母子共に強迫性障害(強迫症)私は23歳の時、強迫性障害(強迫症)を発症して入院していました。現在23歳の息子も23歳、ASD(自閉スペクトラム症)、知的障害(知的発達症)のほかに強迫性障害(強迫症)があり通院中です。私が実際に行った強迫性障害(強迫症)の治療には、薬物療法だったり、認知行動療法だったり、認知行動療法の中の暴露法だったり、森田療法などがあります。私は患者の会である自助グループに参加しているのですが、良い意味でとても凄く理屈っぽい議論が交わされ、多くの学びを得ています。ます。ただ、知的障害(知的発達症)のある息子には理解しにくい内容なので一緒には連れて行っていません。不安という感情を抱えながらなすべきことをなす私はある自助グループに通うようになり、このようなことを学びました。不安があったとき、みなさんはどのように考えますか?例えば飛び込み台から飛び込まなくてはならない状況の時、A.飛び込むのを止めるB.「怖くない、怖くない」と不安をかき消す言葉をかけながら飛び込むC.「怖い」と思いながらも、行動する。飛び込こんでみる飛び込み台の例は極端ですけれども、A.飛び込むのを止めると、これ以降も飛び込むことができできなくなります。B.怖くないという感情に意識が行きすぎてしまうと、反対に「怖い」という感情が強化されてしまいます。不安をかき消そうと不安にスポットを当てれば当てるほど、不安が増大してしまうからです。C.のように自分の自然の感情に蓋をしないで、その思いを持ちつつもともかく行動してみます。すると飛び込めた事実によって自信がつきます。このことを他のケースに当てはめてみたいと思います。私は著者で講演依頼を受けることもあるのですが、依頼を受けた時、とても苦しく不安な気持ちになります。というのも、緊張しすぎてお腹が痛くなるからです。過敏性腸症候群です(身体的には病気ではないのに、腸がギュルギュルしてしまう)。これを先ほどの例に当てはめると3つの方法があります。人前でスピーチをしなくてはならない時、A.話をすることをやめて、依頼を断るB.「あがってはならない」「大丈夫、大丈夫」と言い聞かせてスピーチに臨むC.不安、恐怖を抱えながらなすべきスピーチを行う人は自分の感情を自分の気合や努力で何とかできると思ってしまいますが、心臓や胃の動きを自分でコントロールできないように、自然に沸き起こる恐怖を自分の力でなくすことはできません。不安という感情はそのままにして、なすべきこと(飛び込む、スピーチをする)に意識を向け、それを行う。飛び込めた、スピーチできたという体験を通して自信になり、そのことによって不安という感情を抱えながらなすべきことをなせるようになるのです。このように考えながら、強迫性障害(強迫症)とつきあっています。定型発達の子とわが子を比べてしまう“比べる病”もコントロールできない感情。自分を責めてはいけないこの考え方は、発達障害のある子どもの育児でも参考になります。パートナーがいない時結婚式に招かれて、幸せな友人を見て素直に喜んであげられない自分を責める。妊活仲間が妊娠しても、自分の不妊治療がうまくいかないと「おめでとう」と素直に喜べない。これらも自然な感情です。「こんな風に思ってしまう私はなんて器が狭いんだろう。ダメな人間だ」と自分を責めてはならないと思うのです。同様に定型発達の子を見ては比べてしまい、「羨ましい」と思う。これも自然な感情、自分ではコントロールはできません。抑えつけてしまい「他の子をうらやむ自分はなんてダメな母親なんだ」と自分を責めないでほしいと思います。責めれば責めるほど、ますます、自分を追い込んでしまうからです。強迫性障害(強迫症)での体験を通して、自分の心から湧き上がる感情はコントロールできないことを私は学んでます。自分を責めない……まずそこを前提として、発達障害があるわが子と向き合うことが大切だと思っています。執筆/立石美津子(監修:森先生より)「自分の感情を否定しない」ということは大切ですね。人間誰しも、時にネガティブな考えが頭に浮かぶことはあります。そんな時に自分の感情に蓋をしてしまうと、後々になって感情が爆発したり、うつ病や心身症などの問題となってしまうことがあります。また、つらい状況であることが周囲からもわかりにくく、周囲から手を差し伸べることが難しくなってしまいます。不安、恐怖、嫉妬などなど……ネガティブな感情も、自分自身の心を構成する要素のひとつです。立石さんのように、ネガティブな感情も含めて受け入れて、感情とうまく付き合っていく方法を探していけるといいですね。前の記事はこちらUpload By 立石美津子Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年03月25日障害者手帳には3種類ある「障害者手帳」とは、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種類の手帳の総称です。身体障害者手帳は、身体障害者福祉法に基づき、身体の機能に一定以上の障害があると認定された方に交付される手帳です。障害の種類や程度によって1級から7級の等級が定められています。療育手帳は、知的障害(知的発達症)があると判定された方に交付される手帳です。自治体によって名称が異なる場合があり、例えば東京都や横浜市では愛の手帳、青森県や名古屋市では愛護手帳という名称で療育手帳が発行されています。知的障害の程度によって手帳の等級が判定されますが、判定基準および等級に応じた支援サービスの内容などは、各自治体によって運用が異なっています。精神障害者保健福祉手帳は、一定程度の精神障害の状態にあることが認定された方に交付される手帳です。手帳の交付は精神疾患(機能障害)の状態と能力障害(活動制限)の状態から総合的に判断され、その程度によって1級から3級に等級が定められています。参考:障害者手帳|厚生労働省上記のいずれの障害者手帳も、取得することでさまざまな支援や福祉サービスをうけることができますが、手帳の等級(障害の重さの程度)などによって、その内容は変わります。このコラムでは、・障害者手帳取得のメリット、デメリット・障害者手帳がない場合に、将来受けられる支援や合理的配慮についてなど、障害者手帳についてのギモンから、将来に役立つかもしれない情報まで専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。【専門家が回答】障害者手帳取得にはメリットがある?分かりやすく解説!ここからは障害者支援制度に詳しい行政書士の渡部伸先生に、障害者手帳取得についての質問にお答えいただきます。(質問)子どもに知的障害(知的発達症)があり、「療育手帳」を取得できる可能性があると言われました。取得のメリットやデメリットを知りたいです。また、取得できないのはどういう場合でしょうか。取得できないと療育が受けられないのではないかと不安です。(回答)療育手帳を取得することには、さまざまなメリットがあります。たとえば、働く場面での選択肢が広がります。企業などで働くことを希望する際に、一般の人と同じ方法での採用が難しい場合、障害者雇用の枠で働くという可能性が生まれます。障害者雇用で働くためには、手帳があることが条件となります。またそれ以外の場面でも、医療費の助成や公共交通機関の割引、NHKや携帯電話料金などの割引、映画館などレジャー・スポーツ施設の割引、所得税など税金の控除など、多くの経済的なメリットもあります。これらは、手帳の等級や自治体などで異なる場合があります。デメリットは基本的にはありません。周囲に手帳を持っていることを知られたくない、といった心理的な負担を感じる人はいるかもしれませんが、サービスを利用するとき以外、他人に持っていることを知られることはありませんし、普段はしまっておけば大丈夫です。療育手帳が取得できるかどうかは、18歳未満の場合、児童相談所でIQや日常生活の動作などから総合的に判定されます。なお療育についてですが、療育を行っている公的機関や民間の障害児通所支援などを利用する際には、「受給者証」が必要になります。こちらは手帳とは別の制度なので、療育手帳がないと受けられないものではありません。Upload By 発達障害のキホン(質問)子どもが療育手帳(愛の手帳)を取得していましたが、更新できず返納しました。発達障害がある場合、精神障害者保健福祉手帳は取得できますか?取得の目安の年齢があれば知りたいです。また、取得するとどんなメリットがあるでしょうか?(回答)発達障害がある場合は、精神障害者保健福祉手帳の対象となる可能性があります。目安の年齢は特にありません。最初に精神科を受診してから6ヶ月経過していれば申請可能です。医師の診断書など必要な書類をそろえて、役所の障害福祉窓口で申請します。精神障害者保健福祉手帳は、ほかの障害者手帳と異なり、取得後も2年ごとに更新する必要があります。メリットですが、療育手帳や身体障害者手帳と比較すると、受けられる支援は限られる場合があります。例えば、各自治体で行っている重度心身障害者への医療費助成は、重度の身体障害者手帳や療育手帳の所持者はほとんどの自治体で対象となりますが、精神障害者保健福祉手帳の所持者は1級のみ、あるいは対象外としている自治体もあります。そのほか各種の割引や減免など、手帳の等級や自治体などによって受けられるサービスもあります。障害者雇用については、2018年から精神障害者も対象となっていますので、将来の進路の選択肢が広がるという意味で、大きなメリットがあると思います。Upload By 発達障害のキホン(質問)障害者手帳がなくても、将来的に、高校や大学などの受験や、就職する際など、支援や合理的配慮を求めることはできるのでしょうか?(回答)合理的配慮とは、障害のある人が教育や就業、その他社会生活において障害のない人と平等に参加できるよう、それぞれの障害特性や困りごとに合わせて行われる配慮のことで、行政や学校・企業などの事業者には、この合理的配慮を可能な限り提供することが求められています。この合理的配慮の対象となる障害者は、障害者手帳を持っている人に限定されません。手帳がなくても、障害により日常生活に困難のある方も含まれます。受験に際して合理的配慮を求めるためには、医師の診断書や個別の教育支援計画、学校内で行ってきた支援の実績など「配慮の必要性」を示したうえで、事前に申請をする必要があります。具体的な配慮の内容としては、集中しやすいように別室受験やイヤーマフの持参、拡大文字の問題冊子の配布など、本人の困りごとに応じた支援を依頼することができます。ただし、学校などによって対応できることは異なるようです。就業の場においては、募集や採用の時点で、本人や支援者などから必要な配慮についての意思表明を行います。そのうえで本人と企業の間でどのような配慮ができるかを相談、検討し、合意したうえで配慮を行います。就業の場合は受験と異なり継続的な支援になりますので、定期的な見直し、改善が行われることになります。Upload By 発達障害のキホン障害者手帳についての関連コラムはこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年02月04日『目に見えるだけが障害じゃないと知ってほしい。』24万人もの方が、20歳以降に発達障害と診断されている現代社会。(大人の発達障害ナビより引用)そんな中、発達障害(ADHD)のパートナーをもつ人は、日々の生活をどのように暮らしているのでしょうか。そこで今回のMOREDOORでは、ADHDのパートナーと結婚して10年目になるBさん(仮名)にインタビューを実施。Bさんの日々の暮らしと、夫婦関係の専門家カップルセラピストからの意見をご紹介します。※当事者の声はさまざまです。あくまで一例として、考えるキッカケになれば幸いです。さまざまなところに違和感を覚え……ーーパートナーがADHDかも?と気づいたきっかけは?Bさん:生活面だと片付けられないところです。やったらやりっぱなしです。人間関係も広くは付き合わないし、飲み会も行きたがらない。金銭面もあったらあった分だけ使ってしまいます。コミュニケーションも一方的で人の話は聞かなくて……。そういったさまざまな面を見て「ADHDなのでは?」と気が付きました。ーー日常生活を送る上で、悩んでいることは?Bさん:やはり片付けられないことですね。ーー解決に向けてどんな工夫を?Bさん:その都度伝えて、パートナー自身に気づかせてました。ーーパートナーとは、どんな関係性を築いていきたいですか?Bさん:今のまま仲がいい夫婦のままがいいです。ーー今後、社会に対して「もっとこうなったら良いのにな」と思うことは?Bさん:まだADHDの認知度も低いので目に見えるだけが障害じゃないことを知って欲しいです。仲良し夫婦のままでいたい片付けが苦手なところや、コミュニケーションが苦手なところを見て、「パートナーがADHDなのでは」と気が付いたBさん。普段から相手をよく見ているからこそ、気が付けたのかもしれません。またADHDの症状は「怠慢、サボりだと勘違いされやすい」とも言われています。愛するパートナーの特性を上手に乗り越えてきたBさんだからこそ、世間の人にもっと知ってほしいと強く願っているようですね。カップルセラピストは2人の関係をどう見る?パートナー間の関係改善を目的としたカウンセリングを行う、“カップルセラピスト”はお二人の関係をどう見るのでしょうか?これまでの3,000件以上に及ぶ臨床経験を活かし、パートナー間の課題解決をサポートしてきたカップルセラピストの坂崎さんに話を聞きました。ーーBさんのお話をどう感じましたか?カップルセラピスト坂崎さん:結婚10年目で、「今のまま仲が良い夫婦のままがいい」と言えるのは素晴らしいと思います。その言葉が言えるまでになった背景には、「その都度伝えて、パートナー自身に気づかせる」という努力の賜物だと思いますし、辛かったことも葛藤もあったことでしょう。ADHDといっても、もちろん人それぞれで、共通点はあるものの、性格も違えば必要な対応も違っていきます。決定的に改善が難しいものもあれば、工夫次第で改善可能なことも多いです。片づけはその中でも、工夫してきたが諦めることやむなしと思っておられる部分なのかもしれませんが、その工夫をお互いの協力で見出していくことが重要ですね。向き合うことの大切さADHDのパートナーをもつと大変な面ばかりがクローズアップされがちです。しかし、実際のパートナーをもつ当事者Bさんからは、お互いに症状と向き合うことで、素敵な関係性を築けることが伝わってきました。ADHDといってもひとくくりにはできず、個人と個人として向き合う中で見えてくる解決策があるのではないでしょうか。みなさんは、この記事を読んでどのように感じましたか?コメント・監修者:坂﨑 崇正(さかざき たかまさ)臨床心理士・公認心理師、COBEYAセラピスト。2010年鳴門教育大学大学院修了。スクールカウンセラー、男性相談員、就労支援相談員、専門学校講師等を経て、2021年よりCOBEYAにカップルセラピストとして参画。これまでの3,000件以上に及ぶ臨床経験を活かし、パートナー間の課題解決をサポート。(MOREDOOR編集部)
2024年01月05日お笑いタレントのだいたひかるの夫でグラフィックデザイナー・小泉貴之さんが19日に自身のアメブロを更新。粉瘤の摘出手術に不安を感じていることを明かした。この日、小泉さんは「ようやく踏ん切りついた!」というタイトルでブログを更新。「今年やり残したこととして、頭の大きなコブ(たぶん粉瘤)を年内に取るそういう話を前にしましたが」と切り出し「やっと、やっと、、予約をしました」と粉瘤の摘出手術の予約を取ったことを報告した。続けて「粉瘤の摘出手術なんて日帰りであっという間かと思われるかと、、」と述べつつ「パニック障害の自分にはこれがけっこうなハードルでして、、」とコメント。「後頭部付近に部分麻酔をしてうつ伏せでじっとしてるのが耐えれるのか??ずっと不安でした」と告白し「今でも不安…」と心境をつづった。一方で「息子が泣きながらも苦手なものを頑張ってる姿を見てると頭をきってコブをとるぐらい何だよそんな気持ちになってきて」と心境の変化を明かし「今年は大きな発作もほとんどなく、プチ発作ぐらいで済んでるしやるなら今だなぁと」と手術を決意した理由を説明。粉瘤について「それなりの大きさ」だといい「時間もその分かかるかと思います」とコメントした。最後に「ということで今週末はあまり遊んであげれない」と明かし「先週末たくさん遊んできたという感じです」とつづり、ブログを締めくくった。この投稿に読者からは「手術は怖いですよね」「頑張ってください」「応援しています」などのコメントが多数寄せられている。
2023年12月20日37歳のときに不安障害を発症しました。当時人が少ない職場で働いていて、自分が休むと周りに迷惑がかかるという思いから休みも取らずに朝早くから夜遅くまで働き詰め。そんな中で発症しました。その後、約1年半の通院生活を経て自己判断で通院をやめたものの、完全には治らず不安定な状態は継続。43歳で回復したと思えるようになるまでは人生のどん底でした。私が不安障害を発症してから克服するまでにしたことを紹介します。不安障害の発症当初にしたこと不安障害を発症してから1年半ほどは心療内科に通いつつ、自分でできることは何かを考えて行動していました。していたことは以下の3つのことです。1.ちゅうちょせずに薬に頼った不安障害と診断された当初は、精神安定剤などの薬に頼ることは不安でした。ですが私の場合、発症すると急に動悸が激しくなったり夜眠れなくなったりして、体調が悪くなって精神状態にも影響を及ぼしていたので、薬に頼ることも大切ではないかと思うように。ちゅうちょせずに薬を飲むようになったおかげで、安定した精神状態を保てる時間が増えました。2.不安を感じる環境から逃げた不安障害を発症してから、職場にいると急に動悸がしたり手が震えたり、不安が増したりするようになりました。休職という手もあったのかもしれませんが、私の場合はこの仕事を続けること自体が不安だったため、辞めました。3.いつも楽しくなるように心がけた日常生活では、バラエティーやコメディなど楽しい気持ちになれるテレビを見ました。テレビを見ている間は不安が和らぐのです。また、楽しい音楽を聴いて踊ること、美術館や公園など心が豊かになる場所に行くことも気分を上げるのに効果的でした。友人と会って、不安に思っていることやたわいのない話をするのもよかったです。半面、事件や事故などの悲しい話題などはより不安感が増してしまうので避けました。ラクになるために性格を改めることに上記を続けた結果、心療内科に通い始めて1年半ほどで徐々に薬が減り、頓服薬のみの処方に変わりました。そこで私は、今後は薬がなくなるが何かあったときに行けば良いやと思い、自分から通院を中止。そう思えるくらい回復したと感じていたのですが、やはりまだ不安定な状態は続いていました。結局は自分の性格を変えなければ不安定な状態が続くと考え、自分の性格を改めることにしました。ネットで検索したところ、不安障害になりやすい人は以下に該当するようでした。・感受性が強く繊細で心配性。小さいことにクヨクヨしやすい。・完璧主義で理想が高い。頑固で負けず嫌い弱気な性格と強気な要素を併せ持った人が発症しやすいようでした。私は、まさに自分のことだと感じました。性格を変えるために実践したこと私が自分の性格を改めるためにしたことは以下の3つです。1.終わったことをクヨクヨしない例えば仕事でミスをしても、あのときこうすればよかったなどとクヨクヨ考えると、後悔する気持ちをずっと引きずることになります。終わったことはさっさと忘れて、次にどうすれば良いのかを考えるようにしました。2.完璧主義をやめる理想が高すぎる私は、自分の知識や技術の蓄積のために毎日何かをしないと不安になっていました。頑張らなくてもいいんだよと自分に言い聞かせて休むようにし、その分自分が楽しくなることに時間を使いました。3.負けず嫌いを捨てる人との競争をやめ、過去の自分と競争することにしました。以前の私には他の人のほうがうまくできると、それを追い抜こうとして頑張る傾向がありましたが、それをやめ、過去の自分よりも今の自分がどれだけできるようになったかを基準にするように。そうすることで負けず嫌いがなくなり、心に余裕ができました。不安障害の原因を自己分析した結果不安障害にはいくつか種類があり、医師の診断では、私はその中のパニック障害でした。電車やバスなど乗り物に乗っているとき、歯科医院や美容室にいるときなど、自分の意思だけではその場から離れにくい場所にいることで急に激しい不安に襲われ、発作を起こすことが一般的な症状のようです。ですが私の場合、乗り物内では発作は起こらず、日常生活で急に不安になるという状態でした。そこで原因を分析すると、私は自分自身で心の中に逃げられない箱を作っていたことがわかりました。例えば不安障害が治らなかったらどうしようという不安がある場合、不安障害が治らないという箱を心に作って中に入り、自ら逃げられない状態を作っていたのです。そこから出る方法を考えた結果、結局は「人生どうにでもなる精神」を持つことが大切だと気が付きました。将来起こるかわからないことを心配しても仕方ない。それよりも今を楽しむ気持ちを持とう。これに気が付いたとき、心がずっとラクになりました。だから今の私のモットーは「今を楽しく生きる」です。将来起こることは将来に任せ、今を大切に生きることこそ幸せに生きるコツだとわかりました。まとめ私はこの「今を楽しく生きる」という考え方に至るまでに6年間もかかりました。一歩進んで三歩下がったり止まったりする毎日で、はい上がってくるというよりは、月日がたつに連れて心がだんだんと浮いてくる状態でした。ただ、たくさんのことに触れ続けて考えた結果、この考え方になり救われました。どん底を経験し、不安障害になってしまうほど仕事を頑張ったことを後悔していましたが、そこから物事を見る目が変わり、回復した後は病気になる前の私よりもより深く物事を見ることができるようになりました。「今を楽しく生きる」というモットーで、これからも楽しく生活をしようと思います。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)2007年東京女子医科大学卒業後、米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科、同院東洋医学研究所を経て、2018年1月こまがた医院開業。2021年9月より介護付有料老人ホームの嘱託医兼代表取締役専務に就任し現在に至る。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『子宮筋腫は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力(KADOKAWA)』『自律神経を逆手にとって子宮を元気にする本(PHP研究所)』がある。イラスト/サトウユカ著者/葉月(44歳)自分のしたいことを追求しすぎて、結婚もせずアラフィフ直前に。楽しく自分らしく生きるために日々模索中。栄養士・調理師の資格持ち。趣味は料理とパン作り、食べ歩き。
