こんにちは、心理カウンセラーの佐藤栄子です。これまで、子育てや夫婦関係、ママ友トラブルや自分のココロの在り方についてなど、さまざまなテーマを心理カウンセラーの立場で取り上げてまいりました。そういった記事に寄せられた「もっと深掘りした内容が知りたい」「個々のケースで対応は変わるの?」といった皆様のお悩みにお答えする新連載がスタートいたします。これからどうぞよろしくお願いいたします。第1回となる今回は、 「いつもひとり…うちの子、大丈夫? 心配なひとり遊び、問題ないひとり遊び」 という記事に寄せられたお悩みです。記事では、子ども自身がひとり遊びを楽しんでいる様子なら見守ってあげてという対応をおすすめしました。そこで寄せられたのが「友だちを誘いたいのに誘えない小5の娘」を持つお母様からのお悩みです。■お悩み:断られるのが怖くて友だちを誘えない小学5年になる娘のことでご相談です。放課後、誰とも遊ばず家でひとりで過ごすことが多いです。望んでひとりで過ごしているのならいいのですが、話を聞いてみると、どうやらそうではなさそうです。「本当はお友だちを家に呼んだり、一緒に遊びに出かけたりしたいのだけど、もし誘って断られたらどうしよう…」と。断られて気まずい思いをするのが怖くて、自分から誘えないようです。もう5年生にもなると、女子の間でもある程度のグループができていると思うので、今からでも誘ってくれるような友だちはできるのでしょうか。今後が心配です。■回答:「断られるのが怖い」のも心の成長のひとつ自分の子どもが家でひとり過ごしているのを見て、「遊ぶお友だちがいないのかしら」と心配になるお母様のお気持ち、よくわかります。 「いつもひとり…うちの子、大丈夫? 心配なひとり遊び、問題ないひとり遊び」 でも紹介している通り、ひとりで遊ぶのが好きな子どもなら、自分自身と対話する時間を多く持つことで精神的に成長している過程として見守るのがいいでしょう。しかし、相談内容によると、娘さんはお友だちと遊びたいと思っている様子です。でも、誘って断られて気まずい思いをするのが怖いと感じていて、なかなか自分から声がかけられない状況なのだと思います。娘さんは現在、小学校5年生とのことですが、もっと小さい頃、小学校低学年や未就学児の頃はひとりで遊ぶことが多かったのでしょうか。もしくは、お母さんがお膳立てをして、お友だちと遊ぶ機会を作っていたのでしょうか?もし、上記2つのうちどちらかに当てはまるとしたら、娘さんは自分から友だちを誘うことや、断られることにあまり慣れていないため、それを怖いと感じてしまっているのかもしれません。また、以前は自分からお友だちを誘って遊んでいたけれど、小学校高学年になって誘いづらさを感じるようになったのかもしれません。この場合は、娘さんが精神的に成長して、他人の気持ちをより慮ることができるようになってきたためと思われます。「相手にも気まずい思いをさせてしまう」と遠慮しすぎているところがあるのでしょう。上記どちらの場合であっても、誘って断られたら「自分は嫌われているのかも」「自分は一緒に遊ぶ価値がないダメな存在なのかも」と娘さんは感じてしまい、傷つくのが怖いと感じているような印象を受けます。お母さんも娘さんも優しい方で、他人からの誘いを断ったら「相手の気を悪くさせるのでは」と申し訳なく思う「断り下手」なタイプなのかもしれませんね。では、どうすればいいのでしょうか? ■誘うのも断られるのも「慣れ」質より数が重要お母さんは「今からでも誘ってくれるような友だちはできるのでしょうか」と書かれていますが、確かに新たな環境でお友だちを作ろうと思ったら、ただ誘われるのを待つだけでは難しいかもしれません。お母さんから娘さんに次のような言葉をかけてみてください。「断られることに意味なんてない。たまたまほかの子と遊ぶ約束があったのか、遊ぶ気分じゃなかったくらいのことで、あなたに何か問題があるからとは考えなくていい」「断られることなんて怖くないよ、断られてもいいんだよ」お母さんからそう言われたら、「じゃあ、誘ってみようかな」と娘さんも思うかもしれません。そうやって、どんどん「誘い慣れ」「断られ慣れ」の経験をさせてあげましょう。いきなりクラスのお友だちはハードルが高そうなら、習い事や近所の公園などで会うような「たとえ断られても毎日顔を合わせるわけではないので気まずさを感じにくい」子から誘う練習をしてみてもいいでしょう。たくさん誘っていれば、その中の何人かとは実際に遊べるでしょうし、自分が断るのも断られるのもたいしたことではないと実感していけるようになると思います。■女子の場合「友だち関係も友情もコロコロ変わるもの」今はまだ、新しい学年が始まったばかりです。現在できているグループは、教室で席が近いとか、帰る方向が一緒とか、とりあえず最初に話をするきっかけがあったくらいの理由で固まっていることがほとんどと思います。夏休みをへて2学期になると、お互いのことがだんだんわかってきて、女子のグループ編成も変わっていくでしょう。今、気軽に誘える友だちがいないとしても、あまり心配しなくても大丈夫。習い事を始める、キャンプへ出かける、夏休みの行事に参加するなど、学校だけではなくいろいろな場面・コミュニティで、子ども同士が話をしやすい場を設けてみましょう。お母さんは娘さんを見守ってあげるだけでいいのです。いかがでしたか?今回は、記事に寄せられたお悩みにお答えしましたが「ちょっと話を聞いてほしい」という感じでまったく関係のないお悩みでも結構です。お気軽に、下の読者アンケートにお寄せください。お待ちしております。
2019年06月04日子どもに社会できちんとした振る舞いをしてほしい、正しい対応をしてほしい、と親なら思うもの。それゆえ悪いことをしたら、親としてはきちんと叱らなければならないとも思いますよね。 けれど、それ、本当に叱っていますか? 怒っていませんか? 「怒る」と「叱る」の違いママが言ったとおりに動かない、ママの言うことを聞かない……など、「ママ」が主語になっていたら要注意です。ママの思う通りに子どもが動いてくれないことで感情的になって怒っている可能性があります。一方、冷静に、何が悪くてどうしてそれをやってはいけないのか、きちんと説明できていたら叱っていると思っていいでしょう。 それは本当に「子どものため?」とはいえ、「怒る」と「叱る」の境界線は日々の中ではかなり曖昧です。たとえば、電車の中で騒いでしまったわが子に「静かにしなさい」と言ったとき、人に迷惑をかけるのが悪いこと、と思う前に、ママが車内の人の目が気になって「早くやめさせなければ」という気持ちが先走り、怒り口調で言ってしまうということも多々あるかと思います。 ママが感情をぶつけてしまうと、子どもは反省する前に「怖い」という感情を持ってしまい、結果、なぜ悪いのかの根本を理解できないままになってしまう原因にもなります。 怒りが出てきたときの対処法怒りをコントロールするスキル「アンガーマネージメント」によれば、怒りの感情がピークにあるのは6秒程度と言われています。まず、“子どもが悪いことをしている“と感じたら、1、2、3……とゆっくり6まで数えてみましょう。それから、子どもにどう言えばわかってもらえるか考えて、ことばを発してみましょう。 感情に任せて怒ってしまうと、子どもにとって悪い影響になりかねないだけでなく、ママにとっても気持ちのよいものではありません。怒らなければ、と思ったら、子どもにことばを発する前に、6秒間待ってみてください。 著者:ライター カトウ ヒロコメンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラー。また、フリーのWEBプロデューサー&ライターとして活動中。
2019年06月02日赤ちゃんとの毎日がもっとラクに、もっと楽しくなる。ベビーカレンダーは、そんな毎日を応援するコラムを絶賛連載中! 今回は、メンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラーのカトウ ヒロコさんからメッセージです。 4月から登園が始まり、そろそろ、お子さんも保育園に慣れてきたころではないでしょうか。 お子さんが慣れてきた一方で、ママと保育園の先生とのコミュニケーションがうまくいかず、先生への不満がちらほら出てくるころでもあるかもしれません。 保育園の先生もママたちとのコミュニケーションに悩んでいる!実は、保育園の先生たちもママとのコミュニケーションで悩んでいる人がたくさんいます。大切なお子さんをお預かりしている中で、伝え方をちょっとでも間違えてしまうと、ママたちが先生へ不信感を抱くきっかけとなってしまったり、不安を感じさせる一因となってしまう可能性があるからです。 また、子どもの話をしたいのにママ自身の話をされてしまい、どうしていいかわからなくなってしまう先生も多いようです。 前のめりなコミュニケーションになっていないか注意!大切なわが子を預けているという理由で、ついつい前のめりなコミュニケーションになってしまっていませんか。たとえば、自分が気になることを一方的に話していたり、子どもではなくママ自身の話をしてしまったり。 「うちの子に対してちゃんとやってくれていますよね?」という威圧的な態度を知らずのうちにしてしまっているかもしれません。これだと、保育園の先生も伝えたいことを言えなくなってしまいます。 保育園の先生の話を受け止める保育園の先生とのコミュニケーションがうまくいっていないないと感じたら、まずは、自分の言いたいことはおいておいて、先生の話しを聞いてみてください。その際、プラスのストロークと言われる対応をするのが大切です。 プラスのストロークとは、・うなずく・ほほえむ・はげます・ほめるなどです。 逆に、マイナスのストロークとは・見下す・にらむ・軽蔑する・悪口をいう・けなすというようなことがそれにあたります。 コミュニケーションはお互いに取りやすい状況を作ってこそ、豊かなコミュニケーションが成り立ちます。 子どもを侮辱するような発言をしたり、自分の非を認めないような先生は論外ではありますが、保育園の先生に不満をもったら、不満を増長させる前に、プラスのストロークをしてみてください。 著者:ライター カトウ ヒロコメンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラー。また、フリーのWEBプロデューサー&ライターとして活動中。
2019年05月28日赤ちゃんとの毎日がもっとラクに、もっと楽しくなる。ベビーカレンダーは、そんな毎日を応援するコラムを絶賛連載中! 今回は、メンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラーのカトウ ヒロコさんからメッセージです。 ママ友と話しているときに、意見が合わない、どうも責められている感じがしてしまう、何気なく言われた言葉に嫌な気持ちになってしまう、結果、その場の雰囲気が悪くなってしまい、ますますママ友に会うのが憂鬱になってしまう……。 そんなときは、もしかしたら、コミュニケーションの過程で「会話のクロス」が起こってしまっているのかもしれません。 「会話のクロス」とは精神科医エリック・バーンは、「他者と関わるときの人の中の傾向」=「自我状態」には、大きく分けて、3つのパターンがあると提唱しました。 ルールなどを重視する親のような視点を持つP、冷静に現在の状態を把握する成人のA、今までの経験などから特に意識せずに反応してしまう子どものような自我状態のCの3つです。円滑なコミュニケーションには、会話のベクトルを並行にすることが必要であるといわれています。 例えば、友人Aに「久しぶりに子どもを置いて飲みに行かない?」と言われて、「そんな小さな子を置いていけるわけないわ」と思うのがP、「夫に預けられるといいのだけれど」と返すのがA、「いいわね! 行きたいわね」と返すのがCです。 この場合、友人Aが、Cの自我状態での返答を希望しているのに、PまたはAで返してしまうと、会話のベクトルが並行にならずクロスが起こってしまいます。 うまくいっていないときの自分の傾向を知ろう人は、相手によって異なる反応をしますが、Pの反応が多い人、またはAやCの反応が多い人と人によってそもそもの傾向があります。コミュニケーションがうまくいっていないと感じるとき、自分は、どの態度で相手に接することが多いかを考えてみましょう。そして、実際、どのように返せば会話がクロスしなかったのかを検討してみましょう。 基本は「あなたもOK、私もOK」会話のクロスを発生させないためには、会話のベクトルを並行にすることが必要になるわけですが、これは、相手の意見に同意する、相手の顔色を伺うということではありません。 重要なのは、「あなたもOK、私もOK」ということ。 あなたの考えは素晴らしい、そして私の考えも合っている、という考えのもと、相手を受け入れ、共感することが大切なのです。 前の例でいえば、飲みにいくか行かないかはまた別の問題。相手の意見を肯定することから入ることで、だいぶコミュニケーションがラクになるはずです。 会話をクロスさせないように、ということばかりに気をとられて無理に続けると、さらに憂鬱な気分や不安を増長させてしまうこともあります。うまくいかない場合は無理に続けるのはやめて、専門家に相談するなどしてくださいね。 著者:ライター カトウ ヒロコメンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラー。また、フリーのWEBプロデューサー&ライターとして活動中。
2019年05月17日赤ちゃんとの毎日がもっとラクに、もっと楽しくなる。ベビーカレンダーは、そんな毎日を応援するコラムを絶賛連載中! 今回は、メンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラーのカトウ ヒロコさんからメッセージです。 新年度が始まり、仕事復帰したママも多いことと思います。仕事が始まる前は「やるしかない!」と意欲満々だったママでも、近頃、働いていると子どもがかわいそう……と思い始めていませんか? ・朝も夜も時間に追われ、子どもにイライラと当たってしまって自己嫌悪の日々……・平日は仕事と育児で忙しく、土日もたまった家事に忙殺され、気分転換どころか、誰かに相談する時間もない。こんな余裕のないママをもって子どもがかわいう……と鬱々としてしまう そんなときは、ちょっとだけ行動を変えてみるといいかもしれません。 「認知」と「行動」は選択できる人は毎時間、毎分、「認知」と「行動」を繰り返して生活しています。そして、この「認知」と「行動」は自分自身で選択できるものです。たとえば、「土日にたまった家事をする」という行動は自身で選択したものです。しない、という選択もできます。 一方、土日にたまった家事をしたことで、「子どもの相手をできなかった。かわいそうなわたしの子ども」という認知をすることもできれば、「ママは土日もがんばった! こんなスーパーママをもったあなたは幸せね!」という認知もできます。 自分の行動を書き出してみる毎日、時間に追われているママは、行動も認知も意思をもって自ら選択できずにいる状態です。そしてそれゆえ、自然に出てきてしまうネガティブな感情や気分に支配されていることが多いのです。 そこで、ちょっとだけ時間をとって、自分の毎日の活動を書き出してみてください。そこから、ちょっと手を抜いてよい時間やネガティブな感情に支配されている時間などを見つけてみてください。 パターンをちょっとだけ変えてみる手を抜いてよい時間は思い切り手を抜いてみる、ネガティブな感情に支配されている時間は、自分の好きなことに没頭してみるなど、いつもの生活パターンをちょっとだけ変えてみてください。すぐにいろいろ変える必要はありません。1日だけ、数時間だけ試してみることからはじめてみましょう。 いつもの「認知」と「行動」の選択パターンをちょっと変えることで、現在の悪循環から解放される糸口が見つかることは多いものです。ネガティブな感情や気分から解放される自分なりのパターンを見つけてみてくださいね。 著者:ライター カトウ ヒロコメンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラー。また、フリーのWEBプロデューサー&ライターとして活動中。
2019年05月15日赤ちゃんとの毎日がもっとラクに、もっと楽しくなる。ベビーカレンダーは、そんな毎日を応援するコラムを絶賛連載中! 今回は、メンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラーのカトウ ヒロコさんからメッセージです。 イクメンが話題の昨今。 わが家の夫もありがたいことに、家事分担の話し合いに応じてくれているし、しかも実行もしてくれる! が……、やってくれるのはいいけれど、どうもやり方に納得がいかない。 洗い物をしてくれるけれど洗い残しがある、洗濯してくれるといっていたのに洗濯機のボタンを押しただけ、洗濯物のたたみ方が荒い、赤ちゃんの面倒は気の向いたときだけなど、イライラを抱えるママは多いのではないでしょうか。 そこで、パパの家事や育児のやり方にイライラしない方法をお伝えします。 「人は変えられない」が前提心理学では、「自分で変わろう!」とその人自身が思わないかぎり、他人がどんなにがんばってその人を変えようとしても、人は変えられないということを前提にします。つまり心理学的には、ママがどんなにパパに変わってほしくても、パパ自身が変わろうと思わないかぎり、パパが変わることはないのです。 そもそも、パパにとっては「家事分担をする」という約束ははたしているわけですから、文句を言われる筋合いはない、というのが考え方の基本でしょう。 では、どうしたらスムーズに、ママが思うような家事や育児をやってくれるようになるのでしょうか。 感謝の気持ちを忘れずにちゃんとやっていると自分では思っているのに、イライラされたり、文句を言われたりしたら、やる気がなくなるのはママでも同じですよね。まずは、やってくれること、やってくれたことに感謝しましょう。「なんで分担なのに、わたしが感謝しなきゃいけないの!」とは思わず、ここは大きな心をもって「ありがとう」の一言を伝えてみましょう。 直してほしいことや、やり方を変えてほしいことがある場合は、「こうしてくれたらもっとうれしい」というように伝えましょう。 焦らず、徐々に! が大切当然のことながら、パパはママではありません。ママと全く同じには、そもそもできないのです。その上で、ママとは違うやり方をやっていたとしても、それでよしと思うようにしましょう。 視点を変えてみたら、パパのやり方のほうが実は効率がよかった、なんてこともあるかもしれません。すぐにパパがママの思うようにしてくれなくても、イライラせず、気長にやってくれるように待つことも大切です。 自分でやったほうが早くかつ思い通りにできるため、自分でやってしまい、結局ママの分担のほうが多いというのはありがちなこと。ママの思い通りの状態の完成度で、分担を均等にするためには、それなりの時間が必要です。 著者:ライター カトウ ヒロコメンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラー。また、フリーのWEBプロデューサー&ライターとして活動中。
