仲睦まじく肩を並べる、がまくんとかえるくんのコンビ。作者・アーノルド・ローベルの名前には馴染みがなくても、小学校の教科書や読書の時間などを通して彼らの姿を目にしてきた人は多いのでは。シリーズ最初の本が出版されてから半世紀。長い時を超えて、今なお世界中で愛され続ける本作の誕生50周年を記念する展覧会「『がまくんとかえるくん』誕生50周年記念アーノルド・ローベル展」が開催される。大切な人を思い出す、優しさとユーモア溢れる作品たち。一番の見どころは、日本初公開となる「がまくんとかえるくん」の原画やスケッチ約100点。描いて、悩んで、また描いて…と繰り返していたローベルの人物像やキャラクターの変化など、じっくり見ると様々な発見があるはず。また、ワニやブタなど愛らしい生き物が登場する名作原画も多数展示される。他にも、『つみきのいえ』などで知られるアニメーション作家・加藤久仁生氏が絵本をもとに、がまくんとかえるくんのゆるやかな日々を描いた『一日一年』も特別上映。時間にして数分の映像作品なので、見逃さずにチェックして。「友達や家族など、いろんな人との結びつきに思いを馳せることができるローベルの作品を、ぜひじっくり味わってほしいです」(PLAY!プロデューサー・草刈大介さん)会場では展覧会図録やグッズも販売。子どもも大人も関係なく、すべての人が楽しめるローべルの優しくて温かい作品世界を、あなたも体感してみてはいかが。『ふたりはきょうも』(1979)表紙下絵 Courtesy of the Estate of Arnold Lobel. ©1979 Arnold Lobel. Used by permission of HarperCollins Publishers.『ふたりはともだち』(1970)「すいえい」原画(墨版)Courtesy of the Estate of Arnold Lobel. ©1970 Arnold Lobel. Used by permission of HarperCollins Publishers.アーノルド・ローベル Courtesy of the Estate of Arnold Lobel. ©The Estate of Arnold Lobel.PLAY! MUSEUM東京都立川市緑町3-1GREEN SPRINGS W3開催中~3月28 日(日)10時~18時(入場は17時半まで)3/7休一般1500円ほかTEL:042・518・9625※『anan』2021年1月20日号より。(by anan編集部)
2021年01月18日がまくんとかえるくん誕生50周年記念「アーノルド・ローベル」展が、東京・立川のプレイ ミュージアムにて2021年1月9日(土)から3月28日(日)まで開催される。さらに、2021年4月3日(土)から5月23日(日)には広島に、その後は関西、東北に巡回する予定だ。“がまくんとかえるくん”のアーノルド・ローベル、日本初の展覧会「アーノルド・ローベル」展では、「がまくんとかえるくん」で知られる絵本作家のアーノルド・ローベルの、絵と言葉による豊かなクリエーションにフォーカス。貴重な原画やスケッチ、アニメーションを紹介する、日本初の展覧会となる。深い友情で結ばれた「がまくんとかえるくん」の物語は、シリーズ最初の本が出版されてから半世紀を経てもなお世界中で愛されている。日本でも、小学校の教科書に採用されるなど、広く親しまれてきた。アーノルド・ローベルは絵本作家として、「がまくんとかえるくん」シリーズをはじめ、54年間の生涯の中で100冊もの絵本を世に送り出した。約30冊の絵本を原画・スケッチなど約200点を通して紹介エリック・カール絵本美術館との共同企画となる、今回の「アーノルド・ローベル」展では、「がまくんとかえるくん」を中心とする約30冊の絵本を、約200点もの貴重な原画やスケッチを通して紹介する。さらに、アニメーション作家の加藤久仁生による、がまくんとかえるくんの日常を描いたアニメーション作品「一日一年」も特別上映。様々な角度から、アーノルド・ローベルの作り出す世界観を楽しめそうだ。図録・オリジナルグッズも販売また、展覧会に合わせて展覧会図録やオリジナルグッズも販売される。