劇団四季のミュージカル『オペラ座の怪人』が、12月27日(水)より6年ぶりに京都劇場で上演される。2015年より演出スーパーバイザーを務める北澤裕輔に、作品への思いや京都公演にかける意気込みを聞いた。劇団四季「オペラ座の怪人」チケット情報本作は、ガストン・ルルーの同名小説をもとにしたミュージカルで、パリ・オペラ座の地下に棲み、歌姫クリスティーヌに恋をする“怪人”の悲しい愛を描いた物語。『キャッツ』や『エビータ』なども手がける“21世紀のモーツァルト”アンドリュー・ロイド=ウェバーによる、美しくも重厚な旋律で紡がれる人気作だ。北澤も本作の楽曲に魅了され、劇団四季に入団したという。「元々、音楽大学でオペラ歌手を目指していたこともあり、クラシックに近い、オペラのような曲があることが、僕の琴線に触れました。全曲歌いたいし、聴いていたいと思える作品ですね」。四季入団後、同作ではアンサンブルから始まり、オペラ座の新しいスポンサーのラウル・シャニュイ子爵、支配人ムッシュー・アンドレなどを演じてきた北澤。演出スーパーバイザーとして関わる今、「ますます作品への愛が深まっている」という。「俳優として出ていると、演じることに一生懸命なので、本当の素晴らしさに気付いていなかったのかもしれません。今は曲を聴いているのもワクワクするし、だからこそ作品の立体感や曲のよさを引き立たせたい。今の四季の俳優たちは全体的に歌唱のレベルが上がっているので、高度なことが要求できます。彼らのポテンシャルを最大限に引き出して、お客様を圧倒したいと思います」。醜い容姿を隠すために仮面をつけ、オペラ座の地下深くに身を潜める“怪人”。そんな彼が見せるクリスティーヌへの一途な愛が、胸を締め付ける。「好きという感情を通り越して、恥も外聞もなく愛するあの姿に惹かれますよね。そんな風に生きてみたい。2幕は怪人が必死であればあるほど、ラストシーンがより印象深くなると思うんです。だからそこは感情にまかせて、とにかく必死に愛して、出し切ってほしいと伝えています」。『ノートルダムの鐘』でも演出スーパーバイザーを務めた北澤。京都劇場は「横に広くなく、音をダイレクトに伝えやすいから、緊張感と迫力で魅せたい」と語り、「観たことがない方にはぜひ劇場で圧倒されてほしいし、観たことがある方にも“やっぱりすごい!”と思っていただけるように作っていきたい」と意気込みを見せた。公演は、11月19日(日)まで広島上野学園ホールにて、12月27日(水)より京都劇場にて上演。チケットは発売中。取材・文:黒石悦子
2017年10月11日10月8日、ミュージカル『レディ・ベス』が東京・帝国劇場で開幕した。『エリザベート』『モーツァルト!』などのクリエイター、ミヒャエル・クンツェ&シルヴェスター・リーヴァイが脚本と音楽を手がけ、日本ミュージカル界が誇る鬼才・小池修一郎が演出し2014年に同劇場で世界初演された作品の待望の再演。初日直前の7日にはメインキャストである花總まり、平野綾、山崎育三郎、加藤和樹が取材に応じ、その魅力と意気込みを語った。ミュージカル『レディ・ベス』チケット情報約45年もの長きにわたり女王として君臨し、イギリスに繁栄をもたらしたエリザベス1世。その女王即位までの波乱にとんだ半生を、知られざる恋なども絡めながら描き出す歴史ロマン大作。主人公であるレディ・ベス(エリザベス1世)は花總と平野が、そしてその恋の相手であるロビン・ブレイクは山崎と加藤がダブルキャストで演じる。好評だった初演キャストがほぼ続投となる再演だが、「初演かのような濃密さでお稽古してきました。いろいろと変更点もあり、新しい『レディ・ベス』をお客さまにお見せできる日がいよいよ来たんだなとドキドキしています」と花總。平野も「新曲もありますし、ずいぶんブラッシュアップされました。登場人物ひとりひとりの心情が繋がっている。ベスも、親子の関係性、家族間の問題、当時のイギリスの情勢が掘り下げられ、それによってロビンとの恋が浮き彫りになってきています」と、初演との違いをアピール。ロビン役のふたりも「ショーアップされていたところが演劇的になり、お芝居の要素が強くなった。前回から比べてかなり濃密な、深みのある『レディ・ベス』になっています」(山崎)、「この物語のテーマは『自由とは何なのか』と『自分は何者なのか』。そこを、演出の小池さんが、それぞれの役に対して明確に与えてくれている」(加藤)と語り、充実の再演となっている様子を話した。近年、映像での活躍も目覚しい山崎は、本作が今年初の舞台出演。山崎は「1年ぶりに舞台の世界に戻ってきて、みんな声デカイな、ミュージカル俳優ってこんな大きい声で喋ってるんだ!と思った(笑)。でも僕はここ(舞台)で育ち、ここがホームグラウンド。ミュージカルに縁のなかった方にもご覧いただいて、これがミュージカルなんだぞという素敵なものをお届けできれば」と心境を語っていた。公演は11月18日(土)まで同劇場にて上演。その後大阪公演もあり。10月25日(水)18:00、11月11日(土)17:00、11月13日(月)18:00はぴあ半館貸切公演、こちらのチケットも発売中。
2017年10月10日読売日本交響楽団の2018/2019シーズン・プログラム(来年4月より)が発表された。充実のラインナップをざっと眺めてみよう。まずは指揮者陣。【チケット情報はこちら】2010年から3期9年間にわたり常任指揮者を務めてきたシルヴァン・カンブルランが、来シーズン限りでポストを離れる。メシアンを始めとする現代作品を意欲的に取り上げ、一昨年の欧州ツアーを成功に導くなど、印象的な成果を積み上げてきた彼と読響との集大成となるシーズンだ。来年4月と9月と2019年3月に登場。モーツァルトからロマン派、近代フランス音楽、現代音楽と、彼らしい多彩なレパートリーを聴かせるが、最大の注目はシェーンベルク《グレの歌》だろう(2019年3月)。任期終了間際の大団円。まもなく上演されるメシアン《アッシジの聖フランチェスコ》に続く大規模声楽作品だ。レイチェル・ニコルズはじめ豪華歌手陣を率いての、これまた必聴の公演となる。また、就任披露演奏会の演目で、その後のライヴCDも高い評価を得た、両者にとって記念碑的な作品である《春の祭典》(4月)にも、新たな伝説が加わりそうだ。別れもあれば新たな出会いも。今年9月に首席客演指揮者就任が発表された山田和樹との新コンビは2019年1月にお目見え。藤倉大のピアノ協奏曲日本初演(独奏=小菅優)を含む、3つの異なる趣きのプログラムを振る。もうひとりの首席客演コルネリウス・マイスターからも目が離せない。今年12月のマーラー:交響曲第3番に続く、6月の第2番《復活》に注目。昨年は第6番《悲劇的》を指揮しており、今後の両者のマーラー演奏にも、必然的に期待が膨らむ。客演では、シベリウスやニールセンで注目を集めるフィンランド出身のヨーン・ストルゴーズ(8月)、2032年までかけて進行中のハイドン交響曲全集が話題の、イル・ジャルディーノ・アルモニコのジョヴァンニ・アントニーニ(10月)が、それぞれ十八番のレパートリーを携えて指揮台に上がる。また久しぶりの登場となるバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)の鈴木雅明が振る、未完のオラトリオ《キリスト》他のメンデルスゾーン・プロでは、夥しい数の録音で日本にもファンが多いベルリンの名門プロ合唱団、RIAS室内合唱団との共演が特筆される。ソリスト陣では、いずれも昨年登場して評判だった、ヴィクトリア・ムローヴァ(10月・ベートーヴェン)、エマニュエル・パユ(11月・モーツァルト)、そして1932年生まれのスペインの至宝ピアニスト、ホアキン・アチュカロ(2019年1月・ラヴェル)が再共演するのはうれしい知らせ。さらに、エリソ・ヴィルサラーゼ、ピョートル・アンデルシェフスキ、諏訪内晶子、ピエール=ロマン・エラールといった人気のビッグネームも続々登場する。シーズン幕開けの4月定期がマーラーの9番とアイヴズだったり、意外な組み合わせの妙も目を引く新シーズン・プログラム。創立56年目の読響もやる気十分!文:宮本明
2017年10月06日12月27日(水)より6年ぶりに京都劇場で上演される劇団四季『オペラ座の怪人』。開幕に向けて、9月28日、劇中ナンバーの披露と合同取材会が金剛能楽堂にて行われた。劇団四季「オペラ座の怪人」チケット情報本作は、フランスの作家ガストン・ルルーの同名小説を原作に、パリ・オペラ座の地下に棲み、歌姫クリスティーヌに恋をする“怪人”の悲しい愛を描いた物語。“21世紀のモーツァルト”と称されるアンドリュー・ロイド=ウェバーが楽曲を手がけた名作で、劇団四季では1988年の東京初演以来、総公演回数6877回を数える人気演目だ。2002年には京都劇場のこけら落とし公演として上演され、同劇場では今回が6年ぶり3度目の上演となる。合同取材会では、演出スーパーバイザーの北澤裕輔とクリスティーヌ・ダーエ役の候補苫田亜沙子が登壇。「本作が大好きで劇団四季に入団した」という北澤は、クリスティーヌの恋人ラウル・シャニュイ子爵などを演じた後、2015年より本作の演出スーパーバイザーとなった。「『オペラ座の怪人』は、楽曲も構成もすべてが完璧だと思っています。演出としては、台本に書かれている楽曲の正確性を一番大事にしたいです」(北澤)。また、『オペラ座の怪人』で初舞台を踏み、クリスティーヌを10年以上演じているという苫田は、「この作品はどこを切り取っても美しいなと思います。20代の頃より30代になった今のほうが、随所により繊細な美しさを感じます。衣裳、舞台美術、すべてが美しいのですが、物語の内容自体がとても美しい。演じるたびにその魅力を感じさせてもらえる作品だなと思います」と作品の魅力を語る。それぞれに印象的な曲やシーンを尋ねると、「クリスティーヌがコーラスガールからメインキャストに上り詰めるシーンで歌う『シンク オブ ミー』という曲が大好き。シーンとしてはやはりラストシーン、クリスティーヌが去ってしまうところでいつも泣いてしまいます」と北澤。苫田は「2幕の『墓場にて』というソロナンバー。その一曲でクリスティーヌはすごく成長するんです。すごく好きでやりがいがあるなと思っています。2幕最初の『マスカレード』という華やかなシーンは、ぜひ楽しんで観ていただければと思います」とコメント。合同取材後、怪人役候補のひとり村 俊英が『ザ・ミュージック・オブ・ザ・ナイト』を能舞台で披露。優しくも切ない、情感あふれる歌声で歌い上げた。公演は、11月19日(日)まで広島上野学園ホールにて、12月27日(水)より京都劇場にて上演。広島公演のチケットは発売中。京都公演は10月7日(土)10:00より一般発売開始。一般発売に先駆け、10月6日(金)12:00より「ぴあスペシャルシートS1席」の先行先着プリセールを実施。取材・文:黒石悦子