2019年05月08日赤ちゃんとの毎日がもっとラクに、もっと楽しくなる。ベビーカレンダーは、そんな毎日を応援するコラムを絶賛連載中! 今回は、メンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラーのカトウ ヒロコさんからメッセージです。 おむつも替えた、授乳もしておなかもいっぱいなはずなのに寝てくれない……。まとまって睡眠をとれずに毎日を過ごしていれば、イライラしてしまうのも仕方のないことです。とはいえ、できるだけイライラしないで過ごしたいですよね。そんなときに少しラクになれる思考法をお伝えします。 イライラしている原因を突き止めるイライラの原因も人それぞれです。ただひたすら寝たいのに寝られないことにイライラしてしまう人もいれば、赤ちゃんに当たってしまっている自分が嫌でイライラしてしまう人もいます。 まずは、イライラしてしまっているとき、自分が何にイライラしているのかを考えてみてください。 認知と行動は選択できる心理学の考え方のひとつに、「自然に発生する感情や身体反応をコントロールするのは難しいが、認知と行動については選択できる」というものがあります。つまり、イライラしてしまうのをコントロールすることは難しいのですが、その後の認知と行動は自分自身で選ぶことができるというものです。 例えば、イライラしてしまったあと、イライラした感情をそのままに赤ちゃんのお世話や家事をすることもできますが、なぜ今イライラしたのかを思い返して、「最近の寝不足が原因かな?」「大好きなスイーツを今日は食べてないからかも!」など、異なる考えを見つけることもできます。 行動もまた、そのままイライラして物にあたることもできれば、物にあたるのをストップするということもできるわけです。 気持ちを少しラクにするために緊張をやわらげるために呼吸法はおすすめです。イライラしてしまったら、以前お伝えした記事【イライラしてしまったときに!心を落ち着かせる「呼吸法」】を参考に、まず呼吸法を試してみてください。自身で考える余裕があれば、対処できる方法を考えてみましょう。 例えば、じっくり1日寝たいのであれば、産後ケアセンターや一時保育の利用、ご両親に赤ちゃんのお世話を頼むことができないかなど、現在まだおこなっていないことを検討してみましょう。赤ちゃんにあたってしまい自己嫌悪に陥っているのであれば、自分がイライラしてしまう過程を書き出し、今の状態を総合的に理解してみるのもおすすめです。 具体的には、・イライラしたときの状況(赤ちゃんが泣いたなど)・自分の認知(どうしてうまくいかないんだろうと思うなど)・そこから起こる自分の気分(イライラしてしまうなど)・身体反応(胃のあたりがどんと重くなる)・そこから自分がおこなっている行動(抱っこして泣き止むのを待つ)を書き出します。 ここで、自分の認知は変えられないのか、行動を変えられないかについて客観的に考えてみます。「今」の問題に焦点を当てて、自分の認知と行動を変えることができないかを検討してみるのです。認知と行動が変われば、自ずと状況も変わるはずです。大事になのは、焦らず「今」の問題に焦点を当てて、今の状況を好転させること。一気に状況を変えようとすると無理を生じさせる場合があります。少しずつ状況を改善し、イライラを少なくしていきましょう。 心理学全般に言えることですが、対処法には向き、不向きがあります。試してみたものの、しっくりこない、さらにイライラが募ってしまう、ということがあれば、即ストップしてください。著者:ライター カトウ ヒロコメンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラー。また、フリーのWEBプロデューサー&ライターとして活動中。
2019年04月17日赤ちゃんとの毎日がもっとラクに、もっと楽しくなる。ベビーカレンダーは、そんな毎日を応援するコラムを絶賛連載中! 今回は、メンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラーのカトウ ヒロコさんからメッセージです。 ママ友と一緒にいるとなんだか、とてもイヤな気持ちになる……。そんなときは、もしかしたら、コミュニケーションの過程で「マイナスのストローク」が起こってしまっているのかもしれません。 心理学におけるストロークとは……心理学でいうストロークとは、身体表現、言語表現、非言語表現を使って「相手の存在を認める行為」のことです。ストロークには、プラスのストロークとマイナスのストロークがあります。 [プラスのストローク]身体表現:手をつなぐ、なでる、抱きしめるなど言語表現:励ます、褒める、慰める非言語表現:うなずく、微笑むなど [マイナスのストローク]身体表現:殴る、蹴る、ぶつかるなど言語表現:悪口を言う、けなす、罵倒するなど非言語表現:見下す、睨む、軽蔑するなど人間は、できる限りマイナスのストロークはいらず、プラスのストロークを欲しいと感じます。 スムーズなコミュニケーションを育むには前提として、「あなたもOK、わたしもOK」という考え方をベースにします。相手のことはもちろん、自分のことも肯定します。その上で、プラスのストロークをおこないましょう。 相手のことも自分のことも肯定できない状況でおこなうと、信頼の気持ちからストロークが発せられず、結果的にマイナスのストロークを相手に与えかねませんので心の底から肯定することが重要です。 例えば、苦手だなと思っているママ友がいたとします。彼女の発言内容問わず、「どうしてああいう言い方しかできないのかしら」などと思っていると、非言語表現でマイナスのストロークを相手に投げかけてしまいかねません。 人は、プラスのストロークを受け取るとプラスのストロークを返そうとするといわれています。逆にマイナスのストロークを受け取ると、マイナスのストロークを返してしまいがちなのです。 プラスのストロークを返すよう心がけましょうもし、ママ友からマイナスのストロークを受けたと感じてもプラスのストロークで返しましょう。そうすることで、プラスのストロークが始まる可能性が高くなります。一方で、どんなにプラスのストロークを返しても、マイナスのストロークで返してくる人もいるでしょう。 そんなときは、できるだけその人と一緒に過ごす時間を減らしていくことをおすすめします。 プラスのストロークの投げかけは、普段から意識しておこないたいものです。お子さんやパパにもプラスのストロークで接すると、家庭のコミュニケーションが円滑に進む可能性が高まりますよ! まずは、自分がマイナスのストロークを投げ続けていないかチェックしてみてください。 著者:ライター カトウ ヒロコメンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラー。また、フリーのWEBプロデューサー&ライターとして活動中。
2019年04月13日モテる女子とモテない女子って、いったい何が違うのでしょう?あなたは“モテない女子”になっていませんか?占い師であり心理カウンセラーでもある脇田尚揮さんが「モテない女Yes・Noクイズ」で、あなたのモテ度をチェックします!次の質問であなたがコレ!と思うものをどちらかを選んでみて下さい。文・脇田尚揮【質問】今日はあなたの家に彼氏が遊びに来ています。そろそろ夕食の時間、あなたは彼に次のうちどの料理を振舞ってあげますか?A:肉じゃがB:卵焼きあなたはどちらを選びましたか? それでは、さっそく結果を見てみましょう。【解説】深層心理において、“料理”は恋愛において恋人との良好な関係を意味するもの。そのため、彼氏にどんな料理を振舞うかは、あなた自身の恋愛観を意味しているのです。肉じゃがといった“イモ料理”を選んだあなたは、恋愛に対してやや保守的で慎重な傾向が。あまり相手に対して積極的にアタックせず、受身の恋を好むところがあるのでは?それに対して、卵焼きといった“卵料理”を選んだあなたは、恋に対して積極的。ちょっとしたチャンスでもモノにできる、エネルギッシュさを持っていると言えます。■A:肉じゃがを選んだあなた…非モテ女子あなたはとても女性らしく、慎重な性格と言えます。そのため、SNSなどで事前に情報収集をしてから、気になる彼との会話に臨むタイプでしょう。しかし、よく考えてみて下さい。自分の知らないところで自分の情報を収集しているというのは、かなり気持ちが悪いもの。「話してもいないのに、なんで知っているの?」と突っ込まれる可能性もあります。もしも、SNSの情報を活かそうとするなら“偶然”をうまく装いましょう。そうすれば、“気が合う子”というアドバンテージを得ることができるはず。■B:卵焼きを選んだあなた…モテ女子あなたは好奇心とスピーディさを大切にする性格と言えます。そのため、気になる彼がいれば物怖じせず気さくに話しかけることができるでしょう。彼のことを何も知らないのに会話に臨むのは、ミスコミュニケーションの危険もあるかもしれません。しかし、事前に何も知らないことでしか生まれない“独特の間”や“ハプニング”こそが、男女の仲を深めるキッカケになるものです。男子は、女子に完璧さを求めているわけではありません。ちょっとおっちょこちょいだったり、天然ボケだったりと、自分が「何とかしてあげたい」という気持ちになれる相手に、好意を持つことが多いと言われています。だから、自然体でぶつかっていく方が、案外モテるものなのです。さて、あなたはモテ女子でしたか? それとも非モテ女子でしたでしょうか?恋において大切なのは、“勇気を出す”こと。事前の準備も大切ですが、思い切って体当たりしたほうが男心をくすぐるのです。“恋は誤解から生まれる”という言葉もあるくらいですからね。©wavebreakmedia / Shutterstock©Lucky Business / Shutterstock©shake / PIXTA(ピクスタ)©ささざわ / PIXTA(ピクスタ)※2017年9月2日作成
2018年12月13日子育ては思うようにいかないことが多いものですよね。日々のなかで解消されない行き場のない感情は、時として爆発してしまうこともあるかもしれません。子どもを持つお母さんたちのなかには「わが子をたたいてしまいそうになる」あるいは「たたいてしまったことがある」という人もいるようです。今回は、子どもに手をあげてしまう心理状態と、気持ちの整理の仕方について考えていきましょう。■子どもをたたいてしまう親「どんな時、どんな気持ち?」子どもをたたいてしまいそうになる、あるいは、たたいてしまうのはどのような時なのでしょうか? それは、子どもを手っ取り早く自分の言う通りにさせたい時や、思い通りに動かしたいのに、そうならない時ではないでしょうか。例えば、出かける予定があるから、早く食事を食べて着替えをしてほしい。終わらせなければならない家事があるのに「ねえねえ」とまとわりついて、静かにしていてほしい…などなど。「たたく」という行為は話したり諭したりすることより、はるかに簡単に子どもを操作することができますよね。けれど、それがしつけといった意味合いを含んだとしても、たたくことは暴力です。そして暴力を使うということは、恐怖や苦痛で子どもを支配していることになります。■子どもをたたいてしまう親「手が出てしまうのはどうして?」子どもを傷つけたいと願う親はいないはずです。では、どうしてわが子をたたいてしまう親がいるのでしょうか?ここからは、親の視点から考えてみましょう。たたいてしまう親には大きく分けて、下記の2つのタイプがあるように思います。【たたくことでストレス解消をしているタイプ】子育ては本当に疲れます。子どものペースに合わせていると時間に余裕がなくなり、イライラしてしまうことも多くあるでしょう。子どもをたたくことによって、そうしたイライラを解消していませんか?人によっては育児以外のこと、例えば、仕事や人間関係で生じたストレスまで子どもにぶつけてしまうこともあるようです。たたくことで自分自身のストレスを解消しています。【親にたたかれて育ってきたタイプ】子どもを持つ親のなかには「自分もたたかれて育ってきた」という人がいます。このタイプの人はたたく=しつけととらえているので、悪いことをすればたたかれても仕方がないという認識を持っています。しつけという大義名分で、自分自身もたたかれて育ってきたため、子どもをたたいて育てることに抵抗感を感じないのでしょう。たたくことを「しつけ」と正当化している人は「自分が親からされてきたことはきっと正しいはずだ」と信じているのかもしれません。そのため「たたくことを否定することは、自分の親まで否定することになる」と心のどこかで感じているのではないでしょうか。しかし、たたくことは何度も言うように暴力です。親から暴力をふるわれる小さな子どもは「イヤだ」「やめてほしい」と抵抗することができるでしょうか。親からたたかれた子は、たたかれることを受け入れるしかできません。■子どもをたたいてしまう前に「親自身でできること」では、子どもをたたいてしまいそうになった時、どうやったらそれを止めることができるのでしょうか?ここからは、対処法を子どもの年齢別に考えていきましょう。まずは、生まれたばかりの新生児から1歳くらいまでの子どもに対する対処についてご紹介します。 【新生児〜1歳くらいの親の場合】産後は赤ちゃんのいる生活に慣れず、精神的に余裕がない状態です。子どものぐずりに時間がかかり、精神的にいっぱいいっぱいとなることもあるでしょう。1歳くらいまでは、親の言葉も理解できないので、言い聞かせることもできません。そんな時は、すべてにうまく対応しようと思わなくて大丈夫です。もしも「いまイライラしている。子どもをたたいてしまうかもしれない」と感じた時は、例えばクッションなどを活用しましょう。子どもと少し離れた場所でクッションを投げたり、ボスボスとたたいてストレスを思う存分解消します。【1歳~幼児期の親の場合】言葉がある程度分かる年齢になってきたら、子どもには言い聞かせるという手段ができる一方、そのやりとりによって余計にイラついたり、カッとくることが増えてきます。言葉ではあなたの思いが子どもに伝わらず、たたきそうになった、もしくはたたいてしまった後に罪悪感を感じ、自分を責めてしまうことがあったら、(子どもにすぐ「たたいたことはごめんね」と謝ったうえで)「ママは今、たたきたくなるくらい怒っているの」と口に出してしまいましょう。そして「ちょっとママ考えてくる」などと言って一旦、子どもと離れてみてください。親自身は「子どもをたたいてしまう自分、たたきそうになる自分」を見つめなおすチャンスです。例えば、子どもをたたくのは自分の憂さをはらすためではないか、自分自身に問いかけてみてください。たたく行為に少しでも違和感を感じているなら、「なぜ自分はたたこうと思ったのか」を考えてみましょう。また「自分もたたかれて育ったから、しつけのうえでたたくのは当たり前」と思っているなら、同じことをする前に、自分自身がたたかれていた時にどう感じていたかを思い出してみてください。たたかれて痛くなかったか、怖くなかったか…。そのうえで、わが子はたたかれたらどう感じるだろうかと、想像してみてほしいのです。それでも、もし感情的になって手を上げそうになった時は、子どもとは別の部屋に移動して気持ちを落ち着かせる方法もあります。子どもが、つきっきりで見守らなくても大丈夫な年齢なら、少しの間だけ隣室で1人になるなど冷静になる時間を設けることで、イライラをやわらげることができるかもしれません。また、子どもが1歳くらいまでの対処法と同じく、クッションをボスボスするのもいいでしょう。子どもをたたいてしまいそうになる時、たたいてしまった時。まずは自分が「子どもをたたきたくなる心理状態」にあることを受け入れてあげましょう。それから、どうやったらそこから抜け出せるかを考えていきましょう。
2018年10月28日夫から言われた言葉に「カチン」ときたことはありませんか? 逆に、自分が発したなにげない一言に夫がイライラ。そんな最悪な状況、子育て中のママなら一度は経験したことがあるのではないでしょうか。新婚当初はラブラブで、夫とはなにを話しても楽しかったのに、出産を機に、話題は子どもの話が中心に。仕事や育児に追われていると、気づけば夫との会話は乏しくなり、夫婦仲も冷めてしまい…と、負のループにおちいってしまうことはよくあります。一番近い存在だからこそ、本当はケンカなんてしたくないのに…。夫との良好な関係を保つための“ヒント”を、 『話し方で損する人 得する人』 (ディスカヴァー・トゥエンティワン)を出したばかりの作家で心理カウンセラーの五百田達成さんに教えてもらいました。「夫のことは愛しているけれど、今さら口に出して自分の気持ちを伝えるなんて気恥ずかしい。でもやっぱり、ずっと仲良くしていたい」。そんな夫婦間のジレンマを解消するには、「日常の会話を意識することが大切」だと五百田さんはおっしゃいます。一体、どんな会話が効果的なのでしょう?五百田達成さん プロフィール作家・カウンセラー。東京大学教養学部卒業後、角川書店、博報堂を経て独立。鋭い視点から「コミュニケーション」「人間関係」を分析し、そこから導き出す実践的なアドバイスは高い評価を受けている。「コミュニケーションのプロ」としてメディア出演多数。著書にベストセラーとなった『察しない男 説明しない女』『不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)、『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』(新潮文庫)など。米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー。HP: 五百田達成オフィシャルサイト ■コミュニケーション障害?「敵をつくらない」回りくどい言い方――日常生活を送るうえで欠かせない「会話」。あまりにも当たり前すぎて見逃しがちですが、そもそもなぜ会話に着目したのですか?五百田達成さん(以下、五百田さん):私は普段から言葉の本来の意味や正しい使われ方を気にしていて、例えば、レストランでの注文時に「◯◯でよろしかったですか?」と店員さんに聞かれると、すごく不自然に感じてしまうんです。ほかにも、「五百田さんのためを思って言うけど」と相手から言われても、内心「本当に私のことを思って言っているの?」と疑問に思ってしまったり。じゃあ、どうしたら心がザワつかない言い方になるのか? 自分なりにずっと考えていたのですが、どうやら、ストレートに言った方が相手は不快にならず、かつ明確に伝えられることが経験上分かりました。例えば、コーヒーが飲みたい時。カフェの店員さんに「おい、コーヒー」ではあまりにも無礼ですが、かといって「なんだか、のどが渇きました」では、回りくどくて相手にはまったく伝わりません。ここは「コーヒーを一つお願いします」と注文すればいいわけです。特に、大人の女性はとても気をつかうので、なるべく角の立たない会話をしがちですが、もっと主観的に気持ちを伝えてもいいのではと、よく感じるんですよ。――確かに最近、回りくどい言い方をよく耳にする気がします。現代の社会背景が関係しているのでしょうか? それとも、もともとの国民性なのでしょうか?五百田さん:おそらくSNSの定着が理由のひとつでしょうね。失礼なこと、変なことを言うとすぐ炎上してしまう昨今、穏便で無難なゆるい人間関係が好まれるようになりました。つまり、面と向かってストレートに話すこと、生のコミュニケーションに多くの人が逃げ腰になっているので、会話も遠回しな言い方になってしまう。「◯◯してもらうことって可能ですか?」なんて言わずに、ストレートに「◯◯してください」と言えばいいのに。日本人の和を重んじる国民性も関係していると思います。確かに、日本人特有の角の立たない会話もいいですが、もう少しストレートに言っても問題ないと思いますよ。要は伝わり方がすべてですからね。回りくどく言って相手に理解してもらえないのでは、コミュニケーションとしては失敗です。それよりも、ストレートに、フラットに伝えて相手に思い通りに動いてもらう。これこそが本来のコミュニケーションであって、得する話し方なのですから。それと、会話するうえで意識したいのが、明るくポジティブであること。毒舌を売りにしている芸能人やコメンテーターがもてはやされていますが、彼らはプロ中のプロ。素人の私たちが皮肉や悪口ばかりを言っていたら、相手はうんざりしてしまいます。それよりも、いつも前向きな会話をしているほうが、結局はみんなに好かれます。■察しない夫「わかっているはず」は禁物!――ストレートでフラット、そして明るくポジティブな会話が、円滑なコミュニケーションには大切なのですね。でも、肝心の夫に、今さらそんな話し方ができるかどうか心配です…。五百田さん:大丈夫です。どのご家庭も、同じような悩みを抱えていらっしゃいますから! まず言えるのが、世の夫は奥さんの心情を察しない、ということです。残酷な言い方ですが、これが事実です。夫婦はもっとも近い関係なので、つい阿吽(あうん)の呼吸で会話をしがちですが、相手には通じていないことが多いのですね。例えば、「今日よろしくね」と奥さんがお願いしたとしても、夫にはほとんど意味が通じていません。ここはもっと具体性を持たせて、かつストレートに「今日、◯◯時に子どものお迎えよろしくね」と言うのが正解です。大事な相手だからこそ、コミュニケーションをサボってはいけないのです。初めての仕事の取引先と同じように、状況や要望をきちんと説明する。しかも毎回。それが大事です。■妻が社長、夫はアルバイト!?「言いすぎず、やり過ぎず」――相手はわかってくれているだろうと、つい会話に手を抜いてしまいますが、家族だからこそ真剣に話す必要があるのですね。五百田さん:その通り。特に夫には120%の気持ちで話すようにしましょう。長年一緒にいると会話が乏しくなる夫婦もいますが、ここも120%の会話を意識すればいいのです。「今日は何時に帰宅?」「雨が上がったね」、どんな些細(ささい)な内容でもいいんです。とにかく声をかけ合ううちに、新婚当初のような会話のたえない夫婦に戻れるはずですよ。また、子育て中のママから、「夫が家事や育児に消極的」なんて嘆きの声を聞きますが、これも当然のこと。なぜならやりたくないから(笑)。なかには家事も育児も進んでこなすイクメンの方々もいらっしゃいますが、基本、夫というものは家では働きたくない生き物です。だから、夫が家でゴロゴロしていたとしても、いちいちイラっとしないように。ここは冷静に、「◯◯やってくれる?」とストレートに、笑顔でお願いするのが賢い会話の仕方です。家の中では、妻が社長、夫はアルバイトぐらいの気持ちでいれば、相手に高いパフォーマンスを求めることもなくなりますよ。――仕事の取引先のようにフラットに付き合う。そうすれば余計な感情も生まれず、結果として夫と衝突することもなくなり、夫婦仲も良好な関係が保てそうですね!五百田:特に女性は感情的になりがちですが、常に冷静さをキープして。たとえ夫が仕事で疲れて帰ってきても、過度なやさしさは必要ないと思います。おだてたり、持ち上げたりすると夫は家庭で手を抜くようになるので、結果として奥さんにタスクが増えて疲れるだけ。仕事も育児もしているのに、これ以上負担をかかえないためにも、夫にはフラットな対応がベストではないでしょうか。「◯◯までに◯◯してほしい」などとストレートに伝えれば、夫もひとりの大人として、甘えることなく奥さんの要望に応えてくれるはずです。夫は唯一無二の存在だからこそ、真剣に、丁寧に対応することが大切だと思います。仕事や育児で日々追われていると、夫との会話をおろそかにしがちですが、そんな時は深呼吸。いったん冷静になって伝えたいことをストレートに言えば、相手も不快に思うことなくすんなり受け止めてくれることでしょう。一番近い存在だからこそ、全身全霊で会話につとめる。ぜひ今晩、ご主人と今日あったできごとで盛り上がってみませんか?参考図書: 『話し方で損する人 得する人』 (ディスカヴァー・トゥエンティワン)ベストセラー著者であり、話し方のプロフェッショナルである五百田氏渾身の話し方の決定版。話し方のちょっとした違いで、「損する人」にも「得する人」にもなる。よかれと思ってやっていたこと、ダメだなと思いつつ言ってしまっていること、その「損する話し方」を「得する話し方に」変えるだけで、こじれていた人間関係が改善したり、あたらしい出会いが広がる!? 本書では、各項目で「損」「得」2つの話し方を紹介。取材・文/長谷部美佐
