出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、産休中だからこそ出会えたいい女を実演する“おめでた編”。今回は、日本のしきたりに詳しい女性「熨斗(のし)に詳しい女」になりきり。メッセージカード代わりに熨斗を活用してみよう!出産の内祝いをしようと買い物に行った時、店員さんに「お熨斗をつけますか?」「何の内祝いですか?」と聞かれました。出産ですと答えると、「それでは、蝶結びのものですね」と言われたんです。その時に、熨斗に描かれている水引は、結び方によって異なる意味を持つことに気づきました。さらに、出産祝いの場合は蝶結びの下に子どもの名前を書くのですが、「子どもの名前なんて、知りたいのかな?」と思って、自分の「横澤夏子」という名前を書いたんです。ある人には「なっちゃんが強い家庭なのね」と言われました。きちんと知っておかないと、家庭のパワーバランスまでバレてしまうんだと焦りました。やはり、ある程度のマナーは知っておかないといけないなと思いました。特に、冠婚葬祭に強くて損することはないし、日本古来のしきたりに詳しかったり、由緒正しいものを大事にしている人は素敵ですよね。その点、百貨店の店員さんは、ちゃんと知っているから尊敬します。ほかにも、熨斗の右上についている模様は、もともとアワビを細く切って干したものを贈っていたことの名残であることなど知らないことも多く、もっと早くに調べておけばよかったと思いました。まずは、熨斗を身近に感じることが大切です。デパートに行って、「あの人が結婚したらこれをあげようかな」と想像してみたり、プレゼントしたいものをリストアップしてみるのもよさそう。また、人に贈り物をする時に、メッセージを添える代わりに熨斗をつけることで、気持ちをのせてみるのもいいかもしれません。今の私の目標は、知恵袋をたくさん持っているおばあちゃんになること。そのためにも、熨斗にまつわる知識を身につけることは不可欠。勉強してみようと思います!よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。婚活で培ったテクニックをまとめた著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。2月に第一子を出産。※『anan』2020年7月29日号より。写真・中島慶子文・重信 綾(by anan編集部)
2020年07月28日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「香港国家安全維持法」です。中国の強権を示す法律。一国二制度崩壊の危機に。6月30日、中国の国会・全国人民代表大会(全人代)にて香港国家安全維持法(国安法)が全会一致で可決。香港政府は同日23時頃に公布し即日施行しました。翌1日は、23年前に香港がイギリスから返還された記念日でした。この法律は、国の分裂、政権転覆、テロ活動、外国勢力と結託して国家安全に危害を加える行為を犯罪とみなすもので、最高刑は無期懲役。香港人だけでなく外国人にも適用され、国外在住の人も含まれます。これまで香港は言論の自由が守られ、司法の独立性も認められた民主的な都市でした。しかし2014年頃から少しずつ中国共産党が香港行政、司法に介入する姿勢を見せ始め、民主化を求めるデモ活動が続いていました。昨年は香港警察の市民への取り締まりが強くなり、SNSや防犯カメラによる監視、カード情報などから抗議運動関係者が特定されていきました。国安法により、中国本国による直接の取り締まりが合法化されます。この法律に対する抗議デモが起き、1日で370人が逮捕され、そのうち10人が国安法に抵触。「香港独立」の旗を持っていただけで捕らえられた人もいました。返還から50年は一国二制度を変えない約束でしたが、実質反故にされた形です。アメリカは、これまで香港に対して認めてきた貿易や渡航の優遇措置を、一部を除き停止しました。イギリスは、返還前に発行していた許可証を持つ香港市民には、将来的にイギリス市民権の申請を可能にすると発表。日本にとって中国はビジネスでも安全保障上でも良好な関係を保っておきたい相手です。日本政府はこれまで強い批判を示していませんでしたが、自民党内から習近平国家主席を国賓として迎える予定を中止するべきという声も上がり、判断に注目が集まりました。貿易相手国だからこそ、自由や人権、公平であることに対する価値観を共有する必要があると思います。そうでなければ、安心して連携をとれません。日本や欧米から抗議が上がる中、ロシアや、中国と経済的な結びつきの強い東南アジアや中南米の国々からは、国安法を支持する声が上がっており、分断が深まっています。ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。3月に監督2作目となる映画『わたしは分断を許さない』が公開された。※『anan』2020年7月29日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2020年07月28日女子高生アスリート×料理ブロガーの物語を描いた漫画『アスメシ』。原作者の見原由真さんに、作品へ込めた思いを聞きました。女子高生アスリート×料理ブロガー、血の繋がらない最強の父娘。スポーツマンガは多々あるが、本作のテーマはスポーツそのものではなく、アスリートのごはんのほう。「女子カーリング日本代表で話題になった“もぐもぐタイム”や、サッカーの長友佑都選手には専属シェフがいることなどから、アスリートの食に注目してみたら面白いかも、とアイデアが浮かびました」原作者の見原由真さんは、アスリートフードマイスターという資格を取得して本作に臨んでいる。「血の繋がっていない父と娘という設定にしたのは、違う人生を送ってきたふたりが親子というスタートラインに立ったとき、どんな二人三脚をするのか私自身も見てみたいと思ったからです。食卓で毎日向かい合い、同じ食べ物を体に取り入れることで、だんだん本当の家族になるんじゃないかという期待もあります」女子高生の保志まひろは、日本柔道界期待の新星。“かわいいのに強い”というギャップをフィーチャーされるのはやや不本意で、感情を素直に出すのが苦手だったりもする。そんな彼女の体作りをサポートするのが、亡き母の再婚相手で料理ブロガーの太一。アスリートの食事は制限が多そうでストイックなイメージがあるが、たとえば「アスパラガスとそら豆のポタージュ味噌汁」や「豆腐ベーグル」など普段の食事に取り入れたくなるようなメニューがたくさん登場するのも見どころだ。「食事の内容は一般の人とそこまで違わないのですが、体作りがパフォーマンスに直結するのが特徴といえます。なのでストレスを緩和させたいときとか、スタミナが欲しいときなど、まひろの状態に合わせた食事を当てはめるようにしています」作中の「今日の食事が明日からの自分を変える」という言葉は、「アスメシ」が単にアスリートのメシという意だけでなく、明日の自分を作るメシであることも示唆している。「体作りは心作りでもあると常々思っているので、読んだ人が自分の体の声に耳を傾けるきっかけにもなったら嬉しいです」そもそも見原さんはご自身でもマンガを描くのだが、前作の連載終了時に体調を崩してしまい、今回は原作に徹することに。日々の食事が体と心を作るというのは、自らの経験から得た切実な思いでもあるのだ。「作画の小川さんが私の意図を丁寧に汲み取ってくれるので、今はよりキャラクターと向き合うことができています。物語の親として彼らの成長を見守りつつ、食事を通していろんなアスリートたちと繋がりを深めていく過程を描けたらいいですね」原作・見原由真、作画・小川 錦『アスメシ』1まひろの高校入学とともに始まった、義父・太一との暮らし。太一の作る日々の食事がまひろの強い体を作り、周囲との関係も広げていく。レシピも多数掲載!講談社640円©見原由真・小川錦/講談社みはら・ゆうまマンガ家、原作者。本作は「コミックブル」「コミックDAYS」「マガポケ」の3つのマンガサイト・アプリで同時連載中。※『anan』2020年7月29日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2020年07月27日彩瀬まるさんの新作『まだ温かい鍋を抱いておやすみ』は、食にまつわる人間模様を描く短編集。全6編のうち最初に書いたのは2話目の「かなしい食べもの」。料理上手な男が、一緒に暮らす彼女から「たまに作ってほしい」と枝豆チーズパンのレシピを渡される。そこに隠された彼女の思いとは?「これはアンソロジー『運命の人はどこですか?』に収録する作品として書いたもの。時に料理は嫌な思い出に繋がることもある。その憂鬱に対応して生きていくんだ、という話になりました。ハレの日に美味しいものを食べるような話にならなかったところが、自分でも面白いなと思って。それで担当編集者と、食にまつわる、苦みのある短編を書いていこう、という話になりました」1話目の「ひと匙のはばたき」は、ダイニングバーの店員と常連客、女性2人の話で、「食べられなかったものが食べられるようになる話」を考えたという。3話目の「ミックスミックスピザ」は仕事も家庭も手一杯の女性がピザを食べる。しかも夫以外の男性と、ラブホテルで。「ずっと張りつめていてようやく脳が弛緩した時にジャンキーなものを食べたくなることってある。生きていると最適解を出せないことはあるけれど、その失敗も含めて生きていく話を書きたかった」次の「ポタージュスープの海を越えて」では女性2人が温泉に行くが、これは母と娘の話にもなっている。「ある時ふと、母や祖母が好きだった食べ物を知らないと気づいたんです。私自身も今、毎日作るのは自分が食べたいものではなく、子どもが文句言わずに食べるものだったりする。毎日人の食事を作るうちに自分が何を食べたいか分からなくなっている人はたくさんいるだろうけれど、そういう人たちがどこかで自由に好きなものを美味しく食べていたらいいな、と思いました」次の「シュークリームタワーで待ち合わせ」は料理研究家の主人公が、疎遠だった旧友が悲しい体験をして食欲を失っていると知り、毎日料理を作って食べさせる。と説明すると一見いい話に聞こえるが、「食べたくない人を支配して食べさせる話です。美味しいものを食べさせるって、暴力的なパワーで人に影響を与えることだなとも思うので」一方「大きな鍋の歌」では料理人の男が、難治性の病で入院中の知人を見舞う話で、“昔食べたかったものを自分で作る”というテーマだとか。