洋菓子作りに使われるベーキングパウダーは、しばしば重曹と比較されます。ベーキングパウダーは、その名の通りお菓子を焼くためのものですが、重曹はお菓子作り以外にも掃除や洗濯、工業製品の一部としても使われます。果たして両者の違いはどこにあるのでしょうか?本記事では、ベーキングパウダーと重曹の成分や用途の違い、また代用品として使えるものについても詳しく解説します。ベーキングパウダーと重曹の違いを明確にして、それぞれを上手く使い分けてくださいね!■ベーキングパウダーの特徴スーパーで製菓材料コーナーに行くと、ゼラチンやバニラエッセンスなどの横に、箱に入って売られているベーキングパウダーの姿を目にします。その用途は、100%お菓子作りです。通称「ふくらし粉」とも呼ばれ、ケーキやクッキーをふっくらと膨張させるために使われます。一体その中身は何でできているのか、詳しく解説しましょう。・ベーキングパウダーの成分ベーキングパウダーの成分は、ガス発生剤と酸性剤、遮断剤が混ぜ合わせて作られています。実は、ガス発生剤とは、ほぼ100%重曹のことを意味します。つまり、ベーキングパウダーの材料の一部が重曹なのです。・粒子の細かいパウダー状ベーキングパウダーは、見た目が薄力粉に似て、とても粒子が細かいパウダー状になっています。しかし、そのふくらし効果はあなどれません。たとえば小麦粉100gでケーキを作るとすれば、このサラサラのベーキングパウダーは、わずか2gほどあればこと足ります。・3つの成分が含まれているベーキングパウダーに含まれるガス発生剤(重曹)は、炭酸水素ナトリウムです。ほかの成分である酸性剤は、酒石酸水素カリウムや第一リン酸カルシウム。そして、遮断剤には、コーンスターチなどのデンプンが使われています。それぞれの役割にも特徴があります。ガス発生剤が、炭酸ガスを発生させて生地を膨らませ、酸性剤はガス発生剤と混ざってさらにガスを発生させつつ、生地がアルカリ性になるのを防ぎます。そして、遮断剤は、生地の保存中にガス発生剤と酸性剤が化学反応しないように遮断する役割を果たします。学生時代の化学の授業を受けているみたいで、苦手な人にとってはちょっとややこしいですよね。アルカリ性については、このあとの重曹のところでも説明しますが、これが強いとお菓子の焼き上がりに苦味が出たり、黄ばみが強くなり、ふんわりとした風味が奪われます。よって酸性剤の役割が重要になると覚えておきましょう。・パウンドケーキやクッキーに使うベーキングパウダーは無味無臭で、風味にも余分なくせがありませんから、バターを使うお菓子作りにはうってつけです。焼き色にも特段の影響を与えないため、パウンドケーキやクッキーを作るときに使うと良いでしょう。■重曹の特徴つづいて重曹の特徴について解説しましょう。重曹も、お菓子作りの際には生地を膨らませるために使われますが、ベーキングパウダーに比べると少しくせがあるので、使い方には注意が必要です。・成分重曹は、炭酸水素ナトリウムで、重炭酸ソーダとも呼ばれます。ソーダは漢字で書くと、「曹達」で、重炭酸ソーダを略して「重曹」になりました。重曹には、発泡、膨張作用があるだけでなく、消臭作用や吸湿作用、研磨作用もあるため、工業製品の生成過程で使用されたり、掃除や洗濯の際の洗剤としても代用されます。ただ、薬局などで売られている食用でない重曹は、食用に比べてやや不純物が多いです。その分安価になりますが、お菓子作りには使用できませんので、注意してくださいね。・サラサラとした細かい顆粒状重曹は、ベーキングパウダーほどきめ細かくはありませんが、砂糖のようにサラサラとして細かい顆粒状です。見慣れている方なら、一見して見分けることができるかもしれませんね。・アルカリ性重曹の大きな特徴は、アルカリ性という点です。そのため、重曹をキッチンで使うと温泉で臭う硫黄に似た独特の香りがすることがあります。