アイドルグループ・V6の三宅健が、舞台『陰陽師』に主演することが15日、明らかになった。同作は、映画、舞台、そして歌舞伎など様々なジャンルで取り 上げられてきた夢枕獏原作による『陰陽師』(「生成り姫」)の舞台化作。平安時代を舞台に、繊細で聡明な陰陽師・安倍晴明と友であり大切な パートナーである源博雅の活躍を描く。三宅は新橋演舞場・ 南座で初主演。清明は博雅との固い絆や、互いを想う心など、人間味のある姿も魅力であり、ダンスや殺陣などを取り入れ、大劇場ならではの劇場空間を存分 に活かし創造される、これまでにない新しい『陰陽師』となる。演出はストレートプレイ、ミュージカルなど多様なジャンルの作品を手掛 ける鈴木裕美が手がける。三宅と鈴木は2018年に上演された『二十日鼠と人間』でもタッグを組み、繊細な人間描写で高い評価を得た。上演台本は、数々の作品を手掛けるマキノノゾミ。人間ドラマを得意とする鈴木とマキノの手によって、新たな物語が生まれる。東京公演は新橋演舞場にて2022年2・3月、京都公演は南座にて2022年3月。○三宅健コメントこれまで『陰陽師』は映画、ドラマ、アニメにもなり、海外でも人気のある作品です。 そんな有名な作品に出演させていただけることを嬉しく思います。 そして、演出家の鈴木裕美さんとまたご一緒させていただけることをとても楽しみにしています。 僕が演じる「安倍晴明」は、頭脳明晰、冷静沈着で何事にも動じない人物というイメージが強いです。今回の舞台では、無二の親友である博雅との関わりの中で、これまで数々の作品では描かれてこなかっ た安倍晴明の感情の発露や、人間らしい部分が脚本のマキノノゾミさんによって書き上げられます。今までにない陰陽師になることを期待に胸を膨らませて楽しみにしています。
2021年06月15日ジャニーズWESTの桐山照史が、舞台『赤シャツ』の主演を務めることが30日、明らかになった。同作は劇作家・マキノノゾミが書き下ろし、マキノといくつもの作品でタッグを組んできた宮田慶子の演出により、2001年の初演以降幾度も上演されてきた傑作喜劇。夏目漱石の名作『坊ちゃん』の登場人物であり、主人公・坊ちゃんの敵役である厭味なインテリ教頭“赤シャツ”を主人公に据え、『坊ちゃん』の物語を赤シャツの視点から描く。無鉄砲で血気盛んな坊ちゃんによる語りから見えていた世界と同じ筋書きを辿っているはずなのに、赤シャツの視点を通して見れば、まったく異なった世界が広がる。同じ出来事を見ていても人によって見えるものと見えないものとがあり、考え方も人それぞれ異なり、時には誤解や思い込みといった偏りも生じる。人と人とが触れ合い、関わり合うことから生まれる可笑しみやままならなさ、温かさが、血の通った役者が生で演じるからこそ真に迫って描き出される作品となる。本作のタイトルロールである“赤シャツ”を、実直で温かみのあるキャラクターで親しまれ、硬軟自在に演じ分ける誠実な演技も高く評価される桐山が演じる。初演の劇団青年座での上演から演出を手がける宮田慶子は、桐山とは初のタッグに。東京公演は東京建物 Brillia HALLにて9月上旬〜中旬、大阪公演は森ノ宮ピロティホールにて2021年9月下旬。○桐山照史 コメント舞台がとても好きなので、生でお芝居ができるチャンスをいただけてとても嬉しいです。今回改めて、小説『坊ちゃん』をまず読んで、戯曲を読みました。赤シャツにはこういった面もあったのかなぁと感じられました。『坊ちゃん』を読むと、面白さの倍増する作品だと思います。演出の宮田さんとは、今回初めてですが、すでにご一緒している横山(裕)君から、「一から丁寧に教えてくださった」、また高木(雄也)君からは「厳しいけれど愛のある方」と聞いて、少しホッとしています。厳しい、というところはちょっとドキッとしますが(笑)、これまで上演されてきた名作、僕なりの引き出しをプラスしてヒール役を思いっきり楽しめたらと思います。○演出・宮田慶子 コメント“赤シャツ”は、ご存じの通り、近代日本文学を代表する夏目漱石の名作『坊ちゃん』に登場する人物です。この舞台でも、あの痛快冒険活劇が展開します。ただし視点を変えて“坊ちゃん”の敵役である“教頭の赤シャツ”の立場からえがいており、誰もが知る物語のかくされた真相がつぎつぎと明らかになるスリリングな舞台です。初演時から私が愛してやまないこの作品を、桐山照史さんが演じてくださることになり、今からワクワクしています。誤解や行き違いに翻弄される「人間・赤シャツ」を生み出してくださることを楽しみにしています。窮屈な日常に疲れているすべての方にお届けする、笑いながら心に染み入る舞台を作りたいと思います。
2021年05月30日4月7日から公演される舞台『魔界転生』の制作発表会見が23日、東京・浜町の明治座で行われ、上川隆也、小池徹平、藤原紀香、村井良大、木村達成、山口馬木也、渡辺大、浅野ゆう子、松平健、演出の堤幸彦が出席した。1967年に単行本化され、壮大なスケールと雄大な歴史ロマン、奇抜かつ摩訶不思議な展開で人気を集め、これまで何度も映像化されてきた山田風太郎の伝奇小説『おぼろ忍法帖』。2018年10月から12月にかけて「日本テレビ開局65年記念舞台」として堤幸彦演出、上川隆也主演で上演され、福岡・東京・大阪で77ステージ、動員10万人を超える大ヒットを記録した。2年4カ月ぶりの上演となる今回も堤幸彦が演出を手掛け、演劇界の重鎮・マキノノゾミが脚本を担当。上川ら前作に続いての出演陣に加え、今回から小池徹平や藤原紀香が新たに加わり、作品をさらに練り上げてブラッシュアップしている。前回に続いて柳生十兵衛を演じる主演の上川は「僕自身は意気込まないで行こうと思っています。意気込むよりは大きく変化した作品になりましたので、また新たな気持ちで柳生十兵衛、そして『魔界転生』という作品に臨んでいきたいと思っています」と決意を新たに。上川が演じる柳生十兵衛の最大の敵・天草四郎役の小池徹平は今回からの登場で、「初参加組はプレ稽古から参加して、急いで台本を覚えて。本当に必死で食いついていくという感じで3日ぐらいで一通り演じました。そのスピードに驚きましたが、お陰で自信がつきました」と手ごたえがあるようで、小池と同じく今回からの参加となった藤原紀香も「再演組の皆さんが完璧なんだろうなと思っていましたが、プレ稽古をしたお陰で『魔界転生』の流れを掴めました」と自信を見せた。小池や藤原ら初参加組について上川は「前のめりな姿勢というか、この作品にどういう形で臨んでいこうというエネルギーやベクトルを感じられます。1回初演をやったからと言ってあぐらをかいていられないなという思いに駆られます」と刺激を受けている様子だった。緊急事態宣言が解除されたが、いまだ感染が止まらない新型コロナウイルス。稽古も感染拡大防止の観点から最大限の注意を払っているそうで、上川は「マスクを常につけ、しかもそれを二重マスクでみんな臨んでいます。自分の声がどれだけ届いているのか測りづらいところはありますね」と苦労を語りつつ、「接触を避けながらお芝居するのは全くもってございません」と演じる時は従来通りだという。また、演出を手掛ける堤は「やはりこの時代、人と人の距離や接触を減らす、面積単位の人数の問題すら語られる時代になってしまいました。人海戦術そのものが厳しくなっています。相互守る術をルールとして作りながら、今回はできるだけ簡略化や省力化、でも最大の効果を狙う装置転換を考えています」とし、「一番重要な演出ポイントは人間の芝居やアクション、感情表現。芝居の深さやスピード感はいけるんじゃないかと実感しています」と前作以上の出来に自信を見せていた。舞台『魔界転生』は、4月7日~11日に愛知・刈谷市総合文化センター、4月16日~28日(4月21日は休演)に福岡・博多座、5月4日~28日(5月10日・17日・25日は休演)に東京・明治座、6月2日~10日(6月7日は休演)に大阪・新歌舞伎座でそれぞれ上演する。
2021年03月23日山田風太郎による伝奇小説を原作に、2年4カ月ぶりの再演となるスペクタル時代劇『魔界転生』の製作発表会見が3月23日、東京・明治座で行われ、初演に引き続き、主人公・柳生十兵衛を演じる上川隆也、最大の強敵・天草四郎役で初参加する小池徹平が顔をそろえた。初演は2018年10月〜12月に「日本テレビ開局65年記念舞台」として上演され、福岡・東京・大阪の全77ステージで、動員10万人を超える大ヒットを記録した。脚本は演劇界の重鎮・マキノノゾミが担当。堤幸彦が再び演出を手がけ、ド派手なアクションやフライング、LEDによる映像効果を駆使し、演劇と映像が融合した令和版の『魔界転生』を生み出す。魔界から蘇った剣豪に立ち向かう柳生十兵衛を続投する上川は「(初演と比較し)大きく変化した作品になったので、あえて意気込むのではなく、新鮮な気持ちで臨んでいければ」と抱負をコメント。稽古場の雰囲気は「前向きと言うよりも、前のめりな姿勢」だといい、「皆さんがどういう形で臨んでいこうかと一致団結、試行錯誤するエネルギーをひしひし感じる。再演だからと、あぐらはかいていられないなと。そんな貪欲さに近いものを感じる座組に仕上がっていて、日々刺激を受けている」と充実ぶりを明かした。稽古中の印象的なエピソードを問われると「思いつかないですね。それが苦労していない証なのかな」。それでも、コロナ禍での稽古はマスク常用だといい「二重マスクですから、声の通りがよくわからないですね。どこまで届いているのか、図りづらい部分もありますが、それは舞台に立ってから」と前向きな姿勢を示した。一方、上川と初共演を果たす小池は「初めての明治座さんということもあり、気持ちが高ぶっております」と武者震い。上川同様「パワーがすごい」と現場に圧倒された様子で、「すてきな作品に仕上がっている」と手応え十分だった。演出の堤は「コロナの時代、いかに状況に合わせて、お客様に安全に楽しんでもらえる舞台を作れるか追及しております」と挨拶し、舞台上でのフィジカルディスタンスを保つため「人海戦術が厳しい分、大幅に舞台装置を変えている。新作のつもりで、新しい地平を作り出したい」と意気込んだ。会見には共演する藤原紀香(天草四郎の姉・お品役)、村井良大(真田十勇士の生き残り・根津甚八役)、木村達成(十兵衛の弟・柳生又十郎役)、山口馬木也(軍学者・由比正雪役と刀鍛冶・叢雲常陸役)、渡辺大(二刀流の剣豪・宮本武蔵役)、浅野ゆう子(黄泉の世界から蘇った淀殿役)、松平健(十兵衛の父・柳生宗矩役)が駆けつけた。取材・文・写真=内田涼『魔界転生』原作:山田風太郎(角川文庫刊)演出:堤幸彦脚本:マキノノゾミ出演:上川隆也、小池徹平、藤原紀香、村井良大、木村達成、田村心、岐洲匠、宇野結也、財木琢磨、山口馬木也、渡辺大、浅野ゆう子、松平健ほか愛知公演:4月7日(水)~11日(日)刈谷市総合文化センター福岡公演:4月16日(金)~28日(水)博多座東京公演:5月4日(火)~28日(金)明治座大阪公演:6月2日(水)~10日(木)新歌舞伎座愛知公演:チケット発売中福岡公演:チケット発売中東京公演:チケット発売中大阪公演:チケット一般発売4月3日(土)~企画・製作:日本テレビ