どの話も確かに苦みがあり、また、描かれる他者との関係が、必ずしも確かな友情や愛情や絆で結ばれているわけではないのも印象的。「その相手を好きか嫌いかではなく、自分と相手の心と体が自由であるかどうかに注目する人物が結果的に多くなった。不自由であるなら原因を探し、変えていく。そんな個人の戦いを大切に書いていきたいです」それは今後、彩瀬さんが取り組んでいくテーマのひとつになりそうだ。あやせ・まる1986年生まれ。2010年「花に眩む」で女による女のためのR‐18文学賞読者賞を受賞しデビュー。’18年『くちなし』が高校生直木賞受賞。著作に『さいはての家』など。『まだ温かい鍋を抱いておやすみ』枝豆チーズパン、ミックスピザ、栗のポタージュスープ、具だくさんシチュー…。食べ物を通して見えてくる人間関係を描いた6編。祥伝社1400円※『anan』2020年7月29日号より。写真・岡本あゆみ(彩瀬さん)中島慶子(本)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2020年07月24日ビタミンB群たっぷりのバナナジュースをおやつにすれば、ヘルシーな栄養補給に。大人気バナナジュース専門店の店主の極意を会得して、自分でも作ってみよう!人気バナナジュースで気軽に栄養チャージ!こだわり店のバナナジュースが巷では大人気。栄養素も豊富だと管理栄養士の森さやかさん。「バナナには、糖質をエネルギーに変えるビタミンB1、タンパク質の合成にかかわるビタミンB2の他に、同じくビタミンB群の葉酸が含まれます。葉酸は妊娠時に摂るとよいことで有名ですが、赤血球の生成をサポートするので、妊娠中でなくとも意識するのがおすすめ」バナナの持つ糖質にも、特徴が。「吸収が早いブドウ糖、果糖や、ゆっくり消化されるデンプン、オリゴ糖など、エネルギーになるスピードが違う複数の糖質が摂れるため、日中や夕方のおやつに最適です。牛乳と合わせることでタンパク質やカルシウムも補給。体質に応じて豆乳などに置き換えられるのもいいですね」今回は、東京・東銀座の大人気店『銀座バナナジュース』店主の大和田理恵さん特製のレシピをご紹介!ヘルシー食材とのミックスにも、ぜひトライして。バナナジュース作りの極意その1完熟状態のバナナをセレクト。完熟バナナで作るのが最大のポイント。「目安は皮表面の4割が黒くなったくらい。暑いと溶けてしまうことがあるので、クーラーの効いた部屋か涼しい場所で保管を」(『銀座バナナジュース』店主・大和田理恵さん)その2冷凍庫から出して、少し置いてミキサーへバナナが完熟したら、冷凍庫で一晩以上冷凍させて。「ミキサーによっては、混ぜる時に凍ってカチカチすぎるとなめらかなジュースができあがらないことも。室温で10分程度置いてからがいいでしょう」その3豆乳やヨーグルトなど好みでアレンジ!体質や好みに合わせて、豆乳やヨーグルトで作ることも可能!「豆乳の場合は牛乳と同量に置き換えて。ヨーグルトで作る時は、ヨーグルト大さじ4+水100mlを、牛乳200ml分として使用できます」ベーシックバナナジュースまずは完熟バナナで基本のジュースにトライ!材料(1人分)凍った完熟バナナ…200g牛乳…200ml作り方バナナと牛乳をミキサーに入れ、好みのなめらかさになるまでミックスする。にんじんバナナジュースβ-カロテン豊富なにんじんはすっきり爽やかな甘みが特徴!材料(1人分)凍った完熟バナナ…200g牛乳…150mlにんじん…80g作り方材料全てをミキサーに入れ、好みのなめらかさになるまでミックスする。大和田理恵さん『銀座バナナジュース』店主。『大人のバナナジュース健康法』(主婦の友社)が発売中!東京都中央区銀座3-14-4(平日12:00~、売り切れ次第終了)営業情報はTwitter(@banana5144)で。森さやかさん女子栄養大学 栄養クリニック管理栄養士。医師と提携しての指導に定評のある、ヘルシーダイエットコースで調理・栄養相談を担当。※『anan』2020年7月29日号より。写真・中島慶子イラスト・ミヤタチカ(by anan編集部)
2020年07月24日結成10周年のベストアルバム『MAN WITH A“BEST”MISSION』を聴くと改めて、MAN WITH A MISSIONがロックを軸に、バリエーション豊かな音楽性を発信してきたことと、その上で、いかにロックをやるかという強い芯を感じる。バンドを代表して、ギター/ボーカル/ラップを担当するジャンケン・ジョニーさんに話を聞いた。今ダカラコソロックノ反骨心ガ力ヲ発揮スル。「自分タチノ音楽ハ、ロックバンドノ良イトコ取リナ側面モアルンデスネ。ソノカッコ良サヤ力強サハ出シツツ、ロックバンドガ持ッテル青クササ、青春性ミタイナモノヲ2020年ニナッテモ力強ク打チ出ソウトシテテ。コノ10年間、時代ノ流レヤ背景モ踏マエタ上デ音作リヲシテキタ、ソノ悩ンダ軌跡ガ自分タチニモ見テ取レテオモシロカッタデス。我々ノルーツハロックミュージックデ、ドレダケポップナ楽曲ダトシテモ、ソノ芯ハブレテナイナッテ」歌詞においても、「革命を起こして高みへ行くんだ」というメッセージが一貫している。「自分デモ恥ズカシクナルクライ言ッテルコト変ワンナイ(笑)。『コレ何カチョット違ウンジャナイカ』トカ、『コウアッテホシイナ』ッテ思ッテイル反逆心ヤ反骨心ガ根底ニアル。ソノ気持チハ、バンドヲ始メル以前ノ音楽ニ触レタ瞬間カラ持ッテイタモノデ、未ダニ燃エ続ケテマスネ。何モ打チ負カシテナインデショウネ(笑)。瞬間瞬間デ、達成感ヤ充実感ハ幸セナクライ味ワワセテイタダイテルンデスケド、何カヲ達成シタッテ言ウホド確信ハ持テテナインデス。相変ワラズ自分タチガ、存在スルト信ジテル何カヲ追イカケ続ケテイルノカナアッテ気ハシマス。ソコガ自分タチ、ヒイテハロックミュージックノ美シイ側面ナノカナト思ッテイマス」ベスト盤にも収録されている新曲「Change the World」はNHKサッカーテーマ曲。巨大なスタジアムが頭に浮かび、闘志が燃え盛るエネルギッシュな曲だ。「童心ニ帰ッタトイウカ、初心ニ帰ッタヨウニモ思エル楽曲ニ仕上ガッタト思イマス。僕自身ノルーツデアル昔ナガラノギター、ベース、ドラム、ボーカルッテイウ形ヲ、今モウ少シドラマティックニ鳴ラスナラドウイウナンバーニスルカ考エナガラ作リマシタ。ココ10年ハ、海外デハロックバンドガヒップホップニ押サレテイル状況ガアル。今後ロックバンドハドウイウ音ヲ鳴ラスベキカヲ考エテ、素ヲ赤裸々ニサラケ出シタナンバーニナッテモイイカナッテ。今ノコロナノ状況モソウデスガ、コウイウ時ニコソ、ロックの持ツ反骨心ガ力ヲ発揮スルンジャナイカトモ思イマス」では最後に。究極の生命体であるジャンケンさんは、ステイホームにおいて、どんな過ごし方を?「ヒタスラPS4ノ『FINALFANTASY VII REMAKE』ヲヤッテマシタ。モウ3周シテマスネ。我々、CMニハ出演シテマスケド、ナゼカ曲ハヤッテナクテ(笑)。今、『あつまれ どうぶつの森』ガ流行ッテマスケド、我々ガ『あつ森』ヤッチャッタラ完全ニ癒着デショウ(笑)。絶対キャラ作ラセマスヨネ」ベストアルバム『MAN WITH A“BEST”MISSION』。最新シングル「Change the World」を含む全17曲収録。【初回生産限定盤(CD+DVD)】¥3,429【通常盤(CD)】¥2,929(Sony Music Records)マン・ウィズ・ア・ミッション“究極の生命体5匹”からなるロックバンド。2010年、ミニアルバム『WELCOME TO THE NEWWORLD』で全国デビュー。‘11年、アルバム『MAN WITH A MISSION』でメジャーデビュー。※『anan』2020年7月29日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・小松香里(by anan編集部)
2020年07月22日お腹の様子がいつもと違う…。そう感じたら、自分の手で腸を刺激する“腸もみ”を。コツを覚えておけば、凝り固まった腸がみるみるほぐれます。腸が元気を取り戻すと、便秘や下痢、むくみなどの困った症状も解消されるほか、気持ちも前向きに。いつでも手軽にできる腸もみに早速トライ!腸もみで、お腹を優しくケアしよう。腸もみは生活習慣で硬くなった腸を外側からもんで、本来のやわらかさと働きに近づける簡単かつ効果的なケア法。「外側からお腹をなでるだけで、腸のぜん動運動を促せることが医学的に証明されています。さらにもう少し深く押しもむことで血液循環が改善。腸が温まり、やわらかくなって動きが活発に。その結果、たまった便やガスを排出しやすくなります」(腸セラピスト・真野わかさん)腸が温まると免疫力や代謝もアップし、病気になりにくい&やせやすい体質に。また、腸の状態と関わりがある自律神経のバランスも整い、精神面も安定してくるそう。「腸は、心身のリラックスを司る副交感神経が優位なときに活動的になる臓器です。なので、腸もみで強い痛みを感じるほどの刺激は禁物。心地よさを感じる力加減で行うと効果が期待できますよ」緊張を解いてつかめる腸へ!1日1回、朝か夜、できるタイミングでOK。お腹呼吸横隔膜の上下運動が腸もみ前の準備体操。椅子に浅く腰掛け、腹筋に力が入りにくい姿勢に。リラックスしてお腹に両手を重ねる。息を吸い込みお腹をふくらませ、吐きながらお腹をへこませる。吐く息は吸う息の2倍の長さで行い、横隔膜の動きを意識する。お椀マッサージ小腸全体をぐるりと刺激してほぐす。椅子に浅めに座る。両手を重ね、少し丸めておへそを覆うように当てる。手の位置を変えずに自然な呼吸で時計回りにゆっくり円を描くように回し、お腹に刺激を与える。イタ気持ちいい程度の強さで行う。真野わかさんショートトップス¥8,000デニムカルゼレギンス¥9,500(共にジュリエ ヨガ アンド リラックス TEL:03・6690・2925)※『anan』2020年7月22日号より。写真・中島慶子スタイリスト・白男川清美ヘア&メイク・高松由佳モデル・横田美憧取材、文・熊坂麻美(by anan編集部)
