リーズナブルな価格とバリエーション豊かなメニュー、おいしいさで高い人気を誇る、飲食チェーン店『サイゼリヤ』。記録的な円安によって多くの飲食物が値上げをする中、安価で提供を続ける『サイゼリヤ』は、多くの人の懐にも優しい店として親しまれています。2023年2月23日、ミュージシャンであり、音楽プロデューサーの平沢進さんは、自身の考える『サイゼリヤに行く条件』をTwitterに投稿。平沢さんが『サイゼリヤ』に行く場合、明確な3つの目的があるのだそうです。「お腹が減ったから立ち寄る」「なんとなく食べたくなった」といったものではなく、平沢さんが『サイゼリヤ』に行く際に必ず抱く思いとは…!私がサイゼに行く3つの条件。1:ペペロンチーノ2:巨大サラダ3:新作の間違い探し絵1,2はOK。だが3が更新されていない。— Susumu Hirasawa (@hirasawa) February 23, 2023 平沢さんが『サイゼリヤ』に立ち寄るための条件…それは、おいしいペペロンチーノやボリュームのあるサラダを食べる時と、間違い探し!『サイゼリヤ』の客席に設置されたメニュー冊子の中には、間違い探しが掲載されており、たびたび新しい問題に差し替えされています。子供向けとあなどることなかれ。この間違い探しは難易度が高く、ネットでは『サイゼリヤ』の間違い探しが大好きな大人のファンが多数存在するのです!平沢さんも、『サイゼリヤ』の間違い探しを密かに楽しみにしている1人。間違い探しが新しい問題に更新されたら、来店せざるを得ないといいます。サイゼの間違い探しは難易度が高い。それは信頼のタグを首から下げた権威や、博識と書かれたTシャツを着た著名人が貴方にどんな嘘をつき、どのように侮蔑しているかを見つけるより難しい。— Susumu Hirasawa (@hirasawa) February 23, 2023 平沢さんが『サイゼリヤ』を愛好していることや、間違い探しへの高い熱意に対し、ネットからは驚く声が続出しました。・あの平沢さんが安価な『サイゼリヤ』に行くことに衝撃。おいしいもんね。・平沢さんが店で間違い探しを真剣に解こうとしている姿を想像したら、吹いた。・やっぱり『サイゼリヤ』のペペロンチーノと間違い探しは最高ってことなのよ。『サイゼリヤ』のウェブサイトには、過去の間違い探しが掲載されています。あなたも気付けば、間違い探しを目当てに店に足を運ぶ『間違い探しガチ勢』になっているかもしれませんよ![文・構成/grape編集部]
2023年02月25日吉本実憂、柾木玲弥、立石晴香らが出演する、恋愛ドラマの撮影をしながら恋をしていく様を追いかける恋愛番組「恋愛ドラマな恋がしたい in NEW YORK」の第2話が11月20日に配信。新たなドラマのオーディションのペア決めが行われ、それぞれが相手と向き合う中で、気持ちが誰に向き始めているのか気付きはじめたようだ。今回、新しいドラマのペア決めは、くじ引き順で女性からの指名制に。1番のくじを引いたはるか(立石晴香)はれいや(柾木玲弥)を指名し、続いてみゆ(吉本実憂)は再びひろと(高橋大翔)を選んだ。そして、みゆと2人きりになったひろとは、「俺は、“みゆ、来い!”と思ってた」と明かしアピール。みゆは「委ねられなかったことに自分が気づいたから、もう1回一緒にやりたいなって」と前回のオーディションを終えて感じたことを話し、前回以上に主演を獲ることへの気持ちが強いことを話した。オーディションでは、お互いのことをしっかり想いながら演技を行い、カットがかかっても強く抱きしめ合う2人に、視聴者からは「包容力にキュンとした~」「なんか泣ける!」という感想が寄せられた。一方、第1話のドラマでれいやとペアを組み、タイムズスクエアの中心で濃厚なキスシーンを演じたりりあ(小島梨里杏)。今回の新しいペア決めでは、りりあはしょうへい(小野翔平)とペアに。オーディション直後、演技指導の講師に感想を聞かれると、「何もできなかった…ごめんなさい…」と涙し、「マジで土下座もん…」と取り乱す場面も。インタビューでりりあは、以前の熱愛報道について言及し、「別れてこの現場に入ってるけど、世間はそういう風には見ないし…」と週刊誌に撮られたから別れたわけではないと明かしていた。それもあってれいやに気持ちを伝えづらいのか、という問いに対しては「言えない…」と答え、視聴者は「りりあちゃん応援する!」「気にしないで…!」「今言えたから大丈夫」と背中を押すコメントも見られた。今夜放送の第3話では、新しいペアを組んでオーディションに挑んだドラマの主演が遂に発表に。今回のドラマは、藤原さくらの新曲「まばたき」から着想を得て描く物語で、単身N.Y.に渡った孤独な女性の元に恋人が駆けつけ、笑顔を取り戻すラブストーリーになっている。一方で、環境に少しずつ慣れてきたメンバーたちは、オーディションや撮影、共同生活を通して恋愛感情とも向き合い始める。撮影の裏側では、ある女性が心の内を明かし、決意を固める様子も。第3話は、恋の矢印が動き出していきそうだ。「恋愛ドラマな恋がしたい in NEW YORK」は毎週日曜日22時~ABEMAにて配信中。(cinemacafe.net)
2022年11月27日原作・アニメ共に一大ムーブメントを起こしている「呪術廻戦」の初映画『劇場版 呪術廻戦 0』より、主人公・乙骨憂太の設定画が公開された。2018年3月から「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の芥見下々による漫画作品「呪術廻戦」。人間の負の感情から生まれる呪いと、それを呪術で祓う呪術師との闘いを描き、シリーズ累計発行部数は5000万部を突破。新たなステージとなる劇場版では、既刊単行本の中でも人気のストーリーのひとつ、「呪術廻戦」の前日譚である「呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校」(通称“0巻”)が描かれる。本作の主人公・乙骨憂太は、幼少の頃、結婚の約束を交わした幼なじみ・里香を交通事故により目の前で失い、彼女に憑りつかれてしまうキャラクター。呪いとなった里香は、乙骨の周囲の人間を傷つけてしまう。人との関わりを避け生きてきた乙骨だったが、呪術高専の教師・五条悟との出会いを機に、愛する人の呪いを解くことを誓う。今回公開されたそんな乙骨憂太のデザインは、原作者・芥見さんからの希望を反映し、芥見さんの描いたラフデザインを基にアニメスタッフが仕上げた、劇場版ならではのものとなっている。『劇場版 呪術廻戦 0』は12月24日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:劇場版 呪術廻戦 0 2021年12月24日より全国東宝系にて公開© 2021 「劇場版 呪術廻戦0」製作委員会©芥見下々/集英社
2021年06月21日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第80回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】友人のメンタルが不安定で心配です。最近、私の友人の一人が大学をやめました。その子は授業にあまり出席せず、よく「大学、つまらない」と言ってアルバイトに精を出していたので、やめると聞いた時はあまり深く考えていませんでした。ただ、久しぶりにその子の家にいくと部屋の中が半ばゴミ屋敷状態で。ゴミや衣服が床に散乱して足の踏み場はなく、生ゴミを片付けていないのか悪臭が漂っていました。何でこうなったのか聞くと、返事は「なんか、どうでもよくなっちゃって」の一言。このままでは生活できなくなるのが目に見えていましたし、私だけの手には負えないと思ったので、片づけを少しして、「絶対、親にすぐ連絡しなよ」と伝えて帰りました。会った時にはすでに鬱っぽい表情や態度だったので、すでに彼の両親や医者の助けがもっとも必要で、私にできることはあまりないかもしれません。ただ大事な友人ですので、もし何かしてあげられることがあるなら、してあげたいです。こういう時、どうやってその友人と接したらいいでしょうか。(22歳・男性・学生)【回答】たぶん、あなたがアセスメントしていらっしゃる通り、ご友人にはご両親や医者の助けが早急に必要だと思います。大事なご友人のためにできることは、一刻も早くご家族や医療・福祉につなげてさしあげることでしょう。ご友人に「親にすぐ連絡しなよ」と言ってくださったとのことですが、ご自分で連絡することができない場合もあるでしょうから、しばらくは様子を見ていく必要があると思います。大事なご友人がこういう状況になってしまっているのを目の当たりして、さぞかしご心配でしょう。特にあなたのように優しい方は、なんとかして力になりたいと四苦八苦されていらっしゃることと思います。でも、「私だけの手に負えない」とご判断なさったのは賢明でした。ここであまりにもあなたが介入しすぎると、共倒れになる危険性があるからです。そうなれば、ご友人の為にも決してよいことにはなりません。ここはひとつしっかりと線を引いて、してあげられることとしてあげられないことを分けて考えていきましょう。繰返しになりますが、今できることは、まずご両親に現状をお知らせすること。ご友人が自分ではできないようでしたら、ご友人の承諾を得て、代わりにご連絡して差し上げるのもよいかもしれません。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年06月11日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第79回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】最近、自分の将来のことをよく考えます。現在、私は55歳。結婚はしたことがなく、もちろん子どもはいません。今は実家の総菜屋を切り盛りしながら、足の不自由な父と認知症気味の母と3人で暮らしています。