2021年03月23日文学座公演『昭和虞美人草』が3月9日(火)より信濃町文学座アトリエにて開幕する。脚本をマキノノゾミが書き下ろし、西川信廣が演出を手掛けるシリーズ。ミュージカル『王様と私』を下敷きに明治時代の子爵とアメリカ人女性との交流をコメディタッチで描いた『殿様と私』、野口英世の浪費家の一面を描いた『再びこの地を踏まずー異説・野口英世物語―』に次ぐ3作目となる。今回マキノが目をつけたのは、夏目漱石の『虞美人草』。大学時代に読んだままになっていたこの小説を数年前に改めて読み直してみたところ、「ロックな話だ」と感じたのだという。そこから、『虞美人草』を翻案した今作が生まれた。『昭和』とひとくちにいってもその期間は長く、また時期によって社会状況は全く異なるが、『昭和虞美人草』で描かれるのは1973年、昭和48年の世界。登場するのは、ビートルズやローリングストーンズなど70年代のロックに陶酔している若者たち。マニアックなロック雑誌の編集に携わる彼らが、高度経済成長を遂げようとする時代の流れの中で、将来について、恋愛について迷い悩む。原作では家督相続を放棄した資産家の息子が、今作ではロック雑誌に夢中になっている代議士の息子、といった形で、一見まったく異なる世界に移し替えられたように見える。しかし明治維新による断絶を知らない世代が描かれた『虞美人草』に、次第に戦争による断絶を知らない世代の物語が重なっていく──。出演は早坂直家、植田真介、斉藤祐一、細貝光司、上川路啓志、富沢亜古、伊藤安那、鹿野真央、高柳絢子、平体まひろ。本作は昨年3月、紀伊國屋サザンシアターにて上演予定だったもの。1年を経て、改めて文学座アトリエでの公演となった。広い舞台で行われるはずだった本公演の熱をアトリエサイズで感じることができるのは、舞台の休止や延期が相次ぐイレギュラーな状況だからこその思いがけない産物だ。文:釣木文恵公演情報文学座『昭和虞美人草』作:マキノノゾミ演出:西川信廣出演:早坂直家 / 植田真介 / 斉藤祐一 / 細貝光司 / 上川路啓志 / 富沢亜古 / 伊藤安那 / 鹿野真央 / 高柳絢子 / 平体まひろ2021年3月9日(火)~3月23日(火)会場:東京・文学座アトリエ3月13日(土)17:00公演はライブ配信+アーカイブ配信あり。詳細は下記劇団公式サイトにてご確認ください。
2021年03月09日マキノノゾミ作・演出の『東京原子核クラブ』が1月10日(日)に開幕、17日(日)まで東京・本多劇場にて上演中。その初日レポートをお届けする。’97年に初演され、今回は22年ぶりのマキノ自身による演出となる本作。物理学者・朝永振一郎博士ら実在の人物もモデルにしながら、昭和の戦前~戦後を生きる若者たちを描いた群像劇で、読売文学賞戯曲・シナリオ賞も受賞した。出演者は、主演の水田航生、大村わたる、加藤虎ノ介、平体まひろ、霧矢大夢、上川路啓志、小須田康人、石田佳央、荻野祐輔、久保田秀敏、浅野雅博、石川湖太朗 (登場順)。事前取材でもマキノが「こだわった」と明かしていたが、それぞれがハマり役だと感じる好演をみせた。舞台となるのは昭和7~21年、東京・本郷の下宿屋「平和館」。理化学研究所に勤務する物理学者・友田晋一郎が暮らすその下宿屋は、野球好きの彦次郎(小須田)と娘の桐子(平体)が切り盛りし、謎の女性・富佐子(霧矢)や新劇青年の谷川(石田)、ダンスホールのピアノ弾き・早坂(加藤)ら、どこか風変わりな住人が集っている。一幕では、彼らの暮らしが数多く描かれ、それは、友田とその同僚の武山(上川)や小森(荻野)が上司に振り回されながらも研究に打ち込む様や、富佐子の神出鬼没ぶり、桐子の独特な献立に一喜一憂する住人たちの姿、東大野球部員の橋場(大村)が住人をキャッチボールに誘う様子など、どれもささやかで、すっと流れていってしまいそうな日常だ。けれどそのどの場面でも彼らがいきいきと生きているため、鮮やかに胸に飛び込んでくる。しかし友田のモデルは物理学者・朝永振一郎博士で、昭和20年に日本に投下された原子爆弾は物理学によって生み出されたものである。そんな事実も少しずつ顔を見せながら物語は二幕へと進み、紛れ込む戦争の音が少しずつ増えていき、気付けば激動の時代に突入する。友田は原子爆弾の開発に携わり、早坂の職場であるダンスホールは国によって閉じられ、橋場には召集令状が届く。もはや市井の人々には動かせない大きな波が彼らを巻き込む。しかし、この作品で描かれるのはやはり彼らの日常で、そこではやはり、一人ひとりがいきいきと生きていた。その姿は、さまざまなどうにもならないことにまみれながら“生きる”ということに力を注がなければいけない今こそ、観てもらいたいものだと感じた。『東京原子核クラブ』は1月17日(日)まで東京・本多劇場にて上演中。ライブ配信は1月17日(日)13:00開演(アーカイブ配信は1月23日23:59まで)各チケットは発売中。文:中川實穂
2021年01月12日2021年4月から2年4カ月ぶりの再演が決定している舞台『魔界転生』。この度、第2弾となるキャスト7名が発表された。10万人の動員を記録し、大ヒットとなった初演から2年4カ月、演出を再び堤幸彦が手掛け、脚本はマキノノゾミが担当。ド派手なアクション、変幻自在なフライング、LEDによる映像効果を駆使し、演劇と映像の融合による画期的な演出により、感動の人間ドラマ、魅惑のエンタテインメント時代劇が繰り広げられる。主役の柳生十兵衛を演じる上川隆也、最大の敵・天草四郎役を演じる小池徹平に続き、新たに、天草四郎の姉・お品役に藤原紀香、『真田十勇士』の生き残り・根津甚八役に村井良大、十兵衛の弟・柳生又十郎役に木村達成、軍学者・由比正雪役と刀鍛冶・叢雲常陸役に山口馬木也、二刀流の剣豪・宮本武蔵役に渡辺大、黄泉の世界から蘇った淀殿役に浅野ゆう子、十兵衛の父・柳生宗矩役を松平健がそれぞれ演じる。このうち、藤原と渡辺は『魔界転生』には初めての出演となり、村井、木村、山口、浅野、松平は、初演に引き続き、同じ役を演じる。藤原演じるお品は物語のカギを握る存在、渡辺演じる武蔵は執念深く十兵衛を狙う猛者、初参加の2人が摩訶不思議な作品世界にいかに挑むのか、期待と注目が集まる。なお、渡辺はこの『魔界転生』が初舞台となる。また、愛知公演、福岡公演、東京公演、大阪公演の日程も決定。情報発表にあわせて7名のキャストより下記のコメントが寄せられた。藤原紀香「魔界転生」という心を揺さぶられるエキサイティングな時代劇作品で、上川さんをはじめ素敵なキャストの方々、堤幸彦監督、そして脚本家のマキノノゾミさんとご一緒させていただきます事とても楽しみです。前回よりさらに進化した舞台になるとのこと、そして新しい〝お品〟を描いてくださると聞き どんな演出になるのか心待ちにしています。こんな時代だからこそ、雄大なロマンが溢れ 魂を奪われるような世界観の娯楽が必要だと思います。この歴史絵巻のような素晴らしい作品に参加出来ますこと心より感謝申し上げます。村井良大「魔界転生」で再度、根津甚八を演じる事ができて、とても幸せです!この役、大好きなんです。原作では根津甚八は登場しませんが、真田十勇士の生き残りがもしも天草四郎の時代に生き残っていたら?という設定になっており、淀殿との関係にも是非注目して観ていただければと思います。演出・堤幸彦さんによる映像やアクション、笑い、そして涙。壮大なエンターテインメント作品を是非劇場でお楽しみください!木村達成柳生又十郎を演じさせていただきます木村達成です。またこの役を演じることができてとても嬉しく思います。時に真面目で時におっちょこちょいな又十郎が今回の再演でどう変わるのか、堤さんの演出や、共演者の皆さまと絡め合いながらまた又十郎を作れるなんて、楽しみで仕方ありません!!山口馬木也初演では、由比正雪と叢雲常陸、私が2つの役を演じていると思っていただけなかったことが、少し残念だったり(笑)、役者冥利に尽きましたが、再演では、常陸という100歳近いお爺さんをもっと極めて、ラストシーンの感動に繋がるよう、心して刀を打ちたいと思います。正雪は軍学者としての誇りも持っていますし、愛嬌のある悪党として印象に残るよう演じたいです。渡辺大人生初めての舞台で宮本武蔵という大役をいただき、とても緊張しつつワクワクしています。初めての二刀流、そして上川隆也さんや松平健さんとの立ち回りもあるので、負けないように頑張りたいと思います。演出家の堤さんは僕がまだ中学生で仕事をする前、映画の現場を見学した時にお会いして以来です。ご一緒に仕事をさせていただくのは初めてなので、沢山しごいてもらって初日を迎えたいと思います。浅野ゆう子新たな装いでお届けする「魔界転生」この度もお声がけいただきましたことに幸せを感じております。パワフルで華麗な上川さんと松平さんの殺陣をまた観られることもとても楽しみです。そして私がいただきました淀殿も、更にパワーアップしてお届け出来ますよう努めさせて頂きたいと思います。松平健前回大変ご好評を頂きました「魔界転生」の舞台が再演の運びとなり、また出演できますことを嬉しく思います。手の込んだ演出、豪華な出演陣とともに、今回はさらにパワーアップしたステージをお届けしますので、ぜひ劇場にお運びください。『魔界転生』原作:山田風太郎(角川文庫刊)脚本:マキノノゾミ演出:堤 幸彦出演:上川隆也、小池徹平、藤原紀香、村井良大、木村達成、山口馬木也、渡辺大、浅野ゆう子、松平健ほか愛知公演:2021年4月7日(水)~11日(日) 刈谷市総合文化センター福岡公演:2021年4月16日(金)~28日(水) 博多座東京公演:2021年5月4日(火・祝)~28日(金) 明治座大阪公演:2021年6月2日(水)~10日(木) 新歌舞伎座
