2020年に大ヒットし、アカデミー賞で4部門を獲得した『パラサイト 半地下の家族』。家族ドラマでありながら強烈な風刺や演出で話題になりました。同作のように『家族』をテーマにしながら、物語に『ひねり』を加えた『異色の家族映画』をご紹介します。お化け屋敷にロボットバトル そこから垣間見える親子の絆アダムス・ファミリーまずは、1991年公開のファンタジックコメディ映画『アダムス・ファミリー』です。カートゥーン作家のチャールズ・アダムスの同名漫画を原作とした映画で、1993年には続編も公開されました。2020年9月にはCGアニメ映画版も公開されるなど、世界的に長らく愛されてきた作品です。■あらすじ街のはずれにある豪華だが不気味な屋敷。そこに住むアダムス・ファミリーの弁護士を務めるタリーは借金まみれ。高利貸しのアビゲイルと手を組んで一家の財産を狙っていました。アビゲイルは、一家の主人・ゴメスの兄で行方不明のフェスターにそっくりな自身の息子を一家にけしかけますが…。世間では変人と揶揄(やゆ)されるほどに個性的なアダムス家。しかし、互いに家族を思いやる絆は本物です。一家を貶めようとする世間の陰謀に、一致団結して立ち向かう姿から「自分たちを理解して受け入れてくれる家族」のありがたさを実感できることでしょう。グッバイ、レーニン!次は、日本で2004年に公開された、ドイツのコメディ映画『グッバイ、レーニン!』です。本作は、ドイツで社会現象ともなる大ヒットを記録したほか、世界中でも無数の映画賞を受賞したコメディ作。1989年のベルリンの壁崩壊をモチーフに東西の格差をおかしく、時に切なく描き出しました。■あらすじ舞台は、社会主義世界の東ドイツ。青年アレックスは、心臓発作で昏睡し、ベルリンの壁崩壊を含む8か月間眠っていた熱烈な社会主義者の母のため、仲間たちとともに「東ドイツは崩壊していない」と思わせる壮大なウソをつき続ける決心をするのでした…。父が西ドイツに出て行ってしまったことが母の社会主義への熱狂の原因と知っていたアレックス。だからこそアレックスは、愛ゆえに母のプライドを守るためのウソをつき続けます。笑えるコメディの根底には「母をこれ以上傷付けたくない」という深い家族愛が垣間見えるはずです。ラブリーボーン次は、日本で2010年に公開された、ファンタジーサスペンス映画『ラブリーボーン』です。本作は、主演に当時15歳の女優シアーシャ・ローナンを迎え、映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズで知られるピーター・ジャクソンがメガホンを取りました。■あらすじ恋に勉強と、まさに青春時代に足を踏み入れたばかりの14歳の少女・スーザンは、ある日無残にも何者かに殺されてしまいます。残された家族が悲しみに暮れる中、この世にとどまったスーザンは、犯人特定に燃える父・ジャックの手助けを決意するのでしたが…。犯人探しのミステリーかと思いきや、同作の本当のテーマは『家族を失った後、どう歩んでいくか』ということのように思えます。美しく純粋な『過去の亡霊』であるスーザンとの別れは、観客にとっても劇中の家族にとってもつらいもの。しかし、それこそが先を歩んでいくためには必要なのだ…と、見終わった後にそっと背中を押してくれるような感動作です。リアル・スティール次は、2011年公開のSF映画『リアル・スティール』です。主演に映画『X-メン』シリーズのウルヴァリン役で知られるヒュー・ジャックマンを迎えた本作。共演は当時11歳だった子役のダコタ・ゴヨです。■あらすじ遠隔操作で戦う『ロボットボクシング』が大流行している架空の世界。流行の陰で職を失った元・ボクサーの主人公チャーリーは、別れて暮らしていた11歳の息子マックスをひょんなことから預かることになります。道中見つけた廃ロボット『ATOM』とともに、ロボットボクシングの世界で一攫千金を夢みるのですが…。目を見張るロボットボクシングの痛快さは、まさに往年の名作映画『ロッキー』を彷彿とさせます。しかし、本作には『ないも同然だった父と子の絆の再構築』がテーマにあります。親権問題ゆえに一緒には暮らせない…しかし、旅した思い出の集大成である決勝戦は息子とともに出場したいと懇願するチャーリー。ラストの決戦は涙なくしては見れません。search サーチ最後は、2018年公開、謎が謎を呼ぶ新感覚サスペンス映画の『search サーチ』をご紹介します。物語がすべて『パソコンの画面上』の映像として進んでいくという、驚きの演出が魅力の本作。FacebookやInstagram、Twitterといった、ネットの世界を駆け巡りながら、緊迫のミステリーが展開されます。■あらすじ母を病気で亡くした16歳の女子高生マーゴットとその父デビット。どこかぎこちなく暮らしていた2人の生活は、マーゴットの突然の失踪によって一変してしまいます。娘の無事を信じるデビットは、利用していたネット上の痕跡をたどる中で、知らなかった娘の側面を知ることになり…。娘の失踪の原因はなんなのか…不安にさいなまれる父の心境にシンクロしてしまう展開も魅力な本作。一方で、すれ違いを起こしていた親子関係と、それでも娘を信じ続ける父の想いも濃厚に描かれていきます。ラストで父が娘に向けて送るメッセージには、思わず泣かされてしまうはずです。ありふれた日常を描いた王道の家族をテーマにした作品もいいですが、たまにはこうした、ひねりのある環境で輝く『家族関係』というのも魅力的ですよ![文・構成/grape編集部]
2021年04月30日いまだに世界の多くの国で収束の兆しが見えない新型コロナウイルス感染症。2020年6月27日現在、感染者数、死者数ともに世界最多となっているアメリカでは多くの州で経済活動を再開させた結果、再び感染者が増加しています。感染者数が全米で2番目に多いカリフォルニア州では同月18日、公共の場でのマスクの着用を『推奨』ではなく『義務付ける』ことを発表しました。その数日後、サンディエゴにあるコーヒーチェーン店『スターバックス(以下、スタバ)』に1人の女性が来店。女性がマスクをしていなかったため、バリスタのレーニン・グティエレスさんは「マスクをお持ちですか?」と尋ねたのだそう。すると女性は「いいえ。私にマスクは必要ないわ」と答えたのだとか。レーニンさんがマスクの着用をお願いしようとすると、女性は「私にマスクは必要ないのよ!」と怒り出し、マスクをしている周囲の人たちを侮辱的な言葉で呼んで、店を出て行ったのです。※写真はイメージその数分後、女性は店に戻ってきてレーニンさんに名前を尋ね、「写真を撮ってもいいか?」と聞き、彼の写真を撮って帰ったといいます。スタバの店員をさらそうとした女性人々の反応は…その後、女性はFacebookにレーニンさんの写真を載せ、「彼はレーニン。私がマスクをしていないからといって、私への接客を拒否したスタバの店員よ」と投稿します。自分が被害者といわんばかりにレーニンさんの顔と名前を本人の許可なくさらし、人々の共感を得ようとした女性。ところがこの投稿には、レーニンさんを擁護する声が殺到。「彼は自分の仕事をしただけだろう?」と、ルールを守らない女性に対して非難のコメントが相次いだのです。さらにある男性が「迷惑な客に立ち向かったレーニンにチップをあげよう」と寄付金サイトを設立。すると続々と賛同者が集まり、なんと4日間で7万ドル(約750万円)を超える寄付が寄せられています。この騒動を受けて、レーニンさんはFacebookで、自分を支援してくれる人たちに感謝の言葉を送っています。