展覧会「ヨシタケシンスケ展かもしれない」が、2023年10月15日(日)から12月24日(日)まで栃木の宇都宮美術館にて開催される。国を超えて親しまれる“ヨシタケシンスケ”の世界観を展覧会でヨシタケシンスケは、頭の中に広がる果てしない妄想やアイデア、クスっと笑える人のクセやしぐさ、世界の心理をつくようなものの見方を細かいペン先で表現し、そのユーモラスな世界観が世代を超えて人気を集めている絵本作家。2019年には『つまんない つまんない』の英語版『The Boring Book』でニューヨーク・タイムズ最優秀絵本賞を受賞している。作家の“発想の源”を覗く「ヨシタケシンスケ展かもしれない」では、絵本の中に溢れる独特なアイデアや発想の源である小さなスケッチの展示に加え、絵本原画、本展のためにヨシタケが考案した立体物や学生時代に制作した作品など約400点以上を展示。造形作家やイラストレーターとしての側面も紹介しつつ、ヨシタケの「頭のなか」を覗き込んでアイデアの源を体感できるような構成となっている。また、デビュー作の『りんごかもしれない』をはじめ『つまんない つまんない』『なつみはなんにでもなれる』など約20作の人気絵本より、原画やアイデアスケッチのほか体験型の展示も用意。大人も子どもも身体を動かしながら、5感を使ってヨシタケの世界観を堪能することができそうだ。ヨシタケ考案のグッズや書き下ろしイラスト入りの図録も展覧会のグッズには、絵本『ころべばいいのに』で登場するキャラクターのぬいぐるみをはじめ、ヨシタケ自身が考案したグッズが並ぶ。公式図録には展覧会のために書き下ろした未公開スケッチも収録されている。【詳細】展覧会「ヨシタケシンスケ展かもしれない」期間:2023年10月15日(日)~2023年12月24日(日)休館日:月曜日場所:宇都宮美術館住所:栃木県宇都宮市長岡町1077時間:9:30~17:00※入館は閉館30分前まで観覧料:一般 1,000円(800円)、高・大生 800円(640円)、小・中生 600円(480円)※未就学児は無料 ※( )内は20名以上の団体料金※会期中土、日、祝日および12月19日(火)〜 22日(金)はオンラインによる日時指定予約必須(詳細についてはウェブサイトを参照)【問い合わせ先】TEL:028-643-0100©Shinsuke Yoshitake
2023年10月10日展覧会「ヨシタケシンスケ展かもしれない」が、松坂屋名古屋店内の坂屋美術館にて、2022年12月10日(土)から2023年1月15日(日)まで開催される。ヨシタケシンスケ初の大規模個展ヨシタケシンスケは、頭のなかに広がる果てしない妄想やアイデア、クスッと笑える人のクセやしぐさ、世界の真理をつくようなものの見方を細いペン先で表現し、多くの人々を惹きつけている絵本作家。絵本出版以前よりイラストレーターや造形作家としても活躍してきた。2013年には初の絵本『りんごかもしれない』を出版し、そのほか『もう ぬげない』『りゆうがあります』『おしっこちょっぴりもれたろう』など、数多くの賞を受賞している。ヨシタケ初の大規模個展となる「ヨシタケシンスケ展かもしれない」では、作家の発想の源であるスケッチや絵本原画に加えて、本展のためにヨシタケが考案した立体物や愛蔵コレクションなど約400点以上を展示。発想の豊かさが持ち味のヨシタケの世界観に浸ることができる。“発想源”のスケッチ約2,000枚を展示絵本作家デビュー以前より描きためてきた1万枚を超える膨大なスケッチの中から、約2,000枚を複製し公開。妄想やアイデアにあふれ、世界の見方が詰まったヨシタケの頭の中を覗き見できる。絵本の世界を体感できる仕掛け&約400点以上の作品また、デビュー作『りんごかもしれない』をはじめ、『つまんない つまんない』『なつみはなんにでもなれる』など約20作の人気絵本の原画や構想段階のアイデアスケッチなどを紹介。加えて、ヨシタケのアイデアによって、作品の世界に入り込んだような体験展示も用意する。大人も子どもも体と心を動かして楽しめるのが魅力だ。さらに、学生時代の立体作品や、アトリエに保管されていた貴重な私物コレクションなど約400点以上の作品も展示。独自の世界観や創造力などを垣間見れるような作品が並ぶ。巾着やトートバッグなどオリジナルグッズもなお、会場ではヨシタケの絵本に登場するキャラクターをモチーフにしたオリジナルグッズが勢揃い。「甘いもので頭がいっぱい巾着」や「ミニトート おしっこちょっぴりもれたろう 緑」などを取り揃える。【詳細】展覧会「ヨシタケシンスケ展かもしれない」期間:2022年12月10日(土)~2023年1月15日(日)※1月1日(日・祝)は休館日場所:松坂屋名古屋店 南館 7階 松坂屋美術館住所:愛知県名古屋市中区栄3-16-1時間:10:00~18:00※入館は閉館30分前まで入館料:一般 1,000円(800円)、高・大生 700円(500円)、小・中生 400円(300円)※未就学児は無料 ※( )内は前売・優待料金
