シューベルトの歌曲集『美しき水車小屋の娘』や『冬の旅』の詩を書いた同時代の詩人ヴィルヘルム・ミュラー(1794-1827)に光を当てる著作『ヴィルヘルム・ミュラー読本(松下たえ子著/未知谷刊)』が登場した。ハイネ(1797-1856)をして「ゲーテは別格ですが、あなたほど私の愛する歌謡詩人は他にいません(本書より)」と言わしめたほどの才能を持つミュラーの作家活動は、わずか10年余。33歳の誕生日の直前に急逝してしまったのだから儚すぎる。その意味では、わずか31歳の若さでこの世を去ったシューベルト(1797-1828)の人生とも重なって見える。ほぼ同時代を生きた2人に直接の面識はなかったと言われるが、ミュラーの詩を読んで感激したシューベルトが、同名の歌曲集『美しき水車小屋の娘』や『冬の旅』を作曲したことによってミュラーの名は永遠不滅のものとなったのだ。この夭逝の天才詩人の実像に迫る本書の価値はとても高い。音楽を愛する方々、特に「ドイツリート」を中心とした歌曲に興味のある方にはぜひお薦めしたい。併載されている80頁に及ぶ『小詩集』の味わい深さも格別だ。
2021年05月29日新型コロナウイルスのパンデミックのため、来日アーティストの公演が軒並み中止となるなか、日本にいながらにして、ドイツで生まれ育ち、ドイツ・ピアノの正統派の流れにある音楽教育を受けたピアニスト、ゲルハルト・オピッツの演奏でドイツ音楽を聴くことができるのは、実に貴重な機会だ。1953年、西ドイツのバイエルンに生まれたオピッツは、19歳の頃、20世紀の巨匠であり、ベートーヴェンの解釈者として名高いドイツのピアニスト、ヴィルヘルム・ケンプの教えを享受した。ドイツ音楽の古い伝統を土台に育んだ音楽を今の聴衆に届ける、数少ないピアニストのひとりといえる。世界的な活躍のきっかけは、1977年、イスラエルで行われたルービンシュタイン国際ピアノコンクールでの優勝。彼は未だ、このコンクール唯一のドイツ人優勝者として歴史に名を刻む。そのオピッツが、この冬、ソロリサイタルやオーケストラとの共演で、日本ツアーを行う。なかでも12月11日に東京オペラシティコンサートホールで行われるリサイタルで取り上げるのは、生誕250年のベートーヴェン。それも、〈鍵盤音楽の新約聖書〉と呼ばれる32曲のピアノ・ソナタから、最後の3つのソナタを演奏する。記念年の締めくくりに来日を果たしてこのプログラムを披露してくれることに、感謝せずにいられない。加えて、12月17日には、東京都交響楽団「都響スペシャル2020」にソリストとして登場。小泉和裕のタクトのもと、やはり得意とするブラームスから、ピアノ協奏曲第1番を演奏する。ドイツ音楽ならではの様式美と、あふれるほどの詩情を兼ね備えたこの楽曲を、持ち前のあたたかく骨太な音で聴かせてくれるだろう。生のオーケストラサウンドに包まれる喜びも、存分に堪能できる。オピッツのレパートリーはもちろんドイツものに限られるわけでなく、幅広い作品を演奏しているが、歳を重ねるにつれ、「ベートーヴェンから続く系譜にある音楽がどんどん自分に近い存在となってきた」と話す。コロナ禍にあって、音楽からエネルギーを得たい今日この頃。ドイツ音楽の真髄を知るオピッツの演奏により、ベートーヴェンやブラームスの音楽が秘める底力を、ひしひしと感じることになりそうだ。音楽ライター高坂はる香
2020年11月25日伊勢丹新宿店 本館5階では毎年大変好評をいただいている「イセタンクリスマスステーション2020」や期間限定で北欧のクリエイターが作るクリスマスアイテムをご紹介するイベントも開催いたします。今年はおうちの中でお楽しみいただける作品を数多く取りそろえております。クリスマス気分を一気に上げるには、クリスマス機関車のオルゴールがおススメ!▲<ミスタークリスマス>サンタズ エクスプレス(サイズ:42×9.5×19cm) 4万2,900円(税込)クリスマスシーズンをイメージさせる汽車型のオルゴールは、数種類のホリディソングが流れ家にいながらクリスマスのワクワク感を味わえるおススメのアイテムです。可愛いサンタやトナカイ、山積みになっているプレゼントなど、細部まで丁寧に作られています。スノードームで幻想的なクリスマスを。▲<ハルモニア>スノードームクリスマスツリー (サイズ:約10×14.5cm) 5,280円(税込)ガラスのウォーターグローブの中にはクリスマスの可愛いシーンが広がり、 逆さにすると粉雪が舞って一層幻想的な世界に。手のひらにすっぽりと納まる小さな世界を眺めていると、不思議と落ち着いた気持ちになれます。クリスマスまでにみんなで作る北欧のオブジェ。▲<ロヴィ>モミの木オーナメント (8個セット/サイズ:高さ30cm) 9,460円(税込)<ロヴィ>オブジェ各種 各1,320円~2,200円(税込)フィンランドの白樺のパーツから組み立てる、木の温もりあふれるオブジェ。白樺は北欧の国では幸運をもたらす縁起の良い木と呼ばれています。シンプルなデザインなので、様々なテイストのお部屋に合わせやすく空間をおしゃれに演出してくれます。お子さまでも簡単に作れるので少しづつ仲間を増やしてにぎやかなクリスマスを迎えましょう!温もりのあるクリスマスアイテムがセンターパークに集結!「Color of Christmas」11月11日(水)~12月8日(火)手仕事の温かみが感じられる置物や彩りあるリースなど定番アイテムから、作家によるデザイン性の高いクリスマスアイテムまでご紹介いたします。▲<ヴィルヘルム・シュヴァイツァー>錫飾り(ツリー特大/サイズ:約19.5×26.5×4cm) 3万2,780円(税込)ドイツで作られる錫を使ったクリスマス小物。毎年コレクターの方がたくさん来店される人気ブランド<ヴィルヘルム・シュヴァイツァー>です。▲<パコス>サボサンタガーデン 各6,380円(税込)からサボテンにミニチュアサンタや木の実、オリジナルワイヤーワークのメッセージが入ったサボサンタガーデンです。会場では、滝沢加奈子氏が手掛けるフラワーアレンジメントブランド<ハニーガーデン>や長野県安曇野市にあるフラワーショップ<kokageya>のリースや小物などもご紹介いたします。「Heartful Christmas Market」11月11日(水)~11月24日(火)「クリスマスの暮らし」をテーマに、北欧・ヨーロッパを中心に活動するクリエイターの人気のアイテムやクリスマス限定品などをご紹介いたします。▲<リサ・ラーソン>3匹のねずみ (サイズ:5.5×6.5×6cm) 各1万450円(税込)北欧スウェーデンの陶芸家でデザイナー<リサ・ラーソン>。愛らしいフォルムと手仕事のあたたかみを感じられるアイテムは北欧のクリスマスの定番アイテムです。▲<ポーリー・ファーン>陶器オーナメント各種 各5,500円(税込)<ポ―リー・ファーン>は、イギリスで活動するアーティストです。物語や日常生活からインスピレーションを受け、丁寧に絵付けされた作品はどれ一つとして同じものはなく、カラフルな色合いで大変人気を博しています。会場では、<ドナ・ウィルソン><エレオノール・ボストロム>など、人気のアイテムを数多く取りそろえております。◇information◇ISETAN Christmas Station 2020 ―Finding Wonders―開催中~12月25日(金)まで伊勢丹新宿店 本館5階 プロモーションスペース of Christmas11月11日(水)~12月8日(火)伊勢丹新宿店 本館5階 センターパークHeartful Christmas Market11月11日(水)~11月24日(火)伊勢丹新宿店 本館5階 センターパーク企業プレスリリース詳細へ本記事に掲載しているプレスリリースは、株式会社PR TIMESから提供を受けた企業等のプレスリリースを原文のまま掲載しています。FASHION HEADLINEが、掲載している製品やサービスを推奨したり、プレスリリースの内容を保証したりするものではございません。掲載内容に関するお問い合わせは、株式会社PR TIMES()まで直接ご連絡ください。
2020年11月04日口コミが広がり、異例のロングラン大ヒットとなった映画『ミッドサマー』のBlu-ray&DVDが、9月9日(水)に発売決定。Paravi、Amazon Prime Videoほか各動画配信サービスにて、6月17日(水)から1か月間限定で特別配信も決定した。新世代の旗手『ヘレディタリー/継承』アリ・アスター監督のもと、フローレンス・ピューの主演も話題となった本作。R18+指定「ディレクターズ・カット版」も合わせて収録される初回生産限定Blu-rayとUHD(4K Ultra HD Blu-ray)版は、大島依提亜氏デザインによるスチールブック仕様。豪華版3アイテムはヒグチユウコ氏によるポスタービジュアルのスリーブケースに収録。ケース裏面には描き下ろしイラストも。また、収録される吹き替え版の主人公・ダニー役には井上麻里奈が決定。そのほか、クリスチャン(ジャック・レイナー)役に前野智昭、マーク(ウィル・ポールター)役に沢城千春、ジョシュ(ウィリアム・ジャクソン・ハーパー)役には濱野大輝、ペレ(ヴィルヘルム・ブロングレン)役に落合福嗣ら、豪華声優陣が集結した。『ミッドサマー』Blu-ray&DVDは9月9日(水)より発売、レンタル同時リリース。6月17日(水)0時~特別先行配信。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ミッドサマー 2020年2月21日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開© 2019 A24 FILMS LLC. All Rights Reserved.