2017年10月06日アカデミー賞8部門を受賞した『アマデウス』に続き、ついに誕生した“本格的モーツァルト映画”最新作『プラハのモーツァルト誘惑のマスカレード』。天才音楽家を巡る愛と陰謀を描く本作から、『ダンケルク』で話題のアナイリン・バーナード扮するモーツァルトの場面写真が到着した。世界中で親しまれ、数々の名曲を生み出したアマデウス・モーツァルトの、生誕260年を記念して製作された本作。今回公開されたのは、『ダンケルク』でダンケルクの浜辺でトミー(フィオン・ホワイトヘッド)と出会い、行動を共にする寡黙な兵士ギブソン役でも話題沸騰中のイケメン俳優アナイリン演じる天才音楽家モーツァルトを捉えた新場面写真。『アマデウス』で描かれたのは、ひょうきんで変人さを誇張されたモーツァルトだったが、今作では愛する息子を病で失い、苦悩しながらも歌姫スザンナ(モーフィッド・クラーク)との道ならぬ恋に落ちていく等身大の男性としての姿を見せている。「フィガロの結婚」によって一世を風靡した天才音楽家が、いかにして自らの体験のもと次作へと取り組んでいくのか?そして、スザンナを巡り、悪名高いサロカ男爵(ジェームズ・ピュアフォイ)と攻防繰り広げていく三角関係のクライマックスはいかに――?『プラハのモーツァルト誘惑のマスカレード』は12月2日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2017年09月29日舞台『アマデウス』の公開舞台稽古が23日、東京・サンシャイン劇場で行われ、松本幸四郎、桐山照史(ジャニーズWEST)、大和田美帆らが登場した。同作は1979年にロンドンで初演を迎え、1981年にはトニー賞で5部門を受賞、1984年に映画化されるとアカデミー賞で8部門を受賞した世界的ヒット作。幸四郎は1982年に日本初演を行って以来438回の上演を重ね、演出も務める。老いた音楽家・サリエーリ(松本)が天才音楽家・モーツァルト(桐山)の才能に揺さぶられていく姿を描き、モーツァルトの死の謎に迫る。約2時間45分の上演中、全場に登場する幸四郎は静かな迫力でサリエーリの苦悩を見せ、時にユーモラスに演じ上げる。憎らしさとキュートさを兼ね備え観客の心をざわめかせる桐山、確かな実力とともに作品の華となった大和田らが舞台を盛り上げた。幸四郎は「幸四郎を襲名して初めての現代劇『アマデウス』が、35年を経て場所も同じサンシャイン劇場で、幸四郎として最後の『アマデウス』の初日を迎えられます事、本当に感無量の思いです」と語る。2代目松本白鸚襲名を控え、「『アマデウス』に足をお運びくださったお客様方、又幸四郎として36年間お世話になった方々に心からの感謝の気持ちを捧げたいと思います。本当に長い間ありがとうございました」と幸四郎の名の下にこれまでの感謝を表した。モーツァルト役の桐山は「無事に幕が上がる事を本当に嬉しく思います」と喜び、「8月半ばから始まった稽古が『あっ』という間と感じるぐらい、充実した時間を過ごさせていただきました」と振り返った。桐山はさらに「稽古開始当初は挫折で始まりましたが、今は桐山照史が演じるモーツァルトを自信を持って皆様に届けたいと思います」と自信を見せる。「『いっぱい笑って、いっぱい泣いて、いっぱい考える』そんな時間を過ごしていただけるように『最高のカンパニー』一丸となって頑張ります」と初日を前に決意を表明した。モーツァルトの妻・コンスタンツェ役の大和田は「人間の欲深さ、だからこそ見えて来る愛おしさ、そこに垣間見える滑稽さ。たくさんの人間らしさが詰まった作品です」と作品について説明。「この作品に関われたことは、今後の役者人生の大きなターニングポイントになると思っています」と重みを語った。東京公演はサンシャイン劇場にて9月24日~10月9日、大阪公演は大阪松竹座にて10月13日~22日、福岡公演は久留米シティプラザにて10月24日~25日。
2017年09月24日昨年主演したミュージカル『ジャージー・ボーイズ』で数々の演劇賞を獲得した中川晃教。彼のコンサート『中川晃教コンサート2017 ~Seasons of love~』が9月14日、愛知・中日劇場で開幕した。もともとシンガー・ソングライターである中川だが、今回は“LIVE ACT”と銘打ち、シアトリカルな演出を盛り込んだ、今までにないステージを披露。その模様をレポートする。チケット情報はこちら今回のステージでは和風な要素も取り入れたいと語っていた中川の言葉通り、佐藤和哉によるキリリとした篠笛の音と、真っ赤な衣裳を身に着けた杉浦ゆらのダンスで幻想的に誘うプロローグ。日本人なら誰もが知る『かごめかごめ』から、ライブではお馴染みの『CHINA GIRL』へ。聴き慣れたナンバーも、佐藤の篠笛の音が効果的に挟み込まれることで新鮮に聴こえ、中川の美しい歌声もいつもにも増して情感豊かだ。続いてこちらもチャレンジングな試みである朗読とのコラボレーション。大人のメルヘンといった風な寺山修司の短編を、中川と若手歌手・伊礼亮が語っていく。少し切ない男女の恋を描く「お月さまの瓶詰」という物語の後には、“月”というワードから始まる『I Have Nothing』を歌う……といったように、中川の音楽の世界と寺山修司の世界が絡み合い、なんだか海の底に深く沈んでいくかのような、もしくは宇宙空間を漂うような、どこか別の世界へトリップでもしたかのような不思議な感覚に陥る。時に暗くも感じる中川の大人の声と、伊礼の若々しいピュアな声、ふたりの対比も心地よい。朗読と音楽のコラボを4本続けたあと、MCでは、今回のチャレンジについて「表現には終わりがない」「自分の曲で何かドラマ…表現を作っていけたらいいなと思っています」と語り、常に中川が口にしている「オリジナルミュージカルを作る」という目標と、この“LIVE ACT”が地続きであることを匂わせた。またこの中日劇場のステージにはデビュー作『モーツァルト!』でも立った思い出も語り、懐かしい劇中曲『僕こそミュージック』を披露。ほか、最新出演作『ビューティフル』から『On Broadway』『Walking In The Rain』、また中川の新たな代表作となった『ジャージー・ボーイズ』より『君の瞳に恋してる』『愛はまぼろし』などを立て続けに熱唱する。しっとりした前半とはうって変わって後半は中川のオリジナル曲、そしてミュージカルナンバーを織り交ぜたヒットメドレーとなり、客席も大盛り上がり。アンコールでは中川の“名古屋愛”を歌う即興曲まで飛び出した。そしてラストは、デビュー曲『I Will Get Your Kiss』。幻想的なムードで始まった“LIVE ACT”、最後は中川の透明な歌声が劇場いっぱいに広がり、客席とステージが一体となり、愛と笑顔に包まれた。コンサートはこのあと9月24日(日)に大阪・新歌舞伎座、10月1日(日)に東京・明治座にて開催される。
2017年09月22日6年ぶり7度目の引越し公演のために来日したバイエルン国立歌劇場。オペラ公演は9月21日(木)に初日を迎えるが、それに先立って来日会見が行なわれた。劇場の音楽総監督で、2019年からベルリン・フィル首席指揮者就任が決まっている指揮者キリル・ペトレンコが初来日。取材嫌いで知られる彼も出席するとあって、報道陣が詰めかけた(9月17日・東京文化会館)。バイエルン国立歌劇場 日本公演 チケット情報冒頭、ニコラウス・バッハラー劇場総裁の挨拶に続いて注目のペトレンコが口を開いた。いくぶんシャイな、でも穏やかな話ぶりだ。「劇場の伝統でもある来日公演が自分の任期内に実現できることは本当に名誉。期待を裏切らない上演ができると思っている。初めて日本にやってきて今日で4日目。街も人々も、そして食事も素晴らしい」と、まずは型どおりの挨拶。さらに、質問に答える形で次のように話した。「大切なのはどんな公演にも十分に準備して真摯に向かうこと。その意味で、音楽に向かい合う際の私の一番の信条は『リハーサル』だ。リハーサルでオーケストラと一体になることができれば、本番での指揮者の役割は音楽を伝えることだけ。ステージでやることは、なるべく少ないほうがいい」「録音が少ないのは、ライヴがより重要だから。ライヴでは音楽が生き生きとしている。録音のように確実すぎる状況で音楽をするべきではないと思う」そして、なぜインタビューを受けないのかという質問には、「自分の仕事について語るべきではない。指揮者の仕事は指揮台の上だけにある。秘密はできるだけ多いほうがいい」とニヤリと笑った。会見には21日(木)に初日を迎える《タンホイザー》(ワーグナー)の歌手たちも同席。ペトレンコ観を問われた彼らが一様に語ったのは、その無駄のないリハーサル、それを可能にする正確な楽譜の読みと周到な事前準備。しかもそのすべてが本番につながっていること。そのおかげで歌手もリハーサルの時間を有効に使えるし、エネルギーをより良く配分できること。等々。ペトレンコ自身の言葉を裏付ける内容で、彼の音楽づくりの一端が垣間見えるやりとりだった。今回上演されるのは劇場にとって対照的な2演目。1978年に制作され長く愛されている、アウグスト・エヴァーディング演出の《魔笛》(モーツァルト)と、今年5月に新制作初演されたばかりの、ロメオ・カステルッチ演出の《タンホイザー》。革新と伝統が絶妙にバランスする同劇場の本領発揮という選択だ。特に《タンホイザー》は、舞台写真を見るだけでも、ヴェーヌスの異形などかなり刺激的なのだが、「この演出の中での自分たちの役どころは?」の質問を、総裁が「明日も長いリハーサルが」とやんわり遮って会見は終了。これも音楽総監督同様、十分な準備こそが自分たちの仕事という姿勢のあらわれかもしれない。となればやはり、自分の目で見て確かめるしかない。いざ劇場へ!取材・文:宮本明
2017年09月19日クラシックのコンサートやイベントなどの情報を初心者にも解りやすく紹介するフリーペーパー『ぴあクラシック』。9月9日(土)発行の最新号では、9月24日(日)より東京・サンシャイン劇場で上演される舞台『アマデウス』に出演する松本幸四郎と桐山照史の対談が掲載されている。『アマデウス』は1979年にロンドンで初演、1981年にトニー賞で5部門受賞。1984年には映画化され、アカデミー賞8部門を受賞した。1982年には松本幸四郎主演で日本初演を果たし、これまで438回上演。今回、6年ぶりの再演で上演450回を迎える。幸四郎は音楽家サリエーリ役、桐山はモーツァルト役を務める。対談では、幸四郎が来年1月に襲名を控えているため、松本幸四郎としては最後となるサリエーリ役、そして今回同作に初めて出演する桐山がモーツァルト役についてそれぞれ語る。そのほか、同作を彩るモーツァルトの楽曲や、好きなクラシック音楽について、幸四郎が思い入れたっぷりにトークを展開。演劇ファンもクラシックファンも楽しめる対談となっている。フリーペーパー『ぴあクラシック』(2017 秋 Vol.44)は、今回紹介した対談のほかにも、クラシック公演のハイ・シーズンと言われる秋、何のコンサートに行こうか迷っている人のために、オーケストラ/オペラ/器楽/室内楽/ピアノ別におすすめコンサートを紹介。さらに100回を迎えるN響オーチャード定期など情報盛りだくさん。全国のチケットぴあ店舗(一部を除く)、全国のコンサートホールやレコード店にて配布(主な配布場所は目次ページに掲載)。また、チケットぴあのWEBサイトでWEB版(ebook)も公開予定。