2020年07月19日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、産休中だからこそ出会えたいい女を実演する“おめでた編”。今回は、住む街を楽しむ女性、「ご近所情報を教えてくれる女」になりきり。近所の魚屋さんと話して、街に馴染めたと感じました。この間、予防接種で出会ったお母さんに住んでいる場所を伝えると、「私も前にそのあたりに住んでいて、知っているかもしれませんが、あの路地を曲がったところにお魚屋さんがあるんですよ」と教えてくれました。普段、美味しいお店を教えてもらうことはあるかもしれないけれど、近所の魚屋さんの情報を聞けることって、なかなかないですよね。ネットでよく紹介されているようなお店ではないし、『サザエさん』みたいな世界だと感じました。すぐに行ってみたのですが、店主の方に「どこから来たの~?」と聞かれ、話しているうちに、“この街に住んでいいんだ”と認められた気がしました。ほかにも、八百屋さんや、「このスーパーにあるパン屋さんのロールパンが美味しいよ」という情報も教えてくれて、仲間に入れた気持ちがして嬉しかったです。東京で暮らしていると、隣の家の人を知らなかったりすることもあるので、すごくいいと思ったし、ご近所さんは作るべきだなと感じました。それに、情報交換ができることはもちろん、災害など大変なことが起こった時に助け合えるのも大事ですよね。そう思って、同じマンションの人には会ったら挨拶をしようと決めています。ご近所さんと情報交換をするためにも、まずは、自分が住んでいる街のことやその周辺の事情をきちんとしっかり知っておくことが大事。お散歩をして小道に入ってみたり、キョロキョロしながら歩いてみましょう。また、自分なりの「食べログ」じゃないですが、頭の中に美味しかったお店のリストやマップを作ったりしておくと、会話も盛り上がりそうです。地元のお店にきちんとお金を落とすことも、地元に馴染むためには大切ですよね。せっかく住むのだから街を楽しみましょう~!よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。婚活で培ったテクニックをまとめた著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。2月に第一子を出産。※『anan』2020年7月22日号より。写真・中島慶子文・重信 綾(by anan編集部)
2020年07月18日便秘、下痢、お腹の張り…。腸トラブルに直面したら薬を飲む前に腸もみで外側からアプローチ。少ない回数から無理なくトライし、習慣づけるのがベスト。トラブル別に、しっかり腸もみ!POINT1:まず1回やってみて、できそうなら3~5セット行う。POINT2:大腸もみ以外の手の形は、第一関節を重ねて上写真のように。TROUBLE1:便秘でカチコチ!大腸もみお通じがご無沙汰の人は、わき腹をつかんでもんで大腸をほぐして。腸の動きが活発になり、ウエストがくびれやすくなるメリットも!1.右の腰骨から上に向かって3か所もむ。2.左の肋骨下から下に向かって3か所もむ。大腸の流れに沿ってもむのがポイント。まず右の腰骨の上をつかんで押し込み、親指の位置はそのままで4本の指を少しずつ上にずらして刺激。同様に、左の肋骨下から腰骨に向かってつかみもむ。押し込むときにゆっくり息を吐く。TROUBLE2:ガスでぱんぱん!横行結腸もみ流れが滞りやすい大腸の左右のコーナーと横に走る横行結腸をほどよく刺激。腸を動かして、たまったガスを放出しよう。1.肋骨の下をハの字になるように3か所押していく。みぞおちから少し右下に手を置き、息を吐きながら指の腹でゆっくり押す。肋骨に沿ってポイントを右下の方向へずらしていき、3か所刺激する。左側も同様に行う。指を立てたり押し込みすぎないように注意。TROUBLE3:出し切れずにもんもん…。S字結腸もみ出そうで出ない、左の下腹部が硬い「ふんづまり」気味のときは、便がたまりやすいS字結腸付近をていねいにもんで便通を促そう。1.左骨盤の内側を回しながら押す。左下腹部の奥にあるS字結腸を刺激する。左骨盤の内側のぐりぐりした場所を、息を吐きながら両手の指の腹でもみほぐす。便がたまって硬くなったS字結腸に響き、排泄が促される。痛みを感じたら、強さを加減して行う。TROUBLE4:水でタプタプ…。リンパ流しお腹のタプタプは水分の摂りすぎや代謝ダウンが原因。余分な水分をためないようお腹まわりのリンパを流してスッキリ。1.お腹にしっかり手を密着させ、ゆっくり鎖骨までさすりあげる。2.左の鎖骨を右手の人差し指と中指ではさみ、外側へと流す。両手でおへそを覆い、手のひらまでしっかりお腹に密着させる。そのまま胸の間を通り、鎖骨までさすりあげる。仕上げに右手で、全身のリンパ液が流れ込む左の鎖骨に流す。バランスが気になる人は、右の鎖骨も外側に流す。TROUBLE5:お腹がキュルキュル。腸まわりさすりお腹がゆるいときは、腸が過活動&過緊張の状態。大腸の周りを優しくさすって深呼吸して、落ち着かせよう。1.右の骨盤の内側から時計回りに大腸の外周を、四角を描くようにゆっくりさすり、深呼吸する。大腸の始点である右の骨盤の内側に両手を当て、大腸の外周(お腹に手を当てた外側)に沿ってゆっくりさする。あまり刺激を与えずなでるように行い、深呼吸を繰り返すことで、腸の緊張がやわらいで自律神経も整っていく。真野わかさんショートトップス¥8,000デニムカルゼレギンス¥9,500(共にジュリエ ヨガ アンド リラックス TEL:03・6690・2925)※『anan』2020年7月22日号より。写真・中島慶子スタイリスト・白男川清美ヘア&メイク・高松由佳モデル・横田美憧取材、文・熊坂麻美(by anan編集部)
2020年07月18日「出ない」「弱い」を調整するためにも、腸を動かす習慣をつけることが大切です。朝晩に毎日したいヨガから、隙間時間にできるものまで紹介。腸ヨガをマスターして、腸力のベースアップ。トラブルに負けないお腹まわりをしっかり作ろう!ポイントは呼吸と背骨。腸の刺激に効果てき面。ヨガトレーナー、そして管理栄養士として腸内環境改善法に詳しい岡清華さん曰く、「まずはヨガの基本でもある深い呼吸が重要です。それにより副交感神経が優位になり、腸の働きが促されるのはもちろん、横隔膜を大きく動かすことで、腸へのほどよい刺激につながります。また、自律神経の通り道である背骨にも要注目。腸の活性化には、背骨を動かすことも効果をもたらします」ポーズに関しては、腸やその周辺の筋肉を、伸ばす、縮める、そしてぎゅっとねじることが腸機能アップのポイントに。こうした基本のケアのほか、デスクワークの合間に座りながらできる腸ヨガや、不調を改善するための症状別のヨガも紹介。岡さん本人が、わかりやすく実演!腸のスイッチをオン!毎日したい3つのこと。朝の呼吸【10~20回】一日の始まりに、肺を大きく広げて深い呼吸を形状記憶。全身に酸素を届けて、目覚めもシャキッと。床に座り、肋骨に手をあてる。目をつぶって鼻から大きく息を吸い、肋骨が広がるのを感じたら、「ふっ、ふっ」と10~20回に分けて鼻から強く息を吐く。夜の呼吸【6回】夜の呼吸は、吸うよりも2倍長く息を吐くことを意識。寝る前に副交感神経を優位にするのが狙い。両鼻から息を吸い、左を閉じて右から6秒吐く。右の鼻から3秒吸ったら、両方の鼻を閉じる。左を開けて左の鼻から6秒吐く。6ラウンド行おう。整腸のポーズ【朝夜の呼吸とセットで】朝、夜のどちらかに1日1回とりたいポーズ。腸が最も動きやすい位置に整い、肛門の向きも正常に。便意が促せる!足を腰幅より少し広めに開いて立ち、つま先は外側に向ける。手は胸の前で合掌。お尻が床に近づく程度に深くしゃがみ、恥骨を前に出すようなイメージでキープ。腰骨はまっすぐ立てる。膝の内側に肘をつけ、肘と膝を押し合い、胸を開く。岡 清華さんヨガトレーナー、管理栄養士。ヨガやアーユルヴェーダの情報を発信する「MOTHER」主宰。アーユルヴェーダ指導者養成講座を開催中。※『anan』2020年7月22日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣取材、文・保手濱奈美(by anan編集部)
2020年07月17日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「検察」です。権力を持つからこそ、独立した存在であるべき。著名人も含め多くの反対の声がTwitter上にあがった「検察庁法改正案」は、今国会では廃案となりました。定年延長が問題になっていた黒川弘務東京高等検察庁検事長は、緊急事態宣言のさなかに新聞社記者らと賭け麻雀をしていたことが発覚し、5月に辞職しました。検察官とは、検事と副検事を指します。法律違反を犯した人を逮捕するのが警察官。逮捕された人が、本当に罪を犯したのか、裁判にかけるに値するかを調べるのが検察官。法律に照らし合わせて刑を定めるのが裁判官です。日本では、犯人を起訴できるのは検察官のみ。日本の裁判は無罪率が低いといわれますが、それは、検察が裁判に勝てると踏んだものしか起訴しないからです。性犯罪のように、密室で行われて証拠をそろえるのが難しいものは起訴されないことが多い。伊藤詩織さんの例がまさにそうです。刑事訴訟で争うことができず、民事訴訟を起こし、ようやく一審で勝訴できました。かつて、郵便不正事件で厚生労働省の元局長の村木厚子さんが無実の罪に問われ、長期間拘留された事件もありました。検察が事前に用意したストーリーに沿って裁かれていくというのは、とても怖いことですよね。それくらい検察官の権限はすごく大きいんです。その検察庁の人事を、時の政府が強く握るというのはやはり危険です。そうなれば検察官は自分の生活や出世のために、政権に擦り寄る可能性があります。また政府が敵とみなした人を、検察が簡単に起訴することもできるようになってしまいます。それらを憂慮し、多くの人が反対を述べ、改正案は見送られました。一方で、国家権力にも相対してメスを入れることもできる存在なので、検察はやはり独立した存在でなければいけません。正義の検察が暴走しないよう、私たち国民は常に監視しておく必要があります。実際の監視役はメディアが担うべきでしょう。それなのに、雀卓を囲み、検察と新聞記者がずぶずぶの関係だったというのは残念でなりません。一緒に食事をしようが麻雀をしようが、正義に反することが起きたときには、ペンの力で刺してほしかったと思います。堀 潤ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。3月に監督2作目となる映画『わたしは分断を許さない』が公開された。※『anan』2020年7月22日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2020年07月16日「世界は壊れはじめている」。そう言われたら絶望する?それとも?香月夕花さんの『昨日壊れはじめた世界で』は、思い通りにいかない人生を見つめ直す大人たちの物語。ままならない人生と向き合いながら、小さな一歩を踏み出す大人たち。