ライターという仕事柄、また私的なブログやSNSでも、文章を書く時によく感じるのが、「自分の言いたいことを、ぴったり表現するって難しい!」ということ。大げさでも控えめでもなく、伝えたいことをありのまま表現するのは簡単ではありません。また同じことを伝えるにしても、言葉の選び方で温度感が変わってきたり。そんな時に、頼りになるものがあるんです。それが「大和言葉(やまとことば)」と呼ばれる日本に古くからある言い回し。その謙虚でスマートな表現には、大人として身に着けたい品格が備わっています。娘に気付かされた、自分の言葉遣い絵本やおままごとが大好きな2歳の娘。大人の言葉のマネも増えてきました。すると娘というフィルターを通して、無自覚だった自分の言葉遣いを目の当たりにすることに。もともとそんなに乱れていない方だと思っていましたが、それでもやっぱり、子どもに使ってほしくない言葉がちらほら見受けられます。思えば、話している時、文章を書いている時、SNSを発信する時。以前まで使っていた言葉が、ふと若く感じられたり、なんだかしっくりこないということが、最近増えていました。ファッションやメイクと同じように、言葉遣いにも「年相応」というものがあります。年齢、仕事、母という立場、どれをとっても、わたしは今、言葉遣いを見直すタイミングにいるのかも。「大和言葉」ってどんなもの?大和言葉(やまとことば)とは、わたしたち日本人が昔から使っている言葉。現代でも普通に使われており、誰もが耳にしています。たとえば、「感動した」を大和言葉に置き換えると、・強く感じたのなら「胸を打つ」・気持ちが押し寄せてきたら「胸に迫る」・じわじわと感じたら「胸に浸みる」ひとくちに「感動した」と言っても、捉え方は人それぞれ。そんな微妙なニュアンスを的確に表現できるのは、大和言葉の大きな特徴です。言葉の選び方ひとつで印象は大きく変わる大和言葉を使えば、コミュニケーションを柔らかくすることもできます。たとえば、「待っています」と言うよりも「心待ちにしています」の方が、前向きな気持ちが伝わりますし、「暇があれば」よりも「お手すきの時に」の方が、相手に配慮している感じがします。他にも「恐れ入りますが」「お力添え」「心ばかり」といった仕事でよく使うこれらも、大和言葉。相手を立てることが大事になるビジネスシーンでは特に、大和言葉が重宝されていることが分かります。ボキャブラリーの引き出しに「大和言葉」を加えてみませんか大人として、大事な場面でふさわしい言葉が使える人でありたいもの。それに同じ伝えるなら、相手が気分良くなれる言い回しを取り入れたい。そんな今のわたしに、心の機微も、思いやりも、スマートに伝えられる大和言葉はとても美しく響きます。気さくな会話で使うと堅苦しさが目立ってしまうので使いどころの見極めは必要ですが、「使えない」のと「使わない」のは大違い。ボキャブラリーを増やして、いつでも使える状態にしておくことに損はありません。近頃は、会話以外に、メール、ブログ、SNSなど、自分の気持ちを発する場所はたくさんあり、それぞれで使う言葉が違ったりもします。親近感を持たせるカジュアルな言葉と、大人のたしなみとしての大和言葉、上手に使い分けられるようになりたいですね。 ■暮らしのはなし 連載:ありきたりな日常を楽しむためのヒント 池田奈未好きなものは、まち歩き、カメラ、淹れたてコーヒー。収納の少ない家で3人暮らし。すっきり心地よい暮らしを目指しています。
2019年09月16日正しい日本語を使える女性って魅力的ですよね。オフィスシーンで、さりげなく使いこなせていたらとてもすてきです。日本女性のたしなみとして、大和言葉を上手に使いこなすコツを紹介します。■大和言葉とは私たちが日常で使っている言葉は、大和言葉、外来語、漢語の3つにわけられます。大和言葉はこのうちのひとつで、古来日本に伝わっている言葉のことをいいます。■オフィスで使いたい大和言葉大和言葉は決してよそ行きの言葉ではありません。日常の会話のなかで、さりげなく使うことでよさが引きたつのです。オフィスではとくに目上の方や取引先の方と話す機会が多くあります。なので響きがよく、やわらかい大和言葉を選ぶとよいでしょう。■オフィスに使いたい大和言葉・心待ち相手の反応を待つときによく使われる「お待ちしております」といういい方。これを「心待ち」という大和言葉を使って「心待ちにしております」といういい方にしてみましょう。