2020年12月11日マキノノゾミの作・演出で’97年に初演された『東京原子核クラブ』が2021年1月に上演される。本作の演出は22年ぶりとなるマキノ、主演の水田航生、霧矢大夢に話を聞いた。本作は、実在の人物もモデルにしながら、昭和初期という時代の中で闊達に生きる若者たちを描いた群像劇。初演時には読売文学賞戯曲・シナリオ賞を受賞した作品でもあるがマキノは「初演の時は昔の話を書いたつもりだったのに、今読むとなんとなく近未来な感じがします。もしかしたら今はもう戦後ではなく戦前なのではないかとか、似たようなことが起こりつつあるなとか感じて。だからこの戯曲はむしろ今のほうが合っている。それはいいことか悪いことかで言えば、悪いことですけどね」と語る。描かれるのは、若き原子物理学者・友田晋一郎をはじめとする風変りな住人が集う下宿屋「平和館」での、昭和7~21年の出来事。水田が「昭和のお話ではありますが、誰もが、日常の何もない“あの時”“あの瞬間”が実は美しいものだったんだってことを思える作品だと感じました」と語る作品だ。しかし、水田演じる友田のモデルは物理学者・朝永振一郎博士。まさにその時代、昭和20年に日本に投下された原子爆弾は物理学によって生み出されたもの……という現実もしっかりとある。そこについてマキノは「でも、平和館に住んでいたのがたまたまそういう人だっただけで、そのことを描きたいわけじゃないんです。描くのは、ここで生きている人たちの暮らしです。それを奪ったなにか大きなもの、そして止められなかった大きな悲劇はあるけど、この人たちは日常を誠実に生きただけ。そういうものを描きたかった」と語る。一方、霧矢が演じる「平和館」の住人・富佐子は謎に満ちた女性。霧矢は「すごく個性的で独特。初演はキムラ緑子さんが演じられた役と伺い、台本を読みながら、きっと出てくる度に強い存在感を放たれていたんだろうなと想像しました。レビューガールということで、私も歴史あるレヴュー劇団出身ですから、自分の経験を活かせるかなと思いつつ、でももっと胡散臭い雰囲気を出していくような役だと思うので、マキノさんとも相談して富佐子像をつくっていきたいです」と意気込む。マキノは「僕も富佐子は何を考えているかわからない(笑)」と笑いつつ「でもこういう人に救われる。僕用語で言えばこの作品の“エンジェル”なんです」と霧矢に期待を寄せる。水田が「マキノさんの現場はずっとポジティブな気持ちでいられる」と稽古に入るのを楽しみにする本作は、2021年1月10日(日)から17日(日)まで東京・本多劇場にて上演。チケットぴあでは11月29日(日)まで抽選先行受付中。文:中川實穂
2020年11月26日2021年1月10日(日)~1月17日(日)の期間、本多劇場にてマキノノゾミの戯曲『東京原子核クラブ』が上演される。『東京原子核クラブ』は、1997年の初演時にマキノが読売文学賞戯曲・シナリオ賞を受賞した名作戯曲。マキノ本人が22年ぶりに演出を手がけた本公演は、風変りな住人が集う東京本郷の下宿屋「平和館」を舞台に、昭和初期の荒波に揉まれ、懸命に生きる若者たちを描いた群像劇となっている。今回はワークショップオーディションを実施し、多彩なキャストが集結した。主人公で理化学研究所に勤務する若き原子物理学者・友田晋一郎を演じるのは、『ウエスト・サイド・ストーリー』や『怪人と探偵』などのミュージカル作品に出演し、話題を呼んでいる水田航生。さらに、神出鬼没の謎の女性・箕面富佐子を元宝塚歌劇団月組トップスターの霧矢大夢、平和館の大家・大久保を舞台や映画、ドラマと幅広く活躍する小須田康人、友田の師匠である西田教授に文学座所属の実力派・浅野雅博が演じるほか、久保田秀敏、加藤虎ノ介、上川路啓志などが出演する。マキノは本公演のテーマについて、「この作品には、戦時中の日本における原子爆弾製造計画についてふれた箇所があります。今読み返してみると、自然科学の発達が、ときに後戻りできない人類にとっての閾値を易々と超えてしまう恐怖と、状況次第では私たちはいとも容易に被害者から加害者の地位に転落し得る可能性があること、その重要な事実を忘れずにいることを表明しておくことなどが、(当時はさしたる自覚もないままに)執筆時の主題であったように思われます」と説明。また、主演を務める水田は「23年前の初演の時から風化される事なく伝わる主題、今の世の中を暮らす人達に対して問いかけているメッセージや想いが台本を読ませていただいた時に深く感じました」と振り返り、意気込みを「今の令和を生きる自分の体を通した時、何を思ってどう感じるのかということを大切にしつつ、作品の持つメッセージや想いを表現出来るよう、稽古に励んでいきたいとおもいます!」と語っている。「東京原子核クラブ」2021年1月10日(日)~1月17日(日)全11ステージ(予定)会場:本多劇場出演:水田航生、大村わたる、加藤虎ノ介、平体まひろ、霧矢大夢、上川路啓志、小須田康人、石田佳央、荻野祐輔、久保田秀敏、浅野雅博、石川湖太朗(登場順)
2020年10月22日『わたしを離さないで』などで知られ、2017年に満を持してノーベル文学賞を受賞した日系イギリス人作家、カズオ・イシグロ。その出世作で、1989年に英語圏最高の文学賞とされるブッカー賞に輝いた『日の名残り』が朗読劇として立ち上がる。上演台本と演出を手がけるのは、「KPR/開幕ペナントレース」主宰の村井雄。目黒区職員を経て劇団を旗揚げしたという異色の経歴を持ち、海外公演も積極的に行っている気鋭の脚本・演出家だ。舞台はふたつの世界大戦から戦後にかけてのイギリス、主人公は執事のスティーブンス(眞島秀和)。物語は、1956年の“現在”と、1920年代から30年代にかけての回想シーンを往復しながら進んでいく。“現在”のスティーブンスは、敬愛していた前の主人・ダーリントン卿(マキノノゾミ)の死後、その屋敷を買い取った富豪のアメリカ人・ファラディ氏(ラサール石井/桂やまと※ダブルキャスト)に仕えていた。屋敷が抱える人手不足に悩むスティーブンスは、かつて共に働いていたミセス・ベン(大空ゆうひ/小島聖※ダブルキャスト)の復帰を願い、彼女に会いに行く。旅の道すがら、ダーリントン卿がまだ健在で、ミス・ケントン(ミセス・ベンの旧姓)と屋敷を切り盛りしていた時代を思い出すスティーブンス。ダーリントン卿は、ヨーロッパが第一次大戦のような惨禍を再び見ることがないよう奔走するうちに、ナチス・ドイツによる対イギリス工作に巻き込まれていったのだ。品格ある執事の道を追求し続けたスティーブンスが、老境に差し掛かり、人生を振り返った末に至る境地とはーー。見どころはやはり、可愛いもの好きの“イケオジ”に扮したドラマ、『おじさんはカワイイものがお好き。』が大きな話題を呼んだ眞島秀和の“老執事”役。また、劇作・演出家として名高いマキノノゾミが、珍しく役者として舞台に立つことも見逃せない。なお、マキノは「ダーリントン卿ほか」、ラサール石井と桂やまと(ダブルキャスト)は「ファラディほか十数役」を演じるとのこと。注目の朗読劇『日の名残り』は、本日9月30日(水)に東京・あうるすぽっとで開幕後、兵庫、山形、岩手でも上演される。朗読劇『日の名残り』原作:カズオ・イシグロ訳:土屋政雄上演台本・演出:村井 雄10月4日(日)まで あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)10月6日(火)兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール10月9日(金)山形・伝国の杜 置賜文化ホール10月11日(日)岩手・盛岡劇場 メインホール文・町田麻子
2020年09月30日世田谷パブリックシアター芸術監督である狂言師の野村萬斎が企画・監修を務める「現代能楽集」シリーズ第10弾、現代能楽集X『幸福論』〜能「道成寺」「隅田川」よりの公演が11月29日(日)から上演されることが決定した。「現代能楽集」シリーズは芸術監督方針である「地域性、同時代性、普遍性」「伝統演劇と現代演劇の融合」「レパートリーの創造」という三つの柱にも基づき、古典の知恵と洗練を現代に還元し、現在の私たちの舞台創造に活かしていきたいという考えから生まれ、2003年以降、川村毅、鐘下辰男、宮沢章夫、野田秀樹、倉持裕、前川知大、マキノノゾミなど、日本の演劇界を代表する演出家が公演を手掛けきた。記念すべき第10弾となる今回は、演劇賞を立て続けに受賞している気鋭の劇作家/演出家の瀬戸山美咲と、たぐいまれな筆力をもつ劇作家・長田育恵により、今を生きる私たちのための現代演劇を創作。 鷲尾真知子、清水くるみ、相葉裕樹、瀬奈じゅん、明星真由美、高橋和也の出演者6名は「道成寺」「隅田川」でそれぞれ異なる役を演じ、それぞれの幸福論を立ち上げる。「道成寺」では、父・母・息子の幸福な家族がさらなる幸福を激しく求めた結果の悲劇を描き、「隅田川」では、運命的に出会う3世代の女たちが、誰の目も届かない社会の片隅でありえるかもしれない物語が紡がれるとのことだ。公演を通じて、現代に生きる人々の幸福について思いを巡らせてほしい。<長田育恵×瀬戸山美咲対談>――能狂言の謡曲を土台に現代演劇を立ち上げる「現代能楽集」。瀬戸山さんは、山伏への恋慕のあまり大蛇の姿となった娘を描く「道成寺」を、順風満帆な人生を送る青年を軸に、家族の物語として立ち上げるとか。瀬戸山:女の執念や激しい恋といった要素のある謡曲ですが、発端部分で娘に父が「毎年うちに寄宿しているあの山伏は、お前の夫になる男だ」と聞かされていた、という部分に着目しました。親から刷り込まれた幸せのイメージが不幸の始まりとも言えますし、それって現代でも十分あり得る感覚ですから。――確かに“外側の価値観”に自分を合わせてしまった不幸と考えると、近代にもある病にも感じられます。長田さんは「隅田川」を選ばれました。旅路の果てに我が子の死を知る母の悲しさを描いた謡曲ですが、10代の少女、順調にキャリアを積む女性、老女、3世代の物語として紡がれるそうですね。長田:「隅田川」は旅の物語ですよね。旅から戻って日常に帰るけれど、以前とは景色が全く変化してしまう......これって深く理解できる感覚ですし、一つの答えにたどり着いて、再び自分の世界に帰っていく部分に心惹かれました。女が舟の渡し守に「面白く狂わなければ乗せない」と言われる場面も印象的。 やりたくてやるのではなく、試練の中に何かを発見していく姿も、よく考えると普遍的だと思いました。――お二人とも女性が主人公(シテ)の謡曲を選択されましたが、現代的でリアルな葛藤を持つ人間の姿が浮かび上がりそうです。今回、長田さんの戯曲は瀬戸山さんが演出です。長田:これは今、初めて言うんですけど......瀬戸山さんが演出されることを意識し、自分の中で一つ、 大きな挑戦があるんです。一人の女性の、極私的な小宇宙を書きたいと思っていて。これまで私が描いてきた戯曲は、物語や、全体を貫くテーマが先にあり、その中で登場人物たちが役割を果たしていくような構成が多かった。でも今回は、一人の人間を中心に据えて、主人公のバーソナルな関係性を見つめて書いていく作業になりそう。瀬戸山:私の興味の中心は「人間が二人いたらどんな力学が働くか」なので、いつも四畳半で描けちゃう世界(笑)。長田さんは一瞬で違う景色が思い浮かぶような壮大な世界を描く作家ですから、極私的であっても、やっばり「小宇宙」なんだろうな......と期待が高まります。長田:瀬戸山さんは演出家でもあるから、「俳優が二人いれば物語が生まれる」というリアルな手応えがあるんでしょうね。――タイトルには「幸福論」と謳われています。瀬戸山:「論」と言うほど、大きく構えたことを言うつもりはないんですけれど(笑)。長田:打ち合わせで「どの人物も幸福を探しているんだよね」って盛り上がったんですよね(笑)。私たちが悩まされているコロナ禍は、さまざまな分断を生みました。例えば「新しい生活様式」にすぐ対応できる人と、取りこぼされる人たち、つまり変化に対応できない人たちが、ますます声を上げられなくなってしまった。今回私が書く物語は、そんな彼らの「幸福論」になりそうな気がしています。今って、これまで 散々描かれた大きな幸福論が脆くも崩れ去った世界に生きるような感覚。じゃあ自分が心から信じられるものってどれくらい残っているんだろう?と考えると、それはものすごく小さいものかもしれない。 そんな一人ひとりの「小さな幸福論」を見つける旅を描けたらと思っています。瀬戸山:多分、私が書く物語は、物質的には豊かで「ある幸福」は体現しているけれど、「幸福論」をアッブデートできない人たちの話のような気がしています。イメージとしてはシニカルで笑える作品になればいいな、と。その後、お客様には、長田さんの作品で人間の内面にグッと潜ってもらう。演出家としては、 そんなコントラストを生み出せたらと考えています。◆現代能楽集X『幸福論』〜能「道成寺」「隅田川」より日程: 11月29日(日)〜12月20日(日)会場:シアタートラム【料金(全席指定・税込)】一般:7500円高校生以下:3750円U24:3750円ほか各種割引あり一般発売日: 10月25日(日)お問合せ:世田谷パブリックシアターチケットセンター03-5432-1515(10:00〜19:00)※世田谷パブリックシアター/シアタートラムは劇場ガイドラインに基づきに感染拡大予防のために対策を講じています。 皆様に安心してご来場いただけますよう、ご理解・ご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。詳細は世田谷パブリックシアターのHPよりご確認下さい。( )
