東京・表参道のエスパス ルイ・ヴィトン東京で、フランスのアーティスト、クリスチャン・ボルタンスキー(Christian Boltanski)の作品を紹介する展覧会「CHRISTIAN BOLTANSKI - ANIMITAS II」が、6月13日から11月17日まで開催中。《アニミタス(死せる母たち)》、死海、イスラエル 2017年展示風景、エスパス ルイ・ヴィトン東京、2019年 フルHDビデオ、カラー、音声 10時間33分Courtesy of the Fondation Louis Vuitton Photo credits: Jérémie Souteyrat/Louis Vuitton © Adagp, Paris 2019クリスチャン・ボルタンスキーは現代美術の主要な存在であり、現存するフランスのアーティストの中で最も影響力を持つ人物。1967年以来、著述、フィルム、彫刻、写真など多岐にわたる芸術スタイルを追求してきた。自身の人生、そして無名もしくは身元不明の人々の人生の出来事に題材を求め、自伝的要素や歴史への言及を有した制作に取り組み、真実とフィクションを組み合わせて過去の「再構築」を図っている。会場では、ボルタンスキーの近年における最も野心的なプロジェクトの1つに属す、2つの映像作品《アニミタス(ささやきの森)》と《アニミタス(死せる母たち)》を紹介。それぞれの《アニミタス》のフィルムは、日の出から日没までをワンカットで連続撮影したものであり、草花の絨毯と組み合わされて上映される。草花は時の経過と過ぎ行く来館者の流れと共に自然の摂理にしたがって姿を変えてゆき、ボルタンスキーの言うところの「星々の音楽と漂う魂の声」を連想させる風鈴の音色がやさしく響き渡り続ける。《アニミタス(ささやきの森)》、日本 2016年展示風景、エスパス ルイ・ヴィトン東京、2019年 フルHDビデオ、カラー、音声 12時間52分21秒Courtesy of the Fondation Louis Vuitton Photo credits: Jérémie Souteyrat/Louis Vuitton © Adagp, Paris 2019アニミタスの原点は、死者を祀る路傍の小さな祭壇へのオマージュとして、人里離れた広大な野外に設置されたインスタレーション。ボルタンスキーが生まれた日である、1944年9月6日の夜の星座の配列をなぞるように大地に突き刺された細い棒の1本1本の先で、300個の日本の風鈴が揺れている。このシリーズの第1作目となったインスタレーションは、最も乾燥が厳しい地とされるチリのアタカマ砂漠にて、その後、同じ配置を基本としながら再解釈され、日本の豊島(《ささやきの森》、2016年)、ケベックのオルレアン島(《白》、2017年)、イスラエルの死海のほとり(《死せる母たち》、2017年秋)と3つの別の土地で設置。時間の流れと共に消滅する運命にあるこれらのインスタレーションは、ボルタンスキー個人の歴史を設置する土地そのものの物語、すなわち何千人もの死者の魂の物語と1つにする試みだ。彼の厳格なまでに簡素なインスタレーションはいずれも、誰もが理解できるように練られた普遍的な表現により、人間の存在の心もとなさ、忘却、喪失、記憶の脆さや時の経過について語り掛ける。【展覧会情報】CHRISTIAN BOLTANSKI - ANIMITAS II会期:6月13日〜11月17日会場:エスパス ルイ・ヴィトン東京住所:東京都渋谷区神宮前 5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道ビル7階時間:12:00〜20:00休館日:ルイ・ヴィトン 表参道店に準ずる入場無料
