双葉地方広域市町村圏組合(福島県広野町・楢葉町・富岡町・川内村・大熊町・双葉町・浪江町・葛尾村の8町村で構成)と一般財団法人福島県電源地域振興財団(事務局:福島中央テレビ)は、東日本大震災及び原子力発電所事故で全国に分散避難している住民たちの交流の機会を創出するため、双葉地方の復興のシンボルイベントとして、双葉郡内の各町村を巡回しながら「ふたばワールド」を開催してきました。今年で9回目(2020、2021年の新型コロナウイルス感染拡大防止による中止2回を除く)となるふたばワールドは、2023年10月7日(土)に福島県大熊町の「学び舎ゆめの森」周辺特設会場で開催します。みなさまの思い出に残るさまざまな企画を実施する予定です。また、会場からテレビの生放送とインターネットのライブ配信を行います。「ふたばワールド2023」メインビジュアル【開催概要】日時 : 2023年10月7日(土) 10:00~15:00 入場無料 ※雨天決行場所 : 「学び舎ゆめの森」周辺特設会場(福島県双葉郡大熊町大字大川原字南平2019-1)主催 : 双葉地方広域市町村圏組合、一般財団法人福島県電源地域振興財団、大熊町共催 : 福島県公式ホームページ: 特別番組 : 10:30~11:25(福島中央テレビで放送)「ふたばワールド2023」会場【注意事項】・福島県警の指導に基づき、セキュリティ対策強化として手荷物検査及び金属探知機による入場検査を実施いたします。オープニングセレモニー時(午前9時~10時40分)にステージ前客席に入場される場合は、各種検査へのご協力をお願いいたします。来場者の皆様にはご不便等おかけいたしますが、ご理解とご協力をお願いいたします。・臨時駐車場の台数には限りがありますので、ご注意願います。・会場近隣の私有地・施設・路上への無断駐車は厳禁となります。・来場者が多数となった場合には、一時的に入場を制限する場合がございます。・学び舎ゆめの森内の施設・設備はイベント当日に一部利用を制限させていただいております。制限箇所への立ち入りや該当設備の利用は厳禁となりますのでご注意願います。【メインステージイベント】■オープニングアトラクション 9:30~■オープニングセレモニー 10:00~インターネットでライブ配信■郷土伝統芸能パフォーマンス(全10団体) 10:45頃~/12:00頃~インターネットでライブ配信双葉郡の地元伝統芸能団体など10団体によるパフォーマンスステージ。熊川稚児鹿舞(大熊町)/JAスマイル大正琴(双葉町)/レイマカニ フラ オハナ(双葉町)/大谷じゃんがら保存会(楢葉町)/標葉せんだん太鼓保存会(双葉町)/さくらYOSAKOI天花&よさこい浜さkoi(富岡町)/小浜風童太鼓(富岡町)/Wonderなみえ(浪江町)/FRUITS(大熊町))/実験名人 関口おじさん■お笑いコンビ「アルコ&ピース」お笑いステージ 11:30頃~数々のテレビ番組やイベントで活躍中のお笑いコンビ・アルコ&ピース。平子祐希さんはいわき市の出身。福島県浜通りの魅力紹介する観光バラエティ動画「うつくしマップ」にコンビで出演するほか、平子さんは、「常磐もの」として知られる福島県の水産資源をPRするコマーシャルなどにも出演。福島県との縁が深いアルコ&ピースが「ふたばワールド」でしか見ることのできないスペシャルトークとお笑いライブを展開します!■神谷明&中尾隆聖トークショー 13:50頃~阪神淡路大震災や東日本大震災で復興支援チャリティイベントやボランティア活動を続けてきた声優の神谷明さんと中尾隆聖さん。これまでの活動を通して感じた復興支援のあり方についてお話いただくとともに、レジェンド声優ならではトークイベントを開催します。あの人気アニメのあんな声やこんな声が聞けるかも?神谷明さん・・・「シティーハンター」冴羽リョウ役や「北斗の拳」ケンシロウ役など中尾隆聖さん・・・「それいけ!アンパンマン」ばいきんまん役、「ドラゴンボールZ」フリーザ役など■小林幸子ステージ 14:20頃~歌謡界の大スター小林幸子さんが「ふたばワールド」のステージに登場し熱唱するスペシャルステージです!