I’ve received numerous messages asking for my side of the story. Since this seems to be the most popular thread I decided to post my personal experience here. Thank you all for the love and support.Posted by Lenin Gutierrez on Wednesday, June 24, 2020レーニンさんはスタバで働きながら、ダンサーになるという夢を持っているのだそう。「みなさんの寄付のおかげでこれからも自分の夢を追いかけることができます。心から感謝しています」と語っています。海外メディア『NBC SAN DIEGO』によると、サンデイエゴ郡の保険局は「小売店などは、マスクを着用しないなど公衆衛生上の命令に従わない客に対して利用を断ることができる」としています。アメリカでは多くの場所でマスクの着用が義務付けられているにも関わらず拒否する人も多く、それが感染拡大を食い止められない大きな原因といわれています。マスクの着用は「感染していることに気付いていない無症状の感染者が、周りの人にうつすのを防ぐため」。つまり自分のためではなく、他者への配慮です。このウイルスに打ち勝つためには、誰もが「いかに他者を思いやれるか」ということが重要なのではないでしょうか。[文・構成/grape編集部]
2020年06月29日映画『ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を』が、2020年1月18日(土)より、新宿K’s cinemaほか全国で順次公開。“迷子のブラジャー”を巡る、大人向けファンタジーロマンス作品映画『ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を』は、“迷子のブラジャー”を巡る、大人向けのファンタジックなラブコメディ。物語の主人公となるのは、まもなく定年を迎える鉄道運転士・ヌルラン。彼の乗る列車は、線路越しに洗濯物を吊るした住宅街を通り抜けるのが毎日の日課だ。いよいよやってきた最終勤務日。彼はいつものように無事に運転を終えるのだが、列車にブルーの繊細なブラジャーが引っかかっていることに気付く。このブラは一体誰のもの?ヌルランは、持ち主を探す冒険へと繰り出すのだがー。<全編台詞カット>で挑んだ、ファイト・ヘルマー監督本作を手掛けたのは、現代のおとぎ話の語り部と称されるドイツの鬼才、ファイト・ヘルマー監督。『ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を』においては、全編“台詞カット”という独自の手法を選びながらも、雄弁なハートフルコメディに描き上げた。キャスト主人公の鉄道運転士・ヌルランに抜擢されたのは、カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作『アンダーグラウンド』の主演を務めたミキ・マノイロヴィッチ。また見習機関士役は、ドニ・ラヴァンが務める。世界中の美女たちが参加!さらにヌルランが“迷子のブラジャー”の持ち主を巡って出会う美女たちには、世界中の女優陣が参加。『グッバイ !レーニン』のパス・ヴェガ、チュルパン・ ハマートヴァ、『パッション』マヤ・モルゲンステルンといった華やかな顔ぶれが揃う。おとぎ話のような世界観なお本作は、物語を彩る美しい街並みや自然の風景も見どころの1つ。カスピ海に面した国、アゼルバイジャンの山間に実在する街がモデルとなっており、ふんだんに使用されたパステルカラーの衣装やインテリアがドリーミーな世界観を助長している。詳細映画『ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を』公開日:2020年1月18日(土)新宿K’s cinemaほか全国で順次公開監督:ファイト・ヘルマー脚本:レオニー・ガイシンガー、ファイト・ヘルマー出演:ミキ・マノイロヴィッチ、パス・ヴェガ、チュルパン・ハマートヴァ、ドニ・ラヴァン配給:キュリオスコープ
2019年11月23日昨年の第31回東京国際映画祭コンペティション部門にて上映され、全編セリフなしのファンタスティックロードムービーとして話題を呼んだ『ブラ物語』が、『ブラ! ブラ! ブラ! 胸いっぱいの愛を』とのタイトルで2020年1月に劇場公開決定。日本版ポスタービジュアルとファイト・ヘルマー監督からのコメントが到着した。広大な草原を走る貨物列車の鉄道運転士・ヌルラン。まもなく定年の彼の列車は、線路上にテーブルを置いてお茶を飲む男性たち、線路越しに洗濯物を干す女性たちが日常を過ごす住宅街も通り抜ける。ついに最後の日。運転を終えると、列車に繊細で美しい青いブラジャーが引っかかっていた!このブラは誰のもの?彼は持ち主を探すことにするが…。本作は、『世界でいちばんのイチゴミルクの作り方』『ツバル TUVALU』など、現代のおとぎ話の語り部と称されるドイツの鬼才ファイト・ヘルマー監督が、ロケ地であるアゼルバイジャンの山あいに実在する街をモデルに描き上げた大人のファンタジー。全編にわたりセリフなし、言葉では語られなくとも雄弁なハートフルコメディが待望の劇場公開となる。主演は、カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作『アンダーグラウンド』の主演など、エミール・クストリッツァ監督作品の常連でもあるミキ・マノイロヴィッチ。見習機関士役には、『ポンヌフの恋人』『ホーリー・モーターズ』などレオス・カラックス監督常連のドニ・ラヴァン。そして、ヌルランが出会う美女たちに、今年全米公開された『ランボー』最新作や『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』のパス・ヴェガ、『グッバイ、レーニン!』のチュルパン・ハマートヴァ、『パッション』のマヤ・モルゲンステルンなど国境を越えた多彩な女優陣が出演。ヘルマー監督からは「昨年の東京国際映画祭での盛況を経て、本作が劇場公開されることを大変に嬉しく感激してます。日本の映画ファンの皆さん、私と一緒に夢の世界へ旅に出ましょう!」と、喜びのコメントが到着している。『ブラ! ブラ! ブラ! 胸いっぱいの愛を』は2020年1月18日(土)よりり新宿K’s cinema ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2019年11月05日編集部からお題をいただいたとき、漫画をはじめとするフィクションが、そもそも人生に影響を与えることができるのか……。そんなことを考えてしまいました。でも、逆に私自身の人生の転機から考えてみたとき、もしかすると、そこには漫画の影響があったのかもしれないな、と思うことが確かにあったのです。今回は、そんなことを振り返ってみたいと思います。■「批判的な論文」に苦心したころもう20年以上も前の話になりますが。私は大学の卒業論文の執筆に苦しんでいました。ある歴史的な文芸運動に対して批判的な検証を加えるつもりでしたが、文章は進まず、書き損じの山だけが大きくなっていきました。そんなある日、私は都内の書店で、パリ第一大学のドミニク・ノゲーズ教授の『レーニン・ダダ』(ダゲレオ出版刊)という本と出逢います。ダダとは、ダダイズムという芸術運動のこと。マルセル・デュシャンの「泉」という代表作をご存じの方もいるでしょう。デュシャンは1917年、男性用小便器を逆さまにしてR.Muttと署名し、ニューヨークのアンデパンダン展に出品しようと企てました。「泉」は、それまでの芸術の概念や制度を問い直し、現代アートの出発点になったとすら評価されています。従来の価値を根底からひっくり返す、破壊と否定の芸術運動――。ダダイズムは、そういう解釈をされていたのでした。