フランシス真悟、前田紗希、志水児王、崔在銀、GUN、 ローリー・シモンズ京都、烏丸四条近くに位置し、“アートコレクターの住まい”をコンセプトにしたnode hotel (ノードホテル / 所在地:京都市中京区四条西洞院上ル蟷螂山町461 / 客室数25室 / 総支配人:坂下雅行) では、1Fのギャラリースペースにおいて11月7日(火)から2024年1月30日(火)まで、6組のアーティスト、フランシス真悟、前田紗希、志水児王、崔在銀、GUN、ローリー・シモンズによる特別展“Light and Space Odyssey”を開催します。尚、本展の出品作品は全て購入が可能です。本展では、宇宙の時間軸の中で繰り返される現象や移り変わり、光や波動を捉え、わたしたちが生きている壮大な循環サイクル、人と自然の営みの境界線とは何かを示唆します。フランシス真悟の深い色彩のモノクロームの“Infinite Space”は、絵画作品でありながら空間的な広がりを追求し、観るものを自身の精神世界に包み込むような体験を生み出します。前田紗希は、ペインティングナイフのみで油絵具を何十層にも重ね、日常のあらゆる物事や重なり、関係性など「時間の堆積と境界」を幾何学的に表現します。志水児王は、音、光、振動といった物理世界を構成する微細な要素の特性を拡大し、それらが引き起こす物理現象を視覚的に捉え、“Transparent elements”として平面作品に昇華させています。崔在銀の“Puglia Sky Project”は、多くの民族や権力者から支配されてきた⾧い歴史を持つイタリアプーリア州の村で、刻々と変化していく空を撮影し、宇宙の変わらぬサイクルと、その下で異なる時を生きる人々の営みを表現。新潟現代美術家集団GUN(ガン)は、1970 年、「雪のイメージを変えるイベント」と称し、一面雪の信濃川河原に絵の具を散布し、雪原に巨大な抽象画を出現させ、広大な自然の中に、作品としては残らない人の行為としての芸術を生み出しました。ローリー・シモンズの“ウォーキング・オブジェクト”は、現実と幻想、物体と人の混乱を捉え、現代社会の混沌とした世界を日常のレベルから映し出します。node hotel で開催する本展が、太古から続く光と空間の無限な営みと、人と自然との境界とは何か、という根源的な問いへの旅の結節点(node)となることを願います。展覧会概要Light and Space Odysseyフランシス真悟、前田紗希、志水児王、崔在銀、GUN、ローリー・シモンズ日時 : 11月7日(火)〜2024年1月30日(火)会場 : node hotel 1F京都市中京区四条西洞院上ル蟷螂山町461企画 : 墨屋宏明(アートプロデューサー/DART代表)協力: DART株式会社、MISA SHIN GALLERY入場料 : 無料※本展の出品作品は全て購入が可能です。アーティスト プロフィールフランシス真悟Shingo Francis1969年カリフォルニア州サンタモニカ生まれ。ロサンゼルスと鎌倉を拠点に活動。フランシスは、絵画における空間の広がりや精神性を探求し続けているアーティストです。代表作として、幾層にも重ねられたブルーの抽象画や、深い色彩のモノクローム作品の他、特殊な素材を使用し観る角度によってさまざまな光と色彩が立ち現れるペインティング「Interference」シリーズが知られています。市原湖畔美術館(千葉、2017年)、セゾン現代美術館(長野、2018年)、マーティン美術館 (テキサス、2019年)、 銀座メゾンエルメスフォーラム(東京、2023年)など多数の個展、グループ展に参加。スペイン銀行、森アーツセンター、桶田コレクション、東京アメリカンクラブなどにコレクションとして収蔵。Infinite Space (Ultraviolet)2022前田紗希Saki Maeda1993年福井県生まれ。2015年京都芸術大学美術工芸学科油画コース卒業。時間の堆積と境界をテーマに、ペインティングナイフのみで、油絵具を何十層にも重ね、常に上書き繰り返されてきた歴史の可視化を試みる。主な個展に「Accumulating as we pass by」YUKIKOMIZUTANI(東京、2022年)、GALLERY TOMO(京都、2019年)など。DMG森精機株式会社、OCA TOKYO(三菱地所株式会社)などにコレクションされている。2023年10月開催のMeet Your Art Festival 2023 に参加。19_92019志水 児王 Jio Shimizu東京生まれ。広島県・埼玉県在住。東京藝術大学美術学部大学院修了。1994~2006年、レーベル「WrK」に参加。2008年度文化庁新進芸術家海外研修制度により、2008-2010年コペンハーゲン在住。音や光、振動など物理世界を構成する微細な要素を表現素材とし、それらが引き起こす現象とその知覚、運動と要素の発生、芸術と自然科学との関係などを実証論的なアプローチで表現を試みる。主な展覧会に、「六本木クロッシング」森美術館(東京/2004)、「日本のサウンドアート」ロスキレ現代美術館(コペンハーゲン/2011)、「Re-actions」三菱地所アルティアム(福岡/2017)、 「第21回文化庁メディア芸術際」国立新美術館(東京/2018)、「瀬戸内国際芸術祭2019」(香川/2019)に参加している。Transparent elements (negative) #122012崔在銀 Jaeeun Choi草月流三代目家元・勅使河原宏のアシスタントとして数々のインスタレーションや、映画「利休」の制作に携わり、80年代から生命や時間をテーマに作品を発表している。95年には日本代表の1人として第46回ヴェネチア ビエンナーレに参加、2016年に第15回ヴェネチア建築ビエンナーレに出品するなど国際展への参加多数。主な個展として、「ルーシーと彼女の時間」サムソンロダンギャラリー(ソウル 2007年)、「アショカの森」原美術館(東京 2010年)、プラハ国立ギャラリー(2014年)、「The Nature Rules 自然国家:Dreaming of Earth Project」(原美術館、東京、2019)など。2014年に立ち上げた韓国のDMZ(Demilitarized Zone:非武装地帯)での「Dreaming of Earth Project(夢の庭園)」の延長線で、破壊された森を復元させる計画に取り組んでいる。現在、銀座メゾンエルメス フォーラムにて個展「新たな生」が開催中。Puglia Sky Project 2011 The Cyclical Night 2022新潟現代美術家集団GUN(Group Ultra Niigata)1967年、新潟で前山忠、市橋哲夫、堀川紀夫らによって結成された現代美術グループ。1970年2月、十日町を流れる信濃川の河川敷の大雪原を舞台に、農業用の噴霧器で赤、青、黄、緑の四色の顔料を撒き散らしながら描いた巨大な抽象画「雪のイメージを変えるイベント」で知られる。近年の展覧会に「GUN―新潟に前衛があった頃」新潟県立近代美術館(2012年)、「荒野のラジカリズム グローバル 60年代の日本の現代美術家たち」Japan Society(ニューヨーク 2019年)、「Between Collectivism and Individualism —Japanese Avant-Garde in the 1950s and the 1960s」ザヘンタ国立美術館(ワルシャワ 2021年)など。Event to Change the Image of Snow 1970/2009ローリー・シモンズ Laurie Simmons1949年米国ニューヨーク州ロングアイランド生まれ,ニューヨーク在住。1971年、タイラー・スクール・オブ・アート(フィラデルフィア)芸術課程修了。ローリー・シモンズは、人間の代わりである腹話術人形やおもちゃ、人形、雑誌の切り抜きなどをその他の小道具と共に登場させる写真や映像作品で知られる。メトロポリタン美術館、ニューヨーク近代美術館、ホイットニー美術館、グッゲンハイム美術館、ロサンゼルス現代美術館、フィラデルフィア美術館、ウォーカー・アート・センターを始めとするアメリカの名だたる美術館にコレクションされているほか、アムステルダム市立近代美術館、イスラエル美術館、日本でも国立国際美術館、原美術館、金沢21世紀美術館に所蔵されている。Walking glove (from the suite Food, Clothing, Shelter)1996■ node hotel 施設概要名称:node hotel ノードホテル所在地: 〒604-8225 京都市中京区四条西洞院上ル蟷螂山町461電話:075-221-8800客室数:25室開業:2019年7月運営会社:サヴィー京都合同会社node hotel : ■宿泊予約・お問い合わせ先note hotel(ノードホテル)宿泊予約係TEL 075-221-8800■お問い合わせ先本件に関するお問い合わせはこちらまでご連絡ください。担当:坂下 sakashita@nodehotel.com 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年11月06日髙橋洋一著『世界の「今」を読み解く! 【図解】新・地政学入門』2022年12月15日刊行株式会社あさ出版(代表取締役:田賀井弘毅、所在地:東京都豊島区)は髙橋洋一 著『世界の「今」を読み解く! 【図解】新・地政学入門』 を2022年12月15日(木)に刊行いたします。最新情報アメリカ中間選挙についても掲載! 地政学とは「世界の戦争」の歴史を知ることであるなぜ、中国は、台湾に手を伸ばそうとしているのか。なぜ、ロシアは、ウクライナに侵攻したのか。ヨーロッパの団結は今なお揺るぎないといえるのか。アメリカが自信たっぷりに自国のロジックを振りかざしてこられたのは偶然なのか。そして、日本はこれらの国々とどう向き合い、どう世界の外交舞台で立ち回っていったらいいのか。今、アメリカ以外に、日本にとってもっともキーとなる国はインドといえるが、それはなぜなのか。本書は、プリンストン大学で国際政治(戦争論)を専攻した著者が、「中国」「ロシア」「ヨーロッパ」「アメリカ」という具合に、地球儀を大きく4分割して、世界の戦争の歴史=「地政学」を辿りながら、世界の現在と未来をわかりやすく解説。地理的条件から世界の戦争の歴史を概観し、世界のニュースの「深層」をとらえる頭を手に入れることができる1冊です。地政学とは何か※以下、本書“まえがき”より抜粋その国の性格、俗に「国民性」「お国柄」などと呼ばれるものの根幹にも、地理的条件が大きく関わっているといっても過言ではない。これら危機意識や戦略思考が目に見える形で現れるのが、戦争だ。置かれた地理的条件によって、それぞれの国の生き残りや発展をかけた野心が生まれ、そこから、さまざまな戦争が起こってきた。すべての戦争には、地理的条件による各国なりの「切実な事情」が絡んでいる。そうした戦争の歴史を知ることが地政学であり、この視点をもって世界を見つめてみることが、世界の深層をとらえる頭につながるのである。チャンネル登録者数 80.9万人「髙橋洋一チャンネル」でも紹介▼『世界の「今」を読み解く! 【図解】新・地政学入門』が紹介されている動画URL 書籍情報表紙タイトル:世界の「今」を読み解く! 【図解】新・地政学入門著者:髙橋 洋一ページ数:296ページ価格:1,650円(10%税込)発行日:2022年12月15日ISBN:978-4-86667-421-6書籍紹介ページ: amazon: 楽天: 目次プロローグよりよい、より広い土地を巡る「戦争の歴史」 ── 地政学第1章とにかく「広い海」が欲しい中国の地政学第2章昔も今も「南」へ向かいたいロシアの地政学第3章争いを経て作られた「共同体」ヨーロッパの地政学第4章かつての「世界の警察官」アメリカの地政学エピローグ日本の現在と今後を考える著者プロフィール髙橋洋一(たかはし・よういち)1955年東京都生まれ。都立小石川高校(現・都立小石川中等教育学校)を経て、東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。 1980年に大蔵省(現・財務省)入省。大蔵省理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、総務大臣補佐官、内閣参事官(総理補佐官補)等を歴任。 小泉内閣・第一次安倍内閣ではブレーンとして活躍し、「霞が関埋蔵金」の公表や「ふるさと納税」「ねんきん定期便」など数々の政策提案・実現をしてきた。また、戦後の日本における経済の最重要問題といわれる、バブル崩壊後の「不良債権処理」の陣頭指揮をとり、不良債権償却の「大魔王」のあだ名を頂戴した。2008年退官。その後、菅政権では内閣官房参与もつとめ、現在、嘉悦大学経営経済学部教授、株式会社政策工房代表取締役会長。 『【図解】ピケティ入門』『【図解】経済学入門』『【明解】会計学入門』『【図解】統計学超入門』『外交戦』『【明解】経済理論入門』『【明解】政治学入門』『99%の日本人がわかっていない 新・国債の真実』(以上、あさ出版)、第17回山本七平賞を受賞した『さらば財務省! 官僚すべてを敵にした男の告白』(講談社)など、ベスト・ロングセラー多数。【報道関係各位】『世界の「今」を読み解く!【図解】新・地政学入門』リリース.pdf : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年12月05日東京・銀座のポーラ ミュージアム アネックスでは、上村洋一+エレナ・トゥタッチコワ「Land and Beyond|大地の声をたどる」展を、2021年7月21日(水)から8月29日(日)まで開催する。上村洋一とエレナ・トゥタッチコワを紹介「Land and Beyond|大地の声をたどる」展は、知床という地に関わり制作を続けている2人のアーティスト、上村洋一とエレナ・トゥタッチコワを紹介する展覧会だ。上村洋一は、世界各地の、主に海で行ったフィールド・レコーディングを中心にサウンド・インスタレーションを手がけている。サウンドを軸に、ドローイングや映像、パフォーマンスでのコラボレーションなど、多岐にわたる活動を展開し、聴覚や視覚から風景を知覚する方法を探ってきた。一方でエレナ・トゥタッチコワは、“歩行”をひとつの表現方法として捉えており、各地を歩いて自然や人の物語を採集し、インスタレーションとして展開してきた。また、ウォーキングのワークショップの開催、音楽や文章執筆も手がけており、表現を超えて言語や物語という側面が立ち現れる過程を重視している。「Land and Beyond|大地の声をたどる」展は、知床や北方圏のリサーチも展開する四方幸子をゲストキュレーターに迎えての開催。タイトルにある“Beyond”とは、固定的な大地の概念を、想像的に越えていく可能性の謂いである。本展では、上村とトゥタッチコワの最新の歩みを発表するとともに、知床という土地を起点としつつ、土地と人とが取り結ぶ新たな関係の可能性を探ってゆく。展覧会概要上村洋一+エレナ・トゥタッチコワ「Land and Beyond|大地の声をたどる」会期:2021年7月21日(水)〜8月29日(日) 会期中無休会場:ポーラ ミュージアム アネックス住所:東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル 3階開館時間:11:00〜19:00(入場は18:30まで)入場料:無料※内容は変更となる場合あり(最新情報は、ギャラリーのホームページにて告知)【問い合わせ先】ポーラ ミュージアム アネックスTEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)
