の経験をもとに、女性たちの悩みに心と体の両面からアプローチ。著書に『31歳からの子宮の教科書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。田中奏多(かなた)先生心療内科医、産業医。東京TMSクリニック勤務。ハーバード大学TMSコース修了。著書に『眠る投資 ハーバードが教える世界最高の睡眠法』(アチーブメント出版)がある。※ 構成、文・新田草子※ 2021年12月22日配信3.女性ホルモンを整える暮らしとは?仕事で責任が重くなったり、ライフステージが変わったりと、体調を崩しがちなアンアン世代。まさにその一人だった女性ホルモンバランスプランナーの原由記さんは、健康を取り戻した実体験と知識から、日常的にできるホルモンバランスの整え方を伝授!起きたらカーテンを開けて、必ず朝日を浴びる。睡眠不足は女性ホルモンを乱すといわれています。そこで、良質な睡眠のためにやるべきは、朝一番に、カーテンを開けること。「体内の生体リズムを整えてくれる太陽の光は、睡眠と覚醒をうまく切り替えるカギ!朝起きたらすぐに1〜2分、深呼吸をしながら太陽の光を浴びると約16時間後にメラトニンという眠気を誘う脳内の神経伝達物質が分泌され、寝つきがよくなります。曇りや雨の日でも十分な明るさがあるので、毎日の習慣にするといいでしょう」スマホは、できるだけ遠い場所に置いてからベッドの中へ。生活のリズムを整えることが、すなわち女性ホルモンを整えること。そのベースになる睡眠にとって、脳を活性化させるパソコンやスマホのブルーライトは完全にNG。「寝ると決めたタイミングで、仕事のメールやSNSチェック、動画観賞もおしまい!寝室とは違う部屋に持っていき充電を。ワンルームの場合は、視覚に入らない、できるだけ自分から遠い場所へ。夜はマッサージなど、セルフケアの時間にして“スマホに囚われない自分”でいたいものです」寝る時には”五感”に心地よいものを意識して選ぶ。女性ホルモンの影響を強く受けるのが、心の状態。「肌に触れて心地よい、ふわふわして癒されるなど、気持ちをポジティブな方向に導いてくれるアイテムを選びたいもの。特に寝具やパジャマは、睡眠の質も左右します。肌触りがよく、五感が喜ぶ素材を選びましょう。チクチクする、毛玉でゴワゴワするといった小さなストレスも、蓄積されると眠りを妨げます。ピローミストやルームフレグランスの香りにもこだわって。生理不順には、セージやレモンバームを」4.女性ホルモンを整えるセルフケア術とは?朝ごはんには、植物性タンパク質を摂る。女性ホルモンにいい食生活は、栄養バランスのとれた食事。「不足しがちなのが、タンパク質。不足すると、体内に水分を溜め込むようになりますが、生理前はその傾向がより強くなります。生理前のむくみが辛い人は、朝にお味噌汁を飲み、タンパク質摂取を意識してみて」。大豆イソフラボンは、エストロゲンと似た作用があり、生理周期の乱れを整える働きや美肌にも期待大。「食事を改善することは、次の生理周期を整える準備になります」リモートワークでも、始業前に家の周りを歩く。リモートワークだと、通勤で駅まで歩いたり階段を上り下りすることさえもなくなり、意識しないとすぐ運動不足に陥ってしまいます。「体を動かして、血行をよくすることは、女性ホルモンにいい働きがあります。始業前に、できれば一駅分、難しければ家の周りだけでも歩くと。また、1時間に1回はストレッチをして、座りっぱなしで滞った血流を改善してあげましょう。冷たい椅子は腰まわりやお腹を冷やします。クッションやブランケットで冷え対策を」【CHECK!】生理中は内くるぶしマッサージで、卵巣をケア。床に座って、内側のくるぶしの上部を流れる血管の横をなでて、ゴリゴリしていたら、卵巣が疲れているサイン。「石みたいに硬い部分に老廃物が溜まっているので、そこをぐっと押して、しっかりと流してあげるといいでしょう」※『anan』2021年12月8日号より。教えてくれたのは…原 由記さん女性ホルモンバランスプランナー。大学を卒業後、化粧品会社に入社。会社員時代に体調を崩した経験から、資格を取得。デリケートゾーンケアアイテムを扱う「メリア」を立ち上げ、代表を務める。※ 取材、文・小泉咲子※ 2022年1月14日配信5.心と体を整えて、女性ホルモンのバランスをとろう忙しい日々の中で、ストレスなどによる女性ホルモンバランスの崩れに悩んでいる方も多いのでは?自律神経のセルフケアチェックなど、あなたのライフスタイルにあったものを取り入れてみましょう。心と体を整えて不調を緩和し、心地よく過ごせるように役立ててみてくださいね。©Atipati Netiniyom / EyeEm /Getty Images文・小泉咲子、新田草子 再編集・Nana — 2022.06.21
