編集さんからの「『貧窮問答歌』を描いてください」というむちゃ振りに端を発し、資料との格闘の果てに生まれた奈良時代の異文化交流コメディ『あをによし、それもよし』。その著者が石川ローズさん。「編集さんから送ってもらった資料に、当時の一般庶民の生活のイメージ図があったんです。家の中での生活の様子が“ミニマリストの家にそっくりだ!”と思ったのが、欲のない山上(やまがみ)誕生のきっかけですね」現代の物にあふれた暮らしに辟易している山上が、奈良時代にタイムスリップ。下級役人の小野老(おののおゆ)の家で居候しながら、当時なら当たり前のシンプルライフを堪能するというのが物語のベース。衣食住のギャップも面白いが、そこは奈良時代!歌と出世の関わりが興味深い。2巻では、大伴旅人(おおとものたびと)、藤原不比等(ふじわらのふひと)など実在の有名な貴族歌人も多数登場。意外な歌の才能を発揮していた山上は、ちょっとした誤解から山上憶良になって出世していったり、「小野妹子(おののいもこ)はおれのおじいちゃん」という老のつぶやきに驚いたり。異文化交流モノとしてだけでなく、人間関係ドラマとしての面白さも加速してきた。「歴史が苦手な人にも読んでいただきたいので、歴史上の出来事ではなく、人間を軸にストーリーを作っています。実際に日本の基礎が出来上がろうとしているカオティックな時代だと思っていますので、人間関係もかなりカオスになる予定です」それにしても、資料の読み込みや時代考証、建築物や衣装などを描く難しさ、さらに文脈にのっとったギャグも織り交ぜて…と、読む方は楽しくても、描くのはハードルが高そうな本作。「1話当たり平均3冊くらい新しい資料を読みます。なので書きたいネタが多すぎて、でもページ数的に使えないので泣く泣く捨てるはめになっています。しかし、私はミニマリスト。泣かずに捨てます。いや、むしろ喜んで捨てています。逆に!」そう、石川さんご自身も、ミニマルな生活を実践中なのだとか。「断捨離が趣味で財布に入っていたポイントカードをすべて捨てたこともあります。モノが減るほど、自分の時間が増えるのを実感しました。とはいえ山上ほどは極められないので、山上のセリフは自分の理想と願望の叫びですね(笑)」3巻では名前だけ有名な長屋王(ながやおう)との交流が深まる!?続きも楽しみ!『あをによし、それもよし』2ミニマルな生活を愛するあまり面倒くさい理屈をこねる山上。成り行きから、歌人・山上憶良になってしまう第2巻。増刊『グランドジャンプむちゃ』で連載中。集英社600円©石川ローズ/集英社いしかわ・ろーずマンガ家。長崎県出身。大学では美術史専攻。2012年、Web「やわらかスピリッツ」にて、「やわらかロック」でデビュー。世界史検定2級に落ちるほどの歴史好き。※『anan』2019年10月2日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2019年09月26日<初春の令月にして、気淑く風和ぎ――>新元号「令和」は、日本最古の歌集『万葉集』の「梅花の宴」の漢文で書かれた序文から採用された。『万葉集』に詳しい上野誠・奈良大学教授が解説する。「よい月に天気がよく、風が柔らかに頬をなでるような、なんともよい日に親しい友と宴をする――。730年正月13日、九州・太宰府で『万葉集』の編纂者の1人、大伴家持の父である大伴旅人の邸宅で催された梅の花見の宴。そこに集まった32人の歌人が、当時は中国からの外来植物だった梅の木を囲んで和歌を詠み合いました」新元号には深い意味が込められていると上野先生が続ける。「新しい時代は、金や名誉ではなく、よきときに、よき友と宴を共にするような穏やかなひとときが人間にとって幸せであってほしいという、考案した方の願いがあると考えています。『令和』には、この2文字を選んだ方の平和を希求する心が表れているのです」5月1日から令和元年が始まる。