情報発信の手段が多様化する現代において顧客とどのように接点を持つかが問われています。住まい事業に特化したSNS活用術とメディアを介した情報発信のメソッドについて、リミア株式会社主催のセミナーを開催。ゲストスピーカーにカーサプロジェクト株式会社取締役・齊藤弓勢さんを迎えて2019年7月3日(水)に実施。参加者を募集します。情報の質と量にこだわることで成果に差が出る新聞、雑誌、テレビのメディアに加え、近年はWEBから情報取得が活発な時代です。受け手にとっては情報過多になるため、優良なコンテンツでなければ響きません。また、Facebook、Instagram、TwitterとSNSも多岐にわたり、いよいよ顧客へのアプローチが難しいと言えるでしょう。住まい事業においてもWEBを介したコミュニケーションは一層重要になります。潜在層から見込み顧客まで広く情報を届けるには、コンテンツの質を高めながら、適切な頻度も検討せねばなりません。そこで本セミナーでは、WEBメディアを活用する際に効果に繋がりやすいコンテンツの作り方と発信ノウハウ、SNSの運用について解説します。ミレニアル世代の情報収集はこう変わる!今後、住宅購入の対象がミレニアル世代へと移ってゆきます。「ミレニアル世代」とは1980年代後半から2000年代に生まれ、インターネットが普及した環境で育った最初の世代です。情報リテラシーに優れ、仲間との繋がりといった「共感」を軸にする傾向があるとされています。彼らが成人を迎える2020年以降、住宅取得を検討する際にSNSを積極的に利用するシーンが想定されます。《casacube》を筆頭にデザイン性が高い商品住宅を展開するカーサプロジェクトが、この世代への住宅受注の効果的なアプローチ手法を本セミナーで公開します。カーサプロジェクト株式会社取締役 齊藤弓勢氏2020年を目前にした今こそ、WEBメディアやSNSでの効果的アプローチを探りましょう。ぜひご参加ください。メディア情報発信×コンテンツ制作 ブランディング戦略セミナー●セミナー対象・住まいづくり関連企業の経営者/マーケティング責任者/営業責任者●セミナー登壇者・カーサプロジェクト株式会社取締役齊藤弓勢・リミア株式会社メディアグループ編集チームマネージャー藤島由希・リミア株式会社メディアセールスグループアライアンスチームマネージャー石坂一貴●開催概要・日時:2019年7月3日(水)受付13:45、開催14:00〜16:30・会場:リミア株式会社オフィス東京都渋谷区渋谷1-3-3ヒューリック青山第二ビル9階・定員:20名(定員になり次第、受付終了となります)・料金:無料※同業他社、および個人の方のご参加はお断りさせていただく場合がございます。●内容・14:00〜15:00第一部LIMIAパート「住まい領域で効果を生むメディア発信」・15:00〜16:30第二部カーサプロジェクトパート「ミレニアル世代へのアプローチ」●お申込み方法・FAXでのお申し込みはこちら(03-5786-9340)・WEBからは下記のページよりお申込みくださいセミナーお申込みフォーム
2019年06月04日東京・品川の建築倉庫ミュージアムでは、企画展「Wandering Wonder -ここが学ぶ場-」を、2019年5月22日(水)から9月1日(日)までの期間で開催する。“学び・育ちの場”に焦点本企画展は、戦後の⺠主化とともに大きく発展を遂げてきた、日本の教育施設と生涯学習施設に焦点を当てたもの。学びの場・育ちの場と聞いて連想される場所は様々だが、幼稚園から大学までの教育施設、図書館や美術館といった生涯学習施設の枠にとどまらず、福祉施設、体験型学習施設、アフタースクール、オルタナティブアートスペースなども含め、学びや育ちの場として計画された建築作品を、全14組の建築家による計18作品21点の建築模型と、写真などの関連資料を通じて紹介する。横河健、隈研吾、シーラカンスアンドアソシエイツら出展出展建築家・作品は、横河健/横河設計工房「六町ミュージアム フローラ」、隈研吾建築都市設計事務所「愛徳幼稚園」、⻑坂大 東畑建築事務所 Méga「KYOTO Design Lab」、シーラカンスアンドアソシエイツ「流山市立おおたかの森小・中学校、おおたかの森センター、こども図書館」など、幼稚園から美術館まで様々。少子高齢化や都市部への人口集中、グローバル社会、ワークライフバランス推進、あるいは学校教育における授業時間数の変更といった社会的な要素が及ぼす影響と共に多様化している、様々な建築空間を知ることが出来る。また、内部が一般公開されていない建築物についても、一部の作品は内部の画像をディスプレイで展示。展示室内には椅子も配置されているので、模型と画像をじっくりと見ながら、その設計意図に思いを馳せることが出来るのも、本企画展ならではの魅力の一つだろう。開催概要「Wandering Wonder -ここが学ぶ場-」会期:2019年5月22日(水)〜9月1日(日)※7月1日(月)〜7月19日(金)の期間は休館※同時開催:展示室A「ガウディをはかる-GAUDIQUEST-」〜2019年6月30日(日)会場:建築倉庫ミュージアム展示室B(東京都品川区東品川2-6-10)開館時間:火〜日 11:00〜19:00(最終入館18:00)、月曜休館(祝日の場合、翌火曜休館)※障害者手帳の所持者とその付添者1名は無料。入場料:一般 3,000円、大学生/専門学校生 2,000円、高校生以下 1,000円※展示室Aの観覧料含む。※オンラインチケット制。詳細は公式ウェブサイトより。<出展建築家>山本理顕設計工場横河健 | 横河設計工房隈研吾建築都市設計事務所坂茂シーラカンスアンドアソシエイツ⻑坂大東畑建築事務所 Méga梓設計川原田康子+比嘉武彦 | kw+hg アーキテクツ佐藤慎也+古澤大輔+馬場兼伸+黑川泰孝ブルースタジオ吉村靖孝建築設計事務所原田真宏+原田麻魚|MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO⻄田司+一色ヒロタカ+勝邦義+岩崎修 | オンデザイン山﨑健太郎デザインワークショップ
2019年05月10日今回訪れたのは、神楽坂にお住いのKさんご夫婦のおうち。これから先のライフスタイルを考え、こだわりを詰め込めるフルリノベーションを決意。〔ブルースタジオ〕に依頼し、資産価値を考慮しながらも、愛犬のチルちゃんと一緒にゆっくり過ごせるお家を作りました。2人がフルリノベーションでこだわった事とは?すてきなお部屋の様子とともにご紹介していきます。コンセプト決めからしっかりと。将来的な価値も考えた、愛犬のためのこだわりの家玄関には壁一面の黒板ボードが。奥様が描いた愛犬のチルちゃんのイラストがお出迎え。東京・神楽坂にある、「chillvill」と名付けられたKさんご夫婦のおうち。その名の通り、愛犬のパグ・チルちゃんとともに、家族みんながくつろぐために作られました。K邸 リビング、キッチン、ダイニングご夫婦は理想の住まいを実現するために、〔ブルースタジオ〕でフルオーダーのリノベーションをすることにしました。「家を買っても、ずっと住み続けるとは言い切れません。将来的に家を売る可能性も考慮に入れてオリジナルな家にしていかないと、住宅の価値は下がってしまうだけ。資産価値が下がらないようにするというのも、フルリノベーションに決めた理由のひとつでした」とご主人はいいます。そんなご夫婦の意向を踏まえ、〔ブルースタジオ〕では手放す場合も視野に入れて、購入するエリアや、デザインについてもアドバイスをしてくれたそうです。〔ブルースタジオ〕の賃貸物件で育まれた、暮らしに対する考え方Kご夫婦が以前住んでいた《青豆ハウス》。全8世帯が入居できる共同住宅は2棟の建物が共同のテラスで繋がる。住民同士の交流が生まれることで、自然とコミュニティが育まれる。画像提供:ブルースタジオもともと〔ブルースタジオ〕が設計した新築賃貸物件、《青豆ハウス》に4年間住んでいたというご夫婦。隣近所との付き合いも密な暮らしをしていくなかで、今までになかった“暮らしの価値観”が生まれたといいます。「以前は駅からの距離や広さなど、住むのに十分なスペックがあればいいと思っていましたが、《青豆ハウス》に住んでからは、暮らしを大切にしたいという思いも生まれるようになりました」とご主人。自分たちにとっていいライフスタイルは何か?を考えるきっかけになった《青豆ハウス》での暮らしのエッセンスは、お部屋の随所に取り入れられています。「スキップフロアに繋がる階段は、段差があることで日常にさまざまなシーンが生まれた《青豆ハウス》を意識して設計してもらいました。今でも《青豆ハウス》の住人たちとは交流があって、家に遊びに来てくれたときに、こういった部分から“青豆っぽい”って感じてもらえるのは嬉しいですね」と、ご主人。一方で玄関にあるシューズクロークの壁は、濃いピンク色に塗り空間のアクセントに。「青豆ハウスでは入居したときに、住人たちで力を合わせて壁に色を塗ったんです。そういった経験もすごく思い出深くて。その経験を思い出させてくれるように色を取り入れました」青豆ハウスでは、入居時に入居者の手によって壁が塗られた。画像提供:Kさん住まいをより楽しむきっかけになった《青豆ハウス》の思い出は、ご夫婦にとってかけがえのないもの。そんな思いも大切にしながら、家づくりを進めていったと言います。ひとつづきの空間に、家族のお気に入りスペースを床は犬が汚しても交換しやすいタイルカーペットを使用。コーディネートが難しい色や素材選びは、インテリアにも詳しい担当者がいたから安心して進められたそう。もともと「チルが自由に走り回れるように、広いLDKがあるといいな」と考えていたご夫婦。仕切りのない広々とした空間の中に、家族と愛犬それぞれにとってのお気に入りスペースを作りました。ご主人のお気に入りはスキップフロアのホビースペース。以前はリビングでゲームをしていたそうですが、テレビを見たい奥様と取り合いになることも。そこで、ご主人専用の趣味のスペースを作ってもらったといいます。「趣味に没頭できる上に、完全に分離させる形ではないから、お互いの存在を感じられるのもいいですね」通常のマンションは平面的な空間ですが、スキップフロアなどをつくることで立体的な空間に。ひと続きのリビングも、高さを変えることで暮らしの中に多様なシーンが生まれます。そんな秘密基地のようなスキップフロアは、男性たちの憧れ。来訪した友人からも羨ましがられることが多いそうです。K邸 ダイニング、キッチン一方で、料理が好きだという奥様のお気に入りが「キッチン」。「本当は広々としたオープンキッチンにしたかったけれど、配管の問題で柱が残ってしまったんです。キッチンの収納も、背が低いので高いところに取り付けたくなくて。どうしたらいいか担当の方といろいろ考えた結果、柱周りを収納として活用できるようにしました」と、全てが予想通りに行くわけではないリノベーションの問題をクリアしながら、理想へと近づけていきました。そして「できてみると意外と使い勝手が良くて、ホームパーティーをするときも便利」という納得の仕上がりに。床は黄色く、配管の通った柱は温かみのある木材を使用。海外のおうちのようなオシャレなキッチンに仕上がっています。スキップフロアの下は愛犬の部屋に。そして3つ目のお気に入りが、愛犬の「チルちゃんのお部屋」。スキップフロアの下のスペースを有効活用し、チルちゃんが落ち着ける空間に仕上げています。壁は爪でガリガリしても目立たないように、OSB材を使用。汚れても拭き取りやすいという機能性もありながら、インテリアのアクセントにもなっています。小型犬のグルーミングも楽にできる洗面所。洗面所には、チルちゃんのグルーミングがしやすいように、深い洗面台を設置。フルオーダーのリノベーションだからこそ、細かな要望を反映させられたのだとか。お気に入りの街で暮らしを楽しむ。家族にとって大切な拠点にK邸 スキップフロアから見たリビング。「フルリノベーションのいいところは、幅広い選択肢の中から自分たちにとって一番ベストな方法を選べるところ。見た目は個性的に仕上がっていますが、ベーシックな住みやすさは大切にしました」と、住まいと暮らしの最適なバランスを探っていったKさんご夫婦。そんなすてきな拠点を得た上に、お部屋を出ればご夫婦が大好きな街に繰り出せるのも、お気に入りポイントなのだとか。おうちの中だけでなく、周辺の環境も含めて暮らしを大切にしていくという視点を持つことも、幸せな住まいづくりの秘訣かもしれません。〔ブルースタジオ〕公式ウェブサイトはこちら●取材協力株式会社ブルースタジオ●テキスト宇治田エリ●写真土佐麻理子
2019年03月20日20世紀を代表する建築家、ル・コルビュジエ。彼の建築作品で世界文化遺産でもある国立西洋美術館(本館)で、ル・コルビュジエの絵画とそのルーツに迫る展覧会『ル・コルビュジエ絵画から建築へ—ピュリスムの時代』が開催されている。『ル・コルビュジエ絵画から建築へ—ピュリスムの時代』()
2019年02月26日今回は、女性一級建築士である筆者が、失敗しない間取りにするために注意すべき3つのポイントについてお話いたします。家を建てる際に間取りを決められないという人は意外と多いようです。1年近くも打合せしても、なぜか堂々巡り……。どのようにすれば、理想の間取りにすることができるのでしょうか?■ 1.インターネットの情報だけに踊らされない!Mills / PIXTA(ピクスタ)インターネットの利用によって、多くの人が、家に関しての情報を得ることも、発信することもできるようになりました。リビングにサンルームを造ったら、室内物干しができて便利だった!玄関に、キッチンからも出入りできる収納をつくったら、家事が楽になった!上記のような「便利だった!」「よかった!」という情報を、我が家にも取り入れたいと思うことは、決して間違ってはいません。しかし、家の設計は、敷地や道路、方位、法令などの条件から作成していくため、まったく同じ条件の家はありません。そのため、取り入れたい間取りが、自分の家で可能であるとは限りませんし、無理に取り入れたことで、別の場所が使いにくい間取りになることもあるのです。インターネットの情報は、参考程度にして、設計者や施工者など、専門家の意見を大切にしましょう。マハロ / PIXTA(ピクスタ)■ 2.間取りへの要望は「引き算」で考える!プラナ / PIXTA(ピクスタ)「明るくて広いリビングダイニングがほしい」「庭でバーベキューがしたい」「書斎がほしい」「家事コーナーでよいから、私専用のスペースがほしい」。ふじよ / PIXTA(ピクスタ)このように、家族それぞれの希望はたくさんあると思います。しかし実際には、敷地や予算の制限から、ご家族すべての希望をかなえるのは難しいのが現状です。間取りの要望をまとめて設計者に伝えるには、以下のようにするのが最適です。まず初めに、家族それぞれが自由に、家への要望を紙に書きだす家族で重なった要望は、「家に求めるもの」として残す要望が重ならない、または意見が拮抗するものは、引き算をして要望から消していく残った要望を紙にまとめ、設計者に渡すRina / PIXTA(ピクスタ)こうすることで、家族の思いもまとまりやすく、また設計者にも「家に求めるもの」のイメージが伝わりやすくなります。また、同時に「家に求めないもの」も補足として伝えてみてください。余計なところにお金をかけない配慮が可能になり、具体的な家へのイメージが設計者に伝わります。■ 3.専門家のセカンドオピニオンを聞く要望を整理し、設計者に伝えたけれども……、なかなか希望通りの間取りにならない、間取りにピンと来ない場合も多いと思います。そんなときは思い切って、専門家のセカンドオピニオンを聞く方法もあります。IYO / PIXTA(ピクスタ)病院と並び、建築の世界も、専門家によるセカンドオピニオンを聞くことが普通になってきています。そして設計事務所や不動産コンサルタント事務所では「間取り相談」や「間取り診断」を実施しています。「間取り相談」のメリットとしては、建築士が変われば、まったく違う間取りができることが多いデメリットとしては、今の設計者との空気感が、若干、悪くなる場合があるなどです。こちらの図面は「間取り相談」を行う前のものです。セカンドオピニオンの意見を参考に建物の大きさや配置は一切変えずに、間取りだけ変えると以下のようになりました。ここまで間取りを変えることができます。いかがでしたか?マイホームへの夢は、十人十色、さまざまです。間取りづくりのポイントをおさえ、後悔や失敗のないマイホームづくりを進めてくださいね。(しかまのりこ)