【詳細】がまくんとかえるくん誕生50周年記念「アーノルド・ローベル」展会期:2021年1月9日(土)~3月28日(日)会場:プレイ ミュージアム住所:東京都立川市緑町3-1 GREEN SPRINGS W3TEL:042-518-9625開館時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)休館日:会期中無休入場料:一般 1,500円、大学生1,000円、高校生 800円、中・小学生 500円※未就学児無料■割引制度(併用不可)・立川市在住・在学の場合、[立川割]の対象。証明できるものの提示が必要。[立川割]一般 1,000円 、大学生 600円、高校生 500円、中・小学生 300円・[障害者割引]障害者手帳を提示した人とその介添人1名は半額・[相互割引]「一般」で入場した人は、プレイ パークを200円引きで利用できる。※「企画展」「常設展」の2つの展覧会を観覧可能。※特典つき※当日に限り入退場自由※平日は当日券のみ/休日はオンラインチケットの日付指定券を販売(希望者向け)※会場内はすべて写真・動画撮影可■同時開催オープン記念常設展「エリック・カール 遊ぶための本」開催期間:2020年6月10日(水)~2021年3月28日(日)■巡回展・広島開催期間:2021年4月3日(土)~5月23日(日)場所:ひろしま美術館住所:広島県広島市中区基町3-2 中央公園内※その後、関西、東北にも巡回予定。
2020年11月19日アフリカンスクエアー提供寒い季節、無性に食べたくなるチョコレート。暖かい部屋で飲むココアや、お気に入りのカフェで頼むホットチョコレートも冬の醍醐味ですが、甘いチョコレートはダイエットの天敵。大好きなチョコレートを毎日食べたいなら、選ぶのは、ハイカカオを使った純度の高いチョコレートがよいそう。おすすめはカカオ70%以上のブラックチョコレートアフリカンスクエアー提供チョコレートの原料となるカカオには、抗酸化作用があるポリフェノールなど、美容と健康に良い成分が含まれていて、摂り方にさえ注意すれば、本来は体にいい食べ物なんです。ところが、スーパーや量販店で販売しているチョコーレートには、砂糖や脂肪分が多く含まれているため、甘くて口当たりがよくても、たくさん食べると太るもとに。健康と美容に配慮しながら食べるなら、混ぜ物はなるべく少ないもので、カカオ70%以上のブラックチョコレートがおすすめ。近年はカカオの健康効果を意識した商品も多くなり、店頭でカカオ70%以上のハイカカオチョコレートを見かけることや、専門店も登場していますが、今回おすすめしたいのは、ロベール社が手がけるカカオ100%のダークチョコレートです。カカオ100% の本格派ダークチョコレートアフリカンスクエアー提供ロベール社は70年以上チョコレートをつくり続けている、チョコレート製造の老舗。彼らが手がけるナチュラルチョコレートは、マダガスカルカカオを100%使用することにこだわってつくられます。マダガスカルはアフリカの南東部にある島国で、上質なカカオがとれることで知られているそう。ローベル社の「ショコラマダガスカル」は、マダガスカルの北部に位置する熱帯林で栽培されるカカオ豆を使用。アフリカンスクエアー提供農薬を使わずに育てられたこのカカオ豆からできるチョコレートは、フルーティーな酸味と香りが特徴で、個性的かつ豊かな風味に仕上がります。無農薬栽培なので、自然にも体にも優しいチョコレートなのです。ショコラマダガスカルダークチョコレート100%アフリカンスクエアー提供:ダークチョコレート100%マダガスカルカカオ100%でつくられるハイカカオ・チョコレート。口の中に入れると、熱で溶けたチョコレートからカカオ本来の風味とアロマがゆっくりと広がります。オレンジやトロピカルフルーツを思わせる微かな酸味もクセになりそうです。ただし、食べ過ぎにはご注意を。純度の高いチョコレートは、一日に約50gまでが適量だそう。人によっては、食べるとびっくりするくらいカカオがぎゅっと詰まっていて、ひとカケラでもまるでエスプレッソを飲んだ時のように気合いが入ります。朝や、疲れたときにほんの少し食べるのがおすすめ。甘いチョコレートが苦手な人や、健康・美容を意識している人、元気になりたい人にぴったりのカカオ100%のチョコレートです。ショコラマダガスカルシリーズはこれもおすすめ!01.ヴィーガンカシューミルクチョコレート65%アフリカンスクエアー提供:ヴィーガンカシューミルクチョコレート65%植物性原料のみでつくる、カカオ65%のチョコレート。