2018年10月20日子どもを介してつながった同性を「ママ友」と呼ぶことがありますね。子どもを持つもの同士、子育ての悩みを共有したり、お互いの苦労をねぎらいあったり。子育ての大変さをわかちあえる存在と考えている人もいることでしょう。ママ友になるきっかけは、子どもの送り迎えや園での集まりなどでしょう。自然と付き合いが発生し、いつの間にかママ友になっている…というパターンが多いかもしれませんね。ただ、なかなかママ友ができない、ママ友といえる人がひとりもいない…という人もいるでしょう。幼稚園や保育園の集まりに行くと、すでにグループができていて、おしゃべりしているなかにひとりだけポツンと席に座っている自分。疎外感にいたたまれなくなり、そんな自分にもやもやしたものを感じとってしまうかもしれません。でも、だからといって無理にその輪に入る必要はあるのでしょうか?今回は、ママ友の輪にうまく入れない疎外感との向き合い方、そもそもママ友は必要かどうかについて考えていきましょう。 ■子育て中の疎外感…どうして感じるの?子育て中の疎外感は、どんなときに感じるものなのでしょう? よく聞かれるのは、園の保護者会やイベント、係の集まり、園の送迎バスの待ち時間に感じるといった声です。仲間外れにされているわけでもないのに、自分の周りには人がおらず、ひとりぼっち。その状態になってしまうと、感じなくてもいい疎外感で、つらい気持ちになってしまうこともあるでしょう。そもそも疎外感はどうして感じてしまうのでしょう? それは、ひとりぼっちは孤独でかわいそうというイメージがあったり、自分にママ友がいないと子どもの交友関係に悪影響を及ぼしてしまうのでは? といった不安があったりするのかもしれません。あるいは、自分自身に人としての魅力がないからも…という自信のなさや、引っ越してきたばかりで早くその場所になじみたいのにどうしたらいいか分からない、うまくいかないというようなあせりを感じてしまっているケースも考えられるでしょう。 ■トラブルや誤解はあって当然「人との距離のとり方」子育てを始めると、これまで関わることのなかった新しい世界に飛び込まざるをえなくなります。例えば、近所の方、同年代の子どもがいるママ、園や学校など、自然といろいろなシチュエーションでさまざまな人と付き合う機会も増えていくでしょう。そんなバラエティに富んだ人間関係に面くらい「どう接したらいいか分からない」「どう対応するのが正解なの?」と人一倍悩んでしまうのは当たり前です。とりわけ、ママ友という新たな関係の出現に、どの程度の距離感をとれば良いかわからなくなってしまうかもしれせん。ママ友との付き合いはそう深くとらえなくてもいい、と私は思っています。というのも、育児は自分の育った環境や価値観が透けて見えてくるもので、その人自身の生き方が影響するものだからです。そのため、「うまくやらなければ」「合わせていかなければ」と思っても、そのグループやママ友本人と自分が100%合致することは、ほとんどの場合ありえないでしょう。例えば、あなたのお子さんが、優秀だったり、容姿端麗だったとしましょう。すると、あなたが悪意なく発した言葉でも、「自慢だ!」ととらえる人もいるかもしれませんし、闘争心に火がついてしまうママもいるでしょう。そうしたやりとりは親自身、さらには子どもへの期待も絡んで、思ってもみなかった騒動に発展し、巻き込まれてイヤな思いをすることも少なくありません。けれど、それはある意味、当たり前のことなのです。もともと100%合う人はいないのだから、トラブルや失敗が起きるのは自然なことで、当然あっていいんです。だから、無理に自分をほかの人に合わせていく必要はありません。トラブルや勘違いは当然のようにあることなので、相手との距離感を無理やりはかろうとしたり、誰もに愛想よくいい顔をしておかなければならないこともないのです。人によって見方が違う、価値観が違うということを頭におき、問題が起きた時点で訂正したいと思えば訂正し、これ以上関わりたくないと思ったら放っておこう、離れていこうくらいのおおらかな気持ちでいられるといいかもしれませんね。■「ママ友からの情報はあてにならない」理由「とは言っても、やっぱり誰かママ友がいたほうが、園や学校の情報もわかるし子どものためになるはず…」と思う人もいるかもしれません。確かに、ほかのママからの情報が役立つこともあるでしょう。でも、その情報はそのママの“フィルター”を通して得たものなので、なかには真実ではないことも含まれるかもしれませんし、無意識のうちに都合よく情報操作しているかもしれません。中には、悪意をもって嘘の情報を流す場合もゼロとはいえないでしょう。それに振り回されるくらいなら最初からあてにしない、聞かないというのもひとつの選択です。子ども関連の情報は、ほとんどの場合、園や学校から受け取るお知らせや先生に直接、様子をたずねるだけで十分な場合が多いからです。ママ友との出会いは「子どものためではなく、自分の人間関係が広がるひとつのきっかけ」ととらえてみませんか? すると、気持ちがグッと楽になるでしょう。仕事、趣味、ご近所などと同等のコミュニティのひとつとして、楽しいと思えれば交流を深めるも良し。たまに顔を出すくらいの気軽な感じで付き合っていくのがおすすめです。また、100%自分と同じ考えの人はいないとしても、なかには自分と似た考えや価値観を持つ人がいるかもしれません。これまでの学校や職場でも、誰か1人は自分と波長の合う人と出会えたことがあるでしょう。その出会いを最初から遠ざけるのはもったいないので、無理のない範囲で心の扉を開けておくのはいいことだと思います。ママ友づきあいは過度な不安を抱く必要はありません。いつも通り、ありのままに過ごしてみてはいかがでしょうか。
2018年09月19日「面白い」「感動する」と感じるテレビや映画がいつも違う。インドアとアウトドアで趣味も違う。のんびりとせっかちで性格も真逆…。何かと合わない夫との結婚生活に、「このままで大丈夫かな…」と不安を感じていませんか? この先、夫とずっと一緒にやっていけるのか、心配になる妻は少なくありません。「何かと気が合うこと」は結婚においてどのくらい大切なのでしょうか? 今回は結婚生活を続けていくための「心構え」について考えていきます。■「夫と合わない」ことが気になるのはどうして?夫と合わないと感じるのはどんな時でしょうか。食事の好みが違う、旅行先での時間の使い方が違う、笑いのツボが違う…などなど、逆に合うところを見つけるほうが難しいという人も少なくありません。もし、夫と合うものが多ければ、夫といる時間をもっと楽しめるのではないか? という気持ちがどこかにあるのでしょう。夫と合わないことを不安に思うのはきっと「一緒に楽しめるものが少なくてさみしい」という気持ちがあるからかもしれません。もうひとつ、一番近い存在である夫からの言葉で、「自分を否定された」と感じる場合があるからでしょう。例えば、自分が好きなものについて「俺は好きじゃないな」と夫に言われたと想像します。それは単なる好みの違いですが、その言葉に自分を否定されたと感じる人もいるのです。好みが合わない=自分を批判をされているような気持ちになるかもしれませんが、必ずしもそうとはいえません。夫はあなたの好きなこと(もの)に対して好き嫌いを伝えただけで、それはあなた自身に向けられた言葉ではないからです。■「夫と合わない」は結婚生活を危うくする?では実際、夫と合わないことは、結婚生活を危うくするのでしょうか? 結婚式の誓いを思い出してみてください。汝(なんじ)健やかなる時も、病める時も、喜びの時も、悲しみの時も、富める時も、貧しい時も、これを愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?※日本語訳の違いにより、多少の言い回しが異なる場合があります。このなかに「お互いの好みを合わせるべし」という言葉はありませんね。夫婦であっても、2人は他人。合わないことはある意味、当たり前のことなのです。夫と好みや趣味が合うことで、結婚生活がより楽しく感じることはあるかもしれませんが、だから夫婦仲が良いとは限りません。一方、夫婦でなにからなにまで正反対だから、結婚生活もうまくいっていないかといえば、そうともいえませんよね。あなたの周りにも、性格から趣味、生活スタイルまで真逆なのに、仲良しな夫婦はいるはずです。夫と合わないことが結婚生活を危うくするのでは? 好みが合っていたほうがうまくいくのでは? という考えは、もしかしたら、あなたの思い込みなのかもしれません。■結婚生活で大事なのは「好きなもの」より「嫌いなもの」実は、夫婦関係で大切なのは、「好きなもの」ではなく「嫌いなもの」。夫となにもかも合わなさすぎて、たまに不安になってしまう人もいるでしょうが、「好きなもの」が違っても「嫌いなもの」が同じなら良いのです。例えば、夫は野球観戦が大好きだけれど、自分はサッカーのほうが面白い。好きなスポーツは違うけれど、互いに共通しているのは「試合に熱くならない人なんて信じられない!」という気持ち。このように嫌いなもの、苦手なものが同じであれば、夫婦生活に深刻な問題が生じる可能性は低いといえるでしょう。それに、あなたが「夫と合わない」と感じているということは、ある意味、夫の好みを認めているということでもあります。好みが合わなくても「互いに干渉しない」というスタンスをもって、互いを認め合っているということです。もし、夫もしくは妻が「私の好きなものは、妻(夫)も好きなはず」と思い込んで行動し、一方を無理やり付き合わせているとしたら、そのほうが問題です。それぞれの好みを認め、自由にのびのびとやらせてくれている=自分を大切にしてくれているということではないでしょうか。それに、夫婦で生活している中で、好みが合う・合わないというのは、実はほんの一部であって、すべてではありません。例えば、子どものことを相談するとすぐに解決策をたててくれる、自分の両親にさりげない気配りをしてくれるなど、毎日、目にしている夫の行動や言動を尊敬できたり、信頼できたりするところはありませんか? こうした相手の美点を意識することが、より良い夫婦関係作りには大切でしょう。「夫と合わない」ことが気になる人も多いでしょうが、長い長い結婚生活では、無理に互いを合わせる必要はありません。それぞれを認め、快適な距離感を探していくことが、より良い夫婦関係を続けていく秘訣といえるでしょう。
2018年08月04日「夫が帰ってきたとたん、なぜか家全体の空気が重くなる…」「子どもたちとだけなら楽しく会話できるのに、夫が加わるとなんとなく気詰まりになってしまう…」。そんなふうに感じることはありませんか? そうした“家族を暗い気分にしてしまう夫”にはある共通点があります。それは、家では話さない夫ということ。自発的に話すことが少ないため「機嫌が悪いの?」「疲れてる?」など妻としては心配してしまいますよね。でも、実はあまり気にすることも、気をつかうこともないのです。今回は、そんな家では話さない夫への接し方についてお話しましょう。■家では話さない夫、その特徴とは?「どちらかといえば無口」。そんな夫を持つ妻は案外多いと思います。家では話さない夫たちには、以下のような共通点があるようです。・仕事熱心で家でも仕事のことを考えている。・気分転換が下手。・興味・関心の幅が狭い。仕事熱心な人は、仕事のことばかり考えるあまり、オンとオフの切り替えが苦手です。そのため、帰宅しても頭が仕事モードのままで、家族と何気ない会話が楽しめないのです。また、興味や関心の幅が狭いというのは、言いかえれば、新しい話題や出来事に気持ちが向かわないタイプといえるでしょう。家族の会話についていけず無口に…。「外では社交的でよくしゃべるけれども、本来は内向的」というのも、家では無口な人の特徴として多く当てはまるようです。■夫が家で話さない「理由」は?前述したように、家で話さない夫は、そもそも家のこと、家庭の細かい出来事にあまり興味がないケースが多いです。そのため、家族へのリアクションに困っているという場合があります。営業職など人と接する仕事の男性で、本来は内向的な性格なのに外では気をつかい、よくしゃべるがために家では素に戻って寡黙になるという場合もあります。また、話す行為に対する男女差もあるでしょう。おしゃべりがストレス発散となる女性に対し、男性は「用件のみを話す」傾向があります。そのため、おしゃべりが逆にストレスとなってしまう場合が多いようです。たわいのない話をする習慣もなく、必要なことだけを話す生活に慣れ、何の支障もないと感じているところが夫の話さない理由として考えられますね。そして、女性は話しているうちに話題がどんどん展開していき、その話に“オチ”があるかどうかはあまり気にしないことが多いですよね。でも、男性は結論のない話、オチのない話を聞くのが苦手です。そのため、女性の話に対するリアクションに困ってしまい、結果的に話さなくなる…という流れをたどってしまうのかもしれません。「夫が、家ではぜんぜんしゃべらなくて困っている」という妻は、実はとても夫思い。あなたは「もしかしたら、夫は家でくつろげていないのかしら?」「仕事で気苦労がたえず疲れているのではないか?」と心配に感じているのではないでしょうか。でも、前述したとおり、話さない夫というのは、そういう性格・タイプなだけで、話さないことが自然なこと。夫本人はなんとも思っていないことが多いようです。つまり、「夫がいると空気が重い」と感じているのは自分や家族、つまり受け止める側の気持ちの問題だったのです。 ■家で話さない夫への対処法、心構えは?「もう少し、夫との会話を増やしたい」。そんな時は、どうしたら良いのでしょう? それにはいくつか意識してほしいことがあります。具体的には、下記の4つの手順を参考に、会話を進めてみましょう。1. マメに挨拶をする。「おはよう」「おかえり」「おつかれさま」といった言葉がけは会話の土台づくりにもなります。こうした挨拶は惜しむことなく、たくさん試みましょう。2. 「はい」か「いいえ」で答えられる質問をする。会話の始まりは「今日は暑かったね~」「お風呂、すぐ入る?」など「うん」「いや、あとで」とイエス、ノーで答えられる質問から入ります。頭で考えずともすぐに答えられる投げかけは、会話の良い準備運動になります。3. 興味のありそうなネタを会話に盛り込む。夫の興味がありそうな話題を会話の合間にはさんでみます。例えば「〇〇においしいラーメン屋さんができたんだって」と夫が好きな食の話や「最近、ゴルフの調子はどうなの?」など趣味に関したものなどでもOK。会話の内容を「夫が関心を寄せるもの」に変化させることで口数も増えてくるかもしれません。4. 物理的な「夫スペース」を作ってあげる。家で話さない夫には、気軽に会話に参加できる物理的なスペースを作ってあげるのも効果的です。ダイニングテーブルのイスに物を置きっぱなしにして、夫の座るスペースがない…なんてことはないでしょうか? いつでも夫がイスに座れるように物を置かない。子どもとソファに座っている時も夫のスペースを開けておく。こうすることで夫は視覚的にも自分の居場所を感じられます。挨拶をしたり、会話の始まりや内容に少し注意を向けたりすることで家でも話す夫に少しずつ変化するかもしれません。話しやすい空気感をキープしていれば、いつの間にか夫も会話に加わっていた…なんてことも珍しくなくなるかもしれませんね。