2019年02月18日今回ご紹介するのは、調布市で暮らす仲良しなSさんご夫婦のお家。2人が住まいに求めたのは、自由でシンプルな空間づくりでした。以前から憧れだったという〔ブルースタジオ〕に相談し、価格が明確なセレクトオーダー式リノベーションサービス《TOKYO*STANDARD》を利用した2人。一体どのような観点で家づくりを進めていったのでしょうか?ギャラリー兼雑貨店で働く奥様がセレクトした、おしゃれな雑貨たちも必見です!“好きなものたち”をディスプレイできる、ギャラリーのようなお家S邸 リビング「家具とかライトは好きなようにできるけど、賃貸だと壁やドアなどの細部に手を加えられなくて。理想の部屋で暮らすために、自由にできる家が欲しかったんです」というSさんご夫婦。長年賃貸の部屋に住んでいましたが、「ずっと賃貸に住んでいるわけにもいかないし、そろそろ自分たちの家を持っていいかも」と思うように。「中古マンションのフルリノベーションで理想の家をつくるのが、僕らにとってぴったりの選択肢だったんです。そこで相談したのが、以前から妻と『カッコいいね』といって憧れていたデザイン会社〔ブルースタジオ〕でした」(ご主人)そうして選んだのが、〔ブルースタジオ〕の定額制セレクトオーダー式リノベーションサービス《TOKYO*STANDARD》だったといいます。「物件探しからデザインまでやってもらえて、オプションをつければ、こだわりたいところはかなり自由にできる。不安だった予算面も、定額制なので価格の目安をつけやすいのが魅力でした。施工期間も2ヶ月程度と早かったのも驚きましたね」(ご主人)そんなSさんご夫婦が自由な発想でつくったお家は、まるで映画のセットのようなステキ空間。さっそく、おうちの様子を見てみましょう!夫婦2人の時間を大切にした動線づくりS邸 ダイニング亜鉛天板のダイニングテーブルは存在感抜群。「共働きなので、2人が顔を合わせる朝と夜の時間を大切にしたかったんです。そこで、朝食作りや朝の支度がしやすいこと、夜もいっしょにくつろぎやすい空間になるように、設計の方と一緒に動線を考えていきました」というご主人。一方で「長年集めた雑貨たちを活かせるように、部屋自体はシンプルなものを求めました」と言うのは、雑貨好きの奥様。リビングとダイニングのスペースを横並びに広く取り、ギャラリーのようなプレーンな空間にしています。奥様が集めた雑貨の数々は、アンティーク棚にディスプレイ。ダイニングテーブルの横には、アンティーク雑貨が並ぶディスプレイケースが。天井から吊り下げられたフラワーベースも印象的で、まるで海外のセレクトショップのような、個性的な空間に仕上げています。予算安心の定額制プランに自由な発想を取り入れる廊下はコレクションの絵などを飾るスペースに。形はシンプルでも、色や素材感には遊び心が満載のS邸。玄関からリビング・ダイニングに繋がる廊下の天井は、「ティンパネル」を使うことでインパクトも抜群です。「ティンパネルは壁に使うことが多いんですけど、壁には集めた絵を飾りたい。そこで、天井にティンパネルを取り付けました」(ご主人)と、パッケージに含まれない特殊な仕上げでも、オプションという形で取り入れられたといいます。夫婦のお気に入りは、色のある空間寝室は映画「アメリ」の世界観を意識した空間に。そんなご夫婦のお気に入りは、“色のある空間”です。奥様のお気に入りは寝室。フランスの映画『アメリ』の世界観が大好きだという奥様の要望で、壁は暗めのレッド、床は深いグリーンに仕上げています。「遊びに来た友人から、寝室が赤いと落ち着いて眠れないんじゃないの?って言われるんですけど、トーンを暗めにしているので結構落ち着けます(笑)」と、奥様。まるで映画のセットのような空間です♪元気のある空間に仕上がったレモンイエローのキッチン。一方でご主人がお気に入りだというキッチンは、レモンイエローを取り入れた元気な空間です。料理好きのご主人にとって、キッチンはこだわりたいポイント。アイランドキッチンが憧れだったといいますが、費用やスペース、汚れにくさ、使い勝手の良さの観点から壁付きのシステムキッチンを採用し、背面に作業台をつけています。食器棚はパリ発のブランド〔Tsé&Tsé associées〕のもの。ポップなキッチンに映えるのが、パリの人気ブランド〔Tsé&Tséassociées(ツェツェ・アソシエ)〕の《インディアンキッチン》という食器棚。カラフルな食器もきれいに収納できますね♪さらに「実は、トイレが一番派手なんですよ!」とご夫婦に言われ、扉を開けると......トイレもピンクの壁で非日常の空間に。なんと全面ピンク!ポップアートのような空間で、トイレなのになんだかワクワクします。トイレは特に色で遊べる場所なので、カラーを取り入れたい方はぜひ挑戦してみてくださいね♪好みが変わっても、変化していけるお家づくりフラワーベースに季節の植物を飾ることで、お部屋の印象もガラリと変わる。飾られているのは、飛騨高山のお正月飾り「花餅」。上品な色味が奥様のお気に入り。「年代に合わせて好みも変わってくるもの。これからも自分たちが好きなものを集めていって、また違った表情を持った家にしていきたいです」と、自由にできる家を手に入れられたSさんご夫婦。お部屋の雰囲気を変えるのは、インテリアアイテムだけではありません。季節を感じる草花を取り入れることもポイントのひとつ。短期的にも、長期的にも、その時々の気分に合う空間に変えていける住まいが、夫婦仲良く暮らしを楽しむ秘訣になるのかもしれません。〔ブルースタジオ〕公式ウェブサイトはこちら《TOKYO*STANDARD》詳細はこちら●取材協力株式会社ブルースタジオ●テキスト宇治田エリ●写真土佐麻理子
2019年01月26日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。ほぼ諦めていた「建築条件外し」がとんとん拍子に実現してしまい、愛する新宿の土地を手に入れられることになり、喜びと戸惑いが冷めやらぬ鳥夫婦です。■ 営業Sさんは最後までやり手さて、晴れて新宿くんと結婚できることになった鳥夫婦。Sさんから電話を受けた一週間後にはY社へと伺い、「建築条件外し合意書」に判を押しに行きました。Sさん「保奈美さん(40代半ばだと思われる女性設計士さん)には何か話されました?」鳥夫婦「いいえ、まだ何も。近々謝罪の電話でもしようかと思っていたのですが……」Sさん「あ、それは、ちょっと、待っていてもらえますかね?」Sさんの指示通り、その後はR社に何もアクションしないようにしていました。そして次にR社の人と接することになったのは、土地決済日。銀行の来客室にて、R社の設計部長さんと久しぶりにお会いしました。設計部長さんさんは鳥夫婦の顔を見るなり立ち上がり、「このたびは、大変申し訳ございませんでした!」と謝罪されました。ビックリしてしまい、「いえいえ、とんでもありません!こちらこそ……」と慌てて鳥夫婦も頭を下げました。この状況から、Sさんが、すべて、うまくやってくれたのだと察しました。きっと「R社の方が良くなかった」という流れに持って行ってくれたのでしょう。だから建築条件外しの土地代も請求されなかったのかもしれません。本当にSさんには良くしていただきました。竣工の暁には、Sさんに写真と御礼メールを送らせていただこうと思いました。(しかし竣工後にメール送ったところ、宛先不明で返ってきてしまいました。残念ながら転職されていたみたい)また、保奈美さんには会わないまま「保奈美さんにも、申し訳なかったとよろしくお伝えください」と設計部長さんに伝える形で終わりました。■ なぜ土地代アップなしで建築条件外しができたか?個人的な状況なのでお役に立たないと思いますが、一応、今回のありがたい結末を迎えた要因について、まとめておきます。以下がSさんからお聞きしたもの。今回の分譲地は、諸事情あり、手続きの結果によっては分譲の話自体がなくなるリスクがあったので、そもそもR社が弱腰だった(当初の契約書にも、もし分譲不可能になっても了承するよう記載されていた)最初から「建築条件を外せ」と要求していたら、おそらく土地代アップを求められていただろうが、鳥夫婦も検討した上での要求であったY社は老舗、R社は新しい会社であり、つながりで成り立っているこの業界でY社の立場は強かった(R社はいつも非公開で仲介業者に売ってもらっている)R社社長とマブダチの反町(隆史似の)支店長が、ちょうど2か月前にSさんの支店に配属されてきたのもラッキーだった以下は鳥の思う、その他要因。複数棟を同時設計&施工することによるコストダウンが得られず、1棟分だけまた新たに客を探して設計し直し&施工するのは、R社としてもやりたくなかったのではないかR社がちょうど今後の経営方針に「個人住宅の注文住宅設計に力を入れていく」と打ち出していたので、社内的に「設計力を高めよう」「設計力がないといけない」という自省の雰囲気があったのではないか老舗のY社、やり手のSさんに担当してもらえた地縁があったということで、ほとんど運によるところが大きいですかね……。でもね、ジタバタ努力すると、運が(同情して)向いてくれると思うんですよ!(鳥)
2019年01月18日建築事務所が手がける新キオスク建築家が手がける千代田区一番町のキオスク「BIRD BATH&KIOSK(バードバスアンドキオスク)」では、「Biople by CosmeKitchen(ビープル バイ コスメキッチン)」が厳選したオーガニック商品の取り扱いを開始しました。いつでも気軽にオーガニックアイテムを「BIRD BATH&KIOSK」は、建築家谷尻誠氏らの手によって企画設計された、キオスク型のコーヒースタンド。“水飲み場”という意味の同店は、小鳥が羽を休める止まり木のような、ほっとできる空間作りがされています。そんなコーヒースタンドで取り扱われているのは、ナチュラル&オーガニックショップ「Biople by CosmeKitchen」がセレクトした、自慢のオーガニック商品の数々。通勤途中や休憩中に気軽に立ち寄り手に取ることができます。オーガニック食品や自然派コスメが、より身近な物になることでしょう。(画像はプレスリリースより)【参考】※株式会社マッシュホールディングスのプレスリリース
2018年12月26日寺⽥倉庫が運営する建築倉庫ミュージアムでは、企画展「- Green, Green and Tropical - 木質時代の東南アジア建築展」を2019年2月6日から5月6日まで開催する。Eleena Jamil「Bamboo Playhouse」2015年 © Eleena Jamil Architect同企画展は、東南アジア諸国で注目を集める新世代の建築家やデザイナーによる木質デザインおよび建築空間の新潮流に焦点を当て、建築や家具デザイン、さらには調査研究を通して俯瞰するもの。紫檀、黒檀、チーク、マホガニーといった高品質の木材だけでなく、竹や籐などの植物材料も揃う東南アジア圏。古くから地元住民の間で共有されてきたノウハウの蓄積によって、多種多様な木質建築に富んでいる。同展では、伝統的あるいは慣習的に展開されてきたスローテクノロジーとも分類されるような建築群を紹介すると共に、「科学的に再現できない素材と技術」に注目し、隠されたシステムを明らかにしていく。坂茂「Paper Temporary Shelter - Philippines」2014年 ©Voluntary Architects Network素材は、時間と環境の流れの中でそれ自体が少しずつ変化していく。本来、自然由来の生の素材は、加工されて“地域の土着材料”による製品として日々の生活に取り入れられていく。また、たとえ製品として完成されたものでも“再生材料”として再構築され活かされ続ける可能性を持ち、そして予期せぬ災害が発生した場合、人々は従来の材料や技術による“緊急対応”によって、自身の知恵を活かそうとする。会場では、東南アジア圏におけるこれらの素材活用方法に関する3つのテーマセクション「<Vernacular / Conventional>地域性と土着材料」、「<Recycled Materials>再生材料の可能性」、「<Emergency Response>緊急対応の建築」に加え、同地域で実施されてきた調査研究やフィールドサーベイの成果、未来を見据えたレジリエントな建築技術の展望が紹介される。Adi Purnomo「Tanah Teduh #4」2013年 ©Adi Purnomo,Riichi Miyake参加作家は、建築家のAhmad Djuhara、Adi Purnomo、Andry Widyowijatnoko、Eleena Jamil、Ling Hao、Eriksson Furunes&Leandro V. Locsin Partners+Boase、坂茂、芦澤竜一、柄沢祐輔、デザイナーのAlvin Tjitrowirjo、Kenneth Cobonpue、研究者の岡部明子、畑聰一+清水郁郎、Joseph Yumi Espina+サンカルロス大学など。2019年2月23日の14時からは、Eleena Jamilを始めとしたゲストによる記念対談も開催。参加費は無料、事前申し込みが必要となる。【展覧会情報】- Green, Green and Tropical – 木質時代の東南アジア建築展会期:2019年2月6日〜5月6日会場:建築倉庫ミュージアム 展示室B住所:東京都品川区東品川2-6-10時間:11:00〜19:00(最終入館18:00)入場料:一般3,000円、大学生・専門学校生2,000円、高校生以下1,000円(展示室Aの企画展示「新素材研究所」の観覧料含む)※障害者手帳をお持ちの方とその付添者1名無料休館日:月曜(祝日の場合、翌火曜休館)、2019年3月4日~3月26日の期間
2018年12月21日自分たちが住みやすいように家を変えたい......。そんな願いを叶えられるのが、中古物件のリノベーションのいいところ。そこで今回訪れたのは、神奈川県内のマンションに暮らす、Yさん一家のお家です。リノベーションのために物件探しからワンストップで行える〔nu(エヌ・ユー)リノベーション〕に依頼したというYさん。どのような視点でリノベーションをしたのか、そのポイントを伺いました。リノベ会社は事例の好みで選択。センスあふれる提案を楽しむY邸リビング&ダイニング奥様はデザイナー、ご主人はIT系の仕事をしているというYさんご一家。奥様が産休中にDIYにハマり、雑誌やブログですてきに改造されたお家をみているうちに、「自分たちが住みやすいように家を変えたい!」と思うようになったそう。そこから、中古マンションのリノベーションという選択肢があることを知ったといいます。「いつかは自分たちの家を持ちたいと思っていて、まずは新築の戸建てやマンションを見てみたんです。でも作られた内装と間取りが全然気に入らない上に、住みにくそうだったんです。そこで『私たちに合う家ってなんだろう?』って夫婦で話し合った結果、中古マンションのリノベーションをしようということで2人の意見が一致しました」(Yさん)リビングの真ん中にあるのは、〔nuリノベーション〕の設計デザイナーが提案したという〔DULTON(ダルトン)〕のシーリングファン。スチールの骨組みとキャンバスの組合せが魅力。リノベーション会社は、施工事例が1番好みだったという〔nuリノベーション〕を選択。物件探しから設計・施工・アフターサービスまでワンストップで行える上に、間取りや設備、素材などをゼロからつくることができる完全オーダー型のリノベーションができるのが特徴です。好みの観点で選んだからか、担当の設計デザイナーとも相性抜群だったそう。「設計はもちろん、内装の提案もセンスが良くて、楽しみながら進められました。夫婦の理想はオープンで家族の存在を常に感じられるような、コミュニケーションが取りやすい家。部屋数は少なくてもいいから、リビングが広くて壁が少ない家にしたいという要望を出したところ、壁がなくても空間に区切りをつけられるようなデザインを提案してくれたんです」(Yさん)壁がなくても空間を区切る秘訣とはどのようなものだったのでしょうか?さっそく、おうちの様子を見てみましょう!壁を作らずに空間を区切る。導線が考えられた玄関と納戸造作棚で、壁を作ることなく空間を区切る。玄関からDENスペースまで土間が続くことで、家を出入りするときも楽々。空間を区切るために取り入れた方法のひとつが、こちらのテレビ裏に設置した造作棚。背板がないので、奥の空間も見えて、開放的な雰囲気です。棚の裏側は納戸も兼ねた、隠れ家的なスペース。玄関の土間を納戸の方まで繋げることで、ベビーカーを置いたり、自転車を置いたり、雨で濡れた上着をかけるときもストレスなくスムーズに活用できます。収納・くつろぎ・遊び場などマルチな役割の小上がりスペース広々とした小上がりスペースは、同じ空間にいながら別の部屋にいる気分に。