ハースト婦人画報社が運営するELLE Japon(エル・ジャポン)は9月28日、平野紫耀さんが表紙を飾る「『エル・ジャポン』11月号 平野紫耀特別版」を発売します。19日からは、各ネット書店にて予約を受け付けています。同誌では、初登場となる平野さんの特集を通常版より増ページで展開。表紙でも、これから歩む未来を見つめているかのような平野さんの眼差しが印象的な一枚を迎えています。特集では、平野さんにとって“憧れのブランド”であるという「ルイ・ヴィトン」を着用したファッションポートレートと独占インタビューを9ページにわたり掲載。端正なジャケットや鮮やかなニットなど、同ブランド最新のLV FALL コレクションを着こなした平野さんの姿が公開されています。インタビューでは、現在・今後の活動に対する想いが“熱くまっすぐな言葉”で語られています。発売日には、平野さんのファッション性を引き出したスペシャル動画や、同誌とは異なるアナザーインタビュー、さらに撮影の舞台裏写真を「エル デジタル」やエル公式SNSにて公開予定とのこと。ファンにはたまらない一冊です。気になる方はぜひ書店でチェックしてみてくださいね。■書誌概要書誌名:『エル・ジャポン』11月号 平野紫耀特別版発売日:2023年9月28日(木)価格:880円販売書店:全国の書店、各ネット書店、ELLE SHOP※表紙と平野さんが登場する特集以外は通常版と同じ内容です。ELLE JAPON November 2023 photo YUSUKE MIYAZAKI(sept)(フォルサ)
2023年09月22日講談社から10月13日、声優・俳優として広く活躍を続けている津田健次郎さんの写真集「ささやき」が発売されます。同書は、浅田さんのナチュラルな姿を集めたオール撮りおろしの写真集。全144ページの大ボリュームで、浅田さんの魅力を伝えます。声や表現で、多くの人々を魅了してきた津田さんを”すぐ近くに”感じるような、体温が伝わるような一冊。多忙な日々の合間に訪れた海辺や京都の街、朝の光を浴びるベッドルームなど、大人のゆとりを感じさせる空間でさまざまな表情をキャッチ。季節感、衣装やシチュエーションなどバリエーション豊かに構成されています。やわらかな表情や無邪気な笑顔、そして色香漂う姿など、うっとりと心が潤うカットが満載。「見たことない姿」はもちろん、「見たかった姿」も収録され、成熟したオトナの魅力が贅沢に織りこまれています。浅田さんは、「奇をてらった事は何もしてません。ただ丁寧に、漂う空気を、さまざまな表情を切り取った写真集です。一枚一枚ゆっくりとね。時間を共有して貰えると嬉しいです。なんかね、良い物が出来ちゃいましたよ」とコメントしています。津田さんとくつろぎのひとときを共に過ごしてみてはいかがでしょうか。■商品情報津田健次郎 写真集「ささやき」価格:3,520円※予定ページ数:144ページ※初版限定でランダムポストカード封入(全3種のうちランダムで1枚封入)(フォルサ)
2023年09月20日講談社は11月29日、醍醐虎汰朗1st写真集を発売します。醍醐虎汰朗さんの23歳の誕生日である2023年9月1日には、同書の予約販売の受付を開始しました。■モード系のメイク・衣装にも初挑戦! インタビューも収録醍醐虎汰朗さんは、2021年アニメーション映画『天気の子』で主人公の森嶋帆高役に抜擢。第14回『声優アワード』では、新人男優賞を受賞し、NHK連続テレビ小説 『舞いあがれ!』で朝ドラデビューしました。その後、『野球部に花束を』で実写映画初主演、『シガテラ』で連続ドラマ初主演。舞台『千と千尋の神隠し』ではハク役として話題を集め、役柄でイメージが変わる若手随一の演技派俳優としての地位を確立しています。撮影の舞台となったのは、醍醐さんの出身地・東京。くったくのない笑顔に親近感を感じる醍醐さんを被写体にした同書のテーマは「気づけばいつも隣にいる男友だち」。ゲームセンターで遊んだり、商店街をブラブラしたり、夜にスケボーをしたり、町中華でお昼を食べたりといった気の置けない男友だちを思わせるショットを掲載しました。ドキッとさせるショットもたっぷり収録。BARでのシックなスタイルと大人びた表情、朝シャンからの身支度中に垣間見せる男の色気は、ゲームセンターや町中華でくったくのない笑顔の醍醐さんと異なり、そのギャップにどっきりさせられるはず。醍醐さんの「せっかくの写真集だから、好きなことをやりたい」というアイデアから訪れた趣味のサウナで披露された、普段のあどけなさが残る表情からは想像できないような、ボクシングで鍛えられたしなやかな肉体美は必見です。さらに今回は、モード撮影にも初めて挑みました。繊細な表情の美しさ、ダイナミックな身体の使い方、一着一着の世界観を完璧に表現する姿が切り取られています。”素の自分を出すのは恥ずかしい”という醍醐さんを丸裸にしようとしたら、「さらにいろいろな一面を発見して翻弄されてしまった」そんな声が聞こえてきそうな永久保存版の写真集です。写真だけでなく、醍醐さんのロングインタビューも収録しました。幼少期の可愛らしい写真とともに、自身を作ってきた原体験や、分岐点となった作品を振り返りながら、俳優としての軌跡と志を語っています。醍醐さんの誕生日である9月1日には、『醍醐虎汰朗1st写真集』の公式X(Twitter)アカウント(@daigokotaro_1st)を開設。オフショットやオリジナルコンテンツをはじめ、写真集に関する情報などを発信しています。醍醐さんは、今回の写真集について「美味しいご飯を食べたり、サウナやスケボーを楽しんだり、普段休みの日にしていることができたので撮影をしている感覚があまりなく、好きなものに触れている時の自然体な僕が見られると思います。その一方で、初チャレンジしたモード系のメイク・衣装での撮影は、今まで見た事のないような表現もしています」とコメント。醍醐さんが、個人的に最も印象に残っているカットは、フレンチブルドックのnicoとご飯を食べながら撮った写真とのこと。普段の作品では見られない色々なシチュエーションの醍醐さんに出会える写真集です。■書誌概要タイトル:醍醐虎汰朗1st写真集『タイトル未定』発売予定日:2023年11月29日予約開始日:2023年9月1日判型:B5版ソフトカバー帯付き/118P定価:3,080円(税込)※通常版のほか、電子版限定表紙(電子版限定カット付き)、【楽天ブックス限定特典】スマホに入るサイズのオリジナルカード付きが発売予定(フォルサ)
2023年09月14日『勧進帳』といえば、兄・源頼朝に追われた義経一行が山伏に変装し逃亡する道中、安宅の関で関守の富樫左衛門と対峙する物語。歌舞伎十八番に数えられるこの演目を、原典から洗い直し演出を加えることで現代に繋がる新たな作品へと昇華させた木ノ下歌舞伎『勧進帳』は、初演以来、何度も再演を重ねる人気作。「歌舞伎は、梨園の方が代替わりしながら長く受け継がれていますよね。この現代版『勧進帳』も、100年後に古典と呼ばれるようになるまで続けるべき作品だと思っています」そう話すのは、2016年から富樫を演じてきた坂口涼太郎さん。「木ノ下歌舞伎は稽古序盤にキャスト全員で歌舞伎を完コピして、その後に現代語訳の稽古に入っていくんですが、稽古を重ねれば重ねるほど、これが現代に通じる話なんだと実感するんです。敵同士が関所というボーダーラインを挟み、暴力ではなく知性で応戦する話ですが、いつしかそれが国境だったり人種だったりジェンダーだったり、いろんな事柄に置き換えて見えてくるんです」義経の家来の弁慶を米国人のリー5世さんが、義経をトランスジェンダーの高山のえみさんが演じている。「今、世界で大きな戦争が起こっていますが、この作品では両者は言葉で戦い、殺し合いません。暴力に代わる一番の人間の武器は、理性や知性だと思っています。実際にはすごく難しいことだけれど、理想が描かれているからこそ、いつの時代にも誰の心にも響く。その理想の世界を叶えるには知性が必要で、その学校では教えてくれない部分を教えてくれるのが劇場だと思うから、僕は生きている限りやり続けたいなと」この作品に出合う前と後で、俳優としての意識が大きく変わったとも。「自分のやりたいこと、表現したいものが明確になりました。役を通すことで、自分とは違う環境や境遇で生きている人たちの気持ちが身に染みることがあって。僕は、毎日を必死に生きる市井の人が、日々慰められたり元気になれるような作品がやりたいんだと自覚できた。そんな作品に出合えたうえに、たくさんの方たちに喜んでもらえているなんて、嬉しいし幸せですよね」映画『ちはやふる』や連続テレビ小説『らんまん』などの個性的な役柄で存在感を発揮している坂口さん。「誰しも、こんな自分でいいのか、こんな感情になっていいのかと悩んだ経験があると思います。それを肯定してくれるのが、エンターテインメントの役割なんじゃないのかな」木ノ下歌舞伎『勧進帳』兄・源頼朝から追われる源義経とその一行は、奥州に落ち延びる途中、安宅の関に差し掛かる。関守・富樫の追及を逃れるため、家来の弁慶は一計を案じ、富樫に焼失した東大寺再建のための勧進だと伝えるが…。9月1日(金)~24日(日)池袋・東京芸術劇場 シアターイースト監修・補綴/木ノ下裕一演出・美術/杉原邦生[KUNIO]出演/リー5世、坂口涼太郎、高山のえみ、岡野康弘、亀島一徳、重岡漠、大柿友哉一般5500円ほか(各種割引あり)東京芸術劇場ボックスオフィス TEL:0570・010・296沖縄、長野、岡山、山口、茨城、京都公演あり。さかぐち・りょうたろう1990年8月15日生まれ、兵庫県出身。映画『ちはやふる』のヒョロ役などで注目される。現在、ドラマ『らんまん』(NHK)、『18/40~ふたりなら夢も恋も~』(TBS系)に出演中。シャツワンピース¥49,500(SHAREEF)パンツ¥18,000(room.13)サンダル¥29,700(AIVER)ネックレス¥440,000(SHINGO KUZUNO) 以上Sian PR TEL:03・6662・5525その他はスタイリスト私物※『anan』2023年9月6日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・東 正晃(Masaaki Azuma)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年09月05日NYに暮らす一家が、違法移民の親戚を受け入れたことから起こる悲劇を描いた『橋からの眺め』。社会や家族の難解さや、人間の幸福や生きる意味を問うアメリカ人作家、アーサー・ミラー作の本作で初舞台を踏む福地桃子さん。「普段から、初めての挑戦に対して苦手意識を持つのはやめようと思っていた」と言う。毎日違った感情が生まれるし、学びもとても多い稽古場です。「稽古は毎日が驚きの連続です。共演のみなさんも、こんな稽古の仕方は初めてだとおっしゃるので、初舞台だからというわけでもないようですが、楽しんでやれています」演出は英国内外で活躍するジョー・ヒル=ギビンズさん。ジョーさんにとってもこれが日本での初演出。「ジョーさんはまず、台本の中で感情が変化するごとにセクション分けをするんです。そのうえでみんなで台本を読み解いてタイトルをつけるんですが、まるで国語の授業みたいです。稽古も毎回発見があり、段取りを重視する日もあれば、セリフを言う立ち位置を決める日もあれば、ほぼ何も決めずに自由にやる日もあって。その中で、全員が無理なく役としていられるものが採用されていく。毎日違った感情になるし、学びもとても多くて、ジョーさんをはじめ全員で少しずつ作り上げていっている感じが楽しいです」演じるのは、伊藤英明さん扮する主人公・エディに溺愛される姪のキャサリン。彼女が、違法移民のロドルフォ(松島庄汰さん)と恋に落ちたことから物語が動いていく。「作品について調べていくと、エディのキャサリンへの歪んだ愛情が起こした悲劇だと捉えられることが多いんですけれど、今、役としてはエディからまっすぐな愛情を感じるんです。親は子供のことが心配で仕方ないけれど、子供は新しい世界への興味や好奇心の方に目が向いていて、そこですれ違ってしまうって経験ありますよね。ジョーさんからは、エディ自身もいろんな気持ちが混ざり合って混乱していて、キャサリンとしてそれを受け止めていかなきゃいけないと言われました。たぶんいろんな解釈や表現の仕方があると思いますが、私はその瞬間瞬間を役としてピュアに生きようと決めました」柔らかな空気感を持つ人だけれど、ゆっくり考えながら紡ぎ出される言葉からは芯の強さを感じる。「どんな作品でも共通して気になるのは、演じる人がどんな服装をしているか。流行に敏感か、そうじゃないかとか。今回の衣装からも受け取れるものがあると思うので、大切にしています」PARCO PRODUCE 2023『橋からの眺め』NYで妻(坂井)と姪・キャサリン(福地)と3人で暮らすエディ(伊藤)。ある日、彼らの元に妻の従兄弟が転がり込み、そのひとり・ロドルフォ(松島)とキャサリンが恋に落ちて…。9月2日(土)~24日(日)池袋・東京芸術劇場 プレイハウス作/アーサー・ミラー翻訳/広田敦郎演出/ジョー・ヒル=ギビンズ出演/伊藤英明、坂井真紀、福地桃子、松島庄汰、和田正人、高橋克実S席1万1000円A席9000円ほかパルコステージ TEL:03・3477・5858北九州、広島、京都公演あり。ふくち・ももこ1997年10月26日生まれ、東京都出身。2016年に俳優デビュー。’19年にNHK連続テレビ小説『なつぞら』出演で話題に。近作にドラマ『舞妓さんちのまかないさん』など。ドレス 参考価格¥73,700(GANNIcustomerservice@ganni.com)ピアス¥14,300(Jouete TEL:0120・10・6616)その他はスタイリスト私物※『anan』2023年9月6日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・ゴトウカナエヘア&メイク・曳田萌恵インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年09月04日昨年にドラマ『きれいのくに』で市川森一脚本賞を、今年、舞台『ドードーが落下する』で岸田國士戯曲賞と、『もはやしずか』『ザ・ウェルキン』で読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞するなど注目を集める加藤拓也さん。夏帆さんにとっては、今回の新作舞台『いつぞやは』が2018年の短編映画『あおいろなおし』以来の加藤作品への出演となる。「前回は撮影が1日だけだったんです。しかもその作品はわりとハッピーな話だったんですが、のちのち舞台を拝見させていただくようになったら、普段書かれるものは全然違う。今回、縁あってまたご一緒させていただけるのが嬉しいです」夏帆さんが演じるのは、窪田正孝さん扮する一戸のかつての劇団仲間で、結婚を目前に控えた小久保。仲間が久々に集う中、一戸がステージ4の癌を患っていることを告白するところから始まる物語だ。「加藤さんの舞台って、観るたびに言葉にできない気持ちが渦巻くんですよね。自分の経験とリンクするような瞬間があったり、考えさせられることがあったり、持ち帰るものはたくさんあるのに、それをうまく言語化しづらいんです。こういうお話でこう感じましたと簡単には言えない。でもそれが加藤さんの作品の魅力だと思いますし、今回の舞台もまさにそう。すごく共感するけれど、簡単に言葉にしちゃいけないような…そんな気がするんです」まさにその、明確な言葉では説明できないような複雑で繊細な感情を描いていくのが、加藤作品の魅力。「そこに書かれているセリフと、思っていることとが裏腹な場面がたくさんあって、そのまま素直にセリフを言ってもダメだったりするんですよね。セリフ自体が砕けたものだけに、サラッと口にしてしまうと、大事なことまで流れていってしまう。言葉の裏にある気持ちが複雑に絡み合って進んでいく話なので、セリフの複雑なニュアンスを汲み取って表現していくことが求められるというか。まだ今の私は、他の方のお芝居を見ながらそこを、こういうことなのかなって探っている段階ですね」夏帆さんといえば、話題を呼んだドラマ『ブラッシュアップライフ』での、安藤サクラさん、木南晴夏さんとのリアルな“あるある”満載の生っぽいお芝居が記憶に残る。「頭で考えてそこに辿り着くというより、現場で相手の俳優さんとやり取りしながら徐々に役ができていくことが多いんですよね。人って、他人との会話や関係性の中で、キャラクターというものが出来上がってくるものだと思いますし。やっていくうちに、役が馴染んできたなって思う瞬間があるんです。映像の現場だと、そうも言ってられないことも多いんですけれど」昨年、向田邦子原作の『阿修羅のごとく』で6年ぶりに舞台に立ったが、「いまだに、立つと新人の気持ちになる」と話す。「どうしてもまだ苦手意識はあって、慎重になってしまうんですけど…。ただ今は毎日、役者としても人間としても学ぶことが多いです」シス・カンパニー公演『いつぞやは』ステージ4の癌であることがわかり、実家の青森に帰ることにした一戸(窪田)。帰郷を前に、かつての劇団仲間たちと集まるが、それぞれがそれぞれの事情を抱えていて…。8月26日(土)~10月1日(日)三軒茶屋・シアタートラム作・演出/加藤拓也出演/窪田正孝、橋本淳、夏帆、今井隆文、豊田エリー、鈴木杏全席指定9000円トラムシート7000円シス・カンパニー TEL:03・5423・5906(平日11:00~19:00)10月4日(水)~9日(月)に大阪公演あり。かほ1991年6月30日生まれ、東京都出身。近作に、ドラマ『silent』『ブラッシュアップライフ』など。Amazon Prime Video配信中の『モダンラブ・東京』で、荻上直子監督作の第4話「冬眠中のボクの妻」に出演。トップス¥31,900シューズ¥36,300(共にRhodolirion/NEPENTHES WOMAN TOKYO TEL:03・5962・7721)スカート¥41,800(Lautashi/BRAND NEWS TEL:03・3797・3673)ピアス¥10,120(graey)その他はスタイリスト私物※『anan』2023年8月30日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・李 靖華ヘア&メイク・秋鹿裕子インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年08月27日是枝裕和監督の最新映画『怪物』に出演し、第76回カンヌ国際映画祭に参加。ガラスのように繊細な少年を熱演し世界の注目を集めた黒川想矢さん。国際的にも評価の高い是枝組の撮影から若き俳優が感じたこととは…?演技に悩み、考え、作っていく。新鮮な経験の連続でした。少年と青年の間を行き交うように、夏の太陽の下で一瞬ごとに違う表情を見せてくれた黒川想矢さん。是枝裕和監督の最新作『怪物』で主人公・麦野湊を演じ、世界から脚光を浴びる13歳。そのきっかけは2年前の夏のこと。「それまでも子役をしていたんですが、一度お仕事に区切りをつけようと思ったタイミングにこのオーディションの話が来て『湊の役をやってみたい』と思ったんです。オーディションは全部で4回あって、結果が出るまでものすごく長くて…(笑)。その間、お正月に『是枝組に受かりますように』ってお参りした記憶があります」是枝組には“是枝イズム”ともいわれる独自の手法があるという。幼い俳優には台本を渡さず口頭でセリフを伝えるのもその一つ。「でも今回は監督から『台本はあったほうがいい?』と聞いてもらったので、僕と(同級生役の)柊木陽太くん…僕は役名で依里くんて呼ぶんですけど、二人で『あったほうがいいです!』ってお願いして。まずは自分で台本を読んで、どこで自分の心が動くかを感じてみたいと思ったんです」一方でクランクイン直後は演技で壁にぶつかったことも。そこで手を差し伸べてくれたのは担任教師役の永山瑛太さんだった。「ある日瑛太先生がジンギスカンに誘ってくれたんです。そこで『俳優は監督の脳みそにあるものを表現するんだよ』って言われて、すごく腑に落ちました。それからは考えすぎず、迷ったら監督に質問して。そういうとき監督は『こうしたらいいんじゃない?』ってヒントをくれました。印象的だったのは『感情を体の感覚に変えて演技してみたらどうですか』という言葉。例えばうれしいときは寒い日でもお腹の中がぽかぽかする、とか。それからは全身の感覚も使って演技ができてきたのかな」そして湊と依里。少年二人の無垢な絆は、迷宮のような物語の中で希望を感じさせてくれる。「依里くんとは、役作りと親交を深めるために、ロケ地近くの古い民家で生活を共にすることから始めました。オムライスを作ったり、一緒にお風呂に入ったり、喧嘩したり。依里くんは可愛いんですよ。LINEでスタンプを連続で送ってきたり悪ふざけをして、弟みたいに甘えてくる(笑)。ずっと一緒に過ごすうち、何でも言い合える親友になれました」少しずつ関係性を紡いで、感じたことを全身でカメラの前に表して。そうして生まれた映画はカンヌ映画祭の正式招待作品に。「飛行機も海外も初めて。タキシードを着て会場に行く車の中から見たカンヌの海の景色は、一生の思い出です。レッドカーペットの上ではみんなで喜び合って、一つの家族になれた気がしました。でも何よりうれしかったのは、完成披露舞台挨拶で母親役の安藤サクラさんが抱きしめてくれたこと。この作品に出られてよかったと心から思いました。実はサクラさんとは撮影中何か噛み合わなくて…(笑)。でも当時は“噛み合わない親子”の空気を作ってくれていたんだって、そのときちょっとわかりました。僕の中で作品が完結した瞬間だったかもしれません」『怪物』出演と時を同じくして変化したことがもう一つ。ドラマで共演した舘ひろしさんに憧れ「舘プロ」の一員になったのだ。「誰にもやさしく接する舘さんみたいな人になりたいです。舘さんとは二人きりでお寿司を食べたり…。約60歳差?そっか。でも一緒にいるだけで楽しいんです。いまは『あぶない刑事』を観た影響で、刑事役をやってみたいです。バイクから銃を撃つ場面、かっこよかった!ずいぶん撃つな~ってびっくりもしたけど(笑)」シャイな笑顔で13歳の素顔をのぞかせる。そしていつかは人を喜ばせる俳優になるのが夢。「僕のばあばが『怪物』を観て『私の楽しみはあなたたちよ』と言ったんです。誰かが喜んでくれるってなんかいい。その先にまた世界が待っていたらうれしいです」『怪物』稀代のクリエイターが集いカンヌを沸かせた話題作。それはよくある子供同士の喧嘩に見えた。しかし、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込んでいく。母と息子、小学校の教師や友人の歯車を狂わせる“怪物”とは…。メガホンをとるのは是枝裕和監督。家族や学校の狭いコミュニティでの人間関係の歪さを巧みに描く。第76回カンヌ国際映画祭では脚本を担当した坂元裕二さんが脚本賞を、そしてLGBTやクィアを扱う映画に与えられるクィア・パルム賞も受賞。また坂本龍一さん最後の映画音楽作品になった。©2023「怪物」製作委員会くろかわ・そうや2009年12月5日生まれ、埼玉県出身。5歳から芸能活動を開始し、NHK BS時代劇での舘ひろしさんとの共演を機に舘プロに加入。趣味は一眼レフカメラ。「カンヌでは是枝監督に被写体になってもらいました!」シャツ¥20,900(マスターキー/ティーニー ランチ TEL:03・6812・9341)※『anan』2023年8月30日号より。写真・高橋マナミスタイリスト・鹿野巧真ヘア&メイク・岩淵賀世取材、文・大澤千穂(by anan編集部)
