俳優やダンサー、ミュージシャンに、能楽師や書道家、美術家といったジャンルレスなアーティストと、アイヌ古式舞踊や琉球舞踊といった日本各地の土地に根付いた伝統の芸能をミックス。東京都の文化イベントとして、2015年の東京・駒沢からスタートし、さまざまな土地で開催されてきた「東京キャラバン」。この企画の発案者であり、総監修の立場から演出を手がけるのが野田秀樹さん。「もともとは、東京オリンピック・パラリンピックに向けて日本各地から盛り上げていくことを目的として、文化の観点から何か立ち上げられないかという発想から始まっているプロジェクトです。僕は東京都が運営している東京芸術劇場の芸術監督という立場で会議に参加していたんだけれど、じゃあ一体何をやるのかという具体的なアイデアが一向に出てこない。それで僕が、例えとして出したのが“文化サーカス”というもの。日本にあるいろんな文化がクロスする場を用意すればいいんじゃないかと思ったんですよね。もともと文化ってそういうものだからって。そしたら、じゃあ野田さんがやってくださいと言われてしまったという、ね(笑)」文化サーカスとしてイメージしたのは、ロンドンに住んでいた時に年に一度家の前でおこなわれていた移動遊園地。「毎年6月に来るんだけれど、設営の準備で2~3日前から賑わいだす。そろそろだなって思うと、何だかすごくワクワクしたりして。そういう、街角に神出鬼没に現れて、何が始まるんだろうなって周りの興味を惹きながら本番を迎えて、終わったら跡形もなく去っていく。あの感じがいいなと思ったんです」容易に混ざるけれど完全に混ざらないのが面白いなと。とはいえ引き受けた当初は、漠然とイメージはあったものの、新しい“試み”すぎて、すべてが手探り状態で、困惑のほうが大きかった。それでも、「関わるうちに、だんだん自分のなかで前向きに変わっていった」そう。「何より、集まってくれたパフォーマーたちのクオリティの高さですよね。事前にいろんな場所に行って土地に残る伝統芸能をたくさん見せてもらったんですが、当たり前の話なんだけど、長く残ってきている芸能ってとてつもないパワーに満ち溢れていると改めて思い知ったことも大きいです。秋田の竿燈(かんとう)なんかは、あまりの迫力に演出家であることを忘れ、ただのおっさんとして感動したし。そういう、通常交わらないもの同士が交わった時、普段なら絶対に観られないようなパフォーマンスが生まれてくるんです。回を重ねていくうちに、この企画で一番得をしているのは、じつは俺かもしれないと思うようになりました」パフォーマーとして参加した人のなかには、松たか子さんや、谷中敦さんの所属する東京スカパラダイスオーケストラのほか、宮沢りえさん、木村カエラさん、EGO‐WRAPPIN’の中納良恵さんら、一線で活躍するアーティストたちが多く名を連ねる。「’18年の秋田でのキャラバンでは、ニューヨークで活躍しているタップダンサーの熊谷和徳さんと民謡の人たちとがコラボレーションしたんです。最初はやっぱりお互いに慣れないものだから、戸惑いもあって。でも、やっていくうちにお互いに『こんなふうにやってみたらどうか』とアイデアを出し合い歩み寄って、みるみる良くなっていくわけです。キャラバンをスタートさせたばかりの頃は、この“混ぜる”っていうことをおっかなびっくりやっていたんだけれど、回を重ねるうちに、それぞれが持っているリズムを掴んでしまえば容易に混ざるんだっていうことがわかってきた。それでもやっぱり完全には混ざらない部分があって、そこもまた面白いんですよ。終わった後に、パフォーマーのなかに『いままで経験したことがなかったけれど、こういうことをもっとやってみたくなった』って言ってくれる方がたくさんいて、また『全然違うからこそ面白かった』って言われたり、そういう言葉を聞くたびに自分の力になっているし、喜びを感じています」誰もがお祭りや遊園地と同じ感覚で気軽に立ち寄って体験できるのが東京キャラバンの魅力だ。「演劇やダンスのようなカルチャーとか、パフォーマンスに興味のなかった人が、ちょっと覗いて、こういう面白いものがあるんだって気づいてくれるかもしれない。その人が興味を持って、観る側もしくはやる側に回ってくれるかはわからないけどね。普段クラシック音楽を聴かない人が、バイオリンって生で聴くとこんなにいいものなんだって、まずは知ってもらうことが大事だと思っています。日が暮れて夕景のなかで見ると、さして興味のなかったものが素敵に見えたりもするっていう効果もあるだろうし」もうひとつ、野田さんがここで目指していることがある。それは東京と地方との文化をつなげていくということ。「東京芸術劇場の芸術監督に就任した時から、自分のなかで柱にしてきたことがいくつかあるんです。若い演劇人の育成、海外の優れた舞台芸術の招聘…もうひとつあるのが、東京と地方とのラインを作りたいということ。僕は演劇しか知らないけれど、作品も観客もやはり東京に集中しがちです。地方は面白いものもあるけれど、あまり注目されないために、自分たちのやっていることへの誇りを失いかけている人もいる。キャラバンを通じて多くの人に観てもらう機会を増やすことで、少しでも地方の文化に活力がみなぎればと思っています」’17年、京都・亀岡で2日間にわたっておこなわれたワークショップ。撮影:井上嘉和のだ・ひでき1955年生まれ、長崎県出身。劇団夢の遊眠社を結成。’80年代に日本の小劇場ブームを巻き起こす。NODA・MAPを率い、国内外で演劇を創作する。さらに東京芸術劇場の芸術監督も務め、精力的に演劇界を牽引している。東京キャラバンは、東京オリンピック・パラリンピック開催により世界からの注目が日本に集まるタイミングで、東京を文化の面から盛り上げるために立ち上げられた。発案者である劇作家・演出家・役者で東京芸術劇場の芸術監督を務める野田秀樹さんが提唱するのは、多種多様なアーティストが東京キャラバンの旗印のもとに集い、ジャンルを超えて交わることで、新たな可能性を見出す場を作ること。’15年の東京・駒沢を皮切りに、これまでにリオデジャネイロや、東北、京都、九州、四国、岡山、富山、北海道など各地を旅しながら、様々なアーティストが集い、全16か所で開催。出演するのは、俳優、ダンサー、ミュージシャンなどのほか、地方に根付いた伝統芸能の担い手やパフォーマーたち。あらゆる表現が入り乱れたパフォーマンスは、各地で観客を熱狂させている。今年5月に予定していた公演は延期となったが、今後の開催が注目されている。※『anan』2020年5月27日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE)ヘア&メイク・赤松絵利(esper.)取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年05月21日ベトナム戦争を題材に、現地の少女・キムとアメリカ兵・クリスとの悲恋を描いたミュージカル『ミス・サイゴン』。’92年の日本初演以来、高い人気を博す大作に、今回からエンジニア役で参加する伊礼彼方さん。「長く市村(正親)さんが演じられている役だけに、当初は30代の自分にはまだ早い気がしていました」本人はそう言うけれど、昨年のミュージカル『レ・ミゼラブル』ジャベール役の重厚感ある演技を観れば、そんな心配はまったくの杞憂。むしろ、戦時下に小ずるく立ち回りながら、作品の狂言回し的役割も担うキャラクターは、エネルギッシュないまの伊礼さんに適役なのでは?「自分の武器になるとしたら、アイデンティティが近いというところ。エンジニアはベトナム人とフランス人との混血です。僕自身、生まれたアルゼンチンでも差別を受けて、日本に来てからは外人と言われてきました。混血児の悲哀とか必死に居場所を求める場面に説得力を持たせられるのかなと思っています」戦争の混乱でクリスと離れ離れになり、ひとりで息子のタムを産み育てるキム。それを知ったエンジニアは、タムを利用してアメリカ行きの切符を手に入れようと奔走する。「それまで迫害に遭い、混血の自分を否定して生きてきた彼が、アメリカ兵との混血であるタムに希望を見出す。利用してやろうと必死になる姿に、僕はすごく哀しさを感じます。そこって、フランスそしてアメリカに植民地にされたベトナムの歴史が凝縮されている場面だと思うんです。実際の出来事としてのリアルをどうしたら伝えられるかを考えています」歌も大事だけれど、それ以上に「人間味のあふれる役作りにこだわっている」という伊礼さん。「なぜこの人はこう言うのか、台本には書かれていない感情を作っていくのが好きなんです。演出家と話し合って、ポイントになる場面から逆算することも。でも、どんなに考えても本番に気づかされることってあるんです。結局、最後のピースはやっぱりお客さんなんですよね」『ミス・サイゴン』サイゴンにあるエンジニアが営む米兵相手の売春宿に仲間に連れて来られたクリスは、この日初めて店に出たというキムと恋に落ちる。結婚を約束したふたりだが、サイゴンが陥落し…。※5月より上演が予定されていたミュージカル『ミス・サイゴン』ですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、全公演中止となりました。いれい・かなた1982年2月3日生まれ。ミュージカル『テニスの王子様』などで注目を集め、その歌の実力から、『エリザベート』『レ・ミゼラブル』など数々のミュージカル作品で活躍。11月にはミュージカル『Beautiful』への出演が決まっている。※『anan』2020年4月29日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年05月03日(株)トンカチは、日本におけるリサ・ラーソンをはじめ、マリアンヌ・ハルバーグ、ポーリー・ファーン、エレオノール・ボストロムの著作権を管理し、TONKACHISTORE等にて、所属作家それぞれの陶器や雑貨を販売しております。ドレスシリーズをはじめ数々の作品をつくるリサ・ラーソンをはじめ、マリアンヌ・ハルバーグの独創的で非現実的な花瓶たちレトロモダンな、どこにもない風景が懐かしいポーリーの花瓶。エレオノールの代名詞「犬」のユーモア溢れる一輪挿し。作家それぞれの独創性に富んだ花瓶を集めた特集をトンカチストアで公開しました。【リサ・ラーソン】【マリアンヌ・ハルバーグ】【ポーリー・ファーン】【エレオノール・ボストロム】花瓶にいけた花々と共に、おうち時間をさらに豊かにしてくれる「M.B.ゴフスタイン」の絵本やマグカップなども紹介しております。春らしいやさしく華やかな空気感に包まれた特集です。ぜひトンカチストアにて「FLOWERSofROMANCE〜花とロマンスのために〜」をご覧ください。TONKACHI STOREはこちらリサ・ラーソン/陶芸家1931年、スウェーデンのスモーランド地方・ハルルンダ生まれ。StigLindberg(スティグ・リンドベリ)に見出され、スウェーデン最大の陶芸製作会社Gustavsberg(グスタフスベリ)社で活躍。1979年に独立。以後、現在に至るまで精力的に創作活動を続けている。日本で一番有名な北欧の猫キャラクター「マイキー」の生みの親としても知られる。マリアンヌ・ハルバーグ/陶芸家1952年、スウェーデン・ヨーテボリに花屋の娘として生まれる。青春時代に世界を放浪した後、地元ヨーテボリで作陶を開始する。平面が立ち上がったような独特の作風は、前衛性とクールなユーモアが同居し、日本をはじめ世界中の先進的クリエイターが注目している。若い世代の間では憧れの陶芸家として名前が上がる。エレオノール・ボストロム/陶芸家・イラストレーター1985年、スウェーデンのストックホルムに生まれる。美術大学を卒業後、ベルリンに拠点を移す。現在はストックホルムとサンフランシスコを行き来しながら制作を続ける。10年以上「犬」をテーマに作品を作っている。「犬は飽きることがない。これからも犬を作り続けていくわ。」と彼女は言う。ポーリー・ファーン/陶芸家・イラストレーター1994年、イギリス東部ノリッチ生まれ。オーガニックな日常生活、物語、自身の子供時代からインスパイアされた「新しい懐かしさ」。7万人のSNSフォロワーを持つ次世代アーチストでありながら、都会は苦手。豊かな自然の中で4羽のカナリアと暮らし、陶器を作り、絵を描いている。M・B・ゴフスタイン/作家・イラストレーター1940年、アメリカ、ミネソタ州セントポールに生まれ。ゴフスタインは幼少の頃、本というものがあまりに素晴らしいので、人間が作ったものとは思えず、神様がくれたものだと思っていた。そして人が書いたということを知って以来、本を書く人になりたいと思ってきた。本を読む体験は、本当の人生の体験と同じだと彼女は言う。スピリチュアルで哲学的なストーリー、児童書というカタチを借りた人生と幻想の作品世界。そして、この「かわいくって、たまらない」シンプルな線。平面に注がれる胸いっぱいの愛。日本におけるトンカチ所属アーティストの著作権は、株式会社トンカチが管理しています。ライセンスに関するお問い合わせはこちらまで。【本件に関する報道関係者からのお問合せ先】(株)TONKACHITEL:03-5728-5147TONKACHI STOREへ企業プレスリリース詳細へ TIMESトップへ