Yさんのお気に入りは、こちらの床下収納付きの小上がり。「部屋数は少なくしたかったんですけど、収納スペースは確保したいと伝えたところ、この小上がりを提案してもらったんです。壁がなくても、段差があることでフラットな空間に部屋がぽこっと生まれるのが面白いと思いました」(Yさん)小上がりは、現在は子どもの遊び場や猫たちの憩いの場としても活用。収納力はもちろん、その時々のシーンに合わせてマルチに使えるところが気に入っているそうです。キッチンスペースは、黒を締め色にキッチンには黒いタイル、ダイニングには黒のアイアン家具を取り入れることで、空間が引き締まる。「黒を締め色に使いたかったんです」という要望から、キッチンの壁は黒いタイル、ダイニングの家具やパーテーションには黒いアイアン素材を取り入れたそう。「締め色の黒は、あんまり使いすぎると圧迫感が出すぎてしまうので、バランスを考えて取り入れました」(Yさん)ということもあって、ほどよく黒が効かせたメリハリのある空間に仕上がっています。家の中でも外にいる気分。インナーテラスがおしゃれで便利!インナーテラスの壁はブリックタイル、床にはモルタルを使用して、室内でも外にいる気分に。窓際はすべてインナーテラスに。ここはご主人のこだわりポイントで、普段は通勤に使うロードバイクを置いているそう。玄関の土間と同じく一段下げることで、空間に区切りもつけられ、ヴィンテージオークのフローリングの床に“抜け感”を作っています。テラス部分の床をモルタルにすることで水はけも良く、グリーンに水やりをするときも楽にできるそう。天井には納戸と同じく、アイアンのポールを設置。「アイアンポールは、洗濯物を干すときにも便利ですし、インテリアとして趣味のグリーンを飾るのにもぴったりなんです」(Yさん)と、奥様もお気に入り。印象的な黒い枠のガラスパーテーションも空間を分けるのにひと役買っていますね♪ワークスペースの壁の一面は自分たちでDIY!造作家具やデザイン性の高いインテリアを取り入れているYさんのお家。しかし、リノベーションに興味を持ったきっかけがDIYだったというだけあって、自分たちの手で仕上げたところもあるそう。「リノベをするときも、自分たちでもなにか1つ手を加えたいね、ということでワークスペースの壁一面だけ下地のままで引き渡してもらいました。磁石がつくようにしたくて、マグネットペイントを使って2日かけて自分たちで塗りました」(Yさん)他にも、子どものおもちゃを収納するためのヴィンテージ風の棚や椅子など、自分でつくれるものはDIYで作っているそう。プロに頼みながら、自分たちができるところは自分たちでやる。そうすることで、ライフスタイルが変化したときも、お家とうまく付き合っていけるのかもしれません。〔nuリノベーション〕公式ウェブサイトはこちら!●取材協力nuリノベーション(運営会社:株式会社ニューユニークス)●テキスト宇治田エリ●写真土佐麻理子
2018年12月07日歳をとっても好きなものに囲まれながら、豊かに暮らしたい。家は人生で長い時間を過ごす場所だから、今だけじゃなく将来の暮らしを見据えてつくりたいものです。そこで今回伺ったのは、神奈川県川崎市にある中古マンションをリノベーションしたHさんのお宅。デザイン性を大切にしながら、歳を重ねても快適に暮らすために心がけたことを伺いました。スケルトンを白く塗った、好きなインテリアが似合う空間H邸リビングHさんお気に入りの家具店〔TRUCK〕の家具が似合うようオーダー。80代のお父さまと2人で暮らしながら、こだわりの暮らしを実現したHさん。中古マンションのリノベーションを選択した理由は、おしゃれな暮らしをしたかったというよりも、もっと現実的な問題があったからだと言います。「シングルでの生き方を選択して将来設計をしたときに、歳をとってからの賃貸物件の借りづらさや、いつまでもワンルームの狭い部屋で暮らしていたくないという思い、毎月支払う家賃のことを考えると、マンション購入をした方がいいと思ったんです」(Hさん)そして、せっかくお金を出すんだから内装も気に入ったものにしたいと、中古マンションのリノベーションを選択したといいます。お部屋を見渡すと、家具や雑貨のひとつひとつが選び抜かれたものばかり。センスのいいセレクトショップのように洗練されていながら、リビングとダイニングには暖かな光が差し込み、ほっこりとした雰囲気もある居心地のいい空間に仕上がっています。H邸ダイニングもともとインテリアショップで働いていたこともあり、“好きなもの”が明確にあるHさんの家づくりは、かなりスムーズに進んだそう。「リノベーションをする時っていろいろ決めなければいけないんですけど、好きなものがはっきりしていたこともあってかサクサクと決められて......担当の方が感覚の合う人だったことも功を奏して、最短で終わらせることができました(笑)」(Hさん)イメージがはっきりしていることで工期も延びることなく、工事中の賃貸料などの節約にもつながったといいます。そしてHさんが目指したのは、“老後を考えているけど老人向けじゃない家”。そのために心がけたことがあるといいます。「同居している父が高齢であることも考慮に入れつつ、自分自身も歳をとったときに動きやすくなるように“動線”を大事にしながら考えていきました」(Hさん)それでは、老後の暮らしやすさを考えながら、自分のセンスを存分に活かしたHさんのお家を見てみましょう!料理が好きだから、キッチン収納にもこだわりを親子そろって料理好きだというHさん。キッチンのカウンター部分は造作家具となっていて、収納スペースとして活用することができます。造作のカウンターは、裏側部分が収納に。扉をつけずオープンにしています。「造作の家具は一番お金がかかる部分だったんですけど、予算の関係もあって必要なところだけ引き出しにして、あとはオープンにしました」(Hさん)苦肉の策だったそうですが、すてきな食器類を重ねてしまうことで見た目も美しく、みごとなまでの見せる収納になっています。引き出し部分を深めに作ったことで、カップやグラスの収納も楽々。引き出し部分は、背の高いカップやグラスを収納できるように深めにオーダーしたそう。実際に引き出しからコップを取り出したりしまったりしてみると、その便利さに驚きます。洗面台は脱衣所から独立させて、おしゃれに広々と使う。洗練されたトリレタリーグッズを取り入れて、よりおしゃれに。脱衣スペースに設置されることが多い洗面台。Hさんは脱衣スペースを広く取るために、洗面台を廊下に設置することを選びました。「家に来てくれたお客さんにとって、手を洗うために人の家の脱衣所に入るのって抵抗感があったりする。でも廊下に洗面台があれば、ちょっと手を洗いたい時も気軽に使いやすいかな、というのもありました」(Hさん)住む人のことはもちろん、家を訪れる人のことまでしっかりと考えられています。立ち上がる時の手すりは、ディスプレイ棚としても活用手すりの棚には洗剤も置けるため、床もスッキリ清潔に。お父様の部屋からのアクセスもいいトイレスペースは、座るときや立ち上がる時の手すりとして使えるように、丈夫な棚を設置。ディスプレイ棚としても活用できるので、機能的でありながらおしゃれに仕上がっています。玄関スペースを広々とって寝室と地続きに玄関と寝室はモルタルで地続きというユニークなつくり。「玄関が狭いと、部屋全体が狭く感じるから」と、玄関スペースは贅沢に広々と取っています。さらに床のモルタルは、Hさんの寝室と地続きになっています。「寝室のスペースをどう取るかや、予算の兼ね合いを考えていくなかでデザイナーさんが提案してくれました。玄関のモルタルと寝室と地続きにすることで、床材をはらなくて済むから予算が浮くし、外国のお家っぽさもでる。これはいいなと思って取り入れました」(Hさん)寝室はこぢんまりとした海外のアパートのようにおしゃれな雰囲気。「床がモルタルで寒くないの?って友達に聞かれることがあるんですけど、ベッドは高めのものを使っているし、床に座って生活をするようなスペースでもないので、そこまでデメリットは感じないです。秘密基地みたいで落ち着きます(笑)」(Hさん)コンパクトにまとめられた居心地のいい寝室の奥には、クローゼットも設置。玄関と行き来しやすいので、身支度もスムーズにできそうです。周りの環境も考慮に入れて、将来も快適に快適に暮らせるお家を手に入れたHさん。〔nuリノベーション〕に物件選びからサポートしてもらったことで、現在の理想的な物件に出会うことができたそう。「神奈川県って坂が多いんですよ。歳をとって足腰が弱くなった時のことを考えると、都心へのアクセスもよく、駅近で坂の影響が少ないこの物件に出会えたのはよかったです」(Hさん)と、周辺の環境の良さも気に入っている様子。自分好みの環境で、自分好みのインテリアに囲まれながら暮らすことが、すてきに歳を重ねていくことに繋がるのかもしれません。〔nuリノベーション〕公式ウェブサイトはこちら!●取材協力nuリノベーション(運営会社:株式会社ニューユニークス)●テキスト宇治田エリ●写真土佐麻理子
2018年12月04日先日もご紹介した建築業で働いているカルロスさんの生活のアイディアを紹介します。どこの国でもそうなのかもしれませんが、家を建て直すときは古いものが邪魔になります。全部のものを大切にしまい込むということは少ないようです。特に親の家を譲り受けて建て直すときなどは、いろいろと古いものが出て来たりしますよね。しかし、カルロスさんはそのような古いものを無料か、かなり低価格で受け取り、自宅で使っています。今回は超レトロなアイテムの再生法をご紹介いたします。■ 「古いドア」大邸宅の大きすぎるドアを小さくして使う!まず玄関のドアです。このドアはだいたい400年前のドアだそうです。そのため、高さが3m以上あり大きすぎるので、家を壊すときに払い下げになりました。ちなみにドアは比較的売りやすいもののひとつです。というのは、古いドアは乾燥しているので良いギターが作れるからです。ギターを作る人は、街を歩いて取り壊すことが決まった古い家などを訪ねて譲ってもらいます。古いドアから何百万円もするギターが作られこともあるのです。しかし、このドアはカルロスさんのおかげで、ドアとして生き続けることが決まりました。実は大きすぎるドアの真ん中部分を切ってもう一度繋げ、現状に合った大きさのドアに作り変えたのです。古いドアの問題は鍵のセキュリティですが、このように古いドアに鍵を付け替えています。古いドアの鍵は開けにくいというデメリットもありますがこれなら大丈夫です。■ 「古い照明器具」温かい光が溢れる家に!ランプを使ったことがない人には、これがびっくりするものだとは感じないかもしれません。こういうデザインの照明器具だと思った人も多いと思います。でも、これはオイルランプをリメイクしているのです。元々は電球のところに本当の「火」が付いていたのです。昔のものはデザインが素敵ですよね。私はろうそくも好きですし、普段、火を見る生活を好んでしていますが、やはり現実的に考えると電気を使った照明の方が安全です。カルロスは、しばらくはオイルを使って利用していたそうですが、とても気に入っていたので電化することにしたのだそうです。こちらはアンティークな照明器具。スペインなら病院などに使われていたようなタイプのデザインです。こちらは書斎の机に置くタイプの照明器具を絵画の照明に。ピラミッド型の照明をあえて逆さにつけました。モロッコ製のエスニックなデザインが素敵です。これは、屋根瓦です。スペインの屋根瓦はこんな形。屋根瓦にペイントして、壁に取り付け、内部に電球を設置して照明器具として使っています。■ 「テラスの洗面所」台は昔、おばあちゃんが使っていた(と思われる)ミシン台これはテラスの洗面所。テラスの掃除やちょっとした手洗いなどに使います。洗面の下の台は、なんとなく見たことがあるもの?若い方は見たことがないかもしれません。昭和博物館にあったような……。これは足踏みミシンの台です。足踏みミシンは、簡単に電気ミシンにできるんです。電気ミシンに作り変えてもらうと、台が不必要になるのですが、カルロスはデザインがとても気に入り、ミシンの台に大きな陶器の深鉢を置いて洗面所にしたのです。■ 「洗面台」寝室にあったサイドベッドテーブルを使用!バスルームにもいろいろな工夫が見られます。こちらの洗面所は、寝室にあるサイドテーブルに昔のホウロウの白いタライを乗せています。こちらの角度の方がわかりやすいですか?奥に見えるのは、トイレットペーパー。植木鉢を置くアイアンの三脚の上に陶器の深鉢を置いてトイレットペーパー置きに。アイアンの三脚は結構色々使えますよ。こちらは別のトイレにあったペーパーホルダー。モルテロというスペイン版すり鉢を置くための台なんです。下の部分はスパイスを入れる引き出し。本来はキッチンにあるものですが……。■ 建築家ならでは!レトロアイテムを取り入れた暮らし捨てる前にこれは何かに使えないかなと考えて、まったく別の使い方をしていく暮らし。素敵なものが次々生まれて、楽しくなりますね。改めて、古いものをもっと大切にしたいと思いました。
2018年11月17日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。300万円値引きをしてもらえるなら建築条件付きの家の契約をしようと決断し、土地仲介の営業Sさんに交渉しに来た鳥夫婦です。■ やり手の営業Sさんに会う久しぶりに仲介Y社の営業Sさんにお会いする。あの、コロコロ笑いながら、ソフトな語り口で、相手の心を開かせながら、キチッと落としどころに落とさせるSさんに……。3か月前のあの日……。Sさんの運転する車に乗せられ、設計R社に連れて行かれた日……。道中の会話で、Sさんには奥さんとお子さんがいらっしゃって、数年前に東京の外れの建売住宅を購入されたと聞きました。「不動産業のプロは、建売を選んだんだ」と印象に残ったのと同時に、ご家庭でのSさんを垣間見てしまいました。こんなに紳士で礼儀正しいSさんも、腹を出したままブーと寝屁したりするのだろうか?風呂前に裸になると、腰振りダンスしながら家人に近づいたりするのだろうか?(え?鳥夫だけ?)仕事でやり手なSさんそのままに、夜もキッチリ落とすのだろうか?あの日、そんなことを考えながら車に揺られていたなあ……。やだねえ、下世話な男性雑誌の表紙を見ては「ったく、しょうもないな」と苦笑しているくせに、自分も同類じゃん。などとつらつら思いながら、Y社の最寄駅で、鳥夫を待っていました。■ 鳥夫婦で最後の戦略会議さて、腰振りながら……ではなく普通に現れた鳥夫と、しばらく二人で周囲を散歩しながら、最後のすり合わせをしました。「いいか、鳥は女だから、感情的な役をやってくれ。いかにもR社のプランニングに残念な気持ちでいるか、土地は気に入っているのに、R社の家を買わないといけないことが悲しいか、訴えるんだ。でも鳥は空気を読めず、余計なことを口走る癖があるからな。基本的にはしゃべるな。俺がしゃべるから」「わかった!!」万が一、建築条件付きを外してもらえる可能性も考え、いきなり上物の値引き話にいくのはやめました。「土地はとても気に入っている」ということを強くアピールし、「もし条件を外してくれるとしたら、いくら土地代をアップされるか」を聞き出すシナリオに微修正。Sさんのご尽力で土地代80万円値引きをしてもらったとはいえ、すでに当初の予算より400万円オーバー。建築条件外しにより土地代1割アップしたとして、さらに340万追加。これで当初の予算より740万円オーバー。こうなると、もう諦めざるを得ないのですが……。■ Sさんとの交渉スタート!!そしてY社のビルの前に着きました。階段を上り、念のため携帯の録音アプリをONにして、Y社のドアを開けました。「ああー、どうもどうも、お久しぶりですねえ」Sさんは、相変わらずコロコロとした笑顔にソフトな語り口で迎えてくれました。コミュニケーションがそれほど得意ではない上に緊張MAXの鳥夫。人見知りで狂女予備軍の鳥。二人とも気の利いた挨拶や世間話のひとつもできず、Sさんのそつないアイスブレイクの会話に、ニヤニヤ相槌を打つばかり。ましてや緊張に耐え切れず上の空状態である今は、世間話をする余裕などありません。顔を紅潮させた鳥夫が、メモを片手に、すぐに本題を切り出しました。Sさんに新宿くん(※土地のこと)をご紹介いただいた頃は、家造りの知識のまったくないド素人だった鳥夫。あれから約3か月。鳥夫は、コンサルさんにに教わった知識のおかげで、Sさん相手に説得力のある話を展開していきました!(鳥)■この連載の一覧を見る■