2023年08月26日沢木耕太郎さんが手掛けた作品のなかでも、幅広い読者から人気の高い小説「春に散る」がついに映画化。ボクシングの世界で命をかけて再起を誓った2人の男を主人公に描いた本作は、リアルを追求した白熱のボクシングシーンが繰り広げられていることでも注目が集まっています。そこで、重要な役どころを託されたこちらの方にお話をうかがってきました。坂東龍汰さん【映画、ときどき私】 vol. 596ドラマ『王様に捧ぐ薬指』や映画『スパイの妻』など話題作への出演が続き、昨年には『フタリノセカイ』で映画初主演も果たした坂東さん。主演を務めた横浜流星さんにとって、最初のライバルとなるボクサーの大塚に抜擢され、見事に演じ切っています。今回は、激しいボクシングシーンの裏側や豪華共演者の方々とのエピソード、そして自身にとって最高のご褒美などについて語っていただきました。―脚本を読んで心が震えたそうですが、どういったところに魅力を感じましたか?坂東さん今回のオファーをいただく前に、『未来への10カウント』というボクシングを題材にしたドラマに出演していたことがあり、自分もボクシングの練習をしていたのでいろいろとリアルに想像してしまったのだと思います。しかも、本作でボクシング指導をされている松浦慎一郎さんと実際にプロの試合を何度か観に行く機会があったこともあり、戦っている方々が抱えている人生と重なるような感覚もありました。―横浜流星さんとのボクシングシーンについては脚本のト書きを読みながら、自分の演じ方次第ですごいシーンになると感じていたとか。それだけに相当プレッシャーもあったのではないかなと思うのですが。坂東さん求められているレベルが高いこともあって、確かに最初はプレッシャーのほうが大きかったかもしれないですね。しかも、僕がボクシングを始めたのは撮影に入る1年くらい前のこと。その状況で大塚という大事な役を任せていただけることが、最初は信じられませんでした。でも、そんなことを言っている暇があるなら、練習しようと。なるべくジムに通って、黙々とサンドバッグやパンチングボールを打つようにしていました。脚本にはとにかく細かく生々しく試合のシーンが描かれていましたが、それを松浦さんがどういうふうに組み立てていくのかを考えているうちにワクワクしていった感じです。ボクシングシーンは、みんなで一緒に作ることができた―松浦さんは坂東さんに対して「最初は1ラウンドももたなかったのに、陰ですごく努力しているのを感じた」とおっしゃっていますが、実際にどのような準備をされて挑みましたか?坂東さん多いときで週4日くらいジムに行き、長くて5~6時間は汗を流していました。でも、できないことができるようになるのが実感できるので、本当に楽しかったです。二重跳びも気がついたら100回もできるようになっていました。そんなふうに何も考えず、ひたすら取り組んでいました。そのうえで、たまに練習を見に来てくださった瀬々敬久監督からも的確なアドバイスをいただけたのはありがたかったです。「もっと何かに憑りつかれたように動いて」とか「顔が優しすぎる」とか。普段の練習では役と切り離していた部分がありましたが、練習の段階から大塚という役を自分のなかに落とし込んでいく作業がいかに大切かを知ることができました。―それほど入念な役作りがあったからこそ、真に迫る演技であったのもうなずけます。ボクシングシーンでは、どのくらい細かく動きは決められていたのでしょうか。坂東さん基本的には事前にすべて決められていますが、「アドリブ」とされた時間だけはお互いに好きなように動いています。ボクシングでは殴り合っている時間よりも、相手の感情を探っている時間のほうが意外と長かったりするので、僕たちを信用してくださっている松浦さんだからこそそういう時間を設けてくださったんだと思っています。そのほかは、かっこよく見える動きや得意な動きを松浦さんが組み込んでくださいましたが、みんなでとことん話し合い、意見を出し合ったので、一緒に作っている感覚は強かったかなと。あとは、流星くんとあうんの呼吸で動けていたような気がします。先輩方の現場でのメリハリはすごかった―そういう意味では、流星さんとコミュニケーションを普段からどのように取るかも大切だったかなと。共演してみて、印象に残っていることはありますか?坂東さん流星くんとはたくさん話をしましたが、とにかく優しいですし、周りがすごく見えていて引っ張っていく力がすごくある方だなという印象でした。あと、練習中に楽しんでいるときもありますが、ふと見たときにガチの格闘家の目をしているときもありましたね…。なので、実は流星くんとはスパーリングしたくないなと思っていました(笑)。おそらく流星くんが本気になったら、僕なんて足元にも及ばないですから。ただ、練習のときからそういう雰囲気をバシバシ出してくれていたからこそ、僕も「この人と互角に戦っているさまを映画として残さなきゃいけない」という気持ちになりました。流星くんの気迫を感じたり、集中した顔を見たりするだけで目標がしっかりと見える感覚はあったと思います。―坂東さんといえば、ほかの現場ではムードメーカーと呼ばれていることが多い印象ですが、本作では錚々たる先輩方が揃っているなかで、どのようにして現場では過ごされていましたか?坂東さん今回も僕は普段のまま、マイペースでいることができました。佐藤浩市さんや片岡鶴太郎さん、哀川翔さんなど、みなさんとても気さくでおもしろい方々で、撮影の合間も、みんなで輪になってお茶を飲みながら昔の話を聞かせてもらったりしました。本当に和気あいあいとしたなごやかな雰囲気でしたが、いざ本番になるとピリッとした空気感になるので、そのメリハリはすごかったです。30歳まではどんなことも果敢にトライしたい―本作では、どのキャラクターも闘志をむき出しに、自分のやりたいことへと情熱を燃やしている姿が映し出されていましたが、ご自身にもそういう瞬間はありますか?坂東さんやっぱりボクシングの試合を観に行ったときは、アドレナリンが半端じゃないくらい出ているので、気がついたら号泣していたことはよくありました(笑)。会場の歓声やリングの上にいる人に感情移入して、熱くなりすぎてしまうんでしょうね。―そんななか、20代も折り返しましたが、いまのうちにしたいことなどがあれば教えてください。坂東さん30歳という節目までに経験できることは逃さず、果敢にトライしていきたいなと思っています。自分がサボったらサボっただけ恥をかきますし、がんばったらがんばっただけ映像にも残りますから。いくつになってもいろんなことにがむしゃらに挑めるので、おもしろい職業だなと改めて思っています。いまは時代劇にもすごく興味があるので、殺陣や乗馬などにも挑戦して、幅広く活躍できる俳優になりたいと考えているところです。自然のなかにいると、心が満たされる―忙しい日々が続いていると思いますが、いま坂東さんが癒しを感じる瞬間といえば?坂東さんこの前、北海道の実家に1週間ほど帰省しましたが、「実家が北海道でよかったなぁ」と思いました。近くはないので、なかなか行けないというのはありますが、だからこそ行ったときの回復できる感じがすごくあるなと。そんなふうに、ゆっくり充電できる時間を過ごすためにがんばろうと思いますし、本当にいいリフレッシュになりました。―確かに、自然があったり、おいしい食べ物があったりするのはいいですよね。がんばっている自分に対して、ご褒美にしたこともあったのでは?坂東さん6000円くらいする海鮮丼を食べました。「めちゃくちゃ高い!」と思いましたが、そのぶんすごくおいしかったです。あとは、回転寿司に行ったり、星空の下でバーベキューをしたり、湖で泳いでみたり。北海道をかなり満喫しましたね。実家に住んでいた15年間では当たり前のことでしたが、北海道から離れて10年くらい経って久しぶりにするとこんなにも心が満たされるのかと感じました。別に東京が嫌いというわけではありませんが、自分は単純に自然が好きなんだなというのを再認識したところです。負けることも悪いことじゃない坂東さん僕もつねに悩んでいますし、壁にぶち当たることも多いですが、そういうときはみなさんもぜひ自然のなかに飛び込んだり、好きなものをたくさん食べたりしてリフレッシュしてください。そして、この作品を観ていただければ、「負けることも悪いことじゃない」と感じていただけると思っています。なので、うまくいかなくて落ち込んでいる人がいたら、ぜひ僕が演じる大塚から何かを受け取ってもらえたらうれしいです。インタビューを終えてみて…。とても気さくで、笑顔が似合う坂東さん。「おしゃべりをするのが好きだから聞き上手な女性にグッとくる」とも教えてくれましたが、終始楽しそうに話す姿に現場でも先輩たちから愛されている様子が目に浮かぶようでした。それだけに、普段のお茶目な坂東さんとはまったく別の表情を見せる渾身のボクシングシーンは必見です。戦いのゴングに胸が熱くなる!生きていれば挫折やどん底を味わうことはあるけれど、誰でもふたたび立ち上がることができると感じさせてくれる本作。人生という名のリングで最後まで戦うことの意味、そしていまを生きる尊さに、込み上げてくる思いを止められなくなるはずです。写真・園山友基(坂東龍汰)取材、文・志村昌美スタイリスト・李靖華ヘアメイク・原みさとジャケット¥73,700、パンツ¥37,400(ともにsuzuki takayuki TEL:03-6821-6701)、その他スタイリスト私物ストーリー40年ぶりに故郷に戻ってきた元ボクサーの広岡仁一。引退後はアメリカで興した事業で成功を収めたが、不完全燃焼の心を抱えて突然帰国したのだった。かつて所属したジムを訪れたのち、広岡はすっかり落ちぶれた二人の仲間に会いに行く。そんな広岡の前に現れたのは、不公平な判定負けに怒り、一度はボクシングをやめた黒木翔吾。広岡の指導を受けたいと懇願する黒木に広岡の姪である佳菜子も加わり、不思議な共同生活が始まる。やがて翔吾をチャンピオンにするという広岡の情熱は、夢を諦めた周りの人々を巻き込んでいく。果たして、それぞれが命がけで歩き出した新たな人生の行方は…。気持ちが高ぶる予告編はこちら!作品情報『春に散る』8月25日(金)全国ロードショー配給:ギャガ(C)2023映画『春に散る』製作委員会写真・園山友基(坂東龍汰)
2023年08月24日連日続く暑さによって心身ともに疲れがたまってくる時期ですが、そんなときにオススメの1本は、親子の愛に心が温まると話題の映画『高野豆腐店の春』です。今回は、現在公開中の注目作についてこちらの方々にお話をうかがってきました。藤竜也さん & 麻生久美子さん【映画、ときどき私】 vol. 595豆腐屋を舞台に描かれている本作で、職人気質の頑固な父・高野辰雄を演じる藤さんと、明るくて気立てのいい娘・春を演じている麻生さん。日本映画界に欠かせないおふたりが共演するのは、実に26年ぶりとなります。そこで、お互いに現場で感じていたことや役作りのこだわり、そして長年のキャリアにおけるそれぞれの転機などについて語っていただきました。―今回、藤さんは三原光尋監督からシナリオが送られてきた際、その2日後には監督のもとに届くように速達でお戻しされたほど出演を即決されたそうですね。藤さん三原監督とは三度目になりますが、20年ほどかけて3本も主演作を作ってくれるなんてありがたいことですし、お礼は早いほうがいいですから(笑)。最初はいつ撮れるかわからないということでしたが、それでも「待ちます」と伝えました。―麻生さんにとって、出演の決め手となったものは何ですか?麻生さんそれは、藤さんです。もちろん脚本もすごくおもしろかったですが、私はいつも誰とお仕事ができるかで選ばせていただいているので、今回は藤さんとご一緒できるからお受けしました。藤さんいやー、うれしいですね!麻生さんとは一緒にいるだけで呼応し合えた―藤さんも「麻生さんの演じる春だから心が動いた」とおっしゃっていますが、現場で麻生さんとのやりとりで忘れられない瞬間といえば?藤さんたくさんありますよ。やっぱり人には合う合わないがありますが、麻生さんとは一緒にいるだけで呼応し合うことができました。「娘がいたらこんな感じなんだろうな」と思ったくらいです。―26年ぶりの共演で、麻生さんは藤さんの背中から学ぶこともあったのではないでしょうか。麻生さん今回は、改めて「初めまして」の気持ちでご一緒させていただきましたが、藤さんがとにかくかっこよくて…。ご本人の前で言うのは恥ずかしいですが、それでいてとてもチャーミングな方でもあるんですよね。本当にすごい役者さんだと思いましたし、いろんな藤さんを見せていただきました。―本物の親子のような息の合ったやりとりが印象的でしたが、アドリブなどもありましたか?麻生さん基本は台本通りですが、ときには藤さんがご自身のアイディアやアドリブを入れていることもありました。藤さんたとえば、商店街を2人で歩いているシーンでは鼻歌を用意していきましたが、はじめは「どんぐりころころ」だったのを「ずいずいずっころばし」に変えてみたことも。自分でもなんでそうなったのかはわからないけど、何となくそれがいいかなと思ったんです。演じるなかで、辰雄が春といる時間をどれだけ大切にしているのかをひしひしと感じていました。麻生さん私は、そういうところもすごく好きでしたね。想像とは違った藤さんのお芝居が見られて楽しかった―親子の関係性を象徴する素敵なシーンですよね。藤さんは職人の役を演じるのがお好きということで、これまでにさまざまな職人を演じられてきましたが、本作の豆腐屋に関してはどのような準備をされましたか?藤さん今回はあまり時間がなかったので、ある豆腐屋のお店を借りてそこのお父さんに2日間ほど教えてもらいました。麻生さんそれだけで長年やっているような空気感を出せるのが、本当にすごいですよね。私もお豆腐屋さんで作業を見せていただきましたが、大きな鍋のかき混ぜ方やにがりを入れるタイミングなど、思っていた以上に大変だということがよくわかりました。―藤さんはいつも脚本にはないキャラクターの背景もご自身でかなり細かく考えられるそうですが、辰雄はどんな人物として分析されましたか?藤さん今回も、これまでと同じように役のプロファイリングを自分なりにしました。脚本には豆腐屋さんになる前に造船所で働いていたと書かれていましたが、そのほかに思い浮かんだのは、「この人はきっと橋の工事などをしていて、高いところで働いていたんだろうな」とか「小学校はここに通っていたかな」とか。若いときに奥さんとどんな話をしていたかまで想像してドキドキしていましたが、そんなふうに物語と関係ないことで遊ぶなかでいろいろと思いついてしまうんですよね。麻生さん本当にすごいことです。そういうお話を聞くと、私は何もしていないんじゃないかと思ってしまいますが、私が一番大事にしているのは脚本から何を感じ取るか。そのうえで、現場に行ったときに自分がどう感じるかを大切にしたいなといつも考えています。―そういう意味では、藤さんとご一緒されることで予想しない感情が出てくることもあったのでは?麻生さんはい、いっぱいありました。というのも、藤さんは私が想像していたお父ちゃんとは違うお芝居をされることが多かったので。でも、それがすごく魅力的だと感じました。思っていたよりも可愛かったり、怖かったりするので、楽しかったです。「春が来た!」と感じる瞬間とは?―本作のタイトルにある「春」は、親子2人に恋が訪れる意味の春であり、監督にとってはまた映画を撮るチャンスを得られたという意味の春でもあるそうですが、最近おふたりにとって「春が来た!」と感じるほどうれしかった出来事はありましたか?麻生さん6歳になった下の子が剣道をしていますが、3歳で始めた頃は体育館で寝転がっているだけでほとんど何もしていなかったのに、最近すっかり形になってきたので、いまはそれがとにかくうれしいです。「春が来た」と言えるほど大きなことではないかもしれないですが、もうすぐ試合もあるので感慨深いなと思って見ています。藤さん私は、毎朝起きるたびに春ですよ!ちゃんと目覚められるだけでありがたいです(笑)。―以前、ananwebでお話をおうかがいした際に、奥さまと寝る前に握手するのが習慣だとおっしゃっていましたが、それも続けていらっしゃいますか?藤さんコロナ禍前は握手でしたが、最近はグータッチになりました。麻生さんいいですね!―もともとは奥さまに触れたいというお気持ちから始められたそうですが、いまでは毎日しないと寝つきが悪くなってしまうほどだとか。藤さん年齢的に、翌日どちらかが目覚めない可能性もありますからね(笑)。なので、「おやすみ」と言ってグータッチをしています。―本当に奥さまを大切にしていらっしゃるのが伝わってきます。藤さん年を取ると自然とそうなりますよ。若いときはよそ見もしますが、そういう時間はもう終わりました(笑)。いまは、妻一筋です。麻生さんあはは!素敵すぎます。役者をやめたいと思ったことはない―今年は藤さんにとってデビューから60周年となりますが、これまでを振り返ってみて、苦しかった時期などもありましたか?藤さんやめたいと思ったことは、ありません。というのも、飽きちゃいけないと思って、あえてそんなにたくさん仕事してこなかったんですよ。―若いときから作品の数をご自身でコントロールするというのは、なかなかできないことだと思いますが…。藤さんあんまりやりすぎると、当たり前になってありがたみを感じられなくなってしまいますから。それに、そのほうがつねに新鮮なんですよ。待ちに待ってから脚本をもらうと、読むだけで「ありがたい!」と興奮してきます。麻生さんいま、すごくいいヒントをいただいた気がします!藤さんいやいや、そんなに仕事がこなかっただけですよ。それに、若いときは遊びやよそ見で忙しかったので…。麻生さん(笑)。『時効警察』で新しい世界があると知った―麻生さんもデビューから30周年が近づいてきましたが、これまでご自身が大切にしてきたことは?麻生さんもうそんなになるんですね。何十周年とか考えたことないですし、いままで自分が何本の作品に出たかもわかっていないくらいなんです。なので、気がついたらここまで来た感じではありますが、これからも1本1本大切にやっていきたいなとは思っています。―ここまで続けてこれた原動力になっていたものといえば?麻生さん実は、私は20代半ばにやめたいと思っていた時期がありました。それを乗り越えてのいまですが、そんなときにドラマ『時効警察』に出会って、「こんな新しい世界がまだあったのか!」と知ることができたのが大きかったなと。そこでお芝居の奥深さや難しさ、そしてワクワクする気持ちを改めて感じられたので、「自分の限界を勝手に決めてはいけない」と反省して、そこから改めてスタートした感じです。藤さん僕も同じく20代半ばくらいの頃、行き詰っていて何をやっていいのかわからなかったことがありますよ。―そこで突破口になった出来事などがあったのでしょうか。藤さん「このままじゃダメだな」と思っていたときに、周りで評価されていた監督に「僕を使ってください」とお願いしたんです。そしたら「君には使いたいと思わせるものがないんだよな」と。でも、自分でもわかっていたので、そこから「“ない”ってなんだろう」「“ある”ってなんだろう」と役者っぽく悩み始めたのがきっかけです。