2017年09月08日映画『プラハのモーツァルト誘惑のマスカレード』が、2017年12月2日(土)に公開される。ミロス・フォアマン『アマデウス』以来の本格的モーツァルト映画世界中で親しまれ、数々の名曲を生み出した偉大なる音楽家・モーツァルト。生誕260年を記念して制作された本作は、『カッコーの巣の上』(75)で知られるミロス・フォアマンが監督し、アカデミー賞8部門を受賞した映画『アマデウス』(84)以来の本格的なモーツァルト映画となる。プラハで初演された「ドン・ジョヴァンニ」に物語の着想を得てそんな本作は、1787年にモーツァルトがプラハで「ドン・ジョヴァンニ」を初演したという史実に着想を得た作品。猟色家ドン・ジョヴァンニを主人公にしたオペラ創作の背景で繰り広げられる、華麗なる恋と陰謀のストーリーが、プラハの上流階級を舞台に描かれる。ストーリー1878年、チェコ・プラハはオペラ「フィガロの結婚」の話題で持ちきりだった。上流階級の名士たちは、モーツァルトをプラハに招き新作を作曲させようと決める。その頃、モーツァルトは三男を病で亡くし失意のどん底にあり、陰鬱な記憶に満ちたウィーンを逃れるために、喜んでプラハにやってきた。友人ヨゼファ夫人の邸宅に逗留して、「フィガロの結婚」のリハーサルと新作オペラの作曲にいそしむモーツァルト。やがて、彼は、「フィガロの結婚」のケルビーノ役に抜擢された若手オペラ歌手のスザンナと出会い、その美貌と才能に大いに魅了される。一方、スザンナもモーツァルトが妻帯者と知りながら、その天才ぶりに引き付けられずにはいられなかった。急速にその距離を縮める二人。しかし、オペラのパトロンであり、猟色家との噂のあるサロカ男爵もまた、スザンナを狙っていた。そして、三人のトライアングルは、愛と嫉妬と陰謀の渦に引き込まれてゆく。モーツァルト役に新進俳優アナイリン・バーナード主演のモーツァルト役を演じるのは、イギリス・ウェールズ出身のアナイリン・バーナード。クリストファー・ノーラン監督映画『ダンケルク』にも出演する、新進気鋭の俳優だ。そのほか、悲運の歌姫スザンナ役を『高慢と偏見とゾンビ』のモーフィッド・クラーク、悪の男爵サロカ役を『ハイ・ライズ』の名優ジェームズ・ピュアフォイが演じる。プラハ市立フィルハーモニー管弦楽団が音楽を担当映画の鍵となる傑作オペラ「フィガロの結婚」「ドン・ジョヴァンニ」を初めとする音楽を演奏するのは、プラハ市立フィルハーモニー管弦楽団。映画の舞台であるプラハを本拠地とする歴史あるオーケストラが、華麗なる演奏で作品に華を添える。なお、撮影は中世の街並みが色濃く残るプラハ市で全編ロケを敢行。チェスキー・クルムロフ城劇場をはじめ、実際にモーツァルトが訪れた市街や建物を映画の舞台として再現している。作品情報映画『プラハのモーツァルト誘惑のマスカレード』公開日:2017年12月2日(土)監督:ジョン・スティーブンソン出演:アナイリン・バーナード、モーフィッド・クラーク、ジェームズ・ピュアフォイ、サマンサ・バークス© TRIO IN PRAGUE 2016
2017年09月08日『ダンケルク』にも出演する英国の若手俳優アナイリン・バーナードが、モーツァルトを演じる『Interlude in Prague』(原題)の邦題が『プラハのモーツァルト誘惑のマスカレード』に決定。天才音楽家を巡る愛と陰謀を描く本作が12月2日(土)より日本公開されることが明らかになった。1878年、プラハはオペラ「フィガロの結婚」の話題で持ちきりだった。上流階級の名士たちは、モーツァルト(アナイリン・バーナード)をプラハに招き新作を作曲させようと決める。三男を病で亡くし失意のどん底にあったモーツァルトは、陰鬱な記憶に満ちたウィーンを逃れるために、喜んでプラハを訪れる。友人ヨゼファ夫人(サマンサ・バークス)の邸宅に逗留して、「フィガロの結婚」のリハーサルと新作オペラの作曲にいそしむモーツァルト。やがて、彼は「フィガロの結婚」のケルビーノ役に抜擢された若手オペラ歌手のスザンナ(モーフィッド・クラーク)と出会い、その美貌と才能に大いに魅了される。一方、スザンナもモーツァルトが妻帯者と知りながら、その天才ぶりに引き付けられずにはいられず、ふたりは急速に惹かれあう。しかし、オペラのパトロンであり、猟色家とのうわさのあるサロカ男爵(ジェームズ・ピュアフォイ)もまた、スザンナを狙っていた。3人のトライアングルは愛と嫉妬と陰謀の渦に引き込まれてゆく――。世界中で親しまれ、数々の名曲を生み出した偉大なる音楽家・モーツァルトの生誕から260年を記念して制作された本作。モーツァルトがプラハで1787年に「ドン・ジョヴァンニ」を初演したという史実に想を得たストーリーが、百塔の都・プラハの上流階級を舞台に繰り広げられ、本格的なモーツァルト映画としては1984年のアカデミー賞8部門受賞作『アマデウス』から20年超の時を経て生み出された。モーツァルト役には、『ダンケルク』でフィオン・ホワイトヘッドやハリー・スタイルズとともに若き陸軍兵士を好演する注目俳優アナイリン。ヒロインとなる悲運の歌姫スザンナ役に『高慢と偏見とゾンビ』のモーフィッド・クラーク、悪の男爵サロカを「ザ・フォロイング」『ハイ・ライズ』の名優ジェームズ・ピュアフォイが演じるほか、舞台&映画『レ・ミゼラブル』でエポニーヌを演じて注目を集めたサマンサ・バークスなど、その多才な顔ぶれに期待は高まるばかり。そして本作では、中世の街並みが色濃く残るプラハ市で全編ロケを敢行!チェスキー・クルムロフ城劇場を初めとする、実際にモーツァルトが訪れた市街や建物を映画の舞台として再現している。さらには映画の鍵となる傑作オペラ「フィガロの結婚」「ドン・ジョヴァンニ」を初めとする音楽を、プラハ市立フィルハーモニー管弦楽団が演奏するというから、目にも耳にも贅沢な作品となることは間違いなし。天才音楽家にまつわる物語を、華麗な恋と複雑な人間模様とともに描く本作。この冬一番の歴史ロマン音楽ドラマをお見逃しなく。『プラハのモーツァルト誘惑のマスカレード』は12月2日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年09月05日夏休みシーズンも終わりを迎え、また元の穏やかな日常生活が始まってしまったと感じている人にオススメしたいのは、目が覚めるような刺激的な映画。今回ご紹介するのは、日本が誇る超人気漫画をハリウッドで映画化した話題作です。その魅力を熱く語ってくれたのは……。『Death Note/デスノート』で主演を務めたナット・ウルフ!【映画、ときどき私】 vol. 108主人公であるライト・ターナー演じたナットは、『きっと、星のせいじゃない。』をはじめとするヒット作への出演が続いており、ハリウッドでも期待されている若手俳優のひとり。現在、Netflixにて世界同時配信中である本作の見どころや役作りを通して感じた思いなどを教えてもらいました。2003年から日本で連載が始まった『デスノート』は、相手の顔を思い浮かべながらノートに名前を書くとその人物を死に追いやることができるという衝撃のストーリーで熱狂的な支持を集めている大人気シリーズ。日本で生まれた作品だけに、やはり日本での反響は気になりますか?ナット僕としても日本のファンの方のリアクションは一番ワクワクしているところだし、監督もキャストも、日本でお披露目できることをすごく楽しみにしているんだ。原作にも魅了されたそうですが、この作品を読んだときの感想は?ナットとにかくすごく気に入ったよ!こうあって欲しいと自分が願っている世界がそこに広がっているだけでなく、道徳観を問う物語でもあるからね。あとは、ライトとLがお互いに頭脳戦を繰り広げているところも大好きなんだ。それから、漫画やアニメ、そして今回の映画のように、デスノートというひとつのアイディアをいろいろな形で解釈して広げていくことができるというところも魅力なんじゃないかな。アメリカではどのくらい人気がありますか?ナット『デスノート』はアメリカでもよく知られているし、ものすごく人気もあるんだよ!自分よりも年下のいとこたちは、この作品に執着していると言ってもいいくらい大好きだから、僕が関わるのを知ったときには、めちゃくちゃ喜んでいたんだ。あと、僕の親友で俳優のジャスティス・スミスも『デスノート』の大ファンだったから、彼からもいろいろと教えてもらったりしたよ。ちなみに、ご自身は日本の漫画やアニメはご覧になりますか?ナット小さいときはよく日本のアニメを観ていたんだけど、年を重ねるごとにあまり観なくなってはいたんだ。でも、この作品に出演することが決まってから、またアニメを観るようになっていて、大好きなのは『攻殻機動隊』かな。今回のように実写化するなら出演してみたい作品はありますか?ナット自分が関わっているからじゃないけど、他にはなくて、本当に『デスノート』が一番だと思っているんだ!なぜかというと、アメリカで主役がここまでアンチヒーローのキャラクターの映画や作品はないんじゃないかなと感じるからなんだよ。例えば、『デッドプール』みたいな変わったキャラクターのスーパーヒーローもいるけど、ああいう作品でさえもちょっと定型にそっているところがあるからね。だから、『デスノート』みたいにつねに何が起こるかわからないという作品は本当に魅力的だと思うよ。出演が決まってから、日本版の映画もご覧になりましたか?ナットもちろん観たよ!とても美しくて、原作に忠実だなという印象だね。だからこそ、アメリカ版では、監督がテーマにもひねりを加えて違う作品にするだろうというのは、最初からわかっていたんだ。同じ主人公を演じた藤原竜也さんの印象は?ナットぜひ会ってみたいなと思うくらい素晴らしいと思ったよ。残念ながら、今回はそれが叶わなくて、お会いできなかったんだけど……。参考にした部分などはありましたか?ナットもちろん、彼からはインスピレーションをたくさん受けたと思うよ。漫画を実写化するというのはやっぱり難しい作業でもあるから、そのなかでもその世界観を保つことができているところにはすごく感服もしたんだ。ただ、今回はキャラクターとしてはかなり違っていたから、必ずしも同じようなアプローチは必要なかったんじゃないかなとは思っているよ。役の準備として自分専用のデスノートを作られたそうですが、作ってみてどうなりましたか?ナット役が決まってから、すぐに自分のデスノートを作ってみようと思ったんだ。僕は社会変質者ではないので、「きっと誰の名前も書くことはないだろう」と思っていたんだけど、驚くことに気がついたらすぐに名前をどんどん書いていたんだ(笑)。そのときに、「なんてことだ!誰でもデスノートを作れるんだ」と実感したよ。つまり、「自分はサイコパスじゃないから、名前なんてひとつも書かない」と思っていても、劇中のライトも同じように、人は力を得ると変わってしまうってことだね。そういう気持ちは、役を演じるうえで活かされたと思うよ。そのノートはどうしましたか?ナット自分が知っている人から直接会ったことのない人の名前まで書いてあって、そのまま持っていたら絶対に危ないと思ったから、すぐに燃やしたよ(笑)。では、逆に名前を書いた人を生き返らせることができるライフノートを手にしたらどうしますか?ナットそれはすごくいいアイディアだね!まずは、会ったことないおじいちゃんの名前を書きたいね。それから、モーツァルトとジョン・レノンかな。デスノートかライフノートならどっちが欲しい?ナットライフノート!だって、すごくステキなアイディアで気に入っているから。では、もし本物のデスノートを手にしたら、「使う・破棄する・他人に譲る」のどれを選びますか?ナット悩ましい選択だけど、今回の映画の結末だと仮定して、僕だったら燃やすかな。ただ、この役を演じる前だったら、僕よりも聡明な人に渡すことを考えたかなとは思うけど。でも、やっぱり一番いいのは、亡くなってしまったE.T.という名前の僕の犬をライフノートでまずは蘇らせて、その子に渡したいね。だって、E.T.は誰のことも悪く思わない子だから(笑)。今回のハリウッド版ならではの注目ポイントがあれば教えてください。ナットとにかく原作を大切にしながらも、ひねりを効かせて、見たことのない『デスノート』がクリエイティブな形で広がっているので、ぜひ楽しんでもらいたいな。ライフノートもあったらよかったのにね(笑)。日本のファンにひと言メッセージをお願いします!ナットみんないつも応援ありがとう!今回日本に来られたことは、僕にとって本当に特別な経験になったよ。この原作は日本でとても愛されている作品だということも知っているから、ぜひ観て欲しいなと思っています。あとは11月にまた個人的に日本へ戻ってきたいと思っているので、そのときもよろしくね!インタビューを終えてみて……。自分のデスノートに次々と名前を書いてしまったというちょっとダークな一面もありつつ、ライフノートを気に入って目を輝かせるかわいらしい一面もあり、楽しませてもらいました。現在は、俳優としてだけでなく、弟と組んで音楽活動もしたりと、幅広い才能を発揮していますが、まだ22歳というだけに、今後の活躍が楽しみなところ。これからもますます目が離せなくなりそうです。史上最恐のデスノートに震撼!ハリウッド版ならではの要素が満載の『Death Note/デスノート』は、原作とも日本版とも違う新たな衝撃が走るはず。あなたの中にある善と悪、そして正義と欲望の境界線が揺らいでしまうかも!?ストーリー男子高生のライト・ターナーは、ある日1冊のノートを手にする。そのノートとは、相手の顔を思い浮かべながら名前を書きこむだけでその人物を抹殺できるという恐ろしい力を持つデスノートだった。神のような力を得たことに陶酔したライトは、犯罪者を裁き平和な世界を作ろうとしていた。しかし、そこに待ち立ちはだかるのは名探偵Lの存在だった。はたして、デスノートを巡る運命の行方とは……。恐怖心が高まる予告編はこちら!作品情報Netflxiオリジナル映画『Death Note/デスノート』全世界独占配信中ヘアメイク:池田美里(millisol)写真・大嶋千尋(ナット・ウルフ)