手紙で、書類で……。これから何百回と書くことになるかもしれない「令和」。せっかくだから、美しく書きたいところだ。そこで筆跡仕事人・芳田マサヒロさんに、きれいに見えて、運気が上がる書き方を伝授してもらった。「令をそのまま書いてもいいし、人(部首の「ひとやね」)の下に点を打ち「マ」と書いてもいいんですが、私はその中間くらいで書くことをおすすめしています。まずはきれいに書くコツですが、『令』の場合は、『人』の部分である1画、2画(書き順・以下同)をややずらし、90度くらいの角度で書けば、文字に安定感が出ます。『和』の場合、『禾』の最終画5を、2画、3画、4画の交差位置のやや下から書きはじめたほうが大人っぽい字に。さらに『口』の上下の空白が均等になるように。6画、7画、8画が交わるところはそろえず、ややずらしたほうがかっこいい字に見えます」それでは、運を呼び込むには?「まず『令』の最終画5を長めに伸ばすと、活力と意欲がアップします。次に『和』の4画、左ばらいを長めに伸ばすこと。人目を引く存在となり、華やかさを得られる。さらに、『和』の『禾』と『口』の間をやや離して、“気字”という、気の通り道をつくります。ここを離すことで、モノやお金が勝手に入ってくる、恵まれ体質に」全体的に「令」は縦長、「和」は横長、ちょうど末広がりになるイメージで書けば、バランスよく見え、運がさらに開けるという。
2019年04月12日<初春の令月にして、気淑く風和ぎ――>新元号「令和」は、日本最古の歌集『万葉集』の「梅花の宴」の漢文で書かれた序文から採用された。『万葉集』に詳しい上野誠・奈良大学教授が解説する。「よい月に天気がよく、風が柔らかに頬をなでるような、なんともよい日に親しい友と宴をする――。730年正月13日、九州・太宰府で『万葉集』の編纂者の1人、大伴家持の父である大伴旅人の邸宅で催された梅の花見の宴。そこに集まった32人の歌人が、当時は中国からの外来植物だった梅の木を囲んで和歌を詠み合いました」新元号には深い意味が込められていると上野先生が続ける。「新しい時代は、金や名誉ではなく、よきときに、よき友と宴を共にするような穏やかなひとときが人間にとって幸せであってほしいという、考案した方の願いがあると考えています。『令和』には、この2文字を選んだ方の平和を希求する心が表れているのです」5月1日から令和元年が始まる。「やっと肩の荷が下りたという思いです――」こう語るのは、30年前、「昭和」から「平成」への改元に際し、秘密裏に元号の候補案を取りまとめた現場責任者、元内閣内政審議室長の的場順三さん(84)だ。「いい元号だと思いますよ。日本の古典由来ですし、“令”という字には、神様のおぼしめしというような意味もあります。日本の神様は争わないですからね」平成への改元は昭和天皇の崩御と関連し、厳粛だった。前回と比べ、今回はお祭り騒ぎだ。「もっと冷静になってもらいたいと思いつつ、これはこれで経済の活性化にもつながったので、よかったのではないでしょうか。やはりその時その時の時代の流れで、国民の意識も変わっていくものです。これで“僕らの時代はすんだ”と、しみじみ思いました」
2019年04月12日<初春の令月にして、気淑く風和ぎ――>新元号「令和」は、日本最古の歌集『万葉集』の「梅花の宴」の漢文で書かれた序文から採用された。『万葉集』に詳しい上野誠・奈良大学教授が解説する。「よい月に天気がよく、風が柔らかに頬をなでるような、なんともよい日に親しい友と宴をする――。730年正月13日、九州・太宰府で『万葉集』の編纂者の1人、大伴家持の父である大伴旅人の邸宅で催された梅の花見の宴。そこに集まった32人の歌人が、当時は中国からの外来植物だった梅の木を囲んで和歌を詠み合いました」新元号には深い意味が込められていると上野先生が続ける。