2020年09月10日俳優の横浜流星が主演を務める舞台『巌流島』が29日、全公演中止を発表した。同作は剣豪・宮本武蔵と佐々木小次郎の「巌流島の戦い」に焦点をあてた物語で、横浜が宮本武蔵を、伊藤健太郎が佐々木小次郎を演じる。脚本はマキノノゾミ、演出は山田和也で、ほか前田公輝、荒井敦史、岐洲匠、押田岳、宇野結也、菅原健、俊藤光利、横山一敏、白羽ゆり、葛山信吾らの出演を予定していた。コロナ影響のスケジュール変更で仙台公演、新潟公演、金沢公演の中止と東京公演の日程変更を行なっていた同作。21日に主演の横浜が新型コロナウイルスに感染し入院していることが所属事務所により明らかになり、同日、東京公演(8月6日〜11日)の中止を発表した。今回さらに、日程変更のなかった名古屋公演(8月21日〜23日)、高松公演(8月26日)、大阪公演(8月28日〜30日)、福岡公演(9月2日〜10日)の中止を発表し、全公演が中止に。企画・製作の日本テレビ、及び主催各社は「今後の各地公演に向けた稽古及び開催準備などが間に合わないため」と理由を説明している。
2020年07月29日俳優の横浜流星が、2020年7月~9月に上演される舞台『巌流島』で主演を務めることが9日、明らかになった。剣豪・宮本武蔵と佐々木小次郎の「巌流島の戦い」に焦点をあてた物語で、横浜が宮本武蔵を、伊藤健太郎が佐々木小次郎を演じる。2人は本作が初共演となる。横浜流星伊藤健太郎圧倒的迫力で魅せる大立ち回り、人間ドラマが織り成す決闘の真実、関門海峡に浮かぶ「巌流島(船島)」で繰り広げられた大勝負、その壮絶な戦いを壮大かつ画期的なアクション時代劇として描き出す同作。今回の舞台化のため、新解釈、新設定をもとに新たに脚本を創り上げ、オリジナル作品として上演する。脚本は時代物の舞台に敏腕を振るう『魔界転生』『真田十勇士』などのマキノノゾミ氏、演出は『ダンス・オブ・ヴァンパイア』『アニー』などの山田和也氏が担当する。マキノ脚本・山田演出の新作での組み合わせは、2004年上演の『浪人街』以来、16 年ぶりとなる。主人公・宮本武蔵を演じる横浜は、2017年以来3年ぶりの舞台出演。佐々木小次郎役の伊藤は1年ぶり、3作目の舞台出演となる。初共演の2人が、令和版の新しい『巌流島』を創造。本格的な殺陣に初めて挑み、2人が闘い、迫真のアクションを披露するのも大きな見せ場となる。横浜は「今回『巌流島』で宮本武蔵役を演じさせていただくことになりました。3年ぶりに舞台に立つことができ、幸せです。とても楽しみで、今からワクワクしています」と喜び、「これまで、たくさんの方々が宮本武蔵を演じていて、プレッシャーを感じていますが、僕にしか演じることの出来ない宮本武蔵を演じます。1人でも多くの方々にこの作品が届くと嬉しいですし、お越し下さる方々の期待を裏切らないよう、キャスト、スタッフ共に力を合わせて、圧巻の『巌流島の戦い』を責任を持ってお届けしますので、ご期待下さい」とメッセージ。伊藤も「この度、『巌流島』で佐々木小次郎を演じることになりました伊藤健太郎です。誰もが知っている武蔵と小次郎の物語を演じる事がとても嬉しいですし、個人的には殺陣を舞台でやるのが初めてで今からワクワクしてます。あと、横浜流星くんとは初めましてなので、見てくれる人の心に響く舞台を一緒につくれたらいいなと思います」と意気込んでいる。舞台『巌流島』は、7月末に東京で開幕し、大阪、名古屋、福岡など全国各地を巡る予定。開催日程、会場名などは後日発表される。
2019年12月09日横浜流星が剣豪・宮本武蔵役で舞台「巌流島」に主演。ライバル・佐々木小次郎を初共演となる伊藤健太郎が演じる。圧倒的な迫力で魅せる大立ち回り、人間ドラマが織り成す決闘の真実、 関門海峡に浮かぶ「巌流島(船島)」で繰り広げられた大勝負、その壮絶な戦いを、壮大かつ画期的なアクション時代劇として描き出す。主演の宮本武蔵には、「日経トレンディ」の今年の顔、「DIMEトレンド大賞」、「GQ MEN OF THE YEAR」、「Yahoo!検索大賞」の大賞と俳優部門賞のW受賞にも選ばれ、2019年最も注目を集めた横浜流星。主演映画3本のほか、ブレイクのきっかけになったTBSドラマ「初めて恋をした日に読む話」や日本テレビ系日曜ドラマ「あなたの番です-反撃編-」、TBSドラマ「4分間のマリーゴールド」への出演、さらに2020年1月期主演ドラマ「シロでもクロでもない世界で 、 パンダは笑う。」や2020年秋公開の映画『きみの瞳(め)が問いかけている』など主演作が続く。クールな凜々しさと透明感のある演技でファンを魅了しており、 舞台への出演は2017年以来3年ぶり。「3年ぶりに舞台に立つことができ、幸せです」と横浜さん。「とても楽しみで、今からワクワクしています。これまで、たくさんの方々が宮本武蔵を演じていて、プレッシャーを感じていますが、僕にしか演じることの出来ない宮本武蔵を演じます」と意気込みたっぷりにコメント。そして佐々木小次郎には、 TVドラマ「今日から俺は!!」で大ブレイクし、朝ドラ「スカーレット」にも出演予定、映画『惡の華』では主演を飾り、ますます活躍の場を拡げ、若手俳優としていま注目度抜群の伊藤健太郎。演技力には定評があり、舞台出演は1年ぶり、3作目となる。「誰もが知っている武蔵と小次郎の物語を演じる事がとても嬉しいですし、個人的には殺陣を舞台でやるのが初めてで今からワクワクしてます」と同様にコメント。「横浜流星くんとは初めましてなので、見てくれる人の心に響く舞台を一緒につくれたらいいな」と期待を込めた。横浜さんと伊藤さんは今回が初共演。本格的な殺陣に初めて挑み、2人が闘い、迫真のアクションを披露する姿は大きな見せ場となるはず。脚本は、「魔界転生」「真田十勇士」など時代物の舞台に腕を振るうマキノノゾミ、演出はスケール感のある大作を次々と世に贈り出す「ダンス・オブ・ ヴァンパイア」「アニー」などの山田和也と、演劇界を支えるベテラン2人が担当。今回の舞台化のため、新解釈、新設定によるオリジナル作品として上演する。舞台「巌流島」は2020年7月~9月、東京・大阪・名古屋・福岡ほかにて上演。(text:cinemacafe.net)
2019年12月09日戦前から戦中、そして戦後と激動の時代を駆け抜けたブギの女王、笠置シヅ子の半生を生演奏の歌と芝居で描いていく『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE ~ハイヒールとつけまつげ~』。「SIZUKO!QUEEN OF BOOGIE ~ハイヒールとつけまつげ~」チケット情報マキノノゾミ脚本、白井晃・豊田めぐみ共同演出で、主演の笠置シヅ子を演じるのは、演歌のみならず、アメリカの『SXSW』や国内のロックフェスにも出演する神野美伽。芝居は山内圭哉や星田英利、福本雄樹、鈴木杏樹と実力派が脇を固め、バンドは小原孝(ピアノ)が音楽監督を担い、ASA-CHANG(ドラム)、Satoshi Gogo(ギター)、MUSIC UNLIMITED ORCHESTRA(ホーンセクション)と、これ以上ない布陣だ。全19曲、全曲服部作品を生演奏、しかもほぼフルコーラスで歌唱。そこに芝居も加わり…と、底知れない厚みと深さが期待される本作。時代を追った笠置の歌からは歌謡曲の変遷も辿れるという一面も併せ持つ。「神野美伽と言えば演歌歌手」という印象も強いと思われるが、ジャズやロックなど、ここ数年、さまざまなジャンルの表現に挑んできた。「このお話をいただいたとき、4、5年でやってきたことがとても役に立ったと思います。“どれが神野さんですか?”と問われたら、“全部自分です”と答えられます。芝居の中で歌うという音楽劇は初めてですが、楽しみです」。コンサートさながらの構成で、14歳から67歳までの笠置シヅ子を変幻自在の声色で演じる。「なかには音源が何ひとつ残されていない楽曲もありました。服部良一先生が笠置さんのために書かれたある意味での反戦歌で、笠置さんが歌っていたらしいと云われていたのですが。それをある日、本公演スタッフが譜面を見つけてきたんです。鉛筆書きで、譜面も茶色くなっていて…。その楽曲も本作の大きな軸になっています」。今、なぜ笠置シヅ子なのか。「笠置シヅ子さんという歌手と、服部良一さんという音楽家を通して今の時代に伝えたいメッセージがたくさんあります。それは、こういう歴史があったんだということ。自分の中から沸いてくるエネルギーをがむしゃらに表現すること。そういうものが今の時代には欠けていると感じて」と神野。だからこそ、「この作品によってエネルギーをチャージして、明日からの活力にしてもらいたい」との思いを込める。サブタイトルの「ハイヒールとつけまつげ」は笠置を象徴するアイテム。昨年末に両足の手術をした神野は、この作品に照準を合わせてリハビリに励み、クラシックバレエも始めた。「真っ直ぐきれいに歩く練習もしていますが、自分の引き出しがひとつ、増えた気がします。きちんとしたことを教わった上でステージを動くことで、今後、自分のコンサートも変わっていくだろうと思います」。『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE ~ハイヒールとつけまつげ~』は11月23日(土・祝)から12月1日(日)まで、COOL JAPAN PARK OSAKATTホールで上演。チケット発売中。取材・文:岩本