生きていく楽しさを感じてもらえるはず―本作では「甘くてちょっと苦みがある豆腐は人生に似ている」としていますが、もしご自身の人生を何かに例えるとしたら?藤さん自分でもはっきりとわかっているのは、僕はサラブレッドではないということ。どちらかというと駄馬やロバみたいに輝かしくはないけれど、のんびりゆっくりと前に進んで行く感じですね。麻生さんうーん、なかなか難しいですね…。じゃあ、私も映画と同じお豆腐でお願いします(笑)。―最後に、仕事や恋愛に悩むananwebの女性読者に向けてメッセージをお願いします。藤さん『高野豆腐店の春』を観ていただければ、きっとわかっていただけるのではないかなと思っています。ぜひ、ご覧ください。麻生さん年齢層高めの方々がターゲットの作品に見えるかもしれませんが、30代の女性たちにとっても親の問題や人間関係などこれから先の人生で起こるであろうことが描かれています。そして、「生きていくっていいな」とも感じられるはずです。それから私がよくしているのは、ネガティブをポジティブに変換すること。実は、私はみなさんが思うよりもダメダメで、いろんなことを心配しすぎてしまうほうなんです。でも、それが取り越し苦労に終わると、逆に「いまの自分って何て幸せなんだろう」と気づかされるんですよね。みなさんもネガティブになってしまうときは、そんなふうに考えてもらうといいかなと思っています。インタビューを終えてみて…。劇中同様に、本当の親子のような空気感を醸し出していた藤さんと麻生さん。相手に対する信頼感の高さはもちろんですが、お互いのことが大好きな気持ちがひしひしと伝わってきました。いつまでも見ていたいと思わせるチャーミングなおふたりのやりとりは、ぜひスクリーンでも堪能してください。誰の人生にも、春は必ずやってくる!純白の愛情を持つ父と柔らかくて優しい娘が繰り広げる甘くて少し苦い人生を描いた本作は、シンプルでありながら奥が深い豆腐のような味わいのある1本。お互いを大切に思うからこそ、ときにはぶつかってしまうこともある親子の姿に、共感するとともに心がじんわりと温かくなるのを感じるはずです。写真・園山友基(藤竜也、麻生久美子)取材、文・志村昌美麻生久美子 ヘアメイク・ナライユミスタイリスト・井阪恵(dynamic)ドレス¥59,400(ルーム エイト ブラック/オットデザイン TEL:03-6824-4059)他アクセ(スタイリスト私物)ストーリー尾道の風情ある下町の一角に店を構えている高野豆腐店。そこで働く父の辰雄と娘の春は、陽が昇る前から工場に入り、二人三脚で毎日おいしい豆腐を作っていた。ところがある日、辰雄はもともと患っている心臓の具合が良くないことを医師から告げられてしまう。そこで、出戻りの一人娘である春のことを心配した辰雄は、昔ながらの仲間たちに協力を依頼。春の再婚相手を探すため、本人には内緒でお見合い作戦を企てることに。そんななか、辰雄は偶然が重なって知り合ったスーパーの清掃員として働くふみえと言葉を交わすようになるのだった…。優しさに包まれている予告編はこちら!作品情報『高野豆腐店の春』シネ・リーブル池袋、新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国公開中配給:東京テアトル(C)2023「高野豆腐店の春」製作委員会写真・園山友基(藤竜也、麻生久美子)
2023年08月23日AIの音声認識サービスである『AleXa(以下、アレクサ)』。話しかけるだけで、音楽をかけたり、その日の天気を教えたり、調べたいことを検索したり、便利なサービスとして、家庭にも広く普及しています。野間口徹の息子がアレクサに尋ねたのは…?2023年8月17日、俳優の野間口徹さんは、SNSを更新。息子さんが『アレクサ』に夏休みの宿題の答えを尋ねているところを目撃したといいます。次男がアレクサに、ひそひそ声で夏休みの宿題の答えを聞いている。アレクサもウィスパーで答えている。— 野間口徹 (@nomaguchi_toru) August 17, 2023 バレたらまずいと思っているらしく、ヒソヒソ声で尋ねると、なんと『アレクサ』もささやき声で返していたそうです!実は『アレクサ』の音声機能には小声で返答するモードがあるとのこと。「アレクサってささやくのか…」と野間口さんも衝撃を受けたとつづっています。投稿を見た人たちからは、最先端の機能への驚きの声などが相次ぎました。・知らなかった!私もやってみたら、ささやき声で返してくれました!・ズルがかわいくて吹き出した。アレクサの気遣いがすごい。・使えるものを最大限に利用する、息子さんの発想は賢いです!・思わずふふって笑っちゃった。想像すると癒される。また、子供を持つ親たちからは「うちの子と同じことをしている」といった声も寄せられていました。この後きっと、息子さんは野間口さんに叱られたことでしょう。ズルはいけませんが、その場の様子を思い浮かべると、なんだかかわいらしくてクスッとしてしまいますね。[文・構成/grape編集部]
2023年08月21日カリスマ・インフルエンサー、ミトヤマネを主人公に、ネット社会の魅力や、そして怖さまでもクールに描いた映画『#ミトヤマネ』。「脚本を読んだ時、普段私がやっていることとあまり変わらないと思った」と話すのは、ミトヤマネを演じている玉城ティナさん。自分の分身が勝手に暴走していくのは奇妙で面白かった。「インフルエンサーって華やかな職業に見えるかもしれません。でも、たぶんミトは、特に資格もいらずにスマホひとつでできるからってだけでインフルエンサーを始めたような気がしているんです。常に『Yes』しか言わないような受け身で、冷静に、淡々と役割をこなしている人であり、自分のことを他人事と捉えるところもあります。何か商品を紹介する時、広告塔としてその商品のイメージを背負うという意味では、私の仕事と共通する部分もあり、演じていて難しいことはそれほどなかったです。一方で、街頭インタビューのシーンで『なぜミトのことが好きなの?』という若者たちへの質問に対して『理由なんてない』とか『理由いります?』という答えがあるのですが、それって今どきの価値観のような気もしています。ミトの性格や好み、暮らしなどのバックグラウンドを知らなくても、ミトがミトだから好き、で許されるというか…。そういう誰にも説明できない危うさがミト自身の危うさともリンクして、この作品の世界観をより深めているのではないでしょうか」心がけたのは、観る人がどのようにも意味づけや解釈ができる表情で演じること。例えば特徴的なのは、ミトの顔を世界中に拡散する“ディープ・フェイク”アプリを使うかどうかの決断を迫られるシーン。「『いいんじゃない?』というミトの返答は、『なんでもいいんじゃない?』の意味に近いもので、本当にいいとは思っていない。観る人によっては破滅の道を選んだと思う人もいれば、面白そうとか新しいと思う人もいるかもしれませんが、私はどっちに捉えられてもいいと思っています。また、妹のミホ(湯川ひな)も本当は姉妹ではなくただの同居人かもしれないし、なんならミトがミホかもしれない。関係性を明言しないとか、あえてミトの本心や感情をどっちつかずに見せている表情やシーンはたくさんあるので、一回観て理解するのは難しいかもしれません。ただどれだけ理解していただいても、理解できないと拒絶されても、いいと思っていて。現代に生きる、ある普遍的な女性の物語にすぎず、いろいろな話をしながら観て、宮崎大祐監督の今までにない映像表現に、驚いてもらえたら嬉しいです」ディープ・フェイクによりミトの顔が大量に拡散されるシーンは、異様とも圧巻とも捉えられるが、玉城さんはどう感じたのか?「自分の分身が勝手に暴走していくのは奇妙でありつつ面白かった(笑)。自分はこういう映像表現も割と平気なんだと、新しい発見でした。もし本当に私の顔のフィルターができたら、みんなに使ってほしいですね」『#ミトヤマネ』人気絶頂のインフルエンサー・ミトヤマネは、ある日“ディープ・フェイク”アプリとのコラボ案件の話に乗る。世界中にその顔が拡散され、更なる人気者になったミト。しかし、悪用される事態に発展し…。8月25日公開。©2023「#ミトヤマネ」製作委員会たましろ・てぃな1997年10月8日生まれ、沖縄県出身。モデル、俳優。WOWOW『アクターズ・ショート・フィルム2』(2022年)で、監督デビューを果たす。今年1月に公開された映画『恋のいばら』では主演を務めた。ブラウス¥42,900スカート¥42,900(共にRIV NOBUHIKO/Harumi Showroom TEL:03・6433・5395)※『anan』2023年8月16日‐23日合併号より。写真・岩澤高雄(The VOICE)スタイリスト・松居瑠里ヘア&メイク・今井貴子インタビュー、文・若山あや(by anan編集部)
2023年08月15日演出家の白井晃×ストーリーテラーのフィリップ・リドリー。これまで何度となく評判を呼んできた組み合わせ。人間のグロテスクさをファンタジーで包み込むリドリーのブラックな物語を、白井さんは、静謐で美しいけれどどこか不穏な世界観の中で繊細に描き出す。その世界に魅了されたひとりが細田佳央太さんだ。大人の方も子供の柔軟な視点で楽しんでもらえたら嬉しいです。「吉沢亮さんが出演された『マーキュリー・ファー』という舞台が衝撃でした。タイミング的に、僕にとって久々に観た生の舞台だったことや、ロシアのウクライナ侵攻が始まった時期だったことも影響していると思いますが、舞台上で表現されている以上の大きなものを受け取った気がして。素晴らしいけれどしんどくもある、ある種、観る側の体力や考える力的なものが問われる舞台を作られるってどんな方なんだろう、と。いつかご一緒できたらと思っていたら、まさかこんなすぐに実現するなんてとても嬉しいです」現在、絶賛稽古中。実際に体験した白井演出の魅力とは?「僕のようにずっと映像をやってきた人間からすると、白井さんの演出や説明の仕方がとてもわかりやすいんです。この作品では、基本的に全員が何かしらの役でずっと舞台に出ています。映像なら、カット割りやクローズアップでお客さんが誰に注目すればいいかを見せますが、舞台は編集ができない。だから流れをみんなで作る必要があると説明されて、すごく腑に落ちました。難しいけれど、こんな見せ方をしたらどうだろうかって考えるのも楽しいです」そもそも、それが舞台をやりたいと思っていた理由なのだとも。「生の舞台と映像では見せるものが違うようだけれど、やっていることは同じお芝居です。舞台で自由に動けるようになれば、映像でも自由度が上がるし、カット割りの可能性も広げられるはずで、間違いなく今後に生かせるだろうと思っています」本作はリドリーによる児童小説が原作で、“影のタワー”で生きる3世代の家族を描いた物語。「かわいらしいやり取りがある一方で、どこか生々しい怖さもある。最初は変に重く受け止めて、神妙な顔でやらなきゃと思っていたけれど、リドリーの原作本の挿絵がすごくかわいらしくユーモラスで、そこを表現したいから楽しんでやってほしいと白井さんに言っていただけて、気持ちが楽になりました。大人も楽しめるけれど、子供向けのプロジェクトですし、たぶん本番中に子供から思いもよらないレスポンスがあるだろうなと思うので、とりあえずそのときの心の準備だけはしています」映像の世界でも、アドリブを求められることがあるはずだけど?「基本はカットがかかるまで芝居を止めるなと教わってきたので、アドリブにはがんばってついていけるようにしています。でも、あとで自分はセンスないって思うことも(笑)。ただ、格闘しながらですけれど、苦手ではないかな」大人の読者に向けてもひと言。「子供の柔軟性ってすごくて、目の前のことを現実的にとらえるのではなく想像で楽しんだりできる。大人の方もそんなふうに、子供の視点で受け止めてもらえたら嬉しいです」せたがやこどもプロジェクト2023『メルセデス・アイス』建設中の“影のタワー”に憧れて育ったロージーとティモシーは、やがて結婚し、念願のタワーに暮らし始める。彼らの間に生まれた男の子・メルセデスは甘やかされて育ち、やがてとんでもない事件を引き起こす。8月11日(金)~20日(日)三軒茶屋・世田谷パブリックシアター原作/フィリップ・リドリー翻訳/小宮山智津子演出/白井晃出演/細田佳央太、豊原江理佳、東野絢香、松尾諭ほか一般8000円ほか(18歳以下無料招待あり)世田谷パブリックシアターチケットセンター TEL:03・5432・1515宣伝写真:二石友希ほそだ・かなた2001年12月12日生まれ、東京都出身。4歳から活動を始め、’19年の初主演映画『町田くんの世界』で注目される。大河ドラマ『どうする家康』の松平信康役では強烈なインパクトを残した。シャツ¥39,600カットソー¥46,200パンツ¥49,500シューズ¥66,000(以上OURLEGACY/EDSTROM OFFICE TEL:03・6427・5901)※『anan』2023年8月9日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・岡本健太郎ヘア&メイク・菅野綾香インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年08月08日役者、映画監督、ショップ運営などいくつもの顔を持ち、映画とともに旅をして、街に滞在しながら映画を届けるなど、さまざまなスタイルで宣伝活動をしてきた須藤蓮さん。文化そのものに垣根はなく「映画をツールに人々が希望を持つきっかけを作りたい。社会を元気にしたい」と語る。この、業界を意識しないエキセントリックな活動こそ、これからの映画界の、そして日本の未来までを変える可能性を秘めているのかもしれない。若手を“結んで”才能を“開く”映画監督。須藤蓮さんが監督デビューしたのは、主演作でもある自主企画映画『逆光』(’21年)。脚本は、ドラマ『エルピス―希望、あるいは災い―』など数々のヒット作を手掛けた渡辺あやさんだ。公開予定の映画『ABYSS アビス』は渡辺さんとの共同脚本で、監督と主演も務めている須藤さん。役者業だけにとどまらずに活動を続ける背景には、独自の野望がある。「絵も文章も写真も下手で、ギターを始めるもすぐ挫折。独特なファッションセンスがあるわけでもなく、何かを表現することが得意ではなくて。そんな僕の唯一の成功体験が、大学受験でした。“勉強してお金を稼いで認められたらいい”という価値観を持ちながらも、一方でその価値観の脆弱さにも気がついていて。その間で葛藤する苦しい日々でした。ただ、やはりどこかで、自分の中で押し殺していた“表現”への強い憧れがあったんだと思います。役者だったら、もしかしたら体一つで表現に関わることができるかもしれない。そう思って、この世界に飛び込んだんです」そんな時に出合ったのが、オーディションで主演に選ばれた京都発地域ドラマ『ワンダーウォール』。この作品への参加が須藤さんの価値観を一変させた。「ある学生寮の存続をめぐる話なんですが、役者はもちろん、一本のドラマに本気で挑む作り手たちの情熱や仕事ぶりがカッコよくて、現場を心底楽しいと思いました。そのうち、この作品が社会をどう変えていくかに興味が止まらなくなり、自分の仕事を放り出して、一人でこの作品の宣伝を始めたんです(笑)。“このままアーカイブにするのは嫌だ”という僕の想いに賛同してくれたのが、脚本の渡辺さんや音楽の岩崎太整さんで、その後、映画化の実現にこぎつけました。この経験によって僕のエネルギーが解放され、『ABYSS アビス』の脚本を独学で執筆。渡辺さんに見てもらっては『全然ダメ!』と直されたものが送り返され…を約1年繰り返して、やっと書き上げた作品です」渋谷を舞台にした『ABYSS アビス』の撮影はコロナ禍によりストップ。それでも何か一本映画を作りたいと、持続化給付金を持ち寄り、尾道を舞台に撮った作品が『逆光』だった。「芝居だけで満たされることはなく自分を持て余していた僕は、主演と監督にも挑戦。そうしたら、ロケハンして衣装を決めて、カメラワークを考える毎日が楽しくてしょうがなくて。初めて自分が満たされて、全身の細胞が沸き立つ感じがしました。完成後は宣伝活動で地方を回り、ある大学の寮では壁に紙でスクリーンを作って上映し、岐阜県では夏祭りを開催したりも。なぜそこまでするのかというと、映画を観てもらうだけでメッセージを伝えられるのは素晴らしいとは思うけど、僕はそれでいいとは思えなかったから。映画を作ってゴールではなく、完成作を届ける過程までが映画制作だと考えているんです」自ら監督、配役、役者、宣伝までする理由は「若者が明るい希望を持つ転機は必ずあり、映画を通じて探している」から。「社会全体が進むべき道を失いつつある中、映画業界の未来も明るくありません。そして、同世代の若者たちは、衰退が進む社会の中で希望を持てずに、何をやってもダメなのでは…と自信を喪失している。でも僕が映画を撮れたように、何かのきっかけで大きな爆発を起こすようなポテンシャルはみんなの中に眠っているはず。僕がした経験を同世代にも経験してもらいたいし、映画業界だけではなく日本全体を元気にしたいんです」自らの経験をヒントに、最近、未来へのビジョンがやっと見えてきたという。「例えば村上春樹の小説を読んでいる時、フィッシュマンズの音楽を聴いている時、ウォン・カーウァイの映画を観ている時など、抽象的な世界観やムードにトリップさせられる瞬間は誰にでもあると思うんですが、昔から僕にとってそれがすごく気持ちがいいもので。その快感への“没入”にこそ、幸せを感じてきたんです。そして、だったら自分でその感覚を作ってしまいたい、と思うようになった。手段は、いろんなカルチャーと接点のある映画やドラマなどの映像であり、もしくはインスタレーションのようなものかもしれませんが、没入できる空間を作った上で、エネルギーを解放させるまでが大事。つまりこの“没入と解放”こそが、僕のやりたいことだと思いました。そのために、引き続き作品をひっさげて地方を回り、体験やトークなど何かしらの空間を作っていくのはもちろんのこと、面白い仲間たちと各地を回り、可能性に満ち溢れたエネルギーフィールドを作っていきたい。集まった人が可能性を“浴びて”俺たちもやれる、という“元気玉”みたいなものを手にして、一気に自分を解放してほしいから。希望あるじゃん、自由でいいんだ、というある種の“解放運動”ですよね。それができれば、きっとみんなが元気になって、社会も自然と変わっていくんじゃないかな」これからは役者ではなく、監督として歩み続けたいとも話す。「目立ちたがり屋だけど、役者をやらなくても、普段からカッコつけていればその欲は満たされる気がしていて。制作側にいながらも、たまにはイベントで前に立つと思いますけど(笑)」これまでの活動の一部をプレイバック!社会や自身の環境にもがく若者たちを描いたラブストーリー、映画『ABYSS アビス』の撮影風景。「撮了の1年後に自腹で再撮影をし、編集もし直して、完成までに4年以上かかりました」須藤さんが都内で運営する『FOL SHOP』は今年4月オープン。古着などの販売、イベントや上映会も行い、若者交流の場としても機能。「古着は、映画の衣装担当のスタイリストさんが海外で買い付け」映画『逆光』をひっさげて、地方を回り宣伝活動を行った須藤さん。「まさに“没入と解放”の瞬間。映画を作るだけでなく、一つの場所にみんなが集まり、エネルギーを生み出す空間を作るのが楽しい」すどう・れん1996年7月22日生まれ、東京都出身。大学在学中の2017年に俳優活動開始。翌年、京都発地域ドラマ『ワンダーウォール』に出演。映画『逆光』で監督と主演を務め、渋谷シネクイントにて9/15公開の映画『ABYSS アビス』では、監督・脚本(渡辺あやさんと共同)・主演を務める。※『anan』2023年8月9日号より。写真・森川英里スタイリスト・高橋達之真取材、文・若山あや(by anan編集部)