「新しい時代は、金や名誉ではなく、よきときに、よき友と宴を共にするような穏やかなひとときが人間にとって幸せであってほしいという、考案した方の願いがあると考えています。『令和』には、この2文字を選んだ方の平和を希求する心が表れているのです」5月1日から令和元年が始まる。「大変申し訳ございませんが、本務が多忙な時期で、どの社にも、取材にも応じかねる状況です」とは、本誌が元号発表から3分後に、メールで取材依頼をした早稲田大学政経学部長の川岸令和教授だ。それでも全国の「令和さん」の驚きや喜びの声がテレビで報じられたが、なかにはちゃっかり名前を「令和」にする人も――。「元号の発表を聞いた瞬間、僕たちにとって、すごくかっこいい名前になると確信しました!」上方漫才大賞新人賞などの受賞経験もある実力派のお笑いコンビ「プリマ旦那」の野村尚平(30)と河野良祐(32)はこう声をそろえる。実は5月1日に大阪・なんばグランド花月で開催される、「プリマ旦那改メ『令和喜多みな実』襲名披露公演」で、正式にコンビ名を『令和喜多みな実』に改名することを発表。「千鳥のノブさんから『プリマ旦那』は『西日本一ダサい名前』と言われ、いつかはコンビ名を変えようと思っていたんです。今回の改元はまさに渡りに船。新しい名前で全国制覇を目指します」改名ラッシュが続くか!
2019年04月12日<初春の令月にして、気淑く風和ぎ――>新元号「令和」は、日本最古の歌集『万葉集』の「梅花の宴」の漢文で書かれた序文から採用された。『万葉集』に詳しい上野誠・奈良大学教授が解説する。「よい月に天気がよく、風が柔らかに頬をなでるような、なんともよい日に親しい友と宴をする――。730年正月13日、九州・太宰府で『万葉集』の編纂者の1人、大伴家持の父である大伴旅人の邸宅で催された梅の花見の宴。そこに集まった32人の歌人が、当時は中国からの外来植物だった梅の木を囲んで和歌を詠み合いました」新元号には深い意味が込められていると上野先生が続ける。「新しい時代は、金や名誉ではなく、よきときに、よき友と宴を共にするような穏やかなひとときが人間にとって幸せであってほしいという、考案した方の願いがあると考えています。『令和』には、この2文字を選んだ方の平和を希求する心が表れているのです」5月1日から令和元年が始まる。しかし、まだこの元号に愛着を感じられない人も多いはず……。「最初に『令和』と聞いた瞬間は、意外な感じがしました。でも、その後に何度か読んでみると、響きもよく、いい元号だなと思うようになりましたね」こう話すのは、元号研究の第一人者で、『元号 全247総覧』(悟空出版)の著者でもある、東京大学史料編纂所の山本博文教授(62)。意外だったその理由は?「“令”というのは、漢文の中では“~させる”といった使役の意味で使われる字なので、これは予想外でしたね。過去に一度も使われたことはなかった字ですから。中国の古典ではなく、初めて日本の古典から元号が選ばれましたが、これが今後の元号選定の新しい流れになるでしょうね」『令和』が発表された翌日には、残りの5候補(『英弘』『広至』『久化』『万和』『万保』)も明らかになった。「江戸時代の『天保』『万治』『弘化』『文久』など、過去によく使われた字が入っているで、『久化』『万保』『万和』には、新しさは感じませんでしたね。逆に『広至』の“広”は0回、“至”は1回だけなので新鮮でした。また『英弘』は、かなり人名でかぶることになるだろうという印象を持ちました」安倍総理の意向が働いた?「日本の古典から候補を出すと決まった時点で、政治的な部分を感じましたが、今回の『万葉集』の文章には、政治的な部分はありません。そういう意味で、“落としどころ”としてはいい元号だったのではないでしょうか」
