昨年オンエアされたドラマ『セシルのもくろみ』に主題歌「TAKE MY HAND」を提供し、注目の存在になったロックバンド、夜の本気ダンス、通称《夜ダン》。またもやアッパーな気分にさせてくれるシングル『Magical Feelin’』をリリースした。この曲は結成10周年を迎える彼らにとって初の《試み》で制作された曲である。リスナーに触発されて完成した10年目の新曲とは。「僕たちのラジオ番組の企画で、リスナーから歌詞になりそうな言葉を集めて楽曲を作るという方法で完成した曲です。みなさんが持つ世界観が様々だったので、作り手としてすごく触発されました。制作中は気づかなかったけど、いままでの曲よりわかりやすく、より共感してもらえる曲になりましたね」(米田)「いままでポップでキャッチーなものをシングルにしてきたけど、この曲はキャッチーな中にも、哀愁というかメランコリックな感じがいい塩梅でブレンドされた曲。ラジオの空気感も含まれ、いまの夜ダンに似つかわしい作品ですね」(西田)印象的なギターリフから始まる長めのイントロ。彼らの持ち味でもある疾走感と、心を鼓舞するソリッドなビート。今回もヤラレタ!という感じで体が動いてしまう。「もともとデモ音源として作っていたトラックに、この歌詞がぴったりと合った感じですね。昨年リリースしたアルバム『INTELLIGENCE』を経て、演奏も進化してきているし、この曲も自分がやりたい直感に忠実に、気持ちよく演奏できました」(マイケル)「シングルは毎回違うことをやりたい。アルバムのことは考えず、いいリード曲を作り、その先でこんな曲が欲しい、とアルバムについて考えています。バンド結成10周年のタイミングに、ふさわしい曲ができたんじゃないかな」(鈴鹿)いまも《京都のロックバンド》という誇りを大切に、京都に住む4人。スタイリッシュなファッションに身を包み、熱狂的なライブパフォーマンスを見せてくれる。ファッションのお手本はフランツ・フェルディナンドとか。「カッコいいのに、どこかちょっとヌケてる、みたいな彼らの音楽や存在感に、ずっと憧れています」と米田さん。なるほど、おおいに納得です。4th Single『Magical Feelin’』【完全生産限定盤CD +スペシャルブックレット】¥1,500ボーナストラックとしてPOLYSICSがリミックスした「Crazy Dancer」を収録。【通常盤CD】¥1,200(Victor Entertainment)よるのほんきだんす鈴鹿秋斗(D)、米田貴紀(V&G)、西田一紀(G)、マイケル(B)。京都在住のロックバンド。2016年『DANCEABLE』でデビュー。10月よりバンド史上最長の「マジカル頭脳ツアー!!」がスタート。※『anan』2018年9月5日号より。写真・内山めぐみ文・北條尚子(by anan編集部)
2018年09月03日デビュー20周年を迎えた《東洋一のサウンドマシーン》、クレイジーケンバンド(以下、CKB)。この秋まで、アニバーサリーイヤーの真っ最中だ。3年も我慢してたので、やりたい音楽全部をこの一枚に。「20年といっても、感覚では3~4年くらいの感じですね。僕は38歳とデビューが遅かったので、一年一年が短く、あっという間に過ぎました(笑)。大器、ではないけど、晩成が良かったのかもしれないね」デビュー以来、毎年1枚のアルバムをリリースしてきたが、3年のインターバルの後、ついに20周年記念アルバム『GOING TO A GO-GO』が完成。剣さんが「腰にくるアルバム」と言う通り、まさにソレ。ソウル、ファンク、ジャズ、昭和歌謡にレゲエ…、CKBが得意とするジャンルをすべて網羅し、腰にガツンときて、気持ちよく体を揺すらせてくれる作品に仕上げている。「作曲中毒の僕が3年も我慢してたんだから、ありとあらゆることをやってしまいました。完成したものをバーッと聴いたら、なんて支離滅裂なんだろうと感じたのですが、それでは聞こえが悪いので、《24時間営業》サウンドと呼んでます(笑)」20年の月日を経ても、曲が生まれるベースは、つねに剣さんの頭の中から流れてくるメロディから。「いつもそうなんですけど、レコーディングに入るときは無の状態です。で、パッと浮かんだものを引き出して作っています。それは変わんないね。でもまあ、あまり引き出しがある感じじゃないから、受信機でキャッチしてる感じですね。最新の音楽に触発されることもありますよ。ああ!先にやられちゃったよ、って(笑)。でも同じことやっても面白くないから、その対極のことをやったりね。もうすぐ平成が終わるのに、平成に入る間もなく、昭和っぽいことを相変わらずやってますね」古い車の愛好家である剣さんらしく、使用する楽器も、こと鍵盤楽器は古い時代の機材にこだわってサウンドを作り上げる。しかし録音などは最新のテクノロジーを使うという。「例えれば最新のスマホで昔の音楽や映画を取り込んで楽しむような感覚なのかな。そんなふうに若い世代が古いものをよく知ってて、クレイジーケンバンドも、最新の音楽と同等に楽しんでくれるのが嬉しいね」交流のあるceroやSuchmosなどの若手バンドと、レアな音楽情報を交換することもあるとか。「僕が知らないアーティストもたくさん知ってますからね。教えてもらってメモしてあとで聴くと、本当にいいんだよ。彼らといちばん重要な、音楽の根っこの話ができるのが楽しいんです。SuchmosのYONCE君とはザ・ゴールデン・カップスについてのマニアックな話ができたり、ceroの高城君は仲間とCKBの歌が生まれた場所を訪ね歩いてて、僕より詳しい(笑)。もちろん彼らの作る音楽も素晴らしい。ホント、いつも驚かされ、刺激を受けてます」素敵な交流エピソード。音楽にも人に対しても、フトコロが深い剣さんだから、水があふれるように、いい音楽を作り続けられるのだろう。『GOING TO A GO-GO』【初回限定盤CD+2DVD】¥7,000デビュー20周年記念オリジナルアルバム。2枚の特典DVDには昨年9月に横浜で行われたスペシャルライブの模様を収録。【通常盤CD】¥3,000(UNIVERSAL SIGMA)よこやま・けん1998年にデビューしたクレイジーケンバンドのリーダー。ほとんどの楽曲の作詞・作曲を手がける。8月末からは全国ツアーもスタート。9月24日には20周年記念スペシャルライブを横浜アリーナで開催。※『anan』2018年8月15・22日号より。写真・土佐麻理子インタビュー、文・北條尚子(by anan編集部)
2018年08月16日とある大学の部室に突如現れたタイムマシンを巡って起こる、学生たちのしょーもないSFな日々を描いたコメディ『サマータイムマシン・ブルース』。作・演出の上田 誠さんにお話を伺いました。劇団の初期の代表作、青春SFコメディ再び。撮影:原田直樹本広克行監督で映画化もされたヨーロッパ企画の代表作のひとつであるこの作品が、劇団結成20周年の今年、再演される。「ここ10年くらい新作が続いたんですけれど、久々に再演に手を出してみたら…楽しいですね。過去に書いた作品も、折に触れて自分の頭の中で転がしていたりするんですが、実際に手を入れることでクオリティを上げられるし、一番しんどい部分は終わっているし、禁断の果実に手を出してしまった気分です(笑)」しかも今回は、15年後を描いた続編で新作の『サマータイムマシン・ワンスモア』との交互上演に。「以前から、本広監督に冗談で『書いてよ』と言われていたんです。ただ、ファンの多い作品だけに、下手に続編を作って、当時せっかく頑張って作った代表作に傷をつけてしまうのを恐れていたんです。でも、いまはもう、どんなものを作っても、当時の自分に変な影響をもたらすことはないだろうって思える。ワンスモアのほうに15年前のシーンは出てきますけれど、並べて観ていただけたらいいかなって思います」演劇という場で、「面白いことをやりたい」と言う上田さん。「僕の場合、世の中に訴えたいこととか、伝えたいメッセージとかがあるわけじゃないんです。たとえば、だまし絵のコメディをやろうと思いついて、1930年代のパリを舞台にしようとひらめいたら、あとは徹底して、面白いことを整えて見せるための構成を考える。アーティストというより、作り方はデザイナーに近いと思います。役者も、漫才の立ち位置じゃないけれど、できるだけ収まりのいいレイアウトや組み合わせで配置してるんですよ」そんなヨーロッパ企画の舞台には、変わった形のパズルが少しずつはまっていく時の心地よい楽しさがある。「演劇は生ものですから、同じ作品でも、その日の客席や役者の体調で揺らぎが出る。その空気も全部閉じ込めた作品をやりたいんです」SF研究会の部員たちがたむろしている部室に、ある日、タイムマシンが置き去りにされていた。相談の結果、昨日に戻って壊れる前のクーラーのリモコンを持ち帰ることに(『サマータイムマシン・ブルース』)。あれから15年後、SF研究会の元メンバーたちが、再びあの部室を訪れる(『サマータイムマシン・ワンスモア』)。8月17日(金)~9月9日(日)下北沢・本多劇場作・演出・上田誠前売り4500円当日5000円(共に税込み)ほかサンライズプロモーションTEL:0570・00・3337(10:00~18:00)8月9日~12日に京都公演あり。また9月以降には地方公演も。上演スケジュールの詳細はHPにて。うえだ・まこと1979年生まれ。全劇団公演の作・演出のほか、アニメ『四畳半神話大系』のシリーズ脚本なども担当。昨年、『来てけつかるべき新世界』で岸田國士戯曲賞受賞。※『anan』2018年8月8日号より。写真・土佐麻理子文・北條尚子(by anan編集部)
2018年08月08日アルバム『POWER』でメジャーデビューするchelmico。RachelとMamikoからなる女子ラップユニットだ。共にリップスライムが好きで意気投合したふたりが、“軽いノリで”ステージに立ったのが‘14年。以来、ラップの面白さに魅了され、スキルとオリジナリティを磨き続けている。正反対なところもふたりで活動するパワーかな。「最初はリップスライムになりたくて音楽をやっていたんですが、曲を作って活動するうちに、だんだん自分たちのオリジナリティができていったんです。スキルという評価軸があるところがラップの面白さですね」(Rachel)ふんわりとした存在感と正統派なラップのスキル。その噂は広告業界内でもたちまち広がり、メジャーデビュー前にもかかわらず、有名企業のCMソングのオファーが殺到した。「最初はプレッシャーは全くなかったんです。でも、色んな方に出会って、『プロってすげー!私たちじゃできないことをしてくれる!』って感じて(笑)」(Mamiko)「『私たちはラップを頑張ろう』と思ったよね」(Rachel)今作『POWER』にはアグレッシブに夏を盛り上げるヒップホップチューンもあれば、センチメンタルな情景が浮かぶチルアウト系の曲も。「今回は初めて、前から好きだったU-zhaanさんに作曲を1曲お願いしました。とてもキュートなトラックをいただいたので、いつもはタブラでドープな音楽をされてるU-zhaanさんのイメージにないようなテーマにしようと思い『デート』という曲ができました」(Rachel)「この曲で初めて、5拍子のトラックに挑戦して。また更にラップが好きになりましたね」(Mamiko)向上心と好奇心旺盛な彼女たち。ふたりがそれぞれに感じている、自分に備わる“POWER”とは?「誰かに誘われたらすぐに行動するのは私の強み。そこで出会いや興味の幅も広がります」(Rachel)「私は逆に、いつも冷静なタイプ。その正反対なところもふたりで活動するパワーかな」(Mamiko)可愛くてユーモアに満ちたキャラも無敵のふたり。快進撃に期待。Major 1st Album『POWER』¥2,800ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)が参加した曲や、ライブでも人気の「Love Is Over(1UP Version)」も収録の全13曲。8月8日リリース。(WARNER MUSIC JAPAN)チェルミコ左・Rachel(レイチェル)、右・Mamiko(マミコ)。2016 年にアルバム『chelmico』、昨年9月に『EP』を発売。たちまち注目を集めたインディーズ期を経て、憧れのリップスライムの所属レーベルからメジャーデビュー。※『anan』2018年8月8日号より。写真・土佐麻理子文・北條尚子(by anan編集部)