2020年06月12日今年は、美術展や写真展へ足を運ぼうと思っています。現在開催中のふたつの素敵な美術展をご紹介します。両者に共通するキーワードは「北欧」。北欧というと、夏が短くて、白夜が続き、女性が働きやすい国、そんなイメージがありました。日本で身近に感じる北欧は、IKEAで、あのカラフルな色彩感も北欧のイメージになってきています。また、北欧のライフスタイルを表す言葉として「ヒュッゲ」という言葉も耳にすることがあります。 「ヒュッゲ(HYGGE)」とは、デンマーク語で「あたたかく、快適で、安全と感じる心地よさの品質」を表し、それは、家族と一緒に家で過ごす時間などからくるもの、ということです。(ケンブリッジ・ディクショナリより)IKEAに行って感じる、心地よさ、とわたしは理解しています。そんなイメージを持っている北欧に関連する美術展、デザイナー皆川明さんの展覧会「ミナ ペルホネン/皆川明つづく」と明るいイメージとは少し違う暗く落ち着いた色調の絵画の展覧会「ハマスホイとデンマーク絵画」を観賞してきました。 ミナ ペルホネン/皆川明つづく 会場に入ると、まず目にしたのがこちら。クッションの壁。どのテキスタイルも個性的で、プリントされているものから刺繍されているものまで様々なスタイルです。テキスタイルデザイナーとしての皆川明さんの魅力を強く感じました。そして、洋服の展示へ続きます。とても可愛くて、どのスタイルも「ちょっと懐かしい」という印象をうけます。同じデザインでも、生地が変わると雰囲気もガラッと変わるので、似合うスタイルに出会ったら、テキスタイルを変えれて何着かもっていると、いろいろな自分の着こなしができそう。この展覧会の「つながる、連なる、循環する」というコンセプトが表現されていると思いました。 特に気に入ったのは、こちら。毛糸がもこもこしていて、フェイクファーのような華やかな印象があるものの、抑えた色味でシックな雰囲気もあり。そして、何色とでも合う、という多様性も魅力的です。このコートは、欲しいなぁ、と一目惚れしました。 他にも、生地の上に型紙を合わせた展示もありました。無駄なく綺麗に1着の洋服をつくる過程をこのように見るのは、はじめてでした。無駄なく、というのも、サステナブルな取り組みのひとつ。出来あがったモノ、の展示だけではなく、皆川明さんの作品の要素を分解して見ることができて、とても充実感のある展覧会でした。 展覧会は、2月16日で終わってしまいましたが、今年は洋服をはじめ、身の回りに置くモノについて、アイデアをもらうことができた素晴らしい展覧会でした。 ミナ ペルホネン/皆川明つづくminä perhonen /minagawa akira TSUZUKUハマスホイとデンマーク絵画春のような暖かい日、ぷらっと上野まで、「ハマスホイとデンマーク絵画」を観賞に行きました。きっかけは、急遽時間ができたこと、ちょっと静かな気分になりたいからと、美術展をブラウジングしていたら、「日本ではじめての本格的な紹介」というデンマーク絵画に興味を持ったからです。デンマークといえば、アンデルセン、ロイヤルコペンハーゲン、LEGOとカラフルだったり明るいイメージを持っていたのですが、美術展の案内を見ると、なかなか暗い。。。落ち着いた、というより、寒そうなイメージの絵画が多く、風景や部屋の絵画が多く、反対に、そこに「なぜ、デンマーク絵画といわれるほど人気があるのだろう?」という確かめたい気持ちが沸いたからです。 展覧会は、4つのパートから構成されています。第1章は「日常礼賛−デンマーク絵画の黄金期」、第2章「スケーイン派と北欧の光」、第3章「19世紀末のデンマーク絵画−国際化と室内画の隆盛」、第4章「ヴィルヘルム・ハマスホイ−首都の静寂のなかで」です。第1章では、日常の風景やポートレートで、デンマークの穏やかな日常生活を紹介しています。人々が毎日を感謝して、大切に生きているという、静かに表現されていて、見ているわたしも穏やかな気持ちになりました。 第2章は、スケーイン派。スケーインとは、ユトランド半島の端にあるバルト海と北海に囲まれた漁師町で、そこを訪れた画家たちをスケーイン派と呼ぶようになりました。ここに展示されている絵画は、第1章とは打って変わって、ビビッドで力強く、自然を相手に生活をする厳しさが描かれているものも多くありました。特に、ミケール・アンガの「ボートを漕ぎ出す漁師たち」(1881年)という作品は、海難救助に向かう漁師たちの緊張感、使命感、切迫感が現れていて、自然を受け入れるという姿を感じました。第3章は、室内の様子が描かれている絵画の展示です。家族団欒や室内に人がいる情景が暖かく描かれていました。そして、第4章は、ハマスホイの作品です。室内を描いた作品は、光と影の描写がとても美しく、「時間が堆積した美しい室内」と説明にあったとおり、歴史のある建物の室内を美しい空間として描かれていました。 美術展の楽しみのひとつは、気に入った絵画のポストカードを買うことにもあります。今回、ハマスホイの作品の「農場の家屋、レスネス」(1900年)は特に気に入って、Tシャツも購入してしまいました。 《農場の家屋、レスネス》1900年 そして、一点、とても目をひいたピンクの部屋。《室内、ラーベクス・アリ》1893年 こちらの展覧会は3月26日まで開催しているので、ゆっくり時間の取れるときに、お花見がてら、観賞にお出かけするのが、これからの季節のおすすめです。 ハマスホイとデンマーク絵画
2020年02月22日東京都美術館では、『ハマスホイとデンマーク絵画』展が1月21日(火)より開幕。デンマークを代表する画家、ヴィルヘルム・ハマスホイの作品約40点とともに19世紀デンマークの名画が、3月26日(木)まで紹介されている。柔かな光が差し込む、静まり返った室内。開け放たれた扉、控えめで上品な家具、後ろ向きの女性——。デンマークの画家、ヴィルヘルム・ハマスホイ(1864〜1916)は、音と光が閉じ込められたような静謐な室内世界を描いたことから、「北欧のフェルメール」と称される。ハマスホイとデンマーク絵画()
2020年01月22日小学生の頃体験した懐かしい思い出の中に、音楽の授業で手にしたリコーダーがある。運動会の鼓笛隊や学芸会で吹いていたあのプラスティック製の縦笛が、実はとても古い歴史を持つ楽器の末裔だったなんて当時は全く知る由もなかった。それを認識させてくれる素敵なコンサートが目前だ。デンマークが生んだ世界最高峰のリコーダー奏者ミカラ・ペトリ リコーダーリサイタル(12月4日:サントリーホール ブルーローズ、6日:宗次ホール、8日:伊丹アイフォニックホール)では、バロックの名曲から北欧の近代音楽までが、圧倒的なテクニックと美しい音色で披露される。ビートルズの名曲『フール・オン・ザ・ヒル』で、ポール・マッカートニーの絶妙なリコーダー演奏を必死に真似たことを思い出すという方々にはピッタリのこの公演。物置の隅に眠っているかもしれないあの縦笛を、久しぶりに引っ張り出して吹いてみたくなること必至⁉●公演概要・12月4日(水)サントリーホールブルーローズ・12月6日(金)宗次ホール・12月8日(日)伊丹アイフォニックホールメインホール●ミカラ・ペトリ(リコーダー)Michala Petri, recorder3歳よりリコーダーを始め、5歳でデンマーク・ラジオに出演。1969年、チボリ公園コンサートホールにて、コンチェルト・デビューを飾る。以降、世界各地のコンサートホールや、音楽祭で演奏活動を行う。彼女の驚くべき演奏技術と聴衆の心を瞬く間につかむ卓越した音楽性が、バロックからコンテンポラリーまで幅広いレパートリーを演奏することを可能にしている。そして数多くの作曲家が彼女のために作品を書いている。これまでに、ハインツ・ホリガー、ジェームス・ゴールウェイ、ギドン・クレーメル、ピインカス・ズッカーマン、クラウディオ・アバド、クリストファー・ホグウッド、キース・ジャレットなどと共演している他、イングリッシュ・チェンバー・オーケストラ、アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ、スウェーデン室内管弦楽団、ベルリン・バロック・ゾリスデン、クレメラータ・バルティカなど主要アンサンブルとも共演を重ねている。また、ギターとのコラボレーションに強い関心を持ち、これまでにイョラン・セルシェル、山下和仁、マヌエル・バルエコなどの一流ギタリストとのツアーを行っている。92年には、デンマークのギタリスト兼リュート奏者、ラース・ハンニバルとデュオを結成。ドイツ・レコード大賞を複数回受賞、また、クラシック音楽を大衆に広めた実績を称えられ、ヴィルヘルム・ハンセン音楽賞や、H.C.ロンビ賞などを次々と獲得。さらに、ストラヴィンスキー、バーンスタイン、ブリテン、ショスタコーヴィチ、クレーメルなど、これまでに著名音楽家が受賞したレオニー・ソニング賞を受賞している。デンマーク対がん協会の副会長やデンマーク・ユニセフ協会の役員を務めるなど、積極的に社会貢献活動も行っている。現在は、コペンハーゲンの北部の海沿いの街で、夫と二人の娘たちと暮らしている。
2019年11月27日世界最高峰のオーケストラ、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が来日する。その凄さは、なんといってもメンバーの質の高さ。スポーツに例えてみれば、スター選手ばかりを集めたバスケットの“NBAオールスター”といった趣だ。全員がソリストとして通用するだけに、そのステージに接して最初に驚くのがオーケストラから放出される音の大きさだ。もちろん大音量のみならず消え入るようなピアニッシモに至るまでを、一糸乱れぬ精緻なアンサンブルによって描き出すあたりは流石ドイツ。ポルシェやメルセデスを生み出した世界最高峰の工業技術にも通じる圧倒的な完成度が目の前に展開されるのだ。この世界最高の楽器とも言えるベルリンフィルを指揮する今年のシェフは、インド出身の巨匠ズービン・メータだ。プログラムに用意されたR.シュトラウス、ベートーヴェン&ブルックナーという、これまたコテコテのドイツ音楽を、自由自在にドライブする事間違いなし。車の世界においては、日本の速度規制によって本来の性能を味わうことはなかなか難しいことではあるが、音楽の世界では心配無用。リミッターなしのベルリン・フィルを思う存分堪能できるチャンス到来!●公演概要11月13日(水)愛知県芸術劇場 コンサートホール11月14日(木)、15日(金)フェスティバルホール11月19日(火)ミューザ川崎シンフォニーホール11月20日(水)、21日(木)、22日(金)サントリーホール●ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団は、1882年に自主運営楽団として創立。以来、世界で最も優れたオーケストラの一つとして長きにわたり評価されている。オーケストラの初公演は1882年10月17日、楽員たちによって選ばれたルートヴィヒ・フォン・ブレナーによる指揮のもと行われた。それから5年後、当時の名興行主であり、楽団設立当初よりオーケストラの運営面を支えていたヘルマン・ヴォルフの導きにより、ハンス・フォン・ビューローが初代首席指揮者に就任。彼はベルリン・フィルをドイツにおける一流オーケストラの水準へと一気に向上させた。その後を率いたのはアルトゥール・ニキシュ。1895年から1922年まで首席指揮者を務め、ブルックナー、チャイコフスキー、マーラー、シュトラウス、ラヴェル、ドビュッシーなど多岐にわたるオーケストラのレパートリーを確立した。ニキシュの逝去後、弱冠36歳のヴィルヘルム・フルトヴェングラーが首席指揮者に就任。古典派やドイツロマン派の作品を得意とすると同時に、ストラヴィンスキーやシェーンベルク、バルトーク、プロコフィエフといった近現代曲にも取り組み、レパートリーを拡大した。しかしながら、第二次世界大戦によりフルトヴェングラーは指揮者としての活動を奪われ、終戦後間もなくレオ・ボルヒャルトがその任を担うが、1945年8月、悲劇的な誤解によりアメリカ歩哨に射殺されてしまう。その後、若きルーマニア人指揮者セルジュ・チェリビダッケがオーケストラを率いることとなった。1952年、フルトヴェングラーの首席指揮者へ復職が認められ、1954年の逝去までその任を務めた。また、戦後の1949年、空襲により崩壊したベルリン・イエス・キリスト教会が再建され、当時のオーケストラの新しい本拠地として寄与したほか、音響が非常に優れていることから現在もオーケストラの活動を支えている。1955年、ヘルベルト・フォン・カラヤンが終身首席指揮者兼芸術監督に就任。以後数十年にわたりオーケストラと確固たる関係を築き、唯一無二の音と演奏スタイルを発展させ、ベルリン・フィルの名声を世界中に轟かせた。そして1989年10月、新しい首席指揮者に任命されたクラウディオ・アバドは、あるテーマのもとに、伝統的な作品と現代作品という対照的な作曲家を組み合わせたプログラミングを考案。また、楽員による室内楽活動の奨励に加え、オペラのコンサート形式演奏会を取り入れるなど、オーケストラにさらなる特異性と多様性を与えた。