2018年06月20日あなたはママ友をどう呼んでいますか? ◯◯ちゃんママ、◯◯くんママと、いわゆる“ちゃんママ・くんママ”呼びが一般的ですよね。でも、ママ友グループのなかでも、あの人とはもっと仲良くなりたい、あの人とはちょっと一線を引いておきたい…。そんなふうに付き合いたいレベルはマチマチ。ママ友みんなを同じように呼んでいていいのでしょうか?「人の呼び方が、人間関係においてとても重要ではないか?」、つまり「呼び方によって、相手との関係が決まるのでは?」ということを分析したのが、作家・心理カウンセラーの五百田達成(いおた たつなり)さん。 ・「人との距離感がわからない…」○○を変えるだけで人間関係も変化【人間関係に悩まない“うまい呼び方” 第1回】 ・「子どもの名前、どう呼んでる?」親の呼び方が“子どもの心”を育てる【人間関係に悩まない“うまい呼び方” 第2回】 ・夫婦の満足度が急降下「夫をどう呼んでいますか?」【人間関係に悩まない“うまい呼び方” 第3回】 連載最後となる4回目は、ママ友の“うまい呼び方”についてお話をうかがいました。五百田達成さん プロフィール作家・心理カウンセラー。東京大学教養学部卒業後、角川書店→博報堂を経て独立。鋭い視点から「コミュニケーション」「人間関係」を分析し、そこから導き出す実践的なアドバイスは高い評価を受けている。「コミュニケーションのプロ」としてメディア出演多数。著書にベストセラーとなった『察しない男 説明しない女』『不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)、『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』(新潮文庫)など。米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー。著書: 『あの人との距離が意外と縮まる うまい呼び方』 HP: 五百田達成オフィシャルサイト ■正義の迷惑ヒロイン『斉藤さん』が“さん付け”で呼ばれる理由――“ちゃんママ・くんママ”呼びが一般的ななか、呼び方がママ友関係を表している典型的な例はありますか?五百田達成さん(以下、五百田さん):ママ友といえば、2008年と20013年にテレビドラマ化された漫画『斉藤さん』が印象的。現実社会では“ちゃんママ・くんママ呼び”が一般的なのに、このドラマのママたちはみんな「○○さん」と名字で呼び合います。なかでも、主人公の斉藤さんに対する“○○さん呼び”は距離を感じます。それは、子どもに正しいことを教えるために空気も読まずに正義を貫き、周りに迷惑をかけることが多い性格が災いし、ママ友たちから距離を置かれているから。話が進むにつれ、次第に斉藤さんの行動に共感しはじめるママたちもチラホラ現れてきますが、呼び方は「斉藤さん」から変わりません。でも、ニュアンスが明らかに変わるんですね。終盤にかけては、敬遠の意味をもった“さん付け”呼びから、リスペクトの“さん付け”呼びに変わるんです。「斉藤さん、迷惑なのよね…」から、「斉藤さん、すごいわ!」に好転するんですね。――確かに、名字に“さん付け”呼びには、2つの意味がありますね。同じように呼ばれていても意味が変わっているなんて、なんだか怖いですね…。五百田さん:“ちゃんママ・くんママ”呼びは一種の仮面と同じ。そう呼んでさえいれば問題なし、という究極の安全パイな呼び方です。ママ友の距離感はとてもユニーク。その独特な距離感にぴったりハマる呼び方が、“ちゃんママ・くんママ”呼びといえるかもしれません。前回までは、子どもや夫の呼び方という家庭内の話をしてきましたが、ママ友は家庭外の話になります。ママ友の“うまい呼び方”は、今までより社会や組織を意識して考えないといけませんね。■ママ友との関係を変えたい! “うまい呼び方”実践編――ママ友の呼び方も、実はいろいろありそうですよね?五百田さん:ママ友の呼び方は、関係性が如実に表れます。親密度の低い→高い順でみてみましょう。例えば、山田ハナコちゃんのママなら、山田(ママの名字)さん→ハナコちゃんママ→ハナママ→ユウコ(ママの名前)さん→ユウコちゃん という具合に段階を踏むことが多いようですね。この変遷をベースに実践編を考えてみましょう。――もっと仲良くなりたいなあと思うママ友がいます。どう呼ぶのがいいでしょうか?五百田さん:距離を近づけたい場合なので、“ちゃんママ”よりは、名前呼びに切り替えるのがいいでしょうね。いきなり下の名前で呼ぶのに抵抗がある場合には、まずは名字にさん付けで呼んでみて反応をみてみるのが得策だと思います。知り合ってLINEでつながった途端に「◯◯(下の名前)ちゃん、お茶しない?」なんてLINEがくると、少々ビックリしますが、そう呼ばれてイヤな気がしないのならお互い下の名前で呼び合う仲に変わっていくのでしょう。――あのママ友とは距離をおきたい…。そんな時はどう呼ぶのがいいでしょうか?五百田さん:距離をおきたいママ友が「◯◯(下の名前)ちゃんってさあ〜」と話しかけてくるとします。これに対し「◯◯(名字)さん、何ですか?」と返せば、距離を遠ざけることができます。しかも、終始、名字に“さん付け”で徹底すると一定の距離をキープできるはず。名字に“さん付け”+敬語で距離を保ってみましょう。――呼び方ひとつで、ママ友同士の仲良しのレベルまでバレちゃいますね。五百田さん:ママ友たちのコミュニティは、子どもを媒介にした“育児”という名の職場です。会社を想像してみてください。同僚や先輩など仲の良い人とそうでない人がいますよね。もちろん、それぞれ呼び方も呼ばれ方も違うはず。職場同様、ママ友のコミュニティでもスタンドプレイをするより、集団に歩調を合わせるほうがストレスフリーです。グループのなかで特に仲良しのママ友がいるとしても、みんなの前ではみんなと同じように「◯◯ちゃんママ」と呼び合うほうが無難という現実もあるでしょう。 ■“ちゃんママ”呼びから卒業したい! そのきっかけ作りは?――仲良くなりたいママ友を名前呼びしたいけど、なかなかきっかけがつかめない…というママも多いようですが。五百田さん:社内恋愛と同じで、ふたりきりになった時がチャンスです!(笑) 園や学校の係などでふたりになった時に、「◯◯(名字)さん、これお願いしてもいい?」などと思い切って話しかけてみましょう。呼びかけられたほうがまんざらでもなければ、「〇〇(下の名前)でいいよ♪」なんて返してくれるはずです。また、呼び方自体を話のネタにしてしまうのも手。「夫のことなんて呼んでる?」という具合に気軽に聞いてみましょう。その話の流れで、「じゃあ、私のことは◯◯(下の名前)でいいよ!」と話をもっていければこっちのモノですね。■ママ友の“うまい呼び方”これさえ覚えておけば大丈夫!――いろいろな呼び方を教えてもらいましたが、忙しいママたちに究極のコツを教えていただけますか?五百田さん:子どもの呼び方同様に、3段階の呼び名を設定しておくのが簡単ではないでしょうか? 学校行事などオフィシャルな場面では「◯◯(名字)さん」、ママ友と集まる場面では「◯◯ちゃんママ」、ふたりでお茶して話に花が咲くときは「◯◯(下の名前)ちゃん」。こんなふうに周りの状況も考慮して使い分けられれば、ほかのママ友を敵に回すことなく、仲の良いママとは、より一層仲良しになれるのでは?五百田さんが考える“うまい呼び方”について4回にわたりご紹介しました。さあ、今日から子ども・夫・ママ友とあなたを取り巻く人間関係を「呼び方」ひとつで変えてみませんか?参考図書: 「あの人との距離が意外と縮まる うまい呼び方」 (サンマーク出版)「あの人のことをどう呼ぶかで、距離感は変わる」。コミュニケーション・人間心理の専門家として数々のメディアに出演し、ベストセラーをたくさん世に送り出す「対人関係のスペシャリスト」である著者が、コミュニケーションについてのさまざまな理論や方法論を分析した結果たどり着いたのが、「『話の内容』や『伝え方』以上に、『どう呼ばれるか』で人の心は決まる」という境地。巻頭にはスペシャル対談として、2016年に日本一を成し遂げた北海道日本ハムファイターズ・栗山英樹監督との「呼び方」対談を収録。取材・文/山田裕子
2018年06月19日あなたは夫のことをどう呼んでいますか? きっとパパ・ママと呼び合う夫婦が多いはず。子どもがいないシーンではお互いを名前で呼んでいる、という夫婦はどれだけいるでしょうか。付き合っていた頃、お互いをどう呼んでいたか思い出せますか…?「人の呼び方が、人間関係においてとても重要ではないか?」、つまり「呼び方によって、相手との関係が決まるのでは?」ということを分析したのが、作家・心理カウンセラーの五百田達成さん。 ・「人との距離感がわからない…」○○を変えるだけで人間関係も変化【人間関係に悩まない“うまい呼び方” 第1回】 ・「子どもの名前、どう呼んでる?」親の呼び方が“子どもの心”を育てる【人間関係に悩まない“うまい呼び方” 第2回】 ・ママ友つき合い「トラブルに発展しない」上手な呼び方【人間関係に悩まない“うまい呼び方” 第4回】 連載3回目は、夫の“うまい呼び方”についてお話をうかがいました。五百田達成さん プロフィール作家・心理カウンセラー。東京大学教養学部卒業後、角川書店→博報堂を経て独立。鋭い視点から「コミュニケーション」「人間関係」を分析し、そこから導き出す実践的なアドバイスは高い評価を受けている。「コミュニケーションのプロ」としてメディア出演多数。著書にベストセラーとなった『察しない男 説明しない女』『不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)、『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』(新潮文庫)など。米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー。著書: 『あの人との距離が意外と縮まる うまい呼び方』 HP: 五百田達成オフィシャルサイト ■『サザエさん』は、あぁ見えて意外と“デキる女”!?――さまざまな夫の呼び方があると思います。呼び方が夫婦関係を表している典型的な例はありますか?五百田達成さん(以下、五百田さん):日本を代表する家族といえば、ご長寿アニメの『サザエさん』。今となっては時代設定が昭和なのか平成なのかかなりあやふやですが、サザエさんのヘアスタイルが当時の流行を表しているとすれば昭和20年代の設定になります。その時代に、夫婦でお互いのことを名前で呼び合っていたのはステキですよね。夫を「マスオさん」と呼ぶことで、お婿さん状態の夫のことをリスペクトし立てていますし、妻を「サザエ」と呼ぶことで、夫婦の鮮度もキープされている。両親や年の離れた弟妹、そして幼いわが子と3世代で暮らしながらも、どこか新婚ムードがただようのは2人が名前で呼び合うから、かもしれません。――確かにあの夫婦は名前で呼び合いますね。やはり、男性も名前で呼ばれるとうれしいのでしょうか?五百田さん:子どもが生まれると“夫は大きな長男になる”という話はよく聞きますよね。まさにその通りで、子どもが生まれた途端に妻は母となり、子ども中心の世界になってしまう。夫は蚊帳の外に置いてけぼりで、その結果「俺のメシ、まだ?」という子どもっぽい発言をしてしまうわけです。大人なのに子どもな分、妻からみるとタチが悪い。前回の子どもの呼び方でもご紹介した通り、子どもが生まれた瞬間から、上の子と同じフラストレーションを夫も感じるのです。よって、上の子に対する子どもの呼び方同様、時には名前で呼びかけることが効果的。子どもが寝静まった夜の間だけでも、名前や付き合っていた当時の呼び名で声をかけてみましょう。照れたり驚いたりしながらも、まんざらではないはずです。■タイプ別・夫の“うまい呼び方”とは?――夫の“うまい呼び方”をタイプ別に教えていただけますか?五百田さん:甘えん坊な夫や家事育児に無関心な夫の場合は、「◯◯さん、これお願いします」と“さん付け”+敬語で、男を立たせる方向に誘導してあげるのがおすすめ。普段、パパ・◯◯くんなどと呼んでいる夫婦なら、より有効です。名前に“さん付け”で呼ばれると、家庭にいながらも仕事モードにスイッチが入り、しゃっきりしてくれる可能性大です。――亭主関白夫やデキすぎる夫の場合はいかがでしょう?五百田さん:この手のタイプをもっと家事育児に参加させたい時には、名前呼びやパパ呼びから「お父さん」に格上げし、より家長度合いを強調してみましょう。「お父さんなんだから、これくらいできますよね?」という具合に、夫の威厳を刺激してみてください。――最近は、年上妻と年下夫という夫婦も珍しくないですよね。そんな年の差夫婦の“うまい呼び方”はいかがでしょうか?五百田さん:うまい呼び方とは、相手との距離を近づけたり遠ざけたりするコミュニケーション方法なので、年の差夫婦の場合は、ふたりの距離を近づける呼び方がいいですね。年上妻は年下夫を◯◯さんと呼び、年下夫は年上妻を◯◯ちゃんと呼ぶ。そう呼び合うだけで、離れた年齢をギュッと近づける効果が生まれます。注意したいのは、年下夫の親の前での呼び方。間違っても、夫を呼び捨てにしないよう注意してくださいね(笑)。■シーン別・夫の“うまい呼び方”とは?――夫婦のさまざまなシーン別に“うまい呼び方”を教えてください。まずは、意外と困るのが、夫がいない場面での夫を呼び方。コツはありますか?五百田さん:例えば、ママ友数名と会話をするシーンを想像してみましょう。夫とのできごとを話したい時、「うちの夫」「うちの旦那」「うちのパパ」「うちの◯◯くん」「うちの相方」など、さまざまな呼び方がありますよね。こんな時はどのように呼ぶのが正解なのか、確かに迷ってしまいます。特に、ママ友との会話は、輪を乱さないことが最優先。周りがどう呼ぶかを確認し、自分も合わせていくのが正解です。ママ友たちが、「うちのパパがさ〜」と言えば、自分も「パパ」で合わせる。「うちの旦那がさ〜」と言えば、自分も「旦那」で合わせる。その場にいない人(第三者)を呼ぶ“第三者呼び”の場合は、これが最善でしょう。――夫に気分良く家事育児を手伝ってもらいたいシーンでは、どう呼びかけるのがよいでしょう?五百田さん:普段パパと呼んでいる夫婦が多いと仮定して、下記の2パターンで頼みごとをしたら、夫はどちらの呼びかけに良い反応を示すと思いますか?A:「パパ、車出してもらえる?」B:「◯◯くん、車出してほしいんだけどなぁ」Aの役割呼びで言われると、「俺は雑用係か!?」という夫の心の声が聞こえてきそうです。反面、Bの名前にくん付けで言われると、デート気分がよみがえるトーンに聞こえるから不思議。普段、パパ・お父さんと呼んでいる人は、お願いごとのタイミングだけ、名前に“くん”や“さん付け”で呼びかけてみましょう。――夫婦の距離が遠いな…と感じた時の夫の“うまい呼び方”があれば教えてください!五百田さん:1回目でもご紹介した通り、心理学の世界では「パパ・ママと呼び合う夫婦は満足度が低い」という調査結果があります。子どもがいない空間でも、終日、パパ・ママと役割呼びされることに、少なからず違和感や不満があるからです。そして、それが夫婦の距離を遠ざけてしまう一因に。そんな時は、子どもが寝静まった夜の数時間だけでも、お互いの名前や昔の呼び名で呼びかけてみませんか? ただ呼び方を切り替えるだけで、お互いの役割から解放されリラックスできますよ。「今さら、名前でなんて呼べない…」という人は、結婚記念日や誕生日だけでも名前で呼んでみてはいかがでしょう? きっと距離が近づくのを感じるはずです。「それでもやっぱり恥ずかしい…」という人は、ママ友が遊びに来た時などに、夫がいる前で名前呼びしてみるのも手です。ママ友から「家事の分担はどうしてるの?」と聞かれたら、「◯◯くんは料理が得意だから、週末の食事は◯◯くんが作ってくれるよ」と返してみる。本人の前で、第三者呼びを名前呼びにする作戦、これ結構効きます。ぜひお試しを!■夫の“うまい呼び方”これさえ覚えておけば大丈夫!――いろいろな呼び方を教えてもらいましたが、忙しいママたちに究極のコツを教えていただけますか?五百田さん:夫婦はお互いを映す鏡。ママがパパから「おい!」「おまえ!」と呼ばれるのがイヤなように、パパもママから「ねえ!」「ちょっと!」と呼ばれるのはイヤなはず。女性は、名前で呼ばれると女性ホルモンが活性化します。それと同じで、男性だってパパ・お父さんではなく、時には名前で呼ばれたいのです。自分が呼ばれたらうれしい呼び方で、パパを呼んであげてください。また、男性に変化を求めても時間がかかるので、ここは女性が率先して「脱・役割呼び」を始めてみましょう。きっと夫婦の距離が近づき、リフレッシュできるはずです。五百田さんが考える夫の“うまい呼び方”がわかったところで、次回は「ママ友の呼び方」についても、具体的なメソッドをご紹介いただきます。参考図書: 「あの人との距離が意外と縮まる うまい呼び方」 (サンマーク出版)「あの人のことをどう呼ぶかで、距離感は変わる」。コミュニケーション・人間心理の専門家として数々のメディアに出演し、ベストセラーをたくさん世に送り出す「対人関係のスペシャリスト」である著者が、コミュニケーションについてのさまざまな理論や方法論を分析した結果たどり着いたのが、「『話の内容』や『伝え方』以上に、『どう呼ばれるか』で人の心は決まる」という境地。巻頭にはスペシャル対談として、2016年に日本一を成し遂げた北海道日本ハムファイターズ・栗山英樹監督との「呼び方」対談を収録。取材・文/山田裕子
2018年06月12日あなたは子どものことをどう呼んでいますか? 「◯◯ちゃん、◯◯ちゃ~ん」と呼ぶママ友を見て、甘やかしてそうだなあ…と思ったり、「◯◯◯っ!」と呼び捨てにするママ友を見て、怖そう…と思ったり。呼び方から親子の関係性がなんとなく想像できてしまいますね。「人の呼び方が、人間関係においてとても重要ではないか?」、つまり「呼び方によって、相手との関係が決まるのでは?」ということを分析したのが、作家・心理カウンセラーの五百田達成さん。 ・「人との距離感がわからない…」○○を変えるだけで人間関係も変化【人間関係に悩まない“うまい呼び方” 第1回】 ・夫婦の満足度が急降下「夫をどう呼んでいますか?」【人間関係に悩まない“うまい呼び方” 第3回】 ・ママ友つき合い「トラブルに発展しない」上手な呼び方【人間関係に悩まない“うまい呼び方” 第4回】 連載2回目は、子どもの“うまい呼び方”についてお話をうかがいました。五百田達成さん プロフィール作家・心理カウンセラー。東京大学教養学部卒業後、角川書店→博報堂を経て独立。鋭い視点から「コミュニケーション」「人間関係」を分析し、そこから導き出す実践的なアドバイスは高い評価を受けている。「コミュニケーションのプロ」としてメディア出演多数。著書にベストセラーとなった『察しない男 説明しない女』『不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)、『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』(新潮文庫)など。米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー。著書: 『あの人との距離が意外と縮まる うまい呼び方』 HP: 五百田達成オフィシャルサイト ■『ちびまる子ちゃん』の“お姉ちゃん”の名前は?――さまざまな子どもの呼び方があると思います。呼び方が母子関係をあらわしている典型的な例はありますか?五百田達成さん(以下、五百田さん):子どもの呼び方は、呼び捨て、くん・ちゃん呼び、あだ名呼び、お兄ちゃんなどの役割呼びなどがあります。また、ひとりっ子ときょうだいの場合でも、呼び方は変化します。上の子と下の子を呼び分ける典型的なお母さんといえば、人気アニメ『ちびまる子ちゃん』のお母さんです。ちびまる子ちゃんの姉妹の名前は、姉がさくらさきこで、妹がさくらももこ。でも、お母さんは常に姉さきこを“お姉ちゃん”と呼び、妹ももこを“まる子”とあだ名で呼びます。母親にもあだ名で呼ばれる妹のももこは、いつも自由奔放で楽しそう。対象的に役割呼びをされる姉は、いつも冷静沈着で好き勝手している妹をプリプリ怒っています。「お姉ちゃんなんだから、しっかり妹をみていてね」「妹が何かしでかしたら、お姉ちゃんの責任でもあるんだから」と母親からの静かな重圧が“お姉ちゃん”という呼び方に集約され、姉のさきこはまるで“小さなお母さん”みたいですよね。――でも、下にきょうだいが生まれるとたいていの場合が、上の子は“お兄ちゃん”“お姉ちゃん”と呼ばれる気がしますが…。五百田さん:下の子から見れば、役割呼びは有効です。でも、たまには、上の子を名前で呼んであげると、想像以上にうれしそうな反応を示すと思いますよ。上の子は、下の子が生まれると愛情がとられたと感じ、さらに役割呼びをされます。最初は、役割呼びをうれしく感じるかもしれませんが、徐々に甘えたくても甘えられないなどのフラストレーションを感じるはず。そんなそぶりを察知したら、上の子と向き合う時には、きちんと名前で呼んであげましょう。ただそれだけで、子どもは「今日は私のことを見ていてくれる」と感じるはず。時間が許せば、ふたりだけの時間を作って名前で呼んで「いつもありがとう」と伝えたいですね。 ■タイプ別・子どもの“うまい呼び方”は?――子どもの“うまい呼び方”をタイプ別に教えていただけますか?五百田さん:まずは、下の子が生まれて、上の子が赤ちゃん返りしたり、スネたり、自信をなくしているように見える時。この場合の“うまい呼び方”は、呼び方を定期的に更新することです。例えば、カップルを想像してみてください。ユウコさん→ユウコちゃん→ユウコリン→リンリンなど時間や親密度とともに呼び方が変化していきますよね。これは、呼ばれる側にも、常に相手から注目されているという心理が働きます。それは、子どもも同じ。役割呼びから名前呼び、あだ名呼び、さらにあだ名も定期的に変えると効果的です。呼び方を変えるだけで、「ママはあなたをいつも見ているよ」というサインを子どもに送ることができるはず。まずは、お兄ちゃん・お姉ちゃん呼びを卒業することから始めてみましょう。――逆に、上の子にしっかりしてほしい時はどうでしょう?五百田さん:甘えん坊の上の子をしっかりさせたい時は、あえてお兄ちゃん・お姉ちゃんと役割呼びを強調するのがおすすめ。普段、名前やあだ名で呼んでいるママが、突然、役割呼びに切り替えれば、ママの気持ちの変化を子どもも敏感に察知します。家庭内だけではなく、ママ友など第三者の前でも本人がいるところで役割呼びをすることがポイントです。――「お兄ちゃんなんだからしっかりして」と言葉にしていても、まったく成長を感じられない…なんて悩みをもつママもたくさんいると思いますが…。五百田さん:そんな時に有効なのが、肩書き呼びです。「片付け隊長! そこのおもちゃを片付けていただけますか?」という具合に、肩書き呼びで格上げ+敬語で子どものやる気に火を付けましょう。