2022年07月04日ライフステージの変化が多い女性の一生。家族の生活段階においては新婚期、育児期、教育期、子独立期などにわかれますが、どのステージでも女性の美と健康に欠かせない存在は女性ホルモンです。ですが、「女性ホルモンとは体にどのような影響を及ぼすのか」と聞かれると、答えられる女性は少ないかもしれません。何歳になっても女性らしい美しさとボディをキープするために、まずは「女性ホルモンとは何か」という基本を押さえておきましょう。【監修】女性医療クリニックLUNAグループ産婦人科医 小野寺真奈美先生久留米大学医学部卒業。日本産科婦人科学会専門医。日本医師会認定産業医。■女性ホルモンとは?女性ホルモンは主に2種類で構成されています。1.エストロゲン:卵胞刺激ホルモン(FSH)▼主な働き●乳房への働き・思春期……乳管の発達・妊娠時……乳管上皮の増殖、乳汁分泌抑制●子宮への働き・非妊娠時……子宮内膜の増殖・肥厚、頸管粘膜の<分泌を上げる・粘稠度(粘り気の密度)を下げる・牽糸性(伸びやすさ)を上げる>・妊娠時……子宮筋の発育・増大、頸管熱化(子宮の出口をやわらかくする)●膣への働き・膣粘膜の角化・肥厚●その他・LDLコレステロールの低下・基礎体温の低下・骨量の維持 など2.プロゲステロン:黄体形成ホルモン(LH)▼主な働き●乳房への働き・非妊娠時……乳腺の発育・妊娠時……乳腺腺房の増殖、乳汁分泌抑制●子宮への働き非妊娠時……子宮内膜の分泌期待変化、頸管粘液の<分泌を下げる・粘稠度を上げる・牽糸性を下げる>妊娠時……子宮内膜の脱落模様変化、子宮筋の収縮抑制、子宮筋層内の毛細血管の繁生●卵巣への働き・排卵抑制●膣への働き・膣粘膜の菲薄化(弾力性のある肌を支えてきた真皮層のコラーゲンやエラスチンの量が減少し、膣内の肌が薄くなる)●その他・基礎体温の上昇エストロゲンとプロゲステロンが月経と連動この2つのホルモンが、月経と連動しています。女性の体内は「卵胞期」、「排卵期」、「黄体期」というサイクルを繰り返しています。生理の初日を月経周期の第1日目と数え、次の生理の前日までの日数が、1つの月経周期となります。基本的な月経周期は25日〜38日でその変動は6日以内とされ、これを正常周期と呼びます。月経が開始すると、ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)の一種である卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)が卵巣に作用し、卵胞が発育し始めて、エストロゲンを分泌します。エストロゲンにより子宮内膜が増殖・肥厚し、受精卵を迎える準備が始まります。(卵胞期)卵胞が十分に発育したと体が判断するとLHの放出が高まり(=LHサージ)、卵子は成熟し排卵が起こります。プロゲステロンは厚くなった子宮内膜を、さらに受精卵が着床しやすい状態にします。(黄体期)受精しないと生理が起こり、低温期に妊娠しなかった場合、エストロゲンとプロゲステロンの分泌量が減少していき、生理(子宮内膜が剥がれ落ちる)が起きます。月経後再びエストロゲンが上昇し子宮内膜が増殖していきます。妊娠していない場合、月経から排卵までが低温期、その後、排卵の後に高温期になり、次の生理とともに再び低温期が始まるというサイクルです。妊娠が成立すると高温期が続く妊娠が成立すると、プロゲステロンが「妊娠黄体」となり、排卵後も高温期が続きます。連動して、エストロゲン値も上昇していきます。妊娠12~16週頃から基礎体温は低下しますが、妊娠中も高温期は続きます。そして、妊娠4カ月頃には、体のほてりやだるさがなくなり始めると言われています。これは、妊娠7~8週頃からはプロゲステロンを出す役割を胎盤が引き継ぐのですが、胎盤由来の黄体ホルモンには体温を上昇させる作用はないためです。女性ホルモンをバランスよく分泌させるためには、基本ではありますが生活習慣が大切です。「バランスのよい食事」、「良質な睡眠」、「体を積極的に動かす」を、生活の中にて取り入れてみてください。次回は、出産と女性ホルモンの関係です。具体的な対応策をお伝えします。
2020年03月10日「どんなに気を付けていても、生理前には体重が増えてしまう…」そんな悩みを抱える女性は多いのではないでしょうか。そんなに食べていないはずなのに、生理前は体重がグッと増加…ため息が出てしまいますよね。そこで今回は、生理前に太る原因と、生理後にやせるための方法をご紹介したいと思います。【監修】成城松村クリニック院長 松村圭子先生婦人科専門医。1995年広島大学医学部卒業、同年広島大学付属病院産婦人科学教室入局。2010年、成城松村クリニックを開院。女性の「体の健康」「心の健康」のために、一般の婦人科診療だけではなく女性のあらゆる面をトータルにケア。講演、執筆、TV出演など幅広く活動。著書に、『女30代からのなんだかわからない体の不調を治す本』(東京書店)、『医者が教える女性のための最強の食事術』(青春出版社)など多数。■生理前に太る原因は◯◯▼生理前に太る原因生理前に太る原因は大きく分けて3つあると考えられます。1つは「むくみ」です。生理前の女性の体は、赤ちゃんを育てる準備として、水分を蓄える働きがあるのです。排卵後から増加する女性ホルモンのプロゲステロンは、体内に水分を貯めやすくします。黄体期(排卵後から次の生理までの期間)では、通常の体重より2kg以上増加することも珍しくないことです。