2022年12月01日2013年に『りんごかもしれない』で絵本作家デビューして以降、子どもから大人まで幅広い層に支持されているヨシタケシンスケ初の大規模個展『ヨシタケシンスケ展かもしれない』が4月9日(土)、世田谷文学館にて開幕した。『りんごかもしれない』『もう ぬげない』『あんなに あんなに』など、ひとつのテーマから想像や妄想をどんどん広げていき、発想の転換や違ったものの見方に気づかせてくれるヨシタケシンスケの絵本の世界。先日発表された第3回「小学生がえらぶ!“こどもの本総選挙”」では『あるかしら書店』ほか3作品がベスト10に入るなど絶大な人気を誇っている。展示風景より今回の展覧会では、そんな人気作品の原画やアイデアスケッチだけでなく、ヨシタケが考案した立体作品や私物のコレクションなども紹介し、人気絵本作家のインスピレーションの源を探っていく。4月8日(金)に行われた内覧会で登壇したヨシタケは「最初に展覧会のお話を頂いたときは、僕の原画はサイズも小さいし色もついていない。(展覧会場で見せたときに)絵本よりも情報量が減ってしまうから難しいと思いますと言っていたんですけど、じゃあ何ができるのか、いろいろな方々とアイデアを出し合いながら何とか作り上げていくことができました。普段、絵本づくりは僕と編集の方と2人でのやりとりなんですけど、展覧会って団体競技なんですよね。それぞれの技術を持ち寄って、何かひとりではできないものを作り上げていく高揚感を久しぶりに味わうことができてすごくおもしろかったです」と挨拶。展示室に入るとまず目に飛び込んでくるのが、約2000枚という小さなサイズのスケッチだ。これはヨシタケが絵本作家デビュー以前から常に持ち歩いている手帳に描きためていたスケッチを複製したもの。大きな壁面が約13×8センチメートルという小さなスケッチで埋めつくされている。アイデアスケッチで壁一面が埋め尽くされている展示風景より「半年間だけ会社員をしていたんですけど、結構辛かったんですね。それで紙に愚痴をイラスト付きで描いていたんです。でも会社の人に見つかったら大変なので、小さく描いていて、気づいたらそれが自分にとって描きやすいサイズになっていました(笑)」人気絵本の原画やアイデアスケッチの展示は、現物とともに拡大パネルが設置されているものも。ほかにも「じごくのトゲトゲイス」「りんごでうるさいおとなをだまらせよう!」など、ユニークな体験展示も用意されている。『りんごかもしれない』アイデアスケッチと原画『つまんない つまんない』のアイデアスケッチ座るとお尻が痛い「じごくのトゲトゲイス」りんごを大人たちの口のなかに投げて遊ぶ「りんごでうるさいおとなをだまらせよう!」「僕が子どものころ、展覧会に連れてきてもらってもつまらなかったんですよね。なので今回わざわざきて頂いた方には、大人は大人なりに、お子さんはお子さんなりに、それぞれがおもしろがれる場所がある方がいいなという思いがありました」ほかにも、壁と壁の間に、こそっと私物や資料が展示されていたり、付箋に手書きで解説が書かれていたり、動く年表が設置されていたり。会場じゅうにちりばめられた細やかな演出が楽しい。いろいろなところにオブジェや写真集などの私物が各年代のヨシタケがくるくると回転する年表展示風景より「(世の中には)いろいろな人がいて、ストレス解消のためにやっていたことが仕事にまでつながることもある。決まったことだけで正解にたどり着く訳じゃない、紆余曲折を経て、思わぬところで何か自分のもっていることが役に立つことだってある。そういうことを僕は小さい頃に誰かに教えてほしかったですよね。なので絵本を書く中で、僕が通ってきた道、そういう自分が小さいころ知りたかったことを形にできればいいなと思っています」展覧会は世田谷文学館のあと、兵庫、広島、愛知へと巡回する。【開催情報】『ヨシタケシンスケ展かもしれない』4月9日(土)~7月3日(日)、世田谷文学館にて開催
2022年04月13日絵本作家・ヨシタケシンスケ初の大規模個展『ヨシタケシンスケ展かもしれない』が、4月9日(土)より世田谷文学館にて開催される。絵本を出版する以前から、イラストレーター、造形作家として活躍してきたヨシタケシンスケ。これまで7度にわたりMOE絵本屋さん大賞1位を受賞。クスっと笑える人の癖やしぐさ、世界の真理をつくようなものの見方を細いペン先で書き続け、子供から大人まで多くの人から支持されている。同展では、約13×8センチメートルの小さな紙に描かれた、スケッチ約2,000枚を複製し一挙に公開するほか、デビュー作「りんごかもしれない」、「つまんない つまんない」、「なつみはなんにでもなれる」など、約20作の人気絵本の原画や構想段階のアイデアスケッチ、同展のために考案した立体物やアトリエに保管されていた私物コレクションなど、約400点以上を展示。子供も大人も体と心を動かして楽しめ、絵本の世界が体感できる会場で、ヨシタケシンスケの「頭のなか」を覗き見ることができる。発想の豊かさに支えられたヨシタケの「かもしれない」展示空間を体感した後、いつも何気なく見ているものが、ちょっと変わって見えてくる、かもしれない。「りんごかもしれない」ブロンズ新社 2013年愛用の手帳(「あんなに あんなに」スケッチ) 撮影:野澤亘伸《ぶくぶく観音》 撮影:加藤新作「りんごかもしれない」ブロンズ新社 2013年撮影:黒澤義教【開催概要】『ヨシタケシンスケ展かもしれない』会期:2022年4月9日(土)~2022年7月3日(日)会場:世田谷文学館( )時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)休館日:月曜料金:一般1,000円、大高・65歳以上600円、中小300円※日時指定制■展覧会公式サイト:※兵庫・市立伊丹ミュージアム、広島・ひろしま美術館、愛知・松坂屋美術館に巡回予定。詳細は展覧会公式サイトにてご確認ください