2017年09月04日なんだかやけによく通る声で滑舌は抜群。その上、姿勢よく物腰柔らかで、瞳はキラキラ。バラエティ番組で初めて山崎育三郎さんをご覧になった人は、直感的に「この人、タダモノではない!?」と思ったはず。なぜなら、山崎さんといえば、ドラマ『下町ロケット』に出演するまで、主な活躍の場といえば、数百年前のヨーロッパ界隈。ミュージカル『レ・ミゼラブル』で革命に身を投じ、『モーツァルト!』で交響曲を作曲していたのだ。そんなミュージカル界のプリンスが、現代の東京に降り立った!と思ったら、初主演となるドラマ『あいの結婚相談所』では結婚相談所の所長に。とはいえ、これはこれでタダモノではない役でして…。――映像作品での活躍がめざましいですが、どこかのタイミングで、そっちの方向へも挑戦していこうと決断されたのでしょうか?山崎:子供の頃からミュージカルに憧れていて、大好きだったのが『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』『エリザベート』『モーツァルト!』の4つでした。当時、この4作品全てに出演した俳優が日本ではまだいなくて、自分がそれを達成したいとノートにも書いていたくらい、ずっと目標にしてやってきたんです。その夢が叶ったのが29歳の時。ちょうどその頃、同じくミュージカルで活躍していた井上芳雄さんや浦井健治さんと話す機会があって、いま日本のミュージカルが盛況だといわれてはいても、劇場に足を運んでくれるのはある一定層にとどまっている、というところで意見が一致して。僕らで何かミュージカルの輪を広げていくことができないかと、3人でStarSという活動をスタートさせたんです。ちょうどそのすぐ後にドラマ『下町ロケット』に声をかけていただきました。ただ、正直、自分がやったことのない世界に足を踏み入れるというのは、最初は恐怖しかなかったです。基本的に舞台の世界だと、2年先、3年先までスケジュールが決まっているのが当たり前ですが、まず映像のために舞台を入れない期間を作ったんです。とはいえ、そこに仕事が本当に入るのかはわからないわけで、それが何より怖かったですね。運良く最初のドラマがヒットして次の作品にも声をかけてもらえたから良かったですが、その時はただただがむしゃらでした。でもそうやってひとつひとつ積み重ねていって、たくさんの人に名前を知ってもらうことができました。去年、『エリザベート』という作品で、東京のほか大阪、名古屋と公演したんですが、出待ちのお客様の半分以上が、「テレビで見ました」という新しいファンの方だったんです。そこであらためてテレビの影響力の大きさを実感しました。――数年先のスケジュールを空けたということは、最初の『下町ロケット』で何か大きな気持ちの変化があったということですか。山崎:そうですね。それまでは、ミュージカルしかやりたくないと思っていたし、やらない、と決めていたんです。じつは12歳の時にミュージカルでデビューして子役として活動していたんですが、中学生の時に、一度だけドラマに出たことがあったんです。その時は、慣れない現場に戸惑いの方が大きくて、稽古場で先生にどんなに怒鳴られても舞台で歌っている方が楽しいって思ったんですよね。でも、大人になって映像作品に携わってみたら、自分の表現や表情、声も含めて、舞台だけをやっていた時には気づかなかった発見がたくさんありました。いまはいろんなことにチャレンジして、自分の幅を広げたいと思っています。――映像の現場に対して感じていた“恐れ”は、どの辺りからなくなりました?山崎:いや、まだ感じています(笑)。ミュージカルでは主演も何作かさせていただいていますし、いまは現場に行けば、キャストもスタッフも大半が顔見知りなわけです。でも映像では、ほぼ毎回“はじめまして”の状況なんですよね。そんななかでリハーサルをやってすぐ本番ですから、じつは舞台以上に芝居作りという意味ではライブなのかもしれない。緊張感ありますよ。――いま演じている藍野真伍は、毒舌で、唐突に歌いだしたりもするクセの強い個性的なキャラクターですけれど…。山崎:本人は自分のことを変人だとは思ってないので、僕もいたって普通だと思って演じるようにはしています(笑)。ただ、劇中のミュージカルシーンは毎回、試行錯誤です。普段は1か月稽古してやっているんですが、今回は、その場で振付師さんから振りをつけてもらってやらなきゃいけなかったり、場面によっては自分で振りを考えたり、連ドラのスピード感でやらなきゃいけない。いつも以上に瞬発力や対応力が必要になるので、頭をフル回転させてやってます。――藍野さんにとっての昆虫のように、ご自身が偏愛しているものはありますか?山崎:うーん…そんなになくて、しいて言うなら野球かなってくらい。少年野球をやっていましたし、子供の時はヤクルトスワローズを応援していましたし。いまも草野球チームを作っているんですよ。――ちなみに、藍野さんのセリフに「結婚には恋愛は必要ない」というのがありますが、山崎さんが結婚に必要だと思うものは?山崎:「恋愛は必要ない」って藍野さんは言いますけれど、ドラマでは結果的に皆さん、愛し合って結婚するんですよね。やっぱり結婚って、相手のことを考えて寄り添うことが大事なんだと思います。やまざき・いくさぶろう1986年1月18日生まれ、東京都出身。12歳の時にミュージカルデビュー。その後、留学などを経験し、’07年の『レ・ミゼラブル』のマリウス役で本格的に俳優としての活動をスタート。’15年より映像作品にも活躍の幅を広げるほか、歌手としても6月にカヴァーアルバム『1936~your songs II~』をリリース。コート¥58,000ロングシャツ¥33,000(共にイロコイ/イロコイ ヘッド ショップ TEL:03・3791・5033)ドラマ『あいの結婚相談所』は、毎週金曜23時15分~テレビ朝日系にて放送中。山崎さんが演じている藍野は元動物行動学の准教授で、現在は200万円という法外な入会金をとるが成婚率100%を誇る結婚相談所の所長。劇中、歌やダンスも披露。山崎さんが歌う番組テーマソング『Congratulations/あいのデータ』も好評発売中(ユニバーサルミュージック)。※『anan』2017年9月6日号より。写真・内田紘倫スタイリスト・尾後啓太インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2017年09月03日10歳にして日本クラシック音楽コンクール全国大会グランプリを獲得し、その後世界各国の音楽コンクールで1位に輝いてきた藤田真央さん。昨年、特別特待生として東京音楽大学に入学した藤田さんにお話を伺いました。みんなの反応が知りたいから緊張するよりも早く弾きたい。インタビューの直前に行われたコンサートでは超絶技巧の曲を笑顔で弾き、ユーモラスなMCでも会場を魅了した藤田さん。彼は、舞台で緊張したことがないという。「3歳でピアノを始めてから、舞台に立つのが楽しくて仕方がありませんでした。ガチガチに緊張している他の子供たちを見て、何でだろう?私なら人前で弾くために練習していたのだから早く弾きたくてしょうがないし、お客さんの反応が見たいのに…って」適度な緊張を楽しむ度胸は、幼少期から変わらない。自分の演奏に納得するのはどんな時かという質問には「納得はしません。演奏に満足してしまったら、ピアノを続ける意味がないから」と笑う。とても丁寧で、おっとりとした口調で話すが、ストイックな答えだ。「ピアニストを仕事として意識したのは、最近のこと。難しい曲のリクエストが増えて、より高い水準の練習が必要になりました。そのぶん、例えばベートーヴェンとショパンなど、全く異なるタイプの曲を同じプログラムに入れて弾き分け、それを感じ取ってくれたお客さんから的確なコメントをいただいた時なんかは、意図するものが伝わって嬉しいし、ピアノがより面白く感じます。とはいえ自分の終わった演奏は全く振り返らないし、昔からミスはすぐに忘れるタイプ。褒められたことはよく覚えているんですけどねぇ」練習で重視しているのは、美しい音色と響き。一音に命を懸ける覚悟で演奏する。「2時間ものリサイタルに備えてジムで筋トレをしているピアニストもいますが、私の場合は筋トレをする時間も、ピアノを弾いていたい。これまでピアノしかやってこなかったので、リサイタルが終わった後でも、翌日でも、他にやることがないので結局ピアノを弾いているか、もしくは、自分の人生設計を立てています。モーツァルトもシューベルトも短命だったので、一応私も、30代で終える用~80代で終える用まで、色々なバージョンを作っているんですよ(笑)」ふじた・まお1998年生まれ。東京音楽大学ピアノ演奏家コース・エクセレンスに在学中のピアニスト。2009年、日本クラシック音楽コンクール全国大会を皮切りに、世界各国の音楽コンクールで1位に輝く。また、国内外の音楽祭から招待を受けることが多く、精力的にリサイタルを行っている。※『anan』2017年9月6日号より。写真・内山めぐみ取材、文・若山あや撮影協力・eplus LIVING ROOM&DINING(by anan編集部)