2023年08月04日エンターテインメントの世界に関わる人にとって海外進出は大きな夢のひとつ。動画配信サービスが普及したことで、日本の実力派俳優や一流クリエイターが続々と海外作品へ参加し、夢を叶えている。そんな国境を超えてグローバルに活躍する人々の勇姿が見られる作品をレコメンド。日本人俳優が出演する海外作品日本人俳優が出演し話題を呼んだ、海外の注目作品をピックアップ。海外キャストに囲まれながらも圧倒的な存在感を放ち、世界中を魅了!『Concordia』Cast_ 中島健人 ほか監視社会を描くスリラー・ドラマ。数々のエミー賞受賞歴を誇る名プロデューサー、フランク・ドルジャーの最新作。Sexy Zoneの中島健人さんがメインキャストとして出演し、この作品で海外ドラマデビューを果たす。AIを活用する実験的なユートピア「コンコルディア」を舞台に、AIシステムの最高技術責任者役を熱演。全編英語のドラマに全力で挑む!Huluオリジナル「Concordia(コンコルディア)」(仮題)日本ではHuluにて2024年独占配信 ©Hulu Japan『THE SWARM/ザ・スウォーム』Cast_ 木村拓哉 ほか世界中の海で不可解な現象が!ドイツのベストセラー小説『深海のYrr』を映像化したSFサスペンス。世界の海で突如不可解な現象が巻き起こり、異変に気づいた各国の研究者たちが全容解明に挑む。木村拓哉さんは、日本人の慈善家で海洋問題に取り組むミフネ財団の創始者として登場。科学者たちの奮闘を後押しし、物語をひとつにまとめる重要な役どころを見事演じきった。Huluオリジナル「THE SWARM/ザ・スウォーム」 Huluで独占配信中©Schwarm TV Production GmbH & Co KG『アースクエイクバード』Cast_ 小林直己、祐真キキ ほか男女3人による愛憎サスペンス。イギリス人作家のスザンナ・ジョーンズによる同名ミステリー小説の映画化。1980年代の日本を舞台に、日本人の写真家と恋に落ちた外国人女性が三角関係に悩まされる様子を儚く描く。その物語の鍵を握るミステリアスなカメラマン役に、三代目 J SOUL BROTHERSの小林直己さんが抜擢。ふたりの女性を翻弄し続ける。Netflix映画『アースクエイクバード』独占配信中『唐人街探偵 東京MISSION』Cast_ 妻夫木聡、長澤まさみ ほか中国・日本・タイの探偵が集結。中国で大ヒットを記録した『僕はチャイナタウンの名探偵』シリーズの第3弾。中国の探偵コンビに加え、日本やタイの探偵が揃い、東京で起こったヤクザ絡みの密室殺人事件を解決する。探偵役に妻夫木聡さん、マフィアの秘書役に長澤まさみさん、謎の強姦殺人犯役に染谷将太さん、エリート警視正役に浅野忠信さんと、日本人俳優が多数出演。©WANDA MEDIA CO.,LTD. AS ONE PICTURES(BEIJING)CO.,LTD.CHINA FILM CO.,LTD“DETECTIVE CHINATOWN3”U‐NEXTにて配信中『マン・フロム・トロント』Cast_ 山下智久凸凹殺し屋のバディムービー。凄腕の殺し屋に間違えられたドジな男と、本物の殺し屋がひょんなことから行動を共にし、ミッションクリアを目指す抱腹絶倒のアクションコメディ。ふたりの前に立ちふさがる最後の刺客として、刀を手にした山下智久さんが登場。ミステリアスな雰囲気を醸し出し、短い出番ながら強烈なインパクトを残した。Netflix映画『マン・フロム・トロント』独占配信中『TOKYO VICE』Cast_ 渡辺謙、菊地凛子、伊藤英明、笠松将 ほか’90年代の東京の裏社会に迫る!WOWOW初のハリウッド共同制作ドラマ。1990年代の東京を舞台に、大手新聞社の警察担当記者として働くアメリカの青年が、危険な闇社会へ足を踏み入れていく様が描かれる。刑事役に渡辺謙さん、女性記者役に菊地凛子さん、風俗街で暗躍する刑事役に伊藤英明さん、ヤクザの組員役に笠松将さんと、日本の演技派俳優が脇を固める。Huluで見放題独占配信中HBO Max / Eros Hoagland『夜叉 ‐容赦なき工作戦‐』Cast_ 池内博之巧みなストーリー&ド迫力のスパイ映画。中国を舞台にした、韓国のスパイ・アクション。「夜叉」と呼ばれる無情な男と、特別監察の任務を負ってその地を訪れる検察官の出会いから、近隣諸国のスパイも絡む危険な極秘工作に挑む。北朝鮮、中国、日本のスパイたちの情報戦が見どころで、池内博之さんは、アジア最強のスパイとして夜叉と敵対し、激しいアクションを繰り広げる。Netflix映画『夜叉 ‐容赦なき工作戦‐』独占配信中『ただ悪より救いたまえ』Cast_ 豊原功補 ほか暗殺者vs殺し屋。狂気が大激突!韓国、タイ、日本を舞台に、腕利きの暗殺者インナムと、冷酷無比な殺し屋レイの戦いを描いたノンストップ犯罪アクション。インナムは、引退前の最後の仕事として、日本のヤクザ・コレエダを殺害する。このヤクザを豊原功補さんが演じ、劇中で韓国語のセリフを披露して話題に。レイの手助けをする役として白竜さんも参加している。Huluで見放題独占配信中©2020 CJ ENM CORPORATION, HIVE MEDIA CORP. ALL RIGHTS RESERVED『ウエストワールド シーズン2』Cast_ 真田広之、菊地凛子 ほかAIが覚醒し、いよいよ反乱が開始。人間そっくりのアンドロイドたちが来場者をもてなすテーマパークを舞台に、AIの目覚めとその後の反乱を描く。シーズン2では、江戸時代を表現した「ショーグン・ワールド」が作られ、剣の達人として真田広之さん、芸者として菊地凛子さんが出演。ふたりのセリフのほとんどが日本語というのは、海外ドラマでは異例。©2018 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved. U-NEXTにて見放題で独占配信中※『anan』2023年7月26日号より。文・鈴木恵美(by anan編集部)
2023年07月23日俳優で、モデル。ふたつの道で活躍する20歳。自らを「マイペース」と表現する水沢林太郎さん。ふたつの衣装を纏った彼のさまざまな表情を、注目の写真家・野田若葉さんが切り取ります。装いの空気を一瞬で感じ、カメラの前で表現した水沢林太郎さん。俳優として、『MEN’S NON-NO』の専属モデルとして活躍の幅を広げているが「人は人、僕は僕」と淡々と語る。「人と比べることはしないほう。お仕事のオーディションも芝居力を磨く場であり自分を知ってもらう場と考えているので、不合格でも自分を追い込むことはないかな。思えば昔は勉強しなさいと言われても『いま気分じゃないんだよな~』なんて言う子でした(笑)」クールなルックスと、飾らない性格。そんな彼の周りには同世代の才能が集まる。「いやいや僕たぶん変なんですよ、距離の詰め方が(笑)。相手に興味を持つと止まらなくなる。例えばなにわ男子の道枝駿佑くんのこと、僕はミチコと呼んでいるんですけど、初対面の時『はじめまして。僕といまから3回じゃんけんしませんか?』って声をかけて。勝ったー、負けたー!って男子ノリで友達になりました(笑)。そこに(板垣)李光人や(青木)柚も加わっていって。現場でどんどん仲良くなっていくのがうれしかったです」明るくて、積極的な水沢さんだけれど、役者としては悩んだ時期もあったという。「5年くらい前、“役の中の自分”を受け入れられない時期がありました。現場でも挨拶すらぎこちなくなって…。でも2019年に出たドラマ『俺の話は長い』では演技を根本から鍛えられ、翌年の『17.3 about a sex』では10代の性という難しい題材に覚悟を持って挑むことができ、転機になった作品です」この春はドラマ『だが、情熱はある』で髙橋海人さん演じるオードリー・若林正恭さんを支える友人・鈴木足秋を演じた。「髙橋さんとは楽屋ではゲームや漫画の話ばかりしていました(笑)。現場でも役どころでも、作品を裏から支えることができるような人になりたいですね」自分で悩んで拓いた道。だからこそ役者仲間の悩みも一歩引いて見守る主義という。「悩んでる人がいたら『頑張ってる自分を、まず褒めてあげなよ』と声かけるようにしてます。自分を認めるって自分にしかできないから。それに誰の人生にも一人で乗り越えないと前に進めない瞬間って、あると思うので」モデルの仕事は、洋服好きな“素”の自分をさらけ出せる時。この日も真剣な表情からのWピースでスタジオを沸かせてくれた。「笑ってもらうと、自分も力が抜けてもっと楽しめる。笑顔ってやっぱり大事ですよね!10年後もこの世界で、人を笑顔にさせる人であり続けられたらいいな。何十年かかってもいつか研音(所属事務所)の看板俳優になるのが目標です…って自分でハードルあげちゃったな(笑)」冗談めかして明るく笑う。だけどその内面には強くて熱い芯が、一本通っていた。撮影を終えて一言出演・水沢林太郎「僕の好きな系統の洋服での撮影だったので、リラックスした気持ちで臨めました。ガムやキャンディを使っての撮影も楽しかったな。『小道具の使い方が上手』ってカメラマンさんにも褒めてもらえて…マネージャーさ~ん、いまのちゃんと聞いてましたか!?(笑)」みずさわ・りんたろう2003年2月5日生まれ、埼玉県出身。’17年デビュー。主演作『海の見える街で』が「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2023」の特別製作作品としてYouTube配信中。(1枚目写真)ジャケット¥74,800パンツ¥53,900(共にEYCK/EYCK SHOPinfo@eyck-tokyo.jp)シャツ¥24,200(KICS DOCUMENT.)リング¥12,100(20/80) 共にHEMT PR TEL:03・6721・0882シューズ¥46,200(Maison MIHARA YASUHIRO/Maison MIHARA YASUHIRO TOKYO TEL:03・5770・3291)ネクタイ¥15,400(DAIRIKUinfo@dairikucinema.com)ベレー帽¥6,050(CA4LA/CA4LA プレスルーム TEL:03・5773・3161)サスペンダー¥2,090(原宿シカゴ 神宮前店 TEL:03・5414・5107)その他はスタイリスト私物(2枚目写真)ジャケット¥72,600(J.PRESS ORIGINALS/untlim TEL:03・5466・1662)シャツ¥42,900(UJOH/M TEL:03・6721・0406)カットソー¥11,550(LENO/GOOD STANDING TEL:03・6447・2478)パンツ¥39,600(DAIRIKU)シューズ¥37,400(SESA Footwear/KNOW showroomhello@ontheparkstreet.com)ネックレス¥62,700(PLUIE/PLUIE Tokyo TEL:03・6450・5777)リング¥7,700(20/80/HEMT PR)その他はスタイリスト私物撮影・野田若葉「第一印象は純粋無垢で透明感のある人だなと思いましたが、実際に撮影を始めると心がオープンな感じで、初めて会った感じがしない不思議な包容力のある人でした。自然にシャッターを切らされるような感覚で、とても楽しかったです。また、ご一緒できたら!」のだ・わかば1984年生まれ、福岡県出身。スウェーデン・ヨーテボリ大学で写真を学ぶ。帰国後はアシスタントを経て2018年に独立。確かな技術とみずみずしい感性で、数多くの媒体、広告で活躍している。※『anan』2023年7月19日号より。写真・野田若葉(TRON)スタイリスト・能城 匠ヘア&メイク・菅井彩佳取材、文・大澤千穂撮影協力・バックグラウンズ ファクトリーEASE(by anan編集部)
2023年07月17日映画『MOTHER マザー』の少年役をはじめ、数々の映画で存在感を示す奥平大兼さん。全身全霊で役に飛び込むような演技で作品ごとにイメージを更新する…。そんな天才俳優の素顔を写真家の表萌々花さんが捉えました。下町の路地裏を、サンダル履きでぶらぶら。日常感あふれる“撮影散歩”をリラックスモードで楽しんでくれた奥平大兼さん。「カッコつけるのは苦手だから、こういう自然な感じはすごく心地いいです」デビュー4年目にして数々の賞を受ける映画界期待の新星。そんな高評価をよそに、役作りは自問自答の繰り返しだ。「映画の撮影は1年くらいかかるので、その間ずっと『これでいいのかな』の連続。そういうときは一人で抱えず、不安や迷いも含めて一緒に作っている方々の意見をしっかり聞きます。撮影時間には限りがあるけれど、そこで妥協したら観る人に絶対伝わるから」真摯な役作りの原点は、2020年、世界的な評価を受けた映画『MOTHER マザー』。「この作品ですごく注目をしていただいて、ありがたいことに褒められることが多くなって。半面、指摘してくれる人が減ってしまった。撮影でもOKは出てもちょっと違うなと感じることもあったので、以来クランクインの際に『違うと思ったらすぐ言ってください』と、周りの方にお願いするようになりました。率直に言い合うことで、お互いにより力強い気持ちで作品にのぞめると思うから」撮影中はストイックそのもので、オフの時間も役の設定にある趣味に取り組む。「自分の趣味は、役が終わってからです。特に大好きな服作りに没頭しているときは、自分ってこういう人間だったなと思い出せる、すごく大事なリセットの時間です」服は作るのも着るのも大好き。なかでも憧れのデザイナーの一人、ジョン・ガリアーノの服作りには共感と尊敬を持っている。「無条件に彼の作る服が好き。一方で有名ブランドのディレクターとして活躍して、ブランドと自分のやりたいことを調和させることもできる。一緒に作る人の思いと自分の感覚を両方生かすことの難しさは僕も感じているから、ジャンルは違っても、それができる人は素晴らしいなと思います」そのひたむきな姿勢で難役に挑戦し続けてきた奥平さん。公開中の映画『君は放課後インソムニア』ではいつになく(?)等身大の男子高校生役で、リアルな青春を生きている。「撮影前、監督に『学生時代を思い出して若返って』って言われたんです。やってみたら昔の気持ちに戻るって難しいんですよ!でも現場で同世代キャストとキャピキャピ過ごすことで無事、青春に戻れました(笑)」いまは複数の作品を並行して撮るほど忙しい毎日。そのモチベーションはどこに?「これまでの監督や役者さんと、別の作品で再会するのが目標です。そう思えるのもいままで出会った人たちが本当にいい人たちばっかりだから!そう思うと、僕はつくづく人に恵まれて俳優をやれているんだなあ」撮影を終えて一言出演・奥平大兼「下町の路地裏を、カメラ片手に散歩気分での撮影。すごくのんびりした気持ちになりました。服装も街の空気もこのくらいのラフさが僕にとっては居心地がいい。潮風を含んだ初夏の空気に、下町のおばあちゃんちで過ごした子供の頃の夏休みを思い出して…、ふと今年は隅田川の花火が見たくなりました」おくだいら・だいけん2003年9月20日生まれ、東京都出身。好物はワイン好きのお母さんが作るアヒージョ。「お酒は飲めないけど白米に合うんです(笑)」ロングTシャツ¥27,500(ジェームス パース/ジェームス パース青山店 TEL:03・6418・0928)その他はスタイリスト私物撮影・表 萌々花「前日まで雨予報だったのが、当日は晴れ間が差す瞬間も。撮影は、奥平さんと同じ目線で撮ることを心がけました。なので、お互いに撮る人/撮られる人という意識はしていなかったと思います。等身大の19歳で気張った感じもなく、ずっと自然体で撮影に応じてくれ、自然にシャッターを切ることができました」おもて・ももか1998年生まれ、岐阜県出身。山や自然、旅先など、自分が身を置く場所やそこでの出会いで感じた心の機微を写真で切り取っている。※『anan』2023年7月19日号より。写真・表 萌々花スタイリスト・伊藤省吾ヘア&メイク・速水昭仁取材、文・大澤千穂(by anan編集部)
2023年07月16日この夏も注目の映画が並ぶなか、異色作として話題を呼ぶ1本といえば、広告やCDジャケット、CMなどさまざまなジャンルで活躍するアートディレクター・千原徹也さんの映画監督デビュー作『アイスクリームフィーバー』。川上未映子さんの短編『アイスクリーム熱』を原案に、いまを生きる女性たちの姿を描いています。そこで、主演を務めたこちらの方にお話をうかがってきました。吉岡里帆さん【映画、ときどき私】 vol. 591クリエイターとしての夢を諦めるか悩みながら、アイスクリーム屋でアルバイトをしている主人公の常田菜摘を演じている吉岡さん。自身のカレンダーを手掛けてもらうなど、千原監督とは長年にわたって一緒に仕事をしてきた間柄でもあります。今回は、ほかとは違う現場の様子や本作の魅力、30歳を迎えた心境などについて語っていただきました。―はじめに千原監督から映画化のお話があったときは、どのように思われましたか?吉岡さん千原さんはいつもファッションや広告のお仕事をされている方なので、映画自体もいままでの映画とはひと味違うかわいさやビジュアルが楽しめる映画になるだろうなという期待値がすごく高かったです。しかも、川上未映子さんが描く女性像はとても魅力的なので、それも合わさってぜひお受けしたいと思いました。―ご自身が演じられた役に対しては、共感するようなところもあったのでしょうか。吉岡さん夢を諦めるのが早すぎるのではないかと初めは共感できない部分もあったのですが、自分を確立するのがどれだけ難しいのかというのは菜摘だけでなく普遍的な悩みでもあると感じていました。そのほかに実感したのは、自分の欠けている部分を埋めてくれる最愛の人と出会ったとき、人はこんなにも心が揺れ動くのかということ。そういうロマンチックな部分はこの映画のなかでとくにお気に入りですし、それをモトーラ世理奈ちゃんと一緒に演じられてうれしかったです。あまり体験したことのない現場だった―現場の様子についても、教えてください。吉岡さん今回は、撮影の仕方が本当に変わっているなと思いました。いままで私が参加してきた現場だと、通常初めに段取りやテストをしてからやっと本番という流れですが、千原さんは芝居を作りすぎずに瞬発的に出る“生っぽいもの”を拾っていくようなスタイル。段取りをしないまま進んでいくこともあったので、自分でも意識していないところを撮られているような恥ずかしさと不安を感じたこともありました。あとは、スタイリストさんやメイクさんがハッピーで楽しい方々だったので、「かわいい!オッケー!」という言葉が飛び交っていたり(笑)。そういう意味でも、あまり体験したことのない現場だったなと思います。―なるほど。そんななかで、刺激を受けたことや新たな気づきもあったのではないかなと。吉岡さんそうですね。たとえば、いま世の中に出ている映画やファッション、アートにはトレンドがあり、それを先取りしていくのが重要と考えられている部分があると思うんです。でも、この作品からはどこかレトロなものを感じました。それは多分、目新しいものをバンバン入れることよりも、千原さんが自分自身の歴史を大切にしていることが伝わってきたからかなと思います。これはキャストにもスタッフにも言えることですが、本作には千原さんとずっと一緒に仕事してきた人たちばかりが揃っています。そういうところにも「新しいものもいいけど、長年愛したものほどきらめくものはない」というメッセージを受け取りました。千原監督は、人の10倍働くプロフェッショナルな方―吉岡さんにとって、千原監督はどんな存在ですか?吉岡さんいつも余裕があって飄々としていますが、私が抱いている千原さんのイメージは、いままで出会った人のなかで一番眠そうな人(笑)。それはなぜかというと、千原さんは、自分の睡眠時間を削ってでも自分がしたいことに時間を使っているプロフェッショナルな方だから。人の10倍以上働いていらっしゃるんじゃないかな。大人になっても夢を追いかけ続けてるからこそ、こんなにもバイタリティが溢れ出ているんじゃないかなと。―また、本作には個性豊かなキャストが揃っていますが、ご一緒されてみていかがでしたか?吉岡さん共演者の方々は前からすごく好きな方たちばかりでしたが、会ってより好きになりました。特に同じパートに出演しているモトーラ世理奈ちゃんには本当に恋に落ちてしまいそうなほどでしたし、水曜日のカンパネラの詩羽ちゃんはかわいい妹のような存在。キラキラしているみんなと共演できてうれしかったです。意気込みや夢をちゃんと持っている子たちなので、これからも心から応援したいと思っています。―劇中ではラブストーリーも描かれていますが、演じられてみて感じたことがあればお聞かせください。吉岡さん改めて、人が人に惹かれるのに男も女も関係ないなと。そういう部分がすごくピュアに描かれていると感じました。最初はもう少し恋愛の要素が強くなるのかなと思っていましたが、蓋を開けてみたらそれよりも、人と出会うことで成長をしていくという普遍的なテーマが描かれているので、そういうところもすごく好きです。どんなに大変なときでも、ライブや舞台は観に行く―なかでも運命の出会いを感じた菜摘が、仕事中にもかかわらず衝動的に相手を追いかけるシーンが印象的でした。ご自身にもそういう経験はありますか?吉岡さん「まだ勤務中ですよ!」と思わずツッコんでしまうくらい私はつまらない人間なんです(笑)。ただ、私にもそういう“衝動”みたいなものはありますよ。たとえば、どんなに忙しいタイミングでも、その瞬間を見逃したくなくてライブや舞台には意地でも観に行きます。それくらい大好きです。―そのなかでも、最近吉岡さんの心が動かされた瞬間といえば?吉岡さんBLACKPINKとTWICEのライブに立て続けに行きましたが、この世のものとは思えないくらいかわいかったです。元気をたくさんもらって目の保養にもなりましたし、とにかく感動しっぱなしでした。あとは、椎名林檎さまですね。まさに「神降臨!」という感じだったなと。演出などすべてにおいて拝みたくなるくらい、その場にいられて幸せでした。これからは、経験からくるエネルギーを見せていきたい―本作に登場している女性たちは、アイスクリームを愛するいっぽうで「I scream(私は叫ぶ)」の言葉のように自分の思いを叫びたい女性たちにも見えました。では、吉岡さんがいま叫びたいことは?吉岡さん「ちょうどいい量の休みがほしい!」ですかね(笑)。というのも、これだけ長いことお仕事をさせてもらっているのに、いまだにうまい休みの過ごし方がわからないので…。できれば1か月に1週間くらいまとめて休日があったらいいですね。そうすれば友達と小旅行もできますし、ダラダラしたり、お買い物に行ったり、自分をメンテナンスしたりもできますから。休む日と外に出る日の両方に使える日数があるのが理想です。―今年で30歳になられましたが、一つの節目を迎えたことで新たな思いを抱いているのではないでしょうか。吉岡さんこの10年は心もカラダもトレーニングをしてきたので、ここで鍛えてきたことを30代でどう生かしていくのかが重要だと思っています。いままで真面目にがんばってきたぶん、培ってきたものをステップアップのために使っていけたらと。