アバドの退任後はサー・サイモン・ラトルが首席指揮者兼芸術監督に就任、2002年9月から2017‐18シーズンまでその任を務めた。彼との契約は、オーケストラが若い世代で最も成功している指揮者を獲得したことに留まらず、重要かつ革新的な方針を展開するに至った。民間組織としてのベルリン・フィルハーモニー管弦楽団財団が創設されたことは、最先端の組織構造を生み出し、音楽家たちの経済的生命線を確保しながら、創造力のある発展のために幅広い機会を与えている。また、同財団はメインスポンサーとしてドイツ銀行の寛大なるサポートを享受。この援助は、サー・サイモン・ラトルが舵取りをしていた時代に作り上げられた教育プログラムに1つの焦点を当てており、特に若い聴衆たちの育成に専心するなど、オーケストラの活動の域はより広がりを見せている。その献身的な取り組みに対し、ベルリン・フィルとラトルは芸術団体として初のユニセフ親善大使に任命された。2009年には「デジタル・コンサート・ホール」を立ち上げ、インターネットを通じてベルリン・フィルのライヴ演奏会や過去の記録を定期的に配信し、世界の聴衆たちがテレビやパソコン、スマートフォンやタブレットなどを通じて演奏を楽しむ機会を提供している。2012年春には、数十年続いたザルツブルク・イースター音楽祭での最後の演奏を遂げ、2013年からバーデン=バーデンで新しい音楽祭の歴史の幕を開けるなど、新しい試みを続けている。2014年、オーケストラの自主レーベル「ベルリン・フィル・レコーディングス」を創設。オーケストラの演奏による傑出したコンサートの数々を、最高の技術と編集によって記録に留めることを目的としている。最新盤はサー・サイモン・ラトル指揮による『ベルリン・フィルアジア・ツアー2017~ライヴ・フロム・サントリーホール』で、首席指揮者として最後のアジア・ツアーにおける演奏が収められており、非常に高い評価を得ている。2015年6月21日、ラトルの後任としてキリル・ペトレンコが楽員による多数票を得て次期首席指揮者に選出された。2019‐20年シーズンよりそのポジションに就任する予定である。●ズービン・メータ(指揮)(C)Wilfried Hosl1936年ボンベイ(現ムンバイ)生まれ。著名ヴァイオリニストでありボンベイ交響楽団の創設者でもあった父メーリ・メータより音楽の手ほどきを受ける。ボンベイの医大予科で学んでいたが、1954年ウィーン国立音楽大学指揮科に入学、ハンス・スワロフスキーに師事した。1958年にはリヴァプール国際指揮者コンクール優勝、タングルウッド音楽祭のアカデミーでも受賞するなどすぐさま頭角を現し、1961年までに既にウィーン・フィル、ベルリン・フィル、イスラエル・フィルを指揮。以来、これら3のオーケストラとは50年に及ぶ関係を築いている。これまでにモントリオール交響楽団音楽監督(1961- 1967)、ロサンゼルス・フィルハーモニック音楽監督(1962-1978)、ニューヨーク・フィルハーモニック音楽監督(1978-1991、ニューヨーク・フィルの歴史において最長在任期間)、フィレンツェ五月音楽祭管弦楽団首席指揮者(1985-2017)を歴任。1969年音楽顧問に就き1977年より音楽監督を務めるイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団とは3,000公演以上も取り組み、ツアーも5大陸に及んでいる。1981年には終身音楽監督に任命されているが、ちょうど在任50周年を迎える2019年10月に、音楽監督を退任する意向が発表されている。オペラ指揮者としても名を残しており、1963年モントリオールにおける《トスカ》でのオペラ・デビュー以来、メトロポリタン・オペラ、ウィーン国立歌劇場、ロイヤル・オペラ・ハウス、ミラノ・スカラ座、シカゴ・リリック・オペラ、フィレンツェ歌劇場、ザルツブルク音楽祭などに登場、1998年から2006年まではバイエルン国立歌劇場で音楽監督を務めた。2006年10月にはバレンシアにソフィア王妃芸術宮殿(バレンシア州立歌劇場)を開館、2014年6月まで同地で毎年行われる地中海音楽祭の総裁も務め、スペインの前衛パフォーマンス劇団”ラ・フラ・デルス・バウス”とともにフィレンツェ歌劇場との共同制作による《ニーベルングの指環》のツィクルスにも取り組んだ。メータは、シカゴ・リリック・オペラとバイエルン国立歌劇場とも同作品のツィクルスを行っている。数々の名誉にも輝いており、カール・ベームから遺贈された「ニキシュ・リング」をはじめ、フィレンツェとテルアビブの名誉市民や、ウィーン国立歌劇場(1997)、ミュンヘン国立歌劇場(2006)、ウィーン楽友協会(1997)の名誉会員にも選ばれている。また、名誉指揮者の称号も多数、ウィーン・フィル(2001)、ミュンヘン・フィル(2004)、ロサンゼルス・フィル(2006)、フィレンツェ五月音楽祭歌劇場(2006)、シュターツカペレ・ベルリン(2014)、バイエルン国立管(2006)から授与されているほか、2016年にはナポリのサン・カルロ劇場より名誉音楽監督にも任命されている。日本の皇室からも2008年10月に高松宮殿下記念世界文化賞が授与されており、2011年3月にはハリウッド大通りに名前を刻まれた星型プレートを獲得。2012年7月にはドイツ連邦共和国より功労勲章(大功労十字章)、2013年9月にはインド政府より「タゴール文化調和賞」を授与された。一方、教育の分野にも情熱を注ぎ、才能ある若手音楽家の発掘と育成への支援を世界中で続けているほか、弟のザリン・メータと共にボンベイのメーリ・メータ音楽財団の共同代表を務め、200人以上の子供たちに対してクラシック音楽の教育を行っている。また、テルアビブのブッフマン・メータ音楽学校はイスラエルの若い才能を育て、イスラエル・フィルと密接な関係を構築。現在、シュワラムとナザレにて地元の教師やイスラエル・フィルの団員たちと共に、アラブ系イスラエル人の若者を指導するという新しいプロジェクトも進行している。
2019年11月07日毎年海外の名門オーケストラを招いて開催される「東芝グランドコンサート」。39回目となる2020年は、スウェーデンのエーテボリ交響楽団が、1985年生まれの新鋭指揮者サントゥ=マティアス・ロウヴァリとともに来日する。ベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番で共演するのが、パリを拠点に世界で活躍するピアニスト児玉麻里だ。「めったにない、素晴らしいアンサンブルで演奏するオーケストラです」【チケット情報はこちら】じつは児玉とエーテボリ交響楽団のつながりは密接だ。というのは、彼女の夫である指揮者ケント・ナガノが、2013~2017年に首席客演指揮者と芸術顧問を務めていたから。彼女自身も3年ほど前に、20世紀初頭に楽団の首席指揮者でもあった作曲家ヴィルヘルム・ステンハンマルのピアノ協奏曲を共演している。「海辺の街らしい、とても明るく勢いのある街です。その雰囲気はオーケストラにも通じていて、スカンジナビアらしい深みに、明るい勢いも持ち合わせたオーケストラです。そしてホールが素晴らしいんです。音響が良いだけでなく、バックステージに、楽員がアットホームに過ごせる環境が整っています。無料のカフェやバー、そしてたくさんのとてもきれいな練習室。みんないつもそこに入り浸って、大家族みたいな感じなんですよ。だから音も全員で一緒に作っているという感じで、和気あいあいとしたアンサンブルを聴かせてくれるのです」今回来日する指揮者ロウヴァリとは初共演。「とても楽しみです。よい噂しか聞きません。若くて勢いを持っているうえに、とても真面目で、すでに成熟した音楽家だと話題ですね。日本公演の前に2月にスウェーデンで同じプログラムを弾く予定です」ベートーヴェンの初期作品であるピアノ協奏曲第2番は、じつは第1番より先に作曲された、実質的には最初のピアノ協奏曲だ。「よくハイドンみたいで軽いと言われるんですけど、私はどちらかというと、すごく芯のある作品だと思っています。とても男性的。若いベートーヴェンの、理想と元気と夢が全部混ざった、とても機嫌のよい曲です。もちろんショパンみたいにフレキシブルに動いてはいけませんが、でも動かないと面白くない。動かないようで動いているような「間」。そのタイミングを、オケのひとりひとりと指揮者とソリストでやりとりして、同じ言葉で会話できれば、毎回舞台の上でちょっと違うことができます。そうなると、大きな室内楽みたいで、お客様も楽しいですね」思い入れがあるというこの曲。フォルテピアノで弾くために時代楽器の巨匠アンドレアス・シュタイアーにレッスンを受けたり、協奏曲全曲プロジェクトのときには、かねてからの師であるアルフレート・ブレンデルに夫婦で教えを受けたりと、すでに十分なキャリアを重ねてなお、謙虚に学ぶ誠実な姿勢を崩さないのは素敵なことだ。児玉が出演する公演は2020年3月に広島、東京、仙台で。楽しみでしかない。取材・文宮本明
2019年09月26日ヴァン クリーフ&アーペル(Van Cleef & Arpels)は、グリム童話の世界からインスピレーションを得たハイジュエリーコレクション「キャトル コントゥ ド グリム」を日本で発表。グリム童話がハイジュエリーにヴァン クリーフ&アーペルは、ヤーコプとヴィルヘルム・グリム兄弟が編纂した『子供と家庭のための童話集(通称グリム童話)』から4つのおとぎ話をピックアップし、豊かな宝石のコレクションを使用して、各ストーリーの世界を表現したジュエリーを制作した。今回のコレクションで選んだのは『12人の踊る王女』『三枚の羽根』 『黄金の鳥』『ブレーメンの音楽隊』。ブルーサファイアやイエローダイヤモンド、エメラルド、ダイヤモンドなど、贅沢な貴石を使って、物語の登場人物やシーンにイマジネーションを膨らませた、ロマンティックなピースをデザインした。『12人の踊る王女』『12人の踊る王女』は、ひとりの王様と12人の美しい王女の物語。眠っているはずなのにぼろぼろになる王女たちの靴に疑問を抱いた王様が、その理由を明らかにするため、若い王子たちにおふれを出し、謎を解き明かすストーリーだ。主人公となる12人のプリンセスは、ヴァン クリーフ&アーペルを象徴するクリップになって登場。ホワイトゴールド、ローズゴールド、プラチナ、 ツァボライト ガーネット、ダイヤモンドを使ってきらきらと輝く、舞踏会ドレスを制作。貴石をあしらったティアラやネックレスは、プリンセスの気品あふれる表情を引き立てる。毎晩こっそりと舞踏会へ向かうために渡っていた湖。おとぎ話のワンシーンから着想したブレスレットは、ペアシェイプのサファイアが印象的。強く深いブルー色のビルマ産サファイアにこだわり、アームにはターコイズとサファイアとのコンビネーション。ブレスレットの内側には、星空の下に佇む宮殿を、もう一方には湖を渡る船をゴールドで刻んだ。『ブレーメンの音楽隊』『ブレーメンの音楽隊』は、ロバや犬、猫、鶏といった動物たちが登場する物語だ。飼い主に捨てられた“寂しい動物”たちが、一緒にブレーメンへ向かって音楽隊を目指す。旅の道中では、動物たちが協力し合い、泥棒たちを退治する場面も。そんな勇敢な動物たちを描いたストーリーをハイジュエリーで表現した。4匹の動物が一緒になって泥棒たちを敗走させる、『ブレーメンの音楽隊』の中でも象徴的なシーンを落とし込んだクリップ「レ ミュジシェン クリップ」。中央にあしらわれた動物たちはローズゴールドで仕上げたもの。周りを囲むように、サファイア、ラピスラズリを配置。深いブルーの貴石の上に、星型のダイヤモンドを添えた。ロバ、犬、猫、そして鶏の周囲は、このモチーフを回転させることを可能にした ダイヤモンドの枠でデコレーション。くるりと回すと、夜の森からさらさらと葉擦れの音が聞こえてくるような、イエローゴールドの輝く葉たちが姿を現す。ブレーメンを目指して4匹の音楽隊が行進するシーンから生まれた「ニュイ サンティヤント ネックレス」は、動物たちが進んでいた夜の森に広がる、星が輝く夜空を表現したものだ。ダイヤモンドは、ペアシェイプとラウンド型の2つのシェイプを用意。夜空に散らばる星のように、そこに規則的にセッティングし、アクセントに濃淡異なるサファイアをあしらった。【詳細】ヴァン クリーフ&アーペル ハイジュエリーコレクション「キャトル コントゥ ド グリム」【問い合わせ先】ヴァン クリーフ&アーペル ル デスクTEL:0120-10-1906