そしてお菓子に使うと生地が膨らむだけでなく、色目も黄色味がかります。重曹のもつアルカリ成分が、小麦粉に含まれるフラボノイド色素と反応することで、生地を黄色くする作用が生まれるのです。・どら焼きや饅頭に使う重曹を使うと、お菓子の仕上がりはもっちり・もったりとし、しょっぱく感じることもあります。そのため、どら焼きや饅頭などの和菓子に利用されることが多いです。ベーキングパウダーはきめ細やかで、生地全体に適度に分散しますが、重曹の分散の仕方はやや粗いです。そのため、でき上がったお菓子の断面を見ると、気泡のでき方にかたよりがあり、模様にもムラができることが多い特徴があります。■ベーキングパウダーと重曹の違いベーキングパウダーと重曹には、違いがあることが分かってきたと思いますが、さらに大きな違いがあるので掘り下げていきましょう。同じ膨張剤としての役割を持ちながら、膨らみ方やその際の条件も異なりますので、よく理解しておいてくださいね。・【ベーキングパウダー】水分で膨張するベーキングパウダーは、水分を含むことで膨張します。そして、加熱することでも再度膨張します。これを通称「ダブルアクティング」といいます。つまり、水にも熱にも2段階で反応するのが、ベーキングパウダーの特徴なのです。・【重曹】加熱しないと膨張しない重曹は、加熱したときのみ膨張します。ベーキングパウダーとは異なり、水分を与えてもまったく膨らみません。・【ベーキングパウダー】縦に膨らむベーキングパウダーは、縦方向に膨張する特徴があります。しかも生地に混ぜて水を加えた途端に炭酸ガスが発生して膨張し始めるので、できるだけ早くに焼く工程に入る必要があります。そのためベーキングパウダーを使う際は、ほかの作業に気を取られないで、お菓子作りだけに集中できる環境をつくってくださいね。・【重曹】横に膨らむ重曹は、横方向に膨らむ性質を持ちます。また、ベーキングパウダーと違って生地を寝かしておいても炭酸ガスは発生しません。そのあとにしっかりと膨らむので、あまり急いで焼かなくても良いでしょう。・大さじ1・小さじ1はそれぞれ何グラム?大さじ1は、15cc、小さじ1は、5ccです。小学校の家庭科の授業で習ったことを思い出しますね。gに変換すると、水や酒の場合は、大さじ1は15g、小さじ1なら5gですが、必ずしもほかの調味料などが同じとは限りません。ベーキングパウダーなら、大さじ1で約12g、小さじ1は、約4g。重曹は、大さじ1が約9g、小さじ1が約5.5gになるのが一般的です。(メーカーにより若干の誤差はあります)大さじ1の15ccが、そのまま15gと勘違いしてしまうことがよくありますが、実際は異なることが多いので、レシピを活用する際には気をつけてくださいね。■ベーキングパウダーと重曹どちらを使う?ベーキングパウダーと重曹では、用途や反応の仕方と条件もことなります。そのため、ベーキングパウダーと重曹のどちらを使用するのが良いかは、何を作るかによって異なってきます。・使用する材料によって決まるたとえば、お菓子作りによく使われる牛乳や水は、そのまま重曹に入れても反応しません。つまり、生地を膨らませることはできないということです。ところが、ベーキングパウダーなら牛乳にも水にもすぐに反応して炭酸ガスが発生し、膨張し始めます。・一般的にはベーキングパウダーお菓子作りによく使われるのは、一般的にベーキングパウダーといって良いでしょう。お菓子のレシピを見てもベーキングパウダーの方が重曹よりも圧倒的に多いです。ベーキングパウダーには、そのものに酸性剤が含まれているため、単独でバランスよく反応してふっくらとした無味無臭の風味に仕上がます。先ほど説明したようにダブルアクティングにより2段階に分けて膨らむので、加熱したときにしか膨らまない重曹に比べるとお菓子作りに失敗しないというメリットもあるといえるでしょう。