■破壊力は「笑い」や「肯定」にこそ潜むしかし、ノゲーズ教授は、ダダという言葉は、実はキャバレーで催されたパーティーで、レーニンが発したロシア語の掛け声「ダー、ダー」から採られたという説を唱えます。破壊と否定の呪文とされていた言葉が、実は「いいぞいいぞ!」「もっとやれ!」という掛け声を起源としていたとしたら……。世の中を変える破壊力は、実は否定よりも笑いや肯定が生んだ、ということになります。考えてみればデュシャンの作品だって、怒りや不機嫌よりも、どちらかというと笑いとかユーモアを感じるではないですか。価値の転倒を図ろうとしていた私の論文に足りなかったのは、そういうスタンスでした。そう気づいたときには締切は迫っていました。私は書き直しをやめて進学を諦め、就職することに決めました。川沿いの家から夕陽が見えた日、私の脳裏に「これでいいのだ」という言葉が浮かんだのです。それは人生の大きな転機でした。■主語を「わし」、語尾を「のだ」にしてみる最近、深夜枠でリメイクアニメが放送されているので、ご存じの方も多いでしょうが、「これでいいのだ」とは、赤塚不二夫さんの『天才バカボン』に登場する言葉です。主人公のバカボンのパパの口癖であり、決め台詞でした。本当は「でも」とか「だって」と考えたかった。自分以外に責任を負わせたい気持ちもありました。それをやめたのは「否定から入って失敗したのは未熟だったから。これからは肯定から入る大人になるしかない」と腹をくくったからだと思います。アラフィフ男性の私には、DRESSの女性読者の方々の悩みはよく分からないところもあるのですが、たとえば仕事がうまくいかなくて上司に叱られたときには、私のようにバカボンのパパになりすまして、こうつぶやいてみてはどうでしょうか。「わしの実力が足らなかったのだ。すみずみまで見渡す余裕がなくなって、ミスが発生してしまったのだ。でも、経験不足の中で無理にやらされた面もあるから、上司だって悪いところはあるのだ。次はもうちょっとうまくやるのだ。これでいいのだ」コツは、主語を「わし」にして、語尾を「のだ」にすること。そして最初か最後に「これでいいのだ」をつけるのです。そうすることで状況を客観視することができますし、悩みと対峙していてもどこかユーモアやおかしみが生まれてきて、気持ちが楽になるでしょう。■「肯定」で問題を乗り越える力が湧いてくるバカボンのパパは、原則として人間の業を肯定します。妻子ある男性を好きになってしまったとき、女友達に相談したら、こっぴどく叱られることでしょう。でも、バカボンのパパならなんというでしょうか。「仕方ないのだ。人が人を好きになる気持ちを否定することなど、誰にもできないのだ。でも、諦めるなら、きっぱりと諦めればいいのだ。あなたは別に悪いことなど、ひとつもしてないのだ。これでいいのだ」いい加減に結婚しなさいという、親からの干渉がつらくなったときには、こんな風に応用してみてはどうでしょうか。「親が子を思うのは当然なのだ。でも昔から全員が結婚していただけではないのだ。わしにはわしの人生があり、わしの道を行くしかないのだ。これでいいのだ」人生の壁にぶつかったとき、つい「これでいいのか?」と、自分の考えや行動に厳しく「ノー」を突きつけてしまいがちです。それが問題の解決にうまく結びつけばいいのですが、ときには柔軟な視点を失い、傷ついて前に進めなくなってしまうものです。いったん「これでいいのだ!」と現状を肯定し、思い込みを取り払ってみると、現実そのものが見えてきて、問題を乗り越える力が湧いてくることもある――。そういう意味で「バカボンのパパ」に成りすますセラピーは、有効なのではないかと思います。Text/相知光画像/ShutterstockDRESSでは9月特集「今夜は、漫画を抱きしめて」と題して、漫画から素敵な影響を受けた人々が、作品の魅力を綴るコラムやインタビューをお届けしていきます。
2018年09月08日ダニエル・ブリュールとヴォルフガング・ベッカー監督の『グッバイ、レーニン!』コンビが贈る最新作『僕とカミンスキーの旅』。本作で描かれるのは、盲目の美術家として、60年代ポップアート界でアンディ・ウォーホルらと並び時代の寵児となった伝説の画家マヌエル・カミンスキー。このほど、20世紀の美術史において、数多くの偉人たちと交流を持ったカミンスキーの人生をドキュメンタリータッチで振り返る、華やかな本編冒頭の映像と、“20 世紀の偉人”たちとの交流写真がシネマカフェに到着した。金と名声ほしさに芸術家の伝記を書こうと思い立った無名の美術評論家ゼバスティアン(ダニエル・ブリュール)は、スイスの山奥で隠遁生活を送る画家カミンスキーを訪ねる。ゼバスティアンは知られざる新事実を暴くため、年老いたカミンスキーを言葉巧みに自宅から誘い出し、若き日に愛した女性のもとへ連れて行こうとするが、トラブル続きの旅はいつしか奇妙な方角にねじれ、思いがけない終着点に向かっていく――。『グッバイ、レーニン!』監督&主演コンビが12年ぶりの再タッグで、盲目の天才画家と青年の奇想天外なロードムービーを描く本作。そのリアルな世界観や現代美術への痛烈な皮肉は、美術界の第一線で世界的に活躍する奈良美智氏、会田誠氏、森村泰昌氏などからも絶賛の声を受けている。そんな本作から今回到着したのは、巨匠カミンスキーの訃報を伝える各国のニュースの声から始まる、およそ5分もの冒頭映像。1920年代にポーランド人の母親とともにパリへ渡り、アンリ・マティスの弟子となり、パブロ・ピカソにも一目置かれたマヌエル・カミンスキー。1960年代にポップアート花盛りのニューヨークを訪れるや、“盲目の画家”としてメディアに祭り上げられ、時代の寵児に。ところが突然、表舞台から姿を眩まし、スイスでの隠遁生活に入ってしまう。“伝説の盲目の画家”カミンスキーとは、いったい何者なのか?映像では、カミンスキーと親交があった“20世紀の偉人”たちが数多く登場する。「ゲルニカ」など20世紀絵画に革命をもたらせたパブロ・ピカソ、フォービズムのリーダー的存在でありカミンスキーの師匠とされるアンリ・マティス、彫刻家で画家のアルベルト・ジャコメッティ、芸術家・詩人のジャン・コクトーなど、名だたる偉人たちを魅了した若き日のカミンスキーが前半では映し出される。60年代に入り、NYへ進出したカミンスキーは“盲目の画家”として脚光を浴び、ついにアメリカンポップアートで最も有名な巨匠アンディー・ウォーホルと並び評されるまでに。その交友は美術界を超え、「ザ・ビートルズ」やサスペンス映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコック、モハメド・アリも。さらにウディ・アレンが出演するクイズショーに登場するカミンスキーの様子まで、ドキュメンタリータッチに、華やかに映し出していく。アート界の裏側や皮肉までをも描いた虚実入り交じる作品にふさわしい、巧妙で遊び心満載のオープニングは、公開に先駆けて行われたマスコミ試写会でも絶賛されたという。奇しくも、本作の公開近くには、「キリンラガービール アンディ・ウォーホルデザインパッケージ」が発売されるなど、ポップアートが熱いこの春。60年代、一世を風靡した伝説の画家マヌエル・カミンスキーに、この映像から迫ってみては?『僕とカミンスキーの旅』は4月29日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMA ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:僕とカミンスキーの旅 2017年4月29日よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて順次公開(C) 2015 X Filme Creative Pool GmbH / ED Productions Sprl / WDR / Arte / Potemkino / ARRI MEDIA