東日本震災のあと福島県内の避難所を訪問し、お米を届けるなど福島を応援し続けてきた小林幸子さん。メインステージの大トリを飾ります。【サブステージイベント】■レッツ!ブンケンストレッチ!! 11:30頃~福島県立富岡高校(サッカー部)出身で福島中央テレビの夕方情報番組ゴジてれChu!の人気コーナー「ブンケン歩いてゴミ拾いの旅」に出演するタレントの鈴木文健さん。運動不足解消のためのトレーニングやストレス解消などのためのストレッチにも詳しく、コロナ禍では視聴者に向けてトレーニング方法などを伝授してきました。お子さまからご年配の方まで、ブンケン流の健康法を学びながら一緒に体を動かして楽しむステージイベントです。「ふたばワールド2023」ゲスト※諸事情によりイベントの内容が変更または中止となる場合がありますのであらかじめご了承ください。【注目コンテンツ】■FANTASTICS畑×福島県立ふたば未来学園高校 コラボスイーツ販売人気ダンスボーカルグループ「FANTASTICS」のメンバー・澤本夏輝さんが双葉地方を訪れ、ファンタスティックな味覚をリサーチ!これまで数々のスイーツを開発販売してきたふたば未来学園とコラボして、この日しか食べることができないオリジナルスイーツを販売します。※数量限定「引換券」を9:30から総合受付脇で販売。商品との引換時間は引換券に記載しております。引換の際は「FANTASTICS畑×ふたば未来学園」のブースにお越しください。■ふくしまのおいSea!大鍋 無料提供/先着1,000名福島県内で放送されたドラマ番組「ウオメシ~おいSea!食卓~」で紹介された、福島県産の海産物を使用した大鍋が登場!ドラマに出演した伊藤淳史さん、神尾佑さん(福島市出身)、真下玲奈さんも会場に登場し、来場者のみなさまに大鍋を振舞います。大鍋の材料となるのは福島県沖で水揚げされる旬の水産物。中でも注目して欲しいのは“未利用魚”として扱われることの多いカナガシラです。知名度の低さなどで漁獲されても売れない「未利用魚」を新たな資源として有効活用する取組みも紹介します。整理券:当日9:30から大鍋テントで整理券を配布。先着1,000名限定。「ウオメシ~おいSea!食卓~」出演者ふたばワールド2023」ふくしまのおいSea!大鍋■ベリーベリーパン販売「ふたばワールド2023」の開催地である大熊町で昔から親しまれてきたUFO形パンをふたば未来学園の生徒たちが進化系で復刻させます!材料には大熊町特産のいちご「おおくまベリー」を使い、その美味しさと魅力を発信します。ふたば未来学園のブースにて販売(数量限定)「ふたばワールド2023」ベリーベリーパン■おおくま こどもパーク大人気の「ちゃぷちゃぷボートひろば」と「シャカシャカ採掘ひろば」はもちろん、今年はさらにバージョンアップして、大型遊具が登場します。【臨時駐車場について】会場周辺に駐車スペースはございませんので、お車でお越しの方は、臨時駐車場をご利用ください。臨時駐車場の台数には限りがありますので、ご注意願います。・お体の不自由な方には会場内に専用駐車場をご用意しております。・会場近隣の私有地・施設・路上への無断駐車は厳禁となります。臨時駐車場 (410台)…福島県双葉郡大熊町大川原南平1049-1臨時駐車場 (360台)…福島県双葉郡富岡町上手岡茂手木46臨時駐車場 (800台)…福島県大熊インターチェンジ付近【無料シャトルバスについて】JR大野駅、各臨時駐車場をご利用の方向けに会場までシャトルバスを運行します。・当日の道路状況により発車時間・所要時間が前後する場合があります。・先着順にご乗車いただき、満員になった場合は出発いたします。・満員のためご乗車いただけなかった場合ご容赦ください。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年09月28日山田杏奈が主演を務める映画『山女』より、二ノ宮隆太郎演じる泰蔵の場面写真とメイキング写真が公開された。本作は、柳田國男の名著『遠野物語』から着想を得たオリジナルストーリー。自然を前にしてあまりに無力な人間の脆さ、村社会の持つ閉鎖性と同調圧力、身分や性別における差別、信仰の敬虔さと危うさを浮き彫りにしながら、ひとりの女性が自らの意志で人生を選び取るまでが描かれる。