2017年09月02日アイドルグループ・ジャニーズWESTの桐山照史が19日、都内で行われた舞台『アマデウス』の製作発表記者会見に、松本幸四郎、大和田美帆とともに登場した。同作は1979年にロンドンで初演を迎え、1981年にはトニー賞で5部門を受賞、1984年に映画化されるとアカデミー賞で8部門を受賞した世界的ヒット作。幸四郎は1982年に日本初演を行って以来438回の上演を重ね、演出も務める。老いた音楽家・サリエーリ(松本)が天才音楽家・モーツァルト(桐山)の才能に揺さぶられていく姿を描き、モーツァルトの死の謎に迫る。松竹 副社長/演劇本部長の安孫子正は、桐山について「10年以上前からでございまして」と付き合いを振り返り、「関西のJr.から頑張っているところを見ている一人。その時からきらめくものがあり、逸材じゃないかと思っておりました」と明かした。安孫子副社長はさらに「そのあと(桐山が)デビューしまして、それをご縁に『ブラッドブラザース』の主演をしていただいた。本当に今やジャニーズを代表する素晴らしい俳優さんの一人でございます」と紹介した。幸四郎も「『ブラッドブラザース』という舞台を拝見して、俳優としても素晴らしい素質」と桐山を称賛。一方で桐山は「『新しい風を吹かせる』とビッグマウスを叩いたんですけど、ホン読みのときに演出家の幸四郎さんを前に緊張のあまり100回くらい噛んでしまい、第一の挫折を味わっています」と苦笑し、「背伸びしてもしょうがないと思い、幸四郎さんに一から甘えていきたいと思います」と意気込んだ。また幸四郎は「普段はそこそこ面白いのに、舞台に立つとなんだかつまらなそうな俳優さんがいる」と語り、桐山&大和田について「普段は死んでていい。舞台に立っている時『芝居をしているのが幸せで幸せで仕方ない』とお客さんに思わせるような演技がお二人にはある」と表現した。さらに桐山について「『ブラッドブラザース』の時にすごく達者な役者だなと思ったんです。その時に『これご自分のアイディアでやったの? 演出家?』と聞いたら『演出家の先生に一から教えていただきました』と。大変演出家にとって嬉しい俳優でございます」とエピソードを披露した。これらの幸四郎の言葉に、桐山は「プライベートは死にます。舞台の上で輝きます」と宣言した。普段はジャニーズWESTとして活躍する桐山だが、幸四郎との共演を知ったメンバーは「全員が絶句」したという。桐山は「台本も今まで見たことない分厚さで、メンバーもみんな驚いてましたけど、みんな楽しみにしていたので」と明かした。さらに、地方公演時の食事について「大阪は任せてください。大阪に実家がありますから」と、自信を見せた。東京公演はサンシャイン劇場にて9月24日~10月9日、大阪公演は大阪松竹座にて10月13日~22日、福岡公演は久留米シティプラザにて10月24日~25日。
2017年08月19日舞台『アマデウス』の製作発表記者会見が19日、都内で行われ、松本幸四郎、桐山照史(ジャニーズWEST)、大和田美帆が登場した。同作は1979年にロンドンで初演を迎え、1981年にはトニー賞で5部門を受賞、1984年に映画化されるとアカデミー賞で8部門を受賞した世界的ヒット作。幸四郎は1982年に日本初演を行って以来438回の上演を重ね、演出も務める。老いた音楽家・サリエーリ(松本)が天才音楽家・モーツァルト(桐山)の才能に揺さぶられていく姿を描き、モーツァルトの死の謎に迫る。この日75歳の誕生日を迎えた幸四郎に、サプライズでバースデーケーキが登場。桐山と大和田も花束を贈り、幸四郎の誕生日を祝った。花束を手にした幸四郎が「ジャニーズWESTになった気分です」とジョークを飛ばすと、桐山も「8人目のメンバーです」と応える。2代目松本白鸚襲名を控えた幸四郎は「松本幸四郎としては最後の誕生日。また次は1歳です」と語った。同作では天才・モーツァルトにサリエーリが嫉妬心を抱くが、「嫉妬の話ではない」と幸四郎は語る。「人間は自分の中にちっちゃな神を見つける、そういう人生で、私の中にも皆様の人生の中にも小さな小さな神というものがあるような気がして」と説明し、「神様から信じられるような人間になって、神様を信じようというような」気持ちが表現されていると作品について述べた。さらに幸四郎は「おふたりはどうか知らないですけど、こんなことは日常茶飯事でございまして」と心境を吐露。「『ちくしょう、憎らしいなあ。自分にはしかし、できない』そんな思いが毎日」と振り返り、「これはとてもじゃないけど他人事ではないお芝居」と分析した。また幸四郎は、桐山に「モーツァルトの目を感じる」と表現し、「歌舞伎座の楽屋におせんべい持ってこられた」ときのエピソードを披露。「僕の話を聞く時にちょっと目が正常ではなくなった。普通の人間から外れてるような。あなた普段はそういうことはないんですか」と話しかけた。桐山が驚いて「ないですね」と答えると、幸四郎は「天才は自分で天才と思ってないそうですから」と納得していた。
2017年08月19日20世紀を代表する振付家、モーリス・ベジャール没後10年を迎える今秋、彼が率いたモーリス・ベジャール・バレエ団が日本公演を行う。7月24日、一般の観覧者約500人を招いての特別記者会見および秘蔵映像上映会が開催され、ジル・ロマン芸術監督、ダンサーの那須野圭右が公演への抱負を語った。モーリス・ベジャール・バレエ団 チケット情報ベジャールについて、「モーリスの作品を稽古していると、彼がいつもそばにいるように感じる」と話すロマン。11月の日本公演では、Aプロはベジャールがモーツァルトのオペラに振付けた『魔笛』を、Bプロではロマン振付の『アニマ・ブルース』『兄弟』、ベジャール振付『ピアフ』、またバレエの金字塔と言われる『ボレロ』も上演する。このうち『兄弟』は「ふたりの日本人ダンサー、那須野と大貫真幹にインスピレーションを得て創った」とロマン。主演の那須野は「お前らいつも一緒にいるな、兄弟みたいだな、というところから始まりました。ジルが僕をメインに創ってくれた初めての作品。日本で上演できてとても嬉しい」と笑顔を見せた。「このプログラムには複数の関係性が紡ぎ出されています。『兄弟』では美空ひばりさんの「ラ・ヴィ・アン・ローズ」を使っていますが、これはモーリスの作品『ピアフ』に繋がる。ラヴェルの音楽も用いているが、これは『ボレロ』と響き合う──。ベジャール作品と現代の新作をふたつの柱として上演していく、私たちの姿を映しています」(ロマン)ベジャールの命日にあたる11月22日と翌23日に開催される、東京バレエ団との特別合同ガラ〈ベジャール・セレブレーション〉の内容も明らかに。今回はその稽古のための来日でもあったロマンだが、第1部の『テム・エ・ヴァリアシオン』では、「日記を綴るように、現在のカンパニーの姿をモーリスに伝えたい」。さらに第2部『ベジャール・セレブレーション』はベジャール作品の傑作集で、ここに東京バレエ団のダンサーたちが参加。那須野は彼らの指導を担う。「ベジャールは東京バレエ団を愛していた。没後10年にここでコラボレーション行うのは、不可欠で重要なことです」(ロマン)。秘蔵映像上映会では、これまでの日本公演の映像、また次回上演予定作品のハイライト映像が披露され、ベジャールの多様で鮮やかな作品世界が蘇った。「秋の公演を楽しみにしていてください」と締めくくったロマン。那須野も、ダンサーとしては「これが最後の舞台になると思う。ぜひ観に来ていただきたい」と思いを明かし、充実の舞台を予感させた。公演は11月17日(金)から26日(日)まで、東京文化会館、11月28日(火)・29日(水)に兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホールにて。なお、東京公演のインターネット先行を7月27日(木)午前10時より受付。取材・文:加藤智子
2017年07月26日12月31日(日)に東京・東京国際フォーラム・ホールCで「ドラゴンクエスト」ウインドオーケストラコンサート大晦日公演の開催が決定した。【チケット情報はこちら】大晦日公演では、昼公演にロトシリーズ「ドラゴンクエスト I、II、III」の楽曲、夜公演に天空シリーズ「ドラゴンクエスト IV、V、VI」の楽曲を演奏。両公演とも楽しみたい人のために、昼夜同じ席で鑑賞できる通し券が発売される。ドラゴンクエスト誕生30周年を記念して、現在各地で開催中の「ドラゴンクエスト」ウインドオーケストラコンサート。7月9日(日)には東京・かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホールで「ドラゴンクエストIX」(吹奏楽版世界初演)が開催される。7月9日(日)公演のチケットは発売中。■「ドラゴンクエスト」ウインドオーケストラコンサート【吹奏楽による『ドラゴンクエストⅨ』】指揮:永峰大輔/吹奏楽:東京佼成ウインドオーケストラ7月9日(日)開演14:00かつしかシンフォニーヒルズモーツァルトホール(東京都)料金: 全席指定 4,500円■「ドラゴンクエスト」ウインドオーケストラコンサート【吹奏楽によるドラゴンクエストⅠ,Ⅱ,Ⅲ】指揮:大井剛史/吹奏楽:東京佼成ウインドオーケストラ12月31日(日)開演14:00東京国際フォーラム ホールC(東京都)■「ドラゴンクエスト」ウインドオーケストラコンサート【吹奏楽によるドラゴンクエストⅣ,Ⅴ,Ⅵ】指揮:大井剛史/吹奏楽:東京佼成ウインドオーケストラ12月31日(日)開演18:00東京国際フォーラム ホールC(東京都)料金:全席指定S席4,800円、A席3,800円、2公演通し券9,000円
2017年07月05日Lawand Othman|ラワン・オスマンDJ、作曲家、ピアニストaka. DJ Turkman Souljah。イラク出身。これまで世界50ヶ国を渡り歩き、3000回以上のコンサートに出演。デンマークDJチャンピオンシップ3度優勝、スカンジナビアDJチャンピオンシップ5度優勝、世界大会出場経験もあり。ピアニストとして4つのバンドに所属。去年、数千人に4人しか合格しないデンマーク最高ランクの音楽学校に合格。教師として教鞭も執る。オーケストラとDJを共演させた第一人者でもあり、オーケストラのシンフォニーも手がける。※動画が見られない方はこちら難民としてデンマークへ「音楽が僕を救ってくれた。」―デンマークに来て20年以上経っていますが、今はどうですか?今もデンマーク軍がイラクをはじめとする中東地域を空爆したり、イラクからの難民の受け入れを拒否したり、イスラム教徒に対してメディアが攻撃的な態度をとることもあります。それでも、僕がデンマークに来たことに比べて、多様性に対して寛容になってきていると思いますね。―自由かつ寛容な社会が発展すると僕は信じているんですが、この国の音楽業界では何が起こっているんですか? たとえばSpotifyを開くと、デンマークのトップチャートはアメリカとそこまで変わらないですし、デンマーク人のアーティストが英語で歌うことも多いですよね。そうですね。フランスのように「高聴取率の時間帯には、最低40%の音楽がフランスのものじゃなければならない」と規制をかける国もあるんですが、デンマークでそんなことはまずあり得ない。もちろんデンマーク出身の有名なアーティストはたくさんいるんですけど、デンマークの独自の音楽文化ってあまりないんですよね。でもそれって逆に言うと、海外の音楽を取り込むのがとてもうまいってことでもあって。僕も子供の頃からMTVとかを見て、英語の曲を口ずさんでいましたし。それは音楽だけじゃなくて、映画やアートにだって言えることですね。―ものすごくデンマークらしい姿勢ですね。ラワンさんはすでにデンマーク国籍を取得していますが、ある側面では異邦人としてこの国で何を感じますか?「この国いいな」って一番思うのが、タブーが一切ないこと。どんな意見を持っていようと、自由に発言できるし、それを受け入れて話し合える素地がある。「こんなこと言ったらひかれちゃうかも」と他人の目を気にすることなく、何でも思ったことを言えるんですよね。ちょうど最近面白いニュースがあって。デンマークでは、獣姦禁止法案が今年4月に可決されて、7月から執行されるんです。「動物とセックスする」ことは、ヨーロッパの多くの国は違法なので、そういうことをしたい人はわざわざデンマークまで来ていたんですよ。「アニマル・セックス・ツーリズム」といって。「動物とセックスする」なんてイラクなら口が避けても言えませんよ(笑)。きっと日本でもそうでしょう。そもそも今まで違法じゃなかったこともすごいんですけど、ここではそんなことまでまじめに話し合えるんですよ。しかもごく当たり前にね。DJとオーケストラ、異分野の融合がもたらす化学反応※動画が見られない方はこちら―タブーがないと言えば、ラワンさんはDJとしてオーケストラと共演していますよね。僕はYouTubeで見てビックリしたんですが(笑)、あれはどういうことなんですか?ある時、モーツァルトのレコードを見つけて、スクラッチし始めたら、それを見て面白がってくれたある人がいて。「今度一緒にやってみないか?」って誘ってくれたんですよ。で、やってみたところ、これがもう最高で! それから口コミでどんどん広がって、デンマークで最も有名なロイヤルオーケストラとも共演するまでに至りました。最近はオーケストラにDJが共演することは増えてきましたが、僕が始めたのは10年前。当初はそんなことをやる人は僕以外に誰もいませんでしたね。―イノベーターというか、先駆的な存在なんですね。そもそも、クラシック音楽とDJはまったく別ものなんですよ。クラシック音楽はアコースティックな楽器を使うから、再現がとても難しい。でもDJは電気で動く音源を使うので、何度だって再生できる。こんなに異なる世界が混じり合った時、どう転ぶかは2通りだけ。反発し合って何も生まれないか、お互いが化学反応を起こして想像を超える素晴らしいものになるか。