さらに重曹の場合は、炭酸ガスにならなかった成分が、炭酸ナトリウムとして残ることで黄ばみの原因となりますから、家庭でよく作られる洋菓子には、ベーキングパウダーの方が合っているのです。・酸性液がたくさん入る場合は重曹重曹に残る炭酸ナトリウムは、たとえば黒糖蒸しパンや黒糖饅頭などにはうってつけです。しかし、一つ間違えると苦みやしょっぱさが目立ってまずくなります。ただし、重曹のアルカリ性は、ヨーグルトやレモン汁などの酸性液をたくさん使う場合は上手く反応して膨らむため、おすすめです。■ベーキングパウダーと重曹を両方使えるのはなぜ?レシピによっては、ベーキングパウダーと重曹の両方が使えるものがあります。これはそれぞれの持ち味を活かせるからにほかなりません。何を作りたいか、作ったお菓子にどのような特徴を持たせたいかによって、使い分けしていけると良いですね。・酸味を残したい場合レモン汁やヨーグルトなどを使った酸度の高いレシピには重曹を積極的に使います。そのほうが炭酸ガスが発生しやすくなり、生地をふくらますことができるからです。ほかにも酸度が高い素材としては、はちみつ、バターミルク、ブラウンシュガーなどがあります。しかし、重曹だけでは十分に生地を膨らますことができない場合もあり、その際はベーキングパウダーを追加して調整します。また、重曹はアルカリ性のため、加えることですっぱさが消される傾向にあります。これは、ケーキやビスケットに限らずほかの料理を作る際にもいえることです。つまり、おかずなどのすっぱさを抑えたいときに、重曹をひとつまみだけ加えるということがあります。そのため、逆に酸味を残したいときには、重曹単独ではなく、ベーキングパウダーと上手く調合させて味を調えるという技も使えるわけです。・焼き色を加えたい場合重曹には、小麦粉に含まれるフラボノイド色素を利用して、生地に黄色く焼き色をつける効果があります。そのため、ベーキングパウダーを使うレシピでも、あえて重曹を加えることで焼き色を加えることが可能です。苦味と焼き色が特徴のあるお菓子としては、どら焼きがあげられます。また、クッキーでも濃い目の焼き色をくわえたいときには、重曹を使うのがおすすめです。■アルミフリーのベーキングパウダーって?市販されているベーキングパウダーの中には、アルミフリーがうたわれている商品があります。アルミフリーとは、一体どのような意味があるのでしょうか?・アルミフリーのベーキングパウダーとは市販のベーキングパウダーには、アルミニウム入りとアルミフリーのタイプがあります。歴史的に見ると、もともとはアルミニウム入りのベーキングパウダーしかありませんでした。しかし、アルミニウムが脳神経に悪影響をおよぼし、認知症の一種であるアルツハイマー病の原因となるという説が広まると、ベーキングパウダーに対する世間の目も厳しくなってきました。たしかに認知症という言葉を聞くと、聞き流すわけにはいきませんよね。とくに小さな子どもを育てている親としては、不安要素が少なくありません。以上のような流れの中で、アルミニウムがいっさい含まれていないアルミフリーのベーキングパウダーが開発されたのです。ちなみに、アルミニウムとは「硫酸アルミニウムカリウム」や「ミョウバン」という名でパッケージの原材料に書かれていることが多いです。・アルミフリーのベーキングパウダーを使うメリットアルミニウム入りのベーキングパウダーを使うと、一日に摂取しても問題ないといわれる摂取量を越してしまうことが珍しくありません。とくに成長期にある小さな子どもに食べさせるのは、不安がつきまといます。そこで、アルミフリーのベーキングパウダーを使用すれば、離乳食にも使えて安心といえるでしょう。アルミニウムが人体に悪影響をおよぼすという議論は、以前に比べると下火となり、現在ではその確証がないともいわれています。体内に入ったアルミニウムの約99%は体外に排出されると考えられてもいます。しかし、疑いがゼロでないかぎりは、アルミフリーのタイプを使う方が安心というのが世論なのです。