2021年05月30日4月16日(金)より『戦場のメリークリスマス 4K修復版』、4月30日(金)より『愛のコリーダ 修復版』がヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次連続公開となる。この度、著名人や公開当時の作品関係者からの推奨コメントが到着した。松竹ヌーヴェル・ヴァーグを生み、差別や犯罪など、社会の歪みと闘い続けた熱き映画監督・大島渚。彼の最大のヒット作『戦場のメリークリスマス』(83)と最大の問題作『愛のコリーダ』(76)がデジタル素材に修復され、『戦場のメリークリスマス 4K修復版』、『愛のコリーダ 修復版』として鮮烈かつ鮮明に生まれ変わる。公開に向け、坂本美雨、内藤剛志、ライムスター宇多丸、崔洋一がそれぞれの立場から熱いコメントを寄せた。83年公開時に世界中が熱狂した「戦メリ」ブームを知るライムスター宇多丸は、「2021 年現在の目で、まるで新作のように大島渚を観るというのは、さぞかし素晴らしくスリリングな体験であるに違いないー」と興奮と期待を寄せる。『戦場のメリークリスマス』に出演していた俳優の内藤剛志は、「『私の映画はキャストが決まった時点でほぼ完成しているのです。私が選んだ彼らは、当然その映画への思いを持って現場に来てくれるからです。だからあまりテストは必要ありません、すぐに本番です』ずっとこの言葉が心の中で響いている。今、現場に向かう僕は、このことを実践できているのだろうか。ありがとうございました、監督」と大島監督へメッセージを綴った。ほか、『戦場のメリークリスマス』でヨノイ大尉役を演じた坂本龍一の娘でありミュージシャンの坂本美雨や、『愛のコリーダ』で助監督を務めた崔洋一がコメントを寄せている。また本作の公開を記念し、『戦場のメリークリスマス 4K修復版』、『愛のコリーダ 修復版』2作品セットの豪華パンフレットと、メインビジュアルのB2ポスター、「戦メリ」Tシャツを4月16日(金)より上映劇場にて発売決定。Tシャツは、メインビジュアルのヨノイとセリアズが堂々とプリントされたAデザインと赤い花を差し出すセリアズが印象的なBデザインの2種類となっている。さらに、本作とのタイアップも多数決定した。「Book Cafe&Bar 十誡」の2作品をイメージしたスペシャルタイアップカクテルや、池袋の視覚と味覚で花を堪能できるダイニングバー「HANABAR」とのコラボを展開。さらには、カフェモノクロームやテロファクトリーからオリジナルグッズが登場し、店頭や一部劇場にて販売予定。またた、『戦場のメリークリスマス 4K修復版』から豪華プレゼントが当たるTwitterキャンペーンも実施中。映画とあわせて楽しんでほしい。今回の『戦場のメリークリスマス 4K修復版』、『愛のコリーダ 修復版』の上映は、大島渚監督作品が2023年に国立機関に収蔵される予定のため、最後の大規模ロードショーとなる。後世に多大な影響を残し、鮮烈な印象を多くに人に与えた日本が誇る鬼才、大島渚作品が鮮明になってスクリーンで観られる貴重な機会となっているのでお見逃しなく。■崔洋一(映画監督 / 『愛のコリーダ』制作時助監督)ー日本がひっくり返る。のるかそるか答えろーこの無茶ぶりに「やります」と素直に反応した。■坂本美雨(ミュージシャン)今回見直して、改めて感動したこと。セリアズが弟を傷つけたことで、弟の歌が失われ、彼は罪悪感を抱いて生きていく。けれども、人生の最後には、彼は俘虜たちの讃美歌で送られる。歌で傷つき、歌で救われたんだ、と気づき、胸を打たれました。■内藤剛志(俳優)『私の映画はキャストが決まった時点でほぼ完成しているのです。私が選んだ彼らは、当然その映画への思いを持って現場に来てくれるからです。だからあまりテストは必要ありません、すぐに本番です』ずっとこの言葉が心の中で響いている。今、現場に向かう僕は、このことを実践できているのだろうか。ありがとうございました、監督。■ライムスター宇多丸(ラッパー / ラジオパーソナリティ)2021 年現在の目で、まるで新作のように大島渚を観るというのは、さぞかし素晴らしくスリリングな体験であるに違いないーー「戦メリ」直撃世代の私自身、その真価を理解できている気が、いまだにまるでしないのだ。【『戦場のメリークリスマス』&『愛のコリーダ』公式グッズ公式グッズ詳細】●2作品セット豪華パンフレット:900円(税込)『戦場のメリークリスマス』4月16日(金)~ 上映劇場にて『愛のコリーダ』4月30日(金)~ 上映劇場にて●2作品メインビジュアル B2ポスター:各500円(税込)※一部上映劇場にて●『戦場のメリークリスマス』T シャツ[A] / [B]販売日:4月16日(金)~価格:各種・各サイズ 3,500円(税込)販売劇場:ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺、 シネ・リーブル池袋ほか、一部上映劇場にて※数に限りがございますテロファクトリー 公開記念!オリジナルグッズ登場!『戦場のメリークリスマス』からマスク2種(ヨノイ / セリアズ)、『愛のコリーダ』からマスク&TシャツがテロファクトリーHP と一部劇場にて発売マスク:各1,100円(税込)T シャツ:3,500円(税込)公式 HP: 【タイアップ情報】「戦場のメリークリスマス 4K修復版 × CAFE:MONOCHROME」公式 HP: 店舗:東京都渋谷区宇田川町 4-10 渡辺ビル 2A●コラボカクテル セリアズ&ヨノイ:1,100円(税込)カクテル詳細:ハイビスカス in シロップ+スパークリングワインカクテルをご注文頂いた方に、ペーパーコースタープレゼント!販売日:4月16日(金)~●コラボプレート:5,500円(税込)サイズ:19.6cm販売日:4月16日(金)~店頭にて販売予定「Book Cafe&Bar 十誡 スペシャルタイアップカクテル」●戦場のメリークリスマス:2,090円(税込)主演俳優のひとりである、デヴィッド・ボウイの故郷イングランドのジンと日本酒を合わせた香り豊かなサケティーニです。強さとしなやかさを兼ね備えた、柔らかな口当たり。収容所の閉塞感をイメージした細切りのアンゼリカに、劇中でセリアズが口にした花のような食用花を飾りました。お花はお召し上がりいただけます。●愛のコリーダ:2,090円(税込)愛と欲望渦巻く2人の関係をイメージしたカクテルは、どろりと濃密な味わいのシロップ漬けチェリーを沈めた真っ赤なマティーニです。日本のプレミアムクラフトジン“季の美”をベースに、ドライヴェルモット、チェリーリキュールを加えきりりと冷やしました。ドライなジンの奥にほのかに感じる、ダークチェリーの甘美な味わいをお楽しみください。「HANABAR」『戦場のメリークリスマス 4K修復版』の半券のご提示で、「タコライス」、「イエローカレー」に乗せてあるお花が増し増しになります!タコライス:1,000円(税込) / イエローカレー 950円(税込)販売:4月16日(金)~5月15日(土)公式 HP: 店舗:東京都豊島区西池袋3丁目30-6「gmgm」高円寺にあるドーナツ専門店「gmgm」オンラインストアにて、「戦メリ」セットを販売いたします。内容:ドーナツ4個&新商品「gmgm オリジナルハーブティー」セット通常 3,300円 → 特別価格 2,900円(税込)販売期間:4月16日(金)~5月15日(土)公式 HP: 店舗:東京都中央区銀座 5-1-8 銀座MSビル地下2階【Twitter RTキャンペーン詳細】『戦場のメリークリスマス』Tシャツ、B2ポスター、「PREMIUM JAWA COFFEE」のスペシャリティ・コピルアック:ドリップバッグ5個入りを抽選でプレゼント!詳細は公式Twitter(@oshima2021)をチェック。<PREMIUM JAWA COFFEE>世界で最も希少で高級と言われる幻のコーヒー"コピルアック"。シャネルの香水に使用される麝香の香料に似た高級感ある香りとまろやかな甘みを持つ神秘的なコーヒーです。<応募方法>(1) @oshima2021 をフォロー(2)「予告編完成記念 フォロー&RT キャンペーン」のツイートをRT『戦場のメリークリスマス 4K修復版』4月16日(金)より公開『愛のコリーダ 修復版』4月30日(金)より公開
2021年04月14日人にはなかなか語れないことがある。それでも語ることで一歩踏み出す主人公、そして著者自身に心揺さぶられる崔実さんの『pray human』。デビュー作『ジニのパズル』以来、4年ぶりの新作だ。時を経てようやく語られる心の傷。話題の新鋭作家、突き刺さる第2作。「『ジニのパズル』を書いた時、最初は少しだけ精神病棟の場面があったけれど削除したんです。その時、当時の編集長と“次は精神病棟の話を書いたらどうか”と話しました」本作は17歳の時に精神を病んで入院した過去を持つ〈わたし〉が語り手。時を経て〈きみ〉に語りかける形でその日々を振り返り、さらに入院時代の仲間の一人・安城さんという女性と再会し思春期について語る。そこでは塾で受けた性的虐待の経験にも触れられて―。「最初に精神病棟の日常を書いたのですが、行き詰まった時に編集者に“入院した理由に触れたほうがいいのでは”と言われ、また新たに入院するまでの話を書きました。でも掘り下げられなくて。どこか逃げていたんです」日本で#MeToo運動が高まった頃だった。「いろんな人が声を上げる姿に勇気づけられると同時に、言葉にできない自分を責めました」そんな折ソウル国際文学交流会から登壇依頼が。「作家たちがそれぞれ“なぜ書くのか”というテーマで英語のエッセイを発表して語り合う内容でした。英語なら書けるかもと思い、初めて思春期に受けた虐待のことを書いたんです。でも当日、いざ読もうとしたら声が出せなくなり。察したデンマークの作家が“大丈夫だよ、代わりに読むね”って。会場も“大丈夫、大丈夫”って拍手してくれた。その直後は読めなかった自分に落ち込んだけど、夜、作家たちと食事したら思っているより伝わっていると分かって。今なら日本語で小説を書けると思いました。そこからまた時間がかかりました(苦笑)」最初につけたタイトルは『play human』だったという。「精神病棟の話を書いた時に“人間のふりをする”という意味でつけました。でも思春期のことも加えたし、ここに出てくる人たちみんな誰かのため、自分のために祈っている。それでLをRに替えました」〈わたし〉はつねに、誰かしらに語りかけているわけだが、「思春期を書く時、精神病棟の話に出てきたあの子に話しかけよう、って思いました。安城さんについては、〈わたし〉とはいちばん仲が悪いですが、私はいちばん好き。親友でもないけれど敵でもない。優しい人じゃないから話しやすいこともある」作中、幼い頃に教会で教わった「隣人を愛しなさい」「隣人を許しなさい」という言葉にも言及される。「その言葉がすごく好きだったのに、塾での出来事の後、精神が真っ二つに引き裂かれた感じがありました。自分がふたりいる感覚があって、それで、引き裂かれたもうひとりの子を置いてきちゃったんです。自分自身を隣人にしてしまった。今は、隣人である思春期の自分を愛して許そう、という気持ちです」ようやく声を出せた崔実さん。でも誰もがそうすべきとは思わない。「声を上げないのは、それくらいの傷を負っているということ。無理してほしくない」。自身も、書き終えた直後は達成感はなかったという。「雑誌に掲載された時は敗北感でいっぱいでした。でも本にするため読み返して直すたびに距離が生まれて、客観的に考えられるようになってきました。この闘いには意味があったなと、今は思っています」チェ・シル1985年生まれ。2016年『ジニのパズル』で群像新人文学賞を受賞しデビュー。同作は芥川賞候補となったほか、織田作之助賞、芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。本作が2作目。『pray human』17歳の時に精神病棟に入院していた〈わたし〉は、大人になり、大切な人に向けてはじめて語りだす。入院当時の日々、そしてその後再会した仲間に打ち明けた思春期の傷を―。三島由紀夫賞候補作。講談社1500円※『anan』2020年11月11日号より。写真・土佐麻理子(崔さん)中島慶子(本)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2020年11月06日特定非営利活動法人映像産業振興機構が、文化庁委託事業「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2019」において、今年度完成した短編映画3作品を、2月4日(火)から関係者向け「合評上映会」として東京、京都、大阪、名古屋の4都市で実施。先着順で「一般モニター」を募集。さらに期間限定で同3作品が一般上映されることが分かった。中江和仁、藤村享平、松永大司、中野量太、文晟豪、ふくだももこなど、長編劇場公開を果たした映画監督を輩出した同事業。今回は2019年8月に行ったワークショップから選出され、製作実地研修に進んだ3人の若手監督が、講師による脚本指導を経て、各制作プロダクションの協力のもと、プロのスタッフ・キャストとともに35mmフィルム撮影による短編映画を制作した。今回上映されるのは、自主映画で注目を集めている川崎僚監督作『あなたみたいに、なりたくない。』、広告映像やPV、CGデザインなどを手がけている島田欣征監督作『Le Cerveau - セルヴォ -』、そして独学で撮った最初の作品『あみこ』が、第68回ベルリン国際映画祭に史上最年少で招待された山中瑶子監督作『魚座どうし』だ。フレッシュな才能によって生み出された新作短編に期待したい。◇合評上映会(業界関係者+一般モニター向け)▶「一般モニター」募集概要【応募方法】ndjc公式サイト合評上映会( )を確認の上応募。【応募資格】3作品全てを鑑賞いただき、全作品のアンケートにご回答いただける方※上映時間:約30分×3本【定員】各会場20名(先着順)東京 2020年2月4日(火)丸の内TOEI15:00~(17:40〜名刺交換会)京都 2020年2月12日(水)京都文化博物館フィルムシアター18:30~大阪 2020年2月13日(木)シネ・リーブル梅田18:30~名古屋 2020年2月14日(金)シネマスコーレ19:00~◇劇場公開(一般向け)<東京>期間▶2月 21日(金)~27日(木)連日18:30~場所▶角川シネマ有楽町舞台挨拶▶2月21日(金):映画パーソナリティの伊藤さとりと、ndjc2019監督3人とのトークセッション。2月22日(土):崔洋一監督を招き、ndjc2019監督3人とのトークセッション。2月23日(日):ndjc2008中野量太監督を招き、ndjc2019監督3人とのトークセッション。2月24日(月)~27日(木):ndjc2019監督他ゲストによるトークセッションを予定。<名古屋>期間▶3月6日(金)~12日(木)連日19:00~場所▶ミッドランドスクエア シネマ舞台挨拶▶3月7日(土):映画パーソナリティの松岡ひとみと、ndjc2019監督3人とのトークセッション。<大阪>期間▶3月13日(金)~19日(木)連日18:30~場所▶シネ・リーブル梅田舞台挨拶▶3月14日(土):映画パーソナリティの津田なおみと、ndjc2019監督3人とのトークセッション。