2つ目は「食欲の増加」です。これも女性ホルモンのプロゲステロンが関わっています。プロゲステロンは、食欲を増進させる作用があるため、つい食べ過ぎて体重の増加につながってしまうのです。また、プロゲステロンは血糖値をコントロールするホルモン・インスリンの効果も下げてしまうため、ごはんを食べると血糖値が急上昇しやすくなります。その後は、体内でインスリンが大量に作られ、血糖値は急降下。低血糖の状態になるため、甘いものを欲しやすく、おなかがすきやすくなるのです。3つ目は「便秘」です。女性ホルモンのプロゲステロンは排卵後から生理直前まで出ていて、腸のぜん動運動を抑える働きがあるため、便秘を引き起こす原因になります。また、この時期は体が水分を蓄えるために、便の水分も吸収するため、お通じが硬くなりやすいのです。参考サイト:ヘルスケアラボ 「基礎体温」 e-ヘルスネット 「セロトニン」 ▼エストロゲンとプロゲステロンとは?女性の体はホルモンバランスによって大きく左右されます。その女性特有のリズムを作り出しているのが2つの女性ホルモンで、卵胞ホルモンのエストロゲンと、先に紹介した黄体ホルモンのプロゲステロンです。それぞれの分泌量は約1カ月のなかで変動し、生理や排卵を起こしたり、基礎体温を上下させたりしています。エストロゲンは生理や生殖に関わるホルモンで、女性らしい体をつくり、肌をつやつやにし、骨粗しょう症や高血圧などの生活習慣病から守ってくれます。○エストロゲンの作用・排卵前に、精子が通りやすくなるように子宮頸管の分泌液を増やす。・妊娠時におっぱいが出るのを抑える。・コラーゲン生成を助けて肌をつやつやにする。・女性らしい丸みのある体を作る。・血管をしなやかにする。・髪にツヤを与える。・骨密度をキープ。・善玉コレステロールを増やし、悪玉を減らす。プロゲステロンは子宮内膜を整えてくれるホルモンで、妊娠には欠かせないものです。しかし、このプロゲステロンがたくさん出てしまうと、体がむくみやすくなったり、甘いものが食べたくなったり、便秘を起こしたりすることがあります。○プロゲステロンの作用・体内の水分量をキープ。・食欲を増進。・基礎体温を上昇させる。・眠くなりやすい。・イライラしやすい。・憂鬱(ゆううつ)な気持ちになる。・子宮内膜や子宮筋の作用を整える。・乳腺を大きくさせる。生理の周期は約4週間で1サイクルと考え、生理後の約1週間は「卵胞が育ち、排卵するまでの期間」でエストロゲンの分泌が増えます。その後の2週間は排卵後から次の生理までの期間で、プロゲステロンの分泌が増えるのです。参考サイト: e-ヘルスネット 「女性の睡眠障害」 ■生理周期によって太る時期、やせる時期がある?約1カ月の生理周期のうちで、太りやすい時期とやせやすい時期があります。▼排卵後〜生理前実は生理周期によって、太る時期とやせる時期があるということを知っていますか? 生理前は、特に「太りやすい時期」といえます。なぜなら、この時期は黄体ホルモンのプロゲステロンの分泌が増加するため、体は自然と「水分や栄養分を蓄えやすく」なっているからです。プロゲステロンは排卵後から増加しはじめ、生理前まで分泌されます。このホルモンが増加しているときは、食欲が増したり、甘いものを食べたくなったりする時期でもあります。▼生理中生理中は、運動がなかなかできず、やせにくい時期といえます。これから卵胞が育ち始める時期でもあるので、ダイエットなどで過度なストレスをかけるのは禁物。のんびり過ごすことが大切でしょう。▼生理後〜排卵まで生理後から排卵までの時期は、一番やせやすい時期です。この期間は卵胞ホルモンのエストロゲンが多く分泌されます。エストロゲンは、脳の満腹中枢を刺激して満腹感を得やすくする「レプチン」というホルモンの分泌をうながすため、少量食べただけで満足できます。この時期は、まさにやせやすい時期といえます。この期間を逃さずにダイエットをはじめると成功しやすいでしょう。▼排卵日前後排卵日前後の妊娠のしやすい時期は、最も多くのエストロゲンが分泌されます。ということは、先にもお伝えしたように、食べても満腹感を得やすい時期になります。この時期は代謝が増えて、体内の水分貯蓄も減るので体重も落としやすいでしょう。■生理前に太った分、生理後にやせるための方法▼生理前はどのくらい太ってもOK?「生理前は太りやすい」とはいいますが、体重増加はどのくらいまでが許容範囲なのでしょうか。実は体質によっても異なりますが、ホルモンによる水分貯蓄のむくみや便秘による体重の増加は、1kgから3kgまでが一般的です。これ以上になると、体重を戻しにくくなってしまうかもしれません。なかなか体重が元に戻らない場合は、塩分の取りすぎによってむくみを解消できていない、食べすぎによって体脂肪が増えてしまった、などが考えられます。食生活を見直してみる必要があるでしょう。▼太りやすい時期にやるべき「食事、運動、食欲抑制法」太りやすい時期に体重増加を抑えたいなら、まず「よくかんで食べる」こと。この時期はどうしても食欲が出てしまうので、つい食べすぎてしまいがちです。よくかんで食べると満腹中枢を刺激でき、自然と満腹感が出て食べすぎを防止してくれます。