本作で主人公・凛の運命を決定づけるキーパーソン・泰蔵を演じた二ノ宮は、慣れた様子で遠野弁を話し、優しさと弱さ、狡さを併せ持つ、ある意味劇中で一番人間らしいキャラクターを繊細に表現。共演した山田、永瀬正敏、でんでんらにも引けを取らない迫力を見せるその様子からは生粋の芝居人を思わせるが、二ノ宮のキャリアは映画監督からスタートしている。2012年に監督を務めた初の長編作品『魅力の人間』で、第34回ぴあフィルムフェスティバル PFFアワード2012 準グランプリを受賞。2017年には自身が監督・主演を務めた映画『枝葉のこと』が第70回ロカルノ国際映画祭 新鋭監督コンペティション部門に出品され、国際的にも評価を受けた。そして、ついに自身初の商業映画となる光石研主演映画『逃げきれた夢』が第76回カンヌ国際映画祭のACID部門に正式出品され、瀬々敬久監督や今泉力哉監督ら日本を代表する映画監督たちから絶賛の声が寄せられている。公開されたメイキング写真では、山田と河原に腰をおろしカメラに笑顔を向ける様子、品川徹やでんでんと対峙する場面、監督から演技指導を受ける姿やとびきりの笑顔を見せているクランクアップシーンを見ることができる。<作品情報>映画『山女』6月30日(金) 公開映画『山女』本ポスタービジュアル公式サイト: FILM COMMITTEE
2023年06月16日俳優の草なぎ剛とユースケ・サンタマリア、6月末でテレビ朝日を退社してフリーとなった大熊英司アナウンサーが1日、お笑い芸人・江頭2:50の公式YouTubeチャンネル「エガちゃんねる」に登場した。「草なぎ&ユースケ&シークレットゲストの3人が江頭の誕生日を祝福!」と題して公開された動画で、江頭の誕生日を祝うべく大熊アナは、全身黒タイツの番組制作クルー「ブリーフ団」の一員に扮し、ケーキをもってサプライズ登場した。2018年3月で放送終了となったテレビ朝日系バラエティ番組『「ぷっ」すま』で共演していた江頭と大熊アナ。覆面を外した大熊アナが「どうもお久しぶりです」とあいさつし、「昨日いっぱいでテレビ朝日を退社しまして、今日からフリーなので、最初の仕事が『エガちゃんねる』です」と言うと、江頭は「大熊さん! 久しぶりじゃん!」と喜んだ。江頭が「何で辞めたんだよ?」と尋ねると、大熊アナは「定年まであと3年で、新しいことをちょっと早めにスタートさせたほうが良いかなと。早期退職をしました。『フリーになったらどんな仕事でも必ず受けなさい』と言われたので、最初に来たこの仕事から受けることにしました」と出演理由を明かした。動画では、『「ぷっ」すま』のメインMCだった草なぎとユースケが、ビデオメッセージで登場する場面も。ユースケは「なんか距離は離れてるけど、昔のメンツが1つの画面の中にいるのは感慨深いな」とコメント。続けて、大熊アナに対して「ずっとテレ朝にいて給与をもらって暮らしていくほうが安定していると思うけど、それを選ばなかった大熊さん、あんた男やで! 俺、そういう人好きよ」とエールを送った。また草なぎは「(江頭から)酔っぱらってすげー電話かかってくる」とも。ユースケも「俺も、江頭さん変な時間に電話が来るのよ。正常な状態の時に電話してくるぶんには良いんだけど、変な状態の時に電話してくるんだよね(笑)」とクレームを入れた。動画のコメント欄では、「ぷっすまは永遠ですね」「この4人の共演はヤバい」「学生時代に毎週ぷっすまを見てた世代なので、この4ショットは感慨深いです」などといった声があがっている。