2018年08月07日初の全曲クラシックアルバムをリリースした宮本笑里さん。その名も『classique』。11年目の挑戦は、初のオールクラシックの名曲アルバム。宮本笑里さんはニューアルバムのタイトルに、極めてシンプルに“クラシック”と付けた。というのも、実はこのアルバムは、宮本さん初の全曲クラシックアルバムだから。「わかりやすく“これはクラシックですよ”と、この名前にしました(笑)。意外に思われるかもしれないですが、まだ私はバイオリンの名曲を集めたアルバムを作ったことがなかったんです。それであえてこのタイトルに決めました」クラシックのみならず、J-POPや映画音楽、沖縄民謡まで、幅広く奏でてきた宮本さんの原点回帰、という意味合いのアルバムだろうか。昨年デビュー10周年を迎えたことも、その動機になったよう。「ありがたいことにクラシックの演奏以外にも様々な活動をさせていただいた10年間でした。弾いたことのないような楽曲にチャレンジすることで、自信もついてきたと感じています。では、さらに成長するにはどうする?と考えたとき、全曲クラシックのアルバムを残したいと思いました。とはいえ、どこか避けてきた部分もあったので、とても勇気の要ることでしたね。でも、いまやらなくちゃいけない!って」選ばれた18曲のバイオリンの名曲は、タイトルを見て、すぐにメロディが浮かぶというものではないけど、聴けば、あっ!この曲、と気づくような有名な曲がほとんど。クラシックのコアなファンでなくても、なじみやすく、楽しめる名曲ばかりだ。とくに宮本さんの代表曲ともいえるサラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」やエルガーの「愛のあいさつ」など4曲を再録音している。「以前録音したときとは、年齢も人生経験も違うので、同じ曲を演奏しても、時間の積み重ねが音に反映されていると感じますね。とくに4年前に母親になり、いままで経験したことのない道を、日々勉強させてもらっているので、いい刺激をもらっていることもあるし、昔とは全然違う演奏になっています」また6曲の短い曲からなるバルトークの「ルーマニア民族舞曲」は、とりわけ思い出のある作品と言う。「幼いころ、五嶋みどりさんのCDで、この作品集を毎日のように聴いていました。舞曲なので華やかだけど、どこかあやしげでゾクゾクするような楽曲なんです。聴きながら、難しそうな曲だけど、なんか楽しいなって、一緒に踊っていました(笑)。そんな楽しい気持ちを、お子さんたちや大人の方にも感じてもらえたらすごく嬉しいですね」なお、レコーディングは宮本さんとピアニストのふたりで、ホールを3日間借り切って行われた。「普段はスタジオ録音が多いんですが、このスタイルははじめてでした。一発勝負のライブ録音なので、集中力や緊張感が必要で、普段とは違うレコーディングでしたけど、バイオリンの音そのものがスタジオとはまったく違う、ホールでしか出せない生音の響き。それは弾いていてすごく気持ち良かったですね」8th Album『classique』【初回生産限定盤CD+DVD】¥3,50018曲収録。DVDには最新MVやMay J.と共演した「My HeartWill Go On」などライブ映像も収録。【通常盤CD】¥3,000(SONY MUSIC)みやもと・えみり『smile』でCDデビューし、昨年10周年を迎えた。アルバムリリースツアーを8/16大阪・ザ・フェニックスホール、8/25愛知・宗次ホール、8/30東京・サントリーホールブルーローズで開催予定。衣裳協力・DHOLIC(DHOLIC LADIES+TEL:0120・989・002)※『anan』2018年8月1日号より。写真・土佐麻理子文・北條尚子(by anan編集部)
2018年08月02日映画や展覧会、CM、舞台芸術にファッションと、あらゆるジャンルとコラボレーションするとともに、個人の作品も発表している蓮沼執太さん。多岐にわたるプロジェクトの中で、最も人数が多い「蓮沼執太フィル」としての新作をリリースする。「主にひとりで音楽を作ってきたんですが、最初は5人編成のバンドから、さらにもっと楽器の種類を増やしたアンサンブルにしたくて、欲しい楽器の演奏家にオファーして、フィルがスタートしました」当初はライブのためだけに集まる蓮沼フィルだったが、当時15人のメンバーと共に、2014年に1stアルバム『時が奏でる』を発表。その後、蓮沼さんはNYに活動拠点を移し、ソロ活動などに没頭。その間、蓮沼フィルの活動は休止に。「2年前に久々に集まって演奏してみたら、音が全然変わっていて、昔の曲もすごく新鮮に聞こえたんですよ。ひとりで音楽を作っている時とはまた違う感動がありました。またメンバーみんなと一緒に演奏したい、と強く思いました」その成果が4年半ぶりに完成した最新アルバム『アントロポセン』だ。フィルのメンバーも16人の大所帯となり、サウンドも進化。「16人がそれぞれクラシックやジャズ、バンドなど異なるフィールドで独立し、活躍している方々ばかりです。一緒にツアーを続けて、どんどん演奏が良くなる、ということはあるけど、この2年間ほとんど会ってないんです。だけど感動するほど音が変化したのは、時とともにひとりひとりの人間性が変化しているのではないでしょうか。そんなふうに解釈しています」出自が異なる10数人の楽器演奏者と女性ボーカリストにラッパー。コンダクターの蓮沼さんは歌も担当する。メンバー全員が思い思いに解釈して演奏するアンサンブルは、クラシックやポップス、ジャズとも違う新しい世界を感じさせる。ふわりとした浮遊感に包まれ、いい香りがするような、有機的なサウンドだ。失礼ながら、何度もリピートして聴いていると眠くなります、と言うと…。「眠気を誘うほど気持ちいい音楽は、いい音楽だと思っています。僕は耳触りの良さや音の質感を大事にして音楽を作っているので、このアルバムもマイナスイオン的なものが出ているのかもしれないですね(笑)」はすぬましゅうた・ふぃる2010年に結成された現代版フィルハーモニック・ポップ・オーケストラ。8/18東京・すみだトリフォニーホール、9/16名古屋・ナディアパークデザインホール、9/17大阪・千日前ユニバースでコンサート予定。2nd Album『ANTHROPOCENE(アントロポセン)』¥3,300*税込みクラシックからワールドミュージックまで、さまざまな楽器の音色が美しいハーモニーを紡ぎ出すアルバム。7月18日発売。(COLUMBIA)※『anan』2018年7月18日号より。写真・神藤 剛文・北條尚子(by anan編集部)
2018年07月17日『友だちを殺してまで。』という衝撃的なアルバムとともに、世の中に知られることとなったロックバンド、神聖かまってちゃん。アルバムには「23才の夏休み」という名曲があったが、その曲が作られてから10年、今度は「33才の夏休み」という名の曲を収録した10周年記念アルバム『ツン×デレ』をリリースする。バンドは弱火でじっくりやれば長く続けられるんです。「今年メンバーが揃って33才になるんです。『23才の~』には33才になっちまうさ、という歌詞があったんですが、この10年は早かったですね。人間て成長しながらも劣化していく、ということが確実にあると思うけど、そんなことも普通に歌詞に出ています。でもネガティブさだけでもない。このアルバムは両面があると思う」(の子)「以前のの子の歌詞は、子供の頃のこととか、昔のことしか歌ってなかったんですよ。でもこのアルバムは、この先のことも歌詞にしているので、ずいぶん変わったなと思いました」(ちばぎん)「ネタ切れということもある(笑)。今になって分かることもあるし、今ぶち当たっていることや葛藤を歌詞にしているからね」(の子)「10周年のタイミングで、こんないい曲が出てくるなんて、の子さんの才能は枯れてないなーって。実は5年前からあたためていたかもしれないけど(笑)、それぐらいいい曲、素敵なメロディです」(みさこ)結成以来、常に「解散するのでは」という危機感を抱えていたバンドだと言う。しかしアルバムを発表する度に、新しいサウンドを提示し、尽きることのない衝動を見せ続けている。彼らのロックンロールは、まだまだ鳴りやまないのだ。「本当に10年間、いろんなことがあって、人間的にも成長していると思う。の子がいちばん変わったのかな。昔は唯我独尊というか周りは何も関係ない感じだったけど、今は多少僕らを見てくれるようになったので、心地いいんですよね」(ちばぎん)「昔は歌詞もサウンドも一切触れてくれるな、というオーラが出てたから、メンバーはの子がやりたいことを形にしていたけど、今は4人でいいものを作ろうという気持ちが高まっていると思う」(mono)「の子さんから渡されたデモテープを基に、バンドでやってみようとなって録音すると、あれこんなにいい曲だったのかと、再認識することがすごく多くなってきた気がします。10年一緒にやってると、単純に演奏がうまくなっただけでなく、バンドサウンドに謎のグルーヴが生まれている感覚がすごいある」(みさこ)「まぁ、歌詞はパーソナルなものなので、そこを突っ込まれてもうるせーよ、ということですよ。逆にメンバーのパーソナルなことは僕も分からない。酒飲んで心から語り合おうというバンドじゃないし、そういうことすると解散するとマジで思っている。バンドは弱火でじっくりやるのが、いちばんいいし、長く続くってことでしょう」(の子)昨年、大ヒットアニメ『進撃の巨人Season2』のエンディング曲を担当したことに続き、今年は映画『恋は雨上がりのように』の主題歌に、彼らの代表曲「フロントメモリー」のカバーバージョンが使用された。の子さんは「恋愛映画にかまってちゃんだとイメージが悪いので、カバーになったのではないか」と自虐気味に話すが、もともと原作に彼らの楽曲が登場し、原作者のたっての希望で採用。の子&monoさんはこの映画の劇伴にも曲を提供している。「10年間の時を経て、かまってちゃんファンが権力を持ち始めたんだね(笑)」(ちばぎん)「そうそう、監督さんや原作者の方が、関係者の事情をかき分けて、主題歌はかまってちゃんがいいと説得してくれたんだろうね。才能のある方々に愛されるバンドということは、うれしいことですよ」(の子)9th Album『ツン×デレ』¥2,900 先行配信リリースされた「秋空サイダーfeat.たかはしほのか」や「33才の夏休み」など10曲を収録。(unBORDE/WARNER MUSIC JAPAN)しんせいかまってちゃんみさこ(D)、mono(Key)、の子(V&G)、ちばぎん(B)。2010年『友だちを殺してまで。』でCDデビュー。8/18から「33才の夏休みツアー」後半がスタート。※『anan』2018年7月11日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)文・北條尚子(by anan編集部)
2018年07月08日大原櫻子さんの最新アルバム『Enjoy』は、まさに夏に聴きたいアルバム。「久しぶりにはっちゃけたアルバムを作りたくて」という彼女の言葉通り、ポップで踊れて盛り上がれるサマーチューンがキラキラと流れてくる。「私は歌よりも先にダンスをはじめ、長く親しんできたので、ライブでみんなと一緒に踊れる曲を作りたいなーと思っていました。完成したものを聴き、タイトルの『Enjoy』通りの世界が作れたと思います。それとラストの曲『Joy & Joy』は、今までの私の作品にはない洋楽風の曲。私のイメージとはだいぶ違う曲だったので、チャレンジでもあり、大事な作品になりました」去年の作品は21歳になった彼女の心境を反映して、しっとりしたミディアムバラードが多かった。しかし本作で聴かせてくれるアクティブなパフォーマンスには、大原さんの新たなトライアルを感じるはず。「アルバムが発売される翌日から全国ツアーがはじまるので、ライブで皆さんをどんなふうにのせようか、いま考えています。前回までのライブは、歌詞を伝えることを大事にしてきたけど、今年は激しくいきますよ。汗をかいて体で楽しんで、さあエンジョイしようぜ、って(笑)」シングル『さよなら』で大原さん初の失恋ソングを提供した、いきものがかりの水野良樹の新曲や、彼女自身が歌詞を手がけた「いとしのギーモ」など新しい名曲も生まれた。「いろんな表情を見せられる色とりどりの一枚。新しい私の一面を感じてもらえたらうれしいな」レコーディング前は、舞台公演と映画撮影が数か月続き、すべて終わってからアルバム制作に入った。映画は太平洋戦争中の物語、舞台はレズビアンの役、とかなりシビアな役柄でもあった。「役者のときは音楽には全くノータッチです。役者の仕事はある種、闇に入るというか孤独な作業なので、音楽とは気持ちが全然違うんですよね。終わったらリセットする時間を持たないと、音楽に入れない感じなんです。でも芝居でセリフを大事にするように、歌の言葉も伝えることを常に考えていますし、ひとりで集中して聴かせる生のライブで培った度胸は、演技にもすごく生きています。その両方が揃ってこその私、だと思っています」おおはら・さくらこ映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』のヒロインに選ばれ、女優&シンガーとして2013年にデビュー。7月20日まで全国ツアー中。9月15日から舞台『メタルマクベス』の再演に出演予定。3rd Album『Enjoy』【初回限定盤A CD+DVD】¥4,500「ツキアカリ」など14曲収録。特典DVDにはMVほか、貴重なフォトセッション映像などを収録。【初回限定盤B CD+BOOKLET】¥4,000【通常盤CD】¥3,000(Victor Entertainment)※『anan』2018年7月4日号より。写真・小笠原真紀文・北條尚子(by anan編集部)