「ミルクチョコレート」ですが、乳製品は使わずカシューナッツを練りこんでいるのが特徴です。植物性原料のみを使用しているので、ヴィーガンにもおすすめ。砂糖の割合は17%と少なく、これはダークチョコレート85%と同じ量。すっきりした味わいで、ヘルシー。ダイエット中でも食べやすいチョコレートと言えるでしょう。※注:同一ラインで乳製品の扱いがあるため、乳成分の混入の可能性有。02.ショコラマダガスカル ホワイトゴールドチョコレート45%アフリカンスクエアー提供:ホワイトゴールドチョコレート45%自家製のナチュラルカカオバターでつくった、ホワイトチョコレート。現在日本に出回っているカカオバターは、ほぼ全て東南アジア産で、化学的な脱臭処理を施したものだと言われています。カカオバターは、そのままでは使用できないほど臭いがきつく、加工前にこのような脱臭処理を施すのが通常だそうですが、「ショコラマダガスカル」のチョコレートは、発酵・乾燥・焙煎を、時間をかけて丁寧に行うため、特別な処理は不要で、そのままチョコレートへ加工することができるそうです。バニラなどの香料、乳化剤も不使用。カカオバター、全粉乳、砂糖のみでつくられた特別なチョコレートは、一見チーズのようにも感じられ、ワインなどのお酒にもぴったり。レイズトレードへも取り組むローベル社これらの「ショコラマダガスカル」シリーズを手がけるローベル社は、その加工から商品化までを一貫して行うことで、フェアトレードより一歩先に進んだ「レイズトレード」に取り組んでいます。よいものをつくる生産者を大切にしながら、本格的なチョコレートを生み出しています。アフリカンスクエアー提供ひとカケラで元気いっぱいになるハイカカオのチョコレート。カカオ豆本来の風味と香りが楽しめて、本格チョコ好きな人におすすめです!《取り扱い》有限会社アフリカンスクエアーHP:五十嵐みずき
2020年01月16日「子どもの絵本をどう選んだらいいのかわからない……」「自分が気に入った本ばかり読んでいて、親が読んでほしい絵本を手にとってくれない」「オススメの絵本が知りたい!」このように、読書に関するお悩みを抱えてはいませんか?今回は、「本選びのプロ」である書店員さんに、「書店の活用方法」「絵本選びの極意」そして「書店員おすすめの1冊」をお伺いしました。子どもを本好きにする、書店の活用方法今回、お話を伺ったのは、丸善 丸広百貨店飯能店にお勤めの福島さん。福島さんは、子どもと書店へ行くときに大切なのは「時間がたっぷりあるときに行くこと」だと言います。書店へ行くときは、時間に余裕を持って「基本的なことですが、子どもと書店へ行くときに大切なのは、時間がたっぷりあるときに行くことです。私たちの書店でも、時折、パパ・ママから『どの本にするの!?早く決めて!』と急かされて泣き出してしまうお子さんを見かけます。しかし、それはお子さんにとって酷な話です。膨大な量の本の前で(我が書店では、児童書だけでも3万冊は置いています)突然「どれでも選んでいいよ」と言われると、子どもは喜びながらも『なんでも買ってもらえるなら、なるべく豪華な本がいいかな』『読みたい本はあれなんだけど、ここは、うーん……』などと悩んでしまうもの。そんななかで『早く決めなさい!』と急かされると、放心状態になってしまいます。まずは、お子さんがよく吟味して本を選べるよう、じっくり待ってあげましょう」特に、絵本は厚さが薄いため、表紙が見えない状態で棚に陳列されると、途端に輝きが損なわれてしまう悲しい側面があるのだそう。本当はなるべく表紙を見てほしいものの、スペースの都合上、どうしても多くの本は棚に入ることになってしまうと福島さんは言います。親御さんは、極力たくさんの絵本を棚から引き抜いて、お子さんに表紙を見せたり、パラパラとめくってみせたりしてあげるといいですね。まずは、子どもの興味に付き合うまた、本を選ぶときには、その子が興味を抱いている本を選ぶことが大切だと福島さんは言います。「本選びに限った話ではありませんが、何をするにも無理強いは絶対にNG。子どもが本を嫌いになってしまう可能性が高まります。子どもの興味の発露を待ちましょう。以前、3歳になったばかりの男の子のお母様に、『この子、てんとう虫が好きなのですが、てんとう虫の本を何冊か出してくれませんか?』