・小麦アレルギーの方は厳禁アルミフリーのベーキングパウダーのなかにはデンプンが使用されているものがあります。その場合、小麦アレルギーの方は使用できません。小麦アレルギーの方は、アルミフリーかつアレルゲンフリーのベーキングパウダーをおすすめします。■ベーキングパウダーがないときの代用品子どもから急に「おやつが欲しい」といわれて作ろうとしても、ベーキングパウダーがないことがあるかもしれません。しかし、その場合でも、いくつか代用できるものがあります。ベーキングパウダーとまったく同じというわけにはいきませんが、目的別に使えるものが複数あるので、参考にしてくださいね。・重曹ベーキングパウダーの代用品の筆頭としては、やはり重曹があげられます。重曹は、ベーキングパウダーのようにきめ細やかで白っぽい見た目には仕上げられないため、シフォンケーキのようにしっとりしたお菓子は作れません。しかし、チョコレートやココアを使った黒味のあるお菓子なら十分に作ることができます。黒糖風味のお菓子も作れるので、大人向けには良いかもしれませんね。小豆があれば、どら焼きもおすすめです。ちなみに、重曹は、ベーキングパウダーの2/3の量が目安です。ベーキングパウダーより少なくてすむ分、経済的といえるかもしれません。・ドライイーストドライイーストは、イースト菌というパン酵母のことです。ベーキングパウダーと同じく膨張剤の一種のため、代用可能ですよ。ただし、ドライイーストは発酵させて二酸化炭素が発生するまで時間がかかるので、しばらくの間生地を寝かせる必要があります。時間に余裕があるときには、おすすめですよ。・ホットケーキミックスホットケーキミックスもベーキングパウダーの代わりに使うことができます。そもそもホットケーキミックスの材料の一部はベーキングパウダーですからね。ただし、それ以外に薄力粉や砂糖が混ざっており、何を作ったとしてもホットケーキ風の味からは抜け出せないというデメリットがあります。・片栗粉・薄力粉はNGベーキングパウダーに見た目がそっくりな素材として、片栗粉と薄力粉があります。ちなみに、片栗粉は、もとはユリ科のカタクリの根茎が原料でしたが、現在は、じゃがいものデンプンから作られています。それでも、用途はあくまでとろみをつけたり、唐揚げの衣などですし、ベーキングパウダーとは成分がまったく異なります。よってベーキングパウダーの代用には使えません。また、薄力粉もサラサラときめ細やかでベーキングパウダーにそっくりですが、あくまで小麦粉の一種で、膨張剤となまったく異なるため、ベーキングパウダーの代用品にはなりません。■ベーキングパウダーと重曹の違いを知って上手く活用しようベーキングパウダーと重曹について詳しく知って行くと、化学の勉強をしているような気になりませんでしたか?炭酸ガスが発生することで生地が膨らむことがわかりましたし、重曹がアルカリ性のため、酸度の強いレシピに使うと中和されてすっぱさを抑えることも可能です。「料理は化学」と言われる理由が、よくわかりますね。もしベーキングパウダーが手元になくても、アレンジがきく代用品があることもわかりました。お菓子作りは、こうでないといけないというルールはありません。レシピ通りに作ったはずが手順や量を間違ってしまって、かえっておいしくなることもよくある話です。ベーキングパウダーや重曹も使い方次第で今までにない意外なお菓子ができあがるかもしれませんよ。ぜひ想像を膨らませて、自由な発想で、得意レシピを開発してみてはいかがでしょうか?≪参考≫ ・国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「アルミニウムの安全性について (Ver.190711)」