2019年09月15日寒い冬の日は、あたたかな紅茶を淹れて穏やかな時間を過ごしたいもの。そして、お気に入りのティーポットがあると、お茶の時間がより一層楽しいものに。今回は、紅茶の本場イギリスの伝統的なティーポットや、バウハウスの思想をふまえたティーポット、日本の工房のガラスポットなど、8ブランドを厳選してご紹介。《 Brown Betty 》ティーポット 2カップ ¥2,500 ティーポット 4カップ ¥2,800 LABOUR AND WAIT TOKYOティーポット 4カップ ¥7,800 マグ ¥2,000 ともにLABOUR AND WAIT TOKYO手前、新作のティーポットには、ステンレスのティーストレーナーが付く。下向きの注ぎ口も特徴。インサート ティーストレーナー ¥420 LABOUR AND WAIT TOKYOティーコゼー ( レッド・イエロー ) 各5,800 LABOUR AND WAIT TOKYO17世紀後半に誕生し、英国の家庭で長く愛され続けているブラウンベティのティーポットは、イギリスのスタッフォードシャーでとれる良質な赤土と、ダークブラウンのロッキンガム釉薬でつくられる伝統的な陶器。保温性・耐久性に優れ、安価であることから、日用品として普及し、イギリスの民藝ともいわれている。ブラウンベティの誕生により、かつてイギリスの上流階級のステータスとして広まった紅茶文化が、一般大衆にも普及した。そしてこの度、LABOUR AND WAITからブラウンベティの新作が登場。注いだ時に水滴が漏れず、スタッキングもできるという機能が加わり、内部にはステンレスのストレーナーも付く。伝統的な柄が魅力のティーコゼーは、ウェールズの120年以上続く伝統ある毛織工場が、LABOUR AND WAITのためだけにつくったもの。《 CORNISHWARE 》ベティティーポットS ( コーニッシュレッド ) ¥4,800 340mlT.G.グリーン コーニッシュウエア ( カサラゴ )ロージーティーポットS( コーニッシュブルー ) ¥6,800 560mlT.G.グリーン コーニッシュウエア ( カサラゴ )1864年創業、英国T.G.グリーン社を象徴するストライプのシリーズ、コーニッシュウェアのティーポット。どこか懐かしさを感じさせる縞模様の陶器は時代を越えて愛され、 ロンドンデザイン博物館の20世紀のデザインアイコンのひとつにもノミネートされた。今ではイギリスだけでなく世界中にもコレクターが多い。コーニッシュブルーは、コーンウォール地方の青い空と白い波をイメージして、ブルーとアイボリーの爽やかなボーダーに。コーニッシュレッドは、落ち着いたレッドと、あたたかみのあるアイボリーの組み合わせがノスタルジック。《 Price & Kensington 》ティーポット 2カップ (艶なしホワイト) 450ml ¥2,300 (ストレーナーなし) ¥3,600 (ストレーナーあり) プライス&ケンジントン (CINQ)ティーコージー 2カップ (ナチュラル) ¥4,000 ハイランド2000 (CINQ)コロンとした丸い形は、茶葉がジャンピングしやすい伝統なスタイル。コロンとした丸いフォルムが印象的なイギリスの伝統的なティーポット。プライス&ケンジントンは、英国陶磁器の街として知られるストーク・オン・トレントで、 1896年にプライス兄弟によって誕生し、創立以来4代に渡り、伝統的で機能的な製品をつくり続けている。丸みを帯びたポットは、お湯を注ぐと茶葉がジャンピングしやすいので、おいしい紅茶を淹れることができる。イギリスの老舗ニットブランド、ハイランド2000のティーコージーは、英国羊毛公社に認められた高品質なウールを使用し、ハンドフレーム手法によってたっぷりと贅沢に編み上げられたもの。古き良き時代の英国ニットの風格が魅力。《 Ingegerd Raman 》左からティーカップ S ( ホワイトマット ) 180ml ¥9,000 ティーカップ S ( ブラックマット ) 180ml ¥9,500ティーカップ M ( ブラックマット ) 210ml ¥11,000 ティーポット S ( ブラックマット ) 250ml ¥27,5002016株式会社左からティーカップ S ( ホワイトマット ) 180ml ¥9,000 ティーカップ S ( ホワイト ) 180ml ¥5,000 ティーポット S ( ホワイト ) 250ml ¥18,5002016株式会社やわらかな手触りの黒と白のマットな釉薬は、このコレクション用に特別に開発されたもの。ツヤのあるホワイトも新たに登場。手入れがしやすく、価格も抑えめに。スウェーデンを代表するデザイナー、インゲヤード・ローマンによる、有田焼の陶器ブランド2016/(ニーゼロイチロク)のモダンなティーセット。エッジの効いたミニマムなフォルムのポットやカップは、単体でも、スタッキングしても、日常のどんな場面でも美しい佇まいを感じられるデザイン。また、それぞれの蓋は、カップソーサーやプレートとしての機能も合わせ持つ。有田焼の伝統と風格を感じるしっとりとした釉肌も魅力のひとつ。オールマイティなホワイトは、ビスケットと紅茶に、マットなブラックは、和菓子と日本茶にも合いそう。《 Keramische Werkstatt Margaretenhohe 》カップM (ライトブルー マット) ¥5,000 ティーポット (ライトブルー マット) ¥24,400 マルガレーテンヘーエ 工房 ( リビング・モティーフ )ドイツの陶芸工房マルガレーテンヘーエのオブジェのように美しいティーポット。丸みを帯びた特徴的なフォルムは、優美でありながらも彫刻的でミニマル、手仕事の跡を残しすぎない凛とした佇まいに惹かれる。東洋的で美しいブルーの釉薬も唯一無二。マルガレーテンヘーエ工房は、1924年にバウハウスの影響下に設立。ディレクターの李英才(リー・ヨンツェ)は、ソウル芸術教育大学を卒業後、ドイツ・ヴィースバーデン芸術大学の彫刻科に通いながら陶芸を学び、ドイツでの生活に様々な刺激を受け、作品をつくり続けている。《 Wilhelm Wagenfeld 》ヴィルヘルム・ヴァーゲンフェルド ティーカップ & ソーサー ¥7,500 ヴィルヘルム・ヴァーゲンフェルド ティーポット 1500ml ¥45,000 イエナグラス ( ツヴィーゼル・ブティック代官山 )いつかは欲しいと憧れるドイツ、ヴィルヘルム・ヴァーゲンフェルドのティーセット。バウハウス出身の工業デザイナー、ヴィルヘルム・ヴァーゲンフェルドが1931年にデザインを手掛けたティーシリーズは、バウハウスの造形思想をふまえ、耐熱ガラスのもつ実用性と繊細で美しい質感を生かして、すばらしいデザインと機能の融合に成功。彼の代表作であると同時にデザイン史上の傑作といわれている。現在では、ニューヨーク近代美術館を始め、世界中の美術館で永久展示をされている。《 STUDIO PREPA 》ティーポット Φ105 H170mm ¥22,000 スタジオプレパ ( リビング・モティーフ )長野のガラス工房、STUDIO PREPAによる耐熱ガラスのティーポット。ガラスポットに、あけびの持ち手を組み合わせたシンプルなデザインは、日本の伝統的な急須をアップデートしたようなモダンな印象。注ぎ口には、デザインの邪魔にならない専用のステンレス製の茶こしが付く。《 H.P.DECO 》ガラスティーポット 1000ml ¥7,800H.P.DECO日本のガラス作家が手がける耐熱ガラスのティーポット。球状に近いコロンとしたフォルムが可愛らしいポットは、ジャンピング空間の確保、ガラスのストレーナー、液垂れしない注ぎ口など、見た目だけでなく、機能性にも徹底的に拘って制作されているそう。ガラス製のストレーナーは、茶葉の香りや汚れが付きにくく清潔を保てる。別売りのキャンドルウォーマーを使えば保温も可能。shop listH.P.DECO03-3406-0313カサラゴ03-3987-3302CINQ0422-26-8735ツヴィーゼル・ブティック代官山03-3770-35532016株式会社0955-42-2016リビング・モティーフ03-3587-2784LABOUR AND WAIT TOKYO03-6804-6448商品価格は、消費税別の本体価格です。cooperation : AWABBES・UTUWA
2019年02月20日白金台の隠れ家サロン「サロンド ソレイユ」東京・白金台にサロンを構える「サロンド ソレイユ」。「オルゴナイト」を制作・販売している光花梨(ひかり)さんによるワークショプやクラスに参加できます。店名には“太陽”という意味があり、光花梨さんの名前も太陽の陽光から名付けられたとのこと。“太陽のような存在になりたい”という想いが込められています。かわいいお守り「オルゴナイト」「オルゴナイト」ってご存知ですか? 精神医学者ヴィルヘルム・ライヒが発見したと言われる自然界に遍在・充満するエネルギー“オルゴン”。“ネガティブなオルゴンエネルギー”を、“ポジティブなオルゴンエネルギー”に変換。水晶に巻いた銅線を伝って、四方八方にエネルギーを放出してくれるアイテムが「オルゴナイト」。お守りのように、私たちをネガティブなエネルギーから守ってくれるのだそう。ガーリーな「オルゴナイト」作成光花梨さんの「オルゴナイト」ワークショップは、女子が大好きなガーリーなものに仕上がるのが特徴。インテリアとして飾っておきたいキュートなお守りが作れます。樹脂に着色液をいれる樹脂にお好みの着色液をいれて色付けを行います。赤色の着色液をつかうと綺麗なピンク色に染まります。水晶に銅線を巻きつける「オルゴナイト」を作るうえでポイントとなる、水晶に銅線を巻きつけます。着色したした樹脂と水晶を型の中にいれる型に色付けした樹脂をいれ、その中に銅線を巻いた水晶を中心にいれます。天然石や好きなアイテムをいれる水晶の周りの樹脂に、天然石など好きなアイテムを入れます。目立たせたいアイテムは、側面にいれると完成したとき外から見えるので可愛い仕上がりになります。24時間ほど置いて固める。型からはずして完成!樹脂の中にアイテムを全て入れたら、固まるまで24時間ほど待ちます。固まった後、型から外して完成です!「サロンド ソレイユ」のワークショップで作成した場合、完成後サロンまで受け取りに訪れるか、着払いで送ってもらえるので、遠方の方でも安心です。幸せエネルギーに包まれた癒やしの空間を「オルゴナイト」を置いた空間はポジティブエネルギーに包まれて癒やしの空間となるのだそう。日々忙しく過ごす大人女子だからこそ、家の中にオアシスのような空間をつくるのはおすすめです。ルトロン会員限定の特典付き! ルトロンを見てワークショップに参加した方には、光花梨さんから「ミニオルゴナイトチャクラセット」または「六角すいオルゴナイト」をプレゼント。東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線「白金台駅」徒歩6分。自分のお部屋に、家族や大切な人へのプレゼントに、豪華特典付きのこの機会に「オルゴナイト」を習ってみませんか?スポット情報スポット名:サロンド ソレイユ住所:東京都港区白金台4-20-9電話番号:090-2195-2259
2018年06月08日ジバンシィ(Givenchy) 2017年秋コレクションの舞台は、デンマークの首都、コペンハーゲン。この都市の近未来的な構築デザインをインスピレーション源に、表情豊かなワードローブを紡ぎ上げていく。ルックの背景には、アイコニックな3つの場所をセレクト。その1つは、1956年にヴィルヘルム・ラウリッツェンが手がけたVEGAのコンサートホールだ。ウィメンズのアイテムたちは、端正な面持ちのマスキュリンスタイルや、イブニングドレスのレース使い、キャメルの色合いや柔らかなグラデーションが、イエローとゴールドで強調され、それらがスカンジナビアの森の暖かさを彷彿とさせてくれる。一方メンズは、ダブルダーツパンツを採用したスーツスタイルなど、ゆったりとしたシルエットが中心。ボリューム感に負けないよう、アウター類はしっかりとした強い質感の生地を採用し、バランスを保っている。シーズンのアイテムに共通して流れるのは、よりアーバンで、賢者と反逆者の精神が相反する独特のスタイル。メゾンの真髄であるスポーツウェアとクチュールの融合が、2つ目の舞台、ウィーンのホテルアストリアに集結している。そして最後の舞台は、デンマークを代表する建築家、アルネ・ヤコブセンが設計したガソリンスタンド。コレクションを象徴する、対照的なカラー使いや芸術的なプリントを、アーティスティックな舞台が引き立てている。都市と建築という舞台から見る洋服たちは、同じものであってもまた違う表情を見せてくれるもの。生活や日々の営みに添い遂げる本来のファッションの息吹を再考させられるようなルックだ。