と声をかけられたことがあります。書店員の腕の見せ所!物語、写真絵本……とありったけのてんとう虫の本を用意しました。しばらく経った頃、『今度はコアラに興味が移ったようで、コアラの本を……』とお母様。私もとことん付き合います。なんでも、庭でてんとう虫を見つけたことがきっかけでてんとう虫にハマり、上野動物園でコアラを見てからはコアラに夢中になったのだとか。お子さんの興味は生活に密着していて、子どもの知的好奇心の豊かさに感激しました。またしばらく経った頃、『今度は、カワウソを好きになったので、カワウソの本を……』。お母様の郷里の旭山動物園でカワウソを見てから、カワウソにのめり込んでしまったのだそう。さあ腕まくり!旭山動物園の飼育係から絵本作家になったあべ弘士さんの『かわうそ3きょうだい』(小峰書店)のシリーズに、アーノルド・ローベルとナサニエル・ベンチリーの『かわうそオスカーのすべりだい』(好学社)などなど……。あらゆる本をご用意しました。子どもの興味は、このようにどんどん広がっていきます。大切なのは、その好奇心にとことん付き合うこと。そうすることで、読書の幅もみるみる広がっていきます。私たち書店員も、日々勉強しています!ぜひ、気軽に書店員に声をかけてみてくださいね」子どもの興味はコロコロ変わるもの。子どもを本好きにするためには、「この間○○の本を買ってあげたばかりなのに」などと怒ることなく、子どもの興味にとことん付き合ってあげることが大切なのです。その際には、書店員さんに相談するなど、書店を有効活用したいですね。絵本はどうやって選ぶべき?「絵本の選び方がわからない」という親御さんも多いことでしょう。福島さんは、以下のようなロングセラー作品をひとつは持っておくことを勧めています。『エルマーのぼうけん』ルース・スタイルス・ガネット 作/ルース・クリスマン・ガネット 絵/渡辺 茂男 訳(福音館書店)『ひとまねこざる』H.A.レイ 著/光吉 夏弥 訳(岩波書店)『はらぺこあおむし』エリック・カール 作/もりひさし 訳(偕成社)『ぐりとぐら』中川 李枝子 作/大村 百合子 絵(福音館書店)『だるまちゃん』シリーズ 加古 里子/作(福音館書店)『こぐまちゃん』シリーズ わかやま けん/作(こぐま社)「ほかにもいろいろありますが、上記のようなロングセラー作品を、ひとつは持っておくのがおすすめです。幼稚園・保育園に行くと必ずと言っていいほどお目にかかる本ですから、お友だちと知っていることを共有する喜びも味わうことができますよ。ロングセラー作品以外でも、ワクワクするような楽しい物語、ことばあそびの絵本、いつまで見ていても飽きない繊細で緻密な作品(安野光雅さんによる福音館書店『もりのえほん』『旅の絵本』など)、起承転結が明確な昔話絵本なども、子どもに愛されますね」また、以下のような優れたブックリストを活用することもおすすめだそう。『本へのとびら――岩波少年文庫を語る』宮崎 駿 著(岩波書店)『子どもと本』松岡 享子 著(岩波書店)『そして、ねずみ女房は星を見た』清水 眞砂子 著(テン・ブックス)しかし、何よりも大切なのは、子どもの興味を尊重することだと福島さんは言います。「無口な子、おしゃべりな子、素直な子、反発する子……。大人と同じく、子どもの個性も十人十色です。我が子にいろいろな望みをかけるのは親として当然かもしれませんが、子ども自身のペースを尊重することを大切にしましょう。本は、賢くなるために読むものではありません。特に幼いうちは、自分の読みたいものを純粋な楽しみのために読めばいいのです。主人公に寄り添って冒険をして、ハラハラ・ドキドキしたり、ともに涙を流したり、苦しみを乗り越えたり、喜びに胸を高鳴らせたり……。そういった経験は、実学というところにつながると私は思います」絵本選びについて悩んでしまう親御さんは多いことと思いますが、福島さんいわく、はじめは、子どもの読みたい本を買ってあげればいいのだそう。「その際は、親が「読ませたい」と思う本も同時購入し、本棚にさしておくと良いでしょう。必要なときが来れば、本は開かれると私は思っています」書店員オススメの1冊子どもが読みたい本を読ませてあげるのが一番だと話す福島さん。そんな福島さんが、ある印象的なエピソードをお話しくださいました。売り物ではない本を『欲しい!』