2020年07月04日関西で人気の劇団「壱劇屋」のWordless×殺陣芝居シリーズ「独鬼-hitorioni-」が7月12日(木)から東京・愛知にて上演される。高校演劇から始まった人気劇団の10周年に届ける公演。劇団の代表で役者の大熊隆太郎、殺陣と本作の演出・脚本を手掛ける竹村晋太朗、女優の西分綾香に話を聞いた。劇団壱劇屋「独鬼-hitorioni-」チケット情報死なない鬼と人間の女の物語を描いた本作は、2016年の初演で関西にて1100名の観客を動員した作品の待望の再演。台詞を使わずに身体表現で物語を展開していく“Wordless×殺陣芝居”シリーズの作品。これは殺陣を見せるエンタテインメントショーではなく「言葉がないぶん、物語性は通常の芝居以上に重視しています」(竹村)という作品だ。作・演出の竹村は「僕は必要最低限で伝わることが世の中にたくさんあると思うんです。悲しいときに『悲しい』と言わなくても伝わるように、台詞がなくても(感情は)伝わる。“Wordless”にすることで感情を解放できる、そしてお客様が感情移入できる作品になれば」と語る。その感情表現に殺陣を選んだのは「殺陣は感情が高ぶらないと発生しない行動だから」で、殺陣そのものに感情そしてストーリーを感じる壱劇屋ならではの表現だ。演じる大熊は「お互い空気でやりとりしているぶん、そのときそのときを感じながらできる。演劇の“底のほう”の楽しさがあります」。「死なない鬼が、人間の子供が成長して死ぬまでを見る話です。自分の人生観をかなりさらしています」(竹村)という作品。物語について西分は「普遍的な物語だと思いました。“生きていく”ということをありのままに描いている話なので、そのとき自分が置かれている状況によって感情移入する部分も変わるんだろうなと思います」。“1100人が涙した”という謳い文句もあるが「本当にみんな泣いてるんですよ。中には5分で泣いたという方もいて。そんなの普通ありえないと思うのですが、台詞がないぶん、例えば感動する写真を観たときのように、その人の中にあるものとリンクして、感情が刺激されるのではないかと思います」(大熊)。「関西にも観に来てほしいという思いでツアーをしています」(大熊)と、ツアーを行うのは年に一度だけ。昨年、大阪で上演された5か月連続の殺陣芝居企画は5800名の動員を記録し、その1割は関西圏以外からの観客だったという。東京で“Wordless×殺陣芝居”シリーズを上演するのは今回が初。壱劇屋ファンはもちろん未体験の人もぜひ一度劇場に足を運んで!東京公演は7月12日(木)から17日(火)までシアターグリーン BOX in BOX THEATER、愛知公演は7月28日(土)・29日(日)に名古屋市東文化小劇場にて上演。チケットは発売中。取材・文:中川實穗
2018年06月26日「町民のアンケート調査じゃ、1割しか『大熊町に戻らない』って答えているのに、税金31億円もかけて、大熊町に新庁舎をつくるなんて、おかしいですよ。しかも、建設予定地は町長の土地らしい。町長は自分に利益を誘導したいんじゃないでしょうか」 今年3月、ある大熊町民から、そんな訴えを受けた本誌取材班は、町役場新庁舎建設について取材を進めてきた。すると、住民不在のまま「復興」の青写真が描かれ、巨額の税金がつぎ込まれている大熊町の現状が見えてきた。 大熊町は福島第一原発の立地自治体。町の96%が、年間被ばく量20ミリシーベルト(※1)を超える恐れのある“帰還困難区域”で、約1万人の大熊町民は会津若松市や、いわき市をはじめ全国に避難中だ。役場の出張所も会津若松市、いわき市、郡山市、大熊町と4カ所に設けられている。 震災から丸6年たち、高い放射線量や廃炉作業中の原発に対する不安や、避難先での生活が長くなったことなどから、すでに「大熊町には戻らない」と決め、避難先で居を定めた町民も少なくない。 そんな状況のなか、大熊町の渡辺利綱町長(69)は今年1月、町の中心部から離れた田畑が広がる大川原地区にある“大川原復興拠点”というエリアに役場新庁舎を建設すると発表した。 新庁舎建設にかかる総事業費は約31億円(河北新報3月26日付け報道)。その資金の出所は、私たちが電気代に上乗せして支払っている税金が原資になる「電源立地地域対策交付金施設整備基金」が充てられる。 また、用地取得にかかる土地代も「福島再生加速化交付金」(※2)と呼ばれる国費、つまり税金から大川原復興拠点全体の土地取得費用のうち4分の3にあたる約1億9千7百万円が拠出されていた。 大川原復興拠点は、全町避難を余儀なくされている大熊町が、比較的放射線量の低い大河原地区を、住民帰還の足がかりにしようとする復興拠点の名称だ。住宅や商業施設、いちご栽培工場などもつくられる予定で、今回の新庁舎建設予定地もこのなかにある。 