これからは若さではなく、経験からくるエネルギーを作品で見せていきたいと考えています。とはいえ、20代は仕事ばかりで、趣味もすべて仕事につながるものをしてきたので、これからは仕事に関係ない趣味を持つべきかなと思うことも。そうしないと休まらないような気がしているところです。一生懸命してきた人は、その過程にも輝きがある―いま、挑戦してみたいことは?吉岡さん先日、共演させていただいた黒木瞳さんが本当に美しかったのでヒントをいただきたいと思って、いろいろとお話をうかがいました。そのときに「ダンスがいいですよ」と教えていただいたので、そういうのを参考にできたらいいなと。―ステキですね。ちなみに、吉岡さんが美容のために続けていることがあれば、教えてください。吉岡さん私は柑橘類が大好きなので、毎日カットレモンを2つか3つ食べるというのをずっと習慣にしています。レモンは美容にもいいし、代謝にもいいですからね。ただ、私の場合はそのまま食べるので、すっぱすぎてオススメしづらいですが、苦手な人は白湯に絞ったり、はちみつをかけたりするのがいいかなと思います。―最後に、ananweb読者に向けてメッセージをお願いします。吉岡さんお仕事にプライベートにと日々邁進するみなさん!一生懸命してきた人には、その過程に輝きがあると感じているので、これからも“気高き戦士”として、一緒に社会を生き延びていきましょう!インタビューを終えてみて…。いるだけでその場を明るくし、取材部屋も癒しの空間に変えてしまう吉岡さん。ふわっとした柔らかい笑顔も印象的でしたが、その裏には仕事に対する意識の高さを感じずにはいられませんでした。ますます魅力が増していく30代をどのように過ごしていかれるのか、これからも楽しみなところです。スタイリッシュで、エモーショナルな映像美に釘付け!映画という概念にとらわれていない斬新さと、アートディレクターならではの美術や音楽へのこだわりを堪能できる本作。アイスクリームのように甘くてとろけるような想いも味わえる夏にぴったりのラブストーリーです。写真・園山友基(吉岡里帆)取材、文・志村昌美ヘアメイク・﨑 沙世子(io)スタイリスト・遠藤リカシャツ¥99,000、スカート¥121,000(すべて MARNI╱マルニ ジャパン クライアントサービスTEL:0120-374-708)、ピアス(セットで/右耳)¥29,700、ネ ッ ク レ ス ¥69,300(ともに SWAROVSKI JEWELRY╱SWAROVSKI JAPAN)、アイスクリームのピアス(左耳)¥14,850(ohrora╱ロードス TEL: 03-6416-1995)、ブルートパーズのリング(右手人差し指)¥23,100(Hiromi.A╱ロードス TEL:03-6416-1995)ストーリーデザイン会社に就職するもうまくなじめず、アイスクリーム店でアルバイトをしている常田菜摘。デザイン業界に戻るか、このままアイス屋を続けるのか、今後の身の振り方について思い悩んでいた。そんなある日、店を訪れたミステリアスな客・橋本佐保に運命的なものを感じた菜摘は、衝動的にその後を追いかけてしまう。いっぽう、アイスクリーム店の近所に暮らす高嶋優の家には、疎遠になっていた姉の娘・美和が急に訪ねてくる。数年前に出て行った父親を探しに来たという美和との突然の共同生活に戸惑う優だったが、心を占める不安はそれだけではなかった…。かわいさの詰まった予告編はこちら!作品情報『アイスクリームフィーバー』7月14日(金)TOHOシネマズ日比谷、渋谷シネクイントほか全国公開配給:パルコ(C)2023「アイスクリームフィーバー」製作委員会写真・園山友基(吉岡里帆)
2023年07月12日年齢を重ねるごとに更新し続けている、俳優・松本まりかさんの美の秘密は“腸活”。独自のメソッドや愛用品もたっぷり披露!腸活って、自分自身と向き合う作業なんです。撮影中、おへそが見えるクロップド丈の衣装を着ては、「お腹、ひっこめなきゃ!(笑)」と言って、お腹を凹ませようとする、茶目っ気たっぷりの松本まりかさん。一方で、努力家の彼女らしく、この日の取材のために、腸活について猛勉強!学んだことを書き留めたメモや、愛用中の腸活アイテムのパンフレットをたくさん持参してくれた。「腸活って、菌活なんです。菌活のプロにお話を聞く中で、腸を健やかに保つためには、腸内に多様な菌がバランスよくいることが大事だと知って…。なので、とにかく菌を大事に、菌とともに生きなきゃって思っています。そのために心がけているのが、“(1)菌を取り入れる”“(2)菌を育てる”“(3)菌の邪魔をしない”、菌活のプロが教えてくれたこの3か条!」松本さんが腸活の基本としている“菌活3か条”とは、菌ファーストな食事術のこと。「まず、(1)の菌を取り入れるとは、乳酸菌などの腸にいい働きをしてくれる、生きた菌を取り入れる“プロバイオティクス”のこと。菌活を始めた今では発酵食品を組み合わせるのが楽しくて、いろいろな種類の菌を取り入れるようになりました。(2)の菌を育てるというのは、腸内細菌のエサとなるものを取り入れる“プレバイオティクス”という考え方。エサになる成分を摂取することで、善玉菌を増やすことができます。食物繊維が豊富なきのこや海藻類などはこれをサポートしてくれるそうです。そして意外と盲点なんですけど、(3)の菌の邪魔をしない、ということもすごく重要なんです。何を食べるかということと同じくらい、腸内環境を悪化させる悪玉菌を増やさないよう、何を摂らないかも重視しています。体に害のあるものやグルテンはなるべく避けています。また、心身のストレスはそのままにしないよう、サウナやよもぎ蒸しで汗とともに老廃物をデトックスするように。ここをおろそかにしていると、(1)と(2)でせっかく培ったいい菌も台無しになってしまうんです。結局、昔ながらの食事が、腸には一番なんですよね」ロケ先での食事も、時間が許せばその土地ならではの食材を使った手作りの味を求めて、食堂を探すという松本さん。でも、ストイックすぎないことも、腸活を楽しく続けるポイントなんだそう。「たまにはご褒美にパスタを食べるときもあるし、食べたいものを食べることも。甘いものが欲しくなったら我慢するんじゃなくて、甘酒を飲んだり、米粉のクッキーやマクロビ系のお菓子を選んだりと、質にこだわるようにしています。外出するときは、青汁や酒粕など、普段愛用しているものを入れた保冷ポーチを持ち歩いているんですけど、お仕事中、ちょっと小腹がすいたときのおやつにあると安心です。調味料やオイルも好きなので自宅にはたくさんそろえていますが、良質なものをセレクトするように。とくに、オイルだけは絶対にケチらないようにしています。酸化した油は腸内環境を悪くするので、酸化しにくい遮光瓶であることはマストだし、どんな工程で作られているかも大切。ごま油、アマニ油、オリーブオイル、ココナッツオイルなど、いい油をそろえておけば、それだけで安心です」“自分に合う”腸活アイテム探しを支えているのが、前のめりなほどの好奇心と知識欲。「今って、腸活にいいものがいろいろ出ていますよね。だから、気になったものは、片っ端から試しちゃいますし、調べます。知り合いを通じて、〈福光屋〉の社長さんや、〈仁井田本家〉の識者の方に直接話を伺う機会を設けていただいたり。やっぱり自分で体感して、知識を増やしていくのが一番身になるなって思います。今は甘酒にハマってるんですけど、原料も製法もそれぞれに違ったりするから、なぜいいのか、どれが自分に合うか、どんな体感があるか見極めるのが楽しい。自分の体を知るきっかけにもなってるんですよね。腸活って、自分自身と向き合う作業だなって思います」無理せず楽しみながら自分に合った腸活を行う今、自分史上最高のボディと肌に!「昔は便秘がちだったけど、最近は巡りがよくなり、いつの間にか悩みが解消していました。それはお肌も同じ。10年前よりも確実に今の方が肌がキレイになっていると、自信を持って言えます!実は、27歳のときに俳優仲間から“老けたね”って言われたのが本当にショックで…。でもたしかに、今より肌はごわごわしていたかな。くすみやほうれい線もあったから、皮膚科に行ったこともありましたが、今は肌悩みほぼゼロに。かといって、高価な化粧品やあれこれいろんなものを使っているわけじゃなくて、外側からのケアはシンプル派なんです。それでも肌をキープできているのは、腸のケアを重視しているのが大きいのかな。38歳の今が、人生で一番キレイな肌だなって思うし。そういえば、もう何年も風邪をひいてないし、体力の衰えも感じません。内側から整えて腸が元気だと、体も肌も健やかになれると信じています」まりかボディを育てる腸活アイテム。お米と麹で作られるヴィーガン発酵飲料。右・1本に1500億個の植物性乳酸菌を含むお米の発酵飲料。ANP71 150g¥324左・麹由来のクエン酸による爽やかな風味。KOJI POWER DRINK 350g¥324(福光屋)良質なオイルで健やかな腸をサポート。オレイン酸が豊富。「加熱に強いのでサラダ油の代わりに重宝しているオイル」(松本さん)。オリバード エキストラバージン アボカドオイル250ml¥2,160(ヤカベ)国産ケール100%の乳酸菌入り冷凍青汁。低温殺菌製法と特殊冷凍で栄養キープ。「栄養がたっぷり!続けやすい価格も魅力」。遠藤青汁「生(特殊冷凍)」1箱(100g×28袋)¥4,536(遠藤青汁高知センター TEL:0120・44・7769)栄養や機能性成分が豊富な“さかすけ”。酒粕を乳酸菌で発酵させた発酵食品。「クリーミーな味わい。小腹がすいたときに、豆乳と混ぜて飲みます」。八海山酒の實使用 乳酸菌発酵酒粕 200g¥594(麻布 千年こうじや TEL:03・6277・8578)白砂糖や添加物ゼロのマクロビ酵素ペースト。汚染されていないブラジルの土地で育った86種の野草などを8年熟成。「あまたある酵素の中でも信頼の品」。be my flora 8年熟成酵素10g×60包¥19,500(REBEAUTY)白糀の自然な甘さと清涼感のある爽やかさ。無堆肥無農薬栽培の自然米の白糀を100%使用した甘酒。「豆乳と混ぜると、とろとろになっておいしい。炭酸割りもさっぱり」。あまさけ すぱっしゅ 160ml¥400(仁井田本家 TEL:0120・552・313)まつもと・まりか1984年9月12日生まれ、東京都出身。演技派俳優として映画やドラマ、CMなどの出演多数。NHK大河ドラマ『どうする家康』に出演中。待機作に7/14公開予定の映画『アイスクリームフィーバー』と『湖の女たち』がある。ビスチェ¥24,200(プランクプロジェクト/プランクプロジェクト 青山店 TEL:03・6455・4550)パンツ¥38,500(ストゥディオ アール スリーサーティー contact@studior330.co.jp)ピアス¥28,600(ピューピル キャスケット/ショールーム ウノ TEL:03・5545・5875)※『anan』2023年7月12日号より。写真・嶌原佑矢(UM)スタイリスト・SHOCOヘア&メイク・AYA(TRIVAL)取材、文・岡井美絹子(by anan編集部)
2023年07月08日シリーズ累計65万部を突破し、女性たちから高い支持を得ている青春小説「交換ウソ日記」がついに実写映画化。勘違いから始まった交換日記を中心に、学校イチのモテ男子・瀬戸山とつい空気を読みすぎてしまう不器用な女子高生・希美による切ないすれ違いラブストーリーが描かれています。そこで、本作で重要な役割を果たしているこちらの方にお話をうかがってきました。板垣瑞生さん【映画、ときどき私】 vol. 590映画『HiGH&LOW THE WORST X』や大河ドラマ「麒麟がくる」、「舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド」など、ネクストブレイクの筆頭として幅広いフィールドで活躍中の板垣さん。劇中では、希美の先輩で元カレでもある矢野を演じて、複雑な三角関係を繰り広げています。今回は、共演者たちと過ごした現場の思い出や胸がキュンとする瞬間、そして今後の目標などについて語ってもらいました。―まずは、作品に対してどのような印象をお持ちでしたか?板垣さんお話をいただいたときにウソから始まる恋愛というのがいいなと感じました。というのも、僕の感覚ですと恋愛作品ではウソに対してネガティブなイメージがありますが、この作品では真正面から向き合っているので、そういうところがおもしろいなと感じました。また、ここでのウソは相手に対しての優しさからくるもの。たとえ交換日記がウソだとしても、そこに愛があるのは真実なので、そういうストーリーをみなさんにも伝えたくて、今回出演させていただけることになりうれしいです。年齢や性別に関係なく、リスペクトしている―ということは、物語の内容が出演の決め手になったと。板垣さん希美役の桜田ひよりさんとまたお仕事をしたいと思っていたので、桜田さんの存在も大きかったです。―今回で3度目の共演ですが、板垣さんから見た桜田さんの魅力といえば?板垣さんお芝居が上手で、愛嬌があり、トークも上手で、安心して一緒に仕事ができる安定感もあるので、とにかくいい俳優さんです。作品への取り組み方はもちろん、周りのために一生懸命になれるところも人として素敵だなと思います。年齢や性別に関係なく、リスペクトしています。「欠点なんてないんじゃないかな?」と思っているくらいです(笑)。―では、初共演となった瀬戸山役の高橋文哉さんの印象についてもお聞かせください。板垣さん文哉くんと同じシーンはあまりなかったんですが、会ってすぐに仲良くなりました。一緒になったときには、一番話をしていたんじゃないかな。タイプは全然違うかもしれませんが、根本の部分が似ているのかなと感じました。―おふたりがどんな話で盛り上がっていたのか気になるところです。板垣さん共通の友達がけっこういて、「え!?知ってるの?」みたいなことが何回もありました。いまは、「今度一緒にご飯に行こう!」と誘っているところです。お芝居ができることに幸せを感じる―今回は久しぶりの高校生役でしたが、いかがでしたか?板垣さん高校は実生活で卒業したからもういいかなと思っていましたが、懐かしいし、やっぱりうれしいものですね。でも、それよりもこうしてお芝居ができることが幸せだなと感じています。―ちなみに、ご自身はどんな高校生でしたか?板垣さん僕の学校は私服だったんですが、シャイだったこともあって1年目はずっとフードを被って過ごしていました(笑)。しゃべりたくてもしゃべれないみたいなところがあったので、最初は馴染むまでけっこう苦労した覚えがあります。でも、そのあとは次第にみんなと仲良くなりました。友達とタピオカを飲みに行ったり、ダーツやビリヤードをしたりというのが、青春真っ只中の思い出です。他人に優しくできる女性はカッコイイと思う―本作のように、学生時代のキュンとしたエピソードがあれば、教えていただきたいのですが…。板垣さん僕は、お芝居でそういうシチュエーションを生み出すのは得意なほうですから。やっぱり男ならキュンキュンさせないとね!といいつつ、思い当たらないので「キュン!」と書いておいてください(笑)。―(笑)。ちなみに、瀬戸山のように思っていることを素直に言えるタイプですか?板垣さんはい、伝えたいと思っていることなら言えます。―では、ウソをつくのは得意なほう?板垣さんそんなについたことはないですけど、もしウソをつくなら自分が明かすまでは、絶対にバレないようにウソをつき通すと思います。逆の立場でも、中途半端なのはやめてほしいので、ウソをつくならちゃんとついてほしいです(笑)。―板垣さんが女性に対していいなと思う瞬間があれば、教えてください。板垣さん僕以外の人にも優しくしている姿を見たときです。もし自分と付き合っていたら、優しくしてくれると思うので、そうではない他人にも優しくできる人だとカッコイイなと思います。共通の趣味があったら、一緒に楽しみたい―劇中には、不器用で大人しい希美、生徒会長も務めるしっかり者の江里乃、元気でキャピキャピしている優子というタイプの違う女子が3人登場します。もし、全員と同じ学校だったら気になるのは?板垣さんうーん、僕は希美ちゃんがいいかな。というのも、希美ちゃんと同じように僕も音楽が好きなので、一緒に音楽を聴きながら騒げたら楽しそうかなと思います。共通の趣味があるというのはいいことだと思います。―確かに盛り上がりそうですね。希美は恋愛だけでなく、進路にも悩んでいる女の子でしたが、板垣さんは10代前半からお仕事をするなかで、進路に迷ったことはありませんでしたか?板垣さん僕はないですね。―さすがですね。つまり、子どもの頃からこの道で行くと決めていたと。板垣さんいやいや、そんなすごいことではないです。最初はハリー・ポッターになって、ホグワーツ魔法魔術学校に入りたかったくらいですから(笑)。でも、シリーズが終わってしまったので、行くところがなくなっちゃったんだとがっかりしていました。そのときに「これは俳優さんが演じているんだよ」と教えられ、「俳優って何だろう?」と。そう考えていたときにいまの事務所さんに声をかけていただいたので、「俳優になればホグワーツに入れるんだ!」と思っていました(笑)。それが始まりです。自分の気持ちにウソをつかずに行動してほしい―かわいいですね。では、いま目標としていることはありますか?板垣さん海外の作品に出てみたいなと考えています。『ハリー・ポッター』みたいなファンタジーでも、リアリズムな作品でも、何でもやってみたいです。あとは、逆に日本で出演した作品について海外の方から「自分の人生で一番いい作品。何回も観ているよ」と言ってもらえたら最高ですね。―それでは最後に、ananweb読者にメッセージをお願いします。板垣さん真実から始まる恋愛もあれば、ウソから始まる恋愛もあるくらい、恋愛はいろいろあるので、これが正しい方法というのはないんじゃないかなと思います。なので、もし本当に相手のことが好きで付き合いたいと考えているなら、その愛は本物なので、その気持ちにウソをつかずに行動へと移したほうがいいと思います。インタビューを終えてみて…。端正な顔立ちと大人っぽい雰囲気が漂っていたのでクールな方かなと思いきや、話し始めるとお茶目でとても気さくな板垣さん。「高校生役はもうしないかも…」と明かしていたので、最後になるかもしれない板垣さんの高校生姿をぜひ堪能してください。切なさとワクワクの波が押し寄せる!共感と胸キュンが止まらない展開が次々と巻き起こる青春ラブストーリー。特に、最近トキメキ不足だと感じている人にとっては、恋愛でしか味わえないドキドキ感を思い出させてくれること間違いなしの1本です。写真・園山友基(板垣瑞生)取材、文・志村昌美ストーリー高校二年生の希美は、移動教室の机のなかに「好きだ!」とひと言だけ書かれた手紙を見つける。送り主は、なんと学校イチのモテ男子・瀬戸山だった。イタズラかなと戸惑いつつも、返事を靴箱に入れたことをきっかけに、ふたりのヒミツの交換日記が始まる。ところが、実はその手紙と交換日記は希美の親友宛てのものだと判明。勘違いから始まった交換日記だったが、本当のことが言い出せないまま、ついやりとり続けてしまう。そして、希美は自分とは真逆の性格の瀬戸山に少しずつ惹かれていき、事態は思わぬ方向へと進んでいく。ウソから始まった切ない恋の行方は…。一喜一憂しちゃう予告編はこちら!作品情報『交換ウソ日記』7月7日(金)全国公開配給:松竹(C)2023「交換ウソ日記」製作委員会写真・園山友基(板垣瑞生)