と手放さない少年がいた「『あまがえるのかくれんぼ』(世界文化社)は、当初、園向けの直販商品でした。著者のかわしまはるこさんは、我が丸善書店のある街、埼玉県飯能市にお住いの絵本作家です。ご縁があってご本人にお会いしたのがきっかけで、『地元の絵本作家さんにこんな素敵な人がいます』と店頭にコーナーを設け、非売品としてソフトカバーの『あまがえるのかくれんぼ』をご紹介していました」そんなある日、一人の少年が「この本が欲しい!」とレジに持ってきたのは、非売品の『あまがえるのかくれんぼ』。「『この本は売り物じゃないのよ』彼のお母様と一緒に説得しようとしましたが、少年は本を離しません。ふと見ると、その子のTシャツにも靴にもかえるの絵。『本当にかえるの絵本が欲しかったのだな』と感じた私は、かわしまさんから自分用にと頂いていた1冊を、彼にプレゼントすることにしました」その後、彼を皮切りに、子どもたちから、お父さんやお母さん、おじいちゃんやおばあちゃんまで、何人ものお客様がひっきりなしに「この本が欲しい」と言いに来るようになったのだそう。福島さんは「この本は非売品で……」と断り続けることにやるせなさを感じていたと言います。そこで、出版のために行動を起こすことを決めたのだとか。「こんなにもたくさんの人に求められる本なのだからと、署名活動をし、ハードカバー化してもらえるようお願いすることにしました。その結果、なんと、たった1ヶ月の間に419人もの署名が集まったんです。署名を世界文化社さんにお送りしたところ、すぐに会議にかけてくださり、この本の出版が決まりました」署名活動を始めた際、「うまくいくか、いかないかは考えなかった」と福島さんは語ります。こんなにもたくさんの人の心を動かす本を、多くの人の手に届けたい一心だったそう。「きっかけがどうであれ、本自身の持っていた力だと思っています」非売品でありながら、多くの人の心を動かし、惹きつけた『あまがえるのかくれんぼ』。ぜひ手にとってみてはいかがでしょうか。『あまがえるのかくれんぼ』 舘野 鴻 作/ かわしま はるこ 絵(世界文化社)⠀小さなあまがえるのラッタ、チモ、アルノーは今日もかくれんぼをして遊んでいます。すると、ラッタの体の色が変わってしまい……。生物画家のかわしまはるこさんは、約10年間もあまがえるを飼育・観察していらっしゃるそう。繊細で美しく、愛にあふれた絵は、見る者の目を楽しませてくれます。さらに小学館児童出版文化賞受賞作家の舘野鴻さんによる文章はあたたかく、不安を乗りこえ成長していく小さな3匹の心の変化を鮮やかに描き出します。豊かな物語を楽しみながら、カエルの生態についても学べる貴重な一冊です。⠀***お子さんを本好きにするために大切なのは、無理強いをしないこと、そして、お子さんの興味にとことん付き合うことです。お子さんに「読ませたい」本はそっと本棚にさしておき、お子さんが「読みたい」本は積極的に読ませてあげましょう。
2020年01月12日今月の人Illustration:Hidemi Ito女優水野美紀さん1974年、三重県出身。1987年にデビュー。以降、ドラマ『踊る大捜査線』シリーズをはじめ、映画、ドラマ、CMなど数多くに出演。最近では舞台の台本やエッセイの執筆を手がけるなど、活動の幅をますます広げている。2016年に俳優でイラストレーターの唐橋充さんと結婚、2017年に第1子を出産した。現在、AERA dot.にて、育児に奮闘する日々を綴ったエッセイ『子育て奮闘記「余力ゼロで生きてます」』を連載中(毎週木曜日更新)。最新出演作は、NHKドラマ10『ミストレス~女たちの秘密〜』(4月19日放送開始、毎週金曜22時~)、WOWOW連続ドラマW『坂の途中の家』(4月27日放送開始、毎週土曜22時~)。人生で大切なことを優しく教えてくれる感動のファンタジー『100万回生きたねこ』作・絵:佐野洋子¥1400/講談社100万回も死んで、100万回も生きた猫がいました。これまでの飼い主は王様、船乗り、手品使い、泥棒、おばあさん、女の子……100万人のひとがその猫をかわいがり、猫が死んだとき泣きました。あるとき、猫は初めてノラ猫になりました。どんなめす猫も、猫のおよめさんになりたがりましたが、猫は相手にしませんでした。誰よりも自分が大好きだった猫は、やがて一匹の白く美しい猫に出会って――。愛と命の尊さを描く不朽の名作。