木曜日連載、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店による今読むべき1冊。今週は、池田学の『池田学《誕生》が誕生するまで』。東京・渋谷の支店 NADiff modern(東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura地下1階)によるご紹介です。■『池田学《誕生》が誕生するまで』池田学池田学はペン先が1mmにも満たないペンで壮大な世界を描くアーティストだ。本書は彼がアメリカで約3年もの時間をかけて描き、日本で熱狂的なフィーバーとなった《誕生》の生まれた経緯、3m×4mに及ぶ絵の細部を自ら解説している。この作品を目の前にすると細部のメッセージ性など知らずとも、そのエネルギーに圧倒される。そして、作品に近づき細部を見ていくとさらにその世界に引き込まれる。池田は東日本大震災をカナダ・バンクーバーにてニュースで知る。「表現者としてこの災害とどう向き合うか」と考え《誕生》の製作に至ったと話す。‘‘この作品は絵と外観とタイトルからして「東日本大震災への復興の願いを込めて」と表現されることが特に多いが、それは必ずしも意図することではない。’’と本書に記している。作品制作過程の自らの様々な出来事を反映させ、悲しみや恐ろしさだけでなく喜びや希望、未来を描いたのだ。美術批評家の布施英利、《誕生》の制作場となったチェゼン美術館の館長ラッセル・パンチェンコ、池田が所属するミヅマアートギャラリーのエグゼクティブプロデュ―サー三潴末雄の文章も必見だ。カバーを外し広げると、《誕生》の拡大図が見られる。それを見ながら本書を読み進めると、よりわかりやすく楽しめる。【書籍情報】『池田学《誕生》が誕生するまで』著者:池田学出版社:青幻舎言語:日本語、英語ソフトカバー/205ページ/B6判発刊:2017年8月価格:1,800円
2017年10月19日茨城県笠間市の「常陸国 出雲大社」は、境内にリニューアルオープンした「桜林館」内に、現代アートギャラリースペース「ギャラリー桜林(おうりん)」を2月20日にオープンし、記念企画展として会田誠氏、天野喜孝氏、山口晃氏などの現代アート作品を展示・販売する「Impacts! 勢み展」を開催する。会期は2月20日~3月21日 10:00~16:30(水曜休廊、最終日は14:00まで)。入場無料。「ギャラリー桜林」は、茨城県笠間市の「常陸国 出雲大社」(最寄り駅:JR水戸線 福原駅)の境内にリニューアルオープンした「桜林館」の1階に常設される、現代アートギャラリースペース。このたび開催される「Impacts! 勢み展」は、同ギャラリーのオープンを記念した企画展。会田誠氏、天野喜孝氏、宇佐美雅浩氏、O JUN氏、金子富之氏、熊澤未来子氏、棚田康司氏、天明屋尚氏、森淳一氏、山口藍氏、山口晃氏などの現代アート作品が展示・販売されるという。また、初日の2月20日(14:00~)には、レセプションが予定されている。なお、同展は、日本やアジアの作家の作品を国際的なアートシーンに紹介している「三潴アートギャラリー」の全面バックアップにより開催されるもの。同ギャラリーの代表・三潴末雄氏と常陸国 出雲大社の高橋正宣宮司は旧知の仲であり、「日本文化を世界に誇る文化として発信したい」という考えに共感しあい、日本古来の伝統文化である神社にアートスペースを設けたいという想いを「ギャラリー桜林」のオープンによって実現させたという。今後は、ジャパニーズスピリットに溢れた作品を紹介する現代アートの企画展を、年に4回程度計画していくということだ。
2016年02月04日