こんな還暦間近の私ですが、「郊外で有機栽培の野菜を育てて、それをお惣菜にして売る」という夢があります。そのために、今は野菜の育て方の勉強をしたり、新たに店を開く場所や資金繰りを考えたりしていますが、年齢を考えると今すぐにでも、本格的に動き出さなければいけない気がします。ただ、両親の介護にどうしても時間を取られてしまって……。思うように自分のやりたいことができていません。幸いにも近くに住む弟と妹が通院や介護を手伝ってくれていますが、実家にいる私の負担はどうしても大きいです。かといって両親を蔑ろにして、自分の夢ばかりに力を注ぐのは気が引けてしまいます。このまま私の将来は、目の前のことに追われて閉ざされてしまうのでしょうか。現状のやるせない状況と気持ちを打破するために何かアドバイスをいただけたら嬉しいです。(55歳・女性・自営業)【回答】夢と介護の板挟み。お読みしているだけで、胸が苦しくなってくるようです。たしかに、55歳というのは、これから動ける時間が十二分にあるわけではなく、かといってすべてを諦めるほど残りの時間が短いわけでもなく、なんとも身動きのとりづらい年齢ではあります。そこで、勝手ながら、ふたつ、チェックポイントをご提案させていただきたいと思います!チェックポイント(1)「後悔を背負う覚悟で、本当にやりたいことを選んでいるか」人は、選択肢があればあるほど迷い、あげく選んだものを手にしながら選ばなかったものに思いを馳せる生きもののようです。どのみち後悔するのであれば、せめて納得できる後悔になるよう、自分の心にとことん忠実でありましょう。チェックポイント(2)「自分が言っていることは、夢を諦めることの言い訳ではないか」人間の脳は言い訳を考えるのがとても上手で、夢を諦めることを正当化するために、いかにももっともな言い訳を作り出すのが大得意です。言い訳で自分を誤魔化していないか、確認しましょう。さて、いかがでしょう。まずは、ご自分の気持ちの、本当に本当のところを見つけてください。それが見つかれば、問題は8割解決。あとの2割で、どうやって実現するかの方法を考えるだけです。お気持ちさえ定まれば、現状を打破する方法は必ず見つかるはずです。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年06月04日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第78回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】今年で57歳となり定年も近づいてきた私ですが、長年、仕事で細かいミスを連発してしまいます。書類を作成すれば誤字脱字や記入漏れをどうしても見逃してしまい、エクセルにデータを入力すれば入力する位置がずれてしまい、私の書類やデータを基に作業する人に、毎回のことのように、迷惑をかけています。もちろん、私もミスをなくそうと、机のパソコンには「必ず確認」と書いた付箋を貼っていますし、確認する際は自作のチェックシート見ながら一つ一つ確認したり、声を出して確認するようにしています。ただ、どうしても客観的に自分の仕事をチェックすることができず、ミスを減らすことができません。幸いにも職場の周りの人は私のミスを修正したり、指摘したりしてくれるので大事に至るようなことはないのですが、迷惑をかけてばかりで本当に申し訳なく、情けない気持ちです。どうやったら自分や自分の仕事を客観的に見つめて、ミスを減らすことができるでしょうか。(57歳・男性・会社員)【回答】今年で57歳になられるのですか。まあ、私たち同い年です。奇遇ですね。そして、あなたさまのご相談を拝読していて気付きました。私たち、もうあと数年で「定年」なんて年になっているのですね。はあ〜。驚いた……。さて、「どうやったら自分や自分の仕事を客観的に見つめて、ミスを減らすことができるか」ということですね。まずは、自分の現状に甘んじることなく、さらに成長しようとしている姿勢に感動です。私たちくらいの年齢になると、良い悪いは別として、もう固まっちゃってる人が多いですものね。あなたさまは、まだまだ柔らかいわあ。素晴らしい。その柔軟さを活かして、「苦手なこと」より「得意なこと」を見るようにシフトチェンジしちゃいませんか。周りの人にミスを修正してもらいながらも、長年働いてこられているということは、小さなミスをカバーして余るなにかが、あなたさまにはあるのだと思います。だから周りの人が助けてくれるのでしょう。それは、仕事ができるとかできないとかではなくて、あなたさまが醸し出すオーラのようなものかもしれません。あの人がいると、場が落ち着くんだよね〜とかね。誰にだって凸凹があると思うんです。もう、私たちこの年ですから、凹を修正しようと躍起になって落ち込むより、客観的に見つめ直して自分の凸をしっかり自覚して、それをどんどん発揮していこうじゃありませんか!【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年05月28日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第77回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】反復性のうつ病で療養を続けています。これまでの様々な家庭や家族の諸事情から無茶な働き方をしたことが、発症の原因だと思っています。なので、治療は人生を振り返る機会かとも考え、今も続けております。ただ、ひきこもり状態が続く中では、どうしても先を明るく見ることができません。「自分の病気や生きてきた過程を通して、誰かの役に立てれば」と思えても、「やはり私なんかには無理では」とすぐに否定してしまって、葛藤の日々が続いています。こんな時、前を向くにはどうしたらよいでしょうか。(56歳・女性・無職)【回答】うつ病の治療中でいらっしゃるのですね。鬱の症状は本当に辛いと聞いています。さぞかしお辛いだろうと、案じるばかりです。さて、私たちは幼いころから、「目標を立ててそれを達成すること」を良しとして、繰り返し、繰り返し、教わってきました。目標に向かって努力して成果を手に入れれば認められ、途中で挫折すれば反省を求められ……。だから、いつの間にか、「ありのままでいる」ということができなくなってしまったようです。でも、本来、私たちはこの世に誕生したときすでに、足りないものも余るものもなく、まるっと完成しているのではないかと思うのです。看護学校で人体の仕組みについて勉強したとき、本当にそう思いました。いったいどうやって、いったい誰が、こんなすごいもの(人間の体)を作ってくれたんだろうって。だって、身体にちょこんと入っている腎臓ですら、その働きを機械で代行させようと思ったら、ちょっとした冷蔵庫くらいの大きさになってしまうんですよ。だからもう、そんな完璧な体をいただいてこの世に生まれた時点でミッション完了!!そこから続く人生に起こるあれこれは、すでにすべてを達成している上にオマケで加える彩にすぎないのではないかと思えてならないのです。「誰かの役に立ちたい」でも、「私なんかには無理」と葛藤される日々とのことですが、私のこの考え方でいけば、この世に存在しているってことだけですでに「役に立って」います。少なくとも、この体の仕組みを作ったなにかは、大満足してくれているはずです。だから、ありのままでいいんじゃないかしら。まずは、そんなふうに考え方をちょっと修正してから、次のステップに行きましょうよ!【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年05月21日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第76回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】同じ町内会に所属する年上の人たちの態度に辟易しています。私が所属する町内会は10世帯ほどの集まりで、私も含めて8割以上が高齢世帯です。こぢんまりとした会ですが、毎年春先になると、誰が役員になるかで大揉めを起こします。これまでは、それでもみんな、嫌々ながらも公平に、順番で受け持つようにしていました。ただ最近、私よりも年上の人たちが、自分の番になっても頑なに役員をやろうとしなくなったんです。もちろん、年とともに億劫になる気持ちは分かります。でも、「こういうのは若い者に任せればいい」とか、「どうしてもやれというなら町内会を抜ける」とか、受けたくないがために、言いたい放題で協力するそぶりも見せないのはどうかと思います。こういうお年寄りを動かすことはできるのでしょうか。もしできるならどうやって接すればよいのでしょうか。(61歳・女性・会社員)【回答】人間関係ほど面倒なものはないですね。町内会でのご苦労、本当にお疲れさまです。あなたさまよりも年上の方々というと、70代のみなさまでしょうか。町内会役員の就任拒否。人生の残り時間を考えると、役員の仕事なんかにかかずり合っている余裕はないといったところでしょうか。もしくは、寄る年波には勝てずにいらっしゃるのかもしれませんね。いずれにしても、「こういうお年寄りを動かすことはできるのでしょうか」、できません。そもそも、私たちに他人さまを自分の思い通りに動かす力は備わっていないのです。120%無理です。なので、アプローチを変えて考えてみましょう。まずは、町内会とは、なんぞや。そもそも、必要な組織なのか。10世帯がかわりばんこに役員を押し付け合って、毎年大揉めを起こしながら嫌々でも継続しなければならないほどの機能を持った組織ですか?もし、そうであるなら、日常生活に必須の組織ですから、より若い者に運営を任せるのが得策でしょう。もし、そうでないなら、毎年恒例のストレスにさらされながら無理して関わり合っている必要はありません。即刻脱会してさっぱりしましょう。「そうはいかないから、困っているんです」と言うあなたさまの声が聞こえてくるようです。