2019年11月14日矢代静一や水上勉、そして近年ではマキノノゾミや永井愛らなど、1954年の結成以降、その時代を代表する劇作家たちと共に数々の舞台を創り上げてきた劇団青年座。創立65周年を迎えた今年は、ピュリツァー賞を受賞したリン・ノッテージの戯曲や、サラリーマンの肩書も持つ中村ノブアキの新作などを上演してきたが、10月23日(水)に東京・駅前劇場で幕を開けるのは、青年座では19年ぶりとなる松田正隆の書き下ろし『東京ストーリー』だ。物語に登場するのは、都内のとあるマンションに住む女性3人。大学で哲学を教える杉村佐知子。佐知子の姪で、バイトをしながらコントグループに所属する杉村彩芽。不動産屋に勤め、空き家を案内する梅崎奈々。そんな東京に生きる彼女たちの、どこか不安定で満たされない日常が、空き家を通して少しずつ変化していく様が描かれる。京都から東京に移住して7年という松田は「私の家からは練馬の風景が見えます。ここに住んでいる人たちとその周りの空間についての戯曲を書きたいと思いました。物語の“内容”というよりも、それを語る“場”のほうに興味がある」と明かす。さらに「たくさん人々が集う東京という都市には、無数の“おはなし”も集積している。日々、私たちの生活の中で生まれては消える“おしゃべり”やそれに伴なう“身ぶり”は、果てしのない出来事の構成要素。それらは、始まりがあり終わりがあるような一つの物語として統合されるストーリーではない。上演空間に身をおくようにして感じとることのできる、いくつもの“はなしの場”の感触を経験すること。これからの演劇の可能性はそこ(出来事としての空間)にあると思っています」とも。また今回、演出を担当する青年座の金澤菜乃英は「青年座で久々にお目見えする松田正隆氏の新作は、東京で生活する人々の縮図であり、家庭や職場で営まれる日常の連続です。その人がそこに存在することを考える日々。新しい挑戦に思える一方、芝居をすることの原点に帰る機会をいただけたと感じています」。近年は「マレビトの会」でのプロジェクト『長崎を上演する』『福島を上演する』などで、既成の価値観にとらわれない演劇を追求してきた松田正隆と、青年座最若手で新進気鋭の金澤菜乃英。ふたりがどんな空間を浮かび上がらせるのか、新たな“東京物語”を楽しみにしたい。文:伊藤由紀子
2019年10月22日一度、離婚したらそれっきり。二度と顔も見たくない――。「亭主元気で、留守がいい」なんて言葉が幅を利かせた昭和の時代には、離婚は夫婦にとって「今生の別れ」とも言えるものだった。ところが平成に入ると、離婚件数はうなぎのぼりに増加。離婚はそれまでの「人生の一大事」から「まあ、よくあること」に。そして、それにともない、離婚後の夫婦の距離感も、徐々に近づいてきた感すらある。実際、テレビのバラエティ番組では、フラットな距離感で共演する元夫婦タレントが、違和感なくお茶の間に受け入れられているし、一般人でも、それぞれのSNSで離婚を報告しながら、その後もあっけらかんとツーショットをアップするケースも増えている。「相手のことを嫌いになったり、ほかに好きな人ができたりしたわけではなくとも、お互いの仕事や立場を尊重した結果として離婚を選択するケースは、芸能人夫婦にはよくあります」こう語るのは、みずからも4度の離婚を経験している芸能評論家の城下尊之さんだ。「最近の例で言えば、昨年の11月に離婚を発表した及川光博(49)と檀れい(47)。なんと、離婚届を提出した後に、『打ち上げ』と称して2人だけで食事に行ったそうですが、いまでもいい関係みたいだと聞いています」(城下さん・以下同)端正な顔立ちのカップルで“仮面夫婦”と噂されていたこともある2人なだけに、意外な印象を受けるが……。「周囲のスタッフの結束が固く、デートしていても目撃情報が漏れなかったことと、生活感がなかったことが、『仮面夫婦』だと思われた原因ですね」離婚の原因については、檀の親の介護や、及川がコンサートツアーに出ていることが多いために生じるすれ違いだったと城下さんは解説する。お互いの生活を尊重するための決断だったからこそ、変な後腐れがないというのだ。ちなみに及川さんのファンは、「王子様が私たちのところに帰ってきた!」と大歓迎だとか。一方、足かけ30年近く安定した“離婚関係”を続けているのが明石家さんま(63)と大竹しのぶ(61)の元ビッグカップルだろう。「大竹さんは最初に結婚した男性の才能を吸収して大女優になりました。そして、さんまさんからは話術を伝授され、存在感に磨きをかけた。今後も復縁する可能性はないと思いますが、夫婦という関係を超えて必要な存在となっているのでしょう」数々の女優と浮名を流しながらも、折に触れて大竹への未練を口にするさんまと、それをのらりくらりとかわす大竹。いったい何が本当で何が嘘なのかは、2人にしかわからないところなのだろう。とはいえ、さんま&しのぶに限らず、「復縁」というハードルはそれほど低くはない。「そう考えると5年間の離婚期間を経てわざわざ再入籍したキムラ緑子さん(57)は異色です。地方公演の際に元夫のマキノノゾミさん(59)に預けていた猫が、自分よりも彼になついてしまうのが我慢ならなかったので復縁した、と言っていますが、もちろんそれだけじゃない。『やっぱり、この人』という安心感と価値を相手に見いだしていたことが大きな理由でしょうね」真田広之(58)と手塚理美(58)の場合は、離婚後も“家族”の時間を大切にしてきたことで知られるが、近年では真田のハリウッドでの活躍を見た手塚が、「愛から尊敬に変わった」と復縁オファーともとれるコメントをしている。「残念ながら復縁の可能性は低いですね。ハリウッドでの活躍ぶりを考えれば、周囲の女性が真田さんのことをほっとかないでしょうから……」一般人にとってはなかなか参考にしづらい芸能人の夫婦事情だが、卒婚宣言からほどなく“卒婚を卒業”して再び奥さんとの同居に踏み切った清水アキラ(64)のケースは、意外と学ぶところが大きい。「家事をまるでやってこなかった男性にとって1人暮らしのハードルはとても高いですし、女性の側も想定しなかった寂しさを感じることがあるかもしれません。そう考えると、卒婚をきっかけに互いの関係を見直すというのは一般の人にもありえると思いますよ」そして最後に特筆しておきたいのがマイク真木(75)と前田美波里(70)。「離婚後もずっと友達のような感覚で付き合いのある2人ですが、さらに息子の真木蔵人さんとその元奥さんも交えてホームパーティを開くなど、本当にユニークな関係です」過去の関係にとらわれず、離婚後も互いに1人の「人」としての付き合いを継続していく。そんな新しい家族のカタチも、令和の時代には当たり前になるかもしれない。
2019年06月14日日本テレビ開局65年記念舞台『魔界転生』が東京・明治座にて11月27日(火)まで上演中。その開幕に先がけ、11月1日に囲み取材、2日にゲネプロが行われ、取材には出演者の上川隆也、溝端淳平、高岡早紀、浅野ゆう子、松平健と演出の堤幸彦が出席した。【チケット情報はこちら】本作は、山田風太郎の人気小説を原作に、マキノノゾミが脚本、堤幸彦が演出を手掛けるエンターテインメント時代劇。堤は「斬新な試みも多々入れ込み、役者の皆さんには相当な負担をおかけしたかと思いますが、皆さん軽々と乗り越えまして。非常に楽しい、見応えのある舞台になっております」と話した。約1か月に渡る福岡・博多座での公演を終え、明治座での開幕を目前に控えた主演の上川は「博多座での勢いはそのままに、この物語を育んでいきたい。笑いあり、涙あり、アクションありの舞台を、ぜひ劇場で体感してください」と意気込んだ。「島原の乱」で敗れた16歳の総大将・天草四郎(溝端)が“魔界転生”という死者再生の術によって蘇り、剣豪・柳生十兵衛(上川)らと戦いを繰り広げていく物語。堤ならではのつくり込まれた映像や、豪華な舞台装置、ワイヤーアクションも盛り込まれた殺陣も華やかで、エンターテインメント性の高い作品だが、それと同時に、会見で上川が「私の演じる十兵衛をはじめ、人間らしさに溢れたキャラクターが数多く登場する舞台です。笑いもあれば涙もある、そんな物語に仕上がっています」、溝端も「天草四郎という少年が現世に蘇った最終的な目的は何だったのか、四郎は何を求めていたのかというのは作品のキーだと思います。彼の人となりが出るところは、ぜひ注目していただけたら」と語ったように、人間ドラマもしっかりと見せる作品に仕上がっている。また、浅野が「上川さんと松平さんのクライマックスの殺陣が素晴らしい。1番の見どころだと思います」と絶賛する、ふたりのひと振りひと振りに込められた想いも伝わる美しい殺陣をはじめ、豪華キャスト陣のここでしか見られない競演もぜひ注目したい。さらに、この中では若手となる村井良大や松田凌、玉城裕規、木村達成らもそれぞれが存在感を放ち、テンポのいい掛け合いや、笑いのシーン、アクションシーンなど好演。登場人物ひとりひとりが魅力的に描かれ、物語がより深まっていた。松平が「上川さんを筆頭として一座のチームワークも固まってきたと思います。その成果をこの明治座で観ていただきたい」と語る本作は、11月27日(火)まで東京・明治座にて上演中。取材・文:中川實穗
2018年11月05日死者再生術「魔界転生」により蘇った島原の乱の総大将・天草四郎は、怒りと憎しみに燃え、幕府への復讐を決意する──。1981年の映画化以降、漫画、アニメ、ゲームなど数々のメディアでリメイクされてきた山田風太郎の人気伝奇小説(原題『おぼろ忍法帖』)が今秋、マキノノゾミ脚本、堤幸彦演出の舞台、スペクタクル時代劇『魔界転生』として蘇る。本作で原作にないオリジナルの役、淀殿を演じる浅野ゆう子が取材会で意気込みを語った。「魔界転生」チケット情報「原作にも深作欣二監督の映画版にも出てこない淀殿ですが、2016年に出演させていただいた本作と同じくマキノノゾミ先生の脚本、堤幸彦監督の演出による舞台『真田十勇士』の世界を引き継ぐ役でもあります。同じ役を2年に渡り演じさせていただけるのは、私としては壮大な大河ドラマを演じさせていただくような気持ちで、とても嬉しいですね。前作で残った淀殿の怨念が、今作で蘇る。映画『SPEC』でもそうでしたが、堤監督の作品ではわりと魔物的な役での出演が多いので(笑)、妖術で敵を取り殺したり、今回も面白く演じさせていただける演出になると思います。今回は髪型や衣裳やメイクにかなり趣向を凝らした感じとなっており、淀殿の打ち掛けもロックと魔界が融合したデザインになるようです。まずはお客様にはビジュアルから、分かりやすく魔界衆の世界に入っていただけるよう役作りしていこうかなと思っています」奇々怪々な魔界衆と、勇猛な剣豪・柳生十兵衛ら柳生衆たち。物語は、彼らの熾烈な戦いを軸に、壮大な人間ドラマが描かれる。悪鬼として蘇った父・宗矩(むねのり)に十兵衛は向き合えるのか。天草四郎の本当の狙いとは。果たして、勝利の女神は誰に微笑むのか…。「スペクタクル時代劇の魅力は、映像で活躍する堤幸彦監督ならではのプロジェクションマッピングを駆使した演出に、リアルな殺陣が融合したところでしょうか。前作『真田十勇士』で殺陣のすごさは目の当たりにしましたが、今回はさらにパワーアップしているようです。十兵衛の父・宗矩役でご出演の松平健さんですら『大丈夫かな…』と漏らすほど。松平さんは立ち回りがとても美しく、素敵ですよね。今回はどんな役作りをなさるのか、私も楽しみにしております。映画版にあったセクシーな場面は皆無ですが、高岡早紀さんの存在がそれに代わると思うので大丈夫。舞台版は生きた人間が醸し出すリアルな殺陣の臨場感とそこに映像が加わり、お得感満載と感じていただけるはず。淀殿はいろいろな表情を要求される役で、役者冥利に尽きる気分です」福岡・博多座公演が10月28日(日)まで開催中。その後、11月3日(土・祝)から27日(火)まで東京・明治座、12月9日(日)から14日(金)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。チケットは発売中。取材・文:石橋法子