2022年03月14日ヨシタケシンスケさんの最新作『あんなに あんなに』のムービーが話題になっています。親なら誰でも一度は感じたことのある「あんなに」の連続が、ヨシタケシンスケさんならではの目線で描かれています。笑えて泣ける動画をご紹介! ヨシタケシンスケさんって?ヨシタケシンスケさんといえば、『りんごかもしれない』や『おしっこちょっぴりもれたろう』など、思わずプッと笑ってしまうのにどこか哲学的な絵本が有名。自身も2児の父であり、子どもだけでなく大人にも人気の絵本作家です。そのヨシタケシンスケさんの最新作が『あんなに あんなに』です。 この絵本は、なんと6月の発売前に重版が決定。今では国内累計15万部、 6か国語に翻訳されていて、世界累計では25万部を突破! そんな絵本の内容が、今ならムービーで全文が見られるので、ぜひチェックしてみてくださいね。 育児の"あるある"がいっぱいまずは、親ならみんな思ったことがある「あんなに」3連発からスタート。・あんなにほしがっていたのにもうこんな・あんなにきれいにしたのに もうこんな・あんなに「おなかすいた」って言ってたのにもうこんな とくに部屋の掃除や片付けは、きれいにしてもきれいにしてもなぜかその状態がキープできないという謎の現象が起こりますよね。掃除機をかけたその横で、飲み物をこぼしたり、お菓子をばら撒いたり。おもちゃをしまったはずなのに、目を離すと全部リビングにぶちまけられていたり…と。 子どもがいなかったときには考えられないスピードで部屋が散らかっていきます。 子どもの謎な言動"あるある" 次に出てくるのが、子どもならではの言動・あんなにさわがしかったのにもうこんな・あんなに元気だったのにもうこんな これは親なら「あるある」と笑ってしまうのではないでしょうか。遊んでたと思ったら、変な格好で寝てたり、昨日まで元気だったのに、起きたら37度の熱を出してたり…。その度に、笑ったり、慌てたり、怒ったり…。 長いようで短い子育ての時間 次には子どもの成長"あるある"が続きます。・あんなにちいさかったのに もうこんな・あんなになきむしだったのにもうこんな・あんなにブカブカだったのにもうこんな 赤ちゃんだと思っていたのに、あっという間にたっちができるようになり、よちよち歩きしていたと思ったら、あっという間に走れるようになって。育児をしていると本当に子どもの成長の早さには驚きます。 子どもが大人になり、やがて孫を連れて戻ってきて…。となるのですが、ただのほっこりで終わらないのがヨシタケシンスケさん流。ぜひ動画を最後まで見てみてくださいね。 動画が面白かった! 絵本で読みたい! という人はもちろん絵本も絶賛発売中ですので、この機会に、ヨシタケワールドに触れてみるのもおすすめです。 定価:1,320円(税込み) 画像提供・協力/ポプラ社 著者:ライター サトウヨシコ大学卒業後、大手食品会社に勤務。未経験から編集者を目指し転職。その後、結婚と出産を経て妊娠・育児雑誌のディレクターに。WEBメディアの新規事業立ち上げをし、2017年に株式会社フラミンゴミンゴを設立し、現在は数々のメディアに携わっている。
2021年10月21日人気絵本作家のヨシタケシンスケさんがファン宣言をした、クリハラタカシさん。絵本作家としても、注目度急上昇中だ。タッチは癒し系、物語は非凡。一度読んだらクセになる無二の世界。2015年に出版されたクリハラさんの『冬のUFO・夏の怪獣』が、このたび新版になって登場。表題作のひとつ「冬のUFO」は、親子3人で宇宙博物館に出かける話だ。収蔵されているレトロさが漂う宇宙船や建物。よく見かける、ふつうの親子の様子や会話。そんな光景に、オトナ女子の心をくすぐる愛らしさとユーモアがある。「作中で描いたように、親が何かを見てふいに笑いだしたとき、子どもは意味がわからなくてしつこく『なぜ?』と聞いたりしますね。でも大人のほうは、子どもに説明してもどうせわからないと放っておく。よくある場面だと思うんです。『こんなことを考えたことがあるかも』『言われてみればそうだ』など、ひとつひとつでは形にならなそうな、小さな“あるある”を掬い上げたいなと」子どもの頃からいままでの、自身が見たり経験したりした断片。すぐに消えていってしまいそうな感情。名前のない感覚。それらを集めて描いているという。基本的に読み切りスタイルだが、同じ登場人物が活躍する「ひろしとみどり」や「私立探偵大町駿作の事件簿以外」などシリーズになっているものもある。読んでいるうちに、各編にちりばめられた小ネタのつながりや人物相関図が見えてきて、それを発見するのも楽しみのひとつだ。ストーリーの軸は、うそばなし。「うそとわかりきってしゃべっている、どうでもいいうそが好きなんです。『こうだったら面白いよね』といううそに、さらに他愛のないうそをかぶせていくとか。昔、同人用語に“やおい”というのがあって、いまはBL(ボーイズラブ。もとは男性同士の恋愛を描いたマンガや小説を指す)という言葉に変わりましたが、その語源である“ヤマなし、オチなし、意味なし”の世界が僕自身は理想。それで面白いなら最高という気持ちなんです」色使いの独特のセンスも、クリハラさんの画の大きな魅力だ。「完璧な湿度や心地いい風がシャツの中を通り過ぎる夏の空気感みたいなのは描きたいことのひとつです。ひなびた場所と海が好きで、自分なりのユートピアを描きたい欲もあるので、それをひろしとみどりの旅先に組み込んだりしています(笑)」未読の人は、書店へ走れ!『冬のUFO・夏の怪獣【新版】』巻頭、巻末漫画を含む27編を所収。収録作「ひろしとみどり」のスピンオフ作品「日曜日のはじめちゃん」が『母の友』(福音館書店)で連載中。