2023年07月05日ニューヨークで映画を学んだあと、世界各地の映画祭などで国際的に評価されて注目を集めている福永壮志監督。柳田國男の「遠野物語」から着想を得て作られた最新作『山女』では、初めてプロの俳優を主人公に起用し、閉鎖的な村社会や同調圧力、格差といったものを臆することなく描いています。そこで、本作で主演に抜擢されたこちらの方にお話をうかがってきました。山田杏奈さん【映画、ときどき私】 vol. 589『樹海村』や『ひらいて』、『17才の帝国』など、話題の映画やドラマに多数出演し、若手の注目株としてさらなる活躍が期待されている山田さん。本作では、先代の罪を背負い、人々から蔑まれながらもたくましく生きる主人公の凛を見事に演じてきっています。今回は、役作りへのこだわりや現場の様子、そして自身が思い描くこれからに語っていただきました。―最初にお話があったとき、どのようなお気持ちでしたか?山田さん台本を読んだだけでも、自然の力強さみたいなものをすごく感じました。そして、そのなかでひたむきに生きている凛という女性の人生を描いているので、そういう作品で大きな役を演じさせてもらえることがうれしかったです。―役作りは難しいところもあったと思いますが、どういったところからアプローチを始めましたか?山田さんまずは、方言の練習から始めました。あとはわらじを編むシーンのために、家にわらを持って帰ってわらじを編んだこともありますが、そのときは家のなかがわらだらけになってしまって大変だったことも(笑)。でも、そんなふうに少しでも凛の生活に触れられるようにしたいと思って取り組みました。ほかにもリップクリームを塗らずに唇をガサガサにさせたり、髪の毛をボサボサのままにしたり、あえてあまりキレイにしないようにもしています。森山未來さんの佇まいと能力の高さはすごかった―劇中では役柄的に追い込まれるシーンが多かったので、精神的にきつい部分もあったのではないでしょうか。山田さん私自身は、もともとあまり引きずるタイプではありません。ただ、ずっと山形に行きっぱなしだったので、そういう意味で家に帰りたいなと思ったことはあったかなと。でも、気分転換に散歩をしたり、道の駅に行ったり、地元のおいしいご飯を食べたりしていたので、山形をすごく堪能させていただきました。―けっこう切り替えが得意なタイプでいらっしゃるんですね。山田さんそうですね、私はわりとすぐに戻れます。ただ、どこかで我慢しているところはあったので、撮影が終わってからはネイルをしたり、髪の毛や眉毛を染めたり、服を買いに行ったり、現代人に戻れることを一通りして、「終わった!」という気分にして役から抜けました。―今回は、山男として森山未來さんが出演されていますが、セリフがないにもかかわらず見事な存在感を放っています。ご一緒されてみていかがでしたか?山田さん本番以外では世間話をしたりと普段の森山さんなんですが、いざ始まると歩き方が変わり、まるで1匹の動物がいるかのような空気感と佇まいになるので、その様子はすごかったです。以前から素敵な役者さんだとは思っていましたが、山男としてその場にいる能力の高さに圧倒されました。みなさんに支えられたおかげで、安心してお芝居ができた―休憩中には、木の上で寝ていたこともあったとか。山田さんただ眠くて寝ていただけなのか、役作りだったのかはわからないのですが、いい意味でいろんなことを気にせずに役へ飛び込んでいける方なのかなと思いました。そういうことをしてしまうマインドは、もはや究極だなと。だからこそ説得力を生んでいるので、森山さんの山男の姿を見ているだけで凛の気持ちになれるだろうと思い、「ついていかせてください!」という感じでした。―そのほかも、若手からベテランまで素晴らしい方々が集結していましたが、印象に残っていることはありますか?山田さん父親役の永瀬正敏さんは、役としてはかなり厳しかったですが、実際はとにかく優しかったので、「大丈夫?」といつも気にしてくださいました。クランクアップのときには映像を撮って、わざわざ送ってくださったりもしたので、本当のお父さんみたいでしたね(笑)。今回はほかにも大ベテランの方々ばかりだったこともあり、背中を見せてもらいつつ、安心してお芝居をさせていただきました。本当に優しくしていただいたので、みなさんに支えられていたと思います。自分のことを評価できるのは、結局自分しかいない―凛を演じるなかで諦めの精神みたいなものを感じられていたそうですが、そこは野望みたいなものを持っていない“さとり世代”であるご自身の感覚と近いものがあったとか。そんななかで、今後についてはどうなりたいというのはありますか?山田さん世代とひとくくりにしていいのかわかりませんが、私は遠い先の目標や夢というのをあまり抱いたことがありません。おそらくそれは、「実現できなかったときが怖い」という気持ちが漠然とあるからではないかなと。だから、目先のことだけを考えてしまうのだと思います。でも、いま22歳になって、少しずつ10年後の計画をふわっとでも立てなきゃいけないのかなと考えることも…。しっかりと自立していたいという目標はありますが、まずは目の前のことをがむしゃらにするしかないとも感じています。若いうちにしかできないこともあるので、とりあえず25歳くらいまでは「まだ若いので!」と言いながらいろんなところに飛び込んでいきたいです。―ある信念を持って生きている凛のように、山田さんにとって支えとなっている思いとは?山田さん自分のことを評価できるのは結局自分しかいないので、何か失敗したとしても、「あのときの自分ができることはすべてやった」と思えるようにしたいなとは考えています。なので、まずはあとで後悔しないようにそのときのベストを尽くすというのはいつも意識していることです。1つの価値観に当てはめようとするのはナンセンス―素晴らしいですね。また、本作では女性差別や同調圧力などについても描かれていますが、ご自身もこれまでにそういう経験をされたことはありますか?山田さん私はそういう場面に出くわしたときは、わりとその場で思っていることを言ってしまうほうですね。いろんな人がいますが、「男女関係なく、各々の考えを大事にしましょう」という風潮のなかで、相手を1つの価値観に当てはめようとするのはナンセンスじゃないかなと。ただ、ケンカはしたくないので、そもそもそういう人とは距離を置くようにしています。―なるほど。ちなみに、落ち込んだりしているときには、どのようにして元気を取り戻していますか?山田さん私の場合は、「とにかく食べて寝る」です(笑)。自分でがんばったなと思ったときは、何もしない日を1日作って、好きなものをいろいろと出前してサボります。「これだけ毎日ちゃんとやったんだから今日くらいいいよね」と。でも、その日が終わると罪悪感が生まれるので、それでまたがんばるというのを繰り返しています。自分も強さのある人になるのが目標―それでは最後に、ananweb読者に向けてメッセージをお願いします。山田さん私自身も生きていると悩みごとが多いなと感じています。だからこそ、決して恵まれた環境に生まれたわけではないけれど、自分の幸せのために生きようとする凛の姿をこの映画を通して感じていただきたいです。時代背景は違いますが、私もそういう強さのある人でありたいというのが目標なので、ぜひみなさんにもそういう部分を見ていただけたらと思っています。インタビューを終えてみて…。吸い込まれそうな瞳が印象的な山田さん。柔らかいオーラのなかにも、芯の強さが伝わってきて、劇中の凛とつながっているようにも感じました。これからも幅広い役どころで、さまざまな表情を見せてくれるのが楽しみです。雷に打たれるような衝撃が走る!社会にはびこる理不尽さや息苦しさなど、現代にも通じる感情に訴えかける本作。圧倒的な自然の美しさと俳優陣から放たれる熱量、そして過酷な運命に見舞われながらもそのなかで自分らしさを見つけていく女性のたくましさに心を激しく揺さぶられる必見作です。写真・園山友基(山田杏奈)取材、文・志村昌美ヘアメイク・菅長ふみ(Lila)スタイリスト・武久真理江ブラウス、スカート 参考商品(ともにNATSUMI OKUMURA/)、イヤーカフ(左耳)¥3,600、ブレスレット(左腕)¥6,000、リング(右手人差し指)¥3,000(すべてgraey/)、イヤーカフ(右耳)¥20,900、リング(右手中指)¥52,800(ともにSARARTH/SARARTH カスタマーサポート )ストーリー18世紀後半、冷害による食糧難に苦しむ東北の村で、父と弟と暮らしていた17歳の凛。誰もが忌み嫌う仕事を引き受け、人々から蔑まされながらもひたむきに生きていた。そんな彼女の心の救いは、盗人の女神様が宿ると言われる早池峰山だった。ある日、飢えに耐え切れなくなった凛の父親・伊兵衛は、村の蔵から米を盗んでしまう。家を守るため、村人たちから責められる父をかばった凛は、罪を背負って自ら村を去る。そして、決して越えてはいけないと言い伝えられる山奥の神聖な森へと進んだ凛の前に、伝説の存在として恐れられる“山男”が現れることに…。目が離せない予告編はこちら!作品情報『山女』6月30日(金)ユーロスペース、シネスイッチ銀座、7月1日(土)新宿K’s cinemaほか全国順次公開配給:アニモプロデュース(C)YAMAONNA FILM COMMITTEE
2023年06月29日その年の台湾のアカデミー賞を最多受賞した映画『1秒先の彼女』。男女の設定を入れ替えたリメイク版『1秒先の彼』が公開される。なにをするにも1秒早い郵便局員のハジメと、1秒遅い大学7回生のレイカの物語。清原果耶さんはおっとりヒロインを瑞々しく演じていた。清原さんにとっては初の宮藤官九郎脚本である。レイカでいるときはのんきに緩やかに生きていました。「寡黙なレイカちゃんも、大学の部室に住んでいたり、気になる人についていったり、実は個性の強いキャラクター。でも、それを上回るくらい魅力的で特徴的な人たちがたくさん登場しているんですよね(笑)。完成作を拝見して、温かい映画ができたなあと思っています」せっかちで少々いけずだが憎めないハジメ(岡田将生)を筆頭に、郵便局の同僚たち(伊勢志摩、松本妃代)、ガングロギャルの妹(片山友希)とその彼氏(しみけん)、荒川良々演じるバスの運転手までキャラの立った人物が大集合。宮藤流笑いのエッセンスが満載なのである。「レイカちゃんは、どこか“なるようになる”と思っている、ふわっと柔らかい空気をまとった女の子。強いところもあるけれど、それを覆うくらいの優しさを持てたらいいねと監督と話していました。レイカちゃんでいるときは、どこかのんきで緩やかに生きていた気がします」しかし、1秒テンポが遅いという演技は思いのほか苦労したのだとか。「映像では、1秒動作を遅らせるだけでは遅いようには見えないんです。何かが起きて振り返るのでも、間を2~3秒おいてゆっくり動かないといけなくて。細かなタイミングを測ってお芝居を組み立てていくのは難しく感じることもありました」物語の舞台は京都。市内に限らず、京都の各所でロケをした。清原さんは京都弁に挑戦している。「すぐさま言いたくなるようなセリフでも、方言指導の先生に『京都に生きるレイカちゃんだったら、ここはもう少しゆっくり言うかも?』と京都の方の人となりも教えていただき、学びの日々でした。町家も、平安神宮も天橋立も、空気が澄んでいるような気がして、リラックスできる場所でしたね」本作は、フィルムカメラやラジオ、手紙など、アナログなモチーフがファンタジックな世界を彩っている。SNS世代の清原さんからすれば、あまりなじみのないものかと思いきや、そうでもなかった様子。「手紙は私も大好きで、よく書いてプレゼントに添えたりしています。レターセットやポストカードはすぐ買ってしまいますし、むしろSNSのほうが疎いかもしれません(笑)。手書きの文字は気持ちを載せられるからよいなあと思います」ご自身はレイカとは逆で、思い立ったらすぐ行動に移す即行型。大変な役柄を演じるときも、苦しんだこともひっくるめて楽しみたいと考えるような、明るく清々しい方でした。『1秒先の彼』いつも人より1秒早いハジメ。ある日、楽しみにしていたある大切な1日が消えてしまったことに気づく。ことの真相を探ろうとするのだが…。原作/チェン・ユーシュン『1秒先の彼女』監督/山下敦弘脚本/宮藤官九郎7月7日より全国公開。©2023『1秒先の彼』製作委員会きよはら・かや2002年1月30日生まれ、大阪府出身。主な出演作品にドラマ『おかえりモネ』(NHK ’21)、『ファイトソング』(TBS’22)、映画『護られなかった者たちへ』(’21)、『線は、僕を描く』(’22)など。シャツ¥30,800(BAUM UND PFERDGARTEN/S&T TEL:03・4530・3240)パンツ¥62,700(BY MALENE BIRGER/S&T)イヤリング¥24,200(Jouete TEL:0120・10・6616)バングル¥57,200(CASUCA PLATA/CASUCA表参道本店 TEL:03・5778・9168)※『anan』2023年6月28日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・井阪 恵(dynamic)ヘア&メイク・面下伸一(FACCIA)インタビュー、文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2023年06月25日現在、社会的にも大きな関心が寄せられている問題といえば、認知症や介護について。そんななか、まもなく公開を迎える注目作『オレンジ・ランプ』では、39歳で若年性認知症と診断された夫とその妻の9年にわたる道のりを実話に基づいて描いています。そこで、主演を務めたこちらの方に、お話をうかがってきました。貫地谷しほりさん【映画、ときどき私】 vol. 588映画『サバカン SABAKAN』やドラマ「大奥」など、幅広い作品で活躍を続けている貫地谷さん。劇中では、若くして認知症を発症してしまう夫を前向きに支え続ける妻の真央を演じています。そこで、本作を通じて感じたことや夫婦として大切にしたい思い、そして笑顔の秘訣について語っていただきました。―最初にオファーがあったときのお気持ちはいかがでしたか?貫地谷さんいま、私の母が認知症の祖母を介護しているというのもきっかけの1つとしてありましたが、この作品はとても明るいお話だったので、それをみなさんにも伝えたいという思いで受けました。というのも、以前流行った韓国映画『私の頭の中の消しゴム』の影響もあり、若年性認知症には私自身も悲しいイメージがあったからです。―実際、台本を読まれてみてどういう印象を受けましたか?貫地谷さん正直に言うと、この作品ではあまりにみんながいい人すぎたので、「本当にこんなファンタジーみたいな世界があるのかな?」と疑うような気持ちがあったのも確かです。でも、作品が出来上がって試写をしたときに、主人公のモデルである丹野智文さんが号泣しながら「そのまんまです」とおっしゃっていたので、現実にこんな優しい世界があるんだなと驚きました。この話が奇跡ではなく、当たり前の世界になってほしい―確かに、まさに映画のようなお話ですよね。貫地谷さん家族も友達も会社の人たちみんながすごく理解のある方々なので、私も最初は奇跡だと思っていました。ただ、実際にあったことなので、奇跡ではなくてこれが当たり前になる世の中になってほしいなと。この話が本当だという事実が私にとっては励みになっています。―とはいえ、認知症に対する世間のイメージはまだまだ厳しいものが多いのが現実です。本作で描かれているような優しい世界が当たり前になるためには、どうすればいいと思われますか?貫地谷さんまずはこの映画を観ていただきたいですが、私が思ったのは、知っているのと知らないのとでは、大きな違いがあるということです。たとえば、認知症の方が食事のあとに「まだご飯を食べていない」と言ったとして、「さっき食べましたよ」と否定するのは自尊心が傷つけられてしまうので言ってはいけないとされています。でも、これも知らないと普通に言ってしまいますよね。それから、いまは行政の支援もいろいろと増えてきたそうなので、相談できる場所があるということを頭のなかに留めておくことも大事なこと。これは認知症に限ったことではないと思いますが、介護ではつい我慢したり、1人で抱え込んだりしがちなので、そういう仕組みを知っておくことの大切さを私も今回学びました。夫のように相性のいい人と出会えてラッキーだった―演じるうえで、「もし自分だったらどうするか?」というのが頭をよぎったこともあったのではないかなと。貫地谷さんそうですね。丹野さんのようにさまざまな機能をうまく活用していけばいいのかなとか、支えてくれる家族のことなど、いろいろと考えました。本当にいつ何が起こるかわからないですからね。以前なら「後でやればいいかな」と考えていたことも、「いますぐやったほうがいい」という意識に変わったのはこの作品の影響だと思います。―また、本作は夫婦の物語でもありますが、丹野さん夫妻の生き方に触れたことでご自身の夫婦観にも変化はありましたか?貫地谷さん「夫のことを大切にしよう」と改めて思いました。ときには自分の価値観やペースを押し付けそうになってしまうことがありますが、もっと夫の考えを尊重しなきゃいけないなと。私は本当に何でも夫に話してしまうので、秘密がなさすぎて逆に大丈夫かなと思うこともあるくらいです(笑)。一番の親友でもあります。―では、夫婦円満の秘訣として意識していることは?貫地谷さん付き合っているときも、結婚してからもまったく関係が変わらないので、単純に相性がいいんでしょうね。そういう人と出会えてラッキーですし、ありがたいことだなと感じています。お互いの両親も仲良くしていて、お正月には両家揃ってみんなで過ごすほど。何かあっても、家族の存在は心強いなと思えます。人と健康は財産だと感じている―素敵なご関係ですね。また、本作では、つらいときは大丈夫ではないと周りを頼ってもいいんだと教えてくれますが、ご自身は悩みがあるときはどのようにされているのでしょうか。貫地谷さん私は自分の悩みは自分で解決するほうであまり人に言わないタイプなので、周りが良かれと思ってかけてくれた言葉がまっすぐ届かないこともありました。でも、何気なく聞いた言葉からヒントを得られることもあるので、やっぱりいろんなことに耳を傾けるのは大事だなと。この作品で周りの人たちがこんなにも力になってくれることに気づかされたので、本当に人と健康は財産だなと思います。―ちなみに、これまで貫地谷さんがかけられた言葉によって救われた経験があればお聞かせください。貫地谷さんたくさんありますが、渡瀬恒彦さんと最後にご一緒させていただいたときのこと。渡瀬さんからお手紙をいただいたのですが、そこに「貫地谷がこれからすることは、愛に惑うことです」と書かれていました。迷っているときやつらいとき、答えが見つからないときがあっても、その言葉を思い出すと「この瞬間が大事なんだ」と思えるのですごく救われています。言葉の通じないところで、本当の冒険がしてみたい―30代前半でananwebにご登場いただいた際、「30代はきちんと生活をすることを意識している」「もっと冒険して好きなものを突き詰めたい」とお話されていましたが、30代も後半に差し掛かってきて心境に変化は?貫地谷さんいまも考えていることは同じですし、その通りにやってこれている気がしています。しかも、夫がすごく好奇心旺盛なタイプなので、おかげで私もいろいろと見ることができたり、知ることができたりしているので楽しいですね。食事のことをちゃんと考えるのも当たり前になってきたので、そういったこともうれしいです。―してみたい冒険については、「苦手意識があるが、色っぽいお芝居にも挑戦してみたい」ともおっしゃっていましたが…。貫地谷さんそこに関してはまだしてないですし、いまだに苦手ですね(笑)。それよりも本当の冒険がしたいですね。というのも、私は旅行をしたり、漫画を読んだりして異世界に思いをはせることが好きなので、言葉が通じないようなところでがんばってコミュニケーションを取るような経験ができたらいいなと。最近は、旅に出ることが私のモチベーションとなっています。―では、いま行きたいところといえば?貫地谷さん暖かくて、海がある場所でゆっくりできたらいいですね。ちなみに、つい最近もビーチがある海外に1週間くらい旅行したんですが、東京に帰ってきてしばらくしたらスマホに「先週より使用時間が38%増えています」という表示が出ました。そのときに気づいたのは、旅行をしたことでこんなにもデジタルデトックスもできていたんだということ。心が波立つこともなかったので、こういう時間は必要だと改めて感じました。自分の気持ちがどこにあるのかを知るのは大切なこと―貫地谷さんと言えば、いつも笑顔が素敵ですが、意識されていることがあれば教えてください。貫地谷さん以前、「自分に嘘をついていると、本当の気持ちがわからなくなっちゃうよ」と言われたことがありますが、まさにその通り。私の場合は夫に愚痴ったり、友達に話をしたりしますが、自分にとって何がつらいのか、何が悲しいのか、何が楽しいのか、というのを明確にするのは大事なことではないでしょうか。自分や人に嘘をつくというのはすごく体力を使いますし、つじつまを合わせるのも面倒くさいので、正直に生きることがストレスを溜めない秘訣であり心が一番健やかになる方法だと思います。―それでは最後に、ananweb読者に向けてメッセージをお願いします。貫地谷さんまずは、自分の気持ちがどこにあるのかというのを知るのはすごく大切なことだと思います。私は20代前半に悲しかったり、つらかったり、悔しかったりすることが多かったですが、30歳頃に同じような波が来たときにちゃんと向き合ってみたら前よりも少し自分に優しくなれました。周りに流されないことも大事ですが、そんなふうに受け入れてみる瞬間も必要だと考えています。ぜひ、無理せずに自分が心地いいと感じるペースでやってみてください。インタビューを終えてみて…。ananwebの連載にご登場いただくのは、3回目となった貫地谷さん。お会いするたびに魅力が増しているように感じていましたが、ご夫婦の素敵なエピソードを聞いて思わず納得してしまいました。明るさと芯の強さを兼ね備えた真央は、貫地谷さんのハマり役でもあるので、ぜひそのあたりも注目してご覧ください。諦めなければ、希望の灯りは見つけられる!家族だけでなく、周囲の人たちにどれだけ支えられて生きているのかを改めて感じさせられる本作。人生は思いがけないことの連続ではあるものの、向き合い方によっては新たな発見や可能性に出会うこともできるのだと気づかせてくれるはずです。写真・安田光優(貫地谷しほり)取材、文・志村昌美ヘアメイク・ICHIKI KITA(Permanent)ジャケット¥69,300、ベスト¥42,900(ともにsuzuki takayuki/03-6821-6701) 、パンツ¥25,300(MEYAME/ソークロニクル 03-5486-8009)、ピアス¥6,600(AMOR/ )、シューズ(スタイリスト私物)ストーリー妻の真央と2人の娘と暮らしていた39歳の只野晃一。カーディーラーのトップ営業マンとしても、充実した日々を送っていた。ところが、顧客の名前を忘れるなど、晃一に異変が出始める。そんななか、下された診断は「若年性アルツハイマー型認知症」だった。驚き、戸惑い、不安に押しつぶされていく晃一は、退社を決意する。心配のあまり何でもしてあげようとする真央だったが、ある出会いがきっかけで2人の意識が変わる。そして、「人生を諦めなくていい」と気づいた彼らを取り巻く世界が変わっていくことに…優しさに満ちた予告編はこちら!作品情報『オレンジ・ランプ』6月30日(金)より、新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー配給:ギャガ(C)2022「オレンジ・ランプ」製作委員会写真・安田光優(貫地谷しほり)