2017年04月28日映画『グッバイ、レーニン!』で知られるヴォルフガング・ベッカーが監督・脚本を務める映画『僕とカミンスキー』が、2017年4月29日(土)より、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国の劇場で順次公開される。東西ドイツ統合という歴史的な一大事を背景に、社会の激変に翻弄される庶民の姿を哀歓豊かに描いた映画『グッバイ、レーニン!』(03)。公開当時のドイツにおける歴代興収記録を塗りかえ、ベルリン国際映画祭やヨーロッパ映画賞ほかで数多くの賞に輝いたこの家族ドラマは、日本でも多くの観客の笑いと涙を誘ってヒットを記録した。この『グッバイ、レーニン!』で愛する母親のために“優しい嘘”をつき続ける主人公アレックスを好演した主演俳優ダニエル・ブリュールは、その後ハリウッドに進出して国際派のスター俳優へと成長。そしてブリュールが出世作『グッバイ、レーニン!』のヴォルフガング・ベッカー監督と12年ぶりに組んだ本作『僕とカミンスキーの旅』は、世代も境遇もまったく異なる31歳の青年と85歳の老人が織りなす奇想天外なロードムービーだ。高慢で崖っぷちの美術評論家ゼバスティアンを演じるのが、そのダニエル・ブリュール。美術史にその名を刻んだ“盲目の画家”で、年老いた見た目からは想像もできない破天荒さでゼバスティアンを振り回すカミンスキー役には、『007』シリーズのMrホワイト役で知られるイェスパー・クリステンセン。そして主人公たちの旅に割り込むホームレス役をドニ・ラヴァンが演じる。本作の最大のポイントは、主人公ふたりの型破りなキャラクターだろう。他人の迷惑を顧みないエゴイストで、行き当たりばったりの突撃取材を行うゼバスティアンと、美術史にその名を刻んだカリスマであり、病弱な見た目からは想像もできないしたたかさで相手を振り回すカミンスキー。そんな彼らがスイス、フランス、ドイツ、ベルギーの雄大かつ美しい風景をバックにドタバタ続きの珍道中を繰り広げ、摩訶不思議な友情で結ばれていくドラマは、異色のバディムービーとしても観る者を魅了してくれそうだ。【作品情報】映画『僕とカミンスキーの旅』公開日:2017年4月29日(土) YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開監督・脚本:ヴォルフガング・ベッカー原作:「僕とカミンスキー」 ダニエル・ケールマン著(三修社刊)出演:ダニエル・ブリュール、イェスパー・クリステンセン、ドニ・ラヴァン、ジェラルディン・チャップリン、アミラ・カサール原題:ICH UND KAMINSKI© 2015 X Filme Crea>ve Pool GmbH / ED Produc>ons Sprl / WDR / Arte / Potemkino / ARRI MEDIA
2017年04月04日『美女と野獣』のエマ・トンプソンと、『未来を花束にして』のブレンダン・グリーソンが、ペンと葉書だけを武器にヒトラー政権に抵抗した実在の夫婦を演じる『ヒトラーへの285枚の葉書』。このほど、その夫婦をとらえたポスタービジュアルが解禁、さらに彼らを追い詰める秘密国家警察(ゲシュタポ)の警部を演じた、ドイツを代表する実力派イケメン俳優ダニエル・ブリュールの場面写真も解禁となった。フランスがドイツに降伏した1940年6月、ベルリンの古めかしいアパートで暮らすオットー(ブレンダン・グリーソン)とアンナ(エマ・トンプソン)のクヴァンゲル夫妻のもとに1通の封書が届く。それは最愛のひとり息子ハンスが戦死したという残酷な知らせだった。心のよりどころを失った夫婦は悲しみのどん底に沈むが、ペンを握り締めたオットーは「総統は私の息子を殺した。あなたの息子も殺されるだろう」とヒトラーへの怒りをポストカードに記し、アンナとともにそれを街中にこっそりと置く、というささやかな活動を繰り返すようになる。だが、それをかぎつけたゲシュタポのエッシェリヒ警部(ダニエル・ブリュール)の捜査が夫婦に迫りつつあった――。イギリスを代表する名優2人が、ナチス政権に抵抗した平凡な労働者夫婦を演じる本作。監督を務めるのは、『インドシナ』(’92)で大女優カトリーヌ・ドヌーヴ、『王妃マルゴ』(’94)ではイザベル・アジャーニの相手役を務め、カルラ・ブルーニ(サルコジ前仏大統領の妻)らと浮名を流した90年代フランス映画界きってのフェロモン俳優、ヴァンサン・ペレーズ。フランスの美男俳優として知られたペレーズ監督の長編3作目となる。原作は、ドイツの小説家ハンス・ファラダが、わずか4週間足らずで書き上げたという600ページを越す大著「ベルリンに一人死す」。ドイツでは戦後すぐの1947年に出版されたが、ペレーズ監督は2007年に出版されたフランス語版で初めて読み、その内容に感銘を受けた。やがて映画化へと動き出すが、資金繰りに難航。その後、2010年にアメリカ、イギリスで英語版が発売されるやベストセラーとなり、状況が好転し、英語での映画製作が進みはじめる。本作が英語映画になったことに対し、ペレーズ監督は「どこの国、いつの時代でも極端な人間が急に現れる可能性がある、大切なのは、あらゆる場所に住む人たちにこの話を伝えることだ。そして、誰でも闘うことができる、そして闘うには勇気が必要になると示すことが大切だった。だったら、英語の作品にするほうがよいだろうと感じた。そうすることでみんなの計画が進むし、この話はいろいろな人に知ってもらうべきだからね」と、前向きな姿勢を語る。しかも、母親がドイツ人であるペレーズ監督は本作の製作過程で、本作の主人公クヴァンゲル夫妻との共通点を知ることになった。クヴァンゲル夫妻は、まだ若いひとり息子をロシア戦線で失ったことで、戦争とヒトラーの政策に疑問を持ち、葉書にメッセージを書いて世間の人々へと訴え始める。ペレーズ監督の叔父も、同じくロシア戦線で当時17歳で亡くなったという。そして、もう1人の叔父は戦時中、精神病院に収容されており、後にガス室に送られて亡くなったそうだ。また、監督の父親はスペイン人であり、祖父は25歳のときに、右翼政党党員に射殺されている。それらのことが重なり、本作の映画製作に使命を感じた監督は、長い年月をかけ完成を実現させた。さらに注目は、『グッバイ、レーニン!』で一躍注目され、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』などハリウッド作品にも出演しているドイツの美男俳優ダニエル・ブリュールの出演だ。ブリュールが演じるのは、夫妻を追い詰めていく頭脳明晰なエッシェリヒ警部役。彼は父親がドイツ人、母親がスペイン人でバルセロナ生まれだが、生後すぐに移ったドイツのケルンで育っている。『イングロリアス・バスターズ』ではナチスの兵士を演じていたブリュールは、本作でも渾身の演技で魅せてくれそうだ。『ヒトラーへの285枚の葉書』は7月8日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年04月04日『アメリカン・スナイパー』では18kgも体重を増量させ、肉体改造を行ったことも話題を呼んだブラッドリー・クーパーが、今度は一転、過去にワケありの天才シェフを演じる『二ツ星の料理人』。このほど、2011年に“世界一セクシーな男性”に輝いたこともあるブラッドリーが、本作でちらりと見せる上半身裸の映像&写真がシネマカフェに到着した。美食の街パリを追い出されたワケありの二ツ星シェフが、今度はロンドンのフレンチレストランを舞台に、新しい仲間たちと世界一のレストランを目指して奮闘する本作。