2020年04月30日歴史的名作『ウエスト・サイド・ストーリー』でヒロイン、マリア役を演じる伊原六花さんに、作品に対する思いを伺いました。作品の時代背景を伺って、マリアの愛の深さが理解できました。バブリーダンスからもうすぐ3年。昨年は主演映画のほか、朝ドラ『なつぞら』にも出演するなど活躍の幅を広げる伊原六花さん。実は幼い頃から、バレエはもちろん映画や舞台が好きで、ミュージカルスクールに通っていたことも。「子供の頃から本が好きで、友達に誘われてミュージカルを観た時、絵本の世界が目の前に広がっていることに感激したんです。もともと目立つのが好きだったというのもあって、自分も登場人物になってみたいって思って始めたんです」そんな伊原さんが、ついに本格的にミュージカルの舞台に立つ。しかも作品は、歴史的名作ともいえるブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』のヒロイン、マリア役。「映画は何回も観ましたし、中学の時には劇団四季さんの舞台も観に行ったくらい、すごく好きな作品だった」そう。「最初に観た時は、セリフのないダンスだけのプロローグがなんだかわからなくて…。でも、観ているうちに、2つのチームが対立するところを描いたシーンだとわかって、引き込まれたんです。年を重ねてからは作品の根底にある深いテーマも見えてきて…そこにハマりました」舞台は1950年代のNY。ポーランド系移民のトニーとプエルトリコ系移民のマリアが恋に落ちるが、移民同士の抗争に巻き込まれていく悲恋物語。いまマリアとして作品と向き合う日々をおくる伊原さん。「観客として観ていた時は、マリアって家族に大事にされて育ったピュアで愛情深い女性だという印象でした。そこはいまも変わらないけれど、演出家の方から作品の時代背景とか、人種によっての文化や考え方の違いなどについても教わったんです。マリアは先入観で人を判断したり嫌ったりするんじゃなく、自分の目で確かめたものを信じる女性。その強さや愛情深さを理解して演じてみると、トニーがお兄さんを殺してしまっても、彼女の愛が変わらないのがなぜかわかる気がします。起きた事実は事実として受け止めながらも、未来の子が自分たちみたいな思いをしないためにどうするか、未来につなげていく方法を考えるような人。私は人の意見に左右されがちなので、自分を貫く彼女に憧れます」今回、トニーは浦井健治さんと柿澤勇人さん、マリアは伊原さんと桜井玲香さんとのWキャストになる。「私たちの前に、いろんな方が演じたマリアを拝見しているんですが、見え方も違うし、人によって響いてくる箇所も違うんです。同じ作品でもこんなに違うんだと思ったら、私が好きなマリアを演じればいいんだって思えたんです。ふたりのトニーもタイプが真逆で、ハッピー感に溢れた浦井さんといると、諭すようなマリアになりますけれど、もう少し冷静な柿澤さんとは自然に寄り添う感じになる。いまはその違いを楽しめるようになりました」大好きな作品だからこそ、そこに向かう思いは深く強い。「観る方に、深いテーマができるだけ伝わればいいなと思っています」ブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』Season3偶然の出会いで一瞬で恋に落ちたトニー(浦井健治/柿澤勇人)とマリア(桜井玲香/伊原六花)。しかしその恋は、以前から対立を繰り返していた彼らの周囲を巻き込み悲劇を生んでいく。豊洲・IHIステージアラウンド東京出演/浦井健治/柿澤勇人、桜井玲香/伊原六花、ソニン/夢咲ねね、加藤和樹/木村達成、Oguri/有澤樟太郎(それぞれWキャスト)ほか全席指定1万5000円ほか(税込み)ステージアラウンド専用ダイヤル TEL:0570・084・617(10:00~18:00)いはら・りっか1999年6月2日生まれ。大阪府出身。大阪府立登美丘高校ダンス部キャプテンとして注目を集め、2018年にドラマ『チアダン』で女優デビューを果たす。※『anan』2020年4月29日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年04月28日ただそこにいるだけで、何か物語を感じさせる人がいる。石橋静河さんはまさにそんなムード漂う佇まいの女優だ。それは石橋さんが女優であると同時に、役もセリフも持たずに体ひとつで舞台に立つダンサーでもあるからなのかもしれない。演技とダンス、そして俳優一家に生まれた自身について聞いた。自分は親とは違うんだって、抵抗することもなかったな。――ダンスの道を選ばれたのは、ご両親が俳優という自身の生まれに対する抵抗でもあった?石橋:そうですね…ずっと「私は踊りをやるんだ」って言っていましたけれど、そこには「私はお芝居は絶対にやらないぞ」と抵抗する気持ちもあったと思います。でも、踊りが思うようにうまくいかなくて、他のことに希望を見つけようとしていた時に、なぜかお芝居が観たいと思ったんです。その時に観たのは、NYの小さな劇場でやっていたストレートプレイでしたが、純粋にすごく面白かったです。たぶん日本で、両親の存在をどこかで感じながらお芝居に触れたんだとしたら、あんなに何の抵抗もなく観られなかったと思うので、その経験は結構大きかったですね。そこからちょっとずつ、お芝居に近づいていった感じです。――その時ご覧になったのは、どんな作品だったんですか。石橋:舞台上にいろんな衣装が掛けてあるラックがあって、役者さんが演じながらそこに行って、ジャケットを羽織ったら別の人物になっているという、お芝居のマジックをわかりやすく感じられる作品でした。衣装を替え、姿勢や歩き方を変えるだけで別の人になるんですが、それが踊りとどこか繋がる気もして、自分がやっていることの延長線上にこんな面白いことをやっている人がいるんだっていうことが衝撃的だったんです。――お芝居への抵抗がなくなって、ご両親に対する思いに変化は?石橋:ずっと自分は親とは違うんだってやってきたけれど、そんなに抵抗することもなかったなって思うんですよね。私が誰の子供だっていいし、親がお芝居をやっていようが、それは私の一部であることには間違いなくて。自分がお芝居を始めてみて、両親を純粋に俳優としても、ひとりの人としてもすごいなって思えるようになりました。それは同じ職業についたからこそ感じられた気づきで、お芝居を始めてよかったことのひとつ。自分のアイデンティティとして必要な道でしたし、大きな気づきを得る機会にもなりました。――どんな家庭でした?石橋:振り返ると、親としてカッコよく育ててくれたなと思います。私のことをコントロールしようとは絶対にせず、やりたいことがあるならやればいいし、やるならちゃんと頑張りなさいという感じ。あと、ちゃんとごはんを一緒に食べていたのはありがたいですね。両親が家にいないことで寂しさを感じることもあったけれど、そうじゃない時間もちゃんと作ってくれていた。そういう何でもない時だから話せることってあるじゃないですか。それができていたのは、幸せだったんだなと思います。――お芝居をやっていてよかった、と思うのはどんな瞬間ですか。石橋:私はすごく恵まれていて、一度お芝居をしてみたい、お会いしてみたいと思っていると、その方と共演できたりするんです。お芝居って近い距離でその人と向き合うわけで、そうすると普段はなかなかわからない相手の本質的な部分を強く感じることができる。素敵な人とお芝居すると、こんなカッコいい人がいるんだって感動するし、自分もこんなお芝居ができるようになりたいとか、こういう人になりたいって思えたりする。そのこと自体がとても幸せですよね。――最近、素敵だと思われた人っています?石橋:お仕事をしてカッコいい方だなと思ったのは松たか子さん。潔くてお芝居に誠実というか、お芝居に対する強い覚悟を感じるんです。その姿勢がカッコよくて、ずっと見上げていたいと思う方です。――こんな恋愛をしたい、みたいなお気持ちもありますか?石橋:自分の周りにいる素敵なご夫婦やカップルを見ると、私もそういう人と出会えたらいいなとは思いますけれど…。でもいまはお芝居、というかやりたいことがいっぱいあるんで、そっちにあまり意識が向いてないんですよね(笑)。石橋さんが出演するドラマ『東京ラブストーリー』は、4月29日よりFOD、Amazon Prime Videoにて配信に(毎週水曜)。柴門ふみさんの同名漫画が原作で、‘91年のドラマ化では織田裕二さん、鈴木保奈美さんらの好演により大ヒットを記録した。29年ぶりの再ドラマ化となる今回は、2020年の現代が舞台。主人公の完治を伊藤健太郎さん、ヒロインのリカを石橋さんが演じる。いしばし・しずか1994年7月8日生まれ、東京都出身。15歳よりアメリカ、カナダにバレエ留学し、帰国後はコンテンポラリーダンサーとして活動。‘15年より女優として活動を始め、初主演作『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』では数々の新人賞を受賞。その他の主な出演作に、映画『きみの鳥はうたえる』、舞台『神の子』などがある。トップス¥4,800(デスペレートリビング TEL:03・6433・5195)リメイドレースジャケット¥8,800リメイドパンツ¥11,800(共にドリームランダース/デスペレートリビング)その他はスタイリスト私物※『anan』2020年4月22日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・小山田孝司(The VOICE)ヘア&メイク・秋鹿裕子(W)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年04月20日カメラの前で、楽しげに(照れつつ)自由に動き、クシャクシャの笑顔を見せてくれた石橋静河さん。伸びやかで快活な姿に心をギュッと掴まれ、自然と目で追ってしまう。この魅力的な人は――。ここでは当たり前でも場所が変われば当たり前じゃないと、10代で知れたのは大きかった。ただそこにいるだけで、何か物語を感じさせる人がいる。石橋静河さんはまさにそんなムード漂う佇まいの女優だ。それは石橋さんが女優であると同時に、役もセリフも持たずに体ひとつで舞台に立つダンサーでもあるからなのかもしれない。演技とダンス、そして俳優一家に生まれた自身について聞いた。――まずは、29年ぶりに再ドラマ化されたことで話題の『東京ラブストーリー』の話から伺わせてください。作品はご存じでした?石橋:タイトルしか知らなかったです。ただ、放送から30年近く経ったいまもよく名前が出てくるくらいインパクトのあるドラマですし、見たらきっとやりたくなくなっちゃうんじゃないかと思って、事前に原作だけ読みました。――石橋さんからご覧になった赤名リカという役はいかがでした?石橋:やっていてすごく好きになりました。周りから聞こえてくるリカっていうキャラクターは、すごく奔放で自由で自己中心的なイメージ。でも原作を読んだ時、私は全然そうは思わなくて。ただ奔放なのとも違うし、ただ自由なわけでもない。明るさもあるけれど、それと同じくらい暗さも持っていて、すごく魅力的な人だと思いました。――憧れや共感はありました?石橋:リカは帰国子女なんですよね。私自身、10代後半の4年間を留学していましたから、そこで共感することは多かったです。単純に日本語と英語は言葉として全然違っていて、英語は先に結論を言ってから理由を話しますけれど、日本語は逆じゃないですか。同じことを話していても、英語的な会話を日本語で同じようにすると言い方が強くなってしまって、結果的に本当に伝えたいことが伝わらないなって、留学から帰ってきて感じることがありました。向こうではまっすぐ話せば済んだことを、一回迷路を通って言わなきゃいけない感じが、当時、すごく息苦しく感じて…。それを、気にせずに言えるのがリカなんです。だから見ててスカッとするというか、共感するところはありました。――リカは空気を読まないから…。石橋:でもリカがいることで、固まった空気が動いていくこともあるんですよね。私の場合は、帰国した時、もっと別の伝え方があるならそれを学ばなきゃって考えましたけど、リカは裸のままぶつかっていくから、誤解されることも多いし、それによって孤独になってしまうこともあって痛いし、傷つく。その感覚はすごく理解できます。――15歳から4年間、バレエ留学をされていたんですよね。思春期を海外で過ごされたことで、考え方に変化はあったと思います?石橋:そうですね。日本で常識だったり、いいとされていることが、海外では非常識だったり、あり得なかったりすることもあるんです。ここでは当たり前のことも、場所が変われば当たり前じゃないってことを10代のうちに知れたのはすごく大きかったと思います。――ダンスの何を魅力に感じていたんでしょうか。石橋:バレエを子供の頃からやっていて、それが一番合っていたんですよね。ただ、留学を決めた時は、何か明確に目標とか夢があったわけじゃないんです。踊りってすごく難しくて、何年も基礎を積み重ねていってもできるとは限らないし、プロになれる人はほんの一握り。それでも、ずっとできなかったことが、ある日できるようになったり、逆に昨日できたことが今日はできなかったりという、難しさと小さな喜びに夢中になってしまったんですよね。目の前に踊りがあって、それがすごく難しくて面白い世界だったから、のめり込み続けたのかなと思います。――途中でバレエからコンテンポラリーダンス(以下、コンテ)に移行されています。コンテって、テクニック以上に表現力や舞台での存在感が求められる。技術ではないぶん、より難しい気がします。石橋:確かに、バレエの場合は第一に“型”があって、それが何より大事にされますが、コンテの場合、舞台の上にただ立っていてください、ということもありますからね。――コンテのどこに魅力を感じていたんでしょうか。石橋:どこかで自分のバレエに限界を感じていましたし、“型”に縛られずにもっと自由に踊りたいという気持ちもあったんです。でも、始めてみたらバレエとは違う、観客の前にほぼ裸みたいな状態で立って、肉体で魅せていかなきゃいけない難しさがありました。真っ暗な舞台の上に立つと、自分より果てしなく大きなもの…たとえば山とか海のような自然と対峙しているような感覚になる。その時、心の中をさらけ出さないと立っていられないような感じがあって…。すごくヒリヒリする状況ではあるけれど、それを何度も経験することが表現力だったり存在感みたいなものに繋がっていく気がする。心を閉じたままじゃダメなんだって踊りをやって気づかされたし、それはいまのお芝居にも繋がっているように思います。――それでなのか、すごくコミュニケーション上手というか…今日いらしてからずっとニコニコしてて、気さくな方だなと思って…。石橋:嬉しいです。そんなふうに思ったことがなかったんで。でも確かに、つねに開いていようとは思っているかもしれません。