2020年01月09日原美術館では、崔在銀(チェ ジェウン)による発案・構成の「The Nature Rules 自然国家:Dreaming of Earth Project」展を4月13日から7月28日まで開催する。Minsuk Cho, DMZ Vault of Life and Knowledge, 2016参考画像 Courtesy of the artist.本展は、朝鮮戦争の休戦後、65年余りの歳月を経て非武装地帯(DMZ / Demilitarized Zone)に生まれた豊かな生態系を守り、生きとし生けるものすべての共生を願って崔が2014年に立ち上げた「Dreaming of Earth Project(大地の夢プロジェクト)」の構想を可視化する展覧会。停戦ラインの北緯38度線から南北2kmずつの帯状のエリアは、「非武装地帯(DMZ)」と呼ばれる緩衝地帯。1953年の停戦後、軍事活動は許されなかったものの、300万個とも言われる数の地雷が敷設され、南北間の緊迫した状況が続いてきた。以来65年もの長きに亘って人が立ち入ることのなかったそのDMZは、今では106種もの絶滅危惧種を含め5,057種の生物を育む豊かな大地となっている。皮肉にも人間の対立によって生まれたこの豊かな生態系を、いかにして後世に手渡してゆくか。崔は、DMZに生息する命と人とが同じ大地の生物として共に生きる方法を探るため、2014年に「Dreaming of Earth Project」を立ち上げた。現在では、本展にも出品する数多くのアーティストや建築家、思想家が崔の元に集まり、渡り鳥が羽を休める空の庭園や、人を地雷から守り、自然を人間から守ることのできる散策路、そして絶滅が危惧される植物の種を保存するシードバンクなど、具体的な方法を提案している。Studio Other Spaces: Olafur Eliasson and Sebastian Behmann, Condensation pavilion参考画像 Courtesy of the artist.題名となっている「自然国家」とは、人間ではなく自然が治める国、崔の理想とする国のこと。アートとして形あるものをDMZの生態系に作るということは、たとえ僅かであっても人間が自然の営みに介入することを意味するが、かといって何もしなければ、社会情勢次第で豊かな生態系が滅びることも危惧される。人が自然と関わりつつ、対立のエリアを生きとし生けるものの大地にするために崔が出した結論は、「自然国家」の“法律”(=詩)の“創作”だ。本展では、出品作家に加え、アン ソヨン、チェ ジェチョン、チョウ ミンスク、ギムホンソック、平野啓一郎、イ ウンジュ、李禹煥、ダニエラ モレラ、中村桂子など、崔が信頼する人々が自然について思索し、共生のための“法律”(=詩)を作る。それらは法律でありながら、鳥のさえずりや風にそよぐ草の音のように自然の一部となっていくだろう。【展覧会情報】The Nature Rules 自然国家:Dreaming of Earth Project会期:4月13日~7月28日会場:原美術館住所:東京都品川区北品川 4-7-25時間:11:00~17:00(5月1日を除く水曜は20:00まで、入館は閉館時刻の30分前まで)入館料:一般1,100 円 大高生700円 小中生500円 70歳以上550円 原美術館メンバーは無料 ※学期中の土曜日は小中高生の入館無料、20名以上の団体は1人100円引休館日:月曜日(4月29日、5月6日、7月15日を除く)、5月7日、7月16日
2019年03月21日●『その男、凶暴につき』からのアウトロー役『アウトレイジ ビヨンド』『アウトレイジ 最終章』で、日韓に影響力を持つフィクサー・張会長の側近・李を演じた白竜(65)。“非道な行為”を意味する「アウトレイジ」を地で行く男……というと誤解を招きそうだが、北野監督作の『その男、凶暴につき』(89)で演じた殺し屋・清弘の凶暴性は鮮烈で、その後もアウトロー役が続々と舞い込んだことからも、「アウトレイジ」が白竜にとって親和性の高い言葉であることが分かる。2017年10月から11月にかけて、映画『アウトレイジ 最終章』のスタッフ5名に接触したインタビュー連載「暴走の黒幕」(第1回:監督・北野武第2回:プロデューサー・森昌行第3回:音楽・鈴木慶一第4回:美術・磯田典宏第5回:チーフ助監督・稲葉博文)では、北野組の深部に迫ったが、今回はDVD・Blu-ray発売に合わせて新たに3人を取材した。録音・久連石由文氏、編集・太田義則氏に続いてラストを飾る白竜は、「アウトレイジ」シリーズ最後の番人ともいえるのではないか。張会長の側近・李は、ビートたけし演じる大友を見守り続け、ある決断をする。インタビューでは、北野武との奇縁から島田紳助さんの言葉を経て、やがては俳優として覚醒していく過程が見て取れる。なお、今回の取材は白竜の自宅で行われた。中田(塩見三省)と花田(ピエール瀧)もきっとこんな気持ちだったのでは……そんな緊張や不安は、「アウトレイジ」とはかけ離れた笑顔で程なく吹き飛ぶことになる。○『その男、凶暴につき』警察署長役から殺し屋役に――最初の北野組は『その男、凶暴につき』の殺し屋・清弘。当初の予定とは全く違う役になったそうですね。ええ、もう時効だと思って、いろんなところで話しています(笑)。最初は警察署長の役でした。渋谷のスタジオでドラマを撮っていた当時、マネージャーから「北野監督がオーディションをやってるそうですよ」と聞いて。その少し前に六本木で一緒に飲んだこともあって、そのオーディション会場までご挨拶に伺いました。オールバックでロングコートを着ていたんですが、そこにいる人たちにジーッと見られてしまって。次の日に電話があって、役が代わったと。セリフが少なくなったとも聞いたので、まぁいいかなと(笑)。――警察署長役は、どのようなきっかけだったんですか?どういう経緯かあまり覚えていないのですが……台本をいただいた時点では警察署長役でした。役者経験なんて、ほとんどない頃です。たけしさんと初めてお会いしたのは……内田裕也さん主催の「NEW YEARS WORLD ROCK FESTIVAL」だったと思います。たけしさんがバンドをやっていらっしゃって、「曲を作ってほしい」みたいなオーダーがあったんですよね。お互い忙しくてなかなか進めることができなかったんですが、ある日、六本木で飲むことになって、そこで映画の話を伺いました。――警察署長と殺し屋。だいぶ違いますね(笑)。本当にね(笑)。どうしていいのか分からなかったので、素のままでやりました。監督からも、あまり具体的な指示もなく。「これでいいのかな」と思っているうちにどんどん撮影が進んでいきました。役者経験が豊富な方ですごく作り込んでいる方には、「普通にしてくれ」とおっしゃっていたので、自分はこのままでいいのかなと(笑)。――『その男~』がきっかけでアウトローの役が増えていったと聞きました。そうですね。音楽に関してはプロ意識があったんですが、映画は「手伝い」というか。役者をやったのも、さっき言ったような流れなので。たけしさんとのご縁も1度きりだと思っていました。ある映画では、酒ばっかり飲んでるような監督がいたり、毎日セリフが変わって新しいセリフがペライチで届いてきたり。台本があるのに、全く違う内容になるんですよ。当時は、映画界っていい加減だなぁと感じました。○『みんな~やってるか!』『HANA-BI』抜てき秘話――その後、『みんな~やってるか!』(95)に出演。これも同じような流れなんですか?どうだったかなぁ。当時、滝田洋二郎監督の『熱帯楽園倶楽部』(94)という映画でタイで撮影してたんですが、すごく真っ黒に日焼けてしまいまして。帰国してから、北野監督の陣中見舞いで撮影所に行ったんですよ。たしかその時に、「出てくれ」と言われたんじゃなかったかなぁ……。『HANA-BI』(97)は、監督から「今度白竜さんにやってもらわなきゃいけない役がある」とおっしゃっていただいて。『その男~』と同じようなアウトロー系で出たのは久しぶりでしたね。けど、監督はキャスティングの時点でプランが固まっていると思いますので、素のままでいけば監督が料理してくれるという安心感があります(笑)。●「自分はロックミュージシャン」の逃げ道――演出面で変化を感じることはないんですか?ええ、基本的には(笑)。映画の作り方も、基本的な部分では変わってないんじゃないですかね? もちろん、18本も撮っているわけですから、テクニックの部分では進化しているところも必ずあると思いますが。精神的な面は変わらないです。――その後は、『アウトレイジ ビヨンド』(12)に出演。北野組常連の役者さんは、あまり出ていない作品ですね。そうですね。北野監督の映画は、俳優さんであればどんな役でも出たいと思うんですけど、僕はなぜこのポジションに呼んでくれるのか、いつも不思議なんです。よく分からない。そういう縁があるんだろうなとは思いますが。張会長役の金田(時男)さんともご縁がありまして。実は、僕の友人の先輩なんです。――金田さんは、演技経験がない中での抜てきでしたね。横浜でお食事させていただいた時に、きっかけをお聞きしました。一人で家に帰ったら誰もいなくて、テレビをつけたら松田優作さんのドキュメンタリー番組をやっていたそうです。それをずっと見ていたら、ふと「映画俳優をやってみたい」と。それで、監督に連絡をしてみたそうです。僕はそんな金田さんのナンバー2みたいな役。不思議な縁を感じますよね。――『アウトレイジ 最終章』(17)では、すっかり名コンビの印象でした。中田(塩見三省)と花田(ピエール瀧)から慰謝料として渡された3,000万円を受け取らず、合計6,000万円にして突き返して。はははっ! Vシネマでそういうシーンを撮って来ましたが、全然パンチきいてますよね(笑)。セリフにしても、監督は一体どこで勉強されているんだろうかと。シナリオライターも優秀な人はたくさんいるんですけど、やっぱりみんながイメージするような“ヤクザ”っぽく書こうとしちゃう。けど監督はそうではなくて、「得体の知れない人間」の描き方が本当にうまいですよ。○継続が実った俳優業――先ほど、仕事に対する「プロ意識」の話がありましたが、俳優業はどのあたりで「プロ意識」を実感するようになったのでしょうか。島田紳助さん(2011年に引退)と2時間ぐらいのトーク番組でご一緒したことがあって、紳助さんから「白竜さんは歌手ですか? 役者ですか?」と聞かれた時に、「よく分からなくなっちゃって」と答えたんです。すると、紳助さんが「簡単ですよ。今、収入が多い方が本業ですよ」と。「自分はロックミュージシャン」そんな逃げ道を作っていました。でも、これだけやってきたんだから、もう逃げられない。紳助さんとお話した時にそう思いました。僕はせっかちなタイプで、進行が遅い監督だとたぶんイライラしてしまうと思うんです。でも、僕を使ってくださる監督はみんな早いんですよね。だから、良い監督は早いと僕は勝手に思ってます(笑)。たまにたくさん撮る方もいますけど、だいたい使うカットは決まってるんですよね。――俳優業との向き合い方も変わっていったんですか?ありがたいことに……といっていいのか分かりませんが、同じようなキャラクターが多いんですよ。北野監督のおかげで、これまでVシネマは300本ぐらいやらせていただきました。半分ぐらいは主演です。その世界のシリーズものをずっとやっていくと、そっちの時間にかまけてしまう。脚本を読んで現場に行って、また次を読んで。それを十何年も繰り返して来たので……特別努力をしたような感覚はないんですよね。継続してきたものが今につながったというか。――継続の先にあった北野映画。以前の3作と「アウトレイジ」シリーズで監督に変化はありましたか?『その男~』で僕が遠藤憲一くんを刺すシーンは、実は雨の中での撮影でした。雨が降ったらだいたい映画はストップですよ。音の問題もありますから。でも監督は、「上にビニール張ってアフレコでいこう」とおっしゃったんですよね。セリフが変わっても、口の動きは分からないから大丈夫だと。普通の映画監督はそういうことやりません。たけしさんは、「せっかくみんな集まってるから、やっちゃおう」みたいな考えなんです。たけしさんの映画は、歩くシーンがすごく多いでしょ? ヨーロッパあたりではそれが主流らしくて。「尺が短くて歩くシーンを増やしちゃった」とか冗談をおっしゃっていましたけど(笑)、きっとそこも監督ならではのこだわりなんだと思います。たけしさんが言うには、『血と骨』(04)。あれに出演されて以降、監督をする際少しだけカットを粘るようになったそうです。監督にとっては、崔洋一さんの丁寧な撮り方がきっと参考になったんでしょうね。