ナナロク社1200円©TAKASHI KURIHARAクリハラタカシマンガ、イラスト、アニメーションなどを制作。著書に『ツノ病』(青林工藝舎)、『ゲナポッポ』(白泉社)など。くりはらたかし名義で、絵本を手がける。※『anan』2021年2月24日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2021年02月20日子どもから大人まで幅広い人々を魅了する、当代一流の絵本作家のひとり、ヨシタケシンスケさん。ゆるかわな絵のタッチも、思いがけない角度から切り込む発想も、親近感が湧いて愛でずにはいられないヨシタケさんの絵本たち。このたび、著者初となるイラストエッセイ集『思わず考えちゃう』が刊行された。ゆるかわスケッチとエッセイの中に、新感覚のヨシタケ流哲学が見え隠れ。「講演会などで、“常日頃から手帳に描いているスケッチを、手元カメラでスクリーンに映し出してもらい、そのイラストに対してコメントする”というようなことをよくやっていたんです。それをテーマごとにまとめてみたのがこの本です」だが、イラストのほっこり加減とは裏腹に、コペルニクス的転回が起きそうな鋭い名アドバイスが並んでいる。やる気を出す方法として〈もう明日やるよ。すごくやるよ。っていう言葉を三回唱えてから寝る〉。仕事に対して〈できないことをそのままにするっていう覚悟の決め方(略)もあるんじゃないか〉等々、目からウロコ。「いまの社会でメジャーな前向きな考え方やものの言い方にこそ、やる気を鼓舞される方もいると思うんです。ただ、7~8割の人がそう考えていても、2~3割の人はきっとそう思えなくて、世の中の隅っこで悶々としている。じゃあ、陽が当たらない意見側の僕みたいな人間は、どんな言葉ならほっとするのだろう。やる気が出るのだろう。そんな自分に対する言い訳や負け惜しみを集めた本でもあって(笑)。もしこれを読んで救われたとか共感したと思う誰かがいるのならそれはうれしいし、何よりそう描くことで、僕自身が救われたいんだと思いますね」日常のスケッチを始めたのは大学時代。社会人1年目に、ノートを手のひらサイズのシステム手帳に変更して以来、こつこつ描き溜めたものがすでに約80冊ある。コピックというサインペンの0.3mmを愛用。できあがりの絵のサイズは数cm四方と、驚くほど小さい。「“描いておかないと忘れてしまいそうなくらいどうでもいいこと”が、何を描くかの基準のひとつです。自分の気分を盛り上げるためだけに描いていたものが、他の人にも喜んでもらえるというのは不思議な感覚。人生何があるかわからないものだなあと、我ながら面白いです」『思わず考えちゃう』どうでもいいことの中にその人らしさは宿り、ときに哲学も生まれる。イラスト100点以上収録、描き下ろしのスケッチ解説エッセイ付き。新潮社1000円1973年、神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。絵本デビュー作『りんごかもしれない』で一躍注目を集め、話題に。MOE絵本屋さん大賞第1位をはじめ、受賞歴多数。※『anan』2019年5月15日号より。写真・土佐麻理子(ヨシタケさん)中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2019年05月12日今月の人。脳研究者・薬学博士池谷裕二さん1970年、静岡県生まれ。1998年、東京大学大学院薬学系研究科で薬学博士号取得。2002~2005年コロンビア大学客員研究員を経て、2014年より同学部教授。専門分野は大脳生理学。特に海馬の研究を通じて、脳の健康について探求している。文部科学大臣表彰 若手科学者賞(2008年)、日本学術振興会賞(2013年)、日本学士院学術奨励賞(2013年)などを受賞。著書に『記憶力を強くする』、『進化しすぎた脳』、『受験脳の作り方』、『パパは脳研究者 子どもを育てる脳科学』、『脳には妙なクセがある』など多数。「ぱぴぷぺぽ」の音とカラフルな色と形の世界に赤ちゃんも大はしゃぎ!『ぽぱーぺ ぽぴぱっぷ』絵・おかざきけんじろう文・谷川俊太郎¥1200/クレヨンハウス谷川俊太郎さんの「あかちゃんから絵本」シリーズ。多彩な創作活動を展開するアーティスト、おかざきけんじろうさんの絵を見て、谷川俊太郎さんが文を書きました。「ぱぴぷぺぽ」の音に合わせて、ヘンテコなものたちがあっちこっちに……。赤ちゃんと一緒にパパ、ママも心地よい言葉のストレッチができます。読み聞かせのときは、大きく口を開けて、大きな声で読むのがポイント。「初めて手に取ったのは、長女が生まれて半年くらい経ったとき。ストーリーはなく、ただ“ぱぴぷぺぽ”の音と、原色っぽい色と形の抽象画で構成されているんですよ。この音と光!人間の原点というか、魂に直接触れちゃうようなイメージですね。赤ちゃんでもめちゃめちゃ反応します。たぶん500回じゃすまないくらい読んだので、うちの絵本はボロボロです。最初は読むのが大変だったけど、もう見なくてもぜんぶ言えちゃうくらい(笑)」音に敏感な詩人ならではのセンス読めばポーンと心地よく胸に入ってくる「私は絵本好きだという印象があるんでしょうね。まだ子どもがいない時から、学生さんが『先生、これ誕生日プレゼントです』って、よく絵本をプレゼントしてくれたんですよ。だから、むしろ大人になってから知った絵本が多いです。絵本って、もちろん子どもが読むのもいいけど、大人も楽しい。