自分が閉じたままだと相手も同じままですよね。会話って言葉を投げ合う行為ですけれど、絶対に言葉だけでは成立しなくて、そこに心が伴わないといけない。自分がこの人と楽しい時間を過ごしたいなと思うなら、まずは自分が心をオープンにしないと相手も安心してオープンにできませんから。石橋さんが出演するドラマ『東京ラブストーリー』は、4月29日よりFOD、Amazon Prime Videoにて配信に(毎週水曜)。柴門ふみさんの同名漫画が原作で、‘91年のドラマ化では織田裕二さん、鈴木保奈美さんらの好演により大ヒットを記録した。29年ぶりの再ドラマ化となる今回は、2020年の現代が舞台。主人公の完治を伊藤健太郎さん、ヒロインのリカを石橋さんが演じる。いしばし・しずか1994年7月8日生まれ、東京都出身。15歳よりアメリカ、カナダにバレエ留学し、帰国後はコンテンポラリーダンサーとして活動。‘15年より女優として活動を始め、初主演作『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』では数々の新人賞を受賞。その他の主な出演作に、映画『きみの鳥はうたえる』、舞台『神の子』などがある。トップス¥4,800(デスペレートリビング TEL:03・6433・5195)リメイドレースジャケット¥8,800リメイドパンツ¥11,800(共にドリームランダース/デスペレートリビング)その他はスタイリスト私物※『anan』2020年4月22日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・小山田孝司(The VOICE)ヘア&メイク・秋鹿裕子(W)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年04月17日(株)トンカチは、日本におけるリサ・ラーソンの著作権を管理し、直営店ショップやTONKACHISTORE等にて、リサ・ラーソンの陶器や雑貨を販売しております。日本の伝統工芸「こけし」にした、70年代初頭に作られたリサの傑作のひとつ、クジラの「ヨナ」に新色が登場です!もともと陶器の色を再現したロイヤルブルー加え、木のぬくもりを感じる「プレーン」と、ポップでかわいさいっぱいの「ピンク」の2色が仲間入り。もともとは裸だったヨナは、カラフルでポップなボーダーを着て登場。荒々しく強そうな出で立ちを現代的で優しげな雰囲気にアレンジしています。こけしの生産量日本一を誇る群馬県の「卯三郎こけし」で全て作られており、リサ・ラーソンの作品のテイストはしっかりと醸し出しつつ、こけしのしなやかさ、木独特の温もりの風合いが際立ち、新たなこけしの魅力に触れることができます。こけし(ヨナ・プレーン/ピンク)(各)¥3、500(税抜)ヴィンテージ陶器「ヨナ」をイメージしたロイヤルブルーも人気です!合わせてご覧ください。こけし(ヨナ)¥3,500(税抜)トンカチストアでも販売いたします。TONKACHI STOREリサ・ラーソン/陶芸家1931年、スウェーデンのスモーランド地方・ハルルンダ生まれ。StigLindberg(スティグ・リンドベリ)に見出され、スウェーデン最大の陶芸製作会社Gustavsberg(グスタフスベリ)社で活躍。1979年に独立。以後、現在に至るまで精力的に創作活動を続けている。日本で一番有名な北欧の猫キャラクター「マイキー」の生みの親としても知られる。日本におけるリサ・ラーソンの著作権は、株式会社トンカチが管理しています。ライセンスに関するお問い合わせはこちらまで。【本件に関する報道関係者からのお問合せ先】(株)TONKACHITEL:03-5728-5147企業プレスリリース詳細へ TIMESトップへ
2020年04月14日同じ作品を、同じ演出家の同じ演出プランで、イギリスと日本それぞれの俳優やスタッフとともに、それぞれの国で上演する。そんなふたつの国が手を組み立ち上げられた企画により、昨年、演劇の本場・ロンドンで制作・上演されたミュージカル『VIOLET』。現地の演劇賞に6部門ノミネートされるなど高い評価を受けた舞台が、ついに日本に上陸する。このチャレンジングな企画を担う演出家として抜擢されたのが藤田俊太郎さん。人種も文化も宗教観も違う国での現地スタッフとの創作活動は容易なものではなく、「計り知れない涙の量と、互いの価値観をぶつけ合う議論があった」そう。好評を博したロンドン公演を経て、待望の日本版が上演。「ロンドンでは何度も打ちのめされました。自分の知らない感性とも出合いましたし、僕の希望が叶わなかったこともありました。それでも、ロンドンでの経験は自分にとって財産でしかないし、総じていい作品になったと思います」今作は、幼い頃に負った顔の傷により人目を避けて生きてきた主人公・ヴァイオレットが、傷を癒すといわれる男に会うために長距離バスに乗って旅に出る物語。「バスを世界や人生のメタファーとして、自分で次の一歩を踏み出していく物語です。違う人種や価値観を持った人たちが同じバスに乗って旅をするというのは、まさにこのカンパニーも、この作品も同じ。違う人間同士が集まれば、どうしたってわからない感性や価値観は出てくるし、そのなかには受け入れ難いことも出てくる。それでも、相手を理解しようと努力することはできるし、その可能性を探っていくことが演劇なんじゃないかと思うんです」ロンドン公演の成功を踏まえつつ、現在、日本版の稽古が進行中。「いま現場では、毎日テキレジ(上演台本の細かな修正)がおこなわれています。キャリアや年齢は関係なく俳優たち全員が、同じ土壌で自分の価値観を持ってディスカッションに参加し、この戯曲の神髄に近づくために意見をぶつけ合っています。ロンドンとはまた違う、日本版キャストならではの舞台をお届けできるんじゃないかと思っています」ふじた・しゅんたろう1980年4月24日生まれ。秋田県出身。東京藝術大学を経てニナガワ・スタジオに入った後、蜷川幸雄の演出助手に。近作に祝祭音楽劇『天保十二年のシェイクスピア』など。ミュージカル『VIOLET』1964年、アメリカ南部の片田舎に暮らすヴァイオレット(唯月・優河/Wキャスト)は、幼い時に受けた顔の大きな傷を治したいと、長距離バスの旅に出た。そこで彼女はさまざまな人々の多様な価値観に触れ…。4月7日(火)~26日(日)池袋・東京芸術劇場 プレイハウス音楽/ジニーン・テソーリ脚本・歌詞/ブライアン・クロウリー原作/ドリス・ベッツ『The Ugliest Pilgrim』出演/唯月ふうか・優河(Wキャスト)、成河、吉原光夫ほか全席指定1万2000円ほか(税込み)梅田芸術劇場 TEL:0570・077・039ロンドン公演は、客席が対面式、回り舞台でバスの旅の臨場感を演出。日本公演では舞台上に仮設客席を組み4方向から囲むスタイル。2019年のロンドン公演より。Photo by Scott Rylander※『anan』2020年4月8日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年04月07日世界的にも知られる浮世絵師・葛飾北斎というひとりの人物に映画『HOKUSAI』で役を通して向き合った柳楽優弥さんと田中泯さんのおふたり。演じる中で感じた、表現者にとっての道しるべとは。――映画『HOKUSAI』で、片や青年期、片や老年期の北斎を演じた柳楽優弥さんと田中泯さん。柳楽:今回、泯さんと同じ役柄を共に演じられたというのは、すごくハッピーなことでした。田中:僕もハッピーでしたよ。もともと不器用で、なんでもできる人間じゃありません。北斎は実在したことははっきりしているのに、実像はわかっていない。その人を演じるのだから、こんなヤバイことないですよ。柳楽:ほんとヤバいですよね。それこそ北斎の青年期って、調べても調べても情報が全然出てこないのですごく難しくて。監督たちと何度も話し合って、あんまり繊細な感じではなく、アーティストらしいアクの強さを目指しました。田中:この映画のある場面で、ふたりの北斎が共演しているシーンがあるんだけれど、あれが僕はすっごく楽しかった。柳楽:僕もです。田中:現実にはありえない場面だし、隣にいるだけなのに、なんというか…自分の中で感覚が混ざっていく感じがあったんだよね。柳楽:確かに僕にもそんな感覚がありました。不思議ですよね。――青年期の北斎は、人気絵師を次々と発掘し世に送り出していた名プロデューサーである蔦屋重三郎に目をかけられながらも、才能を開花しきれずくすぶり続ける。それでも絵に執着し、描かずにいられない北斎の姿に、表現者として共感する部分はあるのだろうか。田中:北斎にとって絵を描く行為は、好きかどうかを超えた当たり前のことで、若い時からずっと、描き続けなければというモチベーションでいたんだろうと思います。それまで浮世絵といえば人物画が当たり前だったのに、突然自然の風景を描いたのも、ため込んでいたモチベーションが絵を描かせた…というか絵になったとしか思えない。僕もそういう意味では、踊らないとダメです。言葉でしゃべることよりも、僕にとっては踊ることのほうが本当で、それができなかったら生きていけない。柳楽:僕はどうだろう…。演じることは好きだし、ずっとやっていきたいなと思っています。でも、どうやったらうまくなるんだろうと思っても、なかなかうまくならないんです。考えれば考えるほど演技の奥深さに迷ってしまって。田中:何をもってうまいというかっていう問題もあるからね。僕は迷う前に無理だって諦めてるよ。柳楽:僕も、泯さんみたいな境地にいけたら楽になるんですかね…。――そんなふたりが考える色気、そして色気を感じる表現者とは?柳楽:ブレずに生きるってすごく勇気のいることだと思うんです。僕はなかなかそうなれないから、自分らしい生き方をきちんと確立できている人に憧れますよね。田中:僕も自信を持って生きてきた人じゃないもので、つねにグラグラしていたけれど、それをよしとしてきたんだよね。もともと自信なんてものは、自分の気の持ちようで、そんなものを根拠に生きてもしょうがないと思ってる。自分がどんなにグラグラしててもいいんです。大事なのは、何にも頼らずにひとりで歩いている自分が、一番かっこよくいられているかどうか。人に見えている自分なんてどうでもいいんだよ。他人なんて、いつかいなくなっちゃうかもしれないし。柳楽:すごくいい考え方ですね。いまのような情報が多い時代って、人の評価に左右されたり、誰かの価値観に自分を合わせてしまったりしてしまいがちだと思うんです。僕も流されやすいところがあるので、とても興味深いですし、これから先、生きていくうえでのヒントがあるような気がします。田中:北斎なんて、それまでの浮世絵の価値観をひっくり返しちゃったわけだから本当にすごいよね。やぎら・ゆうや1990年3月26日生まれ、東京都出身。映画『HOKUSAI』は5月29日に全国公開。6月27日に30歳記念のアニバーサリーブック『やぎら本』が発売、7月には主演ドラマ『二月の勝者』も控える。シャツ¥24,000パンツ¥36,000(共にアトウ/シアンPR TEL:03・6662・5525)シューズはスタイリスト私物たなか・みん1945年生まれ、東京都出身。クラシックバレエ、モダンダンスを学び独自のオドリの道へ。ダンサーとして国内外で活動する一方、ドラマや映画でも活躍。9月公開の映画『峠 最後のサムライ』に出演。ジャケット¥218,000パンツ¥66,000(共にYOHJI YAMAMOTO/ヨウジヤマモトプレスルーム TEL:03・5463・1500)※『anan』2020年4月1日号より。写真・宮崎健太郎スタイリスト・長瀬哲朗(柳楽さん)九(Yolken/田中さん)ヘア&メイク・佐鳥麻子(柳楽さん)横山雷志郎(Yolken/田中さん)取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年03月31日世界から注目を集めた映画『誰も知らない』。この作品が公開されたのは14歳の頃。その当時から、人を惹きつける不思議なムードを纏った少年だった。あれから16年。30歳を目前にした柳楽優弥さんは、10代の頃のシャープな色気からおおらかで穏やかな色気を漂わせる俳優になった。人間的な引き出しが、色気として表れるんじゃないかと考えています。「色気って…なんなんでしょう。以前、役柄の参考になればと思って色気について調べていた時、たまたま見つけた本に“隙が色気だ”って書いてあったんです。確かに、完璧すぎる人よりも隙がある人のほうが惹きつけられますよね。ただ、その隙っていうのをどこでどう出すのかを真面目に考えすぎてしまって、結果、よくわからないっていう…(笑)」軽やかな口調でそう言って笑う。「ただ、色気って年齢を重ねることで増すものだと思っているんです。色気を感じるのも年上の方のほうが多いです。いろんな経験を経ることで人間的な引き出しが増えて振る舞いが熟練されてくると、それが色気として表れるんじゃないかと」映画『HOKUSAI』で共演した田中泯さんは、そんな理想的な年の重ね方をしているひとり。「泯さんみたいにカッコいい年の重ね方をしたい」と語る。「お話を伺っていると、自分のことを大切にしながら、丁寧に毎日を過ごされているんだろうと感じます。僕、誰にも負けたくないっていう気持ちが強い人間だと思うんです。でも、負けたくないっていう、その勝負の基準はなんなんだって言われたらわからない。自分が勝手に決めたルールで勝ったの負けたのって、すごくばかばかしいですよね。他人を自分の基準にするのはやめて、やるべきことに集中するのが30代に向けたいまの課題です」本人は自らの色気には自覚がないのかもしれない。しかし、前述の映画で柳楽さんが演じた葛飾北斎は、内から溢れ出るような絵への情熱とともに、燃えるようなエネルギッシュな色気を放っていた。「僕がいま俳優をここまで続けられているのは、お芝居が好きな気持ちと、根拠のないエネルギーがあったから。きっと北斎も、若い時ならではの怖いもの知らずなところがあったんじゃないかと思ったんです。うまいことやれたかはわからないけれど、自分にも同じようなところがあったと思うので、その経験を引っ張り出してきた感じです」映画の中に印象的なシーンがある。絵がなかなか認められず各地を放浪していた北斎が、海を目の前にして走り出す場面だ。「台本にはとくに何の説明もなかったんですけれど、自分が演じる以上、場面に説得力を持たせたいという気持ちがありました。いろいろ考えた時に、あれは人生を諦めようとしていたのかもしれないと思ったんです。それを監督に相談したら、それでいきましょうってなって。たくさん悩んだけれど、提案できる現場でよかったです」迷いや不安もさらけ出しあがき続ける。完璧じゃないからこそ、骨太ないまの柳楽さんの魅力に繋がっているのかもしれない。「失敗することをあまり恐れすぎずチャレンジしていきたいと思っているんですよね。役を成立させるためにした努力も失敗も、全部無駄にはならない。そうやって役者としての幅を広げていければいいなと思っています」やぎら・ゆうや1990年3月26日生まれ、東京都出身。映画『HOKUSAI』は5月29日に全国公開。6月27日に30歳記念のアニバーサリーブック『やぎら本』が発売、7月には主演ドラマ『二月の勝者』も控える。シャツ¥24,000パンツ¥36,000(共にアトウ/シアンPR TEL:03・6662・5525)シューズはスタイリスト私物※『anan』2020年4月1日号より。写真・宮崎健太郎スタイリスト・長瀬哲朗ヘア&メイク・佐鳥麻子取材、文・望月リサ協力・AWABEES(by anan編集部)