今回入手した映像と写真は、かつて散々迷惑をかけたトニー(ダニエル・ブリュール)のもとに再びやってきたアダムのシャワー直後のシーン!「俺は復活した、三ツ星を狙う」そう言って、3年ぶりに戻ってきたアダム。かつて、パリの一流フレンチレストランでミシュランの二ツ星を獲得したが、私生活で問題ばかり起こした末に突然姿を消し、死んだともうわさされていた。当時、給仕長を務めていたオーナーの息子トニーは店を閉め、いまではロンドンで父が所有するホテルのレストランを切り盛りしている身。そんな彼のもとにアダムは悪びれもせず顔を見せ、彼の店でシェフをやらせろと迫るのだ。諸悪の根源の酒も女も断ち、世界一のレストランを作って「三ツ星をとる」と宣言するアダムに心を決めるトニーは、アダムとパリ時代の同僚で三ツ星に輝いたシェフ、リース(マシュー・リス)のオープニングパーティの招待状を届ける。そこで、シャワーから出た上半身裸のアダムの姿を見て、息を飲むトニー。彼はアダムに恋心を抱いていた。その気持ちに応えられないアダムは、朝食を作ろうかと提案するが…。ブラッドリーが本作で共演した、スペイン生まれのドイツ人俳優ダニエル・ブリュールといえば、『グッバイ、レーニン!』で脚光を浴びて以降も話題作に次々と出演、マーベル最新作『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』では悪役を務めていることでも注目を集めている。そんな彼についてブラッドリーは、「ダニエル・ブリュールとの思い出はもちろんあるよ。彼は『ラッシュ/プライドと友情』で観て、『イングロリアス・バスターズ』で観て、ファンになったんだよね」と言う。本作では「思い出に残っているのは、彼がいかに面白い人だったのかということ。撮影最初の日からもう面白い人だったんだ。それにすごく気さくな人だったしね。だから、共演するのがすごく楽しかったんだ」と、素顔も魅力的なダニエルとの共演をふり返っている。『二ツ星の料理人』は6月11日(土)より角川シネマ有楽町、新宿ピカデリー、渋谷シネパレスほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年05月30日大反響を呼んだ「映像の世紀」から20年。このたび、NHK放送開始90年を機に、新たな映像で100年の時を追体験していく「新・映像の世紀」のシリーズ放送が決定。また本番組のナレーターを俳優の山田孝之が務めることが明らかとなった。全6回に渡り放送される本シリーズ。「百年の悲劇はここから始まった」と題した第一集では、30か国を超える国家が巻き込まれ、犠牲者は民間人をふくめ3,800万人に及んだ第一次世界大戦に関わった人間ドラマを描き出す。あのアインシュタインが天才と呼んだ、ドイツの科学者フリッツ・ハーバー博士は、画期的な肥料開発につながる研究でノーベル賞まで受賞しているが、大戦中、人類史上初めての化学兵器・毒ガスを発明。ロシア革命を成し遂げ、世界で初めて共産主義国家を樹立したレーニンは、恐怖政治の創始者でもあった。砂漠の英雄として映画化もされているアラビアのロレンスは、新たなエネルギー・石油を狙ったイギリスの情報将校としてアラブ社会に食い込み、裏切った。今にいたる中東紛争のきっかけはロレンスだったとも言われる――。世界の映像アーカイブスの整備と情報公開が進み、未公開映像が続々と発掘されたことに伴い、20年ぶりの復活を果たす「新・映像の世紀」。同番組では、歴史を動かした主役、脇役たちの人間ドラマに焦点を当てていく。ナレーターは『闇金ウシジマくん』『新宿スワン』『バクマン。』などでその演技力の高さに評判が集まる山田さん。今回、同番組のナレーターを体験した山田さんは「かなり衝撃的な映像が多くて、まっすぐ見るには結構精神的に来そうな映像が多いなと思いました」と吐露。また本作について「世界中でいろいろなひとを描いているので、なにか、より真実を知れた」とコメント。さらに「多くの人にしっかり伝えなきゃいけないと思いました」と語りを体験したうえでの使命感を語っている。「新・映像の世紀」は10月25日(日)21時~NHK総合にて放送開始(全6集)。(text:cinemacafe.net)
2015年10月23日東京都・清澄白河の東京都現代美術館は、ブラジルのモダニズム建築の父、オスカー・ニーマイヤーの回顧展「オスカー・ニーマイヤー展 ブラジルの世界遺産をつくった男」を開催する。会期は7月18日~10月12日(7月21日・9月24日・月曜休館、7月20日・9月21日・10月12日は開館)。観覧料は一般1,100円、大学生・専門学校生・65歳以上800円、中高生600円、小学生以下無料。同展は、2012年に104歳で亡くなる直前まで精力的に設計を続けていた伝説的なカリスマ、ニーマイヤーのほぼ1世紀にわたる建築デザイン活動の全貌を、図面、模型、写真、映像などによって紹介するもの。会場では代表的な建築物を様々なサイズの模型で展示し、代表作のひとつであるイビラプエラ公園の30分の1の模型は、約500平方メートルのアトリウムの大型空間でダイナミックに展開される。また、会場デザインはニーマイヤーに大きく影響され、彼を敬愛してきたSANAAによるもので、ブラジルの光をおもわせる白を基調として、ダイナミックでモダンな有機的曲線で会場を構成しているという。そのほか、ニーマイヤーの日常や創造の秘密をみせる映像資料、壮絶ともいえる首都ブラジリア建設の詳細なドキュメントも展示されるということだ。オスカー・ニーマイヤーは、ブラジル国内の主要な建築の設計を手がけ、そのユニークな創造性によって、内外で高い評価をうけ、アメリカ建築家協会ゴールドメダル、プリツカー賞、高松宮殿下記念世界文化賞など数々の建築賞やレーニン国際平和賞を受賞。代表的な仕事としては、首都ブラジリアの設計が挙げられる。1950年代国家の大プロジェクトである、首都ブラジリアの主要な建物設計(国民会議議事堂、大聖堂など)にたずさわり、ニーマイヤーは創造性豊かな都市をつくりあげた。この成功は建築という概念を超えた歴史的イベントとして、ブラジルの名を世界に知らしめ、ブラジリアは1987年世界遺産に登録された。「建築にとってアートはとても大切です」と語っていたニーマイヤーは、幼いころからドローイングを得意とし、描いた絵をじっとながめてそれが存在するようにたちあらわれると感じていたという。ニーマイヤーのデザインは、フリーハンドの大胆さと自由さ、女性の身体に例えられるように有機的でダイナミックな曲線、生命感とモダニズムの幾何学の調和を特徴としており、その未来的な形は日本の建築家にも多くの影響を与えてきたということだ。
2015年06月15日ダニエル・ブリュールが、『キャプテン・アメリカ/シヴィル・ウォー(原題)』に出演することになった。役柄は悪役のひとりで、『ドクター・ストレンジ(原題)』など、ほかのマーベルの映画にも登場する可能性があるという。『キャプテン・アメリカ…』3作目には、ほかにロバート・ダウニー・Jr.やチャドウィック・ボーズマンも出演する。監督は、アンソニー・ルッソとジョー・ルッソ。北米公開は2016年5月6日。ブリュールは、『グッバイ、レーニン!』で注目され、『ラッシュ/プライドと友情』で英国アカデミー賞、映画俳優組合(SAG)賞、ゴールデン・グローブ賞などにノミネートされた。最新作は、『誰よりも狙われた男』。現在は、エマ・ワトソンと共演する『Colonia Dignidad(原題)』を撮影している。文:猿渡由紀