物語のように起承転結もいらないし、伏線を回収しなくてもいい。それって絵本だけに許された自由なんだと思います」脳研究者として、長年、さまざまな研究を続けるかたわら、脳について最先端の知見を老若男女、世界に向けて分かりやすく伝えている池谷裕二さん。私生活では現在5歳半の長女、2歳半の次女がいる、子育て真っ最中のパパでもある。「子どもがもっとちっちゃかった頃は、大脳生理学的に考えて、絵本を選んでいました。インパクトのある音や色が使われているなど、フィルターなく、子どもの脳にストレートにポンと届くもの。それ以外に、ひらがなだけで構成されているかどうかもチェックしていましたね。字を覚え始めの頃って、カタカナは読めないですから」まずは親が実際に声に出して読んだときに、子どもの耳にどう響くかが大事。その点、詩人の谷川俊太郎さんによる「あかちゃんから絵本」シリーズはさすがの完成度。中でも、池谷さんが一番好きなのが『ぽぱーぺぽぴぱっぷ』だ。「もともと谷川俊太郎さんの詩が好きで、『二十億光年の孤独』などの詩集は家の本棚に並んでいます。読むたびに、谷川さんの言葉のセンスって素敵だなと思っていたところに、この絵本。もはや言葉ですらない、音のセンスなんですよ。パピプペポだけで、こんなに表現できちゃうんだ!という感動。この作品自体が絵本というより、芸術ですね」最初のうちは噛まずに読むのが難しい。でも、何度も繰り返し読んでいるうちに、いつしかリズムよく、なめらかに読めるようになる。この爽快感ときたら!「子どものためというより、結局、私が好きなんですよ。子どもがいないときも、私ひとりで読んでいますもん(笑)。スラスラ読んでいると、気持ちが明るくなってきます。長女は今、妹に絵本を読んであげるのが好きで、この絵本も読み聞かせしているんですけど、やっぱりまだうまく読めず、悪戦苦闘しています(笑)」魅力的な絵本はいつだってイマジネーションを刺激してくれるこのところ、池谷さんの家の本棚に増えつつあるのが、ヨシタケシンスケさんの絵本。きっかけは、昨年出版されたヨシタケさんの育児マンガ『ヨチヨチ父—とまどう日々』を読んだことだった。「もうウケましたね。こんなおもしろい絵本作家さんが最近いらっしゃるんだと。その後、ヨシタケさんの絵本をたくさん買ったんですが、僕の中で自然に感覚がフィットするのが『なつみはなんにでもなれる』です。読み手のイマジネーションを刺激するというのは、絵本にとってすごく大切なことだと思っていて。この絵本の主人公の女の子のように、物マネ遊びをするって、まさにイマジネーションの世界に入ることなんです。何かの特徴を見つけて、工夫しながらマネして、相手に伝えようとする。そもそも“学ぶ”という言葉は“まねぶ”つまりマネをするというのが語源なんです。模倣することで、私たちは何でも学んでいく。だから、子どもの物マネって、学びの原点なんですよ」両手をウサギの長い耳に見立てて、うさぎのマネをするのだって、立派なイマジネーション。あらゆる動物の中で、自発的に他の動物の物マネをするのは人間だけなのだ。「反論もあるんですよ。たとえば『九官鳥だってマネしているじゃん』って。でも、あれは意味も分からず、音をコピーしているだけ。マネっていうのは違うんです。もっと広くて、ふくらみがある。マネすることによって、そこから発展していくものがいくらでもある、というのが本当のマネなんです」柔軟な視点を持つために常識をくずすことを子どもに教えたい池谷さん自身が影響を受けたメッセージ絵本として忘れられないのが、2001年に発行され、大ベストセラーになった『世界がもし100人の村だったら』。池谷さんが奥様と結婚する前、誕生日プレゼントに贈った思い出の本でもある。「妻とつきあい始めたのが、ちょうど2001年だったんです(笑)。世界を100人の村にたとえて、比較することで、日本がこんなに特殊な国なんだということが分かってハッとしましたね。当時は若造で粋がって、自分では視点をたくさん持っているつもりだったんだけど、これを読んだら、自分は何も知らなかったんだなぁと。反省するとともに、もうちょっと謙虚に生きなきゃいけないな、そもそも常識って何だろう?などと、いろいろ考えさせられました。私が本を書くときは、常識をくずすことをひとつの目標にしているんですが、そういうスタイルの原点になっています」池谷さんが自身の著書を通して伝えたいことは、やはり親として、子どもたちに伝えたいことともダイレクトにつながっている。「子どもって、何かものを見たときは『こうだね』って、すぐ言っちゃいますよね。そのときに『でも、そういう見方だけじゃなくて、こういう見方もあるよね』と、常に教えるようにしています。『君から見ればそうだけど、相手から見たら、こう感じるかもしれないよね』とか。そうやって、親子で会話するときに『あなたが信じている世界が正しいとはかぎらないよ』と伝えることを、長女が2~3歳の頃からずーっとやってきました。これがいいことか悪いことかは分かりません。だって、子どもだって、信念が必要でしょう。それをいきなり壊しているわけですからね。でもその声かけによって、娘は今、パッと何かを考えたときに、それに飛びつかないで、これってああかもしれない、こうかもしれないって、考えるクセがついています。まさにヨシタケシンスケさんの『りんごかもしれない』と一緒ですよ。だから、もしかすると変な性格になっちゃっている可能性もあるんだけど(笑)、娘が将来、柔軟な視点を持つために、すごく大切なことだと思うんです」[ 池谷さん、これもオススメ ]子どもの物マネは〝学び〟の原点子どもと親、それぞれの目線に共感『なつみはなんにでもなれる』作・絵ヨシタケシンスケ¥1000/PHP研究所人気の絵本作家ヨシタケシンスケさんがおくる、くりかえしが楽しいマネっこ絵本。