木材の仕上げにどんな塗料を選べばいいか、DIY好きには悩ましい問題です。代表選手といえる木部用塗料は、ワトコオイル、オスモカラー、ブライワックスの3種。基本的な特徴と違いについて、DIYの建材やパーツ、リノベなどのアイデアが見つかるショールーム「toolbox」のスタッフに聞きました。■ toolboxのミキシングバーで木部用塗料を体験ワトコオイル、オスモカラー、ブライワックスといえば、どれも木材の質感を残して自然な風合いに仕上げることができる塗料です。でも「それぞれにどんな特徴があってどこがちがうのか」はプロに聞かなければ、なかなかわからないと思います。そこで、訪れたのが昨年リニューアルした東京・目白にあるtoolboxのショールーム。こちらには木部用のオイル塗料やワックスを素材サンプルに実際に塗って試すことができる「ミキシングバー」という専用コーナーがあるのです。スタッフの佐古加奈子さんのレクチャーを受けながら、ワトコオイル、オスモカラー、ブライワックスの3種を塗りくらべさせていただきました。3種の塗料にはそれぞれ独自のカラーバリエーションがありますが、なるべく色味をそろえるためにクリアー/ナチュラル系の色でくらべてみることにしました。■ ワトコオイルはサラサラなので初心者でも簡単に塗れるまずはワトコオイル(WATCO OIL)の「ナチュラル」から。ワトコオイルは、スポイトで移せるくらいのサラサラとした質感が特徴です。塗装にはハケを使います。容器のフチで余分な塗料を落としてから塗りましょう。スーッと伸びていき、とても塗りやすいです。光を当ててみて少し塗料が多い箇所があれば、布で余分な塗料をふき取るとよいそうです。スタッフの佐古さんが「ワトコオイルは木枠や建具の細かい部分を塗るのに便利です」とおっしゃっていましたが、今回試した3種のなかでは、いちばん塗りやすいと感じました。ただし、3種の塗料のなかでは乾くまでの時間が長く、完全乾燥までに24時間以上が必要です。塗装後の使用は翌日以降がいいでしょう。ワトコオイルは小さめの缶もあるので気軽に入手できるのもポイントです。■ ワトコオイルは異なる色を混ぜて自分だけの色が作れるここで少し脱線して、ワトコオイルの特徴である「調色」についてもご紹介しましょう。toolboxのショールームでは色ごとに瓶に入れられて並べられており、さまざまな組み合わせを実際に試すことができます。このコーナーが「ミキシングバー」と名付けられているゆえんです。今回は、スタッフの佐古さんおすすめの「通称:ラワン色」を作ってもらいました。混ぜるのは、赤みが強い「チェリー」とスタンダードな茶色の「ミディアムウォルナット」。これらを1:1で混ぜて、赤みがかった茶色を調色します。塗装した木材サンプルがこちら。左が「チェリー」、真ん中が調色した「ラワン色」、右が「ミディアムウォルナット」です。赤みがかったブラウンはちょうど両者の中間の色。最近、あまり出回ることのない昔のラワン材の色をイメージしているそうです。こんなふうに自分だけの色を調色できるのはワトコオイルならではの特徴なのです。■ オスモカラーは防汚・撥水性や安全性が魅力さて、比較に戻って次はオスモカラー(OSMO COLOR)の「フロアクリアー 3分つや」を試します。本来は缶に入っていますが、今回はサンプルパウチから容器に入れます。ごらんのとおり、先ほどのワトコオイルとくらべると、白濁してドロリとしています。ハケの毛先にちょこんと塗料をつけます。つけすぎに注意。粘度が高いぶん、塗装の際にはムラができないように気をつける必要があります。ワトコオイルとくらべると、筆にやや抵抗を感じ、若干塗りにくい印象です。塗料の粘度が高いこともあり、細かい木目の中に塗料が入っていきにくいこともあります。ときどきハケを立ててあげたりすると、塗り残しができにくいかなと思いました。色合いとしてはワトコオイルと大きなちがいはなさそうですが、「オスモフロアクリアーは防汚と撥水の性能に長けているので床におすすめです」とは佐古さんの言葉。塗装サンプルで面白い実験をして見せてくれました。塗装後に水をたらしてみました。しっかりと水をはじいているのがわかります。