「100万回も生まれ変わって、いろんな人生を生きてきた猫が主人公。この猫は自分のことが一番好きで、泣いたこともない。そもそも死ぬことが平気なんだから、怖いものなんて何もないんですよね。そんな彼が白い猫と出会ったことで、大きく変わっていくんです。猫が初めて声をあげて泣く場面は本当にせつなかったですね。大切な人と出会って、たった1回きりの人生を大事に生きることに意味があるんだよって、教えてくれるお話です」親になって初めて知った、自分よりも大事に思える存在がいるという感覚「子どもの頃に読んで夢中になった絵本って、大人になっても、ずーっと記憶に残っているものですよね」と語る女優の水野美紀さんは、自他ともに認める本好き。現在、1歳9ヵ月になるお子さんが、もう少し大きくなって、ストーリー性のある絵本を一緒に楽しめるようになる日を心待ちにしている。「大人になってから改めて読んで、グッときた絵本といえば『100万回生きたねこ』です。子どものときは、猫が生まれ変わるたびに、いろんな国で、いろんな人生を送るっていうところにすごくワクワクしていました。それでいて、悲しいお話だなぁっていうイメージがあって。それが今、私も結婚して、子どもが生まれて……この主人公の猫の気持ちがすごく分かるんですよ。自分よりも大事に思える存在がいる、っていう思いが実感として。小さな子は、この絵本をどのように読むんでしょうね。ワクワクしたり、悲しかったりするだけじゃなく、もしかしたら、お父さんとお母さんは、自身よりも、子どもである自分のことを大事に思ってくれているのかな……って何となく感じるのかもしれませんね」家の近くにあった絵本専門店で過ごしたキラキラした時間の思い出小学校5年生まで三重県四日市市に住んでいた水野さんが、今も懐かしく思い出すのが、当時の家の近くにあった、子どもの本専門店「メリーゴーランド」だ。絵本を中心に、さまざまなジャンルの子どもの本を扱っているほか、おもちゃや雑貨も販売している。「家から車で5分くらいの場所にあったので、親にしょっちゅう連れて行ってもらっていました。お店では、いろんな絵本を読んで、おもちゃで遊んで、気に入ったものがあったら買ってもらって。お店の内装もすごくおしゃれで、かわいかったなぁ。店内の雰囲気とか、たくさんの絵本がどんなふうに棚に並んでいたかとか、よく覚えていますもん」取材中、ネットで調べてみると、お店が現在も営業中であることが判明!ワークショップなどのイベントも定期的に開催されていて、水野さんが行っていた四日市市のお店のほかに、京都店がオープンしていることも分かった。「わー!今も営業しているなんて嬉しいです!今度は子どもを連れて、また行きたいですね。京都店だったら、京都で仕事があったときに行けるかな。私、小学生の頃、図書室の本を読破しちゃうくらい、めちゃくちゃ本が好きだったんですけど、私が本好きになったきっかけは、このお店と出会ったおかげだと思います。考えてみれば、本が好きっていうことは、物語の中の人物を演じる今の女優の仕事にもつながることですよね。そういう意味では、メリーゴーランドで絵本を読んでいた、あの至福の時間は、私にとって原体験といえるかもしれないです」絵本の世界で、いろんなことを疑似体験することで心が強くなる今、水野さんの自宅には、絵本がたくさんある。その多くは、お子さんのためというより、もともと絵本が好きだった水野さんとご主人がそれぞれ買い集めていたものだ。「主人はイラストレーターなので、仕事の資料として絵本を山ほど持っていたんですよね。子どもには絵本を毎日たくさん読んであげたいなぁと思っています。私のほうがやる気満々(笑)。たまに主人と役を割り振って読んでみるのもいいかなって(笑)。今、子どもが寝る前によく読み聞かせしているのは、出産後に主人の父からもらった『あかちゃんとあそぶ絵本』という全4冊の絵本セット。二つ折りになったページを開くと、夜が明けて、太陽が出るとか、子どもがアッと驚くようなしかけがあって楽しいです。うちの子はその中でも『あけてみたいな』という一冊が気に入っていますね」水野さん自身がそうであったように、絵本は、その子が将来、本好きになるきっかけにもなる。そして物語を読んで得たものは、決して空想の世界だけにとどまらない。「私は大人になったいまも、ファンタジーの要素がある話が好きなんです。