2020年03月28日「私が色気特集に…」ととまどいを見せる杉咲花さん。しかし、映像作品で様々な人物を瑞々しい実在感で描く女優としての力は、その底に色気をたたえていればこそ。初舞台という挑戦を前に、さらなる華を咲かせる気配が。悔しい思いをしながら頑張るのが、好きなんだと思います。可憐な素朴さのなかに、ナイーブな色気を感じさせる女優・杉咲花さん。しかしご本人は「色気って自分とは程遠いもの」との評。「色気がどういうものかと聞かれたらわからないですけれど、私のなかで色気がある方というと、宮沢りえさんのイメージがあります。りえさんは、いつもご自分のペースでそこにちゃんといらっしゃるんです。でも、自分のことばかりでなく周りの方々に対して、共演者とか、同志とか、友情とかそういうものを超えた愛情…母性のようなものも感じます。そういうりえさんの、佇まいとか雰囲気とか、しゃべり方とか匂いとか…存在そのものが、色気がある方だなという感じがします」映画『湯を沸かすほどの熱い愛』、そして上演を控えている舞台『桜の園』と共演が続くなかで感じているのは、宮沢さんの言葉がまとう魅力。「言葉のチョイスとか言い方とか、思っていることを素直に伝えたいと思っても、それってすごく難しいですよね。りえさんをはじめ素晴らしい先輩方を見ていると、みなさんとてもまっすぐに、でも嫌みなく、言葉のなかに敬意を感じるような伝え方をされていて、とても勉強になります。私も、そんなふうに誤解のない言葉で相手に伝えられるような人になりたいと思います」発する言葉の輪郭を慎重に慎重になぞるようにしながら、ゆっくりと丁寧に話す。その口調から伝わってくるのは、聡明さや誠実さだ。そしてそれは、杉咲さん自身の役、そして作品への向き合い方にも表れている。「基本的にどの役をやらせていただく時も、こう見せようという思いはないんです。見せるものというより、見えてくるものだという感覚があるので…。だから、現場に行くまではいろいろと考えたりしますが、現場に入ったらいったん忘れて、生のその場で起こることを大事にしようと思っています。ただ、シーンとして描かれる部分は実際に自分が現場で体験できるので不安はないのですが、作品のなかでは描かれない役の過去を自分に染み込ませるのが苦手なんです。頭では理解しているし共感もできますが、実際に自分に起こったこととしてなかなか実感できなくて、悩むことも多いです」そんな時の対処方法を伺うと、「考えても考えてもどうしてもわからない時は、わからんって寝ちゃいます。ふて寝です」。そう言って、茶目っ気を感じる等身大の笑顔をのぞかせる。「私、意外とすぐに凹んでしまうんです。そんな自分に対して、こんなことでクヨクヨしちゃうなんてしょうもないなって思うことも多くて…。でも、一回落ちるところまで落ちると、自然と上がってきて、気づいたら案外ケロッとしていたりもするんです(笑)」現在、舞台『桜の園』の稽古中の杉咲さん。これが初舞台となる。「自分が舞台を観に行くと、役者さんが出てきた瞬間に、なぜかわからないけれど泣きそうになります。みなさんが本当に楽しみながら、自信を持ちながら公演に臨まれている姿に、圧倒されるんだと思います。そういう姿を目の当たりにしているからこそ、いま稽古している自分と比べて、私は全然ダメだなって思ってしまうんですよね。でも、りえさんをはじめ共演者の方々に、稽古は失敗する場所だから、本番で恥をかくよりも稽古場でいっぱい恥をかきなさいと言っていただいて…。そうやって開き直る気持ちで臨むと、どっしりと立つことができるのかもしれない。いまはそう言い聞かせてやっています」それでも、一歩一歩前に進めているという実感はある。「一回やると、何十個と課題が出てくるんです。でも、次にそこを意識してやってみると、なんだかさっきよりやりやすかったとか、少し心が動いたなって思える。まだまだすっごい怖いけれど、楽しかったりもします」悩んだり、壁にぶち当たったりすることも含めて「楽しい」こと。「お芝居していると、悩むことのほうが圧倒的に多いんです。それでも、勉強にならない現場はひとつもないと思うし、終わった時に、絶対にやってよかったって思うだろうっていうことは、自分のなかでわかっているんです」幼い頃からテレビっ子で、大のドラマ好きだったという。それがいつしか自分も演じてみたいという夢へと変わり、いまの事務所に。「悔しい思いをしながら頑張る、っていうのがもともと好きだったんだと思います。泣きながら部活を頑張るドキュメンタリーを見て、いいなと思っていたりしましたから。たぶん私も、必死に頑張れることを探していて、それがたまたま自分の好きなお芝居だったのかもしれません」静かななかに、熱い情熱と強い意志を秘め、清々しいほどまっすぐ誠実に役へと向かっていく。それが杉咲さんの演技に色気を感じる理由なのかもしれない。ドレス¥54,000(ロエフ/ユナイテッドアローズ青山ウィメンズストア TEL:03・5468・2255)ドレス¥186,000(マメ クロゴウチ フォー トッズ/トッズ・ジャパン TEL:0120・102・578)すぎさき・はな1997年10月2日生まれ、東京都出身。初舞台となる『桜の園』は、4月4日(土)~29日(水)までBunkamuraシアターコクーンにて上演。秋スタートのNHK連続テレビ小説『おちょやん』でヒロインを務めることも決定している。※『anan』2020年4月1日号より。写真・三瓶康友スタイリスト・井伊百合子(YARD)ヘア&メイク・河北裕介取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年03月27日ある時は注目の俳優として、ある時は憧れの対象として、そしてある時は、男女の物語の表現者として…。2020年3月に50周年を迎えたananにおいても、登場を重ねるごとに、イメージを裏切っていく高橋一生さん。誌面を作り上げていく心構えは、芝居にも通じるものが。17年の「官能の流儀。」特集での、男女のセクシーなシーンがとても話題に。「当時の心境からすると、なぜ自分に白羽の矢が立ったんだろう…でした。発売されたのは大河ドラマ『おんな城主 直虎』と『カルテット』を同時に撮っていた時でしたが、撮影はそれよりも前でしたから」そう言ってにっこり柔らかな笑顔を向ける。「あのタイミングで、コイツを表紙にしてOKだと思ってくださっていたと思うと、ありがたいという気持ちしかないです。ananというと、名だたる俳優の方々や旬の男性方を取り上げてきたイメージがあります。その雑誌に“これからくるかもしれない”と言われるなんて、悪い気はしません(笑)」撮影時の感想を伺うと、「ただ撮られるのではなく、被写体として一緒に作品をセッションしている感覚で面白い体験だった」と話す。それはこちらも同じ。優しく、色っぽく、謎めいて…撮影イメージを伝えると、丁寧に咀嚼しつつ協力態勢で臨んでくれる人だ。「女系家族の中で育ってきているからか、女性が何を望んでいるのかに敏感なのかもしれません。自分の個性やイメージなんて、周りが定義する高橋一生というものをコラージュしてできていると思うんです。ならば、周りから求められているもの全部に応えていったらどうなるか…そこに興味があって」それを仕事で実践していたのが、まさにこの時期。挑戦を重ね、「回り回って、結局芝居に誠実に向き合うしかないんだって気づいた」と話す。ならば、雑誌の取材を受けることにはどんな意味を感じているのだろう。「刹那的でいいなと思っています。撮影でもインタビューでも、意図せず反射的に自分から出てくるものがあって、それが面白いよねとなることもあるんです。写真や文字に残ることで当時の自分を思い出すこともありますし、どんなに演じているつもりでも、誌面から自分の人間性が透けて見えることもあって…。それを含め楽しませてもらっています」そんな高橋さんらしく、次にananでやってみたいことも、「高橋一生でこれが見たいと声をかけていただいたもの」との答え。「本当はあるんですけれど、言ったら叶わなくなりそうなので言わないでおきます(笑)」No.2043(2017年3月8日号)あふれた愛が官能を生み出す。大人の色気漂うヌードが話題。発売が発表されてから、編集部には読者からの問い合わせの電話がひっきりなしで、あらためて高橋さんの人気を実感。「相手のモデルの方がものすごく緊張していらして、安心させようと反対に冷静になれた気がします」No.2070(2017年9月27日号)恋人に向けた眼差しの優しさ。幸せ感に満ちたグラビアに。人気企画「モテコスメ大賞」のなかで、幸せなカップルの甘い週末をイメージしたグラビアをスペシャルフォトブックで展開。インタビューでは、女性のメイクへの考えや、女性に美しさを感じる瞬間などについて伺った。No.2087(2018年1月31日号)斎藤工さんがチョイス。ふたりが名作の世界の中に。斎藤工さんとのコンビで登場いただいた「選択の技術。」特集では、映画の名シーンをイメージしたシューティングに。「工さんは、俳優としても監督としても大好きな人。その人とモノづくりができたことがうれしかった」たかはし・いっせい1980年生まれ、東京都出身。俳優。数々の映画・ドラマ・舞台で活躍。4月スタートの連続ドラマ『竜の道 二つの顔の復讐者』(火曜21:00~カンテレ・フジテレビ系)に出演。パーカ¥63,000パンツ¥69,000スニーカー¥69,000(以上マルニ/マルニ 表参道 TEL:03・3403・8660)その他はスタイリスト私物※『anan』2020年3月11日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・秋山貴紀ヘア&メイク・田中真維(MARVEE)取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年03月08日2020年3月、50周年を迎えるanan。そんなananにおいて、お茶目な表情満載の「手みやげ特集」、大人の男の色香が爆発する「SEX特集」など、お芝居同様、表現力の幅が毎回話題になる田中圭さん。初登場は15年前!撮影での思い出も多岐にわたります。田中圭さんのanan初登場は’05年。この頃多かったのが、恋愛特集内で男子の本音を語るインタビュー。「恋愛について聞かれるのは全然平気でしたけれど、いま過去の自分のインタビューを読み直すとむちゃくちゃ恥ずかしい。仕事に関しての考え方は当時からほとんど変わってないんですけれど、恋愛観について…その時その時の状況がモロに出てる…から(笑)」そして何といっても昨年のSEX特集では、その程よく鍛えられたたくましくセクシーな肉体を大胆に披露してくれた。「最初、マネージャーから裸での撮影があると言われた時は、いいカラダの特集だと思っていたんです。そしたらSEX特集だって聞いて俺が?とは思いましたが(笑)。企画の“幸せなSEX”というテーマも素敵だし、もともとそういうことは恥ずかしがったり、隠すようなことでもないと思っているので、そんなに照れもなかったし。ただ、あの時に撮影していたドラマ『あなたの番です』の現場で、意外そうな顔もせずに共演者のみんなが淡々と誌面を見ていた時は、『もうちょっと何かないの?』とは思いました(笑)」センシティブな内容にもかかわらず、明るく現場を盛り上げてくれた田中さんのおかげで、終始撮影は多幸感あふれる雰囲気に。「単純に撮影が…楽しくてしょうがなかったです。こういう撮影って、照れようと思えばいくらでも照れられるわけですけど、俳優としてのギアを一個入れて、相手のことを好きな気持ちで臨んだら、楽しくなって」以前は写真を撮られるのが苦手だったそう。「一昨年、取材の数がとても増えたんです。一番多かった時は月に60本くらい。でもそれをストレスに感じて仕事するのも嫌だし、そもそも相手に失礼だなと思って、楽しむ方向に気持ちを切り替えたんです。どうせそんなに続かないだろうし、スターになったつもりで、この状況を楽しもうって」もし次にananに登場されるならどんな企画がいいですかと尋ねると、「占いか、カラダを鍛える系か…」と悩んだ後、茶目っ気たっぷりの笑顔で「かわいい子とのデート企画はいつだってやりたい!」と。そんな田中さんに自身の50年後を想像してもらった。「かろうじて生きていたら、ちょっといい老人ホームに入ってゆっくり過ごしたいです」No.1464(2005年6月1日号)初々しい恋愛観も新鮮。記念すべき初登場号。田中さん初登場は恋愛特集。20歳当時のピュアな恋愛観を語ったインタビューを読み返し「こんなこと言ったかなぁ…言ったんだろうなぁ~」と苦笑い。