2018年10月22日この秋大注目の舞台『魔界転生』。山田風太郎の人気伝奇小説を原作に繰り広げられるアクションエンターテインメントがいかに壮大なものになるのか、このたび開かれた製作発表会見でその一端が見えてきた。顔を揃えたのは、脚本のマキノノゾミ、演出の堤幸彦、そして、上川隆也をはじめとする総勢14名のメインキャスト。それぞれの意気込みに、会場もどんどん熱くなっていった。【チケット情報はこちら】島原の乱により無念の死を遂げた天草四郎が、徳川幕府への復讐を誓ってこの世に蘇る。そんな奇想から始まる『魔界転生』は、次々に蘇る剣豪たちと柳生十兵衛との激突が描かれるスペクタクル時代劇だ。それを舞台上で表現するにあたっては、「自分だったらどう演出していいかわからないと思うような、かなり無茶な脚本を書きました」とマキノが言い、「今できる舞台技術能力の最高峰を結集して、誰もやったことのない、誰も見たことのないものに挑戦します」と堤が宣言する。それに応えてキャストも燃える。まず柳生十兵衛を演じる上川隆也。「無茶をしないと『魔界転生』はできないと覚悟してお受けしました。柳生十兵衛もこの作品のなかではどこか超然としていると思います。どこまで無茶なことをするのか楽しみにしています」。十兵衛と敵対する天草四郎には溝端淳平。「天草四郎の跡を辿って原城跡などにも行きましたが、どこまでもミステリアスな人物でした。宙吊りにされようが何をされようが(笑)、マキノさんと堤さんの望む四郎を演じたいと思います」。原作から膨らませたオリジナルの人物になるというお品を演じるのは高岡早紀。「見たことのない作品で見たことのない私を演じさせていただけるのかなと楽しみです」。今回と同じくマキノ&堤コンビで作られた2014年の『真田十勇士』で淀殿を演じた浅野ゆう子は、その縁で再び淀を演じることに。「原作にはまったくいない役です(笑)。が、前作の淀殿の悲劇を引き継ぎつつ、魔界から蘇ったというドロドロとしたものも出していければ」。そして、十兵衛の父・柳生宗矩は松平健だ。「年齢に関係なく大変な立ち回りがあるそうなので(笑)、鍛え直して舞台に立ちたいと思います」ほかに、村井良大、松田凌、玉城裕規、木村達成、猪塚健太、栗山航、丸山敦史、山口馬木也、藤本隆宏と、伸び盛りの若手から実力派まで、個性豊かな面々が暴れまくる。「本格時代劇でありながら突き抜けたケレン味のある超娯楽作品に」と最後にマキノが語ったように、ありとあらゆる満足感をもたらす作品となるに違いない。舞台『魔界転生』は10月6日(土)福岡・博多座より。東京公演は11月3日(土・祝)から27日(火)まで、東京・明治座にて。チケットの一般発売に先駆けて、東京公演は7月4日(水)午後11時59分までファミリーマート先行、大阪公演は7月1日(日)午後11時59分までプリセールを実施中。また、福岡公演は6月29日(金)午前11時よりプレリザーブを実施。取材・文:大内弓子
2018年06月27日10月6日から公演される日本テレビ開局65年記念舞台『魔界転生』の制作発表会見が19日、都内で行われ、上川隆也、溝端淳平、高岡早紀、浅野ゆう子、松平健、脚本家のマキノノゾミ、演出の堤幸彦らが出席した。日本テレビ開局65周年、読売テレビ開局60周年記念として公演される同舞台の原作は、これまで何度か映像化されてきた山田風太郎の伝奇小説『おぼろ忍法帖』。島原の乱で殺された天草四郎(溝端淳平)が死者再生の術によって蘇り、現世での怨念を晴らそうとする歴史上の人物たちと幕府滅亡を図るが、彼らの野望を柳生十兵衛(上川隆也)が立ち向かう、というストーリーとなっている。制作発表が行われたこの日は、主演の上川隆也らキャスト陣と演出を担当する堤幸彦、脚本のマキノノゾミが登壇。上川は「これから本番を迎える夏もそうですが、今年の秋は平成最後の秋です。この物語を見に足を運んでくださった方々が、平成最後の秋として思い返していただける舞台を皆さんと作り上げていきたいと思います」と抱負を。上川が演じる柳生十兵衛と対峙する天草四郎役の溝端は、先日、堤やマキノとともに天草四郎の縁の地でもある長崎を訪ねたそうで「その場所の風や空気を感じながら役作りに臨めるのはありがたいと思っています」と話しつつ、「移動中に二言目には『大変だから。飛ぶよ』と言われ、そういう意味で不安と期待の両方ですが、宙吊りにされようが地べたを這いずり回ろうが、精一杯舞台にできるように精進していきたいと思います」と決意も新たにした。お品役の高岡は「堤監督とは私が10代の時にご一緒させて以来ですので、大人になってご一緒できることを喜んでいます。(同舞台が)むちゃくちゃだと聞いていますので、見たことのない私を演じさせていただけるのかと思うと、とても楽しみが増えました」と今から稽古が待ち遠しい様子だった。会見中には、演出の堤から「俳優の皆さん、大変です。本当に大変です。体調を整えてお越しください」と脅かされたキャスト陣。淀殿役の浅野だけ「私はイチお客さんとしてとても楽しみにしております。みんな、ケガだけはしないように頑張っていただければと思います」と他人事のようだったが、男性陣は松平が「だんだん不安になってきましたが、身体を鍛え直して頑張りたいと思います」と気を引き締め、上川は「むちゃむちゃにしないとこの『魔界転生』はできないと思います。ある種覚悟を持ってお受けしたお仕事でもありますので、むちゃくちゃにしてやろうと思います」と開き直っていた。舞台『魔界転生』は、10月6~28日(11・22日は休演)に福岡・博多座、11月3~27日(7・14・21日は休演)に東京・明治座、12月9~14日に大阪・梅田芸術劇場メインホールでそれぞれ上演される。
2018年06月19日明治座で11月に上演される『魔界転生』は、山田風太郎の傑作伝奇小説を原作とした日本テレビ開局65年記念舞台。本作品で、キリシタンを弾圧した幕府に復讐すべく魔界の力で甦り、妖術で剣豪達を転生させる天草四郎を演じるのは、溝端淳平だ。この4月には、脚本のマキノノゾミ、演出の堤幸彦とともに天草と島原を訪れ、没後380年の命日に天草四郎の墓前で手を合わせたという。さて、その意気込みは?【そのほかの画像はこちら】「日差しと、風と波の音が印象的でした。殺伐とした場所を勝手に想像して、身構えていた部分があったんですが、もしかしたら島原の乱が終結した日も、こういう日差しと風と波だったかもしれない。史実がベースにある作品だけに、そこで亡くなった方々に手を合わせ、それを実感できたのは大きなことでした」島原の原城跡を訪れた感想をそう話す溝端。脚本家と演出家に同行できたことも、非常に贅沢だったという。「マキノさんは、ミステリアスな天草四郎のことを知れば知るほど、実はこうじゃないか、もしかしたらこうかも……と想像したくなると話されていました」また、堤には演出プランを聞いたそうだ。「“飛ぶかも”とか“殺陣も多いよ”とか“特殊な装置を使うから、役者は大変だけど、観ているほうは楽しいから頑張って”とおっしゃっていましたね。堤さんが天草四郎役に求める“色っぽさ”が課題ではあるんですが、今回の舞台に声をかけてくださった堤さんの期待を裏切らないよう、どんなムチャ振りにも精一杯ついていこうと思っています」そんな溝端の天草四郎に立ち向かう幕府の剣豪・柳生十兵衛を演じるのは、上川隆也。その父・柳生宗矩役で、時代劇の重鎮・松平健も出演する。「上川さんは、お芝居にはストイックだけれども、他のことに対しては本当に紳士的で穏やかな方。大先輩にしっかりついていきながら、色々なことを学びたいです。もちろん舞台上では、先輩も後輩も芸歴も関係ないと思うので、思い切りぶつかっていくつもりです。松平さんとは先日初めてご一緒したんですが、和歌山出身の僕は8代将軍・徳川吉宗公が大好きで、『暴れん坊将軍』を見て育ったので、すごく緊張しました(笑)。稽古でご一緒できるのが本当に嬉しいです」そんな最強の布陣で臨む本作品の最大の魅力は、やはり、史実と奇想天外なフィクションが融合したエンターテインメント性の高い作品に、堤が斬新な演出で挑むところではないかと、溝端はいう。「僕自身も、今までにない人間離れした役を演じられるということで、楽しみにしています。ぜひ足を運んで、『魔界転生』の世界を楽しんでいただけたら嬉しいです!」公演は10月6日(土)福岡・博多座より。東京公演は11月3日(土・祝)から27(火)まで、東京・明治座にて。チケットぴあでは、いち早プレリザーブを実施。受付は5月28日(月)午前11時から6月4日(月)午前11時まで。取材・文:岡崎 香
2018年05月21日120年の時代を超えてなお、上演され続けるエドモン・ロスタンの純愛物語『シラノ・ド・ベルジュラック』。舞台は17世紀のフランス。剣の達人で詩人のシラノは誰もが認める男の中の男だが、自分の醜さを恥じて愛する従妹ロクサーヌに本心を伝えられない。詩を愛する美しいロクサーヌは、若くハンサムな軍人クリスチャンと惹かれあう。ふたりから信頼されるシラノは恋の仲裁役となり、愛をうまく言葉で表現できないクリスチャンに力を貸す。彼からロクサーヌへ渡す手紙に自分の真の想いを託して…。「シラノ・ド・ベルジュラック」チケット情報シラノには吉田鋼太郎、ロクサーヌは黒木瞳、そして大野拓朗と白洲迅がWキャストでクリスチャンを演じる。2016年の『花より男子The Musical』に続く鈴木裕美の演出で、2年ぶりの舞台となる白洲が来阪。稽古開始を控え、その思いを語った。「久しぶりの舞台なので、すごく新鮮です。吉田鋼太郎さん、黒木瞳さん、おふたりの強いエネルギーを感じながら舞台に立てることが一番の楽しみでもあり、怖くもあります。でも、すごい経験だと思うので挑戦ですね。やるしかないという気持ちです」と意気込みを語る白洲。演じるクリスチャンについては「とにかく純粋だと思う。とても熱い情熱を抱く一方で、ちょっとオバカなところも(笑)。登場人物の中で一番おもしろいキャラクターだと思うので、おもしろく、可愛く、愛されるおバカなキャラクターをコミカルに演じたい」。会見でスラスラとしゃべっているように思うが、実はそうではなかった。ロクサーヌへの想いを言葉に出来ないクリスチャンに、白洲は「とても共感します」と言う。「僕も本当に口ベタで、そのまんま。基本は人の話を聞いていたいんですよね。自分の話をするのは、恥ずかしくなってしまうので、あまり得意じゃないんです」と、シャイな一面も。今回の上演台本はマキノノゾミと鈴木哲也。演出の鈴木と共に、これまでにない『シラノ』を創り上げるとか。「今ふうの若者言葉とかも入ったりするので、より伝わると思います。古典の戯曲ですが、現代的なシラノになると思うので楽しみにしていただきたいですね」。白洲は舞台が好きだ。「稽古の時間も数多い公演の回数も、それだけチャレンジする場があるということ。これだけ時間をかけてひとつの作品を作っていけるのは、すごく贅沢で幸せな時間。お客様の前に立てることを心から幸せに思い、楽しみに感じています」。公演は、5月15日(火)から30日(水)まで東京・日生劇場、6月8日(金)から10日(日)まで兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて上演。チケットは発売中。取材・文:高橋晴代