40代の大介は幼馴染みと再会し、小学生時代の出来事を思い出す。同級生4人と忍び込んだマンションの最上階で、住人の男に「世界はもう、昨日から壊れはじめている」と告げられたことがあったのだ。「発想の発端は、よく言われる“自己責任”という言葉です。人はいつどこで生まれてどんな能力を持つのか選べないのに、それを責める人が多いと感じていて。ままならない状況の中でも生きる人たちを描いて、読む人にその大変さを追体験してもらいたいなと思いました」大介をはじめ、大人になった彼らの視点から今と過去が描かれる連作短編集。なかには大介に存在すら忘れられていた恵という女の子もいる。「実は最初に構想したのは4話目の恵の話です。ないものにされている人の話を書こうと思いました」マンションの住人の男については、「私は神様の存在を信じているわけではありませんが、もしも神様が実際にいたらどんな人だろう、と考えました。その神様が“世界をうまく作れなくてごめんね”と自分で言っているわけです」大人になりその言葉を思い出した彼らは、自分の今とどう向き合うか。たとえば大介については、「私は人間の条件のひとつは理性があること、もうひとつは自分から何かに愛情を向けられることだと思っていて。大介は理性的な人間ですが、自分から何かを大事にしようとはあまり思っていなかった。そんな彼が2つ目の条件を手に入れていく話にしようと思いました」また、印象的に残るのは幼い頃から窃盗癖のある稔が出会う女性・絵麻の言葉。〈(世界は)一度は、本当に壊れたのかもしれません。でも今は、また別の世界があります〉現実世界の残酷さと同時に希望を描く香月さん。意外にもデビュー前は幻想的な作品を書いていたという。「ある程度生きていると、現実を見たくなってきて。人生は難しいし生まれてくる意味なんてないのかもしれない。でも、何かひとつでも、大事にできるものを見つけられたら」そんな思いが詰まった作品だ。『昨日壊れはじめた世界で』家業を継いで書店を営む大介は、妻子とのすれ違いという問題を抱えている。そんな折、幼馴染みと再会、小学生時代のある出来事を思い出す。新潮社1750円かつき・ゆか作家。1973年、大阪府生まれ。京都大学工学部卒業。2013年に「水に立つ人」で第93回オール讀物新人賞を受賞。著書に受賞作を含む短編集『水に立つ人』、『永遠の詩』がある。※『anan』2020年7月15日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2020年07月14日歌手の中島美嘉(なかしま・みか)さんが、2020年7月12日にインスタグラムを更新。自撮りショットを公開し「美しすぎる」と話題になっています。中島美嘉の自撮りに「反則やろ…」この日、中島美嘉さんはお出かけついでに都内にある有名スポットで自撮り!美しいおでこが丸出しになったマスク姿を、投稿の2枚目で公開しています。※画像は複数あります。左右にスライドしてご確認ください。 View this post on Instagram A post shared by 中島美嘉 (@mikanakashima_official) on Jul 12, 2020 at 3:06am PDT周囲は人がまばらですが、中島美嘉さんは「少し恥ずかしい」と視線を気にしている様子。するとファンは「えっ…きれい」「反則やろ!」と自撮りショットを絶賛しています。・美しすぎでしょ!オーラが半端ない!!・髪型、めっちゃ素敵。いきなりの自撮り、嬉しいよ!!・いつも、ここを通る…。会いたかったなー。ちょっとミーハーな自分に照れていた中島美嘉さん。そんなお茶目な一面もかわいらしいですね。中島美嘉が離婚したのは夫の『とある習慣』が原因?引退も考えた過去を明かす[文・構成/grape編集部]
2020年07月13日結婚はいつかするものという価値観は、もはや“古風”なのかもしれない。2040年には日本の人口の約4割が独身になるというのだから。なつみ理奈さんの『ソロ活!』はソロ活シェアハウス“ソロ門”が舞台だ。幸せのカタチは人それぞれ。“結婚しない”という生き方を問う。「人と話すのが好きでいろんな方と接するなかで、結婚せずに人生を豊かに過ごしている人と出会う機会がありました。その方たちが結婚より優先している人生の豊かさとはなんだろう?と考えたときに、これは面白いテーマだなと感じました」と話すのは作者のなつみ理奈さん。主人公の田中紫陽花(あじさい)は、32歳のキャリアウーマン。親からは結婚を期待され、自分もやはりそのうち結婚するものだと思い込んでいる。「結婚しない選択は理解していても、自分が将来も未婚である可能性は想定していません。選択の幅を無意識に制限しているところから脱却してほしいという気持ちを込めました」紫陽花は会社の新規プロジェクトとして、単身でも充実した人生を送る「ソロ活」を調査することに。行動力のある彼女は、男性だけが暮らすソロ活シェアハウスに取材の一環で住まわせてもらうことになり、さまざまなタイプのソロ活者と出会う。「できるだけ実際のソロ活者に話を聞いてモデルにしつつ、選択してソロになった前向きな人々の生き方を見せていきたいと思いました。ただしソロ活を勧めたいわけではなく、こういう生き方もあるという紹介なので、先々に起こる課題も取り上げています。それらを作中のキャラたちがどう対処しているのかまできちんと描きたくて、勉強もしました」シェアハウスのオーナー兼住民である城尾秋人(あきと)も、葬儀屋の跡取りとしてソロ活をリサーチしていて、ふたりはお互いに信頼を抱くように。「仕事のために結婚しない道を選んでいる城尾もまた、選択肢を制限しています。自分の気持ちを優先させていないふたりが、お互いに干渉し、何が大切かを考え、生き方に大きな影響を与え合う、そんな不思議な縁を描こうと思いました」ふたりは自分の気持ちと向き合ったうえで、結婚するか否か、納得のいく選択をすることができるのか。「タイトルからは結婚するか迷っている人向けのように思えますが、結婚をしたい人、今はそのつもりがない人、迷っている人、すべての人に読んでほしいです。生き方の選択肢を広げる作品でありたいと同時にソロで生きる人たちの強さとかっこよさを楽しんでいただきたいです!」『ソロ活!』ソロ活シェアハウス“ソロ門”で紫陽花が出会うのは、夢を追う人、4回離婚歴のある人、自室にこもる謎の人…。彼女の価値観はどう変わるのか。全3巻。双葉社620~650円©なつみ理奈/双葉社なつみ・りなマンガ家。2015年『ハーフ&ハーフな女たち』で連載デビュー。双葉社より新連載準備中。Twitterで最新情報を発信。@natsumidaff※『anan』2020年7月15日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2020年07月10日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、産休中だからこそ出会えたいい女を実演する“おめでた編”。今回は、役立つアドバイスをする女性、「後悔ポイントを教えてくれる女」になりきり。欠点を知っているのは、アイテムを熟知している証。最近、旦那と“マイホームをどうするか”という話をするようになりました。他の人はどんな家を建てているんだろうと気になり、インスタグラムを見ているのですが、本当にいろいろなタイプが出てきて面白い。特に、「#マイホーム後悔ポイント」というハッシュタグがあるのですが、それがついた投稿は、本当にタメになります。「ここをこうしてよかった!」という自慢話より、「もっとこうしておけばよかった」というエピソードの方が参考になる。たとえば、「クローゼットとドアの高さがずれているのが気持ち悪い」とか、「雨の日に自転車が置けるように、土間を広くしておけばよかった」など、家を建てたことがある人だからこそわかる情報が詰まっています。めちゃくちゃ「いいね!」を押しています(笑)。自分が失敗したことは普通なら隠したいものなのに、言いづらいことを教えてくれるのがありがたい。めちゃくちゃきれいな家の人が、後悔ポイントを教えてくれるというギャップもいいです。そもそも、家という日本の地図に載るものを作ったこと自体がすごいのに、失敗したところまで教えてくれるなんて心が広いですよね~。これは、家だけじゃなく、買ったものすべてに言えることだと思うんです。私は、「がオススメ」という人に、「欠点はどこですか?」と聞くようにしているのですが、その質問に答えられるというのは、アイテムをきちんと使っている証。欠点を知り、我慢できるかを考えて購入します。だからこそ、普段から「ここはよかったけど、ここはこう」と、買ったアイテムに向き合い、長所と短所の両方を言えるようにしておくことが大事。買い物での失敗も減るし、人に聞かれた時にいいアドバイスもできるはずです!よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。婚活で培ったテクニックをまとめた著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。2月に第一子を出産。※『anan』2020年7月15日号より。写真・中島慶子文・重信 綾(by anan編集部)