2017年07月03日初来日中の、両腕のないホルン奏者フェリックス・クリーザーが日本ホルン協会の主催で開いたトークライブを聞いた(6月13日・ヤマノミュージックサロン新宿)。【チケット情報はこちら】生まれつき両腕のないクリーザーは、ホルンを足で操作する。しかし配布されたプログラムに「そのことにフォーカスするのではなく、同じホルンを、音楽を愛するものとして、それらを通した喜びについて語り合う会にしたい」(日本ホルン協会会長・樋口哲生氏)とあったように、音楽に注目してほしいというのは本人の望みでもあるだろう。とはいえ、どのように演奏しているのかは気になるところ。楽器はごく一部をカスタマイズしている以外は通常のモデルのままだ。足を使うため、当然ながら座って吹く。マウスピースが口もとに来るように、特製のスタンドに楽器を固定する。そして通常は左手の人差し指、中指、薬指で押さえる3本のレバーを、左足の第1~3趾で操作する。足首の筋がとても発達しているように見える。動画投稿サイトには彼の映像もアップされているので、百聞は一見にしかず。ぜひ一度ご覧になることをお勧めしたい。この日披露したベートーヴェンのホルン・ソナタからも芳醇な音色と起伏に富んだ歌い口が聴こえてきて、ホルン奏者としての彼の卓越した美点が、けっしてその奇跡のような足技によるフィンガリングだけにあるのでないことがすぐにわかる。「ホルンの魅力をたくさんの人に伝えたい」というクリーザー。そのためにドイツでもこうしたトークライブやテレビ出演の機会を積極的に活用しているとのこと。その意味では、ハンディを乗り越えるどころか、それをプラスの要素に転じているとさえ言える。言葉を慎重に選ぶ必要があるが、好奇の目に晒されることも厭わないぐらい、ホルンを愛する気持ちは強い。1991年ドイツのゲッティンゲン生まれ。4歳の時に「ホルンが吹きたい」と宣言したというが、その理由やきっかけは自分でもわからないのだそう。「僕も不思議なんだ。両親は法律家で、もしかしたらホルンという楽器の存在さえ知らないぐらいだから。ひょっとしたらテレビで見て気に入ったのかもしれない。でもまったく記憶にないんだ」。音楽教室では木琴を勧められたが、頑なに「ホルン!」と言い張るので、教室の先生がついに根負けしたそう。ドイツではすでにベルリン・クラシックス・レーベルから、ソロと協奏曲の2枚のCDをリリース。昨年夏のシュレスヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭では、名誉あるレナード・バーンスタイン賞を受賞している。また、今回の来日に合わせて自伝『僕はホルンを足で吹く』も邦訳出版された(ヤマハ・ミュージック・メディア刊)。6月24日(土)には東京交響楽団の定期演奏会でハイドンとモーツァルトの協奏曲を吹く(秋山和慶指揮)。間違いなく現在最もホットな若手演奏家の一人だ。公演のチケットは発売中。取材・文:宮本明
2017年06月15日「人を泣かせて感動させるのは簡単。喜劇は難しいです!」オペラ創作をライフワークに掲げる作曲家・三枝成彰の初めてのオペラ・ブッファ(喜劇オペラ)《狂おしき真夏の一日》が10月に上演される。オペラ「狂おしき真夏の一日」チケット情報タイトルでぴんと来た人もいるだろう。作品はモーツァルトの《フィガロの結婚~あるいは狂おしき一日》へのオマージュであり、物語の設定も《フィガロ》を下敷きにしている。舞台は現代の鎌倉。浮気症の医師・大石は看護師エミコと長い愛人関係にあり、長男・太郎のフランス人の嫁フランシーヌにまでちょっかいを出そうとしている。一方の太郎もかつてエミコと関係があったらしい。ゲイの二男・次郎は新しい恋人の男性ユウキに夢中だが、そのユウキは、大石の妻・陽子の美しさにも惹かれてゆく。親子関係の3組のカップルの、邪心と純真、愛欲と金欲が招くドタバタの恋愛模様。大石夫妻が《フィガロ》の伯爵夫妻、太郎とフランシーヌがフィガロとスザンナ、ユウキはケルビーノに当たる役どころだ。今回の作品の発想の原点となったのが大石とフランシーヌの関係だった。「実話なんですよ。ある知人が、息子の美人嫁の写真を持ち歩いていた。親子だから、もともと好きな女性のタイプが同じなのかもしれませんよね。その父親の気持ちを膨らませていたら、使用人の婚約者を狙う《フィガロ》の伯爵と結びつきました」そのフランシーヌが太郎とともに登場するシーンは、《フィガロの結婚》冒頭と同じく、ふたりで部屋の寸法を測る場面。そこでは音楽もモーツァルトをそのまま引用しているのだそう。オペラ・ファンなら思わずニヤリとしてしまいそうな仕掛けだ。一方で、「難しい」と語る喜劇オペラにあえて挑む理由は、モーツァルトならぬヴェルディにもルーツがあるのだという。「ヴェルディが最後に完成したオペラが、オペラ・ブッファである《ファルスタッフ》。最後に喜劇を書きたいという気持ちは同じだと思います。最初から《ファルスタッフ》を意識していたので、フィナーレは出演者全員による九重唱のフーガで締めくくります」なるほど。《ファルスタッフ》の最後を飾る出演者全員のフーガが〈世の中すべて冗談〉なら、三枝の九重唱は〈世の中はいいようにまわっている〉だ。書き下ろしの台本は30年来の付き合いの作家・林真理子。そして、AKB48などで芸能界を牽引する大物プロデューサーの秋元康に、オペラ演出初挑戦を投げかけた。「オペラや演劇の演出家より、オペラのパターンをまったく知らない人がやるほうがいい。もちろんオペラ側の常識とぶつかることもあるだろうと思いますよ。でも秋元さんなら押し切ってしまうはず。力ですよ。歌手にとっては怖い存在かもしれない(笑)」「泣かせの三枝と言われて来ましたから」と笑う三枝が、エンタメ界の重鎮たちをスタッフに迎えて挑む初の喜劇。娯楽としてのオペラが、日本で初めて登場するのかもしれない。公演は10月27日(金)から31日(火)まで東京文化会館 大ホールにて。取材・文:宮本明
2017年05月31日映画『アマデウス』の全編上映とオーケストラの生演奏を組み合わせ、欧米で人気を呼んでいるライブ「アマデウスLIVE~ムービー・オン・クラシック」が、今年11月に日本初上陸することが決定した。「アマデウスLIVE ~ムービー・オン・クラシック」のチケット情報天才モーツァルトの波乱に満ちた人生と、その才能に嫉妬心を燃やすエリート作曲家サリエリの苦悩をドラマチックに描いた映画『アマデウス』。1985年のアカデミー賞で8部門(作品賞・監督賞・主演男優賞・脚色賞・美術賞・衣装デザイン賞・メイクアップ賞・録音賞)を受賞し、“史上最高の音楽映画”とも呼ばれている。この名作とオーケストラがコラボした迫力満点のライブが「アマデウスLIVE」だ。2016年秋にロンドンで初演され、瞬く間に大評判。「オペラより華麗!コンサートよりドラマチック!」と絶賛され、パリやプラハほかヨーロッパ主要都市での公演はチケット入手困難なほどの人気を呼んでいる。待望の日本初上陸の公演は、11月4日(土)・5日(日)に東京・オーチャードホール、11月11日(土)・12日(日)に兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホールで開催。チケットは、東京・兵庫公演ともにチケットぴあで先行販売を受付中。《公演情報》アマデウスLIVE ~ムービー・オン・クラシック(英語上映/日本語字幕付き)東京公演:11/4(土)・5(日) オーチャードホール兵庫公演:11/11(土)・12(日) 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール
2017年05月16日(写真:アフロ) 5月7日に決選投票が行われたフランス大統領選。極右「国民戦線」のマリーヌ・ル・ペン(48)と一騎打ちで争い、勝利した中道派のエマニュエル・マクロン(39)。 マクロンはフランス国立行政学院卒業後に財務省に入省、投資銀行に転職し、企業買収などを手掛けたエリートで、地元紙がつけた名は「金融のモーツァルト」。36歳の若さで経済・金融大臣に就任し、ついには自ら政治団体「Enmarche!(前進!)」を設立した。 「当然のようにメディアの注目を浴びましたが、彼を一段と有名にしたのは、いつも寄り添い支えている24歳年上のブリジット夫人(64)の存在です」(在仏ジャーナリスト) マクロンが16歳のとき、2人は生徒と教師という関係だった。彼はフランス北部の町アミアンにあるカトリック系の高校に進学し演劇部に入部、そこで顧問をしていたのがブリジットさんだったという。 「マクロンは学校ではつねに成績トップ、ずば抜けた知性を持っていました。そして毎週金曜日の夜に、2人で演劇の台本作りをしているうちに、惹かれあったといいます。その演劇を無事に終え、幕が下りたと同時に、舞台でお互いの頬にキスをしたという話も……。しかし、ブリジットさんには当時、夫がいたんです。彼女の長女はなんと、マクロンと同級生でした」(前出・在仏ジャーナリスト) マクロンの両親は、2人の恋仲に猛反対。彼の母親はブリジットさんに、「マクロンが18歳になるまで会ってはいけない」と命じたが、彼女は涙ながらに「それは約束できない」と語ったという。そしてマクロンは、アミアンから150キロ離れたパリの高校に転校することに。そのとき彼は、「必ず戻り、あなたと結婚する」と、ブリジットさんにプロポーズしたそうだ。 「それから13年、財務官僚になっていた29歳のマクロンは、前夫と離婚したブリジットさんとついに結婚。彼女は前夫との間に子どもが3人、さらに孫が7人おり、マクロンはすでに“おじいちゃん”ですが、夫婦は今も遊説やデートなどで、手をつなぐほどアツアツ。選挙戦でも、“美人弁護士”で知られる次女・ティファンヌさん(30)が、マクロン陣営を支えたことが、好感度アップにつながりました」(前出・在仏ジャーナリスト) 禁断の師弟愛に不倫略奪婚--。しかし、フランス国民はそれを受け入れているそう。 「彼の結婚はむしろ、“恋愛を成就させた理想の夫婦”だと、美談として語られているんです」(前出・在仏ジャーナリスト) 国際教養大学大学院客員教授で国際ジャーナリストの小西克哉さんもこう語る。 「オランド前大統領は女優との不倫疑惑が報じられましたし、ミッテラン元大統領に至っては隠し子がいて、愛人宅に帰っていたことは公然の事実でしたが、国民が注目するのはあくまで政治活動。プライベートとは切り離して考えるべき、というフランス人が多いんです」 くしくもアメリカのトランプ大統領(72)とメラニア夫人(47)も24歳差の“年の差婚”。これからは、ファーストレディの年齢にも注目!?