『ビヨンド』や『最終章』でもそういうことを感じる場面がありました。丁寧というか、より深みが増したというか。カメラワークまで指示されているので、きっと脚本を書く時に自動的に頭の中で映像化されているんだと思います。だからその脚本に対して、「俺はこうやりたい」というような役者さんはきっと苦手なんじゃないですかね(笑)。僕らは、「駒」なんです。監督はその「駒」を扱う人。キャスティングによって、自分は「歩」や「飛車」になります。いろんな監督がいると思いますが、たけしさんの場合はそんな感じです。――以前、北野監督は「役者さんには委ねている部分が大きい」ともおっしゃっていたのですが、そんなことを感じるシーンは?キャスティングでほぼ映画が決まるという監督もいらっしゃいますよね。特に北野監督の場合は名があってもなくても、自分のセンスを頼りに物事をお決めになる。起用される側は、撮影が進むにつれて自分の役がどんな役であるかを徐々に知って行くことになります。最初の作品から、監督はそういうことを全部分かって、撮っていらっしゃる。撮り方も、普通の映画監督が思いつかないような発想の持ち主です。北野組がここまで評価されるのは、今までの通念をくつがえして来た結果なのかもしれません。※以下は映画の結末などネタバレを含んだ内容です。これから視聴予定の方はご注意ください。●『アウトレイジ 最終章』ラストシーンの変更秘話――監督で主演というのも、すごいことですよね。そうですね。『その男~』は順撮りだったんですが、プロデューサーから体重を落とすように言われていました。終わったときには14キロ落ちていたんですが、たけしさんもそのぐらい落ちていたと思いますよ。撮影が夜に終わったら、「白竜さん、一杯行こうか」となるわけですよ。観察していると、日本酒は飲まれるんですが、ツマミはほんの少しだけ。その時も「この映画はラストシーンが決まれば成功する」とおっしゃっていました。最後に工場でドンパチするシーンを2~3日ぐらい撮ったんですが、ある時からあいさつも返されなくなりました。「粗相でもしたかな」と心配になったんですが、それだけラストシーンに懸けていらっしゃるんだと気づきました。――『最終章』ではたけしさん演じる大友と、より密接な関係になります。ラストシーンが変更になったことはご存知でしょ?――そうなんですか!?こんなことしゃべったらマズイかもしれないけど、最初は僕が大友を殺すことになっていたんですよ。変更になってホッとしました(笑)。俯瞰でカメラが上がっていって、大友が倒れる。その後、僕は車に乗って事務所に戻り、張会長に「大友さん、死にました」と報告します。そこは珍しく、3~4回ぐらいNGになったんですよ。僕が何かやらなきゃいけないのかなと思って、間が悪いのかなとか考えたりもしましたが、1度、たけしさんが倒れた時に拝んでみたんですよ。すると、チーフ助監督が「拝まないでください!」と慌てて走って来て、思わず笑っちゃいました。自分でも何でそんなことしちゃったんだろうと(笑)。監督やスタッフもモニター見ながら、ゲラゲラ笑っていましたね。何かやらなきゃ。そんな緊張感があるんです。――NGの理由は何だったんですか?「会長に迷惑かけないでください」というセリフの微妙な優しさや冷たさ、死んでいく者に対しての温かみ……だと思います。僕の最初の言い方がちょっと強めだったんでしょうね。監督はやるせない感情を表現するのが本当にうまいと思いますね。撮影中、監督は現場でほとんどしゃべらないんです。だから役者は「NGが出ないということは良かったのかな?」みたいな感じで。次の日現場に来て、みんな様子をうかがいながら演技をしてるわけじゃないですか。でも、そのあたりはみんなプロですね。大友と李がスクラップ工場に行くシーンがあって、僕がベンツを運転していて、そこに乗り込んで来た監督が「参ったわ……」とボヤいていた時があったんです。「何かありましたか?」と聞くと、「西田さんや塩見さんがあまりにうまくて、編集をどうしようか」と。最初の頃から一緒にやっているので、僕には言いやすかったんでしょうね(笑)。○心優しい俳優・大杉漣さんの思い出――そして、今年2月、大杉漣さんが亡くなられました。『最終章』での共演シーンはありませんでしたが、思い出はありますか?本当にね……。漣さんとは下北沢・本多劇場前の飲み屋での思い出がありますね。小沢仁志とある監督が2人ほどいて、僕が遅れて行ったんです。漣さんは高橋伴明さんの現場とかで、何回か会ってまして。みんなで普通に飲んでいたんですが、小沢が僕にケンカを売ってきたんですよね。あいつ、昔から喧嘩っ早かったので。――まさかの展開です(笑)。そうなんです(笑)。小沢の弟・和義は北野監督の映画に出ていて(『その男~』に出演)、僕にそのことを訴えて来て。適当に流しながら普通に話してました(笑)。やっぱり小沢も、監督の映画にすごい熱い思いがあったみたいで(その後『3-4X10月』に出演)。漣さんはすごく穏やかな方なんですが、見守ってくださっていました(笑)。漣さんとは、高橋伴明組とかTVのシリーズものでも一緒になったなぁ。漣さん、サッカーが大好きなんですよね。ある作品でアクションシーンがあって、漣さんに蹴られるシーンがあったんですよね。「加減しないでください」とお願いしても、「僕、サッカーやってるからなぁ」と心配してくれて。「大丈夫ですよ」と説得して思いっきりやってもらったんですけど、そういう心優しい方なんです。世代的に1つぐらいしか変わらないからこそ思うのは……やっぱり、みんな働きすぎですよね。どこかで加減していかないと。僕も具合が悪い時があったんですけど、やっぱり頭の中は若いイメージのままだったりします。でもね、休む時は休まないと。しかし、監督は元気ですよね。『最終章』は真夏の炎天下の撮影もあったんですが、お付きの人がご飯を食べてる中、もう次のシーンの準備をしていましたからね。映画の現場には一番早く来ることにお付きの人も驚いていて。「こんなに楽しい現場はない」と僕にもおっしゃっていました。○ジャパンプレミアでの涙――昨年9月に開催されたジャパンプレミアで、白竜さんが感極まっている姿に胸を打たれました。『HANA-BI』でベネチア金獅子賞を受賞した時、監督から「北野組やってきてよかったね」と声を掛けられたと。監督も波乱万丈ですからね。『HANA-BI』の打ち上げの時、「ベネチアで賞なんか獲っちゃったりして」みたいに冗談半分におっしゃっていたんです。それで本当に獲っちゃうわけでしょ。ベネチアでその言葉をかけられて……いやぁ、ジーンと来ましたね。たけしさん、監督として思った以上に評価されない時代もあったんです。『HANA-BI』は監督自身が願っていたことが現実化したんじゃないか、そう思えた瞬間でした。そして、「俺も北野組の一員なんだ」と実感した瞬間でもありました。監督と数本ご一緒していましたが、当時全くそういう意識はなかったので、心に残っています。――ベンツ内での密談エピソードからも、すごく距離の近さを感じます。白竜さんにとって北野監督はどのような存在ですか?貴重なご縁をいただいているとは思うんですけど、実は携帯番号も知らないんです。撮影現場でお会いするぐらいで。ところが『その男~』が終わった頃、六本木で何度もばったり会ったんですよね。一度も電話したことないのに、会うと「おー! 一緒に飲もうよ」と誘ってくださって。そういう磁力みたいな結びつきを感じます。監督と一緒にやってらっしゃる役者さんは、そういうご縁の方が多いんじゃないですかね?■プロフィール白竜1952年10月3日生まれ。佐賀県出身。1978年に白竜バンドを結成、翌年に「アリランの唄」でデビューを果たす。1984年公開の映画『いつか誰かが殺される』で俳優業をスタートし、北野武監督の『その男、凶暴につき』(89)で殺し屋を演じたことがきっかけで、以後も数多くのアウトロー役が続々舞い込む。北野監督作はこれまで5作に出演している。(C)2017『アウトレイジ 最終章』製作委員会
2018年05月18日池田エライザが主演する、ワケあり物件に住みその履歴を帳消しにするという秘密のお仕事=“ルームロンダリング”を題材に描く『ルームロンダリング』。この度、本作でワケあり不動産屋を演じるオダギリジョーの怪しすぎる場面写真をいち早くシネマカフェが入手した。オダギリさんが演じるのは、池田さん扮する御子の叔父で、胡散臭い不動産屋を営む雷土悟郎。不動産屋業をしつつ、中華料理屋に偽造パスポートを作らせたり、サッカー少年たちを使って住人に立ち退きを迫ったりと、世間一般の不動産屋とは少し違う様子…。また、御子にルームロンダリングの仕事を用意する人物でもある。そして今回到着した場面写真では、サングラス姿にアヒルのランプを抱えた、なんとも怪しげな悟郎の姿が捉えられている。本作の監督、片桐健滋が助監督時代に『血と骨』(崔洋一監督)で現場を共にしているオダギリさん。今回の出演に関してオダギリさんは、「いまの時代、オリジナルの脚本を映画化する事は容易ではありません。微力ながら応援したい気持ちでこの企画に参加することにしました」と話し、さらに「想いの詰まった脚本がとてもユニークでしっかりと魅力のある世界観を感じさせてくれた」と参加理由を明かしている。オダギリさん含め、健太郎扮する眼鏡男子・亜樹人など、個性的なキャラクターが登場する本作。それぞれの新しい一面が本作では垣間見えそうだ。『ルームロンダリング』は7月7日(土)より新宿武蔵野館、渋谷HUMAXシネマ、シネ・リーブル池袋ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:ルームロンダリング 2018年7月7日より新宿武蔵野館、渋谷 HUMAX シネマ、シネ・リーブル池袋ほか全国にて公開©2018「ルームロンダリング」製作委員会
2018年05月16日池田エライザ主演の映画『ルームロンダリング』(7月7日公開)でメガホンをとる片桐健滋監督が26日、都内で開催された「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2018(以下TCP)」応募説明会に前年のグランプリ受賞者・針生悠伺氏と共に出席した。TSUTAYAがプロ・アマ問わず映画企画を募集するコンテスト「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM」。今年は6月5日にエントリーが締め切られ、1次・2次審査を経て11月の最終審査で通過作品が発表される予定となっている。2015年に準グランプリを受賞し、池田エライザ主演の『ルームロンダリング』で長編映画デビューを飾る片桐監督。「企画書として出す時に『面白そう』と思ってもらえるような文言を考えるのを一番大事にした」と応募時の工夫を明かし、「昨今、オリジナル脚本で映画化することが少ない。俳優さんとのやりとりで書き直してプラスになることもありましたし、逆に俳優さんの整理として言っていることで書き直さなくていいところもありました」と振り返った。同作は「島ぜんぶでおーきな祭 第10回沖縄国際映画祭」(4月19日~4月22日)で上映され、片桐監督は池田エライザ、健太郎と共に出席。「雨でした。池田エライザさんと一緒だったんですけど、僕なんか撮ってもしょうがないと思うので基本は傘をさす係」と自虐ネタで笑いを誘い、同作を観たという崔洋一氏や豊田利晃氏といった師事してきた監督から池田の演技が褒められていることを「僕もうれしかった」と喜んだ。そんな池田の起用は、片桐監督たっての希望だった。「初めて長編の監督。なるべく、イメージがある人よりはパブリックイメージとは違う役をしてもらいたいたかった」という狙いがあり、『ダ・ヴィンチ』で連載していることのほか、『オオカミ少女と黒王子』で起用した廣木隆一監督からの話を聞き、「(役柄の)御子ちゃんに近いんじゃないか」とオファーしたという。以前の説明会で「書かないよりかは書いた方がいい。出さないよりかは絶対に出した方がいい。落ちようがどうしようが、出した方が絶対に得です」と呼びかけていた片桐監督。応募を検討する参加者からは細かい質問が飛んだが、片桐監督はこの日も「考えるよりもとにかく出すことが大事。夢が開きます」とまずは行動を起こすことを勧め、「がんばってください」とエールを送っていた。
2018年04月30日20世紀後半のイギリスを代表する劇作家、ハロルド・ピンター。彼の代表作『管理人』を溝端淳平、忍成修吾、温水洋一の3人が演じる。職をなくしたばかりの老人と、たまたま老人と知り合いになったある兄弟。3人の関係が緊張感をもって描かれる今作。演出の森新太郎とキャストの初顔合わせの場で、話を聞いた。舞台『管理人』チケット情報「不条理演劇の旗手」とも呼ばれ、難解な印象もあるピンターの作品だが、演出の森は「笑えなくては意味がない」と意外な言葉を口にする。「初めてピンターを読んだときは、正直何が面白いんだかわからなかった。でも、たまたま気分が塞がっているときにこの『管理人』を読んだら、3人の無力な登場人物が身近に思えた。物語がとても自分に寄り添ってくれる感覚があったんです」。ピンターで“笑える”作品を目指す森だが、キャスティングに希望したのが今回の3人。「ピンターを演じるなんて、ふつうの俳優さんなら断りそうなもの。お三方が受けてくれただけでありがたい。しかも今3人が並んでいるところを見たら本当にイメージ通りで、テンションが上がっています」と嬉しそうに話す森。1959年に発表された戯曲は、今回の上演のために翻訳も新しくした。「現代の人の会話調になっていて実にスピーディです」と徐賀世子の新訳にも手ごたえを感じているようだ。人間同士のかけひきや争いをユーモアを交えて描く本作だが、演じる側はどう感じているのか?溝端は「演じるときにはどうしても過去の経験から役を考えて、形作ろうとしてしまう。でも今回はそれがまったく通じない作品という予感がして、大きな挑戦になると思います」と語ると、3人の中で唯一森演出を経験したことのある忍成が「森さんの演出は、大変だけれどくせになる。今回も稽古場で苦労するんだろうけれど、楽しみです」と話す。最年長の温水は「あまり哲学的に考えず、かといって無理に笑わせようとせずに、ふわふわとその場にいられたら。そこで笑いが生まれたらいちばんいいと思います」と自然体だ。森の話した“笑える”というキーワードに反応した溝端が「最初に読んだ時は難しいと思っていたけど、そういえばこの気まずい空気、アンガールズさんの『ジャンガジャンガ』がずっと続いているようなもんですね」と言うと全員から納得の笑いがもれた。「こんな優れた作品があまり日本で上演されていなくてラッキーだった」という森。「そもそも『管理人』という全く劇的な匂いのしないこのタイトルからして大好き(笑)。この地味なタイトルに少しでも惹かれる人は見にきてほしい。そして笑っていただいて、その奥にある切なさを感じてもらえたらいちばんいいなと思います」と締めくくった。ピンターを敬遠しがちな人も知らない人も、純粋に3人の関係を面白く見られる作品になりそうだ。公演は11月26日(日)から12月17日(日)まで東京・シアタートラムにて、その後兵庫で上演。取材・文:釣木文恵