2021年02月25日こんにちは。料理研究家の越野美樹です。カレーのおいしい季節。厳しい残暑でカレーライスが重たい気がする時には、ナンをカレーに合わせてみませんか? 今回は、発酵させなくても思い立ったらすぐ作れる、「お手軽!無発酵のナン」をご紹介します。もっちり、ふっくらとした食感は、子どもに人気のカレーと一緒に食卓に出すと、さらに喜ばれますよ。ナンは、インドなどで食べられているパンの一種。平たい形で、あちこちにポコポコと膨らみのある独特な形状、たいてい三角形の形をしているものが多いです。本場ではタンドール窯の内側に生地を貼り付けて焼きますが、今回は手軽にフライパンで焼く方法をご紹介します。本来のナンは酵母で発酵させて作りますが、今回ご紹介する「お手軽!無発酵のナン」は酵母やイーストなどで発酵させずに、ベーキングパウダーを使って手軽に短時間で膨らませます。ベーキングパウダーを使ったお菓子はこねないのが鉄則ですが、「お手軽!無発酵のナン」はもっちり感を出すために、生地をよく混ぜて作ります。小麦粉のグルテンを最大限に利用するため、全ての材料をスプーンやヘラなどを使って手早くぐるぐる混ぜて、ベーキングパウダーが反応しきらないうちにフライパンで焼きます。少し多めの水分がもっちり感の決め手! 生地の中までしっかり火が通るよう、フタをして焼くのもおいしく作るコツのひとつです。手軽にぷっくりと膨らむナンを作ったら、子どもも大人も大好きなカレーに合わせて召し上がれ!●「お手軽!無発酵のナン 」を美味しく焼くコツ・もっちり感を出すため、スプーンやヘラで生地を手早く良く混ぜる。・少し多めの水分がもっちり感の決め手・しっかり火が通るよう、フタをして焼く ■お手軽!無発酵のナン調理時間 20分レシピ制作:藤野料理教室にじ 越野美樹<材料>2枚分強力粉 200gベーキングパウダー 大さじ1塩 ひとつまみ豆乳 150ccオリーブオイル 大さじ1<作り方>1、ボウルに全ての材料を加え、スプーンなどでよく混ぜる。2、生地を半分に分けて、それぞれ台に出して三角形に成形する。3、フライパンを中弱火に熱してオリーブオイルを加え、キッチンペーパーなどで余分な油をぬぐう。4、2をのせてフタをし、ふっくらしてきたら裏側にして両面を焼く。もっちりとしていて、手でちぎってカレーをつけて食べるとよく合います!ところどころがプツプツと膨らんで、本格的なナンと見た目も変わりません。ぜひお子さんと一緒にナン作りを楽しんでくださいね。■「お手軽!無発酵のナン」のアレンジ例●アレンジ例 デザートナンデザートピザのように、ナンの上にフルーツやジャムなどを盛りつけてみました。今回は爽やかにマーマレードジャムとブルーベリー、カシューナッツ、ミントをトッピング。デザートナンに仕立ててみました。クリームやチーズなど、お好みの素材をのせて楽しんでみてはいかがでしょうか?カレーの後のデザートにもオススメです。カレーと合わせて楽しく食べたい「お手軽!無発酵のナン」。インド料理屋さんにいかなくてもご家庭にある材料で手軽に作れます。ナンをたくさん作って、家族でカレーパーティーを楽しんでみてはいかがでしょうか?
2018年08月22日こんにちは。料理研究家の越野美樹です。朝食やおやつに食べたいパン、簡単に作れるなら手作りしてみたいけど、ちょっと難しそう。そんなふうに思っている方に、今回はお豆腐と小麦粉で手軽に作れる「無発酵の豆腐パン」をご紹介します。パンを作るには、強力粉に酵母やイーストと水分を加えてこねて、発酵させる時間が必要です。この「無発酵の豆腐パン」は、こねたり発酵させたりする時間がいらず、混ぜて焼くだけだから思い立ったらすぐに作れます。豆腐も水切り不要な時短レシピ、ちょっとしたコツをつかめば誰でも失敗なく作れますよ。豆腐をフードプロセッサーにかけるとなめらかに仕上がりますが、フードプロセッサーがない場合は豆腐をざるでこせば同じようにできます。ベーキングパウダーは水分を含むとそこからもう膨んでしまいますので、オーブンの余熱と材料の準備を万端にしてから豆腐などと混ぜてくださいね。