2017年05月14日“天使の歌声”の呼び名で世界中で愛されるウィーン少年合唱団が、日本ツアーのために来日。4月27日に都内で記者会見を行った。「ウィーン少年合唱団 2017年 日本公演」のチケット情報1498年創設の歴史を誇るウィーン少年合唱団。教育と伝統の継承を重んじる方針のもと、10歳から14歳の約100名のメンバー全員が寮生活をし、ハイドン、モーツァルト、シューベルト、ブルックナーという合唱団にゆかりのある作曲家の名がついた4グループに分かれて活動している。“ウィーンの音楽大使”として世界各地へのツアーを行っており、今年3月にはその活動が認められ、ユネスコの「無形文化遺産」に登録されたばかり。今回のツアーは「モーツァルト組」が来日し、2つのプログラム(A・B)を披露。Aプログラム「合唱名曲集」は、グレゴリオ聖歌からルネサンス、ロマン派から現代まで多彩な曲目が並ぶ。ウィーンの作曲家の作品も数多く、まさに合唱団の伝統を披露する内容といえる。もうひとつのBプログラム「世界の旅」では、世界各国の民謡ほか、日本語で歌う「ふるさと」「花は咲く」「ソーラン節」も注目だ。芸術監督のゲラルト・ヴィルトは「日本で初披露する曲や少年たちが楽器やダンスを披露したりと、老若男女誰もが楽しめる構成をご用意しました。ぜひご期待ください」と抱負を語った。記者会見の最後は、合唱団のメンバーたちによるパフォーマンス。ツアープログラムから「美しく青きドナウ」(J・シュトラウスII世作曲)とタケカワユキヒデの「ビューティフル・ネーム」の2曲を、まさに“天使の歌声”といえる美しいハーモニーで披露した。「ウィーン少年合唱団 2017年 日本公演」は、4月30日(日)常陸大宮市文化センター公演から6月18日(日)東京オペラシティ公演まで、全国各地で29公演がおこなわれる。
2017年04月27日『ゼロ・グラビティ』のアルフォンソ・キュアロンが製作、その息子ホナス・キュアロンが監督を務める『ノー・エスケープ 自由への国境』。本作で、主人公(ガエル・ガルシア・ベルナル)を追い詰める謎の襲撃者サムは、相棒ともいえる犬のトラッカーと常に一緒。1人の男と1頭の犬というコンビは、数々の傑作映画を生み出してきた“王道”設定だ。アメリカとメキシコの国境を舞台に繰り広げられる、サバイバル・エンターテインメントとなる本作。『バベル』「モーツァルト・イン・ザ・ジャングル」のガエル・ガルシア・ベルナルがメキシコからアメリカへ不法入国を試みる主人公モイセスを、「ウォーキング・デッド」の悪役で知られるジェフリー・ディーン・モーガンが不法入国者を襲う謎の男サムを演じ、逃げ場のない砂漠という空間で、一瞬たりとも目が離せない攻防が繰り広げられていく。“自由の国”アメリカへ、危険を冒してまで向かう理由とは?まさにこの瞬間、どこかで起きているかもしれない驚愕の“事件”を緊迫の88分間で描き出す。本作に登場する犬のトラッカーは、謎の襲撃者サムの相棒であり、家族であり、仕事仲間でもある。サムの言うことに忠実で非常に賢い犬だが、移民たちを執拗に追い続ける、実は本作で最も恐ろしい存在。注目すべきは、その演技力だ。トラッカー役は全部で3頭の犬が務めたが、演技の訓練を受けた犬ではなく、警備のための特別訓練を受けた犬が起用されている。警備犬だからこそのリアリティあふれる演技は必見。実はプライベートでも、大の犬好きで知られているジェフリー。彼がトラッカーを可愛がるシーンは、本作で唯一、緊張から解放されるシーンとなっている。また、そのほかにも、犬が相棒であることはもちろん、舞台が荒野や荒廃した土地となる傑作映画は数多い。すべてに共通するのは、デキる男ほど相棒に犬を選んでいるということ、そして、その犬が非常に優秀であるということ。そんな王道設定映画をまとめてみた。■『マッド・マックス2』1981年に公開され、現在もカルト的人気を誇る名作。主人公マックス(メル・ギブソン)は、妻子を殺されたショックから生きる希望と目的を失い、相棒である犬と共にV8ブラック・インターセプターに乗って砂漠を走り続けている。マックスが犬と一緒に旅するシーンや、缶詰のドッグフードを食べるシーンなどが非常に印象深い。この犬は撮影のために動物収容所から迎えられたそうで、本作のおかげで命を救われたのだ。名演技を数々披露し、人気キャラクターとなっている。■『リディック:ギャラクシー・バトル』2014年に公開された、銀河の彼方、荒れ果てた大地が広がる見知らぬ惑星に1人置き去りにされた凶悪犯罪者リディック(ヴィン・ディーゼル)とクリーチャーとの戦いを描いたSF映画。『ピッチ・ブラック』『リディック』の続編にあたる。本作に登場する“エイリアン・ジャッカル”は、リディックと一緒に生活するうちに心を許すようになり、いつしかリディックの相棒に。賞金稼ぎたちが来た際も一緒になって戦うが、その最中にリディックの身をかばい…。銀河一の凶悪犯罪者リディックの悲しみが印象に残る作品となっている。■『アイ・アム・レジェンド』荒廃したニューヨークを舞台にした、2007年公開のSF映画。ウイルス感染により、世界人口60億人のほとんどが絶滅していく中、ニューヨークではたった1人の生存者ネビル(ウィル・スミス)と愛犬のサムが暮らしている。ウイルス感染した人間“ダークシーカー”に襲われ、感染してしまうサムのシーンは涙なくしては観られないほど。ウィルは共演したサムを気に入りすぎて、飼い主に「譲ってほしい」と話したことがあるとか。孤高の男と忠実な1頭の犬。絵になりすぎる“王道”の組み合わせを、この機会に見比べてみては?『ノー・エスケープ 自由への国境』は5月5日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ノー・エスケープ自由への国境 2017年5月5日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開(C) 2016 STX Financing, LLC. All Rights Reserved.
2017年04月22日新日本フィルハーモニー交響楽団が、2017/18シーズンのラインナップを発表した。「新日本フィルハーモニー交響楽団」のチケット情報長年ドイツのオペラハウスで活躍し、国際的評価の高い指揮者・上岡敏之を音楽監督に迎えて2シーズン目となる2017/18シーズン。その中核をなす定期演奏会は、本拠地すみだトリフォニーホールでの「トパーズ」、サントリーホール・シリーズ「ジェイド」、金曜・土曜14時開演のアフタヌーン・コンサート「ルビー」の3シリーズ(全24公演)。上岡はうち8公演に登場し、ラヴェルの「ラ・ヴァルス」、シューマンの交響曲第1番「春」、ツェムリンスキーの「人魚姫」、ブルックナーの交響曲第6番などを指揮する。「映画で例えるなら、ハリウッド映画ではなくヨーロッパ映画です。絢爛豪華な花火ではなく、聴いた後で心に残り、何かを考えさせてくれるようなプログラムを目指しました」と上岡が語るとおり、派手さはないものの、奇をてらわずに作品と真っ向勝負の気概がうかがえる内容となった。客演の指揮者やソリストも実力者揃い。ウィーン・フィルのコンマス、ライナー・ホーネック、現代音楽に定評あるマルクス・シュテンツ、モーツァルトのピアノ協奏曲で上岡と共演するアンヌ・ケフェレック、自作を指揮する作曲家タン・ドゥン、北欧の巨匠オッコ・カムと錚々たる顔ぶれだ。「決してビジネスではなく、音楽と真摯に向き合って我々と共演してくれるアーティストだけを選びました」と上岡こだわりの人選がキラリ。2017/18シーズンは楽団創立45周年、そして日本初の自治体とのフランチャイズ提携である墨田区とのパートナーシップ20周年(本拠地のすみだトリフォニーホールも開館20周年)の節目だが、だからこそこれからの成長を視野に入れた、まさに地に足をつけたラインナップだろう。また、シーズンラインナップに加え、ファンには嬉しい新企画が誕生。「トパーズ」定期会員と、横浜みなとみらいホール特別演奏会「サファイア」のセット券購入者限定で、2018年3月開催の「上岡敏之ピアノ・リサイタル」へご招待するという。ピアニストとしての実力も超一級の上岡が、日本で初めて行うソロ・リサイタルだけに、まさにスペシャルな企画だ。続けて、ファンから演奏曲を募集したリクエスト・コンサート(7月21日(金)・22日(土)すみだトリフォニーホール)のプログラムも決定。ベルリオーズの幻想交響曲とパガニーニのヴァイオリン協奏曲の2曲が発表された。リクエストの選定にあたった上岡は「本当に数多く、様々な曲をリクエストして頂きました。その中から、今回は“ヴィルトゥオーゾ”をテーマにして、この2曲を選びました。他のリクエストも今後のプログラムの参考にしてきますので、どうぞご期待ください」と意気込みを語った。新日本フィルの2017/18シーズンは、9月22日(金)よりスタート。各シリーズ1回券のチケットは、9~11月公演が7月18日(火)、1~3月公演が10月17日(火)、4~7月公演が2018年1月30日(火)に発売となる。
2017年04月21日エマ・ワトソンを主演に迎え、世界で大ヒットを記録中の『美女と野獣』がついに本日4月21日(金)に日本上陸。これを記念して、劇中の大人気ナンバー「Be Our Guest(ひとりぼっちの晩餐会)」をプレミアム吹替版キャスト総勢11名が、見事なアカペラで歌い上げる特別映像が解禁となった。魔女によって野獣の姿に変えられた美しい王子。呪いを解く鍵は、魔法のバラの花びらが全て散る前に、誰かを心から愛し、そして愛されること。絶望のなか、彼はベルという女性に出会う。自分らしく生きながらも心に孤独を抱えるベル。果たして、その王子の運命を変えることができるのか…?今回解禁となったのは、舞台や映画で活躍している豪華キャストたちが、まるで公開を待ち望んでいた観客たちをもてなすような特別映像。使用された楽曲「Be Our Guest(ひとりぼっちの晩餐会)」は、アカデミー賞8回受賞を誇るディズニー音楽の巨匠アラン・メンケンが手掛けた名曲で、数あるディズニー作品の中でも多くのファンを持つ曲として知られている。この楽曲を、プレミアム吹替版を務めた実力派キャストたち11名がアカペラで披露している。そんなプレミアム吹替版の出演キャストといえば…■ベル役:昆夏美…初出演ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」のジュリエット役でプロデビュー。その後も「ハムレット」のヒロイン・オフィーリア、「レ・ミゼラブル」のエポニーヌ、「ミス・サイゴン」のキムなど、多くの女優が憧れる大役を次々と射止めてきた、ミュージカル界の枠を超えた新世代の歌姫。■野獣役:山崎育三郎…’07年「レ・ミゼラブル」のマリウス役に抜擢されて以来、「ロミオ&ジュリエット」「モーツァルト!」「ミス・サイゴン」「プリシラ」など数多くのミュージカルに出演。近年は「下町ロケット」をはじめ多くのTVドラマへの出演で活躍の場を広げている。