この時の撮影は私服だったそうで、そこも懐かしんでおられました。No.2125(2018年11月7日号)贈り物を渡す前のワクワクをストーリー仕立てで撮影。ドラマ『おっさんずラブ』の大ヒット後、「取材の数がめっちゃ増えた」まさにその最中。「自分でプレゼントを作ったのを覚えてる」。手みやげ特集に絡め、自身でリボンをかけたギフトを持って外出するまでの物語に。No.2163(2019年8月14・21日号)彼女に向ける優しい眼差しとたくましいカラダで魅了。愛のあるセックスをテーマにカップルの幸せな休日をイメージして撮影。その潔い脱ぎっぷりも含め、真っ向から撮影に取り組む田中さんに、カメラマンもノリノリに。インタビューの飾らない言葉も“らしさ”全開でした。たなか・けい1984年7月10日生まれ、東京都出身。俳優。4月クールのドラマ『らせんの迷宮~DNA科学捜査~』(テレビ東京)に出演するほか、6月19日には主演映画『ヒノマルソウル』公開も。インナー¥25,000ニット¥138,000パンツ¥74,000シューズ¥120,000(以上Maison Margiela/Maison Margiela Tokyo TEL:03・5725・2414)※『anan』2020年3月11日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・山本隆司ヘア&メイク・大橋 覚(VANESSA+embrasse)取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年03月07日「撮影はずっと苦手でした」と語る中村倫也さんですが、2020年3月で50周年となるananのなかでも人気特集である「モテコスメ特集」ではどきっとするような2ショットで、ロマンティックな物語を表現してくださいました。今後、登場されるなら…?と伺うと、意外な答えが!12年の初登場以来、出演舞台についてのインタビューのほか、甘味屋さんを訪れたり、さまざまな形でご登場いただいている中村倫也さん。とくに印象深いのは、’18年に麻生久美子さんとおふたりで撮影した「モテコスメ大賞」の号だろう。「撮影の半年後くらいに、麻生さんと舞台で共演することが決まっていたんですけれど、まだ情報解禁前のタイミングだったから驚きました。ananというとセクシーなグラビアのイメージがあったのに、わりとナチュラルな雰囲気で撮影が進んでいって、あれ?って感じだったんです。そしたら終わる頃にダダダッといろいろ要求されて…そうだよな、ananだもんなって(笑)」おでこをくっつけて見つめ合ったり、膝枕で横たわったり。表紙に使われたのは、中村さんが麻生さんを抱き寄せている美しく官能的な2ショット。「お互い照れ屋なので、最初はなかなかできなくて…ね。逆に時間がないってなったからこそ、ヨシッて腹を括れた気がします。一回触れちゃえば後は平気なんですけどね」雑誌でもなんでも、取材の時はいつも「ライブ感覚を大事にしている」そう。「雑誌は発言が活字に残るメディアなんで、そこは少し意識しますけど、基本的にその時に聞かれたことを、その時感じたまま、思ったまましゃべってます。僕は、現場で転がる会話の遊びを楽しみたいんですよ」その“楽しむ”一環か、ときどきこちらの質問をはぐらかしたり、茶化してかわしたり、変化球で返してくることも。ご本人にそう伝えると、「僕自身も、僕という役者も変化球なんで」といたずらっぽい笑顔を見せた。「あんまり自分の考えてることを真面目に答えすぎると、押し売りになっちゃう気がするんですよ。そこも照れ屋だからなんだろうね。大体10のうち1、芯を喰ったことを言うくらいでいい。そこは、中村倫也のセルフプロデュースです。役者なんて、ある程度謎めいてないとダメだと思うんですよ。謎は謎でとっておけるスタンスで生きています」ananというと「脱ぐイメージ(笑)」という中村さんに、では次はぜひ…と水を向けると、かぶせるように「絶対ない!」と即答。「性格的に、触れてないのに触れ合っているように見える表現とか、泣いてないのに泣いてる芝居が好きなんです。だから、脱がずに体温を感じさせるようなものが作れるなら面白いとは思いますけどね。…でも本当は、深海魚とかを紹介させてほしいです。巨大ミミズとか。誰も興味ないでしょうけど(笑)」No.1972(2015年9月30日号)昔ながらの東京の風情ただよう甘味処でほっこり。東京観光をテーマにさまざまなスポットを紹介した特集で、中村さんは東京名物の甘味処を訪れてあんみつをパクリ。「食べているところを写真に撮られるってことがほぼないので、緊張してどうしようもなかったです」No.2113(2018年8月8日号)朝ドラで注目度急上昇。そんな最中の心境に迫る。音楽やアニメ、ゲームなど、イマドキ女子をときめかせているカルチャーを特集。そのなかの「いま気になる俳優研究」で紹介。「スタイリストさんが用意してくれていた衣装が古着で、すごく新鮮だったんですよね」No.2119(2018年9月26日号)「年齢は単なる数字」。中村さんが語る女性の美とは。美しい年上の女性と年下の子犬系男子の恋を、フォトストーリー仕立てに。チャーミングな素顔から憂いをたたえたセクシーさまで、さまざまな表情を見せてくれました。中村さんの思う、女性の美についてのインタビューも。なかむら・ともや1986年12月24日生まれ、東京都出身。俳優。出演映画『影裏』が公開中。4月には主演ドラマ『美食探偵 明智五郎』(NTV系)が、5月には主演映画『水曜日が消えた』が控える。カーディガン¥53,000(タクタク/スタジオ ファブワーク TEL:03・6438・9575)カットソー¥18,000パンツ¥33,000(共にマーカウェア/パーキング TEL:03・6412・8217)シューズ¥62,000(フット・ザ・コーチャー/ギャラリー・オブ・オーセンティック TEL:03・5808・7515)※『anan』2020年3月11日号より。写真・樽木優美子(TRON)スタイリスト・小林 新(UM)ヘア&メイク・Emiy取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年03月07日ミュージカル『アナスタシア』でミュージカル初主演を果たした木下晴香さんに、作品や役への思いを聞きました。ミュージカル界が注目する逸材。念願の主演舞台は、あの話題作。昨年公開のディズニー実写映画『アラジン』で、ヒロイン・ジャスミンの吹き替えを担当したことで木下晴香さんを知った人も多いはず。じつは‘17年に『ロミオ&ジュリエット』のジュリエットに大抜擢されて以降、ミュージカル界を担う新しいヒロインとして注目を集める存在。「地元佐賀から上京して、ちょうど3年になるんですけれど、ここまで濃い時間を過ごさせてもらっていると思います。やりたいことをやらせていただけている今の状況に感謝もありますが、幸せすぎてときどき不安になることも…。その不安を拭うためにも、自分でこれだけ頑張っているんだからと思えるくらいの努力をしないとなって思っています」と、ピュアすぎるほどの真面目ぶり。その木下さんがついにミュージカル初主演を果たす。実在した帝政ロシアの皇女アナスタシアを題材にした『アナスタシア』だ。「この世界に入った時から憧れていた作品です。しかも、同時に日本初演の作品に携わってみたいという願いも叶えられ、今は覚悟と緊張で身の引き締まる思いでいっぱいです」今作は、幼い頃に過去の記憶を失った皇女アナスタシアが、孤児のアーニャとして成長し、自らの過去を求めて旅に出る物語。「壮大なスケールで展開される物語に素敵な衣装と映像。物語もロマンティックで、この物語の世界で生きるのがすごく楽しみなんです」そう言った後、「とくに自分を探す旅というところが、私の中ですごく響くんですよね」とも。「私はわりと受け身で、人の意見に左右されやすいタイプ。それゆえに自分ってどこにあるんだろうって悩むことが結構あるんです。アーニャは、過去の記憶を一切なくしたうえで生き抜いてきたからか、チャーミングだけど強くてとてもたくましい。そんな彼女の姿に勇気をもらいますし、彼女を演じることで私自身も強くなれたらいいなと思っています」小学校3年生から地元のキッズミュージカル団体に所属、16歳の時に全国規模の大型作品のオーディションに受かり、全国ツアーを体験。公演をしながら、「自分の実力がどこまでなのか挑戦してみたいという気持ちが湧き上がって」、各県の代表が競うテレビの歌番組に出場。そしてそこで上位に残ったことをきっかけに、現在の事務所に所属することに。おとなしい印象だけれど、夢に向かう意志の強さと熱量、そして行動に移すアグレッシブさは、アーニャ並みでは?「普段はフワフワしているってよく言われます。はっきりとした意見もなくてブレブレだし、自分に自信がないタイプ。でもそのぶん、気持ちが整理できて“私はこれをやりたいんだ”って意志が定まったら絶対に曲げない(笑)。そこはアーニャに負けないくらいの強さがあるかもしれません。ただアーニャは、穏やかなところで生きてきた私のような人間には簡単に想像できないくらい過酷な状況を生き抜いてきた人。そのたくましさや人としての厚みみたいなものを、本番までに自分の中に築いていかなくちゃと思っています」誰かの力に頼るのではなく、自らの力で運命を引き寄せていく。そんな木下さん=アーニャの姿に、勇気づけられる女性も多いはず。「女性も働いて自分の人生を掴み取っていく現代に、共感したり、心に響くものがきっとあるはず。とくに今、何かに挑戦しようと頑張る女性に観ていただけたらと思います」ミュージカル『アナスタシア』革命から逃れフランスに亡命した皇太后(麻実れい)は、行方不明の孫娘のアナスタシアを捜すため多額の賞金を懸ける。その皇女によく似たアーニャ(葵・木下/Wキャスト)を利用しようとした詐欺師が…。3月1日(日)~28日(土)/渋谷・東急シアターオーブ4月6日(月)~18日(土)/大阪・梅田芸術劇場メインホール出演/葵わかな・木下晴香(Wキャスト)ほかS席1万3500円A席9500円B席5500円*すべて税込み梅田芸術劇場(東京) TEL:0570・077・039(大阪) TEL:06・6377・3800きのした・はるか1999年2月5日生まれ。佐賀県出身。‘17年にオーディションでミュージカル『ロミオ&ジュリエット』のジュリエット役に抜擢。その後、『モーツァルト!』『ファントム』などの大作ミュージカルのヒロインも演じた。※『anan』2020年3月4日号より。写真・土佐麻理子スタイリスト・岡本純子(afelia)ヘア&メイク・Nicoインタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年02月26日共に劇団東京乾電池に所属し、付き合いは40年以上。そんな綾田俊樹さんとベンガルさんによるユニットが綾ベン企画。今回の『川のほとりで3賢人』では、ゲストに広岡由里子さんを迎え、多摩川河川敷に暮らすホームレスと謎の女との、切なくもおかしな物語を繰り広げる。ベンガル:もともとは、劇団主宰の柄本(明)が難しい芝居ばっかりやりたがるから、じゃあ僕と綾田で違う芝居をやろうと20年くらい前に始めたのが、このユニットなんだよね。綾田:僕らは馬鹿馬鹿しい芝居をしようってことで。ベンガル:ただ、ここしばらくユニットの活動をしてなかったんだけど、周りからの要望が大きくて。そしたら映画監督の平山(秀幸)さんが「俺が演出やるよ」って言ってくださったんですよ。綾田:平山さん自身、演劇が好きで東京乾電池の舞台もすごく昔から観てくれているんだよね。ベンガル:うん。綾ベン企画も観てくれてたし。僕、平山監督の映画の長回しの撮影が好きで。やる側にしたら、すごい緊張感なんだけど。綾田:しかも平山さんって、あまり細かい指示は出さずに、役者のやる芝居を大事にしてくださるんだよね。そういう人だから、僕らの芝居をちゃんと見てくださるだろうと思って、今回の演出をお願いしました。ベンガル:脚本を書いているのもうちの劇団員なんですが、それも平山監督の案。彼のやってる劇団の芝居を観て「書いてもらおう」って。綾田:結構面白いと思うよ。僕は前からホームレスの人たちのドキュメンタリーとかも見たりするくらい興味がある題材だったし。ベンガル:今回、こういう題材をやるってなって、みんなで多摩川の河川敷に行って話を聞いたりもしたんだけど、緊張感ありましたね。綾田:最初は話してくれるか心配したけど、結構してくれたよね。ベンガル:でも、シリアスな状況ほど何か笑いがこみ上げてくることってあるでしょ。そういう得体の知れない怖さも含めて、深刻なのに面白おかしいものになったらいいかなと。あと注目してほしいのは客演の広岡。うちの劇団の元最優等生。綾田:なかなか根性据わってる面白い女優。ベンガル:ここに入ったら絶対に面白くなるよ。だって、アイツ変だから(笑)。綾田:この舞台が、世の中にこんな人たちもいるんだっていう視野を広げるきっかけになればと思ってます。あと、イケメンが出てない芝居も楽しいし、カッコ悪いオッサンも面白いですよ、ってことですかね。『川のほとりで3賢人』多摩川の河川敷に住むふたりのホームレス(綾田、ベンガル)の元に、額に絆創膏を貼った福祉課の馬場マチコ(広岡)が訪ねてきた。その日から、徐々にふたりの生活が乱されていき…。2月21日(金)~3月1日(日)下北沢 駅前劇場作/てっかんマスター演出/平山秀幸出演/綾田俊樹、ベンガル、広岡由里子全席指定4500円(税込み)ほかサンライズプロモーション東京 TEL:0570・00・3337(月~金曜12:00~18:00)あやた・としき(写真・左)1950年生まれ。奈良県出身。自由劇場を経て、’76年に柄本明らと劇団東京乾電池を結成。俳優の傍ら、舞台の演出も手がけている。近作に映画『閉鎖病棟』、ドラマ『トップナイフ』などがある。ベンガル(写真・右)1951年生まれ。東京都出身。自由劇場を経て、’76年に柄本明らと劇団東京乾電池を結成。