2分ほど待ってふき取りましたが、跡は残りませんでした。一方、ワトコオイルを塗ったサンプルで、同じように水をたらして2分待ってふき取ると…水を垂らした箇所がほんの少し跡になっているのがわかりますか?ダイニングの床のような場所なら、オスモフロアを選ぶほうがいいかもしれせん。また、オスモカラーは自然塗料としての安全性にも定評があります。佐古さんによれば「自然由来の成分からできた塗料は他にもありますが、オスモカラーは安全性をしっかり検証しているので安心です」。子ども用の家具や木のおもちゃなんかを塗るのにも良さそうですね。■ ブライワックスは磨いてツヤを出すのがポイント3番目に試すのはブライワックス(BRIWAX)の「クリアー」です。固まったハチミツのようなワックスは、先の2つのオイル系塗料とはかなり見た目が異なります。佐古さんによると「木の中に浸透するオイルとちがい、ワックスは表面にもとどまって油膜を張ってくれる」のが特徴なんだそうです。半固形状なのでハケではなく、ウエス(不要になった綿Tシャツなどで可)に塗料をつけて木材に塗り込んで塗装します。木目に沿って延ばしていきましょう。固形ですが、思ったよりムラはできにくいです。先ほどのワトコオイルやオスモカラーにくらべて濡れ色が薄めで、よりナチュラルな色づき。ついでに、個人的に気になっていた「チーク」も試させてもらいました。「クリアー」とは異なり、しっかりとした茶色がつきました。さて、ブライワックスはここからが大事。タワシを使って、表面をゴシゴシと磨くのです。すると、美しいツヤが出てきます。左:チーク/右:クリアー(ともにタワシで磨いた後)これがブライワックスの魅力。ただし「ツヤが出しやすい反面、強くこすると色移りすることもあるので、床材には向いていません」とのこと。長所は短所でもあるんですね。■ 3つの塗料の長所&短所のまとめ最後に、塗装後の木材をならべてみました。左からブライワックス、ワトコオイル、オスモカラーです。同じ木材に塗りくらべてみると、塗装方法や道具、仕上がりのちがいがはっきりわかり、ぐっと理解が深まりました。あらためてそれぞれのメリット&デメリットを簡単にまとめてみます。【ワトコオイル】長所:サラサラで塗りやすい、色を混ぜられる、少量から買える短所:撥水性が弱い、完全乾燥までに24時間以上が必要【オスモカラー】長所:防汚と撥水に優れている、安全性も検証済み短所:少量では買えない、塗り方にコツがいる【ブライワックス】長所:磨くことでツヤが出る、乾燥時間が短い短所:強くこすると色移りする、広い面積だと磨いて仕上げるのが大変初心者は、これらの特徴を理解して自分に合った塗料を選ぶのが大事でしょう。でも、デメリットを受け入れれば、あえての塗料選びもOK。たとえば、佐古さんはご自宅のキッチンカウンターにワトコオイルを塗っているそうですが、水濡れによる色落ちはあまり気にせず、ラフに使っているんだとか。■ 塗料を選ぶ前にミキシングバーで体験してみるべし言われてみれば、ツヤや質感、汚れなどは、人によって感じ方が異なるもの。ぶっつけ本番ではなく、事前にサンプルで試すのが断然おすすめです。今回ご紹介したtoolboxのミキシングバーでは、塗料の特徴に精通したスタッフが相談にのってくれるので、気になったことをどんどん質問しながら塗料を試すことができます。自前の木材の持ち込みもOKだそうですから、サンプル持参で訪れるのもいいですね。toolboxでは床材も豊富にラインナップしていますから、それらのサンプルを選んでその場で塗ってみるというのもアリです。ワトコオイル、オスモカラー、ブライワックスのちがいをぜひご自分の目で感じてみてください。【toolboxショールーム】東京都新宿区下落合3-14-16営業時間火~土曜 13時~17時(日・月曜・祝日 定休)