なつみは「すごくいいことおもいついたよ!」と、お母さんのところにやってきました。そして、「なんのマネをしているか、あてるゲームだよ!」と問題を出します。毛布にくるまったり、手をグルグル回したり、いろいろなやり方で何かのマネをしていきますが、お母さんはなかなか当てられなくて……。親子のほのぼのとしたやりとりも見どころです。「子どもがごっこ遊びをする日常のシーンを描いた絵本ですが、初めて読んだときに大爆笑しました。最後まで、まともに読めなかった。笑っちゃって。女の子が一生懸命、アサリの物マネをする場面の可愛さなんて、もう(笑)。親から見ても、あぁ、子どもって、確かにこう!って、共感できる楽しさがありますね。長女は最近、毎日のようにこの絵本を読んでいます。それで妻のところに行って『これなーんだ?』ってやるんですよ(笑)」ラララン ロロロン♪心をつかむフレーズこんな魔法みたいな服があったら最高!『わたしのワンピース』作作・にしまきかやこ¥1100/こぐま社空からフワフワと落ちてきた真っ白い布で、うさぎさんがワンピースを作りました。出来上がったワンピースを着て、お花畑を散歩していると、ワンピースはいつしか花模様に。雨が降ってきたら、水玉模様に……。場面が変わるたびに、次々と柄が変わっていきます。1969年の発行以来、世代を超えて愛され続けているファンタジー絵本の名作。「うちの子はふたりとも女の子で、ワンピースが大好きなんですよ。この絵本のワンピースはさらに柄がどんどん変わっていくんですから、最高ですよね。一方、私がこの絵本に惹かれるのは、ララランロロロンという音の連続。読むと、頭から取れなくなっちゃう。特に意味はなくても、心をグッとつかむ力があるのがいいなぁって。作者が一文字一文字、練りに練った音のリズムと、豊かなイマジネーションの両方を兼ね備えた絵本ですね」子どもの想像力を刺激して、聴く力を育てる親子で聴きながら会話もはずむオーディオブック『お話、きかせて!聴く絵本 むかしばなし ベスト100』¥2700/パンローリング日本のお話からは『ももたろう』や『かぐや姫』、外国のお話からは『大きなカブ』や『三匹のこぶた』。イソップ、グリム、アンデルセンの三大童話も含め、本当に子どもに聴かせたい有名な昔話を集めて、100話にまとめました。子どもが集中して聴けるように、お話は1話5~10分程度。耳で聴くことで記憶に残りやすく、きれいな日本語を自然と学べます。「今、長女は〝耳で聴く絵本〟にハマっています。シリーズになっていて、500話くらい集めているところです。移動中の車の中や、夜寝る前の寝室で、毎日ずっと聴いているほど大好き。私も娘と添い寝しているので、一緒に聴いているうちに、世界中の昔話にすっかり詳しくなっちゃいました(笑)。娘も真剣に聴きながら、見たこともない昔の情景を子どもなりにちゃんと想像しているみたいです。『マッチ売りの少女』に出てくる『マッチって何?』と娘に聞かれたときは、後日、実物を手に入れて、目の前で火を点けてあげました」Illustration:Yuka HiiragiText:Keiko IshizukaComposition:Shiho Kodama
2018年09月22日ポプラ社創業70周年を記念して行われた『小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙』のベスト 10 結果発表会が5月5日、東京都荒川区立図書館「ゆいの森あらかわ」で開催されました。表彰式では、投票者の中から選ばれた小学生 10 名のプレゼンターが、自分が投票した本の作者(出版社)に表彰状を贈呈。アンバサダーとして作家・お笑いタレントの又吉直樹さんも登場し、「“子どもを本好きにする”方法」を教えてくれました。■又吉直樹が明かす“子どもを本好きにする”方法今回、芥川賞作家・お笑い芸人の又吉直樹さんがアンバサダーを務めます。又吉さんが登場すると、プレゼンターの子どもたちをはじめ、会場中のみなさんが一気に笑顔に! “本好き”として知られる又吉さんによる、ママにとっても興味深いトークの内容とは!?――子どもの頃から本が好きでしたか?いわゆる文学を読み出したのは中学ですが、本自体は保育所で読み聞かせをしてもらってるときから好きでしたね。読みながら物語に入っていくタイプなので、作中人物に話しかけてみたり、「なんでこうなるんやろう?」って疑問を持てたりするのがすごく好きでした。物語に入って行けるっていうのは、どんなジャンルの本でも重要。あとは「笑える」っていうことも大切ですよね。見たモノに自分が反応できるというところが、本のすばらしいところじゃないかと思います。――ふだん、どのように本を読まれますか?僕は、再読するのが好きなんです。中学のときに読んだ本を、大人になってから読み直してみると、全然違った読み方ができる。本を読みながら大事なところに赤線を引くのですが、読み返すと線を引いてない部分が気になってくる。そして今度は青線で引いて。また読み返すと違うところが気になって…結局全部に線を引いて、何が重要かわからなくなってしまうんですけど(笑)。でも、それくらい本って無駄なところがないんですよね。想像する余地があるというか。楽しもうと思えば永遠に楽しめるものだと思うので、みなさんにも再読をすすめたいですね。