2018年07月02日チャットモンチーが7月に活動を《完結》する。昨年11月にふたりからのメッセージが発表されると、困惑と悲しみの声が巻き起こったが…。「いままでは次のアルバムはどうしようか、と考えてきたけれど、次の目標はチャットモンチーを終わらせる、完結させるという言葉が、さらりと出てきたんです」(橋本絵莉子)「えっちゃんからそう聞いたとき、なるほどと思いました。いい形で終わらせることができる気がして、すごく前向きになりました」(福岡晃子)11月の段階ではどんな完結になるか白紙だったそう。しかし、ふたりは最後に素晴らしいアルバム『誕生』を完成させた。しかもいかにもラストという“最終章”“集大成”という内容ではなく、新たな試みに溢れたポジティブな作品でもある。「ラストということをテーマにしてアルバムを作るのは難しかったので、いま私たちが一番興味のあるテーマで制作しました。それが生楽器をほとんど使わない、全編打ち込みというサウンド作りでした。最後に新しいことに挑戦するのもチャットらしい、という気持ちもあり、前進しながら作ったアルバムです」(福岡)主にトラックメイキングは福岡さんが手掛けたが、「打ち込み初心者なので、先輩のPOLYSICSのハヤシさんなどに、電話やメールをしまくって(笑)、あれこれ教えてもらいながら作り上げました」。そして完成した作品は、作り方は変わっても、まさしくチャットモンチーにしか奏でられないサウンドだ。「歌詞についても、こんなふうに思われるかな、ということをいつもより気にしないで書きました。リード曲の『たったさっきから3000年までの話』は、実家の父の姿と息子の姿を重ね合わせて、世代交代をしていく感じを詞にしました」(橋本)福岡さんが書いた「裸足の街のスター」は、そのままチャットモンチーのことをテーマにしている。「最後の歌詞になるから、いままでのことを書けたらな、と思って。裸足というのは、徳島のスタジオが靴を脱いで演奏するところだったので。昔のライブは靴下でやっていたんですよー!(笑)」(福岡)また「砂鉄」という曲は、元メンバーの高橋久美子さんが歌詞を提供している。3人の関係をストレートな言葉で綴る美しい曲だ。「3人で作ったもののCD化していない良い曲があったので、それを入れようと思っていたら、デモテープが見つからなくてメロディが思い出せなかったんです。それで、久美子にイチから新しい歌詞をお願いしてみました」(橋本)あまり語られない家族のこと、メンバーのことを彷彿とさせる歌が聴けるのも、嬉しいポイントだ。『誕生』リリース後は、武道館のラストワンマンと徳島のイベントで、いよいよチャットモンチーは完結する。完結後のことを聞いてみると、橋本さんは「分からないです。いまはまったく想像できない」、福岡さんは「決まっていません。転職してもいいかな(笑)」。ショックを受けるファンがいるかもしれないけど、「趣味になっても音楽は続けていくと思う」とも。どんな形であれ、またいつかふたりが奏でる素晴らしい音楽を聴ける日が来るだろう。写真左・福岡晃子(B&D&KEY)右・橋本絵莉子(V&G)7/4にラストワンマンを日本武道館で行う。7/21・22は地元・徳島で「チャットモンチーのこなそんフェス2018」を主催し、結成から18年の活動を完結させる。Last Album『誕生』【初回生産限定盤】¥3,000【通常盤CD】¥2,400全編打ち込みで制作された7枚目のオリジナルアルバム。全7曲。『誕生』と同日発売の6th Album『共鳴』【Forever Edition 2CD】¥3,4006thアルバムのリマスター盤。DISC2は『共鳴』の全曲の、2015~2016年に演奏されたライブテイクを収録したCD。(Ki/oon Music)※『anan』2018年7月4日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)文・北條尚子(by anan編集部)
2018年07月01日水曜日のカンパネラの新作は『ガラパゴス』と名付けられたEP。これは独自の生態系を持つガラパゴス諸島のことではなく、「日本の環境や文化を表すのに、いちばん適した言葉」として命名したそう。いままでの彼らの作品群にはあまりないスローテンポの美しいナンバーからはじまり、ここから広がるであろう新しい世界に、身を委ねながら聴きたくなるアルバムだ。聴いている間、自分が人間であることやいろんなことを忘れてほしい。すべての楽曲を手掛けるケンモチヒデフミさん曰く、「このアルバムでは、いままでと違うことにチャレンジしたかったんですね。チルアウト、スピリチュアル、オーガニックをテーマにテンポを落としたサウンドになりました」とのこと。一方、コムアイさんは「私はいままでの中でいちばん踊れるアルバムだと思います。もちろん今もテクノやドラムンベースのようにビートが立っているものも好きですが、ちょっとツボをついて踊らせることができないかな、って。最近よくケンモチさんと、太鼓と歌だけで演奏される《gwoka》という南米の音楽を聴いていたんですが、シンプルでプリミティブなサウンドなのに、すごく気持ちいいグルーヴを感じるんです。リズムではなく、ループで踊るみたいな音楽にいますごく興味があって。そんなグルーヴをこのアルバムで感じてもらえたらいいな」アルバム全体のトーンはゆったりとしていて、コムアイさんのボーカルはひたすらに美しい。ビートに乗って踊るのではなく、音楽の心地よさに心と体がふわふわと浮遊するような、そんな不思議なアルバムだ。歌詞面もかなりユニークな作品が並ぶ。複数の女性たちを愛したピカソを題材にした曲「ピカソ」は、「歌っていて私の言葉なんじゃないかと思った」とコムアイさん。というのも、制作当時、3人の男性と同時に交際していたそうで…。「人生でできる実験は、すべてやろうと思っていて。そのころ心のゆとりもあって、3人とも超大好きで、誰も削りたくないから、訳を話して同時に並行恋愛する、ということをやっていました。でも相手も同じ状況じゃないと成り立たないということがわかってやめました。そんなことは全然知らずにケンモチさんは曲を作っているんですけど、この曲は歌っていて歌詞がしっくりきました。カンパネラはそういう《同期》がけっこうよく起こりますね」彼女自身が作詞し、作曲に参加した叙情的なラブソング「キイロのうた」のモチーフは、愛する人と離れなければならなかった体験から生まれた歌。ただし、単なる失恋の歌で終わるのではなく、別れてしまってもいつかふたりは惑星の軌道に乗ってどこかで再会できるだろう、というメッセージがこめられ、心打たれるナンバーになっている。「曲を聴いてくれたとき、感想がどうとかより、自分自身のことを思い出してくれたらうれしい。これをあの人に言っておこうとか、自分の人生はもっとこうしたほうがいいなとか感じてほしい。あとは、自分が人間であることとか、いろんなことを忘れてほしいですね」EP『ガラパゴス』CD¥2,500アナログ盤¥3,500コムアイさんが猫役で出演する映画『猫は抱くもの』劇中歌「キイロのうた」など全8曲収録。(WARNER MUSIC JAPAN)すいようびのかんぱねら主演・歌唱担当のコムアイと、作曲・編曲担当のケンモチヒデフミ、それ以外担当のDir.Fからなる音楽ユニット。一昨年EP『UMA』でメジャーデビュー。6月30日、7月1日に河口湖ステラシアター野外音楽堂でライブを行う。※『anan』2018年6月27日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・北條尚子(by anan編集部)
2018年06月20日インディーズバンドに起こる奇跡を描く映画『EVEN~君に贈る歌~』(6月2日公開)に登場するロックバンド・EVENが劇中から飛び出しデビューする。ボーカルの桜田通さんをはじめ、メンバーはオーディションで選ばれた若手俳優5人。ずっと一緒にバンド活動していたかのような連帯感すら感じさせる。「ボーカル役のオーディションに行ったら(坂東)龍汰がいて、NY帰りだというし、エド・シーランの曲をアカペラで歌うし、ああ、僕は絶対に落ちたなと思いました」と桜田通さん。一方、ギター役を勝ち取った坂東龍汰さんは、「通君はそこにいるだけで存在感あるし、肌はつるつるだし、やばい、ダメだと思いました。でも結果は通君が主役になり、僕は彼の親友役になれて嬉しかったですね」とのこと。ベース役の才川コージさんは「ギター役という話だったのに、ベース弾ける?と聞かれて、できないのに、弾けますと言っちゃったんです。すぐに楽器を買って課題曲の(ビートルズの)『HELP!』を練習して。まさに《助けて!》という心境でした」とちょっと笑っちゃうエピソード。未経験ながらドラマー役に抜擢されたのは櫻井圭佑さん。「オーディションをきっかけにドラムにのめり込んでいます。難しい楽器だけど、電子ドラムを買っていろんな曲をコピーして自分なりの叩き方を模索中です」。唯一バンド経験を持つのが、Wギターのもうひとり、栗原吾郎さん。「5年間活動してきたバンドが解散し、俳優でやっていこうと決めてすぐにオーディションのお話を頂いたんです。ギターには自信があったのでワクワクしながら弾きました」とまさに適役だった。そんな彼らは、オリジナル曲『アイノウタ』でメジャーデビュー。映画に先駆け視聴できるMVでは、彼らのカッコ良さを堪能できる。「ライブシーンをMVと一緒に撮影したんですが、それまで5人で必死に練習し、本番を迎えました。みんなが一人前に弾いたり、叩いたりする姿を見て、一緒に成長できた感じがして、心打たれましたね。映画のワンシーンとはいえ、芝居を超えたものがあったと思います」(桜田)「バンドをやってきた自分から見ても、EVENは相当いけると思う。みんなイケメンだし(笑)、それぞれに個性があって自分を持っているんですよ。だからすごく刺激を受けるし、バンド経験者とはいえうかうかしていられないですね」(栗原)今は「役者が音楽に挑戦した」と言われているけど「ミュージシャンが芝居に挑戦した」と言われたら嬉しい、と口を揃える5人。「そうなったら本当にすごいね。でもそれが実現できちゃうようなメンバーだと思っています」(才川)イーブン写真左から、ギター・涼(栗原吾郎)、ギター・快(坂東龍汰)、ボーカル・武人(桜田通)、ドラム・春雄(櫻井圭佑)、ベース・充(才川コージ)。本格的に音楽活動を始める彼らに注目。Debut Single『アイノウタ』【初回限定盤CD+DVD】¥1,8003人組ロックバンド、サイダーガールの書き下ろし曲でメジャーデビュー。DVDにはタイトル曲のMVを収録。【通常盤CD】¥1,000(Universal Connect/UNIVERSAL MUSIC)※『anan』2018年6月6日号より。写真・内山めぐみ文・北條尚子(by anan編集部)
2018年06月05日2017年から約1年半にわたるワールドツアーを開催した、新世代モンスターバンドONE OK ROCK。その長い熱狂の最終到着地は、彼らの故郷、日本。ツアーファイナル寸前の東京ドームライブの様子をお届け。光と音の洪水に酔いしれる、奇跡のような一夜。4月4日、東京ドーム。『Taking Off』のイントロが流れ、曲線を描くまばゆいライトがステージに放たれるとともに、花道にスポットライトが照らされる。同時に観客全員が腕につけている何万個もの“シンクロライト”が光りだし、会場は光の洪水だ。そこに現れたのはTaka。思ったより静かなはじまり。しかしサビの「I know I know」は会場全体で大合唱。1年以上にわたる長期のツアーを終え、ついに東京に戻ってきた彼らを会場に渦巻く熱気が歓迎する。いよいよONE OK ROCKロックンロールショーの幕開けだ。2曲目は火柱と雷鳴とともに、特徴的なギターのイントロからはじまる懐かしいナンバー『未完成交響曲』。続く『キミシダイ列車』では、Takaが「もっと来いよ!」とオーディエンスを煽り、挑発する。それに呼応するかのように東京ドームがグラグラと揺れはじめた。「オーオーオー」の大合唱。さらにドームが揺れまくる。「トーキョーー!ジモトーー!ドームツアーへようこそ」とTakaのMCがはじまった。「ここ東京ドームで、しっかり自分たちの音をかき鳴らして、会場のどっかをぶっ壊すぐらいのパワーで、最後までいきたいです。しっかりついてきてください」ドームに来たファンの誰もが「空前絶後のとてつもないライブがはじまった」という気持ちだったに違いない。8枚目のアルバム『Ambitions』を引っさげたツアーは、昨年1月に北米で始まり、その後は日本国内16か所を回り、30公演以上を開催。さらに昨年後半は再び北米、中南米、オセアニア、ヨーロッパの20か国で公演を行い、2018年の年明けからはアジアツアー。どこの会場でも熱狂的に迎えられ、ONE OK ROCKは世界レベルのロックバンドだと誰もが認める存在になった。そしてついに日本凱旋。このライブの行われた4月4日は、東京ドーム1日目。大規模なドームツアーがファイナルに近づきつつある日だった。4曲目の『Cry out』は、どの国でも必ずサビで観客全員の絶叫に近い大合唱が巻き起こる、ライブの人気ナンバー。「めちゃくちゃ楽しいです!みんな調子はどうですか、東京、まだまだいけますか」とベースのRyotaを皮切りにMCがはじまった。続いてドラムのTomoyaが「トーキョーー」と裏返り気味の明るい声で絶叫!「元気かー!ステージに出る前はみんなの声に圧殺されそうで、緊張していたけど、はじまったら楽しいです、ありがとう」そして「東京ドームやばいぞ。みんなの熱気がやばいです。一番上の席まで、ちゃんと見えてるよ。元気に最後までいこう!」とギターのToru。演奏中も笑顔で楽しそうにドラムを叩き続けるTomoyaと、ときにはカッコいいチョッパーベースも披露するベースのRyotaによるソリッドで分厚いリズム隊。胸に迫る切ないフレーズから、ガチガチにロックなリフまで自由自在に奏でるギターのToru。その3人が揃ってこそ、ONE OK ROCKのサウンドがある。懐かしい曲から『Ambitions』のナンバーまで、新旧取りまぜたセットリストは、現在の彼らが最も奏でたいサウンドになり、さらにスケールアップ。ライブは中盤に差し掛かり、哀愁を帯びたギターから『One Way Ticket』がはじまった。