多くのご家庭にとって、家計費のなかでいちばんの支出は住居費(家賃)なのではないでしょうか? 人生100年時代、たとえば平均して10万円の家賃を30歳から100歳まで払い続けるならば、その総額は8400万円!(※)元の金額が大きいだけに、住居費を賢く節約できれば、節約効果は絶大なはず! でも、そんなことはできるのでしょうか? 子育て中のママがどう住宅を選べばいいのか、住居費に詳しいファイナンシャルプランナーの竹下さくらさんにお話を伺いました。竹下(たけした)さくらさんCFP®(国際ライセンス)。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。自らの生活者としての経験を踏まえた、家計の見直しや、教育資金設計のご相談のほか、講演、執筆活動等を行っている。2児の母。※住居費の総額8400万円=(10万円×12ヶ月)×70年■家賃を下げてもらうのは、意外と簡単!?「同じ住まいを長く借りている人は、大家さんや仲介業者にひとこと言えば、月々5,000円分程度の家賃を下げてもらうのは、意外と簡単なんです」と、竹下さんは言います。なぜなら、住んでいる間にその物件は古くなっていくから。借りた時よりも古くなっている物件の家賃を下げてもらうことは、さほど無理なお願いでもないのです。筆者は住居費関連の取材で「家の更新時、家賃を下げてもらう交渉は、やるのがあたり前」といった論調を何度か耳にしました。大切なことは、こういった話を「知っていること」です。とかくお金のことは、「知っている」「知っていない」が、明暗を分けるのです。■30代で「家を買うこと」を本気で考える理由では、知っている人になるためには、どうしたら良いのでしょうか? これについては、お金のアンテナを立ててみるのが早道。アンテナを立てれば情報は自然と入ってきます。 けれども、「どうしてもお金のことは苦手で」という人も多いものです。そんな人は、“家を買うことを自分事として意識”してみてはいかがでしょうか?竹下さんは言います。「私は、『30代になったら、一度は家の購入を意識すること』をご提案することがあります。賃貸と購入で、何が違ってくるかというと、家計の引き締め度なんです。多くの家計相談にのってきて感じるのは、家を買おうと意識するだけで、家計が引き締まり、お金のアンテナも立つということです。現実を直視し、『このままじゃいけないな』と思われる方が多いからです。ずっと賃貸だと、そういう節目がない。それが、賃貸と購入の、お金のやりくり上手に差が付く一番の違いだと思います」■家購入のターニングポイントは、小学校入学前家を買うとなると。そのタイミングが気になるところです。「最初のお子さんの小学校入学が視野に入ってきた時期は、家を買うひとつのターニングポイントかもしれません。小学校の場合、受験をして私立などに行くのは、全体の2%。残りの98%は地域の小学校に通いますが、いじめの評判なども加味して、小学校に入る前に引っ越しておこうと考える親御さんは多いですね」(竹下さん)■住宅購入で気になる! 小学校の学区問題小学校となると、学区の問題も気がかりです。たとえば、評判のよい小中学区では越境禁止にしていて所定の地域内に住んでいることを求められます。せっかく引っ越すならいっそのこと買ってしまおうという流れで踏み切ると、予算がオーバーしてしまうというような場合も。そこで次の2択をどう考えれば良いのか竹下さんに教えてもらいます。Q.マイホーム購入の際、学区はどう考えればいいですか?□学区優先で、生活を切り詰める□学区を妥協し、無理なく生活する「はじめてのお子さんを持つ親にとって、小学校の学区が気になる気持ちは、すごくわかるんです。園時代のお友だちとの関係を重視するというケースも、気になるのは最初だけで、小学校に入ってしまえば人間関係も変わっていきます。実際のところ、学区に縛られるのは、小学校、中学校くらいまで。家を購入する際は、少し俯瞰(ふかん)した視点を持って欲しいのです。子どもが二人いたとしても、その子たちが小中学生なのは、せいぜい10年前後。一方で住宅ローンは35年で組むことが多く、子どもが巣立ったあとも支払いは続きます。学区を優先したばかりに、子どもが巣立ったあとも高額な住宅ローン返済に追われる生活になるのは避けたいところです」(竹下さん) 竹下さんは、さらに続けて教えてくれました。「子どもの教育を中心に住宅購入を検討するのであれば、最優先すべきは子どもの教育費にしわ寄せのこない物件価格です」(竹下さん)。子どもの教育費にしわ寄せのこない物件価格!?それって、いくらなのでしょうか? 次回は、そのあたりのお話しを、しっかりと伺いましょう。■今回のお話を伺った竹下さくら先生のご著書 『書けばわかる! わが家にピッタリな住宅の選び方・買い方』 (竹下さくら著/翔泳社 本体1,500円(税抜き))