2017年08月29日「第9回WOWOWシナリオ大賞」受賞作「稲垣家の喪主」を、『ヒロイン失格』『トリガール』の英勉(はなぶさつとむ)監督が映像化することが決定。WOWOWドラマ史上最年少の金成祐里を主演に広末涼子、森山未來が脇を固め、“喪主”をテーマに描くホームコメディから特報映像が解禁となった。小学2年生の稲垣宙太(金成さん)は猛烈なあがり症。ある日、ジイジの葬儀のとき、喪主の挨拶で緊張のあまり、しどろもどろになる父親の姿を目の当たりにした宙太は悟る。「ぼくのあがり症は、遺伝だったんだ…」。自分が喪主となって挨拶をするのはまだ先の話、そう思っていた宙太だが、ある事実に気づく。宙太の家には元キャリアウーマンの伯母・杏子(広末さん)と、売れない漫画家の叔父・脩二(森山さん)が同居している。2人は、結婚どころか、そんな相手もおらず、作ろうともしない。このままだと、ぼくが杏子と脩二の喪主もやることになる!?事の重大さに焦った宙太は、杏子の見合い話が両親のもとに届いたのを千載一遇のチャンスと捉え、自分の誕生日会で2人を引き合わせようとする。さらに脩二には、結婚したはずの同級生の女性が目の前に現われる。果たして、宙太は杏子と脩二を結婚させ、将来、待ち受ける“喪主の挨拶”を回避できるのか――。毎年WOWOWが実施する「WOWOWシナリオ大賞」。424編から選ばれた第9回受賞作、小山ゴロの脚本「稲垣家の喪主」をドラマ化した本作は、あがり症で悩み、いまから喪主になることを心配する小学2年生の男の子を主人公に、彼を取り巻く伯母、叔父、両親、祖母らが織り成す群像劇。シリアスな良質社会派ドラマを輩出するWOWOWオリジナルドラマの中にあって、笑って泣ける異色のホームコメディとなっている。オーディションで主人公・稲垣宙太役に大抜擢された金成さんが、少し心配性で心優しい7歳の少年を見事に演じ切った。また、二世帯住宅で同居する元キャリアウーマンで人情が厚い“独身”の伯母役に広末さん、売れない漫画家で少年の心を持った“独身”の叔父役に森山さんら豪華俳優陣が集結。監督は、映画『ヒロイン失格』、2017年9月公開『トリガール!』など、涙あり、笑いありの心温まるコメディに定評のある英さんが務める。「うれしくて、撮影をするのが待ち遠しかったです!」と堂々としたコメントを寄せるのは、オーディションから大抜擢された金成さん。「広末さんは、杏子さんと(お父さんの)幸太郎さんが喧嘩しているときにスリッパ叩きをしているときが楽しかったです。森山さんはカードゲームの話をしてくれて、話が合った!」と、2人との共演の微笑ましい感想を語る。「(あがり症の)宙太が緊張している顔が面白いです。だけど、たまに緊張しない顔をするときもあって、それが面白いのでぜひ観ください!」と見どころを語っている。また、宙太の伯母・杏子役の広末さんは、「台本が固まってくるにつれて、(私が演じる)杏子がゴーイングマイウェイな感じがとても強くなったので、家族の関係性もクリアに見えてきて、面白いなと思いました」と自身のキャラクターに言及。見どころは、「主人公の宙太はもちろん、私が演じる杏子も弟の脩二もそれぞれがカッコ悪いところもあったり、悲しいこともあったりしますが、みんなが一生懸命に生きている」ところと語り、「宙太がパパにビールをつぐシーンで、大人たちが台詞の順番を間違えたときに、戸惑いながらビールをつぎに行くところがすごく可愛かったです!」と撮影のエピソードを明かしている。宙太の叔父・脩二役の森山さんは、「僕が演じる脩二は、職に就かず漫画を描いている人ですけど、売れているわけでもなく(出版社に)持ち込みをするわけでもない、コツコツと書き溜めているだけで、なあなあな感じで漫画を描いている人です。イメージとしては、自身のこだわりを持ち続けている人だけど、上から目線でもなく、卑下しているわけでもない、淡々と、なんとなく生きてきた人だなと思います」と役どころを説明。「本作のようなファミリードラマは最近見ないような気がします」と言い、「いろんな濃いキャラクターを持つ人たちが右往左往して、若干バタつきつつも、最終的に家族に落ち着いていく温かいドラマになっています」と見どころを語っている。「シナリオ大賞」で選考委員長を務めた映画監督の崔洋一は、「少々、小生意気で小心者の子どもが主人公であり、その家族が彩りと群像劇を構成するのだが、くすりとくる温かい笑いを評価したい」とコメント。受賞者の小山氏はドラマ化にあたり、二世帯住宅でともに暮らす両親と祖母、伯母、叔父といった宙太の家族に触れ、「この物語を宙太と同じ目線で見つめるとき、仕事も恋愛も残念な伯母と叔父は、ちょっと面倒で厄介な存在だったりします。でも、ぎこちない優しさを持った伯母といると心が温かくなって…純粋な叔父といると何か楽しくて…そんな気持ちにさせられます。この可愛い未来の喪主が、慌てたり、喜んだり、怒ったり、がっかりしたり…そんな姿を笑って、ちょっと泣いて、そんなふうに観ていただけたら嬉しく思います」と期待を込めている。極度のあがり症の宙太が、将来待ち受けるであろう“喪主”の挨拶という危機を回避するべく伯母と叔父を結婚させるため、子どもながらに奔走する姿を微笑ましく見守ることができそう。宙太を演じる金成さんの等身大の“可愛らしさ”にも注目だ。第9回WOWOWシナリオ大賞受賞作 ドラマW「稲垣家の喪主」は3月18日(土)22時~WOWOWプライムにて放送。(text:cinemacafe.net)
2017年01月17日剛力彩芽が主演する、来年1月期スタートの新ドラマ「レンタルの恋」。この度、太賀、健太郎、温水洋一ら共演者が発表された。剛力さんがレンタルの彼女運営会社「Rental Lovers」の人気No.1彼女・高杉レミを演じる本作。物語は、クリスマスが目前に迫るある日、うだつの上がらない大学生・公介(太賀)が「Rental Lovers」の社長兼マネージャー・鷹見鑑物(温水洋一)と偶然出会うところから始まる。キャンペーン期間中にレミ(剛力彩芽)をレンタルした公介は、無理難題にも完璧に応えて相手好みの“理想の彼女”になりきるレミの魅力に惹かれて恋に落ちる。「僕は、君を永久レンタルしたい…」と言う公介、するとレミの答えは「それは絶対にできません」。 レンタルから始まるもどかしい恋の行方、そして謎めいたヒロイン・レミとは一体何者なのか?映画やドラマで活躍し、最近では「仰げば尊し」でパンチパーマの熱い男・高杢金也役を演じたことも記憶に新しい演技派の若手俳優・太賀さんが、剛力さん演じるレミにぞっこんになる大学生・山田公介役、公介の幼馴染みで彼に恋心を抱いている道端すみれ役に、大河ドラマ「真田丸」を始めドラマや舞台などで活動する岸井ゆきの、そしてレミたちレンタル彼女を取り仕切る運営会社「Rental Lovers」の怪しげな社長兼マネージャー・鷹見鑑物役に、個性派俳優の温水さんがキャスティング。剛力さんとは高校の同級生だと言う太賀さんは、「こうして恋愛ドラマをやることがなんだか不思議で、共演をとてもうれしく思います」と喜び、「踏み出す勇気、諦めない気持ちを持って一筋縄ではいかない片想いに挑みます。水曜深夜にポジティブでポップな恋愛ドラマをお届けできるよう頑張ります」と意気込み。岸井さんは「こちらが自然と元気になってしまう、剛力さんの素敵な笑顔にたくさん会えると思うと、いまからとっても楽しみ」と期待を語り、「一緒に楽しくドラマを作っていきたいです!」とコメント。さらに剛力さんとは初共演の温水さんは、「すごく楽しみです!周りの共演者たちも若いので、一緒に楽しいドラマが創れれば最高ですね!とにかく楽しみたいです!」と早くも心躍らせているようだ。ほかにも、公介の幼馴染みで同じ大学に通う資産家の息子・橘隼人役に健太郎さん、「Rental Lovers」のNo.2でレミのライバル・天戸悠役に原幹恵、隼人とラブラブの彼女・細井美姫役に信江勇、さらに金田彩奈、清原翔らフレッシュなメンバーが集結している。「レンタルの恋」は2017年1月18日より毎週水曜日深夜24時10分~TBSにて放送。(cinemacafe.net)
2016年12月10日モデルとして雑誌「装苑」「Soup.」などにも登場する台湾の新星ヤオ・アイニンが、『恋愛奇譚集』で日本映画初主演を果たすことが分かった。また今回併せて、天栄村の景色と美しい少女が印象的な映画のメインビジュアルも公開された。台湾からの留学生・ユーウェン(ヤオ・アイニン)は、「感情は一瞬で変わるから、恋愛することは馬鹿馬鹿しい」と思っていた。思うように言葉が通じないもどかしさを抱えながら、ホームステイ先の古川酒造の3代目涼太(和田聰宏)や同じクラスの気になる男子・光孝(柳俊太郎)とその彼女・香織(遠藤新菜)たちと日々過ごしているユーウェン。ある日、彼女にしか見えていない赤いコートを着た謎の少女・ユリ(福田麻由子)と出会うことで、心の内を話せる友達ができ、笑顔を取り戻していく。「私たち2人は同じ国の人なのかも…」しかし、楽しい時間を共有していくと同時に、ユリと涼太そして東京から出戻ったワケあり娘・彩子(内田慈)との関係、そこに悲しい過去があることを知る。ユリが幽霊だとわかった異邦人のユーウェンは、ユリの心残りに唯一気づき、不思議な絆で繋がっている2人は、大切な日に秘密の作戦を決行する。果たして、ユリとユーウェン2人の想いは届くのだろうか?そして、彼女たちは誰かにとって忘れられない存在になれるのだろうか――。本作は、台湾からの留学生を主人公にし、田園風景を持つ米どころの福島県天栄村を舞台にした切ない恋愛映画。本作にて映画初主演を果たすヤオがユーウェンを演じるほか、ロケ地である福島県天栄村出身の俳優・和田聰宏、内田慈、福田麻由子、フレッシュな若手俳優の柳俊太郎や遠藤新菜、さらに前野朋哉、中島歩、山本浩司、水橋研二、康すおんら映画ファン必見の俳優陣が集結している。監督は、宝塚造形芸術大学在学中に、崔洋一監督、成田裕介監督、福岡芳穂監督から映画制作を学び、思春期の少女や若い女性を主人公に描く作品を得意とする倉本雷大。脚本は、『ストロベリーショートケイクス』(矢崎仁司監督作)、『七夜侍』(河瀬直美監督作)、『百瀬、こっちを向いて。』(耶雲哉治監督作)など多数の映画脚本を送り出してきた狗飼恭子が担当する。ヤオは「私にとって本作はとても美しい映画です。その美しさは人と人のつながりにあります。いま、ここで誰かといることを大事にして、心で感じたいのです」と本作について話し、「撮影のとき、私自身はユーウェン役そのままでした。一人で日本に来て、皆さんと仕事をして、最初はなじめなかったのに後半はすごく仲良くなりました。まさに映画の中にある台詞の通り『みんなすぐに忘れちゃうと思う。でも、それでもいい。ときどき思い出してくれさえすれば』。私たちは一緒に映画を作ってた、そう思い出してくれればいいのです」とコメント。さらにまた「きっと恋によってだけ、人は誰かの物語の登場人物になることができるんだ」という台詞を用いて、「人が他人の人生に関わることは、ちゃんと理由があると思います。皆さんもこの映画を観て、いまを大事に、一緒にいる人を大事に思っていただければと思います」と語っている。『恋愛奇譚集』は2017年2月4日(土)より新宿シネマカリテ、フォーラム福島ほか全国にて順次公開。(cinemacafe.net)
2016年12月05日群像新人文学賞を受賞して雑誌に掲載された時からすでに話題を集め、いきなり芥川賞候補にもなった『ジニのパズル』。これがデビュー作となる崔実(チェシル)さんは1985年生まれ。「はじめて小説を書いたのは22~23歳の時。それまでは映画の脚本を書いていましたが、脚本ではその人が頭で考えていることが書けない。小説なら表現できると思ったんです」翌年もう一作書き、その後、絵本なども書いたものの小説作品は『ジニのパズル』が3作目。「29歳になった時、映画学校の仲間たちと“村上春樹は30歳でデビューした”と話していたのを思い出し、自分も何かやらなきゃと思いました。それまでは自分が在日であることをテーマにするのは簡単すぎるからと避けてきましたが、30歳になる時に自分の過去をおさらいしておこうと思い、はじめて小説に書きました」主人公はオレゴン州の高校を退学になりそうなジニ。日本の小学校から朝鮮学校の中学に進み、その後ハワイへ移り、今はオレゴンにいる彼女に、これまで何があったのか―。「朝鮮学校やハワイ、オレゴンという流れは私の体験と同じですが、私の場合は親任せでした。ジニは自分の意思で行動していますね。この話が誰かの力になればいいなと思いながら書いたので、そういう子になったんだと思います。エンディングは決めずに、ただただジニを追いかけていく気持ちで書きました」パワフルで大胆、世の中への違和感を表明しながらも実は心細さを抱いているジニの姿に、自分の10代の頃を重ねる読者も多いのでは。「自分も学校のグループ行動や組織的なものが苦手で一人でウロウロしていたので、その時に考えていたことは作品に入っていると思います」また、ステイ先の絵本作家・ステファニーの懐の深さが印象的だ。「10代の頃にこんな人にいてほしかった、こんな言葉をかけてほしかった、という願いがありますね」構成や文体にも工夫がみられるが、「最初は400枚くらい書いたんですが、締め切りの2週間前に規定枚数が250枚だと知り、最初から全部書き直して今の形になりました」というからその力量に驚いてしまう。次回作は現在、最初の2行だけが頭の中にあり、今はまだ「溜めている状態」なのだそう。◇オレゴン州の高校を退学になりそうなジニ。過去、日本で彼女に一体何があったのか、そして今後どうするのか。鮮烈な群像新人文学賞受賞作。講談社1300円◇チェ・シル作家。1985年生まれ。今年、本作で第59回群像新人文学賞を受賞しデビュー。作中の印象的なフレーズ「空が落ちてくる。何処に逃げる?」は以前日記に書きとめていた言葉だとか。※『anan』2016年8月31日号より。写真・森山祐子インタビュー、文・瀧井朝世