2023年12月07日医療麻薬(ケタミン)の点滴治療は、多くの研究および臨床報告から、不安障害に非常に有効であると証明されています。名古屋麻酔科クリニック(所在地:愛知県名古屋市)ではこれまでのケタミン療法の経験と実績をもとに、2023年12月より不安障害をその適応に加え、より安全で効果的な治療を提供します。現在の不安治療に満足してますか名古屋麻酔科クリニック( )はこれまでに、うつ病、強迫性障害、PTSDに対してケタミン点滴療法を提供してきました。このたび、当院ケタミンクリニックではケタミン療法の適応を拡大し、不安障害に対するケタミン治療を開始しました。生きる中での人々の痛みや苦しみを少しでも減らしたいという強い思いから、15年前に麻酔科(ペインクリニック)および心療内科として当院はスタートしました。その後も、社会に広がるさまざまな苦しみに対しても、どこに問題がありどうにか出来ないか考えつづけています。当初からケタミン療法を行っており、これまでに1,300回以上のケタミン点滴の実績があります。また、海外を含む他にはない当院オリジナルのケタミン療法も提供しており、頸部硬膜外ブロック併用ケタミン療法(300例以上)や、催眠療法併用ケタミン療法などがあります。さらに、名古屋麻酔科クリニックではケタミン療法以外にも、肩こりに対するエコーガイド下ボトックス治療やテニス肘に対するエコーガイド下PRP治療なども行っています。新しい治療法(1) 不安障害とは不安は、人が快適ゾーンから外れた状況に直面したときの自然な反応です。不安を経験せずに人生を過ごす人はほとんどいません。しかし、不安の種類によっては、重度で長期にわたり、身体障害を引き起こす可能性があり、その結果、本来受けるべき生活の質を維持することが妨げられることもあります。常に警戒心が強い状態や心配な状態が6か月以上続く場合は、不安障害の可能性があります。不安は最も一般的な精神疾患であり、日本でも1,000万人以上がこの障害に苦しんでいるとされています。不安障害は以下のように分類されています。・全般性不安障害 (GAD) - 慢性的な不安と非特異的な出来事に対する過度の心配。イライラしたり、集中力が低下したり、不健康な睡眠パターンを経験したり、過度に心配したりすることがあります。・心的外傷後ストレス障害 (PTSD) - 生命の危険を感じたトラウマ的な出来事の後に発生する可能性があり、悪夢やフラッシュバック、以前楽しんでいた人や活動からの離脱、トラウマを思い出させる人や状況の回避などが含まれる場合があります。・強迫性障害 (OCD) - 強迫的な望ましくない思考や反復的な行動、あるいはその両方として現れる場合があります。決められた「儀式」を行うと一時的に不安が和らぐかもしれませんが、すぐに不安が戻ってくることがあります。・パニック障害 (PD) - 胸痛、心臓の高鳴り、呼吸困難、震え、圧倒的な危険感などの症状を引き起こす突然の強い恐怖。・社会不安障害 (SAD) - 社会的状況における自意識の麻痺と判断への恐怖。SADは、人前で話すなどの特定の状況でのみ発生する場合もあれば、社会的交流において圧倒的な不安を引き起こす場合もあります。医師は何十年もの間、不安症状を治療するため特定の種類の薬を処方してきました。多くの人は、単剤または複数の処方薬で少なくとも一時的に症状が軽減されていますが、従来の抗不安薬は効果がなく、他人に害を及ぼす可能性さえあります。研究者らによって、ケタミンが不安障害を解決するためのより安全でより効果的なアプローチである可能性があることが確認されました。(2) 従来の抗不安薬の欠点一般的に、不安障害の治療には心理療法と処方薬の組み合わせが推奨されます。残念ながら、多くの抗不安薬は乱用や依存のリスクが高く、危険な副作用を伴う可能性があります。不安障害にはほとんどの場合、以下のような薬が処方されます。選択的セロトニン再取り込み阻害剤 (SSRI)セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害剤 (SNRI)ベンゾジアゼピン系三環系SSRIは最も頻繁に処方される薬の一つですが、症状が軽減されるまでに4~6週間かかる場合があり、中止すると不快な副作用を引き起こす可能性があります。ベンゾジアゼピン系はより早く効きますが、4週間以上使用すると依存症のリスクが高まるため、短期間の使用を目的としています。ベンゾジアゼピン系とオピオイドの併用は非常に危険であり、呼吸抑制、昏睡、脳損傷、死亡を引き起こす可能性があります。(3) ケタミン療法と従来の抗不安薬との違いさまざまな研究者がケタミンを、副作用のリスクが低い不安および不安関連障害の治療における「新規薬理学的薬剤」と呼んでいます。長期にわたる不安やうつ病は、気分、記憶、学習などの機能を調節する脳の領域の接続を障害します。研究では、ケタミンが脳内の化学伝達物質であるグルタミン酸と相互作用することで、不安を効果的に軽減し、気分を高揚させる新しい神経接続の修復、さらには形成に役立つと考えられています。ケタミンは摂取するとほぼ即座にグルタミン酸レベルに影響を与え、不安の症状と重症度を迅速に軽減し、場合によっては2時間以内に軽減します。ケタミンが認知機能、衝動制御、感情制御も改善することが判明しています。Neuropsychopharmacology誌に掲載されたランダム化対照試験では、グルタミン酸神経伝達に対するケタミンの効果がOCDの症状を軽減する可能性があると結論付けています。ケタミンとは異なり、従来の不安に対する薬剤は、グルタミン酸をすぐに標的にするわけではなく、最初は気分を調節するセロトニンなどの脳内化学物質の活性を高めるように作用します。セロトニンのレベルが高くなると、最終的には気分が改善される可能性がありますが、そこに到達するのは遅くて焦ってしまう旅であると人々は感じるかもしれません。そして、SSRIを使用している人の30%ほどは、その状態に到達することができず、不安やうつ病の軽減をほとんど、あるいはまったく受けていないことも分かっています。不安症状が軽減されるかどうかを知るために数週間待つだけでなく、従来の薬を使用すると不快な、さらには危険な副作用が発生するリスクもあります。SSRI、SNRI、三環系薬剤には、震え、興奮、気分が悪くなる、下痢や便秘、めまい、睡眠障害、過度の発汗、性機能障害など、同様の副作用があります。ベンゾジアゼピン系は依存性または依存症になる高いリスクを伴います。副作用としては、眠気、ふらつき、混乱、めまい、筋力低下、記憶障害、認知機能の低下、吐き気などがあります。ベンゾジアゼピン系はオピオイドと組み合わせると特に危険であり、極度の疲労、危険なほど遅い呼吸、昏睡、または死に至る可能性もあります。ケタミンは、低用量では依存性や望ましくない副作用のリスクがほとんどありません。うつ病の治療におけるケタミンの利点についてはさらに多くの研究が行われていますが、不安症にもケタミンが有効であることが研究でわかっています。最近発表された不安障害に対するケタミンを評価するメタ分析では、治療抵抗性の不安スペクトラム障害に対してもケタミンは安全で効果的であることが判明しました。研究参加者のほとんどは、社会的機能や仕事上の機能の改善など、優れた治療反応を達成しました。ケタミン点滴療法(4) ケタミンについて、その危険性、依存性についてケタミンは、50年以上の歴史を持つ広く使われている全身麻酔薬で、最近では精神障害や慢性疼痛の治療にも使われてきました。症状の軽減に時間がかかる従来の薬とは異なり、ケタミンは投与後数時間から最長3週間以内に急速な緩和をもたらします。さらに、長期的な副作用も少なく、有望な治療法であるとされています。ケタミンは、2007年以来、日本では麻薬及び向精神薬取締法の麻薬に指定されており、乱用が問題視されています。一時期は「K」や「スペシャルK」として知られ、幻覚作用があることからクラブでの流通も見られました。乱用者は平均20日/月以上使用すると抑うつ状態が増加し、記憶力低下が見られる一方で、低頻度で使用した者や過去使用者では差がないとされています。ケタミンは中毒性があり得ますが、専門的に監視された注入の設定ではほとんど中毒の可能性がなく、医療処置や手術において安全に使用されています。ケタミンの依存の可能性はニコチンやアルコールよりも低いとされ、モルヒネ等の医療麻薬と比較しても低い水準であるとされています。中毒を防ぐためには、低用量のケタミンをゆっくり注入し、監視された安全な環境で医療提供者の監視下に置くことが重要です。メンタル疾患治療の一環として使用される場合、ケタミンには中毒性がないように配慮され、患者の安全が確保されます。(5) ケタミン療法の適応についてケタミンは、麻酔薬としての従来の臨床使用を超えて、他の症状の治療においても良好な結果を示すことが増えています。A. ケタミンが非常に効果的であることを示す実質的な研究データと臨床データがあります。・うつ病・自殺念慮・重度のPTSDB. ケタミンが効果的であることを示す多くの研究論文と臨床データがあります。・重度の不安障害・重度の双極性障害・薬物依存症のリハビリテーション・神経因性疼痛・CRPSまたはRSD・がん性疼痛症候群・幻肢痛C. 十分な臨床証拠があるが、ケタミンが以下の最悪の症状を緩和するのに効果的であると思われることを示す研究論文はあまりありません。・線維筋痛症・三叉神経痛・重度のOCD・帯状疱疹後神経痛・糖尿病性神経障害・脳卒中または外傷に関連する中枢性疼痛症候群・慢性片頭痛D. ケタミンが症状の軽減に効果がある可能性があることを示す論文と臨床経験が限られています。・慢性ライム痛・慢性骨盤痛・脊髄損傷の痛み・多発性硬化症の痛み・摂食障害(拒食症、過食症など)・間欠性爆発性障害、衝動性と過敏症・レット症候群・社会不安障害・自閉症スペクトラム障害の社会性およびうつ病の症状(また、言語化が増加し、常同行動や抵抗行動が減少する可能性もあります)・パーキンソン病とアルツハイマー病のうつ病と記憶力低下に・いくつかの形態の難聴と耳鳴りケタミン療法が良いこと、または良い可能性があることのリストは驚くほど多いです。ケタミン療法には神経系に独特の効果があり、多くの病気に効果をもたらします。研究者や臨床医は、さまざまな適応症に対するこの薬の最適な使用法と最も適切なプロトコルを定めようとしています。過去の数多くのケタミン治療経験と、適切な訓練を受けた医師が、また使用する上でこの薬の十分な情報を熟知しているからこそ、安心して治療を受けることができます。(6) 当院でのケタミンクリニックについて名古屋麻酔科クリニックでは、さまざまな痛みや精神疾患に対するケタミン点滴の豊富な経験や知識を生かし、ケタミンクリニックを行っています。ケタミン点滴はまず2~3週間に6回まで集中治療として点滴を受けることができます。1回目で効果がなくても、2回目、3回目で効果が出ることがよくあるので、少なくとも3回はケタミン点滴を試してみることを勧めています。はじめの集中治療のあとは、月に1回の維持療法を行うことができます。継続しても長期的な副作用が少ないことで知られています。名古屋麻酔科クリニックは、2023年12月より、当院のケタミン療法において不安障害の適応を拡大しました。治療に窮している患者さんに革新的な治療を提供することを目指します。同クリニックは、ケタミン点滴の豊富な経験をもとに、画期的でエビデンスに基づいたアプローチで、治療抵抗性の症状に悩む患者さんをサポートします。お待ちしてます【クリニック概要】名古屋麻酔科クリニック所在地 : 〒464-0837 愛知県名古屋市千種区丘上町2丁目49-4URL : Mail : mail@nagoyamasui.com ●ケタミンクリニックについてURL: ●首こりボトックスURL: ●テニス肘PRP療法URL: 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年12月05日みなさんは『更年期障害』を知っていますか?聞いたことがあっても、どうして障害になってしまうのか知らない人が多いようです。そこで今回は、MOREDOORの大人気SNSより、オリジナル漫画『更年期障害と家族』をご紹介します。本作品には『更年期障害』を描写するシーンがございます。閲覧の際はご注意ください。症状には個人差があります。あくまで一例としてお読み頂けますと幸いです。もし、本編の主人公と同じような症状がみられる方は、一度医療機関を受診することを推奨します。漫画のあらすじ専業主婦の佳代(56歳)は大学生の里奈と会社員の良一の3人家族。ある日、体に違和感を覚えた佳代。まさかこの症状が「更年期障害」だったとは……。優しかった佳代がだんだんと良一や里奈に”イライラ”するようになります。病院へいくと『更年期障害』だと診断されました。家族で散歩へ読者の感想は……『自分がどうかしてしまったと感じていたら怖くなって当然だと思うので、病院に行くのを考えられないというのも分かる気がしますし、それでもきちんと自分と向き合えているのは立派だと思います。』『家族も献身的にサポートしてくれていますし、パートを始めてみようという前向きな考えも出てきたようなので、このままうまく更年期障害と付き合っていってほしいです。』『家族の理解は不可欠ですよね。私も更年期に確実に足を突っ込んでいて辛いです。』『更年期障害にこんなに理解ある家族がいるの素敵ですね。ご主人も娘さんも思いやりがあり、幸せですね。パートに行こうとする前向きな気持ちもすごいです。』『精神的な負担が少しでもなくなると、更年期障害の症状が楽になるんだなと思いました。周りに信頼できる人がいると回復のスピードも早そうですね。』など、実にさまざまな声が寄せられました。その後は……病院で更年期障害と診断された佳代。今までの原因について家族と話し、理解を示してくれたことで更年期障害と向き合うことができるように……。そして、家族で改善の糸口を探していくのでした。皆さんはこの漫画、どう感じましたか?※この漫画はフィクションです。■作画: ミノル■脚本:華丘侑果(MOREDOOR編集部)
2023年11月19日結婚生活当初から夫の言動に衝撃を受け、何かがおかしいと感じました。しかし、何の対処もしないまま子どもを3人もうけて、引き返せない状況になってしまいました。その後、商売仲間の奥さんに相談に乗ってもらい、原因が夫の発達障害であることを理解できて心がラクになった経緯を紹介します。夫の考え方に初めて衝撃を受けた瞬間!強引にプロポーズをする夫に断り切れず結婚して、はや33年。楽しい日もあったけど、ほとんどの場合「針のむしろ」状態だった結婚生活でした。最初の20年は訳がわからなく、何度も離婚を考えるけど実行に移せないもどかしさで、「私は弱い人間だ」「行動力のないダメ人間!」などと自己嫌悪に陥る日々が続いたのです。 その原因は、夫の訳のわからない考え方と言動でした。結婚前から夫が自営業をしていたので、私は自然に経理を担当することに。事の発端は、入金があった売上金から支払いをおこなうため、支払うべき内容をすべて夫に報告したときでした。支払い一覧を見た夫は、「この支払いはしない! これも支払わなくて良い!」と、支払うべき商売の経費である車のローンや税金、銀行からの借入金などを省いていくのです。最終的に承認したのは、仕入れた分の支払いと給料だけでした。私は、こんな勘定の仕方でよく商売ができているものだと感じました。 私が必要経費の説明をしても理解できないのか、しまいには「お前と結婚したのは間違いだった! お前に金を全部使われてしまう!」とかんしゃくを起してしまう始末。これが私が結婚してから初めて衝撃を受けた瞬間でした。商売仲間の奥さんの話が私を変えたそれでも私が選んだ相手、少々のことは我慢しなくてはと過ごしていくうちに、子ども3人を授かり、商売も会社組織になり、私は経理の要となっていきました。 気が付くと、トラブルが起こればすべて私の責任になり、夫が拒んだ会社の必要経費や税金を私が借金して立て替え払いするという地獄のような日々。 「私は一体何をしているんだろう? こんな人生を送るために結婚したんじゃない!」と疑問を抱き始めました。そのうち、体にも変化が見られるようになりました。以前から貧血気味だったことに加え、日中もだるくて眠くてしょうがなく、家の中は散乱状態になり、そのことでも夫は怒りまくります。友だちとも疎遠になっていて、相談する相手もいなくなっていたところに、仕事でよく一緒になる商売仲間の奥さんが相談に乗ってくれました。以前から夫と私のことを見て、気になっていたそうです。そこで初めて、夫が発達障害なのではないかとアドバイスを受けたのでした。その奥さんにも自閉スペクトラム症の子どもがいるため、発達障害のことはよく理解していました。話を聞いているうちに納得のいくことばかりで、そこから私の考え方が変わり始めます。夫は発達障害?とりあえず、私だけでも医療機関に相談する必要があることを理解し、相談に乗ってもらった奥さんの協力も仰ぎながら、発達障害に詳しい病院を探すことに。車で約1時間半の所に、発達障害に詳しい病院があると聞き、予約して診察を受けました。 その医師は、私の話を真剣に聞いてくださり、夫が発達障害の可能性があると教えてくれました。発達障害にもさまざまなパターンがあり、夫の場合は「共感性に欠け、対人関係が作れない」、「一方的に話をする」など、情緒的に問題のある人だということ。 その後、私は身体的に異常がないか検査(血液検査や脳波検査、CT検査)を受け、木のようなものを書くテストも受けました。1カ月後に出た結果は「不安障害」。さらに、発達障害の夫を持つ妻に当てはまる「カサンドラ症候群」とも診断されました。 カサンドラ症候群とは、発達障害でコミュニケーションや情緒的な関係を築くことが難しい人と暮らしている家族に起きやすい症状で、普通の会話ができないため、家族(特に配偶者)はストレスを抱え、片頭痛やパニック障害、不安障害などさまざまな心身の変化を来す症状だそうです。今後の対応は、離婚か夫に合わせて生きていくかを選ぶしかないということで、結局私は後者を選びました。 夫婦で治療を始めることに現在は夫に発達障害のことを説明して、理解をしてもらうことに成功。夫婦一緒に医療機関に通うことができる状況となりました。正式な診断は受けていませんが、60歳の還暦も間近の夫は若いころよりも気性が穏やかになって、私の意見も取り入れてくれるようになっています。 夫はカウンセリングを始めたばかりなので、正式に発達障害の診断は受けていません。1対1でのカウンセリングのため、細かな内容はわかりませんが、幼少期のころの生活や、今現在の悩みなどを聞かれると言っています。 発達障害の診断は難しく、何度もカウンセリングを受ける必要があるそうです。また、急に不安な気持ちになるとかんしゃくを起こすことが多いため、対症療法として気持ちをラクにするための抗うつ剤や、漢方薬の抑肝散を処方されました。 一方私のほうは、不安な気持ちを和らげるため抗うつ剤と、眠れないことが多いので睡眠薬を処方してもらっています。一緒に暮らしていく上での対処法は、夫を変えられないため自分が考え方を変えることに。人の話を聞かず、自己主張ばかりする夫に対し、私は「これは発達障害の特徴! こんなときはスルーすることが一番」という考えに置き換えています。 まとめ夫に対する考え方を変えたことで、今までのようなイライラはなくなり、ホットフラッシュのような症状も減って体調も良くなっています。 発達障害は持って生まれた特性で、完治するようなものではないという説明を受け、夫婦がこの先どのように生きていくかを考えさせられました。決してラクな道ではありませんが、精神科の先生や周りの方の助けをお借りして、少しでもラクな生活を送ることを心がけていきたいと思っています。 ※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)2007年東京女子医科大学卒業後、米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科、同院東洋医学研究所を経て、2018年1月こまがた医院開業。2021年9月より介護付有料老人ホームの嘱託医兼代表取締役専務に就任し現在に至る。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『子宮筋腫は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力(KADOKAWA)』『自律神経を逆手にとって子宮を元気にする本(PHP研究所)』がある。マンガ/さくら著者/Mrsjunko(55歳)結婚した当初から建築関係の会社を営み、2人の男の子と1人の女の子を授かる。45歳で子宮筋腫から子宮と卵巣を全摘、その後更年期が始まることに。体調の変化に四苦八苦しながらも、夫との2人暮らしを満喫している。趣味はおいしいものを食べて海外ドラマを見ること。