2017年02月09日「デトロイト美術館展 〜大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち〜」が東京・上野にある上野の森美術館で、2016年10月7日(金)から2017年1月21日(土)まで開催。モネ、ドガ、ルノワール、ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌ、マティス、モディリアーニ、ピカソほか、まさに近代ヨーロッパ絵画の「顔」ともいうべき巨匠たち。1885年に創立したデトロイト美術館には、自動車業界の有力者らの資金援助を通じ、世界屈指のコレクションが集結。ゴッホやマティスの作品をアメリカの公共美術館として初めて購入したのもデトロイト美術館だという。100を超えるギャラリーには、古代エジプトから現代美術まで65,000点を超える作品を所蔵。それらの多様性も同館の特徴で、アフリカ、アジア、オセアニア、イスラム、古代美術などどの分野でも重要な品々を誇る。本展では、その中からコレクションの中核を成している印象派、ポスト印象派、20世紀フランス・ドイツの数々の傑作の中から選りすぐりの全52点を紹介。日本初公開の15点を含む作品を、4章に分けて解説する。展覧会の入り口である第1章では、印象派を代表するモネ、ドガ、ルノワールらの絵画などを中心に展示。戸外での作品を重視し、黒色や褐色を避けた鮮やかな配色を用いることで映し出される、その時代のパリの街並みや市民の日常生活が魅力的だ。第2章のポスト印象派では、日本初上陸となるゴッホ晩年の作品《オワーズ川の岸辺、オーヴェールにて》やゴーギャンの《自画像》など、この時代を代表する画家たちの傑作を中心に展開。この章では、アール・ヌーヴォーと連動し、挿絵や版画、ポスター、家具などジャンルの垣根を越え創作活動をした「ナビ派」モールス・ドニやピエール・ボナールの作品も楽しむことができる。20世紀のフランス・ドイツ絵画は、第3・4章に分けて紹介。ドイツ人館長ヴィルヘルム・R・ヴァレンティナーの時代に収集されたものや、ピカソがキュビズム時代に描いた作品など、多様性とダイナミズムが息衝く時代を体感できる。また、2016年12月17日(土)、24日(土)、25日(日)の3日間は、夜間特別開館「クリスマス・ナイトミュージアム」を実施。夜間開館中は、展示室内に特設クリスマスツリーを設置し、通路に色鮮やかな電飾を飾り音楽を展示室内に流すなど、クリスマス仕様にイメージチェンジしている。【概要】デトロイト美術館展 〜大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち〜会期:2016年10月7日(金)~2017年1月21日(土)※休館日は10月21日(金)会場:上野の森美術館住所:東京都台東区上野公園1-2開館時間:9:30~16:30(毎週金曜日、10月22日(土) 9:30〜20:00)※入館は閉館の30分前まで。観覧料:一般 1,600円、高校・大学生 1,200円、小・中学生 600円、小学生未満 無料※前売・団体は各200円引き(団体は20名以上、小・中学生は100円引き)<br />※障がい者手帳をお持ちの方とその介護者1名様は無料。(要証明)【クリスマス・ナイトミュージアム概要】日程:2016年12月17日(土)、12月24日(土)、12月25日(日)時間:17:30〜19:00(入館は18:30まで)会場:上野の森美術館住所:東京都台東区上野公園1-2料金:ペアチケット3,000円(税込)【問い合わせ先】ハローダイヤルTEL:03-5777-8600(全日/8:00~22:00)■巡回予定・大阪市立美術館 会期:2016年7月9日(土)〜9月25日(日)住所:大阪府大阪市天王寺区茶臼山町1‐82※休館日:月曜日 (但し、7月18日、8月15日、9月19日は開館、7月19日は休館)開館時間:9:30~17:00 (入場は16:30まで)観覧料:一般 1,500円(1,300円)、高校・大学生 1,000円(800円)※()内は前売りおよび20名以上の団体割引料金※ペア券(一般のみ)プレイガイドのみで販売。販売期間は4月27日から7月8日まで※中学生以下、障がい手帳をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料。(要証明)。※本展は大阪市内在住の65歳以上も一般料金。・豊田市美術館会期:2016年4月27日(水)〜6月26日(日)※休館日:月曜日(但し、5/2は開館)住所:愛知県豊田市小坂本町8-5-1観覧料:一般 1,400円、高校・大学生 1,000円、中学生以下 無料※前売・団体は各200円引き(団体は20名以上)※豊田市内在住、在学の高校生、障がい者手帳の所持者、市内75歳以上は無料(要証明)
2016年07月01日染織の取材で訪ねた沖縄・宮古島で藍染の染料を作る工程で泡盛を入れるという話を聞いてから、お酒と発酵の関係について知りたくなったFASHION HEADLINE編集部。今回、発酵デザイナーの小倉ヒラクさんと巡った山梨取材では、ヒラクさんが「美味しい!」と太鼓判を押すクラフトビールの作り手、アウトサイダーブリューイングのブルワー(醸造家)丹羽智さんを訪ねました。さてさて、魅惑の飲み物「ビール」に隠された美味しいひみつとは…。発酵初心者のFASHION HEADLINE編集部から小倉ヒラクさんへのQ&Aスタイルでお届けします。■まずは、お酒の定義から!Q1:お酒と発酵はどんな関わりがあるんですか?FASHION HEADLINE編集部(以下、FH):日本酒の原料であるお米や、ワインの原料である葡萄、そしてビールの原料である麦からどうしてアルコールは発生するのか?疑問がいっぱいです!小倉ヒラクさん(以下、ヒラクさん):では、まずお酒の定義から整理してみましょう!お酒の定義は『アルコールを含んだ、飲むと酔っ払う飲み物』です。このお酒に含まれるアルコールは、理科の実験で使う工業用のものとは違う、美味しくて良い香りのするもので、酵母という発酵菌が作りだすものです。この酵母が米や果物や穀物に含まれる糖分を分解して、アルコールを作りだします。世界中数えきれないぐらい色んなお酒がありますが、全て酵母菌が作りだしたアルコールが主になった発酵食品なんですよ。FH:今、酵母菌の偉大さにあらためて触れて、おののいています。人類をハッピーな気持ちにさせてくれるお酒は、全て酵母菌が作り出しているんですね!感動しました。Q2:数多あるお酒の中で、ビールはどんな位置付けのお酒なのでしょうか?ヒラクさん:ビールの基本的な定義は「麦芽とホップを主原料とした酒」です。なのでビールを醸造する時は、発芽させた麦に熱を加えた時に作られる糖分を、酵母によって分解してアルコールに変えます。喉越しの良い炭酸も酵母が作りだすもので、パンをぷくーっと膨らませるガスと同じものです。それに、薬草のホップは、発酵途中に雑菌が入るのを防ぎ、ビール特有の苦味とコクを付加してくれます。FH:Q3:ビールには薬草のホップも入っているんですか?そもそもビールの原料ってなんでしたっけ?ヒラクさん:この「麦芽・ホップ・酵母」の三位一体がビールの基本の「き」。1516年、バイエルン公国のヴィルヘルム4世が発布した「ビール純粋令」に基づきます。(ちなみに昔はビールに混ぜものをするブルワリーが多かったらしく、バレるとムチ打ちや死刑など厳しすぎる罰が加えられていたそうな)FH:口にいれると複雑な味わいが広がるクラフトビールを頂いたばかりなので、原料が以外とシンプルで驚きました。ヒラクさん:日本の大手メーカーのビールの成分表示を見てみてください(発泡酒とかじゃダメよ)。清涼飲料水と比べて、ものすごく原料が少ないことに気づくはずです。日本酒の基本「米だけ」、ワインの基本「ブドウだけ」のように、ビールもまた純粋さを追求するお酒なんですね。FH:ピュアな原料から無限の味わいを生み出していくなんてしびれます!■ビールのバリエーション:応用編ヒラクさん:さてではちょっと応用編。ビールのバリエーションについてお話しましょう。日本のスーパーに売っているビールはどれを飲んでも同じような味ですが、実はビールには日本酒やワインにも負けない味の多様性があります。近年の「クラフトビールブーム」は、ビールが本来持っていた「味の多様性を楽しみたいZE!」という熱意が反映されたものなんですね。FH:多様性を楽しみたい!という気持ちが「クラフトビール」に繋がっていく。熱いですね。Q4:ビールといっても、多様性がありそうな気配がしていますが、ビールの種類を体系化して整理するとどうなりますか?ヒラクさん:ビールには様々な分類法がありますが、発酵の原理的には以下の2つに大別されます。■ビールを体系化してみると…・ラガービール(下面発酵):低温でじっくり発酵させる、キレのある喉越しの良いビール・エールビール(上面発酵):常温ではやめに発酵させる、香りとコクのある味わいのビール日本及びアジアで飲まれているビールの9割以上がこのラガービール。A社もK社もS社も主力商品はぜんぶラガーです。しかし、実はエールビールの方がラガーよりも歴史が古い。イギリスやベルギーなど、昔からビール醸造が盛んだった国ではエールビールもよく飲まれています(皆さんが知っている一番有名なエールビールはギネス)。■ ラガービールとエールビールの違いとは…ラガーとエールの違いは何かというと、酵母の菌の種類の違いです。ラガー用の酵母は10度以下の低温を好み、発酵が進むと下に沈殿していきます。対してエール用の酵母は20度以上の常温を好み、発酵が進むと上に浮遊してきます。ラガー=下面発酵、エール=上面発酵といわれるのは、酵母が沈むか浮くかの違いなんですね。FH:たしかに「ラガービール」とか、「エールビール」というワードは聞いたことがあったのですが、その違いは発酵温度の違いとそれに伴う味わいの違いだったんですね。ヒラクさん:ちなみに発酵期間はエールビールよりラガービールの方が長く、低温のぶんだけじっくり発酵・熟成させます。目安としてはラガーが1~2ヶ月、エールは1~3週間程度になります。Q5:日本酒やワインと比べると、ビールの醸造期間は短いんですよね?ヒラクさん:日本酒やワインとくらべて醸造の期間が短い理由はなぜかというと、アルコール発酵が終わったあとに味を落ち着かせるための熟成期間が短いことがあります。あんまり長く熟成させすぎると風味がダメになってしまうんですね。FH:なるほど、ビールに関してはあまり熟成期間を持たない方が美味しくなる。ワインや日本酒と同じお酒といっても、それぞれに特色がありますね。それにしても、今回はビールの懐の深さ、多様性に驚かされました!丹羽さんは葡萄を使ったビールや出汁を使ったビールなど、本当にチャレンジングなクラフトビールを作られていますし。■クラフトビールブームの原動力とは?ヒラクさん:近年のクラフトビールブームの原動力は、エールビールの再評価にあります。ラガービールといえば「とりあえずビール!」的な喉越しの良さと爽やかさがウリのお酒ですが、エールビールにはワインが持つような酸味や味のコク、日本酒で楽しむような香りのバリエーションがあります。真夏の炎天下でゴクゴク飲んで「プハーッ、うめー!」というお酒ではありませんが、時間をかけてじっくりと味わえるビールなんですね。エールビールの本場、イギリスやベルギーのパブに行くと何十種類もビールが置いてあるのにビックリします。これはなぜかというと、ラガービールと違ってエールビールは「発酵方法によって味わいが激しく変わる」という特性があるから。ラガービールは設備さえあれば誰でも高品質なものが作れるので世界中に普及しましたが、エールビールは醸造する人の腕前や土地の特性によって味に個性が出る、どこまでもローカルなお酒なのです。FH:まさにアウトサイダーブルーイングで頂いたビールは、素材と作り手の掛け算によって実に味わい深いエールビールでした。ヒラクさん:メガブランドの作る生活雑貨やファッションの反動として、ハンドメイドのクラフト文化が好まれるようになったのと同じように、ビールにも「個性」や「作り手や土地の個性」が求められるようになったのですね。FH:そう考えると、クラフトビールのムーブメントは来るべき時が来たという感じですね。今回は山梨取材の中で、丹羽さんのクラフトビールを頂きましたが…。Q6:ヒラクさん的丹羽さんのクラフトビールの特徴を教えてください!ヒラクさん:発酵デザイナーの表現でいえば「セクシーなビール」に尽きるでしょう。お酒は嗜好品なので、単に喉の渇きを潤すだけではなく「官能的であるかどうか」が重要です。丹羽さんの作るビールには、一般的にビールに期待する爽やかさをしっかりキープしたうえで、酸味やコク、うっとりするような香りなど、セクシーな要素が詰め込まれています。FH:ビールがセクシーというのは意外な気もしましたが、実際丹羽さんのビールを飲んでみるとその意味が分かる気がします。ヒラクさん:イギリスの田舎にいってハードコアなエールビールを飲んでみても、日本人には理解できない味だったりするのですが、丹羽さんのビールは日本人のビール感を満たしたうえで、さらにクラフトビールの持つ奥深さをしっかり表現するという分かりやすさとマニアックさが共存しています。これが素晴らしい。ちょっと話がそれますが、日本におけるクラフトビールの歴史がはじまったのはバブル期の頃。法律が変わって小さなメーカーでもビールを製造できるようになり、日本各地に「地ビールメーカー」がたくさん生まれました。が、大半はいわゆる「観光土産」として作られ、高くて美味しくないという残念な代物で、バブルがはじけると共に淘汰されていきました。で、アウトサイダーブルーイングは実はその淘汰に負けなかったクラフトビール黎明期からのオリジネーターの一つ。時代の波をかいくぐってきた説得力のあるビールなのです。FH:なるほど。丹羽さんのビールに対する熱意やいろいろなチャレンジが実を結んだのが、クラフトビールのグラスに詰まっているんですね。とても気になったのが「野生の菌を培養してビールの酵母にする」というお話です。Q7:野生酵母を集めてビールにするって、いったいどこがどうすごいのでしょうか?ヒラクさん:エール・ラガー問わずビールを醸造するときには市販の酵母を添加するのが常識ですが、丹羽さんは地元山梨に棲む野生の酵母を作ったビールを手がけています。これはヒッジョーに難しいチャレンジといえます。味のコントロールがきかず、香りや炭酸がしっかり出るか分からない。それでも丹羽さんがチャレンジできる理由は、たぶん以下の2つ。【チャレンジングなクラフトビールが作れる理由】・野生の酵母を飼いならす腕の自信がある・自分のビールのファンの舌を信頼している僕が思うに、2つめがとっても大事。野生酵母で作ったビールは、大手のビールには考えられない香りと酸味があるのですが、それを「美味い!」と思えるリッチな味覚センスをもったお客さんがついているからこそこういうチャレンジができるのですね。ファッションもそうですが、お酒もまた「作り手と受け取り手の相乗効果」によってユニークな文化が形成されていくわけです。