上の子を動かしたい時には、隊長! リーダー! キャプテン! など肩書き呼びが効果的。特にレンジャーものが大好きな男の子には響くと思いますよ(笑)。――なるほど。それは効果がありそうですね! 逆に親が子どもにベッタリになりすぎない“うまい呼び方”はありますか?五百田さん:友人に娘さんのことを“さん付け”で呼ぶパパがいます。「◯◯さん、今度はこっちのおもちゃで遊びませんか?」なんてやりとりを見ていると、父と娘が自立した人間同士、ほどよい距離感で向き合っている感じがして、とても好感がもてます。もしかしたら、娘さんは“さん付け”で呼ばれることで、パパにうまく甘えられない一面もあるかもしれませんが、大人と対等に扱われている感覚は、教育上、良い効果もあると思います。そして、何より娘への溺愛ぶりをコントロールするという意味で、パパにとっても効果があると思うんです。“さん付け”は距離を遠ざける呼び方になりますが、この場合は、ほどよい距離感をキープする呼び方として有効といえます。■シーン別・子どもの“うまい呼び方”は?――子育てのさまざまなシーン別に“うまい呼び方”を教えてください。まずは、ほめる時はいかがでしょう?五百田さん:前述の肩書き呼びが効果的だと思います。運動会で1位になったら「よっ、天才ランナー!」、「よっ、メダリスト!」という具合に、肩書きで呼びかけてみましょう。家族みんながそろったところで呼んであげれば効果大で、子どもはうれしさ倍増でしょう。―― 叱る時は、どう呼ぶのがよいでしょうか?五百田さん:叱る時は、やはり呼び捨てでしょうね。普段、ちゃん呼び、あだ名呼びしている母子であればなおさら。「◯◯ちゃん、お友だちのおもちゃとっちゃダメでしょう」では、ママが本気で怒っているとは思えませんよね。本気で叱って教えたい時は、母子の上下関係や距離感を明確にするためにも呼び捨てで呼びかけましょう。――なぐさめてあげたい時はいかがでしょう?五百田さん:アメリカのドラマのようなノリで「子猫ちゃん、どうしたの?」「こぐまちゃん、元気ないね?」と呼びかけてみるのはどうでしょう? さすがにそれは気恥ずかしいというママは“姫”や“王子”くらいなら呼べるのでは? いつもより甘く呼びかけて、距離をぐっと近づけ悩みを聞いてあげたり、抱きしめてあげたりすれば効果的だと思います。 ■子どもの“うまい呼び方”これさえ覚えておけば大丈夫!――いろいろな呼び方を教えてもらいましたが、忙しいママたちに究極のコツを教えていただけますか?五百田さん:確かに毎日多忙なママにとって、子どものタイプやシーン別に呼び分けるのは難しいですよね。そんな時は、3パターンの呼び方を用意してみませんか? 例えば、ナオキくんという男の子の場合なら、「ナオキ」「ナオくん」「ナンナン」の3パターンを作り、子どものテンションやシーン別に使い分けてみましょう。叱る時やしっかりしてほしい時は「ナオキ」、ニュートラルな状態が「ナオくん」、ほめたり甘えさせてあげたい時は「ナンナン」と呼んでみる。距離感が異なる3パターンの呼び名を用意し、距離を遠くしたい・近づけたい時に合わせて使えば、自然に呼び分けられるようになりますよ。五百田さんが考える子どもの“うまい呼び方”がわかったところで、次回は「夫の呼び方」についても、具体的なメソッドをご紹介いただきます。参考図書: 「あの人との距離が意外と縮まる うまい呼び方」 (サンマーク出版)「あの人のことをどう呼ぶかで、距離感は変わる」。コミュニケーション・人間心理の専門家として数々のメディアに出演し、ベストセラーをたくさん世に送り出す「対人関係のスペシャリスト」である著者が、コミュニケーションについてのさまざまな理論や方法論を分析した結果たどり着いたのが、「『話の内容』や『伝え方』以上に、『どう呼ばれるか』で人の心は決まる」という境地。巻頭にはスペシャル対談として、2016年に日本一を成し遂げた北海道日本ハムファイターズ・栗山英樹監督との「呼び方」対談を収録。取材・文/山田裕子
2018年06月05日テレビのニュースやワイドショーで流れる謝罪会見。一連のやりとりを見ていて「この謝り方はなぁ…」とうなってしまったことはないでしょうか。最近、メディアでも頻繁に取り上げられている「謝罪の仕方」。見ていて謝罪の気持ちが伝わり納得できるものもあれば、「ホントに謝る気あるの?」とモヤッとしてしまうものもありますよね。なかには相手の感情を逆なでし、さらに関係をこじらせてしまうケースも多いように思います。実は、夫婦や親子関係でも謝罪は大切。謝るか、謝らないかでその後の関係性に少なからず影響を与えてしまうこともあります。でも、夫相手だとなぜか謝りにくい…そんな人も多いですよね。今回は、夫婦間の「謝れない問題」を考えていきましょう。■「謝りにくい」と感じるのはどんな時?私たちが「謝りにくい」と感じるのはどんな時でしょうか。例えば、ちょっとぶつかった、足を踏んづけてしまったなどは「すみません」「ごめんなさい」とすぐに言えますよね。でも、理由によっては、その一言が出てこない時がありませんか?それは「100%、私が悪いわけじゃない」とあなたが思っている時でしょう。非がまったくないわけではないけれど、私だけ謝るのも違う気がする…。謝れない、謝りにくい時というのは、そんな心境に陥っていることが多いようです。では、夫婦関係に置き換えて考えてみるとどうでしょうか。夫婦における会話では家、家族、子育てや教育など、どちらの意見が正しい、正しくないか白黒ハッキリと判断できないものが多いですよね。そのため、何か不都合なことが起こった時も、夫婦どちらが悪い、悪くないといった答えは出ません。そうした問題に直面した時、自分だけが謝ることに疑問を感じてしまい、ためらってしまうのでしょう。■夫相手だとなぜ謝りにくい? 夫相手に謝りにくさを感じる理由は、ほかにもあります。例えば、仕事関係の人に謝る時はあまり抵抗を感じないものではないでしょうか。それはもともと「利害」が成立している関係だからです。ギブ&テイク、つまり与え、与えられる利害がはっきりしており、上下関係やお互いのメリットがわかっているため、謝ることに違和感を覚えにくいのです。一方、夫婦の関係は本来、対等なものです。けれど、「謝る」という行為には「謝られる(正しい)側=立場が上」「謝る(正しくない)側=立場が下」という、心理的な上下関係が生まれます。自分が謝ることで、対等なはずの関係に一瞬、上下関係が生じ、自分が“下”のように感じてしまうわけです。かなりの年齢差があるご夫婦や親子など、もともとお互いに「上下関係」がなんとなく存在しているならばあまり抵抗がないかもしれませんが、対等という意識があったり、子どもに親が謝るといった逆転の立場になると違和感を覚えてしまう場合が多いでしょう。ゆえに「夫には謝りにくい」という感情が生まれてしまうようです。■関係がこじれない「気持ち良く謝る方法」では、上下関係への抵抗感なく、気持ち良く謝れるようになるには、どうしたら良いのでしょう。大事なポイントは2つ。1.「言い方」「伝え方」に限定して謝る例えば、自分の言ったことで夫の機嫌が悪くなり、何となく雰囲気が悪くなってしまった。そんな時「私が間違っていた」「私のここ(性格)がダメだった」という謝り方をしてしまうと、自分の考えや性格を否定し、自分が夫より下になってしまうような感覚になってしまいますよね。そんな時は、次のように言い換えて謝ってみてください。「私の言い方が悪かったと思う。ごめんね」「もっと分かりやすく言えたら良かったんだけど。うまく伝えられなくてごめんなさい」ここで謝っているのは「言い方」や「伝え方」です。自分の考えや性格についてではないんですね。謝罪の対象はあくまで言い方や伝え方に限定して謝りましょう。こう伝えることで自分を下げる、自分が下になっているという抵抗感なく謝ることができます。2.時間をおかずにすぐ謝る2つ目のポイントはすぐに謝ることです。「謝ったほうがいいな」という場面に出くわした時、夫婦の場合、相手が夫だと最も身近な存在ゆえ「今じゃなくてもいいか」と後回しにしてしまうケースが多いようです。さっきまでは「謝ろう」と思っていたのに、少し時間を置いてみたら「ま、いいか」と思えてきたり、一方夫のほうは謝ってもらえなかったことで、怒りの感情がこじれてしまったり。時間経過によって、気持ちがマイナス方向へと変化してしまい、一層謝りにくくなってしまうケースが多いようです。けれど、それでは夫婦間の悪い雰囲気は解決しないまま…。時間が解決したように思えても、わだかまりは残ってしまい、何かのきっかけで「そういえば、あの時!」と感情が噴出することも。謝罪の気持ちは、すぐに表さないと意味がありません。「謝る」と決めたらすぐに実行することを意識しましょう。謝る内容を言い方、伝え方に限定する。すぐに謝る。この2つの意識を持ってみることが夫婦の間にもやもやした雰囲気を残さないコツといえるかもしれませんね。
2018年06月01日あなたは周りの人からどんなふうに呼ばれていますか? 「○○ちゃんママ」と呼ばれる度に、「この人たち、私の名前を知っているんだろうか?」と不安になったり、夫に「ママ」と呼ばれる度に、違和感を感じたり…。そんなママも多いのでは?また、逆にあなたは、周りの人をどう呼んでいますか? 同じように、ママ友を「〇〇ちゃんママ」、夫を「パパ」と呼んでいますか? それとも、下の名前やあだ名、名字にさん付けでしょうか?呼び方によって相手との距離感を考えてみると、遠かったり近かったり。なんとなく呼び方と人間関係に密接な結びつきがあるのでは? と感じるでしょう。「人の呼び方が、人間関係においてとても重要ではないか?」、つまり「呼び方によって、相手との関係が決まるのでは?」ということを分析したのが、作家・心理カウンセラーの五百田達成さん。呼び方と人間関係についてお話をうかがいました。 ・「子どもの名前、どう呼んでる?」親の呼び方が“子どもの心”を育てる【人間関係に悩まない“うまい呼び方” 第2回】 ・夫婦の満足度が急降下「夫をどう呼んでいますか?」【人間関係に悩まない“うまい呼び方” 第3回】 ・ママ友つき合い「トラブルに発展しない」上手な呼び方【人間関係に悩まない“うまい呼び方” 第4回】 五百田達成さん プロフィール作家・心理カウンセラー。東京大学教養学部卒業後、角川書店→博報堂を経て独立。鋭い視点から「コミュニケーション」「人間関係」を分析し、そこから導き出す実践的なアドバイスは高い評価を受けている。「コミュニケーションのプロ」としてメディア出演多数。著書にベストセラーとなった『察しない男 説明しない女』『不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)、『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』(新潮文庫)など。米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー。著書: 『あの人との距離が意外と縮まる うまい呼び方』 HP: 五百田達成オフィシャルサイト ■「名前をちゃんと呼んでもらえない…」フラストレーションがきっかけ――そもそも、なぜ「呼び方=人間関係」に着目したのでしょうか?五百田達成さん(以下、五百田さん):私の名前は、「五百田達成」と書いて、「いおた たつなり」と読みます。「五百田」という文字は覚えられても、読み方を正しく覚えてもらったことがほとんどなく。下の名前も同様に、「たつのり」「たつや」と呼ばれることもしばしば。自分の名前を正しく呼んでもらうために、あらゆる説明方法を試してきましたが、うまくいったことがありません(苦笑)。また、何より切ないのが、自分で自分の名前を気に入っている、ということなんです。なのに、きちんと呼んでもらえないというフラストレーションが小さな頃からありました。逆に、きちんと呼んでもらえると、とてもうれしい! という気持ちも味わい続けてきました。自分の名前を通して、昔から「呼び方=人間関係」は気になっていたんでしょうね。もちろん、心理カウンセラーという立場からも、気になっていたテーマです。なぜ、夫婦は子どもがいない場所でもママ・パパと呼び合うのか? なぜ女性は下の名前で呼ばれるとうれしいのか? これは、女性ホルモンが活発化するという研究結果もあります。呼び方により、人の心はどうして動かされるのか? 常々気になっていました。そこへタイミングよく、「呼び方に着目した本を書いてみませんか?」というご提案をいただき、書籍『うまい呼び方』(サンマーク出版)を書くことになったんです。呼び方に焦点をあてた本は過去にもないようで、“日本初の呼び方研究家”を名乗る思いで分析&メソッドをまとめてみました。■「どう呼ぶか?」に表れる距離感と人間関係――どうして呼び方で人間関係は変わるのでしょうか?五百田さん:「名は体を表わす」ということわざがありますよね? まさにその通り! と多くの人が実感していることと思います。ということは、そのことわざを発展させると「呼び方は人間関係を表わす」とも言えるのでは? と思ったんです。仲が良いふたりは、あだ名や呼び捨てなどの呼び方をします。これは裏返せば、「呼び方を変えれば、仲良くなれる」ともいえるのではないかと。逆に、距離を置きたい人には、あえてよそよそしい呼び方をしてみたらどうかと考えたんです。例えば、初対面の男性から「〇〇ちゃんさぁ〜」などと下の名前で気安く呼ばれると、一歩二歩うしろに下がりたい気持ちになりませんか? そんな時、たいていの人は「〇〇さん、なんでしょうか?」と、名字にさん付け+敬語で相手から心理的に離れることを無意識に行っているはずです。このように、近づきたい人には距離を近づける呼び方を、離れたい人には距離を離す呼び方をすることで、お互いの距離(=人間関係)を呼び方ひとつでコントロールできるのです。■こんな経験ありませんか? 「呼び方で関係が変わった!」――呼び方で人間関係が好転した事例を教えていただけますか。五百田さん:では、心理カウンセラーとして、よく聞くお話を例に挙げてみましょう。ママ友は、子どもをありきとした関係ですよね。多くの人が「〇〇くんママ」「〇〇ちゃんママ」と呼び合うはずです。でも、LINEやメールのやりとりにいちいち「〇〇くんママ、近々お茶しませんか?」「〇〇ちゃんママ、あさってなら都合いいですよ!」なんて書き続けるのは正直、面倒…。そこで、いつの日からか「ミカちゃん、明日お茶どう?」「アヤちゃん、OK!」と下の名前で呼び合うようになって距離がぐっと近づき、旦那の浮気話までできるほどの仲、つまりママ友ではなくふつうの「友だち」の関係に発展したと聞きました。――夫婦間ではいかがでしょう?五百田さん:心理学の世界では、「ママ・パパと呼び合う夫婦は満足度が低い」という調査結果があります。これは役割呼びをされると、個人として認められていない気持ちになるから。ママをねぎらいたい場面にこそ「〇〇、いつもありがとう」と名前で呼びかけ、グンと株を上げるパパたちがいます。結婚記念日やパパの誕生日には、ぜひ、子どもが生まれる前の呼び方で夫を呼んでみましょう。お互い忙殺される日々で離れがちな心も、一気に近づくはずです。また、義父母の呼び方でも夫婦関係を好転させるケースがあります。例えば、夫の実家に帰省し戻ってきたあなた。同じ内容でも、夫から次の2つのパターンで言われたら、それぞれどう感じますか?A:「うちのお母さんっていつも細かいこと言ってごめんね」B:「〇〇(義母の名前)ってさぁ、いつも細かいこと言うんだよなぁ」五百田さん:謝罪の言葉が入っているAより、義母の名前を呼び捨てにするBのほうが、素直に受け止めることができるのでは?これは旦那さんがお母さんと距離をとる呼び方をすることで、夫婦が共犯関係になる心理が働くためです。義母のいない場面では下の名前で呼び捨てにし、義母を前にしたらきちんと「お母さん」と呼ぶ。呼び分けることで夫婦仲は良くなり、義母に対する奥さんのストレスが軽減するという事例もあります。――本当に呼び方ひとつで人間関係やコミュニケーションって変わるんですね…。五百田さん:私は、言葉の力を信じています。言えばわかると思っているので、メールも話も長いです(笑)。いわば、コミュニケーション信奉者。ネットやSNSの登場によりコミュニケーションが楽な時代になりましたが、だからこそコミュニケーションをさぼっちゃいけない! と思っています。そのとっかかりとして、「呼び方」はとても有効なツールであると思っています。■子どもは見ている「ママの“うまい呼び方”」スキル――人間関係に悩んでいるママたちも、呼び方で状況を好転できるでしょうか?五百田さん:現代のママたちは、仕事に育児に家事に本当に忙しい日々を送っていると思います。コミュニケーションにまで気をつかっていられないという人も多いでしょう。でも、だからこそ! 呼び方ひとつケアするだけでいいんです。子どもに当たってしまったり、ママ友にLINEを返せずにいる時は、下の名前で「○○ちゃん、ごめんね」と呼びかけるだけでも違います。また、自分の子どもが、友だちからどう呼ばれているか? にも注目してみてください。あの子とだけあだ名で呼び合うから一番仲が良いのかな? という具合に、子どもを取りまく友人関係を推し量るバロメーターにもなります。そして何より、子どもは親のコミュニケーション力を見ながら育ちます。ママが呼び方を上手に操り、パパやママ友、義父母たちとうまくコミュニケーションをとるところを子どもに見せるのは、教育上とても良いことだと思います。“うまい呼び方”とは、正しい日本語の使い方やマナーの話ではありません。時には、日本語的に正しくないとしても、人間関係を円滑にするためにはこの呼び方を選択するほうが効果的! という話です。この連載を通して“うまい呼び方”をマスターし、忙しいママを取りまく人間関係がより良くなるお手伝いができればと思います。五百田さんが提唱する“うまい呼び方”の基本の考えがわかったところで、次回から「子どもの呼び方」「夫の呼び方」「ママ友の呼び方」について、具体的なメソッドをご紹介していきましょう。参考図書: 「あの人との距離が意外と縮まる うまい呼び方」 (サンマーク出版)「あの人のことをどう呼ぶかで、距離感は変わる」。コミュニケーション・人間心理の専門家として数々のメディアに出演し、ベストセラーをたくさん世に送り出す「対人関係のスペシャリスト」である著者が、コミュニケーションについてのさまざまな理論や方法論を分析した結果たどり着いたのが、「『話の内容』や『伝え方』以上に、『どう呼ばれるか』で人の心は決まる」という境地。巻頭にはスペシャル対談として、2016年に日本一を成し遂げた北海道日本ハムファイターズ・栗山英樹監督との「呼び方」対談を収録。取材・文/山田裕子