相手に「とても期待している」いう感じがより強く伝わりそうですね。・お手すき仕事中に何かをお願いすることは多いと思います。そんなときは「お手すき」を使ってみましょう。「お手すきのときにお願いいたします」という言葉を添えると、相手に対しての思いやりを表現できます。・折りあい会議などではいろいろな意見が出され、まとまりがつかなくなるということはよくあることです。そんなときは「妥協案を考えましょう」といういい方をしますよね。それを「折りあいをつける方法を考えましょう」とすると、やわらかい印象になります。・不躾(ぶしつけ)何かお願いをするときに使う「大変失礼なのですが」は「不躾(ぶしつけ)ですが」といういい方にすると、相手に対して敬意を示す表現になります。・続けざま何度も聞いてしまったり、メールで連絡してしまったりすることもあります。そんなときは「続けざまに申し訳ありません」とひとこと添えてみましょう。オフィスでは人付きあいが大切です。はっきりと伝えなくてはならない場面もあると思いますが、できるだけやわらかく伝えたいものです。「結構です」を「おかまいなく」、「先ほど」を「いましがた」、「意外に」を「思いのほか」というふうに、言葉のひとつを大和言葉に置きかえるだけでも、受けとる側の印象は変わってきます。オフィスで何気なく使っている言葉は、たくさん大和言葉に置きかえられます。自分の話す言葉を改めて見直すのも楽しいかもしれません。センスのよい言葉使いは女性の品格を上げてくれます。大和言葉で話し方美人を目指してくださいね。
2016年04月12日普段何気なく使っている言葉から、その人の人柄や性格、センスを感じることがあります。せっかくなら言葉でステキな印象を残したいもの。そのために、「大和言葉」を使ってみるのはいかがでしょうか。「大和言葉」とは、「漢語」「外来語」以外の、古くから使われている日本の言葉。その魅力について、『日本の大和言葉を美しく話す―こころが通じる和の表現―』の著者・高橋こうじさんにお話をうかがいました。こちらの著書では、「大和言葉」の中でも特に美しい響きを持った品のいい言葉を集めて紹介しています。「大和言葉には、全体的にやわらかい響きがあります。“恐縮です”と言うより、“おそれいります”と言うほうが、同じ意味でも印象が違いますよね」と高橋さん。例えば、“感動する”という漢語の場合でも、“心にしみる”“胸を打つ”といった、同じ意味の大和言葉があります。特に心に関することや季節感などで繊細な表現ができるので、この本の中から気になる言葉を覚えて使うといいかもしれません。また、やはり伝統的な大和言葉である“いみじくも”“いやがうえにも”“なかんずく”といった言葉をプレゼンやスピーチで使えば、年配の上司からの見る目が変わるかもしれません。若い人で使う人は少ないので、ビジネスの面で自分なりの個性をアピールできるそうです。使うのは一度のスピーチでひとつで充分。上品な大和言葉をさりげなく口にすることで、知性と教養もアピールできそう。高橋さんのオススメは、「メールのやりとりの中に“心待ちにしています”と使ったり、褒められたときに“お買い被りを”と返したり、ご協力ではなく“お力添え”、ご心配ではなく“お心遣い”といった表現を使うこと」だそうです。女性らしさをアピールしつつ、知的で落ち着いた女性らしい雰囲気が醸し出せそうな気がしますね。「新しい言葉を仕入れる感覚で読んでいただき、自然と大和言葉を身につけてみては?」と高橋さんは提案します。出版元である東邦出版では、「大和言葉」を使ったLINEスタンプも制作中とのこと。“しばしお待ちを”などというスタンプを、遅刻しそうなときに送れば、相手の機嫌も悪くならずにすむかもしれません。ステキな「大和言葉」を上手に取り入れられるようになれば、微妙なニュアンスを伝えたり、表現の幅を広げたりできて、コミュニケーションも円滑にとれるようになります。言葉は時代とともに移り変わるもの。「最近、古民家をリノベーションしておしゃれなカフェにするのが流行っていますが、同じように大和言葉も言葉のリノベーションをして、おしゃれの一環として楽しんでみて」と高橋さん。そんな視点で『日本の大和言葉を美しく話す』を読んで、「大和言葉」を生活に取り入れてみるのもよさそう。ワンランク上の言葉美人になれそうです。 『日本の大和言葉を美しく話す―こころが通じる和の表現』(高橋こうじ著/東邦出版)
2015年04月17日