2016年06月23日『英国王のスピーチ』で作品賞、監督賞を含むアカデミー賞4部門を受賞し、『レ・ミゼラブル』では世界を涙で包んだトム・フーパー監督。新作『リリーのすべて』では、世界初の性別適合手術を受けたデンマーク人、リリー・エルベの実話を題材にしている。トランスジェンダーという言葉はもちろん、その概念もない時代に、真の自分を追求した勇気ある女性の物語に、オスカー受賞監督が挑んだことが話題だが、彼を魅了したのは何だったのか。来日したフーパー監督と、『リリーのすべて』について語り合った。―素晴らしい物語ですが、映像もとても美しく、まるで動く絵画のようでもありました。「ありがとう。アーティストたちの映画だから、彼らが見たような世界を表現したいと思ったんだ。主人公のアイナー(のちにリリー)は、風景が持つ美とパワーをワイドショット、ワイドフレームで追求した風景画家だった。一方、妻のゲルダは、人の、特に女性の美しさをクローズアップで切り取ろうとしていた。だから、ワイドショットとクローズアップを組み合わせて、二人の創造性を象徴する映像にしたんだ。それに、絵画は静止画だから、ハンドカメラや動きのあるカメラワークはあまり使わず、固定カメラを使おうと思いついた。デンマーク人画家たち、特にヴィルヘルム・ハンマースホイにもインスパイアされた。白・黒・灰色を基調とした彼の作風は、アパート内部のセットをデザインする際にアイディアとして取り入れた。アイナーとゲルダの結婚生活は、順調ではあったけれど、何か違和感があるということを暗示するような、主人公たちの孤独感を表現するような雰囲気を出したかったから。何かが起こりそうなムードというものに気づいてもらうためにね」。―脚本を読んだとき、3回泣いたそうですね。「たぶん2回だったと思う。でも、PR担当が3回と公表しているね(笑)。それはともかく、まずは二人の愛の物語に打ちのめされたんだ。だから、この物語は観客に届くと感じた。結婚とは長期間にわたる人間関係の最たるもの。人間は変化する。その極端な例が、リリーへとトランジションしたアイナーだ。この変化に直面し、挑戦し、打ち勝つ愛や思いやりが二人の間には溢れている。それが美しいと感じたんだ。特に夫を失う立場にあるゲルダの愛は大きい。ゲルダは夫を愛しているけれど、リリーが彼女らしく生きるために何ができるかと考えサポートする。この物語は喪失と愛の物語なんだ」。―その一方で、ゲルダはリリーを描くことで、画家としての才能を花開かせ成功を手にしますね。「アーティストとしての野望と、女性としての喪失がないまぜになるという複雑な状況でもある。皮肉だよね。ゲルダの成功は、リリーにありのままに生きることを推奨したという現実の上に成り立っているんだ。女性としての幸せは妥協した形になった。この映画は、愛の力を映し出したものだけれど、もうひとつ、アートの力を浮かび上がらせたものでもあると思っている。偉大なアーティストとは、ありきたりではないということだ。夫の中に潜んでいた女性性を目の当たりにするうちに、アーティストとしてそこに惹かれていき、創作意欲をかきたてられる。リリーがゲルダのミューズになるんだ。そんな目を見張るようなアートの魅力、感受性を表現できるということも、この映画をとった理由のひとつだ」。―本作はひとりのトランスジェンダーの女性が自らのアイデンティティを追求するというのが大きなテーマのひとつになっています。リリーが生きたのは80年以上も昔のことですが、いまもデリケートなテーマであることには変わらないようですね。「確かにそうなんだ。この問題にまつわる進歩は、ほんの少しに過ぎない。実は2008年に映画を作ろうとしたとき、周囲からは“たぶんこのテーマでは映画会社や配給会社を見つけるのはとても難しいだろう、リスクが高すぎる”と言われたんだ。でも、『英国王のスピーチ』や『レ・ミゼラブル』の成功を経て、作りたい映画を撮れるようになった。作品ができると、次のリスクは、観客が劇場に足を運んでくれるかどうかだった。でも、杞憂だった。1月にUKで公開されたとき、『スターウォーズ/フォースの覚醒』に次いで2位を記録したんだ。観客たちが、先入観を持たずにこの物語を受け入れてくれ、リリーの旅路に寄り添ってくれたことをとても嬉しく思う。この作品はトランスジェンダーを描いた作品だけれど、一人の人間が本当の自分になろうと闘う物語だ。すべての人間が最高の自分、ありのままの自分になろうとして直面する課題を描いた万国共通のテーマを内包しているんだ。ところで、日本ではこういったテーマはどう受け止められるのだろう」。―日本は保守的でもありますが、歌舞伎のように、ジェンダーの壁を感じさせない伝統文化もあります。個人的な意見ではありますが、キリスト教文化が色濃い欧米諸国に比べて、日本は意外にオープンで、寛容なところがあるのかもしれません。「そうだね。ぜひ日本の観客にも受け入れて欲しいな。日本では過去の私の作品を愛してもらっていて、とても光栄に、そして幸運に感じているんだ。困難に直面した人が、それを乗り越えようとするという部分では、『リリーのすべて』も過去の作品と似た部分があるから、僕のことを信じて、リリーの旅に付き合ってもらえたら嬉しい」。―LGBTQ(※)を扱った作品には、社会から差別的な扱いや暴力を受ける描写が登場することも多いですが、本作にはとほんどそれがなく、同情ではなく共感によってリリーを深く知ることができますね。「リリーには良き理解者でオープンな心を持った友達、ハンスやウラがいた。当時としてはとてもリベラルな人々だ。ボヘミアンでアーティスティックで、彼らのコミュニティはとても先進的で寛容であり、偏見を持たない。リリーが本当の自分を追求できたのは、それもひとつの理由だったと思う」。※レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クィア/クエスチョニングのコミュニティのこと。―この作品では悲劇に焦点をあてず、自分を発見する喜びによりフォーカスしているところが素晴らしいと思います。「そう言ってもらえて嬉しいよ。そう感じてもらえるのは、とても意味のあることなんだ。実は、多くのインスピレーションを貰ったトランスジェンダーの女性がいる。『マトリックス』シリーズの監督であるラナ・ウォシャウスキーだ(※)。彼女はリリーのことを知っていた。そしてこう言ったんだ。“この物語を悲劇として描かないで。それはとても重要なことなの”と。“性別適合のプロセスは痛みを伴う旅であると同時に、喜びであると、多くの人にこの映画を通して理解してもらいたいから”とね。だから、必ずそうすると約束したんだ」。※ラナは元ラリー、彼女の妹リリーは元アンディ。姉妹揃って男性から性別移行し、いまではウォシャウスキー姉妹として認知されている。―それは、リリーが見せる喜びに満ちた表情が多くとらえられていることからも、見て取れますね。「たとえば、リリーがまだアイナーだったとき、妻のゲルダから、約束の時間に遅れているモデルのかわりにストッキングをはき、ドレスをあててみてくれと頼まれたシーン。エディ・レッドメインには、ここでは不安と、喜び、痛み、希望のバランスを上手く取ってほしいと伝えた。自分の中の女性性に気づいてしまったとき、妻や友人や社会は何と言うだろうかという不安は抑えられない。でも、大いなる可能性へと導くドアがそこで開くんだ。自分でも気づいていなかった本当の自分を見つけたら、それをしっかり捕まえなくてはならない。だから、喜びも重要なんだ」。―監督自身、リリーのように、思いもよらなかった自分を発見したという経験は?「映画づくり、がそうかもしれないな。初めて映画制作に漕ぎ着けたときは、水を得た魚のような気分だった。12歳ですでに映画監督になりたかったけれど、誰もそんな子供に映画制作を依頼したりしない(笑)。だから、長年かけて夢を叶えた。そして、監督業に就いたとき、ついに家を見つけたという気持ちになったよ」。―監督の作品といえば、困難に挑む人々の姿が印象的ですね。「最高の、そして真の自分であることを何らかの障害によって阻まれながらも、そこに立ち向かう人々にどうしようもなく惹かれるんだ。すべて自分で解決できる問題ばかりじゃないけれど、無償の愛を捧げてくれる人々の力によって、それを乗り越えられる。『英国王のスピーチ』では王とスピーチセラピスト、『レ・ミゼラブル』ではジャン・ヴァルジャンと彼を赦した神父が良い例だ。ジャン・ヴァルジャンはコゼットとの出逢いで、二度目の変化を迎える。本作では、ゲルダのリリーへの愛が、変化を可能にする。私は何かを変化させる力を持つ愛に、心を奪われていると言えるね」。―エディのキャスティングにはどのような経緯があったのですか?「2008年、最初に脚本を読んだ時から彼が第一候補だった。すでに、TVドラマ『エリザベス1世 ~愛と陰謀の王宮~』でキャスティングしていて、そのときの繊細さと強さを併せ持つ演技が言葉にならないくらい素晴らしかった。だから、また一緒に仕事をしたいと思っていたところで、『レ・ミゼラブル』を撮ることに。バリケードのシーンを撮っている合間に、エディに脚本を手渡したんだ。すぐに読んでくれて、この物語に恋に落ちてくれた。僕と同じようにね。彼とは信頼関係で結ばれている。とても幸運だ。最初に組んでから、もう10年になる。親友と一緒にキャリアを重ねられるのはとても特別なこと。互いに良く知っているからストレスがないし、正直になれるし、その上でプロとして仕事ができる関係だ。互いに尊敬しているし、互いのアイディアを楽しんでもいるよ」。―理想のパートナーシップですね。「面白いのは、私の映画の多くがコラボレーションに関係しているということだ。本作はアイナーとゲルダの協力関係が土台だ。映画もスタッフ、俳優たちとのコラボレーションの産物。きっと無意識のうちに、自分が経験している素晴らしいコラボレーションの世界を表現したいと思っているんだろうね」。(text:June Makiguchi/photo:Nahoko Suzuki)
2016年03月27日KADOKAWAは、ライトノベルを中心とした「MF文庫J」から8タイトルを12月25日に発売した。12月新刊には、第11回MF文庫Jライトノベル新人賞受賞作『ざるそば(かわいい)』『俺と魔物の異世界レストラン』『ダメ魔騎士の英雄煌路〈ヘルトシュトラッセ〉』や、大人気シリーズ『ノーゲーム・ノーライフ 8 ゲーマーたちは布石を継いでいくそうです』『緋弾のアリアAA IV』などがラインナップされている。■俺と魔物の異世界レストラン著者 / 落合祐輔◆イラスト / Syroh◆定価 / 580円(税別)魔王の治める街コールテーゼのレストラン「フォリオーズ」。魔物の魔物による魔物のためのレストランであるこの店で、唯一の人間スタッフとして働くアーウィンには、いつか自分の店を持つという夢があった。だが、一緒に働く同僚は、そそっかしい吸血鬼の看板娘リーラに、気温差で性格が一変するリザードマンの料理長ゲイル、ミミックのレジ係に、スライムの食器洗い係……と人間界の常識を軽く破壊していく面々ばかり。さらには、近衛兵を志す堅物の非常識ダークエルフ・マチルダが帯刀でウェイトレスとなったり、同僚の魔物アイスボールがフレイムボールとの痴話喧嘩でバックれるやらで、魔界のレストランならではのトラブル多発がアーウィンを襲う。そんな魔界的にハードでブラックな状況を、アーウィンは店唯一の人間ならではの機転を活かして、無事に乗り切ることができるのか!? それでもきっと行きたくなる異世界のレストラン、明るく、楽しく、ブラックに営業開始!■ざるそば(かわいい)著者 / つちせ八十八◆イラスト / 憂姫はぐれ◆定価 / 580円(税別)夏の日。ざるそばの出前を注文した笹岡光太郎のもとに、自称麺類寄りの魔法少女・姫ノ宮ざるそば(かわいい)が届く。光太郎が呆然としていると、いきなりざるそば(かわいい)は麺類スポンサーの契約を解除されてしまう(かわいそう)。そして、ざるそば(かわいい)の超人類的かわいさに正気を奪われた光太郎はスポンサー探しに身を投じてしまうことになるが……。待ち受けるは謎のMIB(麺インブラック)。謎の秘密結社(ABOS)。謎の醤油ラーメン(美味い)。謎の夏の甲子園(魔物)。そして――謎の魔法少女(月見そば)。