恋が終わった気持ちを切々と歌い上げる。こういう切ない歌も、シャウトする歌も、エモーショナルに聴かせてくれるTakaの豊かな才能には、改めて恐れ入る。高音で透明感のある彼の声は、どんな曲を歌ってもドラマティックで心打つ。ロックボーカリストとしては稀有な存在だろう。比類なき美しさを放つ彼のボーカルが、海外のロックファンにも愛されていることは、大いに納得だ。仲の良さを思わせる楽屋ネタのようなお喋り。ステージ後方のスクリーンには、バンド活動がはじまった13年前からの映像が流れている。若々しい4人。気がついたらメインステージから最も遠いスタンド席前に、セカンドステージが組まれていた。この嬉しい演出に、おおーっと会場がさらに盛り上がる。ここからこのツアーからはじまったメンバー全員の長めのMCに突入。普段の楽屋のお喋りのノリで、意外な話も飛び出す。Ryota曰く、バンドに加入したTakaがコワくて近寄り難く、「1年間ぐらい口をきけなかった」と、意外なエピソードを暴露。また昔の曲『努努-ゆめゆめ-』を10年ぶりに演奏してみたり。なんとも仲の良さが窺えるコーナーで会場をリラックスさせたところで、アコースティックなアレンジで代表曲『Wherever you are』へ。‘16年の本誌のインタビューでも、彼らが「すごく大切にしている曲」と話していた特別な曲だ。インターバルを挟んで「よっしゃ、かかってこい」というTakaの叫びとともに、再びメインステージで後半戦がスタート。14曲目のヘビーなロック『I was King』ではスタンド席もぶるぶる揺れるほどの大合唱。いまここに集うひとりひとりの熱が、歌声とともに放出されている。その渦とライブの音に巻き込まれるのが、なんとも心地よいのだ。「バンドは人生そのもの」と言い切るプライド。「これからのONE OK ROCKは、遥かに険しい世界に突入すると思います」とTaka。会場が静まる。「それでも俺らは走り続けるしかないので、この第1章にピリオドを打って、気持ちを引き締め直して新しいスタートを切りたい。俺らはさ、挑戦し続けるか、やめるかの2択しかない。できることならこのバンドとともに、身を削って生きていくつもりです。このバンドは俺にとっての人生そのもの。これからも人生の行方を見てもらえたら嬉しいです」ラストスパートに入っても、Takaは疲れも見せず、ますます艶っぽく、キレキレのハイトーンボイスで歌いまくる。ラストの曲は『Nobody’s Home』、イントロからもうみんなが歌いだしている。胸が熱くなる。アンコールでは新曲『Change』を披露。「第2章のはじまりの歌です」とTaka。そして会場が求めるように静かに「ウィアー、ウィアー」と歌いはじめた最後の1曲は『We are』だ。「未来は決して明るいものじゃないかもしれないけど、ひとりひとりが意識を高く持って突き抜けていけば、必ず光があると思います。この曲をこのツアーをはじめた1年前と同じ気持ちで歌います」演奏が終わってもやまない大合唱に涙腺が緩む。その声に包まれてなかなか去らない4人。彼らはカリスマ性を持ったバンドであり、成功者でもあるが、決して近寄り難い孤高の存在ではない。ステージで4人のキャラクターに触れると、温かな気持ちになり、明日も頑張ろうという感情が自然に湧き上がってくる。そんなバンドは、そうそういないだろう。『ONE OK ROCK 2017 “Ambitions” JAPAN TOUR』 LIVE DVD & Blu-rayNOW ON SALE30万人を動員したバンド史上最大規模の「2017“Ambitions” JAPAN TOUR」の映像作品。DISC1にはさいたまスーパーアリーナ公演、DISC2にはゲストアクトにフィーチャーしたドキュメンタリー映像が収録されている。DVD¥5,370Blu-ray¥6,296(Aer-born/A-Sketch)ワンオクロック2005 年に結成、‘07 年デビュー。メンバーはTaka(V)、Toru(G)、Ryota(B)、Tomoya(D)。6/30・7/1に川崎市東扇島東公園で開催されるDEAD POP FESTiVALと、8/18のSUMMER SONIC 2018 OSAKAに出演予定。※『anan』2018年5月30日号より。写真・橋本 塁(SOUND SHOOTER)浜野カズシJulen Photo文・北條尚子(by anan編集部)
2018年05月27日ceroの音楽を初めて聴いた人は、不思議な感覚に包まれるかもしれない。普段聴き慣れているようなJ‐POPやロックにはないリズムのうねり、楽器のひとつのようなボーカル。新しい音楽のようで、どこか懐かしさもある独特のサウンドを聴かせるバンドだ。「もともとミュージシャンというより、リスナー寄りなので、この音楽のこの部分と、あの音楽のあそこが混ざり合ったら面白いなとか、そういうことを実践しているところはあります。あと、日本のシーンにないものを提供しようという気概もありますが、一番は自分たちが飽きない音楽を目指していますね。僕ら、飽きっぽいので(笑)」(高城晶平)新作の『POLY LIFE MULTI SOUL』は川や滝、魚など水を想起させる曲が多い。どこか冷んやりとクールな感触を体感する。「荒内君が『魚の骨 鳥の羽根』という最初の一曲を書き、僕が歌詞をつけてアルバム制作がはじまりました。3人とも曲を書くので曲を出し合いながらコミュニケートしているうちに、最終的にコンセプチュアルなテーマが決定していく、いつもそんなふうにできていきます」(高城)独特のリズムのうねり、と最初に触れたのは、音楽用語でいえばポリリズム、クロスリズムというもの。「異なる拍子が同時に存在する様式です。トライバルなリズムの上に、都会的なハーモニーがのる。そのレイヤーは、以前のアルバムと通じるところもありながら、このアルバムはアフリカンなリズムに、最近のジャズのコード進行を合わせた感じが多くなっています」(荒内佑)一昨年からceroは5人のサポートメンバーと共にライブを行ってきたが、新作のレコーディングもこの8人全員で行った。全員揃って一発録りで完成した曲も多いとか。リズムだけでなくさまざまな楽器の音の重なり、男女のコーラスの重なりまで、ニュアンスの違う複層的なサウンドが聴きどころだろう。造語だというアルバムタイトルも、まさに彼らの音楽をピタリと表している。「複雑なこともいろいろやっているんですけど、難しい音楽として聴いてほしくないというのが正直な気持ちですね。楽しんでもらうために作ったので、その気持ちが前面に出ているし、思いもよらずポップなアルバムになったと思います」(橋本翼)セロ写真左から、高城晶平(V&G)、荒内佑(K)、橋本翼(G)。’04年結成。これまで3枚のアルバムをリリース。5月末から全国12都市を回るツアー開催。『POLY LIFE MULTI SOUL』【初回盤ACD+DVD】¥3,400ライブDVD『CROSSING』付き。【初回盤B CD+BONUS CD】¥3,400ボーナスディスクには全曲のインストバージョン収録。【通常盤】¥2,900*すべて税込み(カクバリズム)※『anan』2018年5月23日号より。写真・内山めぐみ文・北條尚子(by anan編集部)
2018年05月22日あいみょん、23歳。メジャーデビューから2年足らずなのに、多くの有名クリエイターやアーティストが注目する新世代のシンガーソングライター。ただただ楽しいから、曲作りがやめられない。ニューシングル『満月の夜なら』は彼女の作品に多い、男性目線のラブソングだ。うっすら官能的な歌詞にドキドキさせられる。「男口調で歌うのが好きなので、気づいたら一人称のぼく、で書いていることが多いですね。満月の夜にイイコトがあったわけではないけど、私、ほんのりエロさのある音楽が好きだし、そういう歌を歌っているアーティストも好きなんです」『君はロックを聴かない』や『愛を伝えたいだとか』などの名曲で、同世代だけでなく大人のリスナーをも虜にしたあいみょん。『満月の夜なら』も彼女のソングライターとしての感性を大いに感じさせる曲だ。「ラブソングはみんなに共感してもらえるし、官能を感じるもの。この世にある歌って、突き詰めればすべてラブソング、誰かのための歌じゃないですか。家族や友人への歌も全部ラブソングだと思っています」あいみょんの歌を聴いて感じられるのは≪むきだし≫という感覚。今回の歌詞にも、「もしも今僕が君に触れたならきっと止められない最後まで」「君のさりげない相槌だって僕は見逃さない」など、はっきりと届くセンテンスがちりばめられる。共感する人もいれば、救われる人もいるだろう。「表現者としての20代って、音楽を作る上ですごく大事な時期だと思っています。もっと吸収したいし。もっといろんな経験をしたい。そうやって、いましか書けない曲を書きたいんですよね。ただ、悲しいことや辛いことはあまり歌にしたくない、というか書けない。やっぱり毎日がハッピーじゃないと、歌は生まれないという感覚があります」曲作りが楽しくてしょうがない。毎日の習慣のように、ギターを抱えては新しい言葉をつづり、メロディに乗せているらしい。「朝と夜は、近所迷惑?と思って音を出さないようにしています(笑)。なんだろ、伝えたいとか誰かの背中を押したいのではなく、ただただ楽しいから曲作りがやめられないんです。イヤになったらやめるかもしれないし、書けるうちにたくさん書きたい!」思いのたけを真っすぐに表現し続けるあいみょんのラブソングは、これからも多くの人を包み込むだろう。4th Single『満月の夜なら』¥1,000どこか危うくてエロティックなふたりの関係を歌ったアッパーチューン。カップリングは、相手へのもどかしい気持ちを詰め込んだナンバー「わかってない」。(WARNER MUSIC JAPAN)あいみょん1995 年生まれ、兵庫県西宮市出身のシンガーソングライター。一昨年、『生きていたんだよな』でメジャーデビュー。昨年、1stアルバム『青春のエキサイトメント』をリリース。スウェット¥16,000(オーラリー/オー代官山 2号店TEL:03・6455・3361)サロペット¥36,000(アレッジ/カラーズTEL:03・5778・3782)※『anan』2018年5月2・9日号より。写真・土佐麻理子スタイリスト・服部昌孝ヘア&メイク・藤本千絵文・北條尚子(by anan編集部)
2018年05月03日音楽レーベル「Tokyo Recordings」を主宰し、水曜日のカンパネラへの歌詞提供のほか、様々なアーティストのプロデュースを手掛けてきた小袋成彬さんが、自身が表に出て、デビューする。「音楽を研究対象としていくことがすごく好きだったんです。その一方で、自分の表現方法としてずっと歌いたいことを探していたんですが、なかなか見つからなかったんですね。探している間は、研究成果という形で、誰かの作品を編曲したり、楽曲提供に関わったりしていました」プロデュースワークをしながら、緩やかに自分自身を表現する方向にシフトしていったそう。そんな折、宇多田ヒカルさんの8年ぶりの復帰アルバム『Fantome』に、ゲストボーカルとして参加することに。「意外なことでしたが、驚きはなかったですね。でも“天啓”というか、ああ、やっばり自分は歌うべきだったのか、という心境になりました」小袋さんのデビューアルバム『分離派の夏』は、その宇多田さんのプロデュース作品。彼女に「この人の声を世に送り出す手助けをしなきゃいけない」とまで言わしめた才能の持ち主が小袋さんなのだ。「僕の表現方法は、例えば、好きな人に気持ちを歌で伝えようとか、そういう心境に近いのかな。実際はそんなことしませんが。26年生きてきて、自分の中にあった感情…あのとき泣いたのはそういう理由だったのか、などの気持ちが、突然意味を帯びたように曲になっていきました。26年抱えていた感情や経験がまず種のように現れ、それを僕の研究成果として、こうすれば僕らしい音楽になるという脚色を加えていき、アルバムとして完成させました。誰かに聴いてほしいと思って作ったわけでもなく、自分のためだけの作品です」文学でいえば、究極の私小説?徹底した個人プレー作品だ。意味ありげなアルバムタイトルや曲名、R&Bからの影響など豊富な音楽ルーツを感じさせるサウンドの景色に、ついその意図を聞きたくなるが…。「それはリスナーに委ねたい。答えを求めれば求めるほど、音楽は面白くなくなってしまうので僕は絶対に語りません。自由に聴いてほしいし、僕自身が励まされたのと同じですが、“この歌は私のことだ”と感じてくれたら嬉しいですね」おぶくろ・なりあきR&BユニットN.O.R.K.のボーカルとして活動後、Tokyo Recordingsを設立しプロデューサー業を続ける。この夏はGREENROOM FESTIVAL、VIVA LA ROCK、FUJI ROCK FESTIVAL 等のフェスに出演。1st album『分離派の夏』¥2,778先行配信された「Lonely One feat.宇多田ヒカル」など14曲を収録したデビューアルバム。4月25日発売。(EPIC RECORDS JAPAN)※『anan』2018年4月25日号より。写真・野呂知功(TRIVAL)文・北條尚子