2018年11月15日『リノベーション・エキスポ・ジャパンin東京』が2018年9月29日(土)、30日(日)に東京・新宿の〔ルミネゼロ〕で開催されました。住まいを自分好みに自由に作り上げたいという夢がある人、これから想像を膨らませていきたい人が気軽に第一歩を踏み出せる、クリエイティビティ溢れるイベントの様子をLIMIA編集部がレポートします♪今年も盛り上がりました!リノベーションの祭典マーケット内に設置された『リノベーション・エキスポ・ジャパン in 東京』のフォトブース。リノベーションの可能性や楽しさを、見て、知って、感じて欲しい。そんな想いがカタチとなったイベント『リノベーション・エキスポ・ジャパン』(運営:リノベーション協議会)。9月から11月にかけて、全国18エリアで開催されるうちの東京会場へLIMIA編集部が行ってきました!『リノベーション・エキスポ・ジャパン2018』の東京会場は新宿駅南口にある〔ルミネゼロ〕。エントランスからすぐのところに広がるマーケットにまず心が踊ります♪こちらは、「家をリノベしたら飾りたいなぁ」と想像を掻き立てられる照明がずらりと並んだ〔アンティークディーラーズクラブ〕。ひとつひとつに味があり、時間を忘れて選んでしまいます。そしてこちらはモノトーンアイテムにこだわった〔sisdesignMONOTONEMARKET〕。インテリアを損なわないブラック&ホワイトの雑貨が手に入るって嬉しいですよね!つい手に取ってしまうクールなアイテムばかり。この他にもマーケットにはアウトドアグッズのお店やアロマ&ビューティーのお店などがあり、賑わいを見せていました。未来の暮らし方を学べるトーク&セミナー『リノベーション・エキスポ・ジャパンin東京』の注目コンテンツはトーク&セミナー。固定概念にとらわれない、自由なライフスタイルを体現するパネラーが登壇します。9月29日(土)の11:30の回は、吉祥寺の〔ダンディゾン〕のオーナー・引田ターセンさん、代々木八幡から始まった人気レストラン〔LIFE〕のオーナー・相場正一郎さんによるトークセッションでした。左から〔ダンディゾン〕の引田ターセンさん、〔LIFE〕の相場正一郎さん。オープン当初、スタイリッシュな佇まいが「本当にパン屋さん!?」と驚かれて話題となった〔ダンディゾン〕。一方の〔LIFE〕は、誰かのお宅に招かれたようなアットホームなレストランとして代々木八幡、参宮橋、藤沢、代官山で展開中。それぞれのお店の世界観も素敵ですが、両オーナーがリノベーションしたご自宅もこだわりが凝縮された空間で、リノベのお手本になります。ターセンさんは大手企業をリタイア後に奥様に「生活者としてフルリノベーションされた」というお話が印象的でした。また相場さんは東京の自宅以外に那須にロッジを構えていて、週末はそこで過ごすというデュアルライフを実践中。その形がゴールではなく、いまも自分にとってしっくりくる生活スタイルを模索しているのだそうです。リノベーションはそれなりにお金も手間もかかるから踏み切るのにエネルギーが必要ですが、お2人のお話を聞くうちに、「いきなり完成形を求めなくても、できる範囲からトライして、自分らしいライフスタイルを目指していけばいいのかもしれない」と思い至りました。自分の「好き」が見つかるギャラリー続いてはリノベの事例が展示されたギャラリーコーナーです。さらにスタンプコーナーにもなっていて、「誰と住む?」「暮らしの中心は?」「なにで飾る?」をテーマにした3つのゾーンごとに好きなスタンプを押すことができます。スタンプを押すのは、エントランスで手渡されたオリジナルトートバッグなんです!「壁面にこんなクローゼットが欲しいなぁ」「窓の外は海の見える景色がいい」などなど、スタンプの柄を選ぶうちに、自分が家に求めているものが見えてくるという楽しい仕掛け。こうして遊び感覚でアウトプットすることで、意外と自分の内側が見えてくるものですよね。“オリジナル”を持ち帰ろう!工作ワークショップワークショップも『リノベーション・エキスポ・ジャパン』の人気コンテンツのひとつです。子どもから大人まで楽しめる工作メニューが充実!お米のねんどで遊んだり、ねじブロックでオブジェを作ったり。エキスポに一緒にきてくれたお子さんの息抜きタイムにおすすめですよ。LIMIAスタッフが挑戦したのは大人向けワークショップ。〔AROMAVITA+〕によるオリジナル・アロマバスソルト作りです♪バスソルトって気分転換になるからいくつあってもいいですよね。それが自分好みの香りだとなおよし。まずは香りの方向性をチョイス。元気が出てシャキッとする系、リラックスできる系……。そして選んだ精油を岩塩に加えていきます。一箇所に集中しすぎないようにスポイトでまんべんなく垂らしていくのがポイントだそうです。精油が岩塩にゆきわたるように袋をシャカシャカと振ったら、瓶に移し替えて完成!好きなアロマで作ったオリジナルのバスソルトに感動です♪選んだ精油の種類を記録しておけば、後日自分でまた作ることができますよ。バスソルトって意外と簡単にできるんだな、と驚きました。リノベをゼロからはじめる人のための相談コーナーこちらは『リノベーション・エキスポ・ジャパン』のメインゾーン。「こんな家にしたい!」を叶えてくれるリノベーション会社による相談コーナーです。『リノベーション・エキスポ・ジャパンin東京』には17社がブースを出店。工事を検討中の人にとっては、各社の強みや個性を一挙に知ることができるまたとないチャンス。「まだ物件も探していないけどリノベに興味がある」「そもそもリノベの良さをまだわかっていない」など、興味・関心の度合いに応じてプロが相談に乗ってくれるから安心です。すでに家を保有していても、新築に憧れを抱いていても、おしゃれな事例を見ているうちに「リノベしたい!」とがぜん気持ちが高まってきますよ!リノベーションあるあるです。ワークショップあり、マーケットあり、セミナーありと、会場で一日楽しく過ごせる『リノベーション・エキスポ・ジャパンin東京』でした。『リノベーション・エキスポ・ジャパン』は11月中旬まで続きます。詳しい場所と日時はホームページでご確認ください。具体的にリノベをしてみたい人は、来年開催の『リノベーション・エキスポ・ジャパンin東京』へもぜひ足を運んでみてくださいね。夢の住まいづくりを、長期的に計画していきましょう!リノベーション・エキスポ・ジャパン 2018
2018年10月10日今回は建築業で働いているカルロスさんの家を訪問しました。カルロスさんは建築で使われる素材に対して深い愛情を持っている人です。建築素材だけではなく、家具や家にある小物類にいたるまで大切にしています。古くなって捨てられているとどうにかして使えないかをいつも考えています。そんなカルロスさんの家をご紹介いたします。■ スペインの典型的な家をリノベーションスペインの細い道。ここにある家はどれも少なくとも築150年です。カルロスさんの家は左側の列の2番目。家の下にあるトンネル状のアーチをくぐり抜けて行きます。ここではよく観光客が写真を撮影してるんですよ。くぐり抜けると、玄関が見えてきました。■ 玄関は2階に!下にある入り口ではなく、階段を登ると玄関です。階段にもタイルが貼り付けてあります。■ 好きなものを好きなように飾る!こちらが玄関です。玄関には額装された古い家の窓。存在感があり、どっしりして、そしてこの窓を何百年もの間に開け閉めしていた人たちの息遣いが感じられます。玄関を上にしたのは、日の当たる部屋を居間と台所にしたかったから。いつもいる場所や人を招待する場所は明るい方がいいですよね。■ 窓のある明るいキッチンキッチンは自然光の中でお料理したい。お風呂やトイレ、キッチンには窓がない場合がありますが、湿気のこもりやすいところこそ窓が必要です。キッチンの家具の台の部分はスペインでは石を使うのが普通です。大理石やブラジル産のグラーノと呼ばれる石などですが、カルロスの家の台所はイケアの板を使っています。木のぬくもりがあっていいですね。窓のあるキッチンはやはり和みますね。おまけにここは2階。そして興味深いことに坂の多い街は裏と表とでは高さが違うため、実は表通りからすると4階に当たるのです。そのためこの窓から誰かが覗き込むということもなく、時には鳥のさえずりを聞きながらお料理ができます。キッチンはオープンタイプでダイニングとリビング、応接室、すべてを兼ねた部屋が隣に繋がります。キッチンがオープンだと臭いや煙などがソファーを汚してしまうのではないかと心配する人もいるかもしれません。だからキッチンには窓が必要なのです。そして、ちょっとしたおつまみを作りながらゲストとおしゃべりができるキッチン。理想的です!あちらこちらに並べられたアート作品。■ 1階に降りると「プライベートスペース」こちらは階下にある寝室。寝室はふたつあります。書斎。日本的に言えば多分4畳半くらいの小さなスペース。でも、その方が集中できます。シャワーのスペースにも窓があります。窓にもお気に入りのものがたくさん。バスマットは丸めてカゴにのせています。バスマットのカゴの右側は古いお香を炊くもの。骨董品です。多分イスラム教の寺院で使っていたものでしょう。左側にある蓋つきのツボ。日本なら梅干しが入っているようなツボですが、これはトイレのゴミ箱です。床は磨いていない大理石。自然の石の温かさを重視しています。■ 好きなものが周りにある幸せキッチンのある階の上は屋根の一部を取り払ってルーフバルコニーにしています。お気に入りの骨董品や素材についての詳細は、またの機会に紹介します。
2018年10月06日「平屋建て」というと、シニア世代の方がのんびり住んでいるイメージではないでしょうか?しかし、今はモダンな平屋建てが増え、子育て世代や若い夫婦からも人気です。そこで今回は〔セキスイハイム東海〕の高柳店長に、平屋建てにするメリットやデメリット、モデルルーム見学で抑えるべきチェックポイントなどを教えてもらいました。いま子育て世代からもブームの「平屋建て」――「平屋建て=シニア」のイメージでしたが、いまは子育て世代からも人気があるようですね。高柳店長(以下、高柳さん):はい。最近は20代や30代のご夫婦も、平屋建てのモデルルームにご来場いただいています。そういった若い方から人気を集める要因の一つは、ワンフロアで掃除や洗濯など家事を完結できるからだと思います。それに、子どもが小さいうちは2階を子供部屋として使っていたとしても、大きくなればおそらく出ていくでしょう。自分たちも、足腰が悪くなれば2階に上がらなくなる。そうなれば「最初から2階はいらないね」という若い人が多いのも実情なんです。――平屋の良さはわかりました!では、あえてデメリットも教えていただけますか。高柳さん:平屋建てには2つ欠点があります。まず1つ目は、平屋だと2階の部分を全部1階にもってくるので、土地の広さが必要になること。2つ目は、坪単価が高くなってしまうこと。――なぜ平屋だと坪単価が高くなるのでしょう?高柳さん:坪単価を上げる要因は、家の土台の基礎と屋根。この2つが多いほど坪単価は高くなります。たとえば、床面積が同じ30坪の家でも、総2階になれば、1階で15坪、2Fで15坪を合計するため、基礎も屋根も半分ですみます。それに対して、平屋は30坪分まるまる基礎も屋根も必要になります。分譲地で総2階の建物が多いのは、割安で建てられるからなんですよ。――どのくらい坪単価は違うのでしょうか。高柳さん:坪単価でいうと、平屋の方が坪10万~15万円ほど高くなります。でも、坪数を落とせるので総額はあまり変わらないんですよ。というのも、実際の広さで比較すると、同じ30坪でも平屋の方が+5坪ほど広くなります。2階建ての場合は、2Fの廊下やトイレ、階段スペースがいりますが、平屋の場合はいりませんよね。だから、2階建ての広さと同じ感覚で平屋を建てるのであれば、25~26坪くらいに落とせるんです。そうなってくると、総額は、平屋でも2階建てでもあまり変わらない。「平屋建ては坪単価が高いから……」といって、最初からあきらめてしまうのはもったいなんです。平屋を賢く使いこなすアイデア――平屋住宅派!という人のために、知っておくと便利なアイデアなどを教えてください。高柳さん:平屋建てだと、2階がない分、吹き抜けや屋根裏を有効活用ができます。たとえば、吹き抜けで視線を広く見せるのもひとつの手。2階建てだと、上に部屋を作らなければならない分、空間も限られますからね。高柳さん:床下から高さ1.4m以下なら「2階」ではなく「中二階」の扱いになります。これだと部屋として換算されないため、固定資産税の対象になりません。――なるほど!屋根裏部分を閉じてしまえば、ただのデッドスペース。そこを賢く使いこなすことで、お得感も出ますね。モデルルーム見学で気をつけたいこと――モデルルームの見学をすると、ただただ内装の雰囲気が素敵で、「こんな家に住んでみたい!」という強い憧れをもちます。非日常感溢れる空間に、テンションも上がりっぱなし。そんなモデルルーム・マジックに惑わされないためにも、見学時はどこを気をつけるべきなのでしょうか。高柳さん:「家造り」は「構造作り」とも言われるように、まずはその家がどういった構造なのかちゃんと知ったうえで、話を進めるようにしましょう。内装は後でも変えられますが、唯一変えられないのは、構造(中身の部分)なんです。たとえば、この内装飽きたな……と思えば、20年後にでも変えられます。しかし、柱をぶちぬくなど構造部分を変えようとすると、大掛かりな工事になり、莫大な費用が発生してしまいます。――「わー!素敵」で選んでしまったら、あとで大変なことになりますね。高柳さん:はい。モデルルームが少々遠い場所にあっても、実際に足を運んで、担当者に家の構造を確認し、しっかり把握しておくことが重要です。高柳さん:それから、メンテナンス性も大切です。最初は安く住めるようでも、10年ごとに外壁の塗替えが必要だったり、屋根のメンテンスが必要だったりします。初めは少しお金がかかりますが、メンテナンスフリーの外壁や屋根を使っておけば、長い目で見て安上がりになる場合も多いんですよ。モデルルームを見学するときは、屋根や外壁のメンテナンス費用についても質問するようにしましょう。――ちなみに、平屋だと、メンテナンス費用も高くなるのでしょうか?高柳さん:外壁の塗替えをする場合、平屋は2階建てと違い「足場」がいりません。そうなると外壁の塗り替え自体は安くできますが、問題は屋根なんです。平屋はもともと屋根の量が多いので、屋根のメンテナンスコストが高くなります。メンテナンス費用は、外壁が大体1回100~150万、屋根が1回200~300万かかると言われているんですよ。さらに、ソーラーパネルをつけるなら、屋根の上にパネルを乗せるのか、屋根とソーラーが一体型になっている建物なのか、知っておく必要があります。ソーラーがのっていると、さらにメンテナンス費用がかかりますからね。特にソーラーパネルをつける場合は、最初からメンテナンスが必要ない屋根を選ぶことをオススメします。――他に気をつけたいポイントはありますか?高柳さん:子育て世代なら、平屋でも部屋数は欲しい。その場合、2階の子供部屋や寝室がすべて1階に集まるので、部屋数はどうしても多くなります。そうなると、場合によっては、キッチンから洗面室が遠くなり、料理をしながら洗濯をするのが難しくなることも……。高柳さん:家事動線が悪い場合は、あえて壁を抜いて通路を作り、キッチンから洗面所へのワープゾーンを作る場合もあります。モデルルームを見学する際には、家事動線がスムーズなのかも確認すると良いでしょう。まとめいかがでしたでしょうか?高柳さんがいるのは、静岡県内の総合住宅展示場内で唯一の平屋モデルルーム。落ち着いた雰囲気、かつ愛犬家との生活環境を重視してつくられた「愛犬家住宅」仕様になっており、平屋に興味がある方はもちろん、ワンちゃんネコちゃんと快適に暮らしたい方にもぴったりです。家造りに興味がある方は、ぜひ足を運んで、参考にしてみてください。●取材協力:セキスイハイム東海浜松「平屋の家」展示場●住所:浜松市南区青屋町400(SBSマイホームセンター内)●TEL:053-469-5113●営業時間:10:00~17:30※定休日はHPをご確認ください。●写真・文安藤美紀