2023年11月13日「不安障害」という病気は、ネットで調べると、恐怖心や身体的な不快感が強まり心臓がドキドキしたり不安になったりする心の病気で、体にも悪影響を及ぼすそうです。有病率は人口の5~6%といわれていてそんなに珍しくない身近な病気だそうですが、その不安障害をまさか自分が患うとは思っていませんでした。不安障害になって苦しんだ経験と、回復までの道のりをお話ししたいと思います。不安障害になったきっかけ33歳で短大の栄養学科に入学、35歳で栄養士を派遣する会社に正社員として就職しました。勤務先はデイサービス併設のクリニックで、60代パート女性2人と私の3人で厨房を回していました。入社して1年ほどたったころ、パートさんの1人が家庭の事情で突然辞めてしまい、急にもう1人のパートさんと私の2人体制に。本社からたまにヘルプの人が来ていたものの回数には限度があり、必然的に休みが激減。パートさんに優先して休んでもらい、私自身は月1、2回休める程度でした。その後新しい人も入らず、朝から晩までひとりで勤務することも多々あり、疲れが極限に達して精神的にも追い詰められていきました。あるとき心臓がドキドキしてずっと不安な気持ちが続き、おかしいと思った私はすぐに心療内科を受診しました。診断は「不安障害」でした。初めはまだ症状が軽く、すぐに良くなりました。体が心配だったので会社に1カ月後に辞めると申し出ると、「会社の規約で辞めるには3カ月必要」と言われ、やむなく勤務を継続。ですが2週間後に不安症状が再発し、以前よりもひどくなり夜も眠れず、仕事に行けなくなり、そのまま辞めざるを得なくなりました。不安障害に悩まされた日々に始めたこと真面目に頑張った結果、自分が病気になるなんて。このときは絶望しました。実家でしばらく休むという選択肢もありましたが、このまま家にこもるとたぶん私はうつ病になる。外に出て人と関わったほうが自分の中に閉じこもらなくて良い。そんな気がしたので別の仕事に就き働き始めました。病院で処方された精神安定剤を飲みながら、新しい職場で派遣社員として働き始めました。栄養士を続けると症状が悪化すると感じたため、その道は断腸の思いで諦め、前に経験のあった職種に就きました。このときは何をしても心が何も感じない状態になっていて、「これはうつ病になる一歩手前ではないか」と気付き、これ以上気持ちを落としたくないという一心で、自分で対策を考えました。例えばひとり言で自分を盛り上げました。テレビを見たら「わー!! 今のおもしろかった!!」としゃべったり、笑い転げてみたり。買い物に行くときも「今日は買い出しに行こう!! あのお店は広くてたくさんのものがあるから楽しいんだよね!」と言葉に出してみたり……。いつも楽しくいることを3カ月ほど続けました。そうすると心がだんだんと上向きになっていき、「楽しい」と感じられるようなりました。無理をせず楽しく生きることが大切それからはこの「いつも楽しくいる方法」を実践していき、1年ほどで毎日飲んでいた薬をやめられ、40歳を超えたころには精神安定剤の頓服薬も必要なくなりました。ちょうどそのころに同じ職種の正社員としての職が見つかり円満退社。再就職をしました。正社員となり順風満帆かと思いましたが、入社した会社がパワハラ体質でここでも苦労しました。私が入社後に、今までいた社員や新入社員がどんどん辞めていき、その中にはうつ病になって辞める人もいて、人の入れ替わりが激しい職場でした。ただ40歳で正社員になれたので辞めるという決断ができず、3年ほど働きました。働いているときに決めたことは、「これ以上無理だな」と思ったらすぐに辞めるということです。栄養士時代に不安障害になった経験から、「すべてを1人で受け止めず、助けを求める」ということを学んだので、適宜上司に相談しながら仕事をしました。お休みの日は楽しく過ごし、仕事は真面目にするけど1人で頑張り過ぎない。考え方次第で楽しく過ごせる。そう考え実行することで再発せず、その会社の社員の中では比較的長く在籍しましたが、最終的にパワハラに耐えられず退職しました。まとめその後職業訓練に通い、今はHP制作会社で働いています。紆余曲折あった30代後半から40代前半。不安障害を発症し絶望のどん底に落ちてから、ゆっくりですが病気を克服することができました。完治する病気ではないため、再発することも考えられます。ですが、再発させないために重要なことを自分の経験から学びました。最初は薬に頼りましたが、心のコントロールで症状が出ないように抑えることができるようになりました。どん底のときは治るかどうかも不安でしたが、今では不安障害のおかげで強くなれたし、人にやさしくもなれてよかったと思います。この経験を生かして、これからも恐れずに新しいことにチャレンジしていきたいです。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)2007年東京女子医科大学卒業後、米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科、同院東洋医学研究所を経て、2018年1月こまがた医院開業。2021年9月より介護付有料老人ホームの嘱託医兼代表取締役専務に就任し現在に至る。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『子宮筋腫は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力(KADOKAWA)』『自律神経を逆手にとって子宮を元気にする本(PHP研究所)』がある。イラスト/おみき著者/葉月(44歳)自分のしたいことを追求しすぎて、結婚もせずアラフィフ直前に。楽しく自分らしく生きるために日々模索中。栄養士・調理師の資格持ち。趣味は料理とパン作り、食べ歩き。
2023年11月12日みなさんは『双極性障害』を知っていますか?不安やストレスをため込んでいるうちに、発症することもあるようです。そこで今回は、MOREDOORの大人気SNSより、オリジナル漫画『波にゆられながら』をご紹介します。本作品は、双極性障害Ⅰ型をテーマに描かれたフィクション漫画です。少しでも多くの方に、双極性障害について考えるキッカケづくりを目指して制作されました。本作品にはうつ症状を描写するシーンがございます。閲覧の際はご注意ください。症状には個人差があります。あくまで一例としてお読み頂けますと幸いです。もし、本編の主人公と同じような症状で少しでも気になる方は、一度医療機関を受診することを推奨します。監修:三崎てるひこ(臨床心理士・公認心理師)漫画のあらすじ幸せの絶頂のはずだったのに……。27歳の夫・双島聡太と26歳の妻・双島祥子。ふたりは大学時代に出会い6年の交際の後に晴れて結婚をすることに。しかしふたりの歯車が少しずつずれ始めてしまいます。これはそんな夫婦のたたかいの物語。慣れない土地に1人で過ごすことが多かった妻は、”双極性障害”と診断されました。夫は責任を感じ、妻を支えると決心します。大量の買い物……読者の感想は……『お互いが辛い思いを抱いてしまっている。』『以前お付き合いしていた人が双極性障害で結構調べていたつもりだったけど、まだまだ知らないことだらけでした。1人の理解者になれるように、いろんなことを学ばなければいけないと痛感します。』『自分のせいだとわかっていても、身近にいる人に当たってしまう様子を見ていると非常に心苦しいです。本人にとっても、大切な人に迷惑をかけることが一番しんどいでしょう。』など、さまざまなコメントが寄せられました。その後2人は……聡太は責任を感じつつも、どうすれば良いのかわからずだんだん負担に思うように。その後、聡太は同期から「同じようにパートナーが双極性障害の人」と話す機会を得たり、一緒に病院へ付き添って直接医師からアドバイスをもらうことで、自分だけで抱え込まなくてよいのだと気づきます。そして徐々に妻の症状も緩和していき、「ありのままの妻を受け止める」ことができるようになっていくのでした……。皆さんはこの漫画、どう感じましたか?※この漫画はフィクションです。■作画:長月よーこ■脚本/監修:三崎てるひこ(臨床心理士・公認心理師)(MOREDOOR編集部)
2023年11月10日みなさんは『双極性障害』を知っていますか?不安やストレスをため込んでいるうちに、誰もが発症する可能性のある病気です。そこで今回は、MOREDOORのTikTokで600万回再生された、オリジナル漫画『波にゆられながら』をご紹介します。本作品は、双極性障害Ⅰ型をテーマに描かれたフィクション漫画です。少しでも多くの方に、双極性障害に関する知識が深まれば幸いです。本作品には双極性障害を描写するシーンがございます。閲覧の際はご注意ください。もし、本編の主人公と同じような症状がみられる方は、一度医療機関を受診することを推奨します。脚本・監修:三崎てるひこ(臨床心理士・公認心理師)漫画のあらすじ幸せの絶頂のはずだったのに……。27歳の夫・双島聡太と26歳の妻・双島祥子。ふたりは大学時代に出会い6年の交際の後に晴れて結婚をすることに。しかしふたりの歯車が少しずつずれ始めてしまいます。これはそんな夫婦のたたかいの物語。慣れない土地で1人過ごすことが増え、寂しく感じている祥子。ある日、聡太が帰宅すると家が散らかっていて、聡太は祥子に厳しく言ってしまいます……。自分を責めてしまい……読者の感想は……『苦しそうなのが伝わってきました。』『そんな事ないよって言ってあげたくなります。』『気持ちを誰にも打ち明けられず、自己嫌悪に陥っているのが辛く感じました』など、さまざまなコメントが寄せられました。本作では、妻の異変を感じた夫がすぐ病院へ行くよう説得。そして双極性障害Ⅰ型との夫婦の長い戦いが始まります。実家のお母さんの助けを得ながら、徐々に症状が落ち着いていく妻。「今は躁状態?うつ状態?」と疑ってしまう夫でしたが、だんだん「どちらも妻であることに変わりはないんだ」とありのままの妻と向き合えるようになっていくのでした……。皆さんはこの漫画、どう感じましたか?※この漫画はフィクションです。■作画:長月よーこ■脚本/監修:三崎てるひこ(臨床心理士・公認心理師)(MOREDOOR編集部)
2023年11月05日実際の睡眠時間が、理想の睡眠時間から2時間不足する人の約3割は、うつ病や不安障害の疑いがある……。政府は10月13日に’23年版「過労死等防止対策白書」を公表。そのなかで、睡眠時間と精神疾患の関係についての調査結果に言及している。まず、理想の睡眠時間は半数近くが「7~8時間」と答え、「6~7時間」と合わせると8割近くに。しかし、実際の睡眠時間は「5~6時間」がもっとも多い。次に、理想の睡眠時間が確保できている人のうち、うつ病や不安障害の疑いがある人は16.9%にとどまるが、2時間不足だと27.7%、3時間不足だと37.1%と増えていき、5時間不足だと48.8%に達する。睡眠不足とうつ病や不安障害の発症に、明らかな因果関係があることを裏付けるデータだろう。さらに、自分の幸福感を「とても不幸せ」~「とても幸せ」の10段階で聞いたところ、「とても幸せ」に近い「幸福感8以上」の人の割合は、理想の睡眠時間を確保できている人だと49.1%。だが、2時間不足だと27%で、5時間不足だと12.8%と下がってくる。睡眠時間が短いほど、幸福感も低くなるようだ。■脳冷やしで健康な体とメンタルをゲット「睡眠時間と精神疾患の発症に、相関関係があるのは間違いないと思います。これまでも多くの調査研究がありますし、今回の政府の調査もそれらを後押しする結果でしょう」そう話すのは睡眠コンサルタントの友野なおさん。友野さん自身も精神疾患の一種であるパニック障害を、睡眠を改善することで克服したという。「睡眠は『QOL』と呼ばれる生活の質に大きく関与します。睡眠が十分でないと、体や心のあらゆる面に悪影響を及ぼすことがあるのです」(友野さん、以下同)睡眠不足だとパフォーマンスの低下ややる気の減退などを実感する人も多いだろう。とはいえ「明日のために早く寝なきゃ」と焦れば焦るほど眠れない夜もある。「睡眠は、深部体温が下がっていく過程で眠気が起こり、次第に熟睡を誘います。そして、深部体温の上昇とともに、人は目覚めることもわかっています。よい眠りを得るポイントは『深部体温』が握っているのです」深部体温とは聞きなれない言葉だが、2種類ある体温の1つで脳や内臓の温度を示すという。もう1つは体の表面の「皮膚体温」だ。こうした深部体温を下げれば、よい睡眠が得られるということだ。「ですが、体の内側にある内臓の温度を、体の外側から下げるのは簡単ではありません。そこで、深部体温のなかでも高温の脳をねらいましょう。脳の温度を下げる“脳冷やし”は、快眠を得るのに効果的です」脳冷やしとは、具体的にどうすればいいのだろう。「氷枕や通気性のよい枕を活用して、脳を気持ちよく冷やすのが効果的。冬はそこまでせずとも、日中暖房のない部屋に枕を置いておけば大丈夫。寝るときには脳冷やしにちょうどいい温度の枕になっています」ただし、首元を冷やすのはNG。耳から上あたりが冷えるように、枕の使い方に注意しよう。「脳自体の興奮を抑えることも大切です。寝る前には、スマホなどが発する強い光や、刺激的な映像などは避けてください」睡眠前の3~4時間は食事をとらないことも重要だという。「食べたものを消化するため内臓が動くと、深部体温の上昇につながります。脳冷やしと合わせて、食事時間も調整できるといいですね」快眠を助ける脳冷やしだが、寒い冬は、逆に脳を温めてしまうNG行動をとりがちだという。「首元が寒いからとパーカのようなものを着てフードをかぶった状態で寝るのはNGです。脳の温度上昇につながってしまいます。また、柔らかすぎる枕にも注意が必要です。頭が枕に埋もれるほど沈みこんでしまうと、熱がこもって脳が温まります」さらに深部体温を考えると、湯たんぽや電気毛布などの使い方にも気をつけたい。「睡眠中ずっと体を温めていると、深部体温の低下が阻害されてしまいます。湯たんぽや電気毛布などは寝る直前まで布団を温めるために利用して、布団に入ったら電源を切るのが得策です」冬は「足が冷たいと眠れないから」と、靴下をはいたまま寝る人も多いが……。「靴下はあまりお勧めできません。体の熱は足先や足の裏から放出されるのですが、靴下で足全体を覆ってしまうと、熱の逃げ場がありません。その結果、深部体温が下がりづらくなるのです。冷え性の方などは、足先をカバーしないレッグウオーマーを着けるといいでしょう」熱中症を予防するため、夏はエアコンの活用が叫ばれるが、冬も室温コントロールが重要だそう。「室温は16~22度、湿度は50%以上が最適です。布団は柔らかく体にフィットして、暖かさを逃がさない羽毛布団がお勧めです」体を温めるといえば、入浴も大きなポイントだ。入浴時間や湯温にも意識を向けたい。「冬場は40度程度のぬるめのお湯に20分ほどしっかりつかると、よく温まります。眠る1時間くらい前に入浴すると、徐々に深部体温が下がって眠気が起こり、スムーズに入眠できるでしょう。もっと熱いお湯が好きな方は、眠る2時間以上前に入浴を済ませるといいと思います」毎日忙しい私たちは、休息や睡眠を軽視しがちだ。だが、睡眠不足がうつなど精神疾患を招く恐れがあることは肝に銘じておきたい。脳冷やしでしっかり睡眠をとり、うつなどと無縁のハッピーライフを送ろう。
2023年11月01日みなさんは『双極性障害』を知っていますか?不安やストレスをため込んでいるうちに、発症することもあるようです。そこで今回は、MOREDOORの大人気SNSより、オリジナル漫画『波にゆられながら』をご紹介します。本作品は、双極性障害Ⅰ型をテーマに描かれたフィクション漫画です。少しでも多くの方に、双極性障害に関する知識が深まれば幸いです。本作品には双極性障害を描写するシーンがございます。閲覧の際はご注意ください。もし、本編の主人公と同じような症状がみられる方は、一度医療機関を受診することを推奨します。監修:三崎てるひこ(臨床心理士・公認心理師)漫画のあらすじ幸せの絶頂のはずだったのに……。27歳の夫・双島聡太と26歳の妻・双島祥子。ふたりは大学時代に出会い6年の交際の後に晴れて結婚をすることに。しかしふたりの歯車が少しずつずれ始めてしまいます。これはそんな夫婦のたたかいの物語。慣れない土地に1人で過ごすことが多かった妻は、”双極性障害”と診断されました。夫は責任を感じ、妻を支えると決心しましたが……。大量の買い物「金額はちょっとじゃない、それに今回は俺のアドレスに通知が来たんだ」と声を荒げる夫。妻はなんと家のクレジットカードに手をだしていました。2人の将来のための貯金が浪費され、夫は妻の症状が一歩進んでしまったことを実感するのでした……。読者の感想は……『気持ちがふさぐような症状だけでなく、依存症のような症状もあるのだと驚きました。』『友達にいるので勉強になりました。』『家族からしたら、どうしたらいいか悩みますね。叱って落ち込ませたら大変だからそっとしておく、でも買い物依存で浪費されて困る、こんな状況どうしたらいいのかと悩みますよね。精神疾患の親戚がいるので、その大変さよくわかります。』など実にさまざまな声が寄せられました。”双極性障害”の影響からか、妻の買い物がどんどんエスカレートしているようです。皆さんはこの漫画、どう感じましたか?※この漫画はフィクションです。■作画:長月よーこ■脚本/監修:三崎てるひこ(臨床心理士・公認心理師)(MOREDOOR編集部)