2019年08月14日フランスを代表する現代アーティスト、クリスチャン・ボルタンスキーの50年にわたる創作活動を紹介する国内最大規模の回顧展が始まった。人の痕跡を日用品から。ボルタンスキーの大規模回顧展。ボルタンスキーは日本とも縁が深く、近年では「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」や「瀬戸内国際芸術祭」にも参加。また2008年からベネッセアートサイト直島にて展開されている≪心臓音のアーカイブ≫は、人間が生きた証として人の心臓音を採録するという斬新なプロジェクトだ。他にも、越後妻有の廃校を使ったインスタレーションや、ドキュメント映像など、様々な作品を日本で発表してきた。作品の根底にあるのは、どれも人間の存在を訴える悲痛な叫びだ。原点は彼の生い立ちにある。1944年、ナチスの占領時代が終わった直後のパリで生まれたボルタンスキー。ユダヤ人である彼の父親は、迫害を逃れるため母親と偽装離婚し、家の床下に隠れ住まなければならなかった。終戦後、周囲から聞かされた強制収容所の話など、幼少時の経験が彼の生涯のトラウマとなる。例えば‘87年に発表された≪保存室(プーリム祭)≫。電球と子供たちの白黒写真を祭壇風に設えたこの作品は、使用されたブリキ缶が骨壺を暗示していて、ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)を語る代表作となる。その後、ボルタンスキーはユダヤ人にとどまらず普遍的な死の表現に目を向け、あらゆる立場の人々を想った作品を制作。表現手段も多様化し、古着など様々なメディアを使い、人間の存在と不在を示す作品を追求してゆく。‘90年代中盤からは、劇場や廃病院といった空間でのインスタレーションにも着手。最近では作品に神聖さを志向し、人里離れた砂漠や海岸など、簡単には辿り着けない場所に作品を設置していた。そんなボルタンスキーの作品を、東京で体感できる絶好のチャンスが本展。今回は初期作品から最新作まで約46点(予定)もの作品を紹介する。“空間アーティスト”を自認する彼だけに、展示は会場に合わせて作品を組み合わせ、ひとつの大きなインスタレーションとして構成されている点も見どころ。彼の死生観から生まれる独創的な作品は、きっと私たちの琴線に触れるはずだ。≪保存室(カナダ)≫1988 / 衣類 / 作家蔵© Christian Boltanski / ADAGP, Paris, 2019, © Ydessa Hendeles Art Foundation, Toronto, Photo by Robert Keziereクリスチャン・ボルタンスキー1944年パリ生まれ。‘60年代後半から作品を発表し始め、‘70年代からヴェネチアビエンナーレなどの国際展に招待されるなど国際的なアーティストに。2006年、高松宮殿下記念世界文化賞受賞。クリスチャン・ボルタンスキー © Christian Boltanski / ADAGP, Paris, 2019, Photo by Didier Plowyクリスチャン・ボルタンスキー -Lifetime国立新美術館 企画展示室2E東京都港区六本木7-22-2開催中~9月2日(月)10時~18時(金・土曜に関しては6月は20時まで、7・8月は21時まで。入場は閉館の30分前まで)火曜休館一般1600円ほか。 TEL:03・5777・8600(ハローダイヤル)※『anan』2019年6月26日号より。文・山田貴美子(by anan編集部)
2019年06月24日ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON) 表参道店内のアートスペース「エスパス ルイ・ヴィトン東京」は、クリスチャン・ボルタンスキーの展覧会「CHRISTIAN BOLTANSKI - ANIMITAS II」を、2019年6月13日(木)から11月17日(日)まで開催する。「CHRISTIAN BOLTANSKI - ANIMITAS II」では、フランスのアーティスト、クリスチャン・ボルタンスキーを紹介。記憶、追悼と時間を主なテーマに据え、著述、フィルム、彫刻、写真など多岐にわたる表現形式で創作活動を行ってきたボルタンスキーは、現存するフランスのアーティストの中では最も影響力を持つ人物だ。自身の人生や、不特定多数の人々の人生の出来事・記録などを題材に、写真、新聞、アーカイヴ、洋服を用いた作品を通して過去の「再構築」を図っている。会場では、ボルタンスキーの近年における最も野心的なプロジェクトともいえる、2つの映像作品《アニミタス(ささやきの森)》と《アニミタス(死せる母たち)》を紹介。死者を祀る路傍の小さな祭壇へのオマージュとして、人里離れた広大な野外に設置されたインスタレーションを、日の出から日没までワンカットで撮影した映像だ。