それもやっぱり、子どもの頃に絵本にいっぱい触れていたことが影響しているのかもしれない。本の世界にひたって、いろんなことを疑似体験すると、何より心が強くなると思うんですよ。たとえば、童話の『青い鳥』を読めば、チルチルとミチルに自分を投影しながら、幸せの青い鳥を探すための冒険の旅に出て、最後は自分たちの部屋の鳥かごの中に青い羽を見つけることができる。主人公と一緒に大変な経験をした後に、感動と達成感が味わえるんです。そういうことの積み重ねって、きっと実生活にも反映されてくるはず。子どもながらに『大丈夫!チャレンジしてみよう!』っていう勇気が生まれると思います」【 水野美紀さん、これもオススメ 】思いやったり、ケンカしたり……リアルに描く“友達”という距離感『ふたりは ともだち』作:アーノルド・ローベル訳:三木卓¥950/文化出版局いつも友達の “がまくん” を思いやる心優しい “かえるくん” と、わがままいっぱいで甘えん坊だけど、放っておけない可愛らしさがある “かえるくん”。性格は全然違うけれど、一緒にいると、しっくりはまる凸凹コンビの日常。仲良しの “がまくん” と “かえるくん” を主人公にしたユーモラスな友情物語を5編収録。最後のお話「おてがみ」は小学生の教科書に採用されています。読み聞かせにもぴったりなローベルの傑作です。「単純明快な仲良しのお友達同士の話じゃないところが、おもしろいなぁと思います。ときにはケンカしたり、ちょっとすねてみたり、わがまま言ったりしながら、それでもずっと仲がいいお友達だという関係性が、何だかリアルに感じるんですよね。子どもながらに、相手の気持ちを思いやるって、どういうことなのかと考えさせられました。個人的には “がまくん” が水着を着た姿を恥ずかしがる『すいえい』のエピソードがかわいくて好き(笑)」カラフルで鮮やかな美しい絵の力ずっと眺めていたくなる世界観『はらぺこあおむし』作:エリック・カール訳:もりひさし¥1200/偕成社世界中で愛され続けている絵本作家エリック・カールの代表作。日曜日の朝、卵からかえった小さなあおむし。月曜日にはリンゴ、火曜日には梨……もりもり食べ続けて大きくなったあおむしは、やがてさなぎになり、何日も眠った後、最後は美しい蝶へと変身します。ページに穴の開いた仕掛け絵本で、まだ物語を理解できない赤ちゃんも穴に指を入れて楽しめるのが魅力。レギュラー版のほか、ボードブック、ミニ版などさまざまなタイプがあります。「エリック・カールの絵本は、絵のタッチがすごく素敵で、小さい頃からずっと覚えています。あおむしから蝶に成長するまでのストーリーだけでなく、食べるということもテーマのひとつ。はじめの頃はイチゴやオレンジといったフルーツを食べていたあおむしが、途中でケーキとかアイスとかサラミとか、ジャンクっぽい食べ物もいっぱい食べて。結局、おなかを壊しちゃうんだけれど、緑の葉っぱを食べて回復するという展開もいいんです(笑)」作ってみたいし、食べてみたい!大きな黄色いカステラのインパクト『ぐりとぐら』作:中川李枝子絵:大村百合子¥900/福音館書店お料理することと食べることが何より好きな野ねずみのぐりとぐらは、森で大きな卵を見つけました。目玉焼きにしようか、卵焼きにしようか考えたすえ、カステラを作ることにしました。でも、卵があまりにも大きくて運べません。そこでフライパンを持ってきて、その場で料理することにしました。カステラが焼けるにおいにつられて、森じゅうの動物たちも集まってきます……。子どもたちの人気者ぐりとぐらが初登場した記念すべき絵本。「『ぐりとぐら』といえば、大きなカステラですよね!おいしそう~って思わずにはいられないビジュアル・イメージ。お料理って、日常にある身近な題材なので、すごく親近感を持って楽しめるお話です。小さな子どもにとって、大きな卵を割るとか、大きなフライパンで大きなカステラを焼くとか、大きいものに取り組むのも、ワクワクするんですよね。どんな味だったんだろうなぁって想像しながら、お料理に興味を持った記憶があります」Illustration:Hidemi ItoText:Keiko IshizukaConposition:Shiho Kodama