2016年08月26日●「やらせてやる」風潮の変化みなさんは「助監督」と聞いて何を思い浮かべるだろうか? TSUTAYAがプロ・アマ問わず映画企画を募集するコンテスト「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM(以下TCP)」が昨年に引き続き今年も行われ、先月13日に締め切られた。受賞作には最大で製作費5,000万円(今年度は最低5,000万円)が約束されるという同社の"太っ腹映画愛"が話題になったが、その第1回で準グランプリを受賞したのが、助監督として映画業界に生きる2人の男だった。加藤卓哉氏は、SNSの"裏アカウント"を持った女性が欲望と理性の狭間で愛に生きる姿を描いた『裏アカ』で「GREEN FUNDING賞」を、一方の片桐健滋氏は、訳あり物件に居住して部屋を浄化することを生業とする無気力女子が主人公の『ルームロンダリング』で「Filmarks賞」を受賞。奇しくも女性の人生を追った2人には、「助監督」としてどのような生き様が貫かれているのか。両作のクランクインは来年初旬を予定しているという。同じタイミングで映画監督デビューを飾る2人の目には「やっと自分の映画が作れる」という希望の光と共に、決して明るくはない日本映画界の未来も映っていた。○監督と助監督の間にそびえる"壁"――あらためまして、昨年の受賞おめでとうございます。撮影はこれからだと聞いています。受賞後で何か変化はありましたか?片桐健滋(以下片桐):大きな違いは周りの反応のような気がします。僕も加藤くんも演出部出身なので、受賞後も他の現場での仕事があるわけです。悪い言い方になりますが、一応"食いぶち"なので(笑)。やっぱり続けていかないといけない。その中で、ほかの助監督やスタッフとのやりとりを通じて、受賞したことが「うそじゃなかった」と実感しているような感じで。刺激になった人もいるみたいですが、一方で「やらせだったんじゅないか」みたいな声も届いています(笑)。加藤卓哉(以下加藤):僕も同じです(笑)。周りの監督にも「次はいよいよ加藤が」と自分のいない所で言ってくださる方がいます。受賞したことで、周りの見る目が変わったというか、こんな僕でも演出家の卵として認めてくださる方がいたのは、うれしかったですね。――助監督は監督になるための近道だと思い込んでいたのですが、現実はそうでもないみたいですね。片桐:東映、東宝、松竹など、大きな映画会社がスタッフを雇っていた時代がありました。カメラマン、照明、録音、美術、俳優、そして演出。昔であれば、そこから監督になる流れがありました。今では雇われなくなったことでその流れが変わり、われわれは"町場"の人間となりました。"町場"の人間が監督になるためには……プロデューサーとかなり密な関係になるしかないんじゃないですかね。どうですか?加藤:「この人の下についていれば、いずれ監督になれる」みたいな、エスカレーター方式の道筋がこの業界にはなくなってしまいましたよね。監督と助監督の間にある壁は、果てしなく高く分厚い(笑)。それでも、俳優さんや芸人さんがいきなり監督をやられたりするので、本当に頭打ちなんです。若い子はどんどん辞めていってしまって、このままだと逆三角形型のような業界になりかねない。監督になるのは、本当に難しい時代だと思います。僕は今37歳なんですが、40歳までに監督になれなかったら、実家に帰ろうと思っていたんです。そういう誓いを立てたのは……一生助監督なんて続けたくないから(笑)。ハリウッドには、助監督を専業としている人はいます。でも、そうはなりたくない……。僕だけじゃなくて、みなさんそういう思いはあると思います。――助監督はおおまかにどのような仕事なんですか?加藤:それだけで2時間ぐらい語れますよ(笑)!――「一生続けたくない」仕事とは、どんなものなんだろうと。片桐:潰しの利かない仕事なんです。撮影・録音などと違って、技術職ではないので、壮大な素人というべきか…。大切とされる仕事の中で「スケジュール管理」はその1つとして挙げられます。撮影地の諸々の手配や当日の天候、俳優の予定など、さまざまな条件に左右されながら、決められた予算内でそれらを進めていく。これを「チーフ助監督」が担当しています。その下の「セカンド助監督」は監督と共に芝居のことについての指示や、衣装やメイクとのつながりとなる役目。さらにその下の「サード助監督」は、主に美術・装飾周りを担当します。そして、その下の「フォース助監督」は、カチンコを打ったり。「助監督」の中には、そういう役割分担があります。――助監督だけでもそんなに!?加藤:何人もいるんです(笑)。――監督になることがどれだけ大変なことか、何となく分かってきました。片桐:TCPはそのハイエンドであればいいと思います。最終審査を担当されるのは、実際にバジェットを動かしているプロデューサー。本当にその作品が、世に出すのにふさわしいのか。厳しい目で選んでいただけるので、映像業界のプロの方々はぜひ出すべきだと思います。それとは別に、僕らのように演出家で食べていきたいと考えている若手に、もっと別なチャンスも必要だと思います。例えばNetflix、YouTube、Amazonなどでのオリジナルコンテンツをローバジェットでもいいので、若手に任せる機会を作ってほしい。半分は慈善事業みたいになってしまうので、ビジネスの面から見ても難しいとは思いますが……。そういう意味では、「お金」と「育成」のバランスを上手にとれるプロデューサーが不在というのも、背景にはあると思います。加藤:昔は連ドラなどで、チーフ助監督に1本撮らせてみようとか、映画の予告編を助監督が作るとか、「やらせてやる」風潮があったんですが、今はほとんど聞きません。単純にコンテストを増やせばいいというわけではないですが、「育てる」「見つける」みたいなチャンスが、もっと増えてくれないと困ります。●「音楽成金はいても、映画成金は少ない」○邦画界に忍び寄る"負の連鎖"――そのほか、日本映画界が抱えている現実問題はありますか。片桐:監督になられた方は、プロデューサーの方、もしくは脚本家の方と会う機会があるんですよね。でも、それ以外の人間はほとんど。接点がないかもしれません。チーフ助監督になるとプロデューサーや脚本家とは会いますが。脚本家とやりとりして、それをプロデューサーに持っていくような、自分たちでオリジナルコンテンツ作っていけるような互いに意見交換するような下部組織がありません。そういう風通しの良い環境が、昔は映画会社の中にあったんじゃないでしょうか?今ではみんなが単独行動をしていて、横のつながりがない。だから、オリジナルコンテンツを作りにくい状況にあるんじゃないかなと思います。加藤:TSUTAYAの増田社長がおっしゃっていたんですが、「音楽成金はいても、映画成金は少ない」と。お金がすべてだとは言いませんが、「憧れ」につながるものがあればいいなと。今、業界に残っている人は本当に映画が好きで、根性で残っている人が多い。真剣に映画業界を盛り上げていこうと思ったら、別のところから引っ張ってくることも必要になってきます。でも、呼び込むためにはお金も必要になる。お金が回る業界になれば多くの才能が集まってくると思うので、そうするとそれが相乗効果になって業界発展につながる。現場のお金が乏しくなり、スタッフが大変になり、映画のクオリティが下がり、若い子が辞めていく……まさにデフレスパイラルのような状態です。今こそ転換しなければならないと思います。片桐:それから、「映画を映画館で観る」ことが「当たり前」ではなくなってきたことも問題として挙げられます。そもそも、興行した時の映画館の取り分が多すぎるんです……(約50%)。監督と話しているとそういう事情はよく耳にします。――そんな業界をどうやって盛り上げていきましょうか。片桐:ドライブインシアターはすでにありますが、僕がいつか見てみたいのが「移動遊園地」のような映画館。お客さんには鑑賞料ではなく入場料をいただいて、中ではいろいろなブースが待ってるんです。子供も遊べるような場所として、休日の過ごし方の1つとして根付かせることができれば、映画も楽しんでもらえそうな気がしませんか? 幼い頃に観たものは大人になっても記憶に残りやすいですし、そうやって子供の興味につながることを最終的にはやりたいと思っています。あれ、TSUTAYAさんならできたりするのか…。加藤:僕は自分がのしあがっていくことで精一杯ですが(笑)。でもそうやって映画を見てくれる人口が増えないとダメなので、とっても良い試みだと思います。映画は「芸術」と「ビジネス」と半々のものだと思います。ビジネスとして成り立つ映画館以外の仕組みが必要だし、今がその過渡期なんだとは思います。○TSUTAYA20万ポイントの使いみち――ところで副賞としてTポイント・20万ポイントが贈呈されたそうですが……やっぱり気になってしまうのは使い道です。加藤:僕は牛角に行きました。プレゼン映像の撮影に協力してくれたスタッフ全員を呼んで、いちばん高いプレミアムコースを注文。お会計は13万円ぐらいでした。「Tポイントで支払います」と伝えたら、牛角の店員さんも「え、全額ですか?」と二度見され(笑)。残り7万円でエアコンを買いました。――牛角会は盛り上がりましたか?加藤:盛り上がりましたね! みんな喜んでくれたというか……なんでしょうね。一人一人にお礼をして回っていたら、時間切れでほとんど肉が食えませんでした。片桐:僕は、一緒に企画を出した梅本さん(プロデューサー)と半分半分。梅本さんはケルヒャーを買ったそうです。「窓掃除するやつ買った」と聞いて、内心では「なぜこのタイミングで……」と(笑)。僕はこの際、欲しかったDVDを山程買ってやろうと思ってたんですが、ヨドバシカメラに行ったらカミさんが「あっ、電動自転車……」とつぶやいて(笑)。ヤフーショッピングで買ってあげました。価格は16万円。はい。赤字です。まぁプライスレスですから(笑)。――そんな災難があったとは(笑)。それでは最後に。これから撮影だと思いますが、現在の心境をお聞かせください。片桐:「TCPの1回目の受賞作が面白かった」と言われるような作品にしたいです。自分のこれからのことは置いといて、自分が賞をいただいたからには、「面白い」と言われるものに何としてもしたい。そしてTCPは来年もあると思いますので、映像にかかわっている人はとにかく出すべきだと思います。加藤:やっぱり、TCPは僕の人生を変えてくれたと思っているので、それに報いたいというか、恩返ししたい気持ちが強いです。そのためには「面白い映画を作る」ということに尽きると思うので、それに向けて一生懸命がんばりたいと思います。■プロフィール・片桐健滋1979年大阪府生まれ。高校在学中より8mm映画制作を始め、1997年に神奈川映像コンクールで「ice・cream」が入賞。2000年に渡仏し、フランソワ・トリュフォーの編集で知られるヤン・デデ氏に3年間師事。帰国後、フリーの編集を経て、演出部に転向。以降、崔洋一監督、豊田利晃監督、羽住英一郎監督、廣木隆一監督などに師事し現在に至る。・加藤卓哉1978年愛知県生まれ。大阪府立大学・工学部卒業後、東京で就職しソニーのエンジニアとして働く。映画業界への転職を一念発起し、経験不問の求人を見て東映株式会社と契約。その後助監督として『劔岳 点の記』『孤高のメス』『わが母の記』『あなたへ』『アゲイン』『くちびるに歌を』など東映以外の作品にも積極的に参加し、現在に至る。
2016年08月04日俳優・温水洋一が10日、若手俳優応援アプリ「CHEERZ for MEN」に登場し、ユーザーから話題となっている。同アプリは、フォッグ・マーベラス・テレビ朝日ミュージックの3社共同事業として開発・運営されており、2.5次元作品を中心に活躍する若手イケメン俳優が100名以上参加している。若手俳優が投稿する写真に"CHEER(応援)"ボタンを押すことで、気持ちを伝えることができる無料アプリ。10日17時に、ベテラン俳優・温水が姿を表すと、ユーザーは「CHEERZに温水さん参戦で思わず笑ったんだけど。なんだろう、すごい和む」「これは応援せざるをえない」「温水さんがチアーズやってて大草原。めちゃくちゃ応援するわ」と反応し、温水への"CHEER"数は1時間で1万超えを記録した。現在、温水が投稿した2枚の写真には3万を超える"CHEER"が集まっている。温水は、同アプリが企画した、人気若手俳優・北村諒主演のオリジナルショートフィルム『居酒屋ウォーズ』(GYAO!配信 5月10日~22日)に出演中。アプリには5月31日までの期間限定登場となる。
2016年05月12日「第9回WOWOWシナリオ大賞授賞式」が16日、東京・赤坂の同局で行われ、小山ゴロさんの『稲垣家の喪主』が大賞に選ばれた。2007年に創設された同アワードは、プロ・アマ問わず優れたシナリオ作品を発掘し、脚本家の育成を通じて広く映像文化の発展に寄与するというもの。第9回となる今年は、応募総数424作品の中から大賞に小山ゴロさんの『稲垣家の喪主』、優秀賞にさいこりえさんと山口智さんの『50才で、カフェ始めました。』、牧圭一さんの『刑務所の土』、藪野ゆうきさんの『mind dive』がそれぞれ選ばれた。『稲垣家の喪主』で見事大賞を射止めた小山氏は「ここ2~3年、作品を最後まで書くことが困難になってきまして、この作品も最初の20枚を書いてずっとパソコンの中に入れてました」と明かすも「どうしても最後まで書きたいと思って、今回に合せて仕上げました。最後まで書けたことだけでも私にとっては大事なことで、最初の選考に残ったことで満足しましたが、ここまで来たら大賞をいただきたいと強く願って毎日過ごしてました」と胸の内を告白。続けて「大賞の知らせをいただいた時はすごく嬉しくて、読んでくださった審査員すべての方に感謝しています。本当にありがとうございました」と感謝の言葉。そんな小山さんの受賞作品が来年ドラマ化されるが、それについて「稲垣家の人々と出会えるのを楽しみにしております。素敵な作品になることを望んでいます」と期待を寄せていた。同コンテストの審査委員長を第1回から務めている崔洋一は「洒脱な笑いの世界を楽しみにしておりますので、映像化されることは、あなたの人生にとっても良いことだと思います」と小山氏を祝福。全体の総評として「ある意味では安定化、一定の水準を保ってくれています。選考は悩ましいところでしたが、9回目を実施してきて、その悩ましさを突き破る作品が出てくるべきだろうと思います。とはいえ、今回の作品は高い水準の中で選ばれました」と話しながら、この日から応募をスタートした節目の10回目となる同コンテストに向けて「今まで培ってきた9回までに至る質を凌駕するものを選考委員は求めています。大いなる冒険心、探究心、好奇心、すべての世代を超えてという意味合いですが、大いなる新しい世界を築いていただきたい。今までの傾向と対策を一旦離れ、全身全霊を込めて応募していただきたいです」と応募者への要望も話していた。