そうですよね。そうなんですよ。はたから見るとものすごく単純なからくりなのですが、渦中にいる者にとってはにっちもさっちもいかない状況に見えるのが、人間関係なのです。なぜか。そこに情(感情)がからまってくるからです。「私だってやったんだから、あの人もやるべき」とか、「自分ばっかりラクしようとしてるんだわ、そうはさせないから」とかね。いったん情を捨てて考えてごらんになることをおすすめしたいと思います。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年05月14日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第75回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】今年は修士2年の私にとって就活の年です。今は就職試験に向けて毎日、机に張り付いて勉強しています。希望の就職先はコロナ禍もあってか今年は倍率が高く、受からなかった場合は就職浪人して、もう一度だけ試験を受けようと考えています。ただ、周囲を見渡すと学生なのは、もう自分しか残っていなくて……このまま進んでいいのか不安になります。学部を卒業した友人はすでに私よりも1年以上社会人としての経験を積んでいます。高校卒業と同時に就職した友人にいたっては、社会人経験5年以上で、子どもを授かった人もいて、私よりはるかに人生経験豊かです。そうした中、客観的な視点で俯瞰してみると、私は周囲から置いて行かれているようにしか見えません。この不安を拭い去って覚悟を決めるにはどうしたらいいのでしょうか。(24歳・女性・学生)【回答】就活ですか。新型コロナウィルスに翻弄される昨今の状況下では、さぞ大変でしょう。お察しいたします。現在は修士課程に在籍中でいらっしゃるのですね。修士では何を研究なさったのですか。研究はうまくいったでしょうか。手ごたえを感じられる修士論文は書けましたか。さて、学部卒業生や高校卒業と同時に就職された方々と比べて焦っていらっしゃるようですけれど、そもそも、あなたとその方々とは目指すところが違っているのですから比べる必要はまったくありません。あなたは極めたい学問があって、大学に残ったのですものね。あなたよりも早く社会に出ることを選んだ方々とは、歩いている道が違うのです。あなただって、カエルとハトを比べたりはしないでしょう?とはいえ、不安が拭い去れずにいらっしゃるのですから、なんとかしなくては!ご参考になればと願いつつ、ひとつの考え方をご紹介しようと思います。「自分を顧みるとき、『can』で考えずに『state』で考える」です。あなたの場合で言えば、“社会人経験がない”“人生経験を積んでいない”“子どももいない”と「できる」「できない」で考えるのではなく、“もっと勉強したいと思って修士に進学した”“就職浪人してもチャレンジしようとしている”自分の今の姿勢をよしと考えるのです。「できる」「できない」はその姿勢の先にくっついてくるだけのものです。しかも、その結果に対する善し悪しの評価は、時代や文化や人によって変わってしまうあやふやなものです。だから、今在る自分の姿勢をきっちり評価してください。なあに、ちょっと考え方を変えればいいだけです。大丈夫、頑張って!【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年05月07日女優の吉本実憂が1日、SNSを通じ、4月30日に芸能事務所・オスカープロモーションを退社したと発表した。吉本は、振り袖の後ろ姿を捉えた写真と共に、「2021年4月30日を持ちまして、約9年お世話になった事務所オスカープロモーションを退社致しました」と報告。「色んなノウハウを教えて下さった事務所の方々に、とても感謝しております」と同事務所への思いを記した。そして、「自分の中で1つの節目をつくると同時に、改めていつも応援して下さってる方々のありがたみも感じています! ありがとうございます」と周囲の支えを噛み締め、「素敵な作品をつくり続けられるように今後とも精進して参りますのでよろしくお願い致します!」と決意を新たにしている。2012年、第13回全日本国民的美少女コンテストにてグランプリを受賞し、芸能界入り。2014年に読売テレビ・日本テレビ系の『獣医さん、事件ですよ』で女優デビューを飾り、同年の大河ドラマ『軍師官兵衛』にも抜てきされた。昨年末の晴れ着撮影会では、2020年を「充実していたようなしてなかったような色でいうと“グレー”な1年だった。だけど黒と白の2色だけでつくられたグレーではなく、たっっっくさんの色が混ざり合ってのグレー」と振り返り、2021年に向けて「土台は、芝居、アクション。共にリアルを追求する。あと、洋服、メイク、ネイルが好きなのでファッションに関わることもやっていきたい。広く深く重く、色んなものを表現し、届けられるような人になる」と意気込んでいた。
2021年05月01日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第74回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】最近、亡くなった父と話がしたいと思うことが多くなりました。子どもの頃、私は父と仲が良く、学校や友達、進路のことまで日常のあれこれを父に話していました。父からのアドバイスはどれも参考になり、振り返ると、そのときの心の支えであったとも思います。しかし、大学進学や就職をする中で、それまで聞かされていた父の話が、必ずしも正しい内容でなかったり、偏見のある内容であることに気づいて。父から心が離れ、それから相談したり腹を割って話したりすることもなく、父は亡くなってしまいました。それから3年。一転して、父ならどうアドバイスするだろう、自分の気持ちを聞いてほしい、と思うことが増え、大人になってから父と素直に接することができなかったことに後悔するようになりました。父なき今、どうすることもできないことは分かっています。ただ、このやるせない気持ちと折り合いをつける方法はないものでしょうか。(58歳・女性・主婦)【回答】私も、去年の春に父を送りました。だからと言うわけではないのですが、あなたさまの寂しさ、後悔、なんとも言えないやるせないお気持ちが我がことに重なり、沁みてきました。本当に、この寂しさたるや、どんな言葉を使ってもあらわしきれないものがありますね。私たちはそれがあまりに苦しいので、少しでも楽になる「折り合いをつける方法」を探してしまいますが、私は、そんなのないと思っているんですよ。もう二度と会えない人を思い出し、あれこれ考えてしまうことは、たしかにどうしようもなく辛いです。考えれば考えるほど会いたくなるのに、会いたくなった端からもう二度と会えないという現実を突きつけられる。でも、それが故人を「悼む」ということなのではないかと思うようになりました。「悼む」というのは、なにも死を悲しみ嘆くばかりではありません。その人の残した言葉を思い出し、その人の一瞬一瞬の表情を懐かしみ、その人の生きてきた時間を丸ごと慈しむ。その人がここに存在していたということを、決して忘れないでいつづける。それが「悼む」ということだと思います。だから私たちは、積極的に悼んでいるのです。あなたさまが覚えていなくて、誰があなたさましか知らないお父さまを覚えているでしょう。いつまでも忘れず、繰り返し想うこと。それが残された私たちにできることなのではないでしょうか。そしていつか、私たちも誰かに悼まれる時が来るのです。すべては回り、巡り、流れていきます。それを止めることは、誰にもできない。「折り合いをつける方法」を探して、もがき苦しむより、流れに身をまかせてみようではありませんか。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年04月30日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第73回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】一昨年に定年を迎え、同じ会社でそのまま嘱託で働いています。仕事内容は定年前と同じで、社内の様々なデータを分析し、レポートをまとめることです。嘱託になる前は、そのときの上司に「役立っているよ」と言ってもらえたこともあり、少しは自分が会社にいる価値はあるのかな、と思えていました。でも、最近、レポートを渡しても反応が全く返ってこなくて……。本当に役に立っているのか心配でたまりません。改善した方が良いところを聞いても返事はなく、自分に作業依頼する人も減ってきたように思います。自分の作る資料に不足があるのか、自分には頼みにくいのか、そもそも資料は必要ないのか。考えれば考えるほど、嘱託という立場もあってか、自分の会社での存在価値に自信がなくなります。職場にもう私の居場所はないのでしょうか。(62歳・女性・会社員)【回答】悩ましいご状況ですね。さぞかし、日々鬱々したご気分でおられることだろうと心配です。定年前同様にさまざまなデータを分析し、まとめていらっしゃるお仕事に対して、最近周りの反応が思わしくないと。それで自分の存在価値に自信がなくなり、居場所まで危ういと。では、ここに1本の大樹があると想像してください。天高く伸び、大きく枝を張った大樹です。その大樹の周りには、幾人もの人が小屋をつくって住み着いていました。住人Aは常々こう言っています。「この大樹のおかげで私たちは強い日差しをよけて快適に生活できるのだ」。しかし、住人Bはこう言います。「本当に迷惑な大樹だ。こいつがあるせいで私の畑に日が当たらない」。そして、住人Cは「え、大樹なんてあったかい?魚釣りが本業の私には、あってもなくても関係ないね」と言っています。そんなさまざまな声を聞きながら、今日も大樹はすっくと天に向かって伸び、しっかりと大地に根を張っています。粛々と水を吸い上げ、葉を茂らせ、二酸化炭素を吸って、酸素を放出しています。