2018年04月24日シドニー五輪マラソン女子金メダリストの高橋尚子が、21日と28日放送のTOKYO FMのラジオ番組『TOYOTA Athlete Beat』(毎週土曜10:00~10:50)にゲスト出演し、パーソナリティの俳優・藤木直人とトークを繰り広げる。実は約20年前に、すでに対面していたという高橋と藤木。高橋は「お久しぶりです」と言い登場した。また放送では、双子の兄が陸上部だった影響で陸上雑誌をよく読んでいたという藤木が、かつて高橋の指導者だった小出義雄監督にまつわるコアな情報を披露し、高橋が「どんなマニア情報なんですか!」と突っ込みを入れる場面も。また、高橋がシドニー五輪でサングラスを投げたことをきっかけにラストスパートした時の知られざるエピソードや、「Qちゃん」というニックネームの由来、苦しい時に必ず聴いていた楽曲なども明かされる。さらに、藤木が今年の目標に掲げる「ハーフマラソンへのチャレンジ」に向けて、高橋が走る時に大切な3つのコツを伝授する一幕も見られた。
2018年04月19日デビュー10周年を迎えたサカナクションが、初のベストアルバムをリリースした。その名も『魚図鑑』。CD3枚組と2枚組の形態があるが、タイトルがそれぞれ『浅瀬』『中層』『深海』と名付けられていてニヤリ。まずその理由から、フロントマンの山口一郎さんに聞いてみた。「多くの人が好きなものと、受け入れられないものを組み合わせると、どうしても違和感が生まれます。でも僕は、良いものって違和感から生まれると思っていて、その違和感を組み合わせたものが『浅瀬』に収録した曲です。『中層』はもっと美しくて難しい要素が強まった内容で、『深海』は全て僕らの好きなものだけ。『浅瀬』を聴いているうちに、あれ『中層』もいいぞ、『深海』も聴いてみよう、と行きつき、最後は『深海』しか聴かなくなる、みたいなレイヤーになっています(笑)」つまり、サカナクション自身がキュレーター役を担い、10年間の作品をより深く楽しみ、知る道筋を作ってくれている選曲と構造なのだ。「辛くておいしいカレー屋をカレー初心者に勧めても、“辛い!”で終わってその奥の深みは分からない。それなら、最初はこの店、次はあの店…と道筋をつけて伝えた方がいい。本当に知ってほしいものは、そこまでしないといけないと思います」選曲にあたり過去の作品を聴いて、あることに改めて気付いたという。「すべての曲は14~15歳から24歳ぐらいまでの僕の心象風景がベースになっていました。いまはその貯金で作っている気がする。昔は映画を観て素直に泣けたけど、年齢とともに感情を開ける《フタ》が重くなったのか、なかなか持ち上がらない。そう思うと、モラトリアム期って無敵だなと感じます。東京で暮らしていると、出てくる感情が違って、流れ星みたいな感じ、かな。昔は星空を見てそのまま感動したけど、いまは一瞬の、通り過ぎる感動になってきた。いつも僕は、北海道への郷愁と、東京の日々の間で揺れているので、その集大成をこのベストアルバムで作れたな、と思っています」アルバムには『魚図鑑』または『魚大図鑑』という本が付く。収録曲の詳細なデータや解説はもちろん、生物図鑑風のフォーマットも精密で、アートとしての完成度も高い一冊だ。音楽以外の作品に対する、意欲の大きさが窺える。「“研究者的な第三者が、冷静にサカナクションを研究した”という本をベスト盤に付けたかったんです。今までもサカナクションは、音楽と他のカルチャーを結びつける試みをいろいろやってきましたけど、今後ますます音楽とカルチャーを結びつけることが大事になっていくと思うし、CDとライブしか表現手段がないというのも、時代遅れだと感じています。他のカルチャーと音楽を結ぶ、という大義のもとで音楽をやっていくのは素敵だと思っているし、テクノロジーの進化とともに、昨年行った『6.1chサラウンドライブ』のような実験的なライブも含めて、ロックバンドとして新しいシステムを作りたいし、アップデートしていきたいと思っています」山口一郎(Vo&G)、岩寺基晴(G)、草刈愛美(B)、岡崎英美(K)、江島啓一(Dr)の5人からなる北海道出身のロックバンド。6月から「SAKANAQUARIUM2018」で5都市10会場のライブハウスをツアー予定。BEST ALBUM『魚図鑑』【完全生産限定プレミアムBOX 3CD+BOOK】¥7,000Disc1浅瀬、Disc2中層、Disc3深海、魚大図鑑付き。【初回生産限定盤2CD+Blu‐ray+ BOOK】¥5,600Disc1、Disc2、20曲のライブ映像、魚図鑑付き。【初回生産限定盤2CD+DVD+BOOK】¥4,600Blu‐ray盤と同内容の映像をDVD収録。【期間限定生産盤2CD+BOOK】¥3,600(VICTOR ENTERTAINMENT)※Disc3深海、魚大図鑑は「完全生産限定プレミアムBOX」にのみ付く。コート¥66,000(kolor BEACON)パーカ¥39,000スラックス¥38,000(共にkolor)以上kolor TEL:03・6427・6226靴¥18,000(adidas by kolor/adidas fashion group showroom TEL:03・5547・6501)メガネは本人私物※『anan』2018年4月11日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・三田真一(KiKi inc.)ヘア&メイク・根本亜沙美文・北條尚子(by anan編集部)
2018年04月09日デビュー10周年を楽しみながら新しい形のラブソングを届けたい。「デビューしてからは、正解なのか間違っているのかも分からず、とにかく伝えたい!という気持ちでやってきました。やっぱりみんなでハッピーに盛り上がれる作品を作ることがSonar Pocketらしさなので、10周年もみんなとハッピーに楽しみたいと思っています」(eyeron)「この10年はSonar Pocketの一員として生きてきた時間ですね。それぞれが成長し、役割分担が明確になってきて、それぞれに任せ、任されることが増えてきました。3人が得意分野を担当し、それが重なればもっといいものが作れると確信できるようになりましたね」(ko-dai)名古屋で結成され、「自分たちの音楽を全国に届けながらようやく10年」(matty)、「もう“名古屋の兄ちゃん”ではなく、プロフェッショナルとして10周年に突入できた」(ko-dai)といった言葉からも、3人が様々な経験を積み重ねてきたゆえの自信を感じる。さて、記念の年にリリースされる新曲が『108~永遠~』(とわ)。永遠の愛の誓いをテーマにした、ポジティブなラブソングだ。「原点回帰というか、僕らが最初に知られたころのハッピーなラブソングそのままのナンバーになりました。10周年の機会にそんな曲が作れてすごく良かった」(eyeron)「108~永遠~」は話題の映画『honey』の主題歌でもある。「少女漫画が原作の映画は観てこなかったけど、キャッチコピー通り、観たら本当に胸キュン(笑)。108本のバラを贈ることは、花言葉でプロポーズの意味があると聞いたので、永遠の愛とかけて108というタイトルに。曲はパズルで作ったんですよ。僕がAメロを作り、eyeronがBメロを作るというのも実は昔のやり方です」(ko-dai)「そうだね。最近はあまりやっていなかったスタイルだけど、1番の歌詞の中でふたりのボーカルが登場することで曲としても勢いが出ていい感じになりました。春めいた天気のいい日に聴いたら、めっちゃ気持ちよくなりますよ」(eyeron)「サウンド面も原点回帰というか、デビュー当時からずっとアレンジを担当していたsoundbreakersさんに、久々にお願いしました。いわば最もSonar Pocketを知っている方ですが、昔に戻るのではなく、サウンドを気持ちいいほど進化させてくれたんですよね。ふたりの声も10年前とずいぶん変わっているし、新たなステージに進む僕らの新しい側面を示す大切な曲になりました」(matty)10周年のツアーは10月の後半からスタートなので、まだちょっと先のこと。この記念すべきシングルでますます楽しみになってきた。「10年間のありがとう!を届けるツアーにします。まだ発表してないこともあるので、いろんなことが起こりますよ」(eyeron)28th single『108~永遠~』【初回限定盤A(CD+DVD)】¥1,296「108~永遠~」のMVをDVDに収録。【初回限定盤B(CD+DVD)】¥1,296「108~永遠~」の武道館ライブバージョン映像を収録。【通常盤(CD)】¥1,111(WARNER MUSIC JAPAN)ソナーポケット右からmatty(DJ)、ko-dai(V)、eyeron(V)。2008年『Promise』でデビューし、10周年を迎える。10月から全国ツアー「Sonar Pocket 10th Anniversary Tour flower」を開催。※『anan』2018年4月4日号より。写真・土佐麻理子文・北條尚子(by anan編集部)
2018年03月30日知的な大人は知っている。官能の扉が開く瞬間。歌手・JUJUさんに“官能の本質”をお聞きしました。うっとりする時間を失うと大人はつまらない。人として生まれたのに、官能に対するセンサーがなかったら、まったく楽しくない人生になると思う。官能とは人間にとって、水とか空気、食べ物と同じぐらい大切なものだと思います。じゃあ、何が官能かといえば、言葉尻だけ見てしまうと、官能小説とか官能映画とか、エロティックな方向に想像が行きがちだけど、実は官能って、イコール≪うっとり≫だと思う。うっとりできる甘美なものが官能とすれば、それはおいしいものを食べたとき口の中に広がる多幸感も官能だし、いい音楽を聴いたときに心の底からジワッと溢れてくるものも官能だと思う。私にとって、いちばん官能を感じるのは、やっぱりいい音楽に出合ったとき。最高の瞬間です。生まれてはじめて音楽にうっとりしたときのことは、いまだに憶えています。幼稚園児が聴くようなものではない、大人の女性歌手がしっとりと歌うラブソングでした。その歌を何度でも聴きたくて、母にせがんでCDを買ってもらったほど。いま思えば、私のうっとりセンサーは、生まれながらに身についていて、いまもそのメーターの振れ方は少しも変わっていないようにも感じます。うっとりすることのない大人の生活は、まったく楽しくないと言い切れます。だけど大人になればなるほど、知っているものが増えてくる。はじめて見るものはどんどん少なくなるし、はじめて経験することは減る一方。例えば、美しく完璧なフォルムのシューズを見たとき、子どものころだったら、うわぁと思って、何時間でも眺めていられるほどうっとりできたけれど、いまは、ああ、この靴キレイと思っても、そこまで陶酔できなくなっていることに気づく。昔は手に届かないものだったから、余計にうっとりできたのでしょう。でもうっとりすることに、心を砕いて生活しているほうが、毎日がはるかに楽しいはず。日常的な官能は日常生活の中にあるべきだと思うので、大人として日々官能とともに生きていけたら、なんと素晴らしいことだろう。官能を語るとき、しばしば「官能の扉が開く」という表現が使われますよね。それは、すごく言いえて妙で、やっぱり心や体の感覚の扉を開けてあげないと、官能は解放できない気がします。その扉がひとつ開き、またひとつ、そして、3つ、と開くごとに、人生を楽しむ術が増えていくのでは。逆に言えば、うっとりすることを躊躇するほどの愚行はないと思う。常に官能に対して臆さずにいること。いま自分がうっとりしている、ということは他の誰かとシェアする必要は、まったくない。そうやって自分だけが感じる官能のスイッチを、こっそりと、どんどん増やしていけばいいと思うんです。もちろん性的な官能も大事だし、いちばんわかりやすい官能かもしれないけど、単純に官能=エロ、っていう図式をとっぱらったほうが、より官能に素直に生きていける気がします。最近よく聞く「他人と接触することが気持ち悪い」とか「キスが気持ち悪い」という人々の話には、驚かされるけど、そんなことでは寂しい人生になってしまう。そういう人たちこそ、素直にうっとりする時間を増やしてほしい。もしお酒が飲めるなら、酔うほどに官能のスイッチが入りやすくなると思う。そういった、きっかけも探してみてほしい。特別なことでなくていい、自分が好きなことを見極め、たくさんのうっとりを持ち、幸せを感じることに、もっと貪欲になるべきだと思っています。ジュジュ最新アルバム『I』発売中。小田和正や平井堅など楽曲提供するのが稀なアーティストが、彼女のために書いた曲を収録。「うっとりする要素が満載のアルバムです」※『anan』2018年3月14日号より。文・北條尚子(C)valentinrussanov(by anan編集部)