2019年08月25日最近、賃貸から新築一戸建てに住み替えた東京都23区内にお住まいのNさん(40代)。小学生以上のお子さんをお持ちの方なら誰もが悩む「学区」が今回の住み替えの大きなポイントでした。学区内での住み替えについて伺いました。「年の離れた姉妹」にそれぞれあった生活スタイルをNさんは二人姉妹のママ。2人のお子さんは中学生と小学生低学年と「年が離れた姉妹」です。「住み替えを考え始めたのは、上の子が中学生になって、下の子と生活時間が変わったことから。中学生の寝る時間と小学生低学年の寝る時間が全然違う、さらに上の子も一人の時間が必要になってきた。そこで姉妹一人一人に部屋をあたえたいと住み替えを考え始めました」しかし、すでに地元の小学校、中学校に通う姉妹。遠方に引っ越すと「転校」がともないます。そのため「学区内」にこだわったNさん。「まだまだ本格的に引っ越そうなんて思っていなくて、なんとなく学区内の新築から中古のマンションから一戸建てまで見て回るということをしていました」結果、見つけた家はすでにできあがっていた新築分譲一戸建て。住んでいた賃貸一戸建ての目と鼻の先にあるものの、普段使わない道だったこともあり「まったく建てていることを知らなかった」と笑います。学区内引っ越しは負担が少なくすぐに「ベスト」に距離にして数百メートルしか離れていない新築一戸建てを偶然みつけたNさん一家。部屋の間取りは、家族全員が一人部屋を持て、家族全員で集える広いリビングダイニングがある理想的な間取りでした。「それまでぼんやりしか想像していなかった住み替えが一気に加速してあれよあれよと進んでいきました。子どもたちも転校することなく、通学時間もほとんど変わらない。親も仕事場からの距離も買い物する場所も変わらない。すぐに普段の生活に戻れました」学区内引っ越しは、区役所への届け出なども住所変更ほどで特に大きな手続きもなく楽だったそう。そのスピード感のある新築物件の購入のもうひとつの決定打は──、「やっぱりマンションより一戸建てだったことでしょうか。夫も私も一戸建てが当たり前の地域で生まれ育っているのでマンションには少し抵抗があったのかも。条件がほぼ当てはまる新築物件がそばで見つかったことで、購入しない理由がなくなりました」一人部屋を持って「自立心」が芽生えた子供たち学区内引っ越しをし、転校もなく落ち着いた生活をそのままスライドできた姉妹に、現在の「一人部屋」をもらった気持ちを伺いました。まずは、小学生の妹さんから。「部屋を自分のすきなように変えられて、お姉ちゃんの邪魔にならないので友だちが自由に呼べるのも嬉しいです。姉妹ケンカも減りました。一人で寝るのはちょっと怖いけれど……」とかわいらしい思いを聞かせてくれました。中学生のお姉さんは、「一人で過ごせる時間ができたので精神的に楽になりました。家族ともめた時も確実に一人になれる場所があるので助かります。その反面、部屋の自己管理は結構難しいなぁと思っています」とのこと。やはり、年の離れた兄弟姉妹は、生活スタイルだけでなく「部屋の使い方」も違っています。姉妹は一人部屋が与えられたことで、それぞれが自立しようとしているのを感じました。デメリットなしの「賃貸の身軽な環境」も捨てがたかった今回の学区内住み替えには「メリットしかない」というNさんですが、一言付け加えました。「あえてデメリットがあるとするなら〈賃貸ならではの身軽な環境〉がなくなったこと。今までは飽きたら別の場所に引っ越せる身軽さがあり、家のメンテナンスも家主さん任せ、と精神的にも楽でした。それが無くなった責任の重さは感じています」賃貸の良さを懐かしみつつも、新しい家での生活からはメリットしか聞かれなかったNさんの住み替え話。学区内の新築への住み替えは「家族全員がベストな生活になる」素晴らしい選択だったようです。※画像はイメージです合わせて読みたい住まい購入の決め手夫実家そばの新築マンション!購入決意した「意外な理由」とは妻の実家から徒歩8分の近居に家購入はメリットしかない新築マンション購入の決め手は横長リビングの間取り!妥協点は日当たりでした【体験談】新築マンション購入の決め手!デメリットもプラス思考で住めば都
2018年03月16日