2016年03月17日RIA(Rich Internet Applicationカンパニーの日本ネクサウェブは、新たなCEOに崔彰桓(チェチャンファン)氏が就任したと発表した。同氏は2003年韓国外国語大学を卒業し、2004年教保情報システムズの日本法人に入社。 2006年にトゥービーソフト(韓国)に入社し、2008年からトゥービーソフト 東京支社長として勤務後、2012年トゥービーソフトジャパンのCOO(最高執行責任者)に就任。2014年トゥービーソフトジャパンとの合併後は、日本ネクサウェブの取締役に就任している。同社はUIプラットフォームのnexacro platformを軸に、モダナイゼーションを実現するXGENシリーズ(XGEN-WEB, XGEN-VB, XGEN-SAP)などのソリューションラインナップをより多くの顧客に提供するため、ビジネス基盤やパートナーシップ強化と事業戦略の立案・実行に注力するという。
2016年02月02日『スターウォーズ/フォースの覚醒』の出演でも注目を集める実力派俳優オスカー・アイザックが主演を務め、24の映画賞に40ノミネート・6部門を受賞した『アメリカン・ドリーマー 理想の代償』が10月1日(木)より公開される。このほど、80年代のニューヨークを舞台にした緊迫の社会派ヒューマンドラマに、俳優の坂上忍を始め、“成功とは何かを知る大人の男たち”から“共鳴”のコメントが到着した。1981年、犯罪と暴力が氾濫するニューヨークのオイル業界。クリーンなビジネスを信条に一代でオイルカンパニーを築きあげた移民のアベルとその妻アナ。事業拡大のため、ある土地購入の頭金として全財産を投入した直後、何者かの手によって、オイルを積んだトラックの強奪が相次ぎ、脱税による嫌疑、家族への脅威など、次々にトラブルがのしかかる。悪いうわさは一気に広まり、ついに銀行から融資を断られ、信頼していた妻との間にも亀裂が。刻一刻と破産が迫るなか、孤立無援のアベルはトラブル解決のために奔走する――。『インサイド・ルーウィン・ディヴィス 名もなき男の歌』や『スターウォーズ/フォースの覚醒』などで、いま注目度&人気ともに急上昇中のオスカー・アイザックが主人公のアベル役を務め、妻アナ役を『ゼロ・ダーク・サーティ』『インターステラー』のジェシカ・チャステイン、さらに、アベルを追い詰める検事役を『グローリー/明日への行進』のデヴィッド・オイェロウォと演技派が集結する本作。オイルビジネスの世界で経営者が強いられる壮絶な危機を、圧倒的クオリティと息もつかせぬ緊迫感で描き、本年度の映画賞を席巻。監督を、デビュー作『マージン・コール』とロバート・レッドフォード主演の『オール・イズ・ロスト ~最後の手紙~』の2作品でハリウッドの次世代を担う旗手と称えられたJ・C・チャンダーが務めている。この、いまの世代にも通じるリアルな人間ドラマは、俳優の坂上さん、ジャーナリストの鳥越俊太郎、映画監督の崔洋一といった、社会での酸いも甘いもかみ分け、“成功”とは何かを知る大人の男たちをすっかり魅了した様子だ。<コメント>・坂上忍(俳優)最も正しい道…。誰もが通りたくても、なかなか通れない道。でも、目指さなきゃいけない道。監督のブレが一切ない、信念の映画だ!・鳥越俊太郎(ジャーナリスト)アメリカン・ドリームという甘美な響き。しかし、現実は厳しい。正直一途な移民夫婦は会社経営で成功を夢見るが、危機が迫る!・崔洋一(映画監督)夢に漂う男と女。掌から溢れ落ちる雫はあまりにも切ない。『アメリカン・ドリーマー 理想の代償』は10月1日(木)よりTOHO シネマズ シャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:アメリカン・ドリーマー理想の代償 2015年10月1日TOHO シネマズ シャンテほか全国にて公開(C) 2014 PM/IN Finance.LLC
2015年09月28日「第8回WOWOWシナリオ大賞授賞式」が5日、東京・赤坂の同局で行われ、川崎クニハル氏の『双葉荘』が大賞に選ばれた。2007年に創設された同アワードは、プロ・アマ問わず優れたシナリオ作品を発掘し、脚本家の育成を通じて広く映像文化の発展に寄与するというもの。第8回目を数える今年は、応募総数482編の中から大賞に川崎クニハル氏の『双葉荘』、優秀賞に大谷洋介氏の『タクハイ・ドライバー』、ネオ・ポフスキー氏の『駱駝色の女』、堀脇れいく氏の『姐さん』がそれぞれ選ばれた。『双葉荘』で見事大賞を射止めた川崎氏は「30年以上商業映像の演出の仕事をやっておりますが、実は50歳を過ぎた頃から自分でもストーリーを作りたいという欲が出てきて、今回の『双葉荘』は8作目ぐらいです。この話は私が若いころに体験した実話をベースにしており、そこから自分なりに脚色を加えていきました」と受賞作について説明し、「60歳を越えてますので、これから私はどうなるんだろうかと大変興奮しております。こういう機会を与えていただいて本当にありがたいです」と感謝の言葉。川崎氏の作品は年内にWOWOWで映像化されるが「非常にエキサイティングですね。ただ、私は普段自分でも演出するので、生まれて初めて他の方に演出されるということで、どう受け止めていいのか分かりません。これもまた面白い次の人生の第一歩かなと皆さんに感謝しております」と話していた。また、選考委員長を務めた映画監督の崔洋一は「WOWOWシナリオ大賞はオールジャンルでオリジナルが大前提。応募した方たちの野心といいますか希望というものが映像化されることで結実されます。非常に高い評価をいただけるようになりましたが、それと同時に権威にはしたくありません。いずれは世界性を持って受賞作品が国境を越え、受け入れてもらえるように今後とも選考にあたってきたいと思います」と講評した。なお、昨年大賞に選ばれた栄弥生氏の『十月十日の進化論』(尾野真千子主演)が、3月26日(22:00~)にWOWOWでドラマWとして放送される。
2015年03月06日BSスカパー!『スカパー! アワード2014』の生放送が17日、都内スタジオで行われ、MCを務めた東野幸治、剛力彩芽をはじめ、崔洋一、石田純一、ケンドーコバヤシ、はるな愛、道端アンジェリカ、小芝風花、日本エレキテル連合が出演した。今年で7回目を迎えた『スカパー! アワード2014』は、1年間にスカパー! で放送された86番組の中から、視聴者投票で表彰するもの。"ココロ動いた番組賞"には、『海賊王船長タックseason.2』(パチ・スロサイトセブンTV)や『グンちゃんがいっぱい特集』(KNTV)、『ガンダム35周年特別番組UC宇宙の記憶』(アニマックス)など10作品が選ばれ、視聴者からトロフィーが贈られた。また、スタジオには、同賞に輝いた『夢眠ねむ&Maa夢眠姉妹のわくわく キュイジンヌ』(FOODIES TV)から、でんぱ組.incの夢眠ねむと実姉で料理人のMaaが登場。2人はスタジオ内のキッチンでクリスマスケーキを作り、試食をしたケンドーコバヤシは、「ホンマ美味しい!」と大絶賛。アワード受賞に、「ビックリしました。長寿番組になるように頑張ります」と笑顔を見せた夢眠に、Maaは「(夢眠は)ほっこりする家庭料理が得意で、すごく美味しいんです」と称していた。4時間の生放送終了後、報道陣の取材に応じた東野は、「色んな番組を見て参考になった。パチンコとか知らない業界で有名な人もいて、僕もうかうかしてられないと思いましたね」と刺激になった様子で、剛力も「好きなことをじっくり深くやっている人がたくさんいて、みんな幸せそうでした」とにっこり。また、有料放送ならではの番組内容について、「セクシーなのも観られる。女の子だって観たいもんね?」とはるなに同意を求められた剛力は、「はい…」と苦笑い。そんな剛力に、東野は「少しずつ自我が出てきたね」と印象の変化を語り、「隣りでずっと『ニューヨーク行きたい』って言ってた。事務所に仕事を詰め込まれて、溜まってるのかも」と労っていた。
2014年12月18日温水洋一と江波杏子が劇団「はえぎわ」のノゾエ征爾の演出の下、カナダの劇作家モーリス・パニッチによる皮肉に満ちたふたり芝居に挑む『ご臨終』。初日まで10日ほどに迫った10月下旬、静かな熱気に包まれた稽古場に足を運んだ。何十年も音信不通だった叔母からの「もうじき死ぬ」との手紙を受け取り、中年の甥は仕事をやめてまで彼女の元に駆けつけ、共同生活を送ることにするが、彼女は寝たきりながら一向に死ぬ気配がない。やがて、ある驚愕の事実が判明し…。叔母の寝室というワンシチュエーションで物語は展開するが、生活感に満ちたふたりのやりとりをよそに、セットは「人物をより浮き立たせたい」というノゾエの狙いもあって抽象的な作りとなっている。本作が“異色の”と表現される最大の要因は、ふたり芝居でありながら、ほとんどのセリフを甥が話し、叔母はほとんど言葉を発しないという点。膨大なセリフを抱える温水はもちろんだが、「病気のため寝たきり」という設定の中で甥の言葉を受け止め、時にスルーし、わずかな動きや表情、視線、そして沈黙でもって感情や寝室の空気を伝えなくてはならない江波の苦労もかなりのものである。ノゾエは演出席でふたりの芝居を見つめるが、シーンが終わるごとにふたりの元に駆け付け、壇上で3人が細かくディスカッションし、試行錯誤を繰り返しながら作り上げていくという光景が繰り広げられた。仲が良いとは言えない叔母と甥が、死や老い、孤独といった人生で避けられない現実と向き合うさまを描くが、全体に漂うのはシニカルで辛口のユーモアに満ちた空気。温水は、親から愛されずに育ち、“生きづらい”人生を送る甥を体現しており、明るい口調で葬儀の段取りや棺桶のサイズを決めたかと思えば、急に泣き出したり、というひねくれた情けない中年を文字通り感情豊かに演じる。そんな彼の姿をも通じて、謎の叔母の姿が浮かび上がってくるが、ふたりの関係性や空気感を伝えるためにノゾエ、温水、江波が徹底的に話し合い、細部にわたって詰めていたのがセリフの間や動作のタイミング。食事に塩を振る動作、ふと顔を上げる瞬間、ちょっとした視線など小さな動きの積み重ねが、独特の空間を作り上げていることが分かる。やがて判明する衝撃の事実――。人生の終盤を迎えた者たちの哀愁と人間臭さに満ちた静かな空間をじっくりと味わえる舞台になりそうだ。新国立劇場にて11月5日(水)開幕。取材・原稿・撮影:黒豆直樹
2014年10月31日人気舞台シリーズの10作目であり最終章となる「銀河英雄伝説 第四章 後篇 激突」が2月13日(水)に開幕。本公演を前に主演の河村隆一を始め、「Kis-My-Ft2」の横尾渉と二階堂高嗣、そして演出を務める崔洋一が報道陣の取材に応じた。アニメ化作品も高い人気を誇る、累計1,500万部を超える田中芳樹の小説を舞台化。銀河帝国と自由惑星同盟の150年にわたる戦争――銀河帝国の“常勝の天才”ラインハルト・フォン・ローエングラムと自由惑星同盟の“不敗の魔術師”ヤン・ウェンリーという英雄2人の最後の戦いの行方を描く。「元々、原作小説もアニメも大好きだった」と語るヤン・ウェンリー役の河村さん。本作でシリーズ参加4作目となるが、「崔監督の下で最後のヤンを頑張りたい」と終幕に向けての意気込みを語る。横尾さん、二階堂さんもここまで複数回、本シリーズに参加してきた。ダスティ・アッテンボロー役の横尾さんは「僕らにとってもジャニーズを離れて外部の舞台に出させていただいた初めての作品であり、いろんなことを教わりました。最後の作品に呼んでいただけて嬉しいです」とニッコリ。ウォルフガング・ミッターマイヤー役の二階堂さんは「舞台の楽しさを知った作品であり、自分のキャパを広げることができたと思います」と本シリーズと共に成長してきたことを実感しているよう。長くこのカンパニーのメンバーとして月日を過ごしてきたキャスト陣とは対照的に、久々の舞台演出となる崔監督は「私が一番の新参者です(笑)」と恐縮しつつ、「実はエンターテイメント作品は大好きなんです」と明かす。「充実と言うにはまだ始まったばかりですが、これから積み重ねていきたい」と力強く語っていた。崔監督は“座長”の河村さんを中心にまとまりを見せるカンパニーに絶大な信頼を置きつつ、「キャスト陣にどう呼ばれているのか気になります(笑)」とも。河村さんは「あだ名はないけど、これから付けたいですね(笑)。怖いというよりも激しい方ですよ」と崔監督の印象を語り、横尾さんも「怖いと思ったことはないです。厳しいというよりも優しい。丁寧に心情を教えてくださいます」と尊敬の念のこもったまなざしで語る。二階堂さんは会見冒頭で「崔監督との出会いが自分の中で一番大きい」と語っていたが、監督のあだ名の話題となると「実は平田(裕一郎)くんと『崔おじいちゃん』と呼んでます(笑)」と告白。“おじいちゃん”扱いに崔監督の怒りが爆発?「これからたっぷり個人稽古をつけたい」と鬼監督となることを宣言した。まもなくバレンタインだが、14日(金)当日はもちろん公演中。崔監督は「それどころじゃない!」と笑い飛ばしていたが、河村さんは「女性キャストが少ないんですよね…」と残念そうに(?)語り、横尾さんも「男性陣はソワソワしてると思います(笑)」と男子の本音を覗かせてていた。舞台「銀河英雄伝説 第四章 後篇 激突」は青山劇場にて上演中。(黒豆直樹(cinema名義))