2023年11月01日「東大卒はなるべく隠しておきたい」という当事者の言葉『ルポ高学歴発達障害』は、世の中で言われる「高学歴」の発達障害当事者10人のインタビューや、大学教員、精神科医、支援団体への取材を通じて「理解が得られにくい不条理」に迫った1冊です。このコラムでは、著者である姫野桂さんのインタビューをお届けします。Upload By 発達ナビ編集部――姫野さんはご自身の経験も合わせて、発達障害についてさまざまな発信をされてきました。今回、「高学歴発達障害」をテーマに選ばれたのはどのような思いからですか?姫野桂さん(以下、姫野):以前、高学歴なのに発達障害の特性で仕事がうまくいっていない方の記事を読みました。今まで取材してきたなかでも京都大学を卒業している方で、同僚はすぐに覚えられる電話対応などの仕事が覚えられずにうつ病になってしまったとお話ししてくださった方がいました。高学歴というとエリート道を進んでいると思われがちですが、実は悩みも抱えている人が多いことを伝えたくて本にしました。また、私自身は超高学歴ではありませんが、就職活動や会社員時代に苦労したのでそういった苦悩も書きたかったからです。――大人の発達障害当事者の方からは、「ケアレスミスが多い」「マルチタスクが苦手」「職場でのコミュニケーションがうまくいかない」といった声が聞かれますね。姫野さんご自身の苦労とは、どのようなものだったのでしょうか?姫野:就職活動で例を挙げると、当時は自覚がなかったのですが算数障害があり、SPI(適性検査)の数学がまったくできませんでした。大手企業はSPIを導入しているところが多かったため、大手企業は避けるようにして中小企業に絞りました。――そうすると面接に進めるように?姫野:そうですね。ただ、自分をより良く見せることが不得意なこと、本音を話してしまうことなどから、うまくいきませんでした。例えば、「なぜ弊社を選んだのですか?」と聞かれた際に「福利厚生が良かったからです」と答えたり、「何か質問はありませんか?」と聞かれた際に「残業はどのくらいありますか?」といった質問をしたりしていました。――今回、10人の発達障害当事者の方を取材されています。印象的だった言葉を教えてください。姫野:東京大学法学部卒の女性の「東大卒はなるべく隠しておきたい」という言葉です。東大卒ということで期待されるボーダーラインが上がってしまうという点は、理不尽だと思いました。※本書では当事者の方のプライバシー保護のため、氏名や年齢、事実関係などが一部変更されています最後に、石川さんに東大卒であることを“損”に思ったことはあるか聞いてみた。「それはあります。やはりハードルを上げられてしまうので、「東大卒だったら何でもできるだろう」というような感じで“合格ライン”が上がってしまう感じがあるんです。だから、なるべく隠しておくほうが得だなと思います。石川真里さん(東京大学法学部卒業)の言葉――早稲田大卒の男性も同じようなことをお話しされていますね。結果的にその会社は辞めたのですが、そのとき僕を怒鳴っていた上司は学歴コンプレックスがあったんです。「お前は俺が行きたかった大学を卒業しているのになんでそこまで仕事ができないんだ」と言われたことがあって。(中略)必要のない限りは、大学名を口にしなくなりました。三崎達也さん(早稲田大学経済学部卒)の言葉――そして、お二人とも「東大は自分にとても合っている場所だったので、それはすごく良かった」「自分のポジティブな部分を作ってくれたのは早稲田のおかげ」というように、誇りに思われているのも印象的でした。プライドとの折り合い――精神科医の熊代先生とは、高学歴の発達障害者が自身のアイデンティティと向き合っていくことの困難さについてお話しされていますね。ご自身の体験と重なるようなことはありましたか?姫野:私自身、発達障害が分かったのが30歳のときでした。就活を始めた頃、鬱病を疑って心療内科にかかったのですが、発達障害については何も言われず、抑鬱状態という診断を受けました。もっと早く発達障害があると分かっていたら、就職活動の仕方や仕事選びも変わってきていたのではないかと思います。当時はリーマンショックの影響で周りの友人もなかなか内定が出ない人が多かったので、発達障害が原因ではなくリーマンショックのためだと考えていました。それでも、「なぜ人事受けが良いはずの大学なのに受からないんだ」という葛藤がありました。そのあたりのプライドの折り合いをつけられたら良かったなと思います。子どもの頃から学業では優れていても、社会関係の部分ですごく弱みや苦手があるということを踏まえて、天狗にならないようにするというか、学歴を鼻にかけないようにするのが処世のあり方として結構重要になります。そのためには自身の発達適性の早い段階での把握は肝要です。(中略)ただし一方で、「自分には何かできるはず」「秀でたものがあるはず」といったアイデンティティを持つことには可能性もあるんですよね。ここも高学歴発達障害者の方のアイデンティティの形成戦略としてかなり難しいところです。熊代亨さん(精神科医)の言葉「大学が一番楽しかった」という声――筑波大学における学生支援についても取材されていますね。姫野:筑波大学のヒューマンエンパワーメント推進局の取り組みは素晴らしいと感じました。特に発達障害のある高校生へ向けた「大学生1日体験講座」で、10名限定ですが高校生一人ひとりに学生のメンターがつき、中には「障害学生支援技術」などを履修したピア・チューター(有償のボランティア)がいるのはとても魅力的だと思いました。ピア・チューターになるには自由科目の「障害学生支援技術」を履修したうえで、視覚障害、聴覚障害、発達障害といった形でコースに分かれた集中講義を受けてもらいます。佐々木銀河さん(筑波大学ヒューマンエンパワーメント推進局)の言葉ただ、多くの高学歴発達障害者を取材してきて、ほとんどの人が「大学が一番楽しかった」と答えています。社会に出てからどう自分の特性とつき合っていくかが課題だと思っています。――たしかに、「社会に出てから」「就職してから」直面した困難がインタビューからも強く感じられますね。最後に、本書をどのような方に読んでほしいとお考えでしょうか。姫野:高学歴発達障害当事者だけでなく、同僚や家族、友人など身の回りに高学歴発達障害の方がいる方にも読んでいただき、周りの期待やエリートのイメージと実情との乖離、活躍している大学時代の友人との比較、アイデンティティとの折り合い……といった「高学歴であるからこその葛藤」があることを知ってほしいです。そして、「あの人は高学歴だから」という前置きを外して個として見てもらえたらと思いますし、彼らが苦手そうなことにぶち当たって困っていたら「何か手伝おうか?」と声をかけるなど、そっとさりげなくフォローしていただきたいです。――ありがとうございました。姫野 桂さんフリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。著書に『私たちは生きづらさを抱えている発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)、『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)『生きづらさにまみれて」(晶文社)電子書籍『ダメ恋やめられる!?発達障害女子の愛と性」(集英社)。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年10月27日私はあるときから背中や胸の痛みがひどくなり、寝るときも苦しさを感じる日々が続いていました。「もしかしたら心臓が悪い?」と不安に思いながらも、家事や育児、仕事に追われて病院に行くのは後回し。しかし、この選択が結果的に救急車を呼ぶまでの事態となり、元の体に戻ることも難しくなってしまった私の体験をお話しします。★関連記事:「まさか私が不安障害になるなんて…」絶望のどん底から回復までの道のり【体験談】泣いていた毎日は体からのSOS!?32歳のとき、私は9時間勤務の仕事をしていました。私は家を朝7時に出て子どもを保育園へ送り届け、夜7時に家へ帰り着く毎日。家に帰ってから夕飯を作り、休む暇もなく動いていました。そんな生活を1年ほど送っていたある朝、保育園に子どもを預けて車で仕事に向かっていると、無意識のうちに涙がぽろぽろと出てきたのです。そして、職場に着くまでずっと泣き続けていました。しかも、その日だけではなく、涙は毎日のようにあふれ出てくるようになったのです。涙が出ることが続く日々の中でなんだか肩凝りがひどく息もしづらくて、今日はなんだかおかしいなと感じるように。そして仕事から家に帰ったとき、息が普通にできなくなったのです。必死で呼吸をしようとしていると、だんだん上半身が動かなくなってしまいました。怖くなった私は夫に救急車を呼んでもらい、待っている間にも「自分は死んでしまうのか……」「嫌だ、子どもたちを残して死にたくない」「早く助けて……」と心の中で必死に叫んでいました。病院に着いてもなかなか呼吸が落ち着かなかったので、CTを撮り、血液検査をしたのですが、異常は見られず。看護師さんの指導通りの呼吸をすると、いったんは落ち着くものの、油断するとまた呼吸が荒くなる……ということを繰り返していました。結局、病院に運ばれて6時間ほどしてから私の状態は落ち着いていきましたが、時間が遅くなってしまったのでその日はそのまま病院で寝かせてもらうことに。翌日の早朝、家に帰ることができました。医師からの診断は…次の日、私は「過換気症候群(かかんきしょうこうぐん)」と診断を受けました。私の上半身が動かなくなったときに、胸の前で手をすぼめるように硬直していたことがこの病気の特長の1つだったため、そのように診断されたようでした。それからは日常生活の中でもたびたび呼吸が苦しくなることがあり、なぜか買い物のレジ待ちをしているだけでも息苦しくなるように。そのたびに、また過呼吸になることが怖くてたまりませんでした。その後もだんだんと症状が悪化していき、次第に自分の体が自分の体ではないような感覚になっていったのです。このころ、買い物中のレジに並ぶたびに、息が苦しくなるだけでなく心臓はドキドキ、バクバクとなり、めまいがして立っていることもつらくなっていました。そして、3回目に救急病院で対応してもらったとき、先生に精神科へ行くことを勧められました。精神科では、パニック障害、不安障害、うつ病と診断されました。過換気症候群の症状が出たのは一度だけでしたが、精神科を受診したときには、息苦しさ、めまい、体の震え、頭痛、肩と首の凝り、背中全体のゾクゾク感を常に感じるようになっていました。そして音に過敏になり、子どもたちの笑い声さえも体への刺激となって襲ってくるように。うつ病は心だけではなく、体の神経にも影響を及ぼすことを知りました。私を壊してしまったものの正体自分は大丈夫と思っていたから、体を休めず働き続けていた私。無理をした体は、自律神経を乱すまで追い詰められていたのです。パニック障害、不安障害、うつ病になって、症状が落ち着くまで出かけることもできなかったので、私だけではなく、子どもたちも可哀想でした。母親なのに子どもと一緒に遊ぶこともできない、ドライブもできない、買い物にも行けなくなる自分が情けなくなり、とてもつらかったです。こんなことになるまで、どうして自分を大切にできなかったのだろうとたくさん後悔しました。精神科で処方された不安薬と抗うつ剤のおかげで、体が少しラクになってきたころ「私の体は私を休ませるために、うつ病になったのだ」と思えるようになりました。それから、私がこの病を患ってからは、夫も子どももみんなで協力して家事を手伝ってくれるようになりました。抗うつ剤の副作用で朝は起きられない私のために、当時小学6年生だった長女は弟たちの学校や保育園の支度を毎日してくれていたのです。あのころ、私は子どもたちに「ありがとう」と「ごめんね」を毎日言っていました。今は、パニック障害、不安障害、うつ病ともに症状は軽くはなりましたが、なかなか完治までいきません。自律神経を整えることを意識して、できるだけ症状が出ないように気を付けています。まとめ家事・育児・仕事を頑張るお母さんたちはたくさんいると思います。私もそうでした。そして、なんでも完璧にできるようにと頑張ってきました。でも、母親が元気でいなければ子どもに悲しい思いをさせてしまいます。この経験から私は、ダメなお母さんでもいい、家事や仕事が完璧じゃなくてもいい、子どもと笑って過ごせる元気な体でいることが一番だと学びました。母親として頑張らなければならない場面もあるでしょうが「無理せず頑張る」を大切にしながら、精一杯子育てを楽しむ私でいようと思います。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)2007年東京女子医科大学卒業後、米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科、同院東洋医学研究所を経て、2018年1月こまがた医院開業。2021年9月より介護付有料老人ホームの嘱託医兼代表取締役専務に就任し現在に至る。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『子宮筋腫は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力(KADOKAWA)』『自律神経を逆手にとって子宮を元気にする本(PHP研究所)』がある。著者/maki(36歳)7人の子どもを育てるシンママライターです。保育園児から高校生の反抗期や思春期まで子どもたちのあらゆることに対応をし、奮闘する日々を送っています。
2023年08月18日「障害」について深く考えたことがなかった私私は身近に障害のある人がいたことがなく、障害者と直接関わった経験もないまま大人になり、母親になりました。世の中にはさまざまな障害のある人がいるけれど、それは自分とは関係のない、どこか遠い世界の話のように思っていたのです。そんな私がまさか障害のある子どもを産み育てることになるなんて、想像もしていませんでした。妊娠すれば障害のある子どもが生まれる可能性を、誰しも一度は考えることがあるとは思いますが、私はそんなときでも「わが子に限って大丈夫だろう」と安易に考えていました。Upload By みん障害があるかもしれないわが子を心から可愛いとは思えない日々でも次男のPを出産後、わが子の成長に違和感を感じはじめ、発達障害の可能性を疑い、その不安がみるみる現実のものとなっていく日々は本当につらく苦しい時期でした。息子に発達障害があるかもしれないと分かった頃は、一体どの程度の障害なのか?どんな風に成長するのか?がまだまだ未知だったので、障害のあるお子さんをもつ人のブログやSNSを読み漁っては、不安に思っていました。見ず知らずの人の子どもとわが子を比べては、感情の浮き沈みが常にありましたし、「障害があってもわが子は可愛い」という障害のあるお子さんを育てている親御さんたちの言葉を耳にしても、私にもそんな風に思える日が来るの?と正直自信がありませんでした。なぜなら、毎日Pと関わることに必死で、初めての育児でもないのにこんなに育てづらいものなのか?と、1歳半を過ぎた頃からは可愛いと思う余裕もなく目まぐるしく日々が過ぎていくだけだったからです。Upload By みん将来を悲観していた私…障害の受容へと繋がったきっかけは?そんな悲観的だった私の心に変化が現れたのは、Pを療育園へ入園させた時期です。それまで、「こんなに大変な子どもはどこにもいない!周りのお母さんたちは育児がラクで羨ましい!」と卑屈になっていた私の気持ちが、入園とともに少しずつ溶けていきました。なぜなら、療育園にはPと同じように困りごとを抱えたお子さんと、私のように育児に悩み、疲れているお母さんたちがたくさんいて、そんな親子を助けてくれる療育の知識や経験をもった先生方がたくさんいたからです。同じ目線で私の話を聞いてもらえ、共感してもらえる療育園の環境はたった1人で戦っているわけじゃないと実感できましたし、何より孤独ではなくなりました。それに療育園では、困りごとを相談すれば関わり方のアドバイスをもらえ、先生たちの知識や経験の多さに救われながら、私自身にも知識や経験が増えていきました。同時に障害のある子どもへの福祉制度のことや、就学、就労についてなども見聞きする機会が増えていきました。Upload By みん「想像できない」ことで不安になるのなら、「知る」ことで少しでも不安を和らげよう!「Pの将来はどうなってしまうんだろう?」と悲観ばかりしていましたが、こんな制度やこんな場所があるんだ!と具体的に想像することができ、現実的に考えられるようになったことが、私にとっては障害の受容へと繋がるきっかけになったと思います。誰だって未来が想像できないと不安だし心配になると思います。私はこれまで障害者と関わりがなかったために、障害者の生活や人生に対する知識が全くなく、メディアなどで見聞きしていたマイナスなイメージばかりを持っていたので、わが子に障害があるとなると、どうしても悲観的になるし、戸惑うのも当たり前だったと思います。Upload By みんでも子どもの未来は障害のある無しに関わらず、親がいくら理想をもっていても、逆に絶望したとしても、結局は子どもと共に過ごす日々の中で一緒につくっていくものなんだと感じました。子どもの成長に対して、親が勝手に過信や期待をしすぎるのも、悲観的になったり諦めたりするのも、どちらも違うと思いますし、子どもの現在を見て今必要なことやできる限りのことをし、精一杯関わっていくことで、Pにとっても私たち家族にとっても、自然とより良い未来へと繋がっていくと信じています。執筆/みん(監修:森先生より)「子どもを可愛いと思えない」というお母さんは、子どもに愛情を持っていないわけではありません。むしろ反対で、子どもへの責任感が強すぎて、その重圧から育児を素直に楽しめなくなっているのです。真面目で思い詰めてしまうタイプに多いでしょう。最愛のわが子に障害があると伝えられたら、受け入れられない気持ちがわいてくるのは当然のことです。受け入れられないことすら受け入れられず、自分を責めるという悪循環に陥ってしまう方が少なくありません。同じ状況にいる人にしか分からない葛藤や悩みがあります。当事者やその家族同士が関わる機会があると、悩んでいるのは自分だけでないことに気がつきます。悩みを安心して話せて、理解し合える人がいると思うだけで、心理的な負担はグッと減ります。また、人は漠然とした未来に対して一番不安を募らせるものです。将来を具体的に想像できるような道筋を見聞きすることで、障害を受け入れて、地に足をつけて準備を進めることができますね。1人で不安を抱えていないで、まずは行政や療育センターに相談してみるといいですね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年08月14日発達障害と知的障害の違い発達障害も知的障害も、社会生活を送る上で生きづらさを伴うことは、大きな共通点です。では、発達障害と知的障害は、何が違うのかと疑問に思う方もいるかもしれません。発達障害というのは、よく「発達凸凹」とも呼ばれます。得意なものと苦手なものの差が大きいイメージです。いろいろな能力の中に、著しく高いものもあれば、低いものもある状態です。一方、知的障害は全体的に発達がゆっくり進んでいると考えてみてください。どこかの能力が低いというのではなく、全体的にゆっくり成長しているのです。例えば、IQ70の10歳児であれば、精神年齢は7歳くらいというイメージです。そう解釈すると、目の前の子どもにとって何が必要かが見えてきます。小学校4年生の中に小学校1年生の子どもが混じっている、だからレベルに合った学習内容の取得が必要だといった具合です。そしてそのゆっくりとした成長が、成人になっても12歳くらいの水準で止まってしまうのが軽度知的障害です。ただし、必ずしもみんなの精神年齢が12歳レベルで止まるかというとそうではなく、生活上の経験値がそれぞれ異なりますので、あくまでも目安です。子どもたちの知的なしんどさもしも発達障害と知的障害の両方がある場合、個人的には、まず知的なしんどさに対応することが先決と考えます。日常生活や社会的な生活を送る上での困りごとは、知的なしんどさから生じる部分が多いからです。発達障害に知的障害も伴う場合は、知能の程度(軽度・中等度・重度)がどうかという点が重要になります。発達障害でもIQが高ければ、今の社会を生き抜いていく方法は少なからずあるでしょう。こだわりが強い自閉スペクトラム症のある人が、興味や専門性が活かされるような技術職や研究職に就いて、高いパフォーマンスを発揮できることも見聞きします。また、大手企業を起業した経営者のなかにも、診断を公表している方がいます。ADHDの特性である行動力やアイデア力が、起業に生きるというのは想像しやすいでしょう。「軽度・中等度・重度」の程度の違い知的機能の水準は一般的にはIQで表され、知的障害の基準のひとつに「IQ70未満」があります。障害は、その程度によって次のように4段階に分けられます(WHOの「ICD-10」より)。IQ50~69(おおよそ9~12歳)……軽度IQ35~49(おおよそ6~9歳)……中等度IQ20~34(おおよそ3~6歳)……重度IQ20未満(おおよそ3歳以下)……最重度※()の年齢は、発達期を過ぎた成人に対する精神年齢です。4段階のそれぞれの特徴は、次の通りです。各段階で、学力の習得が可能な年齢(学年)というのも付記していますが、あくまでも目安となる年齢です。支援次第で、目安の年齢以上に、成長を促せる可能性はあります。・IQ50~69…軽度多くの場合、身のまわりのことは自分でできるようになります。自分で考える力も身につき、小学6年生くらいまでの学力を習得できます。簡単な読み書きや計算ができます。ただし、言葉の発達や抽象的なことの理解に遅れが生じる傾向があります。高度なスキルが必要な場合を除き、仕事に就くこともできるでしょう。一般的に知的障害といっても、本人や周囲の人にも「知的障害」という自覚がなく、支援を得ることなく生活しているケースもあります。そのため、実際の人数よりも認定数が少ないものと考えられます。また統計上は、知的障害者の約85%がこの段階に分類されます。ですので、知的障害といえば、概して「軽度」のことを指すといっても過言ではないでしょう。