ドラマ『あぶない刑事』などで知られ、近作にはドラマ『3年A組』など。2月28日には出演映画『初恋』が公開。※『anan』2020年2月26日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年02月25日いくえみ綾の漫画を岡田健史主演でドラマ化する「いとしのニーナ」。この度、堀田真由、望月歩、笠松将ら若手俳優の出演が決定した。幼なじみが起こしたある拉致事件をきっかけに、憧れの美少女・ニーナのボディーガードをすることになった厚志の不器用だけど純粋でまっすぐなラブストーリー「いとしのニーナ」。岡田さん演じる厚志が恋心を抱くヒロイン、ニーナこと青田新名を演じるのは、「3年A組 -今から皆さんは、人質です-」や現在放送中の話題のドラマ「恋はつづくよどこまでも」では新人看護師役で出演中の堀田さん。「初めてこの作品を手に取ったときには、拉致という言葉にどこか非現実さを感じました」という堀田さんだが、「しかし、読み進めていくうちに、日々人と人が生きていく中で形は違えど傷つけそして許し合う、そんなリアルさが本作と重なり合い人間の儚さと強さを痛感しました」と物語の印象を語る。また、以前からいくえみ作品を読んでいたそうで「青田新名という役を私に託してくださったことは恐れ多くも本当に贅沢な時間でした。キャスト、スタッフの皆様の手をお借りしながらも私なりに役へ息を吹き込ませていたのでぜひ、放送を楽しみにして頂けると嬉しいです!」と思いを明かした。さらに、通学時に見かけたニーナに一目惚れし、拉致事件を起こしてしまう厚志の親友・押川正行(マサ)役には、『五億円のじんせい』「3年A組 -今から皆さんは、人質です-」の望月さん。厚志とマサの同級生で、ニーナ拉致をマサに指示する不良・牛島清貴役は、『デイアンドナイト』『花と雨』などに出演する個性派俳優の笠松さんが演じる。望月さんは「あっつのように真っ直ぐな岡田さん、共演数が多く心許せる堀田さん、現場の空気を温めてくださる笠松さんとそのほか多くの共演者、スタッフの方々、ほんとに現場が温かく幸せでした」と撮影をふり返り、「作品の中にこの温もりがつまってると思います。観てくださる皆さんには、純粋で真っ直ぐな想いと、僕たちなりのラブストーリーを楽しんでくれたら嬉しいです」と呼びかける。そして笠松さんは「卒業式に、母と“今日で最後の制服か”と話しながら玄関を出て、9年が経ちます。お母さん、まだ制服を着ています。不思議な恋愛青春群像劇になっていると思います。ぜひFODで」とコメントした。「いとしのニーナ」は春、FODにて配信予定(全8話)。(cinemacafe.net)
2020年02月23日(株)トンカチは、TONKACHISTOREにて、スウェーデン陶芸家リサ・ラーソンの陶器や雑貨を販売しております。リサ・ラーソンおなじみのキャラクター、マイキーとハリネズミ三兄弟デザインの電気毛布シリーズが発売スタート!各シリーズとも、電気掛け毛布・電気敷き毛布・電気ひざ掛けのラインナップで登場です。電熱線を感じないくらい厚みがあって、ふっかふか。足元までカラダ全体をほんわかあたためてくれる頭寒足熱の構造で、肌ざわりのよい素材です。毛布部分は水洗いOKなのも嬉しいポイント。寒さの深まるこの時期、快適な暮らしをサポートしてくれるはずです。にぎやかすぎず大人かわいいマイキーデザインマイキーとベイビーマイキーが所狭しと並んでいるものの、旬のベージュがベースカラーだから、POPになりすぎず大人っぽい雰囲気。スィートなダスティーピンクにハリネズミたちがいっぱい!かわいいスモーキーピンクの中に、ハリネズミ3兄弟のイギー・ピギー・パンキーがお散歩を楽しんでいるような元気いっぱいなデザインです。電気掛け毛布(マイキー/ハリネズミ)各¥13,068(税込)電気敷き毛布(マイキー/ハリネズミ)各¥10,868(税込)電気ひざ掛け(マイキー/ハリネズミ)各¥8,668(税込)リサ・ラーソンの電気毛布シリーズはトンカチストアでも販売中です!・TONKACHISTORETONKACHI STOREリサ・ラーソン/陶芸家1931年、スウェーデンのスモーランド地方・ハルルンダ生まれ。StigLindberg(スティグ・リンドベリ)に見出され、スウェーデン最大の陶芸製作会社Gustavsberg(グスタフスベリ)社で活躍。1979年に独立。以後、現在に至るまで精力的に創作活動を続けている。日本で一番有名な北欧の猫キャラクター「マイキー」の生みの親としても知られる。日本におけるリサ・ラーソンの著作権は、株式会社トンカチが管理しています。ライセンスに関するお問い合わせはこちらまで。【本件に関する報道関係者からのお問合せ先】(株)TONKACHITEL:03-5728-5147contact@tonkachi.co.jp企業プレスリリース詳細へ TIMESトップへ
2020年01月21日ビジネスの視点から、いまの日本のエンターテインメント業界を俯瞰してみるといったい何が見えるのか。さまざまなエンタメコンテンツを抱え、ブームを生み出している仕掛け人・木谷高明さんに話を聞いた。“どんなコンテンツも人の熱には敵わないんです”カードゲームが軸の会社としてスタートしたブシロードが、いまアニメをはじめ、音楽やプロレス、劇団とさまざまなエンターテインメント事業に参画している。その仕掛け人が、コンテンツ開発の最前線に立つ木谷高明さん。「人が感動するのは、キャラクターとストーリー。それはアニメもスポーツも同じです。エンターテインメントがなくても人は生きられるし、楽しいことはいくらでも見つかります。ただ日常で笑うことはあっても、感動したり泣くことってめったにない。じつは人は感動したり泣いたりしたいんだと思っていて、そのために非日常のエンターテインメントが求められている。感動や涙を誘発するには共感が一番で、そこにキャラクターやストーリーが必要なんです」ブシロードがいま重点を置いて進めているのが、デジタル施策とライブ施策のふたつ。「デジタルにすればオンライン化でき、オンラインにすればグローバルになる時代。あるコンテンツを素早く、広い範囲や多くの人たちに拡散するのにデジタルほど有効なものはありません。ただ、どんなに練られたデジタルコンテンツも、人の持っている熱には敵わない。それだけ生のライブ感というのは、惹きつける強力なパワーがある。まず熱狂を巻き起こす火種として、ライブというのはとても有効な手段だと思っています」現在の主要コンテンツには、ミュージカルとアニメを連動させた『少女歌劇 レヴュースタァライト』(以下、スタァライト)や、アニメやゲームなどメディアミックスで展開する次世代ガールズバンドプロジェクト・BanG Dream!(以下、バンドリ!)、近年の日本のプロレスブームを牽引している新日本プロレスなどがある。スタァライトは演劇で、バンドリ!はライブで、新日本プロレスは試合で熱狂を生み、その熱をアニメやゲーム、映像配信サービスに引き継いで、人気を全国に、そして海外に拡散させている。「じつは熱狂を呼ぶのは熱狂なんです。ただ、その前提にコンテンツが魅力的であることが重要。例えばいま、新日本プロレスが多くの支持をいただいているのも、もともとプロレスにはそれだけのポテンシャルがあったからです」長く低迷していたプロレス人気を復活させたのは、新日本プロレスであり、’12年にその親会社となったブシロードだ。自身もプロレスファンだった木谷さんが人気回復のために最初に行ったのは、大規模なプロモーション活動。「トレンドを自分たちで作ったんです。それが、かつてのプロレスファンが戻ってくるきっかけになりました。観客が増えると、レスラーというのは自然と体から色気が出てくるもので、当然試合の質も上がる。それを観た人たちの熱狂が、また新たな観客を呼び込んでくれる。そのループがうまくでき上がったら、あとはコンテンツの質を落としさえしなければ順調に回っていくんです」かつてのプロレスブームは男性が中心だったが、いま新日本プロレスの会場は約半数を女性や子供が占めるようになっている。「これまでの経験上、女性や子供に受け入れられたらコンテンツは圧倒的に強いんです」そんなブシロードの、未来を見据えたこの先の戦略とは?「いまの若い人は、アメリカや中国の資本をかけて構築したコンテンツを見慣れている世代です。グローバルな視点で企画されたコンテンツ創りを考えています」きだに・たかあき株式会社ブシロード取締役・デジタルコンテンツ部本部長・広報宣伝部部長、株式会社ブシロード ミュージック代表取締役社長1960年生まれ、石川県出身。証券会社を経て、’94年に株式会社ブロッコリー、’07年に株式会社ブシロードを設立。’12年に新日本プロレスを子会社化。以前よりファンだったプロレスをビジネスの視点から捉え、多彩な戦略で現在のプロレスブームを牽引。’17年に株式会社ブシロードの代表取締役社長を自ら辞し、現職に。※『anan』2020年1月15日号より。写真・土佐麻理子取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年01月14日映画『ふがいない僕は空を見た』やNetflix配信ドラマ『夫のちんぽが入らない』など、もがきながらも必死に自らの人生を模索していく人々を描いてきたタナダユキ監督。その監督が‘09年に自身初のオリジナル小説として発表した同名作品を自ら映画化した『ロマンスドール』。一目惚れから始まり、ふたりは夫婦になるが、年月の経過とともに互いを思いやりながらも、忙しさやちょっとした遠慮、後ろめたさから、少しずつすれ違っていく。夫婦の危機が訪れようとした時、ふたりの前に思わぬ運命が立ちはだかる…。果たしてふたりの選択した道とは。タナダユキ監督が探る、恋愛感情のその先。恋愛だけでは乗り越えられない夫婦という関係を描きたかった。夫婦って不思議な関係ですよね。恋に落ちた男女が共に暮らすという意味では同棲と同じなのに、結婚という形をとることで恋人から家族に変わる。夫婦の間に子供ができても、ふたりが絶対的に他人であることに変わりはない。お互いに背負うものがあるなかで何十年も一緒に生活をするって、恋愛感情だけでは乗り越えられないもの。それでも…子育てという共通のミッションを持たなかったとしても、他人同士が添い遂げられるのなら…。それってすごい希望ですよね。『ロマンスドール』では、そういうものを描いてみたかったんです。もともと本作は、小説として発表したものです。小説と映画との違いは、関わる人数が圧倒的に違うということ。映画には撮影部や照明部、俳優部といったいろんな部があり、それぞれの部が台本という設計図から自分なりに解釈し提示してくるものを、最終的にひとつの作品にしていくわけです。監督である私の作業は、自分のやりたいことと、各部から提示されたいくつかのものを、取捨選択しながら正解を探し続けること。小説は自分の世界を描くという部分で自由度は高いですが、私は映画では自分の考えに固執するつもりはないんです。多くの人が携わるのは面倒な部分もあるけれど、予想外のアイデアが出てくることがあって、それがすごく面白い。そういう意味で、高橋一生さんと蒼井優さんは、毎回台本や原作以上のものを提示してくださるおふたりです。ふとした瞬間、私自身も想像していなかった哲雄や園子の表情を見せてくれる。今回、そんなおふたりに助けられた部分はすごく多かったです。私は、その時にしか撮れないものを写し取ろうとつねに考えていますが、まさに二度と撮れない瞬間を積み重ねた作品になったと思います。人が人に与える影響ってすごく大きくて、間違いなく恋愛もそのひとつ。他人と深く関わるなかで、そこにうれしい感情とうれしくない感情の両方が生まれて、そのどちらとも付き合っていかなくてはいけない。成就したら終わりではないんですよね。たとえその恋が失敗したとしても、その経験が次の成功のもとになってくれるはず。私は恋愛を通して、人が何を思ってどう生きようとするか、その変化を描きたいのかもしれません。どんなに素晴らしい恋もいずれは変化するもの。美大の彫刻科を卒業しフリーター生活をしていた哲雄(高橋)。ひょんなことからラブドールを製作する「久保田商会」で働き始め、徐々にその面白さにのめり込んでいく。ある日、生身の女性の乳房の型取りをする話が持ち上がり、医療用と偽ってモデルを雇うことに。そのモデルの園子(蒼井)に一目惚れした哲雄は、その日に告白するのだった。1年後にふたりは結婚するが、哲雄は園子に自分がラブドール職人であることを言い出せずにいた。そんななか、工場が忙しくなり、次第にふたりはすれ違うように。©2019「ロマンスドール」製作委員会タナダユキ監督1975年生まれ、福岡県出身。‘01年に自身が脚本・主演も兼ねた初監督作品『モル』が第23回PFFアワードグランプリおよびブリリアント賞を受賞し注目を集める。その後の監督作に、『百万円と苦虫女』『ふがいない僕は空を見た』など。近年はテレビドラマの演出、小説やコラムの執筆も手掛ける。何気ない日常の風景を積み上げ、登場人物の心情を浮き彫りにする作風にファンが多い。『ロマンスドール』は1月24日より全国公開。※『anan』2020年1月15日号より。写真・野呂知功(TRIVAL)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年01月14日『ロマンスドール』に出演する蒼井優さんにお話を伺いました。本作は、タナダユキ監督が2009年に自身初のオリジナル小説として発表した同名作品を自ら映画化したもの。哲雄というフィルターを通して描かれた園子を演じるのは面白かった。『ロマンスドール』は、タナダさんが小説を出された時から、映画化されたら観たいと思っていた作品です。私、完成版を観終わった時、タナダさんに「おめでとうございます」と言ったんです。タナダ組らしい素敵な作品に仕上がっていて、出演者としてホッとしたのと同時に、多くの人に喜んでいただける作品になっていて、友人として素直に嬉しかったんです。こちらの一方的な感覚ですが、タナダさんと私、感性が似ているんじゃないかと思うんです。