2014年02月13日山田孝之×ピエール瀧×リリー・フランキーという、個性あふれる最高のキャストでおくる、日本を驚愕させたベストセラー・ノンフィクションの映画化『凶悪』。本作の衝撃の予告編が、ついに解禁。いち早く本作を目にした、日本映画界を代表する監督たちから絶賛の声が届いた。原作は、死刑囚の告発をもとにジャーナリストが未解決の殺人事件を暴き、真犯人逮捕への道筋をつけた異例の事件を題材にした、『新潮45』編集部編「凶悪 - ある死刑囚の告発 -」。凶悪殺人事件の真相に迫りながら、人間の狂気をあぶり出す極限のドラマだ。山田孝之、ピエール瀧、リリー・フランキー、それぞれの狂気がぶつかり合い、終始張りつめた緊張感が支配する予告編は、ある死刑囚の告白から始まる---。「自分には、誰にも話していない余罪が3件あります。そのすべての事件の首謀者は、自分が“先生”と呼んでいた男です」。冒頭で静かに語るのは、死刑判決を受けながらも自らの罪を告発した、ピエール瀧が演じる死刑囚、須藤。元は義理人情の厚い親分肌をのぞかせるヤクザで、睨みを飛ばし「ぶち殺すぞ!」と感情を剥き出しにするその姿は、観る者すべての背筋を凍らせる。その3つの殺人事件の真相を明らかにするのは、山田孝之演じるジャーナリスト、藤井。犯罪者の邪悪な魂に近づくことで、少しずつ狂気に感染し変貌する様が映し出される。“先生”と呼ばれた男とは、すべての事件の首謀者であり、仮面の下に隠された狡猾な殺人者の顔を巧みに見せる、リリー・フランキー演じる木村。殺しを楽しむような高笑いを見せる怪演ぶりは、強烈な印象を残している。マスコミ試写でも大反響を起こしている本作をひと足先に目にし、先日、本作のトークショーにも参加した、『藁の楯 わらのたて』三池崇史監督は、「映画の力って凄まじいな。勉強になりました。俺も生きて償います!」と語り、本作のパワーに圧倒された様子だ。また、『血と骨』の崔洋一監督も「怖いのに笑える。この極悪ぶり、突き抜けている」と、手放しで絶賛すると、『アントキノイノチ』などで知られる瀬々敬久監督は「コーエン兄弟や、ポール・トーマス・アンダーソンも蒼褪める今までの日本映画にはない映画感覚」と語った。『のぼうの城』犬童一心監督は、「息をするのを忘れた。すぐそこにある『凶悪』がフルスロットルで描かれる。履いてる靴下の匂いまでしそうな画面の吸引力。こんなに『悪』が生き生きとしているのは久しぶりだ」とコメントし、本作の監督「白石和彌の名が焼きごてで刻印された」と、人間の狂気の闇に迫った同監督にも賛辞を贈る。本作は先日、モントリオール世界映画祭への正式出品が決定。日本映画が放つ、かつてないドラマは、人間はどこまで凶悪になれるのか。誰もが凶悪となりうるのか。人間が持つ正義とは?を問いかける。まずはこの予告編で、その世界を垣間見てほしい。『凶悪』は9月21日(土)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:凶悪 2013年9月21日より新宿ピカデリーほか全国にて公開(C) 2013「凶悪」製作委員会
2013年07月29日世界中の映画祭で受賞の栄冠に輝いていながら、日本国内では未公開・未放送のままとなっている名作映画を毎週放送している映画番組「THE PRIZE~世界の映画祭から~」(BSスカパー!/BS 241ch)。このほど、これまでに放送された46作品の中から、視聴者がもう一度“観たい”と思う作品を選ぶアワード企画「THE GRAND PRIZE」を開催することが決定した。番組ナビゲーターに、映画監督の崔洋一を迎えて贈るこの「THE PRIZE」。昨今のミニシアター映画館の相次ぐ閉館を背景に、世界三大映画祭に数えられるカンヌ国際映画祭やヴェネチア国際映画祭の受賞作など、秀作でありながら日の目を見ることなく埋もれてしまった作品たちにスポットライトを当てる貴重な番組だ。今回の企画を受けて崔監督は、「いま、残念ながら日本は、観ることができる映画の幅が狭まってきています。アメリカやヨーロッパのみならず、私たちが訪れたことのない小さな国や交流が少ない諸外国の映画を観る機会が、圧倒的に失われてきたことは残念です。『THE PRIZE~世界の映画祭から~』は、我々が訪れたことのない外国のそれも世界各国の映画祭で評価された作品を観ることができる貴重な宝物のような番組です。愛あり、憎しみあり、父母やその前の人々が体験してきた大きな歴史のうねりの中の人の物語、様々な価値観が横たわる作品は、私たちの胸に響くことでしょう」とコメントを寄せている。今回、開催が決定した「THE GRAND PRIZE」では、2011年11月から2012年10月までに同番組内で放送された作品から、視聴者が最も“観たい”と思う作品を、特設サイト上にて投票形式で募集。その中には、ロシアが誇る巨匠アレクサンドル・ソクーロフや、アメリカの名監督ブライアン・デ・パルマら有名監督の作品も含まれているというから驚きだ。見事グランプリに輝いた作品は、2013年3月にBSスカパー!(BS 241ch)にて特別放送される予定だ。「THE GRAND PRIZE」は「スカパー!」特設サイトにて投票受付中!あなたの一票で放送作品が決定する「THE GRAND PRIZE」に、ぜひこの機会に参加してみて。「THE GRAND PRIZE」投票受付期間:2013年1月31日(木)までグランプリ作品発表:2013年2月予定グランプリ作品放送:2013年3月予定特設サイト:「THE PRIZE~世界の映画祭から~」放送日:毎週金曜夜10時~放送チャンネル:BSスカパー!(BS 241ch)視聴方法:2週間お試し体験のお申込みで、1年間無料でお楽しみいただけます。※スカパー!ご契約者様も無料でご覧いただけます。
2012年12月07日第1回 国際どうぶつ映画祭 in 神戸 実行委員会は、27日と28日の2日間にわたって、「第1回 国際どうぶつ映画祭 in 神戸」を開催する。同映画祭は、動物たちに焦点を当てた映画の上映を中心とした催し。映画やイベントを楽しみながら、動物やペットの置かれている環境を正しく認識し、人と動物の共生の重要性についてあらためて感じる機会を狙う。メインとなるプログラムは、国内外で公開された映画やアニメなど、動物が主演した映画の上映。ほか動物やペットの動画・映画コンテスト、動物愛護や虐待防止をテーマとした映画やドキュメント・報道資料の発掘表彰などが催される。開催日は10月27日と28日の2日間。映画の上映会場は、神戸市中央区東川崎町の神戸新聞松方ホールとなる。27日は、11時からBoudewijn Koole監督作のオランダ映画「君がくれた翼(仮題。原題は”KAUWBOY”)」、14時から崔洋一監督作の「クイール」、17時30分からルー・チューアン監督作の中国映画「ココシリ」を上映。28日は、10時からマキノ雅彦監督作の「旭山動物園物語ペンギンが空を飛ぶ」、13時30分からジャン=ジャック・アノー監督作の英仏合作映画「トゥー・ブラザーズ(日本語吹替版)」が、それぞれ上映となる。また16時45分からは、世界の傑作CMを上映するフランスのイベント「世界のCMフェスティバル」より、動物が出演するCMを厳選して紹介する。上映の合間には、犬童一心監督、プリンセス天功など多彩なゲストを招きトークショーを展開。また別会場では、一般からの投稿動画上映、盲導犬デモンストレーション、声優トークショー、FM千里公開生放送などが開催される。映画観賞前売券は、インターネット、電話予約のほか、全国のチケットぴあ店舗、セブン-イレブン、サークルK・サンクスで購入可能。観賞料金は映画1本500円。世界のCMフェスティバルは1,000円。その他詳細は「第1回国際どうぶつ映画祭 in 神戸公式ページ」へ。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年10月25日WOWOWのシナリオ大賞(第4回)で昨年、大賞を受賞した「エンドロール ~伝説の父~」が同局のドラマWにて映像化され3月18日(日)に放送されることが決定し、3月13日(火)に記者会見を開催。中村獅童に萩原聖人、子役の鈴木励和(れお)、そしてこの日の午前中に第二子の妊娠を発表したばかりの板谷由夏が出席した。20年ぶりに故郷に帰った売れない映画監督の雄司(獅童さん)が、余命わずかの親友・明生(萩原さん)に頼まれて街中を巻き込んで映画を撮影するさまを描く。獅童さんと励和くんからの「おめでとうございます」という祝福、夫婦を演じた萩原さんの「お体に気を付けて」という労わりの言葉に、板谷さんは「ありがとうございます」と少し照れくさそうな笑顔を浮かべた。新たな命を自らの中に宿したことでの変化を問われると「すでにうちには3歳になるやんちゃ坊主がいるので(笑)、“母”としての気持ちの変化はありませんが」と前置きした上で、「長男のときもそうだったんですが、新しい命を宿すと、不思議なことに同時に“死”というものについて考えるものです。それはもしかしたら芝居に影響を与えているかもしれませんね」と真剣なまなざしで語った。もしも明生のように余命を宣告されたらどうするか?という問いに獅童さんが、がんで亡くなった叔父の萬屋錦之介や父の存在に触れ「最後まで仕事をし続けたいというのが本心」と語れば、萩原さんも「毎回、そういう気持ちで仕事に臨んでます」と自らの覚悟を明かした。萩原さんはまた、今回初めてドラマの演出を務めた石井裕也監督(『川の底からこんにちは』)を絶賛。「自分だけでは出せないポテンシャルを引き出してくれた」と感謝の思いを語った。重いシーンの撮影を含みつつも現場の雰囲気は温かかったようで、励和くんも「クランクアップの日は寂しかったです」と告白。さらに萩原さんと板谷さんについて「本当のお父さん、お母さんだったらいいのにと思いました」と語ると2人は嬉しそうにニッコリ。さらに励和くんが獅童さんについて「TVでは話せないような裏話を暴露してくれて楽しかった」と語ると会場は笑いに包まれた。この会見に先立って、第5回WOWOWシナリオ大賞の授賞式が開催されたが、今年の大賞は“該当なし”という結果となった。審査委員長を務めた映画監督の崔洋一は、ちょうど1年前の東日本大震災を受けて「私たち一人一人の存在が同じ場所に立つという、ある意味で分かりやすくフェアな社会性を背負わざるを得なかった」とこの1年で日本人が置かれた社会状況を論じつつ、「この賞においてはそうした状況とは一線を画し、突き抜けていくということが書き手に求められている」と応募者に対し辛口のエールを贈った。「エンドロール~伝説の父~」はWOWOWにて3月18日(日)22:00より放送。第5回WOWOWシナリオ大賞受賞結果一覧■大賞該当作品なし■優秀賞「ハートに火をつけろ」(伊勢尚子)「父さんはムーンフェイス」(中西隆裕)「プラタナスの枯葉」(播磨弘規)「WOWOWシナリオ大賞」公式サイト
2012年03月13日第4回WOWOWシナリオ大賞の授賞式と前回の第3回で大賞を受賞した作品をドラマWとして映像化した「遠い日のゆくえ」の記者会見が3月8日(火)に都内で開催され、選考委員長を務めた映画監督の崔洋一、ドラマに主演する永山絢斗らが出席した。今年のシナリオ大賞で、587作品の中から見事、大賞に輝いたのは、福島カツシゲによる「エンドロール 〜伝説の父〜」。福島さんは「笑顔になってもらいたいという思いで書いた作品です」と挨拶。大賞受賞作は映像化されることになるが、自身、舞台俳優として活動しているというだけあって「まず、自分が出たいです」と笑顔で語っていた。選考委員長の崔監督は「既存の枠を越えた作品に出てきてほしい。賞にあわせた“傾向と対策”ではなく、突き抜けてほしい」と受賞者、そして新たに概要が発表された第5回の応募者に向けてのメッセージを述べた。続いて昨年、大賞を受賞した「仄かに薫る桜の影で」を基に製作された「遠い日のゆくえ」が3月13日(日)に放送されるのに合わせて、主演の永山さんと共演の富田靖子、風吹ジュン、朝原雄三監督が登壇。孤独死や事故でこの世を去った人々の部屋の掃除や遺品の整理を行う“特殊清掃業”に就いた青年が、偶然手にした孤独女性の日記から、彼女の“生”の軌跡を追って行く姿を描いた本作。主人公の孝志を演じた永山さんは「これまでに読んだことのない内容の脚本で、知らなかったことが多く書かれていました。孤独死というものをどこか他人事と思ってましたが、例えばおじいさんやおばあさんだけでなく幅広い年代に起きているという事実、孤独死だったからといって、必ずしもつらく苦しい人生だったとは言えないことなどを知り、勉強になりました」と真摯に語った。富田さんは初共演となった永山さんについて「口数の少ないかっこいい男の子。ときめきました」とニッコリ。風吹さんも「同じ事務所で4年ほど前から知っていますが、珠のように美しかったのが、男らしくかっこいい青年に育ちました」と母親のような表情で大絶賛。これには永山さん、少々照れくさそう。永山さんは昨日、22歳の誕生日を迎えたばかりということで、作品にちなんで日記の形のケーキがプレゼントされた。風吹さんは「人生は長い。これまでもいろいろあっただろうけど、まだまだあるよ」と人生の先輩として“予言”。富田さんは「いまのままで素敵なので、永山くんらしくいてくれたら」と祝福の言葉を送った。「好きな仕事をして、こうして祝っていただいて幸せです」と語る永山さん。22歳でやりたいことは?という報道陣からの問いに「それはもう20歳で済ませましたので…」と意味深なコメントも!笑顔で会場を後にした。ドラマW「遠い日のゆくえ」は3月13日(日)22:00よりWOWOWにて放送開始。
2011年03月08日人気作家、高村薫の直木賞受賞小説をWOWOWで初ドラマ化する「マークスの山」の制作会見が8月25日(水)、東京・港区のニューピアホールで行われ、キーパーソンのマークス役を高良健吾が演じることが発表された。元暴力団員、官僚が狙われた連続殺人事件を追う警視庁捜査一課の警部補・合田(上川隆也)と、捜査線上に浮かんだ、ある事件の生き残りで、時折「暗い山」と漏らす心に闇を抱える青年“マークス”(高良さん)らの姿を描く社会派ミステリー。監督は水谷俊之と鈴木浩介。1995年に崔洋一監督がメガホンを取り映画化されたが、ドラマ化は初。今年4月26日から7月7日まで、南アルプスの高度2,300メートル級の山々を中心に行われた撮影をふり返り、主演の上川さんは「本作の設定が11月ぐらいなので、暑い中、コートを着込んで撮影しました。流した汗は数知れず、過去一番多いかも。男たちの汗で作られた作品を見て」。キーパーソンを演じ、WOWOW作品初出演を飾ることになった高良さんも「居心地の良い現場で、クランクアップが寂しかった。濃くて見応えのある作品。ぜひWOWOWに加入してください」とそれぞれ軽妙にPRし、会場の笑いを誘った。山でのロケ時には、キャスト陣も機材を運搬。“試練”をふり返り、ベテラン俳優陣は揃って苦笑い。警部役の大杉漣は「高山病になりかけました」。弁護士役の小日向文世は「監督がOKを出してくれないので、山の急斜面を何度も登り降りしたよ」と恨み節。共演陣らを笑わせていた。連続ドラマW「マークスの山」は10月17日(日)より放送開始。毎週日曜22:00より放送で、全5話(第1話無料放送)。(text:Yoko Saito)連続ドラマW「マークスの山」公式サイト■関連作品:おにいちゃんのハナビ 2010年9月11日より新潟にて先行上映、9月25日より有楽町スバル座ほか全国にて公開© 2010「おにいちゃんのハナビ」製作委員会蛮幽鬼 2010年10月2日より新宿バルト9、梅田ブルク7ほか全国にて公開© 2010 松竹、ヴィレッヂ■関連記事:高良健吾、藤井フミヤによる主演映画の主題歌ビデオで映画の1年後の物語に出演迫力の映像と音で演劇を堪能せよ!『蛮幽鬼』特別試写会に40組80名様ご招待想いを空へ!高良健吾×谷村美月『おにいちゃんのハナビ』試写会に50組100名様ご招待「殺陣の振り付けを一度で覚えちゃう」上川隆也早乙女太一を大絶賛高良健吾、フォトブック発売でファンとふれあい「最初は、誰が買うんだ?って…」
2010年08月25日