咀嚼(そしゃく)回数は30回以上を目安にするといいでしょう。次に、間食するなら「満足感が出やすい」食品を選ぶこと。ここでいう満足感とは、かみごたえがあるものや食べごたえがあるものをさします。例えば、かみごたえのあるナッツ類をはじめ、リンゴやナシ、ドライフルーツ、するめ、煮干しなど。特に煮干しは、生理前のイライラを軽減してくれるカルシウムがとれておすすめです。そのほかも栄養がしっかりあるおやつなので、健康的におなかを満たしてくれます。また、例えばこんにゃくを使ったようなダイエット食品を一時的に利用するのも一つの手でしょう。さらに「暴飲暴食に走りそう!」と心配な人は、香りの効果を利用するのもいいでしょう。例えば、グレープフルーツの香りにはヌートカトンやリモネンという成分が含まれていて、ヌートカトンには交感神経を活発にし、食欲抑制効果が期待できます。また、リモネンにはリラックス作用があると言われており、オレンジの香りにも多く含まれています。食べすぎ防止に関しては「食事の回数」を多くすることも効果的です。食事の回数が少ないほど、一度に一気に食べてしまうため、ドカ食いしやすくなる傾向があります。特に生理前のような、イライラして一気食いをしやすい時期は、普段1日3回食事をする人なら、1日5回から6回に小分けして食べることをおすすめします。運動に関しては、有酸素運動がおすすめです。早朝のジョギングなどは朝日を浴びることでストレスに効くセロトニン分泌が増えるため、一番適した運動かもしれません。▼やせやすい時期にやるべき「食事、運動」生理後〜排卵までのやせやすい時期は、食事の量を普段の8割に抑えるのがいいでしょう。この時期に増加するホルモン・エストロゲンの作用で満腹感も感じやすくなっているため、通常より食事量は減らしやすいです。ただし、カロリー制限のし過ぎはいけません。過度なダイエットは体にとって負担になり、ホルモンバランスが乱れ、逆にやせにくい体質になる可能性があります。激しい運動を特別しなくても、この時期は構いません。食べすぎないように味付けに変化を加えるなどの工夫をし、食事の量を普段の8割にすれば、効果も実感しやすいでしょう。また、やせやすい時期に限らず、例えば「耳つぼを刺激して食欲を落ち着つかせる」など工夫してみるのもおすすめです。自分で「飢点(きてん)」というツボを押すだけで、食欲を抑えられる効果が期待できます。場所は「耳穴の前の、顔寄りにある小さな軟骨突起のつけ根」の部分。指か綿棒、もしくは爪よう枝の後ろで押すのもいいでしょう。■まとめ「生理前に太ってしまうのが長年の悩み」という女性は少なくないでしょう。しかし、女性にはホルモンの影響で、心も体も多少は変化するもの。「体重が増えた、減った」で大きく一喜一憂するのではなく、自分の体のリズムを知り、健康かつ快適に過ごすことが大切です。もし、生理前に太ってしまったら、生理後に元に戻すように微調整するのがいいですね。そのためには、ホルモンの影響で「太りやすい時期」と「やせやすい時期」があることを理解し、日ごろから自分に合った工夫をしていきましょう。参考資料:・ ヘルスケアラボ ・ e-ヘルスネット
2020年01月30日ある日娘にこんなこと言われましたよ、身内はシビアです…。40代後半から50代前半までは更年期と言われ、女性ホルモンの分泌が激減してバランスが乱れることで不調が出やすい時期のようです。(症状には個人差があります)詳しくはこちらの記事でどうぞ↓ちょうどいろいろ気になっていた今、上記リンクにもある「エクオール」を作れているかの検査キット 「ソイチェック」 をお試ししてみない?とお声がけいただいたので!とっても簡単そうなのでさっそく試してみることにしました。結果は…なんと…!なんでもホルモンバランスのせいにしてはダメですね(笑)子どもたちよく見てます!私は今回の検査で良い結果が出ましたが、ちょうどここ2年くらい太りやすくなった気がして、以下のような生活を心がけていました。なんと女性ホルモンにも良い生活を送れていたようです。もし検査結果が悪かったとしても、生活習慣を見直すきっかけに…と思って受けた検査でした。そして本当に更年期症状がツラくなったら、病院で女性ホルモンの検査を受けてみようと思いますが、そうならないように、これからも大豆食品を積極的に食べていきたいと思います! 実際結果が良かったのは嬉しく、私にとって大豆はとてもいい食材だというのがわかったのも良かったです。誰しも老いていくのは避けられないですが、元気で若々しくありたいですよね。まずは今の自分の体の状態を把握し、自分に合った方法で良い状態をキープしていきたいと思います!※こちらのエクオール検査、ウーマンエキサイト編集部さんのメンバーもやってみたそうです