2020年07月10日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「9月入学」です。コロナ禍では無理。じっくりと時間をかけて再考を求む。学校の入学・始業時期を4月から9月にする案は「今年度・来年度のような直近の導入は困難」と、見送られることになりました。9月入学制度はこれまでにも何度も議題にのぼっています。世界ではアメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ベルギー、トルコ、モンゴル、ロシア、中国などの国が9月入学制度を導入しています。日本も明治維新後、西洋の教育を導入した当初は9月始業でした。ところが、国の会計を4月~3月を一年とする年度制を採用したこと、徴兵制の始まりなどから4月始業に変わり、今に至ります。今年、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために学校の休校が続き、授業の遅れが問題になりました。そんななか、高校生のツイートをきっかけに、全国知事会から国へ9月入学の検討要請があり、安倍首相も「有力な選択肢の一つ」とコメント。いったん検討し始めたのですが、実際に導入するとなると、初年度の入学生徒数が半年分増加し、大量の教員不足が生じてしまうこと、また、保育所の入学待機児童数が増大すること、システムやカリュキュラムの再編など、拙速な対応は無理と判断されたのです。このコロナ禍で、ただでさえ問題が山積するなか、大きな改変をしようとしたのは現場の声を無視した行動だったと思います。授業の遅れを取り戻すことが目的なら、感染者数は地域によって差がありますし、全国一律にすること自体がナンセンスなのではないでしょうか。4月でも9月でも、いつ学校が始まっても継続してきちんと教育を提供できる仕組み作りを議論するべきなのではないかと思います。日本は会社も年度ベースなので、学校の始業時期をずらせば就職にも影響が及びます。会社を通年採用に変え、大学も途中入学を許すなど、個々のスタイルに合わせた社会設計が必要になるでしょう。世界の学校制度はもっと柔軟です。イギリスは年に3回、入学の機会がありますし、フランスでは家庭での義務教育の就学も可能になっています。また、海外は飛び級制度も広く採用されていますね。日本もこれを機に時間をかけて議論し、右に倣えではない、多様な学校制度へと見直してみてはいかがでしょうか。堀 潤ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。3月に監督2作目となる映画『わたしは分断を許さない』が公開された。※『anan』2020年7月15日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2020年07月09日出会ってから3回目のデートで告白!せっかちを自称する横澤夏子さんならではの、スピード感を誇るアプローチ術をご紹介。恋愛&婚活はもちろん、日常生活でも役立つヒントがいっぱいです。出会い第一印象はお高くない女。初対面では気楽なムードを醸し出すことが重要。「華やかに着飾ると、どんな店に連れていけばいいか迷うからNG。仕事帰りに誘えそうなカジュアル系の女性はモテます!」(横澤さん)聞きにくい質問を自然に!キラークエスチョン。既婚・未婚や金銭感覚などのパーソナルな要素は、アプローチ前に知りたいけれど直接聞くのは憚られる面も。「探っているとバレずにさりげなく炙り出す、とっておきの質問がこちら」【彼女・妻子持ち?】朝ごはんは会社の近くで食べてるの?「朝から家で目玉焼きとかサラダを食べてる人は、家庭が存在してる可能性アリ。最近の夜ごはんを聞いてコンビニや外食が入ってこない場合もムムッ。単に自炊好きの場合もありますが」【金銭感覚は?】コンビニのアイスは何をよく買う?「年収よりもわかりづらいのがお金の使い方。“バニラに280円出すんだ”とか“あたり付きのアイス買っちゃうの好感度高い!”など、好きなコンビニアイスで経済感覚が大体わかります」【家族関係は?】家族とどれくらいのペースでごはん食べてる?「盆暮れ正月には帰省しているくらいがちょうどよさそう。仲良すぎても大変ですが、私は家族とそれなりに仲がいい人と結婚したかったので、そこの距離感はすごく大切にしていました」繋がる~交流アイコン?エアドロップ?さりげなく連絡先を入手しよう!「“アイコンで性格がわかるんだよ”と占いを装い、LINEを開いてもらった流れで連絡先を聞くと自然な印象に。一緒に写真を撮り、“エアドロしてないから送り先教えて”と言う技も」話が盛り上がる“し・た・し・げ”。「会話に困った時に役立つのが、“し(出身地)・た(食べ物)・し(仕事)・げ(芸能)”の話題。誰とでもトークが弾む上、なにげない回答から相手の生活や共通点が探り出せるんです」し(出身地)出身地を持たない人はいないため、聞けば何かしらの展開が見込める鉄板ネタ。「浦和ならサッカーとか、その土地について知っているワードを3つくらい出せば必ず会話が弾みます」た(食べ物)定番中の定番である食べ物の話題は、関係を進展させる絶好のチャンス。「好きな食べ物を聞き出し、“の美味しいお店を知っているのでぜひ行きましょう”と次のデートに繋げて」し(仕事)「大人の男性なら基本的に仕事しているから話に事欠かないし、無職回避のチェックにもなる(笑)。職業を聞けば土日休みなど相手の勤務形態がわかるので、誘いやすさがアップ!」げ(芸能)「ドラマやバラエティなど、好きなテレビ番組を聞くのが私の常套手段。“金曜の夜8時に家にいる人なんだ”とか、見ている番組の時間帯で相手の帰宅時間や生活リズムがわかります」デート“捨て誘い”をせよ。「気軽に誘える相手だと思わせるには、こっちから『今日飲みに行きません?』と断られてもいい“捨て誘い”を入れる作戦が有効。2回くらいジャブを打てば誘い返してくる可能性アリ」名残惜しい女になる。「もっと話したかった!またね!」「ダラ飲みして話すことがなくなるより、このセリフとともに2軒目で去るのが正解。かぐや姫的な引き裂かれ感を演出し、相手の気持ちを盛り上げて」。長く過ごすのは付き合ってから。告白仮定プラス大胆な質問で相手を意識させて。本気の告白の前に仕込んでおきたいのが、冗談めかしたライトな告白。「ドキッとさせて恋愛対象として見ていることを相手の脳裏に焼き付けて。次第に向こうも意識し始めるはず」究極の3択で一気にゴール!真剣告白は3回目のデートで。「結婚・交際・会わないの3択から選んでもらうことで、他と比べてソフトな“交際”を選択しやすくなるんです。ここで選ばない相手なら次に行くべし!」よこさわ・なつこ1990年生まれ、新潟県出身。2009年にピン芸人としてデビュー。テレビや劇場などで幅広く活躍し、2016年にR-1ぐらんぷりのファイナリストに選出。著書『追い込み婚のすべて』(光文社)では、21歳から始めた婚活の経験と結婚までの軌跡が赤裸々かつユーモラスに綴られている。ブラウス¥9,500スカート¥14,500(共にLADYMADE TEL:03・6433・5786)その他はスタイリスト私物※『anan』2020年7月8日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣スタイリスト・大瀧彩乃取材、文・真島絵麻里(by anan編集部)
2020年07月06日婚活パーティに参加すること実に100回以上。様々な経験で築き上げた独自のルールのもと、幼い頃からの夢だった結婚を成し遂げた横澤夏子さん。誰よりも強い信念で愛と幸せを手に入れた彼女から恋の哲学を学んで。恋愛は場数がモノをいう。足を止めず、前へ前へGO!私、親からずっと「好きな人がいたらすぐに結婚しなさい」と言われて育ったんです。その影響で、小さな頃から人を好きになると結婚を意識。せっかちですよね(笑)。学生時代は7年間同じ人に片想いしていたんですが、想った年月が重さに変わりなかなか成仏できなくて。なので、上京後は好きでいる期限を決めることにしたんです。ズルズル行くと時間がもったいない。“今年の汚れ、今年のうちに”と同じように、毎年年末になるととりあえず告白。さっぱり終わらせて次に進んだ方が、自分のためになると思ったんですよね。本格的に婚活を始めたのは21歳の時。出会いがないと知り合いの女性に言ったら、「それはただのサボり。5年経つごとに誘われる数は半分になるから、今すぐ婚活しろ」と言われて。当時の誘われる回数がゼロだったので、永遠にゼロじゃんって思いましたけど(笑)。それはともかく、その頃から自然に任せず、自分で出会いをつかみに行く姿勢に変わりました。合コンは恋愛願望の有無など確認事項が多いので、せっかちな私は結婚に前向きな人しか来ない婚活パーティに行くことに。自分からガツガツ行くなんて…と思う人もいるだろうし、私も以前は運命的な出会いに憧れていました。でも婚活パーティだって人間が主催しているんだから、ある意味“知人の紹介”。それも運命だし、ストーリーにはなるなって思ったんです。この“ストーリーだと思い込む”っていう技はすごく使えて、婚活でヘコんだ時はドラマ風に「夏子は落ち込んだのであった。この後未来の夫に出会うとは知らずに…」とナレーションをつけるんです。“今は最終回前のちょっと泣かせる回なのね”と思うと、自分のドラマの来週が楽しみになって頑張れるんですよ。それと、私のケツを叩いてくれる女友達の存在もモチベーションになっていましたね。彼女らに会う時に“恋バナがない”と言いたくないがために動いていた感じでした。結局、結婚相手に出会うまでに100回以上婚活パーティに通ったんですが、続ける中で相手に求めるものが精査されていきました。最初は背が高い人を希望していたけれど、実際にそういう人に会っても“なんか違う…”と感じたり。少しずつ理想が削ぎ落とされて、80回目くらいで“好きでいてもらうために頑張るのは疲れるから、とにかく気が合う人がいい”という結論に達したんです。というのも、デートまで漕ぎ着けても2回目に繋がらないことって多いんですよ。そういう時は「私とは合わなかったんだな、早くフってくれてありがとう」と思っていました。婚活のリミットを自分に設けていたので、常にラストスパートをかけている感覚だったんです。そうやって1000人ほどと会い続け、ようやく出会ったのが今の夫。話した時に感覚が近く、こちらが緊張しない程度に面白くないトークがちょうどよかった(笑)。今までの恋愛遍歴を振り返ると、場数を踏みまくったことが成功のカギだった気がします。お笑いの先輩に「舞台は場数を踏めば絶対にうまくいく」と言われたことがあるんですが、恋愛も同じ。ケースバイケースの経験を積むほど、対応力がついていく。だから、目の前の相手は練習だと思うくらいがいいのかも。重く考えない、停滞しない。フットワーク軽く前へ前へと進めば、きっと道は拓けるはず!よこさわ・なつこ1990年生まれ、新潟県出身。2009年にピン芸人としてデビュー。テレビや劇場などで幅広く活躍し、2016年にR-1ぐらんぷりのファイナリストに選出。著書『追い込み婚のすべて』(光文社)では、21歳から始めた婚活の経験と結婚までの軌跡が赤裸々かつユーモラスに綴られている。ブラウス¥9,500スカート¥14,500(共にLADYMADE TEL:03・6433・5786)その他はスタイリスト私物※『anan』2020年7月8日号より。写真・中島慶子スタイリスト・大瀧彩乃取材、文・真島絵麻里(by anan編集部)