2018年10月03日今回訪れたのは、世田谷区にある築42年のマンションをリノベーションして暮らす、Aさんご夫婦のお宅です。旦那さまがグラフィックデザイナー、奥さまはグリーンコーディネーターというクリエイティブなご夫婦が設計を依頼したのは、建築家・松島潤平さん。こだわりを共有しながら作り上げたおうちは、2人の美意識が詰まったステキな空間に仕上がっていました。さらに、奥様から教えていただいた、インテリアを彩る「グリーンのコーデポイント」も必見です♪クリエイティブな夫婦が求めた理想の住まいスケルトンにした部分を残しながら、広々とした温もりのある空間に壁を取り払った広々とした空間に、温もりのある木材と、コンクリート、瑞々しいグリーンの質感が共存し、居心地のいい空間に仕上がっているA邸。ご夫婦ともども、以前から「自分の住むところを自分でデザインしたい」という思いがあったといいます。まずは、ご夫婦がリノベーションを決めたきっかけを伺いました。「いままで賃貸の部屋に住んできて、引越しの度に不満点を解消する部屋を選んでも『ここが嫌だ』と気になるところがどうしても出てきて。『賃貸だと満足のできる部屋には住めないな』という実感がありました。かなり前から中古マンションのリノベーションには興味があって、たまたまこのマンションが売りに出ていたのを見つけた時に、これならやりたいことが色々できるんじゃないかと思って購入を決めたんです」(ご主人)「ほしい条件がそろっているこの物件と出会えたのが大きかったです。壁を取り払ったワンルームの部屋にしたいと思っていて、もともとは3LDKの部屋でしたが、壁を取り払った後の想像がしやすい間取りでした。さらに、近所に住んでいたので、生活圏も一緒で、リノベーション後の暮らしのイメージもしやすかったんです。古いマンションですが、修繕工事もされていて、新耐震マンションだったのも決め手でしたね」(奥さま)インダストリアル系のインテリアが2人そろって好きだというAさんご夫婦。リノベーションにおいても、必要最低限の状態に、暮らしに必要なものを少しずつ足していける、機能的なお部屋が理想だったそうです。理想を叶えてくれる頼もしい相棒として、建築家に依頼ご主人が自ら作成した内装イメージイメージが明確にあったこともあり、ご主人はなんとお部屋の内装イメージを作成。そのイメージを元に、設計を建築家の松島潤平さんに依頼したそう。「中古マンションって、実はスケルトンにしてみないとわからないことが沢山あるんです。例えば、天井からハンモックや植物などを吊るせるようにしたいと思っても、工事を始めてみないと吊るせるのかわからないし、予算が変動する可能性もある。そういった場合のプランも松島さんに考えていただきました」(奥さま)Aさんの住むマンションは築42年。古いマンションをスケルトンにすると、ボルトが躯体壁面全体に等間隔に突き出ていたり、窓枠の処理が甘かったりと、思いがけないところの対処に迫られることも。そういった「開けてみないとわからない」中古マンションのリノベーションは、途中途中で臨機応変に対処する必要があったといいます。さらに、建築家ならではの提案に驚いたこともあるそう。「最初、来客用に部屋を作ることも考えていたんですけど、それだとあまり間取りが変わらないので、結局全て取り払うことにしました。でも寝る場所と生活スペースは気分を変えたかったりもする。そこで、壁と床の色を変えてゾーンを分けるという方法を提案してもらったんです。このアイデアは目からうろこでしたね」(ご主人)壁や床の色の塗り分けで「見えない壁」を作るという手法は、同じくキッチン部分にも生かされています。遊び心と機能性。あらゆるところに意匠が凝らされたおうちもともと水回りが1箇所に集約された間取りの物件を選んだこともあり、配置をそのままにリノベーション。清潔感のある真っ白な浴室は、既存のユニットバスを撤去したあとの空間をFRP防水材で塗りこめることで、コストを抑えながら、広さと高い防水性を確保しています。部屋の中心部にあるフラットな木の壁は、裏側にあるキッチンや浴室、トイレの水回り部分を目隠ししつつ、収納スペースとして活用。お部屋を美しく見せながら、機能性も追求しています。照明のスイッチは、一点ものの真空管アンプを制作している知人に特注で作ってもらったそう。フラットな木の壁と金属パーツとのコントラストが映えます。キッチンは料理好きのご主人仕様に!料理が得意だというご主人。カウンターテーブルがついたキッチンにもこだわりが詰まっています。「設計はプロである松島さんに任せながら、インテリア的な部分は全体的にかなりこだわりましたね。キッチンの壁には、ニューヨークの地下鉄構内に使われている『サブウェイタイル』を意識して選びました」(ご主人)コンロとオーブンは火力の強い業務用を導入。以外にも、お手頃価格なのだとか。料理好きだけでなく、インダストリアル好きにもたまらないキッチンです。インテリアもステキ!奥さま直伝、グリーンコーデのポイントお部屋を見渡すと、グリーンがいたるところにセンス良く置かれています。実際に仕事でオフィスやお部屋のグリーンコーディネートをしているという奥様に、センス良くグリーンを置くポイントや、植物の選び方についてアドバイスをしていただきました♪「まずは、『シンボルになるもの』『風景になるもの』『趣味性のあるもの』『機能性があるもの』といったふうに、植物に意味合いを持たせると選びやすくなります」(奥さま)例えば、棚に置かれたグリーンは「風景になるもの」。さらに、下に垂れるタイプのグリーンを使うことで縦のラインが生まれ、空間の印象をがらりと変える「機能性」もあわせ持っています。一方で、壁にかけられたグリーンは、「趣味性のあるもの」として、アートのような主張の強いグリーンを選んでいます。寝室のパーテーションに置かれた、全方向に広がる3つのグリーンは、目隠しの「機能性」が。「グリーンは置き場所によって、上に伸びるものがいい、下に伸びるものがいいと、適している品種が決まってきます。それを知っているだけでも、ひと部屋全体をコーディネートできますよ」(奥さま)難しい印象があるグリーンコーディネートも、グリーンにどういう役割を持って欲しいか、植物がどう成長するかを抑えれば挑戦できそうです!植物とくらしながら、一緒に成長していく。そんなグリーンのあるくらしを実現してみましょう。満足のいく住まいづくりは、自分の「好き」を大切に「スケルトンにしてみたら、いい意味でも悪い意味でも、想定外なことが沢山あった」というAさん宅のリノベーション。施工費も当初の想定費用から+100万円ほどかかったそうですが、しっかりと話し合いながら細かい部分も決めていったことで、納得の仕上がりに。「賃貸に住んでいた時に感じていた『この部分はちょっとな......』と気になる気持ちも完全に消滅して、ストレスフリーになりました(笑)」(ご主人)「この家、実は春には桜の花が楽しめるんです。これから20年住む家として、色々な使い方ができる家にすることができたので、気に入っています」(奥さま)自分たちの「好き」を大切にしながら、物件の状態や予算など、現実的な問題をうまくすり合わせて決めていく。そのバランス感覚が、理想の住まいを実現させたのかもしれません。世の中のノイズが建築を面白くする。建築家 松島潤平氏インタビュー松島潤平建築設計事務所ウェブサイト●取材協力松島潤平建築設計事務所●テキスト宇治田エリ●写真土佐麻理子
2018年10月03日フランス・パリを拠点に活動する気鋭の建築家・田根剛の展覧会「田根 剛|未来の記憶 Archaeology of the Future―Digging & Building」が、東京オペラシティアートギャラリーで10月19日から12月24日まで開催。連携企画として「田根 剛|未来の記憶 Archaeology of the Future―Search & Research」を、乃木坂のTOTO ギャラリー・間で、10月18日から12月23日まで開催する。〈新国立競技場案 古墳スタジアム〉東京 2012image: courtesy of DGT.フランスを拠点に世界各地でプロジェクトを進め、現在幅広い注目を集める気鋭の建築家・田根 剛。20代の若さでドレル・ゴットメ・田根(DGT.)として「エストニア国立博物館」の国際設計競技に勝利し、選出から約10年の歳月を経た2016年秋に同プロジェクトが竣工を迎えるなど、国内外の注目がさらに高まっている。また、2012年に行われた新国立競技場基本構想国際デザイン競技(ザハ・ハディド案選出時)に参加し、11人のファイナリストに選ばれた「古墳スタジアム」は幅広い層に知られるきっかけとなった。2017年のDGT.解散後はAtelier Tsuyoshi Tane Architectsをパリに設立し、活動の場をさらに広げている。本展は、「Archaeology of the Future— 未来の記憶」を共通のテーマにしながら、田根の密度の高いこれまでの活動と、建築は記憶を通じていかに未来をつくりうるかという挑戦を、ふたつの会場で紹介。東京オペラシティアートギャラリーでは「Digging & Building」と題して、場所をめぐる記憶を発掘し、掘り下げ、飛躍させる手法と、そこから生み出された「エストニア国立博物館」や「古墳スタジアム」といった代表作や、最新プロジェクトを大型の模型や映像などによって体感的に展示する。〈エストニア国立博物館〉タルトゥ 2006-16photo: Eesti Rahva Muuseum / image courtesy of DGT.本展の冒頭、“gallery 1”では田根がどのプロジェクトにおいても実施するイメージとテキストを使ったリサーチの手法を、天井高6mの空間を使って展示。場所から連想される膨大なイメージを壁面に貼り、分類/調査を繰り返すことで思考を整理していくこの方法を田根は「Archaeological Reseach(考古学的リサーチ)」と呼んでいる。本展では、「記憶」という概念そのものを、リサーチする実験空間として体験できる。“gallery 2”では、「エストニア国立博物館」や「新国立競技場案 古墳スタジアム」をはじめ、現在進行中のプロジェクトなどを含む7つの作品を、展示室全体を使って空間的に展示。各プロジェクトは1/10から1/100のスケールの大型模型で紹介され、全長10mにおよぶ「エストニア国立博物館」は、身体的な空間体験を可能にする。いずれのプロジェクトにも「Archaeological Research」の過程で集められたさまざまな資料やオブジェクトが伴い、ひとつの建築ができあがるまでの思考をたどる手掛かりとなる。また「エストニア国立博物館」については、設計競技に提出された模型の実物が展示される他、短いながらも密度の高い2004年以降100作品以上の田根の全活動を、30mのコリドールを使ったタイムラインとして総鑑できる展示も登場する。そして「建築は未来の記憶をつくること」という田根の思想に共鳴したアーティストの藤井光が、各プロジェクトの映像制作で参加。歴史や記憶の生成に着眼し、現代社会の諸事項を再検証する作品で知られる藤井が、竣工プロジェクトおよびパリの田根のアトリエを訪問し、撮影を行った。「エストニア国立博物館」は、2画面の大型プロジェクションで展示。場所の記憶を継ぐ建築とそこに住まう人が、あらたな記憶を重ねながら未来をつくっていく姿を見ることができる。〈Archaeological Research〉 2018TOTO ギャラリー・間においては「Search & Research」に基づき、建築における思考と考察のプロセスが展開され、「Archaeological Research」の方法論を展観。ふたつの展覧会は、場所の記憶をさまざまな角度から分析することで新たな系をつくり、未来につながる建築へと展開させていく、田根の探求と実践のプロセスを総合的に提示しようとするものとなる。「記憶は現在を動かし、未来をつくる ——」 この信念にもとづいた田根の創造は、都市の担い手である私たち一人ひとりにとって建築の持つ力や使命、未来への可能性を考えるきっかけとなるだろう。【展覧会情報】田根 剛|未来の記憶 Archaeology of the Future―Digging & Building会期:10月19日〜12月24日会場:東京オペラシティ アートギャラリー住所:東京都新宿区西新宿3-20-2時間:11:00〜19:00、金・土11:00〜20:00(最終入場は閉館の30分前まで)休館日:月曜日(12月24日は開館)料金:一般1,200円(1,000円)、大・高生800円(600円)、中学生以下無料 ※()内は15名以上の団体料金、障害者手帳をお持ちの方および付添1名は無料、割引の併用および入場料の払い戻し不可 ※同時開催「収蔵品展064 異国で描く」、「project N 73 中村太一」の入場料を含む ※収蔵品展入場券200円(各種割引は無し)あり田根 剛|未来の記憶 Archaeology of the Future―Search & Research会期:10月18日〜12月23日会場:TOTO ギャラリー ・ 間住所:東京都港区南青山1-24-3 TOTO 乃木坂ビル3F時間:11:00〜18:00休館日:月曜・祝日(11月3日、12月23日は開館)料金:入場無料
2018年09月28日太陽光発電こそ一般的に認知されてきましたが、今では自宅で使う1次エネルギーをまかなう、より環境に配慮した住宅が基本になってきています。よりよい住環境になるだけでなく、省エネで光熱費の節約もできる!これからの基準となっている住宅や設計手法をご紹介します。最近よく耳にする ZEH(ゼッチ)って?昨今の環境配慮住宅の代表格ともいえるZEHハウス、聞いたことはあるけどいまいちよく知らないという方も多いのではないでしょうか……。ZEHハウスとは、冷暖房や換気、給湯、照明といった1次エネルギー消費を自宅で発電しまかなう住宅のことをいいます。電気料金を抑えられるだけでなく、地球温暖化対策にも貢献できるんです。サスティナブルな社会を実現させるためにもますます重要になってきています。最近話題のゼッチってどんなもの?太陽光発電との関係を徹底解説!カラダにもやさしい♪自然を活用したパッシブ設計風の通り道を作って、風通しのよい住宅にしたり、建物の配置を工夫して陽の光をうまく取り入れたり。自然エネルギーを最大限に活用して快適な空間にする「パッシブ設計」という考えがあります。カラダにやさしいだけでなく、光熱費の節約にもつながるのでZEHハウス実現のためには積極的に取り入れていきたい設計手法です。自然を感じる暮らし〜パッシブ設計とは〜高気密高断熱が鉄則!?住宅の気密性と断熱性能を高めることで、外気の侵入や外の熱を遮ることができ、室内の冷暖房効率はグッと上がります。このことで、冷暖房費を節約でき、夏は涼しく冬は暖かい住宅が可能になります。つまり、高気密高断熱住宅にすることでエネルギーロスが最小限になり、ZEHハウスに一歩近づきます。夏涼しく冬暖かいエコ住宅(高気密高断熱住宅)太陽光発電で創エネ!ZEHハウスを実現するためには、「断熱」の他に「創エネ」「省エネ」が大事な柱になってきます。次にご紹介する〔雑司が谷ZEH・ゼロエネハウス〕は、太陽光発電を用いることで年間エネルギー収支マイナスを実現させています。開口部は熱負荷が大きくなりがちなため取り入れるのが難しいですが、こちらの住宅ではZEHハウスでありながらも、大きな気持ちのよい窓が設けられています。のびのびとした吹き抜け空間も魅力的です。雑司が谷ZEH・ゼロエネハウスハニカムブラインドで暖かさを蓄える!次にご紹介する住宅はリビングに大きな吹き抜け空間があり、上部に光窓が取り付けられています。冬場は、日中に太陽の陽をたくさん取り込み、同時にその陽の暖かさを利用して室内を温めます。大きな窓には断熱性の高いハニカムブラインドが取り付けられているので、夜間はそれを下ろすことで家にフタをし、日中溜めた熱を外に逃さない仕組みになっています。夏場は逆に暑い日差しを遮るのにも活用できるようになっています。ハニカムブラインドが年間を通して作用する機能的な工夫です。太陽の暖かさを蓄える家足立の陽器(ようき)な家まとめ今回は、環境配慮に対して工夫がなされている住宅をご紹介しました。ZEHハウスは、住宅を建てる際の基本となってくるのでぜひ知っておきたい存在です!最近では、ZEHハウスや省エネ住宅に対して補助金制度も導入されています。家計にも、これからの地球環境にもやさしいサスティナブルな住宅をぜひ検討してみてください。省エネ住宅にする際に利用出来る補助金や税制をまとめてご紹介