2018年04月03日健康で美しいママでいるためには 女性ホルモンが重要な役割を担っていること 、そして女性ホルモンは自分で増やせないので、減らさないようにすることが大切だと 前回の取材 でわかりました。取材にご協力くださった高尾美穂先生から教わったことを実行して、できるだけキレイに年齢を重ねていきたいものです。大豆製品は女性ホルモンと似た働きをする成分を作り出す女性の心と体の健康のために必要な「女性ホルモンをコントロールすること」については、ホルモン補充療法や漢方など専門家が必要なものとは別に“大豆食品を積極的に食べる” という手軽な方法も教えていただいたので、取材後、毎日食べているのですが…。この大豆イソフラボン、効果を得やすい人と得にくい人がいるんだそうです! 大豆イソフラボンを腸内細菌によって「エクオール」にすることができる人は、より高いエストロゲン活性があるのです…が、なんと日本人の半分は「エクオール」を作れないとのこと。自分は「エクオール」を作れているんでしょうか…?高尾先生から「簡単に調べるキットが市販されている」と教えてもらったので、さっそく編集部6人でチェックしてみることに。編集部が受け取った結果は……検査に使用したのは、エクオール検査 「ソイチェック」 検査方法は、専用キットで採尿し、付属の封筒で送るだけ。2週間前後で結果が届きます。エクオールは作られた後、数日中に尿と一緒に体外へ排出されるため、採尿でエクオール濃度を調べることができるそうです。検査した6人1.編集M(30代前半) 2. 編集K (30代前半) 3. 編集Y (30代中ば) 4. 編集N (40代前半) 5. 編集S (40代後半) 6. ライターR(40代後半)検査した6人中4人は、大豆製品が好きで積極的に摂っていました。「もしかしたら作れていないかも」という気持ちと、「いや私は大丈夫」という気持ちが交差しながら受け取った結果は……『エクオール』を作れていたのは、6人中なんとたったの1人だけ! しかもその1人、編集Nも、5段階レベルのうちレベル3で、「エクオールは作れていますが、数値は高くありません」という結果に!■編集N (40代前半) 検査結果 4.2μM レベル3「作れているという結果は嬉しいですが、最近は疲れやすくPMS症状がツラかったり、痩せなくなったりと、年齢を感じるような症状が気になってます…(泣)。今後はよりいっそう女性ホルモンを大切にしないと! と思ったので、検査後は、納豆を食べる頻度を増やし、オーガニック豆乳に甘酒入れて飲んだりしています」他の5人は0.4 ~ 0.9 μMで、レベル2の作れてません判定。大豆製品を積極的に摂っている人もいただけに、みんなショックを隠せません。■編集Y (30代中ば) 検査結果 0.7μM レベル2「何もしなくとも潤っていた20代とは違って、手を加えなければいけない30代を実感中。しばらくなかった生理痛も復活し、1日目は頭痛が酷くて、鎮痛剤を飲まなければいられないようになってしまいました…。とはいえ、子どもが納豆、豆腐、豆乳、ソイミートと大豆食品が大好きで自分も食べている気でいたので、この結果にショック! でも振り返ってみると、納豆と豆乳は息子に自分の分も取られてしまい、自分はみそ汁の豆腐以外食べていないことに気づきました」■編集K (30代前半) 検査結果 0.9μM レベル2「大豆製品は好きでよく食べているつもりだったので、作れてないという結果にショックでした。健康診断でコレステロール値が高いという指摘も受けてしまったので、豆乳の豆腐煮込みを夕食に食べています。大豆に意識を向けることで、料理のレパートリーが増えたり、身体について考えたりと、家族にも自分にも良い結果となりました」■編集M (30代前半)検査結果 0.4μM レベル2「納豆もお豆腐も好きで食べていたので『作れていない』という結果が出てショックでした。ジムにも通いはじめて適度な運動(といっても週1回のウォーキングマシーン30分)をしているので、体の調子は悪くないんですが…。検査結果の翌日から、積極的に納豆・豆腐・味噌汁(インスタント)・豆乳を食べるように。でも続けられず、2日坊主…無理せず取り続けられる方法を考えます」■編集S (40代後半)検査結果 0.4μM レベル2「『わたしはエクオールを作れていないかも…』と想像はしていたものの、数値で明確に出るとやはりショックではありました…(笑)。30代の頃から不規則な生活を送り、ホルモンバランスが崩れがちで何度か体調も崩し、その都度ケアをしてきましたが、今回の検査で【さらなるケアが必要な状態】であるということがわかりました。やるべきことも以前よりも明確になったので、検査を受けてよかったなと思っています。同年代の友達にも早速おすすめしました」今回検査を受けた6人全員に共通しているのが、女性ホルモンについて考えるようになったことと、検査後すぐに大豆製品を摂るのをはじめたこと。まずは「自分の体を知る」ことの大切さを、検査によって実感することができました。エクオール検査は簡易検査で、採尿した日前後の体調や食事にも左右されるため、1回の結果が全てではないとのこと。食事や生活習慣を改善してから再検査すると、違った結果になる可能性もあるんだそうで、半年後ぐらいを目安に再検査してみたいと思います。まずは、大豆生活を頑張ってみようと、6人は気持ちをあらためたのでした。エクオール検査「ソイチェック」大豆イソフラボンをもとに体内で「エクオール」をつくれているかどうかを、尿検査で簡単に調べることができます。自宅からできる郵送型の尿検査キットです。産婦人科医が受けたことのある検査「第2位」に選ばれました! 自分に合った方法で健康&キレイになるために! 検査キットはこちら