2020年03月20日真っ赤な缶が印象的な「ワトコオイル」。ホームセンターで見かけたことがある!という方も多いのではないでしょうか?わが家のリビングテーブルの天板が白っぽくなってきたのと、輪ジミが気になっていたので、「ワトコオイル」でメンテナンスしました。「ワトコオイル」の使い方と、塗布後の効果をご紹介します。■ ワトコオイルって何?イギリス・ワトコ社の「木材専用オイルフィニッシュ」です。ペンキ(顔料)のように、表面を覆って着色するのと違い、ワトコオイルは木材に直接オイルを浸透させて着色・保護してくれる染料です。「木の質感や木目を生かしたい!」というDIYにおすすめです。ワトコオイルには調質効果があって、木の呼吸を妨げないので、木材の割れや狂いを抑止できます。カラーが数種ある中で、今回は「ナチュラル」を選択しました。ウイスキーのような琥珀色をしています。ワトコ製品は、全てつや消し仕上げなので、ニスのような「光沢のある仕上がりを避けたい」という方にもおすすめです。■ ワトコオイルの使い方(塗り方)使い方1.塗る前の下準備木材のホコリや汚れをきれいに取り除きます。新しい木材に塗布する場合は、塗布面をサンドぺーバーで研磨して滑らかにしておきましょう。使い方2.塗るワトコオイルの容器を充分に振ってよく混ぜます。新しい刷毛を使う場合は、毛が抜け落ちないか指でつまんで確認してから作業を開始します。(塗布面に毛が残るのを防ぐため)ワトコオイルを木目に沿って塗りましょう。この時あまり厚く塗りすぎると、乾くのに時間がかかってしまうので注意が必要です。わが家では塗ったすぐあとに、ウエス(布)でふき取りながら塗布していきました。1度塗りでも良いですが、おすすめは2度塗りです。使い方3.乾かすオイルには匂いがあるので、作業中はもちろんですが、換気ができる場所で乾燥をさせましょう。ワトコオイルは乾くのに時間がかかります。ウエス(布)で十分に乾拭きをしてから、常温で12~24時間乾燥させます。乾燥後も少し匂いが残りますが、時間が経つにつれて、少しずつ取れてくるので大丈夫です。■ 潤いあるウエットな仕上がり。はっ水効果もバツグン!こちらは【メンテナンス前】のリビングテーブルです。天板が白んでしまって元気がない上に、コップを置いた時の輪ジミが消えませんでした。こちらがワコトオイルを塗布した【メンテナンス後】のリビングテーブルです。濡れた深みのあるウエットタッチに仕上がりました。ムラなく落ち着いた美しさを感じます。水滴をたらしてみると「水の玉」ができました。「ハリと潤いをチャージ!」まるで化粧品のCMのようなフレーズがピッタリの「天板メンテナンス」。家にある家具の肌(木材)の調子がイマイチだわ……と感じる方は「ワトコオイル」ぜひお試しください。
2019年04月16日最近は、ブライワックスやワトコオイルなど、木材の質感や手触りがきちんと残る自然な仕上がりが人気を集めています。ショップに行けば、さまざまなブランドからさまざまな種類が発売されています。気のきいたお店なら、実際の木材に着色した色見本も展示されているでしょう。しかし、それらを見るにつけ、いつも疑問に思います。「自分が選んだ木材に塗っても、同じ仕上がりになるんだろうか?」後ほど説明しますが、ひとくちに木材といってもオークと杉では色の入り方がまったく異なります。しかも、同じ木のなかでも、違いがあったりもします。ですから、仕上がりのイメージを正確につかむには、自分が選んだ木材のサンプルを用意して塗ってみるのが大事なのです。そこで、今回と次回の2回にわたって「オスモ&エーデル」社のショールーム体験記をお届けします。■ とにかく試してみないとわからないのが木材塗装手っ取り早いやり方は、気になる塗料をいくつか買って試してみることでしょう。でも、DIY好きな方ならご存じのとおり、ワックスやオイルはどれも高価。1缶2,000円~3,000円するものも多く、とてもじゃないですが、複数買って試すなんてできません。といっても、お試しなしにいきなりぶっつけ本番で色を選ぶのも心配。ああ、ほんのちょっぴりでいいから塗料のサンプルを試し塗りする方法ってないんだろうか……。■ ショールームでは持参した木材を試し塗りできるんです!悩んでいた僕がたまたま出会ったのが、「オスモカラー」でした。冒頭に挙げたブライワックスやワトコオイルとならび、木材を自然に仕上げる塗料の代表選手のひとつです。オスモカラーの特長は、自然の植物油と植物ワックスをベースにしていること。有害な物質が含まれておらず、赤ちゃんがなめたりしても安全なので、小さいお子さんのいる方も安心して使えます。