2018年09月04日今回ご紹介するのは、文京区で2人の子どもを育てながら暮らす、共働き夫婦の住まいです。ご夫婦がリノベーションを決めたのは2人目の子どもの育休中でした。家づくりには〔ブルースタジオ〕のセレクトオーダー式リノベーションサービス《TOKYO*STANDARD》を利用。そのプロセスはどのようなものだったのでしょうか?彼らのライフスタイルと、家づくりの関係に迫ります。リノベーションのテーマは“子育てしやすい家”H邸リビングダイニング「2人の子どもの子育てのために、もっと広くて使い勝手のいい家に住みたい」と考えていた共働き夫婦のHさん。そこで、夫婦の職場や2人の子どもの保育園などを考慮に入れて、東京文京区にある駅近中古マンションを購入。今までの約1.5倍の広さの物件で、フルリノベーションに挑戦することにしたそう。「今現在、都内で新築マンションを買うのと、中古マンションを購入してフルリノベするのは、価格の差は小さくなってきています。それでも私たちが後者を選んだ理由は、中古マンションのリフォーム済物件に住んでみて、その住み心地の良さを実感したと同時に、もっと快適に住める家を自分たちで作りたいと思ったからです。さらに、通勤しやすい“都心の駅近物件”を選ぶなら、やっぱり中古マンションのほうが現実的でした」(Hさん)物件購入当初から“子育てのしやすさ”をテーマにリノベーションを考えていたHさんは、その後リノベの事業者を選定しました。「まず3社に絞って相見積もりを依頼して、最終的に提案がよく、実績も多い〔ブルースタジオ〕の《TOKYO*STANDARD》というサービスを利用することに決めました」(Hさん)《TOKYO*STANDARD》は、好きな素材やオプションを自由に選べる定額制のセレクトオーダー式リノベーションサービス。サービスが明確でリーズナブルなのに、こだわりたいところにはこだわれて、納得のおうちがスピーディーに完成したそうです。それではさっそく、おうちの様子を見てみましょう!リビングダイニングの片隅にプレイスペースを設置キッチン脇のスペースを小上がりにして、子どもが遊べる空間にHさんたちは、まず「上の子が小学生の間、子どもとどう暮らしていきたいか」をメインテーマに考えていったそう。そこで、プレイスペースをつくることにしました。「最初の段階で必要だと思う要素をたくさん書き出していき、設計者さんと相談しました。子どもが遊べるプレイスペースが欲しいという要望にも、応えてくれました」(Hさん)プレイスペースの隣はキッチンになっているため、料理中も子どもたちの様子を見守ることができます。プレイスペースの床下はキャンプ用品など季節もののグッズをしまう収納として活用小上がりになっているプレイスペースの床下は、収納にして有効活用しています。家事負担を減らす、家族と話せるキッチンリビングダイニング全体を見渡せる広々としたキッチン。タイルも好きな色をセレクト。「前の家はキッチンが狭く、子どもができてキッチンまわりの動線が重要だと感じていたので、今回はかなりこだわりました」(Hさん)キッチンを部屋全体を見渡せる場所に設置することで、家族とのコミュニケーションも取りやすくなりました。隣接しているプレイスペースにいる子どもと、お店屋さんごっこの遊びをしたり、料理をしながら子どもと同じ目線でコミュニケーションがとれます。大型食洗機は、共働き夫婦の強い味方仕事に子育てに忙しいHさんは、家事負担を減らすため、キッチンには海外メーカーの〔Miele〕の食洗機を導入。「鍋が入るほどの大容量で、洗浄力も強いので、1回で洗い物が終わるのが嬉しいです。すこし値段は張りましたがこの食洗機にして良かったですね」(Hさん)動線を考えて収納にも工夫をこらす「間仕切りをしすぎない」「動線に沿った収納の設置」も大切な要素だったというHさん。何が大切で、何が不要なのかを考えた結果、クローゼットと書斎の扉を1つに。「扉って意外と高価で。自分たちのリノベーションのテーマを考えると、2つも扉はいらないんじゃないかなと思ったんです。書斎にこもりたいときは書斎の方に扉を持っていき、来客があったらクローゼットの方を閉めて......というふうに使っています」(Hさん)ウォークインクローゼットは天井付近にも棚をつけることで、さらに収納力アップ。「収納を決めるときは〔無印良品〕の収納ケースを使うことを考慮に入れました」(Hさん)おうちのいたる所にさりげなくある収納スペースは、使いたい収納ケースの奥行きを考慮に入れて設計することで、すっきりとした見た目に。高さの調節ができるクローゼットのポール「ウォークインクローゼットも子どもが主体的に服を片付けたりできるように、高さを調節できるタイプをセレクトしました」(Hさん)子どもの遊具も楽にしまえる広々とした玄関収納玄関から入って右側も玄関と同じ床素材の収納スペースにすることで、外で使うベビーカーやストライダーも帰宅してそのまますっきりと収納できます。子どもの成長を見据えた+αできる寝室広々とした寝室は、扉を2つにしておくことで、後から壁をとりつけて2部屋にすることが可能。現在1LDKのHさんのおうちですが、広々とした寝室はあとから壁を取り付ければ2LDKになるようかしこく設計。「壁をあとから取り付けられるように準備してあるので、実際に工事する際も費用は安く済みます。子どもが『自分たちの部屋がほしい』となったときや、家を手放すという可能性を考慮に入れた結果、こうなりました」(Hさん)リビングの天井にも、ハンモックやグリーンをかけられるパーツをつけたりと、インテリアにも変化をつけられます。Hさんのおうちは、忙しい共働き家庭でも、子どもと一緒に楽しく暮らせる工夫が細部にまで施されていました。大変な子育て期間こそ、かしこく楽しく快適に2人目のお子さんの育休中に、楽しみながらリノベーションを進めていったというHさん。「今回《TOKYO*STANDARD》を利用して、ここまでセレクトできるの?設計もここまで自由に要望を聞いてくれるの?と結構細かく決められることに驚きました。キッチンや洗面所のタイル、コンセントのパーツなど、好きなものをセレクトできたのも良かったです」(Hさん)気に入ったものだけに囲まれているから、家族と一緒に過ごすおうち時間も充実しているそう。『自分たちがどの期間に、どういう暮らしをしたいのか?』というテーマにしっかりと向き合うことで、ライフスタイルに寄り添ったおうちづくりを叶えられるのかもしれません。〔ブルースタジオ〕公式ウェブサイトはこちら《TOKYO*STANDARD》詳細はこちら●取材協力株式会社ブルースタジオ●テキスト宇治田エリ●写真土佐麻理子
2018年08月08日憧れのおうちは「開放感のある家」という方も多いはず。天井まで続く大きな窓、ウッドデッキや縁側、アウトサイドリビングなど憧れは尽きないもの。今回は、そんな願望を叶えた開放感たっぷりのステキなおうちを特集します♪お気に入りの一軒をぜひ見つけてみてください♡日本ならではの縁側で家族だんらんを現代の家にも一昔前までは縁側で家族だんらん、なんて風景がありましたが今では縁側のあるおうちも少なくなりなりましたよね。そんな縁側をモダンに取り入れたのがこのおうち。全面開放できる窓なので、開け放てばリビングと縁側が一体化するようなデザインです。ウッドデッキに囲まれた楓の木がシンボルツリーの役割を果たし、家族で集まりたくなるスペースに♪プロの設計士が自分の家を本気で設計したらこうなった。こだわりの”縁側モダン”〜『10年愛♡の家』Vol.5〜窓から見える絵画のような日本庭園がすぐそこにフローリングと窓のサッシの色を木質系に統一することで、サッシ枠の存在感が和らぎますね。そんな窓の先に見えるのがまるで絵画のように美しい和風庭園。こんなに景色をいつでも眺められるなんて、なんてステキなんでしょうか。和な空間に心が和みます。窓回りを愉しむコツ|サッシ色の選び方(室内)もはや外!自然とつながるアウトサイドリビング「これぞ開放感!」と言いたくなる、ウッドデッキを兼ね備えたおうちです。自然に囲まれた白くモダンな邸宅は全面開放の窓と大きなウッドデッキのおかげで、外とダイレクトにつながっています。天気のいい日には、リビングの窓を開け放って思わず外で過ごしたくなるステキな空間です♡思わず外で過ごしたくなる!おしゃれなウッドデッキ&アウトサイドリビングまとめ壁一面の窓から光がたっぷり注ぎこむこちらは、天井まで続く壁一面の窓ガラスから広いお庭が眺められるおうち。外からの光や風をたっぷりと取り込むことができます。黒のサッシがモダンで、空間の締め色としても一役買っています♪【話題】有名漫画家さんが建てた理想の「アトリエ兼平屋住宅」に潜入!!開け放たれた窓から今にもパンのいい香りが漂ってきそう♡こちらはパン屋さん。大きな県道に面した建物でなので、道路からでもお店の中が見えるように建物の正面と側面に窓を設置したそう。6枚のガラス扉で構成された正面入り口を開け放てば、今にも焼きたてのパンの香りが漂ってきそう♡お客さんも入りやすい明るい空間です。Boulangerie 粉桜おわりに今回は大きな窓のあるおうちを特集しました。光や風がたくさん入ってくるので開放感たっぷり!また、ウッドデッキやアウトサイドリビングで、お部屋と外がつながっていているのもとってもステキですよね。他にもLIMIAではさまざまなおうちが紹介されているので、憧れの一軒を見つけてみてくださいね!
2018年08月07日屋上のあるおうちに憧れを抱いている方も多いのではないでしょうか?敷地が狭いからなど、スペースが限られるおうちほど、屋上はよりよい暮らしを演出してくれるかもしれません。今回は、すてきな屋上のあるおうちをご紹介していきます♪憧れの屋上庭園をわが家にも!高級マンションやリゾートホテル、テレビドラマなどでもよく見かける「屋上」。開放的でおしゃれな空間がわが家にあったら……と憧れをもつ方も多いのではないでしょうか。今回は、すてきな屋上空間を実現したおうちをご紹介していきます♪至福のひととき……憩いの空間を実現リビングから伸びるハシゴ階段を登ると、そこには至福のひとときをゆったり過ごせる空間が。実はここ、ビールを楽しむために作った空間なんだとか!このように、下の階の屋根を利用して作られる「ルーフバルコニー」。ひとりでホッとくつろぐための空間を演出しています。木目調のお部屋に合わせて、バルコニーもウッドデッキに。周囲の自然や、バルコニーから降り注ぐ陽の光とも相まって、お部屋全体が開放的でナチュラルな印象になっていますね。屋上というと文字通り「最上階の屋根の上」という印象があるかと思いますが、このルーフバルコニーという形もまた、開放感があって魅力的ですね!▼詳しい記事はこちら▼住宅に屋上をつくった理由お庭がなくてもガーデニングをこちらのおうちは、敷地面積がわずか15坪のいわゆる「狭小住宅」。なので、敷地内にお庭がなかったんだとか。そこで、3階の上に屋上を作りました!屋上には、実は重量制限などの細かな建築基準が存在します。こちらの屋上は、屋上菜園にすることを見込んで、土の重さなどを計算したうえでの構造に。このように、屋上を作るためには用途や具体的なイメージをもつことが大切と言えそうですね!▼詳しい記事はこちら▼木造でも屋上庭園都心の住宅に自然を想設計工房さんの手がけた物件は「自然ととも生活できる家」をテーマに、こんな屋上空間が生まれました。芝生とウッドデッキのツートンで、お子さんの遊びからお洗濯などの家事まで、住・遊そろった使い勝手のよさそうなスペースになっていますね。とくに都心で、屋上やバルコニーの注意点としてあげられるのがプライバシーの問題。こちらのおうちは、鮮やかな赤い塀で目線をさえぎっているから安心です。お部屋の中央は吹き抜けになっていて、シンボルツリーが各階を貫いています。屋上から取り込んだ光がおうち全体に注ぎ込む構造になっているから、家じゅうどこにいても明るく開放感を得ることができそうです♪実は都心の住宅密集地に位置しているおうちなのですが、空間の使い方しだいで、これだけの開放感を手に入れられるんですね!▼詳しい記事はこちら▼上下に2つの庭を持つ家限られたスペースを最大限に活用する!今回は、「屋上」をテーマにさまざまなおうちの屋上をのぞいてみました。都心や住宅密集地では、生活スペースも限られるから、余暇の空間は手の届かない存在と感じがちです。でも、今回ご紹介したように「屋上」という空間によって、今あるスペースを最大限活用することで、自宅がより快適な場所にすることができるんですよ♪みなさんもぜひ、「屋上」という選択肢をもっと身近に感じてみてくださいね!▼屋上リフォームに関するハウツーはこちらから▼屋根に屋上・テラスを作りたい!屋根リフォームで実現できる?リフォームで自宅に夢の「屋上庭園」を!快適な空間を実現するためのポイント
2018年07月22日不動産検索サイトや不動産販売の広告などでよく目にする「建築条件付き土地」。その意味についてなんとなく知っている人は多いと思いますが、その中身をしっかりと理解している人は少ないのでは?建築条件付き土地の中身を理解するために、少し変わった角度から建築条件付き売地を考えてみます。実は「売主のタイプ」の違いによって、その建築条件付き土地の性質や「メリット・デメリット」に違いが出る場合があるのです。以下ではその「売主のタイプ」を大きく2種類に分け、その違いを解説します。■ 売主タイプ1.昔ながらの不動産業者HAKU / PIXTA(ピクスタ)このタイプの売主はその多くが、建築条件付き土地の販売を建売住宅販売の一形態と考えている傾向があります。宅地建物取引業法では、建築確認(許可)等を取得していなければ土地建物一体での売買契約は禁止されています。しかし、土地の販売期間短縮や販売経費削減をしたい、さらに土地売却益だけでなく建設工事でも利益を得たい売主が、建築確認等を取得したり現実に建設工事に着手しなくても土地建物をセットで販売(請負)したいと考えた場合に、土地の売買契約に建物請負契約締結の条件を付した「建築条件付き土地」という方法を選択するのです。つまり、本来は土地建物一体での販売をしたいのに法の制限によりそれができないため、やむを得ず建築条件付き土地売買という形態をとっている場合が多いのです(もちろん違うケースもあります)。■ 売主タイプ2.ハウスメーカーなどの建設業者HAKU / PIXTA(ピクスタ)このタイプの売主はその多くが、土地売買契約より建設工事請負契約にその比重を置いています。つまり土地を販売する目的自体が「建物を売るため」なのです。そのため、このタイプの売主は土地販売時にかなり踏み込んだ建物の打ち合わせを行います。土地の販売自体が主たる目的ではないため、購入希望者の建物ニーズが自社商品と合わない場合はその時点で土地購入を積極的に勧めません。建設工事請負契約が円滑に進まない可能性がある顧客と土地売買契約を結ぶメリットがないのです。■ 売主タイプ1のメリット・デメリット売主タイプ1の建築条件付き土地の場合、先述のようにその売主は土地売却益だけではなく建設工事請負による利益を期待している場合がほとんどです。そのため、見込んでいた利益が土地売却だけで得られるなら、この建築条件を外せるケースも多く見受けられます。「土地は気に入ったけど、建物ニーズが合わない」「この土地にどうしても別のハウスメーカーで建てたい」などの場合、その交渉を受け付けてくれやすいのはこのタイプの売主なのです。また、不動産業者が売主のため、上下水道などの供給施設がすでに整備されている土地も多く、権利関係(差し押さえ等)や隣地境界トラブルも整理されている土地が多いのもメリットといえるでしょう。Graphs / PIXTA(ピクスタ)ただ、もちろんデメリットもあります。上記のように建築条件を外す交渉がうまくいっても、その売買条件変更にともなう価格のアップを要求される場合が多いのです。それで結局予算オーバーとなるケースも見られます。だからといってその価格が割高であるという意味ではありません。建築条件付き土地の場合、その価格設定は条件なしの土地と比べ若干低めに設定している場合も多いのです。■ 売主タイプ2のメリット・デメリット売主タイプ2の建築条件付き土地のメリットですが、この売主はそもそも建物を売るのが主たる目的なので、土地の検討当初からその土地に最適な参考プランや推奨仕様など、かなり充実したものを用意している場合が多くみられます。そのため、自分で建設業者を見つけて別々に発注するよりも割安で良質な住宅が手に入る場合があります。タカス / PIXTA(ピクスタ)デメリットは、このタイプの建築条件を外すことはほぼできないということです。建物を売るのが目的なので条件外しの交渉さえ受け付けてもらえないでしょう。どうしてもその土地を購入したい場合はその指定された建物を購入(請負契約)するしか選択肢は無いのです。ただし、土地売買契約後の打ち合わせによって請負契約が不調に終わる場合は土地売買契約も解除されます。いかがでしたか?ここで取り上げた以外にも様々な売主さんはいますが、建築条件付き土地を検討される場合は「売主のタイプ」を知り、そのメリット・デメリットを知ったうえで購入を判断する材料のひとつにしてください!【参考】※東京都都市整備局不動産取引の手引き