しかし、新庁舎建設に関しては、一部の町民から、「税金のムダづかい。使い方を間違えている」といった批判が出ている。 「(新庁舎を建てるなんて)知らねがった。大熊はまだまだ放射線量が高いから帰れねえ。だから、いわき市内の復興公営住宅に入ることにしたんだ。新庁舎に大金を使うなら、(大熊町からの避難者が多い)いわきに老人ホームを建ててくれたほうがありがたい」(会津若松市に避難中の女性) 「町民に戻ってきてほしいなら、立派な役場を建てるより、まずは復興公営住宅が先ですよ。住むところもないのに、戻れません」(いわき市の復興公営住宅に入居している女性) ところが、渡辺町長は先月23日、「18年度中に、この大川原地区の避難指示を解除し、新庁舎完成に合わせて町民の帰還を進める」と発表。大川原復興拠点を、人口1万人の大熊町民のうち1割の1千人と、他県から来る廃炉関係者2千人を合わせて約3千人が暮らす町にする想定だ。 町民1千人に対して31億円の新庁舎――。到底、その人口規模に見合っているとは言えない。そのうえ、建設予定地が町長自身の土地で、売買によって町長に土地代が転がりこむというなら問題だ。 そこで本誌は、新庁舎の建設予定地1万9,439平方メートルの登記簿を調べてみた。すると、なんと5割弱の8,756平方メートルが、渡辺町長の所有地であることが判明したのだ。 各地の原発差し止め裁判や、原発避難者の訴訟などに携わっている弁護士の井戸謙一さんは、町長が自らの土地を町に売却して利益を得ることについての問題点を、こう指摘する。 「町民の代表(代理人)である町長が、自分が所有する土地を町に売った場合、自分が自分と売買契約を結ぶことになり、利益誘導を避けるための“自己契約”ないし“双方代理”を禁止している民法第108条に抵触する可能性があります。そうなると契約は無効になり、町長は町から支払われた土地代金を返還せねばなりません。公の建物を町長が所有している土地に建てるなんて、普通はしません。町長への利益誘導だと思われても、仕方ありませんからね」 このような違法性が疑われるにもかかわらず、なぜ、町長の土地が含まれる場所を建設予定地に選んだのか。 たしかに、町長の所有地は、新庁舎の建設予定地の5割弱を占めているが、大川原復興拠点全体から見れば、ごくわずか。しかも、復興拠点の西端に位置しているので、拠点から避けようと思えば避けられるはずなのだ。 (取材・文/和田秀子)(下)に続く ※1:原発事故前の年間被曝量は1ミリシーベルト以下だが、帰還を促進するために、20ミリシーベルト以下の場所は避難指示を解除するように、15年の改正福島復興再生特別措置法で定められた。 ※2:福島再生加速化交付金とは、福島第一原発で避難した福島県民の帰還を支援するために、住宅や商業施設などの〝復興拠点〟を造る際に必要となる資金を国から補助するための交付金。
2017年07月08日本来、行政をチェックすべき議会では、問題にならなかったのだろうか。 大熊町議会の鈴木光一議長に尋ねてみた。 「6月の議会で土地所有者の名簿や売買価格が公表されましたけど、反対したのはひとりだけ。町長の認識はわかりませんが、議会で法律的にも問題だという議論はありませんでした。都市計画区域に、たまたま町長の土地があるっていうくらいの意識ですよ」 今回の土地取引に問題があるという認識は感じられなかった。鈴木議長によると、土地の価格は決定しており、地権者の合意もとれているが、売買契約を結ぶのは、これからだという。気になるのは、土地の評価額だ。 本誌が独自に入手した内部資料によると、町長の土地を含む大川原地区の土地売買価格は、〈田1千700円/平方メートル、畑1千500円/平方メートル、雑種地1千200円/平方メートル〉。 町長の所有地の地目は、「田・畑・雑種地」で、総面積は8,756平方メートル。ざっと計算すると、1千500万円近くが町長の懐に入ることになる。 この評価額に関しては、町民からこんな不満の声もある。 「大川原地区の田畑は、過去にほとんど売買された実績がなく、したがって公示価格もありません。