2023年06月24日誰もが興味のあるトピックのひとつといえば、お金のうまい使い方について。そこでオススメするのは、100億円もの借金返済をするための節約大作戦を描いている注目作『大名倒産』です。その見どころについて、こちらの方にお話をうかがってきました。桜田通さん【映画、ときどき私】 vol. 587ある日突然、庶民から一国の殿様になったと同時に大きな借金を抱えてしまう主人公・小四郎が繰り広げる人生逆転エンターテインメントを描いた本作。そのなかで、病弱だが聡明な兄の喜三郎を演じているのが桜田さん。Netflix「今際の国のアリス」シリーズやテレビ東京「クールドジ男子」など、話題作への出演が続いています。今回は、親交の深い主演の神木隆之介さんとの現場で感じたことや役作りの裏側、そしてピンチの乗り越え方などについて語っていただきました。―まずは、本作の出演にあたって決め手となったものを教えてください。桜田さんその理由のすべてに、神木隆之介という存在が関わっています。もちろん物語自体も素晴らしいですが、僕にとってはこの作品に彼がいないことは考えられませんでした。僕は神木さんとはもともと仲良くさせてもらっていますが、がっつり共演したことはあまりなかったので、そういう意味でも一緒に出たいという気持ちは強かったです。―実際に兄弟役として共演してみて、印象に残っていることはありますか?桜田さん友達としての時間がすごく長いこともあって、僕のなかでは面白くて少年のような神木隆之介のイメージしかありませんでした。現場ではいい意味で普段と差がないように感じたのですが、撮影が始まるとしっかりと小四郎になっていたので、そういう部分は僕のいまの技量では測れないところなのかなと。僕がどうこう言えない次元にいるようにも感じたので、それを間近に見ることができていい経験になったと思います。いつもは友達としてふざけてばかりですが、そんな僕でもまだ踏み入れていない領域があるというのはすごく刺激的でした。普段抱いている感情が役の関係性にも活かせた―とはいえ、仲が良いからこそ、できたこともあったのでは?桜田さんそうですね。たとえば、普段から神木さんに対して抱いている尊敬やかわいらしいなと感じている気持ちは、小四郎と喜三郎の関係性にも活かせたと思っています。特に、僕が背中をさすりながら元気づけるシーンでは、本番前から心のなかで温めていた思いを込めて言うことができました。―もうひとりの兄弟役を務めた松山ケンイチさんも強烈なキャラクターを見事に演じ切っていましたが、現場で印象的なことがあればお聞かせください。桜田さんそれまでお会いしたことがなかったので、松山さんは寡黙な方というイメージを持っていたんです。でも、実際はすごくたくさんお話をしてくださったこともあって、一気に印象が変わりました。あとは、物事をすごく自由に考えていらっしゃいますし、僕にはできないようなやりとりを監督ともされていたので、その姿を見てカッコイイ先輩だなと。アドリブの入れ方や演じるときの思い切りの良さも、「ここまで激しくやるのか」と驚きましたが、完成した作品を観たときにすべてがつながっていたので、改めて松山さんのすごさを実感しました。前田監督の姿は、ロックでカッコイイ―ご自身の役どころもセリフの言い回しなどが普段とは違っていたので大変だったと思いますが、前田哲監督からはどんな演出がありましたか?桜田さん最初に台本を読んだときに、セリフを普通に言うのか、それとも歌いながら言うのか、恥ずかしながら初めは自分のなかで構築できていませんでした。そんななか、現場では監督自らどうするのかを見せてくださったので、ボイトレみたいに僕がそれを自分のカラダに落とし込んでいくという作業をしました。僕もあそこまで歌うキャラになるとは思ってもいなかったです。―なるほど。監督と一緒に作っていくような感じだったのですね。桜田さん正直に言うと、完成した映像を見るまでは自分のなかで不安もありました。でも、ちゃんとそれが成立していたので、初めからこれが見えていたのかと思うと監督は本当にすごいなと。前田監督はわかりやすく愛情を表現する方ではないのでクールなところもありますが、魅力的な方ですし、それにすごく変人だなとも思いました(笑)。―(笑)。それはどういった点においてですか?桜田さんもちろんマイナスな意味ではなくて、僕ではまだ及ばないような前田監督にしか見えていない世界があるんだろうなというのを感じました。そういう監督のオリジナリティが面白くてすごく好きです。年齢を重ねるにつれて、いろんな雑念が入ったり、周りの意見にブレてしまいそうになったりする瞬間ってありますよね?それでも監督はやり遂げているので、そういう姿がロックでカッコイイなと思いました。もともと無駄なことはしない節約タイプ―また、劇中ではお金に関するさまざまなことが描かれていましたが、ご自身も勉強になったことはありましたか?桜田さん本作を観て、僕も自分のお金をだまし取られないように気を付けようと思いました。特に、題材のひとつとして描かれている「中抜き」は、現代でも社会問題になっていることですからね。お金は生きていくうえでは大事なことです。あと、節約に関して言うなら、僕はもともと無駄なことはしないタイプ。お水を飲んだらちゃんと冷蔵庫に入れて翌日も飲めるようにしようとか、髪を洗っている間もシャワーの水は止めるようにしています。ただ、自分がほしいものは買ってしまうほうなので、すべてにおいて節約しているとは言えないかもしれませんが…。―ちなみに、最近浪費してしまったものはありますか?桜田さんついこの前、洋服をたくさん買いました。1年に1回くらいドーンとまとめて買うことがありますが、逆に僕がお金を使うのは洋服ぐらいじゃないかな。普段は、あまり使わないほうだと思います。ピンチの状況でも、楽しむように意識している―では、小四郎のように自分の人生が逆転したなと思った瞬間は?桜田さんどちらかと言うと、僕はまだ逆転前の身ですが、先月音楽でデビューをさせていただきました。それによって新しく出会えた人がいたり、よくなった部分もあったりするので、そこは決めてよかったなと思っています。―ちなみに、人生最大のピンチもありましたか?桜田さんいや、ピンチだらけですよ(笑)。振り返ればいろんな苦難もありましたから。ベタな言葉ではありますが、やっぱり「ピンチはチャンス」なので、それを乗り越えた先に何かがあったことが多かったなと感じています。ピンチのほうが気持ち的には上がるというか、その状況も楽しむように意識しているので、自分のなかではすべてが大切な経験です。―ピンチのときはどうやって克服されているのでしょうか。桜田さんこれは僕だけではないと思いますが、問題があったときは何か意味があることなんだなと考えるようにしています。実際、あとでそれが“武器”になることもあるので、ハプニングも自分を高めてくれる要素というイメージで生きています。仲間を大切にしながら、明るく前向きに生きて行きたい―それでは最後に、ananweb読者に向けてメッセージをお願いします。桜田さんまずは、「元気でポジティブに生きる」というのが大事だと思っています。まさにギャルマインドですよね(笑)。本来、人間はご飯と水さえ確保していれば生きていけますが、そのほかに価値があるものといえば、周りにいてくれる人たちの存在。そういった仲間たちを大切にしながら、「死ななきゃ人生プラス!」くらいの明るさと前向きな気持ちで僕も生きて行こうと考えています。そういうマインドがもっと広がっていけばいいなと思っているところです。それから、自分のことを大切にしている人は性別に関係なく素敵だなと感じるので、周りに迷惑をかけるのはよくないですが、自分のやりたいことや自分がやりたくないことを意識することも必要かなと。そんなふうに、毎日を楽しく生きていってほしいです。インタビューを終えてみて…。取材前はクールなイメージがありましたが、とても明るくていい意味で期待を裏切ってくださった桜田さん。神木さんのことや現場の話をしているときがとにかく楽しそうだったので、スクリーンを通してでもその雰囲気が伝わってきた理由がわかりました。今後は俳優としてだけでなく、アーティストとしてもどんな活躍されるのかに期待が高まるところです。どんな問題も痛快にぶった斬る!現代にも通じるお金の問題も学べるだけでなく、ピンチのときこそ発想の転換で大逆転も可能だと教えてくれる本作。時代劇とは思えないテンポ感とコメディ要素を堪能しつつ、家族や仲間の大切さも身に染みる必見作です。写真・園山友基(桜田通)取材、文・志村昌美スタイリング・柴田圭(辻事務所)ヘアメイク・和田しづかストーリー越後・丹生山(にぶやま)藩の鮭売り・小四郎はある日突然、父・間垣作兵衛から衝撃の事実を告げられる。なんと自分は、〈松平〉小四郎—徳川家康の血を引く、大名の跡継ぎだと!庶民から一国の殿様へと、華麗なる転身…と思ったのもつかの間、実は借金100億円を抱えるワケありビンボー藩だった!?先代藩主・一狐斎は藩を救う策として「大名倒産」すなわち藩の計画倒産を小四郎に命じるが、実はすべての責任を押し付け、切腹させようとしていた…!残された道は、100億返済か切腹のみ!小四郎は幼馴染のさよや、兄の新次郎・喜三郎、家臣の平八郎らとともに節約プロジェクトを始める。不要な武具や家具をリサイクル、屋敷を売り払い、兄弟ひとつ屋根の下でシェアハウス、果ては殿の下肥まで肥料として売るなど、知恵と工夫で藩の財政を立て直そうとするが、そんななか、江戸幕府に倒産を疑われてしまい大ピンチ!果たして小四郎は100億を完済し、自らの命と、藩を救うことが出来るのか…!?まさかの予告編はこちら!作品情報『大名倒産』6月23日(金)より、全国公開配給:松竹(C) 2023映画『大名倒産』製作委員会写真・園山友基(桜田通)
2023年06月22日「PLACOLE & DRESSY」ブランドを展開する冒険社プラコレは、6月18日の「父の日」に合わせて、20代30代の花嫁インスタユーザー533名を対象に「理想の父親」に関する実態調査を実施しました。■2023年20〜30代花嫁533名が選ぶ「理想の父親」ランキング20〜30代花嫁が選ぶ『お父さんにしたい芸能人』は一体誰なのでしょうか。調査の結果を見ていきましょう。◇1位:木村拓哉さん堂々の第1位に輝いたのは木村拓哉さん。SMAPとしてデビューし解散後の今はソロで活躍中です。Cocomiさん・Kokiさんの父親でもある木村拓哉さんですが、SNSで時折見せる2人の娘さんとの関わりや仲睦まじい家族の姿が印象的ですよね。木村拓哉さんと綾瀬はるかさんが主演を務める2023年1月公開映画『レジェンド&バタフライ』や、4月スタートの月9『教場0』でも主演を務めるなど、映画やドラマでの活躍も。「憧れの存在」「カッコよくて素敵なお父さん」「家族を大切にしてくれそう」などのコメントが寄せられました。◇2位:舘ひろしさんTBSドラマ『パパとムスメの7日間』で新垣結衣さんの父親役を演じた舘ひろしさん。西部警察やあぶない刑事の代表作では今の時代にも知らない人はいないでしょう。俳優の後輩の面倒見も良いことでも知られ、優しく頼れる存在という印象が強いのではないでしょうか。「イケオジ」「優しくて頼れるお父さんのイメージ」などのコメントが寄せられました。◇3位:福山雅治さん歌手、そして俳優である福山雅治さん。福山雅治さんの『家族になろうよ』はウェディングソングとしても人気が高いですよね。また、主演映画『そして父になる』での父親役が印象に残っている人も多いのではないでしょうか?最近では東野圭吾さんの小説が原作の福山雅治さんが主演を務める大人気シリーズ「ガリレオ」の映画最新作『沈黙のパレード』が2022年秋に公開。また、主演を務めるTBS日曜劇場『ラストマン―全盲の捜査官―』では高視聴率をキープしており、シンガーソングライターとしても俳優としても活躍されています。「かっこいいけど面白いところもあるのが良い」「紳士的」などのコメントが寄せられました。◇4位:竹野内豊さん正統派二枚目俳優としてドラマや映画で大活躍の竹野内豊さん。TBSドラマ『義母と娘のブルース』では良き父親役を演じ、優しさとその裏側にある愛の深さがにじみ出たストーリーで視聴者を感動させました。主演を務めるフジテレビの月9ドラマ『イチケイのカラス』が2023年1月には映画化にも。「穏やかな雰囲気が好き」「お父さんを演じている竹野内豊さんのやさしさが滲み出ていた」などのコメントが寄せられました。◇5位:ムロツヨシさんドラマ、映画、舞台と幅広いジャンルで活躍するムロツヨシさん。自身初の主演映画『マイ・ダディ』、日本テレビ『親バカ青春白書』などで父親役を演じたことも印象に残っている人も多いのではないでしょうか。「人柄の良さが伝わってくる」「愛情を注いでくれそう」「ドラマ(親バカ青春白書)のお父さんのイメージ、本当だったらいやだけど愛されてるのが伝わる」とのコメントが寄せられました。◇その他にも!賀来賢人さん:榮倉奈々さんと結婚し現在は2児の父でもある賀来賢人さん。『映画 おかあさんといっしょ』に出演するなど母親世代や子どもからの人気も。「真剣に向き合ってくれそう」「センスがいい」などのコメントが寄せられました。反町隆史さん:私生活でも2人の娘さんの父である反町隆史さんは公の場でも度々娘さんとのエピソードを語ることも。ドラマでも父親役を熱演したこともあり良き父親の印象が強いという人も多いのではないでしょうか。「一緒にドライブとかしたい」「まさにイケオジ」などのコメントが寄せられました。鈴木亮平さん:幅広い役柄を演じる実力派俳優である鈴木亮平さん。4月に公開された劇場版『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』も大ヒット中。「包容力がある」「優しそう」などのコメントが寄せられました。出川哲朗さん:CMやバラエティ番組に引っ張りだこのお笑いタレント出川哲朗さん。バラエティ番組で見られる親しみやすい人柄が幅広い年代から人気を得ており好感度も高いタレントさんです。「楽しい家族になりそう」「一緒にいて楽しそう」などのコメントが寄せられました。■調査概要表題:「お父さんにしたい」芸能人に関する実態調査調査主体:プラコレウェディング調査方法:Instagram ストーリーズ調査期間:2023年5月22日〜6月2日有効回答:533人(エボル)
2023年06月21日今年春、長期休館目前の渋谷・シアターコクーンで開催されたショースタイルの公演『シブヤデマタアイマショウ』。総合演出の松尾スズキさんをはじめとした個性的なキャスト陣の中で、誰よりもインパクトを残したのが多部未華子さんだった。演技も華もだが、それ以上に多部さんの表情や動きの愛くるしさに目を奪われ、自然と多部さんの役柄に共感し応援したくなってしまうのだ。「役者さんなら誰もが思うことだと思いますが、私はなるべく演出家の方がやりたいというもの、思い描くイメージに近づけたいと思っているひとりというだけです。ただ最近は、1か月近い舞台の稽古期間を楽しいと思うようになりました。若い頃は、やるべきことをやり、自分の出番が終わったら帰りたいと思っていたけれど、今は他の方が試行錯誤している様子を見て学ぶこともあるし、みんなでいろんなことを試して失敗しての繰り返しの中に気づきがあったりもする。勉強になるし、楽しいと思うようになりました」そんな多部さんの次の舞台は、NODA・MAP『兎、波を走る』。今の日本の演劇界のトップランナーである野田秀樹さんの作品に初参加となる。「演出家は野田さんですが、チーム全体でアイデアを出し合っている感じです。野田さんもですし周りの方も、意見を言いやすいし聞きやすい環境にしてくれているんです。特に(高橋)一生さんはアイデアマンで、野田さんの『ちょっとやってみよう』を楽しんでいて、野田さんが信頼を寄せられるのもわかります。松(たか子)さんは言わずもがな、大倉(孝二)さんも秋山菜津子さんもいらして心強いです。今はわからないことは秋山さんに聞いています(笑)」作品の舞台は、潰れかかった遊園地。そこに現れる“アリス”が多部さんの役どころだが、そこは野田作品だけに、さまざまな言葉遊びや示唆的なシーンが重ねられ、一筋縄ではいかない複雑な物語が展開される。「稽古に入る前に今回の題材の説明はしていただきましたが、単純な結末が用意されているわけではないし、心にずしんとくるようなテーマですし、自分のアリス役はどういうテンションでいけばいいのか、探っている段階です。ただ、作品を全部噛み砕いて理解して演じたいタイプの俳優さんもいらっしゃいますが、私は多分こんな感じかな、くらいの理解度でやってしまう方。今も、稽古場で『あのセリフはあそこにかかってるのかな?』などと話していると、秋山さんが『野田さん本人もわからずに書いているところもあるから大丈夫よ』って言ってくれて、『じゃあいっか』って開き直れたりして(笑)」観終わった後も余韻が長引き、あれこれと思考を巡らせる楽しみをもたらしてくれるのが野田作品の魅力。「個人的に面白いのは、スローモーション。これまでに観た野田さんの舞台でも取り入れられてきた手法ですが、稽古場で自分もやったり、みなさんがやっているのを見ていたら、すごく効果的に使われていました。しかもアンサンブルの方たちの動きがすごくて、まるでアスリート。早く本番を見てみたいです」プライベートでの大きな変化もありつつ、なお精力的に活動しているが、その原動力とは何なのだろう。「女優として“どうしても演じていたい”というほどの強い気持ちはないんです。すごく暇が苦手で(笑)。でも今回の稽古は本当に楽しくて、お芝居をしていなくても現場にいたいくらいです」NODA・MAP 第26回公演『兎、波を走る』6月17日(土)~7月30日(日)池袋・東京芸術劇場プレイハウス作・演出/野田秀樹出演/高橋一生、松たか子、多部未華子、秋山菜津子、大倉孝二、大鶴佐助、山崎一、野田秀樹S席1万2000円A席8500円サイドシート5700円ほか全公演にて当日券あり。NODA・MAP TEL:03・6802・6681(平日11時~19時)大阪、博多公演あり。たべ・みかこ1989年1月25日生まれ、東京都出身。2002年にデビューし、映画、ドラマを中心に活躍。舞台では、松尾スズキ、蜷川幸雄、白井晃などさまざまな演出家の作品に出演。最近のおもな出演作に、ドラマ『マイファミリー』、映画『流浪の月』など。シャツ¥55,000(チノ/モールド TEL:03・6805・1449)スカート¥33,000(ビリティス・ディセッタン/ビリティス TEL:03・3403・0320)バングル¥60,500(フォーヴィレイム/フォーヴィレイム カスタマーサポートcustomer@fauvirame.com)その他はスタイリスト私物※『anan』2023年6月21日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・岡村春輝ヘア&メイク・赤松絵利(ESPER)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年06月20日電車や喫茶店でふいに隣の会話が聞こえ、耳を傾けているうちに、ついクスッとしてしまったり、共感してしまったことはないだろうか。岩松了さんの舞台を観ていると、そんな見知らぬ誰かの会話を盗み聞きしているような感覚になる。説明的なセリフはないし、何か大きな事件が起きたりもしない。けれど、淡々とした会話劇に目を凝らすと、登場人物たちの関係性や各々の思惑がじわじわ透けてきて、水面下でのドラマに釘付けにされていく。6年前、舞台『少女ミウ』でその岩松作品を経験した黒島結菜さんは、当時を「すごく楽しかった」と振り返る。「岩松さんの稽古は厳しいと聞いていたので最初はすごく緊張していました。確かに、同じシーンを何度も何度も繰り返して稽古するので厳しいと言えばそうですけど、私にはそれが合っていたんですよね。岩松さんって、役について説明されたりはしないけれど、演出の中で『このセリフはこう言ってほしい』と結構おっしゃるんです。その通りにセリフを何度も何度も口に出しているうちに気持ちが追いつくのか、役の人物像が見えてくる気がして、すごく面白かったんです」そこから、独特の世界観のとりこになったのか、以降の岩松さんの舞台はほとんど観ているのだとも。「なかには解釈するのが難しい作品もあったけれど、そもそもそこで正解を出すことを求められていない気がするんです。観ながらこの登場人物が好きだったとか、このシーンに共感できたとか、何か面白さを見つけられたらいいんじゃないかって」今回6年ぶりに出演する舞台『カモメよ、そこから銀座は見えるか?』は、黒島さん演じるイズミと井之脇海さん演じるアキオの兄妹が、かつての父の愛人(松雪泰子)と対峙することで動き出す物語。「イズミは話す相手によって全然態度が変わる人なんです。岩松さんからは『芝居っぽく芝居して』と言われて、芝居がかった大袈裟な演技をしているので、全部が嘘っぽくも感じて、私自身まだイズミの本性がわからないまま。