・IQ35~49…中等度身のまわりのことはだいたい自分でできるようになりますが、一定のサポートは必要なことが多いでしょう。簡単な読み書きや計算が部分的に可能です。乳幼児期に言葉の遅れはありますが、コミュニケーション能力はあります。適切な支援を受ければ、小学2年生くらいまでの学力を習得できます。配慮があれば、単純作業の仕事などに就くこともできるでしょう。・IQ20~34…重度乳幼児期はほとんど会話をしませんが、学童期になると、基本的な生活習慣(会話、食事、排せつなど)を身につけることができます。学力の習得目安は5歳くらいまでで、読み書きや計算は難しいでしょう。簡単なお手伝いやおつかいといった作業は可能です。・IQ20未満…最重度快・不快の表出は可能な場合が多いですが、言葉でのコミュニケーションを身につけることは難しい場合が多いでしょう。適切な支援によって能力の成長は見られますが(3歳程度まで)、身のまわりのことを自分で処理することは難しく、常に周囲からの支援や保護が必要となります。誤解されやすい「障害程度」なお、知的障害の男女比はおよそ1.6:1(軽度)~1.2:1(重度)で、全体での男女比は1.5:1程度とされます。ここまで、知的障害の程度区分の4段階について解説してきましたが、ここで誤解されやすいことがあります。それは、「障害程度が低い」=支援の必要性も低いのか?ということです。確かに身のまわりの世話などが必要な場面は、中等度や重度よりも軽度のほうが減るかもしれませんが、それでも支援をしなくていいわけではありません。むしろ軽度知的障害の場合、定型発達と見分けがつきづらく、支援されない可能性すらあります。そうなると、生きづらさは増していきます。失敗を極度に恐れ、失敗するくらいだったら最初から挑戦しない。そんなプライドの高い子どもがいます。小学校低学年のAくんもそんなひとりです。Aくんは、先生から「この問題、間違ってもいいからやってごらん」と言われても、(少しやってみて)「やっぱり無理」「もうやめた」(考えもせずに)「わかりません!」「できません」などと答えるパターンが多いのです。Aくんは、あきらめるのが早いのです。しかし、これらの言葉はできないことへの防衛でした。知能検査を受けたところ、Aくんには軽度知的障害があることがわかりました。 By 宮口幸治気づかれない「軽度知的障害」軽度知的障害のある子どもは、普通に話したり遊んだりしている分には、定型発達児とほとんど見分けがつきません。また自分が興味のあること・好きなことの記憶力はよかったりします。しかし、言われたことはだいたいできますが、いつもとやり方が違ったり何か問題が発生した際の対処法が分からなかったり、自分で新たな工夫をするのが苦手なことが多いのが特徴です。なお、軽度知的障害がある場合でも、保護者が熱心に教えたり、個別塾に通わせたりすることで、小学生までの勉強にはなんとかついていけることもあります。小学生では成績がそれほど悪くなかったからといって知的障害がないとも限らないのです。もし知的障害が疑われるなら、「まだ小学生だから様子を見ましょう」と経過観察するよりも、少しでも今できることを考えてあげたほうがいいでしょう。例えば、自治体の教育センターや発達に詳しい医療機関を受診し、どこの部分につまずきが見られるのかをしっかりアセスメント(子どもの状態や特性を把握し評価すること)してもらって、具体的にできる今後の対応策を、学校、保護者が一緒に検討することが望ましいと考えます。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2023年08月04日つかまり立ちを始めたのは生後10ヶ月ごろ生まれてからずっと発育が順調だった息子。しかし、生後10ヶ月ごろになっても、なかなかつかまり立ちをしはじめません。今まで順調に育っていたのに、どうしてつかまり立ちをしないのだろう?そう思った私は部屋の中の家具を見渡しました。すると、背の低い家具がないことに気づいたのです。ローテーブルはあるものの、ハイハイ状態の赤ちゃんからすると手を伸ばしても届かない高さ…。そこでダンボールに本や雑誌を詰め込み、上部にタオルを貼りつけたお手製の台を作ってみました。物珍しいものに興味津々の息子はハイハイで近づき、そのまま一発でつかまり立ち成功!Upload By ネコ山「やったー!」とうれしい気持ちと同時に、はじめてのつかまり立ちをした息子の足はつま先立ちで、まるで小鹿のように小刻みに震えていたのを覚えています。その後、息子は楽しそうにこの台でつかまり立ちをするようになりました。それから数日後、低い台での練習を経てついにローテーブルでのつかまり立ちに挑戦!立ち方のコツをつかんだのか、まずはお座りをしてからテーブルに手を掛け、一気に立ち上がったのです。「やったー!すごいよ頑張ったね!」と私もはしゃぎ、息子の一つひとつの成長がうれしかったです。つま先立ち…!?つかまり立ちができるようになってから数日、息子がいつ転んでも助けられるように近くで構えていて気づいたことがあります。それはずっとつま先立ちをしていること。初めは「足の裏の感触が慣れないのかな?」と、思っていましたが、伝い歩きを少しだけしはじめてもつま先立ちのまま。たまにかかとを地面につけて足全体に重心を置くことはありますが、伝い歩きするときはつま先立ち。いや普通に疲れると思うんですが!?つま先立ちが気になったのでインターネットで検索してみると『発達障害』の文字がたくさん浮かび上がってきました。その文字にドキリとしたことを覚えています。これが私が初めて発達障害という言葉を意識した出来事でした。Upload By ネコ山発達障害について調べていくと、10ヶ月くらいの乳児にみられる発達障害かもしれない特徴がいくつか紹介されていました。しかし息子は、つま先立ち以外の特徴には当てはまりません…どういうこと?保健師さんに相談してみた私たちの住む自治体では、3歳までの乳幼児と保護者向けに予約なしで参加できる親子健康相談というのがあります。保健師さん・栄養士さんが常駐で、身長体重などの測定・発達や離乳食などの相談ができる行政サービスで、私たちはこちらをよく利用していました。主な目的は身体測定だったのですが、保健師さんにちょっとした悩みや疑問を話したり、アドバイスや知らなかった行政サービスを紹介してもらったり、初めての育児に奮闘する私にとって、心の支えのような存在でした。この日も身体測定を目的に親子健康相談を訪れました。身長体重ともに成長曲線上振れの息子、「ほかに何か聞いておきたいことなどありますか?」と保健師さんに聞かれたので、最近気になっているつま先立ちについて話すことにしました。つかまり立ちをし始めた月齢や、つま先立ちの様子などを話すと、保健師さんは「つかまり立ちしはじめたばかりだから、どんなもんかな〜こんな感じかな〜って模索してるんじゃないかな」とのことでした。Upload By ネコ山その言葉に「確かに!つかまり立ちをはじめたばかりだから、きっとそうかも!立つことに慣れてきたり、歩きはじめたりしたらかかとをつけて歩くんじゃないかな」と、私も納得しました。その日から息子がつま先立ちをしていても気にならなくなりました。しっかり歩くようになっても…1歳ちょうどで1人歩きをはじめた息子は、靴を履いて外を散歩するようになりました。歩くときは足裏全体を地面につけてドテドテと歩く、いかにも幼児らしい歩き方でしたが、ふと見ると、つま先立ちをしていることがありました。本当に不意につま先立ちで歩くのです。Upload By ネコ山相談した保健師さんは「つかまり立ちをしはじめたばかりだから…」と、仰っていましたが、歩きはじめても息子はつま先立ちをしています。あれ?とは思いましたが、基本的に足裏をつけて歩いているし、たまにつま先立ちで歩いていても何も不都合なことがないので「よく分からないなぁ、個性的だなぁ」と思うに留まっていました。発達検査で指摘された4歳ちょうどで発達検査をしました。このころには、つま先立ちのことは私もすっかり忘れていたので、検査のときに指摘されたことが衝撃でした。発達支援センターで心理士さんに検査をしていただいたのですが、検査以外の息子の様子も注視する心理士さん。「つま先立ちが気になります」とのことでした。どうやら息子のつま先立ちは、歩きはじめで模索中なのではなく、心理士さんにとって発達上、気になるポイントだったようです。Upload By ネコ山生後10ヶ月のころ、インターネットで検索したときに「つま先立ち」「発達障害」と出てきたのに、そのときは「発達障害かもしれない」とは疑いませんでした。それは当時の息子には、「つま先立ち」とともに記載されていた、逆さバイバイやくるくる回る、目が合わないといった様子はまったくなかったからです。その後、5歳になった息子はADHD+ASDの傾向があり、児童精神科医からグレーゾーンの診断を受けることになるのですが…そのお話はまた次回以降に書きたいと思います。執筆/ネコ山(監修:新美先生より)つま先立ち歩きについて聞かせていただきありがとうございます。確かに、「つま先立ち」で検索すると、「自閉症」「発達障害」のキーワードはけっこう出てくるので、心配になって受診したということはよく聞きます。また自閉スペクトラム症などの発達障害と診断されたお子さんの幼児期早期を振り返ると、つま先立ちで歩いていたという記録が残っていることはあります。ですが逆に、つま先立ち歩きをしているお子さんの大半は、特別何かの診断につながることはなくただの歩き方の個性だったということも多いのです。特に、歩き始め数ヶ月程度は、歩き方を模索する過程で、一時的につま先立ち歩きをするお子さんは少なくありません。歩き始めの数ヶ月は何も気にしなくてよいでしょう。歩き始めて1年以上経ってつま先立ち歩きが目立ち、足を床につくことができないぐらいかかとの関節やふくらはぎが固くなっている場合や、歩き始めよりも1年以上たってからの方がだんだん転びやすくなってきた場合、片足だけ明らかにつま先立ちでアンバランスな場合などは、まれに神経などの病気が隠れていることがあるので、一度受診をおすすめします。かかとの関節が固いわけじゃなく足をついて歩くこともできるけど、ときどきつま先立ち歩きもするという場合の多くは、特別何かの診断につながるものではない、歩き方の個性の範囲のことが多いので、つま先立ち歩きだけで何かを疑って心配する必要はないでしょう。自閉スペクトラム症のお子さんがつま先立ち歩きをすることがある理由として、足底の感覚が過敏で足底をべったりつきたくないという場合や、足底の感覚が鈍感でつま先に集中して感覚を入力したいという場合、体の使い方が不器用な場合などがあります。つま先立ち歩きは確かに自閉スペクトラム症のお子さんにときどき見られる特徴ではあるのですが、つま先立ち歩きだけで自閉スペクトラム症だといえるものではないので、「こういう歩き方をする子なんだな、もしかしたら足の裏が敏感なのかもしれないな、だから靴下履くの嫌がるのかな?」などなど、お子さんの特徴の一つとしてただ観察していればいいと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年07月11日母子分離不安(分離不安症)とは?子どもが母親などの愛着対象から離れることに対して不安を感じることを「母子分離不安」と言います。発達段階でこのようなことは誰にでも起こることですが、不安感が長期間続いたり、身体的症状(腹痛・頭痛など)、精神的症状(引きこもり・無気力になるなど)、さらに通園・通学拒否などが見られる場合、「分離不安症」と診断される場合もあります。このコラムでは、・母子分離不安の相談場所、対応方法・母子分離不安のあらわれる年齢・母子分離不安の原因は「愛情不足」?・母子分離不安のときによくあらわれる症状・母子分離不安と発達障害の関連性など、母子分離不安にまつわるギモンから、子どもに母子分離不安がある保護者のお悩みや困りごとなど専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。【発達ナビQ&A】母子分離不安の悩み、相談場所や対応方法は?発達ナビのQ&Aコーナーでは、子育てに関する疑問や知りたいことを質問するとほかの発達ナビ会員の方々が実体験などをもとに答えてくれます。母子分離不安に関する質問とその回答をご紹介します。■新たに児童精神科の医師を受診しましたが、話もろくに聞かない先生でした。最近、母子分離不安の症状で登校を嫌がるようになってきており(中略)息子の現状をしっかり見てくれて相談できる場所が欲しいのですが、現在の福祉施設の担当医も、こちらが希望すれば母子分離不安についても診ていただけるのでしょうか?出典:こちらの質問には以下のような回答が寄せられました。分離不安は、学校での事なら学校の先生と相談なさったほうが良いかと思います。学校に行く事で、親と離れる。家から出なきゃいけないなど不安感が強くなっているからですよね。普通級在籍ならば、特に。個別に対応するというのは学校側としても難しい事もあると思うので、対応を話し合ったほうが良いです。(略)出典:母子分離不安に関するギモンと体験談をもとにした回答をご紹介いたしました。・相談先1. 保健センター市区町村ごとに設置された、地域の健康づくりの場です。保健師が常駐しており、子どもの発達に関する相談に乗ってもらえます。医療機関や療育施設の紹介をしてくれる場合もあります。2. 子育て支援センター子育て家庭の支援に特化している機関です。自治体運営や医療機関に委託運営されており、保健師または看護師が相談に乗ってくれます。中には、療育指導を実施している子育て支援センターもあるので、お近くのセンターに問い合わせてみましょう。3. 児童相談所都道府県ごとに設置されている、児童福祉を専門とした機関です。医師、児童心理士、児童福祉士がおり、相談に乗ってもらえます。4.病院上記の相談機関では、病院を紹介してもらえることもあります。その場合は、紹介された病院へ行くことをおすすめします。相談機関を介さずに病院へ行く場合は、かかりつけの小児科、または児童精神科を受診してみましょう。5.療育施設、発達支援センター子どもに対しては療育施設や発達支援センターで相談することも可能です。6.学校お子さんが小学生の場合は、学校のスクールカウンセラーに相談するのも良いでしょう。・未就学児のお子さんの対応方法園の先生と連携し、別れの場面をできるだけ短くします。離れて泣いてしまうときに、気をそらせるお気に入りのおもちゃなどを準備しておくと、不安を和らげることができます。いつまで離れるのかの見通しを伝えておくのも良いでしょう。・就学児のお子さんの対応方法お子さんの気持ちを聞きましょう。親御さんと離れるのが不安な気持ちを言語化できた場合には、〇〇と感じるんだね、と気持ちを受け止めましょう。しかし、その気持ちに振り回される必要はありません。不安な気持ちを少しずつ減らすためにはどうしたら良いか、お子さんと一緒に話をしてみましょう。教室まで一緒に行く→学校の正門まで親御さんと一緒に行く→通学路の半分まで一緒に行く、と少しずつ段階を踏みながら不安はあっても、母子分離できたという経験に繋げていくのが大切です。Upload By 発達障害のキホン【小児科医に聞く】母子分離不安とは?小学生でも起こる?親の愛情不足?発達障害との関連性などここまで発達ナビのQ&Aコーナーに寄せられたギモンを中心にご紹介しました。ここからは、小児科医の藤井明子先生に見通し不安になる原因や、家庭や学校での対応のコツについてお答えいただきます。(質問)小学2年生になる息子ですが、母子分離不安で一緒に登校をしています。周りの同級生を見てもみんな一人で登校をしています。母子分離不安はどのくらいまでに見られる症状なのでしょうか。(回答)母子分離不安は集団生活に入る乳幼児期から学童期にかけて発症することが多いです。分離不安の症状が改善するスピードはお子さんによって違います。一緒に登校して、少しずつ親子でいる時間を短くし、段階を追っていきます。学校の先生や、スクールカウンセラーとの連携を十分にとることをお勧めします。お子さんの不安を和らげるために、親御さんからお子さんへのケアしていくのが一般的です。親御さん自身も、いつまで症状が続くのか、心配になることもあると思います。そのため、親御さん自身がカウンセリングを受けることもあります。Upload By 発達障害のキホン(質問)母子分離不安は親の愛情不足が原因と聞きました。本当なのでしょうか?(回答)お子さんの不安の感じ方は、お子さんそれぞれによって違います。分離不安症状があるお子さんへは、不安をケアしていく必要があります。しかし、それは、「愛情不足」というわけではありません。親御さんの過干渉や甘やかし、親御さん自身の不安になりやすい性格が、お子さんとの関係に影響を及ぼすことはあります。親御さん自身が育ってきた環境などが影響していることもあるため、親御さん自身がカウンセリングを受けることをすすめることもあります。Upload By 発達障害のキホン(質問)3歳の子どもがいますが、母親の私が側を離れるとすぐに号泣してしまいます。母子分離不安を疑った方がよいでしょうか?(回答)3歳のお子さんでは、母親から離れて泣くからといって、母子分離不安と判断しなくても良いでしょう。これまで、母親と離れる機会も少なかったのもあるかもしれません。きょうだいが生まれた、転居して転園した、両親が離婚した、などの環境の変化をきっかけに症状が出ることもあります。母子分離の場面で、なかなか泣き止まない、母にしがみついて離れられない、家庭で一人でいることができないといった症状が代表的です。それらの症状が4週間以上続くと、「分離不安症」と診断されます。Upload By 発達障害のキホン(質問)子どもに母子分離不安があります。母子分離不安がある場合、発達障害もあるのでしょうか。(回答)発達障害のある子どもは、対人コミュニケーションを取るのが苦手で、見通しが持ちにくかったりする状況で臨機応変に対応するのが難しく、不安になりやすい特性があります。母子分離不安があるから発達障害があるとは限らないのですが、コミュニケーションがとりにくい、感覚過敏がある、多動衝動性があるなど、発達障害のような症状も認められる場合には、専門機関に相談しましょう。Upload By 発達障害のキホン母子分離不安についての関連コラムはこちらコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月22日発達障害のある子どもの「見通し不安」は日常や学校生活でも発達障害があるお子さんやそのご家族の中には「急な予定変更が苦手で、癇癪を起こしてしまう」「見通しが立たないと強い不安を覚え、パニックになってしまう」など「見通し不安」でお悩みの方も多いのではないでしょうか。発達ナビのQ&Aコーナーでも「見通し不安」に関する相談や疑問が数多く寄せられています。「見通し通りにいかないとパニックになります。これはASDの特性?」「『〇〇されたらどうしよう。××と言われたらどうしよう』などと何かを始める前から不安が強い子どもにどう接したらいいのでしょうか」「行事があるごとに『見通し不安』になる息子、学校にどう相談したらいい?」「見通しが立たなくなると、衝動的に廊下に飛び出してしまうことがあります。学業に支障をきたすので、困っています」このコラムでは、見通し不安にまつわるギモンから、見通しが立たないことによるお悩みや困りごとなど専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。【Q&A】「見通し不安」はどう対応したらいい?学校にサポートを求めるべき?発達ナビのQ&Aコーナーでは、子育てに関する疑問や知りたいことを質問するとほかの発達ナビ会員の方々が実体験などをもとに答えてくれます。見通し不安に関する質問とその回答をご紹介します。(質問)ADHDとASDがあります。自分がある程度立てた見通し通りにいかないとパニクるのですが、これはASDの特性ですか?それとも誰にもある事ですか?こちらの質問には以下のような回答が寄せられました。(回答)ADHD、発達障害当事者です。わかりますよ~パニックになりますよね。私の場合は、実際にパニック発作が起きてしまったり(脂汗だらだら、体が熱くなって呼吸もしづらく、頭がぐわんぐわんして吐きそうになる…など)、頭が真っ白になってフリーズしたり、誰かと一緒にいるときにそのような状況になると口汚く当たり散らしたり(完全に八つ当たり)してしまいます。(略)主治医によると、上記のようなパニックを起こさないよう予防するのはとても難しく、パニックを起こしてしまったことへの後悔に気を取られたり、変なこだわりが出てきてしまって対処がしづらくなってしまうので、「起こしてしまったものはしょうがない。その後のフォローをしっかりすれば周りも理解してくれるし、対処に集中できる。」とのアドバイスをいただきました。(略)質問)私の息子は4月から保育園と発達教室が進級した関係で変わりました。