2018年06月15日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。自分達が契約した「建築条件付き」というものが、「土地代を安く見せて客寄せし、上物の建築費で土地の利益分も取り戻す手法」だと知って、一気に落ち込んだ鳥夫婦です……。■ 一度会ったきりのコンサルさんに連絡を取ってみたマイホームは、一庶民には人生をかけた大きな買い物です。「安い買い物でもない」「おそらく上物の質は期待できない」「鳥も四ツ谷を忘れていない」となったら、もう白紙解約という文字が浮かびました……。「でも白紙解除ってそう簡単にできるの?たくさんの人の時間と労力を使って契約までしておいて、自分たちの都合でキャンセルできるの??それなりの理由がないと先方も納得しないんじゃないの???」不安に駆られた鳥夫婦は、あれから事後報告もせず放置してしまっていたことに罪悪感を感じながらも、あのコンサルさんに相談してみることにしたのです。メールしてみたところ、すぐにネット電話で相談にのってくれることになりました!建築条件付きの意味がわからないまま、土地を契約してしまった無知な素人の鳥夫婦では、どんな質の家なのかさえわからないいざとなったら白紙解約したいが、海千山千の業者相手に解約できるか不安などと説明し、サポートをお願いしたのですが、難色を示されお断りされてしまいました……。でも何千万円という人生かかった契約を締結してしまい、追いつめられている鳥夫婦。なんとか喰らいついて、「今回の家がどういう質のものなのか教えてもらえるだけで良い。あとは自分たちで意思決定するので!」と頼み込みました。するとやっとコンサルさんが「R社に恨まれるのは困るので、私の名前は決して出さずに黒幕のままでよければ、鳥夫婦さんの家造りの知識の一助にならせていただきます」と、サポートを引き受けてくださることになったのです!■ コンサルさんからのサポートメールそしてR社との初回打ち合わせの前日に、コンサルさんから以下のようなメールが届きました。*************************************明日以降の先方との打ち合わせについて、付け加えさせていただきたいことをお送りいたします。2点ございます。ひとつは、期限の日まで時間がありませんので、積極的に働きかけて、可能な限り打ち合わせを行うようになさってください。理由は工事契約前に、どの程度詳しい実施設計図と仕様書を出してもらえるか、わからないからです。そしてもうひとつは、(現時点では)あまり先方を追い詰めないよう、心がけながら進められた方がよいと感じております。私も付いておりますから、どうしても強気に出たいと感じる場面が出てくると思いますが、そこはグッとこらえて、先方を上手にコントロールするつもりで進めて行きましょう。なお、その場で即答してはいけないと感じたものについては一旦持ち帰り、ご質問くださいませ。これからお二人は大変な思いをされると思いますが、私は鳥夫婦の家づくりを楽しませていただくことにいたします(笑)。-追伸-「どうしても納得が行かない」ということになるまで、白紙撤回のことは一切考えず、工事契約するつもりで進めて行ってくださいね!*************************************■ コンサルさんを黒幕にして家造りスタート建築条件付きのからくりについても契約後に知ったほど情けない状態だったので、このように家造りのことを十二分にわかっている専門家がバックについていてくれるのは、非常に心強い思いがしました。それからは、R社との打ち合わせをしてはその内容をコンサルさんに話し、R社の家造りの思惑や甘さを解説してもらったり、次の対策を指示されたりするという日々が始まりました。初めてお会いしたときのように会話の中で引っかかるものはあれど、助けられることの方がよほど多く、「コンサルさんが居てくれて、本当に良かったね(泣)」と夫婦で日々感謝していました。メールにある通り、あくまでも契約するつもりで取り組むよう指示を受けてはいましたが、当然ながらコンサルさんはR社の家造りに批判ばかり……。たまにコンサルさんの口から「こうしてR社とやり取りしている内容は、決して無駄にはならないですから」「この家で、本当に良いのですか?」という本音めいた言葉も漏れていました。おそらくコンサルさんは、「鳥夫婦さんの性格で、建築条件付きでの家造りに満足できるはずがない」「この土地は白紙解約して、新たな土地に注文住宅を建てることになる」という見通しを持っていたのではないかと思います。(鳥)
2018年06月15日金のシャチホコで有名な名古屋城天守閣のとなりに、本丸御殿という書院造りの建物があるのをご存知でしょうか?かつては尾張藩主の住居かつ藩の政庁として建てられた建造物でしたが、2009年からは約10年間に及ぶ復元工事が進められてきました。そして2018年6月8日、ついに完成公開の時を迎え、今まさに大きな話題を呼んでいます。名古屋文化の原点とも言える豪華絢爛な姿は、一見の価値ありです!10年かけて復元を果たした、「名古屋城本丸御殿」のすごさ10年間に及ぶ復元工事を終え、このほど完全公開に至った「名古屋城本丸御殿」。10年という長い年月がかかったのには、当然それなりの理由があります。まずは、本丸御殿がどんな場所なのかということから説明しましょう。「名古屋城本丸御殿」は、徳川家康の指示で尾張藩主の住まいとして1615年に建てられました。1634年に将軍のお成御殿として上洛殿が増設されてからは、将軍専用の建物に。その後も格式高い御殿として名を馳せていました。昭和初期には天守閣と共に城郭として国宝第一号に指定され、屈指の名城として知られるところになりましたが、1945年の空襲で天守閣と共に全焼。しかし、幸いにも豊富な史料は焼失を逃れ、それが今回の復元への実現に至りました。生き残った史料のおかげで、外観・構造とも細部まで忠実な復元を果たしています。さすがは格式高き御殿!とにかくどこを見ても、非常に精巧な造りなのです。主要な木材には木曽川上流域の森林地域に分布する「木曽桧」を使用。継手・仕口により木材を組み立てる伝統工法を採用しています。障壁画は復元模写により当初の色彩を実現し、これに金色に輝く飾り金具があいまって、400年前の壮大な空間を再現しています。まさに匠の技が集結した細やかな手仕事の連続です。これらを10年で成し得たと考えると、決して長い年月ではないような気がします。完成公開最大の見どころは、豪華絢爛な上洛殿さて、今回の完成公開による見どころは、なんと言っても将軍のお成御殿の上洛殿でしょう。上洛殿は本丸御殿で最も格式の高い建物で、天井には板絵、部屋の境には極彩色の彫刻欄間がはめ込まれています。障壁画は狩野派の最上位とされる山水(水墨画)。これぞ、名古屋城独自の荘厳な世界観です。ほかにも、将軍をもてなす上級家臣の控えの間として使われた「梅之間」や、対面所と上洛殿を結ぶための廊下「鷺之廊下」など、足を止めてじっくりと観たい場所はいくつもあります。江戸時代初期・寛永期ならではの、華やかで洗練された成熟文化を至るところで感じることができるでしょう。感動の余韻そのままに、名古屋城下で本場のグルメ!さて、名古屋城下には2018年3月にオープンした「金シャチ横丁」というグルメゾーンがあります。ここは新旧の名古屋めしが揃った横丁。まさに名古屋を代表するお店が連なっているので、どこで何を選んでもハズレはないでしょう。実は私の出身地は愛知県なのですが、地元の人々からも「お店のラインナップがいい」「観光地なのに適正な値段でおいしいものが食べられて満足」と、評判は上々でした。上の写真は〔尾張那古野天丼徳川忠兵衛〕の《味噌天丼》、そしてこの写真は〔名古屋とうふ河口〕の《金箔豆腐ソフトクリーム》です。「金シャチ横丁」には正門に近い「義直ゾーン」と、東門近くの「宗春ゾーン」の2カ所あり、どちらも名古屋城の敷地外に位置しています。閉門後でも開いている店舗があるので、ぜひ本丸御殿観覧の余韻に浸りながら、ゆっくり過ごしてみてください。●取材協力名古屋城本丸御殿金シャチ横丁●ライター河辺さや香
2018年06月13日設計者・建築士は、設計提案を施主様に行うため、まずヒアリングを行います。私の設計事務所では、そのお施主様の思いを形に結びつけるため、独自にヒアリングシートを作成してお話を伺っています。今回はいかにヒアリングが大事かについてご紹介。ヒアリングでは、施主様が要望を設計者にお伝えしたいと思っているでしょうし、私たちはそれを聞いて十分に理解しようと考えているのです。■ 施主はヒアリングにどんなふうに臨めばいい?ヒアリングシート私たち設計者にとってヒアリングという機会は、提案をよりよくするためのものであります。もっと言うと、プレゼンのなかに、提案、そしてヒアリングが含まれていると言っても過言ではないです。そのくらい私は、ヒアリングを大事に考えています。では、お施主様としては、ヒアリングにどんなふうにのぞめばいいのか。どう伝えるのがいいのか。あまりかまえる必要はありませんが、こうしたほうがコミュニケーションを取りやすいですよということを簡単に2つほどご紹介したいと思います。■ 1.あるだけ要望をすべて吐き出してみよう!これはまず、お願いしていますし、できるだけお施主様が考えていることすべてを吐き出していただくように、私も努力しています。そして、施主様には何でも言っていただいています。Rina / PIXTA(ピクスタ)そのなかで私たちは、要望と、その奥にかくされた、施主様の欲している本質を読み解き、それらから形にするヒントを得ようとしています。このようにする理由は、要望の組み合わせ次第でこれは無理だろうと思えた矛盾が、実現する可能性がでてきたりもするからです。それは提案において核になる可能性を多く秘めていたりもします。いろいろな要望が出たあと、私はお施主様にそのなかで優先順位をつけてもらい、要望の整理をします。そうすると、フィルターにかかるように、提案へむけた方針が見えてきます。■ 2.イメージや好きの共有をするために施主様がどんなイメージをもっているのか、そして何が好きなのか。これらを共有することが設計提案をするうえで私は大切にしています。ではその共有をどのように行えばいいのか。node / PIXTA(ピクスタ)例えば、雑誌の切り抜きなどでもいいでしょう。ネットで集めた画像をスマホで見せてもいいかもしれません。言葉のほかに視覚的な情報を相互で確認できることは、要望と提案のずれを少なくします。以前までは、住宅雑誌やその一部をコピーしたファイリングなどを持ってきた方が多かったです。しかし現在では、スマホから、ダウンロードした画像データを見せてくれたり、SNSツールを活用したサイトから収集した画像を見せていただいたりなど、情報共有の手段がより多彩になってきています。イメージをわかりやすく伝達する手段ができたことで、よりお施主のイメージが私たち設計者に伝わるようになりました。これはとても便利ですね!これらのやりとりは、家づくりに対し、設計者と施主様が同じ方向を見て進んでいくためのものでもあります。お互いの信頼感にもつながりますし、意志の疎通がよりスムーズになることは間違いないです。shimi / PIXTA(ピクスタ)それは、家という完成形をともに描くための大事な関係性の構築となっていくことでしょう。このプロセスを経て、私は設計者として、施主様の求めていることや敷地、法規など様々な情報を体のなかに染み渡らせて設計提案へと望みます。あとはおまかせください!と言った感じです!!
2018年05月28日誰かに何かを聞いたりお願いしたりするかのように、自分の声で「お願い」を聞いてくれるスマートスピーカー。スマホと違って、室内に設置するため、気恥ずかしさを感じず使えることから徐々に人気が出てきていますよね。でも、その先を行く「スマートホーム」があるのはご存知でしたか?今回は、スマートスピーカーとスマートホームの違い、またスマートハウスと呼ばれるものまで“スマート”になりつつある住環境について調べてみました。エネルギーに特化したスマートハウス各ハウスメーカーやガス会社が取り組んでいるのが「スマートハウス」。これは、屋根に取り付けた太陽光発電パネルの発電量やガスを使った家庭用燃料電池の蓄電量、使用量などを“見える化”して、電力をスマートにコントロールする仕組みを備えた家のことを指します。家で使っているエネルギー量が見えるようになることで、省エネを心がけるようになったり、余った電力を電力会社に売ったり、燃料電池に貯めておいて災害時に使ったりすることができるようになり、まさに“スマート(賢い)”なエネルギーの使い方ができるようになりますよね。スマートホームならすべてを手元で操作し放題で快適!では、「スマートホーム」というのは何を指すのでしょうか。ここは、スマートホームのシステムを国内で唯一作り出している〔インヴァランス〕の小暮学さんにお聞きしてみました。「簡単にいえば、コネクティッド(つながった)ホームのこと。スマートフォンを通じて、家にあるあらゆるものとつながっていられるのが特徴ですね」(小暮さん)たとえば、仕事が終わって家に到着する頃にお風呂が沸いている、部屋の温度が快適になっている、といったことを実現します。また、スマートフォンで室内の電気やエアコンをコントロールすることも可能。スマートフォンが家の中にある家電や給湯器の「リモコン」になるから、いくつものリモコンを使い分ける必要がなくなるんだそう。「これから寝ようっていうときに、わざわざベッドから出て照明器具やエアコンのスイッチをオフにしないでいいというのは、かなり快適ですよ」と小暮さんは言います。家の外からつながって得られる安心感スマートスピーカーでは、家電の操作は家の中にいるとき(厳密にいえば、声の届く場所にいるとき)限定ですが、スマートホームなら、家の外からでもスマートフォンアプリで操作可能。これがスマートスピーカーとスマートホームの大きな違いとなります。〔インヴァランス〕では、お家と接続するためにスマートフォンアプリ《alyssa.(アリッサ)》を用意しています。女性名を使ったアプリなんて、細かなところまで気がついてくれるヘルパーさんみたいで、なんだか親近感がわきます。《alyssa.》を使えば、家にいないときの来客対応もできます。まるで部屋の中にいるように、インターホンの呼び出しに出ることができるんです。外出時に、誰が来たかわかるので安心ですよね。また、アプリで家の様子を確認できるから、「エアコン消したかしら。電気は?ドアの鍵、かけたっけ?」という不安もなくなります。スマートホームなら一人暮らしでも子どもがいても安心家の外から部屋の電化製品や給湯機器を操作できるのは、便利なだけではありません。防犯にも一役買います。たとえば、暗い夜道を帰宅中、後ろから近づいてくる足音に不安を感じたことはありませんか?部屋のあるマンションがもうすぐそこでも、帰ってすぐに明かりをつけたら自分の部屋がどこだかバレてしまうのではないだろうか……と考えてしまうこともあります。スマートホームなら、最寄り駅や最寄りの交差点についてすぐ部屋の明かりをつけられるので、そういった心配をする必要がなくなります。また、長期出張や旅行などで家を空ける際に気になるのが空き巣ですよね。暗くなっても部屋の明かりがついていないと、留守だということがすぐにわかりますし、それが数日間になると、さらに空き巣に狙われやすいことが知られています。そんなときでも、外から部屋の明かりをON/OFFできるスマートホームなら安心です。いつも家に帰るような時間になったら電気をつけ、寝る時間に消せばOK。「あの家は、しばらく留守にしているな」ということが、これならわかりづらくなりますね。共働きで就学児のいる家庭では、子どもがきちんと家に帰ったかどうかが気になるところ。仕事中でも部屋の様子が手元で見られるスマートホームなら、やっぱり安心です。家電が使われていれば、帰ったということがわかりますからね。また、朝早く、子どもより先に家を出なければいけないとしても、鍵の閉め忘れへの心配は不要。万が一、閉め忘れたことがわかっても、スマートフォンで施錠できるのですから。こんなに便利なので、スマートホーム機能のついているマンションの家賃は高いのでは?と考えてしまいますが、実は大して変わりがないそう。小暮さん(写真下)によれば「相場より3%程度アップしているだけ。月額料金もかからないし、導入されているマンションではインターネットも使い放題だし、何より安心。わずらわしいことが少しでも減ればいい、と考えている人にはぜひ体験してほしい」とのことでした。そんな〔インヴァランス〕が提供しているスマートホームは、なんと都内だけでも600戸以上。まだまだ建設中で年内には1000戸突破が確実だそうです。外出先でも室内の家電や給湯器をコントロールできる近未来的な生活を手にできる人が、ますます増えそうですね。引っ越さなくても実現する!?自分に合ったスマート家電を教えてもらえる《リノベる。》のショールーム「自分の家に愛着があるから、引っ越したくない」「住んでいるところの近くにスマートホーム機能のあるお部屋がない」という人は、スマートホームの体験ができないのでしょうか。中古マンションのリノベーションサービス《リノベる。》を運営する〔リノベる〕では、スマートフォンアプリ《ConnectlyApp》とつながる家電(IoT機器)のある暮らしを提案。それら家電を集めたショールームを運営しています。スマートロック、お掃除ロボット、明るさや色温度を変えられるスマート電球《Heu》など、スマートホームで暮らすことがどういうものなのかを体験できるだけでなく、スマート家電導入の相談にも乗ってくれますよ。これなら、築30年40年といった実家住まいでも取り入れられそうですね。スマート家電を後づけで取り入れるにせよ、スマート機器が調和したスマートホームで暮らすにせよ、スマートスピーカーの先を行く“スマート”な暮らしはもうすぐそこまで来ています。快適さがどんどん進歩しているスマートホームから、目が離せなくなりそうです。●ライター渡辺まりか