絹豆腐ならハイジの白パンのようななめらかなパン、木綿豆腐ならしっかりとかみごたえのあるパンのできあがり!もっちり、ふっくらな食感で食べやすい「無発酵の豆腐パン」。焼きたてのおいしさが味わえるのは、手作りならではです。お子さんと一緒にぜひ作ってみてください。■無発酵の豆腐パン調理時間 20分レシピ制作:藤野料理教室にじ 越野美樹<材料>4コ分豆腐 150gメープルシロップ 大さじ1菜種油 大さじ1塩 ひとつまみ薄力粉 200gベーキングパウダー 小さじ2薄力粉 適量 <作り方>1、ボウルに豆腐、メープルシロップ、菜種油、塩を入れてブレンダーにかける。2、薄力粉、ベーキングパウダーをふるい入れて手でよくまぜ、ひとまとめにする。3、4等分にしてそれぞれを丸くする。4、薄力粉を茶こしに入れて少々ふる。焼いている途中でパンが割れないようにクープ(切り込み)を入れる。5、180℃に熱したオーブンに入れて、10〜15分ほど焼く。外はカリッ、中はふわっふわの食感が楽しめる「無発酵の豆腐パン」。パン作りの経験がない方にも無理なく作れて、豆腐の栄養も手軽にいただける簡単手作りパンです。生地に少し甘みを加えれば、菓子パンや焼き菓子のようになりますよ。■「無発酵の豆腐パン」のアレンジ例「無発酵の豆腐パン」は、そのままいただいてもおいしいですが、ちょっとしたアレンジを加えるとさらに楽しくいただけます。●アレンジ1 「カラフルまるパン」「無発酵の豆腐パン」の生地に色を加えるとカラフルなまるパンのできあがり! 今回は、抹茶、ココア、紫芋パウダーを加えてみました。「無発酵の豆腐パン」1個分につき小さじ1程度で十分に色づきます。●アレンジ2 「フルーツサンド」「無発酵の豆腐パン」に切れ目を入れてクリームやフルーツをはさめば、見た目も豪華なフルーツサンドのできあがり! シュークリームのような食感で、幸せなおやつタイムを過ごせます。「無発酵の豆腐パン」を棒状にすればフランスパン風に、パウンド型に入れてスライスすれば食パン風に、ひも状にして丸くドーナッツ型にすればベーグル風になります。生地にドライフルーツやナッツを入れたり、ツナコーンやトマトソースなどをのせてお総菜パンにしたり、アレンジもいろいろ楽しんでみてくださいね。
2018年02月28日こんにちは。料理研究家の越野美樹です。寒さも本格的になってきて、温かい食事が恋しい季節。おやつもホカホカのものが食べたいですね。今日は、カレーの残りを使って手軽に作れる「簡単カレーまん」をご紹介します。中華まんは冬のおやつの風物詩。中華街に行けば思わず並んで買ってしまったり、コンビニエンスストアでも中華まんは定番の商品ですね。中華まんは、中国で「包子(パオズ)」と言われる蒸した小麦粉の料理を、日本人向けに味つけをあっさりさせたもの。包子は点心の一つで、中に具がないものは「饅頭(マントウ)」と呼ばれています。中華まんは、自宅でも手軽に作れます。今回は、残りのカレーを使ってカレーまんを作ってみました。本格的な中華まんは酵母やイーストを使ってじっくり発酵させますが、今回はベーキングパウダーを使って膨らませます。驚くほど短時間で作れますよ。キッチンにいつもある材料で、思い立ったらすぐ作れる「簡単カレーまん」。さっそく作ってみましょう。■簡単カレーまん調理時間 20分レシピ制作:藤野料理教室にじ 越野美樹<材料>※3個分薄力粉 100g塩 ひとつまみベーキングパウダー 大さじ1/2菜種油 大さじ1/2水 60cc残りのカレー 大さじ4<作り方>1、ボウルに薄力粉、塩、ベーキングパウダーをふるい入れ、菜種油と水を加えて手で軽くこねる。2、3等分にして丸めてから、綿棒で丸くのばす。3、真ん中に残りのカレー入れて包む。クッキングシートの上にのせる。4、蒸気の上がった蒸し器に入れて、15分蒸す。