4月からの環境もガラリと変わったせいか、いまだに保育園と教室へ行くのを拒否します。朝起きたら、行かない嫌い行きたくないの一点張りで支度も満足にできません。(略)本人を背負って車にとりあえず乗ってもらっても脱走する恐れがありロックはもちろんかけているのですが後部座席からボンボンフロントガラス目掛けて物を手当たり次第投げ散らかしてきたりもします。(略)無理やり行きたくない場所へ連れて行かれる、と意地になっているのかもしれません。環境に適応するのは時間がかかると覚悟はしていますが、「あとどれくらい」とかの見通しが立たない中で若干、焦ってもいます。何か成功例などありましたら、是非お聞きしたいです。宜しくお願いします。こちらの質問には以下のような回答が寄せられました。(回答)4月からとなると、そろそろ慣れて欲しいという気持ちになりますよねなお、お子さんおいくつですか?イヤイヤ期も関係しないかなというのが気になった点です。もし、知的の要素もあるならば、イヤイヤ期が2歳ではなく、4-5歳ででる場合もあります。その場合は、ひとまず寄り添いそうつつ、毎日のルーチンに慣れて行くように生活の型を作っていくと少しずつ収まっていくのかなと思います。(略)ウチの長男は、不安感が強くて保育所時代は本当に大変でした。。見通しを立てることと、毎日出来るだけ生活を崩さないようにしても、保育所のちょっとした出来事や行事などで気持ちが崩れやすかったりしました。お子さんが癇癪を起こすのにも、年齢がいくにつれて収まる可能性があるかと思いますが、お子さんなりの理由があると思います。もし、日常的な生活で判りにくいならば、ペアレントトレーニングなどを受けることで、ご自身のお子さんの観察の仕方、接し方なとを知るのも1つの方法かと思います。私自身は、ペアレントトレーニングや自分自身のアンガーマネジメントをすることで、かなり対処がしやすくなりました。(略)見通し不安に関するギモンと体験談をもとにした回答をご紹介いたしました。聞いてみたい質問があればぜひQ&Aコーナーに投稿してみてください!【小児科医に聞く】どうして「見通し不安」になるの?対応のコツや学校への配慮の求め方ここまで発達ナビのQ&Aコーナーに寄せられたギモンを中心にご紹介しました。ここでは、小児科医の藤井明子先生に見通し不安になる原因や、家庭や学校での対応のコツについてお答えいただきます。(質問)発達障害のあるわが子は、見通しが立たない状況に不安になり固まってしまったり、癇癪を起こすことがよくあります。どうして「見通し不安」になるのでしょうか。成長していけばなくなるのでしょうか。(回答)A.発達障害の特性の一つに、先を見通して、その状況に応じて臨機応変に対応するのが苦手ということがあります。また、特定の感覚の過敏さのために、特定の行動パターンや環境へこだわりを認めることもあります。行動パターンや環境の変化に、対応するのが難しいことで、不安を生じます。感覚の過敏さへの対策をすることで、こだわりが和らぎ、パターンの変化にも、柔軟な対応ができるようになっていくこともあります。そのためには、事前に見通しを立てた声かけと、生じうる変化について、前もって知らせておくのも大切です。Upload By 発達障害のキホン(質問)息子は「予定通り」にこだわりがあります。普段生活しているうえで少しでも予定通りからはずれてしまうとパニックを起こしてしまいます。ルーティンはどこまで許容していいものなのでしょうか。(回答)A.どこまで許容していいかの線引きはお子さんの特性や、状況によって違ってきます。日々のルーティンも、環境の変化によって変えざるをえないときもあります。年度替りで、園の先生やクラスの場所が変わったり、引越しで登園時間が変わったりなどで、ルーティンを変えざるをえないこともあります。その場合には、ルーティンの10分の1ずつというスモールステップで、少しずつ変化させてならしていくことをおすすめしています。Upload By 発達障害のキホン(質問)来年度、入学式を控えています。不安になりがちな娘が初めての場所で、慣れない行事に参加することが今から不安です。事前に準備しておけることなどはありますか。(回答)A.入学式だけでなく、運動会、お遊戯会など、普段と違うイベントで、不安を感じられるお子さん、親御さんの相談はよくあります。入学式の場合には、学校の先生に事前に相談し、入学式の会場や、座る場所、式の長さなどを聞き、工夫できることはないか、先生と一緒に考えられると良いと思います。事前に会場を見るだけで、本番の参加は全く問題なくできるというお子さんもいました。お子さんの特性に合わせて、座る場所も隅の落ち着きやすい場所、式の全てに参加が難しければ、途中で退出するなどの工夫ができないかなど、相談してみましょう。Upload By 発達障害のキホン(質問)運動会や遠足、宿泊学習など、楽しみにするお子さんもいると思うのですが、うちの子はそういった学校行事がある度にとても不安になってしまいます。たびたびなので対応にも悩んでいます。学校にはどのように相談したらよいでしょうか。(回答)A.まずは、不安な気持ちを言葉で表せるお子さんは、不安な気持ちを言葉で出したことを、否定せずに受け止めましょう。親御さんに、気持ちを受け止めてもらったことで、不安な気持ちがありながらも、参加してみようと意欲がでるお子さんもいます。そして、参加ができたら、不安があったけれど、参加できたことに注目して、声をかけましょう。学校へは、お子さんにどのような工夫をしたら、不安が軽減できるのかを相談すると良いでしょう。行事のプログラムを、視覚的に見える形にしておき、プログラムが進むごとにシールを貼って、進捗状況を分かるようにする。参加時間を短くしてもらう。不安が強すぎる場合には、補助の先生や、親御さんが一緒にいることができるようにする。お子さんによってできる工夫はさまざまかと思います。Upload By 発達障害のキホン見通し不安にまつわるコラム発達ナビに掲載されている見通し不安にまつわるコラムをご紹介します。不安が強いお子さんの対応で大切なのは「事前の声かけ」「気持ちを受け止めること」発達障害のあるお子さんでお悩みの方も多い「見通し不安」。特性により臨機応変が苦手であったり、感覚の過敏さなどからこだわりを生じ、変化に対応するのが苦手であるなどから不安につながることがあります。「見通し不安」が強いお子さんには、事前に見通しを立てた声かけと、生じうる変化について、前もって知らせておくことが大切です。園や学校の行事など普段と違う状況で不安になるお子さんも少なくはありません。お子さんが不安な気持ちを言葉で表した場合、まずは不安な気持ちを言葉で出したことを、否定せずに受け止めましょう。受け止めてもらえたことで、「やってみよう」と思えることもあります。お子さんの特性や状況によって、できること、対応したほうがよいことはさまざまではありますが、事前に園や学校に相談することで対応ができることがあります。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月27日20代で「うつ病」の診断私が発達障害を自覚したのは30歳。それまでずっと生きづらさはあり、いろいろな精神症状を経験しました。20代前半、第二新卒で働いていたとき、気分の落ち込みと気力の低下、希死念慮がひどく、ほとんど寝たきりのようになってしまいました。それまで精神科にかかったことはなく、インターネットで調べた、うつ病の診断もできるというクリニック(内科だったと思います)に行ったところ、うつ病との診断が。抗うつ剤を処方されて1錠飲んだところ、興奮状態になり、頭痛、下痢、幻聴という副作用が出て、パニックを起こして救急車を呼んでしまいました。※発達障害の診断が下りたあとになってわかったのですが、発達障害者への抗うつ薬の投与は慎重にすべきという意見もあるようです。このときの医師は精神科医でなかったので、私の症状には適さない処方だったのかもしれません。10年以上前のことなので、詳細はあまり覚えていないのですが、そこから大学病院の精神科にかかるようになり、31歳で実家を出て関東を離れるまで、そこの精神科の先生を主治医としてずっと面談を続けていました。32歳で発達障害と二次障害の診断31歳で実家を離れて今の夫のもとで暮らし始めた私。しばらくは夫に世話してもらいながら静かに暮らしていたのですが、翌年の夏、改めて気分の落ち込みや神経過敏に悩まされるように。やはり再び精神科に通いたいと、近所の精神科医院(標榜は心療内科でした)に行って発達障害の自覚についても話したところ、高機能自閉症(現在の分類ではASDに該当します)の診断が降りるとともに、それによる二次障害としてのうつ傾向が指摘されました。手帳取得への動き先に精神障害者保健福祉手帳と障害年金を取得していた友人に上記の診断の話をすると「福祉ともつながれるし、メリットも多いからぜひ精神の手帳を取得するといい」と勧められて、まずは手帳を取得するために動くことになりました。主治医とソーシャルワーカーさんの意見を総合すると、まだ発達障害単体で精神障害者保健福祉手帳の申請は通りづらいとの判断でした。※これは2012年当時の宮崎県での状況です。地方によっても違うとのことでしたし、現在では発達障害単体でも通ることもあると思います。地域のソーシャルワーカーさんに相談してみるとよいと思います。そこで、二次障害としてずっとうつ傾向が続いているし、手帳申請時の書類上の「初診」にあたる診療(上記の20代でかかった内科医の診療)で「うつ病」の診断が出ているのにも矛盾しないということで、「うつ病」の診断で申請してくれることになりました。診断書の内容への工夫診断書の病名自体は「うつ病」なのですが、主治医は、二次障害のうつ傾向がよくなっても矛盾が起こらないように、症状のところに「易刺激性の亢進(感覚過敏傾向の表現)」「感情コントロールの困難(コミュニケーション障害の表現)」などといった表現を入れるなど、できる限りの工夫をしてくれたようです。主治医やソーシャルワーカーさんのおかげもあり、無事、障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を取得することができました。手帳を取得して変わったこと何よりも経済的に助かるというのが、障害者手帳の最大のメリットです。自立支援医療制度を使って医療費が1割負担になるとか、交通機関によって運賃が割引になったりするのはとてもありがたいです。美術館などの施設も割引がある場合があります。同じく「うつ病」で同時に申請して取得した障害年金には本当に助かっています。人に自分の障害を説明するときに「私は実は障害者で、障害者手帳を持っているんです」と言えるので、説明がしやすくなりました。デメリットとしては、一つぐらいしか経験がありません。一度、タクシーで手帳での割引を使おうとしたときに差別的なことを言われて不快な思いをしたのです。私の住む自治体ではタクシーの割引金額はごくわずかだったので、その後は割引を利用しないことに決めました。障害者手帳は、自分にとって開示するメリットが大きいときに開示すればいいだけで、開示することにデメリットがあったりして隠しておきたいときには隠しておけるので、そこがありがたいなと思っています。発達障害があると症状のコントロールのために人より医療費がかかったり、特性のためになかなか思うような収入が得られなかったりと、経済的に苦労する人も多くいます。手帳はそこの負担を軽減してくれます。また、手帳を持っていると障害者雇用枠で就職・就労することもでき、働く場の選択肢も広がると思います。取得していない人は一度検討してみるのをお勧めしたいです。文/宇樹義子(監修・渡部先生より)精神保健福祉手帳の取得に際しては、心理面での抵抗もあったのではと想像しますが、決断されて本当に良かったと思います。今回のエピソードで紹介されている自立支援医療制度は、精神通院医療や薬にかかる費用の自己負担が、通常の3割から1割に軽減されるという大きなメリットがあります。その他の経済的なメリットとして、所得税や住民税、相続税の控除が受けられる、携帯電話料金の基本料金の割引きなどがあります。一方、タクシーで不快な経験をされたという、残念なお話もありました。福祉に携わる者として、障害理解、共生社会という考え方をもっと広めていかなくてはいけないのだなと、改めて考えさせられました。手帳の具体的なメリットをお話しいただき、取得を迷われている方にとっては、背中を押してくれるようなエピソードだったと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月12日見通し不安に関する悩みは、発達段階や特性で千差万別丸山さとこさんの中学1年生の息子・コウ君には自閉スペクトラム症(ASD)とADHDがあります。コウ君が不安からパニックを起こしてしまう原因は、イベントや初めての場所などの『非日常的な状況』よりも、むしろ日常の中に多く存在していたそうです。成長につれて変化してきた見通しにまつわる「困りごと」の中身についても、教えていただきました。自閉スペクトラム症(ASD)のある宇樹義子さん。実は、高校時代までは「見通し不安」による困りごとはあまり感じなかったと言います。自分でスケジュール管理をしなければならない大学・社会人になってから、困ってしまう場面がぐっと増えてきたそうです。苦しかったころの思い出と、さまざまな工夫を重ねて困難を乗り越えてきた過程を書いていただきました。吉田いらこさんの小学6年生の長女・ゆいちゃんには、軽度知的障害、自閉スペクトラム症(ASD)、場面緘黙の診断が下りています。不安をとても強く感じる特性があり、多くの子どもにとって楽しみなイベントである遠足や校外学習などの学校行事が近づいてくると、とても気が重くなってしまうそうです。どうしたらゆいちゃんの不安を軽減できるのか、吉田さんが実際に活用しているという方法をご紹介くださいました。星河ばよさんの息子さんは発達障害グレ―ゾーンの小学5年生。未就学児のころは特に、ちょっとしたお出かけから食事の献立にいたるまで、前もって伝えていた予定が変わることが苦手で、よく癇癪を起こしていたそうです。「見通し」が崩れることで不安が高まり、癇癪につながってしまうタイプのお子さんとの関わり方について、臨床心理士の初川先生からのアドバイスも必見です!さいごに今回の「見通し不安」特集では、発達ナビライターさんからさまざまな体験談をお寄せいただきました。「うちの子と似ているかも!」「わが子もこんなふうに感じているのかな」「同じように対応方法を工夫してみよう」などと参考になるエピソードも多かったのではないでしょうか。わが子の癇癪やパニックも、「見通し不安」からくるものなのかも…と考えられると、関わり方にも少し余裕が持てるかもしれませんね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月10日障害児向けの絵本作家として活動しているしょうじあいかは、2023年3月に「全国の障害児施設へ自作絵本を配るクラウドファンディング」を実施し、初期の目標金額389%を達成。この度、クラウドファンディング成功を足がかりに、4月1日に障害児支援を目的とした絵本屋サイト『絵本屋だっこ』をオープンしました。URL: 絵本屋だっこに掲載中の絵本■絵本作家しょうじあいかとは・北海道在住の3児の母で、長男が重症心身障害児・保育士、幼稚園教諭、教員免許、カウンセラー資格等を保有・言語理解が難しい息子でも楽しめる絵本をつくりたいと、2022年から障害児向けの絵本づくりをスタート「自作絵本を障害児施設に配りたい」という夢のため2023年2月~3月に挑戦したクラウドファンディングは、400%に迫る達成率で成功をおさめました。4月より全国の施設へ絵本約2,000冊を配布していきます。実施した絵本クラファンまた「絵本づくりを少しでも障害児支援につなげたい」という思いから、クラウドファンディングと同時進行でサイト『絵本屋だっこ』の立ち上げ準備をしてきました。しょうじあいかの絵本の売り上げは、全額、障害児支援のための寄付にします。■絵本屋だっこの取り組み・絵本の売り上げを障害児のための寄付に・障害者アーティストのイラストを絵本にし、売り上げはアーティストに全額還元・一部絵本の売り上げをもとに障害児施設等へ絵本を配布絵本づくりをとおして、インクルーシブな社会の実現へ寄与できればと考えています。■絵本屋だっこの絵本ジャンル・重い障害があっても楽しめる絵本・障害があってもなくても楽しめるインクルーシブ絵本・障害者アーティストの作品を使用した絵本・障害への理解を広める絵本・英語版絵本■絵本の購入はAmazonから絵本屋だっこ制作の絵本はすべてAmazonからご購入いただけます。(AmazonのKDPにより出版)※HPの購入ボタンを押していただくと、それぞれの絵本のAmazon販売ページに遷移します。■読み聞かせ動画も無料公開絵本の内容を知っていただくため、絵本屋だっこでは全作品の読み聞かせ動画を公開中です。▼しょうじあいか【障害児向け絵本作家】絵本屋だっこ ■今後は法人化も検討現在は個人事業として運営していますが、書店への絵本流通や図書館や海外への絵本寄付など、より幅広い活動のため、今後は法人化(出版社化)も検討しています。・公式サイト ・絵本屋だっこInstagram ・公式LINE ・しょうじあいかInstagram 絵本屋だっこチラシ 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年04月07日強気でわがまま、ケチと3拍子そろった夫のメンタルが、新しい職場と責任ある地位のために崩れてしまいました。夫は1カ月の休職を経て、元の職場に復帰。妻の私ができたことは、一緒にいることのみでした。夫の様子とそれをそばで見ていた私の気持ちをお伝えします。★関連記事:ありもしない心配ばかりして落ち込む夫! 落ち込みやすい夫への3つの対応策とは強気だった夫が不安障害に「もうダメだ」という夫のひと言夫はいつでも強気の人でした。子どもに対しても常に厳しく怒ってばかり。妻の私に対しても暴言を吐くことがしばしばで、のんびり屋でいいかげんな私はよく「ボケ」とか「何やってんだ」「お前のせいだ」と言われました。そんな夫が弱音を吐いたのは、転勤して専務に昇進し1カ月たったころ。連日帰りが遅く、夜の22時を過ぎました。最初は通勤距離が1時間ほど長くなったためかと思っていましたが、そうではなかったのです。転勤後、メンタルが崩れていたと思われます。ある日、私は彼らしくないつぶやきを聞きました。「もうダメだ」と。以来、夫は顔色が悪く生気のない顔つきになり、休日になると電気もつけずにリビングのソファや寝室のベッドにぼーっと座っていることもありました。会社には無理やり行っているような感じだったと思います。どうも新しい職場での仕事がうまくいかず、落ち込んでしまったようです。部下を管理する重圧に耐えられないこと、前任者よりも自分が劣っていると思ったことが大きな原因と考えられます。私は彼が途切れ途切れに話す言葉を聞く以外、何もできませんでした。1カ月の自宅待機で2人きりの時間上司のすすめでメンタルクリニックに行った夫は、「不安障害」と診断され、1カ月間の自宅待機による休職になりました。強気で暴言を吐いたかつての夫とは別人のような雰囲気。私は怒られないことで安心する半面、あまりにも変わってしまった彼にどんなふうに接していいのか迷いました。そこで「私、どうしたらいい?」と夫に聞いたところ、彼は「何もしなくていいから、そばにいてほしい」と言いました。なので本当にそのようにしたのです。子どもたちは手が離れて別の場所にいたので四六時中夫と2人のみの1カ月。大好きだった旅行にも行く気にならないという夫は、「こんなになってしまって悪いね」と何度も言いながら一緒に買い物に行ったり、食事の支度をしたりと家事を手伝ってくれました。「そんなことないよ」と言い、私は夫のそばにいるだけの生活です。不安でしたが、夫を支えたいという思いがあったので、嫌ではありませんでした。ただ、ちょっと困るのはまるで小さい子のようになったことです。例えば買い物に行って私の姿が見えなくなると、真っ青になって探します。「お願いだから離れないで」と何度も言われました。こんな弱気な夫を見てつらい気持ちになった私です。しかし、そこは私の持ち前の前向きさが功を奏しました。深く考えても仕方ないと思い、不安なことをなるべく考えないようにしたのです。嫌だなと思ったことはすぐに忘れるように努め、家事や仕事に没頭。そうするとあまり暗い気持ちになりませんでした。ちょっとおもしろかったのは、なぜか夫はケチな性格だけは変わりませんでした。夫が好きな安いファミレスでのランチが、2人にとって心休まるひとときだったことを覚えています。「ここは安くてうまくてうれしい」と言って夫はほほ笑みました。そんな時間を本当に幸せと感じたものです。穏やかな顔つきになり前の職場に復帰!自宅待機から1カ月たって、夫の顔つきは穏やかになり、悲壮感も消えてきたのが見てわかるほどになりました。