2018年04月06日世界中で愛される純愛物語の名作「シラノ・ド・ベルジュラック」が、吉田鋼太郎主演で2018年5月、日生劇場にて上演されることが決定した。エドモン・ロスタン作による「シラノ・ド・ベルジュラック」初演は1897年。上演されるやいなやパリを虜にした舞台で、以後、世界各国で繰り返し上演され、ミュージカルも創られた。そして、1世紀を経たいまもなお、世界的に上演されており最も人気の高いフランスの傑作戯曲だ。本公演では、天才的な詩人であり剣の達人でもあったが、生まれつき醜い大きな“鼻”を持ち、そんな自分の醜さゆえに愛の告白をしないシラノ役を吉田さん。愛の詩に酔いしれ、盲目的な愛に走るロクサーヌ役を黒木瞳。そして、溢れる愛を表現できないクリスチャン役には、大野拓朗と白洲迅がダブルキャストで出演。そのほか、大石継太(ル・ブレ役)、石川禅(ラグノー役)、六角精児(ド・ギッシュ伯爵役)らも参加する。なお本作は、2007年上演のミュージカル「ハレルヤ」(川平慈英、山崎育三郎ほか)以来となる、“上演台本:マキノノゾミ&鈴木哲也×演出:鈴木裕美”の強力タッグで上演される。■ストーリー17世紀のフランス。ガスコン(ガスコーニュ生まれ)青年隊に属するシラノ・ド・ベルジュラックは天才的な詩人であり剣の達人でもあったが、生まれついての醜い大きな鼻を持つ男であった。ゆえに従妹のロクサーヌへの恋心をずっと胸の奥に閉じ込めていた。そのロクサーヌは若々しい美青年・クリスチャンと目と目を合わせた瞬間から、彼と恋に堕ちてしまっていた。ロクサーヌはシラノのことを誰よりも信頼していたので、クリスチャンへの恋心についての相談も持ちかけた。そしてクリスチャンは、姿こそ美しく、軍人としては優秀ではあったが、女性に対して内なる感情を言葉にするのが得意でなく、才女といううわさのロクサーヌに恋心を打ち明ける勇気を持てずにいた。自分ではロクサーヌの心を捕えられないと悩むクリスチャン。そんな彼に対し、シラノは自分の誠の真情を語るのにこんな男が居てくれたならと思い、自分がロクサーヌにあてて書いた恋文を渡し、クリスチャンに力を貸すことになった。シラノは2人の恋の仲裁役であると同時に、自分のロクサーヌへの想いをクリスチャンの手紙に託すのであった。ある夜、ロクサーヌ邸のバルコニーの下で、クリスチャンはロクサーヌに告白をする。しかしいざ自分の言葉で愛について語り出すと、凡庸な言葉しか出てこない。ロクサーヌがうんざりし始めたので、シラノがクリスチャンの代役となり、美しく飾られた愛の言葉を告げる。彼女はその言葉の数々に陶酔し、ついにクリスチャンと結ばれ2人は結婚するが、ロクサーヌを慕っていたド・ギッシュ伯爵の嫉妬と策略により、シラノ、クリスチャンらの属するガスコン青年隊は戦場送りとなってしまう。クリスチャンには知らせないまま、戦場でもシラノはクリスチャンになりかわり、危険を顧みずロクサーヌに恋文を毎日送る。戦場という場所でシラノは高揚し、ロクサーヌへの想いがとめどなく溢れ出す。溢れだす想いをもつのは、クリスチャンも同様だ。シラノの書いた手紙の様々な言葉にいたく感動したロクサーヌは、クリスチャンに会いたい一心に危険をかえりみず戦場へ赴く。クリスチャンはその時になってシラノの情熱的な言葉の数々が、自分を語ったシラノ本人の想いであったことを気づく。ロクサーヌは、受取った恋文に書かれていたその人柄、その心を愛しているとクリスチャンに語り、彼は絶望してしまう。そして「僕は愛されたかったんだ」という言葉をシラノに残して、自ら戦禍に身を投じてしまうのであった。その後、手紙の本当の書き主が誰であるかは明らかにされないまま、月日が流れる。15年の歳月が流れ、夫を失ったロクサーヌは修道院で暮らしており、毎週土曜日に訪ねてくるシラノとの面会や語らいだけを楽しみにしていた。いつものようにロクサーヌのところへシラノが向っていると、彼の敵対者が彼の頭に材木を落とし、シラノは頭部に重傷を負ってしまう。しかし彼はそのまま、待っているロクサーヌのもとへ向う。この日、ロクサーヌはクリスチャンから貰った最後の手紙をシラノに見せ、彼にそれを読んでもらっていた。日がすっかり暮れ、手紙をとても読むことのできないような暗さになっても、シラノがその手紙をすらすらと読んでいることにロクサーヌは気づく。そしてその手紙を読む声は、かつて自分がバルコニーの上から聞いた声であることも思い出す。しかし、瀕死のシラノはロクサーヌに己の秘めた想いを決して告げることなく、その最後をロクサーヌの胸で迎えるのであった。「シラノ・ド・ベルジュラック」は2018年5月、日生劇場にて上演予定。(cinemacafe.net)
2017年10月27日細貝圭、佐藤祐基、加藤虎ノ介による三人芝居『オーファンズ』が10月14日(土)に開幕する。それに先駆け、稽古場にて取材会が行われた。舞台『オーファンズ』チケット情報本作は、ライル・ケスラー作で1983年にロサンゼルスで初演されて以来、日本をはじめ世界各国で上演される人気戯曲。ふたりで生きてきた兄弟とある男が出会い、傷つけあいながらも人生を再生していく“孤児(オーファン)”の姿を描く物語で、今回、マキノノゾミが上演台本と演出を手掛ける。稽古では、冒頭からトリート(細貝)とフィリップ(佐藤)の兄弟がハロルド(加藤)と出会うまでのシーンを披露。舞台となる兄弟の部屋は散らかっているが、そこでのやり取りから、この状態はいつものことで、それは彼らに手本となる大人がいないからだということが理解できる。その暮らしの中で、盗みで暮らしを支える兄・トリートは、弟への愛がときに暴力や束縛になり、閉じこもりっきりの弟・フィリップは外への興味が押さえきれなくなっている。そんなふたりの前に現れるハロルド。彼が酔っぱらって孤児院の思い出を語る姿には、同じ孤児であるふたりとはまた違う空気が漂い、彼がこの兄弟を見過ごさないであろう希望も感じる。彼らの複雑な心理や状況も、繊細に、けれどクリアに演じられているので、観ていて理解しやすい。稽古後の取材会でマキノは本作の魅力について「人間が剥き出しになっている話なので、俳優も剥き出しでぶつかり合わなきゃいけないし、嘘をつけない。男3人のガッツリした芝居が観られると思います」と話す。稽古が進んでの感想を、細貝は「台本が読みやすいのでスッと入っていける印象だったのですが、いざ稽古に入ると本当に繊細なお芝居なんだとわかりました」、加藤は「とにかく没頭しています。身体も疲れているし頭もパツンパツンなんだけど、ちょっとでも隙間があったら台本を読むような…そんな時間がありがたいです」、佐藤は「噛めば噛むほど味が出る作品で、稽古の度に『ここはこういう解釈でもいいのかな』というのが生まれやすい。泥臭く男3人で演じるのが気持ちいいです」。マキノは本作で「3人をできるだけ色っぽく見せたい」と明かし、「人間って引き裂かれている状態のときに魅力的に見えるので。トリートだったらすごく凶暴なところとそれを必死で抑制しようとするところとか、弟への支配と愛情とか…大きく引き裂かれるほどセクシーに見えると僕は思っていて。そういう状態に3人のコンディションを持っていくことを目指してやっています」と話した。公演は、10月14日(土)・15日(日)に兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール、10月18日(水)から22日(日)まで東京・草月ホールにて。取材・文:中川實穗
2017年10月10日マキノノゾミ上演台本・演出、細貝圭、佐藤祐基、加藤虎ノ介出演の三人芝居『オーファンズ』が10月に上演される。舞台『オーファンズ』チケット情報本作は、蝕まれた心が愛によって癒されていく、というテーマで書かれたライル・ケスラーの脚本で、1983年のロサンゼルス初演以降、世界各国で上演されてきた作品。日本でも1986年に劇団四季で初演されて以来、椎名桔平や根津甚八ほか、そうそうたる俳優たちが上演を重ねてきた名作だ。3人の“オーファン(孤児)”の姿を描く本作。ひとりで弟を支えてきた凶暴な性格の兄・トリート役の細貝は「すごく難しい役だなとは思うんですけど、でも多分みんなどこかしらトリートの気持ちは経験したことあると思うんです。すごく愛情を注いでいたフィリップ(弟)の愛情がハロルドにいってしまう切なさ。そういうところを繊細に大事に演じていきたいです」。兄弟の家に迷い込んでくる男・ハロルド役の加藤は約3年ぶりの舞台出演。「やってみたい役だなって感じました。ハロルド役を高橋和也さんが演じられていたことがあるのですが、年齢的にも違うので、僕はどうしようかなって感じで。非常に魅力的な役だと思います」。細貝が「海外戯曲だと構えてしまうお客さんもきっと感情移入できる作品」と評した本作。がしかし、そもそも海外戯曲に構えがある人は多いもの。加藤が「日本人なのに海外の名前とか、そういう部分に照れがある」と明かすと、マキノも「それ、僕もある」。「そこをどう突破して着地できるのかっていうのは、僕にとっても長いことテーマであり続けました。身体の使い方から違うんだと思うんですよ。ト書き読んでても思うもん。『肩を抱いてやる』ってなかなか言わんよねって。だからまず血から入れ替えるような、背負ってる日本的なものをどれだけ切り捨てられるかがスタート地点になる。でもそういう作業って演劇のスリリングで面白いことではありますよね。“こんなに違う人に化ける”ってこと自体。だから海外戯曲をやるのは好きです」と語るマキノの演出で本作がどうなるのか楽しみだ。上演台本もマキノが手掛けるが「英語でやると20分の話が日本語に訳すと30分になったりするんだけど、そうなるともう身体に起こってることが違う。できるだけそこに齟齬がないようにやっていったら何が立ち上がっていくのか、どんな気持ちが起きるのか、そういう部分を楽しみにつくりたい」。「今までの公演を観た人は必見です!見逃してる人ももちろん必見だけど(笑)」(マキノ)という本作は、10月14日(土)・15日(日)に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール、10月18日(水)から22日(日)まで東京・草月ホールにて上演。取材・文:中川實穗