2014年11月17日3月11日。本日は「ゴルバチョフが旧ソ連の指導者に就任」した日でもあります。旧ソ連の時代も遠くなってしまいましたが、旧ソ連、そして現在のロシアの最高指導者を決定づける恐ろしい法則があるのをご存じでしょうか。その名も「ハゲフサの法則」です!ソ連の最高指導者は、髪の毛の生え具合によって代替わりしている。すなわち、「ハゲ」「フサフサ」「ハゲ」「フサフサ」……と交互に! これを「ハゲフサの法則」と呼びます。この法則は、漫画家・片山まさゆき先生が『ウォッカタイム』という、旧ソ連の指導者・チェルネンコ書記長を主人公にした漫画の中で喝破された法則です。本当にそうか見てみましょう。■「ハゲフサの法則」はこのように成立している!●ウラジーミル・レーニン(ハゲ)旧ソビエト連邦の偉大な創始者。役職は「人民委員会議長」でした。⇒画像●ヨシフ・スターリン(フサ)いろんな言い方がされますが力強いリーダーだったことに変わりはありません。故・岡田真澄さん似で、ヒゲがトレードマーク。⇒画像●ニキータ・フルシチョフ(ハゲ)米大統領J・F・ケネディーと丁々発止のやりとりをした偉大な指導者でした。大変にユーモアのあるおじさんだったようです。⇒画像●レオニード・ブレジネフ(フサ)1964年から1982年までの長きにわたって旧ソ連を引っ張ったリーダーでした。⇒画像●ユーリ・アンドロポフ(ハゲ)眼鏡と禿頭がトレードマーク。愛きょうのある笑顔が特徴でした。わずか2年の最高指導者でした。⇒画像●コンスタンティン・チェルネンコ(フサ)就任後すぐ亡くなったので、わずか1年しかリーダーの地位にはいませんでした。⇒画像●ミハイル・ゴルバチョフ(ハゲ)旧ソ連最後の書記長。西側陣営から信頼の厚い政治家でした。特に英首相だったサッチャーさんからは「あの男は話ができる」と思われていたそうです。⇒画像●ボリス・エリツィン(フサ)ソ連の崩壊とともに成立したロシア連邦の初代大統領。⇒画像●ウラジーミル・プーチン(ハゲ)旧ソ連のKGB出身の強面政治家。エリツィンさんの跡を継いで2代目大統領に。⇒画像●ドミートリー・メドヴェージェフ(フサ)プーチンさんが首相になって、3代目の大統領に就任。⇒画像●ウラジーミル・プーチン(ハゲ)今度はメドヴェージェフさんが首相になって、二度目の4代目大統領に返り咲き。■法則に難点がいくつか……(笑)一見きれいに並んでいるように見えますが、実は、ヨシフ・スターリン(フサ)とニキータ・フルシチョフ(ハゲ)の間に、わずか8日間だけですが、書記長を務めた人物がいるのです。それがゲオルギー・マレンコフという人です。この人物が残念なことに写真をどう見ても「フサ」なのです。ですから、この8日間はなかったことにしないと「ハゲフサの法則」は成立しないのです。また、写真によって「この人はフサ?」といった人物もいます。チェルネンコさんの晩年がそうです。そこは大目に見てください。また、プーチンさんも今でこそ禿頭っぽいですが、数年前の写真を見ると「フサ?」といったものも。■交代交代が続くと……プーチンさんとメドヴェージェフさんが今後も交代でロシアの最高指導者を務めるのであれば、ハゲフサの法則は保証され続けることになります。また、最近ではプーチンさんに対する批判勢力も台頭しているようですので選挙が白熱する際には、この法則が発動するかどうかに注目したいところです。(高橋モータース@dcp)*……片山先生は『ウォッカタイム』作中でこの法則を「ハゲフサ理論」と呼んでおられます。この言葉は単行本『ウォッカタイム』の第2章P.32に登場します。⇒片山まさゆき先生のホームページ⇒ゲオルギー・マレンコフの画像
2013年03月11日25歳で出演した『グッバイ、レーニン!』で世界的にその名を知らしめ、以降『青い棘』(’05)、『サルバドールの朝』(’07)などセンセーショナルな役を演じ、ドイツを代表する演技派として活躍の場を広げてきたダニエル・ブリュール。ドイツ映画に欠かせない存在である彼が、ドイツ・サッカーの礎を築いたコンラート・コッホを演じた『コッホ先生と僕らの革命』が先週末より公開となった。実は大のサッカーファンというダニエル、時代に新しいスピリットを吹き込んだ父を演じてみて感じたこととは――?19世紀末、母校にドイツ語と古典語の教師として赴任したコッホは、スポーツ教育の一環としてサッカーを導入する。普仏戦争後、サッカーの母国・英国に対する反発感情が一気に高まっていた粛清モードの中、当然この新たなスポーツが快く迎え入れられることはなかった。だが、このスポーツの根幹にある“チームプレイ”が気運を変えていく。この偉大なるコッホのことを「全然知りませんでした。サッカーファンとして、彼のことを知らなかったことは少し恥ずかしかったです…」と語るダニエルだが、何が彼をこの役へと突き動かしたのか?「この映画は、実在する人物の歴史的な映画です。僕はそういう映画がすごく好きです。そして、実在する人物で一般的にあまり知られていない人物を演じるということはとてもエキサイティングなので、ぜひこの役をやりたいと思いました。彼はすごく共感できる人物で、すぐに好きになりました。19世紀末にパイオニアとしての役割を果たすということは、とても勇気のあること。当時のドイツは、保守的で古い体制に凝り固まっている時代ですから、新しいことを始めることはすごいことです。また、新しいスポーツだけを始めるのではなく、それまでの脅しをかける教育から子供たちが楽しめる授業をしようという教育者としての革命を試みました。自由でオープンで子供たちにとって良い教育を始めた人なんです」。「サッカーは素晴らしい発明」と言うほど、大のサッカー好きを明かすダニエル。その魅力は、語り出したら止まらない。「サッカーはヨーロッパでもアジアでも盛んで、“人を結ぶ力”がある。ヨーロッパ選手権があったときにも、スポーツバーなどテレビが置いてある飲食店で、作業員から社長までいろんな階層の人が一緒になって見るんです。また、サッカーは社会に対する不満を発散させる場になっているのがすごいところ。一週間に一回サッカーを見て発散させる機会をもつのですが、それがないともっと犯罪が増えているのではないでしょうか。若い頃は僕もサッカーをしていましたが、エゴイストの集団はいいチームになれないし、チームとしてまとまらないといけないと感じさせられますね。僕は、ベルリンにスペイン料理店を友達とオープンしたんですけど、そこでスペインリーグを全て見られるようにしました。僕がスペインリーグをドイツにもって来たんです(笑)。好きなチームはバルセロナ。バルセロナにいるときはいつも試合を見に行きますよ。バルセロナのスポンサーになっているビールメーカーのCMにも選手と一緒に出ています。なぜかっていうと、選手と一緒に出演できるから。それぐらいバルセロナが好きなんです。好きな選手は、リオネル・メッシ、ジェラール・ピケ…ほぼ全員!香川(真司)選手が入団しなかったのは残念でしたね」。自らの経験をもってサッカーに人を変える力があることを知っているダニエルだからこそ、この役に深い愛情と説得力を与えられたはず。“父”の真意を代弁する言葉にも力が入る。「サッカーを通して、コッホはどの子供たちにも自分の居場所はあるということを伝えられたと思うんです。さらに、サッカーを通じて欠点がある子でも強みがあるんだということ、サッカーによってクラスが一つになるというチームでの達成感。それまでのように誰かを仲間はずれにして、常に誰かがアウトサイダーがいる、そんなチームはまとまりません。コッホは子供たちに学校は楽しいということ、そして学ぶことの楽しさを教えられたと思います」。個の力を見出し、チームの結束力を高めていく。反発を恐れずに正面から子供たちとぶつかっていくコッホ先生はまさに教師の鏡と言えるが、誰にとっても(良かれ悪かれ)自身に影響を与えた教師は一人はいるはず。俳優・ダニエルにとってのそれは、俳優の道を開く存在となった。「ドイツ語と音楽を教えていた先生です。実は、その先生が演劇グループを勧めてくれたんです。10歳か11歳ぐらいのとき、その先生の勧めで朗読コンテストに出場し、優勝しました。その優勝がきっかけで、ラジオの朗読を始め、それが私にとって初めての仕事となりました。ラジオ朗読をすることで俳優としての情熱に目覚めたので、その先生がいなければ俳優になっていないかもしれません」。特集:『コッホ先生と僕らの革命』宣伝体験記■関連作品:コッホ先生と僕らの革命 2012年9月15日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2011 DEUTSCHFILM/CUCKOO CLOCK ENTERTAINMENT/SENATOR FILM PRODUKTION