たぶん好きな女性像も同じ。演じる前からタナダさんに求められることがわかるから、演じていても不安がないんです。今回、久々のタナダ組でしたけれど、力むことなくいられたのは、そういうことなのかなって思っています。園子は演じていてとても楽しい役でした。この物語自体が哲雄(高橋一生)の回想で綴られたもので、園子自身も哲雄というフィルターを通して描かれているキャラクターです。そういう役だから、できるだけ生々しいところをなくしてシンプルにしていく…その作業が面白かったんです。ただ、こんなふうに言うと、頭で考えて演じているようですが、私は基本的にノリ(笑)。そのシーンになった時に自然とそこにいけるようになるまで、台本を何回も何回も読むんです。ただ今回は、考えて完璧に哲雄でいてくれる一生さんが目の前にいてくれ、書かれた通りに演じれば自然とそうなっていくしっかりとした台本がありましたから、そこに助けられた部分はかなり多かったと思います。ふたりとも現場では、ほぼお芝居の話はしていませんが、お互いがきちんと体に役をなじませてやれていた気がします。私は想像力がないのか、自分が体感していない感情を演じることができないタイプ。これまでいろんな恋愛を演じさせていただいていますが、理解しきれないまま演じた役もありました。いま年齢を重ねて、いろんなことを経験して、あの時やった作品で発したあのセリフは本当だったんだなって思う瞬間がたまにあるんですよね。それはとても面白い。かつてのセリフが、いまの自分の人生にフィットする…不思議な感覚です。どんなに素晴らしい恋もいずれは変化するもの。美大の彫刻科を卒業しフリーター生活をしていた哲雄(高橋)。ひょんなことからラブドールを製作する「久保田商会」で働き始め、徐々にその面白さにのめり込んでいく。ある日、生身の女性の乳房の型取りをする話が持ち上がり、医療用と偽ってモデルを雇うことに。そのモデルの園子(蒼井)に一目惚れした哲雄は、その日に告白するのだった。1年後にふたりは結婚するが、哲雄は園子に自分がラブドール職人であることを言い出せずにいた。そんななか、工場が忙しくなり、次第にふたりはすれ違うように。©2019「ロマンスドール」製作委員会あおい・ゆう1985年8月17日生まれ、福岡県出身。タナダ作品への参加は、‘08年の映画『百万円と苦虫女』以来。今春、主演ドラマ『スパイの妻』(NHK BS8K)が放送。ワンピース¥24,000リング¥12,000(共にハイク/ボウルズ TEL:03・3719・1239)※『anan』2020年1月15日号より。写真・野呂知功(TRIVAL)スタイリスト・山本マナヘア&メイク・赤松絵利(ESPER)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年01月12日タナダユキ監督が2009年に自身初のオリジナル小説として発表した同名作品を自ら映画化した『ロマンスドール』。この作品に出演する高橋一生さんにお話を伺いました。ふたりの言葉ではない間や目線のやり取りが大事な作品だった。恋愛って人が成長する根源的なものでもあると思うんです。若い頃の衝動的な恋は、どこか野性の本能に近いけれど、大人になるとそれだけで突っ走ることはできなくて、自分自身がこの先、生きていくこととか仕事のこととか、いろんなことを考えてしまう。『ロマンスドール』の、そんな人間の重層的な部分が描かれているところに惹かれました。タナダさんは、俳優のことを信頼して任せてくださる方。監督によっては、最初にカメラワークを決めて、そのフレームの中での芝居を求めるかたもいらっしゃいますが、タナダさんは逆。俳優を信頼してくれているんだと思います。それぞれのやり方があり、どちらが正しいというわけではないのですが、フレームのことを考えず自由に動けるほうが僕自身は芝居がしやすくはあります。ただ、俳優に任せれば、監督自身の世界観から外れてしまう心配もある。タナダさんの素晴らしいところは、俳優に委ねながらも、その芝居をきちんとご自身の世界観のなかに収めてくれるところ。それは柔軟でありながら、ブレない芯をお持ちだからなんだと思います。哲雄と園子は、テーブルの上で会話しながら、同時にテーブルの下の見えないところで口に出さない言葉をやり取りしているようなところがあります。語らないけれど、間や目線で伝わる何か…今回、タナダさんが大事にされていたのは、そんな口に出さない部分だったと思っています。蒼井優ちゃんは一緒にお芝居をやっていて非常に楽しい相手でした。僕は、俳優というのは台本に書かれたことを自分なりのニュアンスに解釈して提示する職業だと思っているんですが、優ちゃんもたぶんそういう人。言葉よりも先にまずはやってみるタイプのかたなので、躊躇なく自分の思う哲雄と園子を提示できたんです。そうやって、お互いに思う居心地の良さや夫婦っぽさを感覚的に探り合って作っていった気がします。優ちゃんは、本番ギリギリまで違う話をしていても、すぐに役にスイッチングできる。僕としては、哲雄と園子になれるスイッチを握られていたような気がします(笑)。どんなに素晴らしい恋もいずれは変化するもの。美大の彫刻科を卒業しフリーター生活をしていた哲雄(高橋)。ひょんなことからラブドールを製作する「久保田商会」で働き始め、徐々にその面白さにのめり込んでいく。ある日、生身の女性の乳房の型取りをする話が持ち上がり、医療用と偽ってモデルを雇うことに。そのモデルの園子(蒼井)に一目惚れした哲雄は、その日に告白するのだった。1年後にふたりは結婚するが、哲雄は園子に自分がラブドール職人であることを言い出せずにいた。そんななか、工場が忙しくなり、次第にふたりはすれ違うように。©2019「ロマンスドール」製作委員会たかはし・いっせい1980年12月9日生まれ、東京都出身。タナダさんとは、‘17年の資生堂のショートドラマ『Laundry Snow』以来。2月より舞台『天保十二年のシェイクスピア』に出演。ニット¥32,000(ウィーウィル/ウィーウィル ギンザ TEL:03・6264・4447)パンツ¥42,000(08サーカス/08ブック TEL:03・5329・0801)※『anan』2020年1月15日号より。写真・野呂知功(TRIVAL)スタイリスト・秋山貴紀ヘア&メイク・田中真維(マービイ)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年01月12日人も車も賑やかに行き交うお昼時の虎ノ門。信号が変わるたびに押しよせるサラリーマンの人の波。そこに紛れるように磯村勇斗さんが佇む。この街とはどこか異質の彼の存在に気づき足を止め見つめる人もいるが、とくに気にする様子もなく、時にクールに時にお茶目な表情を見せてくれた。磯村勇斗さんと、撮影した野田若菜さんに東京についてお話をうかがいました。虎ノ門×磯村勇斗写真・野田若葉(TRON)――まずは撮影を終えてのおふたりの感想を伺えますか?磯村:こういうオフィス街での撮影ってあまりないんです。お昼時でサラリーマンの方が多かったですが、非常に自然にいられました。野田:それは磯村さんの持っている雰囲気もあると思うんです。自然にいてくださったから…。磯村:…(思い出しながら)そういえば、まったく気にしてなかったですね。普段、人混みが苦手なんですけれど、撮影になると気にならなくなるんです。映像の現場では、カメラマンさんや照明さんがいる前でお芝居してますし。野田:そこは俳優さんならではかもしれません。実は今日、磯村さんがいらっしゃった時、SFっぽいイメージが浮かんだんです。あちこちで工事していて非日常感のある虎ノ門の街と、金髪・ロングコート姿の磯村さんが、映画『ブレードランナー』を思わせて…。磯村:工事中の建物や看板の前で撮ってる時、不思議な感覚がありました。あまりないシチュエーションですよね。斬新というか…。――虎ノ門という街は、馴染みがあったりします?磯村:僕は…あまりないですね。野田:私、撮影が始まるまでは忘れていたんですけれど、実は以前にこの近くで働いていたことがありました。――その頃とは街の風景は、かなり変わっているんでしょうね。野田:いまはまだ当時の面影も感じますが、進行中の再開発のプロジェクトが完成した時には、大きく景色が変わるんでしょうね。完成後どうなるか興味があります。磯村:いずれはSF映画のような建物しかなくなっちゃうんですかね。古い居酒屋とか商店街とか、味のある雰囲気も残っていてほしいなと思いますけど。――磯村さんは静岡、野田さんは福岡の出身ですが、おふたりにとって東京とはどんな場所ですか。野田:小さい時から憧れの場所ではありましたよね。磯村:僕も、キラキラしたイメージを持っていました。ただ実際に住んでみて思うのは、いいことだけじゃなく悪いことも全部が凝縮されているような気がします。ちょっと狭くて生きづらい(笑)。野田:住んでみると酸いも甘いもありますからね(笑)。磯村:皇居周辺は独特の空気…ただならぬパワーというか、そういうものを感じられて好きですね。あと、日本のエンジンで司令塔的な場所ならではのエネルギーはありますよね。話題の演劇なら東京公演は必ずあるし、東京でしか経験できないことも多いです。野田:東京に来なければ出会えなかったような人もいて、私もそれはすごく幸運だなと思っています。磯村:今年はオリンピックで外国の方も多く来日されますし、その影響を受けて、またいろんなことが変わるのかもしれませんね。地下鉄新駅の開業も間近。ビジネス街から未来都市へ。2014年の超高層ビル・虎ノ門ヒルズ(森タワー)の開業を皮切りに、再開発が進行中の虎ノ門エリア。6月には東京メトロの新駅が誕生するほか、’23年までにオフィスや商業施設、住居、文化施設が融合した新たな街が完成予定。働き方や暮らし方の進化を敏感に察知し変容していく東京という街の、まさに“いま”を感じられる場所だ。いそむら・はやと1992年9月11日生まれ、静岡県出身。ドラマ『仮面ライダーゴースト』や『ひよっこ』で注目される。1月期ドラマ『ケイジとケンジ』に出演。出演映画『今日から俺は!! 劇場版』は7月17日公開。コート¥115,000(ディスカバード TEL:03・3463・3082)ジャケット¥157,000シャツ¥145,000パンツ¥73,000(以上マルニ/マルニ 表参道 TEL:03・3403・8660)その他はスタイリスト私物のだ・わかば1984 年生まれ、福岡県出身。スウェーデンのヨーテボリ大学芸術学部写真学科で写真を学んだ後、帰国。土屋文護氏のアシスタントを経て‘18年に独立。モード誌や女性誌を中心に活躍の幅を広げている。※『anan』2020年1月15日号より。スタイリスト・丸山 晃ヘア&メイク・佐藤友勝インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年01月10日スウェーデン陶芸家、リサ・ラーソンの陶器や雑貨を扱う「TONKACHI STORE」(トンカチ)が販売中の「リサ・ラーソン×フェールラーベン カンケンバッグ」が人気を集めています。■凛々しい姿のマイキーや、ピクニックに出かけているようなハリネズミ三兄弟のデザイン■人気カラーに「マイキー」や「ハリネズミたち」のワッペンが!使い勝手はもちろん、そのかわいいデザインで日本でも人気を誇っているフェールラーベンの「カンケンバッグ」。そのサブポケットにリサ・ラーソンの代名詞とも言える「マイキー」や「ハリネズミ三兄弟」のワッペンをサブポケットにつけました。シンプルシックで人気の高いカラー「ネイビー」や「グラファイト」のほかに、どんなコーデにもなじみやすい「スカイブルー」も用意されています。シーンによって使い分けてみてはいかがでしょう。KANKEN 各1万9800円■親子でも使える「カンケンミニ」は、気分が上がる明るめカラーでお子さんや女性に人気のサイズ「カンケンミニ」。「ピンク」と「フロストグリーン×ピーチピンク」は、発色がよく、コーデのアクセントに一役買ってくれると注目を浴びています。ミニサイズだから、女性のサブバッグとして使っても目立ち過ぎすぎなくていいという声も。親子で一緒に使えるバッグとしてもおすすめです。KANKEN Mini 各1万8700円■リサ・ラーソン/陶芸家1931年、スウェーデンのスモーランド地方・ハルルンダ生まれ。Stig Lindberg(スティグ・リンドベリ)に見出され、スウェーデン最大の陶芸製作会社Gustavsberg(グスタフスベリ)社で活躍。1979年に独立。以後、現在に至るまで精力的に創作活動を続けている。日本で一番有名な北欧の猫キャラクター「マイキー」の生みの親としても知られる。