――子どもが本を好きになるために、親ができることは?難しいですよね…でも、「親が本を読んでいる家では、お子さんも読む可能性が高い」という話は聞きますね。ただ、僕の家は両親ともに本を読まないんですよ。うちには両親と姉が二人いるんですけど、僕が数年前に書いた『火花』という小説は母親しか読んでなくて。姉が先日、「そろそろ読んでみようかな」と言っていました(笑)。(本を好きになるきっかけは)やっぱり「一冊の出会い」ですかね。僕は中学の教科書を読んでるときに、自分がふだん考えてるようなことが書かれていることに気づいたんです。そこから(本の世界に)入って行けました。自分の世界が広がる本とか、「これは自分かもしれない」と思える本に出会える場があるとか。それをどれくらい周りが作れるかわからないし、自発的に出会ったほうが感動的なものになるかもしれない。でも、そういう機会が起こりやすい状況を(親が)作ることは大切かなと思います。■“こどもの本”総選挙 最強の1冊は?それでは『小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙』のベスト 10 結果発表をお届けします。表彰式で明かされた、プレゼンターたちの“本を選んだ理由”もご紹介!●第1位「おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典」(監修/今泉忠明 2016 年 高橋書店)プレゼンター(小6)「残念な生き物のことをよく知ることができました。そして、残念なところを改善していきたいと思いました」今泉さん「ビックリですね。子どもの頃はいたずらばかりしていて、賞なんてもらったことは一度もないんです。だから僕は、残念な子どもだったんじゃないかなぁと思っています(笑)。ありがとうございました!」又吉さん「たしかに残念なんですけど、それが個性で残念な部分を知ってもその動物を嫌いにならず、むしろ好きになれました。それって、人間を観るときにも活かされる気がします。残念な人間っていっぱいいるんですけど(笑)…それを欠点として見るのではなく、ユニークな部分として見ることもできるのかなと思いました」●第2位「あるかしら書店」(著/ヨシタケシンスケ 2017 年 ポプラ社)プレゼンター(小3)「僕は作家になりたいので、あるかしら書店で“作家の木の育て方”を買いたくなりました」ヨシタケさん「『こどもの本総選挙』ということで本が好きな子どもたちに、この本を選んでもらえたというのはうれしいです。これからも本を読んで、たくさんのことを考えながら、大人になってほしいと思います」●第3位「りんごかもしれない」(作/ヨシタケシンスケ 2013 年 ブロンズ新社)プレゼンター(小3)「先日も給食のみかんを手にとって、『これはみかんの形をしたUFOかもしれない』とか言い合って、友達と遊びました。この遊びはとても楽しいです」●第4位「おもしろい!進化のふしぎ 続ざんねんないきもの事典」(監修/今泉忠明 2017 年 高橋書店)プレゼンター(小5)「読み始めはうそだと思ったけれど、図鑑で調べると本当だと気づきました。本当のことが書いてあるなら、大きな図鑑で調べるより楽だからいいなと思いました」●第5位「おしりたんてい かいとう VS たんてい」(作・絵/トロル 2017 年 ポプラ社)プレゼンター(小4)「謎解きや迷路がワクワクしておもしろいし、おしりたんていの決め技はいつ見ても妹と大笑いしてしまうほどおもしろいです。最近は、下の妹にも読んであげています」●第6位「おしりたんていいせきからの SOS」(作・絵/トロル 2017 年 ポプラ社)プレゼンター(小4)「読んだときに、自分が冒険の世界に入ったような気がしたから、この本を選びました」●第7位「このあとどうしちゃおう」(作/ヨシタケシンスケ 2017 年 ブロンズ新社)プレゼンター(小2)「私のひいおじいちゃんは3年前に亡くなりました。ひいおじいちゃんが、天国で幸せに暮らしていたらいいと思いました」●第8位「ぼくらの七日間戦争」(作/宗田理 絵/はしもとしん 2009 年 KADOKAWA)プレゼンター(小6)「主人公達が大人の言うことを聞かない自分たちの解放区をつくったのがスゴイと思ったし、友情にも感動しました」宗田さん「この本を書いたのは、30年以上前。それを今でも読んでいただいて、こんな賞をいただけて本当にありがたいと思っています」●第9位「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」(作/廣嶋玲子 絵/jyajya 2013 年 偕成社)プレゼンター(小4)「私は少し恐くておもしろい本が大好きです。銭天堂はゾクッとするおもしろさがあります。内容もひとつひとつ細かくて、お話の世界に入ったように感じます」●第10位「りゆうがあります」(作・絵/ヨシタケシンスケ2015 年 PHP 研究所)プレゼンター(小4)「そうだなと思うことがたくさんあって、私もストローガジガジコンテストで優勝したいと思いました」■約13万人の小学生が選ぶ「一番好きな本」『小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙』は、“子どもたちにおもしろい本と出会える機会を作り、本をもっと身近に感じてもらいたい”という思いから、今回初めて開催されたイベントです。2017年11月1日~2018年2月18日までの期間、全国の書店、小学校、公立図書館、ホームページで投票用紙(投票フォーム)を配布し、「自分が一番好きな本」を募集しました。投票できるのは小学生のみ(2017 年10 月 1 日時点)にもかかわらず、投票数は12万8,000票超えの大反響。ポプラ社代表取締役の長谷川均さんは「総選挙を新たな本に出会うきっかけにしてほしい」と話し、来年以降も継続したいと展望を明かしました。『小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙』総選挙の結果は、全国 3,000 店以上の書店および公立図書館(一部)で公表予定。100位までのランキング詳細は、公式サイトでチェックできます。公式サイト:
2018年05月10日神奈川県生まれの絵本作家「ヨシタケシンスケ」さん。彼が2013年に出した初めてのオリジナル絵本『りんごかもしれない』はこれまでにない「筋立てのない絵本」として異例の大ヒットをとばし、今でもたくさんの人を魅了し続けています。今回は『りんごかもしれない』と同様、あるいはそれ以上にヨシタケワールドを堪能できる絵本をご紹介。ニヤニヤ笑いがとまらなので、書店で立ち読みするときはご注意を…。■もう ぬげない作:ヨシタケシンスケ/出版社:ブロンズ新社 「もう ぬげない」 着替えをするために服を脱ごうとバンザイをしたら、そのまま脱げなくなってしまった少年。ずっとこのままだったらどうしよう… と不安になるところまでは耐えられても、そこからふくらんでいく子どもらしさ全開の妄想に思わず吹き出してしまう人続出!「本人はいたって真剣なところが良い」「最後の二段オチにやられた!」と、口コミでもどハマりするとの意見が多数寄せられています。「まったくもう…」と呆れさせながらも「それも、かわいいんだけどね」と子どもを愛しく思う。この作品を読むと、そんな親心があふれてくるのが分かります。■あるかしら書店作:ヨシタケシンスケ/出版社:ポプラ社 「あるかしら書店」 「あるかしら?」とたずねると「ありますよ!」とおすすめの本を持ってきてくれる「なんでもある」書店の店主。紹介してくれる本のなかには上半分、下半分の2冊に分かれており、上下に本をくっつけないと文章を読むことができない「2人で読む絵本」や、月明かりだけに反応して文字が発光するから、満月の夜だけしっかり読むことのできる「月光本」などがあり(月が欠けているときはその分、発光が弱まる)、ありえないけれど、あったら読んでみたい本ばかり! ヨシタケさんの本に対する深い愛情があふれた一冊となっています。■つまんない つまんない作:ヨシタケシンスケ/出版社:白泉社 「つまんない つまんない」 「あ~つまんない」は子どもの口癖のひとつですよね。この絵本ではそのつまらなさに「なぜ?」という疑問を投げかけています。何が「つまんない」で、何が「おもしろい」なのか。それを確かめるため、考える主人公の男の子。ぐるぐるまきにされるのはおもしろい? ちょっとずつ座るところを変えてみるのは? こういうのはおもしろそうだけど、こういうのはつまらなそう。やっぱり広がっていくヨシタケワールドのなかで、大人になってからの「つまらなさ」について改めて考えさせられたという人も。つまらないって何だろう。素朴で深いテーマに親子でふれることができそうですね。■ヨチヨチ父 とまどう日々作:ヨシタケシンスケ/出版社:赤ちゃんとママ社 「ヨチヨチ父 とまどう日々」 表紙には赤ちゃんとパパ。だけどパパは赤ちゃんとまったく同じ姿をしています。この絵本では新米パパが妻の出産をどんなふうに感じ、初めての子育てにどう向き合っていたのかが、ユーモアたっぷりに描かれています。実は出産する妻にドン引きし、生まれたての赤ちゃんにショックをうけていた。首の座らない赤ちゃんの抱っこの仕方が分からず、鏡の前で意味不明なポーズをとりつづけていた。会社でする出産報告と名前発表でやけに緊張していたなど…。「育児の大変さ、楽しさがおもしろく描かれていて子育てに前向きになれる」「ママも、パパの気持ちが少し理解できるようになるかも」との意見もあり、出産祝いの絵本としてもおすすめできそう。「学校行事、習いごと、お受験編などシリーズ化してほしい」と続編を望んでいる人もいました!■ふまんがあります作:ヨシタケシンスケ/出版社:PHP研究所 「ふまんがあります」 大人はいろいろとズルい。だからズルいのをやめてもらおう。パパのもとへ向かう女の子ですが、その先の2人のやりとりが圧巻です。「どうして大人は起きているのに子どもは早く寝なくちゃいけないの?」「どうして寝る前にお菓子を食べちゃダメなの?」女の子のふまんに、なかなか考え付かないユニークな返しをするパパ。「実は次のクリスマスのために、調査員が夜早く寝る子かどうかを調べにくるんだよ」「(寝る前にお菓子を食べないほうが)寝たあと夢のなかに出てくるお菓子が大きくなるらしいんだ」。丸め込まれそうになる女の子を「がんばれ!」と応援したくなる気持ちが出てきたり、頭のやわらかいパパの発想に感心したりと親目線で楽しめる要素も多くあります。パパの言い訳をどこまで信用するのか、読み聞かせしたときのわが子の反応も気になるところですね!ヨシタケさんの絵本を読むと、大人も子どももニヤニヤ笑いがとまらなくなってしまいます。そんな作品は、とても貴重ではないでしょうか。決められた筋書きは一切なし! こうなったらおもしろそう、ああなったらどうなるだろう…。想像する時間を愛おしく思えるようになる。それがヨシタケさんの絵本の魅力なのかもしれませんね。
2018年02月03日