2018年05月29日新年度は環境が変わり、新しい場所や人と新しい関係を築いていく季節ですよね。子どもにとっても刺激がたっぷりで、気持ちが不安定になりやすい時期といわれています。親としては、子どもの心を落ち着かせる言葉がけをしたいところ。でも、ついついいつもの調子で、子どもの不安な気持ちに追い打ちをかけるような言葉をかけてしまっていませんか? 今回は、子どもを不安にさせる「NGワード」3つを厳選し、フォローや改善点も含めてお話していこうと思います。■新しい環境で子どもが抱えがちな「不安」とは?入園・入学・進級を迎えると、子どもは知らない人、慣れない場所という環境に身を置くケースが多いですよね。そんな時、子どもたちは「ここに入っていけるだろうか?」「受け入れてもらえるだろうか?」という不安を意識的、あるいは無意識に感じています。環境が変わったばかりの頃は目新しさが先に立ち、わくわく感でいっぱいだった子どもたち。しかし、それが落ち着いた頃、ちょうどGWの連休が明けた時期くらいから、新しい環境への不安を強く感じ始めるようです。そのため、気持ちが落ち込んでしまったり、園や学校など新しい環境に行くのを嫌がり始めたりと、気持ちが不安定になる子どもが増え始めるのです。■子どもの不安に拍車をかける「NGな言葉がけ」不安な気持ちを抱えている子どもは、何気なく親が口にした言葉に対して、過敏に反応してしまうことがあります。特に、言ってはいけない言葉は、「ちょっと待って」「○○ちゃんてスゴイね」「だから言ったでしょ」の3つ。これらの言葉を、ふだんから何気なく使っていませんか? でも、実はこの言葉、親が子どもにかけてはいけないNGワードのベスト3です。親からしたら、どうしてNGなのかさえ想像がつきませんよね? それは、大人同士で同じ言葉を交わしても、何とも感じないから。でも、子どもは大人とは違う受け止め方をしているようです。「どうして子どもにとって、NGワードなのか?」「では、どう伝えれば良いか」も合わせて説明していきましょう。■子どもへのNGワード1:「ちょっと待って」「ちょっと待って」は子どもを待たせる時、手がかけられない時など、日常的に口にしている人も多いのではないでしょうか。何気なく使っている人が多いと思いますが、実はこの言葉、子どもからするととても曖昧に感じるようです。大人ならなんとなく予測がつく「ちょっと」という時間の感覚を子どもはまだ判断できないので、「“ちょっと”とはどのくらいなのか?」をわからないまま、5分、10分、30分…と母親が自分のほうを向いてくれるのをずっと待っています。この時、うっかり親が待たせていたのを忘れてしまうと、子どもは「自分の気持ちを受け止めてもらえなかった」と感じてしまうのです。それが繰り返されると、子どもは忙しい親を気づかって自分の気持ちを閉じ込めるようになったり、かんしゃくを起こしやすくなったりします。そこで「ちょっと待って」という時は「お洗濯が終わるまで待ってね」や「ごはんを用意するまで待ってね」など、具体的にどのくらい待てば良いのかを伝えるようにしましょう。逆に、子ども本人が待つことを忘れてしまった時も、親から「さっき何か言いかけていたけど、どうしたの?」と声をかけます。そうすることで、子どもは「覚えていてくれた、自分を受け止めてくれた」と安心できます。 ■子どもへのNGワード2:「○○ちゃんてスゴイね」例えば、わが子に新しくできた友だちを話題にあげ「〇〇ちゃん、足がすごく速いんだって。スゴイね」と話しかけたとします。親としては話題のひとつとして口にした言葉でも、子どもはこの時「ママは自分より○○ちゃんをスゴイと思っているんだ…」と多かれ少なかれ感じます。子どもは基本的に親にほめてほしい、認めてほしいという気持ちを持っているので、「親の期待を満たせない自分」に自信が持てなくなります。この思いが強まると、できない自分を受け入れられなくなったり、自分に自信が持てなくなったりしてしまうことも…。なかには、「ほめられることで親から注目を集められないなら、悪さやいたずらをして注目を集めよう!」と、逆の行動をとってしまうケースもあるようです。そんな時は「でも、○○(わが子)はサッカーが得意だもんね」「〇〇は歌を歌うのが上手だよね」など、必ず自分の子どもの良いところもあげて、フォローの言葉を忘れないように。ほかの子をほめる時は、必ずわが子もほめる。これがあるのとないのとでは、子どもの受け止め方や安心感に大きな違いが生まれます。「ママはほかの子だけじゃなく、」僕(私)のことも認めてくれている」んだ」と子ども自身が感じられるような声がけを意識してみると良いですね。■子どもへのNGワード3:「だから言ったでしょ」例えば、「危ないからやめなさい」と注意したのに、子どもが走り回ってヒザをすりむいてしまった。そんな時、ついママの口から出てしまうのが「だから言ったでしょ」ですよね。けれど、この言葉をかけられても、子どもは「何が“だから”なのか」ケガをした理由まで理解できません。そのため、「理由は分からないけれど、なぜか怒られている。とりあえず、これ以上怒られないために謝ってしまおう」という子どもが多いようです。ありがちなシチュエーションですが、このやりとりを繰り返してしまうと、子どもはずっと理由が分からないまま謝り続けることになります。すると、「何が悪いのかわからなくても、とりあえず謝らなくてはならない」という気持ちが子どもに芽生え、怒られることを恐れるあまり、積極性や自信を持ちにくくなってしまうのです。何かを始める、取り組むという時に、子ども」自らブレーキ」をかけてしまうようになることがあります。「だから言ったでしょ」を口にしそうになった時は、必ず「何が“だから”なのか」を子どもへ説明するようにしましょう。前述した例では「走り回ったら、人やモノにぶつかったり、転んだりするよね。だから今、ヒザをケガしたんだよ。今度からは注意してね」という言葉に言いかえます。子どもにもわかりやすく理由まで丁寧に説明すれば、子どもは“だから”を理解したうえで謝ることができます。こうした声がけであれば、親自身が子どものやる気や自信を奪ってしまうことにはならないでしょう。とはいっても、何度注意しても、同じことを繰り返すのが子どもというもの…。100回言っても分かってもらえないこともあるでしょう。半ばあきらめつつも、言葉が与える影響は決して小さくはありません。ママもパパも大変ですが、根気よく声がけしていきましょう!新しい友だちや先生、環境は、子どもにとって刺激的であると同時に不安にも感じます。ごはんを食べている時、一緒にお風呂に入っている時、布団にもぐりこんだ時など、さりげなく今の気持ちを子どもに聞いてみるといいですね。少しでも不安そうなら、やさしく声がけし、ママパパでフォローを。その際、ご紹介したNGワードは決して口にしないようご注意を。
2018年05月28日あなたの持つ“良妻”とはどんなイメージでしょう。料理上手、家事が完璧、人あたりが良い…。いろいろなイメージがあると思います。しかし、そんな“理想の妻”を目指して努力をしているのに、夫の心がどんどん離れていってしまう。「こんなにがんばっているのに夫から愛されている気がしない」と感じている人も少ないくないようです。今回は、良妻に対する夫婦間のギャップ、そこから生じる問題についてお話しましょう。■夫と妻でギャップあり? 夫婦間で異なる「良妻」イメージ家事も育児もソツなくこなし、スキがない家庭人。これが、多くの女性の良妻イメージでしょう。何でもできる“ザ・良妻”が身近にいて、同性ながら憧れている人もいるかもしれませんね。では、夫の抱く良妻イメージは、それと同じなのでしょうか? よく「男性の理想の女性像は自分の母親」なんてことをいいますよね。実はこれ、夫が求める良妻イメージにもつながるんです。多くの男性が、自分の母親を良妻のベースとしてイメージしていることが多いようです(反面教師として、母親と真逆のタイプを理想とする場合もあります)。妻の目指す良妻と、夫が望む良妻には、大きな隔たりがあるのがおわかりでしょう。では、夫にとって「母のような妻」というのは、どんな女性なのでしょうか?それは、「緊張しない場所を提供してくれる存在」。実は男性はプレッシャーのない、適度に自分をゆるめられる状態を常に求めているのです。。そして、それを持っているかどうかが愛情度に関係しているのです。■妻目線の「良妻」を夫はどう感じている?妻が思う良妻を、夫はどう見ているのでしょう。良妻は家のなかをいつもキレイに保ってくれたり、食事を用意してくれるありがたい存在です。仕事で忙しい自分にはできないことなので「すごい! ありがたい!」という尊敬の念や感謝の気持ちを持つ夫は多いでしょう。けれどその感謝が「優秀なハウスキーパー 兼 子どもの教育係」という思いに傾き、必ずしも女性に対する愛情に変化するとは限りません。料理が上手、常に家のなかをキレイにしてくれるという部分では自分の母親、あるいはこうであってほしかった母親像と同じですよね。でも夫は妻に「スキのない完璧さ」を求めているわけではありません。例えば、きれいに整理整頓された部屋にいると気をつかってしまうから、多少ちらかっているほうがくつろげると感じることはないでしょうか。人間関係も同じで、スキがない人と一緒にいると、人間は「自分も完璧でいなければ」というある種の緊張を感じます。そのため、妻が完璧すぎると「ここはくつろげない」と夫はプレッシャーを感じ、“自分をゆるめられる居場所”を妻ではなくほかに求めてしまう傾向があるようです。家のため、家族のために尽くしている妻から見れば「何を甘えてるんだ!」と思うかもしれませんが、男性はいくつになっても甘えたい、癒されたいという気持ちがあり、それを許してくれる相手に愛情を持つようです。では、夫から感謝だけではなく愛情も得たいと願うなら、妻は一体どうしたら良いのでしょう? ■「愛してる」「ありがとう」夫から両方勝ち取るには?「完璧じゃなければ良い妻じゃない」「良い奥さんでいなければ愛されない」という気持ちで良妻を目指しているけれど、実はそれが辛い…。もし、そう感じたことがあるなら、これまでやってきたことを少しやめてみてはいかがでしょうか。妻が理想とする完璧な妻を夫は求めていません。男性が理想とするのは、ありのままの自分を受け入れてくれる適度なゆるみのある妻なのです。そのためにはスキをつくることを意識してみましょう。「しんどいけど完璧にやらなきゃ」という妻の気持ちは、知らず知らずのうちに夫へプレッシャーを与えてしまうことがあります。自分が好きでしているならまったく問題ありませんが「とにかく良い妻でいなければ」という思いにかられているのであれば、意識してスキをつくる必要がありそうです。なかには「これまで完璧にやってきたし、今さらスキをつくれといわれても…」という人もいるでしょう。最初は抵抗があるかもしれませんが、「~しなければ」という気持ちを捨て、手を抜いて2人で楽になる時間を意識してつくりましょう。夫は妻が担当している家事育児の大変さに気付いていないことが多いもの。もし、手抜きを夫に指摘されたら「ちょっと今日は疲れてて。ごめんね」と素直な気持ちで話してみましょう。言葉で伝えるだけでも「そうだったのか」と妻の気持ちを理解するキッカケとなり、そんな弱音をかわいく言う妻のスキに愛情を感じるのです。良妻を目指さなければ夫から愛されないと怖がる必要はありません。男性はどこかで自分の弱さをさらけ出せる場所、人間関係のゆるみを求めています。それが家のなかにあれば、家族ひいては妻への愛情も自然と育っていくものではないでしょうか。
2018年05月21日年齢を重ねても、少女のようなふるまいで周りから愛されている女性。そんな人があなたの周りにもいませんか? いくつになっても「かわいい女性」は、とても魅力的ですよね。男女問わず愛される秘訣(ひけつ)とはいったいどこにあるのでしょうか。■年齢を重ねても周りから愛される人の特徴とは?心理カウンセラーとして、日々いろいろな人と接する機会の多い私ですが「周りから愛される女性」には共通する気質がある気がします。そう感じるようになったのは、60歳過ぎのあるかわいらしい女性との出会いでした。いくつになっても愛される彼女のような女性は、次のような4つの気質を持っている場合が多いように感じます。・「好奇心が強い」ファッション雑誌をチェックし、今流行している歌を聴き、SNSも積極的に利用してみたりと、世の中の変化をキャッチしようと常にアンテナを張っている人。いくつになっても、なんでもトライしてみようという行動力を持ち、好奇心が旺盛。芸能人で例えるなら、テレビの体当たり企画にも抵抗なくチャレンジするデヴィ夫人や、「死ぬまで初めてに挑戦したい」と、80歳を過ぎても筋トレを続け、ファッション本を出版している草笛光子さんのようなタイプでしょう。・「聞き上手」愛される人は、人の話を全身全霊で聞きます。まるで体まるごと耳になったように目をキラキラさせて人の話を聞くので、相手はとても気持ちが良くなり「この人にまた会いたい」と思うようになります。言葉を交わすなかで、「あなたに興味を持っています」という意思表示が自然と醸し出されるタイプ。と同時に、「この人と会うのはこれが最後かもしれない、だから今一緒にいる時間を大切にしよう」という、まさに「一期一会」の気持ちで他人に接している人。・「自分の“好き”を優先する」愛される人は「自分がしたい」と思ったら、すぐ行動にうつします。自分が話を聞きたいから聞く、知りたいから知ろうとする、会いたいから会う。逆に言えば、気の進まないことを無理してまでやりません。はたから見れば「好き勝手ばかりしている人」と思われるかもしれませんが、他人に合わせて不完全燃焼な思いで時間を過ごすことは自分にも、一緒にいる相手にも失礼になると考えているタイプ。自分が好きなこと、したいことをすることで自分自身がイキイキとし、人をひきつける明るい雰囲気を身に着けていき、結果愛されるのです。・「何ごとも楽しむ」愛される人はつらいこと、悲しいことがあった時でも、それを「自分が主役のお話」にして楽しむことができます。また、誰もが楽しくないと思うようなことでも、自分から躊躇(ちゅうちょ)なく今できることを行い、結果良い方向に変換していく力を持っています。 悲しければたくさん泣きますし、怒ることもあります。でも、そんな経験も「人生の肥やし」として自分の成長に役立てていける強さを持っています。そして、それを乗り越えたら、他人が同じ失敗をしないようにとその経験を惜しみなくシェアする心の広さがあります。 ■「いつまでも愛される人」になるために、今日からできることいくつになってもかわいい女性。どんな女性が「かわいい」と思われるかはわかったけれど、自分がそうなるのは難しい…。そう感じる人は多いでしょう。前述した愛される人の特徴をそっくりそのままマネするのは難しいですし、逆にストレスと感じる人もいるかもしれません。でも、1日ひとつだけ、今日からできそうなちょっとしたことから始めてみるのはいかがでしょうか。「自分がラクになることをする」は、すぐにでもできそうですよね。例えば、洗濯は時間に余裕のある夜にする、お風呂掃除をパパに頼む…など、「ちょっと嫌だな…」と思いながらもやってきたことをひとつ、やめたり後回しにしてはいかがでしょうか。自分のラクを優先させることは、自分自身を楽しませる、大切にすることにもつながっていきます。「ささいな楽しみを1日ひとつ作る」でもいいですね。大好きなスイーツをいただきながらティータイムを楽しむ、若い頃好きだった漫画を一気読みするなど、小さくても楽しみがあると気持ちが軽くなります。こういった小さな楽しみを積み重ねることで、以前より笑顔が多くなった自分に気づくのではないでしょうか。また、仕事でも家庭でも人の話を聞く場面は意外と多いもの。そんな時は「この人とは二度と会えない」という気持ちで、全身全霊をかけて話を聞いてみるのもおすすめです。相手に興味を持って、この人の言葉を聞き漏らすまいという気持ちでのぞむと、相手からのリアクションもだんだんを変わってくるでしょう。仕事の場だけではなく、子どもにも夫にも同じような姿勢で話を聞いてみるともっと良いですね。自分の話に興味を持っていると感じると「こんなに聞いてもらえてうれしい」「もっと話していたい」と感じるもの。家庭という場で「愛されママ」「愛され妻」になることは、そう難しくないのではないかと思います。ストレスを感じない程度に「できそうなこと」をやっていると、いつしかそれが日常になっていき、いつの間にかあなたを「いくつになっても愛される女性」に変身させているかもしれません。ぜひ、試してみてください。
2018年04月30日春は変化の多い季節。家族間の変化でいうと、夫の単身赴任などで家族が離れ離れになってしまうという人もいるかもしれませんね。夫との間に物理的な距離があいてしまう時、心の距離まで開いてしまわないようにするためにはどうしたらいいのでしょう。今回は、夫と分かれて暮らす際の距離の埋め方、また同居中でも気持ちが離れてしまった時の対処についてお話していきましょう。■夫が単身赴任! 物理的な距離に負けない心の距離の縮め方期間限定の単身赴任はそれほど心配いりませんが、特に期限が決まっておらず夫と物理的な距離が空いてしまう場合は、「気持ちが離れる可能性がとても高い」という危機感を持っておくようにしましょう。もし、お互いが不在の生活に慣れてしまい、何もアクションを起こさないままというのは、浮気などの危険性がとても高くなります。そうした状態を回避するには「メールではなく、1日1回電話する」といった、互いの存在を認識し合うコミュニケーションが非常に有効です。家族と離れた生活は、どんな男性でもさみしくなることはあります。それを埋めてくれる家族以外の存在を作りたくなってしまうこともあるでしょう。けれど、妻と密なコミュニケーションが日常的に行われていれば、夫はほったらかしにされているさみしさを感じにくくなります。また、子どもを電話口に出させたり、手紙のやりとりをさせたりするのも効果的。「俺には家族がいる」「子どものために頑張ろう!」といった責任感を芽生えさせ、家族のつながりをあらためて感じさせることができるはずです。一方、“亭主元気で留守がいい”とよく言われますが、妻は「いないほうが何かと楽である」ことを夫自身に悟られないようにすることも大事です。「俺がいないほうがいいんだな」という気持ちを抱かせてしまうと「頑張ろう」「早く一緒に暮らしたい」という気持ちがなくなってしまうのでくれぐれも注意しましょうね。■夫のことは嫌いではないけれど…同居中でも心が離れてしまったら?「同居していても夫と気持ちが離れてしまう…」という場合は、どうすればいいのでしょうか。気持ちが離れてしまうには、その理由が必ず存在します。まずは、どうして気持ちが離れてしまったのか、自分の心に問いかけてみたり夫と話すなどして、その理由を探してみましょう。自分の主張、夫の主張が見えてきたら、どれだけ相手に歩み寄れるかを考えてみます。自分の主張を曲げてまで、夫と心の距離を縮めたいと思えるかどうかも重要です。「夫のことは嫌いではないけれど、わざわざ結婚している意味が分からない」という場合は、将来に向け、夫婦共通の目標を持ってみるのもひとつの方法です。「子どもたちが自立したら世界一周でもしよう」「小さくても良いからお店を持ってみたいね」といった夫婦2人の夢を持つことで、「自分1人だけ」の未来のビジョンが「夫婦2人」のものとなり、すでに開いてしまった心の距離を埋めるキッカケとなるかもしれません。 ■「妻から離れがちな夫」「夫を離さない妻」のタイプとは?世の男性のなかには「奥さんがいないと何もできない」タイプもいることでしょう。料理などしたことがない。家事も人任せ。これまで自分ひとりで生活してきたことがなく、結婚してからも妻にすべてを依存している夫の場合、単身赴任で「浮気に走りやすい」傾向があります。その理由は、できないことだらけの自分ひとりの生活に嫌気がさし「妻の代わりになってくれる存在」を探してしまうからです。夫の身の回りや家のことすべてを切り盛りする“できた妻”は要注意! 「家のこと、何もできないから心配…」と送り出した単身赴任の夫が、わずか数カ月で“妻の代わり”を見つけてしまうケースは少なくありません。一方、物理的な距離が開いても夫の心を離さないタイプの妻も存在します。それが“夫に(表面上だけでも)頼りきっている妻”です。妻に頼り切っている夫は単身赴任中、他の人に目がいきやすいと前述しましたが、その逆の場合、妻が夫に頼り切っている場合は離れていてもうまくいくケースが多いです。というのも、“夫頼り妻”は意識せずとも夫と密なコミュニケーションをとろうとするため、夫は妻の存在を常に意識しています。どんな男性もさみしくなることはあります。そのことを意識して、お互いの存在を意識させる時間を持つようにしましょう。そうすれば、例え距離が離れていても、いつも夫を近くに感じることができるかもしれませんね。