さあ、大樹の存在価値を決めるのは、Aさん?Bさん?それとも、Cさん?みんな自分の都合で勝手なことを言っているように見えるのですが、それらの言葉を鵜呑みにして大丈夫でしょうか。仏教的な考え方の中に、「直観」を真実とするという考え方があります。「直観」とは、自分の身体もってして知ることで、数値・言葉・道具・計算などに寄らず、どんな理由をつけても変わらない真実だそうです。つまり、「もう私の居場所はないのか」との問いに答えがあるとしたら、「自分が自分の身体でどう感じているか」がすべてだということです。ぜひ今一度すべての雑音を排除して、ご自分の奥にあるシンプルな「感覚」を見直してごらんになってみてください。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年04月23日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第72回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】1月に夫をがんで亡くしました。本人が望んでいた通りの在宅での看取り。希望を叶えられたのはよかったと思っているのですが、それでも他にもっと何かしてあげられることがあったのではとの後悔もあり、まだまだ気持ちの整理はついていません。そんな中、同居する娘(次女)の振る舞いが気持ちの余裕をどんどん奪ってきます。娘は強迫性障害がひどく、一日に何度もシャワーを浴びないと、落ち着いていることができません。それを責めるべきではないとわかっていますが、一緒に暮らしていると、どうしても目についてしまいます。また、平気で嘘をつくことも多々あり、それがさらに私の心を苛立たせます。ただでさえ、悲しく辛いときに苛立たせる娘の振る舞い。気持ちを整えるにはどうしたらいいでしょうか。(61歳・女性・主婦)【回答】夫さまを看取られたとのこと。大仕事をなさいましたね。まだまだ日も浅いですから、お気持ちが千々に乱れることもおありでしょう。無理もありません。私たちには“時間薬”という強い味方がついていてくれますが、気持ちが整ってくるまでには、2年くらいの月日が必要と気長にかまえていてくださった方がよいように思います。大切な人を失った悲しみを癒すには、そのくらいの時間をかける必要があるということです。そんな中にあって、娘さんの行動がいちいち目についてしまうというのも、これまた無理もないこと。私たちは、それぞれに“許容のコップ”を持っていて、それには上限があると思うのです。心身ともに快調で、物事も万事うまくいっているような時には、コップの容量に余裕があります。だから少々のことは、大目に見られるのです。でも、身体の調子が悪い時や、今回のように大切な人を看取られたばかりなどという時には、コップは既にいっぱいいっぱいです。そうなれば、ちょっとの刺激で、たとえ普段は気にならないようなことであったとしても、コップは溢れ出してしまうでしょう。娘さんが悪いわけでも、ましてやあなたが悪いわけでもない。今、そういう状況にあるというだけです。一番手っ取り早い対策は、コップを溢れさせる原因から物理的距離を置くということです。今回の場合で言えば、娘さんとの距離をとるということですね。でも、一緒に暮らしていらっしゃるのですから、物理的な距離を置くことはそう簡単ではないでしょう。わかります。では、せめて、心の距離はとってみようではありませんか。「どうしても目に付く」という状況になったとき、私たちはそれをコントロール不能な状況と考えがちですが、「どうしても目に付く」のではなく「自分が積極的に見てしまっている」のだ、ということが案外あるのです。つまり、自分が見ているのですから、事象の軸は自分にあり、コントロール可能だということです。ぜひそこに気づいていただきたい。自分の心を守るバリアをしっかりイメージしていただいて、3回に1回でいいので、娘さんの行動から目を離してみてください。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年04月16日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第71回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】長い間、夫との不仲で苦しんでいますが、離婚出来ませんでした。子育てや仕事で考えないようにしてきましたが、今は、リタイアして毎日、夫と二人暮らしです。夫は、いわゆる古い男尊女卑の考えが根強くあり、何度も話し合いましたが、折り合いはつかず、もう40年以上我慢しています。これからの人生考えると本当に真っ暗で出家したいとも考えます。どうにか心穏やかに生きる道はないのでしようか。(69歳・女性・無職)【回答】40年以上も我慢を続けてこられたのですね。なんと大変な人生を送ってこられたことか、拝読しながら胸が痛みました。これからを考えると真っ暗ですか。困りましたね。なんとか心穏やかに生きる道はないか、お探しになるのも無理はないと思います。離婚したいと思いつつ、そうはできない理由がおありだったのでしょう。煮え湯を飲むような思いも、きっとなさったことでしょう。でも、結局、離婚しないでここまでやってこられた。人生100年とはいえ、もう半分以上も我慢で過ぎてしまったのですから、もうそろそろご自分の思い通りに行動したとて、罰は当たらないと思いますがいかがでしょう。とはいえ、思い通りにできないから困ってしまう。夫と離れて暮らしたいけれど、経済的に立ち行かないということもあるでしょう。夫とは離れたいけれど、子供や孫とは離れたくないということもあるでしょう。すべてが自分の思い通りにはいかないのが世の常です。おのずと、塩梅を見て折り合いをつけるということになりますね。夫さまと折り合いをつけろというのではありませんよ、自分が自分と折り合いをつけるということです。自分が自分と折り合いをつけるには、覚悟が必要です。「これでいいんだ」「どんなことがあってもこうしよう」と腹をくくる覚悟です。私たちは道に行き詰まるとすべてを他人のせいにしてあきらめてしまうクセがあるようですが、そこから先の道がどうなるかは、実のところ自分の覚悟ひとつなのです。やるかやらないかを決める覚悟。決めた道が大失敗であったとしても責任を持つ覚悟。日々明るく幸せに過ごしてやる!という覚悟。その覚悟さえしっかりしていれば、道はおのずと開けて行くような気がします。「これからの人生真っ暗だから出家したい」のではなく「もっと自分を高めたいから出家したい」とのご覚悟でしたら、いつでもご相談くださいね。心から応援させていただきますから。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年04月09日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第70回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】「親の老い」がなかなか受け入れられません。母はこれまで記憶の衰えなど感じさせず、元気に生活をしていました。ただ、90歳を過ぎてから急に物忘れが増え、危なっかしい行動を何度もするように。母も自分に老いが迫っているのを感じているのか、何か失敗するたびに落ち込んで泣いています。私は母が落ち込んだ時は、「こんな元気な90歳、周りにいないよ!」と元気づけ、毎回、失敗しないようにどうするかを伝えるようにしています。母もそのときは「わかった」と答えてくれます。ただ、何度言ってもやることはなく、同じことの繰り返しで、もう小さい子どもに接している気分です。こういうのが「老いる」ということかもしれませんが、それがやるせなくて仕方がありません。親の老いをスッと受け入れる方法はあるのでしょうか。【回答】時に厳しく、時に優しく、なんでも知っていて頼りになり、いつでも守ってくれたお母さん。いついつまでも、あの頃のお母さんのままでいて欲しい。本当にそうですね。私も、そう思います。物忘れが増え、危なっかしく行動する親の姿をスッと受け入れることは、なかなかできません。なぜ、親の老いを受け入れることは、こんなにも難しいのでしょう。思うに、親の老いた姿の先に、無意識のうちに、自分の老いを見ているからではないでしょうか。私たちは、いずれ誰もが老いて死にます。きっとどなたさまも「そんなことあたりまえじゃないか」とおっしゃるでしょう。でも、実際にその老いや死を、自分のこととして腹に落としているかというと、そうではないようなのです。だってみなさんその時になると「まさかこうなるとは!」とおっしゃるのですから。つまり、日頃私たちは「老い」や「死」を封印して過ごしているのです。でも、親の老いた姿を見ることでその封印が破られ、人間が根本的に抱えている「なんで人は老いるんだろう」「なんで人は死ぬのに生まれてくるんだろう」という思い(これをスピリチュアルペインと言います)に気づかされてしまうから、心がザワつくのではないでしょうか。となりますと、スッと受け入れる方法は、おいそれとはありません。あえてご提案するとすれば、「なんで?」ではなく、「こういうもんなんだ」と思うようにすること。考えてもどうしようもないことを、どうしようもないままにしておく胆力を持つことなのです。やるせなくなってきたら、無理をしてでも「こういうもんなんだ」と声に出して言ってみてください。少しは心のザワザワが、静まるかもしれません。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年04月02日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第69回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】22歳になる娘は高校生のときに、友人関係に悩んで不登校になりました。