■モーリス役:村井國夫…「レ・ミゼラブル」「マイ・フェア・レディ」「ミー&マイガール」など数え切れないほどの舞台に出演し、TVではNHK大河ドラマや時代劇、刑事ドラマなどで人気を博している。ハリソン・フォードの吹替など声優としても活躍が知られている。■ガストン役:吉原光男…劇団四季「美女と野獣」でガストン役を務めていた。その後’11年には、帝国劇場開場100周年記念公演「レ・ミゼラブル」で日本公演史上最年少の32歳でジャン・バルジャン役を演じた。■ル・フウ役:藤井隆…吉本新喜劇でデビュー後、バラエティ番組などで活躍。さらには「ナンダカンダ」で歌手デビューし、紅白歌合戦に出場を果たすなど、芸人、歌手、俳優としてマルチな才能を発揮。近年では「真田丸」「逃げるは恥だが役に立つ」などヒットドラマへの出演が続く。■ルミエール役:成河(そんは)…「グランドホテル」「100万回生きたねこ」「アドルフに告ぐ」「ショーシャンクの空に」などの主演舞台を多数経験。現在、劇団☆新感線「髑髏城の七人 Season花」に天魔王役で出演中。TVドラマへの活躍もひろげる注目俳優。■コグスワース役:小倉久寛…三宅裕司主宰の劇団「スーパー・エキセントリック・シアター」創立メンバーで客演としてミュージカルへの出演も多く、映画、ドラマ、バラエティ、声優、ナレーターなどとして幅広く活躍している。■マダム・ド・ガルドローブ役:濱田めぐみ…劇団四季に合格後、そのわずか 3か月後に「美女と野獣」のベル役でデビュー。その後、数多くの劇団四季作品でヒロインを務めると、退団後も多数の舞台で活躍。今年、第24回読売演劇大賞優秀女優賞を受賞。■プリュメット役:島田歌穂…「レ・ミゼラブル」日本初演で脚光を浴び、出演回数は1,000回を超える。同作の世界ベストキャストに選ばれ、英国王室主催の御前コンサートに出演。さらには参加したベストキャストアルバムがグラミー賞を受賞。そのほか、芸術選奨文部大臣新人賞、紀伊國屋演劇賞個人賞など多数の受賞歴を誇る。■ポット夫人役:岩崎宏美…’75年に「二重唱(デュエット)」でデビュー以来、「ロマンス」「すみれ色の涙」「聖母たちのララバイ」など、数多くのヒット曲をもち、87年にミュージカル「レ・ミゼラブル」の日本初演でファンティーヌ役に抜擢されて以来、くり返し同役を演じている。■チップ役:池田優斗…第39回モントリオール世界映画祭招待作品『at Homeアットホーム』やNHK大河ドラマ「平清盛」に出演、そのほかカンヌ国際映画祭特別招待作品『リトルプリンス~星の王子さまと私』『コウノトリ大作戦』などで声優としても活躍中。プレミアム吹替版オールスターズの“おもてなし”を、この映像から堪能してみて。『美女と野獣』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:美女と野獣 (2017) 2017年4月21日より全国にて公開(C) 2016 Disney. All Rights Reserved.
2017年04月21日新緑の上野の森で華々しく行われるゴールデンウィークの風物詩「N響ゴールデン・クラシック」。毎年、NHK交響楽団と話題のソリストの共演が好評を博す本公演だが、今年は指揮者をスペインの俊英ロベルト・フォレス・ヴェセスが務め、ソリストには現在ドイツで研鑽中で、2013年の日本音楽コンクール第1位など飛躍がめざましいヴァイオニストの大江馨が登場する。プログラムの前半にチャイコフスキーの協奏曲を披露する大江に意気込みや聴きどころを訊いた。N響ゴールデン・クラシック チケット情報抒情的な旋律美と華やかなスケールを併せ持ったチャイコフスキーの協奏曲は、大江が最も愛する協奏曲のひとつだという。「過去に仙台フィルなど3つのオケと共演したことがあり、人前で弾くのは今回で4回目。作品の魅力であり難しさは、フレーズの長さですね。他の協奏曲と比べても異様なまでに長く、ゴールに辿り着くまでの道のりは山登りを何度も繰り返すような感じ。それは、長く寒い冬を耐えて暖かい春を待つロシア人の心の表れなのかもしれません。3つの楽章の中で僕が一番好きなのは、情感に溢れた主題が壮大に展開する第1楽章です」2015年にも共演したことがあるN響(指揮は尾高忠明。プログラムはプロコフィエフの協奏曲第1番)の印象を、大江は次のように語る。「音色の美しさも、アンサンブルの精確さも素晴らしく、特に前者は世界的にも有数だと思います。今回共演する指揮者のヴェセスさんは初共演ですが、若くして管弦楽とオペラの双方で世界的に活躍されている方。自分と年齢の近い方との新しい出会いはいつも刺激を受けるので、今回もとても楽しみにしているところです」大学時代は慶應義塾大学で政治思想を専攻し、同時に桐朋学園大学で音楽も学んだ大江は、その共通点を「答えが出ないものを根本から議論して分析する政治思想は、楽譜の読み方にも通じる」と考える。今回の公演でも、研ぎ澄まされた感性と、瑞々しい知性が調和した秀演が期待できそうだ。また、開演前にはプレコンサートも開催され、J.S.バッハの無伴奏パルティータ第3番のプレリュード、モーツァルトのヴァイオリンとヴィオラのためのソナタK.423の第1楽章、ベリオのデュオ・コンチェルタンテ第1番の第1楽章を演奏する。モーツァルトとベリオではN響を代表する名手との豪華共演を予定しており、こちらも楽しみのひとつだ。公演は5月3日(水・祝)に東京・東京文化会館大ホールで開催。チケット発売中。取材・文:渡辺謙太郎
2017年04月17日『ゼロ・グラビティ』のアルフォンソ・キュアロンが製作を務め、息子ホナス・キュアロンが監督を務めた『ノー・エスケープ 自由への国境』。本作で主演を務めるメキシコ映画界のスーパースター、ガエル・ガルシア・ベルナルの場面写真がシネマカフェに到着した。メキシコとアメリカ間の砂漠の国境。不法入国を試みるモイセスと15人の移民たち。突如襲いかかる銃弾。襲撃者は正体不明。摂氏50度。水なし。武器なし。通信手段なし。“自由の国”を目指す命懸けの逃走劇がいま、始まる――。本作は、構想8年、奇しくもアメリカではトランプ政権が発足し、公約となる国境の“壁”が世界から注目されているさなかに、アメリカ=メキシコの国境を舞台に繰り広げられる、いま最もタイムリーなサバイバル・エンターテインメント。『バベル』『天国の口、終りの楽園。』のガエル・ガルシア・ベルナルがメキシコからアメリカへ不法入国を試みる主人公モイセスを、「ウォーキング・デッド」シリーズのジェフリー・ディーン・モーガンが不法入国者を襲う謎の襲撃者サムを演じ、逃げ場のない砂漠という空間で衝撃の攻防を繰り広げる。“自由の国”アメリカへ、危険を冒してまで向かう理由とは?まさにこの瞬間、どこかで起きているかもしれない驚愕の“事件”を、呼吸すら忘れてしまうほどの緊迫感で描く。このたび、主人公モイセスを演じたガエルが逃げて、隠れて、戦う場面写真が解禁!甘いマスクと演技力を兼ね備え、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』で知られる盟友ディエゴ・ルナと並んでメキシコ映画界随一の人気スターであるガエル。第73回ゴールデン・グローブ賞で自身の男優賞と作品賞の2部門を受賞したドラマ「モーツァルト・イン・ザ・ジャングル」での熱演も話題を呼んでいるが、本作でのガエルの力演も必見。先日の第89回アカデミー賞授賞式では、プレゼンターとして登場した際、「メキシコ人として、ラティーノとして、移民労働者として、ひとりの人間として、僕は僕たちを分断しようとするあらゆる形の壁に反対します」と壁建設に対する反発の声を上げるなど、何かと注目を浴びているガエル。本作のプロデューサーにも名を連ねており、本作にかける熱意も伝わってくる。しかし、劇中で彼が演じるモイセスは、正体不明の襲撃者サムに命を狙われ、隠れる場所もなければ、助けを求める手段もない。そんな状況の中、生きのびるために必死になって逃げる写真と、戦うことを余儀なくされ、唯一手にした武器で抵抗する様子が、場面カットではとらえられている。まさに生と死の狭間、極限の中で生きようとする緊張感あふれるガエルの姿を、劇場でも目撃してみて。『ノー・エスケープ 自由への国境』は5月5日(祝・金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ノー・エスケープ自由への国境 2017年5月5日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開(C) 2016 STX Financing, LLC. All Rights Reserved.
2017年04月08日ディズニー・アニメーション不朽の名作を、エマ・ワトソンを主演に迎え、ディズニー渾身の実写映画として生まれ変わる『美女と野獣』の来日記者会見が3月29日(水)、都内で行われた。会見にはメガホンをとったビル・コンドン監督、音楽を手がけるアラン・メンケン、そして日本語吹き替え版の声優を務める昆夏美(ベル役)、山崎育三郎(野獣役)が出席。昆さんと山崎さんが、映画をイメージした衣装に身を包み、主題歌である「美女と野獣」を披露すると、楽曲の生みの親であるメンケン氏は「お2人ともすばらしい才能の持ち主」と絶賛し、コンドン監督も「シンプルにして力強い歌声。早速、(実写で)日本版としてリメイクしなくては」と太鼓判を押した。一方、メンケン氏と対面した昆さんは「とても光栄で、涙が出ました」と感無量の面持ち。山崎さんも「ディズニー作品との出合いは、メンケンさんが音楽を手がけた『アラジン』がきっかけ。今日はモーツァルトを目の前にしているようで、光栄ですし、この場で一緒にいるのが夢のよう」とこちらも大感激。当のメンケン氏は「ひょっとして、僕のことを恐れ多いもののように感じていない?」とおどけ、気さくな素顔を見せていた。すでに全米では、公開から2週連続でボックスオフィスの首位をキープし、絶好調の本作。世代を超えて愛される名作の実写化に挑んだコンドン監督は、「完ぺきな映画を傷つけることなく、実写という新しい表現方式で描く上で、キャラクターの背景や心理描写をより現実的なものにすることを意識した」といい、「エマは21世紀を体現するヒロイン像を生み出してくれた」と感謝を語った。また、メンケン氏は「ウォルト・ディズニーの魂に立ち返り、誰もが愛してやまないアニメ版の世界を受け継ぎつつ、新たな要素を盛り込んだ実写作品で、出来ばえには心から誇らしさを覚えるよ。期待をはるかに超えていて、僕の長い人生における幸せなサプライズだ」としみじみ語っていた。『美女と野獣』は4月21日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:美女と野獣 (2017) 2017年4月21日より全国にて公開(C) 2016 Disney. All Rights Reserved.
2017年03月29日