2018年03月08日17歳のとき『サブリナ』で鮮烈にデビュー。23歳にしてキャリア7年目に入った家入レオさんが、1年7か月ぶりにオリジナルアルバム『TIME』をリリース。20代の彼女の心情や成長が素直に溢れ出ている、瑞々しいアルバムになった。「この1年7か月、アーティストとしても女性としても、いろんなことがありました。誰かのことをすごく好きになったり、憎んだり、幸せを願ったり。その瞬間を全部曲にしたくて作り上げたアルバムです」以前は、10代の悩みや傷、思春期の鬱屈などをリスナーと共有しながら、名曲を生み出してきた彼女。しかしこの新作には、ラブソングもあれば、東京で生き抜く女性目線の曲も。今までとはまた別の心の部分に、《力》をくれる作品だ。「10代のころは大人に囲まれていたけど、最近は同世代の友人も増えたし、遅れて青春が来た感じ(笑)。恋の歌もありますけど、私、適切なルートで人を好きになれなくて…。恋にありがちな《爽やかさ》とか、要らないんです、私。その人のきれいな部分に惹かれるのではなく、闘志を燃やしていたり、傷ついていたりという根源的で人間らしい表情に、魅力を感じるんです」例えば、普通の人が夕焼けを見て「美しい」とうっとりしている横で家入さんは「もうすぐ消えてしまうことが悲しい」と感じると言う。ハッピーよりもその先の消失感に心動く人だからこそ、今作の彼女の曲には、見慣れた風景をガラッと変えてしまう力強さがある。「言葉とかお金は余裕があればあげられるけど、限られた時間=TIMEはそうできない。だからこそ、限られた自分の時間を削って、私のアルバムを1時間聴いてくれるって、最高の愛情だと思います。私自身も、このアルバムのために費やした時間すべてが癒される瞬間だったので、“時間の交換は最上級の愛情表現だ”と思い、『TIME』とつけました」そんな彼女独特のものの見方や感じ方を支持し、「レオちゃんの目に映るものをもっと見せて」という大勢のファンがいる。「そう言われることがすごく幸せです。私は表現することが好きだから、去年初挑戦した役者(殺し屋役!)もそうだし、声優さんもやってみたいし、文章も書いてみたい。今回のようなアルバム制作ももちろんですが、私らしい表現を形にして残し、みなさんと共有したいですね」いえいり・れお福岡県出身。17 歳のとき自作曲の『サブリナ』でデビュー、昨年5周年を初の武道館公演で飾った。5月3日から全国11か所のホールツアー「TIME」がスタート。5th Album『TIME』【初回限定盤A CD+DVD】¥4,900DVDには昨年開催された5周年記念ライブの映像を収録。【初回限定盤B CD+DVD 】¥3,500【通常盤CD】¥3,000(Victor Entertainment)ワンピース¥33,000(Edwina Hoerl)パンプス¥32,000(ANNE THOMAS)ピアス¥30,000(THE MEDLEY INSTITVTE)以上N id/DUNE TEL:03・5784・5448※『anan』2018年2月28日号より。写真・内山めぐみ文・北條尚子(by anan編集部)
2018年02月26日リリースされたばかりのJUJUさんの最新アルバムは『I』。タイトルに“I”と冠したのは愛、哀、私のI、といろんな≪アイ≫の曲を入れたかったから、とのこと。「いまの時代は情報が多すぎて、他人の評価とか意見に流されてしまいがちだな、と感じていて。だけどいちばん大事にしたいのは、自分がどう思うか、どうしたいか。再確認しながら、自分ありきで生きていったほうがいいと思うんです。そうすれば、これからの人生はもっとシンプルで楽しくなるよ、と伝えられたら。私はそういう思いで、いろんな歌を歌っていきたいので、アルバムのタイトルに『I』とつけました」収録された13曲は全曲プロデューサーが違うという贅沢さ。とくに小田和正さんや平井堅さんという、めったにプロデュースや楽曲提供をしないアーティストの作品にもチャレンジしている。「小田塾は歌詞のチェックが厳しいと聞いていました。『あなたがくれたもの』は、メロディの美しさに対してままならない内容の歌詞にしたのでドキドキしましたが大丈夫だった(笑)。歌入れは3日間立ち会っていただき、スパルタ方式で私の歌の癖を直してもらい、目からウロコの貴重な経験でした。平井さんは一緒に飲んでいるときに、JUJUに合いそうなやさぐれた歌を書いてみようかな、とぽつりとおっしゃったことが忘れられず、お願いした曲です。歌詞をいただいたとき、心がえぐられすぎて泣きそうになりました。この『かわいそうだよね(with HITSUJI)』は衝撃作。でも自分の闇の部分をさらしていけば、心が楽になるだろうと思える曲です」ラストはJUJUさんらしい美しいバラード「I」で幕が下りる。「自分ありきとはいえ、誰かと寄り添っていかないと生きていけない。今までの出会いと、私にくれた愛のすべてで今の私ができていると思っています。愛でI(私)ができているとしたら、弱さも強さもダメなところも全部認めて、これからも生きていきたい、というメッセージを最後に入れたかったんです」自分が納得できる人生を歩もうよ、ということを、JUJUさんが教えてくれるアルバムだと感じる。7th Album『I』【初回生産限定盤CD+DVD】¥3,80013曲を収録。特典DVDには≪-ジュジュ苑スペシャル-スナックJUJU≫より8曲のライブ映像を収録。【通常盤CD】¥3,000(SONY MUSIC ASSOCIATED RECORDS)ジュジュ2004年デビュー。『明日がくるなら』や『やさしさで溢れるように』を筆頭に数々の名曲が。現在、映画『祈りの幕が下りる時』主題歌『東京』がヒット中。4月から2年ぶりに全44公演のホールツアーを行う。※『anan』2018年2月28日号より。文・北條尚子(by anan編集部)
2018年02月25日昨年末に紅白の初出場も果たし、抜群の歌唱力と卓越したダンス技術で国内でも傑出した存在となっている、三浦大知さん。三浦さんのステージを長年ともに作り続けるほか、いち“ダンサー”の域を超えて世界を舞台に活躍する4人組ダンスパフォーマンスチーム、s**t kingz(シットキングス)。ダンスを選んだ2組のスペシャルトークをお届けします。――三浦さんがシットキングス(シッキン)と共演したいと思ったきっかけは何でしたか?三浦:すごいダンスユニットがいるという噂を聞き、クラブのショーを見に行ったんですよ。ダンスのうまさはもちろんだけど、4人はすごく仲がいいし、家族のような空気感がいいなぁって。それでNOPPOさんに『Inside Your Head』(2008年リリースのシングル)のMVに出演していただいて、続いてのイベントは全員一緒に出たんだよね。shoji:オファーをいただいたときは、ワオ!僕らが昔から憧れていた大知君と共演!そこに行っていいんですかー、って、相当興奮しました。Kazuki:知り合う前はめちゃライバル視していたんですよ。オレらはアンダーグラウンドで頑張るから、メジャーでどうぞ、って。でもいざ会ってみたら、ヨロシク~、と一瞬で気持ちが変わった(笑)。三浦:そうだったんだ(笑)。NOPPO:大知は接し方でもなんでも、すごくダンサーを尊重してくれるんですよ。“アーティスト”という感じがしない。友達同士の感じなんです。シッキン一同:そうそう。Oguri:アーティストから振付をもらう経験も、大知がはじめて。普通はダンサーが先に振付して、後でアーティストさんに憶えてもらうんですが、大知のリハーサルは、本人がいないと始まらない。現場でコミュニケーションがたくさん取れるのが楽しくて。kazuki:しかも上手な振付を持ってくるんだよね。Oguri:自分で振付するときも、“あ、やべえ、大知の影響を受けちゃってる”って思うこともよくある。三浦:それは僕の作戦にまんまと引っかかってる!実は先にみんなのエッセンスをいただいているんだよ。あれ、似てる?と感じるのは、もともと4人の振りだったりするよ。Oguri:マジで!?巧妙すぎる(笑)。とはいえ、大知のフィルターを通して作られているので、新鮮に感じるな。三浦:出会って10年近く経つけど、会うたびに4人それぞれが刺激を持ってきてくれるチームだよね。どこの世界でも、メンバーが固まると多少マンネリ化することがあるけど、シッキンにはそれがない。そういう関係があるから楽しいし、一緒に踊れる喜びを感じるんです。――三浦さんの作る振付は、やはり歌を第一に考えたものなのでしょうか?三浦:歌のためのダンス、が大前提ですが、その感覚が彼らと似ていると感じています。普通は、いい意味でも悪い意味でも、ダンサーによって聴いている音が全く違うと感じるのですが、4人とは感じているものがとても近い気がします。shoji:普通、昔作った振付の曲を踊ると、“この感じ、ちょっと恥ずかし~!”って感じることがある。でも、大知が振り付けた曲って、振りが古いと感じたことがないんですよね。毎回、その時どきの新しいエッセンスが入っているのに、古くならない。それってすごいことだと思う。Oguri:ベーシックなことを大事にしているからかな。基本がなくて中途半端な振付だと、踊っていても楽しくない。大知の振りは、いつ踊っても古さを感じないんだよね。三浦:おおー。ここはぜひ詳しく書いておいてくださいね。シッキン一同:(笑)みうら・だいち‘87年8月24 日、沖縄県生まれ。‘05年ソロデビュー。天性の歌唱力に加え、抜群のリズム感を見せるダンスで国内外の人々を魅了する、日本を代表するエンターテイナー。昨年末の『第68回NHK紅白歌合戦』に初出場を果たした。シットキングス‘07年結成。米コンテスト「BODY ROCK」で2年連続優勝を果たして以来、世界中から注目を浴びるユニット。海外イベントへの出演から単独舞台公演、夏フェスまでボーダーレスに活躍中。振付家としても引っ張りだこ。通称シッキン。三浦/ベスト¥60,000シャツ¥42,000(共にオールモストブラック/アイデア バイ ソスウTEL:03・3478・3480)ジャケット¥49,000(エトセンス/エトセンス オブ ホワイト ソースTEL:03・6809・0470)パンツ¥22,000(イロコイ/イロコイ ヘッドショップTEL:03・3791・5033)シューズ 参考商品(ディーゼル ブラック ゴールド/ディーゼル ジャパンTEL:0120・55・1978)shoji/ジャケット¥287,000※スーツセット価格ポロシャツ¥42,000(共にディースクエアード/ディースクエアード 東京TEL:03・3573・5731)kazuki/ジャケット¥269,000シャツ¥208,000スカーフ¥19,000(以上ディースクエアード/ディースクエアード 東京)NOPPO/シャツ¥71,000スカーフ¥22,000(共にディースクエアード/ディースクエアード 東京)Oguri/ジャケット 参考商品パンツ 参考商品チュールレイヤードシャツ¥68,000スカーフ¥22,000(以上ディースクエアード/ディースクエアード 東京)その他はすべてスタイリスト私物※『anan』2018年1月31日号より。写真・関 信行スタイリスト・村田友哉(SMB international./三浦さん)Babymix(s**t kingz)ヘア&メイク・外山龍助(KIDMAN/三浦さん)新宮利彦(VRAI/s**t kingz)取材、文・北條尚子
2018年01月30日Brian the Sunは昨年結成10周年を迎えた大阪在住のロックバンド。メジャーデビューしてまだ2年だが、彼らの音楽からはメロディとともに4人の信頼関係や音楽性の豊かさが伝わってくる。「ロックバンドって人間がやっているものだし、まとまりとか仲の良さからくる温もりを外に出す存在だと思っています」とボーカルの森良太さん。なるほど、キャリア10年の活動で育てたものは、そのままこのバンドの魅力になっていそうだ。「すべての楽曲は森君が書いているんですが、彼しかもっていないフィルターを通してできあがる曲は、どれも本当に名曲だと感じます。昔は、ロックはうるさいって偏見があった人なのに(笑)、洋楽も含めていろいろ聴かせたら、どんどんいい曲を書いてくれるようになったんです」と、バンド結成メンバーの白山治輝さん。幼いころは合唱団に在籍し、クラシックを聴いてきた森さんを、彼がいわば“不良の道”に誘い込み、ギターロックバンドとして成長してきた。「音楽とは崇高なもの、と思いすぎていたんですね。教えてもらって感謝しています。おかげでロックには歌詞とボーカルが重要だと分かり、そこから、歌うこと、曲を作ることがどんどん楽しくなってきた」(森)最新作『the Sun』は、従来の作品よりも、相当ポップな方向に向かったアルバムになったそう。「特に歌詞の面で、深く読み解くような曲が多かったんですが、このアルバムは直接的な言葉でメッセージを伝えています。かといってメッセージが強すぎて、バンドより《歌》が前面に出てしまうのは違う。そのバランスには気を遣いました」(森)「スタジオで曲をもらってアレンジしながらも、ワクワクするようなめっちゃいい曲がたくさんあります。早く聴いてほしいですね」(田中駿汰)「まるで音楽のジャンルが変わってしまったというほどの大きな軌道修正、だと思います。これをどうリスナーが受け入れてくれるか、いますごく楽しみなんです」(小川真司)バンド名を冠した意欲作『the Sun』を抱えて2月からは長いツアーがはじまる。4人の熱量が溢れるステージを見せてくれるはずだ。ブライアンザサン写真左から、田中駿汰(D)、白山治輝(B)、森良太(V&G)、小川真司(G)。2016年『HEROES』でメジャーデビュー。2月後半からワンマンも含む全国ツアーがスタート。2nd Album『the Sun』【初回生産限定盤CD+DVD】¥3,600TVアニメ『3月のライオン』EDテーマ「カフネ」など11曲収録。DVDにはMVベスト集を収録。【通常盤CD】¥2,700(EPIC レコードジャパン)※『anan』2018年1月17日号より。写真・内山めぐみ文・北條尚子(by anan編集部)