2019年04月26日暑さが本格的になってくると、エアコンを入れても寝苦しく、じっくり熟睡できない夜が増えますよね。眠りたいのに眠れない、暑苦しさにイライラはMAX!早く眠ろうとすればするほど、逆に頭が冴えて、気づけばいつの間にか朝になっていた……なんてことも。そんな眠れない夜は、睡眠を促してくれる食べ物を取り入れてみてはどうでしょう。アメリカの人気ビーガンシェフであるジェイソン・ローベルが、自身の著書「Eaternity」で、快適な睡眠に効果的な食べ物を紹介しています。ディナーやベッドタイムの前に食べることで寝つきが良くなり、睡眠の質を飛躍的にUPさせることができる「スリーピングフード」。早速チェックしてみましょう。ガンコな不眠症には「バナナ」カリウムとマグネシウム、ビタミンBが豊富なバナナは、筋肉や神経をリラックスさせ、疲労回復にも◎。また、セロトニンと呼ばれる、心を安定させる神経伝達物質の元になるトリプトファンが多く含まれているため、眠る前の気分を落ち着かせてくれる効果が。トリプトファンが脳に伝達されるには約1時間かかるので、ベッドタイムの1時間前に食べるようにするといいでしょう。ヨーグルトに合わせてもいいですね。ホットミルクと一緒に取り入れれば、さらにぐっすり眠れそう。ダイエットにもいい「アーモンド」ダイエットのお供として、海外では定番のアーモンド。アーモンドには筋肉をリラックスさせ、眠りを誘うマグネシウムが含まれています。さらにカリウム、ビタミンEも豊富なため、仕事のストレスを緩和させ、神経を安らげる効果も。寝る前に適量(だいたい一日20粒ほど)をそのまま食べると、ぐっすり安眠できるのだそう。精神安定剤としてなら「玄米」玄米に含まれるアミノ酸の一種、GABA(ギャバ=ガンマ-アミノ酪酸)は、脳内で抑制系の神経伝達物質として働く成分で、興奮を抑えてくれます。脳細胞の代謝を活発にし、脳疲労を回復させイライラや不安を和らげてくれるため、寝る前の精神安定剤としておススメ。夜ご飯には白米ではなく、玄米を食べるようにしてみましょう。家に帰っても仕事モードからなかなか切り替えられない時など、意識して摂るといいですね。時差ボケには「さくらんぼ」Journal of Experimental Botanyで発表された研究結果によれば、さくらんぼには、睡眠周期をコントロールしてくれるメラトニンが含まれているそうです。そのため、体内時計を調整してくれる働きが期待できるのだとか。過密スケジュールで睡眠時間をバラバラに取らなければならない人や、海外旅行での時差ボケなどに◎。夜のデザートとして、寝る前に数粒食べたり、ジュースとして取り入れても良さそうです。ただ食べ過ぎると下痢になることもあるので、20粒程度にとどめておきましょう。ベッドタイムの前に食べることで、睡眠の質がUPする「スリーピングフード」。カロリーもさほど高くないものばかりなので、気軽に食べられるのも嬉しいですよね。眠れない夜に、是非試してみてください!
2016年06月08日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週水曜日は、京都に店舗を構える、本と本にまつわるあれこれをセレクトしたショップ、恵文社一乗寺店(京都市左京区一乗寺払殿町10)がオススメする書籍を紹介します。今回は、現在東京・渋谷の松涛美術館で日本初の回顧展も開催中(3月15日まで)のローベル・クートラスの最新作品集がセレクトされています。■「ロベール・クートラス作品集 僕のご先祖さま Mes Ancetres」岸真理子・モリア現代のモーリス・ユトリロと呼ばれた、1930年パリ・モンパルナス出身の画家ロベール・クートラスは今年、没30周年を迎える。所属の画廊から求められる作風を断ってからというもの、ひたすらカルトという手札大のカード画の制作に没頭したクートラス。そして、毎夜様々な題材で描き続けられたそれらを「僕の夜」と名づけた。一連のカルトをそう呼んだように、クートラスは自身の孤独と不安の中で描いた、人物や動物の肖像画作品を「僕のご先祖さま」と名付けた。本書は、その中から絵の具のガッシュで描いた作品のみを収録した、見るものの心の深いところを震わせるような、内省的でスピリチュアルな画集。【書籍情報】「ロベール・クートラス作品集 僕のご先祖さま Mes Ancetres」著者:岸真理子・モリア出版社:エクリ言語:日本語、仏語ソフトカバー/64ページ/378×258mmmm発刊:2015年価格:3,500円
2015年02月25日