《アニミタス》のインスタレーションでは、ボルタンスキーが生まれた日の夜の星座の配列をなぞるようにして、細い棒300本を地面に突き刺し、その1本1本の先端に風鈴が揺れている。第1作目のインスタレーションがチリのアタカマ砂漠で行われた後、日本の豊島、ケベックのオルレアン島、イスラエルの死海のほとりでも同様のインスタレーションを実施。時間の流れと共に消滅する運命にある《アニミタス》のインスタレーションは、ボルタンスキー個人の歴史と、その象徴となるものを設置する土地そのものの物語、すなわちその土地に存在していた何千人もの死者の魂の物語を1つにする試みだ。尚、東京・国立新美術館でも、ボルタンスキーの回顧展が2019年6月12日(水)から2019年9月2日(月)まで開催されている。【詳細】CHRISTIAN BOLTANSKI - ANIMITAS II会期:2019年6月13日(木)~11月17日(日)会場:エスパス ルイ・ヴィトン東京住所:東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道ビル 7階開館時間:12:00~20:00休館日: ルイ・ヴィトン 表参道店に準ずる入場料:無料【問い合わせ先】TEL:0120-00-1854
2019年05月30日現代のフランスを代表する作家、クリスチャン・ボルタンスキー(Christian Boltanski)の活動の全貌を紹介する、日本では過去最大規模の回顧展「クリスチャン・ボルタンスキー ―Lifetime」が、6月12日から9月2日まで東京・国立新美術館にて開催される。《ミステリオス》 2017 / ビデオプロジェクション(HD、約12時間)、3面のスクリーン / 作家蔵© Christian Boltanski / ADAGP, Paris, 2019, Photo © Angelika Markulクリスチャン・ボルタンスキーは、1960年代後半から短編映画を発表、1970年代には写真を積極的に用いて、自己や他者の記憶にまつわる作品を制作し注目された。1980年代に入ると、光を用いたインスタレーションで宗教的なテーマに取り組み、国際的な評価を獲得。その後も歴史や記憶、人間の存在の痕跡といったものをテーマに据え、世界中で作品を発表している。1970年代から国際的な活動を続けてきたボルタンスキーは、日本でもこれまで「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」や「瀬戸内国際芸術祭」に参加し、継続的に作品を発表してきた。今回の展覧会は、50年間の活動をたどる、日本では過去最大規模の回顧展となる。《保存室(カナダ)》 1988 / 衣類 / 作家蔵 © Christian Boltanski / ADAGP, Paris, 2019, © Yedessa Hendeles Art Foundation, Toronto, Photo by Robert Keziere会場では、最新作を含む47点(予定)の出品作によって、ボルタンスキーの多様な作品世界を紹介する。集団や個人の記憶、そして宗教や死を主題として作品を制作してきたボルタンスキー。その表現は多岐にわたり、1960年代後半には映像を使った創作活動を開始、その後写真、書籍、日用品といった多様なメディアを用いた作品を展開。近年では、人々が語り継ぐことをテーマとし、形として残らない作品にも取り組んでいる。《モニュメント》 1986 / 写真、フレーム、ソケット、電球、電気コード / 作家蔵 © Christian Boltanski / ADAGP, Paris, 2019, Photo © The Israel Museum, Jerusalem by Elie Posnerまた今回は、「空間のアーティスト」と自らを呼ぶ作家自身が、展覧会場に合わせたインスタレーションを手掛ける。初期作品から最新作までを時代順に紹介するのではなく、個々の作品を組み合わせ、一つの大きなインスタレーションとして構成される予定。会場では配布するマップを片手に観賞出来る。この他、展覧会初日のボルタンスキー本人による講演会、担当学芸員による解説会も開催予定。最新情報は展覧会公式ホームぺージにて。