2018年04月16日夫に協力を頼めない、ほかに頼る人がいない…。自分1人で子育てのあらゆるタスクをこなしている状況を「ワンオペ育児」と呼ぶそうです。そんな状況下では、1人の辛さや苦しさから気持ちに余裕を持てなくなったり、生活を切り盛りするのが難しくなったりする人も少なくないと聞きます。ワンオペ育児で心が折れないために、どうすればいいのでしょうか。■ワンオペ育児は「自分劇場」? 女優魂で乗り切ろう1人で子育てしていると「どうして私だけがこんなに辛いんだろう」と思ってしまうこともあるでしょう。でも、その「私だけ」という気持ちは心をもろく、折れやすくしてしまうものです。そんな時は、自分を主人公に見立て、「自分劇場、開幕!」としてみてはいかがでしょうか。映画やドラマでは何かしら事件やトラブルが起こりますよね。それを解決するために主人公が立ち上がるわけですが、自分もそうした世界の主役であると想像してみましょう。「寝坊した! 子どもを園に送る時間まであと15分。やるしかない!」「明日のお弁当に使える材料がひとつも見当たらない。さあ、どうする…」と事件(!)の当事者になったつもりで、そのシチュエーションを楽しんでみるんです。「私は“母1人子1人劇場”の主人公で、女優なの!」と思い込めば「さっきの演技、こうしたほうがもっとうまくいったかも」なんて改善点が見つかることもあるかもしれません。イライラする気持ちも生まれにくくなるのではないでしょうか。しかし、子育ては長きにわたる大仕事。女優モチベーションがずっと持続できるか心配になるでしょう。もし、「もう自分劇場の主人公でいられない」と感じる時があったとしたら、それはほかに原因があるはず。自分の気持ちを見直す時間を持つようにしてみると良いですね。■自分で自分を苦しめない「罪悪感」の解消法「仕事で忙しく、子どもと過ごす時間が少なくて申し訳ない」「専業なのに、自分だけの時間を持ちたいなんて贅沢」なんて思ってはいませんか? 「時間はすべて子どものために使わなければ」という自己犠牲ともいえる思い込みが、ワンオペ育児をいっそう辛く感じさせてしまうものです。だからこそ、積極的に自分だけの楽しみ、自分だけの時間を作るよう意識してほしいのですが、その邪魔をするのが「罪悪感」という名のモンスター。そんな罪悪感を解消する方法のひとつが、三者択一で自分の心の声に耳を傾けることです。例えば、「1人の時間を持ちたいからといって、仕事もしていないのに子どもを誰かに預けるのは忍びない」と思っている人は、「私は1人の時間を持ちたい」「私は1人の時間を持ちたくない」「私は1人の時間を持たなくてもいい」の3つを思い浮かべてみましょう。どれが心にズキンと響くでしょうか。この質問を自分に問いかけて、自分の心の声としっかり向きあい、3つの中で「私は1人の時間を持ちたい」が一番気持ちにフィットするのであれば、自分が楽しむのは、家庭のため! と発想を切り替えましょう。実際に、1人の時間を過ごしたり、自分が楽しむことにお金を使うことで、気持ちが軽くなりハッピーな気分になれば、それは子どもや夫にも伝染し、結果的に周囲との関係性も良くなっていくものです。また、自分の子どものことを、周囲の人に対してむやみやたらと「忙しくてずっとそばにいてあげられなくてかわいそう」と言うお母さんがいますが、それは今回説明したものとはまた別物。その場合は、「子どもをかわいそうと思うこ とで得ることができる、なんらかの感情」を抱えているケースが多いです。例えば、「今の状況は子どもにとってかわいそうと思うことで、(実際はともかく)自分は育児をしっかりこなしている、きちんと子どもを気にかけているお母さんなのだと周囲の人に思われたい」のかもしれません。もしくは「子どもはやはり母親がぴったりと寄り添って育てたほうがいいのだ」といった価値観に自分が苦しんでいるのかもしれません。 ■もっと育児を楽にする「思い込み・理想を手放す」自分1人で子育てを続けていると、「この子のことをわかっているのは私だけ」という思い込みが強化されますし、どうしても視野が狭くなってしまいます。そのため、子どもを他人に預けることをためらってしまうこともあるでしょう。でも、それではお母さんと子ども、1対1の 関係は煮詰まるばかりです。育児に関してほかの人と共有できる、もしもの時に頼れる人がいるというだけで、気持ちがずいぶんと楽に感じられるはずです。夫や父母が当てにならないとしたら、一時保育先の先生やベビーシッターさんなど何人かお会いしてみましょう。その中で「この人になら預けられる」と直感で信用できる人がいたら、思い切って短い時間からでも子どもを預けてみましょう。お母さんから離れても、変わらず楽しんで過ごす子どもの様子を見れば、さまざまな人とかかわることが子育てのマイナスにはならない…と、自分の思い込みも変わっていくでしょう。また「21時までに寝かさないと子どもは大きくならない」「お惣菜ばかりの食事では栄養がきちんととれない」など、“理想の育児”にとらわれて、目には見えないルールに毎日ががんじがらめになっていませんか?そんな時は一度「これって、誰が決めたルールだろう?」と考えてみてはいかがでしょうか。そのルールが自分にとってストレスがなく「スッキリする」「楽しい」ものであればいいですが、そうではない場合、一度ルールを見直してみるのもアリだと思います。もし、あなたがワンオペ育児を「辛い」と感じているなら、すぐに苦しみを解消していく方法を考えていきましょう。大変なこの状況を舞台設定として、女優気分で楽しむ。遠慮せず自分を楽しむ。思い込みのルールを捨て他人を信じる。ひとつでも意識することで、少しでも心を軽くしていけるでしょう。
2018年04月10日甘く深い官能の世界は、いつでもそこにあるものの、それを受け入れる心と身体の準備ができていなければ、その悦びを本当の意味で感じることはできません。今回は心理カウンセラー・塚越友子さんに実践的なアプローチで五感と本能を目覚めさせ、人生の新たな扉を開くための、特別レッスンをお願いしました。快楽を求める本能に忠実に、自分を縛るタブーを捨てる方法とは?未知の体験を心から味わって、社会や文化に囚われた自分を解放。日本は社会的にも文化的にも、女性が官能的な快楽を求めることをタブーとしてきた歴史が長い。「その結果、極私的な感情&感覚であるはずの官能の要不要を、男性の望みにどう応えるかで判断しがち。生身の自分自身の身体や心がどう感じているかに対してはなおざりなんです」(塚越さん)また情報過多な現代では、官能まで情報に支配され、体験を味わいきれずに消化することに終始してしまう。「官能とは感じること。未知の体験を重ねましょう」LESSON1:茶道や華道を始めてみる。周りの意見を気にしがちな人は特に、雑念と距離を置く有意義な時間を持って。世の中の刺激から離れ、体験そのものに集中、没頭できると、自分主体の考えが持て、官能的思考も復活する。瞑想も効果的だけど、慣れない人にとっては対象があった方が集中しやすい。対象物に集中、没頭することができる、茶道や華道がオススメ。LESSON2:子供の頃に好きだったものを書き出してみる。行動を起こす時に「~しなければ」という思考が優先してしまう人は、価値基準が他人任せになっている証拠。大切なのは「~したい」「~すると気持ちいい」という感覚。大人になるにつれて自分の感覚を後回しにしがちなので、子供の頃に好きだったこと、心地よいと感じていたことを書き出して、本来の自分を取り戻して。LESSON3:普段はやらない、非日常の体験をする。最近は、失敗することを恐れて未知の体験を避ける傾向が。でも、ネガティブな感情も含めて様々な感覚を経験することが心の解放につながる。特に不感症になっている人には荒療治が必要。一人旅など非日常の体験をすることで、自分自身のリアルな感覚がわかってくる。行く場所、やることもその場の感覚に任せるとより効果的。LESSON4:湧き起こる気持ちが自分自身の感情か、確かめてみる。官能的な感情はとても個人的なもの。でも普段から他人の感情に振り回され、物事のジャッジを人任せにしている人は要注意。他人が良いと言ったものを良いものと思い込んでいるだけかもしれないし、負の感情も同様。今感じている気持ちは、他人の感情か、自分自身のものか、折に触れ客観的にジャッジする癖をつけてみよう。LESSON5:家族やパートナーと一緒に餃子を手作りする。人との心の距離感を取りづらいと感じている人は、実は、相手を自分の思い通りにコントロールしようとしすぎなのかもしれない。心理的なアプローチとしてある心理学者が提案しているのが、家族や恋人と一緒に餃子を作って食べること。五感全てを使う行為なので、情緒的な共通体験が、心地よい関係性を築いてくれるそう。塚越友子心理カウンセラー。『東京中央カウンセリング』代表。薬を使わない臨床心理を実践。現在改めて大学院に通い、親子間における心理学の新たな研究にも没頭している。スリップ¥4,980(ピーチ・ジョン/ピーチ・ジョンTEL:0120・066・107)フリルベッドカバー¥17,584フェザークッション各¥3,695ベロアクッションカバー¥1,843(以上ザラホーム/ザラホーム・ジャパン カスタマーサービスTEL:03・3462・2133)※『anan』2018年3月14日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・白男川清美ヘア&メイク・浜田あゆみ(メランジ)モデル・中尾有伽(NAME)取材、文・板倉ミキコ(by anan編集部)
2018年03月10日頭のなかで考えていることは、現実世界でも起こりえるという「引き寄せの法則」をご存知でしょうか? 「こうなったらいいな」と日ごろから思い続けていると、それが現実化する法則で、実践している人も少なくありません。なんだかスピリチュアルな話のように思えますが、実は、心理学的にもこれは理にかなっています。人は「こうなればいいな」と一心に思い続けていると、無意識のうちに自分の願いがかなう方向を選び行動するため、実現する可能性が高くなるとか。けれど、その一方で「毎日こうなればいいと願っているのに何も変わらない」という人もいます。どうして、同じように思い続けているのに、願いがかなう人とかなわない人がいるのでしょうか? その理由のひとつに、「ネガティブ思考は悪」という強い思い込みが邪魔をしている場合があります。■「ネガティブ思考はダメ」という思い込みを捨てるイヤなことがあった時、皆さんはどう感じますか? とことん落ち込む、気分転換をする、原因を考える…。人によって、いろいろな感じ方がありますが、なかには「そんなイヤなことなんて考えてはダメ。いつもポジティブでいなければ」と考える人もいます。ポジティブは「いつでも前向き」、反対にネガティブは「暗くて後ろ向き」。そんなイメージがありますよね。どちらがいいかといえば、ポジティブであるほうがいいに決まっています。しかし、人は「イヤなことを考えてはいけない」と思えば思うほど、実はそのネガティブな感情に縛られ続ける生きものです。「今の状況は理想ではない」→「やっぱりうまくいかない、ダメだ」→「いや、そんな風に思ってはいけない! ポジティブに考えなくては」と思うほど、「うまくいかない、ダメだ」と感じている部分が心の中でクローズアップされていくのです。前述した願いがかなう人とかなわない人との分かれ道は、まさにそこなのです。ポジティブになろうとするあまり、ネガティブな思い(「うまくいかない、ダメだ」)をよけいに強化してしまっているのです。ネガティブな思いを無視して、「良いことだけ考えていればうまくいく」という他力本願なポジティブ思考は、理想からどんどん離れてしまうのではないでしょうか。この世にネガティブな部分がまったくない人はいません。後ろ向きなネガティブ思考を頭から否定するのではなく、その本質を見つめて「仕方ないよね」と認めることが大切です。「私は今、ネガティブになっている」と認め、そこからどうするかを考えて、初めて次の一歩へと進めるわけです。ネガティブになるのは仕方のないことで、必ずしも悪いことではない。「ネガティブ思考はダメ」という思い込みを捨ててみると、グンと気持ちが軽くなり、次のステップへ進むことができるでしょう。■ネガティブになる状況「で、どうする?」が好転のチャンスネガティブになるのは現状を「良くない」ととらえられているからこそ。裏を返せば、ネガティブ思考になっている今は「成長の伸びしろ」「成長するチャンス」と置きかえることもできます。例えば、上司から「文句ばかり言われてイヤだなあ」と感じているとしましょう。こういうタイプの人には、どう対応するのが良いのだろうと考え、少し対策を練ってみます。すると、その行動は少なからず自分の対人スキルにつながっていくはずです。また、夫に対して「もっと仕事で成果をあげてほしい」と思うなら、どんなサポートが夫の意欲を引き出すのかを考えてみます。お茶でも出してゆっくり話を聞いてあげれば、気持ちに余裕を持ってもらえるかも。そう考えるだけで夫への接し方が変化し、夫婦関係の安定につながることもあるかもしれません。逆に、「どうするか」の方法の一つに、この問題にこれ以上かかわらない、あるいは一定の距離や時間をおくという考えもあります。待つ、逃げる、否定を認めるというのは、マイナスイメージを持たれがちですが、あくまでも手段のひとつ。ネガティブな行動ではありません。 ■「自分に必要なものは何か?」ポジティブ思考との付き合い方ネガティブの逆といえば、ポジティブ。では、ポジティブ思考とは、どのように付き合っていけばいいのでしょうか? まずは第一に、「すべてにおいてハッピーに」を目指す必要はないと考えましょう。例えば、誰でも他人からは「好かれたい、良い人と思われたい」と願うでしょう。でも、万人に対して「良い人」になるのは現実的にとても難しいものです。「誰にとって」良い人なのかによって、良い人の定義は180度変わるからです。例えば、先日亡くなった野村沙知代夫人を例に挙げてみましょう。悪妻の代名詞のように言われた彼女ですが、夫の野村克也さんにとってはまったく違いました。世界中が敵に回ったとしても、唯一自分の味方でいてくれる、かけがえのない存在だったのではないでしょうか。同じように部下から「頼りがいがない」と思われていても、子どもから見たらとことん遊んでくれる「良いパパ」であったり、上司から「融通がきかない」と思われていても、友人からは「信頼できる良い人」と思われていたり。万人に良い人であろうというのは、無理が生じるわけです。それは、ポジティブ思考にも通じます。100%ハッピーなポジティブ思考でいようと思うと、正直疲れますよね。自分は一番、何に対してポジティブでありたいのか。そこさえおさえておけば、すべてハッピーを目指す必要はありません。自分にとって必要なものに、ハッピーであれば良いと私は思います。■子育て・夫育てに応用できる「ネガティブ・ポジティブ」自分の中のネガティブ思考、ポジティブ思考を見つめ、理解し、コントロールできるようになれば、子どもや夫との関係にも生かすことができるでしょう。例えば、子どもには良い学校に進学してもらいたい、夫には出世してほしい、もっと夫婦仲を深めたいといった理想があるとしましょう。でも、今はその理想とはほど遠い状況。となると、不満は募りますよね。そういった場合、「今は理想に向かっている過程、その途中にある」と見方を変えてみるのです。すると、未来を心配してネガティブ思考におちいる心配もありません。逆に、「夫や子どもがネガティブ(ポジティブ)思考なんですが…」というご相談を受けることもあります。わが子が「どうせできないよ」「僕はダメなんだ」といったネガティブ発言が多ければ、まず「そうか、そうか」と受けとめてあげてください。そして「大丈夫」「私は応援するよ」と声をかけ、自信を持たせてあげてみましょう。「私はいつでもあなたの味方だよ」ということを伝え続けることです。反対に「どうにかなるよ!」と常にポジティブ思考の夫というのも、逆に心配ですよね。「そうだね」「すごいね」と受けとめながらも「こうなる可能性もあるんじゃない?」と、それとなくリスクや注意すべき点をあげましょう。夫の考えを否定せず、あくまでも一つの考え方として提案すれば、夫も受け入れやすくなります。その言葉に反応してもらえれば、思わぬ失敗を未然に防ぐこともできるかもしれません。インスタグラムやブログなど個人発信のSNSなどを見ると、全員が全員、100%幸せでキラキラなポジティブライフを送っているように見えますよね。でも、見えているのはほんの一部だけで、実際はどうなのか誰もわかりません。そういった他人のキラキラアピールに飲み込まれて、不安になる必要はないのです。ネガティブ思考は決してダメなことではなく、ポジティブとは表裏一体。だから、どちらの思考にかたよっても、決して恐れる必要はありません。そう心の隅にとめておくだけで、ポジティブ思考に固執することも少なくなるのではないでしょうか。
2018年03月10日新しい年の始まりは、一年の運勢が気になりますね。実は、私も占いは大好き。その時々で結果を楽しんでいます。でも、未来の自分をすべて占いにゆだねてしまう人も、世の中には少なからずいるようです。「どうなるか分からない未来が不安。だから占いに答えを教えてもらいたい」その気持ち、よくわかります。今回は、占いをちょうど良く楽しむためのコツについてお話ししましょう。■頼りすぎる傾向にあるのは「自分を信じていない人」占いに頼りすぎる人は、「頼りやすい」環境に身を置いている場合が多いといえます。例えば、ミスが許されない立場にある、あるいは失敗できないと本人が思い込んでいる環境にあるなど…。また、これまでがあまりに物事がうまくいきすぎたせいで、かえって自分の弱みを家族を含め誰にも見せられない状態になっていたり、ということもあります。気持ちの部分で、自分のことをどこかで信頼していなかったり、自分を無力だと思ってしまっている人。こういう人は、占いに左右されてしまう傾向が強いといえます。■「自分の声を教えてもらった」占いをほどよく楽しむ秘訣「何人も占い師さんに聞いてみたけど、みんなバラバラで迷ってしまう」という人がいます。それもそのはず、占い師さんは自分の声の代弁者でもあります。自分の心の声に気づかせてくれるわけです。だから、自分の心が迷っていれば、占い師さんの答えもバラバラになるのは当たり前。占いを適度に楽しむなら「自分の心の声を代弁してくれている」と思うことが大切です。もし、占いの結果が悪かった時は、自分のネガティブな声を教えてもらったと受け取りましょう。「今は運気が悪いからやらないほうがいい」と言われたら、今自分はやりたくないと思っていると考えればいいのです。それに対して「それでもやってみよう」と思うのか「今はやらない」と決めるのかは、自分次第。占いに対して「心の声を代わりに言ってくれてありがとう」と受け止めれば、もっと気楽に楽しめますね。 ■「ただの占い好き」との境界線は?「ただの占い好き」と「占い依存」の違いは、どこにあるのでしょうか?あなたは、困った時、不安に思った時に「あの人ならどう言うだろう」と占い師さんを思い浮かべたことがありますか? その時は、要注意。自分ではなく、他人に決めてもらおうと思っていること自体が、占いという「他者」への依存傾向が強くなっているサインでもあります。答えを自分で決めるのは、とても心を消耗する作業ですし、自分と向き合うのはしんどいですね。でも、自分と向き合い、努力しない限り、これまでの流れを延々と繰り返すしかありません。「どうして私はこうなっているのだろう?」と自分自身を見つめ直すチャンスととらえましょう。■家族への不満度を知るサインかも当事者ではなくその夫から「妻が占いばかりしている。どうしたら良いか」という相談が持ちかけられるケースもあります。その場合、妻が「家族」そのものに対して悩みを抱えていることが多く、妻の悩みをもちろん夫は気づいていません。そういった事例では、これまでの経緯や事実の中から、その悩みのきっかけを探していくことになります。事実をあげていくと、「おそらくこれが原因では?」という妻が抱いている不満、悩みがぼんやりと浮き上がってきます。そうなれば、そこからは夫婦での話し合いが必要となります。妻がもし占いばかりしていると感じたら、「何か不満を抱えているのかな?」と心の内を気にかけてあげましょう。そして、妻にきちんと向き合って話し合う機会を持つ、妻の不満に共感するということが大切になってきます。企業の経営者などは、さまざまな結果を想定して悩み抜き、すべての責任を負う覚悟で物ごとを決定します。けれど、最後の最後、もうひと押し欲しい。そんなとき、神社やパワースポットに行ったり、占いをしたりするそうです。思いを貫く時、その原動力のプラスαとして何か、例えば、占いを頼りにすることは良いことだと思います。自分と向き合う、そのひとつのきっかけとして、占いを楽しみましょう。