バブル期終盤の91年に、畑が1,500円/平方メートルで取引されたことがあるので、今回の売買価格は、そのバブル期と同程度。町民の土地を買い上げた放射性廃棄物の中間貯蔵施設の土地取引価格ですら、田んぼは1,200円/平方メートル、畑は1,150円/平方メートルと、大川原より低い。原発事故後、このあたりの土地評価額は0円になっていることを考えると、やはり大川原は高いですよ」(以前、大熊町で不動産業を営んでいた男性) そもそも、なぜ旧役場庁舎は使えないのか。 「元の役場は、下野上地区というJR常磐線の大野駅の近くにあるので便利なんですが、放射線量が高くて使えないそうです。役場の人が言っていました」 そう話すのは、帰還困難区域の下野上地区に自宅がある女性。 ところが大熊町は、放射線量が高い旧役場から、広い道を一本隔てた向こう側に、復興のためにゼネコンの拠点をつくり、6年後の23年には居住可能な第2の復興拠点にする計画を進めている。 「だったら31億円もかけて新役場を建てなくても、あと数年待って、放射線量が下がってから、旧役場を修理して使えばいい。それかそのときの町の規模に見合った庁舎をそこに建てればいいと思うのですが」(前出・下野上地区の女性) 次々にわいてくる疑惑や疑問。本紙は、取材の最後に会津若松市の大熊町役場出張所を訪れ、渡辺町長と役場の担当者に数々の疑問をぶつけた。 まず、町長に、自らの土地を町に売却することの違法性について認識を聞いた。 「問題ないと思った。地権者の説明会でも、ダメだという声はなかった。まだ売買契約は結んでいないから、そんなに問題があるんだったら、私の土地は抜いてもらってもかまわない」 町長は違法性自体、認識していなかったようだ。さらに、利益誘導ではと言われていることに対しては、こう答えた。 「そんな気はまったくない。売らなくてすむならそうしたい。でも、町民のみなさんに『土地を提供してくれ』とお願いしているのに、自分が差し出さないわけにいかない」 先祖代々受け継いだ土地を手放すことへの辛い心情を吐露する町長だが「思うように用地買収が進んでいない場所もあるので、自らの土地を避けて復興拠点をつくることはできない」と語った。では、違法性はどうクリアするのか。 担当課長がフォローする。「我々としても法に触れることはできないので、いま顧問弁護士に相談しています。対策としては、副町長を代理に立て、渡辺利綱個人と、副町長が売買契約を結ぶ形にすれば問題ないだろうとアドバイスを受けました」 ここ数日、他のメディアからも取材が来ているようで、慌てて手段を講じたようだ。 また、土地の売買価格についても、「不動産鑑定士が、国が組織した用地対策連絡協議会の用地の取得費用基準に基づいて算出している」と、担当課長が正当性を強調。 最後に、「町民が1千人しか戻らないのに、31億円もの税金を庁舎にかける必要があるのか」との問いに対しては、「我々としては適正な額だと思っている。役場庁舎が大川原にできたら、インパクトも強い。大熊町の復興にむけて本気で取り組むんだという意思表示だ」と話し、新庁舎建設が、“復興への景気づけ”であることを明かした。 しかし、同じく震災のあと、役場庁舎を新築している福島県の南会津町では、人口約1万6千人で、建設予定費が約19億円。一方、大熊町は人口千人で31億円。景気づけの代金としては、やはり高すぎると言わざるをえない。 長年、公共事業の見直しに取り組んできた法政大名誉教授で弁護士の五十嵐敬喜さんは、「そもそも、まだ原発事故も収束しておらず、放射線量も高い原発周辺に人を戻していいのか」と指摘したうえで、こう警鐘を鳴らす。 「いま、被災地には多額の復興予算がつぎ込まれていますが、それができるのも20年まで。その後は、わずかに戻った高齢者が住民の多くを占める自治体が箱モノの維持費を支払っていかなくてはなりません。資金繰りが立ち行かなくなり財政破綻する被災自治体も出てくるでしょう」 税金の使われ方がおかしい、と思っている町被災地の人がそれを批判しても、「復興に水を差す」と言われてしまう現状もあるという。 本当に必要な事業に税金を回すためにも日本中が関心を持ち続ける必要がある。 (取材・文/和田秀子)(上)に戻る
2017年07月08日