【展覧会情報】クリスチャン・ボルタンスキー ―Lifetime会期:6月12日~9月2日 会場:国立新美術館 企画展示室2E住所:東京都港区六本木7-22-2時間:10:00~18:00(6月の金・土曜日は20:00まで、7~8月の金・土曜日は21:00まで)※入場は閉館の30分前まで料金:一般1,600円(1,400円)、大学生1,200円(1,000円)、高校生800円(600円)、中学生以下入場無料※( )内は前売り及び20名以上の団体料金、障害者手帳を持参の方(付添いの方1名を含む)は入場無料、高校生無料観覧日については追って発表休館日:火曜日
2019年02月19日展覧会「クリスチャン・ボルタンスキー − Lifetime」が、2019年2月9日(土)から5月6日(月・休)まで、大阪・国立国際美術館 地下3階展示室にて開催される。また、2019年6月12日(水)から2019年9月2日(月)まで東京・国立新美術館に巡回し、2019年10月18日(金)から2020年1月5日(日)まで長崎県美術館にも巡回する。クリスチャン・ボルタンスキー、日本初の大回顧展「クリスチャン・ボルタンスキー − Lifetime」は、現代のフランスを代表するアーティストの1人であるクリスチャン・ボルタンスキーに焦点を当てた、日本初の大規模な回顧展。ボルタンスキー自身が展覧会の企画段階から携わり、展覧会そのものを1つの作品として見せるような会場構成で作品展示を行う。初期の作品から最新作まで、半世紀にわたる創作活動の軌跡を紹介する。写真・衣服などを使った“記憶”にまつわる作品ボルタンスキーの創作活動は、短編フィルムの制作に始まる。後に人が歩んできた歴史や文化人類学への関心を土台とし、写真やドキュメント、ビスケット缶などの日用品を組み合わせることで、自己あるいは他者の記憶に関連する作品を多数制作するようになる。子どもの肖像写真と電球を祭壇のように組み合わせて展示した「モニュメント」シリーズでは、宗教的なテーマに取り組んだ。それを発展させた《シャス高校の祭壇》(1987年)は、1931年にウィーンの高校に在籍したユダヤ人の学生たちの顔写真を祭壇状に並べ、その写真を電球で照らすインスタレーション。肖像写真を集めて展示する手法は、見る者に大量の死者の存在を連想させる。実際に、作品がナチス・ドイツによるユダヤ人の大虐殺とその犠牲者のイメージを想起させるものとして解釈され、大きな議論を呼んだ。さらに、パリのグラン・パレの広大なスペースに膨大な量の衣服を集めて展示した《ペルソンヌ》など、様々な手法によって、歴史や記憶、死、不在をテーマとした作品を発表している。国際的な芸術祭に出展ボルタンスキーは、1970年代からドイツ・カッセルのドクメンタやヴェネチア・ビエンナーレなどの現代美術国際展に招待されるなど、世界的に活躍。日本でも、1990~91年にICA 名古屋と水戸芸術館で初個展を開催した後、越後妻有アートトリエンナーレや瀬戸内国際芸術祭などで展覧会を開催。2016年にも、東京都庭園美術館で個展が開催されている。詳細クリスチャン・ボルタンスキー − Lifetime開催期間:2019年2月9日(土)~5月6日(月・休)場所:国立国際美術館 地下3階展示室住所:大阪府大阪市北区中之島4-2-55開館時間:10:00~17:00 ※金曜・土曜は20:00まで(入場は閉館の30分前まで)休館日:月曜日(ただし、2月11日(月・祝)、4月29日(月・祝)、5月6日(月・休)は開館)、2月12日(火)観覧料:一般 900円(600円)、大学生 500円(250円)※( )内は20名以上の団体料金※高校生以下・18歳未満無料(要証明)・心身障がい者とその付添者1名無料(要証明)※本料金で、同時開催の「コレクション 3」も観覧可能。■夜間割引料金(対象時間:金曜・土曜 17:00~20:00)一般 700円、大学生 400円問い合わせ先TEL:06-6447-4680(代表)■巡回〈東京展〉会期:2019年6月12日(水)~2019年9月2日(月)会場:国立新美術館 企画展示室2E住所:東京都港区六本木7-22-2〈長崎展〉会期:2019年10月18日(金)~2020年1月5日(日)会場:長崎県美術館住所:長崎県長崎市出島町2-1
2018年12月28日