2018年03月28日3月1日~8日は女性の健康週間です。働きながら、家事と子育ても頑張る現代のママは、つい自分のことは後回しにしがちですが、ママが無理をして倒れたら家族も職場も大変…! 自分の健康管理をすることは、自分のためだけではなく、家族や一緒に働く人のためでもあります。この機会に自分の体と健康管理についてちょっと考えてみてくださいね!健康でキレイなママでいるためには、女性ホルモンのバランスを崩さないことが大切! という話を、産婦人科医であり、ヨガの指導者でもあるイーク表参道の副院長、高尾美穂先生に 前回 お聞きしました。今回は、女性ホルモンのいい状態を長引かせるためにできることを、引き続き高尾先生に教えていただきます。高尾 美穂/MIHO TAKAO・産婦人科専門医・医学博士・婦人科スポーツドクター・女性のための統合ヘルスクリニック イーク表参道 副院長・株式会社ドーム(アンダーアーマー) アドバイザーリードクター・文部科学省・国立スポーツ科学センター 女性アスリート育成・支援プロジェクトメンバーイーク表参道では、内科・婦人科・乳腺の診療を通して女性の健康をサポートし、 婦人科部門責任者として女性それぞれのライフステージ・ライフスタイルに合った治療法を提示し、選択をサポート。またその環境を活かし、マターナル(周産期)ヨガも提供。 ■まずは、女性ホルモンを減らさないことが大切「年齢と共に減っていく女性ホルモンを自分で増やすことはできません。なのでまずはいかに減らさないようにするか、が大切です。タバコは吸わない、バランスの良い食生活をこころがける、良質な睡眠をとること、そして適度に運動することです。昔から体にいいと言われていることばかりで目新しさはないですが(笑)、これらのことが女性ホルモンのためにも大事なことなのです」(高尾先生)■自分に合った方法で、女性ホルモンをコントロール!「食事や睡眠などに気を付けていても…不調がでることはあります。そんなときは我慢せず、外部から補充する方法を含め、女性ホルモンをコントロールしていく方法を上手に取り入れるべきです。研究も進んでいろいろな手段があるので、生活の質を高めるために、賢くラクする方法を選択して欲しいです。1.ホルモン補充療法からだに足りなくなったエストロゲンを補って、更年期から閉経後に起きる心身のさまざまな症状を改善する方法です。お肌の状態を良くする、骨密度を上げるなどにも効果があることがわかってます。2.漢方漢方は複数の症状に対応するいいものがたくさんありますが、体質によって得られる効果が変わるので、自分に合う漢方を見つけるまでに時間がかかることも。また、変化を感じるまでに1~2ヵ月程度かかります。3.大豆食品を食べる/サプリメント摂取エストロゲンそのものを増やすのではなく、エストロゲンと“似た働き”をする成分を食品やサプリでとる方法です。有名なところだと、大豆食品に含まれる『大豆イソフラボン』があります。最近の研究で『大豆イソフラボン』が体内の腸内細菌によって代謝されて作られる『エクオール』という成分が、より女性ホルモンに似た働きをするということがわかっています。『エクオール』に関してはサプリメントなどが発売されていて、摂取した人の約8割が変化を感じたという結果も出ています」(高尾先生)女性ホルモンをコントロールする方法はひとつではないので自分の状態を把握して、自分に合う続けられるものを選べばいいそうです。また、ホルモン補充療法には、エストロゲンを経皮吸収できる貼り薬もあるのだとか。皮膚から血管のなかの血液を伝って各部に作用したあとに肝臓へ行くため、副作用である血栓症をおこしにくくなるそうです。こういったことを、知っていると知らないとでは、だいぶ違う未来になる…と実感しました。■エクオールを作れる人と作れない人がいる!「誰でも手軽に始められるのは大豆食品を食べることだと思いますが、『大豆イソフラボン』から『エクオール』を作れる人は2人に1人と言われています。自分が『エクオール』を作れているかどうか自宅で検査できるキットもあるんですよ」(高尾先生)検査できるのはありがたいですが、もしも「あなたはエクオールを作れる体ではありません」と判定されたらショックな気もします…。「簡易検査ですので、1回検査しただけでエクオールを作れていないと判断されても、それが全てではありません。体調や食事によっても結果は変わることもありますよ」(高尾先生)なるほど! 自分の体の今の状態を知ってみたいです。…というわけで、編集部で検査してみることにしました。編集部でエクオールを作れている人はどれぐらいいたのか…?! 結果は後日、お知らせします。 エクオール検査「ソイチェック」 大豆イソフラボンをもとに体内で「エクオール」をつくれているかどうかを、尿検査で簡単に調べることができます。自宅からできる郵送型の尿検査キットです。産婦人科医が受けたことのある検査「第2位」!