そう感じたときに医師からは職場復帰のゴーサインが出たのです。1カ月ゆっくりできたので、だいぶ良くなったけれども無理はしないようにと言われたそうです。それにより勤務時間は短くなり10日に1回は通院することになりましたが、夫は転勤前の職場に復帰できました。この1カ月は、職場の人たちや友人たちがずいぶん心配してくれ、電話やラインが度々あったそうです。上司も心配してクリニックを訪れてくれたことがあります。回復できたのは、そんな皆さまのおかげもあったのでしょう。わざわざ夫に会いに遠くから尋ねてきてくれた職場の友人もいました。夫はそんな人たちに感謝の言葉を述べ、時には涙さえ浮かべていたのです。前の職場に戻って夫はすっかり元気になり、半年後には、また新しい職場に転勤になりました。再びの管理職、環境の変化ということでメンタルが心配でした。しかし、その職場は前から行きたかった場所らしく、逆にとてもうれしそうだったのです。何だかルンルンしている様子だったので、私は何も言わずに見守ることにしました。あれから2年。今は職場の環境が良いのか、毎日楽しそうに通っています。本当にあの出来事は、ただの悪夢だったのではないかと思うほどです。しかしまだ何があるかわからないので、メンタルクリニックには月1で通っています。夫の性格はメンタルを患ったことからか、若いころよりガラッと変わり、やさしく穏やかになりました。ただケチさだけは、相変わらず昔のままで、自宅待機のときに通った安いレストランには、今も夫婦で通っています。「安いのが一番!」とあのときのようにうれしそうにほほ笑む夫を見て、安堵する私です。まとめあんなに強気だった夫が自信を失ったことで、メンタルが崩れ人格が変わってしまいました。人生何があるかわからないとは、まさにこのことだと思います。崩れていく夫と過ごしながら、私は夫の繊細な心を知ったような気がしました。そして職場の人たちとの良い関係もわかり、人への感謝の気持ちも感じました。今後もどんな危機が家族に訪れるかわかりませんが、この悪夢を乗り切ったことを思うと何があっても怖くないような気持ちにもなります。人との輪を大切にしながら、あらゆる面において無理せずに生きていきたいと、夫との経験を通じて深く感じました。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)2007年東京女子医科大学卒業後、米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科、同院東洋医学研究所を経て、2018年1月こまがた医院開業。2021年9月より介護付有料老人ホームの嘱託医兼代表取締役専務に就任し現在に至る。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『子宮筋腫は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力(KADOKAWA)』『自律神経を逆手にとって子宮を元気にする本(PHP研究所)』がある。マンガ/しおみなおこ著者/どれみ(56歳)ピアノ教師。28歳、27歳、22歳の3人の子どもの母。子どもの手が離れてケチだけどやさしい夫と2人暮らし。ピアノを教えながらライターも副業とし、人生を楽しんでいるが、下腹と垂れじりが悩み。体重は163cm46kgなので肥満ではないが、体型をなんとかしたいと思っている。しかし、とにかく運動ぎらいで運動音痴。1日中でも座っていられるくらいである。
2023年04月01日学校行事で困る!本人が一番つらそうにしているな…と感じるのは、学校行事で未知の場所に行くことです。家族旅行ではなんの困りごともないのですが、学校行事は不安でいっぱいになってしまうのです。遠足・社会見学・修学旅行など、小学校にはたくさんの行事があり、新しい場所に行くことをワクワクして楽しみにしているお子さんも多いと思いますが、ゆいにとっては大きなストレスになっていて、楽しむどころではなさそうです。当日がせまってくるとどんどん元気がなくなり「怖い、嫌だ」と言うようになっていくのです。つらそうなゆいを見ていて「こんなにつらいなら行事を休ませるのもアリかな」と思ったこともありました。けれど、ゆいには不安はあるけれど、行事に参加して友達と楽しみたいという気持ちもあるのです。なので、なるべく不安を取り除いて参加させる方針にしています。小学3年生の遠足のとき、ゆいが不安がって登校するのを嫌がったことがありました。(そのときの私は、ゆいの障害や特性についてまだ知らなかったため、わがままを言っているのだと思い込み、無理やり登校させてしまいました。今思い返してみると、かわいそうなことをしてしまったな…と思います。)しかし、この出来事があったことで、徐々にゆいの不安な気持ちに向き合うようになりました。今では、少しでも安心して学校行事に参加できるように、ネットを使った「下見」をするようになったのです。Upload By 吉田いらこお役立ちのアプリまずは施設のWebサイトを確認します。施設の画像やフロアガイドで全体像を把握できるようゆいに見せています。そのほかSNSなどにいろんな方が投稿されている施設の画像も、ユーザー目線で分かりやすくとてもありがたいです。とくに詳細画像でなくても、ゆい本人にとっては見るだけで安心材料になっています。また、徒歩圏内の施設だと地図アプリで行き方を確認したり、実際に行ってみたりもします。Upload By 吉田いらこ遊園地の楽しみ方ゆいと小さいころに遊園地に行ったことを思い返すと、屋内のアトラクションを怖がる傾向にありました。当時は「入口が暗いから怖いのかな?まだ幼いし、そりゃ怖いよね」と思っていたのですが、暗いことが怖いのではなく、中で一体何が行われるのか分からないことが怖かったのかもしれません。屋外のアトラクションなどは、これから先の流れが一目瞭然なので安心して乗ることができていました。また、テーマパークによっては、ゆいのように不安が強い人たちをサポートする冊子が準備されている場合があります。この冊子には全てのアトラクションの写真と、大きな音が鳴る・フラッシュがたかれるなど効果の説明が載っています。いわゆるネタバレになってしまうのですが、ゆいのように、何が行われるか分からないことで不安を強く感じてしまう子どもでも、アトラクションが楽しめるよい配慮だなとうれしく思っています。Upload By 吉田いらことにかく予習をたくさんしておく下見は手間も時間もかかりますが、このように工夫すれば初めての場所にだって行けるんだということが分かるのは、本人にとって良いことだと思います。できた!という体験を何度も重ねていき、いつか一人でも気楽に外出できるようになる日が来たらいいなと思っています。執筆/吉田いらこ(監修:初川先生より)遠足や社会科見学等を不安に感じるゆいちゃんが安心して行事に臨めるための工夫のシェアをありがとうございます。何が起きるか分からないところへ出向くのは不安になるのは多かれ少なかれみなさんありますが、「楽しむ」レベルを超えて不安になってしまうと、せっかくの機会がもったいない面がありますし、何より、ゆいちゃんは完全に拒否をしているわけではなく、楽しみたい気持ちもあるわけで(それに気づいているゆいちゃん本人もいらこさんも素敵です)、だとしたら、少しでも安心した気持ちで臨めるように、と工夫するのはとても大事なことですね。今はさまざま情報が出ているので、ネットで調べたり、SNSで調べたり、写真を見たり、地図を見たり、または予習として事前に行ってみたりして、安心して臨めるようにする。ネタバレではあるのですが、大事なのはそこで初めて知って驚くことではなくて、安心して参加して「楽しかった」と思えること。不安要素がいっぱいあるならそれを減らして、ゆいちゃんの場合は、「友達と一緒に楽しく過ごしたい」に注力できるようにする。素敵な手立てだと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月07日高校生までは感じづらかった「見通し不安」、大学生になり感じた「自由」の恐怖高校生までは特に見通し不安を強く感じた記憶はありません。学校や塾にいる間は学校や塾の時間割に従っていればよく、生きている世界も狭くて役割も限られていたため、家では親の管理に受動的に従っていればよかったからです。そんな私も大学に入り、自分でスケジュールを決める必要が出てきて、生きる世界もぐっと広がりました。ここで私は面食らうことになります。最初の壁は履修登録でした。大学の履修登録では、自分が何をどれくらい学ぶのか、何曜日の何時に何コマの授業をとるのかが完全に自由です。その代わり、留年したり成績が悪くなったりしても自己責任。学生課でシラバスを受け取ったときに、辞書ほどもあるようなその分厚さにめまいがしたのを覚えています。私の通っていた大学では、学生課が出している正規のシラバス(私が面食らった分厚いもの)と、学生たちの間で出回っている裏情報的なシラバス(この授業は履修するだけで単位がとれるとか、「代返」が可能とかが載っている)がありました。そのほか、学生課から配られる、履修登録のしかたについてのさまざまな資料。こうした大量の情報の中から自分に必要な情報を取捨選択し、自分だけの時間割に落とし込んでいくのは至難の業でした。普通の学生なら、学生課に質問に行ったり、あちこちに電話をかけたり、すでにうまいこと獲得していた友達・先輩からいろいろ聞いたりして効率のよいやりかたにたどりつくのでしょうが、コミュニケーション障害がある私にはそれがうまくできませんでした。もともとのコミュニケーション障害に加え、社交不安症のような症状も出ていた私。ちょっとした問い合わせの電話1本かけるのにも小一時間緊張して迷って、声と手を震わせ心臓をバクバクさせながらなんとかやるという感じでした。このため、資料を見ているとちょっと分かりにくくて本当は誰かに聞いたほうがいいんだけど… というようなことを、聞くのが怖いものだから誰にも聞かずにそのまま済ますという回避行動に出ることもありました。社会人になってからも感じた、スケジュール管理への不安30代になって結婚を機に実家を出、トラウマ治療を受けるなどするうち、社交不安症のような症状はほとんどなくなりました。調子を崩していたのが、だんだん在宅で働けるようにもなります。しかし、こうして元気になって働けるようになってからも、スケジュール管理には難しさを感じることがありました。在宅のフリーランスのため、働く時間は完全に自由で、仕事が入ってくる時間もランダム。そして、家事担当として、やるべき家事もあります。こんな中で自分なりのリズムを見つけるのには非常に苦労しました。昔から出先で体調を崩したりすることが多いため、夫が休みの日に当日になって急に「どこそこに行こう」などと言うのにも困りました。最低3日前ぐらいには言ってもらえないと、自分なりに体力の配分したり、行き先や行く手段がどんな環境・条件なのかを下調べして備えておいたりすることができないからです。しだいに、自分は「いつどこでどのように何をするのか」の見通しを立てられる程度まで情報を得て整理しておけば、見通しに関する不安が軽減するのだ、と理解していきました。このため、新しい仕事をするときにはまずどの作業にどれくらいの時間と手間とストレスがかかるのかを把握するように努めています。夫との外出に関する連絡については、なるべく早めに言ってもらって、突発的な予定変更がないように頼んでいます。ネット社会がくれた救いいまの社会がネット社会であることには、デメリットもありますが、24時間どんなときでも手軽に多くの情報を集められることには大きなメリットを感じています。以前だったら電話をかけたり図書館や役所に行ったりして調べなければならなかったことが、手元のPCで手軽に調べられる。これは、私が自分の今後について見通しを立てるときに大いに役立っています。数日後に行く美術館についても、いま通っている資格学校のカリキュラムについても、いまとろうとしている資格の数十年後の見通しについても、いくらでも調べられるのですから。ネット社会がくれる大量の情報をうまく取捨選択しながら、自分のスケジュール管理に活かしていこうと思っています。文/宇樹義子(監修・鈴木先生より)最近はスマホで予定の管理をする人が増えています。対面が苦手なASDの人にはネット社会は確かに救いです。しかし、言葉のキャッチボールができないので誤解や間違いが生じる危険性も潜んでいます。仕事の種類にもよりますが、一般の企業だと急に仕事が入ったりして予定が変わることが多々あるので、決められた仕事を確実にこなせば時間通りに帰れる公務員などが比較的向いていることが多いです。あるいは、気兼ねなく自宅でできる自営業などもいいでしょう。自宅から通っている人は親御さんがいろいろとやってくれることが多く、大学や就職などで一人住まいになってから初めて不注意や不安症状が強く表れて困り、外来を受診するケースが増えています。ADHDは3種類のお薬で、社交不安症はSSRIというお薬で調整することが可能です。困ったら早めに神経発達症の診断のできる精神科へ相談することが肝心です。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月07日子どもの寝つきが悪い…これって睡眠障害?睡眠にまつわるギモン自閉スペクトラム症やADHDなどの発達障害がある場合、睡眠障害を併存していることがあります。睡眠の問題の背景には、何かしらの障害が関係していることがありますが、睡眠の相談を医療機関ですることを知らず、長年悩みを抱えてしまう方もいるという現状があります。発達ナビQ&Aコーナーでも、子どもの睡眠に関する心配や、睡眠障害へのギモンが数多く寄せられています。「赤ちゃんのときから寝つきが悪く、朝起きられません。来年には中学生になりますが、どのようにサポートしたらいいでしょうか」「5歳すぎてもまとまって寝ないのは、発達障害が関係しているのでしょうか」「みなさんは眠れていますか?眠れないときはどうしたらいいのでしょうか」「日中に寝てばかりの息子がいます。服薬をしていますが効果がありません」これらは、発達ナビのQ&Aコーナーに実際に書き込まれた、睡眠にまつわる悩みです。このコラムでは、睡眠のなぜ?から、発達障害と睡眠障害の関わり、服薬についてなど、体験談や、専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。睡眠障害とは、眠りに何らかの問題がある状態のことをいいます。子どもの睡眠障害にはいくつか種類があります。・不眠症…寝つきが悪い、眠りが浅く途中で何度も目が覚めてしまう、朝早く起きてしまう、眠りの質が悪いなど、睡眠が十分でない状態・過眠症…夜ちゃんと寝ているはずなのに、日中あらがえないほど眠い状態・概日リズム睡眠障害…昼夜のリズムと体内時計がうまく合わず、調節できなくなって睡眠リズムがくずれてしまい、社会生活に支障をきたす状態・いびき・睡眠時無呼吸症候群(SAS)…子どもの場合、いびき、無呼吸の主な原因は、鼻づまりやアデノイド・口蓋扁桃(こうがいへんとう)といったのどや鼻の奥のリンパ組織の肥大で、物理的に気道が狭まること。また、肥満で気道が狭くなることも・むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)…脚などの下肢がむずむずするなど動かしたい強い衝動がある状態・睡眠関連律動性運動異常症…乳幼児期から4歳くらいまでの時期で発症する睡眠障害。頭を左右に振ったり、前後に強く動かすなどする。9ヶ月の子どもでは59%に見られるほど、乳児期には非常に多い症状だが、5歳前後には5%以下に・睡眠時随伴症…睡眠中に生じるねぼけ、夜尿、歯ぎしり、悪夢などの身体的現象の総称子どもは、新生児期には昼夜を問わず短い睡眠・覚醒を繰り返しますが、乳児期から夜間睡眠が中心になり、3歳から6歳になるころには昼寝をとらなくなるなど睡眠リズムが徐々に確立していきます。赤ちゃんの眠りはまだ眠りが浅く、夜泣きをすることも多くあります。幼児期(3歳から6 歳ごろ)までに浅い眠りと深い眠りのサイクルが大人と同様のリズムに移行していきます。そのため、幼児期になっても睡眠に何らかの問題がある場合、改善の必要があるといえます。発達障害と睡眠障害の関連は?睡眠障害は、発達障害の併存症として認められることが多いといわれています。睡眠障害が発達障害を引き起こすという意味ではありませんが、発達障害の特性により、睡眠になんらかの問題が出てしまうことが主な原因です。乳幼児期の睡眠は脳の発育にも関わるため、睡眠障害が長引くこと自体が睡眠不足や生活リズムが乱れて悪循環を生み、子どもの心身の発育に影響している可能性も否定できません。自閉スペクトラム症がある子どもは音や光などに対する感覚が過敏なため、覚醒しやすいといわれています。また、睡眠に関係するメラトニン生成や、セロトニンからメラトニンにいたる代謝経路の障害が関係しているのではないかと考えられています。そのため、自閉スペクトラム症のある子どもの睡眠の問題には、なかなか寝つけない、入眠することができない、 夜中に起きて騒いでしまう、ちょっとしたことで起きてしまうなどが多くあります。ADHDの特徴には不注意・多動性・衝動性があります。ある調査ではADHDのある子どもの入床への抵抗、入眠の困難、中途覚醒、起床の困難、日中の過剰な眠気がある子どもが多い傾向があるという結果があります。また、ADHDのある人の脳には脳内の神経伝達物質であるセロトニンに偏りが生じているともいわれています。そのため、セロトニンを原料としてつくられるメラトニンという体内時計をコントロールするホルモンにも偏りがでてしまうため、不眠や概日リズム睡眠障害に陥りやすいのではないかと考えられています。参考:子どもの睡眠亀井雄一、岩垂喜貴 |保健医療科学2012 Vol.61 No.1 p.11-17Q:来月から6年生になる男の子の母です。ADHDの子は寝ない子・寝付きが悪い子が多いと言われていますが例にもれずうちも小さい頃から寝付きが非常に悪く、そして寝ると朝本当に起きられません少し前までおやすみをした後隠れてタブレットで動画見てたりしていたので没収しました・・・携帯は夜間ロックをかけています。普段は自分の携帯のアラームをかけさせていますが、全く起きず叩いても起きず、ベッドから引きずり降ろしてようやく起きます体も大きくなってきたので正直この起こし方が最近本当に大変です・・・。(中略)同じようなお子さんお持ちの親御さん、どのような対策とられてますか?病院にかかってみた方がいいのかな?と思ったこともありますこちらの質問には以下のような回答が寄せられました。A:息子もADHDとASDです。赤ちゃん時代は、眠りが浅い子でした。幼少期も夜驚や寝言が多かったです。それほど深刻には考えていなかったのですが、高学年になっても寝相がかなり悪く、主治医に相談し、メラトベルと言う睡眠ホルモンの薬を試してみました。(中略)朝起きられない問題は、コロナ禍で生活リズムが不規則になった頃からです。やはり、就寝前の電子機器の使用で就寝時間は徐々に遅くなり、22時半頃になることもあります。朝は休日でも8時起床にしていますが、息子もなかなか起きられません。自分の力で起床することが、自立の一歩だと思っているので、スマホのアラームやAlexaなど工夫して平日は一人で起きるようにしています。寝坊した場合は、就寝時間を早めるように促しています。熟睡できている事が前提だと思うので、1度主治医に相談してみては?違う切り口からの回答なんですが、職場で専門機関監修の睡眠改善セミナーを受けた中で使えそうなテクニックをいくつか。・睡眠環境を整える→寝室に光源を極力置かない。ダウンライトなどを活用。就寝中は家電のランプも塞ぐ(専用シールとかあります)→窓の隙間も塞ぐ。暗幕の活用→温度湿度の管理、寝具、パジャマの見直し(大人もついでにやってみては)・寝る前のスマホテレビ、照明→理想は1時間前にやめる。→リビングが調光できるならば、夕食前あたりから外に合わせて光量も落とす。・朝起きた時の楽しみを作る→朝飲む飲み物を少しリッチにする、朝ごはんへの投資、早起きして好きな映画を見るなど。(弟はゲーム時間確保のために早起きしてました)環境改善は一緒に寝てるのであれば親御さんの睡眠にも作用するのでおすすめです。年齢的にもう別々でしょうか?個人的には「朝起きる目的」があるパターンが学童期は一番効いたなと思います。私自身も見たいアニメがある、夏のラジオ体操でコンプリートして記念品もらいたい、という俗物的な目標があった方が起きてました。参考になれば幸いです。このように発達ナビQ&Aコーナーでは、疑問を投稿すると、ほかのユーザーの方が実体験をもとに回答してくれます。聞いてみたい質問があれば、ぜひ投稿してみてください!【小児科医に聞く】睡眠の大切さ、子どもの睡眠問題、何科を受診すればいい?、発達障害と睡眠障害の関わり、服薬のギモン、睡眠障害がある子どもへの対応などここまで発達ナビのQ&Aコーナーに寄せられたギモンを中心にご紹介しました。