2018年01月15日Back number1年ぶりの新曲は『瞬(まばた)き』。佐藤健×土屋太鳳ダブル主演による映画『8年越しの花嫁 奇跡の実話』の主題歌だ。いままでもドラマや映画の主題歌を数多く歌ってきた彼らだが、今回は「実はかなり苦労した」と清水さん。「実話を映画化した作品なので、誰かの人生に大きく関わることに気を遣いましたし、主人公の尚志さんと僕に共通点があまり見つからなくて……。彼は本当に一途に彼女のことを思い、素晴らしい行動をした方ですし、なかなかできる行為ではないわけです。でき上がるまで、すごく悩みました」(清水)今まで清水さんが書いてきた歌の主人公は、どこか清水さん自身を思わせるキャラクターでもあった。「やっぱり自分の歌として感情移入できないと、歌い続けることは難しい。ただ、いろいろ考える中で、何のために生きているのか、というキーワードが浮かんできたんです。人生って何だろう、生きるって何だろうと、自分と対話しながら書いていきました。その結果、すごく強い歌になったと思います」(清水)≪幸せとは~大切な人に降りかかった雨に傘を差せる事だ≫というフレーズから始まり、切ないメロディながらも聴き終わるころには少しだけ力をもらえる、そんな曲だ。清水さんのいつも以上にハイトーンなボーカルが、ひしひしと心に迫る。「言いたいことは、この歌い出しに凝縮されている気がします。日常生活の中で幸せを感じる瞬間はたくさんありますけど、僕の場合は、この歌詞のように、誰かのためになったんだなって実感するときに、幸せや、やり甲斐を感じます。それは音楽を作ることにも、似ているんですよね」(清水)「歌い出しは決まったものの、作詞にかなり悩んでいるとは聞いていました。でも完成したものを聴いたら、さすがだな、いい歌詞だなと素直に思いました。試写会で『瞬き』が流れてきて、映像とすごくマッチしていて感動しましたね」(栗原)「作品に寄り添いたいと思いつつも、最終的にはback numberとして納得できる一作を作ることを優先しました。映像と歌が一緒に流れてはじめて、おおー!こうなりますか、って」(清水)昨年末ベスト盤をリリースし、今年30万人を動員したアリーナツアーも大成功に終わった。この『瞬き』を皮切りに、来年は次のステージへ、さらに羽ばたいてくれるはず。「ベスト盤の選曲を通し、過去を振り返ることができました。それでまた自分たちが聴きたい歌、歌い続けたい歌とは何かが見えてきたので、そういう作品を作り続けていこうと、決意を新たにしました」(小島)「気持ちの部分では新しいバンドをやってるような感じですが、さあ変わろうぜ、でもないし、変わらずこのままで、みたいな気持ちもない。素直に自分たちがやりたいことが自由にできているのは、ファンの皆さんのおかげですし、すごく幸せなバンドだと思っています」(清水)17th single『瞬き』(映画『8年越しの花嫁 奇跡の実話』主題歌)【初回限定盤CD+DVD】¥1,800DVDには「瞬き」のMVと、レコーディングやMV撮影の模様を収録。【通常盤CD】¥1,000(UNIVERSAL SIGMA)12月20日発売。バックナンバー写真左から、小島和也(B)、清水依与吏(V&G)、栗原寿(D)。2011年『はなびら』でメジャーデビュー。今年はバンド史上最大の全国アリーナツアーを行い、人気を不動のものにした。※『anan』2017年12月20日号より。写真・土佐麻理子文・北條尚子
2017年12月16日ポップスの新しい形を示す女性ツインボーカルバンド・DADARAYのメンバーに、新アルバムについて伺ってきました!DADARAYはゲスの極み乙女。の休日課長の「女性ボーカルでポップスをやりたい」というプランでスタートしたバンドだ。初のメジャーフルアルバム『DADASTATION』は、インディーズ期にリリースした作品と新曲が合体し、多彩なポップスを聴かせる最強盤。全楽曲はプロデューサーの川谷絵音が手がけている。「ふたりの女性ボーカルのキャラが全く違うので、いい組み合わせでハーモニーが生まれてきて、一緒に演奏していてもすごく気持ちいいんです」と休日課長が惚れ抜いたボーカリスト陣は、ソロとしてキャリアを重ねてきたREISと、ゲスの極み乙女。とindigo la Endでサポートも務めているえつこ。揃ってキーボードをプレイしながら歌うというツインボーカル+ベースというスタイルは、他にはない個性となっている。「絵音さんが書く歌詞、例えば《殴らせて》や《墓参りはしない》とか、全くメロディにのせたことのない言葉なのでどう歌えばいいのか、かなり悩みました。でも歌い方まで絵音さんがアドバイスしてくれ、光が見えてきました」(REIS)「『僕らのマイノリティ』という曲があるんですが、まさにザ・川谷ポップスという感じ。間奏の展開がすごくクレイジーでどこへ行っちゃうの、という構成なんだけど、最終的にはDADARAYらしいポップスに行きつくんです。どこか昭和の薫りも漂うアルバムなので、歌いながら楽しんでほしいですね」(えつこ)「サポートメンバーも含めるとindigo la Endとゲスの極み乙女。の面々にREISが加わり、プロデューサーが川谷なので、形としては川谷一座です。だけど彼女たちが全く異なるキャラと声を持っていたので、その魅力を押し出していくことで、バンドの可能性がどんどん広がっています」(休日課長)バンド名には“既成の秩序や常識を破壊する光”という意味が込められているとか。センセーショナルなMVとともに話題沸騰中のリード曲「少しでいいから殴らせて」を筆頭に、新しい形のポップスとしてグイグイと耳を刺激してくれるはず。「タイトルがステーションなので、ミニアルバム3枚の流れからの“終着駅”ともとれますし、“終着駅” は“始発駅”にもなるわけで。新しいスタートの一枚としても聴いてほしいと願っております」(休日課長)タダレイ左から、休日課長(B)、REIS(V&K)、えつこ(K&V)。ゲスの極み乙女。の休日課長が結成したプロジェクト。ソロアーティストのREISと、ゲスの極み乙女。とindigo la Endのコーラスやkatyusha名義でソロ活動も継続中のえつこの3人で結成。休日課長/コート¥72,000パンツ¥42,000(共にターク/シアン PR TEL:03・6662・5525)シャツ¥28,000(ボディソング)眼鏡¥51,500(マイキータ/オプティカルテーラー クレイドル青山店 TEL:03・6418・0577)REIS/シャツ¥23,500(ルプコ/シアン PR)えつこ/Tシャツ 参考商品トップス¥24,000(共にボディソング)その他はスタイリスト私物Major 1st Full Album『DADASTATION』¥3,000先行配信で話題の「少しでいいから殴らせて」など、既発表曲と新曲を含む13曲を収録したメジャーデビューアルバム。(unBORDE/WARNER MUSIC)※『anan』2017年12月20日号より。写真・野呂知功(TRIVAL)スタイリスト・市野沢祐大(WSC)ヘア&メイク・久保純子文・北條尚子(by anan編集部)
2017年12月14日ソウルフルな低音ボイスがゆったりと耳を刺激する。力強いのにしっとりした独特のボーカルが注目されているシンガーソングライターのiriさん。リスナーの背中を押す力となる歌を歌っていきたい。「子供のころ、周りがみんなかわいい声なのに、ひとりだけおじさんみたいで、イヤでしたね(笑)。でもライブを続けていくうちに、いい声だねと言われるようになってからはこの声が好きになってきました」18歳の時、七尾旅人さんの弾き語りライブを見て、自分で曲を書いて歌いたい、という夢を抱く。子供のころから習っていたダンスの影響で、HIP-HOPやR&Bにも親しんだという音楽体験が、彼女の独特の音楽性に反映されている。「大学の友人たちが就活を始めたころもライブ活動をしていたんですが、私も何かしなきゃと思い、思い切ってオーディションを受けました。幸いにもグランプリを受賞し、プロとしてやっていく決心がつきました」新作『life ep』は、ラッパー/トラックメイカーの5lackや水曜日のカンパネラのケンモチヒデフミなど、音楽好きなら気になる顔ぶれが参加している。「リード曲をプロデュースしてもらった5lackさんは、ずっと好きで聴いていたアーティスト。今回コラボが実現し、嬉しかったですね。アップテンポの曲が主流の音楽シーンだけど、BPMがゆったりめで、ちゃんと歌詞が聞こえるカッコいい曲を作ろうと話し合いました」ライフ=人生というタイトル通り、収録した5曲は切ない恋の歌も、悩み苦しむ歌も全部iriさん自身の経験に基づくものばかりとか。「今年はじめに『NIKE』のキャンペーン曲として書いた『Watashi』で、はじめて多くの人の背中を押すようなポジティブな曲にチャレンジしました。それ以来、自分自身も前向きになってきて、音楽も変わってきました」ケンモチヒデフミとコラボした曲「For life」では、シンプルな言い回しながら夢を持つ大事さを歌い、もし叶わなかったら、また新しい夢を探して、知らない世界へ向かおう、というメッセージを真っすぐに送っている。自ら夢を叶えてきたiriさんだけに、説得力を持って伝わってくる。何度もリピ―トして、一緒に歌いたくなる作品だ。『life ep』¥1,5005lackがラップとプロデュースで参加した「Telephone feat. 5lack」など5曲を収録。ジャケットは福岡を拠点とするグラフィティアーティストのKYNEが手がけた。(Victor Entertainment)イリ1994 年生まれ、逗子市在住のシンガーソングライター。オーディション「JAM」でグランプリを獲得し、その特典でNY留学を果たす。昨年、アルバム『Groove it』でデビュー。※『anan』2017年12月13日号より。写真・内山めぐみ文・北條尚子(by anan編集部)
2017年12月08日西野カナさんのニューアルバムのタイトルは『LOVE it』。デビューアルバムから続くアルバムタイトルの<LOVE>シリーズ、今回は「いいね」とか「大好き」という意味が込められているとか。「SNSでよく使ういいねに当たる言葉が『LOVE it』なんです。SNSを見ていて、つい“いいね”したくなるような日常生活の中の素敵なこと、大好きなものがこのアルバムにも詰まっています」7作目のオリジナルアルバムになる『LOVE it』は、とくにテーマを決めずに「とにかくやりたい曲をどんどん作っていこう」(西野さん)と、制作をスタートしたそう。「たくさんできてきた曲たちをながめてみたら、日常生活の中のハッピーな瞬間や嬉しいひとときを切り取ったような曲が多かったことと、あと、“イマ感”て言えばいいのかな。過去でも未来でもなく、いまの私の年齢ならではのこと、2017年的な気分のことが、そのまま作品になっているものが多かったんですね。例えば、誰かのSNSで私がいいねした素敵な写真が歌になったような、そんなアルバムになりました」収録曲の中には、女子会の曲や、大好きな猫の曲や友人の結婚を祝う曲、さらにはスマホ依存の曲なども。もちろん西野カナならではの切ないラブソングには、ハラハラと心が泣いてしまいそうだ。「どの曲も自分と近い場所にあるものばかりですね。『MEOW』は実家で飼っている猫をモチーフにしていますし、『Best Friends Forever』で描かれているような女子会も本当によくやっています。誰かの家に集まってホームパーティをすることが多いんですが、一緒に料理を作って食べて話して。みんな学生時代からの友人ですが、話の内容も1年ごとに更新され、仕事の話や恋愛、結婚の話とか変わってきています」そんな他愛のない友人との会話がヒントになり、とくに女子のココロにきゅんとくる数々の名曲が生まれてきたのだろう。最新作『LOVEit』は、街に暮らし、自分らしく胸を張って生きている女性たちのライフスタイルと、ピタッとリンクする曲がたくさん聴ける一作。これが西野さんの言う“イマ感”ってことなのかもしれない。「前作の『Just LOVE』は、自然の温かみを感じるようなサウンドが中心でしたが、今回はガラッと変えて、東京やNY、パリ、ロンドンのような街をイメージして歌詞も音も作っています。音のバリエーションも豊かになりました。けっこうアップテンポな曲も多いので、気分転換に聴いていただけたら嬉しいですし、盛り上がると思います!」今年、メジャーデビュー10年目を迎えた。ファンの目線で言い換えれば、この10年は、西野さんが歌い続けてきた曲たちに、励まされ、元気をもらい、または一緒に泣いて、成長して……という10年だったはず。そんな女性たちへの応援歌を歌い続け、みんなをチア・アップ!してきてくれた西野さん。これからもどうぞよろしくね!7th Album『LOVE it』【初回生産限定盤CD+DVD】DVDには東京ドームの「トリセツ」ライブの模様とスタジオでのライブのリハーサル風景を織り交ぜたスペシャル映像を収録。¥3,333【通常盤CD】¥2,870(SME Records)にしの・かな昨年、『あなたの好きなところ』で日本レコード大賞を受賞。今年の夏には“平成生まれの女性ソロアーティスト”初となる東京&大阪ドーム公演を成功させた。ニット¥19,000スカート¥28,000(共にルシェルブルー/ルシェルブルー カスタマーサービスTEL:03・3404・5370)人さし指リング¥26,000中指リング¥28,000(共にエナソルーナ/エナソルーナ神宮前本店TEL:03・3401・0038)ピアスはスタイリスト私物※『anan』2017年11月29日号より。写真・永谷知也(Willcreative)スタイリスト・大塩リエ ヘア&メイク・大西トモユキ(GROUNDCOVER)文・北條尚子(by anan編集部)