病院に通い、担任の先生とも相談を重ねながら、当時はなんとか高校を卒業し、地元の私立大学に入学。私は大学に入れば、環境も友達も変わり、少しずつ変わっていけるかと思いました。しかし、状況はなかなか改善しませんでした。娘は家族と普通に会話しますし、一緒なら外出もできます。ただ、大学に行ったり、就職活動することはできません。私たちも病院に連れていく以外、見守ることしかできていません。私たち親が死んだときに一人っ子の娘はひとりで生きていけるのか。先の見えない悩みが頭から離れません。(50歳・女性・会社員)【回答】ご心配ですね。ご心労いかばかりか。大切なひとり娘さんですもの、目の中に入れても痛くないほど可愛がり、愛情を注いでいらっしゃることでしょう。ましてや、娘さんは人間関係の禍に巻き込まれた被害者でいらっしゃる。なんとお可哀想なことか。「私たち親が死んだとき、娘がひとりで生きていけるか」とのご心配も、痛いほどわかります。でも、お二人がいなくなったら、娘さんは、きっとひとりで生きてゆけますよ。見守ることしかできないとおっしゃっておいでですが、日々の食事はどうしていらっしゃいますか。掃除洗濯は?入浴や空調、なんだかんだと光熱費もかかるでしょう?想像いたしますに、すべて問題なく整えて差し上げていらっしゃるのではないでしょうか。娘さんにとって、お家は極めて安全な「繭」ですね。そこに潜り込んでいれば、お父さんお母さんに可哀想だとかばってもらえ、たっぷりと愛情を注いでもらえ、何不自由なく暮らしていけるのです。そんな「繭」から、どうして出るものですか。そうなれば娘さんは、無意識のうちに「繭」に居続ける理由を積極的につくります。だから、状況は改善するわけがありません。そして、あなたさまは、「繭」に籠り続ける娘さんを心配しつつも、娘さんが「繭」に居続けてくれていることに、心のどこかでほっとなさっている……。現在の困った状況は、同時に、安定した状況でもあるという、絶妙なバランスを保っているのではないでしょうか。ごめんなさい。あくまでも数行のご相談の文章から、勝手に想像したに過ぎません。どうかお気を悪くしないでくださいね。もうすぐ春です。良い気候になりますから、思い切って窓を開けて外の空気を入れましょう。膠着して澱んだ気を換えなければ変化は始まりません。明るい明日が、待っていますように。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年03月26日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第68回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】義母のお金の管理に困っています。私たちと一緒に暮らす義母は年金をお小遣いにしています。義母のお金なので、その使い道を私たちが口出しすることはないのですが、お金の管理はとても杜撰で……。しょっちゅう「お金がなくなった」と言って家中を探し回るんです。私もそれにつきあうことになるのですが、ほとんどはいつもの場所にしまわなかったり、置き場所を変えたりといった甘い管理が原因。毎回同じことの繰り返しで、最近は「今日もかぁ」と辟易しています。ただ、義母は他人にお金を管理されるのがどうしても嫌なようで、私たちが話を持ち掛けても断固として拒否します。こういった時、義母も私たちも納得できる折り合いのつけ方はあるのでしょうか(58歳・女性・主婦)。【回答】お金の問題って、厄介ですよね。義理のご関係だとなおさらでしょう。ところで、ご相談を拝読して、私、看護師なものですから、ちょっと心配になったのは認知症のことです。お義母さま、そのへんは大丈夫そうですか。お金の管理が甘いとか杜撰だとかの問題ではなく、認知機能がうまく働いていないという場合にもこういったことがよく起こります。お金に関していえば、「お財布の中が小銭だらけ」などというのも要注意現象。端数に合わせて小銭を出すことがうまくできなくなり、ついついお札で支払ってしまうので、お財布の中に釣銭の小銭ばかりがたまってしまうという現象です。「しょっちゅう家中を探し回る」ことに加えて、そういったこともあるようなら、すこし注意して見てさしあげたほうがよろしいかもしれません。あらあら、老婆心、大変失礼いたしました。さて、お義母さまも、ご家族さまも、双方が納得できる折り合いのつけ方、ですね。う〜ん。お金を置く場所を決めてつくったところで、そこに置かないから探し回ることになっているのですものね。それはダメ。かといって、こちらが管理するというのもお気に召さない。どうしたものでしょう。医療・介護の現場では、こういった場合、「注意する側」と「注意される側」、「管理する側」と「管理される側」といった対立にならないように、チームとなる働きかけを試みることがあります。いうなれば、お義母さまの「お金管理チーム」の設立ですね。一緒に困って、一緒に考えて、一緒に管理するというスタンスです。きれい事ですまないのは重々承知しておりますが、ご参考までに。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年03月19日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第67回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】転職に踏み切れないでいます。私は今の会社に勤めて5年目。1年前には営業部への異動がありました。ただ、この部署が万年人手不足の状態で、給料は変わらないのに残業ばかりが増えています。会社もそれは認識しており、上からは「そろそろ補充する」とは聞かされるのですが、2年間で2人がやめているのにも関わらず、一向に新しい人が入ってくる気配はなく……。このままなら転職したいと考えています。一方で、会社には私を会社に誘ってくれた恩人がおり、新人の頃には期待して海外研修も1年間行かせてくれるなど、とてもお世話になっているので、裏切るような形になってしまうと思うと、どうしても一歩踏み切れないでもいます。こんな時、恩人の方との関係を保ちながら、最後の一歩を踏み出す方法はあるのでしょうか(28歳・男性・会社員)。【回答】ありません。あっちもこっちもまるく収まる方法なんて、そうそうありませんよ。私たちには、知らず知らずのうちに天秤にかけて判断していることが、なんと多いことでしょう。たとえば、スーパーに行って果物を選ぶ。リンゴとミカン。どちらがフレッシュか。コスパがいいか。甘そうか。目的地まで行く交通手段を選ぶ。電車とバス。どちらが空いているか。時間がかからないか。安いか。そんなふうに、さまざまなことを天秤にかけて判断しているのです。だから得意なはずなのですけれど、ときどき進むに進めず引くに引けずという膠着状態になってしまうのはなぜでしょうか。そんなときはたいてい、天秤にのせるものを間違っているような気がします。天秤にかけて比べることが可能なのは、あくまでも同質のものです。つまり、リンゴとミカンなら天秤にのせて比較検討することができますけれど、リンゴと電車を天秤にのせて「どっちがいいか」と考えても決められないってことです。そうしてみると、「給料が変わらないのに残業ばかり」「人員の補充がない」という労働環境と、「海外研修に行かせてもらった」という恩師への御恩は、同時に天秤にのせても比べることのできない異質のものでしょう。だから、にっちもさっちもいかなくなっているのではないでしょうか。天秤の片方に「恩」をのせたとき、もう片方にのるのは「義理」では?恩師に今の状況とあなたの考えを真摯にお話しさせていただいて、義理を通しましょう。そして、労働環境については、他社と比較して検討されてはいかがでしょうか。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年03月12日4月28日(水)・29日(木・祝)の2日間、大阪・フェスティバルホールにて、平沢進+会人(EJIN)の有観客ライブ「24曼荼羅(不死MANDALA)」が開催される。平沢進+会人(EJIN) チケット情報平沢進+会人(EJIN)は2017年、平沢のTwitter公式アカウントのフォロワー数が9万人を突破したことを記念し、ライブイベント「第9曼荼羅」を実施。東京と大阪での全5公演を通してスネアドラム9万打を叩くというミッションを達成した。その後フォロワー数は増え続け、24万人に達したことを記念して、今回の「24曼荼羅(不死MANDALA)」開催が決定。24万打という“不可能に近いミッション”を遂行することができるのか!?この日のサポートドラムはユージ・レルレ・カワグチ(#STDRUMS)が務める。公演のチケットは、3月15日(月)11:00までチケットぴあにてプレイガイド最速先行受付を実施中。本公演は有料配信も実施される予定で、詳細は追ってアナウンスされる。平沢進+会人(EJIN)「24曼荼羅(不死MANDALA)」▼4月28日(水) 19:00/29日(木・祝) 18:00フェスティバルホール全席指定-7150円※未就学児童は入場不可。【お問合せ】SMASH WEST(