2020年07月04日山下紘加さんの『クロス』は、既婚者の〈私〉こと市村ゆうじが、同じビルで働く不倫相手の愛未(まなみ)とふざけて女装してみたのをきっかけに、自分の性のありようやアイデンティティに迷っていくさまを刻々と追う、衝撃作だ。ゆうじは、女装しているときは〈マナ〉と名乗っている。物語は、マナとバーで出会った恋人タケオとの濃厚なセックスシーンから始まる。「私自身が異性愛者なので、異性装者や同性愛者の心理を、感覚的にはわかる部分もあるけれど、本質から理解するのは難しいだろうなと。その『わからなさ』をむしろ大切にして書きたいと思いました」LGBTQをモチーフにした小説は増えてきたし、その切り口に、作家の個性も垣間見える。本書では、自分を異性愛者だと思っていた既婚男性の揺れる気持ちがつぶさに拾われているところに瞠目する。「女装趣味やゲイをカムアウトしている人たちのノンフィクション番組などを見ていると、自分の性自認や性的指向がはっきりしているんですよね。けれど、誰もがそこまで明確に自分の性別や性の対象を意識してないと感じていました。ならば、主人公が己の性に身も心も揺れていくさまを書くことで新しさが生まれるのではないかと思ったんです」この作品のために取材もした。二丁目の女装クラブや、女装愛好者のためのSNS、女装パフォーマーとして活躍中のブルボンヌさんからのレクチャーなど。クリスチャン・ザイデル著『女装して、一年間暮らしてみました。』(サンマーク出版)には、強く影響を受けたそう。「異性愛者で妻もいる彼が、女性の服を着て生活し、どんな心境の変化があったかをありのまま綴ったノンフィクションなんですが、ストッキングのような女性のアイテムを身につけただけで、心のありようが変わるのが興味深かったです。一方で、私自身も女装している人たちと話をしていると、女の子と普通にはしゃぐような気持ちになるのが不思議」ゆうじの目を通して観察される、タケオや妻の典子、大学時代からの先輩・澤野らの反応に、共感も反発も新しい発見も生まれるだろう。簡単には噛み合わない、性と自分らしさと幸福感。その深淵をのぞき込むような一冊だ。やました・ひろか1994年、東京都生まれ。2015年、ユリカと名付けたラブドールへの恋慕に依存していく少年の、危うい心理を繊細に描いた「ドール」で文藝賞を受賞。同年デビュー。『クロス』警備会社で働く28歳の〈私〉はタケオと名乗る美しい男性と出会い、女装した姿でのセックスに溺れていく。〈私〉の思いの行方は。河出書房新社1600円※『anan』2020年7月8日号より。写真・土佐麻理子(山下さん)中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2020年07月04日ねむようこさんの『神客万来!』は洋館のホテルを舞台に、訪れる人たちと新人客室係のやり取りを描いた物語…と書くと不思議なところは特にないが、このホテルの特徴はお客さんが人間ではないこと。1日1組限定で、神様やおとぎ話のキャラクターなどが願いごとを叶えにやってくる、“人外専門”ホテルなのだ。超有名人ばかりが訪れるそのホテルの人気の理由は?「アイデア自体は担当さんからいただいたのですが、私がちょうど妊娠中で過渡期だったこともあり、今まで描いてきた恋愛モノや仕事モノはちょっと違うかもと迷っていたんです。ファンタジーはもともと好きだし、面白い絵がたくさん描けそうだったので、魅力的に感じました」訪れるのは、お供え物よりジャンクフードが好きな五穀豊穣の神様や、見た目はいかついけれども可愛いものが好きなドラゴン、ずきんを脱ぐと地味になる赤ずきんちゃんなど。「大事にしているのは誰もが知っているキャラクターで、共通のイメージがあること。知っているつもりでも意外な悩みを持っていたりして、人間じゃないけど人間くさい一面を描けたらいいなと思っています。たとえば桃太郎なんかも勇ましくて頼りになるイメージがありますが、ちょっと残念なイケメンにしてみたりなど、楽しみながら描いてます」超VIP(?)たちのお相手を務めるのが、どんなホテルなのか何も知らずに働き始めた、みちる。訪れる客に驚き、振り回されながらも、さまざまな要望に応えていく。「ファンタジーは自分で世界を作ることができるのが魅力ですが、その世界のルールにほつれが見えた瞬間に、読む人は興ざめしてしまうのが難しいところ。それと自分でも面白いと思うのが、作画のしかたがいつもと違うんです。リアルな女性像を描くようなマンガだと、ポーズとかを写真で撮って参考にして、絵もリアリティを重視していたのですが、今回はその作業があまり必要ないというか、イメージを大事にしたほうが描きやすいんですよね」もうひとつ、マンガを描くうえでの心境にも大きな変化が。「今までは、求められていることを必死にすくい取っていたのですが、普段思っていることをもうちょっと作品に落とし込んでもいいんじゃないかなって思うようになっています。その点でも、ファンタジーは気持ちを乗せやすいのかもしれません」珍客たちの意外な素顔に加え、ねむさんの新たな一面も楽しめそう!『神客万来!』1客層もおもてなしも少々特殊な、ツバメ屋ホテル。家族経営のこのホテルでそもそもなぜ、みちるは働くことができたのか…。『週刊漫画TIMES』で連載中。芳文社620円マンガ家。2004年『FEEL YOUNG』でデビュー。女性誌・青年誌などジャンルを問わず活躍。近著『君に会えたら何て言おう』は妊娠・出産がテーマ。©ねむようこ/芳文社※『anan』2020年7月8日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2020年07月03日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「新型コロナ支援策」です。官民ともに、多岐にわたる支援。有効利用して。外出自粛要請により、仕事が減り、経済的に厳しい状況に追い込まれた方が大勢います。1人10万円の特別定額給付金制度や、中小企業やフリーランス向けの持続化給付金のほかにも、新型コロナウイルス感染症の支援策はたくさん発表されています。内閣官房のHPには、それらをまとめたリストが見られます。「収入減により住宅を失うおそれがある」「アルバイト収入減で学業継続が困難」など、それぞれの問題に対して相談窓口を記しています。事業者向けには、経済産業省がLINEアプリを使用して支援メニューを紹介しています。「経済産業省新型コロナ事業者サポート」(ID:@meti_chusho)を友だち登録すると、「給付金」や「資金繰り支援」などの項目が出てきて、詳細がわかるようになっています。民間では「マネーフォワード」という、会計アプリサービスを提供している会社が、事業者、個人向けの支援情報をサイトにまとめました。「失業した」「生活が苦しい」「家賃が払えない」「子育て世帯」など、フローチャートで自分に合う支援を探せるので便利です。支援策の具体例は、たとえば社会福祉協議会では、コロナの影響で休業し、一時的に生計維持にお金が必要になった事業主に対し、「緊急小口資金」として、無利子で20万円以内の貸し付けを行っています。緊急融資なので申請受理から10日以内に振り込まれます。また、失業するなど収入減少で生活費に困った人には、「総合支援資金」として、2人以上の家庭には月20万円以内、単身者には月15万円以内の貸し付けが可能に。コロナ禍の深刻な状況ですから、「返済の見込みが立たない」と臆さずに、とりあえず相談してほしいとのことです。電気、ガス、水道料金も、支払期限の延長をそれぞれの事業者が受け付けています。携帯電話の大手3社は2月末までの支払期限を6月末まで延ばしていました。困っているという声に対して、国も自治体も柔軟な対応に努めています。支援情報は日々更新されますので、頼れるところは頼って、身を守ってください。堀 潤ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。3月に監督2作目となる映画『わたしは分断を許さない』が公開された。※『anan』2020年7月8日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2020年07月03日昨今のベストセラーリストに必ず食い込んでいるのが現代の哲学書や思想書。そのブームを分析し、おすすめの本を選書してくれたのは、2015年からロングセラーを続けている『哲学用語図鑑』の編集者で自著も持つライターの斎藤哲也さん。クールな思想家たちが牽引する、イケてて面白い哲学&思想書に注目。「日本の将来の不透明さがもたらす危機感や不安から、物事を根本的に問い、考えようとする書物に手を伸ばす人が多くなったように感じています。メジャーなビジネス誌が哲学特集を組むのもその表れでしょう」昨今の思想家たちはイケメン揃いなところもハートをくすぐられる。「最近は、ハラリやガブリエルのようなテレビによく登場するスター思想家が出てきました。佇まいもカッコいい彼らの本は総じて読みやすく、語られている内容も刺激的です」『21 Lessons21世紀の人類のための21の思考』ユヴァル・ノア・ハラリ著柴田裕之訳河出書房新社2400円世界的なベストセラーとなった『サピエンス全史』で人類の過去を、『ホモ・デウス』で人類の未来を説いた著者が、現在に焦点を当てて書いた最新刊。「雇用、自由、平等、ナショナリズム、移民、ポスト・トゥルースなど、現代人が直面している課題を明晰に整理する手さばきが見事です。と同時に、本書は、ハラリ自身のエピソードや世界観について多くを語っている点も読みどころ。既出作と併せて読めば、その語り口に魅了されることうけあいです」『世界は贈与でできている―資本主義の「すきま」を埋める倫理学』近内悠太著ニューズピックス1800円お金では買えないものやその移動に「贈与の原理」という概念を用いる著者。贈与は人や社会にどう影響しているのか。「若き在野の哲学研究者が書いたデビュー作。私たちが普段何気なく行う贈与という行為はとても不思議なものです。人はなぜお返しを求めず贈り物をするのか。交換と贈与は何が違うのか。著者が親しんできた哲学や思想を渉猟しながら贈与の秘密に迫っていく本書を読むと、いままでとは違う世界の景色を発見できるかもしれません」『世界史の針が巻き戻るとき 「新しい実在論」は世界をどう見ているか』マルクス・ガブリエル著大野和基訳PHP研究所960円著者は、ポスト・トゥルースの時代における「新しい実在論」の提唱者であり、“哲学界のロックスター”と称される。「ガブリエルの主著『なぜ世界は存在しないのか』は、硬派な哲学書としては異例といっていいほどヒットしました。が、それでもけっこう難解なので、語りおろしで言葉も平易な本書から入るのがおすすめ。気候変動やグローバル資本主義、AI、GAFAなど時事的なテーマも多く、哲学者ならではの挑発的かつ反常識的な議論を楽しめます」※『anan』2020年7月8日号より。写真・中島慶子文・三浦天紗子(by anan編集部)