性能面でいえば、ほかのワックスやオイルとくらべると、耐久性と撥水性(水はじき)が良いのも特長です。床のような耐久性を求められる場所や、キッチンまわりで使用しても、色移りの心配がありません。ショールームでは、これらの特長を体感できるのはもちろん、持参した木材を好みのオスモカラーで塗り、実際の仕上がりを確かめることができるんです。これなんですよ!僕が求めていたのは!驚かされたのが、予想以上に「かゆいところに手が届く」充実のサービス。現在リノベーション中の物件で使用する木材の仕上げに悩んでいた僕にとって、とても助けになりました。フローリングをはじめとする木材の仕上げに迷っている方にも参考になると思います。早速、自分が検討していたフローリング材のサンプルを取り寄せて、ショールームに向かう準備をすることにしました。僕が選んだ床材はこちら。ユカハリ・タイル ひのき コグチユカハリ・タイル ひのき(左)/すぎ(右)「西粟倉・森の学校」のオンラインショップで見つけました。なかでも気に入ったのが、あえて木口方向にカットし年輪の模様を見せる「コグチ」というヒノキのタイルなのですが、実はこの商品の表面にはすでにオスモカラーの「エキストラクリアー」が塗装されています。よく見ると、表面に塗装されているのがわかりますこれが、僕がオスモカラーに関心を持つきっかけでした。このままの状態でもきれいですが、できれば少し茶色の色をつけたいと思います。でも、「すでにクリア塗装済みの床に色なんてつけられるの?」という疑問も。そこで、「オスモ&エーデル」に電話で問い合わせてみました。オスモカラーは基本的に無塗装の木材に塗るのが推奨されるそうですが、ショールームで試し塗りをしてみることができるというのです。■ 木材ごとの着色サンプルで色選びもバッチリということで、新宿のショールームにやってきました。オスモカラーで仕上げられたさまざまな種類の木材が目を引きます。聞けば、「オスモ&エーデル」では、オスモカラー以外にフローリングも扱っているそうです。床材を決めていない場合でも、フローリング選びから相談することもできますね。さて、まずは担当の方からオスモカラーについて説明をしてもらいます。「オスモカラー」とひとことで言っても、内装用だけでも種類はかなり豊富で、どれを選んだらいいかわかりません。でもショールームなら、そんな疑問も解消。自分の持参した木材を見せたり、主な使用目的を伝えたりすることで、最適な塗料を教えてもらうことができます。今回、僕がすすめられたのは、「ウッドワックス」と「フロアクリアー」の重ね塗り。最初に「ウッドワックス」を塗ることで木材に色をつけ、その上から「フロアクリアー」を塗って耐久性を上げるというやり方です。問題は、どんな色に仕上げるかですね。こちらのショールームには、木材の種類ごとに各色のサンプルが用意されています。「木材の種類×色数」なので、サンプルだけでもかなりの数になります。こうして眺めてみても、同じ色で塗っても木材の種類によって仕上がりの色合いが異なるのがわかります。僕が持参したのは「ヒノキ」と「スギ」なので、その着色サンプルを出していただきました。こちらが「スギ」に「ウッドワックス」で着色したサンプル。こちらが「ヒノキ」。そうなんです、これが見たかったんですよ!DIYショップなどにもオスモカラーの着色サンプルは置いてありますが、おそらく「ヒノキ」のサンプルを置いてあるところはないんじゃないでしょうか。やはり同じ木材で色選びができると安心です。カラーバリエーションは、ナチュラルやブラウンの定番はもちろん、ブラックやグレーのような個性的な色も用意されています。これを見ただけでも、すでに仕上がりのイメージがわいてきます。自分が思い描いていた色に近い色は、「オーク」「パイン」「チーク」の3色でしょうか。次回は、この3色を持参した木材に着色してみたいと思います。取材協力オスモ&エーデル【新宿ショールーム】東京都新宿区西新宿1-20-2 ホウライビル11F電話番号03-6279-4971営業時間10:00~17:30※土のみ 10:00~15:00 (予約制)休館日日・祝日・年末年始・お盆
2018年04月30日