2018年03月20日/ランニングコストって?ランニングコストとは、経営学用語の1つで一般的に企業などにおいて設備や建物、機会を維持するために必要となるコストのことをいいます。「建物」にかかるランニングコストには、保全費、管理費、修繕費、水道光熱費、冷暖房にかかる費用などがあります。また上記でいうところの「建物」のほかに、イニシャルコストというものがあります。イニシャルコストは建築時費用のことを指し、ランニングコストは建築後費用を指します。2種類のランニングコスト建物を建てるときをイニシャルコストといい、建てた後をランニングコストといいました。ランニングコストはつまるところ維持費や管理費ともいえます。不動産を得る不動産投資の世界では、このランニングコストを2つに分けることができます。固定資産税・都市計画税建物は建てた後の方がコスト面に負担が掛かります。この2つは不動産を所有しているだけでも掛かる税金で、毎年発生します。管理修繕費不動産投資物件(主にアパートやマンション)の運用を行うには、当然に「管理」が必要です。空室率の低い投資物件は、この管理面がしっかりと行き届いています。管理費用には以下の2種類(その他を除く)があります。これらを行う業者が「不動産管理会社」です。PM(プロパティマネジメント)費PM費とは、入居者管理費のことをいいます。主な仕事内容に、賃料の集金、滞納の催促、入退去手続、募集、苦情の受付・対処、リフォームの手配などがあります。BM(ビルマネジメント・ビルメンテナンス)費BM費とは、建物管理費のことをいいます。主な仕事内容に、共用部の清掃(エントランス・ゴミ置き場・廊下など)、エレベーターの維持管理、法定消防点検、受水槽の点検などがあります。その他また上記2つ以外にも、以下のような管理費用があります。入居者募集費用入居者を募集するのに掛かる費用としては、仲介手数料や宣伝広告費などが考えられます。共用部の水道光熱費共用廊下やエントランスホールの電気などの費用もかかります。リフォーム費建物は人間と同じく歳を取ります。老築化が進めば室内をリフォームし、空室率を上げる必要があります。税金(不動産所得)不動産によって得た所得を「不動産所得」といい、これにも税金が課せられます。不動産所得は【総収入-諸経費】なので、最後に掛かるコストと考えてよいでしょう。まとめ不動産投資で掛かるランニングコストは、まとめると以下3つです。固定資産税・都市計画税管理費用等(PMフィー、BMフィー)不動産所得税など建築時にも膨大な費用は要しますが、実はそれよりもランニングコストの費用の方が掛かります。しっかりと計画を立てる必要がありそうです。
2018年03月11日建築模型に特化した国内唯一のミュージアム、天王洲アイルの建築倉庫ミュージアムにて、リニューアル後初の企画展「ル・コルビュジエ / チャンディガール展 -創造とコンテクスト-」が、5月26日から7月16日まで開催。ル・コルビュジエ、キャピタル全体図のスケッチ、平面図と遠近法図、説明文つき、チャンディガール1950~1965年 1951年7月24日 所蔵 ル・コルビュジエ財団近代を代表する巨匠建築家として知られる、ル・コルビュジエ。そしてその活動は、彼が提唱した「近代建築5原則」が示す通り、合理主義的な考えと技術革新を伴って発展していく世界のイメージに根ざし、一つの普遍的論理が広く世界で通用するという信念に基づくと考えられてきた。しかし、彼が場所の環境や風景、また風土や文化など、計画にかかわるコンテクストに多くの注意や関心を払っていたことはあまり知られていない。特に、インドのチャンディガールをはじめとする晩年の作品群では、こうした関心が、彼の建築・都市デザインの直接的なインスピレーションの源となって、より複雑な全体の生成に寄与している。本展は、ル・コルビュジエの手によるチャンディガールでの作品群を例にとり、ヨーロッパから遠く離れたインドという異質の環境下における、彼のクリエイションとその土地ならではのエレメントとの関係を考察する。展示では、貴重な建築資料や模型、建築家自身の手によるオリジナルスケッチや油彩画、リトグラフなどの美術作品に加えて、写真家ホンマタカシがチャンディガールで撮影した写真や映像作品を紹介する。ル・コルビュジエ「牡牛 XVIII」1959年、所蔵 大成建設株式会社チャンディガールで、民主主義とインドの気候とを総合的にモニュメント化する言語を模索していったコルビュジエ。その結果、とりわけキャピトル・コンプレックスは、初期のデザインを支配していた一元的に普遍を志向する堅苦しい幾何学から解放され、幾何学的要素とピクチャレスクな要素が混在することより複雑な総体として結実した。今回は、その主要な構成要素の一部をなす議事堂内部を巨大模型で再現する。また、絵画を中心とした芸術作品を多く残した芸術家としても知られるコルビュジエの油彩画「牡牛 XVIII」(1959年)を展示。最晩年に制作され、彼の創作活動を対立概念間の運動として総括するリトグラフの詩画集「二つの間に」(1964年)も展示し、併せて本展のために新たに翻訳されたル・コルビュジエの詩文(田中未来訳)を紹介する。Takashi Homma「High Court 1」2013 Lambda print © Takashi Homma Courtesy of TARO NASUチャンディガールでの計画最初期から、キャピトル・コンプレックスの建物群の配置と全体のスケール感は、後背に広がるヒマラヤ山脈との関係性と共にコルビュジエが特に注意を払って検討したとされる。今回100分の1のスケールで新たに製作されたキャピトル・コンプレックスの三つの建物である「高等裁判所」、「議事堂」、「合同庁舎」が、実際の位置間隔と同様に展示室床に配置される。来館者はその中を自由に歩き回り、コルビュジエが意図したキャピトル・コンプレックスの密度感や建築物同士の距離感を体感することができる。また、写真家ホンマタカシがインドに足を運び撮影した「チャンディガール」シリーズより、初公開作品を含む写真と映像作品を展示。本作はチャンディガールを通り抜ける風や匂い、空間へ差し込む光を念頭において構成される。チャンディガールという計画都市全体がある意味一つの構造物であり、それぞれの建築が都市に包み込まれているスケール感がさりげなく示され、そこに暮らす人々の生活やそこに流れる時間が切り取られており、チャンディガールが現在も生き続ける都市であることを実感することができる。それはまさしくコルビュジエが注目した、建築とそれを取り囲む気候との関係を写しとろうとするものであり、本作によって、模型だけでは伝えきれないチャンディガールという都市のリアリティを補う。建築模型を広く一般に公開する“ミュージアム”であるだけでなく、模型専門の“保存”機能をもつ、新しいかたちの本ミュージアムならではの7部構成の本展。多種にわたる展示によって、コルビュジエがそこで見聞きし、感じ、考え、そして表現しようとしたものを感じ取ることができると同時に、それらを通して、コルビュジエ作品に宿る、近代思想をも超えようとする精神を垣間見る機会を提供する。【展覧会概要】ル・コルビュジエ / チャンディガール展 –創造とコンテクスト-(Le Corbusier / Chandigarh -Creation and Context-)会期:2018年5月26日(土)〜7月16日(月・祝)会場:建築倉庫ミュージアム住所:東京都品川区東品川2-6-10時間:11:00~19:00(最終入館18時)休館日:月曜日(祝日の場合、翌火曜休館)入場料:一般 3,000円、大学生/専門学校生 2,000円、高校生以下 1,000円
2018年03月08日華やかな一方で多忙なイメージがある建築の世界。その第一線で働くママ・パパたちは、子育てと仕事をどうやって両立しているのか。そのリアルな実態がわかるエッセイ集『子育てしながら建築を仕事にする(学芸出版社)』が刊行されました。そこで、編著者で「キュープラザ二子玉川」の商環境デザインを手がけた3歳児ママ・成瀬友梨さんをはじめ、建築家パパの三井祐介さんと豊田啓介さんも参加したトークイベントに潜入! さらに後日、成瀬さんにインタビューし、両立するための工夫や職場の環境づくり、働くママにとって過ごしやすい家づくりなどのアドバイスをいただきました。 ■「あきらめること」から始まる仕事と育児本でもトークイベントでも、多くのママ・パパが語っているのが「あきらめる」ことの大切さ。建築家は自分ですべての事柄を決定し、ディテールにとことんこだわる仕事ですが、育児が始まるとそうはいきません。「仕事をしていると子どもが気になるし、子どもといると仕事が気になる。葛藤もありますが、最近は鈍感力が身についてきました。例えば、忙しくても早く帰って家族と夕飯を食べたり、ビールを飲んですぐに寝ちゃったり。やってみると、結果はそう変わらなかったりするんですよね。すべてを自分がコントロールすることをあきらめることで、人が育つという面もあります(豊田さん)」。「私は、建築家の仕事と並行して7年間続けてきた大学助教の仕事を、辞める決断をしました。学生に対応する時間が足りなくなり、子どもと過ごす時間もボーッとすることが多く、体力気力の限界になってしまったんです。今やっている仕事も、細かいところには目をつぶってスタッフに任せている部分が多い。歯がゆい気持ちもありますが、今は我慢の時だと思っています(成瀬さん)」。育児も同様で、すべてを夫婦だけでやろうとするのではなく、あきらめが肝心。ベビーシッターや病児保育を利用したり、近所の知り合いやママ友に保育園の送迎を頼んだりと、周囲に頼ることが大切だと話してくれました。■「スケジュール管理」と「得意分野」で分担 本に登場する夫婦は、育児・家事の協力体制が完璧! それぞれの仕事や家族の行事など、あらゆる予定をスケジュール管理アプリで共有し、互いに助け合っています。「妻も仕事がかなり忙しいうえ、高齢の両親のサポートもある。だから、掃除や料理は僕がやることが多いんですが、家事は得意なので全然苦ではありません。妻は、買うと高いからと夜中に教材を自作したり、科学の実験装置を作ったりと、子どもの自発的な学習を促すための時間を惜しまない。お互いが得意なことを、自然と分担している感じです(三井さん)」「私は保育園への送り迎えや食事の用意、夫は掃除・洗濯・ゴミ出しなどを担当しています。私が出張の場合、夫は子どもにごはんを作って食べさせ、寝かしつけまでこなしてくれるので、本当にありがたい。2歳くらいまでまでは熱を出すことも多かったので、区の病児保育にはずいぶんお世話になりました(成瀬さん)」ほかにも、ルンバや食洗機・食材宅配サービスを活用したり、ファミリーサポートやベビーシッターを頼んだりと、両立するための方法は家族によってさまざま。試行錯誤しながら、自分たちに合ったスタイルを模索しているようです。■「クリエイティブな時間=1人時間」を確保する方法子どもが生まれるまでは1日中建築のことを考えていた建築家たちにとって、クリエイティブな時間をどう確保するかも重要な課題。仕事と子育てに追われる日々の中で、それぞれ工夫をしているようです。「子どもを寝かしつけた後で夜中まで本を読んだり考えごとをしたり、もう一度事務所に戻って作業をすることもあります。また、他業種の人に会ったり、面白そうなイベントに参加したりと、自分の世界を広げることも大事。どうしても夜の外出が多くなってしまうんですが、夫は快く送り出してくれます(成瀬さん)」「夕食はできるだけ家族そろって食べたいので、子どもを寝かしつけた後に1人で外出して、時間を確保することが多いですね、近所に3、4軒ある行きつけのバーで、ビールを飲みながら思考をめぐらせたり図面をチェックしたり。深夜1時ごろに帰宅して就寝、翌朝7時に起きるというサイクルです(豊田さん)」何かと忙しい子育て期に「自分だけの時間」を確保するのは難しいもの。お互いの仕事を尊重し合うこと、そして夫婦が同等に子育てスキルを身につけることが大切だと感じました。 ■ママ建築家・成瀬友梨さんにインタビュー! 働くママが子育てしやすい家とは?――まず、この本を出版しようと思ったきっかけを教えてください。成瀬さん:私は東京大学工学部建築学科の助教として学生の指導をしていたんですが、女子学生から「子育てと建築の仕事を両立する将来が想像できない。大変そうで、とても真似できない」と言われることが多かったんです。才能ある若者たちが「仕事か、子育てか、どちらかを選ばないといけない」と考えているとしたら、本当にもったいない。そこで、実際に両立している人々を紹介することで「自分にもできる!」ということを伝え、背中を押したいと考えたのがきっかけです。実際に、本が出来上がってみると、建築家に限らず、これから子どもを持とうとしている方や子育て中の方、会社のマネジメント層にも役立つ本になったと実感しています。――確かに建築家に限らず、子育てしながら働くことは「大変」というイメージが強いですよね。成瀬さん:実際に経験してみると、自分の時間が減ってしまうのは大変なのですが、豊かになったことの方がずっと多いんですよ。以前は、仕事に夢中で休日も常にインプットの時間でしたが、子どもがいると強制的にペースダウンするので、季節による太陽の光や緑の変化に敏感になりました。週末には公園で思いっきり遊んだり、保育園の友達家族と昼間からお酒を飲んだりと、世界が広がっていくのも楽しい。子どもができてからバリアフリーの大切さに気づくことができ、世の中には本当に多様な人がいることも知りました。――この本に出てくる建築家の皆さんは、会社の理解のもとで周囲と協力しながら仕事をしている印象を受けました。働くママが職場で協力を得るためのコツを、ぜひ教えてください。成瀬さん:子育てだけが大変なのではなく、それぞれにさまざまな事情があると認識することが、大前提だと思います。そのうえで、ほかの人が困っていたらいつでも相談にのる、協力する、というスタンスでいることが一番大事なのではないでしょうか。――子どもがいると、家に対する考え方も変わってきます。建築家の目線から見て、子育てしやすい家とはどんな家だと思われますか?成瀬さん:子どもが元気に動き回れるように、広くてのびのびした家がいいでしょうね。実利的には、玄関が広いのが一番。子どもが小さいうちは、ベビーカーや三輪車などいろいろと置くものがありますし、宅配便の荷物をちょっと置いておくのにも便利です。玄関で子どもの支度をすることも多いので、狭いと苦労するかもしれませんね。また、玄関が広いと全体の印象として余裕があるように見える、という効果もあります。――最後に、働くママ・パパへのメッセージをお願いします。成瀬さん:子育てを終えた方からは「子育ては大変だけど、さみしいくらいあっという間に過ぎてしまうもの」とよく言われます。その言葉を信じて、楽しんでいけたら素敵ですよね。私も怪獣のような子どもを抱えていますが、仕事も家庭も欲張りに生きていきたい。完璧じゃなくていいから毎日を大切にしていきたいと思っています。参考図書: 「子育てしながら建築を仕事にする」 (学芸出版社)著・編集 成瀬友梨ゼネコン、アトリエ、組織事務所、ハウスメーカー、個人事務所等、異なる立場で子育て中の現役男女各8名の体験談を集めたエッセイ集。仕事と子育ての両立に奮闘しながら、欲張りに楽しむリアルな姿が見えてくる。成瀬友梨 プロフィール1979年愛知県生まれ。2007年東京大学大学院博士課程単位取得退学。同年に成瀬・猪熊建築設計事務所共同設立。と2010年〜2017年東京大学助教。地域・ライフスタイル・コミュニケーションという観点から建築を考え、シェアをキーワードに設計を行う。主な編著書に『シェアをデザインする』『シェア空間の設計手法』等。
2018年02月27日