2020年07月02日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、産休中だからこそ出会えたいい女を実演する“おめでた編”。今回は、未来の自分を助けられる女性、「とにかく仕込む女」になりきり。コミュニケーションも料理と同じく下準備が大事。最近、YouTubeにアップされている、“1週間分のお肉や野菜の仕込みをしておく”という動画をよく見ています。結構な量の食材を切ったりすることは大変だけど、結果、楽になる。自分を助けることになるんです。料理人の仕事も、基本的に、最初は仕込みから始めることが多いですよね。そのくらい、仕込みというのは、料理の土台となる大切なものなんだと思います。以前、ドラマの『ちりとてちん』の中で、主人公がエビチリを作ろうとするシーンがあったんです。エビの背わたを取り終わり、“あとは炒めるだけ”という段階にきた時に、友人の女性がやってきてエビを勝手に炒めてしまい、キレるのですが、これはかなり嫌だし、私ならもう作りたくないとすら思いました(笑)。やっぱり、仕込みをちゃんとした人にこそ、胸を張って炒めるというメインのパートを担う権利があるはず。それに、料理だけじゃなく、人間関係においても仕込みは大事。例えば友だちとリモートで話す時も、見せたいものをパソコンの周りに並べておくと、話の引き出しが増えて盛り上がりやすいことに最近気がつきました。仕込むことは手間がかかるし面倒くさいので、“今日は仕込む日”と、きちんとスケジュールに組み込んでみると実現しやすそうです。“未来の私のために”と思えば頑張れそう。実際、後で“過去の私が助けてくれた。ありがとう!”と、自分に対して感謝の気持ちが芽生えるはず。それに、仕込みの動画を見ているだけでも楽しくなって、見ているうちに実践したくなるかもしれません。時短になるだけでなく、食材を腐らせて自分を責めてしまう、なんてこともなくなりますよね~。早速私も、動画をマネしながら、やってみたいと思います!仕込みを実践してみました~!私も野菜を仕込んでみました。大変ではあるものの、やってみると熱中できることが判明!ただし、これをどう使うかは、思い浮かびません…。よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。婚活で培ったテクニックをまとめた著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。2月に第一子を出産。※『anan』2020年7月8日号より。写真・中島慶子文・重信 綾(by anan編集部)
2020年07月02日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、産休中だからこそ出会えたいい女を実演する“おめでた編”。今回は、適役を選ぶスキルがある女性、「人に託せる女」になりきり。誰かをサポートする時には、自分が一歩引くことも大事!産後、落ち込みやすくなっていた時期がありました。産後ケアホームに入院している時は、助産師さんの前で泣きたくないのに泣いてしまったり…。退院後も不安でしたが、区の訪問助産師さんが来てくださったことで、すごく気持ちが落ち着いたんです。その方に、「入院中、すごく辛かったんですよね~」と話したら、「みんな心配していたんですよ」と言われました。その時に初めて助産師さんたちにバレていたことに気づき、ちゃんと見てくれていたんだと、ありがたい気持ちになりました。また、入院中に仲良くなったお母さんと退院後も連絡を取っていて、「あなたがいてくれて心の支えになりました」と伝えたんです。すると、どうやら訪問助産師さんに、「横澤さんを支えてあげて。あなたなら力になれるから。メールとかいっぱいしてあげて」と言われていたようで、助産師さん本人がケアするのではなく、そのお母さんに託していたことに、感動したんです。間接的に伝わる優しさがあることを知りました。しかも、そのお母さん自身も、もともと私のことを気にかけてくださっていて“こんなに心の隙間に入ってくれる人、いる?”と思うような方。そして、訪問助産師さんに頼まれたことも一切言わず、ただただ親切にしてくれた。そんな人柄をわかっていた助産師さんは、本当にすごいなと思いました。そんな助産師さんのような人を目指すには、“私が私が!”と自分が何かをすることにこだわるのではなく、適役を見つけられるようになること。周りを観察し、周りの人たちの特性をきちんと知ることが大事です。そして一番向いている人にお願いし、自分が引くべきところでは、ちゃんと引ける。そうして誰かのために動けることは、本当にすごいと思います!よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。婚活で培ったテクニックをまとめた著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。2月に第一子を出産。※『anan』2020年7月1日号より。写真・中島慶子文・重信 綾(by anan編集部)
2020年06月28日美味しそうな料理の描写が食欲を刺激するコミックエッセイ『しょうゆさしの食いしん本スペシャル』について、作者のスケラッコさんに話を聞きました。作る、食べる!食の喜び満載のお腹がすく一冊。自粛期間中の楽しかったことといえば、やっぱり“食”!そんな時期に発売されたこちらの本。ツイッターの食べ物&料理好きの間で、美味しそうな料理の描写、そして作ること、食べることの喜びが伝わる本として、とても話題になりました。「単行本の発売がコロナと重なったのはもちろん偶然で、書店が休業する中、私としては正直複雑な思いでした。でも、個人経営の書店の通販などを利用して読んでくださる方がいたのは、本当に嬉しかったです」と語るのは、作者のスケラッコさん。京都在住のマンガ家さんです。「子供のときから食べることが大好きで、高校生の頃、それを絵に描くようになりました。見た目と、美味しさと、ちょっとめずらしい食べ物に出合ったときに、“マンガにしたい!”と思うことが多いです」前半は好きな料理をレシピ込みで描いた作品が、後半は旅で訪れた広島や、地元・京都の食とお店を紹介する作品が収録されています。「今回は連載をまとめる形ではなく、自主的な執筆と描き下ろしを収録した本なので、構成なども自分で考えました。結果、思い入れのある一冊になったと思います。読んだ方が実際に作ってくださるのはとても嬉しいです。ただ、漫画にも描きましたが、私の料理は“なんとなく”なので、ご自分でレシピをアレンジしてくださったほうが、美味しいものができると思います。また、落ち着いたらぜひ、掲載されているお店にも行ってみてほしいです」豚肉のピカタをパスタにのせた料理のページ。調理中の興奮と勢いが溢れる描写に、思わずゴクリ…!!ライターKが実際に作り、心の底から感動したのがこの“チートー”。チーズはケチるな、を学びました。スケラッコ『しょうゆさしの食いしん本スペシャル』京都在住のマンガ家“しょうゆさし”と、同居人の“ビッグフットくん”が、作って食べて、飲んで旅をするコミックエッセイ。とにかくすべてが美味しそう!リイド社1500円スケラッコマンガ家、イラストレーター。餃子、シュウマイ、ピザ、春巻き、中華まんなど、“皮と具”が組み合わさった食べ物が好き。※『anan』2020年7月1日号より。写真・中島慶子取材、文・河野友紀(by anan編集部)
2020年06月26日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「内閣総理大臣」です。独裁を避けるため日本が選んだ内閣という組織。新型コロナウイルス感染症の対策をめぐり、世界各国のリーダーの違いを目の当たりにする機会が増えました。政治のシステムは大きくわけて議院内閣制と大統領制があります。前者のトップは首相、後者のトップが大統領。日本は議院内閣制をとっており、安倍首相は内閣総理大臣。内閣という行政府の長です。大統領制にはアメリカ型とフランス型があり、アメリカは大統領個人が行政を担いますが、フランスは大統領が国家元首として外交や儀礼を担い、国内の政治は首相に任せます。ドイツも政治は国内外とも首相が担い、大統領は外交儀礼を行います。日本の元首は憲法で明文化されていませんが、儀礼や国会の召集などの元首的な役割は、ほとんど天皇が担っています。イメージでは、大統領のほうが総理大臣よりも強い権限を持っているように感じるかもしれません。しかし、アメリカの場合、大統領に議席はなく、議会と大統領個人は拮抗する関係を保っています。大統領がいくら「こうしたい!」と言っても、議会がつっぱねて「予算を通さない」と揺さぶりをかけることができる。オバマ前大統領もトランプ大統領もそれで思うように政策を進められず苦労しました。そうやって大統領の独裁にならないようにバランスをとっているのです。日本は太平洋戦争の過ちを繰り返さないため、総理大臣一人に権限を持たせず、内閣という国務大臣の集団で行政を進めるようにしました。問題がおきた場合は、「責任をとります」と内閣が総辞職をしますよね?内閣総理大臣一人が辞めることはありません。ただ、内閣=ほぼ与党ですから、総理の意向が通りやすいという意味では、大統領よりも総理のほうが権限を持っていると言えるかもしれません。誤った道を進まないためには、与党のなかにさまざまな意見を持つ人がいることが大事になってくるのです。大統領選挙のように、国民が直接総理を選ぶシステムではありませんが、私たちは選挙で「与党」を選べます。内閣総理大臣は与党の党首が任命されることがほとんど。議員選挙が私たちの暮らしや将来に直接関係し、どれだけ重要か、自覚していただけたらと思います。堀潤ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。3月に監督2作目となる映画『わたしは分断を許さない』が公開された。※『anan』2020年7月1日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2020年06月26日天祢涼さんの『あの子の殺人計画』は、社会派とホワイダニット(犯行の動機を解く)が融合したミステリー『希望が死んだ夜に』のシリーズ第2弾だ。追い詰められる子どもや女性など弱者に光を当てる社会派ミステリー。「『希望~』で事件解決に大きな役割を果たした生活安全課の女性刑事・仲田巡査部長にまた活躍してもらいたいと思い、彼女の再登場は最初から頭にありました。