2020年01月10日昨年、新国立劇場に史上最年少の芸術監督が誕生した。当時、小川絵梨子さんは39歳。日本での本格的演出家デビューから10年足らずでの抜擢は衝撃的だった。“斬新な舞台ばかりでなく、ベーシックも必要なんです”「小さい時から演劇はよく観ていて、学生時代は演劇部でした。最初は俳優になりたかったんですが、高校3年生の時に演出をやったら楽しくて。私個人の表現より、いろんなセクションからのアイデアを吸い上げて舵取りするほうが性に合っていたんだと思います」そして20歳の時に旅行でNYを訪れたのをきっかけに、向こうで演劇を学びたいと留学を決意する。「その時はまだ、演劇を仕事にしようという強い意思ではなかったけれど、演劇をアカデミックに学びたかったんです。演劇の演出を専門に学べる学校が日本にはあまりないのと、全く知らない世界を体験してみたいという思いもあって、思い切って海外に出ました」NYでの日々は新鮮で楽しかったけれど、将来を考えると展望が見えずに落ち込んだ、とも。「日本で演出家になる方法がわからなかったし、アメリカで演出をやるには言語能力も、何より文化の理解度が足りない。私は、古典を斬新な解釈で再構築するより、戯曲を読み込んで地道に積み上げていくのが好きだしそれしかできないんです。でもそれには、根底にある文化の理解度が必要。例えば阿部定事件とか、ドラえもんとか縁側とか…日本人のなかに共通する原風景や想起される匂いがありますよね。それが向こうではウォーターゲート事件とかなわけです。頭では理解できても、一番重要な匂いや感覚までは理解できないので」転機は突然訪れる。知人に頼まれて携わった俳優養成所の公演を通して知り合った演劇プロデューサーに、ある公演の演出を依頼される。それが’10年の舞台『今は亡きヘンリー・モス』だ。これが大きな評判を呼び、一躍時の人となった。「私はただ台本をやっただけなんですけどね」と言う。しかし、それまで老舗劇団か小劇場出身の演出家が主流だったなか、小川さんは海外で演劇を体系的に学び、そのメソッドに基づいて演出する。センスや個性で創る舞台とは違いオーソドックスだが、それゆえ戯曲自体の面白さが際立つ。「斬新な解釈とか強烈な個性とか、憧れるし大好きだけれど、自分にはできない。ただ、斬新なものばかりでなくシンプルでベーシックな作品があってもいいし、舞台作品の多様性という意味でもむしろ必要だとも思います。その分野ならば、突出した個性や才能のない自分でも学んだことから立ち上げていくことができるのかなって」何より大事にしているのは物語。「ビジュアルにあまりこだわりがない…というかわからず、立ち上げた物語にそぐうものであればいいと思っているだけなので」小川さんの現場では、俳優もスタッフもすべてが対等。全員がプロフェッショナルとして参加し、演出家の役割は全セクションと関わりながら舵取りをすることだ。「いま芸術監督として一番のモチベーションは、次の世代のためによりやりやすい演劇環境を整えること。これまでの現代演劇は、どうしても革新的だったり作家性の強い作品が注目されてきたけれど、そんな特別な才能に恵まれていなくても演劇を創る方法は色々ある。先人たちが何世代もかけてその方法を模索して、積み上げてきた歴史もある。私もただその流れの中で次世代の方々に何か一つでも渡していけたらと思っています」おがわ・えりこ新国立劇場演劇部門芸術監督/演出家、翻訳家1978年生まれ、東京都出身。日本の大学卒業後に渡米。2004年にNYアクターズ・スタジオ大学院演出学科を修了。’10年に初めて翻訳・演出を手掛けた舞台が話題となり数々の舞台を演出。’12年に読売演劇大賞杉村春子賞を、翌年には紀伊國屋演劇賞と千田是也賞を受賞。’18年に新国立劇場芸術監督に就任。※『anan』2020年1月15日号より。写真・土佐麻理子取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年01月09日リサ・ラーソンデザインの波佐見焼北欧を代表する陶芸家リサ・ラーソンと長崎県の焼き物波佐見焼がコラボした磁器モニュメント「せっせとねずみ」が、トンカチストアにて好評発売中です。限定の金とプラチナも北欧の人気猫キャラクター”マイキー”を生んだ陶芸家として知られるリサ・ラーソン。彼女が作成した原型を元に、波佐見焼職人がひとつひとつ丁寧に焼き上げたのが干支シリーズの「せっせとねずみ」です。コロンとしたフォルムと愛らしい表情が目を引きます。通常の青い「せっせとねずみ」に加え、新年のお飾りにぴったりな金とプラチナの「せっせとねずみ」も、直営店とオンラインストア限定で用意されています。デイリー使いにはこちら「せっせとねずみ」をデイリー使いできるよう、モニュメント以外に豆皿と根付キーホルダーも発売しています。リサ・ラーソンらしい温かみのある北欧テイストと、和の伝統的な焼き物が組み合わさった干支シリーズを、普段使いで楽しめるのが嬉しいポイントです。(画像はプレスリリースより)【参考】※株式会社トンカチのプレスリリース※トンカチストア
2020年01月05日〔株式会社トンカチ〕は、TONKACHISTOREにて、スウェーデン陶芸作家リサ・ラーソンの商品を販売しております。《リサ・ラーソン》と日本の伝統工芸として有名な『益子焼』がコラボして、ちょっとしたおかずや薬味入れにも使える豆皿やパーティーやお祝いのシーンにおすすめな大皿をつくりました。8寸(直径約25センチ)サイズの大皿で、メインのお食事をのせるのにおすすめです。少し深さのあるお皿なので、汁気のある料理にも。益子焼ならではの素朴な風合いは和食・洋食どちらも馴染みます。リサの陶板の絵柄を忠実に再現し、森の中のゾウ、トリ、オオカミ、ヒョウ、サイが描かれています。小皿はそれぞれの動物が引き立つように工夫をこらしました。リサの描く愛らしい動物たちが器いっぱいにならび、それぞれの動物に寄った豆皿もご用意。普段使いにももちろんおすすめですが、年末年始、家族だけでなく友人とホームパーティーをする機会が増えるからこそ、お気に入りの器をしつらえてお迎えしてはいかがでしょう。森と動物の絵皿8寸皿¥3,300(税込)森と動物の絵皿4寸皿オオカミ、ヒョウ、ゾウ、サイ各¥1,430(税込)《リサ・ラーソン》のビンテージや陶器などの作品をはじめ、コラボアイテムなど幅広いラインナップがトンカチストアに揃っております。ぜひご覧ください。TONKACHI STOREはこちらリサ・ラーソン/陶芸家1931年、スウェーデンのスモーランド地方・ハルルンダ生まれ。StigLindberg(スティグ・リンドベリ)に見出され、スウェーデン最大の陶芸製作会社Gustavsberg(グスタフスベリ)社で活躍。1979年に独立。以後、現在に至るまで精力的に創作活動を続けている。日本で一番有名な北欧の猫キャラクター『マイキー』の生みの親としても知られる。日本における《リサ・ラーソン》の著作権は、〔株式会社トンカチ〕が管理しています。ライセンスに関するお問い合わせはこちらまで【本件に関する報道関係者からのお問合せ先】(株)TONKACHITEL:03-5728-5147contact@tonkachi.co.jp企業プレスリリース詳細へ TIMESトップへ
2020年01月04日第一次世界大戦中にオスマン帝国(現在のトルコ周辺)で起きたアルメニア人への迫害。それを題材に書かれた『月の獣』は、家族を失いアメリカへと亡命したアルメニア人の青年・アラムが、同じ境遇の孤児の少女・セタを写真1枚で選び、妻に迎える物語。アラムを眞島秀和さん、セタを岸井ゆきのさんが演じる。心に同じ傷を抱えた他人同士は、本当の夫婦になれるのか。眞島:ゆきのちゃんって、一見華奢に見えて実は芯が強い印象なんだよね。だから、少女から大人になっていくセタ役がぴったりだと思って。岸井:アラムとセタのふたりで担うものが多い作品だから、以前ドラマで共演した眞島さんがアラムで安心しました。そのときたくさん力を貸していただきました。今回もいっぱい頼ろうと思っています(笑)。眞島:最初に台本を読んだときは、壮大で重たい話という印象を持っていたんですよ。でも実際に稽古が進んでいくと、過去の虐殺事件が背景にありながらも、日常の夫婦の話を描いているんだなって感じてる。岸井:壮絶な過去を背負っているふたりだけど、軸にあるのは、育った環境の違う人同士がいかに家族になっていくかなんですよね。眞島:アルメニア人同士で、他に生きていく場所がない境遇は似ているけれど、育った環境が全然違う。岸井:同じ宗教を信仰しているけれど、セタは、お母さんはキッチンで歌を歌うし、お父さんはベッドで聖書を読みながら寝るような家で育っているんです。でも、アラムは厳粛な家で育っていて。眞島:彼は“こうあるべき”を強く持っている人で、それをセタに押し付けようとする。そのうち、手に負えなくなってきた彼女に反論されるようになるんですけど、そうなって動揺するアラムが面白くて。岸井:セタが諦めずにぶつかっていくんですよね。でも時どき力尽きちゃうことがあって、そうなって初めてアラムがハッとするんです。こっちからすると遅い!って(笑)。眞島:アラムとしては、僕の考えをきっと彼女もわかってくれるはず…だからね。でもそういう部分、男性としてわかるなっていう部分も多いんだよね。外国が舞台だけど、日本人にも共感してもらえると思う。僕がこの戯曲の好きなところは、久保(酎吉)さんのセリフの…。岸井:あー!それ以上はダメです。私がお客さんだったら、劇場でハッとなりたい!(笑)眞島:(笑)。では僕は、ハードルが高い芝居じゃないからということだけ申し上げておこうかな。岸井:私自身、舞台を観るのが好きなんですけど、編集がなく、話が進んでいくその過程ごとお客さんと共有できるところが面白い。映像とは違う空間が広がっているので、ぜひ体験しに来ていただきたいです。『月の獣』少女・セタ(岸井)と結婚したアラム(眞島)は理想の家族像を彼女に押し付けようとするが、幼い妻には理解できない。やがて月日が経ち、彼らの前に孤児の少年が現れ…。上演中~12月23日(月)新宿・紀伊國屋ホール作/リチャード・カリノスキー演出/栗山民也出演/眞島秀和、岸井ゆきの、久保酎吉、升水柚希全席指定8800円(税込み)サンライズプロモーション東京 TEL:0570・00・3337(月~金曜12:00~18:00)新潟、兵庫公演あり。ましま・ひでかず1976年11月13日生まれ、山形県出身。映画『青chong』でデビュー。近作に映画『愚行録』など。来年の大河ドラマ『麒麟がくる』に出演。きしい・ゆきの1992年2月11日生まれ、神奈川県出身。主演映画『愛がなんだ』で注目を集める。来年は映画『前田建設ファンタジー営業部』が公開。※『anan』2019年12月18日号より。写真・小笠原真紀取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2019年12月17日「リサ・ラーソン」が新宿に!スウェーデン生まれの陶芸家で、北欧の猫キャラクター“マイキー”でお馴染みの「リサ・ラーソン」。そのクリスマスショップが新宿小田急百貨店のモザイク通り横に登場。クリスマス当日の2019年12月25日(水)まで、限定オープンします。ファン必見のクリスマス限定コレクション店内にはギフトにぴったりの「Lisa Larson X’mas Collections」が集結。北欧を想わせる陶器製のサンタクロースや、人気アイテム吸水クロスのクリスマス限定デザインなど、「リサ・ラーソン」ファンには見逃せないものばかりです。また「リサ・ラーソン」のキャラクターやロゴが刻印された「オリジナル人形焼」も、中身がクリームになって再登場。クリスマスデザインの新パッケージも目を引きます。限定福袋も見逃せない完売必至の「クリスマス限定福袋」(5,000円)も登場。10点以上の選りすぐりのアイテムが入り、総額は10,000円相当以上。早期売り切れが予想されますので、気になる人はお早めに。1人2点まで購入可能です。また税込3,000円以上購入すると、「LISA LARSON SHOP TOKYO」のオリジナルロゴステッカーをプレゼントという、嬉しい特典も用意されています。(画像はプレスリリースより)【参考】※株式会社トンカチのプレスリリース※特設サイト
2019年12月14日情けないほど不格好で滑稽なほど必死に生きる人々の姿を、笑いと少しの毒を交えて描く劇作家の赤堀雅秋さん。その赤堀さんの新作舞台『神の子』に出演するでんでんさん。「田中の哲ちゃん(哲司)から『やろうよ』って声をかけられて、一緒に芝居したら面白そうなメンツだったからいいよって答えたんだよね」飄々とした口調でそう言って笑う。かつて赤堀さんが監督した映画『その夜の侍』に出演しており、「極端なデフォルメをせず、スケッチのように人間を描く」ところに魅力を感じているそう。そんな人々の「日常を切り取って、ちょっとドラマティックにした」物語は、「登場人物たちの汗の匂いとか、人間の垢のようなもの」を感じさせるのが面白いとも。でんでんさんはまさにそんな汗や垢にまみれて生きる市井の人を数多く演じてきている。「人間、生きていればいろんな垢がついてくるもので、それが人生だと思うのよ。それがきれいに磨き込まれている人もいれば、カビがついたりサビがついたりしている人もいる。なかには垢を必死に隠していたのに、ある日ポロッとぼろが出てしまうこともあったり。そういうのが垣間見えるのって楽しいよね」身近にいるいる、と思わせるリアリティにはモデルがいるそうで…。「役を自分に引き寄せるのか、自分が役に向かっていくのか、なんて言われるけれど、僕は途中まで役の側に行くタイプ。毎回、ある程度セリフが入ったところで、自分の知り合いのなかで誰かモデルになる人を考えるんですよ。なかには途中から他のモデルもお呼びしたり、何人かをかけあわせたりも。そうやって役のイメージを膨らませていくんです」今回演じるのは、警備員の男。「セリフは何度も何度も繰り返して、体に付着するのは4日目くらいから。そっから稽古で何回も同じ芝居をしているうちに、このセリフは本当はこういう意味でしゃべってるのかとか、ここを言いたかったのかとかがわかってくる。でも今回、台本が上がらなくて稽古初日が数日遅れたりしてるんだよ(笑)。そう思うと、もしかして今回は試される現場なのかなって思ってるんだけど」稽古場で、他の俳優の役作りの過程が見られるのも舞台の醍醐味とも。「人が頑張ってるのを見ると、勉強になる。誰かに刺激を受けたくて舞台をやってるのかもしれないね」1950年生まれ。福岡県出身。放送中のドラマ『死役所』『歪んだ波紋』に出演するほか、来年には出演映画『星屑の町』の公開も控える。『神の子』2016年に上演された赤堀さん作・演出の舞台『同じ夢』で共演した田中哲司さんと大森南朋さんが再びタッグを組んだ今作。初の赤堀作品となる長澤まさみさんの参加も話題。12月15日(日)~30日(月)下北沢・本多劇場作・演出・出演/赤堀雅秋出演/大森南朋、長澤まさみ、でんでん、江口のりこ、石橋静河、永岡佑、川畑和雄、飯田あさと、田中哲司全席指定8500円(税込み)プラグマックス&エンタテインメントTEL:03・6276・8443(月~金曜11:00~17:00)名古屋、福岡、広島、大阪、長野、静岡公演あり。※『anan』2019年12月18日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2019年12月11日