2012年09月19日ドイツサッカーの父と称されるコンラート・コッホの姿を描いた映画『コッホ先生と僕らの革命』の公開を記念し、元プロサッカー選手で解説者の中西哲生と同じく元サッカー選手でドイツ・ブンデスリーガで日本人選手第1号として活躍した奥寺康彦が9月14日(金)、TOKYO FMでトークショーを行なった。『グッバイ、レーニン!』のダニエル・ブリュールを主演に迎えた本作。反英感情が高まる19世紀後半のドイツで、留学先のイギリスからドイツ初の英語教師として名門校に招かれたコッホが、子供たちに当時は反社会的スポーツとみなされていたサッカーを通じて自由や自律の精神を伝えていくさまを描く。映画では子供たちが厳しい規律の中で抑圧される姿が描かれる。日本でもドイツ人に対して真面目で規律正しいイメージを持っている人が多いように思えるが、奥寺さんは「全然そんなことなくて、ドイツ人はもっとオープンですよ」と否定。自身がドイツに渡った当時をふり返り「規律をしっかり守る人たちというのは間違いないですが、“自由”がありましたね」と明かす。映画は奥寺さんがドイツに渡る100年ほど前の時代を描いており「映画を見れば、なぜそう(自由に)なっていったのかが分かると思います」と語った。中西さんになぜドイツに渡ることを決断をしたのか?と問われると、奥寺さんは「向こうの監督が(奥寺さんの獲得を)決めてくれたから。自分では『まさかプロで』と思ってたし、25歳で最初は悩みました。当時も向こうに良い選手はいっぱいいたし、サッカー後進国から選手を獲るって大変なことだったと思う」と述懐。チームからは家族の同伴での渡独を命じられたそうだが、一緒に付いてきてくれた奥さんの存在に触れ「女性は強いですね。肝が据わっていて動じなかった。こっちはあくせくしてたのに(笑)」とユーモアたっぷりに家族の支えの大きさについても語った。日本は当時、プロ発足前のアマチュアの日本リーグの時代。奥寺さんは「サッカーに対する考え方や姿勢でプロとアマでは全然違った」と歴然とした差を感じたことを告白。日本人とドイツ人の気質はよく似ているとも言われるが、「向こうの選手は我が強い!常に『オレが!オレが!』だから」と語る。一方で「(ドイツに)行った年にリーガとカップの2冠を獲れたことは印象に残っている」、「これは自信を持って言えるけど、僕は練習でも(力を)抜いたことは1回もない」と現地の選手と渡り合い、信頼と称賛を勝ちとった誇りをうかがわせた。ハイレベルな争いの中に身を置くことでの成長を強く実感しているようで、中西さんが自身の現役時代を引き合いに「僕らもグランパス時代に毎日のように(スター選手の)ストイコビッチ(※現グランパス監督)のプレーを見てると、どんどんストイコビッチっぽくなっていった(笑)。上手い選手のプレーを見て成長するということはあると思う」と語ると、「お手本がいるというのは大事。見て、真似することで上手くなる」と同意。現在は2部リーグも含め40人近くの日本人選手が欧州でプレイしており、奥寺さんがドイツに渡った頃とは隔世の感があるが、若い選手が海外に出ていくことについて奥寺さんは「賛成です。やはり日本では得られないものがいっぱいある」と実感を込めて力説した。さらにブンデスリーガの現状について「香川(真司/マンチェスター・ユナイテッド)や乾(貴士/フランクフルト)のようなタイプの選手が求められている」と日本人選手の活躍する余地がまだまだあると説く。さらに世界最高峰のマンUでの今後の活躍が期待される香川選手について「まだ時間がかかるだろうとは思うけど、周りがボールを出そう、何とか(香川を)使おうとしてくれているのはすごいこと。敵を背負ってボールを受けることが多いけど、前を向いてもらえるようになれば。ファーガソン(監督)もそれを狙っていると思う」と語った。最後に中西さんから、ドイツでのプロ生活当時、大切にしていた思いや座右の銘を尋ねられると、奥寺さんは「1.FCケルン」に所属当時、満足に試合に出られなかった頃について言及し「干されてしんどかったけど、2部リーグで頑張って(名門の)『ブレーメン』に移籍することができた。(座右の銘は)『耐えてチャンスを待つ』。じっと待つという意味ではなく、準備をしなくてはいけない。チャンスは絶対に来るので、それを掴めるかどうかはそれまでの準備にかかっている」と熱く語った。この日のトークの模様は中西さんがパーソナリティを務めるラジオ番組「中西哲生のクロノス」の9月17日(月)の回にて8時よりオンエアされる予定。『コッホ先生と僕らの革命』は9月15日(土)より全国にて公開。■関連作品:コッホ先生と僕らの革命 2012年9月15日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2011 DEUTSCHFILM/CUCKOO CLOCK ENTERTAINMENT/SENATOR FILM PRODUKTION
2012年09月14日『グッバイ、レーニン!』などで知られる演技派ダニエル・ブリュールを主演に迎えて贈る感動の実話『コッホ先生と僕らの革命』が9月15日(土)より公開を迎える。これに先駆け、教師を目指す人たちを集めて、現役教師たちによるトークショー付き試写会が行なわれ、各国の教育事情について語った。1874年、第一次大戦前のドイツ。帝国主義による厳しい規律が国民たちの自由を許さずにいた。そこにオックスフォードから初の英語教師として招かれたコンラート・コッホ。英語に慣れ親しんでもらうべく、サッカーを通して真の教育を貫こうとするコッホだが、まわりの教師、親たちに「野蛮なスポーツだ」と反対され…。今回、トークショーに登壇したのは東京大学大学院情報学環・水越伸教授、神田外語大学で韓国語を教えるクォン・ヨンギョン准教授と同大学語学専任講師のクリスティ・ウィルチ先生の3名。この日のテーマは、教育現場における「日本と海外の違い」。韓国出身のヨンギョン准教授は「私の学生時代なので、少し昔ですが」と前置きしつつ、「夜遅くまで学校や塾で勉強していました」と語り、「でも、私の生徒も含めて日本はあまり遅くまで学校にいることはないですね(笑)。それは韓国が日本よりも国家とか社会からの影響が強いからだと思います」と考察。オーストラリア出身のウィルチさんも韓国で5年間過ごした経験を持つが、実際に韓国の学生たちは「勉強・勉強・勉強の日々。学校の後も塾に行って、その次に塾での内容についていくための塾に行って…社会の中で学ぶ時間が少ないんです」という激しい受験戦争が繰り広げられる韓国の教育事情を明かし、会場を驚かせた。さらに、『コッホ先生と僕らの革命』のストーリーのきっかけでもあり、いま日本でも取り沙汰されているいじめ問題について話が及ぶと、顔を曇らせる一同。韓国では厳しい受験戦争のストレスからか、いじめのエスカレート化が深刻な問題になっていると言い「学生たちは苦しい状況の中、学校に通っています」(クォン准教授)と明かす。