2018年01月19日思い出したくない、思い出すと辛い気持ちになる。誰にでもそんな「イヤな記憶」があるものではないでしょうか。忘れたいのに、いつまでたっても忘れられない。精一杯目をつむり、見ないようにすることで距離をとっていくしか方法はないのでしょうか。でもイヤな記憶は、持ったままで幸せになることはありません。新しい年の始まりを迎え、イヤな記憶と決別するには、ちょうどいいタイミングかもしれません。■イヤな記憶にとらわれてしまうのはどうして?思い出したくない思い出。カウンセリングを受ける患者さんたちのそういった記憶をひも解いてみると「小さい時の不快な経験」である場合が多いようです(事故や事件に巻き込まれた記憶など、原因が明確である場合を除きます)。「誰かとつながっていたい」という所属の欲求、そして「認めてほしい」という承認の欲求、これらが満たされなかったときに、イヤな記憶は生まれやすいといわれています。例えば、子どもの時、お母さんから「うるさい!」と言われると「自分はうるさいんだ、嫌われてしまう」という思いを抱き、欲求が満たされずにイヤな記憶として残ってしまうことがあります。あるいは「おはよう」とあいさつしたのに無視された…。大人なら「今、忙しいのかな?」とこれまでの経験からいろいろなケースを考え、忘れることができますが、子どもは圧倒的に経験が少なく、快・不快といった両極端な感情しかないために、イヤな記憶として残りやすいのです。■「親に愛されなかった」思いがイヤな記憶にイヤな記憶とはそもそも、所属、承認の欲求が何らかの出来事で満たされなかったと、自分で認識してしまったものです。一般的には、成長するにつれて「これはできないけど、これはできる」といった経験を積んでいき「自分は認められている」ことを学び、イヤな記憶は徐々に消えていきます。けれど、自分が大事にしていることで気持ちが満たされなかった場合は、大人になってもずっと残ってしまうことがあります。特に多いのは、親に対する思い。「満たされなかった」という思いは最後まで強く残ります。そのため、自分が子育てをする立場になった時、「親から愛されなかった記憶から、わが子を溺愛する」ケースや「自分がつらかったから、子どもを攻撃する」ケースなど、自分の代わりを子どもに求めてしまうことがあります。では、イヤな記憶にとらわれてしまう人、そうでない人との違いはどこにあるのでしょう。それは「過去の記憶を認めているか、いないか」の違いです。自分自身の性格や、人間的に優れているか、劣っているかといったことは、あまり関係がありません。 ■イヤな記憶を自分の糧に「過去の記憶と向き合う」方法イヤな記憶にとらわれている人に一番伝えたいのは、「イヤな記憶は決して悪いものではない」ということです。「過去の記憶を認める」というのは、「イヤな気持ちを感じた自分と向き合い、その感情を受け止めている」ということです。「こんなイヤなことを考えている自分はダメだから考えないようにしよう」などと目を背けず、イヤな記憶は自分の思考グセを教えてくれるものととらえましょう。「幸せになるために、これから変えていったほうがいいよ」というサインだと考えてみるのです。心理学の世界では、過去の記憶と向き合うためにいろいろな方法があります。ここでは、ご自身でできる簡単な方法をご紹介しましょう。1.イヤな気持ちを感じた時、過去にも同じような気持ちになったことはないか思い出す。2.その時の様子を紙に書き出してみる。3.それが「事実」なのか、自分の「感情」なのか、自分の「意見」なのかカテゴライズする。「むかついた」「恥ずかしい」など、イヤな気持ちを持ったときは、同じような気持ちを過去にも抱いたことがある場合が多いようです。例えば、子どもを叱りつけ泣かせてしまった自己嫌悪を、過去にも同じように感じたことはありませんか? 仕事で部下に言わなくてもいいこと言ってしまい落ち込んだ時は、もしかして以前、同じことを上司から言われたことがあるのではないでしょうか。頭で考えることは時間がたつと消えていってしまいますが、紙に書いて視覚化することで自分の気持ちがどんどんクリアになってくるはずです。そして事実、感情、意見に分けて考えることで、新たな側面を発見することがあります。以前、カウンセリングを受けた方で、仕事も結婚も子育ても順風満帆なのに、なぜかいつもモヤモヤする、という患者さんがいました。過去をたどってみると子どものころ「100点をとっても親に褒めてもらったことがない」という記憶を持っていることが分かりました。でも、記憶をご紹介した方法で整理していくと「親せきに(娘が)100点をとったことを自慢していた」ことを思い出しました。「親に褒められたことがない」というのは事実ではなく、実は思い込みだった…というケースもあるのです。イヤな記憶が事実ではなく、感情からきていたときは自分の思考グセを変えるチャンスです。「イヤな記憶」は自分の中にあってもいい。その記憶を認めて、自分の考え方を見つめ直すことで「イヤな記憶にとらわれる」ことは少なくなっていくでしょう。
2017年12月31日スクールカウンセラーとは出典 : スクールカウンセラーとは、学校現場において児童や生徒、その保護者に対して、臨床心理に関する専門知識を生かしながらサポートしていく専門家です。教員とともに親子をサポートするほか、教員への指導・心のケアも行っており、近年、学校現場でニーズが高まっています。スクールカウンセラーの仕事内容等、詳細については、こちらの記事をご覧ください。スクールカウンセラーとして働くことができるのは、基本的には、臨床心理士、精神科医、大学教員が多いです。また、今後は新しく誕生した心理職初の国家資格である公認心理師も、スクールカウンセラー業務を担うこととなりそうです。これらの資格を持つスクールカウンセラーは、まさに、学校現場における臨床心理の専門知識に基づき、心のケアを行う専門家といえます。参考:厚労省|資料6「スクールカウンセラー」についてスクールカウンセラーに相談できる問題とは?出典 : スクールカウンセラーには、学校に関する悩みだけでなく、その背景にある家庭環境の問題や、個人の心身の問題など幅広く相談できます。くわしくは以下の記事をご覧ください。ここでは、スクールカウンセラーに相談できる子どもの問題について、いくつかの具体的な問題をご紹介します。例えば、友人関係のトラブルやいじめ、成績低下などが積み重なり、何らかのきっかけにより、学校を休むようになり、不登校になってしまう場合があります。特に、発達障害がある子どもは、周囲の理解のなさや不適切な対応により人間関係がうまく構築できない、学習についていけないといった状況が進み、結果として不登校に至ってしまう可能性が指摘されています。そして、不登校で、自宅以外の場所での活動がないまま6ヶ月以上家から出ない状況が続くと、ひきこもりへと移行してしまう場合があります。不登校・ひきこもりが発達障害や精神疾患による困りごとに起因している場合、その困りごとへの対処を行わない限り、根本的な解決は難しいといわれています。発達障害や精神疾患についての専門知識が豊富なスクールカウンセラーの関与は、不登校を根本的に解決するために望ましいといえるでしょう。出典 : 発達障害がある子ども、または、グレーゾーンの子どもは、勉強や仕事の理解や進め方、注意の集中や持続の偏り、対人関係でのすれ違いなど、生活に支障が出るような特性や困りごとを抱えていることが多くあります。発達障害の特性があることに気づかなかったり、気づいていても適切なサポートを受けられなかったりすると、周囲に理解されず怒られたり非難を受けたりするなど、失敗体験を積み重ねてしまいます。その結果、本人の自尊心や、やる気が失われてしまい、それが二次障害につながることがあります。スクールカウンセラーへの相談をきっかけに、相談センター(保健センター、子育て支援センターや児童発達支援事業所)や医療機関のような専門機関とつながるケースもあります。これらの連携の下に、家族や学校が適切な対処をすることによって、上記のような困難を解消することが可能となります。何らかの心の問題を抱えている子どもは、その原因が家庭にある場合があります。家庭での問題についても、スクールカウンセラーに相談をすることができます。この場合、子ども自身が相談することができるほか、保護者が相談に行くこともできます。誰がスクールカウンセラーに相談できるの?出典 : 就学期のお子さんを育てている、悩める保護者の方には、「スクールカウンセリング」は、子どもだけが相談に行く所だとか、少し敷居が高い、というイメージがあるかもしれません。以下のコラムを書いた、発達ナビライターで漫画家のかなしろにゃんこ。さんもそんな風に感じていました。しかし、スクールカウンセラーによるカウンセリングの対象者には、子ども(児童・生徒)だけでなく、保護者や教職員も含まれます。もちろん、保護者ひとりだけで利用することもできますが、それだけでなく、子ども・保護者・教職員の三者間を取り持つ役割を担っています。例えば、保護者の相談をきっかけとして、スクールカウンセラーが、教職員へ児童・生徒に関するアドバイスを行うことがあげられます。スクールカウンセリングは特別なものではなく、気軽に相談できる場所です。スクールカウンセラーの池田先生は、子どもがカウンセリングに行くことを渋る場合は特に、無理やり子どもを連れていくのではなく、まずは親がカウンセリングを受けてみることをおすすめしています。実際のカウンセリングの現場とは?出典 : では、スクールカウンセラーは、実際にはどんなふうに問題を解決してくれるのでしょうか?発達ナビのコラムを執筆してくださっているライターさんや、國學院大學教授で元スクールカウンセラーの池田行伸先生の経験談を中心に、スクールカウンセリングの現場から、その様子をご紹介します!発達ナビライターのkaoruさんは、息子さんが集団に適応できなくて一番大変な時に、スクールカウンセラーに2つのことを薦められました。1つは、プレイセラピー、もう1つは、スペシャルタイムでした。これを実践してみたところ、大正解!学校生活や療育、診察などで疲れた子どもにとって、心から楽しいと思える癒しの時間になり、お子さんの成長にも良い影響があったようです。スクールカウンセラーのアドバイスで、子どもの精神状態や親子関係に良い影響が生まれたケースです。次に、國學院大學教授・元スクールカウンセラーの池田行伸先生が担当した事例をご紹介します。相談者は、不登校の女の子と、その母親でした。池田先生が、「学校で何か嫌なことがあったのか」、「友だちと気まずいことでもあったのか」と問いかけても、女の子は無言のまま。母親は、「家で娘に尋ねても嫌なことやいじめはないと言うのです」と代弁します。しかし、約半年のカウンセリングを継続する中、それまで一言も発しなかった彼女は、ついに自分から話し始めました。一見意味のないようにみえたカウンセリングでも、子どもにとっては自分を見つめるきっかけになったり、保護者の心の安定につながったりと、継続することで良い影響をもたらすことがあるのですね。詳しい考察は、こちらの記事をご覧ください。子どもを思うあまり、学校と保護者の関係がこじれてしまうこともあります。その結果、家庭対学校の構造ができてしまうと、なかなか対立は解消できないケースも多いようです。”平静さを保っているように見えても、心の底ではお互い分かり合えない複雑な感情を抱いている。そんな状態では、学校は家庭がもっとしっかりやるべきだと考えるし、家庭は学校が悪いから自分の子がおかしくなったと考えるわけで、お互いの不信感がつのるばかりです。”このような状況をどのように解決すれば良いのでしょうか?以下の記事にはそんなときの解決のヒントとしてスクールカウンセラーが紹介されています。スクールカウンセラーは、保護者や他の教職員と利害関係が存在しない「第三者性」「外部性」を有する専門家です。当事者が多数いて問題が複雑になってしまった場合などこそ、調整役としてのスクールカウンセラーの存在意義が発揮されるのです。学校と保護者が、子どもに関する問題について対立してしまい、当事者同士ではなかなか解決できない時には、スクールカウンセラーを利用してはいかがでしょうか。出典 : 発達障害児の概念が生まれ個別の支援が叫ばれるようになってから、教育現場では、個の教育的ニーズ(必要性)に合った教育というスローガンが生まれ、教育する側も努力が求められるようになりました。以下の記事では、スクールカウンセラー・池田先生が関係したある学校での心ある教師たちの進化と実践が紹介されています。その学校では、ある日、女子生徒が教室で口論になり、カッとなって椅子を壊してしまう事件が発生しました。その生徒の担任の事例検討会においての相談をきっかけに池田先生が支援し、問題行動がみられなくなるまでが語られます。子どもの問題を解決しようとする熱心な教員がいても、適切な方法をとれるとは限りません。このような場合に、スクールカウンセラーが心理の専門知識や生徒・学校・保護者からの多面的な聞き取りの結果を踏まえ、教員に対して適切なアドバイスをすることで、望ましい解決を実現することが可能となるのです。池田先生のもとへ、担任教師が相談に来ました。4年生にもなるのに5分と椅子に座っていられない男子生徒がいるという相談でした。池田先生は、まずは生徒の親と話す機会を設けて欲しいと担任にお願いし、母親との面会を実施します。母親の話を聞くと、母親も問題行動に悩んでいたことがわかります。スクールカウンセラーとして、医療機関への相談を進めることにしました。保護者としては、薬の副作用など、心配は尽きないと思います。そんな時、スクールカウンセラーは、子どもの様子の観察や教職員の意見を踏まえたうえで、薬物療法の役割や、代替案の有無を説明し、信頼のおける専門医選びをするなど、丁寧なコミュニケーションをしてくれることが期待できます。日ごろの心配などの親の不安を受け止め、寄り添ってくれる存在になることでしょう。スクールカウンセラーのこのような丁寧なコミュニケーションこそが、問題を解決に導いてくれるのです。スクールカウンセラーに相談するには?上手く活用するポイントって?出典 : 池田先生はスクールカウンセラーの活用をこうすすめています。”国の予算の関係でスクールカウンセラーが学校にいるのは月に2回程度、学校によっては月に1回のところもあります。相談は無料です。日数は少ないですが、折角ですから毎回利用したほうがお得ですよね。”以下の記事では、予約方法や活用のポイントについてもわかりやすく紹介しています。スクールカウンセラーは常駐しているわけではないため、予約が必要な場合がほとんどです。余裕をもって相談に行けるよう予約できるといいでしょう。また、当日までに、メモなどの準備をしていくと、聞きたいことに漏れがなく、スムーズに相談できます。準備については以下の記事をご参照ください。まとめ出典 : スクールカウンセラーは、心理の専門家であり、子ども・保護者・教員の困りごとの把握や相談を主に行っています。そして、その上で、第三者的立場からの子ども・保護者・教員に対するアプローチをし、困りごとや問題を解決することができます。教育現場では、近年、発達障害児の概念が生まれた結果、個別の支援が叫ばれるようになりました。そのため、子ども一人ひとりの異なる個性に合わせた教育を可能とするために必要な配慮や支援をすること(=合理的配慮)が求められています。スクールカウンセラーは、このような個の特性に応じた教育を可能にするために、重要な役割を担っているといえるでしょう。就学期のお子さんを育てている、悩める保護者の方々は、気軽にスクールカウンセラーを利用してみたらいかがでしょうか。
2017年12月13日「私自身、かつては相談する側でしたから。カウンセリングを申し込むだけでも、とても勇気がいることを体験しています」 こう語るのは、恋愛カウンセラー・羽林由鶴さん(52)。彼女のHPのプロフィールにはこうある。《DV・離婚・体型コンプレックスを乗り越え、体重103kg、バツイチ子持ちでありながら、13歳年下の東大生と出会い、結婚》。羽林さん自身、外見コンプレックスに悩み、死をも考えた時代を越えてきた。 教育関係の出版社勤務を経て、恋愛カウンセラーとして独立して、すでに12年。著書も11冊を数え、最近では、恋愛のみならず、コンプレックス克服や生き方を見つめ直すセミナー、各種の会話術の講師として、全国の自治体からもお呼びがかかる。 振り返れば、30代の前半まで、羽林さんはずっと、体形コンプレックスに振り回される日々だった。 「子どものころの私は、口も達者で、何でもできる子。ただ、幼稚園の毎月の身体測定だけがすごく嫌で。そのころから体重にコンプレックスを感じていましたね」(羽林さん・以下同) 幼稚園の身体測定で、「いちばん大きいのは由鶴ちゃん」と、発表されるたびに傷つき、母親同士の会話でも「由鶴ちゃん、本当に大きいわね」と、必ず言われることに傷ついた。小6で体重が60キロを超え、中学卒業時には70キロ。高校時代は、単品ダイエットが成功し、一時は60キロまで減量できたが、リバウンドを繰り返し、大学卒業時には84キロになっていた。 親しい男性ができても、「太い」「丸い」と思われるのが怖くて、その先に進めない。いつしか「付き合うなら、私より体の大きな外国人」と、考えるようになっていった。教育系の出版社に入社してからは、女友達と米軍キャンプに出入りした。大柄なアメリカ人のなかにいるときだけ、体重のことを忘れられた。 自宅を出て一人暮らしを始めた24歳のとき、出会ったのが元夫だ。彼は、1歳年上のアジア系外国人。’91年6月に2人は結婚。配偶者ビザを取得した彼は、ケーキ店で働きだすのだが……。 結婚してすぐのころだった。彼が突然、「リラックスして、いいかな」と言った。羽林さんが、笑顔で「もちろん」と応じた次の瞬間、マグカップが彼女めがけて飛んできた。 「何が起きたのか、一瞬、わかりませんでした。続いて、彼は扇風機のカバーを外し、なかの羽根を1枚ずつ、手で折り始めたんです。私の記憶はそこで途絶えました」 そんなことが、たびたび起こった。作った食事を投げ捨てられ、5回も作り直したこともある。だが、直接殴られることはない。ただ、投げられたカップや皿から、料理が飛び散り、「殺すぞ」と脅される。かと思えば、傘でどんどんと、折れ曲がるほどの力で床をたたいた。 「その音がすさまじくて、私は震えるばかりでした。それでも、当時の私は自分が悪いと思っていました。私が悪いことをしたかな、食べたくないモノを出したのかな、と」 ’94年、長男が生まれると彼は子煩悩なパパになった。しかし、いきなり始まる暴力が止まることはなかった。長男が2歳になったころ、ついに彼は、かわいがっていた息子まで投げ飛ばした。突然、キレる夫。キレる原因がわからない。酔って、暴れるわけでもない。追い詰められて、羽林さんは円形脱毛症になり、過食やうつに悩まされた。 「仕事を終え、帰宅する駅のプラットホームでは、絶対に端に立たないようにしていました。飛び降りたくなるから。死にたいと思っていました」 意を決して、夫婦でカウンセリングを受けた。 「しぶしぶでしたが、彼が運転して一緒に行きましたから、彼自身、原因がわからなくて、悩んでいたのかもしれません」 メンタルヘルス・クリニックの女医は、彼だけ待合室で待たせて羽林さんに「離婚すればいいでしょう?」と言った。羽林さんが「でも、子どもも小さくて。夫の暴力さえ止まれば……」と答えると、女医は「あなたの会話には『私』がないのね。『夫が』『子どもが』と、人のせいにばかりしていますね。旦那さんを変えようとするのは、あなたのエゴ。これは、あなた自身の問題なんですよ。ご主人を変えるのではなく、あなたが変わればいいんです」と話したという。殴られたような衝撃が、羽林さんを貫いた。 女医から渡された小冊子には「共依存」とあった。 「小冊子には、うちで昨晩、起きたこととそっくりなことが書かれていました。その家庭では、最終的に夫婦が刺し違えて死んでいました」 自分で考えて生きよう。強く決意した彼女は、夫に「離婚したい」と伝えた。もちろん、すんなりとはいかず、元夫は手がつけられないほど暴れだし、羽林さんは命からがら逃げだす。離婚問題を抱えるなかで、彼女は自分で考えて生きるための訓練を始める。 「私には主語がないという女医さんの言葉が最大のショックで。そこで、ふだんから『私はお茶を飲みます』『私は会社に行きます』と、『私は』を意識して、話したり、行動するようにしてみたんです」 特別なことをしたわけではない。しかし、日常のなかでできる小さな意識改革の積み重ねが、少しずつ自分の力になっていくことを実感できた。数々の修羅場をくぐり抜け、ようやく離婚が成立したのは’01年のこと。体重は、ストレスからだろう、103キロになっていた。だが、晴れて自由の身になった羽林さんはあることに気付く。 「なぜかモテるようになっていたんですよ」 離婚後の3年間で、5人の男性から次々にプロポーズされた。そのなかに、大学院卒業を控えた現在の夫・サトルさん(39)がいた。結婚は’04年のクリスマス。サトルさんの就職も決まり、2人だけで結婚式を挙げた。 羽林さんは、「いまの社会には『自信信仰』があって、自信さえあれば、すべてがうまくいく。そう思いませんか?」と語る。 自信さえつけばと、ダイエットや資格取得など、自信をつけることにばかり翻弄されて、結局、前に進めない。ならば、自信を持つことは諦めて、そのままの自分で、やりたいことに一歩踏み出す勇気を持つ。ありのままの自分で、少しずつ人間関係を築いていく。それが、羽林さんが自身の経験から得たアドバイスだ。 「自信って、つけようとしなければつくんですよ。これくらいでいいのかなって思えたら、それこそが自信なんです」
2017年11月05日