蒸す時間はかかりますが、混ぜてカレーを包むだけでお店の味が作れます。途中で様子を見たくなると思いますが、最初の10分は絶対に開けずに待つのが、ふっくらと仕上げるコツです。できたてのホカホカのおまんじゅうは、アレンジも自在です。■「簡単カレーまん」のアレンジ例「簡単カレーまん」は、具材を変えるとバリエーションが豊かな中華まんがいろいろ楽しめます。●アレンジ例 あんこを使った「簡単あんまん」「簡単カレーまん」の具を、あんこに変えて作ってみました。甘くてホカホカのおやつは、お子さんが笑顔になりますよ。あんこに黒ごまペーストを加えると、中華風のあんこになるので、ぜひお試しくださいね。「簡単カレーまん」の具にチャーシューを使えばチャーシューまん、トマトソースとチーズを入れればピザまんになります。今回は残りのカレーを使いましたが、ドライカレーを使ってもおいしいですよ。また、フライパンで蒸し焼きすれば、おやき風のおやつにアレンジできます。残りのカレーを使って、食べたい時にすぐ作れる、皮まで手作りの「簡単カレーまん」。おうちで作れば添加物なども使わないから、安心して思う存分たっぷり食べられます。寒い日には、ふっくらホカホカの幸せおやつを、ぜひお子さんと一緒に作ってみてくださいね。
2017年12月03日子どもには、バランスの良い食事をさせたい。おやつは、なるべく手作りで安心なものをあげたい。食べムラや偏食があっても栄養はしっかり摂らせたい。毎日のごはんやおやつは、子どもの体にとってできるだけ良いものに…といろいろ考えますよね。私の1歳5ヵ月になる娘は、離乳食もそろそろ完了ですが、肉や魚など苦手なものがアレコレ…。そんな時にいつも作っているのが「パンケーキ」。本当に大好物で、苦手な具材でもパンケーキに加えるとパクパク食べてくれます。砂糖・ベーキングパウダー不使用のふんわりパンケーキのレシピ市販のホットケーキミックスを使って作ってもOKですが、なるべくシンプルな材料のものを与えたい…ということで、砂糖もベーキングパウダーも使わず、でも、ほんのり甘く、ふんわり柔らかに焼き上がる、わが家のパンケーキレシピをご紹介します。秘密は「素材の甘み」と「ふわふわに泡立てたメレンゲ」! 作り方も、とっても簡単です。<材料>※直径6~7cmほどの小さめのパンケーキ=13~15枚分小麦粉 100gカボチャ 100gバナナ 1/2本卵 1個牛乳 100cc<作り方>カボチャを電子レンジでやわらかく蒸してから、ボウルに入れてつぶす(皮付きでOK。皮は細かめにつぶして)。卵の卵黄だけをボウルに入れて、カボチャと混ぜ、さらに小麦粉を入れて全体にざっくり混ぜる。2に牛乳を少しずつ加えて混ぜ、生地のベースを作る。バナナは、縦に4等分したものを薄くスライス(小さないちょう切りに)して、3の生地に加えて混ぜる。2で卵黄と分けておいた卵白を泡立て、メレンゲを作る(泡だて器にふわっと角が立つくらいまでは、混ぜましょう)。生地にメレンゲを加えたら、さっくりと軽く混ぜ合わせる(混ぜすぎないように、メレンゲのふんわり感を残して)。フライパンで焼く(1枚あたりの生地は、大人のカレースプーンですくったくらいの量)。両面ほどよく焼き色がついたら、出来上がり! パンケーキ1枚は、大人の手のひらに乗るくらいの大きさ。約20gです。残ったら冷凍ストックできます。この基本のパンケーキに、鶏ひき肉やひじき加えたり、野菜を入れたり、きな粉を入れて風味を付けたり。あまり摂れていないなと思う食材をあれこれ加えています。また、バナナを入れずに、ツナを加え、さらににんじん、キャベツなどを入れると、お好み焼き風な仕上がりに。ツナの塩味とダシが出て、食事系パンケーキになりますよ。日々の食事を補う、栄養満点のパンケーキ。素材そのものを生かした、安心でやさしい味わいです。子どもと一緒に作れば、さらに、楽しくておいしいおやつの時間になりますね!(あまやゆか)
2015年09月08日