2021年03月10日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第66回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】最近、友人が自暴自棄になっていて心配です。彼女は昨年、休学をして1年ほどヨーロッパのある国に留学する予定だったのですが、コロナ禍でそれが急遽中止に。突然、目標を失ってしまい、無気力な生活が続いていたようです。その影響か、久しぶりに連絡を取ると、「大学院にいる意味も見いだせないからやめようと思っている」と相談してきました。すでに退学用の書類も揃えており、彼女は退学する気満々なのですが、就職先などは決まっておらず、やめてすることもあまり考えていないようで……。コロナ禍で求人も少なくなっている中、私はできれば辞めてほしくないと思っています。こういう時、どういう言葉を友人にかけるのが正解なのでしょうか(23歳・女性・学生)。【回答】ほっておいておやりなさいな。正解の言葉なんてないですよ。それより、なんであなたは「辞めてほしくない」と思うのかしら?世の中すっかり変わりましたから、大学院出の学歴があっても、仕事にありつけるとは限りません。私が大学生だった40年前には、そりゃまだ「三高(高学歴・高収入・高身長)」なんてのがもてはやされていましたから、大学院出という学歴は役に立ったかもしれませんが、今は違うでしょう?大学院は、学問を追究し研究を重ねて極めたいことがある探求者が行くところで、その情熱を失った者がいても時間とお金の無駄使いというデメリットしかありません。「就職先も決まっておらず、大学院をやめてすることも考えていない……」大いにけっこう。鬱々と意味を見出せない大学院に居続けるより、なにがあるかわからない大海原に漕ぎ出したほうがよっぽどいいと思います。己のことを思い返すと、23歳くらいの時って、なんだかあらかた人生が決まってしまったような気分になっていたように思います。あなたはそんなことないですか?ところがどっこい、人生はそのあとに逆転、逆転、大逆転です。無限の可能性が待っています。これ、本当よ。だから、ちっちゃくならずに、どどーんと大きくかまえていて欲しい。人生ね、コロナ禍に限らず、いろんなことがあるものです。いちいち自暴自棄になっているヒマなんてない。彼女もいつか必ずそのことに気づくはず。友人としてできることは、その彼女の底力を信じること。信じ切ること。どこまでも彼女の選択をリスペクトすること。安っぽい言葉をかけるよりずっと覚悟のいることだから、頑張って!【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年03月05日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第65回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】“元父親”のこれからの世話をどうするか悩んでいます。父は15年以上前に母と離婚していて、すでに還暦を迎えました。離婚後はずっと一人で生活しているようで、今後、新たなパートナーと一緒になる雰囲気もありません。私は離婚してからも父と定期的に会っており、嫌いなわけではないので、今の姿を見ていると「父はこれから孤独な生活を送るのではないか」と心配になります。一方、だからといって私が今後の父の世話を見ると、父ばかりが苦労せずに甘い蜜ばかりを吸い、今まで私と妹を一人で育てた母が損しているようで、母にとても申し訳ない気もして……。まだ先の話ではあるのですが、どういう選択肢を取ればいいのか答えが見つかりません。そもそも、父と母、両者が納得できる方法はあるのでしょうか。(27歳・男性・会社員)【回答】子としてのお立場、そしてご心情、伝わってくるものがあります。まだまだお若いのに、ここまで考えが及んでいらして敬服いたしました。立派にお育ちになりましたね。さて、最初に思いましたことは、「離婚は親の問題、親の身勝手」ということです。もちろんご両親さまにもやむにやまれぬ理由があってのことだったとは思いますが、離婚はやはり親の都合です。子どもは言わばまき込まれてしまっただけ。だから、「今まで私と妹を一人で育てた母が損しているようで、母にとても申し訳ない」と気に病む必要はまったくないと思うのです。そこまであなたが責任を負う必要はありません。どんなことでもそうですが、「これからどうしようか」と考えるとき、まず主軸になるのは「自分はどうしたいのか」でしょう。自分の気持ち。自分の希望。自分の願い。それ以外にしっかりとした原動力となり得るものはないのです。無理や我慢をして「自分はどうしたいのか」に矛盾する行動を取ったとしても、そこにはろくなものが生まれてきません。あなたは今「父ばかりが苦労せずに甘い蜜を吸う」とか、「母が損している」とか、なんだか「軸」が自分以外の人にいってしまっていますね。それらのことは、自分の気持ちが決まってから、配慮すればいいことではないかしら。お父さまとお母さま、共にご納得いただける方法は、あなたの「軸」を真ん中にして成り立つものだと思うのです。だから、まずはごちゃごちゃとしたしがらみをひとつひとつ払って、純粋に「自分はどうしたいのか」だけを考えてみてください。そこに答えがあると思います。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年02月26日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第64回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】たび重なる闘病生活に疲れてしまいました。最近、甲状腺がんとの診断を受けました。がん宣告はこれで3回目。1度目は12年前の卵巣がん、2度目は昨年の乳がんで、3度目がこの甲状腺がんです。生涯のうち2人に1人ががんを患うと言われるこの時代。なってしまうのは特別なことじゃないと思いますし、子どもの成長を見届けたいとの思いで、手術や長期治療を続けてきました。幸いにもその間、日常生活に大きな支障はなく、12年前の卵巣がんについては完治のお墨付きをもらうこともできています。でも、3度目ともなると、どうしても「なぜこう何度も……」という思いを鎮めることができなくて。まだまだやりたいことがあるし、子どものサポートはしたいと思いつつも、疲れてしまって気持ちを上向きにすることができません。どうしたら改めて前を向くことができるようになるでしょうか。(58歳・女性・会社員)【回答】前を向く方法……このような大変なご状況を抱えて、それでも前を向く方法……すぐには思いつけません。どんな言葉も、ここまでを生きてこられたあなたの前では、薄っぺらなものになってしまいます。子どもさんの成長を見届けたいという一念で、果敢に治療を続けてこられた。正にその意志の力が病を押さえ込み、命を燃やし続けさせてきたのだと思います。本当に、心からリスペクトします。でも、3度目のがん宣告を受けた今、前を向けなくなっていらっしゃる。そりゃそうでしょう。そりゃそうですよ。なにかあなたにお伝えできる言葉がないか必死で探しましたが、どんな言葉も力不足でダメです。なので、私が常々感じていることをお話しさせていただこうと思います。私は看護師なのですが、これまでにいろいろ見させていただいて「わかった!」と思っていることがあります。それは、「死ぬときは決まっている」ということです。実は生まれた時から、○○年○○日までと、命の限りは決まっている。どんなに元気でもその時がくれば死ぬし、どんな大病を抱えていてもその時がくるまでは死なない。そういうものなのだなと、わかったように思っているのです。その日がいつなのかは、たかだか人間の私ごときにはわかるわけもありませんが、そのかわり、心配も無用です。「事故に合わないように」とか「病気にならないように」とか、心配しなくていい。だって、生きるところまで生きることが決まっているのですからね。あとは、もらったその時間をどう使うかだけです。なんだか乱暴な話になってしまってすみません。あなたの日々が安寧でありますように、朝に夕に祈ります。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年02月19日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第63回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】がんと診断されて心が不安定な姉との付き合い方がわかりません。私の姉は3年前にステージ4の乳がんが見つかりました。現在は通院治療を受けており、独身で視力がほとんどないこともあって、80歳近い両親が世話をしています。元々、姉と両親は仲が悪いのですが、がんの診断を受けてからというもの、姉は両親に向かって「自分が病気になったのは両親や先祖のせいだ」と、罵倒を繰り返すようになりました。もちろん、今の姉の状態を考えれば、不安と無力感でやるせない気持ちでいっぱいになっているのは理解できます。でも、私が何度、両親と姉の間に入ってその場を収めても、すぐに罵詈雑言が飛んでくるため、今では私も親も親戚もお手上げ状態です。家族全員が少しでも穏やかな日々を過ごせるようにするにはどうしたらよいでしょうか。(55歳・女性・会社員)【回答】「今では私も親も親戚もお手上げ状態」というご状況、なんと申し上げてよいのか……。ご家族全員が穏やかにお過ごしになれるときが一日も早く訪れますように、心からお祈りいたします。お聞きする限り、お姉さまのご病気は決して楽観できるご状態ではないでしょう。たぶんお姉さまには、ご自身の「死」の影が見えているのではないかと想像します。キューブラー・ロスという学者は、人は自分の死を受け入れるまでに5つの段階を通過すると説きました。第1段階は、否定。第2段階は、怒り。第3段階は、取引。第4段階は、抑うつ。第5段階は、受容。この説に当てはめて考えてみると、お姉さまは今、第2段階の怒りに呑み込まれていらっしゃって、甘えられるご家族にそれをぶつけていらっしゃるのかもしれません。罵詈雑言の裏には、「死」への不安が隠れているのかもしれません。とはいえ、だからすべてを許さなければいけない、というわけではありません。すべてを許してくれそうに見えるお釈迦様も、「もし罵る者に罵りを、怒るものに怒りを、言い争うものに言い争いを返したならば、その人は相手からの食事を受け取り、同じものを食べたことになる。わたしはあなたが差し出すものを受け取らない。あなたの言葉は、あなただけのものになる。そのまま持って帰るがよい。」