ここからは、小児科医の藤井明子先生に子どもの睡眠の重要性、受診のタイミング、睡眠障害がある子どもへの対応、服薬のギモンについてお答えいただきます。A:睡眠には「脳を休める」ノンレム睡眠と、「体を休める」レム睡眠があります。ノンレム睡眠時には、大脳を休めるだけでなく、成長ホルモンが分泌され、脳内の神経ネットワーク形成や細胞の修復、骨・筋肉形成が行われます。また、免疫機能・代謝機能が増強され、疲労の回復に役立っています。レム睡眠時には、脳は活発に活動し夢を見ることが多いですが、全身の筋肉は緩んで、体は休んでいます。睡眠の時間が短い、質が悪いなどで、睡眠の役割が十分に果たされないと、子どもの心身の成長や発達に影響が及ぶとされています。Upload By 発達障害のキホンA:かかりつけの小児科でまずは相談してみましょう。小児科医は、病気のことだけでなく、お子さんの生活全般、生活習慣についてのお困りごとにも対応することが可能です。すでに寝る前の工夫をとられていることもあるかと思いますが、お子さんが寝ないと、保護者も眠れず、親子共に疲弊していることもあります。少しでも工夫できることがないか、一緒に小児科医と考えていけると良いと思います。Upload By 発達障害のキホンA:いろいろ対策をしても寝つきが悪いようなら、受診して相談してみても良いでしょう。1〜2歳のお子さんの寝つきの悪さなら時間と共に改善する可能性もありますが、5歳であると睡眠覚醒リズムが確立される年齢なので、睡眠障害があるのかもしれません。ASDの特性もあるような気がするとのことなので、併せて相談されると良いでしょう。Upload By 発達障害のキホンA:受診すると、必ず薬が処方されるというわけではありません。まずは、睡眠リズムを作るための生活習慣の見直しをおこなっていきます。例えば、布団に入る1時間前のテレビ・インターネットなどは控える。休日・平日関わらず一定の時間に起きる、入眠までにすることの手順を同じ手順で同じ時刻に行うなどです。生活習慣の見直しをおこなっても改善しない場合に、薬の内服も検討します。発達障害に伴う入眠困難なお子さんへは、メラトニン受容体作動性入眠改善薬(一般名:メラトベル)を使用することがあります。メラトニンは、体内時計に働きかけ、睡眠と覚醒を切り替えて、眠りを促す作用があります。Upload By 発達障害のキホンA:易刺激性の薬とは、ASDに対するかんしゃくや、それに伴う暴言・暴力に対する薬のことだと思います。睡眠障害があるお子さんで、易刺激性に対する薬を使用することはあります。薬を使うことで、気持ちが安定し、入眠しやすくなることがあります。副作用として、眠気・だるさ、食欲増進を認めることがあります。主治医の先生と相談しながら、適切な効果のある量を調整していく必要があります。薬は、副作用と効果のバランスを見て、効果がある場合には続けていくと良いでしょう。長期に飲み続けて、依存性のでる薬ではないので、効果がある場合には続けて、適切な睡眠習慣をつくることができると良いと思います。Upload By 発達障害のキホンA:生活リズムの乱れは、抑うつやイライラといった気分の悪さと関連していることが指摘されています。睡眠リズムを取り戻すためには、朝に起きて光を浴びることから始めましょう。ベットを日当たり良い場所に移動し、毎日同じ朝の同じ時間にカーテンを開けて日光が入るようにして、刺激を多くしましょう。朝ごはんを食べることも、リズムをつくる上で大切です。食事が食べられなくても、少量のお湯などを経口摂取することから始めても良いです。午前中の生活を正してから、入眠前の工夫をしていきましょう。テレビや携帯電話、パソコンの使用は、入眠前1〜2時間は控えていきましょう。Upload By 発達障害のキホンA:ナルコレプシーは過眠症の一つで、オレキシン神経系の機能障害が原因です。日中の居眠りだけでナルコレプシーと診断できず、睡眠日誌をつけ、終夜睡眠ポリグラフィ、反復入眠潜時検査を受ける必要があると思います。ナルコレプシーを積極的に疑う場合には、睡眠外来を受診することをお勧めします。しかし、睡眠外来に受診すべきがどうか迷われる場合には、かかりつけの小児科に相談してみましょう。Upload By 発達障害のキホンA:起立性調節障害は、自律神経機能不全により、立ちくらみ、朝起き不良、だるさ、動悸、頭痛を認める病気です。朝起き不良だけでなく、だるさのために午前中の活動がしにくい状態になることもあり、そのため入眠困難になり、睡眠リズムの乱れにつながることもあります。起立性調節障害の治療と加えて、入眠をサポートする薬を使うこともあります。Upload By 発達障害のキホン発達障害のある子どもの睡眠にまつわるエピソード発達ナビライターの方々の睡眠にまつわるエピソードをご紹介します。子どもの成長に欠かせない「睡眠」。睡眠に関する悩みが解消しないときは抱え込まず、医療機関へ子どもの心身の成長や発達に大切だといわれる「睡眠」。しかし、いろいろと工夫してもなかなか子どもが思うように寝てくれず悩みを抱えている方も多いかもしれません。発達障害がある場合、睡眠障害を併存していることも多く、睡眠の問題は、単純に生活習慣の乱れではなく、何かしらの原因が背景にある可能性もあります。また、わが子が寝ないと、保護者も眠れず、親子共に疲弊してしまうこともあります。小児科医では、病気のことだけでなく、子どもの生活全般、生活習慣について相談することも可能ですので、心配なことがあれば、かかりつけ医に相談してみましょう。発達ナビ「Q&Aコーナー」にあなたのギモンをぜひ投稿してください今回は発達ナビQ&Aコーナーに寄せられた睡眠にまつわるギモンと小児科医の藤井先生からのアドバイスをご紹介しました。発達ナビのQ&Aコーナーに気になることを質問するとユーザーの方が経験をもとに答えてくれます。話題の質問に専門家からアドバイスともらえることも!ぜひチェックしてみてください。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月21日本人への障害告知以前コラムでも書きましたが、娘は中学2年生のときに主治医から障害の本人告知を受けています。告知は・娘自身が「自分の障害について知りたい」と思った・本人に“居場所”があり、精神的に落ち着いている・告知後、支援者(学校関係者)のフォロー体制ができていることを医師が確認したうえで行われました。そのおかげで娘は障害告知をポジティブに受けとめることができました。障害告知から6年後に、再告知その後、娘は高等特別支援学校を卒業し、特例子会社(※)に就職しました。そして20才になったある日、娘は再び私に「自分の診断名を知りたい」と言いました。私は娘に、中2のときに告知を受けているのになぜまた聞きたいのか尋ねました。娘は「診断名は知ってるけど、自分の障害の詳しい種類と程度を知りたい」と言いました。SNS上でも発達障害に関する情報や当事者として発信する人も多くなってきていましたし、娘もそういったものを見て何かしら思うところがあったのかもしれないと、このとき私は思いました。(※)特例子会社は、「障害のある方の雇用の促進、そして安定を図るために設立された会社」のことです。【参考】厚生労働省特例子会社制度の概要Upload By 荒木まち子娘は社会人になってからは一人で通院をしていました。何か親が医師に伝えたいことがあるときは、手紙を書き娘から医師に渡してもらっていました。私は医師に『娘が自分の障害名や障害の程度を知りたがっている』旨の手紙を書きました。医師は中学生のときから娘を診ているので娘のことはよく分かっています。二度目の告知は通常診療とは別枠で予約を取り、親同伴で行われることになりました。一度目の告知のときは前回の告知のときは、娘と親がそれぞれ感じている“本人の長所と短所”を事前に書き出しました。・真面目で一生懸命。我慢強い・常識を学び、言われたことは直したいと考え努力している・ルーチンに強く、さぼらない・興味や関心が深く狭い。技術や知識は多い・自分から気持ちを伝えることは、落ち着いてるとできる・会話は苦手で、相手の言葉に不安になることがある・新しいことや状況の変化・変更に対して臨機応変に対応することが苦手これらのことを一緒に振り返りながら医師が娘の『特性』を文字に起こして障害の説明をしました。本人の理解力に合った言葉選びと文字を書きながらの説明は、視覚優位の娘にはとても有効な方法です。医師からは『これからどのようにして周りの人たちに助けを求めていくのが良いか』のアドバイスもありました。2度目の障害告知では二度目の障害の説明でも、事前に本人と親で『娘の長所と短所と思われることの書き出し』をしました。その内容は6年前とほとんど違いはありませんでしたが、新たに“自分のことばで相談を持ち掛けるのは、ハードルが高い。相談してくれる人が向いてくれたら話せる。自分から働きかけることが苦手”が加わりました。娘は自らに主治医に「自閉症」「発達障害」「アスペルガー症候群」「ADHD」の違いや「自分は何に当てはまるのか」「障害の重さはどの程度なのか」などを質問しました。娘の質問に対し、主治医は図を書きながら娘に分かるように説明をしました。そして診断名は大事な個人情報だということも娘に伝えました。娘をとりまく環境の変化私は当初、再度自分の障害についての説明を望んだ娘の心境がよく分かりませんでした。でも娘と医師のやり取りを見ているうちに、娘が“学生”から“社会人”になったことが大きく影響しているのだと感じました。『学生』でなくなると、選択の自由度が増し、煩わしいもの、嫌なことを避けることもできます。学生時代は限られていた交友関係や活動範囲を広げることが可能です。一方で、自ら行動を起こさなければ人間関係は希薄になりがちです。周りの人は本人の意思を尊重します。そして自身の行動には責任が伴なってきます。そんな中で娘が自分の障害を再確認したいと思うのは自然なことだったのかもしれません。これからも親は子どもが何歳になっても親ということには変わりありません。そして子どもに障害があると、子どもを守りたいという気持ちはことさら大きくなります。でも自分の障害を理解しようとしている娘の姿を見て、私は彼女を一人の大人としてもっと尊重し、対等なスタンスで接していくべきなのだろうと感じました。これからも人生の節目やターニングポイントを迎えるたびに、娘は自身の障害についていろいろと考えることでしょう。そしてそのとき、私もまた新たな気付きを得るのだと思います。いつになるか分かりませんが、そのときまで体も心も頭も(笑)元気でいたいものです。執筆/荒木まち子(監修:鈴木先生より)そもそも自閉スペクトラム症を「障害」ととらえずに「特性」ととらえればいいのです。特性を知ることで今後の人生や生き方に役立てればいいと思います。重要なのは会社や周りの人たちがその特性を理解してくれるかどうかです。理解してくれることによって優しく丁寧に具体的に肯定文で話してくれれば、娘さんにとって生きやすい社会になります。最近はSNSなどでさまざまな情報が飛び交っております。重要なのは信頼のできる主治医と向き合って自分独自の特性を正確に知り、どういう対策を取ったらいいか知っておくことです。そしてそれを理解してくれる仲間を増やすことです。
2023年01月17日臨月に行ったノンストレステストでひっかかった娘には重度の知的障害や身体障害があります。言葉はほとんど話すことはできません。発達の遅れは感じていたものの、2歳直前で障害があると診断されるまでは、そんなに重い障害があるとは思ってもいませんでした。妊娠中は、後期になるまではとても順調でした。ですが、臨月になり、ノンストレステストを行ったところ、いつまでたっても胎児が起きないのです。通常は、おなかの中の赤ちゃんは20分おきくらいで起きたり寝たりしているそうなのですが、ずっと寝ている状態とのこと。ほかの妊婦さんが30分ほどでテストを終えていくのに、私だけ3時間たっても終わりませんでした。産院の先生はなんども超音波で胎児の様子を見ては「脳もあるし、身体に異常は見当たらない。なんでだろう」と頭をひねらせていました。大学病院に紹介状を書くか迷っていた様子でしたが、予定より2週間ほど早く陣痛が来て、紹介する間もなくかかりつけの産院で出産することになりました。出生後すぐチアノーゼに出産時も、上の子の時とは違いました。生まれてすぐ一声泣いたものの、そのあとはぐったり…胸に抱かせてもらった娘の顔色がだんだん悪くなるのを見て、私は「先生、この子おかしいです!」と叫びました。スタッフが慌てて血中酸素濃度をチェックすると、とても低い数値。あわてて酸素ボックスの中に入れられました。ですが翌日になると落ち着いたので、予定通り3日ほどで退院となりました。Upload By ユーザー体験談泣かない、手がかからない、乳児時代その後は特に問題はないように見えた娘ですが、上の子と比較して違ったのは「泣かない」ということでした。上の子がとにかく泣いてずっと抱っこをしていて大変だったのに、娘は寝かせておいたらずっと寝ているし、泣いてアピールすることもほとんどありませんでした。出産祝いに来てくれたママ友に、「こんなに手がかからないなんて、なんか変じゃない?」と言って「楽なのに心配するなんて、心配しすぎだよ」と言われたのを覚えています。今思えば、自己主張するほど脳も発達してなければ、泣くために必要な身体の力も未熟だったのだろうと思います。Upload By ユーザー体験談4ヶ月を過ぎたころから発達の遅れが目立ち始めた首すわりまでは順調だったのですが、そこから先はつまづきました。寝返りしない、ハイハイしない、座れない、伝い歩きしない…7ヶ月健診で要観察、9ヶ月健診のときにもお座りが安定しない娘をみて、産院の先生に子ども病院を紹介されました。上の子のときを思い返せば、9ヶ月ではしっかり座り、座ったまま体をひねったり、両手でおもちゃで遊んだりしていたし、ずりばいやつかまり立ちもしていました。人見知りも始まっていました。娘は人見知りをすることもありませんでした。原因不明の発達遅延といわれて子ども病院にはかかったものの、原因不明の発達遅延と言われただけ。発達センターを紹介され、1歳になるころから、PT(理学療法)を受けることになりました。センターの先生は、おそらく一目見て娘の障害に気づいていたのでしょう。その後、同じ自治体に娘と同じ障害がある子が複数いると分かりましたし、そうした子どもたちはみんな、就学前はこのセンターに通っていたからです。ですが、立場もあるからでしょう、障害名について口にすることはなく、「ウォーカーをつくって歩行練習をしたほうがいいと思います。障害者手帳をつくれば、公費でつくれるので手帳をつくりませんか?」と提案されました。おそらく、歩行に困難がある障害だから、はやめにウォーカーをつくってリハビリを始めたほうがいいと考えてくださったのだろうと思います。1歳半健診で感じた周りの子どもとの違い1歳半健診にもいったものの、ハイハイもせず、模倣もせず、もちろん積み木もつめず。「おかあさんが髪をとかしていたら、それをまねしますか?」といわれ、1歳半の子どもってそんなことできるんだっけ、と思ったのを覚えています。そうした模倣をするようになったのは、娘の場合は小学校に入ってからでした。健診で、すでに発達センターに通っていることを伝えると、それならと特に要観察の指示もありませんでした。てんかん発作が診断のきっかけに結局、障害が分かったのは、1歳半を過ぎたころにてんかん発作を起こしたことがきっかけでした。地域の中堅病院にしばらく入院し、その後主治医になったのが、ある大学病院から月に何回か来ている脳神経の専門の先生で、その先生は脳波をみて娘の障害に気づき、大学病院への転院手続きをしてくださったのです。大学病院での遺伝子検査の結果、先天性の希少疾患があることが分かりました。Upload By ユーザー体験談3歳児健診はパス、大学病院での配慮がうれしくて3歳児健診には、娘を連れては行きませんでした。障害も分かっていたし、すでに毎月大学病院で見ていただいていたからです。役所に電話したら、「大学病院で毎月見ていただいているなら大丈夫ですよ」と言われました。定期通院のときに、看護師さんに「3歳児健診は行くのやめたんです」と伝えると、いつも計測している身長体重に加えて、詳しく計測をしてくれ、母子手帳に記載してくれたのがとてもうれしかったです。Upload By ユーザー体験談障害告知はつらかったけれど生後1ヶ月くらいから感じていた「何か気になる」というカンは、結局当たっていました。わが家の場合、てんかん発作で入院した病院に、娘の障害に詳しい先生がきていたことから、早めに障害を見つけてもらうことができました。障害が分かったときはその重度さに落ち込みもしましたが、今は早く見つけてくださった先生に感謝しています。あれから10年以上経ちましたが、私たち家族は娘を中心に幸せに暮らしています。イラスト/にれエピソード参考/あき(監修:鈴木先生より)1歳までは運動面での発達が主なので、遅れのあるお子さんはとりあえず「運動発達遅滞」という病名で定期的にフォローしながら病因検索をしていきます。この時点で一般の小児科医から神経専門の小児科医のいる病院へ紹介されるのが普通です。娘さんは運動発達を遅らせることで親にイエローカードを出していたのです。それをいち早く察知するために乳幼児健診(基本コラム「0歳児健診」参照)があります。早めに診断するメリットとしてさまざまな合併症に対する検査・診断・治療が早くできることが挙げられます。1%程度の病気の面は主治医が診るので家族のみなさんは残り99%の健康的な娘さんのできるところを見て伸ばしてあげてください。
2023年01月07日自分で症状の説明をするのが難しい病院に行ったときにいつもちょっと困るのは、自分自身で症状の説明ができないということです。ゆいは他人と会話をするのが苦手です。質問に対して首を縦に振るか横に振るかということはできるのですが、「いつからどこが痛い」など症状を説明するのは難しいです。そのせいで気分を害されるお医者さんもいらっしゃいます。まだゆいに障害があるとは思っていなかったころ、ゆいに風邪の症状が出てある内科にかかったのですが、そちらのお医者さんは保護者の私が症状を説明するよりも、ゆい本人からの説明を求めました。ゆいは話すことができなかったので「本人がしゃべらないなら何も分からないよ」と怒られてしまいました。『体調が悪いときは自分の言葉で症状を説明すること』これはスクールカウンセラーの先生にも今後の課題だと言われています。誰かが付き添って症状の説明ができればいいのですが、今後大きくなれば一人で行動することも増えますし、何か対策していかないといけないなと考えています。Upload By 吉田いらこ何の対策もせず矯正歯科に連れて行ったら・・・ゆいに歯列矯正を受けさせるため初めて矯正歯科に連れて行ったのが小学2年生のころでした。もちろん本人がやりたいといったわけではなく、親の私の意向で歯列矯正を始めようと思ったのですが…。それまでのゆいは虫歯もなく、たまに定期健診を受ける程度で、いわゆる口の中にいろいろなものを入れるという経験をしていませんでした。でも歯列矯正を始めるには歯の型取りなどいろいろな工程を経ないといけません。ゆいの特性としては不安がいっぱいの施術になるのですが、このころの私はゆいの障害に気づいておらず、特に何の対策もせず矯正歯科に連れて行ってしまいました。Upload By 吉田いらこ歯科医の先生から一通りの説明を受け、「はい、じゃあこれを噛んでね(かみ合わせのチェック)」「ちょっと熱いけど頑張ってね(型取り)」とどんどん処置が進んでいったのですが、途中でストレスの限界がきて泣き出してしまいました。何度かなだめようとしたのですが、結局ゆいが口を開けるのを拒否したので型取りができず、矯正はあきらめて帰宅することとなりました。よく分からないものをどんどん口の中に入れられる怖さは、大人の私が感じるよりも、もっと強かったと思います。前もって施術動画を見せるなど、対策をしていればよかったと反省しています。2度目の歯列矯正…チャレンジの結果は?再度矯正歯科に行けるようになったのは1年後です。一度経験をしていたせいか、成長したからなのか、今度は無事に矯正器具を取り付けることができました。Upload By 吉田いらこ新しい環境やものごとを怖いと思ったり見通しが立たないと不安を感じるということは、生きづらい一面もありますが、命の危険を避けるために備わった大切な力でもあると思っています。うまくサポートを受けながら、社会の中でうまくやっていけるよう、これからも工夫をしていきたいと思います。執筆/吉田いらこ(監修:三木先生より)慣れなのか、ご本人の成長なのか、ともあれ無事に処置が済んで何よりでした。事前に動画等で予習をしておくことも重要ですし、もし医師や歯科医師の協力が得られるのであれば、少しずつ手順を踏んで慣れていってもらうという方法も良いかもしれませんね。
2022年12月02日