2017年11月25日数多のロックスターを生み出した、輝かしい’66年生まれミュージシャンの中でも、ひときわ熱いストレートを投げ続ける男こそ、エレファントカシマシの宮本浩次さん。23年ぶりに髪を短くし、フレッシュさも漂う宮本さんにお話を伺いました。自分自身を信じるようになり、怒りをぶつけることがなくなった現在、デビュー30周年のツアーで47都道府県すべてを回っている最中のエレファントカシマシ・宮本浩次さん。どこの会場もチケットはソールドアウトだという。「日本全国を回るのも初めてですし、しかも、どこもかしこも売り切れというのも実は初めてのことです。ベテランの我々がどこに行っても、現役のバンドとして歓迎されていることが心から嬉しいし、デビュー30周年を自分のことのように祝福してくれているのをすごく感じるんですね。自分たちの歩みを肯定してもらっている気もして、なんかまた自信が湧いてきています」コンサートは初期の代表曲「ファイティングマン」から新曲の「風と共に」まで、この30年の間に生まれた名曲を披露している。歌いながら、決して平坦な道のりではなかったバンドのこれまでに思いを馳せることもあるという。「4人とも50歳を越えて、みんなシブい感じにはなってますけど、大人になったかというと、うーん、逆ですよね。バンドをはじめた中学生の頃からなんら変わっていない(笑)。外ではちゃんとした大人だと信じたいけど、4人集まると昔のまま。でもそこがいいんじゃないのかな。ただ、ひとつ変わったとしたら、僕がコンサートの途中、怒らなくなったことですね。もちろん性格は相変わらず短気だし、わがままだし。でも少なくとも(ファンの)みんなが敵じゃないということがわかったんです。エレカシのコンサートを楽しんでくれている、喜んでくれていると、経験値で感じられるようになった。だからステージ上でイライラを出さなくても済むようになったんですよ。これは自分のことを信じることができるようになったからだと思うんですけどね」かつては乱暴な言葉で目の前のファンにイライラをぶつけていたこともあった。しかしいまは「いい曲を作って、それを丁寧に聴かせる、伝える」ことに集中し、全身全霊で歌を聴かせてくれる宮本さんがステージにいる。コンサートだけに集中する日々から生まれた新しい歌。「そういう意味でも、いまやっている30周年ツアーはとても充実していて、とてもいい精神状態で音楽に集中できています。そういうリアルな毎日を歌にすることができたのが、新曲の『RESTART』と『今を歌え』なんですが、2曲ともアグレッシブでもなく、後ろ向きソングでもなく、僕の日常の<いま>を歌うことができました。自分が非常に調子いいことを、この2曲が本当によく表していると思うんですよね」俺はまだまだ勝負できる、命滅びるまで本気でやっていく、と歌う「RESTART」は、現在の宮本さんの心境そのものが歌詞になったかのようだ。それに、宮本ファンが黄色い悲鳴をあげそうな(?)短く切った髪型。あまりにも大変身。これも「RESTART」のミュージックビデオで、サラリーマンを演じたためだ。なんとPVの中で髪を切ったという。「23年ぶりに短くしたんですが、髪を切ると新しい自分を発見できますね。だから鏡ばかり見ちゃうんだよね(笑)。自分の中では、おーけっこういいじゃん、七三分け最高、って思っています。背広も仕立てたので、部屋の中で三つ揃いのスーツを着て、靴をいろいろ履き替えたりしながら鏡に向かって、うっとりしたり(笑)。長い髪よりも、僕は七三分けがいちばん似合うんだなぁと、いまは思ってます。まぁコスプレみたいなものなんだけど、遅ればせながら、大人になった気分を味わっているのかな。昔、毎朝ネクタイを締めて背広を着て出かける父親の姿が、僕が最初に感じた大人像でした。ツアーの合間の休日には、ネクタイ締めて背広を着こんで電車で出かけたりもしてみました(笑)」みやもと・ひろじ1966年6月12日生まれ。両A面シングル『RESTART/今を歌え』と映像作品『デビュー30周年記念コンサート“さらにドーンと行くぜ!”大阪城ホール』発売中。恒例の新春ライブは1/6・7大阪・フェスティバルホール、1/14東京・NHKホール。※『anan』2017年11月13日号より。写真・矢吹健巳(W)ヘア&メイク・茅根裕己(Cirque)インタビュー、文・北條尚子(by anan編集部)
2017年11月13日最新アルバムを引っ提げ、布袋寅泰が日本に降臨!インタビューから伝説的ミュージシャンの魅力に迫ります。夢は叶わなくても、追いかけなければいけない。トップミュージシャンとして長年日本のロックシーンに君臨してきた布袋寅泰さん。大きな夢を抱いて日本を離れ、ロンドンに移住して5年が経つ。「若いころからイギリスのロックに憧れ、その匂いを嗅ぎたくて何度もロンドンには行ったけど、やっぱり5年暮らしてはじめて見えてきたこと、わかったこともあるし、僕も50代になり、落ち着いて物事を見られるようになったと思います。いい作品を作って一人一人に届けるという表現者としての仕事は変わらないし、長年抱いていた夢にも近づいているのだけど、環境を変えてゼロからスタートするのは、まぁ大変でした、思っていた以上に」14歳でギターを弾き始めたときから“ギター抱えて世界で活躍する”という夢をロックが与えてくれた。その夢は現実のものとなり、いまだ夢の途中。「バンドからソロになり、アーティストとして成功もしましたけど、30周年を迎えたころ、諦めないで夢を追いかけるという気持ちを歌詞に込めた『DREAMIN’』のごとく、オレはまだまだやれるだろうっていう気持ちが湧き上がってきたんだよね。たとえ叶わなくても、夢は追いかけるものだし、それが人間の生きる糧だからね。性格的に一か所にとどまらず、その先に行きたい気持ちが強いし、はじまる感じが好きなの。自分で選んだ道とはいえ、ロンドンに来て、100人も客がいないライブハウスに出るなんて30年ぶりだから、あちゃー(笑)と思うけど、一方でニンマリしている自分もいる。ここから次に進むと思うと楽しいじゃない。バスにも地下鉄にも乗るし、ギターケースを背負ってひとりで移動もする。弦の張り替えも早くできるようになった(笑)。移住してから生活がどんどんシンプルになってきているし、毎日が自由で楽しいんだよね」みんなの心に届いてエネルギーになる音楽を。昨年はデビュー35周年という記念すべき年だった。海外公演と並行し、日本でもアニバーサリーツアーが行われた。そして36年目にリリースされるのが最新アルバム『Paradox』。過去の作品以上に、ロンドナー・布袋さんを取り巻く環境や心境が濃厚に、かつ正直に表現されたアルバムだと感じる。「まさにメイド・イン・ロンドンといえる作品でしょうね。コンサート会場がテロの標的になるという生々しい事件が身近で起き、怖いというより怒りを感じるけど、でも怒りに溺れているだけではいけないとも思うんです。若いときは大人にNO!政治にNO!と何でもNONONOと言うのが許されているけど、年を重ねていろんなものが見えてきて、問題を提起するだけのメッセージには疑問が出てきたんです。こういう時代に生きている自分が、言葉と音楽をひとつにし、心に届いてみんなのエネルギーになるものを作る、それが僕にできる唯一の表現なので、そういう作品を作りたいと改めて思いました。NONONOは誰でも言えるけど、そのNOをどうやって伝えるか。難しいけどやりがいのある表現だと思います」また昨年のデヴィッド・ボウイの死は、布袋さんの心境に少なからず影響を与えたという。「亡くなる2日前にリリースした最後のアルバムがあまりにも素晴らしかったので、彼がいなくなった喪失感はかなりのものでした。僕はまだ若いけれど、彼のように作品を自分の生きた証として残す、そんな意識を持って作品を作りたいと思いましたね。自分はあと何枚作品を残せるかと考えたら、コマーシャルなものとか、そのときの流行りのものを追っかけても何の意味もない。それが最後の作品になっても恥ずかしくないものを、じっくり作らないとね」エレガンスを持った大人の男になりたい。終始穏やかに、丁寧に質問に答えてくれる布袋さんも、かつてはナイフのエッジのように尖った存在感を放っていた。「うん、若いときは喜怒哀楽のすべての感情のメーターが振り切れるほど、起伏が激しかったですね(笑)。それはサウンドを作る上で、すごく重要だったんです。いまも音楽に関してはメーターが下がったわけではないんですよ。なんだろう、表現者としては何も失っていないんだけど、経験によってものを見つめる力が出てきたり、それを味わう能力、一瞬で答えを出す判断力や、もう一度自分に問い直して修正するとか、そんな力が身についてきたと思う。かたや人間的には、若いとき最も嫌いだった言葉“円くなった”そのものですね。もう、まん円です(笑)。でも人間円くなるって、こんなに気持ちいいんだって、日々実感しています」ほてい・ともやす1962年2月1日生まれ。ロックシーンへ大きな影響を与えた伝説的バンドBOOWYのギタリストとしてデビューし、1988年『GUITARHYTHM』でソロデビュー。代表曲『BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY』が映画『KILL BILL』のメインテーマになり、世界的な評価を受ける。一昨年より海外レーベルと契約し、インターナショナルアルバムもリリースするほか、海外公演も積極的に行う。最新作は3年ぶりのオリジナルアルバム『Paradox』。リリースを皮切りに、現在、全国ホールツアーを行っている。ジャケット¥260,000シャツ¥96,000パンツ 参考商品ベルト¥49,000(以上エトロ/エトロ ジャパンTEL:03・3406・2655)※『anan』2017年11月13日号より。写真・彦坂栄治(まきうらオフィス)スタイリスト・井嶋 一雄(Balance)インタビュー、文・北條尚子(by anan編集部)
2017年11月13日15周年を記念し、2枚組のベストアルバムをリリースした一青窈さん。アルバムについて、また今後の方向性について、お話を伺いました。これから歌いたいのは、みんなを明るく元気にするポップス。名曲『もらい泣き』でデビューして15年、一青窈さんがアニバーサリーイヤーを迎えた。「気づけば15年。あっという間でした。でも、自分の気持ち的には、まだ新人みたいな感じもあります。たぶん『もらい泣き』や『ハナミズキ』をずっと歌い続けているからかもしれないけど、そんなに時が経ったのかー、と感慨深いですね」15周年を記念してリリースしたのが、2枚組のオールタイムベストアルバム『歌祭文(うたざいもん) ~ALL TIME BEAT~』。過去の名曲ばかりでなく、新曲、新録音の作品も加わったスペシャルなアルバムだ。「聴いてもらうなら、ぜひ新しいものを入れたいと思いました。1枚目は“一青歌祭文”と題し、『ハナミズキ』などシングル曲をメインに収録し、もう一枚の“新盤歌祭文”には、最新シングルの『七変化』や、『他人の関係 feat. SOIL&“PIMP”SESSIONS』など、近年の作品や新曲を入れました。出産前にできるだけ頑張って書いて歌って、という感じでしたね」そう、7月に2人目のお子さんが生まれ、2児の母になった一青さん。とくに“新盤歌祭文”のほうは、「臨月に向かって作りあげた」記念すべき作品になった。「とはいっても、ミラクルは特に起きず(笑)。やっぱり子供がいると、歌詞を書くモードになかなかなれないし、インプットも減っていますからね。かなり大変でした。『七変化』はドラマの舞台となる旧黒門町を歩き回り、柳川鍋を食べて、江戸東京博物館を見学して書きました。『会いたかったのは僕の方』は、作曲をお願いしたBEGINの上地さんが、一青窈版の『こんにちは赤ちゃん』を作りたいと言ってくれたので割とサクッと歌詞が書けました」いきものがかりの水野良樹さんが書き下ろした「七変化」(NHK BS時代劇『伝七捕物帳2』主題歌)は、しっとりとした切ない歌が多かった一青さんのイメージとは正反対の、カラリと明るいアッパーソング。「今の気分がアッパーでハッピーなので、この曲が私の心情にもピッタリ。子供たちを見てても、踊りながら歌うってナチュラルな反応だし、踊ることの良さ、楽しさを再確認しました。本能のままにイエー!って歌って踊ってほしい曲です」ハッピーオーラに包まれた一青さん。以前の妖艶な美しさを残しつつ、キラキラと輝くような魅力も一層増し、さらにパワーアップした存在に。「一生ひとりで生きていくと思っていたんですけどね(笑)。強がり、若さゆえで。でも母になった途端、人の助けがありがたく感じるようになりました。今は歌うためなら、猫の手を借りてでも歌います、そんな気持ち。15周年を機に、これから歌うべきものも分かってきました。以前はしっとりした歌詞や悲しみを前面に押し出した曲が一青窈らしさでしたけど、今の気分としては、みんなを元気にさせるポップスを歌いたい。陰の部分は自分の内に秘め、明るいことを歌に書いていくのが、今の気分にも合っている。それは私にとって大きな変化になりました」『歌祭文 ~ALL TIME BEST~』【初回限定盤2CD+DVD】¥4,9802枚組に新曲含む30曲を収録、特典DVDには「一青窈 with プラハ国立歌劇場管弦楽団@東京芸術劇場」のライブを収録。【通常盤2CD】¥3,200(EMI Records)ひとと・よう2002年『もらい泣き』でデビュー。音楽活動以外に映画や舞台で女優としても活躍してきた。10月14日より全国ツアー「一青窈 Tour2017~御目見得饗宴~」がスタート。※『anan』2017年10月18日号より。写真・土佐麻理子ヘア&メイク・岩永あやか文・北條尚子(by anan編集部)
2017年10月12日