2018年03月07日3月1日~8日は女性の健康週間です。働きながら、家事と子育ても頑張る現代のママは、つい自分のことは後回しにしがちですが、ママが無理をして倒れたら家族も職場も大変…! 自分の健康管理をすることは、自分のためだけではなく、家族や一緒に働く人のためでもあります。この機会に自分の体と健康管理についてちょっと考えてみてくださいね!今回は産婦人科医であり、ヨガの指導者でもあり、スポーツドクターでもあるイーク表参道の副院長、高尾美穂先生にお話を聞いてきました。女性の体にとって大切な「女性ホルモン」についての基礎知識と、健康でキレイなママでいるために必要な情報が満載です!高尾 美穂/MIHO TAKAO・産婦人科専門医・医学博士・婦人科スポーツドクター・女性のための統合ヘルスクリニック イーク表参道 副院長・株式会社ドーム(アンダーアーマー) アドバイザーリードクター・文部科学省・国立スポーツ科学センター 女性アスリート育成・支援プロジェクトメンバーイーク表参道では、内科・婦人科・乳腺の診療を通して女性の健康をサポートし、 婦人科部門責任者として女性それぞれのライフステージ・ライフスタイルに合った治療法を提示し、選択をサポート。またその環境を活かし、マターナル(周産期)ヨガも提供。 ■女性ホルモンってそもそも何?「女性ホルモンは主に2種類あります。女性らしい体を作ったり、肌や髪の潤いを守ったりしているのが、卵胞ホルモン『エストロゲン』。基礎体温を上昇させたり、妊娠を維持するのに活躍する黄体ホルモン『プロゲステロン』です。このホルモンは一定の周期で分泌量がそれぞれ変わります。『エストロゲン』の分泌がピークを迎えた後、排卵が起こります。そして『プロゲステロン』が増加し妊娠の準備を始めます。ここで妊娠しなかった場合、プロゲステロンの分泌が減り、妊娠のために準備していたものを血液と一緒に外へ運び出す。これが生理の仕組みです。この『エストロゲン』と『プロゲステロン』により、女性の心や体は大きく揺さぶられます」(高尾先生)■女性ホルモンは女性の健康を守ってくれていた!「女性ホルモンの分泌量のピークは20代後半から30代前半です。30代後半になるとその分泌量は徐々に低下をはじめ、特に閉経前後の45~55歳には激減していきます。この時期を更年期と呼ぶのですが、エストロゲンを出して!と脳の視床下部が指令を出しているのに、卵巣が『エストロゲン』を作れずにバランスが崩れると、指令だけが空回りしてパニックに。視床下部は自律神経のコントロールも司っているため、いろいろな不調が起こります。これが更年期症状です。「更年期」とは閉経前後の期間のことであって、誰にでも更年期症状が出るわけではないんですよ」(高尾先生)更年期…ですか。まだピンとこない顔をしていた筆者に、高尾先生からすかさず「42~43歳でも閉経してしまう人もいるんですよ。まずは、年齢に関わらず今の自分の状態を知っておくことが大切です」とのお言葉が。「エストロゲンはたくさんのはたらきをしてくれています。1. コレステロールの値を低く保つ2. 血管の弾力性を保つ3. 骨の強さを保つ4. 肌や髪を健やかな状態にするこのエストロゲンが出ている間は、女性は生活習慣病などになりにくいという守られた期間でもあるんです。なので、女性ホルモンの分泌を減らさないことが大事なんです」(高尾先生)なるほど、女性ホルモンは女性の健康を守ってくれていた大切なお守りのようなものだったのですね!では、そのエストロゲンが正常に出ているかどうかは、どうやって把握すればいのでしょうか。そして、更年期の症状が強く出る人もいれば、何も症状が出ないまま更年期が過ぎる人もいます。その違いは何でしょう?■知っておくことが一番大事!「まずは自分の生理周期や基礎体温の記録が一番簡単にできる方法です。病院の診察では、そのときの卵巣や子宮の状況やその日の検査結果しかわかりません。基礎体温表の記録があれば、それまでの状況も判断材料にできるので、より正確な診断ができます。また、更年期の症状に関しては、卵巣機能が衰えるという『身体的な要因』に加えて『環境的な要因』『心理的な要因』があります。仕事や育児が忙しい時期に親の介護が重なる…などの環境的な要因で体と心にストレスがかかったり、心理的な要因としては、まじめで周りを優先してしまうタイプの性格の人は、症状がでやすい傾向があります」(高尾先生)生理周期や基礎体温は、妊活のときにすればいいものだと思っていました。これまでは生理開始日くらいしか記録していませんでしたが、女性ホルモンがどういう状態なのか気になっている今、婦人科にかかる前に基礎体温や経血の量や色など、気がついたことを記録しておこうと思います。また、高尾先生のお話の中で2人目を考ええているママ友にも伝えないと…と思ったことは、妊娠率は36~37歳を境に下がるということ。子どもが欲しいと思っている人は、やはり前倒しで人生設計をすることが大切。このことは自分の子どもたち世代にも伝えていくべきことと思いました。自分の体のことなのですが、まだまだ知らないことがたくさんありました…。まずは正確な知識を得ることの大切さを理解したので、後編は、女性ホルモンのいい状態をキープするためにできること、の実践編です。