でも、相対する人によって見せる顔が違うって誰にでもあるし、普段も自分を演じている、人間らしいといえばすごく人間らしい役なのかもしれないです。ただ前回の稽古場は、どこか緊張感が漂っていてストイックな雰囲気があったんですけれど、今回は全員が楽しんで演じている感じがします。それを見ている岩松さんもずっとニコニコしていて、私はそんな岩松さんの顔ばっかり見ちゃっています(笑)」この6年、連続テレビ小説『ちむどんどん』をはじめ映像作品で活躍の場を広げてきたが、「舞台も定期的にやっていきたい」と話す。「毎日同じ場面、同じセリフでも、相手の芝居で感じ方が少し違って、それが後々まで影響する。毎回新鮮な気持ちが失われないんです」M&Oplaysプロデュース『カモメよ、そこから銀座は見えるか?』肩を寄せ合って生きてきた兄妹・イズミ(黒島)とアキオ(井之脇)。ふたりは、かつて家庭を崩壊させた父親の愛人(松雪)と出会い、徐々に打ち解けてゆくが…。6月3日(土)~25日(日)下北沢・本多劇場作・演出/岩松了出演/黒島結菜、井之脇海、青木柚、櫻井健人、岩松了、松雪泰子全席指定8000円ほかM&Oplays TEL:03・6427・9486富山、大阪、新潟公演あり。くろしま・ゆいな1997年3月15日生まれ、沖縄県出身。初舞台は2015年の『虹とマーブル』で、本作が3作目の舞台出演となる。最近のおもな出演作に、ドラマ『クロサギ』、映画『鋼の錬金術師 完結編』がある。ワンピース¥38,500(フィル ザ ビル/フィル ザ ビル マーカンタイル 青山 TEL:03・6450・3331)リング(左手中指)¥22,0003連リング(左人差し指)¥28,600リング(右手中指)¥23,100(以上エンド/ギャラリー・オブ・オーセンティック TEL:03・5808・7515)その他はスタイリスト私物※『anan』2023年6月7日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・伊藤省吾(sitor)ヘア&メイク・加藤 恵インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年06月04日ギローチェは7月1日〜7月9日、東京・表参道「AQ space OMOTESANDO」にて「私が撮りたかった俳優展 001」を開催します。同展は、年代や経歴の異なる5名のフォトグラファが撮りたい俳優を指名し、作品を撮り下ろす企画展。2019年より毎年開催されている「私が撮りたかった女優展」の男性俳優版として生まれた新企画で、今回が記念すべき1回目の開催となります。それぞれのフォトグラファーが撮りたい俳優を自由な発想で切り取った、ここでしか観られない写真たちが表参道に集結。また、同名写真集や展示作品のエディションプリントも販売予定です。5人の注目の写真家と、5人の若手俳優が織りなす最強のタッグをぜひ堪能してみてはいかがでしょうか。参加俳優 × フォトグラファー・新原泰佑(にいはら・たいすけ) × 駒谷優(こまたに・ゆたか)・坂東龍汰(ばんどう・りょうた) × 井崎竜太朗(いざき・りゅうたろう)・細田佳央太(ほそだ・かなた) × 染谷かおり(そめや・かおり)・本田響矢(ほんだ・きょうや) × 武井宏員(たけい・ひろかず)・三浦獠太(みうら・りょうた) × 松井綾音(まつい・あやね)主催:guilloche inc.企画:J.K.Wang(guilloche inc.)アートディレクション:宮添浩司■イベント概要タイトル:私が撮りたかった俳優展 001会場:AQ space OMOTESANDO会期:2023年7月1日〜 7月9日11:00〜20:00 会期中無休住所:東京都港区北青山3丁目6-19 バイナリー北青山2F入場料:600円(税込) 小学生以下無料(エボル)
2023年05月25日一昨年のドラマ『きれいのくに』では市川森一脚本賞を、昨年の舞台『ドードーが落下する』などでは岸田國士戯曲賞や読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞。今、急激に注目度が増している劇作家で演出家の加藤拓也さん。安達祐実さんにとって、新作舞台『綿子(わたこ)はもつれる』は、3作目の加藤作品出演となる。本物の感情でやれることが、今の私には大事なんです。「加藤さんと初めてご一緒したのは’20年の舞台『誰にも知られず死ぬ朝』でした。そのときは舞台出演が7年ぶりで苦手意識もあり、手応えを感じる余裕もないまま。ただ、稽古終盤、ふたりで会話をするシーンで、相手の俳優さんの芝居…セリフの言い方とか表情の作り方がいつもと少し違ったんです。そしたら、何度も演じた場面で、それまで一度もなったことのない感情になって、相手の芝居でこんなに変わるんだと驚きました。そこで自分にもまだまだ伸びしろがあると期待を持てたし、あの面白さはなんだろうって知りたい気持ちが芽生えたんです」一見何気ない日常の中、恋慕や嫉妬、自意識のねじれや衝動が引き起こす複雑な感情の機微を、セリフの言外に描き出す。そこに見えてくるのは、人間同士の分かり合えなさだ。「加藤さんは、作品の目指す先はここです、とは明確におっしゃらないんですよね。ただ、『このセリフはこういう気持ちを持って言ってください』とか『こういう感情を出してください』と、必要な感情を説明してくださる。だからこちらは、稽古場でひたすらひとつひとつ嘘のない感情を積み重ねて進んでいく。そうすると自然と物語が描く目的地に辿り着いている感覚です。ただ、相手のお芝居で感情を昂らせることもあれば、穏やかになることもあって…。相乗効果と言うといいけれど、没入してしまって自分を客観的に見られなかったりもするんですよね」今回の『綿子はもつれる』は、安達さん演じる綿子を中心に、すでに夫婦関係が破綻している夫と不倫相手との危うい均衡が描かれる。「終わっている家族の話なので、会話していても全然噛み合わないんですよ。夫役の(平原)テツさんが遠慮がちに言ってくるセリフすらイライラするくらい(笑)。でも綿子たちが特殊なわけではなく、そのときそのときに、こうするしかなかったという選択をしているうちにねじれてしまっただけで、振り返ってみたら、どうしようもないものが積み上がっていたって感じ。戻ることもできないし、進むにもそれが重たくて、綿子としては引きちぎるしかない、っていうところにいる感覚です」ネガティブな感情を積み上げていく物語ゆえ「演じていて疲れます」と苦笑するが、どこかそれすらも楽しんでいるようなニュアンスが漂う。「加藤さんの作品は本物の感情でやれるんです。なんなら演じているうちに辛くなるくらい。でもそれが、今の私にとってはめちゃくちゃ大事なことで、なんなら欲しいのはそれだけだと言ってもいいくらい」俳優として、ほぼ年齢と同じキャリアを積んできた安達さんだからこその深い実感がこもった言葉だ。「昔は、心地いいリズムでセリフを言うことを正しいと思っていました。たぶんそれは、正解を出していればOKだった子役時代の名残。でも、少しずつ、その分かりやすい正解を出していくことを面白くないと思うようになってくるんですよ。たぶん大人になるってことなんでしょうね。周りからも徐々に“正解”より“私から生み出されてくるもの”を求められるようになって、最初はどうやればいいか分からなかったです。でも徐々に、『もっと自由でいっか』と思えるようになりました。今、その自由さが受け入れられているのも、芸歴の長さゆえ。そう思うと過去の自分が今の自分を支えてくれている感じがして嬉しいですよね」劇団た組『綿子はもつれる』すでに夫婦関係が破綻している悟(平原)と綿子(安達)の夫婦。しかし、綿子の不倫相手である木村(鈴木)に思いもよらぬ事態が起こり、それを境にふたりの関係は徐々に変化してゆき…。5月17日(水)~28日(日)池袋・東京芸術劇場シアターイースト作・演出/加藤拓也出演/安達祐実、平原テツ、鈴木勝大、田村健太郎、秋元龍太朗、天野はな、佐藤ケイ5月21日まで前半割/前売り4500円、当日5000円5月23日以降/前売り4800円、当日5300円ほか劇団た組gekidantakumi@gmail.comあだち・ゆみ1981年9月14日生まれ、東京都出身。現在、ドラマ『Dr.チョコレート』(日本テレビ系)に出演するほか7月には出演映画『アイスクリームフィーバー』が公開に。昨年より自身のコスメブランド『Upt』もスタート。※『anan』2023年5月24日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年05月22日講談社から7月10日、「オトナの週末旅行」をテーマに撮影した田中圭さんの写真集が発売されます。■ 田中さん30代最後の誕生日に発売する写真集同写真集は、田中圭さんの30代最後の誕生日となる2023年7月10日に発売予定。VOCE本誌で二年目を迎えた大人気連載「#オトナの休日」のスペシャル版として、オトナの週末旅行がテーマとなっています。行き先は田中さんの発案により、北海道になったのだとか。「もし田中圭と旅をしたら……?」と二人旅気分を存分に満喫できる内容。観光したり、おいしいものを食べたり、ドライブをしたり、時にはバッチリスーツスタイルで素敵なホテルに泊まったり、一緒に朝を迎えるなど、さまざまなシチュエーションの田中さんの姿を堪能できますよ。「こんな田中圭見たことない!」が詰まった一冊、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。■商品情報<通常版>発売日:2023年7月10日予定定価:3,410円発行:講談社<特別版>発売日:2023年7月28日予定定価:8,800円特典:ロケのメイキング映像を収録したDVD(1枚)、オリジナル紙製ケース入り、台紙付きサイン入り生写真(1枚/サインはプリントです)※カバー・表紙は通常版と異なります※写真集の内容は通常版と同一です※受注生産商品(フォルサ)
2023年05月18日映画界のなかでもいまもっとも勢いがある国の一つといえば、アジアを牽引する韓国。そこで、本国では『パラサイト 半地下の家族』に続く傑作との呼び声も高い最新作『高速道路家族』(公開中)をご紹介します。今回は、主演を務めたこちらの方にお話をうかがってきました。チョン・イルさん【映画、ときどき私】 vol. 573とある理由から高速道路で暮らすことになってしまった一家の父親ギウを演じたチョン・イルさん。ドラマ『太陽を抱く月』や『ポッサム ~愛と運命を盗んだ男~』などで知られ、さわやかなイケメンぶりで人気を博してきましたが、本作ではホームレス役に挑んで大きな話題となっています。そこで、オファーを受けた理由や現場での苦労、そして変化した理想の夫婦像などについて語っていただきました。―今回の役は、これまでのイメージを大きく変えてしまうような役どころでしたが、そこに対する不安はありませんでしたか?チョン・イルさん本作は僕にとっては7年ぶりの映画復帰となったので、やはり怖さもありました。でも、このギウという役柄は、いろんな姿が表現できる役どころでもあるので、俳優なら誰もが演じてみたいと感じるようなキャラクター。そういう意味でも自分にとって大きなチャレンジになるだろうと思い、不安はありましたが、挑戦することにしました。―オファーを受けたときは、ちょうどいままでとは違う役を演じたいと考えていたときだったとか。なぜそう思われていたのでしょうか。チョン・イルさん僕が演技を始めてから17年になりますが、自分のなかで大きな悩みの1つは、みなさんが持っているイメージを持ち続けるべきか、それとも変化をつけるべきか。ここがいつもジレンマとなっています。ただ、俳優というのはいまあるポジションに安住することなく、つねに成長を見せてこそ俳優ではないかなと。この仕事を長く続けていくためにも、そういう考えに至りました。自分にとっては、プレゼントのような作品になった―演じ終えたいま、改めてどのようなお気持ちかをお聞かせください。チョン・イルさん韓国で公開されたときには、観客だけでなく俳優仲間やメディアからも「いままでのチョン・イルとは違う新しい姿を見ることができた」といった声をたくさん聞くことができてとてもうれしかったです。それらは僕にとっては最高の賛辞ですし、自信を得ることもできたので、『高速道路家族』は僕にとってプレゼントのような作品となりました。この役を演じたからといって、今後も刺激の強い役を演じたいというわけではありませんが、これからはいままでよりも幅広い役柄やいろんなキャラクターを演じることになるんじゃないかなとは思っています。―本当に素晴らしい演技でしたが、演じる際に気をつけていたのはどのようなことですか?チョン・イルさんパッと見たときに、もしかしたらギウは悪役のようにも見えてしまうかもしれません。でも、そうならないようにしたいと考えていたので、ここに関しては監督ともよく相談をしました。というのも、彼にとって家族はこの世のすべてであり、生きる理由。それを表現するために、家族といるときは底抜けに明るくし、家族を失ってしまったときとの感情の差をうまく見せることにしました。監督からも「後半の感情的な部分よりも、家族と一緒にいる前半でいかに幸せな姿を見せられるかが大切。それができてはじめて、ギウが抱える痛みがしっかりと理解できるようになる」と何度も言われたほどです。それだけに、子役の子どもたちといかに仲良くなれるかが大事でした。ハードな現場で支えとなっていたのは、責任感―なるほど。では、ご自身にとって印象的なシーンといえば?チョン・イルさん途中でヨンソンという女性に通報されてギウが子どもと逃げるシーンがありますが、監督にはここが一番重要になると言われました。なぜなら、この場面を境にギウの感情がどんどんと変化していくので、ここを最大限に表現できないと本作におけるターニングポイントがきちんと映らなくなってしまうからです。あのシーンに関しては、俳優だけでなく、スタッフも含めたみんなで丹精込めて作りました。―今回は、肉体的にも精神的にもかなりハードだったと思いますが、現場でのご自身を支えてくれたものは何ですか?チョン・イルさんそれは、責任感です。出演するかどうかは自分自身で決めたことなので、結果に関係なく、作品に対しては責任感を持って取り組むべきだと考えています。それに、俳優以外にもいろんな職業の方が関わっているので、大変なのは僕だけではありません。それぞれに大変なことを担っており、みんながちゃんとそれをやり遂げてこそ成果が得られるものですよね。もちろんその過程につらいこともありますが、いまはその苦労も楽しむようにしています。―チョン・イルさんが思うこの作品の見どころはどんなところですか?チョン・イルさん本当にさまざまな解釈ができる映画で、観る方によって受け取り方も違ってくるのが大きな魅力だと思っています。僕自身はすでに6回観ていますが、観るたびに感情移入するキャラクターが違いますし、視点や立場が変われば感じ方も変わってくるのでそこがおもしろいなと。しかも、家族の意味についても改めて考えさせられるので、ぜひみなさんにオススメしたいです。理想の夫婦関係が崩されたところもあった―本作を経て、ご自身の家族に対する思いに変化もあったのでは?チョン・イルさんそうですね。普段、僕も両親も忙しいからというのはありますが、家族の存在がつい二の次になっていたところはあったと気づかされました。でも、本作に関わったことで、家族の意味だけでなく、一緒にいるときはちゃんと楽しんで幸せな時間を過ごすことがいかに大切かを考えることに。どんなときでも自分の味方でいてくれる家族には感謝していますし、僕にとってはつねに大きな支えになっています。―本作では家族だけでなく、夫婦についても描かれているので、ご自身が思い描いていた夫婦の理想像や価値観にも影響を与えたところもあったのではないかなと。チョン・イルさん劇中では、男性からするとちょっと残念な部分があったり、女性から見るともどかしいと思うところがあったりするので、夫婦関係がとても現実的に描かれていると感じました。といっても、僕はまだ結婚をしていないので、夫婦がどういうものかはっきりとはわかりません。でも、「これがリアルな夫婦関係なのかな?」と考えるようになったので、「自分はこうならないようにしよう」と思っているところです。漠然と抱いていた理想の夫婦関係がこの映画によって崩されたところはあったかもしれませんね(笑)。―ギウの行動は「ただ家族を幸せにしたい」という思いからでしたが、いまのチョン・イルさんを幸せにしてくれるのは何ですか?チョン・イルさん最近は、「自分自身をより愛してあげよう」と意識するようにしています。というのも、ひとたび仕事となると僕は自分を追い詰めるタイプで、「あれもしなきゃ、これもしなきゃ」とじっとしていられないほうなので。いまは、ちょうど2か月ほどお休みをもらえているので、いまのうちに自分自身をしっかりと休ませ、内面に育むことにフォーカスしたいと考えています。日本の文化は、昔からとても身近に感じている―ちなみに、忙しいなかでオンオフはどのようにして切り替えているのでしょうか。チョン・イルさん1つの作品が終わったら1人で旅に出てたくさん歩き、本来のチョン・イルに戻してオフにします。ただ、オンにするときはどんな作品でもつらい思いをするので、それは毎回大変な過程です。つねに自分のなかで悪戦苦闘してそのキャラクターに入り込むため、地獄のような時間とも言えますね…。そろそろ次の作品に入るための準備に取り掛からないといけないのですが、実はいまもちょっと怖いと思っているところです(笑)。―大変な作業ですね。では、日本についてもおうかがいしたいのですが、日本で好きなものや影響を受けていることなどがあれば教えてください。チョン・イルさん個人的なことで言うと、僕の母が昔から日本とは仕事上の関係が深いので、日本の文化には以前からたくさん接してきました。日本には友達もいますし、いままでにいろんなところを旅行しているので、日本文化は僕にとって非常に身近なものです。最近も、香川県の直島に家族と行ってきたばかり。僕は大都会よりも自然を好むほうですし、ミュージアムやギャラリーを見るのも好きなので、とても楽しかったです。あと、イ・サンムン監督も僕も、一番尊敬している日本の監督は是枝裕和監督です。本作をご覧いただいたときに、もしかしたら序盤でなんとなく日本っぽいものを感じる方がいるかもしれませんが、少なからず影響を受けていると思っています。是枝監督とは去年の釜山国際映画祭でお会いした際にも、少しお話をさせていただいたこともあったほど大好きです。日本の作品で俳優として挨拶できるようにがんばりたい―ということは、日本でもお仕事したいと考えていらっしゃるのでは?チョン・イルさん日本の俳優と韓国の俳優がコラボレーションする機会はこれからどんどん増えると思うので、特定の誰かと共演したいというよりもそういう機会に恵まれたらいいなとは思っています。ファンミーティングだけで日本を訪れるのではなく、日本の作品のなかで俳優としてみなさんにご挨拶できるようになりたいです。そのためにも、もっと一生懸命に日本語の勉強をして、準備できるようにがんばります。―楽しみにしています。それでは最後に、ananweb読者にメッセージをお願いします。チョン・イルさん久しぶりに映画を通してみなさんに挨拶をすることになったので、日本の方々がこの作品をどのようにご覧になるのかがとても楽しみでワクワクしているところです。いつもみなさんが送ってくださる愛情に対して、いい演技で応えていきたいと思っています。僕も目を通すようにするので、映画をご覧になったあとは、SNSなどで感想をアップしていただけたらうれしいです。『高速道路家族』にたくさんの関心を寄せてくださるように、よろしくお願いします。インタビューを終えてみて…。終始優しい笑顔を浮かべ、癒し系のオーラをまとっているチョン・イルさん。役が決まってからは髪を切らず髭も剃らずに役作りをしたというだけあって、劇中とはまるで別人で驚かされました。俳優として新境地を切り開いたチョン・イルさんの見たこともない表情に、ぜひ注目してみてください。また、日本語もかなり上達されているようなので、今後日本での活動にも期待です。家族への思いに、心が揺さぶられる!先が読めない展開と俳優陣の熱演に、衝撃のラストまでどんどんと引き込まれる本作。それぞれのキャラクターに共感するとともに、「自分にとって家族とは何か」について改めて考えさせられる必見の1本です。写真・幸喜ひかり(チョン・イル)取材、文・志村昌美ストーリー夜空の月を照明として、テントで暮らすギウと3人の家族。彼らは高速道路のサービスエリアを転々とし、二度と会うことのない人たちにお金を借りながら食いつないでいた。ところがある日、すでにお金を借りたことのある女性ヨンソンと別のサービスエリアで再び遭遇してしまう。不審に思ったヨンソンは警察に連絡し、ギウは拘束される。ヨンソンは残されたギウの妻ジスクと2人の子どもたちを放っておけず、家へ連れて帰って一緒に暮らすことにするのだが、想像もつかない結末が待ち受けることに…。目が離せない予告編はこちら!作品情報『高速道路家族』シネマート新宿ほか全国順次公開中配給:AMGエンタテインメント(C) 2022 Seollem film, kt alpha Co., Ltd. All Rights Reserved.写真・幸喜ひかり(チョン・イル)
2023年04月26日