(『サンユッタ・ニカーヤ』)といって悪態をついた人を突き放したといわれています。良かれと思ってかける情けが、かえって相手のゆく道をふさぐという場合もあります。介護や福祉の制度を活用して、一度、思い切ってお姉さまとの距離を置いてみるというのもひとつの手かもしれません。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年02月12日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第62回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】上司に子育てと仕事の両立を理解してもらえなくて困っています。私には1歳になる息子がいます。今の部署には妊娠する前から所属していて、当時は産休と育休も取得。上司である部長は女性で、私と同じママでもあるので、仕事と子育ての両立で大変な部分も理解してもらえると思っていました。ただ、現場に復帰してみると、上司は子どもや家庭の事情など関係なしに、残業になる仕事を急に振ってくることが多くて……。上司には率直に相談もしましたが、改善される気配はなく、上司ばかりが子どものお迎えで定時に上がり、私は遅刻を繰り返す日々です。今の仕事が好きなので、仕事をやめたいとは思っていません。でも、早くも両立することの難しさを痛感して、今後どうしていけばいいのか途方に暮れています。(30歳・女性・会社員)【回答】子育てと仕事の両立。これは私たちが抱える永遠のテーマといっても過言ではなさそうです。さて、お子さんは1歳とのこと。かわいい盛りでしょう。でも、まだまだ手がかかりますね。たしか、育児休業であれば延長もできたと記憶していますが、なんらかの理由で延長されなかったのでしょうね。それで、職場復帰してみると、急な残業ですか。保育園のお迎えの時間は厳格ですから、本当に困りますよね。つらいなあ。子どもに手がかかる時期は、そう長くはありません。雇用主様には子育てへの配慮を、是非ともしてほしいものです。でも、一方で、仕事には厳しさがつきものだということも忘れてはいけないような気がします。どんな人も、さまざまな事情を抱えながら仕事に従事しているはずです。こちらの事情ばかりをゴリ押しするのは、大人としてフェアじゃない気がするのです。大切なのは、自分自身と折り合いをつけることかな、と思います。子どもはかわいいけれど、ずっと頑張ってきたキャリアをゼロに戻したくない。好きな仕事は辞めたくないけれど、子育ても大事だとわかっている。そりゃ、ベストは、理解のある職場で定時に退社でき、子育てもキャリアも両方手に入れられることですが、そうはいかないのですよ。世の中は自分の思い通りには回ってくれないのです。そういうものなのです。だから、自分の中で折り合いをつけていくしかない。そのとき、「上司が……」とか、「職場が……」とか「ダンナが……」と舞台の上に第三者をあげて考えない。なぜなら、他人はコントロールできない最たるものだからです。「今後どうするか」の答えを見つけるには、「今後どうしたいのか」を自分に聞いてみること。まずは、舞台の上にご自分だけでしっかり立って、考えてごらんになってみてはいかがでしょう。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年02月05日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第61回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】意力や気力の抜けた先輩社員を見ていて、将来が不安になりました。私が勤める会社には“窓際族”に該当するような年配社員の方が多いです。毎日、パソコンに向かってはいるものの、しているのはいつもネットサーフィン。少し時間が経つと、他部署と関わるような業務もないのに席を何度も立ち始めるようにもなり、どうしても仕事をもう少し積極的にしてほしいと思ってしまいます。ただ、そんな様子を見ていると、将来、自分が“窓際族”になる可能性も感じるようになって……。はたしてこの人たちと同じ年齢なった時、主要なポストに就いて、部下のお手本となるような働きが自分はできているのか不安を抱くようになりました。ずっとモチベーションを維持して働くにはどうすればよいのでしょうか。(28歳・男性・会社員)【回答】ずいぶんと熱心に年配社員さまのことを観察なさっていらっしゃるご様子に感心いたしました。もしかすると、年配社員さまのお世話があなたさまの業務なのでしょうか。そうであれば、「仕事をもう少し積極的にしてほしい」とさぞかしお気を揉まれることでしょうね。ご心労お察しいたします。ただね、他人様をコントロールすることは原則できません。もっとこうしてほしいと思っても、そうはしてもらえないのが、世の中の理です。ですから、あなたさまがどんなに気を揉んでも、年配社員さまの働き方は残念ながら変わらないでしょう。さて、万一、あなたさまの業務が年配社員さまのお世話ではない場合ですが、この場合「仕事をもう少し積極的にしてほしい」は、びっくりするくらい大きなお世話といえましょう。そんなことをお考えになっているヒマがあったら、もっとご自分のお仕事にしっかり集中なさったほうがよろしいでしょう。いらん観察して、いらんこと考えて、挙句の果てに将来自分が“窓際族”になる可能性を感じて不安になってしまうとは……本末転倒ですよ。モチベーションを維持して働くにはどうすればよいかは、至極簡単です。他人がネットサーフィンしてようが、席を何度も立とうが、そんなことに影響されないあなた自身の目標を持つことです。あなたのモチベーションは、あなたのものですからね。潰すのもあなただし、維持するのもあなたです。拝読いたしますに、当座、将来主要なポストに就いて、部下の手本となるような働きをするのが目標でいらっしゃるのかしら。そうであれば、それを目指して脇目もふらずご自分のお仕事に没頭し、精進されるがよろしいでしょう。他人がどのような働き方をしていようが、かまったこっちゃありません。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年01月29日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第60回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】大学卒業後、長男がしっかり働いてくれるか心配です。来年、大学4年になる長男は働くことに全く興味がないようで、入学してからアルバイトをしたのはコンビニで一度だけ。それも、コロナウイルスの感染リスクがあるからと、半年も経たないうちにやめてしまいました。さらに今年は就活もあるというのに去年の夏からオンラインインターンの一つも受ける様子はなく、スーツは持ってないわ、就活サイトにも登録しないわで、就職する気が全く感じられません。「一生働かないまま過ごしたい」と言う始末です。このまま実家暮らしのニートになってしまわないでしょうか。(54歳・女性・薬剤師)【回答】心中、お察しいたします。私も息子のことで似たような心配をしたことを思い出しました。さて、あなたは、心配のあまり日々ご子息にお小言を言っているのでしょうか。もしそうであれば、お気の毒に。あなたが、ではなくて、ご子息が、ですよ。私たちは相手を見るときに、どうしても自分のフレームを通して見てしまうのですね。「スーツは持ってないわ」「就活サイトにも登録しないわ」と嘆いていらっしゃいますが、スーツを持っていたら、就活サイトに登録したら、就職できますか?そうすれば何とかなると思っているのは、あなたの経験からつくりあげたフレームを通して見た虚構の世界です。実際には、スーツ着たって、就活サイトに登録したって、どうなるかわかりゃしません。しかも、私、ご子息のおっしゃる「一生働かないまま過ごしたい」には、心から同意します。私もそんな儚い夢を抱いていた時期がありました。でも、人生にはもっと面白いことがあると気付いて、それを実現するために動かざるを得なくなりました。結果、“働く”ということになったのです。私も“働く”こと自体に興味なんてありませんでしたよ。母として心配すべきは、ご子息が働くことに興味がないことではなく、楽しいことを見つけられていないことではないかしら。とはいえ、ご子息はまだ20数年しか生きていないのですから、これからです。人生100年の時代。楽しいことを見つける時間は、まだまだたっぷりあります。こう考えてみると母親なんて、所詮なにもできないものですね。渾身の力を振り絞ってお小言を言ったとて、なんの効果もありゃしません。だったら、ご子息をリスペクトしちゃったほうがいいかも。「男子家を出ずれば七人の敵あり」、ということわざがあります。(女子だって同じですが。ご子息は敷居を跨いでもいらっしゃいませんが。)だとすれば、せめて母までもが敵にならないようにしようではありませんか。まったく、お互い、苦労が絶えませんね。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年01月22日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第59回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】私は入社してから33年、ずっと同じ仕事に携わってきました。その仕事にはやりがいを感じていて、会社で自分の存在意義も感じていました。そんな中、2年前に会社の配置変えがあって、初めて別の業務を担当することになったんです。ただ、会社からのサポートが期待したほどなかったこともあって、その仕事に私はどうしても馴染むことができなくて。先月、会社に退職届を出しました。入社してから35年、定年まではあと2年でした。もちろん、会社の同僚や家族には「あと2年の辛抱だよ」「新しい仕事を見つけるのは難しい」「今の会社で何が不満なの?」