2018年03月06日キレイを意識する女子にとって、切っても切り離せないのはご存じ「女性ホルモン」。でも、女性ホルモンがどんな役目を担っているのか、正しく理解している人は意外と少ない様子です。女性らしさを保つために必要なホルモンですが、それ以外にも記憶力を高めたり、肥満を防いでくれるなどの目からウロコ! の働きがあるのです。今回この「女性ホルモン」の底力について教えてくださったのは、女性ホルモンに詳しい婦人科医、小山嵩夫先生です。小山嵩夫先生 プロフィール婦人科医。専門は生殖内分泌学、女性の健康増進。日本のHRT(女性ホルモン補充療法)の第一人者として知られる。1996年、女性の健康管理を目的としたクリニック「小山嵩夫クリニック」を銀座に開業。「NPO法人 更年期と加齢のヘルスケア」および「一般社団法人 日本サプリメント学会」理事長として、更年期前後から元気に生きるための啓発活動を行っている。著書に『遺伝子を調べて選ぶサプリメント』『女性ホルモンでしなやか美人』(ともに保健同人社)、『40歳であわてない! 50歳で迷わない!もっと知りたい「女性ホルモン」』(角川学芸出版)など。 カギを握るのは「エストロゲン」女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)があり、2つがバランスを取りながら女性の体をコントロールしています。2つの役割を簡単に言えば、エストロゲンは「女性らしさを司るホルモン」、プロゲステロンは「妊娠のために必要なホルモン」です。「一般的に、女性ホルモンと言えば、エストロゲンのほうを指します。女性の一生にとても大きな影響を与えているホルモンだからですね。女性としての魅力をアップして男性を引きつけるホルモンですから、さまざまな働きをすることは想像がつくでしょう。しなやかな髪、きめ細かい肌、豊かなバストにくびれたウエスト… それらはエストロゲンの作用によるもの。ですが、女性ホルモンが担っている大切な役割は、まだまだたくさんあるんですよ」小山先生に、その役割を挙げていただきました。【 女性ホルモン(エストロゲン)のおもな役割 】●肌や 髪などの潤い・ツヤを保つ。●女性らしい体つきをつくる。●骨を強くする。●頭の働きを活発にする。●自律神経を安定させる。●気持を明るくする。●記憶力を高める。●新陳代謝をを促進する。●糖脂質代謝を促す。●血流を良くする。●免疫系を強化する。●肥満を予防する。●血管をしなやかに保ち、動脈硬化を予防する。●悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす。このように驚くほど働き者のエストロゲン! 女性らしさを司っているどころか、骨や血管、脳、肝臓、皮膚など、人間にとって重要な器官に関わり、機能の維持に務めていることがわかります。もちろん、エストロゲンは男性の体内でも分泌され、同じように健康の維持に役立っているのです。しかもその量は、40代後半の女性と変わらないとか!ちなみに、プロゲステロンのほうはそれとは逆に、女性にとって悩みの種になることも少なくないホルモンです。受精卵をキープし、妊娠を維持するのが重要な役割なので、体温を上げたり、水分や栄養分をため込む、皮脂の分泌を促す、腸の働きを抑える、食欲をアップさせる、眠気を促す… など、好ましくない影響も。排卵後の時期に肌が荒れたり、便秘、胸の張りなど不快な症状を感じるのはこちらのホルモンのためです。アラフォー女子こそ、女性ホルモンを取り戻せ!先に挙げたように、体のあらゆる場所で働いている女性ホルモン。残念ながら、分泌量のピークは20代〜30代前半まで。アラフォー世代では、卵巣の働きが徐々に衰え、分泌量も低下しています。もちろん個人差がありますが、あれほど働き者の女性ホルモンが減るということは、肌がカサカサになる、髪につやがなくなる、ウエストにくびれがなくなる、という見た目の老化に加えて、冷え性になったり、イライラする、うつっぽい、悪玉コレステロールが増える、骨量が減少するなど、心や体に影響します。年齢による原因の他に、ホルモン分泌量に大きく関わるのは、その人の置かれた生活環境。特に、栄養状態は問題で、無理なダイエットによって無月経になったりすれば、女性ホルモンが急激に減ることを意味します。また、ストレスもかなり大きく影響します。そもそも卵巣に対して、女性ホルモンを出せと指令しているのは脳の視床下部。仕事が上手く行かない、恋人や夫との関係に問題が起きている…などストレスフルな状態が長引くと、視床下部は女性ホルモンの分泌指令をストップさせてしまうのです。無月経に限らず、大きなストレスを受けて心も体も弱っているなと感じたら、一度立ち止まって、自分と向き合いましょう。また、月経不順や月経痛などのトラブルが続く場合は、迷わず婦人科を受診して。アラフォー世代にとっての正常な月経、正常な女性ホルモン分泌を取り戻すことが、美と健康を守る一番の近道です。
2015年02月18日