ウィルチさんも「一番多いのが、無視して“いない者”扱いするものですね。でもオーストラリアの場合は友達や家族に相談しやすいカルチャーがあるので、日本や韓国よりもいじめから抜け出しやすい環境です。やっぱり受験によるプレッシャーや自由な時間がないことが原因で起こっているように感じます」と悲しげな表情を見せた。本作でも帝国主義が支配する窮屈な社会の中で生きる生徒たちの姿が描かれている。水越教授は本作をふまえ「1874年というのは、(本作の舞台となる)ドイツも日本も遅れて帝国主義でした。ここでは、いまとはまた違った“学校”が描かれています。いじめも現代のものと少し違っています。ただ、日本の多くの学校教育システムは、ドイツの軍隊を育てる機関から入って来たものなんです。だから、日本でも韓国でも間違ったら怒られるんじゃないかとか感じるのはそういうシステムがいまだに底で流れているからなんです」と、日本とドイツの教育現場の意外な関係を明かしてくれた。そして、最後には「しかしこの映画は、そんな中でも将来の夢や希望もしっかりと描かれていました」と、いつの時代も変わらぬ子供たちの未来を思う教師の心に目を細めていた。今回の試写会を企画・運営したのは神田外語大学の学生たち。“明日のコッホ先生”を目指す来場者のために、この日参加した現役教師たちとの交渉や会場の手配までの一切を彼らが担当した。教育現場からの真摯な言葉に胸を熱くたぎらせながら、イベントの成功に一安心といった様子だった。『コッホ先生と僕らの革命』が9月15日(土)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。特集:『コッホ先生と僕らの革命』/宣伝体験記■関連作品:コッホ先生と僕らの革命 2012年9月15日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2011 DEUTSCHFILM/CUCKOO CLOCK ENTERTAINMENT/SENATOR FILM PRODUKTION
2012年09月04日19世紀末のドイツで当時は反社会的とされていたサッカーを用いた授業を行い、“ドイツ・サッカーの父”とも称されるコンラート・コッホの姿を実話を基に描いた映画『コッホ先生と僕らの革命』が9月15日(土)から日本公開される。これまでも、信念を貫き、生徒たちを導く教師のドラマは多くの観客の支持を集めてきたが、本作もそんな“語り継がれる名作”になるのだろうか?その他の写真本作は、反イギリスの感情が強かった1874年のドイツの名門校に、若き英語教師コンラート・コッホが赴任してくる場面から始まる。彼は生徒たちやその親が持つ根強い偏見に負けることなく、サッカーを媒介に生徒たちと向き合い、閉ざされていた生徒たちの心を開いていく。本作がドイツで公開された当時、多くの観客が『いまを生きる』の名をあげたそうだ。『いまを生きる』はロビン・ウィリアムズが主演を務めた1989年の米映画で、厳格な全寮制の学校を舞台に、ひとりの熱血教師が生徒たちと心を通わせる様を描き、多くの観客の支持を集めた。本作だけでなく、心を閉ざしていた若者たちを、ときに優しく、ときに厳しく指導し、“教師と生徒”という枠を超えた信頼関係を築いていく過程を描いた作品は多い。ジュリー・アンドリュースが厳格な家の家庭教師役を演じた『サウンド・オブ・ミュージック』、サミュエル・L・ジャクソンが風変わりなコーチに扮した『コーチー・カーター』、そしてジャック・ブラックが生徒たちに“ロック”を通じて大事なことを教えていく『スクール・オブ・ロック』など、単なる熱血ではない教師像を描いた作品は、時を超えて愛され続けている。コッホ先生を演じたのは『グッバイ、レーニン!』や『イングロリアス・バスターズ』などで知られる人気俳優ダニエル・ブリュール。劇中では、生徒ひとりひとりと真摯に向き合いながら、“上から目線”の指導ではなく、自身が信念を貫く姿を通じて、生徒たちを導く教師を熱演しており、日本の観客が“コッホ先生”の指導にどのような感想を寄せるのか気になるところだ。『コッホ先生と僕らの革命』9月15日(土) TOHOシネマズ シャンテほか全国順次ロードショー
2012年08月31日1994年に恵比寿にオープンし、世界各国の秀作を上映し続けてきた単館系シアター「恵比寿ガーデンシネマ」が2011年1月28日(金)に休館し、17年間の歴史に幕を閉じることが発表された。ミニシアターブームの先駆け的な存在として多くの映画ファンを生み出してきた本映画館。ロバート・アルトマン監督の『ショート・カッツ』で開館し、その後も『スモーク』、『モーターサイクル・ダイアリーズ』などインディーズ系の作品がセレクトされることが多く、映画通に愛される映画館として良質の作品を上映し続けてきた。過去に上映された数ある作品の中で、最も高い興行収入を記録した作品はマイケル・ムーア監督作の『ボウリング・フォー・コロンバイン』。ちなみに、本映画館歴代興行収入ベスト10は以下の通りとなっている(※年度は日本公開年度)。1位:『ボウリング・フォー・コロンバイン』(マイケル・ムーア監督/’03)2位:『スモーク』(ウェイン・ワン監督/’95)3位:『モーター・サイクル・ダイアリーズ』(ウォルター・サレス監督/’04)4位:『リアリティ・バイツ』(ベン・スティラー監督/’94)5位:『ロッタちゃん はじめてのおつかい』(ヨハンナ・ハルド監督/’00)6位:『ショート・カッツ』(ロバート・アルトマン監督/’94)7位:『グッバイ、レーニン!』(ヴォルフガング・ベッカー監督/’04)8位:『17歳のカルテ』(ジェームズ・マンゴールド監督/’00)9位:『セントラル・ステーション』(ウォルター・サレス監督/’99)10位:『デッドマン・ウォーキング』(ティム・ロビンス監督/’96)10作中、実に7作が2000年までに公開された作品。このランキングを見ても、本映画館が90年代のミニシアターブームを引っ張ってきたことがうかがえる。また恵比寿ガーデンシネマと言えば、忘れてはならないのがウディ・アレン監督!本映画館における過去最多上映監督に堂々と君臨!通の間では「ウディ・アレンと言えば恵比寿ガーデンシネマ」というほど、高い人気を博してきた。本館の最後の上映作品に選ばれたのも、ウディ・アレンにとって記念すべき40作品目の監督作となる『人生万歳!』。現在も上映中のこの記念碑的作品と共に恵比寿ガーデンシネマはその歴史に幕を閉じることに…。また、1月15日(土)からは17年間の感謝の意を込めて、過去のヒット作から選りすぐりの作品を上映する「恵比寿ガーデンシネマ・ベストセレクション」の開催も決定!映画館を共に盛り上げてきたウディ・アレン作品からは『ウディ・アレンの夢と犯罪』、『マッチポイント』、『さよなら、さよならハリウッド』などが上映される。そのほかの上映作品は未定。どんな“お別れ”を用意してくれるのか?この、洒落た映画館ならではの最後のチョイスに期待!シネマコンプレックス(複合型映画館)が映画興行の主体となっていく中で、貴重な単館系映画館がまたひとつなくなってしまうのは寂しいが、最後の思い出にぜひ足を運んでみては?『人生万歳!』は現在公開中。恵比寿ガーデンシネマ公式サイト■関連作品:人生万歳! 2010年12月11日より恵比寿ガーデンシネマほか全国順次公開© 2009 GRAVIER PRODUCTIONS, INC.■関連記事:ウディ・アレン インタビュー「ニューヨークを舞台にあと50本は作ることができるよ」ウディ・アレン×エヴァン・レイチェル・ウッド『人生万歳!』試写会に10組20名様ご招待【ハリウッドより愛をこめて】ウディ・アレンがぼやき節!マイケル遺児は学校へ?
2010年12月13日