はたして人類と麺類は愛し合えるのか――? ライトノベル史に伝説を刻む(予定)究極の麺類系ラブコメディ、ここに誕生!■ダメ魔騎士の英雄煌路〈ヘルトシュトラッセ〉著者 / 藤木わしろ◆イラスト / 山本ケイジ◆定価 / 580円(税別)騎士国家センタリアの下級魔騎士アルフは、仕事には毎日遅刻&サボり、模擬試合でも全敗、周囲から恋人関係と誤解されるような妹・アンリの世話を受け、公私ともにダメの烙印を押されている。しかし、亡き両親の思い出の詰まった大切な自宅が出火、焼失。アルフは家の再建のため武闘大会『騎士祭典』での優勝を目指す。だが――「あなたを更生するのが私の仕事です」手段を選ばないアルフの卑怯な戦い方に幼馴染のセンタリア王姫・リーネの怒りが爆発、ダメダメなアルフの更生に乗り出して!? 第11回MF文庫Jライトノベル新人賞受賞のネクストヒーローファンタジー!■血風の英雄伝承 II著者 / 鏡遊◆イラスト / みけおう◆定価 / 580円(税別)歴史上の英雄の魂を受け継ぐ、リンカーの出現から十数年。復活した新撰組の副長となった犬神冬夜は、白桜宮の姫・結城ノアの護衛、テロ行為の阻止に奔走していた。ある日、幕末の四大人斬りのリンカーから襲撃を受けるが、異界の姫・マーヤの助けもあり、辛くもそれを退ける。その犯行を指示していたのは幕末の風雲児・坂本龍馬の魂を継ぐ者だった。龍馬の脅威を打破するため、新撰組とマーヤは一時的に手を組むのだが、冬夜とマーヤには何か因縁があるようで……? 狼たちが血で血を洗う、大スケールガンソードアクション第弐弾! 歴史を動かした男、今を破滅に導く――■Re:ゼロから始める異世界生活 Ex2 剣鬼恋歌著者 / 長月達平◆イラスト / 大塚真一郎◆定価 / 580円(税別)剣鬼恋歌――それは今も詠われる剣鬼と剣聖の、男と女の、出会いと別れの、恋物語。親竜王国ルグニカを揺るがす、王国内戦『亜人戦争』。王国軍と亜人連合の激しい戦いに、国土は焼かれ、国民は疲弊し、人心は平和の訪れを渇望していた時代。英雄が戦火の中で生まれるならば『剣鬼』ヴィルヘルム・トリアスはまさにそれだ。一本の剣を携え、獣の如く戦場を暴れ回る少年剣士。己の剣の果てを渇望する彼の生き様はやがて戦友や王国、そして一人の少女を巻き込んで、王国史に残る偉業を成し遂げる。大人気WEB小説、激動と剣戟の外伝! 四十年の時を超え、今語られる剣鬼の戦い。■緋弾のアリアAA IV著者 / 赤松中学&チームアミカ◆イラスト / こぶいち◆定価 / 580円(税別)東京武偵高校、そこは武力を行使する探偵――通称『武偵』を育成する特殊な学校。Sランク武偵・アリアと戦姉妹になった間宮あかりの前に、武偵高と警察の両方で学ぶエリート生徒『架橋生』の後輩・乾桜が現れる。彼女は文武両道で、女子中学生にもかかわらず高いランクに格付けされている優等生だ。そんな彼女がある事をきっかけに、あかりに戦姉妹契約を申し込んでくる。またそんな折、名古屋武偵女子校から研修生として、あかりのイトコ・間宮ひかりが現れる。しかし、彼女は間宮の術を利用し、何かを企んでいるようで……? 最弱のEランク武偵あかりと、可愛くも個性的なクラスメートたちが織り成す、中スケールアクション&日常コメディー第4弾!!■ミカグラ学園組曲7 花吹雪リフレクト著者 / Last Note.◆イラスト / 明菜◆定価 / 580円(税別)竜の力を使いすぎた結果、ハルの身体のドラゴン化は進行の一途を辿っていた。事態を重く捉えた織姫たち魔女は、ハルに人間としての強い充足感を与えることで、どうにか症状を回復させることに成功していた。しかしその脅威はやがてハルの記憶さえも蝕んでいくことになり……。時を同じくして東京湾に突如、小島が出現する。直ちに調査を開始するハルたちだったがそこで出会ったのは、「ひさしいな、春賀晴臣。弓の竜弑しを継承した者よ」人間界に潜伏し続け、傷を癒したパヴェル・ガラドだった。そんな最中、ガラドに続き雪風の姫も現れ、東京湾上に嵐が吹き荒れる――! 至高のドラゴン・エンタテイメント、決戦の第7弾!■ノーゲーム・ノーライフ 8 ゲーマーたちは布石を継いでいくそうです著者 / 榎宮祐◆イラスト / 榎宮祐◆定価 / 580円(税別)ゲームで全てが決まる世界へと変わった【ディスボード】――神霊種との双六対戦も終わりが近づいた時、立ちふさがったのはジブリールの【課題】――それはまさしく世界が変わる前、古の大戦を再現した"戦略シミュレーションゲーム"だった。最弱の人類種を率いて『』は目指す――今度こそ、誰も死なせずに……! 「世界をゲームに変えた奴らがいんだぞ……何だって出来そうなもんだろ――ッ!!」――犠牲を重ね続ける『定石』、"その先"へと挑んだ『布石』は、旧き神話から、"最も新しき神話"へと継がれ遂に至る――大人気異世界ファンタジー、第8弾!!
2015年12月26日きょうご紹介したいのは、『恋に嘘、仕事にルブタンは必要か? 心が楽になる57の賢人の言葉』(レベッカ・ラインハルト著、小嶋有里訳、CCCメディアハウス)。不思議なタイトルですが、内容もまたユニーク。「女の生き方」「教訓」「人間関係」「仕事」「男と女」「家族」「健康」の7カテゴリーについての考え方が解説されているのですが、そのベースになっているのは先人たちの考え方なのです。そう、カント、デカルト、プラトン、アリストテレス、孔子などなどの思想を、私たちの生活のなかに落とし込んでいるということ。つまり、日常生活のさまざまな場面で役に立つ、哲学的な考え方を伝授してくれる一冊。■哲学は世間一般のイメージより難しくない!ただ、哲学というとそれだけで難しそうなイメージがあるのも事実だと思います。しかしこのことについて、著者は次のように述べています。「秘密をこっそり教えると、哲学は決して消化不良を起こさせるようなものではありません。時に楽しく、そして時にちょっぴり魅惑的なものでもあります」だから気負う必要はなく、前から読み始めても、1日1ページでも、好きなように読み進めることが可能。Chapter01「女の生き方」から、数字にまつわるキーワード「時間」を引き出してみたいと思います。ここでモチーフになっているのは、初期ロマン派の有名な詩人であるノヴァーリスの思想です。■製塩所で働いていた病弱な詩人ノヴァーリス最初に、ノヴァーリスことフリードリヒ・フォン・ハルデンベルクについての解説を見てみましょう。フリードリヒ・ヴィルヘルム・シェリング、ルートヴィヒ・ティーク、シュレーゲル兄弟らと並び、初期ロマン派を代表する詩人のひとり。病弱だった彼は、製塩所での仕事と並行して個性的かつ哲学的な作品を書き続けたことで知られています。特に『花粉』(邦訳『ノヴァーリス作品集第1巻』に収録、ちくま文庫)は評価の高い作品。ちなみに、ドイツの偉大な詩人であるフリードリヒ・シラーの看病をした際に感染したと思われる肺結核で世を去っています。そんなノヴァーリスは、実体のない「時間」についてどのような考え方をしていたのでしょうか?■時間は思考を吸い取る恐ろしいモンスター!スケジュールはきっちりと守るべきものですが、それはなぜでしょう?1秒たりとも無駄にはしたくないから?それとも30分ものんびりすることに耐えられないくらいせっかちだからでしょうか?いずれにせよ、時間はどんなに節約したとしてもまったく手元には残ってくれないもの。でもそれは自分のせいではなく、「時間がモンスターだから」だと著者は表現しています。たとえば、「睡眠時間が短い」とか、「食べる時間がないほど忙しい」という人がいます。彼らは、自ら嬉々としてモンスター、つまり時間の格好の餌食になっているということ。同じように、飛行機を乗り継いではホテルからホテルへと渡り歩き、休暇も取れないビジネスパーソンの脳内にも、やはりモンスターが棲みついているもの。モンスターを前にしては、ビジネスクラスのゆったりとした席に座っていてもまったく無意味。ノートパソコンもスマートフォンも、モンスターを退治することはできないといいます。つまりモンスターは、人の夢を食べて生きていくバクのように、あらゆる思考を吸い取ってしまうということ。しかし、反対に「時間の効率はまったく気にしない」とか、スマホをちらっと見ることさえ耐えられないというのんびりした方もまた、モンスターからは逃れられないのだと著者。夏休みなどを待ち焦がれ、身もだえするような終わりのない時間を経験することは誰にでもあるもの。問題は、待てば待つほど、その永遠がさらに永遠になるような、終わりのなさです。それもまた、モンスターが、来るべき未来を遠くへ遠くへと追いやってしまっているということだというのです。■ノヴァーリスが残した時間についての言葉さて、ここでようやくノヴァーリスの言葉が登場します。彼は時間について、どのような表現を残しているのでしょうか?「人生は長くあってほしいところで短く、短くあってほしいところで長い」これはまさに、時間のことを的確にいい表した言葉だとはいえないでしょうか?少なくとも、時間が持つこのような性格を理解しておけば、「時間がない」、あるいは「休みまではまだ遠い」などと嘆くことは少なくなりそうです。*装丁もおしゃれで、しかもコンパクトなので持ち運びにもストレスなし。バッグのなかに入れておき、空いた時間に好きなページを読んでみるのもいいと思います。(文/書評家・印南敦史)【参考】※レベッカ・ラインハルト(2015)『恋に嘘、仕事にルブタンは必要か? 心が楽になる57の賢人の言葉』CCCメディアハウス
2015年11月21日三島有紀子監督(『しあわせのパン』)の新作は、仕立て屋のヒロイン・市江と、彼女を取り巻く人々を見つめた『繕い裁つ人』。先代の祖母が作った服の仕立て直しとサイズ直し、祖母のデザインを流用したオーダーメイドを、足踏みミシンで作り続けることに、頑なにこだわる市江に扮した中谷美紀が裏話を明かした。その他の写真原作は池辺葵による同名コミック。映画化にあたり、最初から中谷を主演に考えていた監督は、作品のイメージとしてデンマークの画家、ヴィルヘルム・ハンマースホイのポストカードを中谷に渡した。「実は『スイートリトルライズ』に出演させていただいた折に、矢崎(仁司)監督からもハンマースホイの画集をお預かりしたんです。ふたりの監督が、同じ世界観、空気感を私に求められたというのは、とても不思議な感じがしました」と振り返る中谷。同時にストンと納得できたとも。「この世界観を作ろうとされているのだとの保証書をいただいた感じでした。あとはもう監督を信じれば大丈夫という気持ちになりましたね」。洋服も重要なパートを担う本作。どれも美しい衣装の中で、鎧のようにも映る市江の青い作業服がとりわけ存在感を放つ。中谷はそれを身にまとい、凛としていて芯があり、それゆえ時に頑固ジジイと呼ばれるが、チャーミングな面も持ち合わせる市江そのものとして生きる。さらに本作は変化の物語でもある。特に影響を与えるのが、三浦貴大扮する大手デバートの服飾担当・藤井。「監督はすべてを見せることはしないんです」とほほ笑む中谷が秘話を語った。「藤井の登場はあるシーンで終わっています。でも実際の撮影ではもっと登場シーンがあって踏み込んだ表現になっていました。それを監督は編集でカットなさった。さすがだと思いましたね。観る方に想像の余地を残す。私はとても好きな終わり方です」。カットしたからこそ、より思いが伝わることもある。爽やかなラストに、ふと心が軽く、そして温かくなる。『繕い裁つ人』1月31日(土) 新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー取材・文:望月ふみ
2015年01月30日ベネリックは12月5日、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに隣接するショッピング施設「ユニバーサル・シティウォーク大阪」に、「maimo(マイモ)」1号店をオープンさせた。同社はこれまで、「ムーミンカフェ」や、スタジオジブリグッズショップ「どんぐり共和国」、絵本キャラクターのオフィシャルショップなど、作品の世界に入り込んだような様々な店づくりを行ってきた。今回は特定の作品をモチーフにせず、童話を読んだ時のワクワク、ドキドキした気持ちと、心の中に想像していた「不思議な森」という世界観のもとショップを展開する。入口には、"森の番人"として大きな老木のヴィルヘルム・マイモが登場。入店時には、怪しいフクロウのヤーコブ・マイモから、森に入る注意点が告げられるという。店内は、童話の主人公のように「森で迷子になりながら、宝物を見つける」という体験ができるような構成とした。動物たちのいる「明るい森」、食いしん坊がお菓子を隠している「暗めの森」、怪しい火の光がゆれる「真っ暗な魔女の森」の中では、絵本やお菓子、アクセサリー、雑貨など様々な商品を販売。"宝探し"をしているような気持ちで買い物ができる。オープン記念として、童話モチーフのマイモオリジナルイラストを使用した限定商品なども販売。12月5日には、「maimo オリジナル ピーチフレーバーティー」(445円/税別)を発売する。また、税別2,000円以上購入すると、オリジナルトートバッグをプレゼント。バッグはなくなり次第、終了となる。