と反対されました。私にもコロナの影響で職を失う人や収入がない人が多くいる中、後ろめたさや将来に対する不安があったことは確かです。ただ、それでも辞めたかったんです。新しい作業には満足できず、やりがいのあった作業からは離れて、どうしても自分の存在価値が感じられなかったんです。私は間違った選択をしてしまったのでしょうか。(58歳・女性・会社員)【回答】「辞めたくなかった」「辞めて失敗した」と、一番思っていらっしゃるのはあなたのようですね。配置変えされてからの業務に、なじめなかった。そういうこともあるでしょう。それで、退職を決断された。うん。それもありですよね。35年勤めていたとか、定年まであと2年だったとか、同僚や家族が反対したとか、いつだって相反する見方はできるものです。大事なのは、あなたがなじめないと判断して、辞めると決断したということ。よくご決断されましたね。自分の存在価値を感じることができないような場所から離れたことに、間違いはなかったと思いませんか。変化には、大なり小なり痛みがつきものではないかしら。物事に陰陽がある限り、“良いことばかり”もなければ、“悪いことばかり”もない。どうしたって少々の後悔を伴いながらの、新しいスタートになるような気がします。さて、せっかく新しい道の前に立ったのに、いつまで後ろを振り向いているおつもりでしょうか。私たちに与えられた時間には限りがあります。そして、時間が過ぎるのは本当に早い。おお、もったいない、もったいない。間違った選択だったのだろうかなんて悩んでいるその時間と労力を、これからどうやって楽しんで生きていくかを考えることにお使いになった方がよっぽど健全です。だって、いくら悩んだって巻き戻しはできないのですから。あなたは、間違った選択なんてしていないですよ。あなたの人生の中で、あなたが決めたことは、すべてベストチョイス。「間違った選択はしていない」と、あなたが決めればいいのです。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年01月15日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第58回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】私は保育士で、今は保護者を支援する立場にいます。年々、対応に難しさを感じる保護者は増えており、試行錯誤の毎日です。そうした中、最近、保護者からきつい一言を言われました。その保護者はなかなか子どもの爪を切ってきませんでした。保育士は子どもの爪を切るのは禁じられています。そこで、私は担当と一緒に2カ月近く「寝ている時に切ってはいかがでしょうか」などと、色々な声掛けをしてきました。ただ、それでも切っていただくことはできず、本人や周囲の子を傷つけてしまう恐れもあるため、次に私は「お忙しいところ申し訳ないのですが、○○ちゃん自身もお友だちも傷をつけてしまうといけないので、切っていただけないでしょうか」とお伝えしました。すると翌日、突然、周囲にほかの保護者もいる中、『私が忙しさにかまけて、何もしてないように言って!出来ないから出来ないんです!私の心に寄りそってない!』と言われてしまったんです。その言葉に私は唖然としてしまって……。今まで保護者の心に寄りそうように心掛けてきましたが、もう訳がわからなくなりました。玉置先生、心に寄りそうとはどういうことでしょうか?(47歳・女性・保育士)【回答】大変でしたね。保護者さんの心に寄りそうように努めていらしたのに、どこでボタンを掛け違ってしまったのでしょうか。ご相談いただいたので、私からひとつの可能性をご提示しますね。“答え”ではないですよ。今回のことをあなたがお考えになるための“材料”です。あなたが保護者さんにかけた言葉、「寝ているときに切ってはいかが」は“方法”の提示。「傷つけてしまうといけないので、切って」は“評価”。ここに、相手の心に寄りそう要素は残念ながらひとつもありません。保護者さんは、あなたに寄りそってもらっているとは微塵も感じていなかったかもしれませんね。保護者さんの心に寄りそうなら、まずは保護者さんの話を聴くことです。たとえば、5分でいいから二人きりになれる場所を確保して、座ってもらって、できればお茶を用意して、「お疲れさまです。毎日どうですか?」と。眠れているか、食べられているか、楽しめているか、とにかく保護者さんを話題の中心にする。特に保護者さんの“感情”を真ん中に置いて話をする。その中から、子どもの爪を切れない理由を一緒に探す。どうやったら切れるのか方法を一緒に考える。問題を抱えている方は、ものすごく敏感で鋭いセンサーを持っています。だから、こちらに少しでも上から目線の気持ちがあれば、すぐにバレてしまいます。人の心に寄りそうとは、自分の心の中をつまびらかに知ることである。私はこんなふうに考えていますが、いかがでしょうか。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年01月08日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第57回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】先輩社員の働き方に疑問を感じています。入社して15年の私は、今の仕事を4年前くらいからやっていて、先輩2人と私の2人チームで担当しています。仕事の内容はエクセルを使ったデータの整理と分析で、先輩2人はどちらも私より一回りほど上のベテラン。仕事自体は難しいこともありますが、その分やりがいもあって満足しています。ただ、最近、一方の先輩の働き方が目に付くようになって……。私より2年も前から同じ仕事をしているのに、基本的なことを私に繰り返し聞くようになり、新しい作業が増えると、「自分にはできない」からと最初から理解しようとせず、人任せをするようになったんです。もちろん協力しあうことは大事ですが、これではもう一方の先輩社員や私にしわ寄せが来るばかり。もう一方の先輩は「努力するかどうかは本人の向上心次第だから」と達観しており、私もそうなろうと思ったんですが、そういう姿が目に入るとどうしてもイライラしてしまいます。こういうとき、どうやったら気持ちを切り替えられるでしょうか。(38歳・女性・会社員)【回答】え~と、ずいぶんと先輩さんのことが気になって仕方がないご様子ですね。よっぽど先輩さんのことがお好きなのか、はたまたあなたがお暇なのか……。入社して15年。今のお仕事で4年目。もう脂の乗り切った働き盛りですね。しかも、今のお仕事に「やりがいがあって満足している」とは、本当に素晴らしいです。なかなかないですよ、そういう職場は。うらやましい限りです。で、最近先輩の働き方が目に付いて、イライラして仕方ないと。イライラする原因は、「しわ寄せが来る」ことでしょうか。やりがいがあって満足している仕事だけど、人よりも多く働くのは嫌だということかしらね。チームメンバーの仕事量は全員同じでないと、ダメですか。さて、一般論で恐縮ですが、イライラの周りにはいろんなものがくっついちゃっているように思うんです。私たちはよく「あの人がこうだから」とか「このやり方がどうだから」と、人のせいにしたり、仕組みのせいにしたりしますけれどね、イライラの根っこは実はそういうことではないような気がするのです。案外、自分自身の考え方や物事のとらえ方にイライラの根っこがある場合が多いのではないでしょうか。ですから、気持ちを切り替える方法を探すというのももちろん「あり」ですが、その前に、なぜイライラするのか、自分自身の心の中をじっくり観察してみることをお勧めしたいと思います。自分の中にある根っこに気づいたら、すう~っとラクになれるかもしれませんよ。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年01月01日2012年、第13回全日本国民的美少女コンテストでグランプリを受賞し、芸能界入りを果たした女優・吉本実憂。近年では、映画『HiGH & LOW THE RED RAIN』で出会ったアクション監督・坂口拓に師事し、アクションや殺陣の腕を磨き続けている。女優として着実にステップアップする吉本が2020年を振り返り、2021年の展望への意気込みを語った。映画『罪の余白』(15)、『レディ in ホワイト』(18)、『瞽女 GOZE』(20)で単独主演を務め、2019年公開の『透子のセカイ』では2020年のフランス・ニース国際映画祭最優秀外国映画主演女優賞を受賞。8日公開の映画『大コメ騒動』に出演するなど、女優として着実に経験を積んでいる。2020年は模索しながらも、「充実していたようなしてなかったような、色でいうと“グレー”な1年だった。だけど黒と白の2色だけでつくられたグレーではなく、たくさんの色が混ざり合ってのグレー」と得るものはあった様子。ステイホーム期間は海外ドラマ『The 100』をはじめさまざまな作品を見たり、ブームとなった『あつまれ どうぶつの森』などのゲームをしたり、アニメや漫画を読んだりとたくさんのインプットをしたそう。そして改めて「“今”と“未来”について、たっぷり考えることができました」とのことで「この状況になる前と後で、自分の軸となる部分の気持ちにブレがなかったので安心しました。好きな芝居をとことん追求していきたいと」と芝居への思いを再認識した。そんな吉本のモットーは「リアル」。「芝居は決してウソをつくことではない。“自分”という人物たちが集まって、自分の人生の一部を真実の心で表現していく」と芝居について持論を展開する。2021年もあくまで「土台は、芝居、アクション。共にリアルを追求する」と軸はぶれない。そのうえで「洋服、メイク、ネイルが好きなのでファッションに関わることもやっていきたい。広く深く重く、色んなものを表現し、届けられるような人に」とさらなる成長を誓った。
2021年01月01日