2019年04月11日<初春の令月にして、気淑く風和ぎ――>新元号「令和」は、日本最古の歌集『万葉集』の「梅花の宴」の漢文で書かれた序文から採用された。『万葉集』に詳しい上野誠・奈良大学教授が解説する。「よい月に天気がよく、風が柔らかに頬をなでるような、なんともよい日に親しい友と宴をする――。730年正月13日、九州・太宰府で『万葉集』の編纂者の1人、大伴家持の父である大伴旅人の邸宅で催された梅の花見の宴。そこに集まった32人の歌人が、当時は中国からの外来植物だった梅の木を囲んで和歌を詠み合いました」新元号には深い意味が込められていると上野先生が続ける。「新しい時代は、金や名誉ではなく、よきときに、よき友と宴を共にするような穏やかなひとときが人間にとって幸せであってほしいという、考案した方の願いがあると考えています。『令和』には、この2文字を選んだ方の平和を希求する心が表れているのです」「令和」の考案者は、大阪女子大学の中西進名誉教授(89)といわれている。『万葉集』研究の第一人者である中西氏は、過去に新聞連載のコラムで、梅花の宴の32人の歌人のなかに、張福子という中国からの渡来人がいることを紹介している。さらに『万葉集』を代表する歌人で「梅花の宴」でも和歌を詠んでいる山上憶良が、朝鮮半島からの“渡来人”だったという説を提起。国文学や歴史学の世界で議論を巻き起こした人物でもある。中西氏の説が正しかったとすれば、日中韓の3カ国にルーツを持つ人間が、中国から渡ってきた梅の木を囲み、のどかに歌を詠み合っていたことになる。良好とは言えない昨今の東アジア情勢を鑑みると、感慨深い風景だ。’14年、中西氏は『読売新聞』(3月6日大阪夕刊)で日中韓の「平和」についてこう話した。<人間には隣が大事だと、孔子は「徳は孤ならず必ず隣あり」と言った。徳がある人は孤立せず、必ず隣人がいるという意味>中学3年生のときに終戦を迎えた中西氏。4月3日、中国新聞の取材に対して、「令和」の考案者かどうかについて言及は避けたうえで、「『万葉集』は命を尊重する歌を集めている。新時代は戦争も災害も克服できるといい」と語っている。
2019年04月11日<初春の令月にして、気淑く風和ぎ――>新元号「令和」は、日本最古の歌集『万葉集』の「梅花の宴」の漢文で書かれた序文から採用された。『万葉集』に詳しい上野誠・奈良大学教授が解説する。「よい月に天気がよく、風が柔らかに頬をなでるような、なんともよい日に親しい友と宴をする――。730年正月13日、九州・太宰府で『万葉集』の編纂者の1人、大伴家持の父である大伴旅人の邸宅で催された梅の花見の宴。そこに集まった32人の歌人が、当時は中国からの外来植物だった梅の木を囲んで和歌を詠み合いました」新元号には深い意味が込められていると上野先生が続ける。「新しい時代は、金や名誉ではなく、よきときに、よき友と宴を共にするような穏やかなひとときが人間にとって幸せであってほしいという、考案した方の願いがあると考えています。『令和』には、この2文字を選んだ方の平和を希求する心が表れているのです」5月1日から令和元年が始まる。しかし、まだこの元号に愛着を感じられない人も多いのでは?そんな中、早くも「令和」改元詐欺の被害が――。「改元にあたり、これまで使用していたキャッシュカードが使えなくなります。新しく作り直しますので、古いものを渡してください」そうした連絡の後、自宅に来た銀行員を名乗る男にカードと暗証番号を渡してしまい、現金を騙し取られる事件が多発している。元刑事で、犯罪ジャーナリストの小川泰平さんは警鐘を鳴らす。「平成への改元と異なり、今回の改元は日程が事前に決まっているため、すでに詐欺グループは“令和改元詐欺”の手口を準備しています。実は3月くらいから、徐々に被害が出はじめています。冷静になって考えて。『令和』になることで使えなくなるカードはありません。絶対に騙されないようにしてください」「令和」改元詐欺にご用心!
2019年04月11日