2014年12月05日ヴィルヘルム・フルトヴェングラー。没後60年にも近づこうという今をもってなお、神格化された人気を持つカリスマ指揮者。彼はまた、第2次世界大戦後、ナチスへの協力を指摘され、さまざまな批判の矢面に立った人物でもあった。『テイキング サイド』チケット情報来年2月1日(金)から東京・天王洲 銀河劇場で開幕するストレート・プレイ『テイキングサイド』は、フルトヴェングラーの戦争責任をアメリカの将校が厳しく追及する濃密な会話劇である。平幹二朗のフルトヴェングラーと、筧利夫のアメリカ将校・アーノルドが演技の火花を散らし、演出を映画監督・行定勲が束ねる注目の舞台。このほど銀座にて、この舞台に関するユニークなトークイベントが行なわれたのでレポートする。出演者は、演出家・行定勲と、幻冬舎新書「カラヤンとフルトヴェングラー」の著者・中川右介。フルトヴェングラーという人物をどう捉えるか、ふたりの話が始まる。行定勲は言う。「女にもてて女好き。政治状況の読みは音痴、矛盾を抱えた性格」。続いて、中川「人間は単純に割り切れないが、その点、フルトヴェングラーは、矛盾のかたまり、と割り切れる稀有な人。怪物的な魅力。周囲は迷惑だったろう。フルトヴェングラーは亡命の選択肢もあったが、ドイツにとどまったからこそ、今、音源も豊富にある。外から見ればナチの宣伝塔でも、ユダヤ人の芸術家をたくさん助けもした。優先すべきなのは政治なのか、それとも芸術なのかは、むずかしいテーマ」。イベントでは、とある映像が紹介された。演奏後、フルトヴェングラーがナチスの宣伝相ゲッベルスと握手をしていることで有名な、1942年のベートーヴェン第九のラスト数分とカーテンコールの映像だった。ヒトラーの誕生日を祝うコンサートである。「他のスケジュールを入れて逃げようとしていたコンサートだが、外堀を埋められてしまう。いやいや演奏しているはずなのに、終わってみると、フルトヴェングラーが残した第九の演奏でも1、2を争う熱演」との中川の解説に、「相当なバカ。手を抜けばいいのに。純粋に音楽の天才なんでしょうね。全力を尽くしてしまう」と苦笑する行定。会場からも笑いが漏れる。舞台への抱負を語る行定が、イベントを締めくくった。「芝居のタイトル「テイキングサイド」は「立場の選択」というような意味。脚本家のロナルド・ハーウッドはユダヤ系。父母の体験からナチには反感があったが、そればかりではない。劇中に、筧利夫のアーノルド少佐とは別の、若いアメリカ人将校が登場する。彼は、フルトヴェングラーの音楽の洗礼を受けていて、芸術と政治、どちらの立場を選ぶべきかもがく。演劇ファンにも、フルトヴェングラーのファンにも、興味を持って観てもらえるはず」。公演は、2013年2月1日(金)から2月11日(月)まで、東京・天王洲 銀河劇場にて。チケットは発売中。
2012年12月28日日本人に潜在的な欧米コンプレックスがあるとはよく言われること。なかには「欧米人に生まれ変わりたい!」なんて思ったことがあるという方もいるのではないでしょうか。マイナビニュース読者に「欧米人に生まれ変わりたいと思ったことがある?」という質問を投げかけると同時に、「もし欧米人に生まれ変わったらどんな名前がいいか」をアンケートしました。調査期間:2012/3/6~2012/3/10アンケート対象:マイナビニュース会員有効回答数 1,000件(ウェブログイン式)Q.欧米人に生まれ変わりたいと思ったことがある?ある(29%)ない(71%)約3割の方が欧米人に生まれ変わりたいと思ったことがあるよう。「日本人としての誇りはどうした!」などと怒ってしまう人もいるかもしれませんが、まあこれが現実ではないでしょうか。では、具体的に「欧米人に生まれ変わりたい」と思った方々はどんな名前になって、欧米人デビューしてみたいのでしょうか?■ポップ系ウッディ「ほっこり系のキャラという感じがするから」(29歳/女性)クリスティーナ「ボンッ、キュッ、ボンッ!なイメージ。みんなからチヤホヤしてもらえるのでは」(23歳/女性)トム「気軽に呼んでもらえそう。ヘイ、トーム!みたいな感じで」(22歳/男性)なるほど、確かに日本名にはないポップさを感じます。ただ、個人的には「トム」を「太郎」に置き換えても結構ポップだとは思うんです。「ヘイ、トーム!」じゃなくて、「おい、太郎!」です。親しみがわきすぎて、握り飯でも食べさせたくなりませんか?■ゴージャス系ジェラルディン「威厳がありそうだから」(62歳/男性)エリザベス「高貴な人に生まれ変われそうだから」(29歳/女性)ヴィルヘルム「偉大な音楽を奏でそうだから」(24歳/男性)ある意味、欧米人の名前に生まれ変わる醍醐味(だいごみ)を感じられそうな名前です。ただ、筆者のようなものが名乗ってしまうと、完全に名前負けしてしまうと思います。悔しいですが。■ストロング系アレッサンドロ「響きがかっこいいし、何か強そう」(28歳/男性)ガブリエル「筋肉がすごそうだし、何か強そう」(31歳/女性)ジョリー「秘宝を求めて駆け抜けていきそう」(27歳/女性)確かに、名前の雰囲気から力強さを感じることもありますよね。では、日本名で強そうな名前というと何でしょう? 仮に「剛(つよし)」という名前が強そうだとして、「剛VSアレッサンドロ」という戦いがあったとしたら、皆さんはどちらが強いと思いますか? 個人的には、精神力で「剛」が勝ることを期待したいですが、まあどちらでもいいかもしれません。■あこがれ系スティーブ「ジョブスが好きだから」(46歳/男性)レオナルド「ディカプリオが好きだから」(28歳/男性)キャリー「『きゃりーぱみゅぱみゅ』がかわいいから」(28歳/女性)あこがれの人の名前になりたいと思うのはストレートな考え方ですが、なかには欧米人へのあこがれではなく、日本のタレントへのあこがれから、欧米人の名前を付けたいと思った方もいるようです。欧米コンプレックスうんぬんの話はさておき、名前の持つ力のようなものを考えさせられる今回のアンケート。あこがれの名前だけでなく、それっぽい欧米風の名前とはどういうものか、さまざまなテーマで考えてみるのも面白いかもしれませんね。(根岸達朗/プレスラボ)
2012年05月12日芸術を嗜むのに最適な季節といえば、秋…ですが、暑い夏の過ごし方として、涼しく美術館や劇場を巡るというのも、いいものです。夏休みには、多くのアートイベントも開催されますし、興味深い企画も盛りだくさん。さらに、最近では美術館などに素敵なカフェもあったりして。そう、快適空間での夏のひとときを過ごすのは、かなり良いアイディアなのです。そんなわけで今回は、この夏おすすめのアート関連映画を2本ご紹介します。まずは、『セラフィーヌの庭』から。セラフィーヌとは、アンリ・ルソーに代表される素朴(ナイーブ)派の女流画家、セラフィーヌ・ルイのこと。独学で絵を描いてきた彼女は、もともと家政婦として働いていました。貧しく、孤独に過ごしながらも、草木に話しかけ、自然と対話し、神を敬う女性だったのです。41歳のとき、守護天使からの啓示がきっかけで絵を描くように。とはいえ、貧しい生活の中で、芸術を生み出し続けるのは大変なこと。例えば、画家ならば、感性だけでなく、それをヴィジュアル化するためのキャンバス、絵の具、筆などが必要になります。セラフィーヌは、家賃を滞納し、石炭を買うのを控えながらも、洗濯や掃除で得た僅かな収入を画材へと投入。絵の具は、動物の血や草木などから手作り(材料は人には秘密)。でも、それが独自の色彩へと繋がっているのですから、アートとは何とも良いものです。そんな彼女が描くのは、花や草、果物など。そんな作品に偶然出会ったのが、ピカソ、ブラック、アンリ・ルソーを発掘したドイツ人の画商ヴィルヘルム・ウーデ。そこから、彼女の人生に変化が訪れ始めます。それが結果的に彼女にとって良いものだったかどうかは分かりません。アーティストが世に出るには、支援者(彼女の場合はウーデ)が必要だといいますが、そもそも彼女は自分の作品が世に出ることを望んでいたのかどうかも分からないからです。彼女は心のままに絵を描き、それが彼女にとっては呼吸することと同様生きることに直結していただけ。名誉も地位もなかったとしても、彼女は満たされていたことでしょう。とはいえ、ウーデのおかげで、いま私たちは彼女の才能に感謝し、楽しむことができるのですが。ウーデが熱心に見出した素朴派(ウーデ自身はモダン・プリミティブ派と呼んだそう)は、はじめこそ、その名の通りタッチの“素朴”さゆえ、単純、幼稚、遠近感がないなどと評価されなかったそうですが、やがて、画家たちの表現する美しい色、素直で純粋なタッチの中に価値を見出すように。いまでは、多くの人々に温か味を感じさせる人気のジャンルになっています。日本では、ルソーをはじめとする素朴派画家の作品所蔵に関しては、世田谷美術館が有名。9月5日(日)まで開催されている収蔵品展「建畠覚造―アトリエの時間」の第二部でセラフィーヌの作品「枝」も展示されています。セラフィーヌの作品が気になった方は、ぜひ足を運んでみてください。次にご紹介する『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』は、私にとっては敗者復活戦的作品。あれはそう、ちょうど4年前のこと。サッカーのワールドカップ、ドイツ大会に赴いた私は、アムステルダムを経由。その際、限られた時間内で美術館に向かったところ、長蛇の列を目の前にして、入館を断念した苦い思い出、レンブラントの「夜警」やフェルメールの「牛乳を注ぐ女」をすんでのところで見逃したという断腸の思いがあるのです。その代わり、アムステルダムのアルティス動物園というほのぼのとした施設で遊ぶことができたわけですが、それはそれ、これはこれ。やっぱり悔しい。というわけで、今回、やっと待望の館内を覗き見ることができたわけです。でも、覗いた“内部”はかなりモメていました。内部というのは、そこで働く人々や、国立美術館を愛する市民たちのこと。実は、アムステルダム国立美術館は2004年から大規模な改装工事が始まったのですが、美術館関係者と地元民の間で計画にまつわる対立が勃発。順調にいけば2008年リニューアルオープンの予定でしたが、大もめにもめ、その後もトラブルが続出。2010年のいまも工事は中断していて、予定では2013年には再オープンというかなりの大騒動に発展しているのです。現在も、本館は閉鎖状態。思えば、私が訪れた際も、展示は本館でなく隣接する棟で行われていましたっけ。こんな大きな美術館なのに、なんで入り口がこんなに小さくて横っちょにあるのだろうと思った記憶があります。そんなことを思い出しながら観た本作。そもそも、国立美術館の改装が、日本ではここまで大問題になるのだろうかというところも興味深い話です。そんな騒動だけでなく、この作品では美術館の内部でどんなことが行われているかも、教えてくれます。美術館改革についての会議の様子、学芸員による展示構成の議論、美術品収集の様子、所蔵品の数々、そして力仕事を担う作業員たちや警備員たちの思い、修復家たちの仕事ぶりなどです。なかでも、私が一番興味を持ったのは、美術品の修復。これまでも、様々なメディアで修復場面が紹介されるたびに、「この仕事に私は適しているはず」と思ってきました。こちょこちょとした細かい手作業、何かをはがす、削るという作業が好きな私。その果てに、人類の遺産とも言える名作たちの復活が待っているなら、こんな喜びはないはずです。案の定、今回も彼らの作業にうっとり見入ってしまいました。今度生まれ変わるなら、断然、美術品修復の勉強をしたい。そう強く思ったのでした。社会派ドキュメンタリー監督が4年以上の歳月をかけ、400人にも及ぶ関係者への取材を経て実現したこの作品。当初予想していた単なる美術館案内とは全く違い、いわばバックステージ・ツアー的な性格も持った面白い作品です。優雅な美術品を展示するお高い場所だと思いがちですが、そこには妙に人間くさい面白ドラマが充満していました。“過去”が集まる場所だと思っていた美術館でしたが、実は“今”を生きていました。映画を見続けていくうちに、もはや、知らない人とは思えないほど親しみを感じた関係者たちに、「何があっても負けるな!」とエールを送りたい気分。一日も早い、リニューアルオープンをお祈りしています!と、こんな面白すぎる美術界の裏話も、涼しい美術館に行く前に知っておくといいですよ。『セラフィーヌの庭』と『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』、暑い夏におすすめです。(text:June Makiguchi)「世田谷美術館」公式サイト■関連作品:セラフィーヌの庭 2010年8月7日より岩波ホールほか全国にて公開© TS Productions/France 3 Cinéma/Climax Films/RTBF 2008ようこそ、アムステルダム国立美術館へ 2010年8月21日より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開■関連記事:大騒動勃発!『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』試写会に10組20名様ご招待
2010年07月23日