所轄の刑事課・宝生巡査部長とのコンビで一度は書き上げたのですが、誰に事件を語らせるかを考えたときに、前作で仲田と組んだ神奈川県警刑事部の真壁が適任と判断して書き直しました」捜査を進めるうちに、椎名綺羅が一時期、殺された風俗店のオーナー・遠山菫が経営していた〈ラバーズX〉で働いていたことがわかる。だが綺羅はアリバイを主張。娘・きさらの証言もそれを裏付けているのだが…。一方で、きさらは自分が母から受けている〈水責めの刑〉などが躾ではなく虐待ではないかと思い至る。味方になってくれた翔太の言葉に感化され、ある計画を練り始める。「現実にはもっとひどい虐待もあるかもしれない。でも『この程度で、子どもがそんな大それたことを考えるだろうか』と読者に疑問を持たれたら、物語が成立しない。その案配が難しかったですね。なので、小芝くんのような目立つ貧困児童を置いたことも腐心した点のひとつ。それによって、そこそこ普通に見えてしまうきさらのような子の虐待は見逃されやすくなると思ったんです」本作では、謎解きの要素もたっぷり。真壁、宝生、仲田が追うのは、遠山殺しの犯人であり、動機であり、トリックだ。そこに、現代の貧困や貧困からくる虐待など社会問題が絡み合う。重層的な展開が魅力。「『希望~』ではじわじわ追い詰められていく少女たちの境遇や感情に読者は揺さぶられたと思うのですが、その分、大人のつらさにはあまり触れることができなかった。その反省もあったので、今回は大人の事情や問題も盛り込みたいと思いました」ある時期まで、貧困や虐待などの社会問題はノンフィクションのほうが向いていると考えていたそう。だが、本シリーズの反響の大きさから、いまは思いを新たにしている。「フィクションにしかできない伝え方があるとわかりました。これからも書いていきたいテーマです」あまね・りょう1978年生まれ。2010年にメフィスト賞受賞作『キョウカンカク』でデビュー。’19年『希望が死んだ夜に』で本屋大賞発掘部門で最多票を獲得。『謎解き広報課』など著書多数。『あの子の殺人計画』貧しい母子家庭で育つ小学5年生の椎名きさら。ある日、川崎の風俗街の狭い路地で、大手風俗店の女性オーナーの刺殺体が発見される。文藝春秋1650円※『anan』2020年7月1日号より。写真・土佐麻理子(天祢さん)中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2020年06月24日ある人を助けるために、ほかの人を犠牲にすることは許されるのか。これは「トロッコ問題」という有名な思考実験の命題だが、新型コロナウイルスの感染拡大下、まさにこの問いを突きつけられるような場面が見受けられた。本作『エチカの時間』のタイトルにある「エチカ」とは、倫理のこと。玉井雪雄さんはある種の息苦しさを覚えて、このテーマに行き着いたそう。「具体的には、SNSなどで自分の意見を自由に言えるようになって久しいですが、声が大きく、短い文章で“いかにも”なことを言える人の意見が力を持ち、なんとなくの雰囲気で良いこと悪いこと、正しいこと間違っていることが決まってしまうような息苦しさです。じゃあ何が正しいのかと考えたとき、『倫理』という言葉が浮かびました。なぜ人はしていいこと、したら気が咎めることを知っているのか?頭では悪いことをやっちゃえと思っていても、違和感があったり、夢見が悪かったり、ひどいときは心を病んだりして、普遍的にどこかで判断している。それはなんだろうと思ったのです」トロッコ問題が発生するのは、なんと渋谷のど真ん中。巨大な鉄球の落下事故を予知し、スクランブル交差点を歩く一般市民250人の死傷者を出すか、鉄球の転がる方向を人的に操作することで工事関係者3人を死亡させるか……。七太郎というやや奔放な次世代AIに倫理を教えるべく、ふたりの男女が究極の選択を迫られる。思考実験の過程は、心の内に潜む“悪”と向き合ったり、忘れたい過去を思い出したりなど、なかなかハードなのだが「で、自分ならどうする?」と常に問われる緊張感がある。ふたりが導き出す答えはもちろん伏せておくが、「トロッコ問題の解決策を頭のいい人や倫理の先生に聞いて取材をしたところ、出た答えに納得がいかず、あらゆるシミュレーションをした」上でのラストであることを付け加えておこう。「法律にあるから、上の立場の者が言ってるから、という“思考停止”こそ一番の悪だと思います。この本を読んでも“こういう結論だからこうする”ではなく、“自分ならあのときの経験と感情でこうなったからこうする”と考えることが大事。ですから読み終えたら一度は誰かと話してほしい。人と話すことによって、さらに考えることにつながるので」『エチカの時間』1、2Fラン大卒のフリーター日野と、AIのエチカを“育倫”する「エチカ・アカデミー」の劣等生・百上が渋谷で起こるトロッコ問題に挑む、究極の倫理ゲーム。小学館各591円©玉井雪雄/小学館たまい・ゆきお主な作品に『OMEGA TRIBE』など。本作は『ビッグコミックスペリオール』で連載中。8月末発売予定の3巻では、新たな案件が始動。※『anan』2020年6月24日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2020年06月23日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、産休中だからこそ出会えたいい女を実演する“おめでた編”。今回は、伝え上手な女性、「赤ちゃんの気持ちを代弁する女」になりきり。伝え方次第で、言われた側の気分は変わります!出産前から、赤ちゃんの気持ちを代弁する人がたくさん現れるようになりました。たとえば、なかなか子どもが生まれない時に「お母さんのお腹が気持ちいいからか~」と言ってくださった助産師さん。正直、“本当にわかるの?”と疑ったこともあるけれど、その方が「女の子はおしゃべりが好きなのよ」と言うと、お腹がポコポコいうことがあり、“本当にわかっているのかも…”と思うようになりました。そして、いざ出産となった時にも、「赤ちゃん、頑張ってるよ!」と言われ、“本当に頑張ってる?”と心配したものの、結果、知識がある方が言うなら間違いないだろうなと安心できました。まるで赤ちゃんが乗り移ったかのようにしゃべるイタコみたいな人もいて、「早く会いたいね~」「ママも頑張っているよ!」と、次から次へと名言が飛び出すことも。子どもの声として言われると、「そっか~」と素直に聞けますよね。早く生まれてほしくてイライラしていた時も、「お母さん、イライラしないで」ではなく、「のんびりしたいみたい」と言われて、すごく気分がよかったです。そういう人は、赤ちゃんだけじゃなく、人の気持ちを察することにも長けているはず。相手の気持ちを汲み取り、ポジティブな言葉に変えて代弁する。そのスキルを磨くことが大事だと思います。お世話になった病院には、そんな“代弁師”がたくさんいて本当に助かりました!出産後、子どもと一緒に生活するうちに、だんだんと泣く理由がわかるようになってはきたものの、韓国ドラマ『愛の不時着』の最後に出る通訳者のクレジットを見て、“赤ちゃんの通訳者が欲しい”と思ったことも。何人も子育てを経験しているお母さんも、赤ちゃんの気持ちがわかりそうですよね。尊敬します!新潟の山菜、美味しすぎます!地元新潟で採れた「こごみ」という山菜が実家から届きました。ザルのまま食べることも実家と変わらず、一度食べたらやめられない美味しさも変わらず!よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。婚活で培ったテクニックをまとめた著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。2月に第一子を出産。※『anan』2020年6月24日号より。写真・中島慶子文・重信 綾(by anan編集部)
2020年06月22日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「新しい生活様式」です。withコロナの生活。新しい未来を築くチャンス。日本政府は5月25日に、緊急事態宣言を全国で解除しました。しかし、新型コロナウイルスの感染リスクがなくなったわけではありません。専門家会議の提言を踏まえて厚生労働省が掲げた「新しい生活様式」が、引き続き推奨されることになります。具体的には、人との距離をできるだけ2m(最低1m)空けること、マスクの着用、手洗い。感染の多い地域からの移動を避けること。レストランでは対面に座らず、料理のシェアはしない。仕事はテレワークに移行…などです。これからは暮らしも働き方も事業のあり方も大きく変化していくことになるでしょう。まず飲食店は、店内の密接度を減らさなければなりません。自粛期間中、多くの店がテイクアウトを始めました。今後も宅配がメインになったり、キッチンのみで飲食スペースを持たない店も増えていきそうです。人々の移動は世界的に制限され、観光業は大打撃を受けています。タイ国際航空など経営破綻した会社も出てきました。日本はこれまでインバウンド需要拡大に力をいれていましたが、国内旅行に焦点を当てるようになるでしょう。海外セレブ向けの高級ホテルを展開していた星野リゾートも、ワクチンができるまでの1年~1年半は、通常モードには戻らないことを想定し、近場の旅に対応する方針を掲げました。働き方では、都内で62.7%の企業がテレワーク・在宅勤務に対応できるようになりました。高い家賃の都心のオフィスは不要と、郊外または地方に拠点を置く企業も出始めています。感染を防ぐためには、人の移動を抑えることが必須で、物流も制限されています。これまでは東京一極集中で、仕事も消費も行われてきました。これからは地元で作ったものを地元で消費する、地産地消が推進されますし、地方移住者が増えれば、なかなか実現できなかった地方創生も現実味を帯びてきそうです。毎日の通勤ラッシュと決別し、家族と過ごす時間を持てるワークライフバランスがとれるようになるでしょう。まだ手探り状態ですが、ここでいち早く新しい未来を描いた人の社会になっていく、そういう岐路に私たちは立っているのだと思います。堀 潤ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。3月に監督2作目となる映画『わたしは分断を許さない』が公開された。※『anan』2020年6月24日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2020年06月19日