2017年08月23日グレゴリー・ペックが新聞記者のジョーを、そしてオードリー・ヘプバーンがアン王女を演じた名作『ローマの休日』(1953年)。近年では、当時のアメリカで吹き荒れた“赤狩り”でハリウッドを追われた脚本家ダルトン・トランボが、名前を隠して原作を書いたことでも知られている。この舞台版では、脚本・演出担当のマキノノゾミが、ダルトンが抱えていた背景をジョーに投影。映画版の叙情性にひとさじの社会性を加え、2010年の初演時には見事、菊田一夫演劇賞を受賞した。今回は再々演にして、初演でアン王女を演じた朝海ひかるが復活。7月30日、東京・世田谷パブリックシアターで初日の幕が開いた。【チケット情報はこちら】1950年代のイタリア。新聞のローマ支局に勤めるアメリカ人記者ジョー(吉田栄作)は、ある晩、泥酔した様子の若い娘を部屋に泊めることになる。翌朝彼は、その娘が表敬訪問中の某国のアン王女(朝海)であること、さらに今朝の会見が中止になっていることを知る。早速スクープのネタにしようと、カメラマンのアーヴィング(小倉久寛)を呼び出し、アンを“ローマの休日”に連れ出すジョー。そんな中、アンは、ハリウッドのシナリオライターだったジョーが新聞記者をしている理由を聞かされる。一方のジョーも、次第に無邪気でまっすぐなアンに惹かれてゆき……。吉田は安月給の記者に身をやつしながらも、アンとのやりとりの中に本来の誠実さをのぞかせるジョーを好演。しなやかな立ち姿がオードリーのアン王女そっくりの朝海は、コミカルな序盤から終盤の毅然とした振る舞いまで、生き生きと演じて魅力的だ。生硬さが持ち味のふたりに対し、小太りながら伊達男を気取るアーヴィング役、小倉の軽妙さが効いている。ジョーと自分が巻き込まれた“赤狩り”をアンに語る場面では、小倉の静かな語り口に味わいがある。ヘプバーンやイタリア名所を味わう映画版が水彩画とすれば、本作は、ジョーの物語を鉛筆で丁寧に描いたスケッチのおもむきだ。シンプルだが温かみにあふれた舞台は、物語に潜む普遍性をハッキリと浮き彫りにする。ジョーがふと漏らす“人生は、ままならない”という言葉に、アン王女が“私もそうよ”と返すシーンが、新たな感慨をもって胸に迫る。初日の特別カーテンコールでは、吉田が「ひとつの作品に7年ごしに携われる幸せを感じています。こうして今日、舞台で生きていられることに感謝したい」と想いを込めて挨拶。朝海も「この作品に再び戻れることが出来て、本当に幸せです」と感動しきり。小倉が「今回は3回め(の上演)なので、ひと回りもふた回りも(演技を)大きくして……」と言いながら腹を揺らすと、客席からは大きな笑いが。舞台版ならではの温かさを存分に感じた初日となった。公演は8月6日(日)まで。チケット発売中。取材・文佐藤さくら
2017年08月01日オードリー・ヘップバーン主演で知られる同名映画を原作にした舞台『ローマの休日』が、7月26日、大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて開幕した。「ローマの休日」チケット情報マキノノゾミが作・演出を手掛ける本作は、2010年に吉田栄作、朝海ひかる、小倉久寛を迎えて初演され、マキノが第36回菊田一夫演劇賞を受賞。今回が5年ぶり3度目の上演となり、初演キャストが再集結。衣裳もセットもモノトーンで作られた舞台の中、時代を思わせる心地よい音楽が流れ、3人が円熟味を増した演技でそれぞれの人物を色濃く演じている。1950年代のローマを舞台に、新聞記者のジョー・ブラッドレー(吉田)とヨーロッパ各国を表敬訪問中のアン王女(朝海)との出会いと別れを描いた物語。ジョーと親友・アーヴィング(小倉)との友情も絡めながら、3人だけで展開していく。街中のベンチで眠る見知らぬ娘を仕方なく家に連れて帰ったジョーは、翌朝、彼女がアン王女と気付き、カメラマンのアーヴィングと共にスクープを狙おうと企む。しかし一緒の時間を過ごすうち、ふたりの間には予想外の感情が生まれ始めて…。シンプルな空間だからこそ、観客の想像力をかき立て、それぞれの演技も際立つ。ジョーの背景には赤狩りでハリウッドを追われた原作者ダルトン・トランボを重ねて描き、物語に深みを与えている。ジョーを演じる吉田は男らしさを感じさせる包容力と渋さ、そして優しさで魅せ、朝海が演じるアン王女は、気品がありながらも無垢で可愛らしい。ビジュアルからオードリーのイメージそのままで、普段は着ることのないパジャマを着て寝ることに興奮する姿、バッサリと切った髪をジョーに褒められて照れる姿、街中でベスパを乗り回したり、真実の口に恐るおそる手を入れたりと、初めて見るもの、触れるもの、自由を手にした彼女の素直な反応すべてが微笑ましい。それだけに、楽しいひとときの終わりを感じさせる演出には切なさが増し、胸がグッとなる。アーヴィングを演じる小倉も、ジョーの同士として、ふたりを見守る存在として、安心感と温かみのある演技で楽しませてくれる。映画をリスペクトしながら数々の名シーンを再現しつつ、物語としても見せ方としても、舞台ならではの見どころが満載。観劇後にはじんわりと切ない余韻を残すこの舞台版『ローマの休日』。盤石のキャストが織りなす上質な舞台に浸ってほしい。公演は、7月30日(日)から8月6日(日)まで東京・世田谷パブリックシアターにて上演。チケットは発売中。取材・文:黒石悦子
2017年07月27日吉田栄作、朝海ひかる、小倉久寛出演、マキノノゾミ脚本・演出の『ローマの休日』が5年ぶりに3度目の上演。朝海をアン王女役に迎えてのバージョンは初演以来7年ぶり。オードリー・ヘップバーン主演の不朽の名画を、登場する俳優を3人に絞ったストレートプレイに。主役の新聞記者ジョー・ブラッドレーにダルトン・トランボ(映画『ローマの休日』の脚本家。“赤狩り”でハリウッドを追われた)を投影させるなど大胆なアレンジを効かせつつ、映画に負けずとも劣らない切ない余韻を残す“日本産”の名作だ。プログラム用ビジュアル撮影の様子をレポートする。【チケット情報はこちら】見学したのは、ともに映画から抜け出たような絵になるふたつの場面。ジョー(吉田)とアン王女(朝海)の「真実の口」でのカットと、ふたりにジョーの友人でカメラマンのアーヴィング(小倉)が加わったカフェでの3ショットだ。劇中で使用される音楽がBGMとして流れ雰囲気が整ったところで、本物そっくりの「真実の口」のセットの前に立つ吉田と朝海。長身小顔のこのカップルは、うっとりするほど絵になる。ジョーが“口”に手を入れ、それを見たアン王女が慌てて引っ張り出そうとするが、口から抜くとジョーの手首はなく(もちろんジョーの悪戯)、アン王女が手で顔を覆って嘆き悲しむ……という一連の動きを、ふたりがスローモーションで演じる。映画の名場面のひとつで、舞台版にも当然登場するおなじみの動きだけにふたりとも手慣れたもの。撮ったばかりの写真を確認しながら朝海は「私も現地でこうやって口に手を入れて写真を撮ったの」とニッコリ。対して吉田は「たまに朝海さんをオードリーと錯覚するんですよ」。ファッション、髪型、そして雰囲気を含めたこの“再現度”の高さでは無理もない。スタジオ内で場所を移動し、小倉を加えた3人でカフェテーブルを囲む。和気藹々とした雰囲気で、スタンバイ中は“エアコンの快適な温度”をテーマに会話が盛り上がる。この撮影では小倉扮するアーヴィングが持つライターが活躍。『ローマの休日』ファンにはおなじみの小道具だが、本番での働きもお楽しみに。「3回やらせてもらう役というのは僕のキャリアの中でも特別。『カッケーな!』という理想も含めて、自分の中でとてもしっくりきている役です」(吉田)「大好きな作品だったからこそ触(さわ)れないものと思っていたんですが、7年経ったからこそ見えるものがあるのではと。リベンジではないですが、前回やりきれなかったところに挑めるチャンスをいただいたと思っています」(朝海)「マキノさんはロマンチストなんですね。今回はジョーとアーヴィングの男の友情の部分をより深く演出してくれている感じがします」(小倉)。撮影終了後、キャストは最新版への思いをこう話した。モノクロ映画さながら、モノトーンの劇空間で繰り広げられる、大人にこそ沁みるホロ苦ドラマ。映画とはまた異なる味わいを堪能してほしい。7月26日(水)・27日(木)大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、7月30日(日)から8月6日(日)まで東京・世田谷パブリックシアターで上演。チケット発売中。取材・文:武田吏都
2017年07月19日藤木直人が主演を務める音楽劇『魔都夜曲』が、7月7日に東京・Bunkamura シアターコクーンにて開幕した。【チケット情報はこちら】1930年代の中国・上海を舞台に、激動の時代に秘められた恋と人間模様を描き出す本作。マキノノゾミが脚本を、河原雅彦が演出を手がけ、日本政府の要人を父に持つ自由奔放な御曹司・白河清隆(藤木)、日中ハーフの女性・周紅花(マイコ)と、その兄・周志強(小西遼生)の3人を中心とした人間ドラマが展開される。“音楽劇”にふさわしく、物語はバンドのジャズ演奏で幕を開ける。舞台となるジャズクラブ「ル・パシフィーク」の歌姫・字春(秋夢乃)は、メロウなナンバーを艶っぽく歌唱。やがて登場したクラブの支配人・新田日出夫(橋本さとし)とボーイ・サミー(コング桑田)の狂言回しぶりに、観客は自然と“魔都”上海へいざなわれていく。出会ったばかりの清隆、紅花、志強はすぐに意気投合し、夜の街に繰り出すことに。3人が上海観光を楽しむ様子は、本間昭光作曲のオリジナルメインテーマ『オピウム・ラヴァーズ』の軽やかなリズムにのって展開され、ついには上海に暮らす数多くのキャラクターが登場するきらびやかなステージングに発展。妖しくも色鮮やかなネオン街を背景に、最後には全員で合唱する1幕前半の見せ場となった。藤木は目付け役である外交官・籾田(山西惇)の説教に対し、背もたれを飛び越えてソファに正座で着地して懇願してみせる――といった大きなリアクションや、終始たたえている朗らかな笑顔で周囲の人間を自分のペースに巻き込む、屈託のない“御曹司”ぶりを見せつけた。対するマイコは、国と身分の異なる清隆に惹かれていく紅花の喜びと戸惑いを、振れ幅の広い表情で演じる。このふたりの恋愛がどのように変化するのか、結末は劇場で確かめてほしい。このほか、繰り返し歌われるオードウェイの唱歌『旅愁』をはじめ、中国民謡『茉莉花(ジャスミン)』などキャストが歌声を響かせるシーンも見どころ。東京パフォーマンスドールの高嶋菜七と浜崎香帆がWキャストで演じる李香蘭が『蘇州夜曲』をしっとりと歌い上げる場面もあり、多彩な楽曲が作品に華を添えている。東京公演は7月29日(土)まで。その後、8月5日(土)・6日(日)に愛知、8月9日(水)から13日(日)まで大阪に巡演する。取材・文:岡山朋代
2017年07月10日